説明

発光装置および歯科用ハンドピース装置

【課題】様々な電圧で使用されている歯科用ユニットでも照度のバラツキを無くし、更には、LEDの挿入方向を誤って故障することを防止できる発光ダイオード照明部品50およびLEDカップリング220、発光ダイオード照明部品50、接続部品4、および歯科用ハンドピース装置1を提供する。
【解決手段】発光ダイオード素子77と接続端子54とを有する発光ダイオード部51と、前記接続端子54を通じて前記発光ダイオード素子77に供給する電気系を制御する電気制御部56とを備え、前記電気制御部56は、前記発光ダイオード素子77に供給する電流量を制限する定電流ダイオード57,58と、前記発光ダイオード素子77に逆電圧が付与されることを防止するダイオード64とを備えた発光ダイオード照明部品50およびLEDカップリング220。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば歯科診療工具が先端に取り付けられて該歯科診療工具を歯牙に作用させて診療を行うような歯科用ハンドピース装置、および該歯科用ハンドピース装置に用いられる発光装置、発光ダイオード照明部品、接続部品に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用ハンドピース装置は、先端ヘッド部に歯科診療工具(切削工具やスケーラ等)が取付けられ、この工具を歯牙に作用させて診療を行うものである。その為、工具を作動させる為の駆動媒体(エア、水、電気等)が、歯科用ハンドピース装置のハンドピース本体部を通じて工具の駆動体(エアタービン、マイクロモータ、超音波発振器等)に供給されるよう構成されている。
【0003】
詳述すると、歯科用ハンドピース装置は、駆動媒体通路が内装されている可撓性チューブと、このチューブに接続される接続部品と、この接続部品の先側に着脱自在に接続されるハンドピース本体部とにより構成される。
【0004】
前記ハンドピース本体部内には、上記歯科診療工具を作動させる為の駆動媒体を供給する通路が形成されている。前記接続部品には、上記チューブ及びハンドピース本体部を接続した際に、双方の駆動媒体通路を連通する為の駆動媒体連通路が形成されている。また、接続部品に対するハンドピース本体部の接続部は、術者の把持部とされるハンドピース本体部のハンドリング性を考慮して、ハンドピース本体部が軸心回りに回動可能な状態で接続されるように構成されている。
【0005】
このような歯科用ハンドピース装置は、口腔内という暗く狭い領域で歯牙の処置という細かい作業に用いられる。このため、治療目的部位を照らす照明が必要となる。
【0006】
このため、ハンドピースヘッドの首部に診療目的部位を照らすようLEDを配置した接続部材及び歯科用ハンドピース装置が開示されている(特許文献1参照)。この歯科用ハンドピース装置は、ハンドピース本体部の歯科診療工具付近にLEDが設けられ、このLEDによって診療目的部位を照らすものである。そして、このLEDの電線を接続部品(カップリング)との接続部で電源側の電線と電気的に接続する構成が開示されている。
【0007】
また、緑色・赤色・青色のLEDを搭載したフルカラーLEDを光源とする照明機構を備えた歯科用治療器具も開示されている(特許文献2参照)。この歯科用治療器具は、電圧調整回路を備えることで、治療態様によってフルカラーLEDが発光する色合いを変化させることができるとされている。また、この歯科用治療器具のフルカラーLEDランプを使用する接続部品(カップリング)では、従来のハロゲンランプも使用できることも開示されている。
【0008】
他にも、電気回路中に電流制限用素子を使用し、LEDに流す電流を制限してLEDの発熱を防止するLEDランプが開示されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−307248号公報
【特許文献2】特開平7−328032号公報
【特許文献3】特開2003−273404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述した特許文献1記載の歯科用ハンドピース装置は、ハンドピースにLEDが内蔵されているタイプしか使用できない。このため、既存のライトガイドタイプのハンドピースは使用できなくなるという問題点があった。
【0011】
また、特許文献2に記載の歯科用治療器具は、電圧調整回路を使用しており、LEDランプの照度にバラツキが生じるという問題点があった。詳述すると、電圧調整回路を用いると、点灯時点では同じ電圧値であるので電流値も同じになるが、時間が経過すると、LEDの発熱によって流れる電流値が変化する。そして、電流値が変化する結果、照度にバラツキが生じるという問題があった。
【0012】
