説明

発泡緩衝層を有するトレッドミルベルト及びその製造方法

【課題】本発明は、発泡緩衝層を有するトレッドミルベルト及びその製造方法に関する。
【解決手段】一つの実施形態において、トレッドミルベルトは、繊維基底層と発泡緩衝層とを備え、該発泡緩衝層は繊維基底層の表面で、該繊維基底層と一体に発泡される。発泡緩衝層は、熱可塑性組成物を含有し、且つShore A硬度約20〜約80を有する。一つの実施例において、発泡緩衝材は、約0.05インチから約0.35インチの間の厚さである。発泡する前、熱可塑性組成物は、例えば塩化ポリビニルなどの熱可塑性物質100重量部に対して、例えば化学発泡剤などの発泡剤を約1〜約5重量部含有する。発泡緩衝層を繊維基底層と外被層との間に重ね合わせるように、外被層は発泡緩衝層にしっかりと接着され、これによって発泡緩衝層を有するトレッドミルベルトが画定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡緩衝層を有するトレッドミルベルト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トレッドミルは、運動するための好適な据置き手段として、長い間使用されてきた。典型的なトレッドミルは、複数のローラーを有する伸長された踏み台(platform)を備える。連続的なトレッドミルベルトは、ローラー上に載置されるよう縦方向に踏み台を取り巻いている。手すりは、プラットホームの前面から上方に延在し、トレッドミル上の使用者に安定感を与える。使用者がトレッドミルベルト上を歩行あるいは走行する際、手すりを把持することが可能である。トレッドミルベルトは、電動式あるいは使用者の力を受けて回転することができる。いずれの場合においても、使用者がトレッドミル上を走行あるいは歩行する際、トレッドミルベルトは連続的にローラー上を円状に回転する。この一連の過程は、使用者が望む運動レベルに達するまで実施される。
【0003】
一般的なトレッドミルの踏み台は、長時間走行する使用者に不快感を与え、且つ固くて硬質な走行面を備える傾向があることから、一部の製造業者は、足への衝撃を軽減するために、走行面にゴム材あるいはカーペット地などの弾性被覆材を施してきた。しかしながら、走行面は固有の剛性を維持しようとし、且つ使用者が移動するにつれてベルトに適用される衝撃及びせん断力に対して十分に耐え難いことから、これらの表面は望ましい快適度あるいは耐久性を与えてこなかった。衝撃をより吸収する走行面を提供する、より厚みを有するベルトを使用するなどによって、これらの課題を解決しようと試みたが、なかなかうまくいかなかった。ベルトがより厚みを有すると、プーリー装置を駆動するのにより大きな動力が必要になる。従って、コスト効率の良いモーターを使用するためには、使用されるベルトは比較的薄い必要性がある。薄いベルトを形成する試みはあるものの、緩衝作用を与えるクッション性のあるトレッドミルベルト、そして容易に製造され、且つ避けられない衝撃及び圧力に耐え得る有効なベルトは、未だ製造されていない。
【0004】
そこで、それほど厚みがなく、容易に製造され、且つ走行者の怪我防止に役立つ、必要な耐久性及び緩衝性を備えた緩衝層を有するトレッドミルベルトの必要性が高くなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、発泡緩衝層を有するトレッドミルベルト及びその製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態において、トレッドミルベルトは、繊維基底層と発泡緩衝層とを備え、該発泡緩衝層は繊維基底層の表面で、該繊維基底層と一体に発泡される。発泡緩衝層は、熱可塑性組成物を含有し、且つShore A硬度約20〜約80を有する。一つの実施例において、発泡緩衝材は、約0.05インチから約0.35インチの間の厚さである。発泡する前、熱可塑性組成物は、例えば塩化ポリビニルなどの熱可塑性物質100重量部に対して、例えば化学発泡剤などの発泡剤を約1〜約5重量部含有する。発泡緩衝層を繊維基底層と外被層との間に重ね合わせるように、外被層は発泡緩衝層にしっかりと接着され、これによって発泡緩衝層を有するトレッドミルベルトが画定される。
【0007】
