説明

発泡性ビーズの二次発泡を可能にする方法

【課題】二次発泡が可能で、かつ堆肥化可能なまたはバイオベースのポリエステルからなる軽量発泡ビーズ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】押出機中で溶融加工性組成物を混ぜ合わせ、押出成形物を形成する工程と、第1の発泡剤を前記組成物中に組み入れる工程であって、前記第1の発泡剤が物理的発泡剤を含む工程と、第2の発泡剤を前記組成物中に組み入れる工程であって、前記第2の発泡剤が化学発泡剤を含む工程と、押出成形物をペレット化しビーズを形成する工程と、を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、本願発明者らにより、2010年9月10日に米国特許商標庁に出願された、「発泡性ビーズの二次発泡を可能にする方法」と題する、同時係属中および同出願人による米国仮出願第61/381,750号に基づき、その利益を主張するものであり、該明細書は参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。
【0002】
本発明は、一般には新規な軽量発泡体の製造方法に関し、詳細には、発泡体の二次発泡を可能にするために、溶融加工技術と、物理発泡剤および化学発泡剤を組み合わせた発泡剤を使用する、発泡体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高分子発泡体は、高分子マトリックス中にセルとも呼ばれる複数の空隙を包含する。固形プラスチックを空隙で置き換えることにより、高分子発泡体は一定の体積に対し、固形プラスチックよりも、より少ない原材料を使用する。従って、固形プラスチックのかわりに高分子発泡体を使用することにより、多くのアプリケーションにおいて材料価格を低減させることができる。さらに、発泡体は、空気や湿気の侵入から建築構造を保護し、公共料金を節約し、建築物の強度を増すことができる、大変優れた絶縁体である。
【0004】
発泡性ポリスチレン(EPS)に使用される材料は、典型的には、約95℃のガラス転移温度を示す不定形のポリマーである。EPS樹脂を発泡ポリスチレン発泡体に変換する方法は、予備発泡、熟成、および成形、の3つの主要な段階を必要とする。ポリスチレンと発泡剤から発泡性ビーズを製造し、次いで予備発泡機中で蒸気により発泡させる。予備発泡の目的は、特定のアプリケーションのために、所望の密度の発泡粒子を製造することである。予備発泡の間に、EPSビーズは、攪拌機と制御された蒸気および空気供給を備えた予備発泡槽に投入される。予備発泡機中への蒸気の導入は二つの効果をもたらす。EPSビーズが軟化することと、典型的にはペンタンである、EPSビーズ内で分散した発泡剤が沸騰点以上の温度に熱することである。これら二つの条件によりEPSビーズの体積が膨張する。粒子の直径は増加し、一方樹脂の密度は減少する。予備発泡した粒剤の密度は約1000kg/mであり、発泡したビーズ(expanded beads)の密度は20kg/mから200kg/mの範囲であり、方法によっては、5倍から50倍の密度縮小が達成可能である。
【0005】
熟成にはいくつかの利点がある。熟成により、発泡粒子のセル内部に作られた真空は、予備発泡の間に、周囲の気圧との平衡に達することができ、発泡粒子表面上の残留湿気を蒸発させ、過剰な残留発泡剤を散逸させる。熟成時間は、元になる樹脂の発泡剤の含量、予備発泡密度、および環境要因など、多くの要因に依存する。適切に熟成されていない予備発泡ビーズは、物理的衝撃および温度衝撃に過敏である。このような熟成前のビーズの成形は、粒子内のセルの破裂の原因となり得、結果として、好ましくない成形発泡体部分を製造することになる。
【0006】
予備発泡ビーズが熟成されると、所望の成形発泡体用に形成された一つまたはそれ以上のキャビティーを含む成形機に運ばれる。成形の目的は、発泡粒子を単一の発泡体部分に融合することである。EPSの成形は簡易な順序で行い得る。まず、予備発泡ビーズでキャビティーを満たし、蒸気を導入して鋳型を加熱し、成形された発泡体をキャビティー内で冷却し、完成した部分をキャビティーから射出する。成形機に導入された蒸気によってビーズは軟化し、ペンタンなどの残留発泡剤の放出によってさらに膨張する。閉鎖されたキャビティーにおけるこれら二つの効果の組み合わせにより、個々の粒子を、単一の固体発泡体部分に融合することが可能になる。
【0007】
例えばクッキーのトレイやキャンディーの包装など、包装に使用される多くのプラスチック製品が、生物分解性である需要が増加している。従来より、生物分解性に対する選択肢としてデンプン膜が提案されている。生物分解性製品を製造する一般的なアプローチとしては、ポリ乳酸(PLA)とデンプンを組み合わせて加水分解可能な組成物を作製する方法がある。デンプンベースのポリマーの製造、特にホットメルト押出加工による製造においては、諸問題が起きている。デンプンの分子構造は、デンプンを可塑化し押出ダイを通過させるのに必要な剪断応力と温度条件によって、悪影響を受ける。
【0008】
発泡剤は、典型的には高分子材料中に導入され、ポリマー発泡体は、二つのうち一つの方法で作製される。一つの技術によれば、化学発泡剤をポリマーに混合する。化学発泡剤は、典型的にはポリマーが溶解し気体を生成させる条件下において、高分子材料中で化学反応する。化学発泡剤は一般的には、特定の温度で分解し、窒素、二酸化炭素、または一酸化炭素等の気体を放出する、低分子量の有機化合物である。もう一つの技術によれば、物理的発泡剤、すなわち周囲条件下で流体である発泡剤を、溶解したポリマー流中に注入し、混合物を形成する。混合物への圧力を降下させることにより、発泡剤を膨張させ、ポリマー中に気泡(セル)を形成させる。いくつかの特許および特許公報が、微孔性材料およびマイクロセルラープロセスについて記載している。
【0009】
Andersonらによる米国特許第6,593,384号は、広範な高分子材料および物理的発泡剤を使用して製造された発泡性粒子について記載している。Yukselらによる米国特許第7,226,615号は、生体材料と重炭酸塩発泡剤の組み合わせに関する広範な開示に基づく発泡性フォームについて記載している。Haraguchiらによる米国特許出願公開第2006/0167122号は、PLA、発泡剤、およびポリオレフィンワックスの組み合わせに由来する発泡性粒子について記載している。Wittらによる米国特許出願公開第2010/0029793号は、樹脂ビーズに二酸化炭素(C0)を浸透させることによるPLAフォームの製造方法について記載している。
【0010】
Martini−Vvedenskyらによる米国特許第4,473,665号は、直径約100ミクロン未満のセルを有する発泡ポリマーの製造方法について記載している。記載された技術では、材料前駆体を発泡剤で飽和し、その材料を高圧力下に置き、その圧力を急激に降下させることにより発泡剤を核生成し、セルの形成を可能にする。ついで、マイクロセルラーの所望の分散を維持するために、材料を急速に凍結させる。
