説明

発光装置

【課題】封止材がリフレクタ壁から剥離するかまたは引き離れることを防止することにより、光パターンに悪影響を与えることや、発光を低減または回折させること、あるいはLEDの損傷と装置の故障を避けることができる発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置100は、基材110と、基材から延びるリフレクタ114とを備える。リフレクタは基材と共にキャビティ118を形成する。発光体112はキャビティ内に位置している。実質的にリフレクタの周りで軸方向に延在する少なくとも1個の第1の凹型部がリフレクタに位置している。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発光装置は、典型的には、キャビティに位置している発光ダイオード(LED)を含む。キャビティの壁は、発光装置の効率を増加させるために反射性であってもよい。キャビティは、LEDおよびリフレクタを保護するために、シリコンなどの封止材によって満たされている。
【0002】
封止材は、リフレクタ壁から剥離するか、または、引き離れる傾向がある。剥離が壁の小区域で始まると、剥離は、典型的には急速に進む。剥離された領域は、汚染物質が発光装置に入り、発光装置の効率に不足または減少のいずれかを生じさせるようになる。剥離は、剥離された壁の近くの光パターンに悪影響を与えることがあり、発光を低減または回折させることがある。最終的には、剥離は、LEDまで広がることがあり、LEDへの損傷と、発光装置の故障とを生じさせることがある。
【発明の開示】
【0003】
発光装置100の実施形態の側断面図を図1に示す。以下により詳しく記載されているように、本明細書に記載されている発光装置100は、発光装置100に用いられる封止材が発光装置100内のコンポーネントから剥離、すなわち、剥がれる可能性を低減する装置および方法を使用する。さらに、発光装置100内のコンポーネントが取り外される可能性を低減する装置および方法が本明細書に記載されている。
【0004】
発光装置100は、発光ダイオード(LED)112とリフレクタ114とが搭載されている基材110を含む。LED112は、基材110に電気的に接続されることがある。基板110の近くに位置しているリフレクタ114の一部分は下方部と呼ばれることがある。LED112は、例示のため使用され、LED以外の発光体が本明細書に記載されている発光装置100と共に使用されてもよいことに注意されたい。基材110とリフレクタ114との組み合わせは、LED112が位置しているキャビティ118を形成する。シリコンなどの封止材がキャビティ118に位置し、キャビティ118を充填または実質的に充填する。以下により詳しく記載されているように、封止材は、リフレクタ114と基材110とLED112とに付着する。封止材は、キャビティ118への汚染物質の侵入を防ぐために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】発光装置の実施形態の側断面図である。
【図2】図1の発光装置の平面図である。
【0006】
図1の発光装置100の平面図である図2をさらに参照すると、リフレクタ114は、封止材を保護する多数の凹型部などを有する。これらの凹型部は、リフレクタ114と封止材との間の剥離および剥離の可能性をさらに低減させる。リフレクタ114は、発光装置100の外壁を形成することがある外周壁122を有する。上縁部124は、リフレクタ114の周囲に延在し、発光装置100の最高点を形成することがある。上縁部124の近くにあるリフレクタ114の一部分は上方部と呼ばれることがある。発光装置から放出された光は上方部の近くに位置しているリフレクタ114の開口部から出る。
【0007】
外周壁122の上方部の反対側に、上縁部124から基材110に向かって延在する第1の内壁126がある。第1のプラットフォーム128は、第1の内壁126から延在する。第2の内壁130は、第1のプラットフォーム128から延在する。
【0008】
第1の内壁126と第1のプラットフォーム128と第2の内壁130との組み合わせにより、第1の切り欠き部134を形成する。第1の切り欠き部134は、リフレクタ114の周りで軸方向に延在する。以下により詳しく記載されているように、第1の切り欠き部134は、封止材をキャビティ118内に保持するために役立つ。さらに、第1の切り欠き部134は、剥離が始まるならば、生じることになる剥離の程度を制限する。
【0009】
第2のプラットフォーム138は、第2の内壁130から延在する。傾斜壁140は、第2のプラットフォーム138から延在する。本明細書に記載されている発光装置の実施形態では、傾斜壁140は、発光装置100から放出された光が特定のビームパターンと関連付けられるように、基板110に対してある角度をなしている。
【0010】
第2の切り欠き部146は、傾斜壁140と第3のプラットフォーム148との間に位置している。第2の切り欠き部146は、図2に示されているように、リフレクタ114に沿って、リフレクタ114の周りに延在することがある。キャビティ118の他の部分と同様に、第2の切り欠き部146には封止材が充填されていてもよい。以下により詳しく記載されているように、第2の切り欠き部146は、リフレクタ114と封止材との間の剥離を止めるために役立つ。本明細書に記載されている実施形態では、第3のプラットフォーム148は、基材110の近くに位置している。
