説明

発券端末装置

【課題】利用者に渡さない券片等の回収・分別を自動で行い、係員等によって別途分別作業を行う必要がない発券端末装置を提供する。
【解決手段】駅などに設置される発券端末装置10は、制御装置101がローラ駆動モータ102,券片カッタ103,搬送路切換部104,磁気記録・読出部105,印字部106,パンチ部107等を制御することで、利用者操作部113を利用者が操作したり、支援センタからの支援を受けて確定した購入きっぷ等を発券する機能を有し、きっぷやカード明細等は前面の挿排口108へ排出して利用者に渡し、機内へ取り込む券片等のうち、カード明細、再製券、残留券はスタッカ搬送路切換部109により処理用搬送路110bへ切り換えて処理用スタッカ112へ搬送し、その他の券片はスタッカ搬送路切換部109により廃棄用搬送路110aへ切り換えて廃棄用スタッカ112へ搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅などの券売場に設置され、利用者が操作することにより指定した券の内容を、発券場とは異なる場所であるシステムセンタに設けられた発券統括制御装置へ問い合わせ、発券統括制御装置からの発券回答に基づき所要情報を券片に印字・記録した券を発行する発券機能を備えた発券端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駅できっぷを購入するために発券端末装置の設置が進んでおり、ネットワークを介してシステムセンタやコールセンタと接続されることで、利用者自ら端末を操作することで指定席の予約を行ったり、コールセンタのオペレータを呼び出して発券操作の支援を受けたりでき、その利便性が高くするような発券システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、発券端末装置として、利用者へ渡さずに機内で回収する排券などを保管しておく回収箱を備えたものもあり(例えば、特許文献2を参照)、この回収箱に貯まった券片等を駅係員等が廃棄するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−50616号公報
【特許文献2】特開2006−293892号公報(第7頁〔0028〕、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載されている発明では、回収する券片を分別せずに回収箱へ保管しているため、近来のようにクレジットカードによるきっぷ購入が可能な発券端末装置で発行した駅側クレジットカード利用控えも同じ回収箱に保管されることとなり、回収箱の券片等を単純に廃棄することができず、回収箱の中身を駅係員等が改めて分別しなければならない。
【0006】
そのため、駅係員等が回収箱の券片等を分別するという煩雑な作業が必要になると共に、分別時にうっかり見落としてクレジットカード利用控えを廃棄してしまう可能性もあり、発券端末装置の利用実態に沿った、効率的で安全な管理が行われているとは言えなかった。
【0007】
そこで、本発明は、利用者に渡さない券片等の回収・分別を自動で行い、係員等によって別途分別作業を行う必要がない発券端末装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、券売場に設置され、利用者が操作することにより指定した券の内容を、発券場とは異なる場所であるシステムセンタに設けられた発券統括制御装置へ問い合わせ、発券統括制御装置からの発券回答に基づき所要情報を券片に印字・記録した券を発行する発券機能を備えた発券端末装置であって、廃棄用に分類される券片等を保管する廃棄用スタッカと、廃棄せずに後処理を要する処理用に分類される券片等を保管する処理用スタッカと、前記廃棄用スタッカもしくは前記処理用スタッカへ搬送路を切り替えるスタッカ搬送路切換部と、利用者へ渡さずに取り込む券片等の分類条件に応じて、前記スタッカ搬送路切換部を制御することにより、券片等を廃棄用スタッカまたは処理用スタッカへ振り分ける搬送制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の発券端末装置において、前記搬送制御手段は、廃棄対象および処理対象の券片種別を予め記憶し、発券統括制御装置からの発券回答に含まれる券種コードに基づいて特定した券片種別から廃棄用スタッカまたは処理用スタッカの振分先を判定するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発券端末装置において、少なくともマイク、スピーカ、カメラを含む操作支援機能を備え、発券場とは異なる場所であるコールセンタにて支援者が操作する支援装置とネットワークを介して接続されることで、支援者の操作支援により利用者が望む券を購入可能とし、前記搬送制御手段は、前記支援装置による支援で指定された券について、発券統括制御装置からの発券回答に含まれる搬送先情報に基づいて、廃棄用スタッカまたは処理用スタッカへ振り分けるようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、前記請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の発券端末装置において、障害発生後に係員が操作することで装置の初期化が行われる回復ボタンと、前記回復ボタンが操作されることで装置が初期化されたとき、障害発生前の状態に復帰するために必要な情報を発券統括制御装置へ問い合わせる回復要求を送信する回復制御手段と、を備え、前記搬送制御手段は、前記回復制御手段からの回復要求に対して発券統括制御装置から発券回答を受けた場合、これを未発行分の再製券と看做し、搬送制御手段へ指示することで処理用スタッカへ振り分けるようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る発明は、前記請求項4に記載の発券端末装置において、前記回復制御手段は、装置内搬送路中に残留している券片があれば、これを障害時の残留券片と看做し、搬送制御手段へ指示することで処理用スタッカへ振り分けるