説明

発泡性アルコール飲料及びその製造方法

【課題】とろみを有する発泡性アルコール飲料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る発泡性アルコール飲料の製造方法は、大麦原料を含む発酵前液原料と水とを使用して、0.1重量%以上のβグルカンを含有する発酵前液を調製する発酵前工程(10)と、前記発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う発酵工程(20)と、0.1重量%以上のβグルカンを含有し、とろみを有する発泡性アルコール飲料を得る発酵後工程(30)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性アルコール飲料及びその製造方法に関し、特に、発泡性アルコール飲料に対する、とろみの付与に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビール等の発泡性アルコール飲料を製造する方法においては、麦汁の粘度が増加すると、ろ過の問題を引き起こすため、当該麦汁の粘度を低減する工夫がなされていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−215380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、従来、とろみを有する発泡性アルコール飲料は実現されていなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、とろみを有する発泡性アルコール飲料及びその製造方法を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法は、大麦原料を含む発酵前液原料と水とを使用して、0.1重量%以上のβグルカンを含有する発酵前液を調製する発酵前工程と、前記発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う発酵工程と、0.1重量%以上のβグルカンを含有し、とろみを有する発泡性アルコール飲料を得る発酵後工程と、を含むことを特徴とする。本発明によれば、とろみを有する発泡性アルコール飲料の製造方法を提供することができる。
【0007】
また、前記大麦原料は、乾燥重量あたり6.5重量%以上のβグルカンを含有する大麦を含むこととしてもよい。また、前記発酵前液原料は、小麦原料をさらに含むこととしてもよい。
【0008】
また、前記発酵前液原料は、大麦又は大麦及び小麦と、前記大麦あたり又は前記大麦及び小麦あたり0.004U/g以上、0.20U/g以下のβグルカナーゼと、を含み、前記発酵前工程において、前記大麦又は前記大麦及び小麦と、前記βグルカナーゼと、を含有する原料液を調製し、前記βグルカナーゼによる酵素処理を行って、前記発酵前液を調製することとしてもよい。また、前記発酵前工程において、前記大麦原料を含有する原料液を調製し、前記原料液を80℃より高い温度でろ過して、前記発酵前液を調製することとしてもよい。
【0009】
また、前記発酵後工程において、粘度が2.5mPa・s以上である前記発泡性アルコール飲料を得ることとしてもよい。この場合、前記発酵後工程において、粘度が4.0mPa・s以上である前記発泡性アルコール飲料を得ることとしてもよい。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料は、前記いずれかの方法により製造されたことを特徴とする。本発明によれば、とろみを有する発泡性アルコール飲料を提供することができる。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料は、0.1重量%以上のβグルカンを含有し、とろみを有することを特徴とする。本発明によれば、とろみを有する発泡性アルコール飲料を提供することができる。
【0012】
また、前記発泡性アルコール飲料は、粘度が2.5mPa・s以上であることとしてもよい。この場合、前記発泡性アルコール飲料は、粘度が4.0mPa・s以上であることとしてもよい。
【0013】
また、前記発泡性アルコール飲料は、乾燥重量あたり6.5重量%以上のβグルカンを含有する大麦を使用して製造されたこととしてもよい。また、前記発泡性アルコール飲料は、大麦原料と小麦原料とを使用して製造されたこととしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、とろみを有する発泡性アルコール飲料及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法の一例に含まれる主な工程を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料及びその製造方法の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態に限られるものではない。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法(以下、「本製造方法」という。)の一例に含まれる主な工程を示す説明図である。図1に示すように、本製造方法は、大麦原料を含む発酵前液原料と水とを使用して、0.1重量%以上のβグルカンを含有する発酵前液を調製する発酵前工程10と、当該発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う発酵工程20と、0.1重量%以上のβグルカンを含有し、とろみを有する発泡性アルコール飲料を得る発酵後工程30と、を含む。
【0018】
なお、本発明でいうアルコール飲料とは、例えば、エタノールを1体積%以上の濃度で含有する飲料である。そして、本発明でいう発泡性アルコール飲料とは、ビール、発泡酒、発泡酒にスピリッツを添加してなるアルコール飲料等、炭酸ガスを含有するアルコール飲料であって、例えば、グラス等の容器に注いだ際に液面上部に泡の層が形成される泡立ち特性と、その形成された泡が一定時間以上保たれる泡持ち特性と、を有するアルコール飲料である。具体的に、この発泡性アルコール飲料は、例えば、EBC(European Brewery Convention:欧州醸造協会)法によるNIBEM値(泡持ち特性を表す単位)で50以上を示すアルコール飲料である。
【0019】
発酵前工程10においては、まず、大麦原料を含む発酵前液原料を準備する。大麦原料としては、発芽させた大麦(以下、「大麦麦芽」という。)及び発芽させていない大麦(以下、「大麦」という。)の一方又は両方を使用することができる。
【0020】
大麦原料は、乾燥重量あたり6.5重量%以上のβグルカンを含有する大麦(以下、「高βグルカン大麦」という。)を含むことができる。すなわち、発酵前液原料は、大麦原料の一部又は全部として、高βグルカン大麦を含むことができる。
【0021】
この場合、発酵前液原料は、例えば、当該発酵前液原料あたり10重量%以上、99重量%以下、好ましくは15重量%以上、95重量%以下の高βグルカン大麦を含むことができる。
【0022】
また、高βグルカン大麦としては、乾燥重量あたり7.0重量%以上のβグルカンを含有する大麦を使用することもできる。具体的に、高βグルカン大麦としては、例えば、乾燥重量あたり6.5重量%以上、10.0重量%以下、好ましくは7.0重量%以上、9.0重量%以下のβグルカンを含有するものを使用することができる。
