説明

発熱体

【課題】
酸素の吸収によって発熱組成物が硬化してもその収納部内で発熱組成物の偏りが起こらず、加温箇所の形状に容易にフィットし屈曲自在箇所の加温にも適した発熱体を提供する
【解決手段】
発熱組成物成形体を含む発熱組成物を収納部に収納した発熱部を有する発熱体であって、
前記発熱部を1個以上有し、
前記収納部の最大幅が3〜25mmであり、
前記収納部の幅の最大折り径が3〜35mmであり、
前記発熱部の収納部を構成する包材の長手方向の引張強度が1.0〜40N/5mmである発熱体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素の吸収によって発熱組成物が硬化しても発熱組成物が偏らない発熱体
及び柔軟性に優れ、加温箇所の形状に容易にフィットし屈曲自在箇所の加温にも適した発熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使いすてカイロとして発熱体が市販されてきた。また、各種改良もされてきた。通常、発熱体は、外袋に収納されており、外袋から取り出すと、内袋の表面から酸素を吸収し発熱組成物が発熱を開始するように構成されている。したがって、外袋に収納されている発熱体は、まだ酸素を吸収していないため、柔らかく、いかなる形状にも応じて変形することが可能である。
【0003】
特許文献1には、発熱体の通気面にバリア性フィルムを設け、外袋を省いた発熱体が開示されている。
特許文献2には、大まかに収納部を分割して、複数の分割収納部で広い領域を加温しようとする発熱体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−306404号公報
【特許文献2】特開2009−297274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、発熱体としては、従来の発熱体と同様に、発熱組成物収納部は、該収納部の形状保持力より広い断面積を有する発熱体である。したがって、包装袋の内部の発熱組成物が酸素を吸収し発熱を開始し時間が経過すると、熱の放出により発熱組成物が徐々に硬化していく。すなわち、使用開始当初は柔らかく取扱いが容易であった発熱組成物が、時間が経過するにつれて硬化していくので、収納部の内部は、複数個の発熱組成物の塊が形成されることとなる。そのため、使用中、発熱組成物の塊同士が接触して割れ、該収納部の壁をおし、該収納部の壁が膨れ、発熱組成物の塊が一部に偏り、大きい塊のごつごつした違和感が生じ、現実には使用し難いという問題があった。
【0006】
特許文献2は、従来の発熱体と同様に、各分割収納部が該形状保持力より広い断面積を有する発熱体であり、使用中に、各収納部の内部は、複数個の発熱組成物の塊が形成されることとなる。そのため、使用中、発熱組成物の塊同士が接触して割れ、該収納部の壁をおし、該収納部の壁が膨れ、発熱組成物の塊が一部に偏り、大きい塊のごつごつした違和感が生じ、現実には使用し難いという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、かかる事情に鑑み、酸素の吸収によって発熱組成物が硬化してもその収納部内で発熱組成物の偏りが起こらず、加温箇所の形状に容易にフィットし屈曲自在箇所の加温にも適した発熱体を提供することである。
【0008】
本発明の目的は、前記課題を解決し、酸素の吸収によって発熱組成物が硬化しても発熱組成物が偏らない発熱体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するために、本発明は、
発熱組成物成形体を含む発熱組成物を収納部に収納した発熱部を有する発熱体であって、
前記発熱部を1個以上有し、
前記収納部の最大幅が3〜25mmであり、
前記収納部の幅の最大折り径が3〜35mmであり、
前記発熱部の収納部を構成する包材の長手方向の引張強度が1.0〜40N/5mmである発熱体であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は上記構成において
発熱組成物成形体を含む発熱組成物を収納部に収納した発熱部を有する発熱体であって、
前記発熱部を1個以上有し、
前記収納部の最大幅が3〜25mmであり、
前記収納部の幅の最大折り径が3〜35mmであり、
前記発熱部の収納部の折り径強度が0.2〜20(N/5mm)/mmである発熱体であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は上記構成において
発熱組成物成形体を含む発熱組成物を収納部に収納した発熱部を有する発熱体であって、
前記発熱部である区分発熱部を2個以上有し、前記区分発熱部を、シール部である区分け部を間隔として設け、
前記収納部の最大幅が3〜25mmであり、
前記収納部の幅の最大折り径が3〜35mmであり、
前記発熱部の収納部の折り径強度が0.2〜20(N/5mm)/mmである発熱体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発熱体は、収納部の幅の最大折り径が3〜35mmであり、発熱部の収納部を構成する包材の長手方向の引張強度が1.0〜40N/5mmである及び/又は該収納部
の折り径強度が0.2〜20(N/5mm)/mmであるので、酸素の吸収によって発熱組成物が硬化しても発熱組成物が偏らない収納部を有する発熱体である。
【0013】
本発明の単一発熱体は、発熱組成物が偏らない単一発熱部を使用した発熱体であるので、
加温箇所の形状に容易にフイットし使用感に優れた発熱体である。
【0014】
本発明の区分発熱体は、発熱組成物が偏らない区分発熱部を2個以上使用した発熱体であるので、柔軟性に優れ、加温箇所の形状に容易にフイットし屈曲自在箇所の加温に適した発熱体である。
【0015】
本発明は、酸素の吸収によって発熱組成物が硬化しても発熱組成物の移動偏在のない発熱部を発熱体に組み入れることができるので、身体等によくフィットする、大型発熱体、中型発熱体、小型発熱体、局部加温用発熱体(目温用発熱体や膝用発熱体等)等の、多種、多サイズの発熱体群を医療等を含めた多方面に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は、本発明の発熱体の一例を示す平面図である。 図1(b)は、同A−Aの断面図である。
【図2】(a)は、本発明の発熱体の他の一例を示す平面図である。 図2(b)は、同B−Bの断面図である。 図2(c)は、本発明の発熱体の他の一例を示す断面図である。 図2(d)は、本発明の発熱体の他の一例を示す断面図である。
【図3】(a)は、本発明の発熱体の他の一例を示す平面図である。 図3(b)は、本発明の発熱体の他の一例を示す平面図である。 図3(c)は、本発明の互い違い切り込みの他の一例を示す平面図である。
【図4】(a)は、本発明の発熱体の他の一例を示す平面図である。 図4(b)は、同C−Cの断面図である。 図4(c)は、本発明の発熱体の他の一例を示す平面図である。 図4(d)は、本発明の発熱体の他の一例を示す断面図である。
【図5】(a)は、本発明の発熱体の収納体の一例を示す斜視図である。 図5(b)は、従来の発熱体の収納体の一例を示す斜視図である。
【図6】(a)は、本発明の発熱体の収納部の折り径の一例を示す平面図である。 図6(b)は、従来の収納部の折り径の一例を示す平面図である。
【図7】は、本発明の発熱体の収納部の折り径の説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、酸素の吸収によって発熱組成物が硬化しても発熱組成物の移動偏在のない収納部からなる発熱部、発熱体であり、
1)発熱組成物成形体を含む発熱組成物を収納部に収納した発熱部を有する発熱体であって、
前記発熱部を1個以上有し、
前記収納部の最大幅が3〜25mmであり、
前記収納部の幅の最大折り径が3〜35mmであり、
前記発熱部の収納部を構成する包材の長手方向の引張強度が1.0〜40N/5mmである発熱体であることが好ましい、
2)発熱組成物成形体を含む発熱組成物を収納部に収納した発熱部を有する発熱体であって、
前記発熱部を1個以上有し、
前記収納部の最大幅が3〜25mmであり、
前記収納部の幅の最大折り径が3〜35mmであり、
前記発熱部の収納部の折り径強度が0.2〜20(N/5mm)/mmである発熱体であることが好ましい、
3)発熱組成物成形体を含む発熱組成物を収納部に収納した発熱部を有する発熱体であって、
前記発熱部である区分発熱部を2個以上有し、前記区分発熱部を、シール部である区分け部を間隔として設け、
前記収納部の最大幅が3〜25mmであり、
前記収納部の幅の最大折り径が3〜35mmであり、
前記発熱部の収納部の折り径強度が0.2〜20(N/5mm)/mmである発熱体であることが好ましい。
【0018】
本発明の収納部は、発熱部を構成し、周囲がシールされ、基材と被覆材で囲まれた空間部であり、その空間部に発熱組成物を収納する。
【0019】
使用中の発熱組成物の偏りは、使用中身体の動きに伴い、発熱組成物と収納部が動き、
発熱組成物が収納部の内壁を押し、収納部の内壁が撓み、発熱組成物が移動することにより起こる。
本発明の発熱体は 前記発熱部を構成する収納部の最大幅を3〜25mmとし、幅の最大折り径を3〜35mmとし、該収納部を構成する包材の長手方向の引張強度が1.0〜40N/5mm、及び/又は、該収納部の折り径強度を0.2〜20(N/5mm)/mmとしたため、使用中の発熱組成物の偏りが起こらない。
前記収納部の最大幅を3〜25mmにすることにより、収納部の周辺部の不動力(固定力)の発熱組成物への影響を大きくし、該収納部の折り径強度を0.2〜20(N/5mm)/mmとすることにより、収納部の周辺部が発熱組成物の自重で変形しにくくした。これにより、発熱組成物が収納部内の一部に移動することなく、また、発熱組成物の自重で収納部の一部の内壁が撓むことのない収納部を形成することができた。
【0020】
本発明の「収納部の最大幅」は収納部の空間部である最大幅方向のシール部端部とシール部端部との最大距離である。
【0021】
本発明の収納部の折り径は、チューブ状の収納部を平坦にしたときの収納部の空間部の最大幅方向の長さである。即ち、チューブ状の収納部の周囲距離(円周等)の半分である。
【0022】
本発明において、対象とする積層包材等の包材の折り径強度は、該包材内における方向に制限はなく、対象とする積層包材等の包材の任意の方向のいずれかに、所望する折り径強度を有すれば、その折り径強度がその包材の折り径強度としてよい。
【0023】
本発明の収納部の最大幅、幅の最大折り径は室温下、好ましくは23℃で測定される。
【0024】
本発明の収納部は、折り径強度として、収納部内の任意の領域で任意の方向の何れかにおいて、0.2〜20(N/5mm)/mmの折り径強度を有していればよい。