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発券端末装置によれば、券売場に設置され、利用者が操作することにより指定した券の内容を、発券場とは異なる場所であるシステムセンタに設けられた発券統括制御装置へ問い合わせ、発券統括制御装置からの発券回答に基づき所要情報を券片に印字・記録した券を発行する発券機能を備えた発券端末装置であって、廃棄用に分類される券片等を保管する廃棄用スタッカと、廃棄せずに後処理を要する処理用に分類される券片等を保管する処理用スタッカと、前記廃棄用スタッカもしくは前記処理用スタッカへ搬送路を切り替えるスタッカ搬送路切換部と、利用者へ渡さずに取り込む券片等の分類条件に応じて、前記スタッカ搬送路切換部を制御することにより、券片等を廃棄用スタッカまたは処理用スタッカへ振り分ける搬送制御手段と、を備えるので、係員等が廃棄と処理を分別する必要が無くなり、業務の効率化を期せると共に、分別の信頼性も高いものとなる。
【0014】
また、請求項2に係る発券端末装置によれば、前記搬送制御手段は、廃棄対象および処理対象の券片種別を予め記憶し、発券統括制御装置からの発券回答に含まれる券種コードに基づいて特定した券片種別から廃棄用スタッカまたは処理用スタッカの振分先を判定するようにしたので、発券統括制御装置から振分先を指示した発券回答を行う必要がなく、発券統括制御装置側の処理負担を軽減できる。
【0015】
また、請求項3に係る発券端末装置によれば、少なくともマイク、スピーカ、カメラを含む操作支援機能を備え、発券場とは異なる場所であるコールセンタにて支援者が操作する支援装置とネットワークを介して接続されることで、支援者の操作支援により利用者が望む券を購入可能とし、前記搬送制御手段は、前記支援装置による支援で指定された券について、発券統括制御装置からの発券回答に含まれる搬送先情報に基づいて、廃棄用スタッカまたは処理用スタッカへ振り分けるようにしたので、利用者が発券端末装置を操作せずに購入する場合でも、発券端末装置で適切な発券処理を行うことができる。
【0016】
また、請求項4に係る発券端末装置によれば、障害発生後に係員が操作することで装置の初期化が行われる回復ボタンと、前記回復ボタンが操作されることで装置が初期化されたとき、障害発生前の状態に復帰するために必要な情報を発券統括制御装置へ問い合わせる回復要求を送信する回復制御手段と、を備え、前記搬送制御手段は、前記回復制御手段からの回復要求に対して発券統括制御装置から発券回答を受けた場合、これを未発行分の再製券と看做し、搬送制御手段へ指示することで処理用スタッカへ振り分けるようにしたので、発券の途中で障害が発生した場合でも、再製券を処理用スタッカへ搬送し、適切な後処理を行うことができる。
【0017】
また、請求項5に係る発券端末装置によれば、前記回復制御手段は、装置内搬送路中に残留している券片があれば、これを障害時の残留券片と看做し、搬送制御手段へ指示することで処理用スタッカへ振り分けるようにしたので、券片の搬送途中で障害が発生した場合でも、残留券を処理用スタッカへ搬送し、適切な後処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る発券端末装置を含む発券システムの概要を示すシステム構成図である。
【図2】発券システムを用いた利用者への支援による発券過程の説明図である。
【図3】発券端末装置の実装機能を示す概略構成図である。
【図4】発券端末装置の主たる制御を行う制御装置の機能に着目した概略機能ブロック図である。
【図5】発券時における発券端末装置と発券統括制御装置のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る発券端末装置の実施形態を添付図面に基づいて、詳細に説明する。なお、これに先立ち、発券端末装置を含む発券システム全体について詳述する。
【0020】
図1に示すのは、発券システムの実施形態を示す概略構成で、業務データ用ネットワークN1と音声・映像データ用ネットワークN2を介して、発券場である駅1とシステムセンタ2とコールセンタ3が相互に接続されたものである。
【0021】
駅1には、利用者が操作することにより、利用者の指定した券を発行する発券機能と、少なくともマイク、スピーカ、カメラを含む操作支援機能とを備えた発券端末装置10が設置され、きっぷを購入したい利用者が操作できるものである。なお、本実施形態における発券端末装置10は、主たる発券機能を備えたメイン発券装置11と、操作支援機能を備えた音声・映像情報入出力装置12とに分けて、各々別の筐体に収めた構造としたが、両機能を一体に備えた単筐体の装置として構成しても構わない。また、各発券端末装置10には、それぞれの個体を識別できるようにユニークな識別番号が割り振られており、この識別番号を使うことで、発券システム内に含まれる全ての発券端末装置10を特定することが可能となる。
【0022】
メイン発券装置11には、タッチパネル式の表示・操作パネル、きっぷを排出する発券口、購入費用を入れる現金投入口、精算用のクレジットカード等を入れるカード挿排口などを備え、利用者は表示・操作パネルを見ながら操作することで、発券操作の各行程を順次行うことができる。発券に際しては、業務データ用ネットワークN1を介して接続されているシステムセンタ2と交信し、座席指定券の予約可否などの諸情報を受けると共に、決定した発券情報がシステムセンタ2へ送られる。
【0023】
上述したメイン発券装置11と接続されている音声・映像情報入出力装置12は、発券端末装置10を操作している利用者を映す接客カメラ、コールセンタ3のオペレータからの音声が出力されるスピーカ、利用者の声などをコールセンタへ送るためのマイク、提示された申込書や割引証等の紙面を写す書画カメラ、申込書や割引証を回収する申込書回収口などを備える。この音声・映像情報入出力装置12からの入力情報は音声・映像データ用ネットワークN2を介してコールセンタ3へ供給され、その逆にコールセンタ3から供給された音声・映像情報を受け取ることで、コールセンタ3のオペレータからの音声が音声・映像情報入出力装置12のスピーカから出力されるのである。
