説明

発熱体の製造方法及び発熱体

【課題】被酸化性金属の酸化に起因して硬くなることを効果的に防止できる発熱体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】被酸化性金属の粒子、炭素成分、水及び電解質を含む発熱組成物の層が、基材シートの一面に設けられてなる発熱体の製造方法である。基材シートの一面に発熱組成物の層を形成した後、基材シートに、複数の第1のスリット列及び複数の第2のスリット列を形成する工程を有する。第1のスリット列は、一方向へ延びるように配置された複数のスリットからなる。第2のスリット列は、第1のスリット列と交差する方向に向けて一方向へ延びるように配置された複数のスリットからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体の製造方法に関する。また本発明は、発熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は先に、目及び目の周囲に温熱を付与する目用温熱具を提案した(特許文献1参照)。この目用温熱具は、アイマスク形状の本体部を備えたものであり、該本体部は肌側シートと外側シートとそれらの間に配置されたシート状発熱体とを有している。シート状発熱体には、一方向へ延びる切れ込みが多条に形成されており、それによって該シー状発熱体はその変形が容易になっている。その結果、この目用温熱具は、顔の湾曲形状に合うように変形してフィット性が向上し、使用感が良好なものとなる。
【0003】
ところで、被酸化性金属の酸化反応を利用した発熱体を有する発熱具は、前記の目用温熱具を含め、酸化の進行に連れて発熱体が硬くなる傾向にある。このことに起因して、使用の初期段階では発熱具の身体へのフィット性が良好であるとしても、酸化の進行に連れてフィット性が低下する傾向にある。酸化の進行に伴って発熱体が硬くなることを防止することを目的として、例えば発熱体を複数の小区画に区分したセルに収容することが提案されている(例えば特許文献2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−82570号公報
【特許文献2】特開2006−51191号公報
【特許文献3】特開2007−44892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、発熱体をセルに収容すると、発熱具全体の厚みが増す傾向にあり、そのことに起因して、発熱具の装着感が低下しやすい。また、発熱具を空気から遮断して包装するための包装容器が大きくなってしまう。
【0006】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る発熱体の製造方法及び発熱体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被酸化性金属の粒子、炭素成分、水及び電解質を含む発熱組成物の層が、基材シートの一面に設けられてなる発熱体の製造方法であって、
前記基材シートの一面に前記発熱組成物の層を形成した後、該基材シートに、複数の第1のスリット列及び複数の第2のスリット列を形成する工程を有し、
第1のスリット列は、一方向へ延びるように配置された複数のスリットからなり、
第2のスリット列は、第1のスリット列と交差する方向に向けて一方向へ延びるように配置された複数のスリットからなるものである、発熱体の製造方法を提供するものである。
【0008】
また本発明は、基材シートの一面に、被酸化性金属の粒子、炭素成分、水及び電解質を含む発熱組成物の層が設けられてなり、
前記基材シートに、一方向へ延びるように配置された複数のスリットからなる第1のスリット列が複数列形成されているとともに、第1のスリット列と交差する方向に向けて一方向へ延びるように配置された複数のスリットからなる第2のスリット列が複数列形成されており、
第1のスリット列におけるスリットと、第2のスリット列におけるスリットとが非交差状態となるように、各スリットが配置されている発熱体を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被酸化性金属の酸化に起因して発熱体が硬くなることを効果的に防止することができる。したがって、使用の初期から終期にわたって装着の違和感が生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の発熱体における基材シートに形成されたスリットの配置状態を示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の発熱体の製造に好適に用いられる装置を示す概略図である。
【図3】図3(a)及び(b)は、図2に示す装置を用い、基材シートにスリットを形成する状態を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の発熱体を備えた発熱具の縦断面図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、本発明の発熱体における基材シートに形成されたスリットの別の配置状態を示す平面図(図1相当図)である。
【図6】図6は、三点曲げ荷重の測定方法を示す模式図である。
【図7】図7は、実施例及び比較例で得られた発熱具の三点曲げ荷重と時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。まず、本発明の製造方法に従い得られる発熱体の好ましい実施形態について説明する。発熱体は、基材シートと、該基材シートの一面に設けられた発熱組成物の層(以下、「発熱層」とも言う。)を備える。
【0012】
前記の基材シートとしては、例えば繊維シートや、合成樹脂製のフィルム、それらの積層体などが挙げられる。発熱層を形成しやすく、また形成された発熱層を安定的に保持し得る点から、基材シートとして繊維シートを用いることが好ましい。また、繊維シートは吸水性を有するので、発熱層の含水率のコントロールの点から、繊維シートを用いることが好ましい。
【0013】
前記の繊維シートとしては、繊維材料を含む各種のシート、例えば湿式抄造紙や乾式抄造紙などの紙、織布、不織布若しくは編み物地又はそれらの複合シートなどが挙げられる。特に紙や不織布を用いることが好ましい。
【0014】
特に好ましく用いられる繊維シートは、親水性繊維を含むものである。この繊維シートは例えば湿式抄造法又は乾式抄造法によって製造されるものである。繊維シートに含まれる親水性繊維としては、天然繊維及び合成繊維のいずれをも用いることができる。繊維シートの構成繊維として親水性繊維を用いることで、発熱層に含まれる被酸化性金属との間で水素結合が形成されやすくなり、発熱層の保形性が良好になるという利点がある。また、親水性繊維を用いることで、繊維シートの吸水性ないし保水性が良好になり、発熱層の含水率をコントロールしやすくなるという利点もある。これらの観点から、親水性繊維としてはセルロース繊維を用いることが好ましい。セルロース繊維としては化学繊維(合成繊維)及び天然繊維を用いることができる。
【0015】
上述の各種の親水性繊維は、その繊維長が0.5〜6mm、特に0.8〜4mmであることが、湿式抄造法又は乾式抄造法での繊維シートの製造が容易である点から好ましい。
【0016】
前記の繊維シートには、上述の親水性繊維に加え、必要に応じて熱融着性繊維を配合してもよい。この繊維の配合によって、湿潤状態での繊維シートの強度を高めることができる。熱融着性繊維の配合量は、繊維シートにおける繊維の全量に対して0.1〜10質量%、特に0.5〜5質量%であることが好ましい。
