説明

発毛調節光照射装置

【課題】 処理対象となる皮膚に対して光を当てるだけでなく、光に対する反応性を高めるべく積極的に作用するための手段を併せて備え、これにより、高い安全性を確保し且つコストを抑制したうえで、高い発毛調節効果を得ることができる発毛調節光照射装置を提供する。
【解決手段】 体毛の成長を調節するための光を処理対象の皮膚に向けて照射する光照射部12と、上記処理対象の皮膚に刺激を与えて光に対する反応性を向上させる刺激付与部8とを、装置本体1の端面10に具備する発毛調節光照射装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体毛の成長を調節するための光を皮膚に対して照射する発毛調節光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、処理対象となる皮膚にレーザ等の光を当て、光の作用により体毛の成長を抑制又は促進することで、脱毛又は育毛を図る発毛調節光照射装置が知られている。例えば、特許文献1に開示される発毛調節光照射装置は、装置本体に備えてある光照射部を処理対象の皮膚に向けてセットし、この状態で装置本体内の発光体を発光させることで、光照射部を通じて処理対象の皮膚に光を照射させる構造になっている。
【0003】
しかし、上記従来の発毛調節光照射装置は、処理対象の皮膚に光を照射する手段を備えるだけであって、この処理対象の皮膚の光に対する反応性を向上させるべく積極的に作用する手段を備えたものは、提案されていない。
【特許文献1】特開2005−278724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、処理対象となる皮膚に対して光を当てるだけでなく、光に対する反応性を高めるべく積極的に作用するための手段を併せて備え、これにより、高い安全性を確保し且つコストを抑制したうえで、高い発毛調節効果を得ることができる発毛調節光照射装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明を、処理対象の皮膚50の体毛の成長を調節するための光を発する発光体2と、上記処理対象の皮膚50に刺激を与えて光に対する反応性を向上させる刺激付与部8とを具備する発毛調節光照射装置とする。人体の皮膚50は、刺激を受けることで組織が活性化されて光に対する反応性が向上するという性質を持つ。したがって、上記構成の発毛調節光照射装置を用い、処理対象の皮膚50に刺激を付与するとともに光を照射していくことで、高い発毛調節効果を得ることができる。しかも、このような高い抑毛効果を得るために必要以上に高エネルギの光を照射する必要がないので、安全性が確保されるとともにコストが抑制される。
【0006】
上記構成の発毛調節光照射装置において、刺激付与部8は、発光体2が発する光を上記処理対象の皮膚50に対して照射する光照射部12と隣接する位置に回転自在に設置されるローラ状のものであることが好ましい。このようにすることで、ローラ状の刺激付与部8を回転させながら押し付けて刺激を付与した後の皮膚50に対して、隣接する光照射部12から順次光を照射していくことができる。
【0007】
また、上記構成の発毛調節光照射装置において、刺激付与部8は、上記処理対照の皮膚50に向けて風を送り込む送風部30であることも好ましい。このようにすることで、送風部30から送り込んだ風により皮膚50に刺激を与えながら速やかに光を照射することができる。また、この光照射で加熱された皮膚50表面を速やかに空冷することができる。加えて、光を照射する処理対象の皮膚50表面を風圧で平坦化させて反射を低減させるとともに、内部組織の均一化を促して組織内の散乱による光の減衰を低減させることができる。
【0008】
また、上記構成の発毛調節光照射装置において、刺激付与部8に振動を与える振動付与機構を具備することも好ましい。このようにすることで、処理対象の皮膚50には、刺激付与部8が押し当たって与えられる刺激に加え、刺激付与部8を介して伝達される振動の刺激も付与され、更に高い発毛調節効果が得られることとなる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明は、処理対象の皮膚の体毛の成長を調節するための光を発する発光体と、上記処理対象の皮膚に刺激を与えて光に対する反応性を向上させる刺激付与部とを具備することで、処理対象の皮膚に刺激を付与して光に対する反応性を高めたうえで光を照射していくことができ、高い安全性を確保し且つコストを抑制したうえで高い発毛調節効果を得ることが可能になるという効果を奏する。
