説明

発泡成形体の製造方法およびそれにより得られた発泡成形体、ならびに発泡用樹脂組成物

【課題】発泡性に優れた製造方法であって、柔軟性、可とう性および発泡セル状態に優れた発泡成形体の製造方法、ならびに前記製造方法により得られた発泡成形体を提供する。
【解決手段】脂肪族ポリエステル(a)とポリオレフィン(b)と官能基含有水添ジエン重合体(c)とを含有する樹脂組成物を、発泡剤を用いて発泡成形する工程を有する、発泡成形体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成形体の製造方法およびそれにより得られた発泡成形体、ならびに発泡用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、土中、水中に存在する微生物等の作用により自然環境下で分解する、脂肪族ポリエステル等の生分解性ポリマーから形成された発泡成形体の需要が増加している(例えば、特許文献1および2参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1および2では、ポリ乳酸およびポリオレフィンを含有する樹脂組成物を発泡させて発泡成形体を得ている。前記発泡成形体では、ポリ乳酸とブレンドされるポリマーとの相溶性が悪く、成形加工性、成形体外観、発泡セルの均一性に劣る、という問題がある。
【0004】
特許文献3には、脂肪族ポリエステルおよび弾性重合体を含有する樹脂組成物の成形体が開示されている。しかしながら、特許文献3では発泡成形体についての詳しい記載は特にない。
【0005】
特許文献4には、ポリ乳酸、ポリオレフィンおよび官能基含有水素添加ジエン重合体を含有する樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献4では発泡成形体についての記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−046019号公報
【特許文献2】特開2010−070631号公報
【特許文献3】特許第4544918号
【特許文献4】国際公開第2006/016480号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、発泡性に優れた製造方法であって、柔軟性、可とう性および発泡セル状態に優れた発泡成形体の製造方法、前記製造方法により得られた発泡成形体、ならびに前記製造方法に用いることのできる発泡用樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、下記構成の製造方法により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、例えば以下の[1]〜[12]に関する。
[1]脂肪族ポリエステル(a)とポリオレフィン(b)と官能基含有水添ジエン重合体(c)とを含有する樹脂組成物を、発泡剤を用いて発泡成形する工程を有する、発泡成形体の製造方法。
[2]前記ポリオレフィン(b)の、温度210℃かつ引取速度2.0m/分における溶融張力が、3.0cN以上である、前記[1]の発泡成形体の製造方法。
[3]前記ポリオレフィン(b)が、ポリプロピレン樹脂およびポリエチレン樹脂から選択される少なくとも1種である、前記[1]または[2]の発泡成形体の製造方法。
[4]前記脂肪族ポリエステル(a)が、ポリ乳酸である、前記[1]〜[3]のいずれか一項の発泡成形体の製造方法。
[5]前記樹脂組成物が、官能基含有オレフィン重合体(d)をさらに含有する、前記[1]〜[4]のいずれか一項の発泡成形体の製造方法。
[6]前記樹脂組成物が、官能基含有水添ジエン重合体(c)以外のエラストマー(e)をさらに含有する、前記[1]〜[5]のいずれか一項の発泡成形体の製造方法。
[7]前記水添ジエン重合体(c)が、少なくとも共役ジエン化合物を重合して得られた共役ジエン重合体の活性点に、一般式(7)で表されるシラン化合物を反応させ、得られた変性重合体を水素添加してなる重合体である、前記[1]〜[6]のいずれか一項の発泡成形体の製造方法。
【0009】
10(4-m-n)Si(OR11mn (7)
[式(7)中、R10は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基であり、R10が複数ある場合は、各R10は同一の基でも異なる基でもよい。R11は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基であり、R11が複数ある場合は、各R11は同一の基でも異なる基でもよい。XはN原子含有極性基を有する基であり、Xが複数ある場合は、各Xは同一の基でも異なる基でもよく、また、各Xは独立の置換基でもよく、2以上のXが相互に結合して環状構造を形成していてもよい。mは1、2または3であり、nは1、2または3であり、mおよびnの和は2〜4の整数である。]
[8]前記[1]〜[7]のいずれか一項の製造方法により得られた発泡成形体。
[9]圧縮永久歪みが50%以下であり、25%圧縮荷重応力が1〜1,000kPaである、前記[8]の発泡成形体。
[10]脂肪族ポリエステル(a)とポリオレフィン(b)と官能基含有水添ジエン重合体(c)とを含有する樹脂組成物であって、前記ポリオレフィン(b)の、温度210℃かつ引取速度2.0m/分における溶融張力が、3.0cN以上である、発泡用樹脂組成物。
[11]官能基含有オレフィン重合体(d)をさらに含有する、前記[10]の発泡用樹脂組成物。
[12]官能基含有水添ジエン重合体(c)以外のエラストマー(e)をさらに含有する、前記[10]または[11]の発泡用樹脂組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発泡性に優れた製造方法であって、柔軟性、可とう性および発泡セル状態に優れた発泡成形体の製造方法、前記製造方法により得られた発泡成形体、ならびに前記製造方法に用いることのできる発泡用樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の製造方法に用いられる樹脂組成物(以下「発泡用樹脂組成物」ともいう。)について説明した後、本発明の発泡成形体の製造方法について説明する。
本明細書において「重合体」とは単独重合体および共重合体の総称であり、「重合」とは単独重合および共重合の総称である。また、水素添加を「水添」ともいい、重合体において化合物Xに由来する構成単位を「化合物X単位」ともいう。
【0012】
〔発泡用樹脂組成物〕
本発明の発泡用樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル(a)とポリオレフィン(b)と官能基含有水添ジエン重合体(c)とを含有する。以下、前記各成分を「成分(a)〜(c)」ともいう。本発明では、前記樹脂組成物を発泡させることにより発泡成形体を製造することができる。
【0013】
本発明の発泡用樹脂組成物は、溶融延展性、流動性および発泡性に優れる。また、この樹脂組成物を用いることにより、成形体表面に凹凸等が見られず、均一な外観を有しており、折り曲げ等によっても亀裂、破壊、表面剥離等が見られないといった可とう性に優れており、発泡セル径が均一で発泡セル状態に優れた発泡成形体を得ることができる。さらに、この樹脂組成物の添加成分を適宜調整することにより、柔軟性、変形復元性および耐衝撃性により優れた発泡成形体を得ることができる。
【0014】
〈脂肪族ポリエステル(a)〉
脂肪族ポリエステルとしては、例えば、(a1)脂肪族ヒドロキシカルボン酸の縮合反応により得られる重合体、(a2)脂肪族ジカルボン酸およびそのエステル誘導体から選択される1種以上と、脂肪族ジオールおよびそのエステル誘導体から選択される1種以上との縮合反応により得られる重合体が挙げられる。脂肪族ヒドロキシカルボン酸は、縮合成分の主成分であることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸およびそのエステル誘導体から選択される1種以上と、脂肪族ジオールおよびそのエステル誘導体から選択される1種以上とは、縮合成分の主成分であることが好ましい。ここで「主成分」とは、当該成分割合が全縮合成分100モル%に対して80モル%以上であることを意味する。
【0015】
《重合体(a1)》
重合体(a1)は、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を少なくとも含む縮合成分の縮合反応により得られる。脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸などのヒドロキシアルカン酸;ε−カプロラクトンが挙げられる。これらの中でも、生分解性、耐熱性の観点から、乳酸が好ましい。したがって、重合体(a1)としてはポリ乳酸が好ましい。
【0016】
高い耐熱性を有するポリ乳酸を得るためには、乳酸成分の光学純度が高い方が好ましい。総乳酸成分のうち、L−乳酸(L体)が80モル%以上またはD−乳酸(D体)が80モル%以上含まれることが好ましく、90モル%以上含まれることがより好ましく、95モル%以上含まれることが特に好ましい。
【0017】
ポリ乳酸としては、L体またはD体の一方を縮合成分の主成分として重合して得られる重合体が挙げられ、本発明の目的を損なわない範囲、例えば縮合成分(重合成分)100モル%に対して、好ましくは20モル%未満で、特に好ましくは10モル%未満で、乳酸以外の他の共重合成分を共重合してもよい。
【0018】
ポリ乳酸において、乳酸以外の他の共重合成分としては、例えば、
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸;
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノール(例:ビスフェノ−ルA)にエチレンオキシドを付加反応させてなる芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール;
グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;
グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン;
が挙げられる。他の共重合成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
ポリ乳酸の製造方法としては、従来公知の製造方法が挙げられ、例えば、乳酸を用いた直接重合法、ラクチドを用いた開環重合法(ラクチド法)が挙げられる。
ポリ乳酸の平均分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば、特に限定されるものではないが、重量平均分子量は、好ましくは1万〜50万、より好ましくは4万〜45万、特に好ましくは8万〜40万である。ポリ乳酸の重量平均分子量は、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定された、ポリメタクリル酸メチル換算の重量平均分子量である。
【0020】
ポリ乳酸の融点は、特に限定されるものではないが、好ましくは120℃〜240℃、より好ましくは150℃〜200℃である。なお、ポリ乳酸の融点は、示差走査熱量測定法(DSC)により測定することができる。
【0021】
《重合体(a2)》
重合体(a2)は、脂肪族ジカルボン酸およびそのエステル誘導体から選択される1種以上と、脂肪族ジオールおよびそのエステル誘導体から選択される1種以上とを少なくとも含む縮合成分の縮合反応により得られる。
【0022】
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸、ダイマー酸等の直鎖状または分岐鎖状ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の環状ジカルボン酸が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸のエステル誘導体としては、例えば酸無水物が挙げられ、具体的には無水コハク酸が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸およびそのエステル誘導体は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の直鎖状または分岐鎖状ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオールが挙げられる。脂肪族ジオールおよびそのエステル誘導体は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