本発明の折り径強度は、収納部の最大折り径と収納部の引張強度を使用した折り径強度である。
本発明の40℃の折り径強度は、40℃における収納部の引張強度を使用した折り径強度である。
【0025】
本発明の折り径強度は、1)発熱体の収納部より採取した試料、2)発熱体の収納部を製造した包材から採取した試料、3)発熱体の収納部と同等相当(同じ商品番号等)の包材から採取した試料の何れかから選択された1種の試料の引張強度を用い、収納部の折り径から規定されたものである。
本発明の折り径強度は、1)発熱体の収納部より採取した試料を用いて測定、算出されるのが好ましいが、サイズが合わない等で測定用の試料が採取できない場合は、2)発熱体の収納部を製造した包材から採取した試料、3)発熱体の収納部と同等相当(同じ商品番号等)の包材から採取した試料の何れかから選択された1種の試料を使用し測定、算出されるのが好ましい。
【0026】
本発明の折り径強度は、収納部の幅(短手方向)の最大折り径の単位長さ当たりの、収納部を構成している包材の引張強度である。下記の式にて示される。

K=H/S

K : 折り径強度
H : 収納部の引張強度(N/5mm)
S : 収納部の短手方向の最大折り径(mm)

該収納部の引張強度は、収納部を構成する包材の引張強度であり、収納部を構成する包材の長手方向の引張強度が好ましい。基材側及び被覆材側のうち通気性を有する側の引張強度を採用する。両面が通気性を有する場合は、少なくとも一方が規定範囲にあればよい。
【0027】
本発明の収納部の引張強度の測定用の試料は、発熱体の収納部を構成する長手方向から採取された試料であることが好ましい。
本発明の引張強度は、1)発熱体の収納部より採取した試料、2)発熱体の収納部を製造した包材から採取した試料、3)発熱体の収納部と同等相当(同じ商品番号等)の包材から採取した試料の何れかから選択された1種の試料の引張強度を用い、収納部の折り径から規定されたものである。
本発明の引張強度は、1)発熱体の収納部より採取した試料を用いて測定、算出されるのが好ましいが、サイズが合わない等で測定用の試料が採取できない場合は、2)発熱体の収納部を製造した包材から採取した試料、3)発熱体の収納部と同等相当(同じ商品番号等)の包材から採取した試料の何れかから選択された1種の試料を使用し測定、算出されるのが好ましい。
【0028】
本発明の引張強度は、JIS L1096に準じて測定されることが好ましい。
本発明の引張強度の測定温度は、23℃であることが好ましい。
本発明の引張強度の測定用の試料の幅は、好ましくは5〜30mmであり、より好ましくは25mmである。更に好ましくは10mmであり、更に好ましくは5mmである。また、チャック間距離は、好ましくは5〜100mmであり、より好ましくは50mmであり、更に好ましくは25mmであり、 更に好ましくは10mmであり、更に好ましくは5mmである。チャック間距離は、試料の長さに応じて5〜100mmの中から決める。
【0029】
本発明の発熱部の収納部を構成する包材の長手方向の引張強度は、1.0〜40N/5mmであり、好ましくは1.0〜30N/5mmであり、より好ましくは1.0〜25N/5mmであり、更に好ましくは1.4〜25N/5mmであり、更に好ましくは1.5〜25N/5mmであり、更に好ましくは1.5〜22N/5mmであり、更に好ましくは1.8〜22N/5mmであり、更に好ましくは1.8〜20N/5mmであり、更に好ましくは5〜20N/5mmであり、更に好ましくは 9〜20N/5mmであり、更に好ましくは10〜20N/5mmである。
【0030】
本発明の発熱部の少なくとも一つの収納部の折り径強度は、0.2〜20(N/5mm)/mmであり、好ましくは0.2〜15(N/5mm)/mmであり、よりに好ましくは0.2〜10(N/5mm)/mmであり、更に好ましくは0.3〜10(N/5mm)/mmであり、更に好ましくは0.3〜7(N/5mm)/mmであり、更に好ましくは0.3〜5(N/5mm)/mmであり、更に好ましくは0.4〜3(N/5mm)/mmであり、更に好ましくは0.5〜2(N/5mm)/mmである。
該折り径強度が、0.2(N/5mm)/mmより小さくなると、収納している発熱組成物の自重に収納部が耐えられなくなり撓みが起こり、発熱組成物が移動し、発熱組成物の偏りが生ずる。折り径強度が、20(N/5mm)/mmを超えると収納部の硬さが強くなり、発熱体の柔軟性、使用感が悪くなる。
【0031】
本発明の収納部の幅の最大折り径は、3〜35mmであり、好ましくは3.1〜35mmであり、より好ましくは3.5〜35mmであり、更に好ましくは3.5〜30mmであり、更に好ましくは5〜30mmであり、更に好ましくは5〜25mmであり、更に好ましくは5〜20mmであり、更に好ましくは5〜18mmであり、更に好ましくは10〜18mmであり、更に好ましくは10〜15mmである。
【0032】
本発明の収納部の最大幅は、3〜25mmであり、より好ましくは3〜20mmであり、更に好ましくは5〜20mmであり、更に好ましくは5〜18mmであり、更に好ましくは5〜15mmであり、更に好ましくは8〜15mmである。
【0033】
本発明の収納部の 最大長さは、5〜200mmであり、好ましくは5〜150mmであり、より好ましくは7〜150mmである。
【0034】
本発明の収納部の容積に対する収納される発熱組成物(発熱組成物成形体等)の容積の割合は、好ましくは0.5〜1.0であり、より好ましくは0.6〜1.0であり、更に好ましくは0.7〜1.0であり、更に好ましくは0.8〜1.0であり、更に好ましくは0.9〜1.0である。
【0035】
本発明の発熱部の収納部の中央部又は中央部付近のおける高さに対する収納されている発熱組成物(発熱組成物成形体等)の高さの割合は、好ましくは0.8〜1.0であり、より好ましくは0.9〜1.0であり、更に好ましくは1.0である。
【0036】
本発明の発熱体は、収納部に発熱組成物を収納した発熱体であり、1個の発熱部である単一発熱部を有する単一発熱体と2個以上複数個の区分発熱部を有する区分発熱体がある。また、2個以上複数個の区分発熱部を有する発熱部は区分波形発熱部である。前記区分発熱体は、区分波形発熱部を有する。
【0037】
本発明の単一発熱体は、小幅発熱体が一例として挙げられる。、
【0038】
本発明の区分発熱体は、2個以上複数の区分発熱部を有し、前記収納部を有する区分発熱部が、区分け部を間隔として配置されているため、酸素の吸収によって発熱組成物が硬化しても発熱組成物の偏りは起こらず、区分け部で容易に折れ曲がるので、使用箇所の形状に容易にフィットさせることができる。
本発明の区分発熱体は、柔軟発熱体、ストライプ発熱体、切り離し自在発熱体、伸縮発熱体、バンド発熱体、トンネル通気発熱体、薬剤発熱体、切り離し自在トンネル通気発熱体、切り離し自在薬剤発熱体、目温発熱体、顔温発熱体、吸収性発熱体、足温発熱体、透湿性外袋付き発熱体、外袋付き外仮着折り畳み発熱体等が一例としてあげられる。
【0039】
本発明の小幅発熱体は、幅が20mm以下の区分発熱部を1個有する単一発熱部発熱体である。
【0040】
本発明の柔軟発熱体は、その最小剛軟度が70mm以下であり、且つ、該発熱体の収納体のループスティフネスが700mN/cm以下である。柔軟性に富む発熱体
である。
【0041】
本発明のストライプ発熱体は2個以上複数の区分発熱部がストライプ状に設けられている。
【0042】
本発明の切り離し自在発熱体は、本発明の区分発熱体の区分発熱部以外の領域に手切れ可能なミシン目(間欠的な切り込み)を設けた区分発熱体である。少なくとも1個以上の区分け部に手切れ可能なミシン目を有する区分発熱部発熱体が好ましい。
本発明の切り離し自在発熱体は、 任意のミシン目に沿って、所望の小発熱体に切り分けることができ、所望によりいくつかの離れた小領域を同時に温めることができる。
【0043】
本発明の伸縮発熱体は、区分発熱部以外の領域の少なくとも一領域以上に互い違い切り込みを設けた発熱体である。特に少なくとも1個以上の区分け部に互い違い切り込みを有する発熱体が好ましい。多数の区分け部に互い違い切り込みを設けて、該伸縮発熱体の伸縮性を大きくするのも好ましい。
【0044】
本発明のバンド発熱体は、長尺の伸縮性支持体を有する。長尺の伸縮性支持体に区分波形発熱部又は区分波形発熱部発熱体を粘着剤等を介して固定したものが一例として挙げられる。伸縮性支持体は非伸縮性の包材に互い違い切り込みを設けたものや、伸縮性包材が使用でき、また、公知の伸縮性包材が使用できる。
【0045】
本発明のトンネル通気発熱体は、区分波形発熱部の発熱組成物(含水発熱組成物、含水発熱組成物等)と接触する広域通気部に局所通気材を被覆した構造を有し、外部と広域通気部の間に通気路(トンネル)を有する構造からなる発熱体である。
本発明の局所通気材に通気孔が設けられていてもよいが、該通気孔の1個のサイズは広域通気部における1個の通気孔のサイズより大きいことが好ましい。該通気孔の数は広域通気部の数より少ないことが好ましい。該通気部を構成する方法は制限はない。
【0046】
本発明の薬剤発熱体は、区分発熱部と区分け部とから構成される区分波形発熱部の少なくとも一部が通気孔を有する局所通気材に覆われ、区分発熱部の側面通気部と区分け部と局所通気材より空間部が形成され、該局所通気材が少なくとも発熱体の全周辺部でシールにより固定された発熱体である。局所通気材が1個以上の区分発熱部の頂上部の少なくとも一部に粘着剤又は接着剤等からなる接着層を介して固定されている薬剤発熱体、及び、局所通気材が区分発熱部の頂上部に固定されていない薬剤発熱体がある。
【0047】
本発明の切り離し自在トンネル通気発熱体は、トンネル通気発熱体の局所通気材が少なくとも1個以上の区分け部に固定され、該固定されている区分け部の少なくとも1個以上に手切れ可能なミシン目を設けたものである。前記局所通気材は、非通気性包材、通気性包材、不織布等が一例として挙げられる。本発明の基材や被覆材に使用される包材が使用できる。
【0048】
本発明の切り離し自在薬剤発熱体は、薬剤発熱体の局所通気材が少なくとも1個以上の区分け部に固定され、該固定されている区分け部の少なくとも1個以上に手切れ可能なミシン目を設けたものである。
【0049】
前記通気遮断シート付き局所通気材を有するトンネル通気発熱体や薬剤発熱体は前記通気遮断シートを取り除くまで、発熱を起こさず、長期保存ができるので、外袋のいらない、低コストの発熱体としても使用できる。外袋の包材が省略できるので、ゴミが減り、環境問題にも貢献できる。局所通気材を含めたトンネル通気発熱体、薬剤発熱体の露出部の少なくとも一部に固定手段を設けることは有用である。前記通気遮断シートは、非通気性包材(積層体も含む)が使用できる。公知の非通気性包材(積層体も含む)も使用できる。
【0050】
本発明の顔温発熱体は、顔を覆うことができる発熱体である。
