説明

発光表示装置

【課題】行及び列に配置された発光表示素子の配列から成り、行の複数の画素が夫々の行導電体に沿って同時に電流を供給される画素に入力されるべき画素駆動信号を決定する方法を提供する。
【解決手段】目標画素駆動電流は、画素電流輝度特性のモデルから決定される。これは、前記複数の画素により前記行導電体から引き出された電流をもたらす夫々の画素での夫々の画素導電体の電圧と、前記画素での行導電体の電圧への前記画素輝度特性の依存とを考慮に入れるよう変更される。これは、電流供給TFTの有限な出力インピーダンス及び電源供給ラインを形成するために使用される金属の有限な抵抗に応じて、アクティブマトリクスLED表示装置で生じる水平方向のクロストークの問題に対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電界発光表示装置のような発光表示装置、特に、夫々の画素に結合される薄膜スイッチングトランジスタを有するアクティブマトリクス表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光や光放射型の表示素子を用いるマトリクス表示装置が良く知られる。該表示素子には、有機薄膜電界発光素子、例えば高分子化合物質、又は従来のIII‐V族半導体化合物を使用する発光ダイオード(LED)が含まれても良い。有機電界発光物質、特に高分子化合物における最近の発展は、特に映像表示装置に使用されるべきそれらの能力を実証している。一般的に、これらの物質は、一対の電極間に挟まれた半導体複合高分子化合物の一つ又はそれ以上の層を有する。該電極の一方は透明であり、他方は空孔又は電子を高分子化合物の層に入れるのに適した物質である。
【0003】
高分子化合物質は、CVD処理を用いて、あるいは水溶性複合高分子化合物の溶液を用いるスピンコーティング技術によって作られる。また、インクジェット印刷が使用されても良い。有機電界発光物質は、ダイオードのようなI‐V特性を示すように配列されうる。故に、それらは表示機能及びスイッチング機能の両方を提供することができ、そのため受動型ディスプレイにおいて使われうる。代替的に、これらの物質はアクティブマトリクス表示装置に対して用いられても良い。夫々の画素は、表示素子、及び該表示素子を流れる電流を制御する切り替え装置を有する。
【0004】
この形式の表示装置は、電流駆動型表示素子を有する。故に、従来のアナログ駆動の仕組みは、前記表示素子への制御電流の供給を有する。画素構造の部分として電流形トランジスタを設けることが知られ、電流形トランジスタに供給されるゲート電圧は、前記表示素子を流れる電流を決める。蓄積キャパシタは、アドレス指定相の後にゲート電圧を保持する。
【0005】
図1は、アクティブマトリクスアドレス指定型電界発光表示素子の周知の画素回路を示す。表示装置は、規則正しく間隔を空けられた画素の行及び列のマトリクス配列を有するパネルを有する。該画素は、ブロック1によって表わされ、関連する切り替え手段と共に電界発光表示素子2を有し、行(選択)及び列(データ)のアドレス導電体4及び6の交差する集合間の共通部分に置かれる。数個の画素のみが簡単化のため図に示されている。実際には、画素の数百の行及び列が存在する。画素1は、行の走査駆動回路8と列のデータ駆動回路9とを有する周辺の駆動回路により行及び列のアドレス導電体の集合を介してアドレス指定される。該駆動回路は、導電体の夫々の集合の終端に接続されている。
【0006】
電界発光表示素子2は、ここではダイオード素子(LED)として表わされ、有機電界発光物質の一つ又はそれ以上の層が挟まれている一対の電極を有する有機発光ダイオードを有する。前記配列の表示素子は、関連するアクティブマトリクス回路と共に絶縁支持材の片側に載せられている。表示素子の陰極又は陽極のいずれかは、透明な導電体物質で形成されている。前記支持材はガラスのような透明の物質から作られ、基材に近い表示素子2の電極はITOのような透明の導電物質から構成されても良い。故に、電界発光層により発せられた光は、支持材の他方の側で見る人に対して可視的であるように、これらの電極及び支持材を介して伝送される。
【0007】
図2は、電圧プログラム動作を提供する周知の画素及び駆動回路配置を概略図で示す。夫々の画素1は、EL表示素子2及び関連する駆動回路を有する。該駆動回路は、行導電体4で行アドレスパルスによってオンとされるアドレストランジスタ16を有する。該アドレストランジスタ16がオンとされるときに、列導電体6の電圧は残りの画素に移動する。特に、該アドレストランジスタ16は、駆動トランジスタ22及び蓄積キャパシタ24を有する電流源20に列導電体電圧を供給する。列電圧は駆動トランジスタ22のゲートに供給され、該ゲートは、前記行アドレスパルスが終了した後ですら、蓄積キャパシタ24によってこの電圧で保持される。駆動トランジスタ22は、電力供給ライン26からの電流を引き込む。
【0008】
この回路での駆動トランジスタ22はp形TFTとして表わされ、故に、蓄積キャパシタ24は一定のゲート‐ソース間電圧を保持する。これは、トランジスタを流れる一定のソース‐ドレイン間電流を生じ、そのため画素の所望の電流源動作をもたらす。
【0009】
上記の基本的な画素回路は電圧プログラム型画素であり、駆動電流をサンプリングする電流プログラム型画素も存在する。しかし、全ての画素の構造は、夫々の画素に供給されるべき電流を必要とする。
【0010】
LED表示装置の一つの問題は、画素により引き出される大きな電流から生ずる。一般に、表示装置は、アクティブマトリクス回路を載せた基材を介する背面発光である。これは、放射がELダイオードの陽極側から成されるように、EL表示素子の所望の陰極物質が不透明であるので、望ましい配置である。更に、アクティブマトリクス回路と反対にこの望ましい陰極物質を配置することは好ましくない。金属の行導電体は、電力供給ラインを定めるように形成され、これらの背面放射表示装置に対して、それらは、それらが不透明であるので、表示領域間の空間を占有する必要がある。例えば、持ち運び可能な製品に適した12.5cm(対角線)の表示装置において、行導電体は、長さ約11cm及び幅20μmでありうる。1平方メートル当たり2Ωの標準的な金属シートの抵抗に対して、これは、金属行導電体に対して1.1kΩの線抵抗を与える。発光中の画素は約8μAを引き出し、引き出された電流は行に沿って分配される。有効な行導電体抵抗は、行導電体に沿って電圧降下を引き起こす。電源供給ライン沿いのこれらの電圧変動は、駆動トランジスタのゲート‐ソース間電圧を変え、それによって表示装置の輝度に影響を及ぼす。更に、行の画素により引き出された電流は画像に依存するので、データ補正技術により画素駆動レベルを補正することは困難であると考えられ、歪みは、必然的に、異なる列の画素間のクロストークとなる。