【0024】
なお、コールセンタ3を呼び出すための機能として、音声・映像情報入出力装置12にオペレータ呼出ボタンを設けているが、本実施形態においては、メイン発券装置11に向かって諸々の操作を行っている利用者の利便性を考慮して、メイン発券装置11の表示・操作パネルのメニュー画面にオペレータ呼出ボタンを設けておき、操作に戸惑った利用者がオペレータ呼出ボタンを押下することでコールセンタ3と接続され、オペレータによる支援を受けられるようにした。
【0025】
一方、駅1とは異なる場所であるシステムセンタ2には、業務データ用ネットワークN1を介して発券端末装置10やコールセンタ3と接続される発券統括制御装置21が設置され、複数の発券端末装置10から多数の予約要求を受けても、きっぷの指定予約が重複することのないように統括的な発券制御を行う。また、この発券統括制御装置21は、後述するコールセンタ3の支援装置30で行われた所定の手続により特定された発券内容の券を、指定された発券端末装置10から発行させる機能を備えるものである。なお、支援装置30から発券端末装置10への支援として実行された内容は、例えば、行程ステータスや接客管理ステータス等を含む行程管理ファイルとして管理する。
【0026】
さらに、このシステムセンタ2には、音声・映像データ用ネットワークN2を介して駅1およびコールセンタ3と接続される接続管理サーバ22を設置してあり、後述するコールセンタ3の予約・発券操作端末装置31および利用者操作支援端末装置32と各駅1の発券端末装置10と接続される。そして、操作支援を必要とする利用者からの求めにより発券端末装置10とコールセンタ3の利用者操作支援端末装置32とを繋ぐと共に、その支援中は、両者の接続状況を監視し、回線の不具合等で接続が切断された場合には、回線接続が維持されている側の回線を切断する等の接続管理を行うものである。また、駅1の発券端末装置10とコールセンタ3の支援装置30との相互接続による支援を行った接客内容(発券した券片の情報や支援履歴等)は、接客完了後に接続管理サーバ22が接客記録として記憶・管理する。
【0027】
駅1とは異なる場所であるコールセンタ3には、発券統括制御装置21と業務データ用ネットワークN1を介して接続され、特定の発券端末装置10で発行させる発券内容を発券統括制御装置21へ指示可能な予約・発券操作端末機能を担う予約・発券操作端末装置31と、駅1の発券端末装置10と音声・映像データ用ネットワークN2を介して接続され、発券端末装置10を使っている利用者の操作支援を行う利用者操作支援機能を担う利用者操作支援端末装置32とを設ける。また、予約・発券操作端末装置31も、音声・映像データ用ネットワークN2を介して、発券端末装置10へ画像を送信することができる。
【0028】
なお、これら予約・発券操作端末装置31と利用者操作支援端末装置32は、一組のセットとして一人のオペレータが使用するものであり、両装置の機能を一体のものと看做す場合は、支援装置30と呼ぶ。また、各支援装置30には個体を特定できるユニークコード(個体識別番号など)が割り振ってあり、前述した駅1の発券端末装置10とコールセンタ3の支援装置30との組み合わせを、システムセンタ2の発券統括制御装置21および接続管理サーバ22にて特定することができるので、操作支援を要求した発券端末装置10とこれに対応中の支援装置30との組み合わせによる行程管理ファイルの生成・管理や接客記録の記憶・管理をシステムセンタ2で行うことができる。
【0029】
次に、上述した発券システムにおいて、駅1に設置された発券端末装置10の利用者を、遠隔地のコールセンタ2にてオペレータが支援するとき、4つの支援方法を採ることができる。以下、この具体的な支援方法について、図2に基づき詳述する。
【0030】
図2(a)に示すのは、オペレータが発券の全行程を代行して行う支援方法である。すなわち、発券端末装置10でオペレータ呼出ボタンが操作され、音声・映像データ用ネットワークN2を介してコールセンタ3の利用者操作支援端末装置32と繋がった後、オペレータと利用者とのやりとりで、発券端末装置10の操作を利用者自身が行うことが非常に困難と判断された場合に、コールセンタ3のオペレータが申込書の内容や利用者からの聞き取りによって予約・発券操作端末装置31を操作し、システムセンタ2の発券統括制御装置21との予約照会などを行い、発券内容が確定すると、システムセンタ2の発券統括制御装置21から駅1の発券端末装置10へ発券指示が行われ、利用者の金銭投入により、発券端末装置10からきっぷが印字されて出てくるのである。
【0031】
このように、コールセンタ3のオペレータが発券の全行程を代行して行う支援方法によれば、不慣れな利用者が発券端末装置10を操作する必要が殆どないので、手慣れたオペレータが発券の各行程を手早く行うことで、その利用者が発券端末装置10で発券されたきっぷを受け取るまでの時間を短縮することができる反面、コールセンタ3のオペレータは適正に切符が発行されるまで利用者の対応に拘束された状態となり、多くの利用者からコールセンタの呼出が行われて全てのオペレータの手が塞がっていた場合には、後続の利用者を長時間待たせることになってしまう。そこで、本実施形態の発券システムにおいては、第2の支援方法として、図2(b)に示すように、予約・発券操作端末装置31を用いて発券操作の全行程を代行せずに、利用者操作支援端末装置32による利用者の熟練度に応じた支援だけを行えるようにしてある。
【0032】
すなわち、発券端末装置10でオペレータ呼出ボタンが操作され、音声・映像データ用ネットワークN2を介してコールセンタ3の利用者操作支援端末装置32と繋がった後、オペレータと利用者とのやりとりで、発券端末装置10の操作を利用者自身が引き続き行えるとオペレータが判断した場合、利用者が行う発券端末装置10の表示・操作パネルの操作を音声によりアシストするものである。例えば、利用者が見ている発券端末装置10の表示・操作パネルと同じ映像が利用者操作支援端末装置32にも表示され、同じ操作パネルを見ながらオペレータが利用者に音声で操作を支援すると、これを聞いた利用者が自ら表示・操作パネルを操作して、発券行程を順次進めて行くことができるのである。