【0010】
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、刺激付与部を、発光体が発する光を上記処理対象の皮膚に向けて照射する光照射部と隣接する位置に回転自在に設置されるローラ状のものとしたことで、ローラ状の刺激付与部を回転させながら押し付けて刺激を付与した後の皮膚に対して、順次光を照射していくことができるという効果を奏する。
【0011】
また請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、刺激付与部を、上記処理対照の皮膚に向けて風を送り込む送風部としたことで、送風部からの送風により皮膚に刺激を与えながら速やかに光を照射することができるという効果や、光照射で加熱された皮膚表面を速やかに空冷することができるという効果や、更には、皮膚表面を風圧で平坦化させて光照射時の反射を低減させるとともに、内部組織の均一化を促して組織内の散乱による光の減衰を低減させることができるという効果を奏する。
【0012】
また請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、刺激付与部に振動を与える振動付与機構を具備することで、処理対象の皮膚に対して振動の刺激を併せて付与し、更に高い発毛調節効果を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。なお、本文中で用いる「上方」は光照射方向に沿って進む方向である。
【0014】
図1、図2には、本発明の実施形態における一例の発毛調節光照射装置として、発毛を抑制するための光を発する発光体2を備えて成る光脱毛装置を示している。図示の光脱毛装置は、片手で把持可能な箱型の装置本体1内に、キセノンランプから成るフラッシュライトを抑毛用の発光体2として収納し、装置本体1の長手方向の端面10に、発光体2が発する光を外部に照射する透過窓から成る光照射部12を備えたものである。
【0015】
装置本体1の端面10における光照射部12の周囲部分には、該光照射部12を全周に亘って囲む遮光用の筒体部3を備えている。筒体部3は光照射部12よりも上方に突出させたものであり、該筒体部3の先端開口の周縁部分には、平面視リング状の先端面7を形成している。また、装置本体1内には発光体2と接続される制御回路5を収納してあり、この制御回路5によって、電源から供給される電圧を昇圧させて成る高電圧を発光体2に印加し、該発光体2を高エネルギで発光させるようになっている。装置本体1の外周面には、光照射のオンオフを手動操作するための照射スイッチ6を、制御回路5と接続させて設けている。なお、図中において配線は省略している。
【0016】
上記光脱毛装置を用いて脱毛処理を行うには、使用者は装置本体1を片手で把持した状態で、人体の皮膚50に対して筒体部3の平面視リング状を成す先端面7を押し当て(図2参照)、この先端面7に囲まれる領域内に処理対象となる皮膚50が位置するようにセットする。この状態で照射スイッチ6を操作して光照射をオンにすれば、発光体2からパルス状に発せられる光が、光照射部12を介して処理対象の皮膚50に照射され、該皮膚50の体毛に対して抑毛作用を及ぼす。このとき、筒体部3の先端面7を全周に亘って皮膚50に圧接した状態を維持することで、照射される閃光の外部への漏れは防止される。
【0017】
以上、発毛調節光照射装置の基本的な構成について、図示例の光脱毛装置に基づいて述べた。以下においては、本発明特有の構成について更に詳述する。
【0018】
図示例の光脱毛装置にあっては、装置本体1の長手方向の端面10に、回転自在なローラ状の刺激付与部8を設けている。光照射部12と刺激付与部8とは、装置本体1の端面10の筒体部3で囲まれる同一領域内に配置しており、光照射部12を、刺激付与部8に対して該刺激付与部8の回転軸Cと直交する方向に位置させている。刺激付与部8の上方への突出高さは、光照射部12よりも高く、且つ筒体部3の先端面7よりは低く(又は同程度の高さに)設ける。
【0019】