少量であれば、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の分子量5000以下の長鎖ジオールを1種単独でまたは2種以上を併用することができる。
【0025】
脂肪族ポリエステル(a)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
以上の脂肪族ポリエステル(a)の具体例としては、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレートなどのポリヒドロキシアルカン酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペートが挙げられる。これらの中でも、ポリ乳酸(PLA)が生分解性および耐熱性の観点から特に好ましい。
【0026】
本発明の発泡用樹脂組成物において脂肪族ポリエステル(a)の含有量(使用量)は、前記脂肪族ポリエステル(a)および前記ポリオレフィン(b)の合計量100質量%に対して、通常1〜99質量%、好ましくは10〜90質量%、特に好ましくは20〜80質量%である。脂肪族ポリエステル(a)の含有量が前記範囲にあると、環境への負荷が少なく、柔軟性、可とう性に優れた発泡成形体を得ることができる。
【0027】
〈ポリオレフィン(b)〉
本発明の発泡用樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル(a)に加えて、ポリオレフィン(b)を構成成分として含有する。発泡用樹脂組成物にポリオレフィン(b)を含有させることによって、脂肪族ポリエステル(a)単独の場合と比較して、発泡成形性、耐熱性、可とう性に優れた発泡成形体を得ることができる。
【0028】
本明細書において「ポリオレフィン」とは、エチレンおよびα−オレフィンから選択される1種以上のモノマーを重合して得られる重合体を意味する。ポリオレフィン(b)としては、発泡性の観点から、結晶性ポリオレフィンを用いることが好ましい。
【0029】
ポリオレフィンは、公知の原料および技術により製造されたものを使用することができる。原料としては、例えば、石油由来の原料、およびさとうきび等の植物由来の原料のどちらを使用してもよい。また、製造方法としては特に限定されず、チーグラー・ナッタ系触媒を用いた重合方法、およびメタロセン系触媒を用いた重合方法のいずれの方法により得られるものであってもよい。その重合法については特に制限はなく、例えば、従来公知の重合方法(例:高圧法、低圧法)等により重合して得られる重合体を用いることができる。
【0030】
α−オレフィンとしては、例えば、プロペン(以下「プロピレン」ともいう。)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン等の炭素数3〜12のα−オレフィンが挙げられる。
【0031】
ポリオレフィン(b)としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、メチルペンテン樹脂が挙げられ、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。
【0032】
ポリエチレン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・オクテン共重合体が挙げられる。
【0033】
ポリプロピレン樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン共重合体が挙げられる。
【0034】
ポリオレフィン(b)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン(b)としては、例えば、上記結晶性ポリオレフィンと、非晶性ポリオレフィンとを併用することができる。非晶性ポリオレフィンとしては、例えば、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリ−1−ブテン等の単独重合体;プロピレン(50モル%以上含有)と他のα−オレフィン(上記例示)との共重合体、1−ブテン(50モル%以上含有)と他のα−オレフィン(上記例示)との共重合体が挙げられる。
【0035】
ポリオレフィン(b)の、温度210℃かつ引取速度2.0m/分における溶融張力は、好ましくは3.0cN以上、より好ましくは3.0cN〜200cN、さらに好ましくは5.0cN〜100cN、特に好ましくは8.0cN〜100cNである。溶融張力が前記数値範囲であるポリオレフィン(b)を用いることにより、発泡倍率が高く、独立気泡性が高く、発泡気泡形状が均一である発泡体を得ることができる。なお、溶融張力の測定方法の詳細は実施例に記載したとおりである。
【0036】
ポリエチレン樹脂の、JIS K7210に準拠した、温度190℃、荷重21.2N荷重下におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.1〜80g/10分である。
【0037】
ポリプロピレン樹脂の、JIS K7210に準拠した、温度230℃、荷重21.2N荷重下におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.1〜80g/10分である。
【0038】
ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂のMFRが上記数値範囲の下限値以上であると、発泡用樹脂組成物の混練加工性、押出加工性等がより向上する。これらのMFRが上記数値範囲の上限値以下であると、発泡成形体の強度がより向上する。
【0039】
本発明の発泡用樹脂組成物においてポリオレフィン(b)の含有量(使用量)は、前記脂肪族ポリエステル(a)および前記ポリオレフィン(b)の合計100質量%に対して、通常1〜99質量%、好ましくは10〜90質量%、特に好ましくは20〜80質量%である。ポリオレフィン(b)の含有量が前記範囲にあると、耐熱性および成形性の向上効果を充分に得ることができる。
【0040】
〈官能基含有水添ジエン重合体(c)〉
官能基含有水添ジエン重合体(c)としては、例えば、少なくとも共役ジエン化合物から得られた共役ジエン重合体(例:共役ジエン化合物、または共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物等の他の単量体とから得られた共役ジエン重合体)を水添してなり、かつ官能基を有する(例えば変性された)水添ジエン重合体が挙げられる。好ましくは、共役ジエン化合物、または共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物等の他の単量体とをアニオン重合して得られる共役ジエン重合体を水添してなり、かつ官能基を有する(例えば変性された)水添ジエン重合体が挙げられる。共役ジエンに由来する二重結合の水添割合は、通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。
【0041】
成分(c)における芳香族ビニル化合物単位と共役ジエン化合物単位との含有量の割合(芳香族ビニル化合物単位/共役ジエン化合物単位)は、質量比で、通常0/100〜80/20、好ましくは3/97〜60/40の範囲である。
【0042】
成分(c)が有する官能基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、シラザン基、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基、イソシアネート基およびオキサゾリン基から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0043】
成分(c)の官能基含量は、電気特性、耐湿性などの特性の低下しない範囲で、得られる発泡用樹脂組成物の機械的特性と成形加工性とのバランスが良くなるように付与すればよいが、重合体一分子鎖あたり、好ましくは0.01〜100個、特に好ましくは0.1〜30個である。ここで官能基含量とは、例えば後述する一般式(1)〜(8)で表される変性剤由来の官能基の含量である。
【0044】
成分(c)の分子量は、GPC法におけるポリスチレン換算による重量平均分子量で、通常3万〜200万、好ましくは4万〜100万、更に好ましくは5万〜50万である。
本発明の発泡用樹脂組成物において官能基含有水添ジエン重合体(c)の含有量(使用量)は、脂肪族ポリエステル(a)とポリオレフィン(b)との合計100質量部に対して、通常1〜100質量部、好ましくは2〜50質量部、特に好ましくは3〜30質量部である。成分(c)の含有量は、成分(a)と成分(b)との分散性を維持し、良好な成形体外観および均一な発泡セル状態を保つためには前記数値範囲の下限値以上であることが好ましく、発泡成形体の外観を良好なものとしておくためには前記数値範囲の上限値以下であることが好ましい。
【0045】
成分(c)としては、例えば、以下の重合体が挙げられる。
(c1)少なくとも共役ジエン化合物を重合して得られた共役ジエン重合体をさらに水添してなる重合体に、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリロイル基含有化合物、下記一般式(2)で表されるエポキシ基含有化合物および無水マレイン酸から選ばれる少なくとも1種を溶液中または押出機等の混練機中で反応させて得られる重合体。
(c2)少なくとも共役ジエン化合物を、N原子含有極性基を有する有機アルカリ金属化合物の存在下でブロック重合して、得られた変性共役ジエン重合体を水素添加してなる重合体。
(c3)少なくとも共役ジエン化合物とN原子含有極性基を有する不飽和単量体とを重合して得られた共役ジエン重合体を水素添加してなる重合体。
(c4)少なくとも共役ジエン化合物を重合して得られた共役ジエン重合体の活性点に、シラン化合物を反応させ、得られた変性重合体を水素添加してなる重合体。
(c5)少なくとも共役ジエン化合物を重合して得られた共役ジエン重合体の活性点に、エポキシ化合物、ケトン化合物または下記一般式(3)〜(7)を除く含窒素化合物を反応させ、得られた変性重合体を水素添加してなる重合体。
【0046】
共役ジエン化合物とともに、芳香族ビニル化合物等の他の単量体を重合してもよい。
これらの中でも、脂肪族ポリエステル(a)とポリオレフィン(b)との相溶性の観点から、上記(c2)〜(c5)の重合体が好ましく、工業的な入手性の観点から、上記(c4)の重合体がより好ましい。
【0047】
これらの重合体は、例えば、特許第3134504号、特許第3360411号、特許第3988495号に記載の方法に従って製造することができる。
《共役ジエン化合物》
共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、ミルセン、クロロプレンが挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0048】
《芳香族ビニル化合物》
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジンが挙げられる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−ブチルスチレンが好ましく、スチレン、tert−ブチルスチレンが特に好ましい。
【0049】
《(メタ)アクリロイル基含有化合物》
上記(c1)の重合体の製造に使用される(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、一般式(1)で表される(メタ)アクリロイル基含有化合物が挙げられる。
【0050】
【化1】

【0051】
式(1)中、R1は水素原子またはメチル基であり、Aはヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の二価の炭化水素基または単結合であり、X1はアルコキシシリル基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基またはオキサゾリン基であり、qは1〜3の整数である。
【0052】
《エポキシ基含有化合物》
上記(c1)の重合体の製造に使用されるエポキシ基含有化合物としては、例えば、一般式(2)で表されるエポキシ基含有化合物が挙げられる。
【0053】
【化2】

【0054】
式(2)中、R2は炭素数2〜18のアルケニル基であり、Xはカルボニルオキシ基、メチレンオキシ基またはフェニレンオキシ基である。
《有機アルカリ金属化合物》