【0017】
前記の繊維シートは、高吸収性ポリマーの粒子を含むものであってもよい。この繊維シートは、(イ)高吸収性ポリマーの粒子と親水性繊維とが均一に混合した状態の1枚のシートであり得る。また、この繊維シートは、(ロ)高吸収性ポリマーの粒子が、該繊維シートの厚み方向略中央域に主として存在しており、かつ該繊維シートの表面に該粒子が実質的に存在していない構造を有するワンプライのものでもあり得る。更に、この繊維シートは、(ハ)親水性繊維を含む同一の又は異なる繊維シート間に、高吸収性ポリマーの粒子が配置された2枚の繊維シートの重ね合わせ体でもあり得る。これら種々の形態をとり得る繊維シートのうち、発熱層の含水率のコントロールを容易に行い得る観点から、繊維シートとして(ロ)の形態のものを用いることが好ましい。
【0018】
前記の繊維シートからなる基材シートには、上述のとおり高吸収性ポリマーの粒子が含まれている。基材シートにおける高吸収性ポリマーの粒子の存在位置については先に述べたとおりである。高吸収性ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持できかつゲル化し得るヒドロゲル材料を用いることが好ましい。粒子の形状は、球状、塊状、ブドウ房状、繊維状等であり得る。粒子の粒径は、1〜1000μm、特に10〜500μmであることが好ましい。高吸収性ポリマーの具体例としては、デンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体などが挙げられる。
【0019】
基材シートに占める高吸収性ポリマーの割合は、10〜70質量%、特に20〜55質量%であることが、基材シートの吸水性ないし保水性を好適なものとする観点及び発熱層の含水率のコントロールの観点から好ましい。なお、この割合は、基材シート上に発熱層が形成される前の乾燥状態にある該基材シートについて測定された値である。
【0020】
基材シートは、その坪量が10〜200g/m2、特に35〜150g/m2であることが好ましい。基材シートの坪量をこの範囲内に設定することで、湿潤状態における基材シートの強度を十分に確保することができ、また基材シートの吸水性ないし保水性を好適なものとすることができる。一方、基材シートに含まれる高吸収性ポリマーの坪量は、5〜150g/m2、特に10〜100g/m2であることが好ましい。高吸収性ポリマーの坪量をこの範囲内に設定することで、基材シートの吸水性ないし保水性を一層好適なものとすることができる。また、発熱層の含水率を一層コントロールしやすくなる。これらの坪量は、基材シート上に発熱層が形成される前の乾燥状態にある該基材シートについて測定された値である。
【0021】
基材シートは、それが前記の(イ)の形態のものである場合、例えばエアレイド法で製造することができる。(ロ)の形態のものである場合には、例えば本出願人の先の出願に係る特開平8−246395号公報に記載の湿式抄造法で製造することができる。(ハ)の形態のものである場合には、エアレイド法又は湿式抄造法で製造することができる。
【0022】
基材シートには、少なくともその一方の面に発熱層が設けられている。発熱層は、基材シートの全面にわたって設けられているか、又は基材シートの表面が一部露出するように設けられている。例えば、ストライプ状に形成された発熱層を、所定距離を隔てて複数条配置することができる。また、発熱層は、基材シートの一方の面にのみ設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。別の実施形態として、同一の又は異なる2枚の基材シートの間に発熱層が設けられていてもよい。発熱層が2枚の基材シート間に設けられていると、該発熱層が、後述する包材に貼り付くことが効果的に防止される。2枚の基材シートの間に発熱層が設けられている場合、どちらか一方の基材シートは、高吸収性ポリマーの粒子を含まなくてもよい。発熱層は、被酸化性金属の粒子、炭素成分、水及び電解質を含んでいる含水層である。発熱層は、基材シート上に存在していてもよく、あるいは基材シートの種類によっては、発熱層の下部が基材シート中に埋没していてもよい。これらのうち、発熱層の下部が基材シート中に埋没していることが好ましい。例えば、基材シートが繊維シートからなり、かつ発熱層を構成する固形分の一部が、該繊維シートに形成されている三次元状のネットワーク中に担持されていることが好ましい。発熱層の一部が基材シート中に埋没していることによって、発熱層と基材シートの一体性が増し、基材シートからの発熱層の脱落(使用前、使用中、使用後)が効果的に防止される。
【0023】
発熱層に含まれる被酸化性金属としては、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。被酸化性金属の粒子の粒径は、例えば0.1〜300μm程度とすることができる。炭素材料としては、水分保持剤として作用するほかに、被酸化性金属への酸素保持/供給剤としての機能も有しているものを用いることが好ましい。炭素材料としては例えば活性炭(椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等が挙げられる。電解質としては、被酸化性金属の粒子の表面に形成された酸化物の溶解が可能なものが用いられる。その例としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物又は水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点からアルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属の塩化物が好ましく用いられ、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄が好ましく用いられる。
【0024】
基材シートの坪量が先に述べた範囲であることを条件として、発熱体における被酸化性金属の量は、坪量で表して100〜3,000g/m2、特に200〜1,500g/m2であることが、十分な発熱量を確保する観点から好ましい。発熱体における炭素材料の量は、4〜300g/m2、特に4〜80g/m2、とりわけ8〜50g/m2であることが、長時間にわたり安定な発熱を維持する観点から好ましい。同様の理由によって、発熱体における電解質の量は、4〜80g/m2、特に4〜40g/m2、とりわけ5〜30g/m2であることが好ましい。なお、これらの坪量は、基材シートに発熱層を片面に1層形成した場合での値である。したがって基材シートの両面に発熱層を形成した場合には、これらの坪量は上述の2倍の値となる。また、発熱体の具体的な用途に合わせ、坪量は適宜調整される。
【0025】
上述したとおり発熱層は含水状態になっている。発熱層の含水率は、5〜50質量%、特に6〜40質量%であることが好ましい。発熱層の含水率をこの範囲内に設定することで、発熱層はその流動性が適度に低下する。その結果、後述する基材シートへのスリット形成工程において、発熱層に変化を与えることなく、基材シートにスリットを形成することができる。発熱層の含水率は、基材シートの表面よりも上側に位置する部位を対象として測定される。したがって、発熱層のうち、基材シートに埋没している部位は、含水率の測定対象から除外される。発熱層の含水率の具体的な測定方法は次のとおりである。すなわち、基材シートの表面よりも上側に位置する部位の発熱層を窒素環境下で取り出し、その質量を測定する。その後、真空状態の105℃の温度で、乾燥炉において2時間水分を取り除き、再度、質量を測定し、含水量を測定する。なお、上述の発熱層の含水率は、1つの発熱層あたりの値である。