【0023】
なお、高βグルカン大麦は、従来、発泡性アルコール飲料の製造方法においては使用されていなかった特殊な大麦である。すなわち、従来使用されていた通常の大麦は、βグルカンの含有量が高いものであっても、乾燥重量あたり3.0重量%〜5.0重量%のβグルカンを含有するに過ぎなかった。これに対し、本製造方法においては、従来にない「とろみ」を発泡性アルコール飲料に付与するという目的を達成する手段の一つとして、従来は使用されていなかった、βグルカンを豊富に含有する高βグルカン大麦を使用する。
【0024】
また、大麦原料は、高βグルカン大麦と、大麦麦芽と、を含むことができる。すなわち、発酵前液原料は、大麦原料の一部又は全部として、高βグルカン大麦と大麦麦芽とを含むことができる。大麦麦芽は、特に限られず、任意の1種以上を使用することができる。すなわち、大麦麦芽としては、例えば、従来から発泡性アルコール飲料の製造において使用されている大麦麦芽を使用することができる。大麦麦芽は、適切な温度で、酸素の存在下、大麦に適切な量の水分を浸み込ませ、発芽させることにより、調製することができる。
【0025】
この場合、発酵前液原料は、例えば、当該発酵前液原料あたり10重量%以上、99重量%以下の高βグルカン大麦及び1重量%以上、90重量%以下の大麦麦芽、好ましくは15重量%以上、95重量%以下の高βグルカン大麦及び5重量%以上、85重量%以下の大麦麦芽を含むことができる。
【0026】
また、大麦原料は、乾燥重量あたり1.9重量%以上のβグルカンを含有する大麦麦芽(以下、「高βグルカン大麦麦芽」という。)を含むことができる。すなわち、発酵前液原料は、大麦原料の一部又は全部として、高βグルカン大麦麦芽を含むことができる。高βグルカン大麦麦芽は、例えば、高βグルカン大麦を発芽させることにより、調製することができる。
【0027】
この場合、発酵前液原料は、例えば、当該発酵前液原料あたり33重量%以上、100重量%以下、好ましくは35重量%以上、95重量%以下の高βグルカン大麦麦芽を含むことができる。
【0028】
また、高βグルカン大麦麦芽としては、乾燥重量あたり4.0重量%以上のβグルカンを含有する大麦麦芽を使用することもできる。具体的に、高βグルカン大麦麦芽としては、例えば、乾燥重量あたり1.9重量%以上、6.0重量%以下、好ましくは4.0重量%以上、6.0重量%以下のβグルカンを含有するものを使用することができる。
【0029】
なお、高βグルカン大麦麦芽は、従来、発泡性アルコール飲料の製造方法においては使用されていなかった特殊な大麦麦芽である。すなわち、従来使用されていた通常の大麦麦芽は、βグルカンの含有量が高いものであっても、乾燥重量あたり0.04重量%〜0.30重量%のβグルカンを含有するに過ぎなかった。これに対し、本製造方法においては、従来にない「とろみ」を発泡性アルコール飲料に付与するという目的を達成する手段の一つとして、従来は使用されていなかった、βグルカンを豊富に含有する高βグルカン大麦麦芽を使用する。
【0030】
また、大麦原料は、高βグルカン大麦と高βグルカン大麦麦芽とを含むことができる。すなわち、発酵前液原料は、大麦原料の一部又は全部として、高βグルカン大麦と高βグルカン大麦麦芽を含むことができる。
【0031】
この場合、発酵前液原料は、例えば、当該発酵前液原料あたり10重量%以上、99重量%以下の高βグルカン大麦及び1重量%以上、90重量%以下の高βグルカン大麦麦芽、好ましくは15重量%以上、95重量%以下の高βグルカン大麦及び5重量%以上、85重量%以下の高βグルカン大麦麦芽を含むことができる。
【0032】
また、発酵前液原料は、小麦原料をさらに含むことができる。すなわち、この場合、発酵前工程10においては、大麦原料と小麦原料とを含む発酵前液原料を使用して発酵前液を調製する。
【0033】
小麦原料としては、発芽させた小麦(以下、「小麦麦芽」という。)及び発芽させていない小麦(以下、「小麦」という。)の一方又は両方を使用することができる。小麦原料は、小麦麦芽を含むことが好ましい。すなわち、小麦原料の一部又は全部として、小麦麦芽を使用することが好ましい。小麦麦芽及び小麦は、特に限られず、任意の1種以上を使用することができる。すなわち、小麦麦芽及び小麦としては、例えば、飲料や食品の原料に適したものを適宜選択して使用することができる。小麦麦芽は、適切な温度で、酸素の存在下、小麦に適切な量の水分を浸み込ませ、発芽させることにより、調製することができる。
【0034】
この場合、発酵前液原料は、当該発酵前液原料あたり1重量%以上、90重量%以下、好ましくは5重量%以上、85重量%以下の小麦原料(例えば、小麦麦芽)を含むことができる。
【0035】
また、発酵前液原料が麦芽(大麦麦芽及び/又は小麦麦芽)を含む場合、当該発酵前液原料は、当該麦芽あたり1重量%以上、90重量%以下の小麦麦芽を含むことができる。すなわち、例えば、発酵前液原料が大麦麦芽及び小麦麦芽を含む場合、当該発酵前液原料は、当該大麦麦芽及び小麦麦芽の合計量あたり10重量%以上、99重量%以下の大麦麦芽と、1重量%以上、90重量%以下の小麦麦芽と、を含むことができる。
【0036】
また、発酵前液原料は、高βグルカン大麦と、小麦原料と、を含むことができる。この場合、発酵前液原料は、例えば、当該発酵前液原料あたり10重量%以上、99重量%以下の高βグルカン大麦及び1重量%以上、90重量%以下の小麦原料(例えば、小麦麦芽)、好ましくは15重量%以上、95重量%以下の高βグルカン大麦及び5重量%以上、85重量%以下の小麦原料を含むことができる。
【0037】
また、発酵前液原料は、高βグルカン大麦と、大麦麦芽と、小麦原料と、を含むことができる。すなわち、発酵前液原料は、大麦原料の一部又は全部として高βグルカン大麦及び大麦麦芽を含み、さらに小麦原料を含むことができる。
【0038】
この場合、発酵前液原料は、例えば、当該発酵前液原料あたり10重量%以上、98重量%以下の高βグルカン大麦、1重量%以上、89重量%以下の大麦麦芽及び1重量%以上、89重量%以下の小麦原料(例えば、小麦麦芽)、好ましくは15重量%以上、95重量%以下の高βグルカン大麦、1重量%以上、80重量%以下の大麦麦芽及び4重量%以上、84重量%以下の小麦原料を含むことができる。
【0039】
また、発酵前液原料は、高βグルカン大麦麦芽と、小麦原料と、を含むことができる。すなわち、発酵前液原料は、大麦原料の一部又は全部として高βグルカン大麦麦芽を含み、さらに小麦原料を含むことができる。
【0040】
この場合、発酵前液原料は、当該発酵前液原料あたり10重量%以上、99重量%以下の高βグルカン大麦麦芽及び1重量%以上、90重量%以下の小麦原料(例えば、小麦麦芽)、好ましくは15重量%以上、95重量%以下の高βグルカン大麦麦芽及び5重量%以上、85重量%以下の小麦原料を含むことができる。
【0041】
なお、上述した組み合わせ以外にも、発酵前液原料は、大麦、大麦麦芽、高βグルカン大麦、高βグルカン大麦麦芽、小麦、小麦麦芽を任意の組み合わせで含むことができる。
【0042】
また、発酵前液原料は、βグルカナーゼを含むことができる。βグルカナーゼは、大麦原料や小麦原料に含有されている高分子βグルカンを可溶化し、また、可溶性のβグルカンを分解することのできる酵素である。
【0043】