【0011】
Chaらによる米国特許第5,158,986号は、超臨界流体を発泡剤として使用する、微孔性ポリマー材料の形成について記載している。バッチプロセスを使用し、該特許は、核生成部位を作製するための多様な方法を記載している。
【0012】
Parkらによる米国特許第5,866,053号は、マイクロセルラーフォームを形成するための連続プロセスについて記載している。発泡剤とポリマーの単相溶液上の圧力を急激に降下させることにより、材料を核生成する。核成長速度は、最終製品中のマイクロセル構造を形成するのに十分なくらい高い。
【0013】
Burnhamらによる国際特許公開番号第98/08667号は、微孔性材料と微孔性物品を製造するための方法とシステムを提供している。一つの方法においては、ストリーム(stream)を別々の部分に分離し、それぞれ別の部分を別々に核生成し、次いでストリームを再結合することにより、流体、発泡高分子材料の前駆体の単相溶液、および発泡剤を連続的に核生成する。再結合されたストリームは、たとえばダイによる成形など、所望の形状に成形し得る。
【0014】
マイクロセルラーフォームを形成するための十分な核生成部位を作製するためには、核生成の推進力を創出するための十分な発泡剤と、セルの成長が核生成事象を支配する事を防止するための十分高い圧力降下率を用いなければならないことは、当該分野において一般的に受け入れられている。発泡剤のレベルが低減すると、核生成の推進力も減少する。しかし、より高い発泡剤レベルはより小さなセルの形成につながる一方(一般的にマイクロセルラーフォームの分野においては好ましい結果である)、従来の考え方によれば、より高い発泡剤レベルは、セルの相互接続(これは当然、セルサイズを増加させ、構造特性および他の材料特性を損ない得る)および、最適とは言えない表面特性(より高い気体レベルにおける損なわれた表面特性は、発泡剤の本来の傾向により、発泡剤が材料外に拡散する結果を招き得る。)の原因ともなり得る。
【0015】
つまり、一般的に、微孔性ポリマー材料中の発泡剤レベルを変化させる際、小さなセルサイズと最適な材料特性は、二律相反の関係にあるということが受け入れられている。
【発明の概要】
【0016】
従って、本発明の目的は、先行技術における欠点を回避し、堆肥化可能なまたはバイオベースの発泡体を提供することにある。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、溶融加工技術を使用し、堆肥化可能なまたはバイオベースの発泡体の製造方法を提供することにある。本発明の関連する目的は、各種発泡剤の組み合わせを使用し、堆肥化可能なまたはバイオベースの発泡体の製造方法を提供することである。
【0018】
本発明のもう一つの目的は、従来の成形装置を使用して処理し得る、堆肥化可能なまたはバイオベースの発泡ビーズを提供することにある。
【0019】
本発明のもう一つの目的は、堆肥化のプロセスにより、より低い分子量材料へ化学的に分解することができる発泡ビーズを提供することにある。
【0020】
本発明の更にもう一つの目的は、三次元形状に加工し得る、堆肥化可能なまたはバイオベースの発泡ビーズを提供することにある。
【0021】
本発明のこれらおよび他の目的は、堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマーから発泡ビーズを製造するための組成物と方法を提供することによって、またこのようなビーズを多彩な品目の製造に使用するために達成された。一実施形態において、軽量ビーズは、堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマーと、物理的発泡剤と化学発泡剤を組み合わせたものを溶融加工することにより製造される。別の実施形態において、溶融加工性組成物は、堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマーの流動学的特性を向上させる追加の添加物を含有し、軽量の発泡ビーズの生産をよりしやすくする。軽量で、堆肥化可能なまたはバイオベースの発泡体を提供するために、本発明の発泡ビーズを、従来の成形装置を使用してさらに処理することもできる。本発明の物品は、保護包装、消音、および断熱関連のアプリケーションを含む、現在、従来の発泡性ポリスチレン(EPS)が使用されているアプリケーションにおいて有用である。
【0022】
ポリマー組成物は、自動車製品、住宅建築用製品、電気製品、およびコンシューマー向け製品を含む多数のアプリケーションにおいて広く使用されている。ポリマーはバイオベースのポリマーまたは石油ベースのポリマーのいずれかにより構成されていてよい。堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマーは、意図された目的にとってもはや有益ではなくなった際の材料の廃棄、および石油の使用を最小化することに伴う環境問題に対処するのに好ましい。しかし、ポリマーが意図するアプリケーションに好適であるためには、ポリマーは一定の物理的および化学的特性を満たしていなければならない。発泡性フォームにおいて、ポリマー組成物は、軽量で、衝撃、音、および温度に対する耐性または保護を提供する三次元形状に加工可能でなければならない。本明細書に記載される発明は、これらの属性を持つ製品を形成するために必要な属性を有する、堆肥化可能なまたはバイオベースのフォームを開示する。
【0023】
本発明の目的のために、本明細書で使用される下記の用語は、下記のように定義される:
「生分解性ポリマー」とは、より低い分子量の材料に化学的に分解することができる高分子材料または樹脂を意味する。
「堆肥化可能な」とは、材料が視覚的に識別可能ではなく、二酸化炭素、水、無機化合物、およびバイオマスに分解するような、生分解が可能であることを意味する。
「バイオベースの」とは、全部または大部分において、植物、動物、および海洋材料を含む、生物由来物質または再生可能な農業材料により構成されている材料を意味する。
「可塑剤」とは材料溶融加工後の、堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマーと相溶性のよい物質を意味する。堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマーに可塑剤を添加すると、皮膜組成のモジュラスを低下させる効果がある。
「連鎖延長剤」とは、ポリマーとともに溶融加工された際、分子鎖末端を反応的に結合することにより分子量を増加させる材料を意味する。
「溶融加工性組成物」は、例えば押出加工または射出成形などのような従来の高分子加工技術を用い、典型的には高温において、溶融加工された配合物を意味する。
「溶融加工技術」とは、押出加工、射出成形、ブロー成型、回転成形、またはバッチ混合を意味する。
「押出成形物」とは、材料をダイ開口部から押し通すことにより、押し出され、連続した形状に成形された半固体材料である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