一つの実施形態において、トレッドミルベルトは、繊維基底層の表面に少なくとも一層の未発泡熱可塑性組成物を適用することで形成されてよい。一つの実施例において、未発泡熱可塑性組成物は、例えば塩化ポリビニルなどの熱可塑性物質100重量部に対して、例えばアゾ化合物などの化学発泡剤を約1〜約5重量部含有する。次に、加熱するなどによって未発泡熱熱可塑性組成物は発泡され、約20〜約80のShore A硬度を有する発泡緩衝層が画定される。続いて、発泡緩衝層上に外被層が適用され、発泡緩衝層を有するトレッドミルベルトが形成される。
【0008】
このようにして、それほど厚みがなく、容易に製造され、且つ走行者の怪我防止に役立つ、必要な耐久性及び緩衝性を備えた緩衝層を有するトレッドミルベルトが提供される。
【0009】
本明細書の一部に組み込まれ、且つそれを構成する添付の図は、本発明の実施形態を説明し、上述した本発明の概要と、以下に記載される実施形態の詳細説明と共に、本発明の原理を説明するのに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】発泡緩衝層を含むトレッドミルベルトを有するトレッドミルの斜視図である。
【図2】図1に示すトレッドミルベルトの長さ方向の断面図である。
【図2A】図2に示すトレッドミルベルトの他の実施形態の断面図である。
【図3】図1のトレッドミルベルトの製造過程を示す図である。
【図4】図1のトレッドミルベルトの製造過程を示す図である。
【図5】図1のトレッドミルベルトの製造過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1では、連続的であり、且つローラー(図示せず)上に回転可能に載置されたトレッドミルベルト12を備えたトレッドミル10を示す。トレッドミルベルト12は、自動回転させるために電動式であってよく、若しくは使用者による力で回転してもよい。、使用者が歩行あるいは走行するにつれて、トレッドミルベルト12は回転し、これによって、トレッドミルが相対的に固定された位置に留まる一方で、使用者はトレッドミル上を走行あるいは歩行し続けられる。
【0012】
図2を参照して、一つの実施形態において、トレッドミルベルト12は、該トレッドミルベルト12の内部表面16を画定する繊維基底層14を備える。さらに、トレッドミルベルト12は、以下に詳細に説明されるように、繊維基底層14の表面で、且つ該繊維基底層14と一体に発泡される発泡緩衝層20を備える。発泡緩衝層20は、熱可塑性発泡組成物を含有する。図2では、繊維基底層14の表面上に、且つ繊維基底層14と一体に形成されることが示される一方、その他の従来から知られている層は、発泡緩衝層20と繊維基底層14との間に配置されてもよい。
【0013】
使用者の走行面24を画定する外被層22は、熱接着などによって発泡緩衝層20にしっかりと接着し、これによって、発泡緩衝層20は繊維基底層14と外被層22との間に重ね合わせられ、トレッドミルベルト12が画定される。そして、図2では、発泡緩衝層20に直接確実に接着されることが示される一方、その他の従来から知られている層は、外被層22と発泡緩衝層20との間に配置されてもよい。
【0014】
トレッドミルベルト12が回転する際、トレッドミルベルト12の繊維基底層14は、ローラーに掛装され、且つローラーに対して押圧される。さらに、繊維基底層14は、使用者がトレッドミルベルト上を走行することによるトレッドミルベルト12に与えられる局所的な力に耐え得る。これらの力は、1平方インチあたり最大400〜600ボンドであってよい。繊維基底層14の素材は、実質的に非伸張性であり、これによって、トレッドミルベルト12がローラーから外れることを防止する。繊維基底層14は、一枚の、或いは複数枚の織布(woven fabric)を含有してもよい。そのような織物は、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、及び/または綿などの合成繊維及び/または天然繊維を含有する。繊維は、単一または多繊維或いは紡績糸として提供されてよい。一つの実施例では、織布は多繊維のポリエステルを含有する。
【0015】
発泡緩衝層20の熱可塑性発泡組成物は、弾性的に圧縮可能である。熱可塑性発泡組成層は、好適な柔軟性を提供するために、約20〜約80のShore A硬度を有する。その他の実施例において、熱可塑性発泡組成物は約30〜約50のShore A硬度を有する。