また、発光するLEDの色によっても発熱の度合いが異なるため、使用中に徐々に色合いが変化していくといった問題点もあった。
更にLEDランプの端子形状も従来のハロゲンランプの端子形状と異なるため、既存の装置で使用することはできないという問題点もあった
また、特許文献3に記載のLEDランプは、高輝度型LEDチップと汎用型LEDチップを使用するために、電流制限用素子を電気回路中に設けて発熱による発光波長変化を抑えることを目的としているものであった。このため、一定の照度を保つために電流制限素子を電気回路中に設けたものではない。
【0013】
他にも、LEDランプを逆方向にしてソケット部に挿入した場合、過大な電圧がLEDランプにかかることで、LEDが壊れるといった問題点もあった。
【0014】
この発明は、上述した問題点に鑑み、様々な電圧で使用されている歯科用ユニットでも照度のバラツキを無くし、更には、LEDの挿入方向を誤って故障することを防止できる発光装置、発光ダイオード照明部品、接続部品、および歯科用ハンドピース装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、歯科用ハンドピース装置に設けられて該歯科用ハンドピース装置の先端側の歯科診療工具近傍を照明可能にする発光装置であって、発光ダイオード素子と電極とを有する発光部と、前記電極を通じて前記発光ダイオード素子に供給する電気系を制御する電気制御部とを備え、前記電気制御部は、前記発光ダイオード素子に供給する電流量を制限する電流制限素子と、前記発光ダイオード素子に逆電圧が付与されることを防止する逆電圧保護素子とを備えた発光装置であることを特徴とする。
【0016】
これにより、発光ダイオード素子に供給される電流を電流制限素子で一定にすることができ、様々な電圧が付与されても発光ダイオード素子の発光色および光度を一定に維持することができる。また、逆電圧保護素子で逆電圧から発光ダイオード素子を保護することができ、プラスマイナスが逆に接続されても発光ダイオード素子が故障することを防止できる。
【0017】
またこの発明は、前記発光装置として機能する発光ダイオード照明部品であって、前記発光部と前記電気制御部とが一体として構成され、前記歯科用ハンドピース装置内のソケットに接続するソケット接続部が設けられた発光ダイオード照明部品とすることができる。
【0018】
これにより、従来の歯科用ハンドピース装置内のソケットに発光ダイオード照明部品を装着して使用することが可能になる。すなわち、本発明の発光ダイオード照明部品は、電圧環境やプラスマイナス逆に接続され得る環境といった種々の環境から発光ダイオード素子を保護できることにより、発光装置としてハロゲンランプが用いられていたような従来の歯科用ハンドピース装置であっても、本発明の発光装置を装着して使用することが可能となる。ハロゲンランプであればプラスマイナスの接続方向に影響がないため、どちら向きにでも装着できるようになっているのが通常であるが、このような構成であるために発光ダイオード素子を用いた発光装置をプラスマイナス逆に装着しても、発光しないだけで故障せず、再度逆に装着しなおすことで問題なく使用できる。また、供給される電流量が適切でなくとも、電流制限素子によって適切な電流量にできるため、発光ダイオード素子の発光色や光度が想定外の状態になることがなく、適切に使用することができる。
【0019】
この発明の態様として、前記電気制御部を配置する基板を備え、前記発光ダイオード素子、前記電気制御部の少なくとも一部、前記基板、および前記ソケット接続部がこの順で物理的に直列配置して固定することができる。
【0020】
前記電気制御部の少なくとも一部は、電流制限素子など電気制御部として設けられる素子のうち比較的大きな素子で構成することが好ましい。
【0021】
この態様により、発光ダイオード照明部品を小形に構成することができる。従って、従来のハロゲンランプなどが用いられていた歯科用ハンドピース装置に対して、そのハロゲンランプが設けられていた小さな空間内に実装することが可能となる。
【0022】
またこの発明は、発光装置を備え、一方にハンドピース本体部が接続されて前記歯科用ハンドピース装置を構成する接続部品であって、前記一方に設けられて前記ハンドピース本体部を着脱自在且つ軸心回りに回動可能に接続する先側接続部と、他方に設けられてチューブが接続される後側接続部と、内部に設けられて前記後側接続部を通じて前記チューブから供給される駆動媒体を前記ハンドピース本体部へ挿通許容する駆動媒体通路とを備え、前記先側接続部の先端側に、前記ハンドピース本体部に設けられた導光体の後端に対向させて前記発光部を取り付けるソケットを備えた接続部品とすることができる。
【0023】
前記駆動媒体は、エア(空気)、水、あるいは電気など、ハンドピース本体部のヘッド部等に設けられる駆動体を駆動する適宜の媒体とすることができる。