列挙された請求項により上記で要約され定義された本発明は、以下の説明を参照することにより理解が深まるだろう。本発明を構築し実施可能にするために以下に述べられる実施形態の記述は、本発明を制限するものではないが、ある特定の例を与える。当業者は、本発明の目的と同じ目的を実行するための他の方法や仕組みを修正しまたは設計するための基盤として開示された概念や特定の実施形態を容易に用いることを認識するであろう。当業者はまた、このような同一のアセンブリは最も広義の形で本発明の精神や範囲から外れていないことに気づくだろう。
【0025】
本発明は堆肥化可能なまたはバイオベースの材料から成り立つ様々な製造物を対象とする。堆肥化可能なバイオベースの材料は外的にまたは内的に修飾された重合体組成物のどちらかまたは両方を含むことができ、これらの用語については以下に記す。
【0026】
生物分解性とは、例えば微生物により酵素分解を受けやすい化合物、または化合物のうち例えば微生物によって酵素分解を受けやすい部分のことをいう。ある例では、ポリ乳酸のような重合体を、加水分解により、例えば広く多様な微生物により酵素分解を受けやすい乳酸分子に分解することができる。微生物は通常、オリゴマーの化学的および物理的な特性に依拠して、分子量1000ダルトン以下、好ましくは約600ダルトン以下のカルボキシル酸を含むオリゴマーを消費する。
【0027】
バイオベースとは、生物源から合成される材料であり、製造物内の少なくとも一部分の置換、例えばEPSを作るときに用いられる石油の置換として再生可能な成分を統合することによって、再生可能でない原料の使用を減じる成分のことをいう。バイオベースの成分は、多くの製造物でそのパフォーマンスを妨げることなく使われている。
【0028】
堆肥化するとは、酸素存在下で様々な微生物によって有機廃棄物を有用な物質に分解する生物学的プロセスである。
【0029】
好ましくは、本材料における重合体は堆肥化することにより分解する。本材料の重合体の分解特性は、主に重合体によって作られている材料の種類に依存する。そのため、重合体は、処理され最終材料の製造時に、その材料が有効寿命に達するまでに著しい分解が行われないように、適した分解特性を持つ必要がある。
【0030】
本材料の重合体はさらに、材料から作られる製造物が使用後に分解する期間内に堆肥可能になるという特徴をもつ。類似の大量生産された分解能力のない製造物が通常自然に分解されるまでに数十年から数世紀を要するのに対し、本発明の材料は通常180日以下の期間で分解する。
【0031】
本発明は発泡体を作るために有用な堆肥化可能なまたはバイオベースの発泡ビーズを記載する。本発明の発泡体は堆肥化可能なまたはバイオベースの熱可塑性の重合体および発泡剤の組み合わせを含む化合物を用いて製造される。このような堆肥化可能な熱可塑性を有する重合体材料は、発泡体を構築するときに、発砲スチロール(EPS)を堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマー樹脂から製造される発泡ビーズに置き換えるために使われうる。理想的には、ポリスチレンを化学的および物理的に同じ特徴の堆肥化可能なまたはバイオベースの重合体に置換するだろう。
【0032】
可塑剤および連鎖延長剤を含む添加物は、任意に堆肥化可能なまたはバイオベースの重合体化合物に含まれる。好ましくは、重合体はバイオベースの含有量が50%以上で、最も好ましくはバイオベースの含有量が80%以上である。これらの発泡体は単一および対をなすスクリュー押出方法のような従来の溶融加工技術を用いて製造することができる。ある実施形態では、押出ダイの表面で押出成形物を切ることによって発泡ビーズが作られる。次いで、発泡ビーズは水、水蒸気、酸素、二酸化炭素または窒素ガスに接触することにより任意に冷却される。ビーズが押出ダイの表面で切られた後、ビーズは発泡し続け、連続したスキン層とともに閉じたセル状の発泡体構造が形成される、つまりビーズの表面で開いたセル構造がないということである。ある実施形態では、結果物の堆肥化可能なまたはバイオベースの発泡ビーズの比重は0.15g/cmである。別の実施形態では、堆肥化可能なまたはバイオベースの発泡ビーズの比重は0.075g/cm以下が好ましく、最も好ましいのは0.05g/cm以下である。いくつかの実施形態では、ASTM D6400による測定で、50%重量以上の発泡体が堆肥化可能な材料を含んでいる。より好ましい実施形態では、80%重量以上の発泡体が堆肥化可能な材料を含んでいる。最も好ましい実施形態では、95%重量以上の発泡体が堆肥化可能な材料を含んでいる。
【0033】
本発明の堆肥化可能なまたはバイオベースの重合体は、溶融加工によって、連鎖延長剤および可塑剤を含んで、発泡剤および任意に堆肥化可能なまたはバイオベースの重合体のレオロジーを修正する添加物とともに製造される。堆肥化可能なまたはバイオベースの重合体は当業者によって、より低い分子量を持つ化合物に分解するために一般的に認識される重合体を含んでもよい。本発明を実施するために適した堆肥化可能なまたはバイオベースの重合体の制約のない例として、多糖類、ペプチド類、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリアルキレングリコール、および共重合体が挙げられる。
【0034】
ある側面では、堆肥化可能なまたはバイオベースの重合体はポリエステルである。ポリエステルの制約のない例として、ポリ乳酸(PLLA)、ポリ−D−乳酸(PDLA)、L−乳酸およびD−乳酸のランダムまたは立体規則性の共重合体、およびその誘導体が挙げられる。他のポリエステルの制約のない例として、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリサクシネート、ポリオキサネート、ポリブチレングリコレート、ポリジオキサノンが挙げられる。
【0035】
本発明の好ましいポリマー樹脂は生物学的資源(例えば、堆肥化可能なバイオポリマー樹脂)由来の公知の堆肥化可能な材料が挙げられるが、堆肥化される合成重合体もまた用いられうる。バイオポリマーポリ乳酸(PLA)は、その公知の堆肥化能力および農業用供給材料(例えばトウモロコシ)からのバイオベース由来であるために、最も好まれる例である。PLA重合体は不定形であっても反結晶質であっても用いることができる。堆肥化可能なまたはバイオベースの重合体の例として、NatureWorks, LLCおよびCompostable 5001からのIngeo 2002DおよびIngeo 4060Dグレードプラスチック、およびIngeo 8051Dグレード発泡体が挙げられる。
【0036】
本発明では、堆肥化可能なまたはバイオベースの重合体は、軽量の発泡ビーズを製造するために、発泡剤で溶融加工される。発泡剤とは、加工の最中に適当な時間でガスを抜くことを通じてセルを製造するために、溶融加工性の組成物(例えば、添加物、高分子基質、および/または任意の充填剤のプレミックス、溶融した形状でも固形でもよい)に組み込むことができる材料である。発泡剤の量と種類は、完成した製造物の密度に、そのセルの構造により影響する。いかなる適した発泡剤は発泡体を製造するために用いられうる。
