説明

発光装置および照明器具

【課題】
半導体発光素子を光源とし、水分や塵埃などが溜まりにくい放熱板を有する発光装置およびこの発光装置を具備する照明器具を提供する。
【解決手段】
発光装置1は、半導体発光素子8を有する発光体2と、一端側3aに他端側3bよりも大きい径大部13を有し、この径大部13に発光体2が設けられ、他端側3bに口金40を有する外郭部材3と、外郭部材3内に収容され、口金40を介して給電されて動作し、半導体発光素子8を点灯する点灯装置4と、外郭部材3の外周に沿って周溝52が形成されるように外郭部材3の外面3dに設けられた放熱板5とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、半導体発光素子を光源とし、半導体発光素子の放射光を照明に利用する発光装置およびこの発光装置を具備する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化や環境保全等に対する一対策として、消費電力が小さく、長寿命であるLED電球が一般白熱電球や電球形蛍光ランプに替えて使用されている。当該LED電球は、屋内照明に限らず、例えば水銀ランプに替えて屋外照明にも使用されている(例えば非特許文献1参照。)。そして、屋外用のLED電球は、LEDモジュール(発光体)を覆うカバーが例えば防水パッキンを介して筐体(外郭部材)に取り付けられている。
【0003】
また、LED電球は、所望の光量を得るために、多数個のLEDが実装されたLEDモジュールが用いられているものがある。このため、LEDモジュールが取り付けられる筐体の一端側は、口金が取り付けられる他端側よりも径大部に形成されている。そして、LED電球には、筐体の外面側に、口金側から径大部に達する放熱フィンが周方向に略等間隔で取り付けられているものがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】岩崎電気(株)LEDランプ,電球工業会報,社団法人日本電球工業会,2011年1月,No.517季刊号,p59
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
屋外用のLED電球は、重力方向に対して横向き方向または下向き方向に取り付けられると、放熱フィン間および筐体の径大部により形成される凹部に雨水や塵埃などが溜まることがある。これにより、筐体の外面および放熱フィンの放熱面が実質的に減少し、放熱性が低下するという問題がある。
【0006】
本実施形態は、半導体発光素子を光源とし、水分や塵埃などが溜まりにくい放熱板を有する発光装置およびこの発光装置を具備する照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の発光装置は、半導体発光素子を有する発光体、外郭部材、点灯装置および放熱板を有して構成される。
【0008】
外郭部材は、その一端側に他端側よりも大きい径大部を有するように形成される。そして、外郭部材は、その径大部に発光体が設けられ、その他端側に口金を有してなる。
【0009】
点灯装置は、外郭部材内に収容される。そして、点灯装置は、外郭部材の口金を介して給電されて動作し、半導体発光素子を点灯するように形成される。
【0010】
放熱板は、外郭部材の外周に沿って周溝が形成されるように、外郭部材の外面に設けられる。
【発明の効果】
【0011】
本実施形態によれば、外郭部材の外周に沿って周溝が形成されるように外郭部材の外面に設けられた放熱板を備えるので、発光装置が重力方向に対して水平ないし傾斜して取り付けられたときに、周溝内に侵入した雨水や塵埃などを外郭部材の外面や放熱板のそれぞれの重力方向における下側に導いて下方側(地面側)空間に落下させることができ、これにより、雨水や塵埃などにより外郭部材の外面および放熱板のそれぞれの放熱面が覆われなくなって放熱性能が損なわれることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す発光装置の概略側面図である。
【図2】同じく、発光装置の概略側断面図である。
【図3】同じく、外郭部材への包囲体の取付けを示し、(a)は係止凸部による取付状態の概略部分拡大側断面図、(b)はねじによる取付状態の概略部分拡大側断面図である。
【図4】同じく、発光装置の包囲体を取り外した状態の概略正面図である。
【図5】同じく、発光装置の包囲体の概略下面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す発光装置の概略側面図である。