【0011】
ここまでは、リフレクタ114は、明確に規定された壁とプラットフォームとを有するものとして説明されている。ある種の実施形態では、壁とプラットフォームとの間の移り変わりは比較的に滑らかであるので、移り変わりの間には、あるとしても、ほとんど縁部は存在しない。
【0012】
本明細書に記載されている発光装置100の実施形態では、ギャップ152がリフレクタ114とLED112との間に存在する。ギャップ152は、電力をLED112に供給するために使用される接点を格納することがある。例示の目的のため、ギャップ152とLED112との間に延在する1本のワイヤボンド154を示す。ワイヤボンド154は、電力または電気信号をLED112に供給することがある。発光装置100のその他の実施形態は、LED112と基材110との間により多くのワイヤが接続されていてもよい。
【0013】
従来型の発光装置は、第1の切り欠き部も第2の切り欠き部も有さない。リフレクタと封止材との間の剥離は、リフレクタの上端の付近で始まり、基材に向かってリフレクタの下方に進むことがある。発光装置の上端の付近での剥離は、発光装置の輝度およびビームパターンに悪影響を与える。剥離は、リフレクタと基材との接合部で始まることもある。いずれの状況においても、剥離は、LEDに広がり、LEDを基材から分離させることがある。その他の状況では、LEDと基材との間のワイヤボンドが破損することがある。
【0014】
本明細書に記載されているリフレクタ114は、剥離を防止するか、または、剥離が始まった後に剥離を止めるために役立つ。剥離がリフレクタ114の上端部または上縁部124の近くで始まるならば、剥離は第1の内壁126の方に伝播するかもしれないが、剥離は第1の切り欠き部134によって止められる。したがって、剥離は、傾斜壁140に向かって進む可能性はない。第1の切り欠き部134は、リフレクタ114に封止材を繋ぎ止めるためにも役立ち、このことが剥離を防止するためにさらに役立つ。同様のことが第2の切り欠き部146の場合に起こる。
【0015】
本明細書では、リフレクタ114は、2個の切り欠き部134および146、すなわち、第1の切り欠き部134と第2の切り欠き部146とを備えるものとして説明されている。リフレクタ114のある種の実施形態は、切り欠き部134および146のうちの一方のみを有することがある。他の実施形態は、封止材を繋ぎ止め、剥離を止めるためにさらに役立つより多数の切り欠き部が設置されていることがある。
【0016】
上述されたリフレクタ114は、封止材の剥離を防止するために役立つ。さらに、LED112は、LEDが基材110から取り除かれることを防止するために、基材110により堅固に固定されることがある。従来型の発光装置では、LEDは、剥離がLEDの付近で起こるならば、基材から分離することがある。さらに、熱応力が基材とLEDとの間の接着を弱めることがある。本明細書に記載されている発光装置100は、LED112を基材110により堅固に締結することによりこれらの問題を解決するために役立つ。
【0017】
LED112を基材110により堅固に取り付けるため、基材110は、LED112の下に位置している接着材を保持するため少なくとも1個の凹型部を有する。本明細書に記載されている実施形態では、基材は、2個の凹型部160または窪み部を有する。凹型部160は、LED112を基材110に接着させるために使用される接着剤を保持するために役立つ。この付加的な接着は、LED112が基材110から取り外されることを防止するために役立つ。したがって、剥離がLED112まで広がるならば、LED112が基材110から取り外される可能性はより低くなる。
【0018】
他の凹型部がLED112の下に含まれていてもよいことに注意されたい。例えば、単一のリングが使用されることもある。別の例では、単一の凹型部が設けられることもある。
【0019】
発光装置100は、実質的には任意の形状であってもよいことにさらに注意されたい。例えば、図2に示されているように実質的に円形であるというよりむしろ、発光装置110およびリフレクタは、長方形、菱形、正方形、または、楕円形として成形されていてもよい。
【0020】
以下においては、本発明の種々の構成要件の組み合わせからなる例示的な実施形態を示す。
1.基材と、
前記基材から延在し、前記基材と共にキャビティを形成するリフレクタと、
前記キャビティに位置している発光体と、
前記リフレクタに位置し、前記リフレクタの周りで実質的に軸方向に延在している少なくとも1個の第1の凹型部と
を備えてなる発光装置。
2.前記キャビティに位置し、前記少なくとも1個の第1の凹型部にも位置している封止材をさらに備える前項1に記載の発光装置。
3.前記リフレクタが上方部および下方部を有し、前記下方部が前記基材の近くに位置し、
前記少なくとも1個の第1の凹型部が前記上方部の近くに位置している前項1に記載の発光装置。
4.前記リフレクタが上方部および下方部を有し、前記下方部が前記基材の近くに位置し、