特に目及びその周辺を加温する顔温発熱体は、目温発熱体と称する。
また、鼻及びその周辺を加温する顔温発熱体は、鼻温発熱体と称する。
【0051】
本発明の目温発熱体は、 目及びその周辺を加温する発熱体である。
1)非通気性の基材と通気性の被覆材との間に含水発熱組成物、発熱組成物成形体等が挟まれ、周辺部がシールされ、更に、両端部に穴付耳掛け部がシールされた固定部を介して設けられ、中央部の上側にVノッチが設けられ、鼻周辺部にあたる下側は曲面になっており、その両側に各3個等の複数個の区分発熱部が設けられている目温発熱体、
更に本発明の目温発熱体は、該VノッチをV状の切り込みに換えたり、曲面にする等のように、中央部に切り込み、ノッチ、曲面等の加工を加えてもよい。
2)中央部に手切れ可能な切り込み(ミシン目)が設けられた穴付耳掛け部の各端部が発熱体本体の両端部にシールされた固定部を介して固定され、中央部の上側にVノッチが設けられ、鼻周縁部にあたる下側は曲面になっている目温発熱体、
3)目温発熱体の両側に不織布からなる風合い材が設けられている。区分け部と風合い材との間に空間部が形成されている目温発熱体
等が一例として挙げられる。
また、該風合い材の少なくとも一方を局所通気材又は風合い材付局所通気材に換えてもよい。 例えば目側の風合い材を局所通気材又は風合い材付局所通気材に換えてもよい。
【0052】
本発明のマスク形顔温発熱体は、マスク形の発熱体である。
1)両端部に耳掛け部である耳掛けゴム又は耳掛けひもが設けられ、中央部の区分け部は幅が広く、両側に各1個以上、好ましくは各3個以上の区分発熱部が設けられている一体式のマスク形顔温発熱体、
2)両端部に耳掛けゴムを有し、発熱体保持部に支持された発熱体収納部を設けた発熱体である。マスクにストライプ発熱体等の区分発熱部発熱体を挿入して使用する組み込み式のマスク形顔温発熱体、
3)区分波形発熱部がトンネル通気発熱体や薬剤発熱体の構造を有する区分波形発熱部であるマスク形顔温発熱体
等が一例として挙げられる。
【0053】
本発明の鼻温発熱体は、鼻温用の発熱体である。中央の区分け部の両側に区分発熱部を各1個以上、好ましくは各1個の発熱部を設け、少なくとも鼻の両側に相当する領域を加温できるようした、一体式の発熱体である。
該区分波形発熱部をトンネル通気発熱体や薬剤発熱体の構造を有する区分波形発熱部にすると、より適温で使用できる。
【0054】
本発明の足温発熱体は、足の任意の部位を覆う形状に形成された発熱体であればよく、例えば、足の裏側の一部分を覆う形状、足の裏側の全部を覆う形状(全足形状)、足の甲側の一部分を覆う形状、足の甲側の全部を覆う形状の他、足の裏側又は甲側の一部又は全部と、足の横側の一部又は全部とを覆う形状、或いは、足の裏側の一部又は全部と、足の横側の一部又は全部と、足の甲側の一部又は全部とを覆う形状の発熱体等をその例として挙げることができる。また、発熱体の中央部等に凹部等があってもよい。
【0055】
本発明の透湿性外袋付き発熱体は、含余剰水発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を、透湿度10g/ 以下の透湿性を有する外袋に封入後、損傷を受けない自然環境下、及び、保持温度が1〜80℃且つ保持湿度1〜90%の環境下から選ばれた1種の制御環境下に保持された保持時間を、少なくとも25時間〜2年間とすることにより、含余剰水発熱組成物を余剰水を含まない含水発熱組成物とした、発熱性の優れた発熱体である。
【0056】
本発明の吸収性発熱体は、2個以上の区分発熱部と1個以上の区分け部からなり、
区分発熱部間にある区分け部が通気路の役割を果たす区分波形発熱部又は発熱体を有する吸収性発熱体である。通常の発熱部が一つ場合と異なり、安定した発熱が得られる。
平面視して縦長の形状を有し、長手方向に前方部、中間部、後方部から構成される吸収性発熱体であり、吸収体(吸収部)と区分波形発熱部が内蔵されている内付き吸収性発熱体、吸収体の外側に区分波形発熱部又は発熱体が設けられている外付き吸収性発熱体、外袋に吸収性発熱体が封入されている外袋付き吸収性発熱体(個装体)がある。
【0057】
本発明の外袋付き外仮着折り畳み発熱体は、発熱体が少なくとも一つ折りされ、外袋に封入され、該発熱体の少なくとも一部と外袋の一部とが粘着剤層を介して固定されている発熱体である。
【0058】
本発明の発熱体、即ち単一発熱部、単一発熱体、区分発熱部、区分波形発熱部、区分発熱体の形状は制限はないが、
平面形状で、円、楕円、フットボール形、三角形、正方形、長方形、六角形、多角形、星形、花形、リング形、そらまめ形、アイマスク形、繭形、瓢箪形、角丸長方形、角丸正方形、卵形、ブーメラン形、まが玉形、星形、翼形、鼻形、提灯形、全足形、部分足形等が一例として挙げられる。翼形は、首や肩まわりに適する。
また、本明細書で記載されている単一発熱部、単一発熱体、区分発熱部、区分波形発熱部、区分発熱体の形状は記載されている形状を基本形として変形したものも本発明に含む。
本発明の発熱体の形状に合わせて、単一発熱部及び区分発熱部の長さ、最大幅、高さ等を変えることができ、その組み合わせも制限はない。
【0059】
本発明の区分発熱体の区分発熱部を除く領域に切り込みを設けことは好ましい。
本発明の切り込みは断続的切り込みが好ましく、手切れ可能な切り込み(ミシン目)や伸縮性のある互い違い切り込みが好ましい。
【0060】
本発明の「区分発熱部」とは、区分波形発熱部又は区分発熱体を構成する1個の発熱部であり、発熱組成物(含余剰水発熱組成物、含水発熱組成物、発熱組成物成形体等)の収納領域である。単独でも発熱体として機能する。包材間がシールされていない非シール領域であり、発熱組成物成形体を収容する領域である。
【0061】
本発明の「区分け部」とは、発熱組成物(含余剰水発熱組成物、含水発熱組成物、発熱組成物成形体等)の非収納領域であり、シール領域である。区分発熱部と区分発熱部の間にあっては、連結部であり、蝶番(屈曲領域)である。該シール領域としては、ヒートシール領域、粘着剤(感圧接着剤)シール領域、接着剤シール領域等が一例として挙げられる。特に、区分け部はヒートシール領域(ヒートシール部)が好ましい。
【0062】
本発明の「複数の区分発熱部」とは、2つ以上の、好ましくは3つ以上の、より好ましくは4つ以上の区分発熱部を意味する。
本発明の「複数の区分け部」とは、2つ以上の、好ましくは3つ以上の、より好ましくは4つ以上の区分け部を意味する。
【0063】
本発明の区分発熱部は区分け部を境として、少なくとも片面は凸状になっており、頂上部及び側面部から構成される。
【0064】
本発明において、発熱組成物成形体、単一発熱部、単一発熱体、区分発熱部、区分波形発熱部、区分発熱体、シール部等の角部にあたる領域(端部の角部)をアール状(略円弧状)に設け、角部を曲線状や曲面状にしてもよい。
このアール状(略円弧状)の形状は制限はないが、曲率半径で、好ましくは0.1〜20.0mmであり、より好ましくは0.1〜10.0mmであり、更に好ましくは0.1
〜5.0mmであり、更に好ましくは0.2〜5.0mmであり、更に好ましくは0.2〜3.0mmであり、更に好ましくは0.2〜2.0mmである。
【0065】
単一発熱部のサイズ及び区分発熱部のサイズには制限はないが、好ましくは矩形、矩形類似形状等において、以下のサイズである。
最大長さは、好ましくは5〜200mmであり、より好ましくは5〜150mmであり、更に好ましくは7〜150mmである。
最大幅は、好ましくは3〜25mmであり、より好ましくは3〜20mmであり、更に好ましくは5〜20mmであり、更に好ましくは5〜18mmであり、更に好ましくは5〜15mmであり、更に好ましくは8〜15mmである。
高さは、好ましくは0.1〜10mmであり、より好ましくは0.2〜10mmであり、更に好ましくは0.2〜7mmであり、更に好ましくは1〜7mmである。
【0066】
本発明の収納体と従来の収納体について図5、図6を用いて説明する。
【0067】
図5(a)は、本発明の発熱体の収納体の一例を示す斜視図である。
本例は本発明の発熱体の収納体1の一例であり、基材14と被覆材15が合わされ、周辺部がシールされ、シール部7に囲まれた収納部3を有する長方形状の収納体1である。該収納部の断面空間部5が従来の発熱体の断面空間部より小さい。収納部3が長方形であるので、該収納部3のすべての幅が同一であり、該幅は、収納部3の最大幅28である。
【0068】
図5(b)は、従来の発熱体の収納体の一例を示す斜視図である。
本例は従来の発熱体の収納体2の一例であり、基材14と被覆材15が合わされ、周辺部がシールされ、シール部7に囲まれた従来の収納部4を有する長方形状の従来の発熱体の収納体2である。該従来の収納部の断面空間部6が図5(a)の収納部の断面空間部5に比べて大きい。従来の収納部4が長方形であるので、該従来の収納部4のすべての幅が同一であり、該幅は、従来の収納部4の最大幅28である。
【0069】
図6(a)は、本発明の発熱体の収納部の折り径の一例を示す平面図である。
本例は、本発明の収納体1のシール部7に囲まれた収納部の最大折り径8と最大幅28を示す。本例の収納部3は長方形であるので、すべての折り径が同一であり、該折り径は、収納部の最大折り径8である。
本例は、収納部の最大折り径8が小さく、折り径強度が収納部3の変形防止に有効に働き、収納される発熱組成物が移動しにくくなっており、収納部3は変形しない。
【0070】
図6(b)は、従来の発熱体の収納部の折り径の一例を示す平面図である。
本例は従来の発熱体の収納体2のシール部7に囲まれた従来の収納部の最大折り径9と最大幅28を示す。本例の従来の収納部4は長方形であるので、すべての折り径が同一であり、該折り径は、従来の収納部の最大折り径9である。
本例は、従来の収納部の最大折り径9が大きく、折り径強度が従来の収納部4の変形防止に有効に働かず、収納される発熱組成物が移動し易くなっている。
【0071】
図7は、本発明の発熱体の収納部の折り径の説明断面図である。
本例は基材14と被覆材15に囲まれた収納部3の最大幅方向の断面である収納部の断面空間部5を示したもので、該断面のa、b、c、dは収納部3の内側断面の各辺の長さである。
図7より、本発明の発熱体の収納部の折り径Pは収納部3の内側の各辺の長さの和(円周等)の半分である。
即ち
P=(a+b+c+d)/2

Pは発熱体の収納部の折り径
a、b、c、dは収納部の内側断面の各辺の長さ

である。 尚、dは収納部の最大幅でもある。
【0072】
本発明の発熱体を図1〜図4を使用して説明する。
【0073】
図1(a)は、本発明の発熱体の一例を示す平面図である。
図1(b)は、同A−Aの断面図である。
本例は、最大幅10mmの単一発熱部11からなる細長い、単一発熱体10Aの一例である。痔痛緩和用の発熱体や、局所加温用の発熱体等として使用できる。