【0026】
本発明の発熱体は、基材シートに複数のスリットが形成されている点に特徴の一つを有する。基材シートは、例えば図1に示すように、第1の方向Xへ延びるように配置された複数の第1スリットS1からなる第1スリット列L1が形成されている。第1スリット列L1は、基材シート1の第2の方向Yにわたり複数列形成されている。更に、基材シート1には、第1の方向Xと交差する方向である第2の方向Yへ延びるように配置された複数の第2スリットS2からなる第2のスリット列L2が形成されている。第2スリット列L2は、基材シート1の第1の方向Xにわたり複数列形成されている。第1スリットS1及び第2スリットS2は、基材シート1に単に切り込みを入れて形成されたもの、つまり切れ込みは形成されているが、開口は形成されていないものであってもよく、あるいは、細幅で開口したものであってもよい。
【0027】
互いに異なる2つの方向に延びるスリット列L1,L2を形成することで、被酸化性金属の酸化に起因して発熱層が硬くなっても、スリット列L1,L2が形成された基材シート1には柔軟性が残っているので、発熱体全体としての硬さを知覚しづらくなる。しかも、発熱体をセル状に複数個設ける必要がないので、発熱体が過度に厚くならず、フィット性が減じられることもない。それらの結果、本発明の発熱体を備えた発熱具は、その使用の初期から終期にわたって装着の違和感が生じにくくなる。また、スリットS1,S2の形成は、発熱体1の発熱特性に特段の影響を与えないことが、本発明者らの検討の結果判明した。
【0028】
基材シート1の柔軟性は、互いに異なる2つの方向に延びるスリット列L1,L2を形成することで生じるものである。この柔軟性を一層顕著なものにする観点からは、第1スリット列L1と第2スリット列L2との交差角を60〜120度に設定することが好ましく、80〜100度に設定することが一層好ましい。特にL1とL2とが直交していることが好ましい。特に、基材シート1の面内のいずれの方向においても略同等な柔軟性を発現させる観点からは、第1スリット列L1と第2スリット列L2とは直交していることが好ましい。ここでいう直交とは、両スリット列L1,L2が90度で交差している場合だけでなく、後述する発熱体の製造方法において、製造条件や製造装置の振れに起因して、不可避的に両スリット列L1,L2の交差角が90度から僅かに変動する場合も包含する。
【0029】
第1スリット列L1と第2スリット列L2とは、互いに交差する方向に延びているところ、第1スリット列L1を構成する各第1スリットS1と、第2スリット列L2を構成する各第2スリットS2とは非交差状態となるように配置されていることが好ましい。各スリットS1,S2がこのように配置されていると、各スリットS1,S2よって囲繞された領域、例えば図1中、符号1aで示す領域が、基材シート1から脱落しづらくなるという利点がある。また、発熱体が完全に個々に分断化されていないので、発熱体を小区画に区分したセル状にする従来の技術(特許文献2及び3参照)に比べて、保存状態での発熱体の劣化が少ないという利点もある。更に、後述する製造方法において、電解質を粉末の状態で散布するときに、散布された該電解質の濃度を、発熱層の全域にわたって均一にすることが容易であり、安定した発熱特性が得られるという利点もある。なお、第1スリットS1と第2スリットS2とは、基材シート1の全域にわたって非交差状態となるように配置されていることが好ましいが、基材シート1の一部において第1スリットS1と第2スリットS2とが交差していても差し支えない。
【0030】
基材シート1の寸法にもよるが、発熱体1を例えば身体の加温に用いる場合には、第1スリットS1の長さA1は、1〜20mm、特に3〜15mmとすることが好ましい。第1スリット列L1内における前後で隣り合う第1スリットS1間の距離B1は、0.5〜15mm、特に1〜10mmであることが好ましい。また、隣り合う第1スリット列L1間の距離C1は、3〜20mm、特に5〜15mmであることが好ましい。第2スリットS2の長さA2、第2スリットS2間の距離B2及び第2スリット列L2間の距離C2に関しても同様である。尤も、第1スリットS1の長さA1と第2スリットS2の長さA2とは、同一でもよく、あるいは異なっていてもよい。第1スリットS1間の距離B1及び第2スリットS2間の距離B2、並びに第1スリット列L1間の距離C1及び第2スリット列L2間の距離C2に関しても同様であり、これらは同一でもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0031】
基材シート1の全域にわたって発熱層が形成されている場合には、第1スリット列L1及び第2スリット列L2も、基材シートの全域にわたって形成されていることが好ましい。一方、基材シートの表面が一部露出するように発熱層が設けられている場合には、その露出した部位に、第1スリット列L1及び/又は第2スリット列L2が設けられていることは要しない。尤も、当該部位に第1スリット列L1及び/又は第2スリット列L2が設けられていることは妨げられない。要するに、第1スリット列L1及び第2スリット列L2は、基材シート1のうち、発熱層が形成されている部位に形成されていることが好ましい。
【0032】
同一の又は異なる基材シートを一対用い、一対の該シート間に発熱層が形成されている形態の発熱体においては、少なくとも一方の基材シートに前記スリット列L1,L2が形成されていることが好ましく、両基材シートに前記スリット列L1,L2が形成されていることが更に好ましい。両基材シートにスリット列L1,L2が設けられていることで、発熱体の柔軟化を高めることができる。また、スリット列L1,L2における各スリットS1,S2を通じて、空気等の含酸素ガスが発熱層に供給されやすくなる。
【0033】
両基材シートにスリット列L1,L2が形成されている場合、一方の基材シートに形成されたスリット列L1,L2の位置と、他方の基材シートに形成されたスリット列L1,L2の位置とは同じになっていてもよく、あるいは異なっていてもよい。好ましくは、一対の基材シートを貫くように、両基材シートにスリット列L1,L2を形成して、両基材シートに形成されたスリット列L1,L2の位置を同じにすることが、発熱体の一層の柔軟化の点から好ましい。
【0034】
発熱体の基材シートに第1及び第2のスリット列が形成されていることは上述のとおりであるところ、発熱体の発熱層に関しては、基材シートに形成されたスリット列と同じ位置に、スリット列が形成されていてもよい。基材シートに形成されたスリット列と同じ位置に、発熱層にもスリット列が形成されていると、発熱後の発熱体を一層柔軟にすることができるので好ましい。この観点から、発熱層においては、スリット列における各スリットの位置において、該発熱層が分断されており、かつ隣り合うスリットの位置において、該発熱層が連続していることが有利である。各スリットの位置においては、発熱層は完全に分断されていてもよい。また、完全に分断されておらず、スリットが形成された痕跡が目視して認識できる範囲において薄くつながった状態になっていてもよい。薄くつながった状態になっている場合には、発熱後の発熱体の硬化が抑制されつつ、発熱層の発熱特性が損なわれにくくなるので好ましい。この薄くつながった状態になっている部位は、発熱体の使用中及び/又は発熱終了後に、外力の作用によって分離可能であることが、発熱後の発熱体が硬化することを一層抑制できる点から好ましい。