この場合、発酵前液原料は、例えば、大麦又は大麦及び小麦と、当該大麦あたり又は当該大麦及び小麦あたり0.004U/g以上、0.20U/g以下のβグルカナーゼと、を含むことができる。
【0044】
すなわち、発酵前液原料は、例えば、大麦と、当該大麦あたり0.004U/g以上、0.20U/g以下のβグルカナーゼと、を含むことができる。この場合、発酵前液原料は、高βグルカン大麦を含む大麦と、当該大麦あたり0.004U/g以上、0.20U/g以下のβグルカナーゼと、を含むこともできる。また、発酵前液原料は、高βグルカン大麦と、当該高βグルカン大麦あたり0.004U/g以上、0.20U/g以下のβグルカナーゼと、を含むこともできる。
【0045】
また、発酵前液原料は、例えば、大麦及び小麦と、当該大麦及び小麦の合計量あたり0.004U/g以上、0.20U/g以下のβグルカナーゼと、を含むことができる。この場合、発酵前液原料は、高βグルカン大麦を含む大麦及び小麦と、当該大麦及び小麦の合計量あたり0.004U/g以上、0.20U/g以下のβグルカナーゼと、を含むこともできる。また、発酵前液原料は、高βグルカン大麦及び小麦と、当該高βグルカン大麦及び小麦の合計量あたり0.004U/g以上、0.20U/g以下のβグルカナーゼと、を含むこともできる。
【0046】
βグルカナーゼの使用量は、大麦あたり又は大麦及び小麦あたり0.004U/g以上、0.18U/g以下とすることができ、0.004U/g以上、0.15U/g以下とすることもできる。また、発酵前液原料が大麦及び小麦を含まない場合(大麦及び小麦を使用することなく発泡性アルコール飲料を製造する場合)であっても、当該発酵前液原料はβグルカナーゼを含むことができる。この場合、βグルカナーゼの使用量は、その効果が得られる範囲で適宜設定することができる。
【0047】
なお、本製造方法で使用されるβグルカナーゼの量は、従来、発泡性アルコール飲料の製造方法においてβグルカンの分解を目的として使用されていたβグルカナーゼの量に比べて顕著に小さい。すなわち、従来、ろ過渋滞や凍結混濁を回避するため、βグルカンを分解及び除去することを目的として、十分量のβグルカナーゼを使用することはあった。しかしながら、本製造方法においては、上記従来の目的とは異なり、従来にない「とろみ」を発泡性アルコール飲料に付与することを目的とするため、従来は採用され得なかった微量のβグルカナーゼを使用する。
【0048】
なお、βグルカナーゼの酵素活性を表す単位「U」は、例えば、カルボキシメチルセルロース(Carboxy Methyl Cellulose:CMS)を基質とした分解反応におけるカルボキシメチルセルロース分解酵素(CMSase)活性に基づき決定することができる。
【0049】
具体的に、例えば、0.5重量%のカルボキシメチルセルロースを基質として含有するpH5.0の溶液中、40℃、10分間の加水分解反応において、1分間に1μmolのグルコースに相当する還元糖を生成するβグルカナーゼの量を「1U」とする。βグルカナーゼとしては、その力価が、例えば、3000U/g以上のものを好ましく使用することができる。
【0050】
また、発酵前液原料は、精製されたデンプン分解酵素やタンパク質分解酵素を含むこともできる。すなわち、発酵前液原料は、例えば、αアミラーゼ、βアミラーゼ、プルラナーゼ、プロテアーゼからなる群より選択される1種以上を含むことができる。これらの分解酵素としては、商業上利用可能なものを使用することができる。
【0051】
また、発酵前液原料は、ホップを含むことができる。ホップは、特に限られず任意の1種以上を適宜選択して使用することができる。ホップの形態は特に限られず、保存や輸送等の目的に応じて適切に加工された任意の形態のものを使用することができる。すなわち、例えば、乾燥させたホップの毬花を圧縮して得られるプレスホップ、乾燥させたホップの毬花を粉砕して得られるホップパウダー、当該ホップパウダーをペレット状に圧縮成形して得られるホップペレットを使用することができる。
【0052】
また、発酵前液原料は、上述の大麦原料や小麦原料以外に、酵母が資化できる窒素源及び炭素源を含むことができる。窒素源は、酵母がアルコール発酵に利用できる窒素含有化合物であれば特に限られず任意の1種以上を適宜選択して使用することができる。炭素源は、酵母がアルコール発酵に利用できる炭素含有化合物であれば特に限られず任意の1種以上を適宜選択して使用することができる。
【0053】
すなわち、例えば、穀物由来のタンパク質又はペプチドの分解物、穀物由来のデンプンの分解物、酵母エキスを使用することができる。具体的に、例えば、エンドウ、大豆又はコーン由来のタンパク質又はペプチドの分解物、コーン等の穀類由来のデンプンを分解し精製して製造された液状の糖類(いわゆる液糖)、酵母から抽出されたタンパク質、ペプチド及びアミノ酸を使用することができる。
【0054】
発酵前液原料が、上述のような酵母が資化できる窒素源及び炭素源を十分に含む場合、当該発酵前液原料は、大麦麦芽及び小麦麦芽を含まないこととすることもできる。この場合、本製造方法においては、いわゆる糖化処理を省略することができる。
【0055】
発酵前工程10においては、まず、上述したような発酵前液原料の一部又は全部と水(好ましくは湯)とを混合して原料液を調製する。この原料液は、従来のビールの製造方法における、いわゆるマイシェに相当する。
【0056】
発酵前工程10においては、必要に応じて原料液に酵素処理を施すことができる。すなわち、タンパク質分解酵素やデンプン分解酵素等の分解酵素を使用して、大麦原料や小麦原料に含有されるタンパク質やデンプンを分解する酵素処理を行う。この酵素処理は、従来のビールの製造方法における、いわゆるタンパク休止あるいは糖化に相当する。
【0057】
具体的に、例えば、大麦麦芽及び小麦麦芽の一方又は両方を含有する原料液を調製した場合には、当該大麦麦芽及び/又は小麦麦芽に含有される分解酵素による酵素反応に適した温度で当該原料液を維持することにより、当該原料液に酵素処理を施す。
【0058】
また、例えば、商業的に入手可能なαアミラーゼやプルラナーゼ等の分解酵素が添加された原料液を調製した場合には、当該添加された分解酵素による酵素反応に適した温度で当該原料液を維持することにより、当該原料液に酵素処理を施す。
【0059】
発酵前液原料が、大麦又は大麦及び小麦と、当該大麦あたり又は当該大麦及び小麦あたり0.004U/g以上、0.20U/g以下のβグルカナーゼと、を含む場合には、発酵前工程10において、当該大麦又は当該大麦及び小麦と、当該βグルカナーゼと、を含有する原料液を調製し、当該βグルカナーゼによる酵素処理を行って、発酵前液を調製する。
【0060】
すなわち、この場合、大麦又は大麦及び小麦と、当該大麦あたり又は当該大麦及び小麦あたり0.004U/g以上、0.20U/g以下のβグルカナーゼと、を含む原料液を、当該βグルカナーゼによる酵素反応に適した温度で維持することにより、当該原料液に酵素処理を施す。
【0061】
βグルカナーゼによる酵素処理を行う温度、時間、pH等の反応条件は、当該βグルカナーゼの使用による効果が得られる範囲で適宜決定することができる。すなわち、反応温度及び反応時間は、βグルカナーゼの使用による効果が得られる範囲であれば特に限られず、例えば、それぞれ45℃〜65℃及び1分〜60分とすることができる。
【0062】