【0037】
発泡剤には物理的および化学的の2つの種類が主にある。物理的発泡剤は、セル構造を形成する溶融加工の最中に状態を変化する揮発性液体または圧縮ガスになりやすい。好ましい実施形態では、物理的発泡剤は二酸化炭素である。最も好ましい実施形態では、超臨界の状態で二酸化炭素である物理的な発泡剤は、融解重合体と混合される。化学的な発泡剤は、ガス状の分解製造物を供給するために分解(例えば、他の製造物と熱で反応する等)する固体になりやすい。製造されるガスは、セル構造を供給するために溶融加工性組成物に細かく分布する。
【0038】
化学的な発泡剤は主に有機および無機の2つに分類される。有機発泡剤は、例えばアゾジカルボンアミドのように異なる化学、物理的形状および修飾体の広い範囲で利用できる。無機発泡剤はより制約されやすい。好ましくは、高価でなく容易に二酸化炭素ガスを形成するという理由で重曹が使われる。重曹は約120℃以上に熱すると徐々に分解し、約150℃から200℃の間で著しく分解する。一般的に、温度が高ければ、それだけ重曹は速く分解する。クエン酸のような酸は、また発砲性添加物に含まれ、発泡剤の分解を促進するために溶融加工性組成物に別々に添加されうる。化学的発泡剤は通常粉末状またはペレット状で供給される。発泡剤の具体的な選択には、コスト、望まれるセルの発生およびガスの発生、および発泡体の材料の望まれる特性が関係するだろう。
【0039】
好適な発泡剤の例としては、水、炭酸塩および/または重炭酸塩並びに他の二酸化炭素放出材料、ジアゾ化合物および他の窒素生産材料、二酸化炭素、ポリ(t−ブチルメタクリレート)およびポリアクリル酸等の分解性高分子材料、ペンタンおよびブタン等のアルカンおよびシクロアルカンガス、並びに窒素等の不活性ガス等が挙げられる。発泡剤は親水性でも疎水性でもよい。一実施形態において、発泡剤は固形の発泡剤であり得る。別の実施形態において、発泡剤はナトリウム炭酸塩、カリウム炭酸塩、カルシウム炭酸塩および/またはマグネシウム炭酸塩等の1つまたは複数の炭酸塩または重炭酸塩を含み得る。例えば、発泡剤は炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムを含む場合があり、あるいは重炭酸ナトリウムのみを含む場合がある。更に別の実施形態において、発泡剤は無機剤であり得る。
【0040】
本発明では軽量発泡ビーズの生産改良が開示される。改良された方法において、物理的発泡剤および化学発泡剤の両方は、軽量発泡ビーズを生産するための押出加工プロセスの過程で組み込まれる。物理的発泡剤は、好ましくは超臨界COであり、押出加工および熱面造粒による軽量ビーズ生産の過程で、発泡剤の第一の原料として使用される。化学発泡剤が押出加工の過程で完全には分解されないように、化学発泡剤を押出加工プロセスに加えることにより、生産される軽量ビーズはその組成中にいくらかの化学発泡剤を保持するだろう。
【0041】
第二の発泡剤は3つのうちの1つの方法で組み込まれ得る。第一のケースでは、第二の発泡剤は第一の発泡剤の上流に組み込まれ得る。第二のケースでは、第二の発泡剤は第一の発泡剤の下流に組み込まれ得る。そして、第三のケースでは、第二の発泡剤は第一の発泡剤と同時に組み込まれ得る。好ましくは、全てのケースに関して、第一の発泡剤は超臨界COのような物理的発泡剤である。この第一の発泡剤は、押出加工中の膨張の大部分を引き起し、発泡ビーズを生産するために使用される。第二の発泡剤の目的は、押出加工および発泡ビーズ形成の過程では大部分不活性を維持することで、続く発泡ビーズの処理過程で活性化し、ビーズの更なる膨張を可能とすることである。本発明の方法は、第二の発泡剤が発泡押出加工プロセス中に完全には消費されないように、入念に設計されている。本発明の方法は、第二の発泡剤が発泡押出加工プロセス中に大部分不活性を維持することを可能とし、それにより第二の発泡剤が発泡ビーズに組み込まれることが可能となる。
【0042】
化学発泡剤が第二の発泡剤として最も使用に適していると考えられる。第一および第二のケースについて、化学発泡剤は第一の発泡剤が融解物に投入されるより前または後に、押出機の融解ポリマーに加えられる。融解物は高温であるため、化学発泡剤は分解し始め、ポリマーを発泡させ得るガスを発生させることが可能であろう。押出機における、融解物の温度並びにポリマー/発泡剤混合物の滞留時間を制御することにより、発泡剤の分解の程度は制御し得る。ある程度の分解は起こり、ガスが放出され得るが、発泡剤がいくらかでも押出成形物中に残っている限り、発泡ビーズには発泡剤が含まれるだろう。
【0043】
第三のケースについて、第二の発泡剤は第一の発泡剤と混合され、融解ポリマーに同時に投入される。超臨界COが第一の発泡剤であり、化学発泡剤が第二の発泡剤として用いられることが企図される。化学発泡剤は液体または固体であり得る。好ましい実施形態において、超臨界COはキャリア相(carrier phase)として使用され得、化学発泡剤を溶解し混合物を形成する。前記混合物はその後押出機のバレルに投入され、融解ポリマーと混合される。
【0044】
濃縮物中の発泡剤の含有レベルは広く異なり得る。いくつかの実施形態において、発泡性添加物は少なくとも約2.5重量%の発泡剤、少なくとも約5重量%の発泡剤、適切には少なくとも約10重量%の発泡剤を含む。他の実施形態において、発泡性添加物は約10〜60重量%の発泡剤、約15〜50重量%の発泡剤、適切には約20〜45重量%の発泡剤を含み得る。さらなる他の実施形態において、発泡性添加物は約0.05〜90重量%の発泡剤、約0.1〜50重量%の発泡剤、または約1〜26重量%の発泡剤を含み得る。最も好ましい実施形態は、発泡ビーズ中に0.5〜5%の第二の発泡剤の濃度を含む。
【0045】
発泡剤組成物には発泡剤のみが含まれてもよいが、より典型的な状況では、発泡剤には発泡剤を担うまたは保持するために用いられるポリマー担体が含まれる。そのような発泡剤濃縮物は、運搬および/または取扱の目的のためにポリマー担体中に分散されてもよい。ポリマー担体はまた、溶融加工性組成物に加えられることが望ましいあらゆる他の材料または添加物を保持または担うために使用され得る。
【0046】
本発明の別の態様では、堆肥化可能なまたはバイオベースの溶融加工性組成物は他の添加物を含み得る。添加物の非制限的な例として、可塑剤、連鎖延長剤、抗酸化剤、光安定剤、ファイバー、発泡剤、発泡添加物、ブロッキング防止剤、熱安定剤、衝撃改質剤、殺生物剤、相溶化剤、粘着付与剤、着色剤、結合剤、導電性充填剤および顔料が挙げられる。添加物は粉末剤、ペレット剤、顆粒剤の形態、または他のあらゆる押出成形可能な形態で溶融加工性組成物に組み込まれ得る。溶融加工性組成物における添加物の量および種類は、ポリマー基質および仕上がり組成物の所望の物理的性質に応じて変更され得る。溶融加工の当業者は、仕上がり材料の所望の物理的性質を達成するために、特定のポリマー基質に適合するのに適切な添加物の量および種類を選択することができる。