【0011】
電圧降下は、行の両端からの電流の引き込みにより4の要素で減少し、EL物質の効果的改善は、また、電流降下を減少させることができる。それでもなお、重大な電圧降下が依然として存在する。これら電圧降下は、また、電流ミラー型画素回路での動作制限を引き起こす(この回路では、画素は電圧アドレス指定型ではなく、電流アドレス指定型である)。更に、薄膜トランジスタ(TFT)は、出力電流が実際にはゲート‐ソース間電圧のみならずソース及びドレインの両方の電圧にも依存するので、本質的に理想的でない電流源装置である。従って、電流源が水平方向のクロストークも作り出すので、TFTの出力インピーダンスが使用される。
【0012】
行導電体沿いの電圧降下は、所定の印加されるゲート電圧に対するゲート‐ソース間電圧に影響を及ぼすのみならず(ソースが行導電体に接続されているから)、電流を供給するTFTのドレイン‐ソース間電圧が減少することをも意味する。その場合、電流供給TFTの有限な出力インピーダンスは、その電流の減少を引き起こす。電流のこの変化は、先と同じく、行の他の画素の全てから引き出された電流、特定の動作状態に対するTFTの出力インピーダンス、及び有機LED(OLED)のI‐V特性に依存する。特に、OLED表示素子の陽極電圧の結果として生ずる変化は、所定の電流に対する表示素子の輝度出力を変更する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
信号処理の案は、電源ラインの電圧降下により引き起こされたデータ電圧誤差によって生ずる水平方向のクロストークを解決するために提案されてきた。このような案は、画素内部の電流源TFTの出力インピーダンスによって引き起こされた水平方向のクロストークの補正には適さない。代わりに、それらは、画素内の電流及び電圧の動作点の他の変化を補償することなく、簡単にゲート‐ソース間電圧を元の意図された値に戻す。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明により、行及び列で配置された発光表示素子の配列の画素に入力されるべき画素駆動信号を決定する方法が提供される。行の複数の画素は、同時に夫々の行導電体に沿って電流を供給される。当該方法は、
画素電流輝度特性のモデルに基づいて所望の画素輝度レベルに対応する目標画素駆動電流を決定するステップと、
前記複数の画素により前記行導電体から引き出された電流をもたらす夫々の画素における夫々の画素導電体の電圧と、前記画素における行導電体の電圧への前記画素輝度特性の依存とを考慮に入れるよう前記目標画素駆動電流を変更するステップと、
該変更された目標画素駆動電流から画素駆動信号を決定するステップとを有する。
【0015】
画素における行導電体の電圧への画素輝度特性の依存を考慮に入れることにより、本発明は、電源供給ラインを形成するために使用される物質の有限抵抗と共に電流供給TFTの有限出力インピーダンスに応じて、アクティブマトリクスLED表示装置で生じる水平方向のクロストークの問題に対応する。本発明は、クロストークの補正のための信号処理案を提供する。目標駆動電流を形成するために使用されるモデルは、行導電体の行電圧を一定とみなすことができ、従って、全ての画素に対して一定モデルであり、他の画素に入力された画素駆動信号から独立している。
【0016】
画素での行導電体の電圧への画素輝度特性の依存は、画素駆動信号の有効な変化(例えば、図2の画素構造内の駆動トランジスタのゲート‐ソース間電圧の変化。)のみならず、画素の構成要素の動作点の変化(例えば、図2の画素構造内の駆動トランジスタのドレイン電圧。)をも考慮に入れる。
【0017】
本発明の技術は、電流引き込み画素の行に電流を供給する電源ラインを使用する如何なる配列にも対するアモルファスシリコン及びポリシリコン技術に適用される。留意すべきは、ここで使用されている語「行」及び「列」は任意のものであって、これらの語は、直交行列に配置されたデバイス素子の配列を表わすに過ぎない。
【0018】
夫々の画素は、行導電体と共通ライン(例えば、接地。)との間で直列である駆動トランジスタ及び発光表示素子を有しても良い。その場合、画素における行導電体の電圧への画素輝度特性の依存を考慮に入れると、行導電体電圧から生ずる駆動トランジスタのドレイン‐ソース間電圧及びゲートソース間電圧の如何なる変化も考慮に入れることになる。
【0019】
望ましくは、夫々の画素は、第一の相でプログラムされ、第二の相で駆動され、前記目標画素駆動電流を変更するステップは、更に、前記第一の相と前記第二の相との間に前記画素により引き出された電流の如何なる差も考慮に入れる。特に、幾つかの画素駆動案は、画素の駆動中よりもプログラミング相で多少の電流を供給するステップを有する。これを考慮に入れることにより、正確な補償が如何なる画素駆動案に対しても提供されうる。
【0020】
前記目標画素駆動電流を変更するステップは、
行の画素により引き出された電流と前記画素の位置での前記行導電体の電圧との間の関係を表わす前記目標画素駆動電流にアルゴリズムを適用するステップと;
前記行導電体の電圧への前記画素輝度特性の依存を表わす値を用いて結果として得られる値を調整するステップとを有する。
【0021】
従って、別々の処理が、行電圧の変化と、出力輝度の画素の動作点での変化の影響とを補償するように必要される。
【0022】
例えば、前記アルゴリズムを適用するステップは、以下の式、
【0023】
【数8】