上記構成を具備する本例の光脱毛装置によれば、筒体部3の先端面7を皮膚50に押し当て、先端面7に囲まれる領域内に処理対象となる皮膚50を位置させると、この処理対象の皮膚50に対して刺激付与部8の外周面8aが押し当たって刺激を与える。そして、筒体部3及び刺激付与部8を押し当てた状態のまま装置本体1を図中矢印A方向にスライドさせていくと、ローラ状の刺激付与部8は回転しながら、外周面8aを押し当てて刺激を与える皮膚50を順次、矢印A方向に移動させていく。ここで、使用者が照射スイッチ6を操作して光照射をオンにすれば、刺激付与部8が押し当たって刺激を付与した後の皮膚50に対して、光照射部12から順次光が照射されていくこととなる。装置本体1のスライド方向である図中矢印A方向は、光照射部12に対して刺激付与部8が位置する方向である。
【0020】
人体の皮膚50は、刺激を受けることで組織が活性化されて光に対する反応性が向上するという性質を持つ。したがって、上記の如く物理的刺激を付与した後の皮膚50に対して順次、光照射部12から光を照射していくことで、光による高い抑毛効果を得ることが可能になる。しかも、このような高い抑毛効果を得るために発光体2から必要以上に高エネルギの光を照射する必要がないので、安全性が確保されるとともにコストが抑制される。
【0021】
なお、図示はしていないが、刺激付与部8の外周面8aには、適宜の凹凸形状を設けることも好適である。これにより、処理対象の皮膚50に対して刺激付与部8の凸部が食い込むことで更に効果的な刺激を与えることができる。
【0022】
また、同じく図示はしていないが、刺激付与部8に対して少なくとも上下に微細な機械的振動を与えるための振動付与機構を設けることも好適である。これにより処理対象の皮膚50には、刺激付与部8が押し当たることで与えられる刺激に加え、刺激付与部8を介して伝達される上下微振動による刺激も付与されることになる。したがって、皮膚50が更に活発化され、光に対する反応性が更に高まることになる。上記の振動付与機構としては、例えば偏心ウェイトを有する振動モータを装置本体1内に配する機構が考えられるが、機械的振動を発生させるものであれば他の機構であってもよい。
【0023】
図3には、本発明の実施形態における他例の発毛調節光照射装置を示している。本例の発毛調節光照射装置は一例と同様の光脱毛装置であるから、上記した一例の光脱毛装置と一致する構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、一例の光脱毛装置とは相違する特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【0024】
本例においては、ローラ状を成す刺激付与部8の外周面8aの略全面に亘って、多数の針部20を配設している。各針部20は、使用者に刺さっても痛みを感じさせない程度の微小径(例えば直径50μm程度)とする。これにより、使用者が装置本体1を把持しながら筒体部3の先端面7を皮膚50に押し当てると、処理対象の皮膚50に対して刺激付与部8の外周面8aが押し当たるとともに、複数の針部20が刺さることになる。
【0025】
そして、筒体部3及び刺激付与部8を押し当てた状態のまま装置本体1を図中矢印A方向にスライドさせていくと、ローラ状の刺激付与部8は回転軸Cを中心に回転しながら、外周面8aを押し当てて針部20を刺す皮膚50を、矢印A方向に順次移動させていく。ここで、使用者が照射スイッチ6を操作して光照射をオンにすれば、刺激を付与した後の皮膚50に対して順次光が照射されていく。
【0026】
針部20が刺さって皮膚50に効果的な刺激を与えると、皮膚50の組織は炎症反応により活発化し、光に対する反応性が更に向上する。したがって、一例のものと比較して、光照射による更に大きな抑毛効果を得ることができる。
【0027】
図4には、本発明の実施形態における更に他例の発毛調節光照射装置を示している。本例の発毛調節光照射装置は一例と同様の光脱毛装置であるから、上記した一例の光脱毛装置と一致する構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、一例の光脱毛装置とは相違する特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【0028】