これにより、発光装置として発光ダイオード素子を用いた接続部品を提供することができる。
【0024】
この発明の態様として、前記電気制御部は、前記先側接続部より後段側に設けることができる。
前記電気制御部は、整流回路と定電流回路とで構成する、あるいは定電流回路と逆耐圧回路とで構成することができる。
【0025】
この態様により、電気制御部の実装空間を、発光ダイオード照明部品に一体構成するよりも大きくすることができる。すなわち、発光ダイオード照明部品に電気制御部を備える場合、ハンドピース本体部の導光体と対向配置する部分に実装することになるために実装空間が非常に小さくなる。また接続部品の先側接続部は、発光ダイオード素子に電気供給する電線の通路や駆動媒体の通路が密集しており余分な空間が殆どない。このため、実装可能な素子が制限され、整流回路のようにある程度の大きさを有する素子を実装することが困難である。これに対し、電気制御部を先側接続部より後段側に電気制御部を配置することで、電気制御部の実装空間を確保でき、整流回路のように比較的大きな素子を実装することが可能となる。
【0026】
またこの発明は、前記接続部品と、該接続部品の先側接続部に着脱自在且つ軸心回りに回動可能に接続されるハンドピース本体部とよりなる歯科用ハンドピース装置であって、前記ハンドピース本体部は、先端側に設けられて歯科診療工具を取り付ける先端ヘッド部と、内部に設けられて前記歯科診療工具を駆動させる為の駆動媒体の通過を許容する駆動媒体通路と、前記接続部品の発光ダイオード素子からの光を導光して前記先端ヘッド部付近から前記歯科診療工具近傍へ向かって照射する導光体とを備えた歯科用ハンドピース装置とすることができる。
【0027】
これにより、発光装置として発光ダイオード素子を用いた歯科用ハンドピース装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明により、様々な電圧で使用されている歯科用ユニットでも照度のバラツキを無くし、更には、LEDの挿入方向を誤って故障することを防止できる。また、既存のハンドピースを使用している術者に対しても、安価で耐久性のよいLEDの照明を使用してもらうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1の歯科用ハンドピース装置の概略構成を示す側面図。
【図2】歯科用ハンドピース装置の接続部品の一部分解縦断面図。
【図3】発光ダイオード照明部品の構成の説明図。
【図4】発光ダイオード照明部品の回路構成を示すブロック図。
【図5】一部断面側面図に示すように歯科用ハンドピース装置。
【図6】実施例2の接続部品の構成を示す説明図。
【図7】実施例2の接続部品を一部分解した状態のE−E断面図。
【図8】実施例2の接続部品のF−F断面図を。
【図9】実施例2の電気制御部の回路ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0031】
図1は、実施例1の歯科用ハンドピース装置1の概略構成を示す側面図であり、図2は、歯科用ハンドピース装置1の接続部品4の一部分解縦断面図であり、図3は発光ダイオード照明部品50の構成の説明図であり、図4は、発光ダイオード照明部品50の回路構成を示すブロック図である。
【0032】
図1に示すように、歯科用ハンドピース装置1は、主にハンドピース本体部2と接続部品4とにより構成されている。
【0033】
ハンドピース本体部2は、基部(図示下部)から先端部(図示上部)へ向かって徐々に細くなりながら背面側(図示右側)へ若干反り返る略円筒形状に形成されており、その先端(図示上端)にヘッド部10が設けられている。
【0034】
ヘッド部10の内部には、駆動体11が設けられている。この駆動体11は、エアタービンやマイクロモータや超音波発信機など、エアや水や電気といった適宜の駆動媒体により駆動する手段により構成されている。駆動体11がエアタービンの場合、駆動媒体としてエアが供給されると、該エアの圧力によってエアタービンが回転駆動する。駆動体11がマイクロモータの場合、電気が供給されるとマイクロモータが回転駆動する。駆動体11は、ヘッド部10の内部に限らず、ハンドピース本体部2の把持部内に設けられていてもよい。
【0035】
この駆動体11には、回転軸C1に歯科用診療工具12が取り付けられている。この歯科用診療工具12は、ヘッド部10の外側へ突出している。歯科用診療工具12は、切削工具やスケーラーなど、診療(診断や治療)に使用する適宜の工具とすることができる。切削工具の場合は、駆動体11にエアタービンまたはマイクロモータを採用するとよく、スケーラーの場合は、駆動体11に超音波発信機を採用するとよい。
【0036】
ハンドピース本体部2は、基部側に接続リング27が設けられている。この接続リング27は、接続部品4の装着空間84に挿入され、外側の凹面が、接続部品4のボール86に当接して回転可能に装着される。
