説明

発動機およびカートリッジ用のサーミスターを備える締結装置

【課題】発動機およびカートリッジ用のサーミスターを備える締結装置を提供すること。
【解決手段】本発明の締結装置は、燃焼チャンバ(6)と、ガスカートリッジ(30)のためのハウジング(29)と、カートリッジ(30)から燃焼チャンバ(6)にガスを噴射する手段(25)と、管理モジュール(9)とを含む。燃焼チャンバ(6)の温度の影響下に置かれる発動機サーミスター(31)が、カートリッジハウジング(29)内に配置されたガスカートリッジ(30)の温度の影響下に置かれることを目的とした第2のカートリッジサーミスター(32)と共に備えられる。両方のサーミスター(31、32)は温度情報を管理モジュール(9)に伝達するために設置される。管理モジュール(9)は温度情報を管理し噴射手段(25)の開放時間を決定するように動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダヘッドと共に、燃焼チャンバ(燃焼室)を形成する内燃機関のシリンダ内で推進されるピストンによって駆動される締結要素を備える締結装置であって、混合、排出および冷却用ファンが備えられる締結装置に関する。実際に、ファンによって、まず引火性ガスと空気の混合物の獲得が可能になる。また、燃焼堆積物を燃焼チャンバから排出し、最後に、各ショットの際に加熱されうる全ての部材、特にシリンダ、ピストン、シリンダヘッドおよび燃焼チャンバを構成する他の要素の冷却が可能になる。
【背景技術】
【0002】
最近まで、各ショット後にファンが引き続き回転駆動される排出および冷却時間の合計は、装置の設計の際に決定され工場で設定されていた。
【0003】
温度要因は考慮されていなかった。
【0004】
本出願人は、電子管理モジュールおよび装置の電源バッテリに接続されたファンのモータを利用することによって上述の締結装置の冷却条件を改善しようとした。
【0005】
すなわち、出願第FR 2,870,771号から、シリンダヘッドと共に、燃焼チャンバを形成する内燃機関のシリンダ内に設置されたピストンによって駆動される締結要素を備える装置であって、ガス−空気の混合、排出および冷却用ファンが備えられ電子管理モジュールおよび電源バッテリに接続された駆動用電機モータと協働し、ファンモータの近くに温度情報を管理モジュールに伝達するサーミスターが備えられる装置が知られている。
【0006】
管理モジュールは、有利にはプロセッサを含み、例えば喚起時間と温度の表を使用して、温度の関数として各ショットの後のファンの動作時間を決定するためにサーミスターが提供する温度情報を管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】FR 2,870,771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
チャンバの温度の影響下にあるサーミスターによってFR 2,870,771号に提供された改善はそれだけで非常に興味深い。しかし、本出願人は、チャンバの空気温度によりよく適合し、ひいては装置の温度条件に適合したガス質量を燃焼チャンバに噴射することによってさらに改良を進めた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本出願人が提案するのは、内燃機関のための、シリンダヘッドと共に燃焼チャンバを形成するシリンダ内に設置されたピストンによって駆動される締結要素を備える締結装置であって、該装置がガスカートリッジのためのハウジングと、カートリッジから燃焼チャンバにガスを噴射する手段と、管理モジュールとを含み、チャンバの温度の影響下に置かれるサーミスターが備えられ、カートリッジハウジング内に配置されたガスカートリッジの温度の影響下に置かれる第2のサーミスターカートリッジが備えられ、該両方のサーミスターがそれらの温度情報を管理モジュールに伝達するために設置され、該装置が、管理モジュールが温度情報を管理し噴射手段の開放時間を決定するように動作することを特徴とする締結装置である。
【0010】
一般にソレノイド弁であるが圧電インジェクタでもよい噴射手段の開放時間は、a)第1のサーミスターを使用して決定される、チャンバに噴射されるガス質量と、b)第2のサーミスターを使用して決定される、ソレノイド弁の流量とを使用して決定され、開放時間は次式によって得られる。
a/b
【0011】
実際に、チャンバの近くに備えられる第1のサーミスターは、チャンバ内の空気温度、及びひいては適切な混合比すなわち出力を得るために噴射すべきガスの量の表示を与える。
【0012】
発熱する発動機によって乱されないようにガスカートリッジの近くに備えられる第2のサーミスターは、カートリッジおよびひいてはカートリッジの燃料(ガス)の温度の表示を提供する。燃料温度を知ることによって、考慮される温度での噴射手段の流量を決定できる。
【0013】
本発明を使用すると、燃焼チャンバに噴射する燃料質量はチャンバ内の空気温度に良好に適合される。すなわち、装置が加熱された時の燃料消費量、汚染物質の生成及び最終的には動力損失が減少する。
【0014】
米国特許出願第2009/314,817号から、2つのサーミスターと管理モジュールとを備える装置が知られている。しかし、この管理モジュールは点火の遅延の決定だけを可能にするもので、本出願の発明と同じ機能を有するものではない。