【0033】
このように、駅1の発券端末装置10から利用者の問い合わせ(音声情報)および接客カメラの映像や表示・操作パネルの操作画面等(映像情報)を受けるコールセンタ3の利用者操作支援端末装置32をオペレータ(コールセンタ3の支援者)が操作することにより、利用者操作支援端末装置32を操作するオペレータからの音声を発券端末装置10より出力することで、利用者に対する操作支援を行うようにすれば、操作の一部が分からないためにその後の操作につまずいている利用者に対して、音声による操作支援を行うだけで、利用者本人に発券端末装置10を操作させて発券処理を進めることが可能となり、コールセンタ3のオペレータが予約・発券操作端末装置31を使って発券処理の全行程を代理する場合よりも負担が軽減され、また、支援に要する対応時間も減縮できることから、発券端末装置10の利用者に対して効率の良い支援を行うことができる。
【0034】
上述した音声による操作支援が有効でないとオペレータが判断した場合、予約・発券操作端末装置31から利用者操作支援端末装置32を経由して発券端末装置10へ第1操作支援要求を行い、これを受けた発券端末装置10において第1操作支援要求を受容する(例えば、発券端末装置10の表示・操作パネル上に表示された表示支援開始ボタンを押下する)と、支援表示を発券端末装置10の表示・操作パネルに表示させることが可能な第1操作支援状態に移行できる。この第1操作支援状態においては、例えば、コールセンタ3の利用者操作支援端末装置32に表示されている発券端末装置10の操作画面において、オペレータが自由に操作できる支援表示(例えば、カーソルのようなポインタ表示)を、そのまま実際の発券端末装置10の表示・操作パネルの画面にも表示させることで、利用者に対する操作支援を行うのである。このように、第1操作支援状態に移行すると、第3の支援方法として、支援表示によって注目して欲しい箇所やボタンを指し示すことができるので、音声による支援が有効でなかった利用者に対して、可視的に操作を支援することができ、一層効率の良い利用者支援を実現できる。
【0035】
しかしながら、発券端末装置10を途中まで操作していた利用者からの支援要求に対して、音声や支援表示による操作支援が有効でないとオペレータが判断した場合には、上述したように、オペレータが予約・発券操作端末装置31を操作して、発券の全行程を代行する方法もあるが、発券端末装置10での操作がある程度進んでいたような場合には、これを活かして、この発券端末装置10で続きの発券行程へ進めた方が良い場合もある。そこで、本実施形態の発券システムにおける第4の支援方法は、既に第1操作支援状態となっていることを条件として、予約・発券操作端末装置31から利用者操作支援端末装置32を経由して発券端末装置10へ第2操作支援要求を行い、これを受けた発券端末装置において第2操作支援要求を受容する(例えば、発券端末装置10の表示・操作パネル上に表示された遠隔操作支援開始ボタンを押下する)と、利用者操作支援端末装置32から発券端末装置10の発券機能を直接操作できる第2操作支援状態に移行するのである。
【0036】
このように、利用者操作支援端末装置32からオペレータが発券端末装置10を直接操作できるようにすれば、熟練したオペレータが残りの行程を手早く行うことで、その利用者が発券端末装置10で発券されたきっぷを受け取るまでの時間を短縮することができる。しかも、利用者は発券端末装置10で発券行程が進む様子を見て納得しながら発券処理が実行されてゆくので、コールセンタ3のオペレータが予約・発券操作端末装置31で発券行程を進めて最後に利用者へ提示した発券内容が利用者の要望と違っていたために、改めて発券行程をやり直さなければならないような非効率的な状況になることを未然に防ぐことができ、更に効率の良いものとなる。
【0037】
以上のように、発券端末装置10が含まれる発券システムでは、従来から行われていた予約・発券操作端末装置31による発券操作の全行程を代理する支援方法に加えて、音声により利用者の操作を促す支援方法と、支援表示により利用者の操作を促す支援方法と、利用者が使っている発券端末装置10を利用者操作支援端末装置32から遠隔操作して残りの発券行程を代理して行う支援方法をオペレータの判断で選定することができるので、オペレータによる利用者の支援を効率的に行えるようになる。
【0038】
しかしながら、上述した発券システムは利用者の利便性を高めるために、クレジットカードの利用を可能にすることで、クレジットカードの利用明細を利用者控えと駅側控えを個別に発行し、その排出先も異なることから、発券端末装置10には、高度な券片等の搬送・分別機能が必要となる。特に、廃棄に分類される券片等と廃棄せずに後処理を要する処理用に分類される券片等を同じ場所に保管しておくと、回収後の券片等を駅係員が分別しなければならず、非効率であると共に、分別ミスでクレジット明細を廃棄してしまうようなケースも考えられる。そこで、本実施形態に係る発券端末装置10は、利用者へ渡さずに回収する券片等を、廃棄用と処理用に自動で分別し、異なる保管場所へ搬送する機能を持たせるものとした。
【0039】
また、発券端末装置10の内部に取り込んだ券片等の分別は、上述した端末利用者に対する多様な支援を行える発券システムに対して発券端末装置10を適用した場合にだけ必要になるのではない。接続管理サーバ22や音声・映像データ用ネットワークN2等による支援構成が無く、発券統括制御装置21と接続された発券端末装置10の機能により発券処理を行う公知既存の発券システムにおいても、発券端末装置10の内部に取り込んだ券片等の分別が必要であることから、コールセンタ3の構成を含まない発券システムに対しても、本実施形態の発券端末装置10を適用可能である。
【0040】
図3は、発券端末装置10における券片等の生成機能や搬送機能等を抽出して示した概略構成図であり、例えば、マイクロコンピュータ構成の制御装置101によって、各部が制御される。なお、図示を省略したが、発券端末装置10には、硬貨や紙幣の取扱機能等も有る。
【0041】