【0037】
ハンドピース本体部2の基部側内部は、この接続リング27から先端側(図示上方)へ向かって大径円筒面26と小径円筒面25がこの順で配置され、この小径円筒面25と大径円筒面26との内側空間が装着孔28を形成している。装着孔28には、接続部品4の先側接続部4aが挿入される。この先側接続部4aは、小径部4bが小径円筒面25内に挿入され、OリングR1(図2参照)によりシールされる。また、先側接続部4aは、大径部4cが大径円筒面26内に挿入され、OリングR2(図2参照)によりシールされる。
【0038】
ハンドピース本体部2の内部の先端側から中央少し基部側までには、駆動媒体通路21、作業媒体通路22、および導光体23が配置されている。
【0039】
駆動媒体通路21は、チューブ9から接続部品4を介して供給されるエアや電気といった駆動媒体を搬送する通路である。搬送した駆動媒体は、駆動体11に供給される。
【0040】
作業媒体通路22は、チューブ9から接続部品4を介して供給される洗浄用水や冷却エアといった作業媒体を搬送する通路である。搬送した作業媒体は、ヘッド部10の歯科用診療工具12の先端の診療対象部位に向け吐出される。
【0041】
導光体23は、光ファイバーで構成され、基部側端部23bが、装着された接続部品4の発光ダイオード部51の先端と対向して配置されている。この基部側端部23bは、ハンドピース本体部2と接続部品4とが回転する回転軸C2に沿って一直線に形成されている。これにより、発光ダイオード部51から照射された光を効率よく導光できる。
【0042】
また、導光体23の先端側端部23aは、ヘッド部10の歯科用診療工具12近傍位置に設けられている。この先端側端部23aは、歯科用診療工具12の先端付近となる位置へ向かう方向に配置されている。従って、導光体23を通ってきた光は、先端側端部23aから歯科用診療工具12の先端付近へ向かって、回転軸から見て斜めに照射される。
【0043】
接続部品4は、図2に示すように、接続部品本体80と、その先端に装着される発光ダイオード照明部品50と、この発光ダイオード照明部品50を被覆するカバー40とで構成されている。
【0044】
カバー40は、発光ダイオード照明部品50を内部に収容できるサイズの略筒状に形成されている。カバー40の先端は、内側へ向かって傾斜して形成され、その中央に投光孔41が形成されている。この投光孔41から発光ダイオード部51の光が投光される。
【0045】
カバー40の先端部分内側には、圧縮コイルスプリング43が設けられている。この圧縮コイルスプリング43は、カバー40の内周に沿って配置され、先端側がカバー40の先端部分内側の突起42で係止されている。この圧縮コイルスプリング43は、発光ダイオード部51の砲弾形状部52が内側に挿通され、かつ、発光ダイオード部51のフランジ部53が挿通しない大きさに形成されている。これにより、圧縮コイルスプリング43で発光ダイオード照明部品50を付勢でき、衝撃等を和らげて故障防止を図ることができる。
【0046】
カバー40の側面には、熱放射用の換気孔45が設けられている。
カバー40の基部側内面は、ネジ溝47が形成されている。このネジ溝47により、カバー40は、接続部品本体80のソケット装着部81の外面に設けられたねじ山に螺合される。
また、カバー40は、絶縁性を持たせるためにフッ素等の絶縁性部材によるコーティングを行ったり、カバー40自体を樹脂等の絶縁性部材で成形したりしてもよい。
【0047】
発光ダイオード照明部品50は、発光ダイオード部51と基板59と差込部60とで主に構成されている。この発光ダイオード照明部品50は、発光ダイオード部51、定電流ダイオード57,58、基板59、接続端子62がこの順で設けられている。定電流ダイオード57,58は、電流制限素子として機能するものである。また、定電流ダイオード57,58、ダイオード64、および抵抗65により電気制御部56が構成される。
【0048】
接続部品本体80は、主に先側接続部4a、中央部4d、後側接続部4eで構成されている。
先側接続部4aは、基部側に大径部4cが設けられ、先端側に小径部4bが設けられている。
【0049】
小径部4bの先端には、ソケット装着部81が設けられている。ソケット装着部81は、略円筒形状であり、外周にねじ山が設けられている。ソケット装着部81の少し基部側には、シールするためのOリングR1が設けられている。
【0050】
ソケット装着部81の内側には、ソケット70が装着されている。このソケット70は、発光ダイオード照明部品50を取り付ける装着孔72が先端に設けられている。また、ソケット70の形状は、従来のハロゲンランプが装着可能な形状とすることができる。
【0051】