上記(c1)、(c3)〜(c5)の重合体の製造において、例えば、有機アルカリ金属化合物の存在下で、共役ジエン化合物、芳香族ビニル等の他の単量体、N原子含有極性基を有する不飽和単量体などの原料成分をブロック重合して重合体を得ることが好ましい。
【0055】
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物が挙げられ、特にn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物が好ましい。
【0056】
《N原子含有極性基を有する有機アルカリ金属化合物》
上記(c2)の重合体の製造に使用されるN原子含有極性基を有する有機アルカリ金属化合物としては、例えば、一般式(3)または(4)で表される有機アルカリ金属化合物が挙げられる。
【0057】
【化3】

【0058】
式(3)中、R3およびR4は双方とも炭素数3〜18のトリアルキルシリル基であるか、いずれか一方が前記トリアルキルシリル基であり、他方が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。
【0059】
式(3)および(4)中、R5は炭素数1〜20のアルキレン基またはアルキリデン基である。式(4)中、複数あるR6はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。
【0060】
本明細書において特に断らない限り、トリアルキルシリル基の炭素数は3〜18(好ましくは3〜9、更に好ましくは3〜6)であり、アルキル基の炭素数は1〜20(好ましくは1〜18、更に好ましくは1〜6)であり、アリール基の炭素数は炭素数6〜20(好ましくは6〜12、更に好ましくは6〜9)であり、アラルキル基の炭素数は炭素数7〜20(好ましくは7〜13、更に好ましくは7〜10)であり、オルガノシロキシ基の炭素数は1〜100(好ましくは1〜50、更に好ましくは5〜30)であり、アルキレン基またはアルキリデン基の炭素数は1〜20(好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6)である。
【0061】
本明細書においてオルガノシロキシ基としては、例えば、下記構造が挙げられる。このオルガノシロキシ基の炭素数の上限値は、100であり、好ましくは50であり、更に好ましくは30である。
【0062】
【化4】

【0063】
式中、rは、このオルガノシロキシ基の炭素数の上限値が上記要件を充たす限り特に限定されないが、通常0または正の整数であり、好ましくは0〜5の整数である。式中、Rは、それぞれ独立に有機基を示す。有機基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ポリエーテル基およびフッ素含有基が挙げられる。アルキル基は、直鎖、分枝鎖または環状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基が挙げられ、メチル基およびエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アリール基としては、フェニル基が好ましい。ポリエーテル基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基およびポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン基が挙げられる。フッ素含有基としては、例えば、置換基として1つ以上のフッ素原子を有する、アルキル基およびアルケニル基が挙げられ、ここでアルキル基およびアルケニル基は、直鎖、分枝鎖または環状であってもよい。
【0064】
オルガノシロキシ基の具体例としては、1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキシ基、1,1,1,3,3−ペンタエチルジシロキシ基、1,1,1,3,3−ペンタフェニルジシロキシ基が挙げられる。
【0065】
一般式(3)または(4)で表される有機アルカリ金属化合物の具体例としては、3−リチオ−1−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]アミノプロパン(CAS No.289719−98−8)、2−リチオ−1−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]アミノエタン、3−リチオ−2,2−ジメチル−1−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]アミノプロパン、2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−リチオプロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−リチオ−2,2−ジメチル−プロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、2,2,5,5−テトラメチル−1−(2−リチオエチル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、3−リチオ−1−[N−(tert−ブチル−ジメチルシリル)−N−トリメチルシリル]アミノプロパン、3−リチオ−1−(N−メチル−N−トリメチルシリル)アミノプロパン、3−リチオ−1−(N−エチル−N−トリメチルシリル)アミノプロパンが挙げられる。
【0066】
《N原子含有極性基を有する不飽和単量体》
上記(c3)の重合体の製造に使用されるN原子含有極性基を有する不飽和単量体としては、例えば、一般式(5)または(6)で表される不飽和単量体が挙げられる。
【0067】
【化5】

【0068】
式(5)および(6)中、R7およびR8は双方とも炭素数3〜18のトリアルキルシリル基であるか、いずれか一方が前記トリアルキルシリル基であり、他方が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。式(6)中、R9は炭素数1〜20のアルキレン基またはアルキリデン基である。式(5)および(6)中、nは1〜3の整数である。
【0069】
一般式(5)または(6)で表される不飽和単量体の具体例としては、p−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]スチレン、p−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]スチレン、p−{2−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン、m−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]スチレン、p−(N−メチル−N−トリメチルシリルアミノ)スチレン、p−(N−メチル−N−トリメチルシリルアミノメチル)スチレンが挙げられる。
【0070】
《シラン化合物》
上記(c4)の重合体の製造に使用されるシラン化合物としては、例えば、一般式(7)で表されるシラン化合物が挙げられる。
【0071】
10(4-m-n)Si(OR11mn (7)
式(7)中、R10は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。R10が複数ある場合は、各R10は同一の基でも異なる基でもよい。
【0072】
11は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基である。R11が複数ある場合は、各R11は同一の基でも異なる基でもよい。
【0073】
XはN原子含有極性基を有する基であり、Si原子との結合を少なくとも2つ有するN原子を含む極性基を有する基であることが好ましい。前記極性基としては、例えば−NR2(式中、Rはそれぞれ独立に炭素数3〜18のトリアルキルシリル基、炭素数1〜20のアルキル基であり、好ましくは双方とも炭素数3〜18のトリアルキルシリル基である)で表される基、−N=R(式中、Rは炭素数1〜100のアルキリデン基またはベンジリデン基であり、これらの基はアミノ基を有してもよい)が挙げられる。前記極性基を有する基としては、例えば、−A−X’(式中、Aは炭素数1〜20のアルキレン基であり、X’は前記極性基である)で表される基が挙げられる。Xが複数ある場合は、各Xは同一の基でも異なる基でもよく、また、各Xは独立の置換基でもよく、2以上のXが相互に結合して環状構造を形成していてもよい。
【0074】
mは1、2または3であり、nは1、2または3である。
mおよびnの和は2〜4の整数である。
一般式(7)で表されるシラン化合物の具体例としては、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルジメチルメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルジメチルエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン、
N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、
N,N−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルジメチルエトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、
N−エチリデン−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、
N−エチリデン−3−(メチルジメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(メチルジエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(メチルジメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(メチルジエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(メチルジメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(メチルジエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(メチルジメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(メチルジエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(メチルジメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(メチルジエトキシシリル)−1−プロパンアミン、
N−エチリデン−3−(ジメチルメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(ジメチルエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(ジメチルメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(ジメチルエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(ジメチルメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(ジメチルエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(ジメチルメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(ジメチルエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(ジメチルメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(ジメチルエトキシシリル)−1−プロパンアミン、