【0035】
発熱層にスリット列が形成されるか否かは、後述する製造方法を採用する場合、発熱層の水分率と関係している。発熱層の水分率が低い場合には、発熱層の保形性が高いことに起因してスリット列が形成・保持されやすい。一方、発熱層の水分率が高い場合には、発熱層の保形性が低くなる傾向があるので、スリット列の形成や保持が容易でなくなる。
【0036】
本発明の発熱体を製造するための好適な方法は、(1)塗工工程、(2)電解質添加工程及び(3)スリット形成工程を備える。以下、各工程について説明する。
【0037】
(1)塗工工程
発熱体の製造工程の一工程である塗工工程においては、基材シートに、電解質を含まずかつ被酸化性金属の粒子を含む塗料を塗工する。ここでいう電解質は、被酸化性金属の粒子に形成された酸化物を溶解させる目的で添加される電解質を意味し、すべての電解質を一切含まないという意味ではない。後述する電解質添加工程で添加する電解質を実質的に含まないということであり、水道水を用いた場合に水分中に含まれる塩素成分などは、ここでいう電解質ではない。つまり、発熱体に、一定の継続した発熱状態を付与できない場合には、ここでいう電解質ではない。塗料中には実質的に電解質が含まれていないので、電解質添加工程前には被酸化性金属粉末の酸化は進行しない。したがって、塗工工程において、被酸化性金属粉末を空気と遮断するための特別の手当は必要ない。また、塗料の保管中の酸化反応の進行を抑えることができ、発熱ロスを低減できる。また、塗料に電解質が含まれていないことによって、塗工前や塗工中の塗料の成分は良好な分散性を維持する。例えば、塗工前に塗料を静置しても、該塗料に被酸化性金属の粒子が凝集して凝集物が沈降したり離水したりすることが生じにくい。本製造方法によれば、上述のように、塗料中に電解質が積極的に含まれていないので、タンク等の製造機器内で塗料を作成している間や、作成された塗料を塗工している間に、混練機のパドルやタンク等の壁面において酸化反応を起こし難く、そのため、製造機器に耐食性の高い高価な材料を極力使用せずに済む。
【0038】
塗料は、通常、被酸化性金属の粒子に加えて、炭素材料及び水を含んでいる。また、塗料中での固形分の分散性を高める観点から、増粘剤や界面活性剤を配合してもよい。これらの成分を含む塗料を、例えば、連続長尺物からなる基材シートの一方の面上に連続的又は断続的に塗工する。また、塗料の塗工方法としては、各種公知の塗工方法を特に制限無く用いることができる。例えばローラ塗布、ダイコーティング、スクリーン印刷、ローラグラビア、ナイフコーティング、カーテンコーター等などが用いられる。これらの塗工方法を用い、所望の塗工パターンで塗料を塗工する。塗布の簡易性、塗布量の制御のし易さ、塗料の均一塗工を実現できる点からは、ダイコーティングが好ましい。ダイコータを用いた発熱組成物の塗料の塗工の詳細は、例えば本出願人の先の出願に係る特許第4155791号公報に記載されている。
【0039】
発熱層の形成に用いられる塗料においては、被酸化性金属の粒子100質量部に対して、炭素材料が1〜20質量部、特に2〜14質量部含まれていることが好ましい。水は、25〜85質量部、特に35〜75質量部含まれていることが好ましい。増粘剤は、0.05〜10質量部、特に0.1〜5質量部含まれていることが好ましい。界面活性剤は、0.1〜15質量部、特に0.2〜10質量部含まれていることが好ましい。また、水は、塗料の全体の質量に対して18〜48質量%、特に23〜43質量%含まれていることが好ましい。塗料の粘度は23℃・50%RHにおいて500〜30,000mPa・s、特に1,000〜15,000mPa・sであることが好ましい。粘度の測定には、B型粘度計の4号ローターを用いた。測定は、ローターを6rpmで回転させて行った。
【0040】
前記の塗料の塗工によって、基材シートの一方の面上に塗工層が形成される。塗工層は、塗工面に後に電解質を添加することによって前記発熱層となる部分である。基材シートが高吸収性ポリマーの粒子を含んでいる場合には、塗料中に含有されている水が適度に該高吸収性ポリマーに吸収保持され、塗工層の含水率は、塗料の含水率よりも低下する。その結果、塗工層の流動性が低下する。また、基材シートは、繊維材料を含んでいる場合には、このことによっても、塗料中に含有されている水が適度に基材シートに吸収保持され、塗工層の含水率が低減される。
【0041】
塗料の塗布は、基材シートにおける塗料を塗布する一面側とは反対側の面側から吸引しつつ行うことが、塗料の一部とともに被酸化性金属の粒子を含む塗料中の固形分を基材シートの繊維材料間に取り込ませる観点から好ましい。被酸化性金属の粒子等を基材シート中に取り込ませることで、塗工層又は発熱層と基材シートの一体性が増し、基材シートからの発熱層の脱落(使用前、使用中、使用後)が効果的に防止される。
【0042】
(2)電解質添加工程
発熱体の製造工程の一工程である電解質添加工程においては、塗料を塗工した後の基材シートのうち、塗料を塗工した面側に、電解質を固体状態で又は水溶液の状態で添加する。電解質を固体状態で添加する場合には、該電解質は、被酸化性金属の粒子及び水とは別に添加される。電解質の添加に際しては、例えば香り成分のカプセルなどの他の固体成分(ただし被酸化性金属の粒子は除く)が共存してもよいが、好ましくは電解質のみを単独で添加する。その場合、他の固体成分は、先に述べた塗料中に配合される。電解質を単独で添加することで、それ以外の固体成分の発熱層における分散性が向上するという有利な効果が奏される。また、電解質を固体状態で添加することで、水溶液で添加する場合に比較して製造工程における機器の腐食を抑制でき、また機器及び/又はその周囲への電解質の飛散を抑制できるという有利な効果が奏される。
【0043】
電解質が固体状態で添加される場合、その形態に特に制限はない。例えば個々の粒子が目視可能な程度の大きさを有する粒状体でもよく。肉眼では目視不可能な程度の大きさを有する小粒子でもよい。塗料の塗工によって形成された塗工層への円滑な溶解の点からは、電解質を小粒子の集合体としての粉体(粉末)の状態で添加することが好ましい。例えば平均粒子径が50〜1000μm、特に100〜800μmである粉体の状態で、電解質を添加することが好ましい。平均粒子径は、例えばJIS Z8801の標準ふるいを用いたふるい分け方法にて測定できる。
【0044】
電解質を固体状態で添加するための装置としては、例えばスクリューフィーダ、電磁フィーダ、オーガ式フィーダなどを用いることができる。なお、電解質は、発熱体の使用時までに発熱層中に均一に存していればよく、電解質添加工程において電解質を基材シートに対し均一に添加しなくてもよい。
【0045】
一方、電解質を水溶液の状態で添加する方法としては、ノズルによる滴下又は噴霧、ブラシによる塗布、ダイコーティング等が用いられるが、周囲への電解質水溶液の飛散や、電解質水溶液吐出口の詰まり防止、塗料との接触による製造設備の汚染防止の点からノズルによる滴下若しくは噴霧することが好ましい。電解質の濃度は、発熱層の含水率が適切な範囲となり、該発熱層の流動状態が適度になるように調整される。
【0046】
電解質の添加量は、該電解質が固体状態で添加される場合又は水溶液の状態で添加される場合のどちらであっても、被酸化性金属の粒子の単位面積当たりの添加量100質量部に対して、0.5〜15質量部、特に1〜10質量部であることが好ましい。
【0047】