【0015】
第1の実施形態では、カートリッジハウジングは装置のケーシング内でピストンに実質上平行に延び、サーミスターは燃焼チャンバに埋め込まれ、カートリッジサーミスターはカートリッジハウジングに埋め込まれる。
【0016】
本発明の締結装置の第2の実施形態では、カートリッジハウジングはピストンに実質上平行に延びるアーム内に備えられ、カートリッジハウジングのアームは管理モジュールを収容するハンドルによって装置のケーシングに直接接続され、サーミスターは装置のケーシングの近くでハンドルの端部に埋め込まれ、カートリッジサーミスターはカートリッジハウジングに埋め込まれる。
【0017】
この場合、装置の移動止めはケーシングの近くでハンドルの一部の中にあり、装置は、移動止めとチャンバとの間に延びるケーシング内の開口を通じてチャンバと協働するように配置されたチャンバロックを含み、サーミスターは移動止めの近くでハンドルに埋め込まれる。
【0018】
すなわち、ファンが回転を続け燃焼チャンバが開放された場合、発動機サーミスターはすでにチャンバから離れているのでファンの気流に乱されることはなく、チャンバの温度の影響下にある。
【0019】
別言すれば、サーミスターは熱ブリッジによってチャンバに接続されている。
【0020】
本発明は、添付の図面に関連した本発明の締結装置の2つの実施形態の以下の説明を用いることによってよりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】装置のケーシング内に備えられたガスカートリッジハウジングを備える、本発明の装置の第1の実施形態の断面切り取り図である。
【図2】装置のケーシング外のアーム内に備えられたガスカートリッジハウジングを備える、本発明の装置の第2の実施形態の簡素化された内面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に関連してここで説明する装置10は、ほとんど全ての要素が従来と同様の、締結要素を動かすための装置であって、ピストン1およびそれと一体の推進ロッド21を備え、ピストン1は内燃機関3のシリンダ2内に設置され、シリンダ2は、摺動スリーブ4およびシリンダヘッド5と共に、燃焼チャンバ6を形成する。ファン22は、チャンバ6内に備えられ、良好な引火性混合物を得る混合機能、不燃堆積物を燃焼チャンバから排出する排出機能、および各ショットの際に加熱された部材のための冷却機能を提供する。
【0023】
ファン22は、それ自体既知のやり方で、設置された軸1を中心に発動機8によって回転駆動される。発動機はシリンダヘッド5内に設置され、図示しないバッテリおよび、装置のハンドル14内に備えられた電子管理モジュール9に接続される。ハンドルは装置のケーシング15に接続される。ハンドルとケーシングの接続領域には、移動止め24が制御装置16と共に備えられている。
【0024】
装置10は、ここではピストンロッド21と一致する装置の軸に実質上平行に延びる、ガスカートリッジ30のためのハウジング29を含み、ガスカートリッジはここではすでにハウジング29内に導入されている。
【0025】
装置の背後の、シリンダヘッド5内に、カードリッジ30のガスを計量して装置の燃焼チャンバ6内に噴射するためのソレノイド弁25が設置されている。ガスは、カートリッジ30内では実質上液相であるが、ソレノイド弁の上流のダクト32、42、44およびソレノイド弁25とチャンバ6との間に位置するダクト50を通じて気相となりチャンバ6に流入する。
【0026】
チャンバスリーブ4の内壁に沿って第1のサーミスター31が設置されている。これは、チャンバ6の温度の影響下に置かれることを目的としたいわゆる発動機サーミスターである。
【0027】
カートリッジハウジング29内の、ケーシング15の内壁に沿って第2のサーミスター32が設置されている。これは、カートリッジ30の温度の影響下に置かれることを目的としたいわゆるカートリッジサーミスターである。両方のサーミスターはどちらも、各ショット後のファン22の動作時間だけでなく、ソレノイド弁25の開放時間を決定するため情報を管理モジュールに伝達することを目的としている。この開放時間は、a)発動機サーミスター31を使用して決定される、チャンバ6に噴射すべきガス質量と、b)カートリッジサーミスター32を使用して決定される、ソレノイド弁25の流量との比に等しい。
【0028】
例えば、チャンバの温度とカートリッジの温度とがどちらも20℃である場合、
a=26.10-6kg
b=2g/sまたは(どちらがよいか)2mg/ms
したがって、開放時間tは次式によって与えられる。
t=a/b=13ms
【0029】
図1の実施形態と同じ要素には同じ参照番号が付されて本発明の第二の実施形態の装置100を示す図2を参照すると、本発明の第2の実施形態では、カートリッジは、i)図示しないチップガイドの後部の剪断ブロックの領域で装置のケーシング15に接続された、図示しない締結エレメントフィーダから、ii)フィーダに実質上平行に延びるハンドル14まで、ピストンロッドに実質上平行に延びるアーム101内に置かれている。アーム101は装置のバッテリ105のハウジングでありかつガスカートリッジのハウジングである。ハンドル14は電子管理モジュールブロック9のハウジングである。