【0047】
溶融可能で、堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマー発泡体組成物における各成分の量は、意図される最終用途に応じて変更され得る。堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマーは、最終組成の約40〜約99重量%を構成し得る。堆肥化可能なまたはバイオベースの可塑剤は、最終組成の約1〜20重量%を構成し得る。連鎖延長剤は最終組成の約0.1〜5重量%を構成し得る。
【0048】
超臨界CO等の物理的発泡剤は、押出機混合過程の初期に、溶融物と混合される。一実施形態において、化学発泡剤は物理的発泡剤の後に、且つ、押出機の比較的温度の低い部分に、添加される。別の実施形態において、化学発泡剤は物理的発泡剤より前に、且つ繰り返しになるが、押出機の比較的温度の低い部分に、添加される。その後、前記混合物が押出機より出て切断される際に、超臨界COが膨張し、初期ビーズが形成される。これらのビーズは、押出加工プロセスの過程でその中にすでに含浸された、化学発泡剤を有する。前記プロセスは、第二の発泡剤が発泡押出加工プロセスの過程で完全には消費されないように、慎重に制御されなければならない。押出加工プロセス中の、化学発泡剤を添加する際に用いられる温度は低温であるため、化学発泡剤は押出加工プロセスの過程で不活性を維持できる。続いて、二次発泡プロセス中のビーズの加熱により、化学発泡剤が熱分解されガスが放出されることが期待され、従って、可塑物を軟化させるのに適切な温度を併用した場合、材料を膨張させ低密度にすることが可能となる。成形過程で、例えば、ビーズは一斉に融解するように加熱され、化学発泡剤が活性化されることにより二次発泡が引き起こされる。つまり、発泡剤の熱崩壊は成形過程で引き起こされ得、それによりビーズの融合または従来の予備発泡工程が可能となり、更に密度を低くすることができる。
【0049】
本発明の、溶融加工可能な、堆肥化可能なまたはバイオベースの発泡体組成物は、あらゆる種々の方法により調製できる。例えば、堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマー、発泡剤、核化剤および任意の添加物は、プラスチック工業、例えば混合押出機等で通常使用されるあらゆる混合方法により、混合され得る。好ましい一実施形態において、化学発泡剤は、物理的発泡剤の投入および混合より下流の押出加工プロセスに組み込まれる。しかしながら、上記のように、第二の発泡剤は物理的発泡剤の投入および混合より上流の溶融物に組み込まれ得る。典型的には、十分な溶融強度を維持し、発泡体の良好なセル構造を可能とするために、押出加工混合物をダイから出る前に冷却する必要がある。化学発泡剤を押出機の低温部分に添加することにより、化学発泡剤を分解する熱エネルギーが少なくなり、材料が押出機中に滞留する時間が減少する。材料(生物分解性ポリマー、発泡剤、生物分解性可塑剤、および任意の添加物)は、例えば粉末剤、ペレット剤または粒状産物の形態で使用され得る。混合工程はポリマーの融点または軟化点より高い温度で、最も簡便に実行される。得られた溶融混合物は、軽量ストランドに加工処理され、その後ストランドペレタイザーを用いてビーズに切断される。別の実施形態において、発泡ビーズは押出ダイの表面で発泡ストランドを切断することにより生産される。押出成形物を押出ダイの表面で切断することにより、発泡体の膨張が完全に起こる前にビーズが形成される。造粒後、発泡ビーズは物理的発泡剤による押出成形物の膨張から形成される。発泡ビーズは発泡剤を放出することで冷却されるが、その後は水、水蒸気、空気、二酸化炭素または窒素ガスと接触させることにより冷却され得る。得られたビーズは、膨張性ポリスチレンの成形に使用される従来の設備を用いて、立体成形品に成形され得る。第二の発泡剤の目的は、大部分不活性を維持することで、続く発泡ビーズの処理過程で活性化し、ビーズの更なる膨張を可能とすることである。好ましくは、発泡ビーズは残留した化学発泡剤を含み、後の成形プロセス中に膨張し得る。
【0050】
最適作業温度は組成物の融点、融解粘度および熱安定性に応じて選択されるが、典型的には、溶融加工は約80℃〜300℃の温度で行われる。押出機等の様々な種類の溶融加工設備が、本発明の溶融加工性組成物を加工するために使用され得る。本発明に使用するのに好適な押出機は、例えば、Rauwendaal、C.、″Polymer Extrusion、″ Hansen Publishers、p.11 - 33、2001に記載される。
【0051】
一実施形態において、得られる堆肥化可能なまたはバイオベースの発泡ビーズは、0.15g/cm未満の比重を有する。別の実施形態において、堆肥化可能なまたはバイオベースの発泡ビーズは、好ましくは0.075g/cm未満の比重、最も好ましくは0.05g/cm未満の比重を有する。
【0052】
一実施形態において、50重量%超の発泡体が、ASTM D6400で判定されたような、堆肥化可能な材料を含む。好ましい実施形態において、80重量%超の発泡体が、堆肥化可能な材料を含む。最も好ましい実施形態において、95重量%超の発泡体が、堆肥化可能な材料を含む。
【0053】
本発明の一実施形態の発泡性ビーズは、堆肥化可能なまたはバイオベースのポリエステル、および発泡剤を含む化合物を用いて作製される。可塑剤および鎖延長剤を含む添加剤は、任意に、堆肥化可能なまたはバイオベースの組成物に含まれる。発泡性ビーズは、一軸および二軸押出しプロセスなどの従来の溶融処理技術を用いて作製することができる。1つの実施形態では、堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマーが、溶融処理によって疎水性添加剤と混合され、ペレットが作製される。これらのペレットは、次に、発泡剤に含浸され、発泡性ビーズが作られる。発泡性ビーズは、次に、加熱されて発泡が引き起こされ、発泡ビーズが作製される。発泡ビーズは、次に、製品へと成型される。別の実施形態では、溶融処理を用いて、堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマー、疎水性添加剤、および発泡剤が混合され、溶融処理作業から発泡性ビーズが直接作製される。この場合、ダイスからの押出し物は、急速に冷却して発泡剤を閉じ込め、発泡剤が抜け出さないように、および発泡が起こらないようにする必要がある。発泡は、発泡性ビーズを加熱することにより、予備発泡機での作業において制御された時間で発生し、発泡ビーズが作製されることが所望される。次に、発泡ビーズは成型される。好ましくは、得られた発泡ビーズの比重は、0.15g/cm未満である。より好ましくは、発泡ビーズの比重は、0.075g/cm未満であり、最も好ましくは、0.05g/cm未満である。好ましい実施形態では、ASTM D6400によって測定した場合、発泡体の50重量%超が堆肥化可能である。より好ましくは、発泡体の80%超が堆肥化可能である。最も好ましい実施形態では、発泡体の95%超が堆肥化可能である。