非通気性面である基材14と通気性の被覆材15の間に発熱組成物成形体16が設けられている。非通気性の基材14側にはセパレータ25付き粘着剤層23が設けてある。7はシール部である。
図示はしないが、非通気性の基材14側のセパレータ25付き粘着剤層23の代わりに、通気性面である被覆材15側にセパレータ25付きSIS系の通気性粘着剤層を設けた発熱体も好ましい。
【0074】
図2(a)は、本発明の発熱体の他の一例を示す平面図である。
図2(b)は、同B−Bの断面図である。
本例の発熱体は6個の区分発熱部12を有する区分発熱体10である。
通気性の被覆材15と基材14に挟まれた発熱組成物成形体16の周辺部及び該発熱体10の周辺部がヒートシールされ、非通気面である基材14にアクリル系粘着剤からなる粘着剤層23を設け、その上にセパレータ25を設けたもので、6個の長方形状の区分発熱部12が区分け部13を間隔として、設けられている。
発熱前と発熱終了後(使用前と使用後)における柔軟性に変化はない。
衣服の外側に区分発熱体10を貼り、衣服を通して身体に熱を伝達するようにしてもよく、身体用の粘着剤層23を用いて、身体に直貼りし、身体に熱を伝達するようにしてもよい。また、両面を通気性面とし、衣服等の内側に貼り、又は身体に直貼りし、身体側に区分発熱体10から発生する水蒸気をあてるようにしてもよい。
【0075】
図2(c)は、本発明の発熱体の他の一例を示す断面図である。
本例は6個の区分発熱部12を有する区分発熱体10の他の一例である。
非通気性面である基材14と通気性の被覆材15の間に発熱組成物成形体16が挟まれ、該発熱組成物成形体16の周辺部及び該区分発熱体10の周辺部がヒートシールされ、粘着剤層が設けられていない区分発熱体10である。
また、図示はしないが、区分発熱部12を有する区分発熱体10の両面を通気性面とし、通気性粘着剤層、又は部分的に設けた通気性粘着剤層を身体側に向けて貼り、身体側に区分発熱体10から発生する水蒸気をあてるようにしてもよい。
【0076】
図2(d)は、本発明の発熱体の他の一例を示す断面図である。
本例の発熱体は6個の区分発熱部12を有する区分発熱体10の他の一例である。
非通気性面である基材14と通気性の被覆材15の間に発熱組成物成形体16が設けられており、通気性の被覆材15側にセパレータ25付きSIS系の通気性粘着剤層24を設けてある区分発熱体10である。
下着等の衣服の内側に通気面側を貼り、発熱体10の非通気面を通して身体に熱を伝達するようにしたものである。
衣服の外側に発熱体10を貼り、衣服を通して身体に熱を伝達するようにしたり、また、身体用の通気性粘着剤層24を用いて、身体に貼り、身体に熱を伝達するようにすることも好ましい。また、両面を通気性面とし、身体側に区分発熱体10から発生する水蒸気をあてるようにすることも好ましい。
【0077】
図3(a)は、本発明の発熱体の他の一例を示す平面図である。
本例の発熱体は、区分発熱体10であり、12個の区分発熱部12を有し、各区分け部13に断続的な切り込み(ミシン目)21が設けられ、各区分け部13から2個の区分発熱部12を一組として切り離せる切り離し自在発熱体である。
また、断続的な切り込み(ミシン目)21は該区分発熱体10の辺に当接しているが、手切れ可能であれば、ミシン目21は該発熱体10の辺に当接していなくてもよい。
また、任意の断続的な切り込み(ミシン目)21に沿って、所望の大きさの発熱体に切り分けることができ、切り離された発熱体は小発熱体として、身体等の複数の小領域を温めることができる。
図示はしないが、該区分発熱体10の周辺部に、該断続的な切り込み(ミシン目)21の端部と当接するようにVノッチを設けることも好ましい。
【0078】
図3(b)は、本発明の発熱体の他の一例を示す平面図である。
本例の発熱体は、区分発熱体10であり、6個の区分発熱部12を、一方向に向けて設け、3個の互い違い切り込み22を3箇所の区分け部13に設けた伸縮発熱体である。
本伸縮発熱体は、互い違い切り込み22の方向と直交する方向である、長手方向に互い違い切り込み22が略網目状に可逆変形するので、本伸縮発熱体は長手方向に変形ができる、即ち、伸縮できる。
他の区分け部13にも互い違い切り込み22を更に設けて、該伸縮発熱体の伸縮性を大きくするのも有用である。
また、図示はしないが、前記互い違い切り込み22の端部の少なくとも一部が本発熱体10の周辺部に設けられた互い違い切り込み22と当接するようにVノッチを設けてもよい。
図3(c)は、本発明の互い違い切り込みの他の一例を示す平面図である。
本互い違い切り込み22は、その端部が2本の切り込みになっている。
【0079】
図4(a)は、本発明の発熱体の他の一例を示す平面図である。
図4(b)は、同C−Cの断面図である。
本例の発熱体は、区分発熱体10であり、6個の区分発熱部12を有する目温発熱体である。
非通気性の基材14と通気性の被覆材15との間に発熱組成物成形体16が挟まれ、該発熱組成物成形体16の周辺部がシールされ、更に、両端部に穴付耳掛け部17が固定された固定部18を介して設けられ、中央部の上側にVノッチ26が設けられ、鼻周辺部にあたる下側は曲面になっており、その両側に各3個の区分発熱部12が設けられている。更に本目温発熱体は、該Vノッチ26をV状の切り込みに換えたり、曲面にする等、中央部に切り込み、ノッチ、曲面等の加工を加えることも好ましい。13は区分け部であり、20は穴である。
図4(c)は、本発明の発熱体の他の一例を示す平面図である。
本例の発熱体は、区分発熱体10であり、目温発熱体の他の一例である。
本目温発熱体の目側を示す。中央部に手切れ可能な切り込み(ミシン目)21が設けられた穴付耳掛け部17の各端部が発熱体本体の両端部にシールされた固定部18を介して固定され、中央部の上側にVノッチ26が設けられ、鼻周縁部にあたる下側は曲面になっている。20は穴である。
図4(d)は、本発明の発熱体の他の一例を示す断面図である。
本例の発熱体は、区分発熱体10であり、6個の区分発熱部12を有する目温発熱体の他の一例である。本目温発熱体の両側に不織布からなる風合い材19が設けられている。区分け部13と風合い材19との間に通気路27が形成されている。
非通気性の基材14と通気性の被覆材15との間に発熱組成物成形体16が挟まれ、該発熱組成物成形体16の周辺部がシールされ、更に、両端部に穴付耳掛け部17がシールされた固定部18を介して設けられ、該風合い材19の少なくとも一方を局所通気材又は風合い材19付局所通気材にかえてもよい。 例えば目側の風合い材19を局所通気材又は風合い材19付局所通気材にかえてもよい。 20は穴である。
【0080】
本発明の発熱組成物は、鉄粉等の鉄成分、炭素成分、反応促進剤及び水の必須成分とし、
空気等の酸素を含有する雰囲気の中で発熱すれば制限はない。公知の使い捨てカイロや発熱体に使用されている発熱組成物が使用できる。
【0081】
本発明の発熱組成物は、水を含有しており、発熱組成物成形体、余剰水値が0の含水発熱組成物と、余剰水値が0を超えた含余剰水発熱組成物がある。
本発明の含余剰水発熱組成物は、余剰水が連結剤として働くため成形性があり、型を使用した成形等により各種の形状に成形できる。
【0082】
本発明の発熱組成物成形体は、含余剰水発熱組成物を型を使用して成形したものであれば制限はない。
【0083】
本発明の型は、含余剰水発熱組成物が成形できれば制限はないが、貫通孔や凹部を有する平板型や、チェーンコンベア状回転体に取り付け可能な貫通孔を有するシート状型、中空の円筒状回転体の周面に設けた貫通孔や凹部の型等が一例として挙げられる。
【0084】
本発明の発熱組成物成形体の成形としては、前記含余剰水発熱組成物と前記型を使用して、型成形により発熱組成物成形体を成形できれば制限はない。該成形による発熱体の製造方法として、前記含余剰水発熱組成物を貫通孔を有する型の貫通孔を通して、発熱組成物成形体として包材である基材上に積層し、更に被覆材を被覆し、前記発熱組成物成形体の周辺部をシールすることが一例として挙げられる。
【0085】
前記含余剰水発熱組成物を成形した発熱組成物成形体は圧縮された発熱組成物圧縮体も
含む。
【0086】
本発明の含余剰水発熱組成物の余剰水値は、0より大きく、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.5〜80であり、更に好ましくは1〜80であり、更に好ましくは5〜80であり、更に好ましくは5〜70であり、更に好ましくは5〜65であり、更に好ましくは5〜60であり、更に好ましくは5〜55であり、更に好ましくは10〜55であり、更に好ましくは10〜50であり、更に好ましくは10〜40であり、更に好ましくは10〜35であり、更に好ましくは10〜30である。
【0087】
本発明の含余剰水発熱組成物を成形する場合、本発明の含余剰水発熱組成物の余剰水値は、好ましくは0.5〜80であり、より好ましくは1〜80であり、更に好ましくは5〜80である。状況に合わせ、0.5〜80から適宜選択するのが好ましい。
【0088】
前記発熱組成物は、鉄粉、炭素成分、反応促進剤及び水を必須成分以外に、他の成分を適宜選択して添加してよい。添加する他の成分として、木粉やバーミキュライト等の保水剤、ポリ(メタ)アクリル酸架橋体やポリ(メタ)アクリルアミド架橋体等の吸水性ポリマー、亜硫酸ナトリウム等の水素発生抑制剤、消石灰等のpH調整剤、パルプ等の繊維状物質、成形助剤、機能性物質等が一例として挙げられる。
本発明の発熱組成物は公知の発熱組成物、公知の発熱組成物成分が使用できる。
【0089】
前記発熱組成物は、その配合割合は特に限定されるものではないが、鉄成分100重量部に対して、炭素成分0.01〜100重量部、反応促進剤0.01〜50重量部、水1.0〜60重量部になるように配合割合を選択するのが好ましい。
更に、他の成分を適宜加えてもよい。
【0090】
前記鉄粉は、限定はされないが、鋳鉄鉄粉、アトマイズ鉄粉、電解鉄粉、還元鉄粉、ス
ポンジ鉄粉及びそれらの鉄合金粉等が一例として使用できる。更に、これら鉄粉が炭素や
酸素を含有していてもよく、また、鉄を50重量%以上含む金属で、他の金属を含んでい
てもよい(鉄の表面の少なくとも一部に酸素含有皮膜を有する鉄粉等)。
合金等として含まれる金属の種類は鉄成分が発熱組成物の成分として働けば特に制限はないが、アルミニウム、マンガン、銅、ケイ素等の金属、半導体が一例として
挙げられる。本発明の金属には半導体も含める。また、繊維状の形態を有する鉄粉やその
他の金属としては、スチール繊維、アルミ繊維、マグネシウム繊維等が挙げられる。
本発明の鉄粉において、前記鉄以外の金属の含有量は、鉄粉全体に対して通常0.01
〜50重量%であり、好ましくは0.1〜10重量%である。
【0091】
前記炭素成分としては、炭素質物質であれば制限はない。活性炭(榔子殻炭、木炭粉、
暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、カーボンナノチ