塗工層への電解質の添加によって、目的とする発熱層が形成される。基材シートの各面に発熱層を形成する場合には、以上の操作を、基材シートの他面に対しても行えばよい。また、基材シートの一方の面にのみ発熱層を形成した場合には、以下に述べる(3)の工程であるスリット形成工程を行うのに先立ち、発熱層上に、連続長尺物からなる第2の基材シートを供給し、第2の基材シートを該発熱層に重ね合わせる工程を行ってもよい。この工程を行うことで、同一の又は異なる2枚の基材シートの間に、発熱層が設けられた発熱体を容易に製造することができる。
【0048】
(3)スリット形成工程
スリット形成工程においては、1枚の基材シート又は一対の基材シートに対して、複数の第1スリットからなる第1スリット列を複数列形成する。これとともに、第1スリット列の延びる方向と交差する方向に延びる複数の第2スリットからなる第2スリット列を複数列形成する。第1のスリット列及び第2のスリット列のスリットは、切断刃を用い、基材シート及び発熱層に切断刃を進入させることで形成する。
【0049】
発熱層が形成された基材シートを例えば一方向に搬送させながら、該基材シートに連続的にスリット列を形成する場合には、まず、搬送方向と同方向に延びるように第1スリット列を形成し、次いで、該搬送方向と交差する方向に延びるように第2スリット列を形成することが好ましい。この順序で各スリット列を形成すると、基材シートを安定して搬送することができ、搬送方向への位置ずれが極力抑えられる点で有利である。この場合、第1スリット列の形成には、一般的に知られている丸刃を用いたスリッターを用いればよい。一方、第2スリット列の形成には、一般的に知られているロータリー式のカッター、つまり、ロールの回転軸方向に沿って間欠的に設けられた刃をロールの回転方向に複数列有するカッターロールを用いればよい。どのような手段によってスリット列を形成する場合であっても、第1のスリット列を構成する第1スリットと、第2のスリット列を構成する第2スリットとが非交差状態となるように各スリットを形成することが好ましい。
【0050】
基材シートを1枚用い、該基材シートの一面に発熱層を形成した場合には、基材シートへのスリット列の形成は、発熱層の側から切断刃を進入させることで行うことが好ましい。この場合、基材シートの面のうち、発熱層が形成されていない面の側から吸引を行いつつ、発熱層に切断刃を進入させてスリットを形成することが、スリット列を一層円滑に形成できるので好ましい。一対の基材シートを用い、両基材シート間に発熱層を形成した場合には、どちらの基材シート側から切断刃を進入させてもよい。切断刃の進入を、2枚の基材シートを貫くように行うことで、2枚の基材シートの同位置に同パターンでスリット列を形成することができる。
【0051】
第1及び第2スリット列の形成においては、先に形成された発熱層は流動性を有していることが好ましい。発熱層が流動性を有している間に両スリット列を形成することで、両スリット列の形成に際して切断刃が発熱層を貫いたとしても、切断刃を発熱層から抜くと、該発熱層が流動性を有していることに起因して、該発熱層は、切断刃が進入する前の状態に復元しやすくなる。尤も、切断刃が進入した後の発熱層は、切断刃が進入する前の状態に完全に復元するよりも、切断刃が進入した部位において、スリットが形成された痕跡が目視して認識できる範囲で、他の部位よりも薄くつながっていることが、発熱後の発熱体の硬化が抑制されつつ、発熱層の発熱特性が損なわれにくくなるので好ましい。発熱層の流動性が低い場合には、発熱層に切断刃が進入することで形成されたスリットの状態が維持されやすい。
【0052】
このようにして目的とする発熱体が得られる。発熱体の製造後には、付加的な工程として発熱体被覆封止工程を行い、該発熱体を有する発熱具を製造することができる。発熱体被覆封止工程においては、発熱体を包材で被覆する。発熱体の製造を連続的に行い、連続長尺物からなる発熱体を製造した場合には、発熱体被覆封止工程に先立ち、連続長尺物からなる発熱体を、その幅方向にわたって裁断して毎葉の発熱体を製造することが好ましい。
【0053】
基材シートを1枚用い、該基材シートの一面に発熱層を形成した場合には、毎葉の発熱体を所定の間隔をおいて一方向に走行させつつ、発熱層が形成された側に、連続長尺物からなる第1の被覆シートを配置するとともに、他方の側に、同じく連続長尺物からなる第2の被覆シートを配置する。一対の基材シートを用いて発熱体を製造した場合には、2枚の基材シートのうちの一方のシートの外側に第1の被覆シートを配置するとともに、他方のシートの外側に、同じく連続長尺物からなる第2の被覆シートを配置する。次いで第1の被覆シート及び第2の被覆シートにおける発熱体からの延出域を所定の接合手段によって接合する。接合は、発熱体における左右の側縁の外方及び前後の端縁の外方において行われる。接合手段としては、熱融着、超音波接合、接着剤による接着等が挙げられる。
【0054】
このようにして、複数の発熱具が一方向に連結された状態の連続長尺物が得られる。この連続長尺物を、隣り合う発熱体間において幅方向にわたって裁断することで、目的とする発熱具が得られる。この発熱具は、次工程において、酸素バリア性を有する包装袋内に密封収容される。
【0055】
なお、本製造方法においては、製造過程、特に電解質添加工程後の工程での被酸化性金属の酸化を抑制するために、製造ラインを非酸化性雰囲気に保つことが好ましい。
【0056】
以上の製造方法においては、発熱体被覆封止工程に先立ち、連続長尺物からなる発熱体を、その幅方向にわたって裁断したが、これに代えて、電解質添加工程に先立って、塗工層が形成された連続長尺物からなる基材シートを裁断し、毎葉となった該基材シートに、電解質添加工程で電解質の添加を行ってもよい。
【0057】
また、以上の製造方法においては、基材シートに塗料を塗工して塗工層を形成した後に、該塗工層に電解質を添加したが、これに代えて、まず基材シートに電解質を固体状態又は水溶液の状態で添加し、次いで塗料を塗工してもよい。あるいは、被酸化性金属の粒子、炭素成分、水及び電解質を含む塗料を調製し、該塗料を基材シートに塗工して、この一工程で発熱層を形成してもよい。
【0058】
図2には、本製造方法に好ましく用いられる装置の一例が示されている。この装置は、塗料の塗工部10、電解質添加部20、スリット形成部30、第1裁断部40、リピッチ部50、被覆部60、封止部70及び第2裁断部80を備えている。
【0059】
塗工部10はダイコータ11を備えている。また、ダイコータ11のダイリップに対向し、かつ矢印方向に周回するワイヤメッシュの無端ベルト12も備えている。基材シートの原反ロール1Aから繰り出された連続長尺物からなる基材シート1は、無端ベルト12によって搬送され、その一方の面に、ダイコータ11によって塗料が塗工され、塗工層100Aが形成される。塗工部10は、更に、無端ベルト12を挟んでダイコータ11のダイリップに対向してサクションボックス(図示せず)を備えていてもよい。塗工部10がサクションボックスを備えることによって、無端ベルト12による基材シート1の搬送に際してはサクションボックスを作動させ、搬送を安定化させるとともに、塗料を吸引して基材シート1に安定保持させることができる。
【0060】