【0054】
いくつかの実施形態では、目的のプラスチック配合物を、必要に応じて配合し、押出し用の均質な材料としてよい。必要に応じて、プラスチックをペレット化し、任意に粉砕し、直径0.25mmを例とする所定のサイズの粒子へ分級してよい。次に、ポリマーペレットを、水を入れた圧力タンクに攪拌しながら添加してスラリーを生成してよい。界面活性剤または塩などの溶液安定化剤を添加して、ペレットの凝集を阻害し、炭化水素発泡剤のポリマー粒子中への拡散を促進してよい。いくつかの実施形態では、炭化水素発泡剤は、液体としてスラリーに添加される。好ましくは、系に添加される炭化水素発泡剤の量は、発泡性ビーズ中の炭化水素発泡剤の所望される度合いに基づいて予め決定される。圧力タンクは、例えば循環湯浴により、温度制御してよい。いくつかの実施形態では、圧力タンクは、機械的に密封され、窒素などの圧縮ガスを用いて加圧される。
【0055】
本発明では、製造プラントの既存の設備においてEPS材料を置き換えることができることが着想された。EPS原材料は、堆肥化可能なまたはバイオベースの発泡性ビーズからなる原材料に置き換えられるであろう。炭化水素発泡剤は、EPSの製造で既に用いられており、揮発性炭化水素を燃料として捕捉し、燃焼するプロセスが存在することから、発泡剤として着想された。既存のプラントをEPSから新規な堆肥化可能なまたはバイオベースの材料へ変換するために要するコストを最小限に抑えることが所望されていた。
【0056】
本発明の重要な態様は、PLAなどの堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマーのマトリックス中へ十分な量の炭化水素発泡剤を組み込むことができるということである。例えば、PLAは、EPS製造時にポリスチレンが示すペンタン吸収に対する親和性を示さない。室温において、ペンタンは固体ポリスチレン中へ容易に吸収されるが、PLAの場合、これは起こらない。従って、炭化水素発泡剤を含浸することができる、堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマーの組成物を作製することが必要である。これを行うために、すべての疎水性添加剤が好ましいわけではないが、疎水性添加剤が配合物に添加される。低親水性‐親油性バランス(HLB)数である疎水性添加剤が好ましい。低HLB数疎水性添加剤の例としては、Span 60(ソルビタンモノステアレート、HLB=4.7)、Span 80(ソルビタンオレエート、HLB=4)、およびSpan 85(ソルビタントリオレエート、HLB=1.8)が挙げられる。ブロックコポリマー非イオン性乳化剤もまた、炭化水素発泡剤の溶解性を高めるための疎水性添加剤として用いてよい。適切な非イオン性乳化剤の例は、ベーカーペトロライト製のUnithox 420エトキシレート(HLB=4)であり、これは、ポリエチレンおよびポリエチレングリコールの低分子量ブロックコポリマーである。炭化水素発泡剤の溶解性を補助するために、大豆油などの生物由来油、または硬化ヒマシ油由来のアセチル化モノグリセリドを追加で用いてよい。
【0057】
堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマー配合物の組成物を、従来の可塑剤、鎖延長剤、架橋剤、および他の熱可塑性材料とのブレンドを用いることでさらに改変し、樹脂の加工性の他の側面および発泡能力を改善した。
【0058】
例えば、以下の表1に挙げる材料組成物を、二軸押出し機による溶融処理を用いて作製した。堆肥化可能なバイオベースのポリマーであるNatureWorks 2002Dポリ乳酸(PLA)を、すべての配合物の主成分とした。追加の原材料としては、クエン酸エステル(Citroflex A‐2、ベルテルスパフォーマンスマテリアルズ(Vertellus Performance Materials))、コポリエステルエラストマー(Neostar FN007、イーストマンケミカル)、ステアリン酸表面処理炭酸カルシウム(Omyacarb FT、オーミャノースアメリカ(Omya North America))、ソルビタンモノステアレート(Span 60、シグマ‐アルドリッチ)、ポリエチレングリコール(Carbowax 8000、ダウケミカル)、硬化ヒマシ油由来アセチル化モノグリセリド Grindsted(Soft‐N‐Safe、ダニスコ(Danisco))、ジクミルペルオキシド(シグマ‐アルドリッチ)、エトキシル化非イオン性乳化剤(Unithox 450、ベイカーペテロライト)、および特別注文品であるマレイン酸変性PLAが含まれた。マレイン酸変性PLAは、3質量%の無水マレイン酸、0.5質量%のジクミルペルオキシド、および96.5質量%のNatureWorks 2002D PLAを、180℃の定温度プロファイルを用いた押出し機で溶融処理することにより、配合物の前駆体として作製した。
【0059】
【表1】

【0060】
原材料を、26mmの共回転二軸押出し機(ラボテックエンジニアリングカンパニー社(LabTech Engineering Company, LTD)製モデルLTF26‐40)の供給スロート部へ供給した。180℃の定温度プロファイルを用いた。押出し物を、ダイスを通過させてストランドを作製し、水冷または空冷し、ペレット化した。この組成物をペンタン発泡剤で含浸させるために、予め秤量したペレットのサンプルを、室温にて液体ペンタンと接触した状態で圧力容器中へ封入した。サンプル容器を水浴中に2時間浸漬して、80℃まで加熱した。2時間後、サンプルを取り出して冷却させた。ペレットを取り出し、表面を覆った液体ペンタンをすべて吸い取り除去して乾燥させ、秤量した。ペレット中に含浸されたペンタンの質量は、最終質量と初期質量との差から算出し、サンプル質量のパーセントとして表1に表す。コントロールサンプルであるNatureWorks 2002D PLAおよびマレイン酸変性PLAをレファレンスとして含める。含浸後、コントロールサンプルの測定したペンタン含有量は、2.5質量%未満であったが、疎水性添加剤を含有する材料では、含浸プロセスによって組み込まれたペンタンの質量が大きく増加した。表1に挙げる材料を、続いて、ホットプレート上で加熱してペンタン発泡剤を気相へ放出させることによって発泡させ、発泡ペレットを作製した。
【0061】