【図7】同じく、発光装置の概略側断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態を示す照明器具の一部切り欠き概略側面図である。
【図9】同じく、照射方向を可変した照明器具の一部切り欠き概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0015】
本発明の第1の実施形態の発光装置1は、図1ないし図5に示すように構成される。図2において、発光装置1は、電球用ソケットに着脱されるLED電球であり、発光体2、外郭部材3、点灯装置4、放熱板5および包囲体6を有して構成されている。
【0016】
発光体2は、基板7、半導体発光素子としての複数個のLEDベアチップ8および封止樹脂9を有して形成されている。基板7は、例えばアルミニウム(Al)の金属板からなり、外形が例えば正四角形に形成されている。LEDベアチップ8は、例えば青色光を発光するものであり、COB(Chip On board)方式によって基板7に実装されている。
【0017】
すなわち、発光体2は、複数個のLEDベアチップ8が基板7の一面7a側に図示しない高熱伝導性を有する絶縁層を介してマトリックス状に実装され、LEDベアチップ8を包囲して例えばシリコーン樹脂からなる土手10が設けられている。そして、土手10内にLEDベアチップ8を覆って封止する例えばシリコーン樹脂などの封止樹脂9が充填されている。封止樹脂9には、LEDベアチップ8からの青色光の一部により励起されて黄色光を放射する黄色蛍光体11が混入されている。
【0018】
基板7の一面7a側には、雌コネクタ12が実装されている。この雌コネクタ12は、図示しない配線パターンによりLEDベアチップ8に電気接続されている。複数個のLEDベアチップ8は、例えば列毎に、直列接続されている。発光体2は、封止樹脂9の表面が発光部2aとなり、この発光部2aから青色光および黄色光が混合した白色光を放射する。
【0019】
なお、基板7は、ガラスエポキシ材や紙フェノール材などの樹脂材で形成されてもよく、そのものが絶縁性を有するセラミック板などで形成してもよい。
【0020】
外郭部材3は、高熱伝導率を有する金属材料例えばアルミニウム(Al)からなり、一端側3aに他端側3bの外形または外径よりも大きい略円筒状の径大部13を有する断面略T形の柱状体に形成されている。径大部13の外周面13aよりも幾分内側の底面13bには、2段の環状座14,15を有する周壁部16が突出形成されている。環状座14、15のそれぞれの内面は、同一面であり、周壁部16の内面16bとなっている。そして、環状座15は、その外径が環状座14よりも幾分小さくなるように形成されている。径大部13の底面13bは、発光体2の取付け面となっている。なお、外郭部材3は、熱伝導性の良好な樹脂またはセラミックなどで形成されてもよい。
【0021】
そして、図3に示すように、環状座14の外面14aには、底面13bと同一面を有する環状溝17が径大部13の外周面13aに沿うとともに設定の深さで形成されている。また、環状座15の外面15aには、環状座14の上面14cと同一面を有する環状溝18が径大部13の外周面13aに沿うとともに所定の深さで形成されている。環状溝17には、包囲体6の後述する係止凸部55が挿入され、環状溝18には、防水パッキン19が嵌め込まれている。
【0022】
また、図4に示すように、環状座14には、周壁部16の環状の中心16cに対して120°間隔で、その上面14cから環状溝17に達する所定長の切り欠き部20が形成されている。さらに、環状座14には、前記中心16cに対して1つの切り欠き部20と略180°となる位置に、その上面14cから環状溝17に達する切り欠き部21が形成されている。切り欠き部21の全長は、切り欠き部20の所定長の1/2程度となっている。切り欠き部20,21のそれぞれの外面14aからの深さは、環状溝17の深さと同一となっている。切り欠き部21には、ねじ孔22が形成されている。図2に示すように、ねじ孔22には、包囲体6を介してねじ23が螺着される。
【0023】
外郭部材3には、他端側端面3cから一端側3aに向かって略円柱状の挿入孔24が形成されている。この挿入孔24の底面24aは、径大部13の底面13bと平行であって底面13bとの間で一定の肉厚を有している。そして、底面24aには、底面13bに貫通する円柱状の貫通孔25が形成され、底面13bには、貫通孔25に連通する長方形状の凹部26が形成されている。
【0024】
