説明

発泡させたコンパウンド系の製造方法

コンパウンド系を第1の工程において第1の温度で発泡させる、感熱性物質を含有する発泡させたコンパウンド系の製造方法において、感熱性物質を、次の工程において、第1の温度より低い第2の温度で、コンパウンド系に加えることを特徴とする製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱的に架橋させ、マイクロバルーンによって発泡させたコンパウンド系、とりわけ自己粘着性接着剤の製造方法、ならびにそれにより製造された発泡コンパウンドに関する。
【背景技術】
【0002】
発泡コンパウンド系は多くの用途に対して有用である。発泡体は容易に変形できるので、例えば、運動エネルギーを吸収して機械的に緩衝し、あるいは凹凸を均すことができる。
【0003】
このため、接着材料加工においても、ますます発泡コンパウンド系が使用されるようになっている。例えば接着テープの製造、とりわけ粘着テープの製造において、発泡支持体材料、および/または発泡(自己粘着性)接着剤が使用される。基質同士の接着において、とりわけ上述の利点が活用でき、例えば、貼り合わせる表面の凹凸をこの接着テープで均すことができる。
【0004】
マイクロバルーンによって発泡させた自己粘着性接着剤および支持体層の製造方法は、古くから知られている。
【0005】
欧州特許出願公開第0257984号(A1)(特許文献1)に開示されている接着テープは、少なくとも片面に発泡された接着性コートが存在する。この接着性コート中には、ポリマー小球が含まれていて、その内部に炭化水素からなる液体を含有し、温度を上げることで膨張する。自己粘着性接着剤の骨格ポリマーはゴムまたはポリアクリラートでよい。微小中空球はこのとき重合の前または後に加えられる。マイクロバルーン含有の自己粘着性接着剤は、溶媒中から加工され、接着テープに成形される。その際、発泡工程は常に塗工の後で行う。このため微細に粗い表面が維持される。これにより、とりわけ、非破壊的再剥離可能性および再配置可能性といった性質が得られる。マイクロバルーンで発泡させた自己粘着性接着剤の、微細に粗い表面のため再配置可能性が良好となる効果については、他の文献、例えばドイツ特許出願公開第3537433号(A1)(特許文献2)または国際公開第95/31225号(A1)(特許文献3)にも記載されている。
【0006】
この微細に粗い表面は、気泡が無い接着部を作るためにも利用される。この利用については、欧州特許出願公開第0693097号(A1)(特許文献4)および国際公開第98/18878号(A1)(特許文献5)に開示されている。
【0007】
しかし上述の方法、すなわち溶媒から加工する方法、または接着層を連続シート状に成形した後に、混入したマイクロバルーンを膨張させる方法は、持続的接着性発泡接着剤系の製造には適していない。
【0008】
しかし、微細に粗い表面の有利な特性には、常に、接着強度または剥離強度の明白な低下の問題がある。このため、ドイツ特許出願公開第19730854号(A1)(特許文献6)では、マイクロバルーンで発泡させた支持体層が提案され、これは、接着強度の低下を避けるために、無発泡の感圧性自己粘着性接着剤を発泡させた芯層の上下に用いることを提案している。
【0009】
支持体混合物の調製は、好ましくは、エラストマーの混練で標準的な内部ミキサで行われる。混合物は、その際、とりわけ、ムーニー値ML1+3(100℃)が10〜80の範囲に調整される。混合物には、第2の低温での作業工程で、可能な架橋剤、促進剤、および所望のマイクロバルーンを加える。この第2の作業工程は、好ましくは70℃未満の温度で、混練機、内部ミキサ、練りロール機、または二軸押出機中で行われる。続いて、混合物は機械で所望の厚さに押し出され、および/またはカレンダ処理される。続いて、支持体は両面に感圧性自己粘着性接着剤を付けられる。この後、熱的発泡、および場合によって架橋の工程が続く。
【0010】
マイクロバルーンの膨張は、これをポリマー・マトリックス中に入れる前に、あるいはポリマー・マトリックスを支持体に成形した後にはじめて実施する。
【0011】
膨張させた形態では、マイクロバルーンの殻の厚さはわずか0.02μmである。したがって、提案されているマイクロバルーンの膨張を、既に支持体材料のポリマー・マトリックスへの練り込みの前に行うことは、練り込みに際しての大きな力でバルーンの多くが破壊してしまい、発泡率がそれだけ低下してしまうので、不利である。さらに、部分的に傷んだマイクロバルーンにより厚さのバラツキが生じる。安定的な製造法は到底得られない。
【0012】
このため、発泡は、熱洞中で連続シート状に成形した後に実施することが好まれる。しかしこの場合も、発泡前の全プロセス条件が正確に一定でなく、さらに発泡中の熱洞での条件も正確に一定でないので、支持体の平均厚さが目標の厚さから大きく乖離し易い。狙い通りに厚さを修正することはもはや可能でない。同様に、マイクロバルーンや支持体の他の構成成分の濃度の局所的バラツキが直接に厚さの変動に現れてくるので、厚さにおいて著しい統計的偏差を覚悟しないといけない。
【0013】
国際公開第95/32851号(A1)(特許文献7)は、類似の方法を記載している。その提案によれば、発泡支持体と自己粘着性接着剤の間に、さらに熱可塑性層を設ける。
【0014】
両方の方法とも、高い剥離強度の要求は充たすものの、個々の層の結合が負荷により破壊されてしまうので、必然的に非常に脆弱な製品となってしまう。さらに、構造中の発泡部分が必然的に減少するので、そうした製品に望まれる順応性が明白に限定されてしまう。
【0015】
欧州特許出願公開第1102809号(B1)(特許文献8)の提案する方法は、マイクロバルーンを塗工ダイから吐出する前に部分的に膨張させ、場合により後段に設けられた工程で完全に膨張させる。しかし、この方法は、コンパウンド粘度によってその働きが著しく制約を受ける。高い粘度のコンパウンド系では、必然的にダイ間隙において高い間隙圧力を発生させるので、膨張させたマイクロバルーンが圧縮され、あるいは変形される。ダイから吐出された後、マイクロバルーンは、元の形状に戻り、接着剤の表面から突出する。この作用は、コンパウンド粘度の増加、層厚の減少、および嵩密度の低下あるいはマイクロバルーン含量の増加により大きくなる。
【0016】
マイクロバルーンによって発泡させた(自己粘着性)接着剤または支持体層は、発泡セルの寸法が均一な分布を示す一定のセル構造を有する特長がある。これらは、独立泡からなる微小発泡体であり、空隙がないので、連続泡型のものに比べて、傷つきやすい製品を、埃や液体に対してより良く密封することができる。
【0017】
そうした発泡体は柔軟な熱可塑性のポリマー殻のため、非膨張性の、非ポリマー製微小中空球(ガラス中空球)が充填された発泡体に比べ、大きな順応能力を有する。このため、例えば射出成形部品において通例の製造誤差を吸収するのにより適し、また泡の特性から熱応力をより良く補償する。
【0018】
加えて、ポリマー殻の熱可塑性樹脂を選択することで、発泡体の機械的性質にさらに影響を与えることができる。例えば、発泡体がマトリックスより密度が低くても、凝集強度がポリマー・マトリックス自体より大きい発泡体を製造することが可能である。このため、粗面の下地に対する順応能力といった典型的な発泡体特性と、PSA発泡体のための大きな凝集強度を兼ね備えることができる。
【0019】
これに対し、従来法で、化学的にまたは物理的に発泡された材料は、圧力および温度により非可逆的に崩壊し易い。またその凝集強度も小さい。
【0020】
ドイツ特許第2105877号(C)(特許文献9)に明示される接着テープは、その少なくとも片面が微小セル感圧接着剤で塗工された支持体からなり、その接着剤層は核生成剤を含み、接着剤層のセルは独立しており、接着剤層中に完全に分配されている。この接着テープは、貼られる不規則な表面に順応することができ、比較的持続的な接着を実現するが、他方、接着テープは元の厚さの半分に圧縮されると、わずかな回復しか示さない。極めて好ましくないことに、接着剤中の空隙が、側面からの溶媒および水の接着継目への侵入の開始点となる。さらに、溶媒または水が、接着テープ全体に染み通ることもあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0257984号(A1)
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第3537433号(A1)
【特許文献3】国際公開第95/31225号(A1)
【特許文献4】欧州特許出願公開第0693097号(A1)
【特許文献5】国際公開第98/18878号(A1)
【特許文献6】ドイツ特許出願公開第19730854号(A1)
【特許文献7】国際公開第95/32851号(A1)
【特許文献8】欧州特許出願公開第1102809号(B1)
【特許文献9】ドイツ特許第2105877号(C)
【特許文献10】国際公開第2006/027387号A1