電解質添加部20は、電解質を添加する添加手段21(ノズル21)を備えている。また、ノズル21の開口部に対向し、かつ矢印方向に周回するワイヤメッシュの無端ベルト12も備えている。塗料が塗工された後の基材シート1は、無端ベルト12によって、塗工部10から電解質添加部20に搬送され、その基材シート1の塗工層100Aに向かって、ノズル21のノズル孔から電解質が固体状態又は水溶液の状態で添加され、発熱層100Bが形成される。塗料を塗工した後に電解質を添加することによって、発熱層100B中に発熱に好適な電解質の濃度を確保することができるとともに、電解質は、塗工層100Aと基材シート1に含まれる水分によって、濃度が希釈されながら、基材シート1に吸収保持され、発熱層100Bの水分率及び電解質濃度が好適になる。電解質添加部20は、更に、無端ベルト12を挟んでノズル21の開口部に対向してサクションボックス(図示せず)を備えていてもよい。電解質添加部20がサクションボックスを備えることによって、電解質添加部20における基材シート1の搬送に際して、サクションボックスを作動させ、搬送を安定化させることができる。また、電解質の添加時のサクションボックスの吸引によって、基材シート1の内部にまで電解質が浸透しやすくなる。
【0061】
発熱層100Bが形成された基材シート1に対しては、該発熱層100B上に、連続長尺物からなる基材シート1’が供給される。基材シート1’は発熱層100B上に重ね合わされる。これによって、同一の又は異なる2枚の基材シート1,1’の間に、発熱層100Bが設けられた発熱体の連続長尺物が形成される。
【0062】
この発熱体の連続長尺物に対し、スリット形成部30において、第1スリット列及び第2スリット列が形成される。発熱体の連続長尺物100Cは、図3(a)に示すように一方向Dに搬送されるところ、該連続長尺物100Cに対して、第1スリット形成装置31によって、搬送方向Dに沿って第1スリット列L1が多列に形成される。該連続長尺物100Cは、1対の基材シート1を備えているので、第1スリット形成装置31に備えられている切断刃(図示せず)は、1対の基材シート1の双方を貫き、両基材シート1の同位置に同パターンで第1スリット列を形成する。
【0063】
スリット形成部30には、第2スリット形成装置32も備えられている。第2スリット形成装置32は、第1スリット形成装置31よりも下流に配置されている。第1スリット列L1が形成された後の連続長尺物100Cは、第2スリット形成装置32によって処理されて、図3(b)に示すように、搬送方向Dと交差する方向に延びる第2スリット列L2が、該連続長尺物100Cに複数列形成される。同図においては、第2スリット列L2は、搬送方向と直交する方向に延びるように形成されている。
【0064】
第1スリット列L1及び第2スリット列L2の形成時においては、連続長尺物100Cの発熱層100Bは流動性を有していることが好ましい。このようにするためには、基材シート1の吸水性や、塗料中の水分量、電解質の添加態様(固体か、それとも水溶液か)等を適切にコントロールすればよい。
【0065】
このようにして、スリット列が形成された発熱体の連続長尺物100Cを、第1裁断部40において、幅方向にわたって裁断する。第1裁断部40は、ロータリーダイカッタ42とアンビルローラ43とを備えている。連続長尺物100Cが両部材間を通過することで裁断が行われ、それによって毎葉の発熱体100Dが得られる。
【0066】
発熱体の連続長尺物100Cの裁断は、該連続長尺物100Cの幅方向に延びるように行われればよく、例えば該連続長尺物100Cの幅方向にわたって直線的に行うことができる。あるいは、裁断線が曲線を描くように裁断を行うことができる。いずれの場合であっても、裁断によってトリムが発生しないような裁断パターンを採用することが好ましいが、楕円や流線形等の所望の形状に切り抜いてもよい。
【0067】
毎葉となった発熱体100Dはリピッチ部50において搬送方向の前後におけるピッチが変更され、前後隣り合う発熱体100D間が所定の距離を置いて再配置される。このようなリピッチの機構としては従来公知のものを特に制限なく用いることができる。
【0068】
リピッチされた発熱体100Dは、被覆部60に搬送され、連続長尺物からなる第1の被覆シート4と、同じく連続長尺物からなる第2の被覆シート5によってその全体が被覆される。基材シートを1枚用い、該基材シートの一面に発熱層100Bを形成した場合には、第1の被覆シート4は、発熱体100Dにおける発熱層100Bの形成されている側を被覆し、第2の被覆シート5は、発熱体100Dにおける発熱層100Bが形成されていない側を被覆する。この被覆状態を保ちつつ、発熱体100Dは、封止部70に導入される。封止部70は、シール凸部72を有する第1のローラ71と、同じくシール凸部72を有する第2のローラ73とを備えている。両ローラ71,73は、その軸方向が平行になるように、かつ各ローラ71,73のシール凸部72が互いに当接するか、又は両者間に所定のクリアランスが生じるような位置関係で配置されている。封止部70においては、発熱体100Dの前後左右から延出している第1及び第2の被覆シート4,5の延出部が、ヒートシールによって接合される。この接合は、例えば、発熱体100Dを取り囲む連続した気密の接合である。
【0069】
このようにして、複数の発熱具が一方向に連結された状態の連続長尺物が得られる。この連続長尺物を第2裁断部80において、その幅方向にわたって裁断する。第2裁断部80は、周面にカッター刃81を有するロータリーダイカッタ82とアンビルローラ83とを備えている。連続長尺物が両部材間を通過することで裁断が行われ、それによって目的とする発熱具100が得られる。裁断においては、先に述べた第1裁断部40における連続長尺物100Cの裁断線が例えば直線状である場合には、本裁断部80における裁断線も直線とすることが好ましい。また、第1裁断部40における連続長尺物100Cの裁断線が曲線である場合には、本裁断部80における裁断線もそれに倣った曲線とすることが好ましい。
【0070】
このようにして得られた発熱具100は、図4に示すように、第1の被覆シート4と第2の被覆シート5とからなる包材6で発熱体100Dの全体が包囲されている。基材シートを1枚用い、該基材シートの一面に発熱層を形成した場合には、発熱具100は、発熱体100Dの一方の面である発熱層100Cが形成された面の側に、第1の被覆シート4が配置され、かつ他方の面である発熱層が形成されていない面の側に、第2の被覆シート5が配置されている。
【0071】
包材6における第1の被覆シート4は、その一部が通気性を有するものであるか、又はその全体が通気性を有している。第1の被覆シートの通気度(JIS P8117 B型、以下、通気度というときにはこの方法の測定値を言う)は、1〜50,000秒/(100ml・6.42cm2)、特に10〜40,000秒/(100ml・6.42cm2)であることが好ましい。このような通気度を有する第1の被覆シートとしては、例えば透湿性は有するが透水性は有さない合成樹脂製の多孔性シートを用いることが好適である。かかる多孔性シートを用いる場合には、該多孔性シートの外面(第1の被覆シート4における外方を向く面)にニードルパンチ不織布やエアスルー不織布等の不織布を始めとする各種の繊維シートをラミネートして、第1の被覆シート4の風合いを高めてもよい。
【0072】