そして、図4に示すように、底面13bには、絶縁紙27を介して発光体2が取り付けられている。絶縁紙27は、例えば電気絶縁性のシリコーン樹脂からなり、基板7よりも幾分大きい正四角形に形成されている。基板7および絶縁紙27のそれぞれの4隅側には、ねじ28が挿通される図示しない孔が設けられている。4個のねじ28が当該孔を挿通して、底面13bに設けられた図示しないねじ孔に螺着されている。これにより、発光体2は、底面13bの中央部に取り付けられている。こうして、外郭部材3は、その径大部13の底面13bに発光体2が取り付けられている。
【0025】
図2において、外郭部材3の挿入孔24には、有底の略円筒状に形成された取付け体29が挿入されて取り付けられている。取付け体29には、口金体30が取り付けられている。取付け体29および口金体30は、それぞれ電気絶縁性を有する合成樹脂例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂により形成されている。
【0026】
取付け体29は、挿入孔24の壁面に密接するとともに、端面29dが外郭部材3の他端側端面3cと同一面となる大きさに形成されている。そして、取付け体29の一端側29aの底面29cには、取付け孔31が設けられており、この取付け孔31に挿入されたねじ32が挿入孔24の底面24aに形成されたねじ孔33に螺着されている。これにより、取付け体29は、外郭部材3に一体に取り付けられている。また、取付け体29の底面29cには、外郭部材3の貫通孔26に連通する連通孔34が設けられている。
【0027】
口金体30は、略逆円錐状に形成された円錐部35およびこの円錐部35の頂部に円柱状に設けられた円柱部36に形成されている。口金体30には、円柱部36の端面36aから円錐部35の端面35aに達する円柱状の貫通孔37が設けられている。そして、円錐部35の端面35aには、環状の突出体38が設けられていて、この突出体38が取付け体29の端面29dに設けられた環状の図示しない凹部に嵌入されている。これにより、口金体30は、取付け体29に取り付けられている。
【0028】
そして、円柱部36の外面には、凸条39が螺旋状に形成されていて、この凸条39に口金40が螺合されている。口金40は、円柱部36の外面にかしめられて固定されている。
【0029】
口金40は、例えばE26形の一般照明電球用のソケットに接続可能なものであり、凸条39に螺合されてかしめられて固定されるシェル部41、このシェル部41の他端側に設けられる絶縁部42およびこの絶縁部42の頂部に設けられるアイレット部43を有して構成されている。口金40と外郭部材3は、口金体30の円錐部35により電気絶縁されている。こうして、外郭部材3は、その他端側3bに口金体30により口金40を有している。
【0030】
そして、取付け体29は、その内壁29eに、一端側29aの底面29cから他端側29bの端面29dに亘って直線状に凹部44が正対するように一対形成され、さらに凹部44に隣接するガイド凸部45が正対するように一対形成されている。凹部44は、点灯装置4の基板46の幅方向の両端部が圧入される幅に形成されているとともに、薄肉の取付け体29に対して浅く形成されている。ガイド凸部45は、基板46を長手方向に沿わせて案内するものである。
【0031】
なお、外郭部材3は、アルミニウム(Al)などの金属材料に限らず、熱伝導性の良好な樹脂またはセラミックなどで形成されてもよい。
【0032】
点灯装置4は、発光体2のLEDベアチップ8を点灯するものであり、取付け体29の内部に収容されている。すなわち、外郭部材3の内側に収容されている。そして、点灯装置4は、基板46およびこの基板46に実装された電子部品47などの電気部品を有して形成されている。基板46は、ガラスエポキシ材などの合成樹脂板やアルミニウム(Al)などの金属板からなり、長方形に形成されている。金属板の場合、絶縁層が形成されて、電気部品が実装されている。そして、基板46は、取付け体29の一対の凹部44,44(図中、一方のみを示す。)に圧入されて、取付け体29の内側に取り付けられている。点灯装置4は、口金体30を取付け体29に取り付ける前に、取付け体29に取り付けられる。
【0033】
点灯装置4は、その入力側が口金40のシェル部41およびアイレット部43に貫通孔37を通した図示しないリード線で接続され、その出力側が発光体2の基板7に給電線48により接続されている。発光体2の基板7には、雌コネクタ12が設けられ、点灯装置4の基板46には、雌コネクタ49が設けられている。給電線48の両端には、それぞれ雄コネクタ50,51が設けられている。
【0034】