発券端末装置10にて券片等を生成する場合、装置内の給紙ロールから引き出された紙片を、ガイドローラや搬送ベルト等により形成される搬送路を介して搬送するように、ローラ駆動モータ102の回転方向や回転速度を制御し、発行する券片等の種別に応じた長さでカットするように券片カッタ103を動作させ、適宜な搬送先へ導くように搬送路切換部104を動作させ、券片等に応じた磁気情報を磁気記録読出部105によって書き込んだり、印字部106により適宜な発券内容を印字したりする。なお、装置内で券片等を取り込む場合は、必要に応じてパンチ部107を作動させ、券片等に穿孔を施す。
【0042】
上記のようにして生成された券片等は、一時保留部を経て挿排口108より排出され、利用者が挿排口108より取り出すことで、券片がきっぷとして利用者の手に渡る。なお、挿排口108へ排出した券片が所定時間経過しても抜き取られなかった場合には、挿排口108より券片を内部へ取り込み、取り忘れ取込部へ搬送して保管しておく。
【0043】
また、長距離切符購入時などに、近距離きっぷとして一般的なエドモンソン券が挿排口108より投入された場合は、磁気記録・読出部105へ搬送して磁気情報を読み取り、搬送路切換部104により流路が切り換え、エドモンソン券保留・退避部まで搬送し、利用者が希望するきっぷの購入処理が完了するまでここに保留しておき、諸々の処理が終わった後、エドモンソン券保留・退避部から装置後方へ搬送し、スタッカ搬送路切換部109により券片等の搬送路を廃棄用搬送路110aに切り換え、廃棄用スタッカ111へ搬送する。
【0044】
ここで、発券端末装置10には、廃棄用スタッカ111とは別に、廃棄せずに後処理を要する処理用に分類される券片等を保管する処理用スタッカ112を設けてあり、スタッカ搬送路切換部109により、券片の搬送先を切り換えることができる。すなわち、廃棄するエドモンソン券を回収する場合は、スタッカ搬送路切換部109によって搬送路を廃棄用搬送路110aへ切り換えることで、エドモンソン券を廃棄用スタッカ111へ送り出すことができるし、後処理が必要な券片等を回収する場合は、スタッカ搬送路切換部109によって搬送路を処理用搬送路110bへ切り換えることで、処理用スタッカ112へ送り出すことができる。
【0045】
例えば、利用者が利用者操作部113を操作し、その支払にクレジットカードを利用する場合、クレジットカード取扱部114に保持されているクレジットカードに基づいてカード発行会社の認証を経た後、利用者にクレジットカード利用明細控えを渡すだけでなく、駅側クレジットカード利用明細控えを印字して駅1の控えとして残す必要がある。このとき、駅側クレジットカード利用明細控えが誤って廃棄されてしまう事がないよう、本実施形態の発券端末装置10においては、内部で生成した駅側クレジットカード利用明細控えを装置後方へ搬送して、スタッカ搬送路切換部109により処理用搬送路110bへ切り換えることで、駅側クレジットカード利用明細控えを処理用スタッカ112へ確実に回収することができる。
【0046】
このように、利用者へ渡さずに、装置内部に回収する券片等の搬送先を廃棄用スタッカ111と処理用スタッカ112の何れにするか、予め設定した分類条件に応じて、その搬送先を切り換えることができるので、駅係員は廃棄用スタッカ111に貯まった券片等の選別を行う必要がなく、処理用スタッカ112に残った券片等のみを処理すれば良い。よって、回収された券片等の選別を行う作業の効率を上げることができるし、誤って駅側クレジットカード利用明細控え等を廃棄してしまうようなミスも防げる。
【0047】
なお、廃棄用スタッカ111と処理用スタッカ112に搬送する券片等の分類条件は特に限定されるものではなく、発券端末装置10が取り扱う券片等の中で、処理用スタッカ112へ回収する券種のみ設定し、それ以外の取込券等は全て廃棄用スタッカ111へ回収するような制御としても良い。処理用スタッカ112へ搬送して、後処理が必要となる券片等として、例えば上述した駅側クレジットカード利用明細控えのほか、再製券(券片搬送時の詰まりなどで発券が完了しなかったために、回復ボタン115を駅係員等が操作して復旧した後に、未完了分として印字・磁気記録した券)、残留券(発券動作中に生じた障害により、回復ボタン115を駅係員等が操作して復旧した後に、券片位置センサ116が搬送路中に残留していることを検知した券)に対して処理用スタッカ112への分類が設定され、処理用スタッカ112への分類条件が設定されていない券片等は、全て廃棄用スタッカ111へ振り分けるのである。廃棄用スタッカ111に振り分ける券片としては、回収するエドモンソン券のほか、回収する大型の乗車券や特急券(85mm幅のマルス券)、回収する定期券(85mm幅のプラスチックカード)などがある。
【0048】
あるいは、廃棄用スタッカ111へ振り分ける分類条件と処理用スタッカ112へ振り分ける分類条件の双方を予め設定しておき、発券統括制御装置21からの発券回答に含まれる券種コードに基づいて特定した券片種別から廃棄用スタッカまたは処理用スタッカの振分先を判定するようにしても良い。また、発券端末装置10で取扱可能な全券片種の振分先を制御できる機能を予め制御装置101に固定的に持たせておくだけでなく、券片種別の追加や削除を管理権限のある者が任意に変更できるようにしておけば、発券システムの変更などに柔軟に対応できる発券端末装置10となる。
【0049】
上述した発券端末装置10において、その発券制御を統括的に行う制御装置101の詳細を図4に示す。
【0050】
タッチパネルや操作ボタンなどの利用者操作部113を介して発券要求が制御装置101へ入力されると、これを要求電文生成手段101aが受け付け、入出力制御部101bを介してシステムセンタ2の発行統括制御装置21へ問い合わせ、その回答を利用者に提示し、購入するきっぷが決まるまでの電文生成を行う。最終的に利用者が購入を選択すると、要求電文生成手段101aから発券統括制御装置21へ発券要求を行うことで、発券統括制御装置21より発券回答が送られ、これを発券回答受信手段101cにて受信し、その回答内容が発券・搬送制御手段101dへ送られ、券片の生成機能と搬送機能を併せ持つ発券・搬送制御手段101dがローラ駆動モータ102、券片カッタ103、搬送路切換部104、磁気記録・読出部105、印字部106、パンチ部107等を適宜なタイミングで制御し、発券統括制御装置21からの発券回答に応じた印字・磁気記録を行って挿排口108へ搬送した券片が利用者に渡されることとなる。