これらの酵素処理は、原料液を煮沸させることなく行うことができ(いわゆるインフュージョン法)、また、原料液の一部を煮沸させながら行うこともできる(いわゆるデコクチオン法)。すなわち、インフュージョン法においては、原料液の全量を仕込槽内に収容し、当該仕込槽内で、付属の加熱装置により、当該原料液の全量の温度を段階的に上昇させる。デコクチオン法においては、原料液の一部を仕込槽から仕込釜に移送して煮沸し、再び当該仕込層に戻すことでデンプンの液化等の溶解を促進するとともに、当該仕込槽内の原料液の温度を段階的に上昇させる。
【0063】
発酵前工程10においては、原料液をろ過することができる。このろ過は、従来のビールの製造方法における、いわゆる麦汁ろ過に相当する。原料液のろ過により、当該原料液から不溶性の成分を除去し、発酵前液を得ることができる。ろ過は、公知の方法により実施することができる。
【0064】
発酵前工程10において、上述のように原料液の酵素処理を行う場合には、当該酵素処理後の原料液をろ過して、発酵前液を調製する。すなわち、例えば、酵素処理に必要な温度まで加熱された原料液を、冷却することなく、そのまま当該温度でろ過する。原料液をろ過する温度は、例えば、従来の発泡性アルコール飲料の製造方法と同様、当該原料液に含有されるαアミラーゼが失活しない温度、具体的には80℃以下とすることができる。
【0065】
一方、本製造方法においては、80℃より高い温度で原料液をろ過することもできる。すなわち、この場合、発酵前工程10においては、上述の大麦原料を含有する原料液を調製し、当該原料液を80℃より高い温度でろ過して、発酵前液を調製する。
【0066】
例えば、高βグルカン大麦と大麦麦芽とを含有する原料液を調製した場合には、当該原料液に上述の酵素処理を施し、次いで、当該酵素処理後の原料液を80℃より高い温度でろ過する。
【0067】
また、例えば、高βグルカン大麦と大麦麦芽とβグルカナーゼとを含有する原料液を調製した場合には、当該原料液に当該βグルカナーゼによる酵素処理を施し、次いで、当該酵素処理後の原料液を80℃より高い温度でろ過する。
【0068】
これらの場合、原料液に、最終的に80℃より高い温度に到達する酵素処理を施し、冷却することなく、そのまま当該80℃より高い温度で当該酵素処理後の原料液をろ過することが好ましい。原料液をろ過する温度は、80℃より高く、100℃以下であれば特に限られず、例えば、80℃以上、90℃以下とすることが好ましく、85℃以上、90℃以下とすることがより好ましい。
【0069】
なお、従来、発泡性アルコール飲料の製造方法において、麦汁ろ過は、マイシェに含有されるαアミラーゼの失活を回避するため、80℃以下で行われており、80℃より高い温度では行われていなかった。これに対し、本製造方法では、βグルカンを高濃度で含有する原料液の効率的なろ過を実現させるため、従来は採用されていない高温で当該原料液のろ過を行う。
【0070】
発酵前工程10においては、原料液のろ過により得られた発酵前液に煮沸処理を施すこともできる。すなわち、例えば、発酵前液原料がホップを含む場合には、ホップ以外の発酵前液原料を含む原料液をろ過し、当該ろ過により得られた発酵前液にホップを添加し、当該ホップが添加された発酵前液を加熱して煮沸させる。なお、ホップを使用しない場合には、煮沸処理を省略することもできる。
【0071】
発酵前工程10においては、最終的に、発酵前液を酵母の添加に適した温度まで冷却する。この冷却に際して、発酵前液中の不溶物を除去することもできる。すなわち、例えば、ホップを含有する発酵前液に煮沸処理を施した場合には、ワールプール等の除去装置を使用して、当該煮沸処理後の発酵前液からホップ粕等の不溶物を除去する。
【0072】
こうして、発酵前工程10においては、可溶性のβグルカンを0.1重量%以上含有する発酵前液を調製する。発酵前液に含有されるβグルカンの量は、例えば、0.15重量%以上とすることができ、0.2重量%以上とすることもできる。
【0073】
具体的に、発酵前液に含有されるβグルカンの量は、例えば、0.1重量%以上、0.8重量%以下とすることができ、0.15重量%以上、0.8重量%以下とすることができ、0.2重量%以上、0.8重量%以下とすることができる。
【0074】
なお、発酵前工程10より下流側の工程において、βグルカンは実質的に除去されない。このため、発酵前工程10で調製された発酵前液に含有されるβグルカンは、そのほぼ全量が、後述の発酵後工程30で最終的に得られる発泡性アルコール飲料に移行する。すなわち、本製造方法により製造される発泡性アルコール飲料におけるβグルカンの濃度は、その製造に使用された発酵前液におけるβグルカンの濃度とほぼ一致する。
【0075】
また、発酵前工程10におけるろ過の対象となる原料液もまた、発酵前液と同等のβグルカンを含有する。すなわち、ろ過の対象となる原料液もまたβグルカンを0.1重量%以上含有することができ、0.15重量%以上含有することができ、0.2重量%以上含有することができる。
【0076】
発酵工程20においては、発酵前工程10で調製された発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う。発酵工程20においては、前発酵と後発酵(いわゆる貯酒)とを行う。すなわち、まず、予め温度が所定の範囲内(例えば、0℃〜20℃の範囲)に調整された無菌状態の発酵前液に酵母を添加して発酵液を調製する。
【0077】
酵母は、アルコール発酵を行うことができるものであれば特に限られず、任意の種類のものを適宜選択して使用することができる。すなわち、例えば、下面発酵酵母や上面発酵酵母等のビール酵母を好ましく使用することができる。発酵開始時の発酵液における酵母の密度は適宜調節することができ、例えば、1×10個/mL〜3×10万個/mLの範囲内とすることができる。
【0078】
そして、この発酵液を所定の温度で所定の時間だけ維持することにより前発酵を行う。前発酵の温度は適宜調節することができ、例えば、6℃〜25℃の範囲内とすることができる。前発酵において、酵母は、発酵前液に含有される窒素源及び炭素源、さらに必要に応じて添加されるビタミンやミネラル等の栄養源を消費しながらアルコール発酵等の代謝活動を行う。この結果、発酵液中では酵母によって、エタノール、炭酸ガス、香味成分(エステル等)が生成される。
【0079】
貯酒は、前発酵後の発酵液をさらに所定の温度で所定の時間だけ維持することにより行う。貯酒の温度は適宜調節することができ、例えば、−3℃〜25℃の範囲内とすることができる。この貯酒により、発酵液中の不溶物を沈殿させて濁りを取り、また、熟成により香味を向上させることができる。また、貯酒においては、発酵液中に炭酸ガスをさらに溶解させることもできる。
【0080】
こうして発酵工程20においては、酵母により生成されたエタノールや香味成分を含有する発酵後液を得ることができる。発酵後液に含有されるエタノールの濃度は、例えば、1%〜20%の範囲内とすることができ、好ましくは、1%〜10%とすることができる。
【0081】
発酵後工程30においては、0.1重量%以上のβグルカンを含有し、とろみを有する発泡性アルコール飲料を得る。すなわち、上述のようにして調製された発酵後液に所定の処理を施すことにより、最終的に発泡性アルコール飲料を得る。
【0082】
発酵後工程30における処理としては、例えば、発酵後液をろ過することにより、当該発酵後液に含まれる酵母を除去することができる。このろ過は、従来のビールの製造方法における、いわゆるビールろ過に相当する。