【特許文献11】ドイツ特許出願公開第102007016950号A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従来技術で知られる方法には、感熱性の材料または物質が、とりわけその分解温度あるいは反応温度がマイクロバルーンの膨張温度より低い場合に、これらの物質が膨張過程の間に分解し、あるいは膨張過程の間に制御不能に反応してしまう恐れがあるので、加工することができないという欠点がある。
【0023】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、とりわけ感熱性物質を発泡感圧接着剤中に、好ましくはそれにより発泡度に悪影響を与えることなく、混入することを可能とする方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題は、コンパウンド系をまず第1の工程で第1の温度で発泡させ、感熱性物質を次の工程で第1の温度より低い第2の温度でコンパウンド系に加える方法により達成される。
【0025】
第1の工程で、とりわけマイクロバルーンをこれに必要な温度で膨張させることによりコンパウンド系を発泡させ、次の工程で、より低い温度、すなわち、とりわけマイクロバルーンの膨張温度より低い温度、特に有利には前記感熱性物質にとって問題のない温度で、はじめて感熱性物質を混合するのが有利である。
【0026】
とりわけ、コンパウンド系を発泡させる際の第1の温度が、マイクロバルーンの膨張温度と同じかこれより高ければ、また感熱性物質をコンパウンド系に加える際の第2の温度が、マイクロバルーンの膨張温度より低ければ、有利である。
【0027】
高感熱性の物質にも、本発明による手順は適している。より低い温度に冷却する際に、感熱物質にとって既に問題のない温度が得られないとしても、感熱性物質の添加からコンパウンド系への成形までの時間を最短にでき、したがって副反応、感熱性物質の分解、あるいはこの物質のその他の望ましくない反応を最小限に止めることができる。本発明の方法により、感熱性物質が、マイクロバルーン膨張の工程およびそれに必要とされる温度条件に曝されることが回避できる。
【0028】
第2の混合装置中で、発泡体を冷却し、追加の物質を加えることによっても、発泡率が損なわれないことは当業者にとって驚くべきかつ予見できないことであった。冷却によりコンパウンド系の粘度が増加するので、混合装置中での加工の際に剪断が強く働くと考えられる。発泡させたコンパウンド系の混合装置中での加工は、低温の発泡させたコンパウンド系では、泡の「崩壊」を、したがって発泡度の著しい低下を来すと予想される。
【0029】
驚くべきことに、マイクロバルーンによって発泡させたコンパウンド系は、コンパウンドに剪断力がかるシステム中での、とりわけ混合装置中での、冷却後の加工にも十分耐えることが分かった。これにより、感熱性の添加剤を発泡より後の工程において、発泡度の有意な減少を生ぜずに混合することが可能となった。
【0030】
本発明によれば、コンパウンド系の冷却および感熱性物質の混合を、先にコンパウンド系と未膨張のマイクロバルーンとの混合を実施したのと同一の混合装置で行うことも可能である。
【0031】
本発明の方法により、発泡させたコンパウンド系を、マイクロバルーンを膨張させた後においても後加工することが可能になる道が開かれた。すなわち、とりわけ、追加の感熱性添加物、充填材、または添加剤、例えば、香料や架橋剤成分を、ポリマー・マトリックス中に含まれる膨張したマイクロバルーンを破壊せずに、混入させることができる。
【0032】
本発明による方法により、特に、発泡させたコンパウンド系、例えば発泡させた自己粘着性接着剤の熱架橋を実施可能にすることができ、発泡を、熱エネルギーを加えることで実現し、コンパウンド系をその過程で制御不能に架橋させてしまうことがない。
【0033】
したがって、これにより膨張過程を架橋工程から切り離すことができる。すなわち、架橋系の選択を、膨張させるマイクロバルーンの種類の選択と全く独立に行うことができ、あるいはその逆も行うことができる。
【0034】
マイクロバルーン
マイクロバルーンは、熱可塑性ポリマー殻を有する弾力性中空球である。これらの球は、低沸点液体または液化ガスで充たされている。殻の材料としては、とりわけポリアクリロニトリル、PVDC、PVC、またはポリアクリラートが用いられる。低沸点液体としては、とりわけ低級アルカン炭化水素、例えば、イソブタンまたはイソペンタンが適しており、圧力下で液化ガスとしてポリマー殻中に閉じ込められている。
【0035】
マイクロバルーンに作用を加えることにより、特に熱作用を加えることにより、一方において外側のポリマー殻が軟化する。同時に、殻中に存在する液相噴射ガスが気相に移行する。その際マイクロバルーンは非可逆的に拡張し、3次元的に膨張する。この膨張は、内部の圧力と外部の圧力が拮抗すると止まる。ポリマー殻は維持されたままなので、独立泡が得られる。
【0036】
例えば、Akzo Nobel社のExpancel DU(dry unexpanded)タイプのように、多くのマイクロバルーンタイプが商業的に入手可能であり、実質的に、大きさ(未膨張状態の直径で6〜45μm)や、膨張に必要な開始温度(75〜220℃)により区別されている。マイクロバルーンのタイプ、または発泡温度が、コンパウンドを調合するのに必要な温度パターンおよび機械パラメータに合わされるなら、コンパウンドの調合と発泡を一つの工程で同時に行うこともできる。
【0037】
さらに、未膨張のマイクロバルーンタイプが、固形分あるいはマイクロバルーンの含量が約40〜45重量%の水性分散液としても入手可能であり、さらに、ポリマーが結合したマイクロバルーン(マスターバッチ)、例えばマイクロバルーン濃度が約65重量%のエチレン酢酸ビニルとしても入手可能である。これらのマイクロバルーン分散液もマスターバッチも、DUタイプと同様に、本発明による方法に従った接着剤の発泡に適している。
【0038】
コンパウンド基材
前記コンパウンド系は、特に好ましくは、接着剤、特に有利には自己粘着性または感圧接着剤として使用できるポリマー系である。
【0039】
本発明の方法により、基本的には文献に記載された既知の全ての、とりわけ自己粘着性である、接着剤成分を無溶媒で加工できる。
【0040】
本発明の方法を実施するのに適した接着剤基材の選択は重要ではない。それらは、天然ゴム、および、ブロックコポリマーを含めた合成ゴム、およびそれらのブレンドを含有する熱可塑性エラストマーの群から、さらにはいわゆるポリアクリラート接着剤の群から選ぶことができる。
【0041】
接着剤としては、ポリウレタン、シリコーンゴム、および/またはポリオレフィン系のものも、使用できる。
【0042】
異なる基材の接着剤の混合系(天然および合成ゴム、ポリアクリラート、ポリウレタン、シリコーンゴム、ポリオレフィン、および/またはその他;および/または上述のポリマー類に対応するモノマーおよび/またはさらなるモノマーのコポリマー、といった化合物類の2または数種類のブレンド)も本発明により使用可能である。
【0043】
ゴム系接着剤の基材として有利なのは、天然ゴム、または合成ゴムの群から選ばれる、または天然ゴムおよび/または合成ゴムの任意のブレンドからなる、非熱可塑性エラストマーであり、ここで天然ゴムは、要求される純度および粘度水準に応じて、基本的には入手可能な全ての品質のもの、例えばクレープ、RSS、ADS、TSR、またはCVタイプから;また合成ゴムは、ランダム共重合スチレン・ブタジエン・ゴム(SBR)、ブタジエン・ゴム(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブチル・ゴム(IIR)、ハロゲン化ブチル・ゴム(XIIR)、アクリラートゴム(ACM)、エチレン・酢酸ビニル・コポリマー(EVA)、およびポリウレタンおよび/またはそれらのブレンドの群から選ぶことができる。
【0044】
さらに、好ましくは熱可塑性エラストマーを、接着剤の基材として選ぶことができる。
【0045】
ここでスチレン・ブロックコポリマー、とりわけスチレン・イソプレン・スチレン(SIS)タイプおよびスチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)タイプが、代表的なものとして挙げられる。
【0046】
さらに接着剤は、好ましくはポリアクリラートの群からも選ぶことができる。
【0047】
その際、少なくともモノマーの一部が、熱架橋反応において反応でき、および/または熱的架橋反応を促進する、官能基を有するのが有利である。
【0048】
本発明の方法には好ましくはポリアクリラートが使用され、これは、とりわけ軟性付与モノマー、さらに、架橋剤物質または架橋剤物質の一部との反応、とりわけ付加反応、および/または置換反応に加わることができる官能基を有するモノマー、ならびに任意選択で重合に取り込まれ得るコモノマー、とりわけ剛性付与モノマーを含む原料混合物に由来するものである。製造されるポリアクリラート類(感圧接着剤、ヒートシール材、粘弾性の非接着性材料および同等物)の性質は、特に各モノマー含量の相違によって生じるポリマーのガラス転移温度の変化の影響を受ける。