【0030】
管理モジュール9は、図1の第1の実施形態と同様に、特に、後述するサーミスターの温度情報を管理するプロセッサを含む。また、アーム101内には、ガスレベル、バッテリ充電レベルおよび装置の状態の表示器を搭載したプリント回路基板106が図示されている。これらの表示器はここでは、アーム101の外板を通じてアクセスされる押しボタン111によって制御される発光ダイオードである。
【0031】
ボード106は、電子管理ブロック9に接続された出力コネクタ107を含む。
【0032】
ケーシング15には、開放ドア109が備えられ、それを通じて移動止め24と一体のチャンバロック110が延び、チャンバスリーブ4の外壁と協働してチャンバスリーブ4を閉位置に固定する。こうした固定手段は全て当業者に周知である。
【0033】
発動機サーミスター131はここでは移動止め24の制御装置16の近くでハンドル14に埋め込まれる。サーミスター131は電子ブロック9に直接接続される。
【0034】
カートリッジサーミスター132はここでは、アーム101内のボード106上に埋め込まれ、外部コネクタ107に接続される。
【0035】
燃焼チャンバが開放される時、発動機サーミスター131は、熱伝導によってチャンバの温度の影響下に置かれる。燃焼チャンバが開放され装置が排出状態にある時、サーミスター131はその温度の影響下に置かれるが、これは対流によるものである。
【0036】
サーミスター131によって提供される温度表示は、熱ブリッジによって燃焼チャンバに接続されているため常に非常に良好である。
【符号の説明】
【0037】
1 ピストン
5 シリンダヘッド
6 燃焼チャンバ
9 管理モジュール
30 ガスカートリッジ
31、32 サーミスター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(3)の、シリンダヘッド(5)と共に燃焼チャンバ(6)を形成するシリンダ(2)内に設置されたピストン(1)によって駆動される締結要素を備える締結装置であって、前記締結装置がガスカートリッジ(30)のためのカートリッジハウジング(29、101)と、前記ガスカートリッジ(30)から前記燃焼チャンバ(6)にガスを噴射する噴射手段(25)と、管理モジュール(9)とを含み、前記燃焼チャンバ(6)の温度の影響下に置かれるサーミスター(31、131)が備えられ、前記カートリッジハウジング(29、101)内に配置された前記ガスカートリッジ(30)の温度の影響下に置かれる第2のサーミスターカートリッジ(32、132)が備えられ、両方のサーミスター(31、32、131、132)がそれらの温度情報を前記管理モジュール(9)に伝達するために設置され、前記管理モジュール(9)が温度情報を管理し前記噴射手段(25)の開放時間を決定するように動作する、ことを特徴とする締結装置。
【請求項2】
前記カートリッジハウジング(29)が前記締結装置(10)のケーシング(15)内のピストン(21)に実質上平行に延び、発動機サーミスター(31)が前記燃焼チャンバ(6)に埋め込まれ、カートリッジサーミスター(32)が前記カートリッジハウジング(29)に埋め込まれる、請求項1に記載の締結装置。
【請求項3】
前記カートリッジハウジングが前記ピストンに実質上平行に延びるアーム(101)内に備えられ、前記カートリッジハウジングの前記アーム(101)が前記管理モジュール(9)を収容するハンドル(14)によって前記締結装置のケーシング(15)に直接接続され、発動機サーミスター(131)が前記締結装置のケーシング(15)の近くで前記ハンドル(14)の一部に埋め込まれ、カートリッジサーミスター(132)が前記カートリッジハウジング(131)に埋め込まれる、請求項1に記載の締結装置。
【請求項4】
前記カートリッジサーミスター(132)が、前記ガスカートリッジを収容する前記アーム(101)内に備えられた集積回路基板(106)上に設置される、請求項3に記載の締結装置。
【請求項5】
前記締結装置(100)の移動止め(24、16)が前記ケーシング(15)の近くで前記ハンドル(14)の一部の中にあり、前記締結装置が前記移動止め(24、16)と前記燃焼チャンバとの間に延びる前記ケーシング(15)内の開口(109)を通じて前記燃焼チャンバと協働するように配置されたチャンバロック(110)を含み、前記発動機サーミスター(131)が前記移動止め(24、16)の近くで前記ハンドル(14)に埋め込まれる、請求項3または請求項4に記載の締結装置。
【請求項6】
前記発動機サーミスター(131)が熱ブリッジを通じて前記燃焼チャンバに接続される、請求項3から請求項5のいずれか一つの請求項に記載の締結装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−194566(P2011−194566A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64645(P2011−64645)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(506380787)ソシエテ ドゥ プロスペクティオン エ ディンベンティオン テクニク スピ (14)
【Fターム(参考)】