【0051】
また、搬送路中の適所には、複数の券片位置センサ116を設けてあり、発券・搬送制御手段101dは、この券片位置センサ116の検出タイミングやモーターの回転数(搬送距離)に基づいて券片カッタ103、搬送路切換部104、磁気記録・読出部105、印字部106、パンチ部107を作動させる。なお、本実施形態の発券端末装置10が備える制御装置101においては、発券制御機能と搬送制御機能を併せ持つ発券・搬送制御手段101dによって、券片の作製と搬送を統括的に行うものとしたが、発券制御手段と搬送制御手段に分割して構成しても構わない。
【0052】
上記のように、利用者操作部113を使用して発券要求を行った場合、発券統括制御装置21からの発券回答には、その搬送先が前面側(利用者に渡すための挿排口108)か背面側(機内で回収する)か、を示す情報が含まれているものの、搬送先が背面側の場合、廃棄用スタッカ111と処理用スタッカ112のどちらに搬送するかまでは指定されていない。しかしながら、券片等の分類を判別できるように、発券・搬送制御手段101dに分類条件を記憶させてあり、この分類条件に基づいて、適切な搬送先を発券・搬送制御手段101dが自律的に判断できる。例えば、障害時を除く通常の発券時において処理用スタッカ112へ振り分る券片は駅側クレジットカード利用明細控えのみに限定され、クレジットカードを使った購入時の発券順序として、1枚目に駅側クレジットカード利用明細控えを、2枚目に利用者側クレジットカード利用明細控えを、3枚目以降に乗車券等のきっぷを発券して行くものと定められている場合、この発券順に基づいて、発券・搬送制御手段101dが券片の搬送先を適切に判断できるのである。
【0053】
そこで、発券・搬送制御手段101dは、搬送先が背面側のみ指定された第1条件を満たしていた場合には、発券回答に含まれるコードからクレジットカードでの購入か否かの第2条件の成否を判定するため、制御装置101が保持しているクレジット購入のコード一覧と照合する。照合の結果、クレジットカードでの購入という第2条件も満たしていた場合には、受信した発券回答が1枚目のものか否かの第3条件の成否を判定する。
【0054】
すなわち、第1〜第3条件が全て満たされていれば、発券端末装置10を利用者が操作して購入内容が決まった場合、あるいはコールセンタ3からの支援により発券端末装置10を遠隔操作して購入内容が決まった場合で、且つ支払にクレジットカードを使う場合の発券処理であって、その1枚目の発券処理に該当すると、発券・搬送制御手段101dで判断可能となるので、これから作製・搬送する券片が駅側クレジットカード利用明細控えと特定でき、スタッカ搬送路切換部109を制御して処理用搬送路110bへ駅側クレジットカード利用明細控えを搬送することで、その振分先が処理用スタッカ112となる。なお、第2条件および第3条件が満たされていない場合は、スタッカ搬送路切換部109を制御して廃棄用搬送路110aへ搬送し、廃棄用スタッカ111に振り分けることとなる。
【0055】
一方、発券端末装置10から直接購入内容を決めたのではなく、コールセンタ3のオペレータが予約・発券操作端末装置31から発券統括制御装置21へ直接問い合わせることで、購入内容が決められた場合には、発券統括制御装置21からの発券回答内に搬送先は元より廃棄用スタッカ111もしくは処理用スタッカ112の振分先も含ませておくことで、機内に取り込む券片等の振分先を発券・搬送制御手段101dが自律的に判断する必要はなく、指示通りに廃棄用スタッカ111もしくは処理用スタッカ112へ振り分ければ良い。
【0056】
また、通常の発券処理において、処理用スタッカ112へ振り分けるように分類される券種は駅側クレジットカード利用明細控えのみであるが、異常時においては、この限りでない。例えば、搬送異常や装置故障などで、発券端末装置10がエラー停止したような場合、駅係員が障害を取り除いて復旧を試みることとなり、復旧に際して、障害発生前に処理が完了しなかったために発券統括制御装置21から送られる発券回答に基づく再製券や、障害発生時に搬送中であった券片が搬送路中に残留したままとなっている残留券を駅係員が確認する必要があるため、再製券および残留券も処理用スタッカ112へ振り分ける対象となる。
【0057】
例えば、発券端末装置10の故障対応をした駅係員が回復ボタン115を押下すると、回復制御手段101eが機能することで、本体を初期化した後、障害発生前の状態へ復帰するために必要な情報を問い合わせる回復要求を発券統括制御装置21に対して送信し、その回答が発券回答であれば、その発券回答に基づいて作製した券片は再製券と看做し得ることから、回復制御手段101aより発券・搬送制御手段101dへ振分先を指示することで、再製券が処理用スタッカ112へ振り分けられることとなる。また、回復ボタン115が押された初期化後、装置内搬送路中に残留している券片が券片位置センサ116により検知されていれば、それが障害時の残留券片と看做せるので、回復制御手段が回復処理中であることを認識した発券・搬送制御手段101dは、搬送路中に残っている残留券を速やかに処理用スタッカ112へ振り分け、その後の発券処理に備える。
【0058】
なお、駅係員が回復ボタン115を操作して回復制御手段101eが機能するようになったとき、回復制御手段101eはクレジットカード取扱部114に利用者のカードが入っているか否か判断し、クレジットカードが残っていれば異常とみなして、引き続き駅係員の対応処理を促すメッセージを表示し、通常の発券動作ができる状態には復帰しない。これにより、処理用スタッカ112へ振り分けられた再製券や残留券が購入者へ手渡され、クレジットカードを返却して、全ての対応を完了させるように駅係員を促すことができる。無論、回復時の初期化後に何の異常もなければ、発券端末装置10は自動復旧する。