【0016】
本明細書中で未発泡熱可塑性組成物と称される、発泡する以前の熱可塑性組成物は、100重量部の熱可塑性物質と、該熱可塑性物質100重量部に対して約1から約5重量部の起泡剤或いは発泡剤とを含有する。一つの実施例では、熱可塑性物質100重量部に対して、約3重量部の起泡剤が未発泡熱可塑性組成物に含まれる。さらに、可塑剤、及び安定剤、油剤、発泡触媒などのその他の一般的な添加剤を標準量含有してもよい。
【0017】
熱可塑性物質は、例えば、塩化ポリビニル、エチレンビニルアセテート、及び/またはポリスチレンなどを含有してよい。一つの実施例では、熱可塑性物質は塩化ポリビニルである。このような好適な塩化ポリビニルの一つとして68GPが挙げられ、これは、コロンビア共和国、ボゴタ市のPetco社から入手可能な塩化ポリビニル分散型樹脂である。
【0018】
発泡剤或いは起泡剤は、物理的及び化学的発泡剤に分類され得る。物理的発泡剤は、一連の処理過程中に化学的変化を生じることがなく、一般的には、窒素ガス或いは二酸化炭素など、加圧された気体の形状で提供される。物理的発泡剤が未発泡熱可塑性組成物内に導入されると、未発泡熱可塑性組成物内に気泡構造を形成し、それによって未発泡組成物が発泡される。
【0019】
化学発泡剤は、主に固体類である。これらの固体は、一般的に、熱可塑性物質と混合される。化学発泡剤が加圧されると、一般的に、窒素ガス、二酸化炭素、一酸化炭素、或いはアンモニアガスを放出する。よって、発泡剤を活性化するためには、未発泡熱可塑性組成物を発化学発泡剤の活性化温度まで加熱してよい。未発泡熱可塑性組成物内に気泡構造を形成するためには、活性化された化学発泡剤が分解に際して気体を放出し、結果的に未発泡組成物は発泡される。化学発泡剤は、アゾジカルボアミドなどのアゾ化合物、ヒドラジン化合物、カルバジド、テトラゾール、ニトロソ化合物、及び/または重炭酸ナトリウムなどの炭酸塩を含んでよい。一つの実施例では、化学発泡剤は、例えばアゾジカルボアミドなどのアゾ化合物である。そのような好適なアゾジカルボアミド系発泡剤として、米国、コネティカット州、ミドルベリのChemtura Corporationから入手可能なCelogen(登録商標)AZが挙げられる。
【0020】
前記可塑剤は、例えば、アジピン酸ジアルキルエステル類と、ジアルキルアゼレート類と、グリコールジベンゾエートエステル類と、エポキシ化された大豆油、エポキシ化されたトールオイル(tall oil)、及びエポキシ樹脂を含むエポキシ誘導体と、ブチルフタリルブチルグリコレートなどのグリコレート類と、トリアルキルトリメリテートなどのメリテート類と、フェノキシ化合物と、トリアリール、トリアルキル、及びアルキルとアリールとの組み合わせを含むリン酸エステル類と、ジアルキル及びアルキルベンジル−オルトフタル酸エステルなどのオルトフタル酸誘導体と、グリコールを有するポリエステル類及び二塩基酸(例えば、単官能基化合物を末端に有する様々なグリコールを含むアジピン酸、アゼライン酸、フタル酸)と、ペンタエリスリトール誘導体及びスルホンアミド類とが含まれてよい。
【0021】
一つの限定しない実施例では、未発泡熱可塑性組成物は表1に示す組成を有する。
【0022】
【表1】

【0023】
発泡緩衝層20は、約0.05インチから約0.35インチの厚さであってよい。一つの実施例では、発泡緩衝層20は約0.180インチの厚さである。
【0024】
外被層22は、使用者が歩行或いは走行し、且つ望ましい耐久性を有する走行面24を画定する。外被層22は、熱可塑性物質或いはゴム材料を含有してよい。一つの実施例では、熱可塑性物質は熱可塑性エラストマーである。他の実施例では、熱可塑性物質は塩化ポリビニルまたはポリウレタンを含有する。ゴム材料は、従来から知られている天然及び/または合成ゴムを含んでよい。
【0025】
代替の実施形態では、底面層(図示せず)は、トレッドミルベルト12の繊維基底層14の下面に固定されてよい。底面層は、低摩擦係数を呈する熱可塑性物質を含んでよい。一つの実施例では、熱可塑性物質は、塩化ポリビニル、ポリウレタン、或いはナイロンなどのポリアミドを含有する。
【0026】
トレッドミルベルト12の総厚さは、約0.100インチから約0.400インチである。一つの実施例において、トレッドミルベルト12の総厚さは、約0.200インチである。
【0027】