N−トリメチルシリル−N−(ジメチル−tert−ブチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N−トリメチルシリル−N−(ジメチル−tert−ブチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N−トリメチルシリル−N−(ジメチル−tert−ブチルシリル)アミノエチルジメチルメトキシシラン、N−トリメチルシリル−N−(ジメチル−tert−ブチルシリル)アミノエチルジメチルエトキシシラン、N−トリメチル−N−(ジメチルシリル−tert−ブチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、N−トリメチルシリル−N−(ジメチル−tert−ブチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン、N−トリメチルシリル−N−(ジメチル−tert−ブチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−トリメチルシリル−N−(ジメチル−tert−ブチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリメチルシリル−N−(ジメチル−tert−ブチルシリル)アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−トリメチルシリル−N−(ジメチル−tert−ブチルシリル)アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−トリメチルシリル−N−(ジメチル−tert−ブチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−トリメチルシリル−N−(ジメチル−tert−ブチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、
N−N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノエチルトリメトキシシラン、N−N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノエチルトリエトキシシラン、N−N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノエチルメチルジメトキシシラン、N−N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノエチルメチルジエトキシシラン、N−N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノエチルジメチルメトキシシラン、N−N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノエチルジメチルエトキシシラン、N−N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、
N,N’,N”,N”−テトラキス(トリメチルシリル)−N’−(2−アミノエチル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノエチルトリメトキシシラン、N,N’,N”,N”−テトラキス(トリメチルシリル)−N’−(2−アミノエチル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノエチルトリエトキシシラン、N,N’,N”,N”−テトラキス(トリメチルシリル)−N’−(2−アミノエチル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノエチルメチルジメトキシシラン、N,N’,N”,N”−テトラキス(トリメチルシリル)−N’−(2−アミノエチル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノエチルメチルジエトキシシラン、N,N’,N”,N”−テトラキス(トリメチルシリル)−N’−(2−アミノエチル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノエチルジメチルメトキシシラン、N,N’,N”,N”−テトラキス(トリメチルシリル)−N’−(2−アミノエチル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノエチルジメチルエトキシシラン、N,N’,N”,N”−テトラキス(トリメチルシリル)−N’−(2−アミノエチル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’,N”,N”−テトラキス(トリメチルシリル)−N’−(2−アミノエチル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’,N”,N”−テトラキス(トリメチルシリル)−N’−(2−アミノエチル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N’,N”,N”−テトラキス(トリメチルシリル)−N’−(2−アミノエチル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N’,N”,N”−テトラキス(トリメチルシリル)−N’−(2−アミノエチル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N,N’,N”,N”−テトラキス(トリメチルシリル)−N’−(2−アミノエチル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、
N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルエチルトリメトキシシラン、N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルエチルトリエトキシシラン、N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルエチルメチルジメトキシシラン、N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルエチルメチルジエトキシシラン、N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルエチルメチルジメトキシシラン、N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルエチルジメチルメトキシシラン、N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルエチルジメチルエトキシシラン、N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルプロピルトリメトキシシラン、N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルプロピルトリエトキシシラン、N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルプロピルメチルジメトキシシラン、N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルプロピルメチルジエトキシシラン、N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルプロピルメチルジメトキシシラン、N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルプロピルジメチルメトキシシラン、N’−トリメチルシリル−N−ピペラジニルプロピルジメチルエトキシシラン、
1−(3−トリメトキシシリルエチル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−トリエトキシシリルエチル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−トリメチルジメトキシシリルエチル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−トリメチルジエトキシシリルエチル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−トリジメチルメトキシシリルエチル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−トリジメチルエトキシシリルエチル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−トリメチルジメトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−トリメチルジエトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−トリジメチルメトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−トリジメチルエトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン
が挙げられる。
【0075】
《エポキシ化合物、ケトン化合物、含窒素化合物》
上記(c5)の重合体の製造に使用されるエポキシ化合物としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が、ケトン化合物としてはアセトン、ベンゾフェノン等が、上記一般式(3)〜(7)を除く含窒素化合物としては一般式(8)で表される化合物等が挙げられる。
【0076】
1213C=N−Y (8)
式(8)中、R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。
【0077】
Yは水素原子、炭素数3〜18のトリアルキルシリル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基である。
【0078】
一般式(8)で表される化合物の具体例としては、N−ベンジリデンメチルアミン、N−ベンジリデンエチルアミン、N−ベンジリデンブチルアミン、N−ベンジリデンアニリンが挙げられる。
【0079】
《重合体(c1)》
上記(c1)の重合体としては、例えば、無水マレイン酸変性スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸変性スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸変性スチレン−エチレン・ブチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、エポキシ変性スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、エポキシ変性スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、エポキシ変性スチレン−エチレン・ブチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体が挙げられる。
【0080】
《重合体ブロックの構成》
成分(c)は、次に例示する重合体ブロック(A)、(B)および(C)によって構成される重合体とすることができる。成分(c)としては、少なくとも1種の重合体ブロック(B)と、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(C)から選択される1種以上の重合体ブロックとを有する重合体が好ましく用いられる。
(A):芳香族ビニル化合物単位を50質量%を超えて有する重合体ブロック。特に、芳香族ビニル化合物単位を好ましくは80質量%超えて有する重合体ブロック。
(B):共役ジエン化合物単位を50質量%を超えて有し、そのビニル結合含量が30〜90モル%である重合体ブロック。特に、共役ジエン化合物単位を好ましくは80質量%を超えて有する重合体ブロック。
(C):共役ジエン化合物単位を50質量%を超えて有し、そのビニル結合含量が30モル%未満である重合体ブロック。特に、共役ジエン化合物単位を好ましくは80質量%を超えて有する重合体ブロック。
【0081】
なお、本明細書において、ビニル結合含量とは、水添前の重合体ブロック中に1,2−結合、3,4−結合および1,4−結合の結合様式で組み込まれている共役ジエン化合物単位のうち、1,2−結合および3,4−結合で組み込まれている単位の合計割合(モル%基準)である。
【0082】
重合体ブロックが2種以上の化合物から形成された共重合体ブロックであるときは、得られる樹脂組成物の目的に応じて、ランダム型、または芳香族ビニル化合物単位もしくは共役ジエン化合物単位の含有量が重合体ブロック中で連続的に変化するいわゆるテーパー型にすることができる。