で表わされる行列Mの反転により画素の行に対して前記目標画素駆動電流のベクトルを乗じるステップを有し、
前記行列Mの行及び列の数が、前記行の画素の数に等しい。
【0024】
夫々の画素が駆動トランジスタを用いて入力電圧を電流に変換する電流源回路を有するときに、前記調整するステップは、前記駆動トランジスタの電圧‐電流特性及び前記発光表示素子の電圧‐電流特性から導き出される項を有する値を用いるステップを有しても良い。
【0025】
前記調整するステップは、また、前記行導電体の抵抗から導き出される項を有する。
【0026】
一つの例において、前記調整するステップは、値(1−α)Rλ/(1+λ/μ)を用いるステップを有する。ここで、
Rは、隣接する画素間の行導電体の抵抗であり、
λは、前記駆動トランジスタのドレイン‐ソース間電流対ドレイン‐ソース間電圧の傾きであり、
μは、前記表示素子の電流対電圧曲線の傾きであり、
αは、表示中に画素により引き出された電流に対する画素プログラミング相の間に前記画素により引き出された電流の割合である。
【0027】
計算の手間を減らすために、行列Mの反転により画素の行に対して前記目標画素駆動電流のベクトルを乗じた結果は、以下の式、
【0028】
【数9】

で表わされる再帰動作により得られうる。ここで、
F(n)は、前記行列Mの反転により画素の行に対して前記目標画素駆動電流のベクトルを乗じることにより得られたベクトルのn番目の項であり、F(0)は、一番目の項であり、
I(j)は、行のj番目の画素に対する目標電流であり、一番の画素は、j=0である。
【0029】
この再帰モデルにおいて、以下の式、
【0030】
【数10】

が成り立つ。ここで、
Nは、前記行の画素の全数である。
【0031】
調整のために使用される前記行導電体の電圧への前記画素輝度特性の依存を表わす値は、入力パラメータとして電流値を有する参照テーブルに保存される。これらの参照テーブルのパラメータは、モデル化されるべき時間に亘る画素輝度特性の変化を可能するよう時間とともに更新されうる。
【0032】
本発明の方法は、行及び列に配置された電流アドレス指定型発光表示素子のアクティブマトリクス配列を駆動するために使用されることができ、当該方法において、画素の夫々の行は順にアドレス指定される。
【0033】
本発明は、また、行及び列で配置された電流アドレス指定型発光表示素子のアクティブマトリクス配列を有する表示装置を提供する。当該装置は、
複数の画素により行導電体から引き去れた電流から得られる夫々の画素における夫々の行導電体の電圧と、前記画素における行導電体の電圧への画素輝度特性の依存とを考慮するように前記目標画素駆動電流を変更するための補償回路を有し、
前記補償回路は、
行の画素により引き出された電流と前記画素の位置での行導電体の電圧との間の関係を表わす前記目標画素駆動電流にアルゴリズムを適用するための手段と、
前記行導電体の電圧への前記画素輝度特性の依存を表わす値を用いて結果として得られる値を調整するための手段とを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の実施例を添付の図を参照して詳細に説明する。
【0035】
本発明は、発光表示素子の配列の画素に入力されるべき画素駆動信号を決定する考え方を提供する。所望の画素輝度レベルに対応する標準的な画素駆動電流の組は、行導電体の電圧変動と、行導電体の電圧への画素輝度特性の依存とを考慮に入れるように変更される。
【0036】
水平方向のクロストークの補正のためのアルゴリズムを導き出すために、以下のステップが取られる。即ち、
‐電源ラインでの電圧降下に関する一般式は、ライン上の画素により引き出された電流の如何なる組合せに対しても得られ、
‐次に、電源ラインでの電圧降下及び画素内の電流源TFTの出力インピーダンスから生ずる電流変化が決定され、
‐データの補正方法が水平方向のクロストークを補償するよう導き出される。
【0037】
以下で、解析は、電源ラインが両端から駆動されると仮定する。しかし、解析がどのような方法でも一端で駆動される行導電体に対して実行されうることが好まれる。
【0038】
この解析において、電源ラインは、行の全ての画素に電流を供給するよう行の両端に電圧源を有する行を有する、と仮定されることができる。最初に、全ての画素は、電源ラインから電流を引き出し、それをOLEDに供給する完璧な電流源を有することが仮定されることできる。そのモデルに対する等価回路は、図3で示される。
【0039】
以下の式、
【0040】
【数11】