ソケット装着部81の装着孔72が設けられている内壁には、2つの接続端子71が対向配置されている。この接続端子71は、装着された発光ダイオード照明部品50の2つの接続端子62にそれぞれ接触して電気的に接続される。
【0052】
接続部品本体80は、内部に、電線82を通す電線通路99が先端から基端に渡って設けられている。この電線通路99には、プラスとマイナスの2本の電線82が配置されている。また、接続部品本体80は、内部に、駆動媒体通路98(図1参照)と、図示省略する作業媒体通路とが設けられている。
【0053】
駆動媒体通路98は、ハンドピース本体部2の駆動媒体通路21と連通し、チューブ9から送り出されるエアや水や電気といった駆動媒体をハンドピース本体部2のヘッド部10へ供給する。
【0054】
図示省略する作業媒体通路は、ハンドピース本体部2の作業媒体通路22と連通し、チューブ9から送り出される冷却エアや洗浄用水といった媒体をハンドピース本体部2のヘッド部10へ供給する。
【0055】
大径部4cは、小径部4bより半径大の円筒形状に形成されて外周に複数のOリングR2が設けられている。大径部4cの内部には、電線82を通す電線通路99等が設けられている。
【0056】
中央部4dは、大径部4cから続いている円筒形状が途中で半径大となる段差を有し、この段差の大径部4c側に付勢手段88aを介して円筒形の当接緩衝リング88が設けられている。
【0057】
該当接緩衝リング88の外側位置には、略円筒形のボール保持リング87が設けられており。このボール保持リング87のボール保持孔にボール86が保持されている。
【0058】
ボール保持リング87の外側位置には、略円筒形の操作スリーブ85が回転可能に設けられている。
【0059】
この構成を有する中央部4dは、ボール保持リング87に保持されたボール86と接続部品本体80との間に装着空間84が設けられている。この装着空間84にハンドピース本体部2の接続リング27が差し込まれることで、接続部品4にハンドピース本体部2が回転可能に装着される。差し込まれた接続リング27の端部は、当接緩衝リング88に当接する際に付勢手段88aの付勢力によって衝撃が減少される。
【0060】
後側接続部4eは、後端部に底板91が設けられ、この底板91から突出するように冷却エア供給用差込プラグ92、水供給用差込プラグ93、エア供給用差込プラグ94、電気プラグ端子95、エア排気用差込プラグ96が設けられている。
【0061】
図3は、発光ダイオード照明部品50の構造を説明する説明図である。図3(A)は発光ダイオード照明部品50の正面図を示し、図3(B)は発光ダイオード照明部品50の底面図を示し、図3(C)はA−A矢視断面図を示し、図3(D)はB−B矢視断面図を示し、図3(E)はC−C矢視断面図を示し、図3(F)はD−D矢視断面図を示す。
【0062】
発光ダイオード照明部品50は、上述したように発光ダイオード部51と基板59と差込部60とで主に構成されている。
発光ダイオード部51は、図3(C)に示すように、円筒形の一端に球面が設けられた砲弾形状部52と、該砲弾形状部52の他端に設けられた半径大のフランジ部53とが設けられている。
【0063】
該発光ダイオード部51のフランジ部53の周囲は、円筒形の被覆部材55で被覆されている。この被覆部材55は、フランジ部53の高さよりも高く、上端部分がフランジ部53の対応部分としてフランジ部53を被覆している。被覆部材55の後端は基板59で被覆されている。そして、被覆部材55の内側に位置して、前記基板59の上面に定電流ダイオード57,58が設けられている。また、被覆部材55の内側には、発光ダイオード部51の足である接続端子54が設けられている。
【0064】
基板59は、円盤形状の円周部2箇所を平行に切り落とした小判型に形成されている。
【0065】
この基板59の下面には、ダイオード64と抵抗65とが設けられている。ダイオード64は、逆耐圧回路として機能する。また、該基板59の下面から突出して2つの接続端子62が設けられている。この2つの接続端子62は、差込部60の左右両側部に対称に配置されている。
【0066】
差込部60は、樹脂で形成されており、前記接続端子62が側面に配置されている。差込部60の形状は、ソケット70に装着できる凸型の形状に形成されており、ソケット70に装着される従来のハロゲンランプと同寸法に形成されることが好ましい。
【0067】
この発光ダイオード照明部品50は、発光ダイオード部51のフランジ部53と基板59と被覆部材55とで定電流ダイオード57,58を囲む構成となっており、この囲まれた内側が樹脂でモールドされている。
【0068】
図4は、発光ダイオード照明部品50の構成を示すブロック図である。
発光ダイオード照明部品50は、定電流回路75、逆耐圧回路76、および発光ダイオード素子77が接続されている。