【0083】
上記「少なくとも1種の重合体ブロック(B)と、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(C)から選択される1種以上の重合体ブロックとを有する重合体」としては、例えば、(A)−(B)、[(A)−(B)]x−Y、(B)−(C)、(A)−(B)−(C)、(C)−(B)−(C)、(A)−(B)−(A)、[(A)−(B)−(C)]x−Y、[(A)−(B)−(A)]x−Y、(A)−(B)−(A)−(B)、[(A)−(B)−(A)−(B)]x−Y、(A)−(B)−(A)−(B)−(A)、[(A)−(B)−(A)−(B)−(A)]x−Y、[(B)−(A)]x−Y、(B)−(A)−(B)−(C)、(B)−(A)−(C)−(A)、[(C)−(A)−(B)−(C)]x−Yが挙げられる(但し、x≧2であり、Yはカップリング剤の残基である)。
【0084】
発泡用樹脂組成物をペレット形状にする場合は、官能基含有水添ジエン重合体(c)の外側のブロック成分として、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(C)から選択される1種以上の重合体ブロックを含むことが好ましい。
【0085】
《カップリング剤》
カップリング剤としては、例えば、ハロゲン化合物、エポキシ化合物、カルボニル化合物、ポリビニル化合物が挙げられる。上記カップリング剤として、具体的には、メチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、テトラクロロシラン、ジブロモエタン、エポキシ化大豆油、ジビニルベンゼン、テトラクロロ錫、ブチルトリクロロ錫、テトラクロロゲルマニウム、ビス(トリクロロシリル)エタン、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、ジメチルテレフタル酸、ジエチルテレフタル酸、ポリイソシアネートが挙げられる。
【0086】
〈官能基含有オレフィン重合体(d)〉
本発明の発泡用樹脂組成物は、上述の成分(a)〜(c)のほか、官能基含有オレフィン重合体(d)をさらに含有してもよい。官能基含有オレフィン重合体(d)を用いると、例えば、脂肪族ポリエステル(a)の相溶性を向上させることができる。
【0087】
本発明の発泡用樹脂組成物において成分(d)の含有量(使用量)は、前記樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは0.05〜30質量%、より好ましくは0.1〜20質量%である。成分(d)の含有量が前記範囲にあると、得られる発泡成形体の柔軟性、耐衝撃性に優れる。
【0088】
本明細書において「官能基含有オレフィン重合体」とは、オレフィン重合体をベースポリマーとし、このベースポリマーに下記官能基群から選択される少なくとも1種の官能基が導入された重合体を意味する。
【0089】
官能基群:カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基、イソシアネート基およびオキサゾリン基。
本発明の発泡用樹脂組成物に官能基含有オレフィン重合体(d)を含有させることにより、各成分の混練時に脂肪族ポリエステル(a)と官能基含有オレフィン重合体(d)の官能基とが反応して溶融粘度を増大させるとともに、脂肪族ポリエステル(a)とポリオレフィン(b)との相溶性を増大させることができる。また、得られる発泡成形体の柔軟性も向上する。
【0090】
官能基含有オレフィン重合体(d)のベースポリマーとなる「オレフィン重合体」は、オレフィン化合物単位を含む重合体である。オレフィン化合物としては、エチレン、α−オレフィンが挙げられる。α−オレフィンとしては、「ポリオレフィン(b)」の項で例示した化合物が挙げられる。ただし、官能基含有オレフィン重合体(d)のベースポリマーは、オレフィン化合物単位以外の化合物単位を含んでいてもよい。
【0091】
上記官能基を上記ベースポリマーに導入する方法としては、オレフィン化合物と上記官能基を有する単量体とを共重合させる方法が挙げられる。例えば、エチレンと(メタ)アクリル酸と共重合させることにより、カルボキシル基が導入された重合体を、エチレンと無水マレイン酸を共重合させることにより、酸無水基が導入された重合体を、エチレンと前記一般式(1)で示される(メタ)アクリロイル基含有化合物とを共重合させることにより、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基またはオキサゾリン基が導入された重合体を、エチレンと前記一般式(2)で示されるエポキシ基含有化合物とを共重合させることにより、エポキシ基が導入された重合体を得ることができる。なお、官能基の導入は、共重合に限定されるものではなく、グラフト重合等により行ってもよい。
【0092】
官能基含有オレフィン重合体(d)の具体例としては、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体をNa、Zn、Mgなどの金属イオンにより一部中和してなるアイオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体のけん化物、エチレン・(メタ)アクリロイル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、エポキシ変性エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン・ビニルイソシアネート共重合体、ヒドロキシル変性ポリエチレン、ヒドロキシル変性エチレン・プロピレン共重合体が挙げられる。
【0093】
官能基含有オレフィン重合体(d)の中でも、成形加工性、耐衝撃性、柔軟性改良効果が大きいという理由からエポキシ基、酸無水物基を含有する重合体が好ましく、エポキシ基含有重合体としてはエチレン・グリシジルメタクリレート共重合体、酸無水物基含有重合体としては無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが更に好ましい。
【0094】
官能基含有オレフィン重合体(d)は、電気物性、耐湿性などの特性の低下しない範囲で、得られる発泡用樹脂組成物の機械的特性および成形加工性のバランスが良くなる範囲で用いればよい。
【0095】
官能基含有オレフィン重合体(d)は、具体的には、上記官能基を平均0.01〜1,000(個/1分子)有している重合体であることが好ましく、平均0.1〜500(個/1分子)有している重合体であることが更に好ましい。官能基の数が前記数値範囲の下限値以上であると良好な相溶化効果が得られ、得られる発泡成形体の耐衝撃性および柔軟性が向上する傾向にある。官能基の数が前記数値範囲の上限値以下であると、発泡用樹脂組成物の流動性、ひいては成形性が向上する傾向にある。
【0096】
〈エラストマー(e)〉
本発明の発泡用樹脂組成物は、上述の成分(a)〜(d)のほか、エラストマー(e)(以下「成分(e)」ともいう。)をさらに含有してもよい。エラストマー(e)を用いると、例えば、本発明の発泡用樹脂組成物および当該組成物を用いて得られる発泡成形体の、柔軟性および変形復元性が向上する。また、エラストマー(e)は耐衝撃性改質材(インパクトモディファイヤ)として働くため、本発明の発泡用樹脂組成物および当該組成物を用いて得られる発泡成形体の耐衝撃性が向上する。
【0097】
本明細書において「エラストマー」とは、広く一般に知られている各種の加硫ゴムや熱可塑性エラストマーなどのエラストマーを意味する。すなわち、エラストマー(e)としては、発泡可能であれば特に制限なく、加硫ゴム、熱可塑性エラストマーのどちらを用いてもよい。
【0098】
エラストマー(e)は公知の原料および技術により製造されたものを使用することができる。原料としては、石油由来、さとうきび等の植物由来の原料のいずれを使用してもよい。また、製造方法としては特に限定されず、従来公知の重合方法および製造方法により得られるエラストマー(e)を用いることができる。
【0099】
エラストマー(e)としては、発泡可能であれば特に制限なく、加硫ゴム、熱可塑性エラストマーのどちらを用いてもよい。具体的には、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、ホスファゼンゴム、ウレタンゴム、プロピレンオキシドゴム、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−アクリル系ゴム、ノルボルネンゴムが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、液晶性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン、フッ素系熱可塑性エラストマー、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、アイオノマー、トランス−1,4−ポリイソプレンが挙げられる。
【0100】
これらのエラストマーは単独でまたは2種以上混合で用いることができる。
エラストマー(e)の中でも、発泡用樹脂組成物の流動性および発泡成形性を損なうことなく、得られた発泡体に柔軟性および変形復元性を付与できることから、熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0101】
エラストマー(e)は、脂肪族ポリエステル(a)およびポリオレフィン(b)との相溶性の観点から、溶解度パラメータ(以下SP値)が10〜30[(J/cm3)1/2]の範囲にあることが好ましく、より好ましくは10〜25[(J/cm3)1/2]である。SP値が前記範囲内であると、脂肪族ポリエステル(a)またはポリオレフィン(b)との相溶性が良好である。ここで溶解度パラメータとは、ヒルデブラント(Hildebrand)によって導入された正則溶液論により定義された値であり、膨潤法、密度法、溶液粘度法などにより求めた値を用いることができる。また、Properties of Polymers(1990)記載の原子団寄与法、Prediction of Polymer properties(1993)記載のBiceranoの方法による推算値を用いることができる。
【0102】
エラストマー(e)は、元の厚みの25%まで圧縮した状態で23℃×22時間保持した後の圧縮永久歪み(JIS K6262準拠)が50%以下であることが好ましい。前記圧縮永久歪み以下のエラストマーを用いることで、柔軟性および変形復元性に優れる発泡成形体を得ることができる。
【0103】
脂肪族ポリエステル(a)またはポリオレフィン(b)との相溶性が良好で、発泡用樹脂組成物の流動性および発泡成形性を損なうことなく、得られる発泡成形体の柔軟性および変形復元性を向上する効果が大きいという理由から、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0104】
前記オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、単純ブレンドに代表される非架橋型と架橋剤の存在下で動的に熱処理することで得られる動的架橋型とが挙げられる。非架橋型としては、化学結合によらない擬似架橋構造を形成する熱可塑性エラストマーが好ましく、例えば特許第3250383号公報記載の熱可塑性エラストマー組成物が挙げられる。製品としては、JSR(株)製の商品名「JSR EXCELINK3000」シリーズが挙げられる。動的架橋型としては、例えば特許第3399384号公報および国際公開第2009/110562号パンフレット記載の熱可塑性エラストマー組成物が挙げられる。製品としては、JSR(株)製の商品名「JSR EXCELINK1000」シリーズが挙げられる。その他の具体例としては、エクソンモービル・ケミカル社製の商品名「サントプレーン」シリーズ、三菱化学(株)製の商品名「サーモラン」シリーズ、三井化学(株)製の商品名「ミラストマー」シリーズ、住友化学(株)製の商品名「エスポレックスTPE」シリーズ、東洋紡績(株)製の商品名「サーリンク」シリーズが挙げられる。また、その他としてアクリルゴムにポリプロピレンをグラフトした日油(株)製の商品名「ノフアロイTZ330」シリーズが挙げられる。
【0105】