は、節点n−1、n及びn+1における電源ラインの電圧に関して、節点nにおける画素に対する電流に関して導き出される。節点間の電源ラインの抵抗はRである。
【0041】
電流I(n)は、これが画素の電流源にプログラム化されているので既知であり、故に、電源ラインの電圧降下を計算するために電圧V(n)について解く必要がある。全ての項を書き出すと、
I(0)R=V−2V(0)+V(1)
I(1)R=V(0)−2V(1)+V(2)



I(N−1)R=V(N−2)−2V(N−1)+V
となる。
【0042】
ここで、V及びVは、電源ラインのいずれかの端での電圧源である。その場合、行列式は、以下の式、
【0043】
【数12】

のように表わされる。ここで、
【0044】
【数13】

及び
【0045】
【数14】

である。
【0046】
電源供給ラインの電圧は、式(2)を反転することにより求められ、即ち、以下の式、
【0047】
【数15】

となる。
【0048】
任意のサイズの行列Mに対して、反転は、標準的な数学的技術により簡単に得られる。具体的には、行列Mは、三行対角行列の対称行列であって、反転は容易に得られる。全ての可能な行列範囲に対して標準的な反転を得るように、僅かに異なって電源供給ラインにおいて電圧及び電流を調べることが可能である。図4は、図3と基本的に同じであるが、電源レールIin及びIoutのいずれかの端において電圧源により供給される電流を示す。
【0049】
節点0,1,2…nの電圧は、以下、
【0050】
【数16】

のように書くことができる。
【0051】
上の連立方程式からIinを削除するために、以下の関係式、
【0052】
【数17】

が使用される。
【0053】
節点N−1における(3a)式に(3b)式を用いると、Iinに関する式は、以下、
【0054】
【数18】

のように得られる。
【0055】
次に、節点nにおける(3a)式に(3c)式を用いると、以下の式、
【0056】
【数19】

が得られる。
【0057】
(3d)式から、以下のベクトル行列式、
【0058】
【数20】

が得られる。ここで、
【0059】
【数21】

及び
【0060】
【数22】

である。
【0061】
合成ベクトルFを与えるようベクトルIに作用する逆行列M−1の結果を導き出すことも有効である。ベクトルFの成分は、以下の式、
【0062】
【数23】

によって与えられる。
【0063】
ベクトルVにおいてM−1の結果を計算すると、以下、
【0064】
【数24】

のような結果が得られる。これは、V=V=VであるときにVに簡単化される。
【0065】
(3)式は、電源ラインの電圧降下に関する必要とされる一般式である。
【0066】
画素の行がアドレス指定されるときに、いくらかの電流が電源ラインを流れる。アドレス指定後、異なる電流が画素回路の動作に従って流れる。
【0067】
異なる画素回路は、当業者にとって明らかであるように、異なるように動作する。
【0068】
一例として、幾つかの画素回路は、補償が駆動トランジスタのエージングに対して実施されるように、閾値電圧の測定動作を実行する。このような回路では、データ電圧が加えられる間に、電流は電源ラインを流れない。即ち、電源ラインでの電圧降下はない。この期間の後で、プログラムされた電流が流れるので、クロストークを引き起こす電源ラインでの電圧降下が存在する。
【0069】
他の例は、整合された電流ミラー回路である。この場合には、二倍のOLED電流がアドレス指定期間に流れ、アドレス指定後にはOLED電流しか流れないので、電流の変化がクロストークを引き起こす。これは、電源ラインでの電圧降下が画素内での電流変化を引き起こすからである。
【0070】
電源ラインの電圧降下と、画素内の電流供給TFTの出力インピーダンスとにより画素の電流変化に関する式を求めるように、我々は単純な図表アプローチを使用する。
【0071】
図5は、TFT及びLEDの特性を示す。TFTの特性曲線は、一定のゲート‐ソース間電圧に関してドレイン電圧(V)に対するドレイン電流(Ids)をプロットする。ドレイン電圧が行電圧に達するときに、ドレイン‐ソース間電圧は零に達する。従って、図5のグラフ中の電圧の増大は、ドレイン‐ソース間電圧の減少に対応し、ドレイン‐ソース間電圧は、曲線がx軸と交差する点で零となる。x軸上のこの点は、電源ラインの行電圧に対応する。
【0072】
TFTの特性の変動は、ゲート‐ソース間電圧が一定のままであると仮定すると、電源ライン電圧の変化の結果である。
【0073】
LEDの特性曲線は、LEDの負荷ラインのプロットであり、任意の電流に対するLED表示素子の陽極電圧を示す。
【0074】
TFTの特性曲線がLEDの特性曲線と交差する場合に、ドレイン/陽極電圧が決められ、電流が流れる。TFTは飽和状態にあるときに有限の出力インピーダンスを有するので、電源ライン電圧の変動は、一定のゲート‐ソース間電圧に対してすら、異なる出力電流を与えるようにTFTの特性を変更する。従って、電源ラインの電圧変化は、ゲート‐ソース間電圧を同じ値に戻すためにゲート電圧の対応する変化により簡単に補正されることができない。
【0075】
図5で示された電流変化の範囲は、陽極/ドレイン電圧の変化及び電流の変化を決定するために更に詳細に調べられる。これは、図6に示される。
【0076】
図6で図表の調査は、電流変化が以下の式、
【0077】
【数25】

によって与えられることを示す。
【0078】
ΔVが図3で示されたLEDの陽極電圧の変化である場合に、微分は、単純に、TFTの特性λ(I)の傾きである。LEDの特性は、ILED=f(V)により与えられるので、LEDの特性を微分することにより、ΔVaが求まる。即ち、
【0079】
【数26】