給電線48の雄コネクタ51は、点灯装置4の雌コネクタ49に装着されている。そして、雄コネクタ50は、取付け体29の連通孔34、外郭部材3の貫通孔25および凹部26を挿通して、発光体2の雌コネクタ12に装着されている。雄コネクタ50は、雌コネクタ12に挿入して接続される部品が用いられている。雄コネクタ51は、点灯装置4が取付け体29に取り付けられる前に雌コネクタ49に装着される。そして、給電線48および雄コネクタ50は、発光体2が外郭部材3の径大部13の底面13bに取り付ける前に、連通孔34、貫通孔25および凹部26を挿通させている。こうして、点灯装置4は、口金40と発光体2のLEDベアチップ8に接続されている。そして、口金40を介して給電されて動作し、LEDベアチップ8に所定の定電流を供給してLEDベアチップ8を点灯(発光)するように形成されている。
【0035】
放熱板5は、外郭部材3の金属材料例えばアルミニウム(Al)からなり、所定の肉厚例えば1〜3mmを有する円盤状に形成されている。すなわち、放熱板5は、外郭部材3の外周に亘って外郭部材3を包囲するように外郭部材3の外面3dから放射状に設けられている。ここで、放射状とは、外郭部材3の中心軸と直交する断面の外面3dにおける法線の方向を意味する。そして、放熱板5は、径大部13および口金体30の間に間隔を有して複数個が設けられている。これにより、放熱板5,5の間と、放熱板5および径大部13の間には、外郭部材3の外周に沿って周溝52が形成されている。すなわち、放熱板5は、外郭部材5の外周に沿って周溝52が形成されるように外郭部材3の外面3dに設けられている。放熱板5は、例えば、外郭部材3の外面3dに接着材や溶接などにより取り付けることができる。
【0036】
図1に示すように、放熱板5は、その外径D1が径大部13の外径以下となるように形成されている。ここで、放熱板5は、径大部13(外郭部材3の一端側3a)から口金体30(他端側)に向かうにつれ、その外径D1が漸次小さく又は大きくなるように形成されてもよい。また、放熱板5、一定の間隔で設けられてもよく、あるいは例えば漸次大きくなるように設けられてもよい。また、放熱板5は、円盤状に限らず、正四角形などの多角形や任意の形状に形成されてもよい。
【0037】
図2において、包囲体6は、発光体2を液密に(気密に)覆うように外郭部材3の径大部13に取り付けられるものであり、透光性の樹脂材料例えばポリカーボネート(PC)樹脂により形成されている。すなわち、包囲体6は、膨出部53および環状壁54に成型されている。膨出部53は、外郭部材3の径大部13と同等の外径を有する正面視円形であって、その外面53aおよび内面53bが緩やかな球面に形成されている。
【0038】
環状壁54は、膨出部53の外周側において、その内面53bから周回に亘って垂下している。また、環状壁54は、包囲体6が外郭部材3の径大部13に取り付けられたときに、その外面54aが径大部13の外周面13aとほぼ面一となるように形成されている。図5に示すように、環状壁54は、その下面54cに係止凸部55と、周回に亘って内面54bから所定の深さおよび高さを有する環状段部56と、ねじ23が挿入される切り欠き部57とを有するように切り欠きされている。
【0039】
係止凸部55は、外郭部材3の周壁部16の切り欠き部20に挿入可能な全長に形成されているとともに、その周回方向の両端側が環状溝17に挿入可能に形成されている。すなわち、係止凸部55は、その周回方向の両端側がR面または傾斜面に形成されていて、当該R面または傾斜面が環状溝17に挿入して当接する。係止凸部55は、外郭部材3の3個の切り欠き部20に対応して、周回方向に120°間隔で3個設けられている。
【0040】
環状段部56は、図3に示すように、環状溝18に嵌め込まれた防水パッキン19を環状溝18とともに収容する。防水パッキン19は、例えばシリコーン樹脂からなり、断面円形状のリング体に形成されている。そして、防水パッキン19は、周壁部16の環状溝17に包囲体6の係止凸部55が係止されたときに、環状溝18および環状段差56において、外郭部材3の周壁部16および包囲体6の環状壁54により押圧されて弾性変形し周壁部16および環状壁54に密接するものである。これにより、包囲体6および周壁部16の内部に水分が侵入することが阻止される。すなわち、防水パッキン19は、包囲体6を外郭部材3の径大部13に液密に取り付けるものである。
【0041】
図5において、切り欠き部57は、外郭部材3の切り欠き部21に対応して設けられている。切り欠き部57は、環状壁54の下面54cが外面54aから略長方形に切り込みされているとともに、周壁部16の切り欠き部21に形成されたねじ孔22に螺着されるねじ23が挿入される挿入孔58が形成されている。この挿入孔58は、ねじ23の頭部が係止するように皿状に形成されている。
【0042】