本発明は特定の実施形態を参照して説明されている。本発明の概念を説明する目的で具体的な値、関連性、材料および段階が説明されているが、基本的な概念の精神または範囲を逸脱することなく、広範に説明した本発明の原理を実施する開示された実施形態に示されるように、本発明に数々の変形および/または変更が加えられ得ることは当業者には明らかであろう。上記の教示に照らし合わせ、当業者が本明細書で教示される本発明から逸脱することなく、詳細を変更し得ることは認識されるべきである。本発明の基礎となる概念の特定の実施形態および変更形態についてこれまで十分に説明したが、当業者なら、そのような基礎となる概念を熟知するようになると、本明細書に示され、説明された種々の他の実施形態並びに前記実施形態の可能な変形形態および変更形態を思いつくであろうことは明白である。本発明の範囲内である限り、そのような変更形態、代替形態および他の実施形態の全てが含まれることが意図される。従って、本発明が本明細書で具体的に説明された以外の方法で実施され得ることを理解するべきである。従って、本発明の実施形態は、あらゆる点で例示的且つ非制限的であると見なされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機中で溶融加工性組成物を混ぜ合わせ、押出成形物を形成する工程と、
第1の発泡剤を前記組成物中に組み入れる工程であって、前記第1の発泡剤が物理的発泡剤を含む工程と、
第2の発泡剤を前記組成物中に組み入れる工程であって、前記第2の発泡剤が化学発泡剤を含む工程と、
押出成形物をペレット化しビーズを形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2の発泡剤が、前記第1の発泡剤の注入と混合の下流に組み入れられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の発泡剤が、前記第1の発泡剤の注入と混合の上流に組み入れられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の発泡剤が、前記第1の発泡剤の注入と混合と同時に組み入れられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の発泡剤が、超臨界COを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の発泡剤が、炭酸塩または重炭酸塩を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の発泡剤が、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、および炭酸マグネシウムからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の発泡剤が、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド、テトラゾール、ニトロソ化合物、および炭酸塩からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記溶融加工性組成物が、堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記溶融加工性組成物が、ポリ乳酸のポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記溶融加工性組成物が、核化剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ダイ押出機の端に取り付けられたダイから、前記押出成形物を押し出すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ペレット化が前記押出機のダイの表面で発生する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ダイの前端面と接触しているロータリーブレード(rotary blade)で、前記押出成形物を切断し、一方では前記押出成形物を発泡させ発泡ビーズを製造することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
押出ダイの表面での前記押出成形物のペレット化が、前記第1の発泡剤の完全な膨張前に発生する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ビーズの泡沫化が、前記押出成形物のペレット化後に発生する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記発泡ビーズを、加熱することより発泡させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記発泡ビーズを鋳型の中に移動し、
加熱することにより、該ビーズを鋳型中でさらに発泡および融合させること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ビーズが、加熱の間、前記発泡ビーズの体積膨張をもたらす独立気泡構造内部の内圧を保持することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
発泡成形物の製造方法であって、
請求項14に記載の方法により発泡ビーズを製造する工程と、
前記発泡ビーズを、発泡成形物が得られるような温度および圧力条件下に置く工程と、を含む、方法。
【請求項21】
前記方法が、発泡ビーズの融合を促進するために、加熱した気体を使用する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、蒸気を使用する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、空気または空気と蒸気の混合物を使用する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
化学発泡剤を含む、バイオベースまたは堆肥化可能なポリマーの押出成形物を含む組成物であって、前記押出成形物が、実質的に独立した気泡構造を持つビーズを形成するのに好適な粘性および密度をもつ、組成物。
【請求項25】
前記バイオベースまたは堆肥化可能なポリマーが、ポリ乳酸のポリマーを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記ビーズが10mm未満の平均直径を有する、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
前記ビーズが、球形または略球形の形状を有する、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
前記ビーズが、発泡体の独立気泡構造内の周囲条件を超える気体の内圧を保持することができる、請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
潜在性化学発泡剤を含む、少なくとも部分的に発泡したバイオベースまたは堆肥化可能なポリマーを含む、組成物。
【請求項30】
前記堆肥化可能なポリマーが、ポリ乳酸のポリマーを含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記少なくとも部分的に発泡したバイオベースまたは堆肥化可能なポリマーが、ビーズの形状である、請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