【0049】
純粋に結晶性の系においては、融点Tにおいて、結晶と液体の間に熱的平衡が存在する。これに対し、非晶質または部分結晶性の系は、多かれ少なかれ固い非晶質あるいは部分結晶性の相から、柔らかい(ゴム状ないしスラリー状の)相への転移を特徴とする。ガラス転移点において、特にポリマー系では、長い鎖セグメントのブラウン分子運動の「融解」(あるいは冷却時の「凍結」)が生じる。
【0050】
したがって、融点T(「融解温度」とも呼ばれ、本来は純粋な結晶系「ポリマー結晶」に対してのみ定義される)からガラス転移点T(「ガラス転移温度」、「ガラス温度」とも)への移行は、検査する試料の部分結晶性の割合に応じて流動的とされる。
【0051】
本明細書においては、上記説明の意味で、ガラス転移点というときには、融点をも含んでおり、ガラス転移点は(あるいは同じ意味で、ガラス転移温度は)、対応する融解する系における融点であると理解される。ガラス転移温度の表示は、低周波数での動的粘弾性測定(DMA)に基づいている。
【0052】
所望のガラス転移温度を有するポリマー、例えば感圧接着剤またはヒートシール材を得るために、モノマー混合物の量的組成を、Foxの式(T.G. Fox、Bull. Am. Phys. Soc. 1 (1956) 123参照)に類似の式(G1)に従い、前記ポリマーに対し所望のT値が得られるように選ぶのが有利である。
【0053】
【数1】

【0054】
式中、nは使用される各モノマーの通し番号であり、wはそれぞれのモノマーnの質量比率(重量%)であり、またTG,nはそれぞれのモノマーnのホモポリマーのガラス転移温度(K)である。
【0055】
好ましくは、以下のモノマー組成に由来するポリアクリラートを使用することができる。
a) 次式のアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル
CH=C(R)(COORII
式中、RはHまたはCHであり、RIIはC4〜C14のアルキル残基であり、
b) 架橋性物質または架橋性物質の一部に対する反応性について既に規定された種類の官能基を有するオレフィン性不飽和モノマー
c) 任意選択で、成分(a)と共重合可能な、さらなるアクリラートおよび/またはメタクリラートおよび/またはオレフィン性不飽和モノマー。
【0056】
ポリアクリラートを感圧接着剤として使用するには、各該当成分(a)、(b)、(c)の含量を、とりわけ重合生成物のガラス温度≦15℃(低周波数DMA)となるように選択する。
【0057】
感圧接着剤の製造には、モノマー成分(a)は含量45〜99重量%、モノマー成分(b)は含量1〜15重量%、そしてモノマー成分(c)は含量0〜40重量%(これらの数値は、「基材ポリマー」、すなわち完成ポリマーにおいて加わっていることのある樹脂等の添加剤を含まない、のためのモノマー混合物に基づく)となるように選ぶのが非常に有利である。
【0058】
加熱して初めて感圧接着性となる材料である、ホットメルト接着剤の用途では、各成分(a)、(b)、(c)の含量は、とりわけ、コポリマーのガラス転移温度(T)が、15℃〜100℃の範囲、好ましくは30℃〜80℃の範囲、特に好ましくは40℃〜60℃の範囲となるように選ぶ。成分(a)、(b)、(c)の含量は、これに対応して選ばれる。
【0059】
例えば、典型的には両面を感圧接着層で覆われ得る、粘弾性材料は、とりわけガラス転移温度(T)が、−50℃〜+100℃の範囲、好ましくは−20℃〜+60℃の範囲、特に好ましくは0℃〜40℃の範囲である。成分(a)、(b)、(c)の含量は、ここでも対応して選ばれる。
【0060】
成分(a)のモノマーは特に軟性付与性の、および/または非極性のモノマーである。
【0061】
モノマー(a)には、C4〜C14、好ましくはC4〜C9アルキル基を有するアクリル酸およびメタクリル酸エステルを含めたアクリルモノマーが好ましく使用される。そのようなモノマーの例として、n−ブチルアクリラート、n−ブチルメタクリラート、n−ペンチルアクリラート、n−ペンチルメタクリラート、n−アミルアクリラート、n−ヘキシルアクリラート、ヘキシルメタクリラート、n−ヘプチルアクリラート、n−オクチルアクリラート、n−オクチルメタクリラート、n−ノニルアクリラート、イソブチルアクリラート、イソオクチルアクリラート、イソオクチルメタクリラート、およびそれらの分岐異性体、例えば2−エチルヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルメタクリラートが挙げられる。
【0062】
成分(b)のモノマーは、特に、官能基を、とりわけエポキシ基と反応できる官能基を有するオレフィン性不飽和モノマー(b)である。
【0063】
成分(b)には、好ましくは以下のリストから選ばれる官能基を有するモノマーが使用される:ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、酸無水物、エポキシド、アミン。
【0064】
成分(b)のモノマーとして特に好ましいのは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸、ジメチルアクリル酸、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、トリクロロアクリル酸、酢酸ビニル、ビニルホスホン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリラート、アリルアルコール、グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラートである。
【0065】
成分(c)の趣旨からして、基本的には、成分(a)および/または成分(b)と共重合でき、生成する感圧接着剤の性質を調節するのに役立つ、全てのビニル官能性の化合物が使用できる。
【0066】
成分(c)用のモノマー例は:
メチルアクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、ベンジルアクリラート、ベンジルメタクリラート、sec−ブチルアクリラート、tert−ブチルアクリラート、フェニルアクリラート、フェニルメタクリラート、イソボルニルアクリラート、イソボルニルメタクリラート、t−ブチルフェニルアクリラート、t−ブチル−α−フェニルメタクリラート、ドデシルメタクリラート、イソデシルアクリラート、ラウリルアクリラート、n−ウンデシルアクリラート、ステアリルアクリラート、トリデシルアクリラート、ベヘニルアクリラート、シクロヘキシルメタクリラート、シクロペンチルメタクリラート、フェノキシエチルアクリラート、フェノキシエチルメタクリラート、2−ブトキシエチルメタクリラート、2−ブトキシエチルアクリラート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリラート、3,5−ジメチルアダマンチルアクリラート、4−クミルフェニルメタクリラート、シアノエチルアクリラート、シアノエチルメタクリラート、4−ビフェニルアクリラート、4−ビフェニルメタクリラート、2−ナフチルアクリラート、2−ナフチルメタクリラート、テトラヒドロフルフリルアクリラート、ジエチルアミノエチルアクリラート、ジエチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルアクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、2−ブトキシエチルアクリラート、2−ブトキシエチルメタクリラート、3−メトキシアクリル酸メチルエステル、3−メトキシブチルアクリラート、フェノキシエチルアクリラート、フェノキシエチルメタクリラート、2−フェノキシエチルメタクリラート、ブチルジグリコールメタクリラート、エチレングリコールアクリラート、エチレングリコールモノメチルアクリラート、メトキシポリエチレングリコールメタクリラート350、メトキシポリエチレングリコールメタクリラート500、プロピレングリコールモノメタクリラート、ブトキシジエチレングリコールメタクリラート、エトキシトリエチレングリコールメタクリラート、オクタフルオロペンチルアクリラート、オクタフルオロペンチルメタクリラート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリラート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリラート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリラート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリラート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリラート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリラート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリラート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルメタクリラート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N−(1−メチルウンデシル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−(n−オクタデシル)アクリルアミド、さらにN,N−ジアルキル置換アミド、(例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルエーテル、(例えばビニルメチルエーテル、エチルビニルエーテル、ビニルイソブチルエーテル)、ビニルエステル、(例えば酢酸ビニル)、塩化ビニル、ハロゲン化ビニル、塩化ビニリデン、ハロゲン化ビニリデン、ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルピロリドン、スチレン、α−およびp−メチルスチレン、a−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレン、3,4−ジメトキシスチレン;マクロモノマー、例えば2−ポリスチレンエチルメタクリラート(分子量Mwが4000〜13000g/mol)、ポリ(メチルメタクリラート)エチルメタクリラート(Mwが2000〜8000g/mol)。
【0067】
成分(c)のモノマーは、後での放射線化学的架橋(例えば、電子線照射、UV)を支援する官能基を有するように有利に選択できる。有利な共重合可能な光開始剤は、例えばベンゾインアクリラートおよびアクリラート官能化ベンゾフェノン誘導体である。電子線照射による架橋を支援するモノマーは、例えばテトラヒドロフルフリルアクリラート、N−tert−ブチルアクリルアミド、アリルアクリラートであるが、この列挙に制限されるわけではない。
【0068】
このコンパウンド系は、さらに、支持体層として、特に接着テープ用の支持体層として使用できるように選択できる。上記の化学的性質についての説明は、ここでもあてはまるが、そうした支持体層は、必ずしも接着性あるいは自己粘着性を示す必要はない(が、もちろん示してもよい)。
【0069】
添加剤
接着性付与樹脂として、文献記載の既知の全ての接着性樹脂が例外なく使用可能である。代表的には、コロホニウム樹脂、その不均化、水素化、重合化、エステル化した誘導体および塩、脂肪族および芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂が挙げられる。これら樹脂および他の樹脂との任意の組合せが、生成する接着剤の性質を所望どおりに調節するために使用できる。
【0070】
可塑剤として、接着テープ技術で知られる全ての軟性付与物質が使用できる。これには、とりわけ、パラフィンおよびナフテン油、(官能化)オリゴマー、(例えばオリゴブタジエン、オリゴイソプレン)、液体ニトリルゴム、液体テルペン樹脂、植物および動物油脂、フタル酸塩、官能化アクリラート、低分子量ポリアクリラート、水溶性可塑剤、軟質樹脂、リン酸塩、ポリリン酸塩、クエン酸塩が挙げられる。
【0071】
任意選択で、粉末状および顆粒状充填材、色料、顔料、特に摩耗性および強化性の、例えば白亜(CaCO)、酸化チタン、酸化亜鉛、黒鉛が添加できる。非常に好ましくは、異なる形状の白亜を充填材として使用でき、特に好ましくは白亜Mikrosoehlを使用する。
【0072】
さらに、難燃性充填材、(例えばポリリン酸アンモニウム)、さらに、導電性充填材、(例えば導電性黒鉛、炭素繊維、および/または銀被覆球)、さらに、伝熱性材料(例えば窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素)、さらに強磁性添加剤、(例えば酸化鉄(III))、さらに、増量用とりわけ発泡層形成用の、添加剤、(例えば膨張剤、ガラス充実球、ガラス中空球、他の材料製の微小球、ケイ酸、ケイ酸塩、木粉のような再生可能有機原料、有機および/または無機ナノ粒子、繊維)、さらに、老化防止剤、光安定剤、オゾン劣化防止剤、配合剤および/または膨張剤を、加えまたは練り込むことができる。老化防止剤としては好ましくは、一次老化防止剤、例えば、4−メトキシフェノールも、二次老化防止剤、例えばCiba Geigy社のIrgafos(登録商標)TNPPも、また相互の組合せも使用できる。ここでは、他の同様なCiba Geigy社のIrganox(登録商標)タイプ、あるいは、Clariant社のHostano(登録商標)だけを参照のために示す。さらなる卓越した老化防止剤として、フェノチアジン(Cラジカル捕捉剤)、ならびにヒドロキノンメチルエーテルを酸素の存在下で、ならびに酸素自体を使用できる。
【0073】
感熱性物質
感熱性物質は、例えば、コンパウンド系(接着剤あるいは感圧接着剤)の熱架橋用に使用される架橋性物質および/または架橋剤促進物質であり得る。そうした物質は、マイクロバルーンの膨張に必要な温度では、混合装置中で既に制御不能な架橋反応(ゲル化)を引き起こしてしまい、制御不能な架橋の程度に応じて、小塊生成から完全なブロック形成にまで到る。コンパウンド系の成形、特に接着剤および感圧接着剤にとって重要である一様で均質なコーティングは、もはや実行不能で、コンパウンド系も架橋度が高すぎると、感圧接着剤または自己粘着性接着剤としてのそれぞれの適性を失ってしまう。
【0074】
感熱性物質は、さらに、例えば、着色料、香料、特に高温で分解しまたはその他の理由でその色や香りの性質を失ってしまう物質でもあり得る。
【0075】
さらに、架橋剤系が感熱性成分と非感熱性成分からなり、例えば本来の架橋剤は非感熱性であるが、架橋剤促進剤は感熱性であってもよく、あるいはその逆でもよい。本発明の方法において熱開始化学架橋の目的に、加速硫黄系または加速硫黄供与体系、イソシアナート系、反応性メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、(場合によってはハロゲン化された)フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、あるいは対応する活性化剤を含む反応性フェノール樹脂系またはジイソシアナート架橋系、エポキシ化ポリエステル樹脂およびアクリラート樹脂、およびそれらの組合せといった、既知の全ての熱活性化化学架橋剤が使用できる。
【0076】
前記架橋剤は、50℃超の温度で、特に100℃〜160℃の温度で、非常に好ましくは110℃〜140℃の温度で活性化できるものが有利である。
【0077】
架橋剤の熱的励起は、例えば工程の熱(能動的温度調節、剪断熱)、IR照射、あるいは高エネルギー交番電界で行うことができる。
【0078】
非常に有利な一実施形態において、加えられる熱架橋剤は、イソシアナート、好ましくは三量体化したイソシアナートである。特に好ましい方式では、三量体化したイソシアナートが、脂肪族および/またはアミンで失活させたイソシアナートである。有利なイソシアナートの例には、MDI[4,4−メチレンジ(フェニルイソシアナート)]、HDI[1,6−ヘキシレンジイソシアナート]および/またはIPDI(イソホロンジイソシアナート)[5−イソシアナート−1−イソシアナートメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン]の三量化誘導体、ならびに、とりわけ三量化ポリイソシアナートおよび/または多官能性イソシアナートおよび/または多官能性ポリイソシアナートがある。
【0079】
ここで、特に、国際公開第2006/027387号A1(特許文献10)に有利なものとして強調されている熱架橋剤を参照されたい。
【0080】
さらに、少なくとも1つのエポキシ基含有物質を架橋剤として含有し、また前記ポリアクリラートの融点より低い温度、特に室温で、結合反応を促進するように働く少なくとも1つの物質(促進剤)、とりわけ多官能性アミンを含有する、とりわけポリアクリラートの熱架橋用の架橋剤・促進剤系を、非常に有利に使用できる。このとき前記架橋剤・促進剤系は、とりわけ官能基の存在下で、とりわけ付加または置換の形でエポキシ基との結合反応に加わることができる、コンパウンド構成要素中に混入される。好ましくは熱架橋においては、前記官能基を保持する構成要素が、エポキシ基を保持する構成要素と(特に、結合橋としてのエポキシ基を保持する物質を介して、官能基を保持する対応するポリマー構成要素が架橋するという意味において、)結合する。促進するように働く物質とは、その物質が本発明に適した十分な反応速度となるように架橋反応を支援し、他方、促進剤がなければ、選ばれた反応パラメータにおいて、ここでは特にポリアクリラートの融点より低い温度において、架橋反応が全くまたはゆっくりと不十分にしか進行しないようになるものを意味する。すなわち促進剤は、架橋反応の反応速度が実質的に向上するようにする。これは、本発明によれば触媒的にも、また反応経過中に組み込まれることによっても行われる。