包囲体6は、外郭部材3の切り欠き部21に係止凸部55が挿入されて、この係止凸部55が外郭部材3の径大部13の外側の底面13bに載置される。そして、包囲体6を右回りまたは左回りに回転させると、係止凸部55の周回方向の両端側のR面または傾斜面が環状溝17に挿入される。そして、切り欠き部57の挿入孔58が周壁部16のねじ孔22に正対するように包囲体6の回転を微調整させた後、ねじ23をねじ孔22にねじ込む。これにより、包囲体6は、回転できなくなり、係止凸部55が周壁部16の環状溝17に係止される。そして、周壁部16の環状溝18に嵌め込まれた防水パッキン19が周壁部16および環状壁54に挟まれて弾性変形し、包囲体6の内部および周壁部16の内部を液密にする。このように、包囲体6は、発光体2を液密に覆うように外郭部材3の径大部13に取り付けられている。
【0043】
次に、本発明の第1の実施形態の作用について述べる。
【0044】
発光装置1は、照明器具の電球用ソケットに装着される。そして、口金40に外部電源が給電すると、点灯装置4が動作し、点灯装置4から発光体2の複数個のLEDベアチップ8に所定の定電流(電力)が供給される。複数個のLEDベアチップ8は、点灯(発光)し、発光体2の発光部2aから白色光が放射される。発光体2から放射された白色光は、発光体2を覆っている包囲体6に入射し、包囲体6を透過して包囲体6の前方側に放射される。
【0045】
また、LEDベアチップ8は、点灯に伴って発熱する。この熱は、基板7および絶縁紙27を介して外郭部材3の径大部13に伝熱され、径大部13から円柱状の外面3dに沿って他端側3bに伝熱されるとともに、複数個の放熱板5に伝熱される。これらの伝熱は、基板7、外郭部材3および放熱板5がそれぞれ高熱伝導率を有する金属材料例えばアルミニウム(Al)で形成されていることにより迅速に行われる。そして、熱は、外郭部材3の外面3dおよび放熱板5から外部空間に放出される。これにより、LEDベアチップ8の温度上昇が抑制されるようになり、発光体2が長寿命化される。
【0046】
そして、発光装置1は、例えば包囲体6側が口金体30よりも下側である下向きとなるように屋外の照明器具に取り付けられることがある。このとき、重力方向の上側の周溝52に侵入した雨水や塵埃などは、重力の作用により、重力方向における外郭部材3の外面3dの下側や放熱板5の下側から外部空間の下方側(地面側)に自然落下する。これにより、周溝52内に雨水や塵埃などが溜まることが防止されて、外郭部材3の外面3dや放熱板5の放熱面の放熱性能が損なわれることが防止される。
【0047】
上述したように、本実施形態によれば、外郭部材3の外周に沿って周溝52が形成されるように外郭部材3の外面3dに設けられた放熱板5を備えるので、発光装置1が重力方向に対して例えば傾斜して取り付けられたときに、周溝52内に侵入した雨水や塵埃などを外郭部材3の外面3dや放熱板5のそれぞれの重力方向における下側に導いて下方側(地面側)の外部空間に落下させることができ、これにより、雨水や塵埃などにより外郭部材3の外面3dおよび放熱板5のそれぞれの放熱面が覆われなくなって放熱性能が損なわれないという効果を有する。
【0048】
また、放熱板5は、外郭部材3の外周に亘って設けられた例えば円盤状に形成されているので、放熱面が大きく、これにより、発光体2に発生した熱を迅速に外部空間に放出させることができる。そして、放熱板5は、その外径D1が外郭部材3の径大部13の外径D2以下となるように形成されているので、発光装置1が取り付けられるソケットを有する照明器具を小型に形成可能であるという効果を有する。
【0049】
なお、発光体2は、半導体発光素子としてLEDベアチップ8を用いたが、これに限らず、LEDパッケージを用いて形成してもよい。また、半導体発光素子として、有機エレクトロルミネセンス(EL)素子を用いてもよい。また、半導体発光素子は、基板2を用いることなく、径大部13の底面13bに設けられてもよい。
【0050】
また、点灯装置4は、外郭部材3に収容したが、少なくともその一部が口金40に収容されるようにしてもよい。
【0051】
そして、外郭部材3の他端側3bに取り付けられる口金は、E形口金に限らず、GX53形やG23等であってもよい。
【0052】
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
【0053】
図6および図7は、本発明の第2の実施携帯を示し、図6は発光装置の概略側面図、図7は発光装置の概略側断面図である。なお、図1および図2と同一部分および同一部分に相当する部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0054】