トレッドミルベルト12の他の実施形態は、図2Aに最良に示されている。本実施形態では、中間繊維層28は、例えば発泡直後、或いは熱接着を経て、発泡緩衝層20と直接確実に接着され、これによって、発泡緩衝層20が繊維基底層14と中間繊維層28との間に重ね合わせられる。発泡緩衝層20と同様に、熱可塑性組成物を含有する第2の発泡緩衝層30が、以下に説明するように、中間繊維層28の表面上に、且つ該中間繊維層28と一体となって形成される。同様に、さらなる中間層28及び発泡緩衝層20、30が、望む通りに、トレッドミルベルト12に交互に層状に重ねてよく、これによってさらなる繊維層が提供される。
【0028】
次に、外被層22は、第2の発泡緩衝層30に直接、熱接合などによってしっかりと接着され、これによって、第2の発泡緩衝層30が中間繊維層28と外被層22との間に重ね合わせられ、結果として、第1及び第2の発泡緩衝層20、30を有するトレッドミルベルト12が画定される。他の実施形態において、発泡緩衝層20は未発泡の従来の層(図示せず)と置き換えてもよく、このような未発泡の層は、従来の熱可塑性層を含んでよい。熱可塑性層は、塩化ポリビニル組成物などの熱可塑性組成物を含んでよい。従って、図2Aに示すような複数の繊維層を有するベルト12の場合、標準的な熱可塑性層あるいは発泡緩衝層が繊維層14、28間に設けられてよく、これら複数の層の少なくとも一つが発泡緩衝層であると理解されるべきである。一つの実施例では、発泡緩衝層は外被層22と最も近接している。同様に、上述した通り、その他の従来から知られている層を、数々の層14、20、22、28、及び30の間に配置してもよい。
【0029】
繊維基底層14と同様、中間繊維層28の素材は実質的に非伸張性である。一つの実施形態において、中間繊維層28は、一枚の、或いは複数枚の織布を備える。織布は、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、及び/または綿などの合成繊維及び/または天然繊維を含有する。繊維は、単一または多繊維或いは紡績糸として提供されてよい。一つの実施例では、織布は多繊維のポリエステルを含有する。中間繊維層28及び繊維基底層14に使用される材料の種類は、一般的にどちらを使用しても変わりはなく、且つ同一或いは異なってもよい。
【0030】
第2の発泡緩衝層30の発泡熱可塑性組成物は、上述した発泡緩衝層20の発泡熱可塑性組成物と同じである。第2の発泡緩衝層30及び発泡緩衝層20の未発泡熱可塑性組成物は、トレッドミルベルト12において同一或いは異なってもよい。
【0031】
図3〜5では、図2に示したトレッドミルベルト12を製造する方法の実施形態について説明する。とりわけ図3を参照すると、この方法は、例えば押出技術などの従来から知られている手法を用いて、繊維基底層14に未発泡熱可塑性組成物の層32の適用が含まれる。その他の実施例においては、繊維基底層14に複数の未発泡熱可塑性組成物層を適用してもよい。次に、未発泡熱可塑性組成物内に気泡構造を形成するために、未発泡熱可塑性組成物は発泡剤を用いて発泡され、その結果として、発泡緩衝層20が画定される。そのような発泡は、従来から知られている物理的或いは化学発泡剤によって実施されてよい。化学発泡剤が使用される場合、化学発泡剤の活性温度までの加熱が実施される。図4に示されるように、結果として生じた発泡緩衝層20は繊維基底層14と一体である。
【0032】
一例として、未発泡熱可塑性組成物は、表1の塩化ポリビニル組成物を含んでよい。アジドカルボアミド系発泡剤を含有する未発泡組成物は、波線34で示されるように、約300°F〜約450°Fで加熱され、これによって発泡剤が活性化され、且つ分解される。分解された物質は窒素ガスを放出し、未発泡組成物内に気泡構造が形成され、結果的にポリビニル化合物が発泡される。上述したように、結果として生じる発泡緩衝層20は、約20〜約80のShore A硬度を有し、弾性的に圧縮可能であり、且つ柔軟性がある。さらに、一つの実施例においては、繊維基底層14全体が多繊維ポリエステルの単一の織布である。
【0033】