【0083】
なお、発酵後工程30においては、このビールろ過に相当する、発酵後液のろ過を行わないこととすることもできる。すなわち、例えば、発酵工程20において上面発酵酵母を使用してアルコール発酵を行った場合には、発酵後液を回収する際に当該酵母の混入を容易に回避することができるため、発酵後工程30において、ろ過を経ていない発泡性アルコール飲料を得ることができる。この場合、得られる発泡性アルコール飲料は、ろ過を経たものに比較して、やや白濁した外観を呈することとなる。
【0084】
また、発酵後工程30においては、発酵後液を60℃以上の温度で1分以上維持する低温殺菌や、発酵後液をより高温で短時間維持する高温殺菌を行うことができる。また、発酵後液に炭酸ガスを吹き込むこともできる。
【0085】
また、発酵後工程30においては、発酵後液にスピリッツを添加することもできる。すなわち、この場合、発酵後液にスピリッツを混合することにより、発泡性アルコール飲料を得る。スピリッツとしては、穀物を原料として製造されたものを好ましく使用することができる。すなわち、例えば、大麦、小麦、米、蕎麦、馬鈴薯、サツマイモ、トウモロコシ、サトウキビを原料として製造された蒸留酒を使用することができ、特に好ましくは、大麦又は小麦を原料として製造された蒸留酒を使用することができる。スピリッツに含有されるアルコール濃度は、例えば、20〜90体積%の範囲内とすることができる。
【0086】
発酵後工程30で得られる発泡性アルコール飲料に含有されるβグルカンの量は、例えば、0.15重量%以上とすることができ、0.2重量%以上とすることもできる。具体的に、発泡性アルコール飲料に含有されるβグルカンの量は、例えば、0.1重量%以上、0.8重量%以下とすることができ、0.15重量%以上、0.8重量%以下とすることができ、0.2重量%以上、0.8重量%以下とすることができる。
【0087】
なお、上述のとおり、本製造方法においては、発酵前工程10より下流側の工程でβグルカンの損失は実質的にないため、発酵後工程30で得られる発泡性アルコール飲料におけるβグルカンの濃度は、発酵前工程10で調製される発酵前液におけるβグルカンの濃度によって調節することができる。
【0088】
発酵後工程30においては、粘度が2.5mPa・s以上である発泡性アルコール飲料を得ることもできる。また、発泡性アルコール飲料の粘度は、例えば、4.0mPa・s以上とすることもできる。具体的に、発泡性アルコール飲料の粘度は、例えば、2.5mPa・s以上、8.0mPa・s以下とすることができ、4.0mPa・s以上、8.0mPa・s以下とすることもできる。
【0089】
すなわち、例えば、発酵前工程10において、大麦原料と小麦原料とを含む発酵前液原料を使用して発酵前液を調製した場合には、発酵後工程30で得られる発泡性アルコール飲料の粘度を4.0mPa・s以上に効果的に高めることができる。特に、発酵前原料が高βグルカン大麦と小麦原料(例えば、小麦麦芽)とを含む場合には、粘度が4.0mPa・s以上である発泡性アルコール飲料を効率よく製造することができる。
【0090】
本製造方法により製造される発泡性アルコール飲料は、酵母によるアルコール発酵を経て製造された醸造酒に特有の香味や、従来のビールや発泡酒等の発泡性アルコール飲料と同等以上の泡特性(泡立ち、泡持ち、泡付着性等)も有する。
【0091】
本実施形態に係る発泡性アルコール飲料(以下、「本飲料」という。)は、0.1重量%以上のβグルカンを含有し、とろみを有する発泡性アルコール飲料である。本飲料は、上述の本製造方法により好ましく製造することができる。すなわち、本飲料は、例えば、本製造方法により製造された発泡性アルコール飲料とすることができる。
【0092】
本飲料に含有されるβグルカンの量は、例えば、0.15重量%以上とすることができ、さらに0.2重量%以上とすることもできる。具体的に、本飲料に含有されるβグルカンの量は、例えば、0.1重量%以上、0.8重量%以下とすることができ、0.15重量%以上、0.8重量%以下とすることができ、0.2重量%以上、0.8重量%以下とすることができる。
【0093】
また、本飲料は、粘度が2.5mPa・s以上である発泡性アルコール飲料とすることができる。具体的に、本飲料の粘度は、例えば、2.5mPa・s以上、8.0mPa・s以下とすることができる。この場合、本飲料は、従来にない顕著な「とろみ」を有することができる。
【0094】
さらに、本飲料は、粘度が4.0mPa・s以上である発泡性アルコール飲料とすることもできる。具体的に、本飲料の粘度は、例えば、4.0mPa・s以上、8.0mPa・s以下とすることができる。この場合、本飲料は、従来にない極めて顕著な「とろみ」を有することができる。
【0095】
また、本飲料は、高βグルカン大麦を使用して製造された発泡性アルコール飲料とすることができる。この場合、本飲料は、高βグルカン大麦に由来するβグルカンを豊富に含有することにより、従来にない顕著な「とろみ」を有することができる。
【0096】
また、本飲料は、大麦原料と小麦原料とを使用して製造された発泡性アルコール飲料とすることができる。この場合、本飲料は、大麦原料に由来するβグルカンに加えて、小麦原料に由来し「とろみ」に寄与する成分を含有することとなる。
【0097】
具体的に、例えば、本飲料が、高βグルカン大麦と小麦原料(例えば、小麦麦芽)とを使用して製造された場合には、当該本飲料は、当該高βグルカン大麦に由来する豊富なβグルカンと、当該小麦原料に由来するとろみ寄与成分と、を含有することにより、従来にない極めて顕著な「とろみ」を有する発泡性アルコール飲料となる。
【0098】
また、本飲料が大麦原料と小麦原料とを使用して製造された場合には、当該本飲料は、上述のとおり、粘度が4.0mPa・s以上である発泡性アルコール飲料とすることができる。特に、本飲料が高βグルカン大麦と小麦原料(例えば、小麦麦芽)とを使用して製造された場合には、当該本飲料の粘度を4.0mPa・s以上に効果的に高めることができる。
【0099】
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。下記の実施例1〜7においては、大麦原料を使用して、とろみを有する発泡性アルコール飲料を製造した。製造された発泡性アルコール飲料は、いずれも、エタノールを4.0〜5.5体積%含有し、色度(°EBC)が5.0以上であり、NIBEM値(秒)が250以上であった。なお、酵素処理はインフュージョン法及びデコクチオン法のいずれでも実施可能であったが、下記の例ではインフュージョン法を採用した。
【実施例】
【0100】
[実施例1]大麦原料を使用して、発泡性アルコール飲料を製造した。大麦原料としては、大麦麦芽及び高βグルカン大麦を使用した。高βグルカン大麦としては、乾燥重量あたり7.0〜9.0重量%のβグルカンを含有する大麦を使用した。また、発酵前液原料の一部として、ホップを使用した。
【0101】
具体的に、44kgの大麦麦芽と、19kgの高βグルカン大麦と、0.48kgのホップと、を使用した。すなわち、発酵前液原料あたり69重量%の大麦麦芽及び30重量%の高βグルカン大麦を使用した。
【0102】
まず、ホップ以外の発酵前液原料と水とを混合して、原料液を調製した。すなわち、大麦麦芽及び高βグルカン大麦を50℃の水223Lと混合することにより、原料液を調製した。
【0103】