図7に示す発光装置60は、図2に示す発光装置1において、外郭部材3および取付体29がそれぞれ外郭部材3Aおよび取付体29Aに形成されている。外郭部材3Aは、径大部13を除く外郭部材3部分が円錐台状に形成されている。取付体29Aは、外郭部材3Aの内面に沿う円錐台状に形成されている。放熱板5は、外郭部材3が円錐台状に形成されていることにより、口金体30よりも径大部13側に設けられる放熱面が大きくなっている。
【0055】
発光装置60は、屋外の照明器具に例えば下向きとなるように取り付けられると、重力方向の上側の周溝52内に侵入した雨水や塵埃などが、重力の作用により、主として放熱板5の表面に沿って放熱板5の重力方向の下側に移動していく。そして、当該放熱板5の下側から外部空間の下方側(地面側)に自然落下する。これにより、周溝52内に雨水や塵埃などが溜まることが防止されて、外郭部材3Aの外面3dや放熱板5の放熱面のそれぞれの放熱性能が損なわれることが抑制される。
【0056】
上述したように、本実施形態によれば、外面3dが円錐台状に形成された外郭部材3Aの外周に沿って周溝52が形成されるように外郭部材3Aの外面3dに設けられた放熱板5を備えるので、発光装置60が重力方向に対して傾斜して取り付けられたときに、周溝52内に侵入した雨水や塵埃などを外郭部材3Aの外面3dや放熱板5のそれぞれの重力方向における下側に導いて下方側(地面側)の外部空間に落下させることができ、これにより、雨水や塵埃などにより外郭部材3Aの外面3dおよび放熱板5のそれぞれの放熱面が覆われなくなって放熱性能が損なわれないという効果を有する。
【0057】
また、放熱板5は、外郭部材3Aの径大部13側の放熱面が大きくなるので、径大部13に設けられている発光体2からの熱をより迅速に外部空間に放出させることができるという効果を有する。
【0058】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0059】
図8および図9は、本発明の第3の実施形態を示し、図8は照明器具の一部切り欠き概略側面図、図9は照射方向を可変した照明器具の一部切り欠き概略側面図である。なお、図1と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0060】
図8に示す照明器具62は、屋外に設置される投光器であり、図1に示す発光装置1、器具本体63、接手64および接続金具65を有して構成されている。器具本体63は、例えばアルミダイキャストにより略カップ状に形成されている。そして、器具本体63は、その内部にソケットとしての電球用ソケット66を配設し、その開口部63bに例えば黒色のシリコーン樹脂からなる防水パッキン67を設けている。器具本体63の外面63aは、例えばポリエステル粉体塗装により白色に形成されている。そして、器具本体63は、接手64に回転可能に取り付けられている。
【0061】
接手64は、例えばアルミダイキャストにより形成され、ボルト68を介して器具本体63を取り付けている。すなわち、ボルト68に螺着されている蝶ナット69を緩めると、ボルト68を回転軸として、器具本体63を自由自在に回転することができて、器具本体63の向きを可変できる。そして、蝶ナット69を完全に締め付けると、器具本体63を可変した向きの状態で接手64に固定できる。接手64の外面64aは、例えばポリエステル粉体により白色塗装されている。そして、接手64は、接続金具65に取り付けられている。
【0062】
接続金具65は、例えばアルミダイキャストにより、中空を有する略コーン状に形成されているとともに、下端側にフランジ部65a、上端側に略円筒部65bを有している。接続金具65は、建物などの取付け台69に固定されている。すなわち、接続金具65は、フランジ部65aに設けられた取付け孔70を介して図示しないボルトが取付け台69にねじ込まれている。そして、接続金具65の上端側の略円筒部65bが接手64に挿入されて、接手64のねじ71により押し当てられて固定されている。
【0063】
接続金具65の内部には、電球用ソケット66に接続されている電気コード72が接手64側から導入されている。電気コード72は、取付け台69内に配線されて外部電源に接続されている。接続金具65の外面65cは、例えばポリエステル粉体塗装により、赤色または白色に形成されている。
【0064】
こうして、器具本体63は、接手64および接続金具65により取付け台69に取り付けられているとともに、その内部の電球用ソケット66が外部電源に接続されている。
【0065】
そして、電球用ソケット66には、発光装置1の口金40(図示しない。)が完全に螺着されて接続されている。このとき、発光装置1の口金体30の外面30aは、器具本体63に設けられた防水パッキン67に密接している。これにより、口金体30の外面30aから器具本体63の内部に雨水などの水分や塵埃などが侵入しなくなっている。