包材6における第2の被覆シート5としては、発熱体の構造に応じて適切なものが選択される。第2の被覆シート5は、第1の被覆シート4よりも通気性の低いシートであることが、第1の被覆シート4を通じて水蒸気を安定して発生させる観点から好ましい。特に、基材シート1の発熱層100Cが、第2の被覆シート5側に位置していない場合には、第2の被覆シート5は、第1の被覆シート4よりも通気性の低いシートであることが好ましい。ここで言う「通気性の低いシート」とは、一部に通気性を有するが、通気性の程度が第1の被覆シート4よりも低い場合と、通気性を有さない非通気性シートである場合との双方を包含する。第2の被覆シート5が非通気性シートである場合、該非通気性シートとしては、合成樹脂製のフィルムや、該フィルムの外面(第2の被覆シート5における外方を向く面)にニードルパンチ不織布やエアスルー不織布等の不織布を始めとする各種の繊維シートをラミネートした複合シートを用いることができる。第2の被覆シート5が通気性シートである場合、該通気性シートとしては、第1の被覆シート4と同様のものを用いることができる。この場合、第2の被覆シート5の通気性は、第1の被覆シート4の通気性よりも低いことを条件として、200〜150,000秒/(100ml・6.42cm2)、特に300〜100,000秒/(100ml・6.42cm2)であることが好ましい。第2の被覆シート5が通気性シートであると、第1の被覆シート4の外面を、使用者の例えば肌や衣服に密着させた使用状態でも、安定した発熱を行うことができる。
【0073】
発熱具100は、第1の被覆シート4が配置されている側から水蒸気の発生が可能になっていることが好ましい。水蒸気の発生を可能とするためには、(A)発熱層100Cが多量の水を含有していることを前提として、(B)発熱層100Cを構成する各成分の割合を調節する方法、(C)発熱体100Dを包囲する第1及び第2の被覆シート4,5の通気度を調節する方法、(D)(B)と(C)を併用する方法等が挙げられる。基材シート1が親水性繊維を含むことによって、多量の水を保持することができる場合には、発熱具100は、多量の水蒸気を発生させることができる。基材シート1が親水性繊維を含むことに加えて高吸収性ポリマーも含有している場合には、このことによっても該基材シート1が多量の水を保持することができ、その結果、多量の水蒸気を発生させることができる。
【0074】
第1の被覆シート4及び第2の被覆シート5がいずれも通気性を有する場合には、第1の被覆シート4の通気度の値を第2の被覆シート5の通気度の値よりも小さくして(すなわち通気性を高くして)、第1の被覆シート4を通じて放出される水蒸気の量の方が、第2の被覆シート5を通じて放出される水蒸気の量よりも多くなるようにすることが好ましい。第1の被覆シート4を通じて放出される水蒸気の量の方が、第2の被覆シート5を通じて放出される水蒸気の量よりも多くなる限りにおいて、第2の被覆シート5を通じて水蒸気が放出されることは何ら妨げられない。
【0075】
発熱具100は、例えば人体に直接適用されるか、又は衣類に適用されて、人体の加温に好適に用いられる。人体における適用部位としては例えば肩、首、顔、目、腰、肘、膝、太腿、下腿、腹、下腹部、手、足裏などが挙げられる。また、人体のほかに、各種の物品に適用されてその加温や保温等にも好適に用いられる。
【0076】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明はかかる実施形態に制限されない。例えば、図1に示す実施形態においては、発熱体1の流れ方向に沿う第1スリットS1と、これに直交する第2スリットS2とが形成されていたが、これに代えて、図5(a)に示すように、発熱体1の流れ方向MDに対して傾斜した第3スリットS3及び第4スリットS4を形成してもよい。第3スリットS3と第4スリットS4とは互いに直交していてもよい。
【0077】
また、スリット列の方向は互いに異なる2方向に限られず、互いに異なる3方向以上のスリット列を形成してもよい。例えば、図1に示す実施形態と図5(a)に示す実施形態とを組み合わせて、図5(b)に示すパターンでスリットを配置することができる。図5(b)に示す実施形態では、発熱体1の流れ方向に沿う第1スリットS1と、これに直交する第2スリットS2とを形成するとともに、発熱体1の流れ方向MDに対して傾斜した第3スリットS3及び第4スリットS4を形成してある。第1スリットS1のスリット列と、第2スリットS2のスリット列との交点の位置は、第3スリットS3のスリット列と、第4スリットS4のスリット列との交点の位置と一致している。
【0078】
また、図2及び図3に示す発熱体の製造方法では、第1スリット列L1と第2スリット列L2とを逐次的に形成したが、これに代えて両スリット列L1,L2を同時に形成してもよい。その場合には、軸方向及び周方向のそれぞれに刃が形成されているロータリー式のカッターを用いればよい。
【実施例】
【0079】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
【0080】
〔実施例1〕
(1)塗料及び電解質水溶液の調製
塗料として、被酸化性金属(鉄粉 平均粒径45μm)100部、炭素材料(活性炭 平均粒径42μm)8部、増粘剤(グアガム)0.2部、水70部が配合されているものを用いた。得られた塗料の粘度は15,000mPa・sであった。粘度の測定は、B型粘度計の4号ローターを使用し、23℃50%RHの環境で行った。
【0081】
(2)基材シートの準備
基材シートは、特開平8−246395号公報に記載の方法にしたがい製造した。この基材シートは、ポリアクリル酸ナトリウム系の高吸収性ポリマーの粒子が、基材シートの厚み方向略中央域に主として存在しており、かつ基材シートの表面には該粒子が実質的に存在していない構造を有する1枚(ワンプライ)のものである。基材シートは、高吸収性ポリマーの粒子の存在部位を挟んで表裏に親水性の架橋嵩高セルロース繊維の層を有している。架橋嵩高セルロース繊維の層は更に、針葉樹晒クラフトパルプ、紙力増強剤(PVA)を含んでいるものであった。また、高吸収性ポリマーは平均粒径340μmのものを使用した。各層の坪量は30g/m2及び20g/m2であった。高吸収性ポリマーの粒子の坪量は50g/m2であった。したがって、基材シートの坪量は100g/m2であった。
【0082】
(3)発熱体及び発熱具の製造
図2に示す装置を用い、上述した製造方法にしたがい発熱体を製造した。前記の塗料を、幅50mmの連続長尺物からなる前記基材シートの一方の面に連続塗工した。塗料の塗工坪量は1,800g/m2とした。塗料が塗工された面(塗工面)に向けて、粉体で電解質(塩化ナトリウム)を散布し、発熱層を形成した。電解質を添加する際には、基材シートの非塗工面側からの吸引を行わなかった。また、電解質の散布坪量は35g/m2とした。次いで、スリット形成装置によって、基材シートの搬送方向に延びる第1スリット列を形成し、引き続き、第1スリット列と直交する方向に延びる第2スリット列を形成した。第1及び第2スリット列の形成は、発熱層が流動性を有する間に行った。第1及び第2スリット列を構成するスリットの長さは3mmであった。第1及び第2スリット列において前後して隣り合うスリット間の距離は1mmであった。更に隣り合う第1スリット列間の距離は10mmであった。隣り合う第2スリット列間の距離は10mmであった。このようにして得られた発熱体の連続長尺物を幅方向にわたって裁断して50mm×50mmの毎葉の発熱体を得た。毎葉の発熱体を、第1の被覆シートと第2の被覆シートによってその全体を被覆した後、発熱体の前後左右から延出している第1及び第2の被覆シートの延出部を、ヒートシールによって接合した。この接合は、発熱体を取り囲む連続した気密の接合とした。シール幅は5mmとした。このようにして図4に示す構造を有する発熱具100を得た。第1の被覆シートとしては、坪量が50g/m2、通気度が20,000s/(100ml・6.42cm2)であるポリエチレンの多孔性シートを用いた。第2の被覆シートとしては、坪量が50g/m2、通気度が80,000s/(100ml・6.42cm2)であるポリエチレンの多孔性シートを用いた。また、各被覆シートは、65mm×65mmの矩形のものであった。