ューブ、カーボンナノホーン等が一例として挙げられる。また、活性炭繊維等の繊維状の
形態のものを用いることもできる。
【0092】
前記反応促進剤としては、発熱の反応促進ができるものであれば制限はない。塩化ナト
リウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の無機電解質が一例として挙げられる。公知の
使い捨てカイロや発熱体に使用されている電解質等も用いることもできる。これらの反応促進剤は、前記粒径(粒度)の対象にはならない。
【0093】
前記吸水性ポリマーとしては、架橋構造を有し、かつ自重に対するイオン交換水の吸水
倍率が3倍以上の樹脂であれば特に限定されるものではない。また、表面を架橋したもの
でもよい。従来公知の吸水性ポリマーや市販のものも用いることもできる。
吸水性ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸塩
架橋体、ポリオキシアルキレン基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリ
N−ビニルカルボン酸アミド系架橋体、ポリビニルアルコール系架橋体、ポリ(メタ)ア
クリルアミド架橋体等が一例として挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0094】
前記成形助剤は、水分との組み合わせにより、水膜の強度を向上させ、鉄粉等の発熱組
成物の組成物質粒子間の凝集を強化し、発熱組成物成形体の強度を向上させ、形状の保持を強化できれば制限はないが、水溶性高分子、親水性高分子、無機化合物等がある。セル
ロース系、デンプン系、ポリ(メタ)アクリル酸(塩、エステル)系、シロップ系、海藻
類、植物粘質物、微生物による粘質物、タンパク質系、多糖類系、有機系、無機系、合成
系等の高分子成形助剤等が一例として挙げられる。例えば、カルボキシメチルセルロー
ス(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸エチルセルロース、ヒドロ
キシメチルセルロースなどのセルロース誘導体系成形助剤;デキストリン、α化澱粉、加
工用澱粉などの澱粉系吸水剤;ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸塩、コーン
シロップ、マンニットシロップ等のシロップ系;カラギーナン、寒天などの海草抽出物;
アラビアガム、トラントガム、カラヤガム等の植物樹脂粘物質;キサンタンガム、ジユラ
ンガム、ブルラン、ガードラン等の微生物産生粘物質;ゼラチン、アルブミン、カゼイン
等の動物蛋白質;大豆蛋白質、小麦蛋白質などの植物蛋白質;ペクチン、アラピノガラク
タン等の植物果実粘物質などの多糖類系増粘剤;グアガム、ローカストピーンガム、タマ
リンドシードガム、タラガム等の植物種子粘物質;アルギン酸ソーダ等のアルギン酸塩、
アラビアゴム、トラガカントゴム、グアーガム、アラビアガム、ペクチン、コーンスターチ等の有機系;ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン、珪酸ソーダ、珪酸アルミニウム等の無機系;ステアリン酸塩、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、アクリルスルホン酸系高分子物質、ポリ−N−ビニルアセトアミド、又はメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、カルボキシビニルポリマー、エチレン−無水マレイン酸共重合体等の無水マレイン酸共重合体、アクリル酸−デンプン共重合体、微晶質セルロース、N−ビニルアセトアミド共重合体等を単独、或いは、2種以上の組み合わせ等が一例として挙げられる。また、従来公知の水溶性高分子や増粘剤も使用できる。
【0095】
前記成形助剤の含有量は、発熱性能を著しく低下させなければ制限はないが、鉄粉100重量部に対して、好ましくは0.001〜2重量部である。
【0096】
前記機能性物質としては、薬効、芳香等の何らかの機能を有していればいかなるもので
もよい。香料、薬草、ハーブ、葛根湯等の漢方薬、サフラワーオイル等のオイル、ヨモギ
やビワの葉やモグサ等の植物乾燥物、経皮吸収性薬物、医薬活性物質、芳香剤、化粧水、
乳液、湿布剤、防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤、消臭剤又は脱臭剤、磁気体等が一例として挙
げられる。具体的に一例を挙げれば、カテキン、酸性ムコポリサッカライド、カミツレ、セイヨウトチノキ、ビタミンE、ニコチン酸誘導体、アルカロイド化合物等の血行促進剤;セイヨウトチノキ、フラボン誘導体、アントシアニジン、ビタミンP、きんせんか、シラノール、テルミナリア、マユス等のむくみ改善剤;アミノフィリン、茶エキス、カフェイン、キサンテン誘導体、イノシット、デキストラン硫酸誘導体、セイヨウトチノキ、エスシン、アントシアニジン、有機ヨウ素化合物、オトギリ草、スギナ、マンネンロウ、朝鮮人参、ヒアノレウロニダーゼ等のスリム化剤;インドメタシン、dl−カンフル、ケトプロフェン、ショーガエキス、トウガラシエキス、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール等の鎮痛剤;ラベンダー、ローズマリー、シトロン、ジェニパー、ペパーミント、ユーカリ、ロズウッド、オレンジ等の香料;ヒアルロン酸やグリセリン等の保湿剤等が挙げられ、一種以上を用いることができる。
【0097】
前記経皮吸収性薬物としては、経皮吸収性のものであれば特に限定されるものではない
が、例えば皮膚刺激剤、サリチル酸やインドメタシン等の沈痛消炎剤、中枢神経作用剤(
睡眠鎮静剤、抗てんかん剤、精神神経用剤)、利尿剤、血圧降下剤、蓮血管拡張剤、鎮咳
去疾剤、抗ヒスタミン剤、不整脈用剤、強心剤、副腎皮質ホルモン剤、局所麻酔剤等が挙
げられる。これら薬剤は、一種又は必要に応じて二種以上配合されて用いられる。
【0098】
本発明の発熱体を構成する包材としては、発熱体用の包材として機能すれば制限はない。該包材は単層構造でもよく、多層構造(積層体等)でもよく、その構造には制限はない。
透湿性包材、非透湿性包材、通気性包材、非通気性包材、吸水性包材、非吸水性包材、
伸長性包材、伸縮性包材、発泡ポリウレタンや発泡ポリスチレン等の発泡包材、ヒートシ
ール層を有するヒートシール性包材等が一例として挙げられ、フィルム、シート、不織布
、織布等及びそれらの複合体の所望の形態で、所望の用途により適宜使用できる。フィル
ム、不織布、織物、シート等又はそれらの組み合わせが一例として挙げられる。具体的な
一例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン、ポリエステル、ポリ
アミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性
樹脂や合成樹脂、紙類、天然ゴム、再生ゴム、合成ゴム、エラストマー、伸縮性形状記憶
ポリマー等を素材としたフィルム、シート、不織布、織布や発泡体やワックスやオイル等
により非吸水性処理した非吸水性紙類等及びそれらの複合体が一例として挙げられる。
開示されている又は市販されている又は公知の使い捨てカイロや発熱体等に使用されている如何なる包材からも適宜選択して使用できる。
【0099】
本発明の包材の肌と接触する包材の表面は、風合いがよく、フレキシブルな材で構成されることが好ましい。
該表面を構成する包材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂;コットン、麻等の植物繊維;ウール、シルク等の動物繊維;レーヨン、キュプラ等の再生繊維;アセテート等の半合成繊維等を用いた不織布や繊維、和紙、洋紙、合成紙、布、毛織物等の織物材料、皮革材料等が一例として挙げられる。これらは単独又は複数個を重ねて用いることもできる。また、基材、被覆材で発熱組成物成形体を挟んで封入した後で、更に、風合いのよい第2の基材、第2の被覆材をそれらに被覆してもよい。
【0100】
前記基材は、発熱組成物又は発熱組成物成形体等を積層する包材であり、前記被覆材は、発熱組成物又は発熱組成物成形体等に被せる包材であり、通気性の有無は関係ない。基材又は被覆材において、通気性、非通気性は、任意に選択できる。本発明の発熱体としては少なくとも発熱体の一部が通気性を有していればよい。発熱体を構成する収納体の通気性は、通気性包材を収納体の一部、片面又は両面に用いることによって得ることができる。
【0101】
本発明の発熱体、通気性包材等の通気性を有する領域の通気性は、リッシー法(JIS K−7129A法)による透湿度で,好ましくは50〜10,000g/(m・day)であり、より好ましくは100〜5,000g/(m・day)であり、更に好ましくは100〜2,000g/(m・day)であり、さらに好ましくは100〜600g/(m・day)である。
この透湿度が、50g/(m・day)未満であると発熱量が少なくなり、十分な温
熱効果が得られないので通常の発熱体の用途では好ましくなく、一方、10,000g/(m・day)を越えると発熱温度が高くなって安全性に問題が生じる虞れがあるので好ましくない。ただし、用途によっては、10,000g/(m・day)を越えたり、場合によっては開放系に近い透湿度で使用することも制限されない。
【0102】
前記非通気性包材は、非通気性を有する包材であれば、制限はないが、透湿度が好ましくは10g/(m・day)以下であり、より好ましくは0.1〜10g/(m・day)である。
【0103】
本発明の発熱体において、含余剰水発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を有する発熱体を前記非通気性包材から製造された透湿性外袋に封入し、該発熱体を該外袋に封入したまま保留し、発熱させずに余剰水を除去し、発熱特性を向上させた発熱体を製造する場合、該透湿性外袋の透湿性は、リッシー法(JIS K−7129A法)による透湿度で,10g/(m・day)以下であり、好ましくは0.1〜10g/(m・day)であり、より好ましくは0.1〜6g/(m・day)であり、更に好ましくは0.1〜5g/(m・day)であり、更に好ましくは0.1〜4g/(m・day)である。
【0104】
前記通気性包材としては、通気性があれば制限はない。
例えば、多孔質フィルム、ポリエチレンフィルム等の非通気性フィルムに針等の穿孔
により微細な孔を設けて通気性を持たせた穿孔フィルム、不織布、織物(織布)、紙類及びそれらを含む積層体、不織布にポリエチレンフィルムがラミネートされた非通気性包材に針等を用いて微細な孔を設けて通気性を持たせたもの、繊維が積層され熱圧着されて通気性を制御された不織布、多孔質フィルム、或いは、多孔質フィルムに不織布を通気性粘着剤層又は通気性接着剤層等を介して積層した積層体等のフィルムやシート等が一例として挙げられる。通気性包材は一層のみでもよいが、複数個を重ねて用いることにより、発熱体の色合いの隠蔽性付与、脱落粉末の表面析出防止等の効果を与えることができる。