定電流回路75は、定電流ダイオード57,58(図4参照)で構成されており、発光ダイオード素子77に付与する電流を一定に安定化させる。これにより、使用される様々な歯科用ユニットによって電圧値が異なっていても発光ダイオード素子77に供給する電流を一定にすることができ、発光ダイオード素子77の発光色や光度を一定に保つことができる。
【0069】
逆耐圧回路76は、ダイオード64(図4参照)により構成されている。この逆耐圧回路76により、発光ダイオード照明部品50がソケット70に対してプラスマイナスが逆に装着されても、逆電流による発光ダイオード素子77の破損を防止できる。プラスマイナスが逆に装着されると、発光ダイオード照明部品50が発光しないため、利用者は、発光ダイオード照明部品50をプラスマイナス逆になるようにソケット70に装着しなすことで、発光ダイオード照明部品50を利用できる。
【0070】
上述した各構成要素を接続することで、図5の一部断面側面図に示すように歯科用ハンドピース装置1が完成する。
すなわち、図2に示した接続部品本体80の先端のソケット70に発光ダイオード照明部品50が装着され、さらにカバー40で被覆されて接続部品4が完成する。そして、図1に示したように、この接続部品4の先側接続部4aがハンドピース本体部2の装着孔28に挿入され、接続リング27が装着空間84に挿入されて該接続リング27の外側凹面にボール86が当接することで、ハンドピース本体部2と接続部品4が相対回転可能に装着される。
【0071】
さらに、歯科用ハンドピース装置1は、接続部品4の後側接続部4eがチューブ9に接続され、該チューブ9を介して図示省略する診療装置から駆動媒体を得て駆動する。駆動媒体としては、エア、水、電気などが供給され、これらの駆動媒体によってヘッド部10の駆動体11が駆動し、歯科用診療工具12を用いた診療が行われる。
【0072】
また、チューブ9から供給される電気が接続部品4の電線82を通じて発光ダイオード照明部品50に供給され、発光ダイオード部51が発光する。発光ダイオード部51の光は、該発光ダイオード部51の先端に対向配置された基部側端部23bから導光体23に入光し、該導光体23を通って先端側端部23aから投光される。この光によって歯科用診療工具12の先端付近が照明され、術者は的確に診療することができる。
【0073】
以上の構成により、様々な電圧で使用されている歯科用ユニットに装着されている歯科用ハンドピース装置1でも照度のバラツキを無くすことができる。
また、発光ダイオード部51に供給される電流を定電流ダイオード57,58で一定にすることができ、様々な電圧が付与されても発光ダイオード部51の発光色および光度を一定に維持することができる。
【0074】
また、ダイオード64で逆電圧から発光ダイオード部51を保護することができ、ソケット70に対してプラスマイナスが逆に接続されても発光ダイオード部51が故障することを防止できる。
【0075】
また、従来の歯科用ハンドピース装置1内のソケット70に発光ダイオード照明部品50を装着して使用することが可能になる。すなわち、発光ダイオード照明部品50は、電圧環境やプラスマイナス逆に接続され得る環境といった種々の環境から発光ダイオード部51を保護できることにより、発光装置としてハロゲンランプが用いられていたような従来の歯科用ハンドピース装置1であっても、本発明の発光ダイオード照明部品50を装着して使用することが可能となり、互換性をもって使用することができる。ハロゲンランプであればプラスマイナスの接続方向に影響がないため、どちら向きにでも装着できるようになっているのが通常であるが、このような構成であるために発光ダイオード部51を用いた発光ダイオード照明部品50をプラスマイナス逆に装着しても、発光しないだけで故障せず、再度逆に装着しなおすことで問題なく使用できる。また、供給される電流量が適切でなくとも、定電流ダイオード57,58によって適切な電流量にできるため、発光ダイオード部51の発光色や光度が想定外の状態になることがなく、適切に使用することができる。
【0076】
また、発光ダイオード照明部品50を小形に構成することができる。従って、従来のハロゲンランプなどが用いられていた歯科用ハンドピース装置1に対して、そのハロゲンランプが設けられていた小さな空間内に実装することが可能となる。
【0077】
また、歯科用ハンドピース装置1は、ソケット70に発光ダイオード照明部品50を装着して使用することができ、またソケット70にハロゲンランプを装着して使用することもできる。
【実施例2】
【0078】
実施例2として、発光ダイオード素子の電気制御部を発光ダイオード照明部品から分離して接続部品に備えた例について説明する。
図6(A)は実施例2の接続部品4の正面図を示し、図6(B)は実施例2の接続部品4の底面図を示し、図7は実施例2の接続部品4を一部分解した状態のE−E断面図を示し、図8は実施例2の接続部品4のF−F断面図を示す。