【0083】
〔比較例1〕
実施例1において発熱体に第1スリット列のみを形成し、第2スリット列を形成しなかった。これ以外は実施例1と同様にして発熱具を得た。
【0084】
〔比較例2〕
実施例1において発熱体に第1スリット列及び第2スリット列の双方を形成しなかった。これ以外は実施例1と同様にして発熱具を得た。
【0085】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた発熱具について、以下の方法で三点曲げ荷重の時間変化を測定した。その結果を図7に示す。
【0086】
〔三点曲げ荷重の時間変化〕
実施例及び比較例で得られた発熱具を空気と接触させて発熱を起こさせた。空気との接触開始から所定時間ごとに発熱具の三点曲げ荷重を測定し、三点曲げ荷重と時間の関係をグラフにプロットした。三点曲げ荷重の測定は次のようにして行われる。測定器はORIENTEC製のテンシロン万能検査器RTA−500を使用する。発熱具100を、図6(a)及び(b)に示すように、幅6mmの一対の板状の支持体90,90の間に架けわたす。架けわたしは、その方向が、発熱体の幅方向(CD)と一致するように行う方法と、架けわたしの方向が、発熱体の走行方向(MD)と一致するように行う方法との2種類を採用した。支持体90の間隔は25mmとする。また支持体90の長さは、発熱具100の長さよりも長くする。支持体90間に架けわたした発熱具100の上から板状押し込み体91を100mm/minの速度で降下させ、発熱具100を押し込む。板状押し込み体91は、その幅が1.5mmであり、長さは発熱具100の長さよりも長くなっている。板状押し込み体91を押し込む位置は、一対の支持体90間の中間位置である。板状押し込み体91を支持体90に対して15mm押し込み、その移動量の間に発生した加重の最大値を三点曲げ荷重とする。
【0087】
図7に示す結果から明らかなように、実施例1で得られた発熱具は、幅方向(CD)及び走行方向(MD)ともに、比較例で得られた発熱具に比較して、三点曲げ荷重の時間変化が少なく、硬さが減じられたものであることが判る。一方、比較例1は幅方向(CD)のみ、実施例と同等の硬さになるが、走行方向(MD)は、比較例2と同じように、発熱とともに硬くなることが判る。なお、図には示していないが、実施例及び比較例で得られた発熱具は、いずれもほぼ同等の発熱特性を有しており、有意差は見いだされなかった。
【符号の説明】
【0088】
1,1’ 基材シート
100A 塗工層
100B 発熱層
100C 発熱体の連続長尺物
100D 発熱体
100 発熱具
S1 第1スリット
S2 第2スリット
L1 第1スリット列
L2 第2スリット列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被酸化性金属の粒子、炭素成分、水及び電解質を含む発熱組成物の層が、基材シートの一面に設けられてなる発熱体の製造方法であって、
前記基材シートの一面に前記発熱組成物の層を形成した後、該基材シートに、複数の第1のスリット列及び複数の第2のスリット列を形成する工程を有し、
第1のスリット列は、一方向へ延びるように配置された複数のスリットからなり、
第2のスリット列は、第1のスリット列と交差する方向に向けて一方向へ延びるように配置された複数のスリットからなるものである、発熱体の製造方法。
【請求項2】
前記基材シートの一面に、前記電解質を含まずかつ前記被酸化性金属の粒子を含む塗料を塗工して塗料層を形成し、次いで該塗料層に前記電解質を固体状態で又は水溶液の状態で添加して前記発熱組成物の層を形成する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
第1のスリット列におけるスリットと、第2のスリット列におけるスリットとが非交差状態となるように、各スリットを形成する請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記複数のスリットは、切断刃を用い、前記基材シート及び前記発熱組成物の層に切断刃を進入させること形成される請求項1ないし3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記発熱組成物の層の上に、前記基材シートと同一の又は異なる基材シートを重ね、
両基材シートを貫くように前記の各スリットを形成する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記基材シートを一方向に搬送させながら、搬送方向と同方向に延びるように第1のスリット列を形成し、次いで、該搬送方向と交差する方向に延びるように第2のスリット列を形成する請求項1ないし5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記基材シートを一方向に搬送させながら、搬送方向と同方向に延びるように第1のスリット列を形成し、次いで、該搬送方向と直交する方向に延びるように第2のスリット列を形成する請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記基材シートとして吸水性を有するものを用いる請求項1ないし7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記基材シートとして繊維シートを用いる請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記基材シートとして高吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料を含む繊維シートを用いる請求項8又は9に記載の製造方法。
【請求項11】
基材シートの一面に、被酸化性金属の粒子、炭素成分、水及び電解質を含む発熱組成物の層が設けられてなり、
前記基材シートに、一方向へ延びるように配置された複数のスリットからなる第1のスリット列が複数列形成されているとともに、第1のスリット列と交差する方向に向けて一方向へ延びるように配置された複数のスリットからなる第2のスリット列が複数列形成されており、
第1のスリット列におけるスリットと、第2のスリット列におけるスリットとが非交差状態となるように、各スリットが配置されている発熱体。
【請求項12】
同一の又は異なる一対の前記基材シートの間に、前記発熱組成物の層が設けられてなり、
一対の前記基材シートを貫くように、前記の各スリットが形成されている請求項11に記載の発熱体。
【請求項13】
第1のスリット列と第2のスリット列とが直交している請求項11又は12に記載の発熱体。
【請求項14】
前記基材シートが吸水性を有する請求項11ないし13のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項15】
前記基材シートとして繊維シートを用いる請求項14に記載の発熱体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−94171(P2013−94171A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236349(P2011−236349)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】