前記スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレンと、ブタジエンおよびイソプレンから選択される1種以上との共重合体、ならびにその水添物が挙げられる。具体的には、JSR(株)製の商品名「JSR−TR」シリーズ、「JSR−SIS」シリーズ、「ダイナロン」シリーズ、旭化成(株)製の商品名「タフテック」シリーズ、「S.O.E」シリーズ、「タフプレン」シリーズ、「アサプレン」シリーズ、クラレ(株)製の商品名「セプトン」シリーズ、「ハイブラー」シリーズ、住友化学(株)製の商品名「エスポレックスSB」シリーズ、三菱化学(株)製の商品名「ラバロン」シリーズ、クレイトンポリマー社製の商品名「D」シリーズ、「G」シリーズが挙げられる。
【0106】
前記アクリル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、クラレ(株)製の商品名「クラリティ」、カネカ(株)製の商品名「NABSTAR」が挙げられる。
前記エステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、東レ・デュポン(株)製の商品名「ハイトレル」シリーズ、東洋紡績(株)製の商品名「ペルプレンS」シリーズ、三菱化学(株)製「プリマロイA」シリーズが挙げられる。また、ポリ乳酸とアクリルゴムとをグラフト化した日油(株)製の商品名「ノフアロイTZ810」シリーズ、ポリエステルとアクリルゴムとをグラフト化した日油(株)製の商品名「ノフアロイTZ660」シリーズが挙げられる。
【0107】
本発明の発泡用樹脂組成物において成分(e)の含有量(使用量)は、前記脂肪族ポリエステル(a)、前記ポリオレフィン(b)および前記エラストマー(e)の合計100質量%に対して、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜60質量%である。成分(e)の含有量が前記範囲にあると、本発明の発泡用樹脂組成物を用いて、柔軟性、変形復元性および耐衝撃性に優れる発泡成形体を得ることができる。
【0108】
〈発泡剤〉
本発明では、発泡剤を用いて発泡用樹脂組成物を発泡成形する。発泡剤としては、例えば、化学発泡剤、物理発泡剤を用いることができる。発泡剤は製造法に応じて選択することができる。発泡剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0109】
《化学発泡剤》
化学発泡剤とは、自身の熱分解等の化学反応により気体を発生し、気泡を樹脂組成物中に形成するものである。化学発泡剤としては、例えば、熱分解型発泡剤、中空粒子型発泡体が挙げられる。
【0110】
熱分解型発泡剤としては、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミドなどのニトロソ系発泡剤;アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム、バリウムアゾジカルボキシレートなどのアゾ系発泡剤;p,p−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニリルセミカルバジドなどのスルホヒドラジド系発泡剤;トリヒドラジノトリアジンなどのトリアジン系発泡剤;5−フェニルテトラゾール、アゾビステトラゾールジグアニジン、アゾビステトラゾールアミノグアニジンなどのテトラゾール系発泡剤;炭酸水素ナトリウムなどの無機系発泡剤が挙げられる。熱分解型発泡剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0111】
熱分解型発泡剤の添加量は、その種類に応じて発泡倍率が後述する範囲となるように選択すればよいが、熱分解型発泡剤を除く発泡用樹脂組成物100質量部に対して0.1〜100質量部とすることが好ましい。
【0112】
中空粒子型発泡剤とは、膨張剤を内包し、熱可塑性樹脂を外殻成分として有する熱膨張性微小球である。中空粒子型発泡剤を構成する膨張剤としては、例えば、上記熱分解型発泡剤と同様の発泡剤が挙げられる。中空粒子型発泡剤に占める膨張剤の割合は5〜30質量%が好ましい。中空粒子型発泡剤を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン系モノマー、酢酸ビニル、ブタジエン、クロロプレン、ビニルピリジンなどからなるホモポリマーまたはコポリマーなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアヌレートなどの架橋剤で架橋または架橋可能にされてもよい。中空粒子型発泡剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中空粒子型発泡剤(未膨張の微小球状態)の質量平均粒子径は、1〜100μmであることが好ましい。
【0113】
中空粒子型発泡剤の添加量は、その種類に応じて発泡倍率が後述する範囲となるように選択すればよいが、中空粒子型発泡剤を除く発泡用樹脂組成物100質量部に対して0.1〜100質量部とすることが好ましい。
【0114】
《物理発泡剤》
物理発泡剤とは、自身の相変化等、物理的な変化により気体を発生し、気泡を樹脂組成物中に形成するものである。物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタンおよびペンタンなどの脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;クロロジフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、クロロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、トリフルオロエタン、ジクロロテトラフロオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどのハロゲン化炭化水素;二酸化炭素、窒素、空気などの無機ガス;水が挙げられる。また、超臨界流体を用いて発泡体を成形することもできる。超臨界流体としては、例えば、窒素、二酸化炭素の超臨界流体が挙げられる。物理発泡剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0115】
物理発泡剤の添加量は、その種類に応じて発泡倍率が後述する範囲となるように選択すればよいが、物理発泡剤を除く発泡用樹脂組成物100質量部に対して0.1〜100質量部とすることが好ましい。
【0116】
発泡剤の中でも、比較的低い温度および圧力で超臨界状態となること、溶融状態の発泡用樹脂組成物中への含浸速度が速く、また高濃度の混入が可能なために、発泡成形に適しており、均一な気泡を得ることができることから、超臨界二酸化炭素が好ましい。
【0117】
〈発泡核剤〉
本発明の発泡用樹脂組成物には、発泡核剤(造核剤)を含有させてもよい。
発泡核剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、シリカ、チタニア等の無機化合物の粉末が挙げられる。これらの発泡核剤を樹脂組成物に含有させることにより、発泡セル径を容易に調整することができ、適度な柔軟性等を有する発泡成形体を得ることができる。
【0118】
発泡核剤の粒径は、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは0.5〜20μmである。発泡核剤の粒径が前記範囲の下限値以上であると、発泡核剤としての効果が得られ易く、発泡セル径が小さくなり、発泡セル径が均一になる傾向にある。発泡核剤の粒径が前記範囲の上限値以下であると、発泡セル径および発泡セル数が適正となり、発泡成形体のクッション性が優れる傾向にある。
【0119】
発泡核剤の含有割合は、脂肪族ポリエステル(a)とポリオレフィン(b)との合計100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部、より好ましくは0.01〜15質量部、更に好ましくは0.1〜10質量部である。なお、発泡核剤は、例えば、ポリプロピレン樹脂等のマスターバッチとして成形機に添加することも好ましい。
【0120】
〈添加剤〉
本発明の発泡用樹脂組成物には、必要に応じて、各種の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、滑剤、老化防止剤、熱安定剤、HALS等の耐光剤、耐候剤、金属不活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、銅害防止剤等の安定剤、防菌剤、防黴剤、分散剤、難燃剤、粘着付与剤、酸化チタン、カーボンブラックおよび有機顔料等の着色剤、フェライト等の金属粉末、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の有機繊維、複合繊維、チタン酸カリウムウィスカー等の無機ウィスカー、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、ケイ酸カルシウム、ハイドロタルサイト、カオリン、けい藻土、グラファイト、軽石、エボ粉、コットンフロック、コルク粉、硫酸バリウム、木粉等の充填剤、これらの混合物が挙げられる。
【0121】
〈発泡用樹脂組成物の調製方法〉
本発明の発泡用樹脂組成物の調製方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、単軸または二軸の各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等の公知の混練機、およびそれらを組み合わせてなる混練機により各成分の混合物を溶融混練する方法;射出成形機で各成分の混合物をドライブレンドする方法が挙げられる。混練りするにあたり、各成分を一括混練りしてもよく、また任意の成分を混練りした後、残りの成分を添加して混練りする多段分割混練り法を採用することができる。
【0122】
本発明の発泡用樹脂組成物の製造には、二軸押出機が特に好ましく、同方向回転形式、異方向回転形式のどちらでも好適に用いることができる。L/D(押出機のスクリューの有効長(L)とスクリューの直径(D)との比)は、30〜80が好ましく;混練用セグメントとしては、汎用のニーディングディスクセグメント、ロータセグメント、VCMT(VARIOUS Clearance Mixing Technology)ロータセグメント、ツイストニーディングセグメント、BMS(Backward Mixing Single flight screw)セグメント等が使用できる。
【0123】
上記混練機を組み合わせてなる混練機としては、例えば、二軸押出機と二軸押出機とを連結したもの、二軸押出機と単軸押出機とを連結したもの、連続混練機と二軸押出機とを連結したものが挙げられる。なお、上記の押出機メーカーとしては、例えば、日本製鋼所(TEX)、神戸製鋼所(KTX)、ウェルナー(ZSK)、池貝(PCM)、東芝機械(TEM)が挙げられる。上記の連続混練機メーカーとしては、例えば、神戸製鋼所(NCM,LCM)が挙げられる。
【0124】
代表的な混練条件は、例えば、混練温度が通常150〜350℃、好ましくは160〜330℃、更に好ましくは180〜300℃であり;せん断速度が通常100〜20000s-1、好ましくは150〜15000s-1、更に好ましくは200〜10000s-1であり;単位時間当たりの混練機の電動機消費電力量を単位時間当たりの混練量で割った比エネルギーが通常0.1〜10kWh/kg、好ましくは0.1〜8kWh/kg、更に好ましくは0.1〜6kWh/kgである。
【0125】
本発明の発泡用樹脂組成物の、温度210℃かつ引取速度2.0m/分における溶融張力は、好ましくは3.0cN以上、より好ましくは5.0cN以上、さらに好ましくは8.0cN以上である。溶融張力が前記数値以上である発泡用樹脂組成物を用いることにより、発泡倍率が高く、独立気泡性が高く、発泡気泡形状が均一である発泡体を得ることができる。
【0126】
本発明の発泡用樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、230℃、98N荷重の条件下において、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.05〜80g/10分、特に好ましくは0.1〜60g/10分である。MFRが前記数値範囲の上限値以下であると、樹脂組成物を発泡させた場合に、発泡倍率が高く、独立気泡性が高く、発泡気泡形状が均一である発泡体が得られる傾向にある。MFRが前記数値範囲の下限値以上であると、加工性に優れた発泡成形体が得られる傾向にある。
【0127】
本発明の発泡用樹脂組成物の溶融延展性は、前記樹脂組成物の溶融物の引取速度により評価することができる。引取速度は、好ましくは10〜200m/分、より好ましくは10〜150m/分、特に好ましくは11〜100m/分である。引取速度が前記数値範囲の下限値以上であると、発泡成形において発泡セルが破れず発泡性に優れる傾向にある。引取速度が前記数値範囲の上限値以下であると、発泡成形において発泡セルが収縮せずに発泡性に優れる傾向にある。