本例においては、処理対象の皮膚50に刺激を与える刺激付与部8として、上記処理対照の皮膚50に向けて風を送り込むためのファンモータから成る送風部30を設けている。図中に概略的に示すように、この送風部30は装置本体1に内蔵されるものであり、上方に向けて風を送り込むよう配置してある。送風部30は制御回路5と接続されるものであるが、図には制御回路5を省略してある。
【0029】
筒体部3により囲まれる装置本体1の端面10には、光照射部12を中心として描かれる円上に位置するように(図4(b)の想像線参照)、装置本体1内と筒体部3を連通させる複数の吐出口31を上下に貫通させている。吐出口31は周方向に等間隔を隔てて配置されており、装置本体1内の送風部30により上方に送り込まれる風が、各吐出口31を通じて筒体部3内に吐出されるようになっている。また、筒体部3の平面視リング状を成す先端面7には、周方向に等間隔を隔てて複数の排気溝32を凹設してある。図示例では各吐出口31と一対一に対応して排気溝32を設けており、平面視において光照射部12の中心から伸びる放射線上に(図4(b)の想像線参照)一組の吐出口31と排気溝32が近接して位置するように設けている。
【0030】
本例において、処理対象となる皮膚50に筒体部3の先端面7を押し当てて照射スイッチ6を操作し、光照射をオンにすれば、制御回路5は送風部30を回転駆動させることで吐出口31を通じて筒体部3内に継続的に風を吐出させるとともに、発光体2に高電圧を印加してこれを高エネルギで発光させ、光照射部12を通じてパルス状の光を処理対象の皮膚50に照射する。筒体部3内に吐出された風は上記処理対象の皮膚50に強く当たり、刺激を与えて光への反応性を高めるとともに、光照射で加熱された皮膚50表面の熱を奪って速やかに冷却するように作用する。
【0031】
筒体部3内にて皮膚50に強く当てられた風はその後、筒体部3の先端面7に設けてある複数の排気溝32を通じて、外部側方へと排気される。このとき、処理対象の皮膚50は風圧により全周に渡って外側に向けて引っ張られ、特に光照射部12近傍となる中央の皮膚50表面が、張力により平坦化される。したがって、光が照射される際の皮膚50表面での反射が低減されるとともに、内部組織の均一化も促されて組織内の散乱による減衰も低減される。
【0032】
以上、キセノンライトを用いた光脱毛装置に基づいて本発明の発毛調節光照射装置を説明したが、発光体2はキセノンライトから成るフラッシュライトに限定されず、他の構成から成るフラッシュライトであってもよいし、或いはレーザダイオード等を用いてレーザ光を照射するものであってもよい。また、発光体2は脱毛用に限定されず、光の照射により発毛を促進して育毛を図るものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態における一例の発毛調節光照射装置の斜視図である。
【図2】同上の発毛調節光照射装置の要部を示す一部断面図である。
【図3】本発明の実施形態における他例の発毛調節光照射装置の要部斜視図である。
【図4】本発明の実施形態における更に他例の発毛調節光照射装置を示し、(a)は要部の一部断面図、(b)は平面図である。
【符号の説明】
【0034】
2 発光体
8 刺激付与部
12 光照射部
30 送風部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の皮膚の体毛の成長を調節するための光を発する発光体と、上記処理対象の皮膚に刺激を与えて光に対する反応性を向上させる刺激付与部とを具備することを特徴とする発毛調節光照射装置。
【請求項2】
刺激付与部は、発光体が発する光を上記処理対象の皮膚に向けて照射する光照射部と隣接する位置に回転自在に設置されるローラ状のものであることを特徴とする請求項1に記載の発毛調節光照射装置。
【請求項3】
刺激付与部は、上記処理対象の皮膚に向けて風を送り込む送風部であることを特徴とする請求項1に記載の発毛調節光照射装置。
【請求項4】
刺激付与部に振動を与える振動付与機構を具備することを特徴とする請求項1に記載の発毛調節光照射装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−34234(P2009−34234A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199842(P2007−199842)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】