【0079】
この実施例2の接続部品4は、実施例1の接続部品4と比較して、細部の形状が異なるものの基本構成および構造が同一であるため、同一要素に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、図示では切断箇所の関係で省略されているが、ボール保持リング87はボール86(実施例1参照)を保持しており、当接緩衝リング88は付勢手段88a(実施例1参照)で付勢されている。
【0080】
実施例1の接続部品4と異なる点として、図7に示すように、接続部品本体80の後側接続部4eのあたりに電気制御部収納空間200が設けられ、基板210等が収納されている。また、ソケット装着部81には、実施例1と異なるソケット170が設けられ、実施例1と異なる発光ダイオード照明部品150が装着される。
【0081】
発光ダイオード照明部品150は、発光ダイオード部151とカバー部材155とで主に構成されている。発光ダイオード部151は、基板156の上面に図示省略する発光ダイオード素子が設けられ、その上面に半球形状部152が設けられている。基板156の下面には、2つの接続端子154が突出して設けられている。
【0082】
ソケット170は、整形樹脂内に2つの接続端子171が埋設されている。この接続端子171は、凹型に形成されており、この凹部内に発光ダイオード部151の接続端子154が挿入されて電気的に接続される。
【0083】
電気制御部収納空間200には、電気制御部205が収納されている。概略電気制御部205は、四角形の基板210に、回路素子211〜215が設けられて構成されている。これらの回路素子211〜215は、整流回路や定電流回路を構成する電子素子であり、ダイオードやコンデンサや抵抗等で構成されている。
【0084】
図9は、発光装置として機能する実施例2のLEDカップリング220の回路構成を示すブロック図である。
LEDカップリング220は、整流回路221、定電流回路222、および発光ダイオード素子77が接続されている。整流回路221と定電流回路222は、電気制御部205(図7参照)に設けられており、発光ダイオード素子77は、発光ダイオード照明部品150(図7参照)に設けられている。
【0085】
整流回路221は、供給される交流電流を直流に整流して発光ダイオード素子77に供給する。この整流回路221は、半波整流回路または全波整流回路とすることができるが、全波整流回路とすることが好ましい。この整流回路221により、発光ダイオード照明部品150がソケット170に対してプラスマイナスどちら向きに接続されても、逆電流による発光ダイオード素子77の破損を防止し、かつ、正しく点灯させることができる。このため、利用者は、プラスマイナスを意識せずに発光ダイオード照明部品150をソケット170に装着して使用できる。
【0086】
定電流回路222は、発光ダイオード素子77に付与する電流を一定に安定化させる。これにより、使用される様々な歯科用ユニットによって電圧値が異なっていても発光ダイオード素子77に供給する電流を一定にすることができ、発光ダイオード素子77の発光色や光度を一定に保つことができる。
【0087】
以上の構成により、電気制御部205の実装空間を、実施例1のように発光ダイオード照明部品50(図2参照)に一体構成するよりも大きくすることができる。
【0088】
すなわち、発光ダイオード照明部品50に電気制御部205を備えようとする場合、ハンドピース本体部2(図1参照)の導光体23(図1参照)と対向配置する部分に実装することになるために実装空間が非常に小さくなる。また接続部品4の先側接続部4aは、発光ダイオード部51に電気供給する電線の通路や駆動媒体の通路が密集しており余分な空間が殆どない。このため、実装可能な素子が制限され、整流回路221のようにある程度の大きさを有する素子を実装することが困難である。このため実施例1では、逆耐圧回路76(図4参照)を備えるに留めていた。
【0089】
これに対し、実施例2のように先側接続部4aより後段側に電気制御部205を配置することで、電気制御部205の実装空間を広く確保でき、整流回路221のように比較的大きな素子を実装することが可能となる。
【0090】
また、整流回路221を備えることで、ソケット170に対して発光ダイオード照明部品150を電気的にプラスマイナスどちらに接続しても点灯させることができ、利便性が向上する。
【0091】
また、発光ダイオード照明部品150に設けられている電気回路が発光ダイオード部151だけであり、電気制御部205を構成する回路素子211〜215が接続部品4に設けられているため、LEDのランプ切れ交換を安価に行うことができる。すなわち、LEDのランプ切れ交換の際、回路素子211〜215を交換する必要がなく、発光ダイオード部151が設けられた発光ダイオード照明部品150を交換するだけで済むため、容易かつ安価に交換できる。