そして、原料液を煮沸しないインフュージョン法により、当該原料液に糖化処理を施した。すなわち、仕込槽内において、まず原料液の全量を50℃で所定時間維持し、次いで65℃で所定時間維持し、さらに75℃で所定時間維持した。
【0104】
続いて、糖化処理後の原料液を75℃でろ過した。ろ過には、ロイターろ過槽を使用した。ろ過においては、ろ過渋滞を回避するために原料液の流量等の条件を調節したが、ろ過抵抗が増加したため、途中で1回、ろ過操作を中断した。ろ過により原料液から不溶性成分を除去し、発酵前液を得た。
【0105】
さらに、この発酵前液を煮沸した。すなわち、発酵前液にホップを添加し、当該発酵前液を加熱して所定時間煮沸させた。そして、煮沸後の発酵前液からホップ粕等の不溶性成分を除去するとともに、当該発酵前液を酵母の添加に適した温度まで冷却し、冷却された398Lの発酵前液を得た。
【0106】
次に、冷却された発酵前液に下面発酵酵母を添加して発酵液を調製した。この発酵液を10〜12℃の温度で6日間維持することにより前発酵を行った。さらに、前発酵後の発酵液を、より低温で所定期間維持することにより貯酒を行った。最後に、貯酒後の発酵後液にろ過を施し、とろみを有する発泡性アルコール飲料を得た。
【0107】
[実施例2]上述の実施例1で使用したものと同様の大麦麦芽、高βグルカン大麦及びホップを使用して、発泡性アルコール飲料を製造した。また、発酵前液原料の一部として、市販のαアミラーゼ及びプルラナーゼを使用した。このαアミラーゼは、100℃以下では失活しない耐熱性のαアミラーゼであった。
【0108】
具体的に、40kgの大麦麦芽と、17kgの高βグルカン大麦と、0.41kgのホップと、17gのαアミラーゼと、171gのプルラナーゼと、を使用した。すなわち、発酵前液原料あたり70重量%の大麦麦芽及び30重量%の高βグルカン大麦を使用した。
【0109】
まず、ホップ以外の発酵前液原料と水とを混合して、原料液を調製した。すなわち、大麦麦芽、高βグルカン大麦、αアミラーゼ及びプルラナーゼを50℃の水285Lと混合することにより、原料液を調製した。
【0110】
そして、原料液を煮沸しないインフュージョン法により、当該原料液に糖化処理を施した。すなわち、仕込槽内において、まず原料液の全量を50℃で所定時間維持し、次いで65℃で所定時間維持し、さらに当該75℃で所定時間維持し、最後に85℃で所定時間維持した。
【0111】
続いて、糖化処理後の原料液を85℃でろ過した。ろ過においては、ろ過渋滞を回避するために原料液の流量等の条件を調節したが、ろ過抵抗が増加したため、途中で1回、ろ過操作を中断した。
【0112】
さらに、上述の実施例1と同様に、ろ過で得られた発酵前液にホップを添加して所定時間煮沸させ、次いで不溶性成分の除去及び冷却を行い、冷却された340Lの発酵前液を得た。そして、上述の実施例1と同様に、前発酵及び貯酒を行い、貯酒後の発酵後液にろ過を施し、最終的に、とろみを有する発泡性アルコール飲料を得た。
【0113】
[実施例3]上述の実施例1で使用したものと同様の大麦麦芽、高βグルカン大麦及びホップを使用して、発泡性アルコール飲料を製造した。また、発酵前液原料の一部として、市販のβグルカナーゼと、上述の実施例3で使用したものと同様のαアミラーゼ及びプルラナーゼと、を使用した。このβグルカナーゼの力価は、4000U/g以上であった。
【0114】
なお、βグルカナーゼの酵素活性を表す単位「U」は、次のようにして決定した。すなわち、0.5重量%のカルボキシメチルセルロース(Carboxy Methyl Cellulose)を基質として含有するpH5.0の溶液中、40℃、10分間の加水分解反応において、1分間に1μmolのグルコースに相当する還元糖を生成するβグルカナーゼの量を「1U」とした。生成された還元糖は、DNS(3,5−Dinitro Salicylic acid)と反応させ、540nmの吸光度の増加により定量した。
【0115】
具体的に、40kgの大麦麦芽と、17kgの高βグルカン大麦と、0.55kgのホップと、0.17gのβグルカナーゼと、17gのαアミラーゼと、171gのプルラナーゼと、を使用した。すなわち、発酵前液原料あたり70重量%の大麦麦芽及び30重量%の高βグルカン大麦と、当該高βグルカン大麦あたり0.040U/gのβグルカナーゼと、を使用した。
【0116】
まず、ホップ以外の発酵前液原料と水とを混合して、原料液を調製した。すなわち、大麦麦芽、高βグルカン大麦、βグルカナーゼ、αアミラーゼ及びプルラナーゼを50℃の水285Lと混合することにより、原料液を調製した。
【0117】
そして、上述の実施例2と同様に、原料液に糖化処理を施し、糖化処理後の原料液を85℃でろ過した。この実施例3においては、ろ過抵抗の顕著な増加は起こらず、ろ過操作を中断することなく原料液をろ過することができた。
【0118】
さらに、上述の実施例1と同様に、ろ過で得られた発酵前液にホップを添加して所定時間煮沸させ、次いで不溶性成分の除去及び冷却を行い、冷却された340Lの発酵前液を得た。そして、上述の実施例1と同様に、前発酵及び貯酒を行い、貯酒後の発酵後液にろ過処理及び殺菌処理を施し、最終的に、とろみを有する発泡性アルコール飲料を得た。
【0119】
[実施例4]上述の実施例3で使用したものと同様の大麦麦芽、高βグルカン大麦、ホップ、βグルカナーゼ、αアミラーゼ及びプルラナーゼを使用して、発泡性アルコール飲料を製造した。
【0120】
具体的に、40kgの大麦麦芽と、17kgの高βグルカン大麦と、0.45kgのホップと、0.17gのβグルカナーゼと、17gのαアミラーゼと、171gのプルラナーゼと、を使用した。すなわち、発酵前液原料あたり70重量%の大麦麦芽及び30重量%の高βグルカン大麦と、当該高βグルカン大麦あたり0.040U/gのβグルカナーゼと、を使用した。
【0121】
まず、上述の実施例2と同様に、ホップ以外の発酵前液原料と50℃の水285Lとを混合して、原料液を調製し、当該原料液に糖化処理を施し、糖化処理後の原料液を85℃でろ過した。この実施例4においては、ろ過抵抗の顕著な増加は起こらず、ろ過操作を中断することなく原料液をろ過することができた。
【0122】
さらに、上述の実施例1と同様に、ろ過で得られた発酵前液にホップを添加して所定時間煮沸させ、次いで不溶性成分の除去及び冷却を行い、冷却された333Lの発酵前液を得た。そして、上述の実施例1と同様に、前発酵及び貯酒を行い、貯酒後の発酵後液にろ過処理及び殺菌処理を施し、最終的に、とろみを有する発泡性アルコール飲料を得た。
【0123】
[実施例5]上述の実施例3で使用したものと同様の大麦麦芽、高βグルカン大麦、ホップ、βグルカナーゼ、αアミラーゼ及びプルラナーゼを使用して、発泡性アルコール飲料を製造した。
【0124】
具体的に、46kgの大麦麦芽と、11kgの高βグルカン大麦と、0.45kgのホップと、0.17gのβグルカナーゼと、17gのαアミラーゼと、171gのプルラナーゼと、を使用した。すなわち、発酵前液原料あたり80重量%の大麦麦芽及び19重量%の高βグルカン大麦と、当該高βグルカン大麦あたり0.062U/gのβグルカナーゼと、を使用した。
【0125】
まず、ホップ以外の発酵前液原料と水とを混合して、原料液を調製した。すなわち、大麦麦芽、高βグルカン大麦、βグルカナーゼ、αアミラーゼ及びプルラナーゼを60℃の水285Lと混合することにより、原料液を調製した。
【0126】
