説明

発光装置

【課題】笠部材の内部があたかも透明材で満たされている印象を看者に与えることのできる発光装置を提供する。
【解決手段】発光部2を覆い、所定方向について一端から他端へ向かって拡がり、他端に開口部31を有し、外面及び内面が湾曲し所定方向について一端から他端へ向かって肉厚が増すよう形成された透明な笠部材3を備え、外部から笠部材3の内面形状を視認し難いようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部及びこの発光部を覆う笠部材を有する発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発光装置として、略おわん状に開口した透明材料製の笠部材としてのセードの内側に光源を有してなる照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、この照明器具は、セードの内側に、光源からの光を入射させるセードの軸方向と略平行の入射面と、入射面に直交し連設させたセード外面からの反射光を出射させる内出射面と、をもった複数の内リブを並設させる、と記載されている。そして、セードの外側には、入射面からの光を略全反射させるよう外面に略沿う傾斜反射面と、傾斜反射面に連設させたセードの軸方向と略直交するその傾斜反射面からの反射光をセードの軸方向に向け出射させる外出射面とをもった複数の外リブを並設させる、と記載されている。
【特許文献1】特開2003−132718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に記載の照明器具では、笠部材の内面に上記内リブを形成するとともに外面に上記外リブを形成しているため、外部から視認した際に笠部材の内面が目立ち、看者は笠部材の内部が空洞であることを一見して認識することができる。
【0004】
本発明の課題は、笠部材の内部があたかも透明材で満たされている印象を看者に与えることのできる発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、発光部と、前記発光部を覆い、所定方向について一端から他端へ向かって拡がり、他端に開口部を有し、外面及び内面が湾曲し前記所定方向について一端から他端へ向かって肉厚が増すよう形成された透明な笠部材と、を備える発光装置が提供される。
【0006】
上記発光装置において、前記笠部材は、お椀状に形成されることが好ましい。
【0007】
上記発光装置において、前記笠部材は、前記外面及び前記内面が断面放物線状に形成されていることが好ましい。
【0008】
上記発光装置において、前記笠部材の他端を閉塞する透光性の閉塞部材を有することが好ましい。
【0009】
上記発光装置において、前記閉塞部材は、前記笠部材に対して着脱自在であることが好ましい。
【0010】
上記発光装置において、前記発光部は、透明な導光体と、前記導光体に埋設される発光素子と、を有することが好ましい。
【0011】
上記発光装置において、前記発光素子に電力を供給する配線を備え、前記発光部は、前記配線に対して着脱自在であることが好ましい。
【0012】
上記発光装置において、前記導光体は、多面体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、笠部材の内部があたかも透明材で満たされている印象を看者に与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1から図4は本発明の一実施形態を示し、図1は発光装置の外観斜視図である。尚、説明の都合上、各図において笠部材の内面を実線で示しているが、屈折等の作用により、実際には外部から笠部材の内面を視認し難いようになっている。
【0015】
図1に示すように、発光装置1は、LED21を有する発光部2と、この発光部2を覆い上端から下端へ向かって拡がる透明な笠部材3と、を備えている。笠部材3は他端側に形成される開口部31を有し、発光装置1はこの開口部31を閉塞する閉塞部材4を備えている。また、発光装置1は、LED素子21に電力を供給するための配線5と、配線5を覆い笠部材3の配線孔32に挿入されるガイド部材6とを備えている。
【0016】
図2は発光装置の分解斜視図である。
図2に示すように、発光部2は、LED21と、このLED21が出射した光を外部へ導く導光体22と、を有する。導光体22は、透明材からなり、LED素子21の樹脂封止部を受容する受容穴23を有する。導光体21は、複数の頂点が中心部から一定の距離となる多面体であり、上端に受容穴23が形成される。本実施形態においては、導光体22は、全ての面が正三角形をなし、各面を上下、左右及び前後の各方向について対称に配置した48面体である。導光体22は、例えば、アクリル樹脂等の透明な樹脂、ガラス等の透明な無機材料等により作製することができる。本実施形態においては、導光体22は、屈折率が1.4〜1.7である。尚、導光体22の形状は任意であるが、球体に対して、所定のカットを施したものが好ましい。
【0017】
LED21は、いわゆる砲弾型のLEDであり、所定方向へ平行に延びる一対のリード電極24と、各リード電極24の先端に形成されLED素子が封止される樹脂封止部25と、を有する。本実施形態においては、LED素子は、例えばGaAs系の材料からなり、橙色の光を発する。尚、LED素子の材料及び発光色はGaAs系及び橙色に限定されるものではなく、例えば材料がGaN系で発光色が青色等であってもよい。青色のLED素子を用いた場合に、樹脂封止部25に蛍光体を含有させることによって、白色のLED21とすることもできる。
【0018】