である。(6)式及び(7)式を用いると、
【0080】
【数27】

となる。
【0081】
電源ラインの初期電圧がアドレス指定電流αIにより引き起こされる場合には、アドレス期間で、以下、
【0082】
【数28】

のような電圧降下が存在する。その場合、アドレス指定の後で電流Iが存在し、電源ラインの電圧降下は、以下、
【0083】
【数29】

のようになる。従って、電源ラインの電圧の差分は、以下、
【0084】
【数30】

のようになる。
【0085】
αの模範値は、変更された電流源及び電圧閾値測定回路に対して零であり、切り替え電流ミラーに対しては1であり(即ち、クロストークは存在しないが、これらの画素回路は大画面には適さない。)、整合された電流ミラー回路に対しては2より大きいか、又は2に等しい。整合されたTFTが駆動TFTよりも幅が広くなる場合に、2よりも大きい場合が生ずる。
【0086】
行の初期電流I(アドレス指定後。)は、ΔVの電圧降下を引き起こす。次に、ΔVの電圧降下は、IをIに変化させる。Iは、電流を変化させる電圧降下を変化させる。以下、同様である。λは非常に小さいと考えられるので、一次近似で十分である。即ち、以下の式、
【0087】
【数31】

となる。
【0088】
以下の項、
【0089】
【数32】

は、対角行列である。
【0090】
電流誤差の補正を実行するには、電源ラインの電圧降下が起こった後でデータ電流Iのどの組が所望の電流Iをもたらすかを決定するために、逆問題を実行する必要がある。この問題を解決するよう、(9)式がIに対して解かれる。問題が存在すると、μ及びλがIに依存するので、これは極めて困難である。従って、更なる近似として、μ及びλが既知の電流Iに依存するとみなすことができる。これは、IとIの間の電流変化が小さい場合に、良好な近似である。(9)式の解は、以下の式、
【0091】
【数33】

となる。
【0092】
(10)式は、TFTのインピーダンス及び電源ラインの電圧降下による水平方向のクロストークに対する解法を表わす。水平方向のクロストークを補正するために必要とされる電流の調整を計算するためのアルゴリズムは、二つのステップを有する。
【0093】
ステップ1: 行Iの所定の電流データは、M−1を計算する。
【0094】
ステップ2: 参照テーブル(LUT)にデータ従属値(1−α)Rλ/(1+λ/μ)を保存し、出力にステップ1の結果を乗じ、次にその結果を初期データから引く。
【0095】
アルゴリズムは、ステップ2の結果をステップ1に戻し、所望の補正が達成されるまで一連のステップに亘って計算することにより、補正された電流の概算を改善するよう繰り返される。しかし、一回で十分であることが分かっている。
【0096】
図7は、補正アルゴリズムの効果を示す。プロット40は、補正が適用されなかったときの、不均一にアドレス指定された明るい画像に対する計算された画素電流(I(n))対画素位置(n)を示す。電源ライン及び画素電流源のインピーダンスの組み合わされた影響により、表示装置の中央で画素電流が極めて減少している。
【0097】
発光は、電流にほぼ比例するので、輝度も同様に減少する。プロット42は、アドレス指定電流のレベルが上述したアルゴリズムを一回適用することにより予め調整されているときの計算された画素電流を示す。明らかなように、結果は、必要とされる水平方向の直線に近い。
【0098】
図7で示されているプロット44は、表示部の中央ブロックのみが上記と同じ輝度でアドレス指定されて、残りは黒(零電流)であるときの計算された画素電流である。この場合には、表示部の中央での画素電流の降下は小さく、クロストークの影響の変化は、矢印46により表わされている。幾つかの表示画像に対して、これらの異なるレベルは、存在するべきではない輝度の急峻な変化を引き起こす。この急峻さは、均一な画層の輝度での滑らかな降下よりもはるかに可視的であり、クロストークが存在するときに留意されるものである。
【0099】
プロット48は、逆にアルゴリズムを一回適用することによりアドレス指定電流レベルを予め調整した結果を示す。補正された両画像に対する表示部の中央での実際の画素電流は、クロストークが可視的でない程に非常に小さくなっている。これらの結果は、提案されたアルゴリズムの有効性を実証する。
【0100】
図8は、絵を用いてこれらクロストークの影響を示す。左側の絵は、望ましい形であり、右側の絵は、これがクロストークの結果として如何に現れうるかを示す。輝度50の可視ステップは、図7の矢印46を参照して説明された効果の結果である。絵の上半分は、均一な明るさの画像であり、絵の下半分は、図7を参照して記述されたステップ画像である。
【0101】
完全のために、上の例で使用されたパラメータは、以下のように決められる。
【0102】
白黒描写
最大輝度 250Cd/m2
効率 5.3Cd/A
開口度 50%
デューティーサイクル 50%
画素ピッチ 144μm
TFT幅 25μm
行の画素数(N) 768
画素毎のライン抵抗 7.2Ω
最大画素電流(I(n)max) 3.9μA
電源電圧(Vp) 15V
本発明の方法は、デジタルデータストリームで動作するICにおいて実施されることが可能である。このハードウェア実施に必要とされる最上位ブロックは、以下で設定される。
【0103】
〔ステップ1: 行Iの所定の電流データは、M−1を計算する。〕
−1の実施は、一般的に、特に大きな画像に対して、極めて計算上費用のかかる計算でありうる。従って、計算を実行する高速な方法が不可欠である。(4)式を見ると、M−1の計算は、以下、
【0104】
【数34】