【0092】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の先側接続部より後段側は、実施形態の接続部品4の中央部4dおよび後側接続部4eに対応し、
以下同様に、
先端ヘッド部は、ヘッド部10に対応し、
導光体の後端は、基部側端部23bに対応し、
発光装置は、発光ダイオード照明部品50およびLEDカップリング220に対応し、
発光部は、発光ダイオード部51,151に対応し、
電極は、接続端子54に対応し、
電気制御部の少なくとも一部は、定電流ダイオード57,58に対応し、
ソケット接続部は、差込部60に対応し、
電流制限素子は、定電流回路75,222に対応し、
逆電圧保護素子は、逆耐圧回路76および整流回路221に対応し、
駆動媒体は、水、エア、電気に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
この発明は、歯科用の診療に用いられるハンドピースをはじめとして、様々なハンドピースに利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1…歯科用ハンドピース装置、2…ハンドピース本体部、4…接続部品、4a…先側接続部、4e…後側接続部、4d…中央部、9…チューブ、10…ヘッド部、12…歯科用診療工具、23…導光体、23b…基部側端部、50…発光ダイオード照明部品、51,151…発光ダイオード部、54…接続端子、56,205…電気制御部、57,58…定電流ダイオード、59…基板、60…差込部、70…ソケット、75,222…定電流回路、76…逆耐圧回路、77…発光ダイオード素子、98…駆動媒体通路、99…電線通路、170…ソケット、220…LEDカップリング、221…整流回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用ハンドピース装置に設けられて該歯科用ハンドピース装置の先端側の歯科診療工具近傍を照明可能にする発光装置であって、
発光ダイオード素子と電極とを有する発光部と、
前記電極を通じて前記発光ダイオード素子に供給する電気系を制御する電気制御部とを備え、
前記電気制御部は、
前記発光ダイオード素子に供給する電流量を制限する電流制限素子と、
前記発光ダイオード素子に逆電圧が付与されることを防止する逆電圧保護素子とを備えた
発光装置。
【請求項2】
請求項1記載の発光装置として機能する発光ダイオード照明部品であって、
前記発光部と前記電気制御部とが一体として構成され、
前記歯科用ハンドピース装置内のソケットに接続するソケット接続部が設けられた
発光ダイオード照明部品。
【請求項3】
前記電気制御部を配置する基板を備え、
前記発光ダイオード素子、前記電気制御部の少なくとも一部、前記基板、および前記ソケット接続部がこの順で物理的に直列配置して固定された
請求項2記載の発光ダイオード照明部品。
【請求項4】
請求項1記載の発光装置を備え、一方にハンドピース本体部が接続されて前記歯科用ハンドピース装置を構成する接続部品であって、
前記一方に設けられて前記ハンドピース本体部を着脱自在且つ軸心回りに回動可能に接続する先側接続部と、
他方に設けられてチューブが接続される後側接続部と、
内部に設けられて前記後側接続部を通じて前記チューブから供給される駆動媒体を前記ハンドピース本体部へ挿通許容する駆動媒体通路とを備え、
前記先側接続部の先端側に、前記ハンドピース本体部に設けられた導光体の後端に対向させて前記発光部を取り付けるソケットを備えた
接続部品。
【請求項5】
前記電気制御部は、前記先側接続部より後段側に設けられた
請求項4記載の接続部品
【請求項6】
請求項4または5に記載の接続部品と、該接続部品の先側接続部に着脱自在且つ軸心回りに回動可能に接続されるハンドピース本体部とよりなる歯科用ハンドピース装置であって、
前記ハンドピース本体部は、
先端側に設けられて歯科診療工具を取り付ける先端ヘッド部と、
内部に設けられて前記歯科診療工具を駆動させる為の駆動媒体の通過を許容する駆動媒体通路と、
前記接続部品の発光ダイオード素子からの光を導光して前記先端ヘッド部付近から前記歯科診療工具近傍へ向かって照射する導光体とを備えた
歯科用ハンドピース装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−130860(P2011−130860A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291579(P2009−291579)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】