図2に示すように、笠部材3は、開口部31を下方としたお椀状に形成され、上部にガイド部材6を挿通し上下に延びる配線孔32を有する。笠部材3は、例えば、アクリル樹脂等の透明な樹脂、ガラス等の透明な無機材料等により作製することができる。本実施形態においては、笠部材3は、屈折率が1.4〜1.7である。また、笠部材3の内部は、屈折率が1.0の空気により満たされている。開口部31は平面視にて円形を呈し、配線孔32は上面視にて円形を呈する。笠部材3は、内面及び外面が湾曲して形成され、具体的に上端における肉厚は19mm、下端における肉厚は2mmとなっている。このように、笠部材3は、上端側から下端側へ向かって肉厚が薄くなるよう形成されている。笠部材3の内面下端側には、閉塞部材4と係合する複数の係合穴33が形成される。本実施形態においては、笠部材3の内面に計3つの係合穴33が周方向に等間隔に形成されている。
【0019】
図2に示すように、閉塞部材4は、円板状に形成され、透光性を有し、白色を呈する。閉塞部材4は、例えば、アクリル樹脂等の半透明な白色の樹脂、ガラス等の半透明な白色の無機材料等により作製することができる。閉塞部材4が透光性を有することから、看者は、発光部2から発せられた光が閉塞部材4に映し出される像を、閉塞部材4を通じて視認することができる。閉塞部材4の外周には、周方向に3つの突出部41が形成され、各突出部41が笠部材3の係合穴33にそれぞれ係合する。
【0020】
図3は発光装置の縦断面図である。
図3に示すように、配線5は、下端にLED21の各電極リード24の端部と接続するコネクタ部51を有する。また、配線5は、上端に外部電源と接続されるコネクタ部(図示せず)を有する。配線5は、例えばステンレス鋼からなる被覆材52により被覆され、被覆材52により剛性及び強度が付与されている。本実施形態においては、配線5は、上端に家屋の天井面に配置されたソケットと係合し、発光装置1を天井に吊設するための吊設具として機能している。
【0021】
図3に示すように、ガイド部材6は、円筒状に形成され笠部材3の配線孔32に挿通される円筒部61と、円筒部61の上端と連続的に形成され外面が上方へ向かって縮径する上部62と、円筒部61の下端から周方向外側へ延びる鍔部63と、を有する。ガイド部材6は、例えばABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene共重合合成樹脂)からなり、黒色を呈する。円筒部61は、その外径が笠部材3の配線孔32の内径と等しく、その上下方向寸法が配線孔32の上下方向寸法と等しく形成される。上部62は、笠部材3から上方へ向かって突出する。鍔部63は、笠部材3の内面上部と当接し、これによりガイド部材6は笠部材3に対して位置決めされる。
【0022】
ガイド部材6と発光部2の間にはスペーサ7が設けられる。スペーサ7は、ガイド部材6の鍔部63の下面に当接するとともに、導光体22の上部と当接する。これにより、導光体22がスペーサ7を介して笠部材3に対して位置決めされる。スペーサ7は、正十二角筒状に形成され、導光体22から上方へ突出するLEDの各電極リード24を覆う。尚、スペーサ7は、正十二角筒以外の角筒状であってもよいし、円筒状であってもよい。また、本実施形態においては、スペーサ7は透明材からなるが、スペーサ7は着色された材料であってもよい。スペーサ7は、例えばアクリル樹脂等の樹脂、例えばガラス等の無機材料等によって作製される。
【0023】
以上のように構成された発光装置1では、お椀状に形成された笠部材3が上端側から下端側に向かって肉厚が薄くなるよう形成されていることから、看者が笠部材3を外部から視認した際に、笠部材3の内面形状を視認し難い。これは、笠部材3の空洞部分の気体よりも笠部材3の屈折率が高いことによる。これにより、発光装置1を視認する角度にもよるが、視認する角度によっては、あたかも笠部材3の内部が透明材で満たされている印象を看者に与えることができる。このように、笠部材3の内部が透明材で満たされている印象を看者に与えるので、笠部材3の肉厚が一定である場合に比べ、発光装置1の高級感、無垢感等を飛躍的に向上させることができる。また、笠部材3の内部を空洞とすることにより、発光装置1の軽量化及びコスト低減を図ることができる。
【0024】
また、本実施形態においては、笠部材3の内面及び外面は、ともに放物線形状であるので比較的形状が近似し、さらに表面形状が全体的に急変することなく滑らかに形成されているので、笠部材3の内面がより視認し難いものとなっている。
【0025】
また、本実施形態の発光装置1では、配線5を通じてLED21に電圧を印加すると、導光体22の内側にてLED21が発光する。LED21から出射した光は、導光体22の表面にて反射及び屈折した後、導光体22から笠部材3の内部に放射される。導光体22から放射された光のうち、笠部材3の表面へ入射するものは、透明な笠部材3を通じて発光装置1の外部へ放射される。笠部材3を通じて発光装置1の外部へ放射される当該光は、導光体22の表面にて規則的に反射及び屈折しているので、外部から視認する看者に導光体22そのものが面状に発光している美しい印象を与える。
【0026】
また、導光体22から放射された光のうち、閉塞部材4の上面へ入射するものは、一部が閉塞部材4の上面にて反射し、透明な笠部材3を通じて発光装置1の外部へ放射される。これにより、外部から視認する看者は、閉塞部材4の上面に映し出された光の像を笠部材3を通じて認識することができる。また、閉塞部材4が透光性を有することから、外部から視認する看者は、閉塞部材4の下面側から閉塞部材4に映し出された光の像を認識することができる。
【0027】