で示されるような和の式を必要とする。
【0105】
F(n)及びF(n−1)の差を計算することにより、要素F(n)に対する再帰関係は、以下、
【0106】
【数35】

のように求められる。
【0107】
従って、
【0108】
【数36】

となって、故に、再帰関係は、
【0109】
【数37】

と表わされる。ここで、
【0110】
【数38】

である。
【0111】
図9で示されるハードウェアは、この計算を実施するために使用される。図9において、データは、加算器60に入力される。加算器への第二の入力は、ライン上の前のデータ値の連続する和を有するレジスタ62から入力される。このレジスタは、データに夫々のラインの後ろで零となる。和の出力は、レジスタ62に戻され、且つ、そのラインに対する部分的なデータの和の全てを有するラインストア64に送られる。ライン時間の終了時に、部分和のデータが他のラインストア66に並列に送られ、このデータは(12)式の計算で使用される。
【0112】
入力データは、また、乗算器70にも入力される。乗算器70の第二の入力は、ラインの開始時にNから逆に数えるカウンタ72から入力される。乗算器の出力は、加算器74に送られる。加算器74の第二の入力は、乗算器への以前の入力の連続する和を有するレジスタ76から入力される。このレジスタは、ライン時間の開始時に零に設定される。加算器74の出力は、レジスタ76に戻され、且つ、ライン時間の終了時にのみ更新される他のレジスタ78に送られる。このレジスタの出力は、他のレジスタ80に含まれる定数−1/(N+1)を乗じられる。その結果は、他のレジスタ82に保存され、(12)式のF(0)である。
【0113】
ラインストアの部分和データ及びレジスタに保存されたF(0)の値は、ここで、(12)式のF(n)を計算するために使用されることができる。F(0)は、加算器90に送られる。加算器90は、また、ラインストア66の出力を連続的に測定された部分和データを供給される。これらは、F(n−1)を有する他のレジスタ92からのデータと共に足し合わされる。ライン時間の開始時に、このレジスタは零である。和の出力は、このレジスタに戻され、且つ、この計算ブロックの出力でもある。
【0114】
〔ステップ2: 参照テーブル(LUT)にデータ従属値(1−α)Rλ/(1+λ/μ)を保存し、出力にステップ1の結果を乗じ、次に初期データから結果を引く。〕
アルゴリズムの残りの部分は、図2で示されるように実施されることが可能である。
【0115】
入力データは、その入力データ値に対応する(1−α)Rλ/(1+λ/μ)の値を求めるように参照テーブル(LUT)100に送られる。次に、LUTの出力及び入力データは、FIFO102を用いてライン時間だけ遅延される。FIFO102の出力は、乗算器104に入力される。乗算器104は、また、FIFO106により更に一ライン時間だけ遅延された入力データから計算されたF(n)の値を入力される。次に、出力は減算器に送られ、減算器は、出力データを与えるように、この計算された値を入力データから引き算する。次に、このデータは、例えばガンマ補正のような映像処理連鎖全体の範囲内にある他の処理ユニットに送られる。
【0116】
OLEDの特性は温度及び経年により変化するので、このような変化を表わすように新しい値で図10のLUTを更新することも可能である。LUTは、例えば、変更された電流源、整合された電流ミラー等のようなパラメータαにより、あるいは、行の抵抗Rが異なる製品又は異なるTFTの出力インピーダンス特性のために変わる場合に、異なる形式のAMOLED表示部の変更を必要とする。従って、LUTは、アクセス可能であって、更新可能である必要がある。
【0117】
AMOLED表示部は、一般に、配列の外側にある付加的な画素回路で構成される。この付加的な画素回路は、試験目的のために使用される。これらは、図11で示される形状を取り、駆動トランジスタの特性及び行導電体の抵抗の動作を本質的にモデル化しても良い。このような擬似画素回路は、閾値補償の考えの中で使用するために提案されている。このような擬似画素回路の使用は、表示部の寿命に亘ってLUTを自動的に発生させて、更新することを可能にする。
【0118】
図11は、n形トランジスタを有する擬似画素110と、p形トランジスタを有する擬似画素112と、行導電体の特性をモデル化するために使用されうる抵抗114とを示す。夫々の回路は、試験信号が入力され、出力が監視されることを可能にする端子を有する。図11で示されているPCMは、ガラス上にある。アモルファスシリコン回路用のn形回路と、低温ポリシリコン回路用のp形回路とがある。
【0119】
電流の関数としてのTFTの出力インピーダンスは、TFTのゲート‐ソース間電圧を変化させ、回路上の適切なプローブ点から電流及びTFTのドレイン‐ソース間電圧を測定することにより測定されることが可能である。その場合、データの傾きは、λを与えるように必要とされる。同じことが、μを与えるようOLEDに対して達成される。Rは、N個の画素の長さを有する一片の金属を介して電流を送り、一片の電源ライン金属の抵抗を画素の幅で計算するように電圧を測定することにより決められることができる。
【0120】
表示部の形式は、値αに影響を与えうる。この情報の全ては、LUTが表示部の寿命に亘って計算されて、更新されることを可能とする。測定を実行するためのハードウェアは、複雑ではなく、可能ならば、場合により表示駆動チップ内に含まれうる。これらは、LUTを計算し、それを満たすように、測定されたデータを制御チップ内のハードウェアにフィードバックする。
【0121】
上記の画素回路において、電圧アドレス指定型電流源が使用されている。本発明は、電流アドレス指定型画素にも適用可能である。電流アドレス指定型画素は、一般的に、サンプリングされたアドレス指定電流に対応するトランジスタのゲート電圧を蓄える。
【0122】
一つの詳細なアルゴリズムのみが与えられ、幾つかの過程が方法実施を簡単化するために成された。他の過程が異なるアルゴリズムの実施を実現するために成されても良く、本発明は、上述した特定の実施例に限定されない。
【0123】
ハードウェアの実施例は、多数の抵抗及び論理素子を有するように記述された。素子の多く又は全ては、専用の演算処理装置に組み込まれることが可能であり、ハードウェアの実施例は、本発明の補正案を実施する一つの方法に過ぎない。
【0124】
上記の解析は、所望のゲート‐ソース間電圧が画素に印加されると仮定する。従って、変更された電流が計算されたとき、画素を駆動するための所要のゲート‐ソース間電圧は、画素駆動信号を決定するように計算される必要がある(図2の画素構造に対して。)。この計算は、基本的な(一定の)画素モデルを用いて実行されることが可能である。画素に印加されるべきゲート電圧は、所望のゲート‐ソース間電圧を得るために、先と同じく画素での行導電体の電圧を考慮に入れる。従って、変更された目標画素駆動電流自体から画素駆動信号を決定するステップは、画素での行電圧を考慮に入れる。
【0125】
他の変形は、当業者にとって明白である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】従来のアクティブマトリクスLED表示装置を示す。
【図2】図1の表示装置用の従来の画素配置を示す。
【図3】画素電流と行導電体の電圧との間の関係を導き出すために使用される等価回路である。
【図4】図3で調べられた関係に対して逆の関係を導き出すために使用される等価回路である。
【図5】行電圧の変化に応じて画素出力特性を調べるために使用される図である。
【図6】図5の一部を更に詳細に示す図である。
【図7】本発明の方法により得られた改善をグラフを用いて示す。
【図8】本発明の方法により得られた改善を絵を用いて示す。
【図9】本発明の方法の一部を実施するための回路を示す。
【図10】本発明の回路他の部分を実施するための回路を示す。
【図11】本発明の表示装置で使用するための擬似画素回路を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行及び列に配置された発光表示素子の配列の画素に入力されるべき画素駆動信号を決定する方法において、
行の複数の画素は、夫々の行導電体に沿って同時に電流を供給され、
当該方法は、
画素電流‐輝度特性のモデルに基づいて所望の画素輝度レベルに対応する目標画素駆動電流を決定するステップと、
前記複数の画素により前記行導電体から引き出された電流を生ずる夫々の画素における夫々の画素導電体の電圧と、前記画素における行導電体の電圧への前記画素輝度特性の依存とを考慮に入れるよう前記目標画素駆動電流を変更するステップと、
該変更された目標画素駆動電流から画素駆動信号を決定するステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
夫々の画素は、第一の相でプログラムされ、第二の相で駆動され、
前記目標画素駆動電流を変更するステップは、更に、前記第一の相と前記第二の相との間に前記画素により引き出された電流の如何なる差も考慮に入れることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記目標画素駆動電流を変更するステップは、
行の画素により引き出された電流と前記画素の位置での前記行導電体の電圧との間の関係を表わす前記目標画素駆動電流にアルゴリズムを適用するステップと、
前記行導電体の電圧への前記画素輝度特性の依存を表わす値を用いて結果として得られる値を調整するステップとを有することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
アルゴリズムを適用するステップは、以下の式、
【数1】