【0059】
次に、具体的な券片の搬送態様について説明する。例えば、図5に示すように、駅1の発券端末装置10からシステムセンタ2の発券統括制御装置21へ発券要求を行い、3枚分の発券回答を受け、3枚の発券が完了したときに券片を利用者に渡す場合において、発券端末制御装置10側で発券内容を把握しているケース(利用者操作部113を利用者が実際に操作したか、或いはコールセンタ2のオペレータによる遠隔操作の支援を受けて、発券内容が決まった場合)での搬送態様と、コールセンタ2のオペレータによる発券操作の全行程を代理する支援を受けて発券内容が決まったために発券端末制御装置10側で発券内容を把握していないケースでの搬送態様を説明する。
【0060】
先ず、発券端末制御装置10側で発券内容を把握しているケースとして、利用者が近距離きっぷであるエドモンソン券を挿排口108より投入して、利用者操作部113を利用者自ら操作して、新たに長距離の乗車券をクレジットカードで購入する場合における券片等の搬送の進行過程を説明する。
【0061】
挿排口108より投入されたエドモンソン券は、磁気記録・読出部105を通過して内容が読み取られ、エドモンソン券保留・退避部へ搬送され、発券処理が完了するまでここに留め置かれる。
【0062】
そして、利用者の操作により乗車券の購入が確定すると、発券端末装置10から発券統括制御装置21へ発券要求が行われ、発券統括制御装置21より1枚目に対する発券回答が送信される。この発券回答が1枚目の回答であり、発券回答に含まれる搬送先が後方であり、発券回答に含まれるコードと制御装置101が保持しているクレジット購入のコード一覧と照合し、クレジットカードでの購入であれば、第1〜第3条件の全てを満たすことから、前述したように、1枚目に作製する券片は駅側クレジットカード利用明細控えと判定できるので、スタッカ搬送路切換部109により処理用搬送路110bへ切り換え、発券端末装置10の後方に設けた処理用スタッカ112へ搬送する。
【0063】
上記のようにして、1枚目の発券処理が完了して発券統括制御装置21へ応答信号を返すと、発券統括制御装置21より2枚目の発券回答が発券端末装置10へ送信される。この2枚目に作製する券片は、利用者側クレジットカード利用明細控えであり、利用者に渡す券片等を一時的に保留しておく一時保留部留め置く。なお、2枚目の発券回答には、搬送先として前側(挿排口108)が指定されていることから、スタッカ搬送路切換部109の切り換え判断を行う必要がないので、発券・搬送制御手段101dが特に判断する条件はない。
【0064】
上記のようにして、2枚目の発券処理が完了して発券統括制御装置21へ応答信号を返すと、発券統括制御装置21より3枚目の発券回答が発券端末装置10へ送信される。この3枚目に作製する券片は、乗車券であり、利用者側クレジットカード利用明細控えと共に一時保留部に一時留め置く。なお、3枚目の発券回答にも、搬送先として前側(挿排口108)が指定されていることから、スタッカ搬送路切換部109の切り換え判断を行う必要がないので、発券・搬送制御手段101dが特に判断する条件はない。
【0065】
そして、3枚目の発券処理が完了して発券統括制御装置21へ応答信号を返した後、一時保留部に保留しておいた利用者側クレジットカード利用明細控えと乗車券が挿排口108より排出され、これを利用者が抜き取ることで、一連の発券処理が終了する。なお、取り忘れ判定時間が経過しても、挿排口108から全ての券片が抜き取られなかった場合、取り忘れと判断して、利用者側クレジットカード利用明細控えと乗車券を内部へ引き込み、内部に設けた取り忘れ取込部へ搬送して保管する。
【0066】
一方、挿排口108より利用者側クレジットカード利用明細控えと乗車券を利用者が抜き取って、一連の発券処理が完了したら、最初に取り込んでエドモンソン券保留・退避部に退避しておいたエドモンソン券を装置後方へ搬送し、スタッカ搬送路切換部109により廃棄用搬送路110aへ切り換え、廃棄用スタッカ111へエドモンソン券を搬送して保管する。
【0067】
このように、発券端末装置10では、発券統括制御装置21からの発券回答と自律的判断によって、駅側クレジットカード利用明細控えを処理用スタッカ112へ、発券開始時に投入されたエドモンソン券を廃棄用スタッカ111へ適切に振り分けることができるのである。
【0068】
一方、発券端末装置10の操作支援機能を用いてコールセンタ3のオペレータによる支援を受け、オペレータが利用者の要望に応じたきっぷの手配を代理で行った場合、やはり、発券統括制御装置21からの発券回答に基づいて発券端末装置10で券片を作製するのであるが、オペレータが様々な種別のきっぷを組み合わせて発券することもあり、クレジット購入時には1枚目に駅側クレジットカード利用明細控えを発行するといった不動の発券順序が決まっているわけではないため、廃棄用スタッカ111と処理用スタッカ112の振分を発券端末装置10側が自律的に判断することは困難である。そこで、発券統括制御装置21の処理負担が増えるものの、発券回答の中に廃棄用スタッカ111か処理用スタッカ112かの搬送先情報も含ませておき、これを分類条件として用いれば、廃棄用スタッカ111と処理用スタッカ112へ適切に振り分けることができる。
【0069】
そこで、コールセンタ3のオペレータによる支援を受け、オペレータが利用者の要望に応じたきっぷの手配を代理で行ったケースの発券処理においても、前述した図5と同様に、発券統括制御装置21からの発券回答に基づき3枚分の発券を行う場合における券片等の搬送の進行過程を説明する。
【0070】
挿排口108より投入されたエドモンソン券は、磁気記録・読出部105を通過して内容が読み取られ、エドモンソン券保留・退避部へ搬送され、発券処理が完了するまでここに留め置かれる。
【0071】
続いて、発券端末装置10からの発券要求に対し、発券統括制御装置21から1枚目の発券回答を受信し、その内容に基づいて券片のカットや券面への印字等を行い、その搬送先として前側(挿排口108)が指定されていることから、発券端末装置10では券種を判断できない第1券片は一時保留部へ搬送され、ここに留め置かれる。