【0081】
とりわけ、ドイツ特許出願公開第102007016950号A1(特許文献11)に開示されている架橋剤・促進剤系を参照されたい。
【0082】
支持体
片面または両面接着性の接着テープ用の支持体材料としては、全ての既知の繊維製支持体、例えば、ループパイル地、ベロア、紗、織布、編布、特にPETフィラメント織布またはポリアミド織布、または不織布、が使用できる。ここに「不織布」とは、少なくともEN29092(1998)による繊維製の面状物、ならびにステッチボンド不織布および類似の系を意味する。
【0083】
同様にスペーサー織布および編布を、貼り合わせ層と共に使用することができる。スペーサー織布は、マット状の層構造体で、繊維不織布またはフィラメント不織布製の被覆層、裏層、およびこれらの層の間にある離散したまたは束状の保持繊維からなるが、保持繊維は、層構造体の全面にわたって分布し、粒子層を貫いてニードリングを行い、被覆層と裏層を上下に結合する。粒子層を貫いてニードリングが行われた保持繊維は、被覆層と裏層の相互の間隔を維持するが、自身も被覆層および裏層と結合している。
【0084】
不織布としては、とりわけ結合強化した短繊維不織布が対象となるが、さらには、多くの場合、追加的に結合強化された、フィラメント方式、メルトブローン方式、およびスパンボンド方式不織布が対象になる。不織布に対して可能な結合強化方法としては、機械的、熱的ならびに化学的結合強化が知られている。機械的結合強化においては、単繊維を乱雑に絡み合わせ、繊維束にステッチを作り、または追加の糸で縫い付けることで繊維を純粋に機械的に結合する。熱的および化学的方法においては、繊維/繊維間結合が接着力で(バインダ使用)または凝集力で(バインダ不使用)達成される。処方および実施方法を適切にすれば、これらの結合強化は、例外なく、もしくは少なくとも大部分が、繊維の結節点に限定されるので、不織布内にゆるやかでかつ開放的な構造を維持しながら、安定的な3次元網目構造を形成する。
【0085】
とりわけ、別の糸での追加縫いか、ステッチにより結合強化された不織布が、特に有利であることがわかっている。
【0086】
こうした結合強化した不織布は、例えばKarl Mayer(前Malimo)社の型式マリフリース(Malivlies)のステッチボンド機で製造され、とりわけNaue Fasertechnik社、およびTechtex GmbH社から入手できる。マリフリースは、横配向繊維不織布(Querfaservlies)を、不織布の繊維でステッチを形成して結合強化することを特徴とする。
【0087】
支持体としてさらに、クーニット(Kunit)型不織布あるいはムルチクニット(Multiknit)型不織布を使用できる。クーニット型不織布は、縦方向に配向した繊維の不織布を加工して、一方の面にステッチが、他方の面にはステッチの結合部またはパイル繊維の折り目があるが、糸も既成の面状体も有していない面状体に作るところに特徴がある。そうした不織布も、例えばKarl Mayer社の型式「Kunitvlies」のステッチボンド機で、既に長年にわたり製造されている。この不織布は、長繊維不織布として、縦方向の大きな引張り力を負担できる、さらなる特徴がある。ムルチクニット型不織布は、クーニット型不織布に比べ、両面から針を刺すことで、上面に加え下面にも結合強化がなされる特徴がある。
【0088】
最後に、糸縫い不織布は、本発明の接着テープを作る中間製品としても適している。糸縫い不織布は、多数の互いに平行に並んだ縫い目を有する不織布材料で形成される。この縫い目は連続した繊維の糸を用い縫い込みまたはステッチボンドすることで作られる。この型の不織布に対しては、Karl Mayer(前Malimo)社の型式マリバット(Maliwatt)のステッチボンド機が知られている。
【0089】
さらに、Caliweb(登録商標)が抜きんでて適している。Caliweb(登録商標)は、外側にある2つのステッチ層と、ステッチ層に対して垂直に配向した内側にあるパイル層を有する、熱的に固定されたスペーサー不織布材ムルチクニットで構成されている。
【0090】
さらに、短繊維不織布が特に有利であって、これは第1の工程で機械的加工により予備的に結合強化されるか、あるいは水力学的に製反された湿式不織布であって、不織布の繊維の2%〜50%、特に不織布の繊維の5%〜40%を、溶融性繊維とする。
【0091】
この種の不織布は、繊維が湿式で製反されるか、あるいは、例えば、短繊維不織布を、不織布の繊維でステッチを作って、またはニードリング、縫い付け、あるいは空気および/または水噴射処理により予備的に結合強化することに特徴がある。
【0092】
第2の工程で、熱的固定を行い、溶融性繊維を溶融し、または部分溶融し、不織布の強度を再度増加させる。
【0093】
不織布支持体の結合強化は、バインダ無しで、例えば構造を持つロールを用いて熱エンボス加工することでも達成され、その際、圧力、温度、滞留時間、およびエンボス形状で、強度、厚さ、密度、柔軟性等の性質を制御することができる。
【0094】
繊維製の支持体の出発原料としては、特に、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ビスコース繊維、または木綿繊維が見込まれている。しかし本発明は上記の材料に限定されることはなく、当業者が発明活動を必要とすることなく知り得る、他の多くの繊維を、特に、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドといった耐摩耗性のポリマー、またはガラス繊維もしくは炭素繊維不織布の製造に使用することが可能である。
【0095】
支持体材料としては、紙(クレープ付きおよび/またはクレープ無し)製、ラミネート製、フィルム(例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、1軸または2軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、PAフィルム、PVCフィルムおよびその他のフィルム)製、または連続シート状の発泡材(例えば、ポリエチレンおよびポリウレタン製)製の支持体も適している。
【0096】
塗工側の支持体表面は、化学的または物理的に前処理されていてよく、支持体裏面は反接着物理処理または塗工を行ってよい。
【0097】
最後に、帯状の支持体材料は、ライナとも呼ばれる剥離紙または剥離フィルムのような両面が反接着塗工された材料であってもよい。
【0098】
方法
膨張性であるが未膨張のマイクロバルーンのコンパウンド系への混入は、マイクロバルーンを、とりわけ、コンパウンド系を作成するのに必要なさらなる成分(とりわけポリマー、および場合により樹脂、および/または充填材)と混合することによって行う。しかし、マイクロバルーンを既に融解したコンパウンド系に加えることもできる。
【0099】
方法のこの段階において、特に感受性の物質が熱架橋剤である場合、または熱架橋系であるか、もしくはそれを含む場合、特にこの架橋剤系のもので、この段階においては、例えば系の他の成分がまだ存在していないため、まだ熱的に反応しない成分を加えることができる。すなわち、この段階で既に、促進物質の存在下で初めて実質的な範囲で反応が行われる架橋剤は、加えることが可能である。
【0100】
特に熱架橋剤または熱架橋剤系を加える場合、熱的に架橋された物質を加える際に、コンパウンド系が未架橋の状態、もしくはごくわずかだけ架橋した状態にあるのが有利である。これによりコンパウンドの良好な成形が可能となる。
【0101】
混合装置としては、とりわけ連続的に働く混合装置、例えば遊星ローラ押出機が適している。
【0102】
この押出機において、コンパウンド系製造のための成分を供給し、とりわけ溶融させることができる。本発明によれば、予備調製された、溶媒を含まないコンパウンドを、輸送押出機、例えば一軸押出機を通し、または溶融槽を通して、スラリー化装置、とりわけ遊星ローラ押出機中に注入機構により供給し、マイクロバルーンを遊星ローラ押出機のフィード・ゾーンに供給することができる。
【0103】
マイクロバルーン発泡コンパウンドは、均一で閉塞されたコーティング像を得るために、通常コーティング前に脱気を行わなくてもよい。膨張するマイクロバルーンにより、混練中に接着剤中に閉じ込められた空気は押し出される。しかし、処理量が多いときには、ロール・ニップにおいて均一なコンパウンドの提示を得るためにコーティング前にコンパウンドを脱気するのが得策である。この脱気は、理想的には、ロール・コータの直前で、混合温度で、かつ周囲圧力との差圧を少なくとも200mbarとして行う。
【0104】