で表わされる行列Mの反転により画素の行に対して前記目標画素駆動電流のベクトルを乗じるステップを有し、
前記行列Mの行及び列の数が、前記行の画素の数に等しいことを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
夫々の画素は、駆動トランジスタを用いて入力電圧を電流に変換する電流源回路を有し、
前記調整するステップは、前記駆動トランジスタの電圧‐電流特性及び前記発光表示素子の電圧‐電流特性から導き出される項を有する値を用いるステップを有することを特徴とする、請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記調整するステップは、前記行導電体の抵抗から導き出される項を更に有する値を用いるステップを有することを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記調整するステップは、値(1−α)Rλ/(1+λ/μ)を用いるステップを有し、
Rは、隣接する画素間の行導電体の抵抗であり、
λは、前記駆動トランジスタのドレイン‐ソース間電流対ドレイン‐ソース間電圧の傾きであり、
μは、前記表示素子の電流対電圧曲線の傾きであり、
αは、表示中に画素により引き出された電流に対する画素プログラミング相の間に前記画素により引き出された電流の割合であることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
調整のために使用される前記値(1−α)Rλ/(1+λ/μ)は、第一の画素駆動電流の値において前記表示素子の電流対電圧曲線の傾きと、前記駆動トランジスタのドレイン‐ソース間電流対ドレイン‐ソース間電圧の傾きとを使用することを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
行列Mの反転により画素の行に対して前記目標画素駆動電流のベクトルを乗じた結果は、以下の式、
【数2】

で表わされる再帰動作により得られ、
F(n)は、前記行列Mの反転により画素の行に対して前記目標画素駆動電流のベクトルを乗じることにより得られたベクトルのn番目の項であり、F(0)は、一番目の項であり、
I(j)は、行のj番目の画素に対する目標電流であり、一番の画素は、j=0であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項10】
以下の式、
【数3】