【0105】
前記多孔質フィルムとしては、制限はないが、ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等と硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン等の無機フィラーとの混合シートを延伸により界面剥離させ微孔を設けた多孔質フィルム等から、適宜選択することができる。
【0106】
前記不織布としては、制限はないが、レーヨン、ナイロン(ポリアミド)、ポリエステ
ル、アクリル、ポリプロピレン、ビニロン、ポリエチレン、ポリウレタン、キュプラ等の
熱可塑性樹脂、綿、セルロース、合成パルプ、木材パルプ、非木材パルプ、レーヨン、ア
セテート等の半合成繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維等から形成された乾式不織布
、湿式不織布、スパンボンド、スパンレース等が一例として挙げられる。
芯鞘構造の複合繊維からなる不織布でもよい。肌と接する面の不織布は起毛の(毛羽立
てた)不織布が好ましい。また、伸縮性不織布や非伸縮性不織布も使用できる。
【0107】
前記非通気性包材としては、非通気性であれば制限はない。ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ナイロン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリル、ポリエステル、ポリビニル
アルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリマーからなるフィルム、シート、塗布物及びそれらの積層体等及びそれらにアルミニウム等の金属や酸化ケイ素等の金属(半導体も含む)化合物を積層したものやそれらを使った複合包材が一例として挙げられる。半導体を含む金属化合物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素等の酸化物、窒化物及び酸窒化物が一例として挙げられる。
【0108】
前記紙類としては吸水性を有する紙であれば特に限定されるものではないが、例えば、
ティッシュペーパー、クレープ紙、及びクラフト等の薄紙、ライナー紙、段ボール中芯、
コートポール等の厚紙、或いは、これらの1種又は2種以上の積層体が挙げられる。直接
、含水発熱組成物に接触しなければ使用できる。
【0109】
前記伸長性包材としては、引張力を与えると破損することなく元の長さの1.005倍以上伸長するフィルム、シート、不織布、織布、又はそれらの積層体等が一例として挙げられる。この引張力を除くと元の状態に戻るか否かは問わない。伸長性は伸縮性も含有する。 天然ゴム、合成ゴム、エラストマー、伸縮性形状記憶ポリマー等の単品やこれらと非伸縮性素材との混合品、混抄品やこれらの組み合わせ品から構成される織物(織布)、フィルム、スパンデックス糸、糸、紐、平布、ストランド、リボン、テープ、スリットフィルム、スクリム構造弾性体、発泡体、不織布、又はこれら同士又はこれらと非伸長性のものや非伸縮性のものとの積層等による複合化伸縮材等が一例として挙げられる。また、互い違い切り込みを設けた包材も伸縮性包材の一例として挙げられる。
【0110】
また、伸長性包材、伸縮性包材等の素材は、特開2002−54012号公報のバンド
を構成する素材として記載されており、同公報を全部参照する事により、本明細書に組み
入れる。
【0111】
前記ヒートシール層を構成するヒートシール材としては、単独素材でもよく、ヒートシール層を有する複合素材でもよく、加熱によって少なくともその一部が接合しうるものであれば制限はない。前記熱可塑性樹脂等が一例として挙げられる。
【0112】
本発明の固定手段としては、発熱体を所要部に固定できる固定能力を有するものであれば制限はない。更に、固定手段は取り外しができることが好ましい。前記固定手段として一般的に採用されている、粘着剤層、鍵ホック、ホックボタン、マジックテープ(登録商標)等の面ファスナー、マグネット、バンド、ひも、耳掛け等及びそれらを組み合わせたものを任意に使用できる。
尚、バンドの場合、面ファスナーと粘着剤層との組み合わせで調整用固定手段を更に構
成しても構わない。固定手段の設置方法、設置場所、設置パターン等に付いては制限はな
く、適宜決めればよく、発熱体の露出部の少なくとも一部に設けることが好ましい。また、使用されるまでの間の保護としてセパレータを固定手段に付与してもよい。該セパレータには背割り等の切り込みなどを設けてその剥離が容易となるようにしてもよい。
尚、本発明の固定手段は、従来から開示されている又は市販されている又は公知の使い捨
てカイロや発熱体に使用される固定手段(含、取り外しできる取り付け手段等)を適宜選択して使用できる。
【0113】
前記粘着剤層は、粘着剤から構成される。該粘着剤は発熱体が固定できれば制限はなく、従来、使い捨てカイロ、化学カイロや発熱体や湿布剤等に使用されているものや技術的に開示されたものも使用できる。
前記粘着剤層を構成する粘着剤としては、皮膚や衣服に付着するのに必要な粘着力を有
するものであれば、制限はなく、溶剤系、水性系、エマルジョン型、ホットメルト型、反
応系、感圧系、或いは、非親水性粘着剤、混合粘着剤、親水性粘着剤(ジェル等)などの
各種形態が用いられる。
また、粘着剤層としては、通気性を有するものであっても、通気性を有しないものであ
ってもよい。用途に応じて適宜選択をすればよい。通気性を有する通気性粘着剤層は、部分的に粘着剤が存在し、領域全体として通気性がある粘着剤層、例えば、網目状粘着剤層やストライプ状粘着剤層が一例として挙げられる。
通気性の基材及び/又は被覆材に粘着剤をそのまま層状に積層したり、セパレータに積
層した粘着剤を基材及び/又は被覆材に貼り付けてもよい。
【0114】
本発明の非親水性の粘着剤層を構成する粘着剤としては、粘着剤であれば制限はないが、アクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコン系、ポリイソプレン系、ポリイソブテレン系、スチレン含有系等の各粘着剤を用いることができる。特に、ホットメルト加工処理できるアクリル系又はスチレン含有系のホットメルト粘着剤が好適に用いられる。
【0115】
本発明のホットメルト粘着剤は、制限はないが、ABA型又はABブロック共重合体(Aは熱可塑性ブロッBはラバーブロック)を主体とするゴム系感圧性接着剤が好ましく、スチレンーイソプレンースチレン共重合体(SIS)、スチレンーブタジエンースチレン共重合体(SBS)、スチレンーエチレンーブタジエンースチレン共重合体、スチレンーブタジエン共重合体又はこれらの水添タイプ(SEBS、SIPS等)のスチレン系エラストマー、アクリル酸やメククリル酸等のアルキルエステルを成分とするアクリル系エラストマー、ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体の如きオレフィン系エラストマー、ウレクン系エラストマー等が一例として挙げられる。これらは単独で又は2種以上をブレンドして用いることができる。
【0116】
本発明の永久接着剤は、制限はないが、エポキシ系接着剤、イソシアネート系接着剤、アクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤等の反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、光硬化型接着剤(例:紫外線硬化型接着剤等)、嫌気硬化型接着剤等が一例として挙げられる。
【0117】
前記親水性の粘着剤層を構成する親水性粘着剤としては、親水性ポリマーや水溶性ポリマーを主成分として、粘着性を有し、粘着剤として親水性であれば特に制限はない。具体的に言えば、ポリアクリル酸等の親水性ポリマーやポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルピロリドン等の水溶性ポリマー等が一例として挙げられる。
【0118】
本発明において、永久接着剤、粘着剤(感圧接着剤)、ホットメルト粘着剤、親水性粘着剤等の接着剤類は公知のものが使用できる。
【0119】
前記発熱体の露出部及び粘着剤層の少なくとも一部は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、界面活性剤、有機ケイ素化合物、疎水性高分子化合物、焦電物質、酸化防止剤、骨材、繊維状物、保湿剤、機能性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有してもよい。
【0120】
本発明の接着剤層としてはアクリレート系、シリコーン系等の接着剤からなる層が一例として挙げられるが、通気性を有するものであっても、通気性を有しないものであってもよい。用途に応じて適宜選択をすればよい。通気性を有する通気性接着剤層は、部分的に粘着剤が存在し、領域全体として通気性がある接着剤層、例えば、網目状接着剤層やストライプ状接着剤層が一例として挙げられる。
【0121】
前記粘着剤層、接着剤層、外仮着層のパターン、形状、設置方法、設置位置については、制限はない。全面的に、部分的にに設けたり、一点状、網状(網目状)、ストライプ状、格子状、ドット状、帯状、棒状、水玉状等の各種パターン、長方形や円形等の各種形状、多孔質等の各種状態が一例として挙げられる。
また、設置方法としてはメルトブロー方式やカーテンスプレー方式やグラビア方式や溶
液型塗工方法などの適宜な方式が一例として挙げられる。公知の形成方法も採用すること
ができる。
【0122】
本発明の発熱体は、使用するまで、外袋に封入されて、保管されることが好ましい。
本発明の外袋を構成する包材としては、非通気性(空気を遮断する性質を有する)の材料、例えば、ビニルアルコール、ナイロン等の樹脂からなるフィルム;該フィルムとアルミ箔とのラミネート物;該フィルム表面にシリカ(酸化珪素)や酸化アルミニウム等を蒸着させたフィルム材料等を用いることができる。
【0123】
前記サンプルのループスティフネスの測定において、
1)ループ長50mmのループ形成部位にマジックペンやフェルトペン等でマーキングを施してもよい。
2)粘着層等の固定手段を有する場合は、該固定手段が内側になるようにし、セパレータは除いて、ループスティフネスを測定する。
3)前記サンプルの長さが短い場合は、サンプルに、固定用フィルム等を継ぎ足して測定してもよい。例えば、ループ長50mmのサンプルに、固定用フィルム等を継ぎ足して測定してもよい。