そして、原料液を煮沸しないインフュージョン法により、当該原料液に糖化処理を施した。すなわち、仕込槽内において、まず原料液の全量を60℃で所定時間維持し、次いで65℃で所定時間維持し、さらに当該75℃で所定時間維持し、最後に85℃で所定時間維持した。
【0127】
続いて、糖化処理後の原料液を85℃でろ過した。この実施例5においては、ろ過抵抗の顕著な増加は起こらず、ろ過操作を中断することなく原料液をろ過することができた。
【0128】
さらに、上述の実施例1と同様に、ろ過で得られた発酵前液にホップを添加して所定時間煮沸させ、次いで不溶性成分の除去及び冷却を行い、冷却された333Lの発酵前液を得た。そして、上述の実施例1と同様に、前発酵及び貯酒を行い、貯酒後の発酵後液にろ過を施し、最終的に、とろみを有する発泡性アルコール飲料を得た。
【0129】
[実施例6]上述の実施例3で使用したものと同様の大麦麦芽、高βグルカン大麦、ホップ、βグルカナーゼ、αアミラーゼ及びプルラナーゼを使用して、発泡性アルコール飲料を製造した。また、発酵前液原料の一部として、さらに小麦麦芽を使用した。
【0130】
具体的に、16kgの大麦麦芽と、20kgの高βグルカン大麦と、32kgの小麦麦芽と、0.55kgのホップと、0.20gのβグルカナーゼと、20gのαアミラーゼと、60gのプルラナーゼと、を使用した。すなわち、発酵前液原料あたり23重量%の大麦麦芽、29重量%の高βグルカン大麦及び47重量%の小麦麦芽と、当該高βグルカン大麦あたり0.040U/gのβグルカナーゼと、を使用した。
【0131】
まず、上述の実施例2と同様に、ホップ以外の発酵前液原料と50℃の水280Lとを混合して、原料液を調製し、当該原料液に糖化処理を施し、糖化処理後の原料液を85℃でろ過した。この実施例6においては、ろ過抵抗の顕著な増加は起こらず、ろ過操作を中断することなく原料液をろ過することができた。
【0132】
さらに、上述の実施例1と同様に、ろ過で得られた発酵前液にホップを添加して所定時間煮沸させ、次いで不溶性成分の除去及び冷却を行い、冷却された373Lの発酵前液を得た。
【0133】
次に、冷却された発酵前液に上面発酵酵母を添加して発酵液を調製した。この発酵液を17℃〜20℃の温度で3日間維持することにより前発酵を行った。さらに、前発酵後の発酵液を、より低温で所定期間維持することにより貯酒を行った。
【0134】
そして、この発酵後液にろ過を施すことなく、当該発酵後液をそのまま発泡性アルコール飲料とした。こうして、やや白濁した、とろみを有する発泡性アルコール飲料を得た。
【0135】
[比較例]上述の実施例1で使用したものと同様の大麦麦芽、高βグルカン大麦及びホップを使用して、発泡性アルコール飲料を製造した。また、発酵前液原料の一部として、上述の実施例3で使用したものと同様のβグルカナーゼを使用した。
【0136】
具体的に、44kgの大麦麦芽と、19kgの高βグルカン大麦と、0.48kgのホップと、15.2gのβグルカナーゼと、を使用した。すなわち、発酵前液原料あたり69重量%の大麦麦芽及び30重量%の高βグルカン大麦と、当該高βグルカン大麦あたり3.2U/gのβグルカナーゼと、を使用した。
【0137】
まず、ホップ以外の発酵前液原料と水とを混合して、原料液を調製した。すなわち、大麦麦芽、高βグルカン大麦及びβグルカナーゼを50℃の水223Lと混合することにより、原料液を調製した。
【0138】
そして、上述の実施例1と同様に、原料液に糖化処理を施し、糖化処理後の原料液を75℃でろ過した。この比較例においては、ろ過抵抗の顕著な増加は起こらず、ろ過操作を中断することなく原料液をろ過することができた。
【0139】
さらに、上述の実施例1と同様に、ろ過で得られた発酵前液にホップを添加して所定時間煮沸させ、次いで不溶性成分の除去及び冷却を行い、冷却された392Lの発酵前液を得た。そして、上述の実施例1と同様に、前発酵及び貯酒を行い、貯酒後の発酵後液にろ過を施し、最終的に、とろみを有する発泡性アルコール飲料を得た。
【0140】
[発泡性アルコール飲料の評価]上述の実施例1〜6及び比較例で製造された発泡性アルコール飲料の各々について、「とろみ」、βグルカンの含有量、粘度、酢酸エチル及び酢酸イソアミルの含有量を評価した。発泡性アルコール飲料の「とろみ」は、熟練した5〜16人のパネリストによる官能検査に基づいて評価した。
【0141】
βグルカンの含有量は、Calcofluorを使用した蛍光光度法により測定した。すなわち、ゲルろ過カラム(Shodex OHpak SB−803、6.O×50mm)で処理した発泡性アルコール飲料と、Calcofluor(FLUORESCENT BRIGHTENER 28、SIGMA CHEMICAL CO.)と、を混合して、20℃で反応させた後、蛍光検出器(励起波長360nm、蛍光波長420nm)で蛍光強度を測定した。そして、測定された蛍光強度と、大麦から抽出されたβグルカン(SIGMA CHEMICAL CO.)の標準液を使用して予め作成された検量線と、に基づいて、発泡性アルコール飲料に含有されていたβグルカンの量を算出した。この測定法は、高分子のβグルカン(例えば、分子量が5×10以上)とCalcofluorとが結合することにより蛍光強度が増加することを利用した方法である。
【0142】
粘度は、ウベローデ粘度計を使用して20℃にて測定した。ウベローデ粘度計としては、JIS 8803−1978に準拠し、粘度計定数が0.002〜0.008×10−6/sのものを使用した。なお、実施例2〜5で製造された発泡性アルコール飲料については、粘度の測定は行わなかった。
【0143】
図2には、実施例1〜6及び比較例で得られた発泡性アルコール飲料の評価結果を、製造条件とともに示す。また、図2には、参考例として、従来のビールを評価した結果も示す。
【0144】
図2の「とろみ」欄において、記号「±」は、発泡性アルコール飲料が「とろみ」を有しているとは評価されなかったことを示し、記号「+」は、発泡性アルコール飲料が従来のビールや発泡酒に比べると「とろみ」を有しているが顕著なものではなかったと評価されたことを示し、記号「+++」は、発泡性アルコール飲料が従来のビールや発泡酒に比べて顕著な「とろみ」を有していると評価されたことを示し、記号「++++」は、発泡性アルコール飲料が従来のビールや発泡酒に比べて極めて顕著な「とろみ」を有していると評価されたことを示している。
【0145】
図2に示すように、実施例1〜6で得られた発泡性アルコール飲料は、いずれも、顕著な「とろみ」を有していた。中でも、実施例6において小麦麦芽を使用して得られた発泡性アルコール飲料は、極めて顕著な「とろみ」を有していた。
【0146】
これら実施例1〜6で得られた発泡性アルコール飲料は、いずれも0.15重量%〜0.25重量%のβグルカンを含有していた。この豊富なβグルカンは、主に大麦原料、特に高βグルカン大麦に由来するものと考えられた。そして、高濃度のβグルカンが、発泡性アルコール飲料の「とろみ」に寄与していると考えられた。
【0147】
ただし、実施例6で得られた、極めて顕著な「とろみ」を有する発泡性アルコール飲料は、βグルカンの含有量が実施例1〜5で得られた発泡性アルコール飲料より小さかったものの、上述のとおり、その「とろみ」は際立ったものであった。これは、実施例6で得られた発泡性アルコール飲料が、高濃度のβグルカンに加えて、小麦麦芽に由来する成分を含有しているためと考えられた。この小麦麦芽由来成分としては、例えば、多糖類が考えられた。このように、大麦原料と小麦麦芽との相乗効果により、極めて顕著な、従来にない「とろみ」を実現することができた。