本発明によれば、マイクロバルーンの膨張後のコンパウンド系の冷却および感熱性物質の配合を、先に該コンパウンド系への未膨張のマイクロバルーンの配合を実施したのと同一の混合装置で行うことが可能である。本発明によれば、この過程を、第2の混合装置中で実施することもできる。
【0105】
混合されたコンパウンド系はとりわけ層に成形され、この工程は、特に有利にはロール・コータにより実施される。しかし、基本的には別の形態の発泡体に成形することもできる。
【0106】
とりわけ、コンパウンド系が(自己粘着性)接着剤である場合は、このようにして(自己粘着性)接着テープを製造できる。これには、(自己粘着性)接着剤を、連続シート状の支持体材料または剥離材料上に塗工するのがとりわけ有利である。
【0107】
発泡し、感熱性物質を加えられたコンパウンド系は、特に感熱性物が熱的架橋剤および/または促進剤であり、または熱架橋剤系を表し、または前述の成分を含む場合、有利な手順においては熱架橋される。この熱架橋は、とりわけ支持体材料または剥離材料上の、層への成形後に、とりわけ有利に実施できる。
【0108】
以下に、本発明による方法を2つの有利な変形実施形態に関して、より詳細に説明するが、この方法変形形態を選択することで、不必要な制限を課すことを意図するものではない。
【0109】
第1の非常に有利な手順は、下記の方法の流れ(図1も参照)を特徴とする。
・第1の混合装置中で、まず膨張性マイクロバルーンと、場合によりさらなる添加剤を、コンパウンド系中に加え、
・マイクロバルーンと混合したコンパウンド系を、とりわけ過圧下で、少なくとも通常圧でのマイクロバルーンの膨張温度と同じ温度まで、有利にはこれより高くまで加熱し、
・マイクロバルーンを、とりわけ第1の混合装置から取り出す際に膨張させ、
・コンパウンド系を第2の混合装置中に、コンパウンド系が第2の混合装置中において、マイクロバルーンの膨張温度より低い温度で存在するように入れ、
・感熱性物質を第2の混合装置中で加え、
・そのように混合したコンパウンド系を成形する。
【0110】
コンパウンド系の、マイクロバルーンの膨張温度より低い温度への冷却は、コンパウンド系の第2の混合装置への移送中、および/または第2の混合装置への移送の後に行われる。これに応じて、感受性物質の添加は、コンパウンド系の冷却中および/または後に、とりわけ冷却後に、行われる。
【0111】
さらなる非常に有利な手順は、下記の方法の流れ(図2も参照)を特徴とする。
・第1の混合装置中で、まず膨張性マイクロバルーンと、場合によりさらなる添加剤を、コンパウンド系中に加え、
・マイクロバルーンと混合したコンパウンド系を、とりわけ過圧下で、混合装置の第1の混合域中で、少なくとも通常圧でのマイクロバルーンの膨張温度と同じ温度まで、有利にはこれより高くまで加熱し、
・続いて、コンパウンド系を第1の混合装置の第1の混合域から第2の混合域に、第2の混合域中でコンパウンド系が、マイクロバルーンの膨張温度より低い温度で存在するように移送し、
・コンパウンド系の第2の混合域への移送に際し、および/または第2の混合域への移送の後に、感熱性物質を加え、
・そのように混合したコンパウンド系を成形する。
【0112】
コンパウンド系の、マイクロバルーンの膨張温度より低い温度への冷却は、コンパウンド系の第2の混合域への移送中、および/または第2の混合域への移送の後に行われる。これに応じて、感受性物質の添加は、コンパウンド系の冷却中および/または後に、とりわけ冷却後に、行われる。
【0113】
上述した本発明の思想に含まれる方法で、特に際立った形態の変形形態を以下に例示するが、描かれた図を選択することで不必要な制限を加えることを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】マイクロバルーンの膨張が第1の混合装置で行われ、続いて感熱性の添加剤または充填材の添加が第2の混合装置で行われる、2つの混合装置による方法を示す図である。
【図2】マイクロバルーンの膨張および感熱性の添加剤または充填材の添加が、1つの混合装置で行われる、1つの混合装置による方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0115】
図1には、発泡させたコンパウンド系の製造の特に有利な形態の方法が示される。
【0116】
発泡性コンパウンド系を形成することになる原料Eと、さらにマイクロバルーンMBが、例えば遊星ローラ押出機(PWE)2といった連続混合装置中に供給される。
【0117】
ただし、予備調製された溶媒を含まないコンパウンドKを、例えば一軸押出機(ESE)1といった輸送押出機を通し、または溶融槽5を通し、注入機構23により遊星ローラ押出機(PWE)2中に供給し、マイクロバルーンMBはPWE2のフィード・ゾーンでこれに加えることも可能である。
【0118】
次に、マイクロバルーンMBが、PWE2中で、無溶媒のコンパウンドKと、または原料Eと、均質なコンパウンド系に混合され、PWE2の第1の加熱および混合域21で、マイクロバルーンの膨張に必要な温度にまで加熱される。
【0119】
第2の注入リング24で、膨張したマイクロバルーンを含有するコンパウンド系S中に、例えば、架橋促進剤といった、さらなる添加剤または充填材25を加えることができる。
【0120】
感熱性の添加剤または充填材25を充填することができるように、注入リング24と第2の加熱および混合域22は、好ましくは冷却される。
【0121】
発泡させたコンパウンド系は、続いて例えば二軸押出機(DSE)3といった、さらなる連続混合装置中に移され、架橋成分、例えば触媒といった、さらなる充填材または添加剤と、発泡させたマイクロバルーンMBを破壊しないように、温和な温度で混合される。
【0122】
マイクロバルーンMBは、PWE2の吐出ノズル部でも既にそうであったように、DSE3の吐出ノズル部でコンパウンド表面から突き出る。
【0123】
ロール・コータ4を成形装置として用い、この泡状のコンパウンドSはカレンダ加工され、連続シート状の支持体材料44例えば剥離紙の上に塗工されるが、ロール間隙において部分的後発泡が生じうる。ロール・コータ4は、ドクタ・ロール41および塗工ロール42からなる。後者上に、剥離紙44が巻き上げロール43によって案内され、塗工ロール42から泡状のコンパウンドSが剥離紙44に移される。
【0124】
同時に、膨張したマイクロバルーンMBは、泡状のコンパウンドSのポリマー・マトリックス中に再度押し込まれ、嵩比重が150kg/m未満と非常に低いにもかかわらず、表面が平滑でかつ自己粘着性接着剤の発泡の際に持続的に(逆行せずに)接着力のある表面が生成する。
【0125】
図2に、発泡したコンパウンド系の製造方法の、別の特に好適な形態を示す。
【0126】
発泡性コンパウンド系を形成することになる原料EおよびマイクロバルーンMBが、例えば遊星ローラ押出機(PWE)2といった連続混合装置中に供給される。
【0127】
ただし、予備調製された溶媒を含まないコンパウンドKを、例えば一軸押出機(ESE)1といった輸送押出機を通し、または溶融槽5を通し、注入機構23により遊星ローラ押出機(PWE)2中に供給し、マイクロバルーンMBはPWE2のフィード・ゾーンでこれに加えることも可能である。
【0128】
次に、マイクロバルーンMBが、PWE2中で、無溶媒のコンパウンドKと、または原料Eと、均質なコンパウンド系に混合され、PWE2の第1の加熱および混合域21で、マイクロバルーンの膨張に必要な温度にまで加熱される。
【0129】
第2の注入リング24で、膨張したマイクロバルーンを含有するコンパウンド系S中に、例えば、架橋促進剤といった、さらなる添加剤または充填材25を加えることができる。
【0130】
感熱性の添加剤または充填材25を充填することができるように、注入リング24と第2の加熱および混合域22は、冷却される。
【0131】
膨張したマイクロバルーンMBは、ESE2のダイ出口でコンパウンドの表面から突出する。
【0132】
ロール・コータ4により、この泡状のコンパウンドSはカレンダ加工され、連続シート状の支持体材料44、例えば剥離紙の上に塗工されるが、ロール間隙において部分的後発泡が生じうる。ロール・コータ4は、ドクタ・ロール41および塗工ロール42からなる。後者上に、剥離紙44が巻き上げロール43によって案内され、塗工ロール42から泡状のコンパウンドSが剥離紙44に移される。
【0133】
同時に、膨張したマイクロバルーンMBは、泡状のコンパウンドSのポリマー・マトリックス中に再度押し込まれ、嵩比重が150kg/m未満と非常に低いにもかかわらず、表面が平滑でかつ自己粘着性接着剤の発泡の際に持続的に(逆行せずに)接着力のある表面が生成する。
【0134】
接着剤/接着テープ
本発明の方法により得られる接着剤、とりわけ自己粘着性接着剤も、本発明の目的である。とりわけ本発明の目的は、熱架橋され、マイクロバルーンによって発泡させた接着剤、特に自己粘着性接着剤である。
【0135】