4)柔軟発熱体又は収納体が局所通気材、風合い材、温度緩衝材等を有する場合は、それらを取り除き、サンプルを切り出す。しかし、それらが柔軟発熱体又は収納体に固定され、それらを外すと柔軟発熱体又は収納体が壊れてしまう場合は、できる限りそれらを除き、サンプルを作成する。これは、最大引張強度や破断伸びの測定用サンプルにも適用する。
【0124】
前記ループスティフネスを測定する装置は、ループスティフネスが測定できれば制限はないが、東洋精機(株)製ループスティフネステスタ、テスター産業(株)製ループスティフネステスタ等が一例として挙げられる。
【0125】
本発明における剛軟度とは、剛性(ハリ、コシ)又は柔軟性を示し、JIS L 1096A法(45°カンチレバー法)に準じ、試料として区分発熱体自身を用いたこと以外は同法に従ったものである。即ち、一端が45°(度)の斜面をもつ表面の滑らかな水平台の上に区分発熱体の一辺をスケール基線に合わせて置く。次に、区分発熱体を斜面の方向に緩やかに滑らせて、区分発熱体の一端の中央点が斜面と接したときに他端の位置をスケールによって読む。剛軟度は区分発熱体が移動した長さ(mm)で示され、それぞれ区分発熱体5個を測り、平均値を出す。
ただし、水平台には、発熱組成物成形体(発熱組成物)入り発熱部が移動方向距離が5mm以上、移動方向と直交する方向の距離が20mm以上残っていること、また、水平台には、置かれた区分発熱体の長さは発熱組成物成形体(発熱組成物)が存在している領域を横断していること又は発熱組成物成形体(発熱組成物)が存在している領域と存在していない領域を直線的に横断していることである。
1)粘着剤層を有する区分発熱体の剛軟度の測定算出方法
(1)区分発熱体の粘着剤層を有しない側の面を水平台上に置いて測定する。
(2)区分発熱体の粘着剤層を有する側が水平台側面に対応する場合は、粘着剤層にセパレータを付け、セパレータを付けた粘着剤層側の面を水平台上に置いて測定する。
(3)粘着剤層付き区分発熱体の粘着剤層を覆うセパレータは、剛軟度30mm以下のプラスチックフィルム、或いは、厚み50μm以下、好ましくは25μm以下の腰のないプラスチックフィルム、或いは、軽く揉んでシワができるプラスチックフィルム等の腰のない、柔らかいフィルムを使用する。ポリエチレンフィルム、塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニルフィルム等のラップフィルムが一例として挙げられる。
2)最小剛軟度の測定算出方法
1個の区分発熱体に付いて、一面を水平台上に置いて、縦方向及び横方向、又は、一方向及びそれと直交する方向に対して,それぞれの平均値でそれぞれの方向の剛軟度を出す。又他の一面を水平台上に置いて、同様に測定して、それぞれの剛軟度を出す。各値の中で最も小さい値の剛軟度を最小剛軟度とする。
【0126】
本発明の余剰水値は下記の余剰水値規定方法により規定する。
20℃の環境下において、該環境下に調整された試料である発熱組成物を用いて、中心点から放射状に45°間隔で8本の基準線が書かれた、JIS P3801の「2種」(No.2)の濾紙を使用する。ここでは、中心点から放射状に45°間隔で8本の基準線が書かれた、JIS P3801の「2種」(No.2)の濾紙を、支持板(ステンレス板等)上に置き、前記濾紙の中心に、内径29mm×高さ20mmの円柱状貫通孔を持つ長さ150mm×最大幅100mmの表面が平滑な測定板を置き、その円柱状貫通孔付近に発熱組成物を置き、充填板を測定板上に沿って動かし、発熱組成物を充填し、さらに、測定中に発熱組成物が発熱反応を起こさないように、円柱状貫通孔を覆うように非吸水性のプラスチックフィルム(70μm厚みのポリエチレンフィルム等)を置き、更に、その上に、押さえ板(厚さ5mm×長さ150mm×最大幅150mmのステンレス製平板等)を置き、5分間保持後、濾紙を取り出し、放射状に書かれた基準線に沿って、水又は水溶液の浸透距離として、測定板の円柱状貫通孔の径円(周面)から浸透先端までの距離をmm単位で読み取り、読み取った8個の各浸透距離(m1、m2、m3、m4、m5、m6、m7、m8)を算術平均した値(mm)を円柱状貫通孔の高さ(mm)でわり(除して)、更に100をかけた値を求め、余剰水値とする。試料の余剰水値としては、 同一試料に対して、3点測定し、その3個の余剰水値を平均し、その平均値をその試料の余剰水値とすることが好ましい。
【0127】
本発明のJIS P3801の「2種」の濾紙は、JIS P3801の「2種」の濾紙に相当する濾材も含む。
該JIS P3801の「2種」の濾紙に相当する濾紙とは、1)濾水時間(s)が120以下の濾材、2)JIS P3801の「1種」、「5種A」の各濾紙、3)保留粒子径が5μmで、且つ、濾水時間が80秒/100mlの濾紙、4)保留粒子径が4〜6μmで、且つ、濾水時間が70〜90秒/100mlの濾材、5)中村理科工業(株)製濾紙No.2、6)東洋濾紙(株)製濾紙No.2、7)ワットマン社製濾紙グレード2等が一例として挙げられる。
【0128】
本発明の発熱体又は発熱部の収納部内の発熱組成物の容積は、下記の発熱組成物の容積測定法により算出する。
前記発熱体又は発熱部の収納部内のすべての発熱組成物又は発熱組成物成形体を一つに集め、それを測定用の試料とする。
口が一つで、平らな底を有する、内径10〜50mmで内高さ50〜200mmの透明なプラスチック製円筒(容積が図れれば金蔵製の円筒、木製製の円筒も使用できる)等の発熱組成物の容積が測定できる任意の円筒状容器と、厚さ5mm以上の平らな板と、プラスフィルムを使用し、前記円筒状容器に、収納部の発熱組成物を入れ、前記円筒の口を前記プラスチックフィルムで覆い封止し、前記円筒状容器の底と前記平らな板の間を5cmに保ち、前記円筒状容器を前記平らな板の面に落下させる。3回落下させた後に、発熱組成物の高さを測定し、前記円筒状容器の底面積から、発熱組成物の容積をcm単位で算出し、前記収納部の数で割り、一つの収納部内における発熱組成物の容積とする。また、該発熱組成物は、発熱体又は発熱部の収納部内の発熱組成物であれば制限はなく、発熱組成物成形体等も含む。窒素雰囲気下等の発熱組成物が発熱しない雰囲気下で測定するのが好ましい。
【0129】
本発明の収納部の容積の測定方法は、収納部の容積が測定できれば制限はないが、
1)収納部の最端部にカッター等で切り込みを一本入れて、中の発熱組成物を除き、
収納部の折り径を測定し、底面積を算出し、収納部の長さとから収納部の容積をcm単位で算出し、更に各収納部の容積を算出する、
2)収納部の最端部にカンター等で切り込みを一本入れて、中の発熱組成物を除き、水を注射器等で注入し、その注入容積から収納部の容積の容積をcm単位で算出し、更に各収納部の容積を算出する
等が一例として挙げられる。
前記収納部の平均容積としは、前記算出された収納部の容積をすべてたして、その収納部の数でわり、一つの収納部の平均容積を算出する、
【0130】
以下、実施例等に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定
されるものではない。
【実施例1】
【0131】
発熱組成物として、還元鉄粉(粒度300μm以下)100重量部、活性炭(粒度300μm以下)7.0重量部、木粉(粒度300μm以下)5.0重量部、吸水性ポリマー
(粒度300μm以下)0.8重量部、消石灰0.2重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重
量部、11%食塩水を混合した発熱組成物を使用した。
基材としてポリエチレンフィルム製の非通気性包材とナイロン製不織布をSIS系のホットメルト粘着剤をメルトブロー方式で設けた接着剤層を介して積層した積層包材を、被覆材としてポリエチレン製多孔質フィルムとナイロン製不織布をSIS系のホットメルト粘着剤をメルトブロー方式で設けた接着剤層を介して積層した通気性の包材を使用した。尚、該被覆材の通気性はリッシー法の透湿度で、400g/(m・day)であった。
被覆材と基材を合わせ、周辺部をシールし、袋状の収納体を作製した。
該収納体は、収納部が長方形状で、12mm間隔で5個平行に設けられていた。又各収納部は最大折り径20mm×長さ120mmであり、該各収納部を構成する包材の長手方向の引張強度は10〜15N/5mmであった。
各該収納部に前記発熱組成物を5mm厚さで収納し封入し区分発熱体を複数個作製した。
該区分発熱体の非通気性面に両面テープを設け、衣服に固定して発熱試験をした。
試験後、各収納部内の発熱組成物は偏っておらず、区分発熱体の形状も変形しておらず、使用中の使用感も良かった。
【実施例2】
【0132】
発熱組成物として、還元鉄粉(粒度300μm以下)100重量部、活性炭(粒度300μm以下)7.0重量部、木粉(粒度300μm以下)5.0重量部、吸水性ポリマー
(粒度300μm以下)0.8重量部、消石灰0.2重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重
量部、11%食塩水を混合した発熱組成物を使用した。
基材としてポリエチレンフィルム製の非通気性包材とナイロン製不織布をSIS系のホットメルト粘着剤をメルトブロー方式で設けた接着剤層を介して積層した積層包材を、被覆材としてポリエチレン製多孔質フィルムとナイロン製不織布をSIS系のホットメルト粘着剤をメルトブロー方式で設けた接着剤層を介して積層した通気性の包材を使用した。尚、該被覆材の通気性はリッシー法の透湿度で、400g/(m・day)であった。
被覆材と基材を合わせ、周辺部をシールし、袋状の収納体1を作製した。
該収納体1は、収納部が長方形状で、12mm間隔で5個平行に設けられていた。又各収納部は最大折り径20mm×長さ120mmであり、該区分発熱体の各収納部の折り径強度は、0.5〜0.6であった
各該収納部に前記発熱組成物を5mm厚さで収納し封入し区分発熱体を複数個作製した。
該区分発熱体の非通気性面に両面テープを設け、衣服に固定して発熱試験をした。
試験後、各収納部内の発熱組成物は偏っておらず、区分発熱体の形状も変形しておらず、使用中の使用感も良かった。
[比較例1]
【0133】
発熱組成物、被覆材、基材は実施例2と同様のものを使用して、
被覆材と基材を合わせ、周辺部をシールし、袋状の収納体を作製した。収納部は最大折り径100mm×長さ120mmであった。該発熱体の収納部の折り径強度は、0.08〜0.1であった
該収納体に前記発熱組成物を5mm厚さで収納し封入し発熱体を作製した。
該発熱体の非通気性面に両面テープを設け、衣服に固定して発熱試験をした。
試験後、該発熱組成物は発熱体の一方に偏って、発熱体の一部が膨らんでおり、使用中は使用感が悪かった。
[比較例2]
【0134】
発熱組成物は実施例2と同様のものを使用し、基材としてポリエチレンフィルム製の非通気性包材を、被覆材としてポリエチレン製多孔質フィルムを使用した。尚、該被覆材の通気性はリッシー法の透湿度で、400g/(m・day)であった。