【0148】
一方、比較例において比較的多い量のβグルカナーゼを使用して得られた発泡性アルコール飲料は、βグルカンの含有量が比較的低く、「とろみ」も顕著なものではなかった。
【0149】
なお、図2の「βグルカン(mg/L)」欄には、最終的に得られた発泡性アルコール飲料におけるβグルカン濃度を示しているが、上述のとおり、当該発泡性アルコール飲料の製造において、発酵前工程10より下流側の工程でβグルカンの量は実質的に変化しないことが予備的検討で確認された。したがって、図2に示すβグルカン濃度は、各実施例で調製された発酵前液におけるβグルカン濃度をも示すものである。
【0150】
また、図2に示すように、実施例1、6で得られた発泡性アルコール飲料の粘度は、従来のビール(参考例)に比べて顕著に高かった。特に、実施例6で得られた発泡性アルコール飲料は、極めて高い粘度を有していた。すなわち、大麦原料に加えて小麦麦芽を使用することにより、発泡性アルコール飲料の粘度が飛躍的に増加した。このような粘度の高さは、発泡性アルコール飲料の「とろみ」の強さを裏付けるものであった。
【0151】
また、実施例1〜6で得られた発泡性アルコール飲料は、いずれも、好ましい香味成分である酢酸エチル及び酢酸イソアミルを豊富に含有していた。中でも、実施例6で得られた発泡性アルコール飲料は、他の実施例1〜5で得られた発泡性アルコール飲料に比べて、酢酸エチル及び酢酸イソアミルの含有量が顕著に高かった。この実施例6における香味成分の増加は、主に上面発酵酵母の使用によるものと考えられた。
【0152】
また、βグルカナーゼを使用しなかった実施例1、2においては、上述のとおり、原料液のろ過において、ろ過渋滞が発生し、途中でろ過操作を中断せざるを得なかった。
【0153】
これらに対し、微量のβグルカナーゼを使用した実施例3〜6においては、ろ過操作を中断することなく、効率よく原料液のろ過を行うことができた。一方、比較的多い量のβグルカナーゼを使用した比較例においても、ろ過操作を中断することなく原料液のろ過を行うことができたが、図2に示すように、最終的に得られた発泡性アルコール飲料に含有されるβグルカンの量が低減され、「とろみ」も弱いものとなった。
【0154】
したがって、ろ過渋滞の発生を効果的に回避しつつ、顕著な「とろみ」を有する発泡性アルコール飲料を効率よく製造する上では、微量のβグルカナーゼの使用が有効であることが示された。
【0155】
なお、実施例2ではαアミラーゼ及びプルラナーゼを使用したにもかかわらず、ろ過渋滞が発生したことから、実施例3〜6におけるろ過渋滞の解消は、αアミラーゼ及びプルラナーゼによるものではなく、微量のβグルカナーゼによるものと考えられた。
【0156】
官能検査においては、実施例2〜6で得られた発泡性アルコール飲料は、実施例1及び比較例で得られたものに比べて、香味に優れていると評価された。より具体的には、実施例2〜5で得られた発泡性アルコール飲料は、穀物的な香りに優れていると評価された。また、実施例6で得られた発泡性アルコール飲料は、フルーティな香りに優れていると評価された。すなわち、特に、実施例6では、上述の極めて顕著な、特有のとろみを有することに加えて、特有の優れた香味を有する発泡性アルコール飲料を製造することができた。
【符号の説明】
【0157】
10 発酵前工程、20 発酵工程、30 発酵後工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大麦原料を含む発酵前液原料と水とを使用して、0.1重量%以上のβグルカンを含有する発酵前液を調製する発酵前工程と、
前記発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う発酵工程と、
0.1重量%以上のβグルカンを含有し、とろみを有する発泡性アルコール飲料を得る発酵後工程と、
を含む
ことを特徴とする発泡性アルコール飲料の製造方法。
【請求項2】
前記大麦原料は、乾燥重量あたり6.5重量%以上のβグルカンを含有する大麦を含む
ことを特徴とする請求項1に記載された発泡性アルコール飲料の製造方法。
【請求項3】
前記発酵前液原料は、小麦原料をさらに含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載された発泡性アルコール飲料の製造方法。
【請求項4】
前記発酵前液原料は、大麦又は大麦及び小麦と、前記大麦あたり又は前記大麦及び小麦あたり0.004U/g以上、0.20U/g以下のβグルカナーゼと、を含み、
前記発酵前工程において、前記大麦又は前記大麦及び小麦と、前記βグルカナーゼと、を含有する原料液を調製し、前記βグルカナーゼによる酵素処理を行って、前記発酵前液を調製する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載された発泡性アルコール飲料の製造方法。
【請求項5】
前記発酵前工程において、前記大麦原料を含有する原料液を調製し、前記原料液を80℃より高い温度でろ過して、前記発酵前液を調製する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載された発泡性アルコール飲料の製造方法。
【請求項6】
前記発酵後工程において、粘度が2.5mPa・s以上である前記発泡性アルコール飲料を得る
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載された発泡性アルコール飲料の製造方法。
【請求項7】
前記発酵後工程において、粘度が4.0mPa・s以上である前記発泡性アルコール飲料を得る
ことを特徴とする請求項6に記載された発泡性アルコール飲料の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載された方法により製造された
ことを特徴とする発泡性アルコール飲料。
【請求項9】
0.1重量%以上のβグルカンを含有し、
とろみを有する
ことを特徴とする発泡性アルコール飲料。
【請求項10】
粘度が2.5mPa・s以上である
ことを特徴とする請求項9に記載された発泡性アルコール飲料。
【請求項11】
粘度が4.0mPa・s以上である
ことを特徴とする請求項10に記載された発泡性アルコール飲料。
【請求項12】
乾燥重量あたり6.5重量%以上のβグルカンを含有する大麦を使用して製造された
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載された発泡性アルコール飲料。
【請求項13】
大麦原料と小麦原料とを使用して製造された
ことを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載された発泡性アルコール飲料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−72253(P2011−72253A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227149(P2009−227149)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(303040183)サッポロビール株式会社 (150)