発泡させた接着剤の便益は、1つにはコスト削減にある。同じ層厚での塗布質量が何分の一にも減少できるので、原料を節減できる。加えて、接着剤の同じ処理量または製造量で、コーティング速度を高めることができる。
【0136】
熱架橋の利点は、架橋プロフィールを示さない、とりわけ接着剤層において層を貫く架橋プロフィールを示さない、接着剤が得られることである。放射線照射による架橋では、照射の浸透深さの制限のため、必ず多かれ少なかれそうしたプロフィールが生じ、発泡系がしばしば使用される肉厚層ではなおさらそうである。
【0137】
さらに、接着剤の発泡により、接着技術的にあるいは応用技術的に改善された特性が得られる。
【0138】
前述の接着力低下の減少は、膨張させたマイクロバルーンが、塗工作業中に、ポリマー・マトリックス中に圧し戻されることで得られる優れた表面特性によりもたらされる。
【0139】
さらに発泡自己粘着性接着剤は、同じポリマー系の無発泡コンパウンドに比べ、例えば、低温耐衝撃性の改善、粗面の下地に対する接着力の向上、平滑ではない下地に対する発泡接着剤のより良い減衰および/またはシール性もしくは順応性、より好ましい圧縮硬さ特性、および改良された圧縮能力といった、さらなる性能特性を獲得する。
【実施例】
【0140】
本発明の自己粘着性接着剤の特徴的性質あるいは付加的機能の幾つかは、例の中でさらに説明する。
【0141】
好ましいホットメルト接着剤を用いた発泡接着剤は、膨張したマイクロバルーンが、塗工中にロール間隙で、あらためてポリマー・マトリックス中に圧し戻され、このため表面粗さRが10μm未満と好適な値を示す、平滑な接着性の表面を有する。表面粗さの測定は、非常に平滑な支持体を土台としており、自身も表面粗さRが1μm未満である接着テープにのみ適している。したがって、実用にされる支持体、例えばクレープ紙あるいは不織布および織布で、表面粗さが大きなものにおいては、本方法の利点について記述するのに、製品の表面粗さの測定は適していない。
【0142】
本発明の好ましい実施形態における接着剤中のマイクロバルーンの割合は、0重量%を超え30重量%以下、特に0.5重量%と10重量%の間である。
【0143】
また、好ましくは、マイクロバルーンは、25℃で直径が3μm〜40μm、特に5μm〜20μmを、および/または温度を作用させた後で直径が20μm〜200μm、特に40μm〜100μmを示す。
【0144】
従来知られたいかなる製造方法による、マイクロバルーンを用いて発泡させた接着剤システムでも、粗く、接着力がごく小さいか無い、接着剤表面が形成された。
【0145】
溶媒を用いて塗工した自己粘着性接着剤においては、0.5重量%と低いマイクロバルーン含量から、接着力(剥離力)の低下が40%を超えることになる。マイクロバルーン含量を増加すると、接着力はさらに低下し、凝集力は増加する。
【0146】
マイクロバルーン含量がわずか1重量%であっても、接着剤の接着力は非常に低い。
【0147】
これは、比較例1.1および1.2、あるいは表3によって裏付けられている。
【0148】
マイクロバルーンを用いて発泡させた接着剤も嵩比重と、目付け量および組成が同じ接着剤で膨張したマイクロバルーンで生じた空隙を破壊して脱泡させたものの嵩比重との比は、好ましくは0.9より小さい。
【0149】
こうした挙動は、無溶媒のダイ・コーティングにおいても現れ、マイクロバルーンが押出機/ダイから吐出された後に圧力差を解消する際に発泡し、接着剤マトリックスから突出する。
【0150】
さらに、本発明の思想には、前記接着剤を用いて、連続シート状材料の少なくとも片面に接着剤を塗工することで製造した自己粘着性接着テープも含まれる。両面を接着性に加工した接着テープにおいて、接着コートを両面とも発明によるものにすることもできる。あるいは、いずれか一方のコートのみを発明によるものにし、他方の面は(接着テープの果たす使命に合わせて)任意に選ぶようにする。
【0151】
支持体材料としてフィルム、織布、あるいは紙が好ましく、その片面に(自己粘着性)接着剤を塗工する。
【0152】
さらに、好ましくは(自己粘着性)接着剤を剥離紙または剥離フィルムに塗工することで、略称でフィックス(Fix)とも呼ばれる支持体の無い接着テープが得られる。
【0153】
接着テープにおいて連続シート状の支持体材料上の接着剤の厚さは20μm〜3000μm、好ましくは40μm〜150μmとできる。
【0154】
さらに、接着剤層を、とりわけ架橋後に、支持体の無い両面接着性の自己粘着性接着テープとして使用するときには、厚さが20μm〜3000μmの接着剤を剥離材の上に塗工できる。
【0155】
実験的試験
以下の試験方法を、例において示されている測定値を得るために適用する。
【0156】
試験方法
表面粗さの測定
PRIMOSシステムは照明ユニットと撮影ユニットからなる。照明ユニットは、デジタル微小鏡投映機を用いて、表面上に直線を投映する。投映される平行な直線は、表面構造により偏移され、すなわち、変調される。
【0157】
変調された直線の記録用に、いわゆる三角測量角度である、所定の角度に配置されたCCDカメラを用いる。
測定野の寸法: 14.5×23.4mm
断面長さ: 20.0mm
表面粗さ: 縁から1.0mm離れる(Xm=21.4mm;Ym=12.5mm)
フィルタ: 3次多項式フィルタ
【0158】
対応する測定装置は、例えばGFMesstechnik GmbH、Teltowから購入できる。
【0159】
剥離強度(接着力)KK
剥離強度(接着力)の試験はPSTC−1に準拠して行う。
【0160】
検査する(自己粘着性)接着テープの所定幅(標準:20mm)の試験片を、研磨した鋼板、あるいは他の所望の接着/試験基板、例えばポリエチレンまたはポリカーボナート等、の上に、5kgの鋼製ロールを10回転動させて接着する。両面接着テープは、36μm厚の硬質PVCフィルムで裏面を強化する。このように調製された板を、試験装置に装着し、接着テープの遊離端を引張試験機で、剥離角180°、速度300mm/分で引き剥がし、これに必要な力を求める。測定結果は、N/cmで示され、3測定値の平均をとる。全ての測定は、温度調節された室中で23℃および相対湿度50%下で行う。
【0161】
剪断強度の定量:静的剪断力試験(剪断耐久時間SSZ)
接着テープを所定の固い接着基板(ここでは鋼板)に貼り、一定の剪断負荷をかける。耐久時間を分単位で測定する。
【0162】
板の吊り下げを適切に行う(角度179±1°)ことで、接着テープが板の下縁から剥がされないようにする。
【0163】
この試験は第一にコンパウンドの凝集力についての知見を与える。ただし、これは、重量と温度のパラメータが、試験において、実際に凝集の破壊が生じるように選ばれたときにのみ当てはまる。
【0164】
さもないときは、この試験は接着基板に対する接着力について、あるいは接着力とコンパウンドの凝集力の組合せについての情報を与える。
【0165】
試験する接着テープの13mm幅の試験片を、研磨した鋼板(試験基板)に、5cm長さにわたり、2kgのロールを10回転動して貼付する。両面接着テープは、背面を50μm厚のアルミニウム箔で被覆して強化する。続いて、輪ベルトを接着テープの下端に取り付ける。さらに、所定の角度である179±1°を保証できるように、ボルトとナットでアダプター板を、剪断試験板の前面に固定する。
【0166】
ロール掛けから負荷荷重までの準備時間は10〜15分とする。続いて、錘を輪ベルトを利用して衝撃を与えないように吊るす。
【0167】
自動カウンタが試験試料の剪断時点を決定する。
【0168】
嵩密度/密度
【0169】
ピクノメータによる密度測定
ピクノメータ中に入っている液体の排除を測定原理としている。このとき、まず空の、ないしは、液体で満たされたピクノメータの重量を測り、つぎに測定する物体を該容器中に入れる。
重量の差から、物体の密度を計算する。
ここで、
・mは、空のピクノメータの質量、
・mは、水で満たしたピクノメータの質量、
・mは、固体を入れたピクノメータの質量、
・mは、水で満たされた、固体を入れたピクノメータの質量、
・ρは、同じ温度のときの水の密度、
・ρは、固体の密度、
とすると、
固体の密度は、
【0170】
【数2】

となる。
サンプルごとに3回の測定が行われる。
【0171】
塗布質量と層厚による密度測定の迅速方法
コーティングされた自己粘着性接着剤の嵩比重または密度が、目付け量とそのときの層厚の比から求められる。
【0172】
【数3】

MA=塗布質量(目付け量、ライナー重量を除く)[kg/m単位]
d=層厚(ライナーの厚みを除く)[m単位]
【0173】
例の基礎
以下に比較例ならびに例を用いて、本発明をさらに詳しく説明するが、それらによって本発明の対象を何ら限定するものでない。
【0174】
下記の比較例1.1および1.2は、溶媒による発泡に比べての、本発明のホットメルト法による自己粘着性接着剤の発泡の利点を示している。
【0175】
別の比較例2に示されるように、本発明の方法により達成される利点は、完成した発泡自己粘着性接着テープにおいて最も簡単な方法で実証できる。