被覆材と基材を合わせ、周辺部をシールし、袋状の収納体を作製した。
該収納体は、収納部が長方形状で、12mm間隔で5個平行に設けられていた。又各収納部は最大折り径20mm×長さ120mmであり、該発熱体の各収納部の折り径強度は、0.09〜0.1であった
各該収納部に前記発熱組成物を5mm厚さで収納し封入し発熱体を作製した。
該発熱体の非通気性面に両面テープを設け、衣服に固定して発熱試験をした。
試験後、該発熱組成物は発熱体の一方に偏って、発熱体の一部が膨らんでおり、使用中は使用感が悪かった。
【実施例3】
【0135】
発熱組成物として、還元鉄粉(粒度300μm以下)100重量部、活性炭(粒度300μm以下)7.0重量部、木粉(粒度300μm以下)5.0重量部、吸水性ポリマー
(粒度300μm以下)0.8重量部、消石灰0.2重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重
量部、11%食塩水を混合した余剰水値10の含余剰水発熱組成物を使用した。
基材としてセパレータ付き厚さ30μmのアクリル系の粘着剤層を設けたポリエチレンフィルム製の非通気性包材を、被覆材としてポリエチレン製多孔質フィルムとナイロン製不織布をSIS系のホットメルト粘着剤をメルトブロー方式で設けた接着剤層を介して積層した通気性の包材を使用した。尚、通気性の積層包材の通気性はリッシー法の透湿度で、400g/(m・day)であった。
幅5mm×長さ80mmの貫通孔が12mm間隔で5個設けられた型を用い、型通し成形で、前記含余剰水発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を前記基材のポリエチレンフィルム側に積層した。
前記被覆材で前記基材を被覆し、該発熱組成物成形体の周辺部をヒートシールし最大幅9mmの区分発熱部を5個有する区分発熱体を複数個得た。
該各区分発熱部の中央部又は中央部付近において、該各区分発熱部の収納部の高さに対する収納される発熱組成物(発熱組成物成形体等)の高さの割合は、1.0であった。該発熱体の収納部の最大折り径は15mmであり、折り径強度は0.6(N/5mm)/mmであった。
前記区分発熱体を非通気性の収納袋である外袋に封入し、72時間、室温で放置した。72時間後に外袋から取り出し、発熱試験を行い、 試験後、各収納部内の発熱組成物は偏っておらず、区分発熱体の形状も変形しておらず、使用中、発熱性、柔軟性、曲面フィット性、使い勝手について評価したがすべて優秀であった。
【実施例4】
【0136】
実施例2で作製した区分発熱体の各区分け部に切り離し用切り込み(ミシン目)を設けた切り離し自在発熱体を複数個作製した。各区分け部から切り離した小幅の発熱体は身体の小範囲(ツボ相当領域)を加温するのに最適であった。
【実施例5】
【0137】
発熱組成物として、還元鉄粉(粒度300μm以下)100重量部、活性炭(粒度300μm以下)7.0重量部、木粉(粒度300μm以下)4.0重量部、吸水性ポリマー
(粒度300μm以下)0.7重量部、消石灰0.2重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重
量部、11%食塩水を混合した余剰水値7の含余剰水発熱組成物を使用した。
基材としてポリエチレンフィルムの片面に不織布を、もう一方の片面にエチレン−酢酸ビニルコポリマーフィルムを積層した非通気性シートからなる包材を使用し、被覆材用包材としてポリエチレン製多孔質フィルムとナイロン製不織布をSIS系のホットメルト粘着剤をメルトブロー方式で設けた接着剤層を介して積層した積層体で、通気性の積層包材を使用した。尚、通気性の積層包材の通気性はリッシー法の透湿度で、300g/(m・day)であった。
幅6mm×長さ80mmの貫通孔が12mm間隔で3個設けられ、24mmの間隔を置いて、ふたたび幅6mm×長さ80mmの貫通孔が12mm間隔で3個設けられた型を用い、型通し成形で、前記含余剰水発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を前記基材のポリエチレンフィルム側に積層した。次に前記被覆材で被覆し、該発熱組成物成形体の周辺部をシールし、幅10mmの区分発熱部を6個有するアイマスク形の区分発熱体を複数個作成した。更に、両面に柔らかく、透湿度が5000g/(m・day)を超えるスパンボンド不織布(強度)/メルトブローン不織布(通気)/サーマルボンド不織布(風合い)の3層積層体からなる風合い材を設け、通気性側を目側とし、中心部に手切れ可能な中抜きされた不織布からなる耳掛け部の両端部を該アイマスク形の区分発熱体の長手方向の両端部にヒートシールにて取り付け、区分発熱体である、耳掛け部を有するアイマスク形の目温発熱体を複数個作成した。該目温発熱体の区分発熱部を構成する収納部の折り径強度は0.5〜10(N/5mm)/mmであった。
次に、非通気性の収納袋(外袋)に封入納し、7日、室温で放置した。
7日後、該アイマスク形の目温発熱体を外袋より取り出し、通気性面を目に向けて、目を覆うように、耳掛け部で、顔に固定し発熱試験をしたが、すぐに温かくなり、温かい適温の時間が10分以上続いた。該アイマスク形の目温発熱体は優れた発熱性、優れた柔軟性、曲面フィット性を有し、使い勝手が大変よかった。
【実施例6】
【0138】
発熱組成物として、還元鉄粉(粒度300μm以下)100重量部、活性炭(粒度300μm以下)7.0重量部、木粉(粒度300μm以下)4.0重量部、吸水性ポリマー
(粒度300μm以下)0.7重量部、消石灰0.2重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重
量部、11%食塩水を混合した余剰水値7の含余剰水発熱組成物を使用した。
基材としてポリエチレンフィルムの片面に不織布を、もう一方の片面にエチレン−酢酸ビニルコポリマーフィルムを積層した非通気性シートからなる包材を使用し、被覆材用包材としてポリエチレン製多孔質フィルムとナイロン製不織布をSIS系のホットメルト粘着剤をメルトブロー方式で設けた接着剤層を介して積層した積層体で、通気性の積層包材を使用した。尚、通気性の積層包材の通気性はリッシー法の透湿度で、600g/(m・day)であった。
幅6mm×長さ80mmの貫通孔が12mm間隔で3個設けられ、24mmの間隔を置いて、ふたたび幅6mm×長さ80mmの貫通孔が設けられた型を用い、型通し成形で、前記含余剰水発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を前記基材のポリエチレンフィルム側に積層した。次に前記被覆材で被覆し、該発熱組成物成形体の周辺部をシールし、幅10mmの区分発熱部を6個有する区分発熱体である、アイマスク形の目温発熱体を複数個作成した。
更に、中心部に手切れ可能な中抜きされた不織布からなる耳掛け部の両端部を該目温発熱体の長手方向の両端部に接着剤を介して取り付け、耳掛け部を有するアイマスク形の目温発熱体を複数個作成した。該目温発熱体の区分発熱部を構成する収納部の折り径強度は0.5〜8(N/5mm)/mmであった。
該アイマスク形の目温発熱体の全通気面上に、3個の2mmφの穿孔を等間隔で設けたエアスルー不織布(風合い)/ポリエチレン製多孔質フィルムの2層積層体からなる局所通気材を、各区分け部に該3個の穿孔が配置されるように被せ、粘着剤からなる粘着層(固定部)を介して該目温発熱体の周辺部に固定し、基材側である目側に透湿度が5000g/(m・day)を超えるスパンボンド不織布(強度)/メルトブローン不織布(通気)/サーマルボンド不織布(風合い)の3層積層体からなる風合い材を設けた目温発熱体を複数個作製した。次に、非通気性の収納袋(外袋)に封入納し、7日、室温で放置した。
7日後、該アイマスク形の目温発熱体を外袋より取り出し、目側を目に向けて、目を覆うように、耳掛け部で、顔に固定し発熱試験をしたが、すぐに温かくなり、温かい適温の時間が10分以上続いた。該アイマスク形の目温発熱体は優れた発熱性、優れた柔軟性、曲面フィット性を有し、使い勝手が大変よかった。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、酸素の吸収によって発熱組成物が硬化しても発熱組成物の移動偏在のない収納部からなる発熱部を発熱体に組み入れることができるので、大型発熱体、中型発熱体、小型発熱体、局部加温用発熱体(目温用発熱体や膝用発熱体等)等の、多種、多サイズの発熱体群を医療等を含めた多方面に提供できる。
【符号の説明】
【0140】
1 収納体
2 従来の発熱体の収納体
3 収納部
4 従来の収納部
5 収納部の断面空間部
6 従来の収納部の断面空間部
7 シール部
8 収納部の最大折り径
9 従来の収納部の最大折り径
10 区分発熱体
10A 単一発熱体
11 単一発熱部
12 区分発熱部
13 区分け部
14 基材
15 被覆材
16 発熱組成物成形体、発熱組成物
17 穴付耳掛け部
18 固定部
19 風合い材
20 穴
21 切り込み(ミシン目)
22 互い違い切り込み
23 粘着剤層
24 通気性粘着剤層
25 セパレータ
26 Vノッチ、V状の切り込み、
27 通気路
28 最大幅

a 辺の長さ
b 辺の長さ
c 辺の長さ
d 辺の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱組成物成形体を含む発熱組成物を収納部に収納した発熱部を有する発熱体であって、
前記発熱部を1個以上有し、
前記収納部の最大幅が3〜25mmであり、
前記収納部の幅の最大折り径が3〜35mmであり、
前記発熱部の収納部を構成する包材の長手方向の引張強度が1.0〜40N/5mmであることを特徴とする発熱体。
【請求項2】
発熱組成物成形体を含む発熱組成物を収納部に収納した発熱部を有する発熱体であって、
前記発熱部を1個以上有し、
前記収納部の最大幅が3〜25mmであり、
前記収納部の幅の最大折り径が3〜35mmであり、
前記発熱部の収納部の折り径強度が0.2〜20(N/5mm)/mmであることを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項3】
発熱組成物成形体を含む発熱組成物を収納部に収納した発熱部を有する発熱体であって、
前記発熱部である区分発熱部を2個以上有し、前記区分発熱部を、シール部である区分け部を間隔として設け、
前記収納部の最大幅が3〜25mmであり、
前記収納部の幅の最大折り径が3〜35mmであり、
前記発熱部の収納部の折り径強度が0.2〜20(N/5mm)/mmであることを特徴とする請求項1乃至2の何れかに記載の発熱体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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