が成り立ち、
Nは、前記行の画素の全数であることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
調整のために使用される前記行導電体の電圧への前記画素輝度特性の依存を表わす値は、参照テーブルに保存されることを特徴とする、請求項3乃至10記載の方法。
【請求項12】
前記参照テーブルは、電流値の範囲の値を保存することを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記参照テーブルの値は、モデル化されるべき時間に亘る画素輝度特性の変化を可能とするよう時間とともに更新されることを特徴とする、請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
前記参照テーブルの更新は、表示部の画素補償モジュールの特性の解析に基づいて実行されることを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
順に画素の夫々の行をアドレス指定するステップを有する、行及び列に配置された電流アドレス指定型発光表示素子のアクティブマトリクス配列を駆動する方法において、
画素の夫々の行に対して、
請求項1乃至14のうちいずれか一項記載の方法を用いて前記行の夫々の画素に対して画素駆動信号を決定するステップと、
前記画素の行に対する画素プログラミング相の間に表示部の列に前記画素駆動信号を入力するステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項16】
行及び列で配置された電流アドレス指定型発光表示素子のアクティブマトリクス配列を有する表示装置において、
複数の画素により行導電体から引き出された電流から得られる夫々の画素における夫々の行導電体の電圧と、前記画素における行導電体の電圧への画素輝度特性の依存とを考慮するように前記目標画素駆動電流を変更するための補償回路を有し、
該補償回路は、
行の画素により引き出された電流と前記画素の位置での行導電体の電圧との間の関係を表わす前記目標画素駆動電流にアルゴリズムを適用するための手段と、
前記行導電体の電圧への前記画素輝度特性の依存を表わす値を用いて結果として得られる値を調整するための手段とを有することを特徴とする装置。
【請求項17】
前記アルゴリズムを適用するための手段は、以下の式、
【数4】

で表わされる行列Mの反転により画素の行に対して前記目標画素駆動電流のベクトルの乗算に対応する値を導き出し、
前記行列Mの行及び列の数が、前記行の画素の数に等しいことを特徴とする、請求項16記載の装置。
【請求項18】
夫々の画素は、駆動トランジスタを用いて入力電圧を電流に変換する電流源回路を有し、
前記調整するための手段は、前記駆動トランジスタの電圧‐電流特性及び前記発光表示素子の電圧‐電流特性から導き出される項を有する値を用いることを特徴とする、請求項16又は17記載の装置。
【請求項19】
夫々の画素の前記駆動トランジスタ及び前記発光表示素子は、前記行導電体と共通ラインとの間で直列に置かれていることを特徴とする、請求項18記載の装置。
【請求項20】
電圧の調整は、前記駆動トランジスタのドレイン‐ソース間電圧対ドレイン‐ソース間電流特性から導き出される項を有する値を使用することを特徴とする、請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記調整するための手段は、前記行導電体の抵抗から導き出される項を更に有する値を使用することを特徴とする、請求項18乃至20のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項22】
前記調整するための手段は、値(1−α)Rλ/(1+λ/μ)を使用し、
Rは、隣接する画素間の行導電体の抵抗であり、
λは、前記駆動トランジスタの電流対電圧の傾きであり、
μは、前記表示素子の電流対電圧曲線の傾きであり、
αは、表示中に画素により引き出された電流に対する画素プログラミング相の間に前記画素により引き出された電流の割合であることを特徴とする、請求項21記載の装置。
【請求項23】
前記アルゴリズムを適用するための手段は、以下の式、
【数5】

で表わされる再帰動作により値を導き出し、
F(n)は、前記行列Mの反転により画素の行に対して前記目標画素駆動電流のベクトルを乗じることにより得られたベクトルのn番目の項であり、F(0)は、一番目の項であり、
I(j)は、行のj番目の画素に対する目標電流であり、一番の画素は、j=0であることを特徴とする、請求項17記載の装置。
【請求項24】
以下の式、
【数6】

が成り立ち、
Nは、前記行の画素の全数であることを特徴とする、請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記調整するための手段は、参照テーブルを有することを特徴とする、請求項16乃至24のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項26】
少なくとも一つの画素補償モジュールを更に有し、
該画素補償モジュールの特性の解析に基づいてモデル化されるべき時間に亘る画素輝度特性の変化を可能とるよう前記参照テーブルの値を更新するための手段を更に有することを特徴とする、請求項25記載の装置。
【請求項27】
夫々の行及び列導電体を有する行及び列に配置された電流アドレス指定型発光表示素子のアクティブマトリクス配列を有する表示装置に対して目標画素駆動電流を変更するための補償回路において、
行の画素により引き出された電流と前記画素の位置での前記行導電体の電圧との間の関係を表わす前記目標画素駆動電流にアルゴリズムを適用するための手段と、
前記行導電体の電圧への画素輝度特性の依存を表わす値を用いて結果として得られる値を調整するための手段とを有し、
該調整は、複数の画素により前記行導電体から引き出された電流から得られる夫々の画素における夫々の行導電体の電圧と、前記画素における行導電体の電圧への前記画素輝度特性の依存とを考慮に入れることを特徴とする補償回路。
【請求項28】
アルゴリズムを適用するための手段は、以下の式、
【数7】

で表わされる行列Mの反転により画素の行に対して前記目標画素駆動電流のベクトルの乗算に対応する値を導き出し、
前記行列Mの行及び列の数が、前記行の画素の数に等しいことを特徴とする、請求項27記載の装置。
【請求項29】
前記調整するための手段は、参照テーブルを有することを特徴とする、請求項27又は28記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−520730(P2007−520730A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516571(P2006−516571)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002057
【国際公開番号】WO2004/114273
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】