【0176】
簡潔にするため、例中における「ホットメルト」という表現は、本発明の方法を表す「ホットメルト法」と同じ意味とする。
【0177】
使用原料
下記の例において、以下の原料を使用した。
【0178】
【表1】

【0179】
予備調製されたコンパウンド基材の基材処方
【0180】
【表2】

【0181】
予備調製されたコンパウンド基材の変形製法
製法H1
上掲のモノマー混合物(量の表示は重量%)を溶液中で共重合させる。重合混合物は、60重量%のモノマー混合物と、40重量%の溶媒(例えば、ベンジン65/アセトン95)からなる。この溶液を、慣用のガラスまたは鋼製の反応容器(還流冷却器、撹拌器、温度測定ユニット、ガス送入管が設けられている)中で、まず窒素を流して酸素をパージしてから、沸騰するまで加熱する。
【0182】
0.2〜0.4重量%の過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウロイル、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合用として慣用の開始剤の1つを加え、重合を開始する。
【0183】
約20時間の重合時間中に、粘度によって、場合によっては何回か追加の溶媒で希釈し、生成するポリマー溶液の固体含量を35〜55重量%とする。
【0184】
圧力を下げること、および/または温度を上げることによって、濃縮を行う。
【0185】
製法H2
均質な混合により、したがって、示された出発物質を示された量比で反応させることによって、分岐した、熱可塑的に加工できる、ヒドロキシル官能化ポリウレタン・ホットメルト・プレポリマーを製造した。
【0186】
まず、表に挙げた全ての出発物質のうち、MP DiolとVestanat IPDI以外のものを、温度70℃、圧力100mbarで1.5時間混合した。次に、MP Diolを15分間かけて混入し、続いてVestanat IPDIを、同じく15分間かけて混入した。発生する反応熱により、混合物は100℃に昇温し、その一部を保管容器中に移した。他の部分は直接に部分工程B)でさらに加工した。
【0187】
生成したプレポリマーは、室温で固体であった。その複素粘度η*は室温(23℃)で22000Pas、70℃では5500Pasであった。
【0188】
重量平均分子量Mは125000g/mol、数平均分子量Mは17800g/molであった。
【0189】
予備調製されたコンパウンド基材Kに基づく本発明に従って発泡させたコンパウンド系の処方
【0190】
【表3】

【0191】
本発明による製造方法V
方法V1
製造は、図1に対する説明で述べた通り行う。
温度パターンおよび機械パラメータは、製造するコンパウンド系に、例えばコンパウンド化すべきポリマー・マトリックス、架橋系、マイクロバルーンの種類、および/または各種のさらなる添加剤および充填材に適合されており、例において詳述されている。
【0192】
方法V2
製造は、図2に対する説明で述べた通り行う。
温度パターンおよび機械パラメータは、製造するコンパウンド系に、例えばコンパウンド化すべきポリマー・マトリックス、架橋系、マイクロバルーンの種類、および/または各種のさらなる添加剤および充填材に適合されており、例において詳述されている。
【0193】

例1
同一のコンパウンド基材で、段階をつけたマイクロバルーン含量
【0194】
【表4】

【0195】
例2
同一のコンパウンド基材、一定のマイクロバルーン含量で、段階をつけた樹脂含量
【0196】
【表5】

【0197】
例3
未発泡/発泡、樹脂無し/樹脂有りの比較
【0198】
【表6】

未発泡コンパウンドは後からの脱気が必要なので、サンプルS7およびS9は、製造過程1による。これに対し発泡させたコンパウンドはこれが必要でなく、したがってサンプルS8およびS10は、方法2に従って製造する。
【0199】
例4
段階をつけたマイクロバルーン含量のポリウレタンコンパウンド
【0200】
【表7】

【0201】
例5
試験サンプルS11〜S14は、後から両面を50g/mの補充塗工コンパウンドで覆う。
三層構造
【0202】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパウンド系を第1の工程において第1の温度で発泡させる、感熱性物質を含有する発泡させたコンパウンド系の製造方法において、
前記感熱性物質を、次の工程において、第1の温度より低い第2の温度で、前記コンパウンド系に加えることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
コンパウンド系を発泡させるときの前記第1の温度が、マイクロバルーンの膨張温度と同じ、またはそれより高く、また、感熱性物質をコンパウンド系に加えるときの前記第2の温度が、前記マイクロバルーンの膨張温度より低いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の混合装置中で、まず膨張性マイクロバルーンと、場合によりさらなる添加剤を、コンパウンド系中に加え、
前記マイクロバルーンと混合した前記コンパウンド系を、とりわけ過圧下で、少なくとも通常圧でのマイクロバルーンの膨張温度と同じ温度まで、有利にはこれより高くまで加熱し、
前記マイクロバルーンを、とりわけ第1の混合装置から取り出す際に膨張させ、
前記コンパウンド系を第2の混合装置中に、該コンパウンド系が該第2の混合装置中において、マイクロバルーンの膨張温度より低い温度下に存在するように入れ、
前記感熱性物質を前記第2の混合装置中で加え、
そのように混合したコンパウンド系を成形する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1の混合装置中で、まず膨張性マイクロバルーンと、場合によりさらなる添加剤を、コンパウンド系中に加え、
前記マイクロバルーンと混合した前記コンパウンド系を、とりわけ過圧下で、前記混合装置の第1の混合域中で、少なくとも通常圧でのマイクロバルーンの膨張温度と同じ温度まで、有利にはこれより高くまで加熱し、
続いて、前記コンパウンド系を前記第1の混合装置の第1の混合域から第2の混合域に、該第2の混合域中で該コンパウンド系が、マイクロバルーンの膨張温度より低い温度下に存在するように移送し、
コンパウンド系の前記第2の混合域への移送に際し、および/または前記第2の混合域への移送の後に、前記感熱性物質を加え、
そのように混合したコンパウンド系を成形する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記コンパウンド系が、接着剤、とりわけ自己粘着性接着剤であり、または接着剤を含み、または、接着剤として使用できることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記感熱性物質、または前記感熱性物質の一部が熱架橋剤であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記感熱性物質、または前記感熱性物質の一部が、熱架橋反応の促進剤および/または調節剤であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
熱架橋させた物質を加える際に、前記コンパウンド系が非架橋状態にあることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
発泡され前記感熱性物質を有する前記コンパウンド系が、とりわけ支持体材料または剥離材料上で、層に成形されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記コンパウンド系が熱架橋されることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記熱架橋反応、または前記熱架橋反応の大部分が、とりわけ支持体材料または剥離材料上で、層に成形された後に行われることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一つに従って得られる、発泡させたコンパウンド系。
【請求項13】
請求項12に記載の発泡させたコンパウンド系の、接着剤としての、とりわけ自己粘着性接着剤としての、片面もしくは両面接着性(自己粘着性)接着テープへの使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−522855(P2012−522855A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502560(P2012−502560)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053541
【国際公開番号】WO2010/112346
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】