前記少なくとも1個の第1の凹型部が前記下方部の近くに位置している前項1に記載の発光装置。
5.前記少なくとも1個の第1の凹型部が、前記リフレクタ内に形成された第1の壁および第2の壁によって境界が定められた切り欠き部である前項1に記載の発光装置。
6.前記発光体が前記基材に電気的に接続されている前項1に記載の発光装置。
7.前記リフレクタが前記基材の近くに位置しているプラットフォームに交差する傾斜部を備え、前記少なくとも1個の凹型部が該傾斜部と該プラットフォームとの交差点に位置している前項1に記載の発光装置。
8.前記基材が少なくとも1個の凹型部を備え、前記発光体が前記少なくとも1個の凹型部に位置している前項1に記載の発光装置。
9.前記少なくとも1個の凹型部に位置し、前記発光体を前記基材に接着させるために役立つ接着剤をさらに備える前項8に記載の発光装置。
10.前記リフレクタが、
前記基材に実質的に垂直に延在する第1の壁と、
前記第1の壁から延在する第1のプラットフォームと、
前記第1のプラットフォームから延在し、前記第1の壁と対向し、前記第1の壁との間の空間が前記少なくとも1個の凹型部のうちの1つを構成する第2の壁と、
前記第2の壁から前記発光装置の中心の方に延在する第2のプラットフォームと、
前記第2のプラットフォームから前記基材の方に延在する傾斜部と、
前記基材に位置し、前記傾斜部と交差する第3のプラットフォームと、
を備えており、
前記少なくとも1個の凹型部である第2の凹型部が、前記第3のプラットフォームと前記傾斜部との交点に位置している、前項1に記載の発光装置。
11.基材と、
前記基材から延在し、前記基材と共にキャビティを形成するリフレクタと、
前記キャビティに位置している発光体と、
前記リフレクタに位置し、前記リフレクタの周りで実質的に軸方向に延在する少なくとも1個の第1の凹型部と、
前記発光体の近くで前記基材に位置している少なくとも1個の第2の凹型部と
を備えてなる発光装置。
12.前記少なくとも1個の第2の凹型部に位置し、前記発光体を前記基材に接着させるために役立つ接着剤をさらに備える前項11に記載の発光装置。
13.前記キャビティに位置し、前記少なくとも1個の第1の凹型部にも位置している封止材をさらに備える前項11に記載の発光装置。
14.前記リフレクタが上方部および下方部を有し、前記下方部が前記基材の近くに位置し、
前記少なくとも1個の第1の凹型部が前記上方部の近くに位置している前項11に記載の発光装置。
15.前記リフレクタが上方部および下方部を有し、前記下方部が前記基材の近くに位置し、
前記少なくとも1個の第1の凹型部が前記下方部の近くに位置している前項11に記載の発光装置。
16.前記少なくとも1個の第1の凹型部が、前記リフレクタ内に形成された第1の壁および第2の壁によって境界が定められた切り欠き部である前項11に記載の発光装置。
17.基材と、
前記基材から延在し、前記基材と共にキャビティを形成するリフレクタであって、
前記基材に実質的に垂直に延在する第1の壁と、
前記第1の壁から延在する第1のプラットフォームと、
前記第1のプラットフォームから延在し、前記第1の壁と対向し、前記第1の壁との間の空間が第1の凹型部を構成する第2の壁と、
前記第2の壁から前記発光装置の中心の方に延在する第2のプラットフォームと、
前記第2のプラットフォームから前記基材の方に延在する傾斜部と、
前記基材に位置し、前記傾斜部と交差する第3のプラットフォームと
を備えており、前記第3のプラットフォームと前記傾斜部との交点に第2の凹型部が位置している、リフレクタと、
前記キャビティに位置している発光体と、
前記発光体の近くで前記基材に位置している少なくとも1個の第3の凹型部と
を備えてなる発光装置。
18.前記少なくとも1個の第3の凹型部に位置し、前記発光体を前記基材に接着させるために役立つ接着剤をさらに備える前項17に記載の発光装置。
19.前記キャビティに位置している封止材をさらに備える請求項17に記載の発光装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材から延在し、前記基材と共にキャビティを形成するリフレクタと、
前記キャビティに位置している発光体と、
前記リフレクタに位置し、前記リフレクタの周りで実質的に軸方向に延在している少なくとも1個の第1の凹型部と
を備えてなる発光装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−58765(P2013−58765A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230531(P2012−230531)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【分割の表示】特願2008−232181(P2008−232181)の分割
【原出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(506200186)アバゴ・テクノロジーズ・イーシービーユー・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (154)
【Fターム(参考)】