図5を参照すると、未発泡熱可塑性組成物が発泡された後、発泡緩衝層20及び繊維基底層14全体は、波線34で示されるように、熱接合するのに十分な温度まで再度加熱され、これによって、外被層22が発泡緩衝層20にしっかりと接着される。一つの実施例において、外被層22は塩化ポリビニルを含有し、発泡緩衝層20は、組成物の上部表面が溶融するように約300°F〜約450°Fに再度加熱される。次いで、外被層22は、発泡緩衝層20に適用されてよく、例えばローラー40、42の間で発泡緩衝層20及び繊維基底層14全体と共に押圧される。結果として得られるトレッドミルベルト12は、外被層22が発泡緩衝層20に確実に接着されるように冷却され、最終的にトレッドミル10に使用するための好適な長さに切断される。使用される前に、トレッドミルベルト12の切断長さの二つの端部は、図1の連続したトレッドミルベルト12を提供するために、二つ或いはそれ以上の層を、凹凸部を利用した接合(finger splicing)、突き合わせ接合(bias splicing)、または段付き部同士の接合(step splicing)、或いは接合部を平滑化する接合(skive splicing)など、従来から知られている手法によって互いに接合され、且つ一緒に加熱される必要性があることは理解されるであろう。
【0034】
その他の実施形態において、図2Aに示すトレッドミルベルト12の製造方法は、未発泡熱可塑性組成物上に中間繊維層28を位置する、適用するステップをさらに含む。次に、層32と同様、第2の未発泡熱可塑性組成物の一つ以上の層が中間繊維層28に適用される。次いで、第1及び第2の未発泡熱可塑性組成物は、上述の通り、物理的或いは化学発泡剤を用いることで発泡され、約20〜約80のShore A硬度を有する第1及び第2の発泡緩衝層20、30が画定される。
【0035】
もう一つの方法として、中間繊維層28は発泡緩衝層20に適用され、続いて、第2の未発泡熱可塑性組成物の層38が中間繊維層28に適用される。次に、第2の未発泡熱可塑性組成物は発泡され、これによって約20〜約80のShore A硬度を有する第2の発泡緩衝層30が画定される。
【0036】
一例として、第2の未発泡熱可塑性組成物は、表1の塩化ポリビニル組成物を含んでよい。上述の通り、アジドカルボアミド系化学発泡剤は、約300°F〜約450°Fに加熱され、これによって発泡剤は分解し、且つ組成物が発泡される。さらに、繊維基底層14及び中間層28は、多繊維ポリエステルの単一の織布であってよい。
【0037】
最後に、上述の通り、外被層22は第2の発泡緩衝層30に適用され、第1及び第2の発泡緩衝層20、30を有する図2Aのトレッドミルベルト12を画定する。一つの実施例において、外被層22は塩化ポリビニルを含んでよい。トレッドミルベルト12は、続いて、適宜の長さに切断され、互いに接合される。
【0038】
以上により、それほど厚くなく、容易に製造され、且つ走行者の怪我防止に役立つ、必要な耐久性及び緩衝性を備えた緩衝層を有するトレッドミルベルトが提供される。
【0039】
本発明を一つ或いはそれ以上の実施形態によって説明され、且つ該実施形態は詳細に記載されているが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に限定されることはない。それらの実施形態に対して改変及び変更を施すことが可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、トレッドミルベルトをトレッドミルに使用するよりはむしろ、ベルトコンベヤー業界においてベルトコンベヤーとして使用してもよい。従って、より広範な側面での本発明は、特異的詳細、代表的生産品、及び記載された方法ならびに具体例に限定されるものではない。よって、本発明の一般概念の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
10 トレッドミル
12 トレッドミルベルト
14 繊維基底層
16 内部表面
20 第1の発泡緩衝層
22 外被層
28 中間繊維層
30 第2の発泡緩衝層
32 第1の未発泡熱可塑性組成物
34 熱波
38 第2の未発泡熱可塑性組成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基底層上に少なくとも一つの第1の未発泡熱可塑性組成物の層を適用するステップと、
Shore A硬度が約20〜約80である第1の発泡緩衝層を画定するために、前記第1の未発泡熱可塑性組成物を発泡するステップと、