【0128】
なお、上記物性の測定方法の詳細は実施例に記載したとおりである。
〔発泡成形体の製造方法〕
本発明の発泡成形体の製造方法は、上述の発泡用樹脂組成物を、発泡剤を用いて発泡成形する工程を有する。前記発泡剤としては、上述の化学発泡剤、物理発泡剤が挙げられる。以下では主に物理発泡剤として超臨界二酸化炭素を使用した態様を説明するが、化学発泡剤を使用した態様についても従来公知の手段により行うことが可能である。
【0129】
以下、発泡用樹脂組成物の損失正接tanδのピーク温度を「Tp(℃)」ともいう。
本発明の発泡成形体の製造方法は、(1)発泡用樹脂組成物をTp(℃)の1.15倍以上の温度(℃)に調温して、当該温度で前記樹脂組成物に物理発泡剤を含浸または混合する工程、(2)前記樹脂組成物をTp(℃)の1.10倍以下の温度(℃)に調温する工程、(3)前記樹脂組成物をTp(℃)の1.10倍以下の温度(℃)で減圧することにより、前記樹脂組成物を発泡させる工程を有することが好ましい。
【0130】
〈工程(1)〉
工程(1)では、発泡用樹脂組成物を、Tp(℃)の1.15倍以上の温度、好ましくはTp(℃)の1.18倍以上の温度、更に好ましくはTp(℃)の1.20〜1.30倍の温度に調温する。発泡用樹脂組成物を前記温度に調温することにより、物理発泡剤を前記樹脂組成物中に均一に分散させ易くなる。
【0131】
溶融状態の発泡用樹脂組成物に、物理発泡剤を含浸または混合させることによって、発泡性原料(すなわち、発泡用樹脂組成物に物理発泡剤を含浸または混合させてなる材料)を得る。
【0132】
〈工程(2)〉
工程(2)では、工程(1)で得られた発泡性原料を、原料である発泡用樹脂組成物のTp(℃)の1.10倍以下の温度、好ましくは1.00〜1.09倍の温度、更に好ましくは1.02〜1.08倍の温度に調温する。発泡性原料を前記温度に調温することによって、発泡倍率を高くすることができ、また、独立した気泡を形成させ、形成される気泡の形状を均一にすることができる。
【0133】
〈工程(3)〉
工程(3)では、工程(2)で調温後の発泡性原料を、原料である発泡用樹脂組成物のTp(℃)の1.10倍以下の温度、好ましくは1.00〜1.09倍の温度、更に好ましくは1.02〜1.08倍の温度で減圧(例えば押出機内での加圧状態から、大気圧へ)する。減圧により、発泡性原料を発泡させれば、発泡成形体を製造することができる。
【0134】
発泡倍率は3〜50倍に設定することが好ましく、より好ましくは4〜40倍、更に好ましくは5〜30倍である。前記範囲の発泡倍率で発泡用樹脂組成物を発泡させると、クッション感、柔軟性および表面外観に優れる発泡成形体を製造することができる。
【0135】
発泡方法は特に限定されず、バッチ法または連続法のいずれの方法であってもよい。具体的には、押出成形、射出成形、プレス成形等の成形方法によって発泡させることができる。
【0136】
〈一実施態様〉
押出成形機を用いて発泡成形体を製造する場合について、更に具体的に説明する。
先ず、発泡用樹脂組成物を押出機に投入して溶融させる。次いで、気体または超臨界流体を含浸または混合させ、溶融高圧状態の発泡性原料を得る。この溶融高圧状態の発泡性原料を、押出機の出口に向かって大気圧まで圧力を低下させ、圧力低下途中で発泡させた後、押出機の出口から出てきた溶融状態の発泡体を冷却固化させることにより、発泡成形体を製造することができる。
【0137】
気体または超臨界流体を、溶融状態の発泡用樹脂組成物に注入して均一に混合すると、見掛け粘度が低下するために、流動性が向上する。また、気体や超臨界流体を用いて発泡用樹脂組成物を発泡させると、(1)発泡倍率を高くすることができ、(2)発泡成形体の発泡セルの数平均セル径をコントロールし易く、(3)発泡成形体のクッション感をコントロールし易く、(4)発泡成形体の発泡セルの数平均セル径を小さくすることが可能であるとともに、発泡セルのセル径を均一にすることができる。
【0138】
なお、通常の気体を用いた場合には、超臨界流体を用いた場合に比べて、発泡倍率を上げることが困難となることがある。しかしながら、通常の気体を用いると、超臨界流体を用いた場合に比べて、安価な設備により発泡成形体を製造することが可能である。
【0139】
〔発泡成形体〕
本発明の製造方法により得られた発泡成形体の発泡セルの数平均セル径は、好ましくは10〜10,000μm、より好ましくは45〜5,000μm、特に好ましくは60〜1,000μmである。
【0140】
本発明の製造方法により得られた発泡成形体の数平均セル径の変動係数(Cv)は、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.5以下である。変動係数(Cv)の下限値は特に限定されないが、例えば0.1である。
【0141】
本発明の製造方法により得られた発泡成形体の圧縮永久歪みは、通常50%以下であり、好ましくは30%以下であり;25%圧縮荷重応力は、通常1〜1,000kPaであり、好ましくは1〜750kPaである。
【0142】
なお、上記物性の測定方法の詳細は実施例に記載したとおりである。
上記のように本発明で得られる発泡成形体は、均一に分布した発泡セルを有する。したがって、本発明で得られる発泡成形体は、柔軟性、耐久性および可とう性に優れる。また、本発明で得られる発泡成形体は、変形復元性および耐衝撃性にも優れる。
【実施例】
【0143】
以下、本発明の一実施態様を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。なお、実施例および比較例中の部および%は、特に断らない限り質量基準である。
【0144】
実施例および比較例に用いられる各種成分および各種測定は、下記の方法に拠った。
〔1〕各種成分
〈脂肪族ポリエステル(a)〉
(A−1):ポリ乳酸(商品名「Ingeo8052D」、Nature Works社製、密度=1.24g/cm3、MFR(210℃、21.2N):10g/10分、融点=160℃)
〈ポリオレフィン(b)〉
(B−1):ポリプロピレン(商品名「EA9FT」、日本ポリプロ社製、密度:0.90g/cm3、MFR(230℃、21.2N):0.4g/10分、溶融張力=8.0cN)
(B−2):ポリプロピレン(商品名「プライムポリプロE−233GV」、プライムポリマー社製、密度:0.90g/cm3、MFR(230℃、21.2N):1.5g/10分、溶融張力=2.0cN)
〈官能基含有水添ジエン重合体(c)〉
(C−1)〜(C−8):合成例1〜8で得られた重合体(C−1)〜(C−8)
〈官能基含有オレフィン重合体(d)〉
(D−1):エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体
(商品名「ボンドファーストBF−E」、住友化学社製)
〈エラストマー(e)〉
(E−1):動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名「JSR EXCELINK1300B」、JSR(株)製、密度:0.88g/cm3、MFR(230℃、98N):170g/10分、圧縮永久歪み(JIS K6262準拠、23℃、22時間):9%)
(E−2):非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名「JSR EXCELINK3700B」、JSR(株)製、密度:0.88g/cm3、MFR(230℃、98N):9g/10分、圧縮永久歪み(JIS K6262準拠、23℃、22時間):11%)
(E−3):エステル系熱可塑性エラストマー(商品名「ノフアロイTZ660−6602−BK」、日油(株)製、密度:1.13g/cm3、MFR(230℃、98N):9.0g/10分、圧縮永久歪み(JIS K6262準拠、23℃、22時間):11%)
〈老化防止剤〉商品名「イルガノックス1010」、BASF社製
〈発泡核剤〉炭酸カルシウム(商品名「WS−K」、竹原化学工業社製)
〈熱分解型化学発泡剤〉アゾジカルボンアミド
(商品名「ビニホールAC#3」、永和化成工業社製、熱分解温度=208℃)
〔2〕官能基含有水添ジエン重合体の物性値の測定方法および諸特性の評価方法
官能基含有水添ジエン重合体の物性値は、以下の方法で測定した。
(1)ビニル結合含量(1,2−結合含量および3,4−結合含量)
ビニル結合含量は、赤外分析法を用いて、モレロ法により算出した。
(2)結合スチレン含量、共役ジエンの水添率
結合スチレン含量は、赤外吸収スペクトル法により、検量線を作成し求めた。共役ジエンの水添率は、四塩化炭素を溶媒として用い、270MHz、1H−NMRスペクトルから算出した。なお、結合スチレン含量は水添前の重合体の値であり、スチレン由来の構成単位の含有量を意味し、結合スチレン含量+結合ブタジエン含量=100%とする。
(3)重量平均分子量(Mw)
重量平均分子量(Mw)は、溶媒としてTHFを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー社製、HLC−8120)法により測定された、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(4)メルトフローレート(MFR)
メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠し、温度:230℃、荷重:21.2Nの条件下で測定した。
(5)官能基含量(個/重合体一分子鎖)
官能基含量は、重合体中の官能基の含有割合であり、下記式により表される。
【0145】
官能基含量=官能基(個)/重合体(一分子鎖)
官能基含量は、Analy.Chem.564(1952)記載のアミン滴定法による定量により求めた。すなわち、官能基含有水添ジエン重合体を精製後、有機溶剤に溶解し、指示薬としてメチルバイオレットを用い、溶液の色が紫から水色に変化するまでHClO4/CH3COOHを滴定することにより、官能基含量を求めた。
【0146】
〔3〕発泡用樹脂組成物の物性値の測定方法および諸特性の評価方法
[損失正接tanδ、ピーク温度Tp(℃)]
発泡用樹脂組成物を210℃で熱プレスして得られた1mm厚のシートを、ダンベルカッターで打ち抜くことにより、5mm×70mmの試験片を得た。得られた試験片を、固体粘弾性測定装置(商品名「RSA−II」、ティー・エー・インスツルメント社製)を用いて、3点曲げモード、周波数1Hzの条件で、室温から200℃までの損失正接tanδを測定した。測定された損失正接tanδを温度に対してプロットして得られた曲線のピーク温度を「Tp(℃)」とした。なお、ピークが複数観測される場合は、その高さが一番高いピークの温度を「Tp(℃)」とした。
【0147】
[溶融張力]
溶融延展性測定装置(商品名「メルトテンションテスターII型」、東洋精機製作所社製)を用いて、測定温度:210℃、オリフィス径:2mmφ、押出速度:10.0mm/分、引取速度:2.0m/分の条件で、発泡用樹脂組成物の溶融張力を測定した。ポリオレフィン(b)の溶融張力も同様の方法で測定した。
【0148】
[溶融延展性]
溶融延展性測定装置(商品名「メルトテンションテスターII型」、東洋精機製作所社製)を用いて、測定温度:Tp(℃)×1.05、オリフィス径:2mmφ、押出速度:10.0mm/分の条件で、発泡用樹脂組成物の溶融物をオリフィスからストランド状に引き取った。その際、引取速度を0.1m/分から60m/分へと増大させ、ストランドが切断したときの引取速度(m/分)を測定した。測定された引取速度の値を溶融延展性の指標とした。引取速度の値が大きいほど、溶融延展性が優れていると評価することができる。ポリオレフィン(b)の溶融延展性の場合は、測定温度をポリオレフィン単体の損失正接tanδのピーク温度Tp(℃)×1.05としたこと以外は上記と同様の方法で評価した。
【0149】
[流動性]
JIS K7210に準拠し、温度:230℃、荷重:98Nの条件下、発泡用樹脂組成物のMFRを測定した。測定されたMFRの値を流動性の評価値とした。MFRの値が大きいほど、流動性に優れると評価することができる。
【0150】
[発泡性]
JIS K7112に準拠して発泡用樹脂組成物の比重を測定し、以下の式を用いて発泡倍率を算出した。発泡倍率の値が大きいほど、発泡性に優れていると評価することができる。発泡倍率が3倍以上である場合を「AA」と評価し、3倍未満である場合を「BB」と評価した。
【0151】
「発泡倍率」=(発泡前(非発泡時)の比重)/(発泡後(発泡成形体)の比重)
[発泡成形体の外観]