【0072】
上記のようにして、1枚目の発券処理が完了して発券統括制御装置21へ応答信号を返すと、発券統括制御装置21より2枚目の発券回答が発券端末装置10へ送信される。この2枚目に作製する券片は、搬送先として後側上段(処理用スタッカ112)が指定されていることから、発券端末装置10では券種を判断できない第2券片は処理用スタッカ112へ振り分けられる。
【0073】
上記のようにして、2枚目の発券処理が完了して発券統括制御装置21へ応答信号を返すと、発券統括制御装置21より3枚目の発券回答が発券端末装置10へ送信される。この3枚目に作製する券片は、搬送先として前側(挿排口108)が指定されていることから、発券端末装置10では券種を判断できない第3券片は一時保留部へ搬送され、第1券片と共に留め置かれる。
【0074】
そして、3枚目(最後)の発券処理が完了して発券統括制御装置21へ応答信号を返した後、一時保留部に保留しておいた第1券片と第3券片が挿排口108より排出され、これを利用者が抜き取るのを待つ。
【0075】
すなわち、発券端末装置10では券種を判断できない第1〜第3券片であっても、発券統括制御装置21からの発券回答に含まれる搬送先指示に応じて搬送して行けば、第1券片と第3券片を利用者に渡すことができ、第2券片を処理用スタッカ112へ振り分けることができる。よって、券片の搬送先を発券端末装置10側で自律的に判断できない場合でも、発券統括制御装置21からの発券回答に搬送先情報を含ませておけば、廃棄用スタッカ111と処理用スタッカ112への振分を適切に行うことが可能である。
【0076】
挿排口108より第1件片と第3券片を利用者が抜き取って、一連の発券処理が完了したら、最初に取り込んでエドモンソン券保留・退避部に退避しておいたエドモンソン券を装置後方へ搬送し、スタッカ搬送路切換部109により廃棄用搬送路110aへ切り換え、廃棄用スタッカ111へエドモンソン券を搬送して保管する。
【0077】
以上、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、公知既存の等価な技術手段を転用することにより実施しても構わない。
【符号の説明】
【0078】
1 駅(発券場)
10 発券端末装置
101 制御装置
101d 発券・搬送制御手段
109 スタッカ搬送路切換部
111 廃棄用スタッカ
112 処理用スタッカ
11 メイン発券装置
12 音声・映像情報入出力装置
2 システムセンタ
21 発券統括制御装置
22 接続管理サーバ
3 コールセンタ
30 支援装置
31 予約・発券操作端末装置
32 利用者操作支援端末装置
N1 業務データ用ネットワーク
N2 音声・映像データ用ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
券売場に設置され、利用者が操作することにより指定した券の内容を、発券場とは異なる場所であるシステムセンタに設けられた発券統括制御装置へ問い合わせ、発券統括制御装置からの発券回答に基づき所要情報を券片に印字・記録した券を発行する発券機能を備えた発券端末装置であって、
廃棄用に分類される券片等を保管する廃棄用スタッカと、
廃棄せずに後処理を要する処理用に分類される券片等を保管する処理用スタッカと、
前記廃棄用スタッカもしくは前記処理用スタッカへ搬送路を切り替えるスタッカ搬送路切換部と、
利用者へ渡さずに取り込む券片等の分類条件に応じて、前記スタッカ搬送路切換部を制御することにより、券片等を廃棄用スタッカまたは処理用スタッカへ振り分ける搬送制御手段と、
を備えることを特徴とする発券端末装置。
【請求項2】
前記搬送制御手段は、廃棄対象および処理対象の券片種別を予め記憶し、発券統括制御装置からの発券回答に含まれる券種コードに基づいて特定した券片種別から廃棄用スタッカまたは処理用スタッカの振分先を判定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の発券端末装置。
【請求項3】
少なくともマイク、スピーカ、カメラを含む操作支援機能を備え、発券場とは異なる場所であるコールセンタにて支援者が操作する支援装置とネットワークを介して接続されることで、支援者の操作支援により利用者が望む券を購入可能とし、
前記搬送制御手段は、前記支援装置による支援で指定された券について、発券統括制御装置からの発券回答に含まれる搬送先情報に基づいて、廃棄用スタッカまたは処理用スタッカへ振り分けるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発券端末装置。
【請求項4】
障害発生後に係員が操作することで装置の初期化が行われる回復ボタンと、
前記回復ボタンが操作されることで装置が初期化されたとき、障害発生前の状態に復帰するために必要な情報を発券統括制御装置へ問い合わせる回復要求を送信する回復制御手段と、
を備え、
前記搬送制御手段は、前記回復制御手段からの回復要求に対して発券統括制御装置から発券回答を受けた場合、これを未発行分の再製券と看做し、搬送制御手段へ指示することで処理用スタッカへ振り分けるようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の発券端末装置。
【請求項5】
前記回復制御手段は、装置内搬送路中に残留している券片があれば、これを障害時の残留券片と看做し、搬送制御手段へ指示することで処理用スタッカへ振り分けるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の発券端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−198595(P2012−198595A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60572(P2011−60572)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(592048741)鉄道情報システム株式会社 (5)
【Fターム(参考)】