前記ビーズが、発泡体の独立気泡構造内の周囲条件を超える気体の内圧を保持することができる、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
バイオベースまたは堆肥化可能なポリマーを、物理的発泡剤および化学発泡剤の両方とともに溶融加工し、少なくとも部分的に発泡した押出成形物を形成することを含む方法であって、
化学発泡剤の少なくとも一部分が、前記少なくとも部分的に発泡した押出成形物中で、潜在性のままである、方法。
【請求項34】
前記潜在性の化学発泡剤を活性化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記活性化の方法が熱を使用する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記活性化の方法が、蒸気、空気、または蒸気と空気の混合物を使用する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
組成物であって:
堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマー;
疎水性添加剤;および、
炭化水素発泡剤、
を含み、
ここで、前記ポリマー、添加剤、および発泡剤は、混合物へと溶融処理される、組成物。
【請求項38】
前記疎水性添加剤が、疎水性アミンと組み合わせたマレイン酸変性カップリング剤を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記マレイン酸変性カップリング剤が、マレイン酸変性ポリ乳酸を含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記疎水性アミンが、炭化水素の第一級アミンを含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項41】
前記疎水性アミンが、オクタデシルアミンである、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記疎水性アミンが、複数のアミン官能基を含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項43】
前記疎水性添加剤が、親水性‐親油性バランス(HLB)数が15未満の界面活性剤である、請求項37に記載の組成物。
【請求項44】
前記疎水性添加剤が、非イオン性乳化剤である、請求項37に記載の組成物。
【請求項45】
前記疎水性添加剤が、生物由来油である、請求項37に記載の組成物。
【請求項46】
前記疎水性添加剤が、ソルビタンの誘導体を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項47】
前記疎水性添加剤が、疎水性処理された無機物を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項48】
前記疎水性添加剤が、ポリエチレングリコールを含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項49】
前記疎水性添加剤が、クエン酸エステルを含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項50】
前記疎水性添加剤が、低分子量炭化水素に可溶である、請求項37に記載の組成物。
【請求項51】
前記低分子量炭化水素が:
プロパン;
ブタン;
ペンタン;
ヘキサン;
ヘプタン;および、
オクタン、
からなる群より選択される、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
前記炭化水素発泡剤が、低分子量炭化水素を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項53】
前記炭化水素発泡剤が:
プロパン;
ブタン;
ペンタン;
ヘキサン;
ヘプタン;および、
オクタン、
からなる群より選択される、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
組成物を形成する方法であって、
堆肥化可能なまたはバイオベースのポリマー;および、
疎水性添加剤、
を含むミックスを混ぜることと;
前記ミックスを処理してプラスチック溶融混合物とすることと;
前記混合物をペレット化してペレットを作製することと;
前記ペレットに炭化水素発泡剤を含浸させることと、
を含む、方法。
【請求項55】
前記ミックスが、炭化水素発泡剤をさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ミックスをプラスチック溶融混合物へ処理する前記工程が、押出し機内にて前記ミックスを溶融混練することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記溶融混合押出し物を、前記押出し機端部に取り付けられたダイスノズルを通して押出すこと:
をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記ペレットを炭化水素発泡剤に含浸させる前記工程が、密封容器内にて前記ペレットを気体で加圧することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記気体が:
プロパン;
ブタン;
ペンタン;
ヘキサン;
ヘプタン;および、
オクタン、
からなる群より選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記ペレットを炭化水素発泡剤に含浸させる前記工程が、前記ペレットを20℃から100℃の間の温度まで加熱することをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記含浸したペレットを加熱によって発泡させて発泡ビーズを作製すること:
をさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
前記ビーズを金型へ移すこと;ならびに、熱を加えることにより、前記ビーズを前記金型内でさらに発泡および融合させること:
をさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
発泡成形品を作製するための方法であって:
請求項61に記載の方法に従って発泡ビーズを作る工程;
前記発泡ビーズを、発泡成形品が得られる温度および圧力条件下に置く工程、
を含む、方法。

【公開番号】特開2013−18959(P2013−18959A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−57698(P2012−57698)
【出願日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(512066060)リフォーム・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】Lifoam Industries,LLC
【Fターム(参考)】