【0066】
そして、器具本体63は、発光装置1が下方側(地面側)を照明するように、下向きに取り付けられている。電気コード72を介して電球用ソケット66に外部電源が供給されると、発光装置1から白色光が放射される。白色光は、発光装置1よりも下方側(地面側)を照明する。
【0067】
雨天時、発光装置1の口金体30の外面30aに降った雨水には、当該外面30aに沿って口金40側に流れるものがある。この口金40側に流れる雨水は、器具本体63の開口部63bに設けられている防水パッキン67によりせき止められて、重力の作用により円錐状の外面30aに沿って地面側に流れて、口金体30から地面側に自然落下していく。こうして、器具本体63内に水分が侵入することが防止される。
【0068】
また、発光装置1の径大部13の外面13aおよび包囲体6の外面6aに降った雨水は、周壁部16の環状溝18に嵌め込まれている防水パッキン19(図示しない。)により包囲体6内に侵入することが阻止されて、地面側に自然落下していく。
【0069】
そして、地面と反対側の上方側の放熱板5および外郭部材3の外面3dに降った雨水は、発光装置1が下方側(地面側)を向く下向きとなっているので、重力の作用により、放熱板5の表面および外郭部材3の外面3dに沿って、それらの重力方向における下側に移動していく。そして、放熱板5および外郭部材3の外面3dの下側から地面側に自然落下していく。こうして、雨水は、周溝52内に溜まらないものである。
【0070】
また、周溝52内に侵入した塵埃なども、風や気流により、雨水の場合と同様にして、発光装置1の外部空間に放出される。また、当該塵埃などは、雨天時、雨水により流されるものである。
【0071】
そして、図9に示すように、発光装置1は、器具本体63に横向きに取り付けられていても、地面と反対側の上方側の放熱板5および外郭部材3の外面3dに降った雨水は、重力の作用により、重力方向における放熱板の下側および外郭部材3の外面3dの下側から地面側に自然落下していくものである。
【0072】
また、発光装置1は、器具本体63に上向きに取り付けられると、外郭部材3の外面3dおよび放熱板5に降った雨水は、放熱板5から地面側に自然落下していくとともに、口金体30側に流れた雨水は、口金体30の外面30aから地面側に自然落下していくものである。
【0073】
上述したように、本実施形態の照明器具62は、雨水や塵埃などが周溝52内に溜まることが防止され、外郭部材3の外面3dおよび放熱板5の放熱面のそれぞれの放熱性能が損なわれない発光装置1を具備するので、発光装置1が長寿命化されることにより、メンテナンス作業を極力少なくすることができて省力化を図ることができるという効果を有する。
【0074】
なお、本実施形態の発光装置1は、屋外用の照明器具に限らず、屋内用の照明器具に用いてもよいものである。
【符号の説明】
【0075】
1,60…発光装置としてのLED電球、 2…発光体、 3,3A…外郭部材、 4…点灯装置、 5…放熱板、 6…包囲体、 7…基板、 8…半導体発光素子としてのLEDベアチップ、 13…径大部、 40…口金、 52…周溝、 62…照明器具、 63…器具本体、 66…ソケットとしての電球用ソケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子を有する発光体と;
一端側に他端側よりも大きい径大部を有し、この径大部に前記発光体が設けられ、他端側に口金を有する外郭部材と;
この外郭部材内に収容され、前記口金を介して給電されて動作し、前記半導体発光素子を点灯する点灯装置と;
前記外郭部材の外周に沿って周溝が形成されるように前記外郭部材の外面に設けられた放熱板と;
を具備していることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記放熱板は、その外径が前記径大部の外径以下となるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の発光装置と;
この発光装置の口金が接続されるソケットを有する器具本体と;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−160285(P2012−160285A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17792(P2011−17792)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】