前記第1の発泡緩衝層を有するトレッドミルベルトを画定するために、前記発泡緩衝層上に外被層を適用するステップと、
を備えることを特徴とするトレッドミルベルトを製造する方法。
【請求項2】
前記第1の未発泡熱可塑性組成物を発泡するステップが、前記第1の未発泡熱可塑性組成物を発泡し、且つ前記第1の発泡緩衝層を画定するために、前記未発泡熱可塑性組成物を加熱するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の未発泡熱可塑性組成物が、第1の未発泡の塩化ポリビニル組成物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の未発泡熱可塑性組成物が、塩化ポリビニル100重量部と、該塩化ポリビニル100重量部に対して約1〜約5重量部の発泡剤とを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記繊維基底層が合成及び/または天然の素材から成る単一の織布層であり、且つ前記外被層が熱可塑性物質或いはゴム素材を含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の未発泡熱可塑性組成物を発泡する以前に、前記第1の未発泡熱可塑性組成物の上に中間繊維層を適用し、次いで該中間繊維層上に少なくとも一つの第2の未発泡熱可塑性組成物の層を適用するステップと、
Shore A硬度が約20〜約80である第1及び第2の発泡緩衝層を画定するために、それぞれ前記第1及び第2の未発泡熱可塑性組成物を同時に発泡するステップと、
前記第1及び第2の発泡緩衝層を有するトレッドミルベルトを画定するために、前記第2の発泡緩衝層上に前記外被層を適用するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の未発泡熱可塑性組成物上に中間繊維層を適用し、次いで該中間繊維層の上に少なくとも一つの第2の未発泡熱可塑性組成物の層を適用するステップと、
Shore A硬度が約20〜約80である第2の発泡緩衝層を画定するために、前記第2の未発泡熱可塑性組成物を発泡するステップと、
前記第1及び第2の発泡緩衝層を有する前記トレッドミルベルトを画定するために、前記第2の発泡緩衝層上に前記外被層を適用するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
中間繊維層上に少なくとも一つの第1の未発泡熱可塑性組成物の層を適用するステップは、前記中間繊維層上に少なくとも一つの前記第1の未発泡熱可塑性組成物の層を直接適用するステップを備え、
且つ、第1の発泡緩衝層を有する前記トレッドミルベルトを画定するために、前記発泡緩衝層上に外被層を適用するステップは、前記第1の発泡緩衝層を有する前記トレッドミルベルトを画定するために、前記発泡緩衝層上に前記外被層を直接適用するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
繊維基底層上に少なくとも一つの第1の未発泡熱可塑性組成物の層を適用するステップであって、前記第1の未発泡熱可塑性組成物は、熱可塑性物質100重量部に対して約1〜約5重量部の第1の化学発泡剤を含有するステップと、
Shore A硬度が約20〜約80である第1の発泡緩衝層を画定するために、前記第1の未発泡熱可塑性組成物を発泡するのに前記第1の化学発泡剤を活性化させるステップと、
前記第1の発泡緩衝層を有するトレッドミルベルトを画定するために、前記第1の発泡緩衝層上に外被層を適用するステップと、
を備えることを特徴とするトレッドミルベルトを製造する方法。
【請求項10】
前記未発泡熱可塑性組成物が、前記第1の化学発泡剤を有する未発泡塩化ポリビニル組成物であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記未発泡の塩化ポリビニル由来の組成物が、塩化ポリビニル100重量部と、該塩化ポリビニル100重量部に対して約1〜約5重量部の第1化学発泡剤と、可塑剤と、を含有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記繊維基底層が合成及び/または天然の素材から成る単一の織布層であり、且つ前記外被層が熱可塑性物質或いはゴム素材を含有していることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の化学発泡剤を活性化する以前に、前記第1の未発泡熱可塑性組成物上に中間繊維層が適用され、次いで該中間繊維層上に少なくとも一つの第2の未発泡熱可塑性組成物の層を適用するステップと、