得られた発泡成形体の外観を、以下の基準により目視で評価した。
・AA:成形体表面に凹凸や穴が認められず、均一な外観である。
・BB:成形体表面に凹凸や穴、分散不良が認められ、不均一な外観である。
【0152】
[発泡セル径、発泡セル状態]
発泡成形体(発泡シート)を液体窒素で凍結し、剃刀で切断したときの切断面の倍率200倍の切断面写真を、拡大鏡(商品名「VHX−200」、キーエンス社製)を用いて撮影した。画像解析ソフト(商品名「ImagePro−Plus6.2」、日本ローパー社製)を用いて、切断面写真における発泡セルの数平均セル径(μm)を測定するとともに、数平均セル径の変動係数(Cv)を算出した。
【0153】
数平均セル径が10〜1,000μmの場合を発泡性「AA」と評価し、1,000μmを超える場合を発泡性「BB」と評価した。変動係数(Cv)が0.1〜1.0の場合を発泡セル状態「AA」と評価し、1.0を超える場合を発泡セル状態「BB」と評価した。
【0154】
[90°可とう性]
得られた発泡成形体に対して直径10mmの鉄の棒をあて、90度折り曲げる試験を実施した。折り曲げによる、亀裂、破壊、表面剥離等が見られない場合を「AA」と評価し、折り曲げにより、亀裂、破壊、表面剥離等が見られる場合を「BB」と評価した。
【0155】
[25%圧縮荷重応力(kPa)]
シート状の発泡成形体を抵抗値測定用プローブで圧縮するときに、プローブに加わる荷重とプローブの位置(圧縮率)とを測定し、25%圧縮荷重応力(kPa)を算出した。圧縮荷重応力(kPa)の値が小さいほど、発泡成形体の柔軟性が優れていることを示す。なお、25%圧縮荷重応力が1〜1,000kPaである場合を「AA」と評価し、1,000kPaを超える場合を「BB」と評価した。
【0156】
[圧縮永久歪み(%)]
発泡成形体(発泡シート)を2枚の金属板で挟み、元の厚みの50%の厚みまで圧縮して、23℃、50%RH条件下で24時間保持した後、圧縮から開放した。以下の式を用いて圧縮永久歪みを計算した。圧縮永久歪みの値が小さいほど、回復率に優れていると評価することができる。なお、圧縮永久歪みが50%以下である場合を「AA」と評価し、50%を超える場合を「BB」と評価した。
【0157】
「圧縮永久歪み(%)」=2×(1−(圧縮解放30分後の発泡シートの厚み)/(圧縮前の発泡シートの厚み))×100
〔4〕官能基含有水添ジエン重合体(c)の製造
〔合成例1〕重合体(C−1)の製造
窒素置換された内容積50リットルの反応容器に、25kgのシクロヘキサン、750gのテトラヒドロフラン、2000gのスチレン、および14.4gの3−リチオ−1−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]アミノプロパンを加え、重合開始温度50℃にて断熱重合を行った(重合1段目)。反応完結後、2500gの1,3−ブタジエンを上記反応容器に加え、温度20℃にてさらに断熱重合を行った(重合2段目)。30分後、500gのスチレンを上記反応容器に加え、熱重合を行った(重合3段目)。
【0158】
重合が完結した後、水素ガスを0.4MPa−Gの圧力で上記反応容器に供給し、20分間撹拌し、リビングアニオンとして生きているポリマー末端リチウムと反応させ、水素化リチウムとした。反応溶液を90℃にし、チタノセンジクロリドを使用して水添反応を行った。
【0159】
水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留により除去することによって、構造がA−B−A型の官能基含有水添ジエン重合体(C−1)を得た。
【0160】
得られた重合体(C−1)の水添率は98%、重量平均分子量は10万、水添前重合体の結合スチレン含量は50%、ポリブタジエンブロックBのビニル結合含量は80モル%、MFRは2.7g/10分であった。
【0161】
〔合成例2〕重合体(C−2)の製造
合成例1において、表1に記載の添加成分および条件で重合を行い、重合温度、重合時間等を適宜変化させて、かつ重合が完結した後に水添反応および溶媒除去を行ったこと以外は合成例1と同様にして、重合体(C−2)を得た。
【0162】
〔合成例3〕重合体(C−3)の製造
合成例1において、表1に記載の添加成分および条件で重合を行い、重合温度、重合時間等を適宜変化させて、かつ重合が完結した後に活性点に37gのp−{2−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}スチレンを加え、30分反応させ、その後に水添反応および溶媒除去を行ったこと以外は合成例1と同様にして、重合体(C−3)を得た。
【0163】
〔合成例4〕重合体(C−4)の製造
合成例1において、表1に記載の添加成分および条件で重合を行い、重合温度、重合時間等を適宜変化させて、かつ重合が完結した後に活性点に17gのN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシランを加え、30分反応させ、その後に水添反応および溶媒除去を行ったこと以外は合成例1と同様にして、重合体(C−4)を得た。
【0164】
〔合成例5〜6〕重合体(C−5)〜(C−6)の製造
以上の合成例1〜4と同様にして、表2の官能基含有水添ジエン重合体になるように、単量体種類、単量体量、変性剤種類、変性剤量、触媒量、重合温度、重合時間等を適宜変化させて、重合体(C−5)〜(C−6)を製造した。
【0165】
〔合成例7〕重合体(C−7)の製造
合成例1において、表1に記載の添加成分および条件で重合を行い、重合温度、重合時間等を適宜変化させて、かつ重合が完結した後に活性点に8.0gのN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシランを加え、30分反応させ、その後に水添反応および溶媒除去を行ったこと以外は合成例1と同様にして、重合体(C−7)を得た。
【0166】
〔合成例8〕重合体(C−8)の製造
合成例1において、表1に記載の添加成分および条件で重合を行い、重合温度、重合時間等を適宜変化させて、かつ重合が完結した後に活性点に7.8gのN−ベンジリデンエチルアミンを加え、30分反応させ、その後に水添反応および溶媒除去を行ったこと以外は合成例1と同様にして、重合体(C−8)を得た。但し、水添反応は、反応溶液を80℃以上にして系内に水素ガスを導入し、次いで、13gのPd−BaSO4触媒を系内に加え、水素圧2.0MPa−Gを保つようにして1時間反応させることにより行った。
【0167】
【表1】

【0168】
【表2】

【0169】
[発泡用樹脂組成物の製造]
[実施例A1]
ポリ乳酸(A−1)、ポリプロピレン(B−1)、合成例1で得られた重合体(C−1)およびエラストマー(E−1)につき、各々真空乾燥機により充分に水分率を減少させた。これら乾燥後のポリ乳酸(A−1)30部、ポリプロピレン(B−1)70部、重合体(C−1)10部およびエラストマー(E−1)60部と、老化防止剤0.1部と、発泡核剤1.0部とを、二軸押出機(同方向完全噛みあい型スクリュー、スクリューフライト長さ(L)とスクリュー直径(D)との比(L)/(D)=38.5、商品名「PCM−45」、池貝社製)を用いて、230℃、150rpmの条件で押し出して、ペレット状の発泡用樹脂組成物(1)を得た。
【0170】
[実施例A2〜A11、比較例A1〜A4]
実施例A1において、発泡用樹脂組成物の各成分の種類および混合割合を表3に記載のとおりに変更したこと以外は実施例A1と同様に行い、発泡用樹脂組成物(2)〜(15)を得た。なお、成分(a)〜(e)については、使用前に各々真空乾燥機により充分に水分率を減少させた。
【0171】
以上の実施例および比較例の評価結果を表3に示す。
[発泡成形体の製造]
[実施例B1]
実施例A1で得られた発泡用樹脂組成物(1)のペレットを単軸押出機に投入し、206℃(前記樹脂組成物(1)のTp=172℃の1.20倍)で超臨界二酸化炭素を注入および混合した。その後、単軸押出機の先端方向へ進むに従って温度が低下するとともに、ダイ出口の温度が181℃(前記樹脂組成物(1)のTp=172℃の1.05倍)となるように温度設定を行い、押出成形することにより、シート状の発泡成形体(発泡シート、厚み:1.0mm)を得た。
【0172】
[実施例B2]
実施例A1で得られた発泡用樹脂組成物(1)のペレット100質量部と、熱分解型化学発泡剤10質量部とをドライブレンドにより攪拌混合を行った。得られた混合物を、ダイ出口温度217℃に設定した単軸押出機に投入し、押出成形することにより、シート状の発泡成形体(発泡シート、厚み:1.0mm)を得た。
【0173】
[実施例B3〜B14、比較例B1〜B4]
実施例B1において、表3に示す種類の発泡用樹脂組成物を用いるとともに、超臨界二酸化炭素の含浸混合温度およびダイ出口の温度を表4に示す温度となるように設定して押出成形したこと以外は実施例B1と同様にして、シート状の発泡成形体(発泡シート、厚み:1.0mm)を得た。
【0174】
得られた発泡シートの各種評価結果を表4に示す。
表3および4に示すとおり、実施例A1〜A11で得られた発泡用樹脂組成物を用いれば、発泡性に優れ、発泡セルが独立で且つその分布が均一であり、柔軟性、可とう性および変形復元性に優れた発泡成形体を製造可能であることは明らかである。
【0175】
【表3】

【0176】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ポリエステル(a)とポリオレフィン(b)と官能基含有水添ジエン重合体(c)とを含有する樹脂組成物を、発泡剤を用いて発泡成形する工程を有する、発泡成形体の製造方法。
【請求項2】
前記ポリオレフィン(b)の、温度210℃かつ引取速度2.0m/分における溶融張力が、3.0cN以上である、請求項1の発泡成形体の製造方法。
【請求項3】
前記ポリオレフィン(b)が、ポリプロピレン樹脂およびポリエチレン樹脂から選択される少なくとも1種である、請求項1または2の発泡成形体の製造方法。
【請求項4】
前記脂肪族ポリエステル(a)が、ポリ乳酸である、請求項1〜3のいずれか一項の発泡成形体の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂組成物が、官能基含有オレフィン重合体(d)をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか一項の発泡成形体の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂組成物が、官能基含有水添ジエン重合体(c)以外のエラストマー(e)をさらに含有する、請求項1〜5のいずれか一項の発泡成形体の製造方法。
【請求項7】
前記水添ジエン重合体(c)が、少なくとも共役ジエン化合物を重合して得られた共役ジエン重合体の活性点に、一般式(7)で表されるシラン化合物を反応させ、得られた変性重合体を水素添加してなる重合体である、請求項1〜6のいずれか一項の発泡成形体の製造方法。
10(4-m-n)Si(OR11mn (7)
[式(7)中、R10は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数1〜100のオルガノシロキシ基であり、R10が複数ある場合は、各R10は同一の基でも異なる基でもよい。R11は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基であり、R11が複数ある場合は、各R11は同一の基でも異なる基でもよい。XはN原子含有極性基を有する基であり、Xが複数ある場合は、各Xは同一の基でも異なる基でもよく、また、各Xは独立の置換基でもよく、2以上のXが相互に結合して環状構造を形成していてもよい。mは1、2または3であり、nは1、2または3であり、mおよびnの和は2〜4の整数である。]
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項の製造方法により得られた発泡成形体。
【請求項9】
圧縮永久歪みが50%以下であり、25%圧縮荷重応力が1〜1,000kPaである、請求項8の発泡成形体。
【請求項10】
脂肪族ポリエステル(a)とポリオレフィン(b)と官能基含有水添ジエン重合体(c)とを含有する樹脂組成物であって、前記ポリオレフィン(b)の、温度210℃かつ引取速度2.0m/分における溶融張力が、3.0cN以上である、発泡用樹脂組成物。
【請求項11】
官能基含有オレフィン重合体(d)をさらに含有する、請求項10の発泡用樹脂組成物。
【請求項12】
官能基含有水添ジエン重合体(c)以外のエラストマー(e)をさらに含有する、請求項10または11の発泡用樹脂組成物。