図4は発光部が発光している状態の発光装置の下面図である。
図4に発光部2の発光時に閉塞部材4の下面側から視認される光の像の一例を示す。尚、この光の像は、導光体22の表面のカット形状、導光体22の屈折率、笠部材3の内部に充填される気体の屈折率、閉塞部材4の屈折率等により変化する。図4に示すように、閉塞部材4に映し出される像は、導光体22の表面にて反射及び屈折した規則的な幾何学的な像であるので、看者に美しい印象を与えることができる。
【0028】
また、本実施形態の発光装置1によれば、スペーサ7が透明であることから、導光体22が笠部材3の内部で浮いているような印象を看者に与えることができる。ここで、スペーサ7が多角筒状に形成されているので、看者は、スペーサ7の内側に位置するLEDをスペーサ7を通じて視認し難い。
【0029】
また、本実施形態の発光装置1によれば、発光部2が配線5に対して着脱自在に設けられているので、導光体22の形状、材質等が異なる発光部2に交換することにより、閉塞部材4に映し出される光の像を変更することができるし、LED21の発光色、発光強度等が異なる発光部2に交換することにより、閉塞部材4に映し出される光の色、強度等を変更することができ、実用に際して極めて便利である。
【0030】
また、本実施形態の発光装置1によれば、閉塞部材4が笠部材3に対して着脱自在に設けられているので、発光部2の組み付け、交換等を簡単容易に行うことができるし、笠部材3内部、発光部2等の清掃も簡単容易に行うことができ、メンテナンス性が良好である。
【0031】
尚、前記実施形態においては、笠部材3が全体にわたって透明であるものを示したが、例えば図5に示すように、笠部材3の一部の領域に遮光領域134を設けてもよい。図5に示す発光装置101の遮光領域134は、例えば、笠部材3の内面と外面の少なくとも一方に、塗料を塗布すること、金属メッキを施すこと、粗面加工を施すこと等により設けることができる。
【0032】
また、前記実施形態においては、笠部材3がお椀状に形成されたものを示したが、笠部材3の形状はこれに限定されるものではない。笠部材は、所定方向について一端から他端へ向かって拡がり、他端に開口部を有し、外面及び内面が湾曲し前記所定方向について一端から他端へ向かって肉厚が増すよう形成されていれば、その形状は任意である。
【0033】
また、前記実施形態においては、閉塞部材4が白色で透光性の有するものを示したが、閉塞部材4は透光性を有していれば白色以外を呈していても前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、閉塞部材4を透明としてもよいし、閉塞部材4を設けない構成としてもよい。
【0034】
また、前記実施形態においては、導光体22が多面体であるものを示したが、例えば図6に示すように、発光部202の導光体222を球体としてもよい。また、配線5、ガイド部材6及びスペーサ7の形状も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態を示す光源装置の外観斜視図である。
【図2】光源装置の分解斜視図である。
【図3】光源装置の縦断面図である。
【図4】発光部が発光している状態の発光装置の下面図である。
【図5】変形例を示す光源装置の外観斜視図である。
【図6】変形例を示す光源装置の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 発光装置
2 発光部
3 笠部材
4 閉塞部材
5 配線
6 ガイド部材
7 スペーサ
21 LED
22 導光体
23 受容穴
24 電極リード
25 樹脂封止部
31 開口部
32 配線孔
33 係合穴
41 突出部
51 コネクタ
52 被覆材
61 円筒部
62 上部
63 鍔部
101 発光装置
103 笠部材
134 遮光領域
201 発光装置
202 発光部
222 導光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、
前記発光部を覆い、所定方向について一端から他端へ向かって拡がり、他端に開口部を有し、外面及び内面が湾曲し前記所定方向について一端から他端へ向かって肉厚が増すよう形成された透明な笠部材と、を備える発光装置。
【請求項2】
前記笠部材は、お椀状に形成される請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記笠部材は、前記外面及び前記内面が断面放物線状に形成されている請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記笠部材の他端を閉塞する透光性の閉塞部材を有する請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記閉塞部材は、前記笠部材に対して着脱自在である請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記発光部は、
透明な導光体と、
前記導光体に埋設される発光素子と、を有する請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光素子に電力を供給する配線を備え、
前記発光部は、前記配線に対して着脱自在である請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記導光体は、多面体である請求項7に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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