Shore A硬度が約20〜約80である第1及び第2の発泡緩衝層を画定するために、それぞれ前記第1及び第2の未発泡熱可塑性組成物を発泡するのに前記第1及び第2の化学発泡剤を同時に活性化させるステップと、
前記第1及び第2の発泡緩衝層を有するトレッドミルベルトを画定するために、前記第2の発泡緩衝層に前記外被層を適用するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
繊維基底層と、
前記繊維基底層の表面上で、該繊維基底層と一体に発泡される第1の発泡緩衝層であって、前記第1の発泡緩衝層は、第1の発泡された熱可塑性組成物を含有し、且つ約20〜約80のShore A硬度を有しており、発泡以前に、前記第1の熱可塑性組成物が熱可塑性物質100重量部に対して約1〜約5重量部の発泡剤を含有する第1の発泡緩衝層と、
前記繊維基底層と外被層との間に前記第1の発泡緩衝層が重ね合わさるように、前記第1の発泡緩衝層にしっかりと接着される外被層であって、結果的に前記第1の発泡緩衝層を有する前記トレッドミルベルトが画定される外被層と、
を備えることを特徴とするトレッドミルベルト。
【請求項15】
前記熱可塑性物質が塩化ポリビニルであり、前記発泡剤が化学発泡剤であることを特徴とする請求項14に記載のトレッドミル。
【請求項16】
前記繊維基底層が合成及び/または天然の素材から成る単一の織布層であり、且つ前記外被層が熱可塑性物質或いはゴム素材を含有していることを特徴とする請求項14に記載のトレッドミルベルト。
【請求項17】
前記第1の発泡緩衝層が約0.05インチ〜約0.35インチの厚さを有することを特徴とする請求項14に記載のトレッドミルベルト。
【請求項18】
前記第1の発泡緩衝層が中間繊維層と前記繊維基底層との間に重ね合わさるように、前記第1の発泡緩衝層にしっかり固定された中間繊維層と、
前記中間繊維層の表面上で、該繊維基底層と一体に発泡される第2の発泡緩衝層であって、前記第2の発泡緩衝層は第2の熱可塑性組成物を含有し、且つ約20〜約80のShore A硬度を有しており、発泡以前に、前記第2の熱可塑性組成物が熱可塑性物質100重量部に対して約1〜約5重量部の発泡剤を含有する第2の発泡緩衝層と、
前記繊維基底層と外被層との間に前記第2の発泡緩衝層が重ね合わさるように、前記第2の発泡緩衝層にしっかりと接着される前記外被層であって、結果的に前記第1及び第2の発泡緩衝層を有する前記トレッドミルベルトが画定される外被層と、
をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載のトレッドミルベルト。
【請求項19】
前記第1の発泡緩衝層が、中間繊維層の表面上で、該中間繊維層と一体に発泡され、且つ前記中間繊維層が第1の発泡緩衝層と前記第1の未発泡層との間に重ね合わさるように、第1の未発泡緩衝層が前記中間繊維層と繊維基底層との間にしっかりと接着され、結果的に前記第1の発泡緩衝層を有するトレッドミルベルトが画定されることを特徴とする請求項14に記載のトレッドミルベルト。
【請求項20】
前記第1の発泡緩衝層が、前記繊維基底層の表面上で直に、該繊維基底層と一体に発泡され、且つ前記第1の発泡緩衝層が前記繊維基底層と前記外被層との間に重ね合わさるように、前記外被層が前記第1の発泡緩衝層の表面で直に、該第1の発泡緩衝層と一体に発泡され、結果的に前記第1の発泡緩衝層を有するトレッドミルベルトが画定されることを特徴とする請求項14に記載のトレッドミルベルト。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−160411(P2009−160411A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−1720(P2009−1720)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(507355364)ヴェヤンス・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (5)