説明

発熱体

【課題】各発熱部が所定の温度以上を保持する時間を長くする。
【解決手段】発熱組成物により構成された発熱部1、2、3を、少なくとも3個隣接して配置することにより構成された発熱体であって、挟まれる方の発熱部の平均発熱総量を、挟む方の発熱部の平均発熱総量よりも小さくしたことを特徴とする。さらに、各発熱部の厚さTを等しくし、挟まれる方の発熱部の幅W2を、挟む方の各発熱部W1の幅よりも狭くし、または、挟む方の発熱部を、発熱部が隣接する方向の両端部に配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄粉等の発熱組成物により構成された発熱部を備えた発熱体であって、身体に直接又は衣服に貼り付けて使用するものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の発熱部を間隔をおいて隣接して配置することにより構成された発熱体が、特許文献1に開示されている。この種の発熱体は、製造上の観点から各発熱部を構成する発熱組成物の量を同一量としている。
しかしながら、この発熱体は、発熱体の両端の各発熱部が発熱開始後に所定の温度(例えば、40℃)以上を保持する時間が短いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2006/006664号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、各発熱部が所定の温度以上を保持する時間を長くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、下記の通り解決手段を見出した。
本発明の発熱体の第1の解決手段は、発熱組成物により構成された発熱部を、少なくとも3個隣接して配置することにより構成された発熱体であって、挟まれる方の発熱部の平均発熱総量を、挟む方の各発熱部の発熱総量よりも小さくしたことを特徴とする。
本発明の第2の解決手段は、第1の解決手段において、挟まれる方の発熱部の発熱組成物の平均総量を、挟む方の各発熱部の発熱組成物の総量よりも小さくしたことを特徴とする。
本発明の第3の解決手段は、第2の解決手段において、各発熱部の厚さを等しくし、挟まれる方の発熱部の幅を、挟む方各発熱部の幅よりも狭くしたことを特徴とする。
本発明の第4の解決手段は、第1〜第3の解決手段において、挟む方の発熱部を、発熱部が隣接する方向の両端部に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発熱体の両端の各発熱部が所定の温度以上を保持する時間を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態の発熱体の説明図
【図2】本発明の他の実施の形態の発熱体の切り込みの説明図
【図3】実施例1の発熱体の説明図
【図4】比較例1の発熱体の説明図
【図5】実施例1のサーモ試験結果の説明図
【図6】比較例1のサーモ試験結果の説明図
【図7】実施例1の発熱部の温度測定試験の結果のグラフ
【図8】比較例1の発熱部の温度測定試験の結果のグラフ
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の発熱体は、発熱組成物により構成された発熱部を、少なくとも3個隣接して配置することにより構成された発熱体である。発熱部が3個の場合を例に挙げて説明すると、図1に示すように、両側の発熱部1,1に挟まれた方の発熱部2の平均発熱総量を、両側の各発熱部1,1の発熱総量よりも小さくしたものである。
これにより、発熱部1,1に挟まれた発熱部2は、両端に位置する発熱部1,1により保温されることになり、発熱部1,1もその相乗効果により発熱効率が上がる為、発熱組成物を均等に3個以上の発熱部に分配する場合と比べて、各発熱部において所定の温度以上を保持する時間を長くする発熱効果が得られる。更に、効率的に発熱組成物を利用することが可能となる。また、結果として、各発熱部は、ある一定時間の間、一定の温度以上の発熱をすることができる。例えば、各発熱部は、40°以上の温度域を12時間程度に亘って保持することが可能となる。
【0009】
本発明は、3個以上の発熱部を有する発熱体であれば適用可能であり、例えば、4個の発熱部が間隔をおいて隣接配置された発熱体の場合には、両端側に位置する各発熱部の発熱総量に対して、挟まれた方の2個の発熱部の平均発熱総量が小さければよい。
この発熱部の発熱総量は、発熱部を構成する発熱組成物の組成や量等により規定することができる。即ち、挟む方の各発熱部の発熱総量を高めるために、挟む方の各発熱部の発熱組成物の配合を、挟まれる方の発熱組成物の配合よりも、発熱総量が高くなる配合を選択したり、或いは、同じ配合の発熱組成物を使用する場合には、挟む方の各発熱部の発熱組成物の総量を、挟まれる方の発熱部の平均の発熱組成物の量よりも多くすることにより規定することができる。
尚、本発明において発熱部が隣接するとは、挟まれる方の発熱部が保温できる程度に、その両側に発熱部が配置されているものをいい、少なくとも発熱部が隣接する方向において、一の発熱部の一部分が、他の発熱部により挟まれている必要がある。また、隣接する発熱部間の距離は、特に限定するものではないが、例えば、5mm以上とすることができる。
【0010】
また、挟まれた発熱部の発熱量を小さくする方法としては、各発熱部を構成する発熱組成物を同じ配合にして、挟まれた発熱部を構成する発熱組成物の量を少なくすることが好ましい。製造ライン上で異なる配合の発熱組成物を使用することは生産効率が悪いからである。
更に、図1に示すように、同じ配合の発熱組成物を使用して各発熱部1,1,2の厚さを、ほぼ同じにし、その幅W1,W2を異ならせることにより、挟まれた発熱部を構成する発熱組成物の量を小さくすることが好ましい。型通し成形では抜き穴を有する抜き型、鋳込み成形では凹状の型の形状を変更する事により、形成される発熱部の幅を容易に調整できるからである。
【0011】
前記発熱組成物は、成形発熱組成物であり、鉄粉、炭素成分、反応促進剤及び水を必須成分として含有するものである。
前記発熱組成物に成形性を付与するために、発熱反応に用いられない余剰水を含有させること若しくは増粘剤を含有させることができる。
【0012】
更に所望により、前記発熱組成物は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、水素発生抑制剤、骨材、繊維状物、界面活性剤、疎水性高分子化合物、発熱助剤、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を加えてもよい。
【0013】
また、発熱組成物等は、その配合割合は特に限定されるものではないが、鉄粉100質量部に対して、反応促進剤1.0〜50質量部であり、水は1.0〜60質量部で、炭素成分1.0〜50質量部、保水剤0.01〜10質量部、吸水性ポリマー0.01〜20質量部、pH調整剤0.01〜5質量部、水素発生抑制剤0.01〜12質量部とすることができる。
更に、前記発熱組成物に下記のものを鉄粉100質量部に対して、下記の配合割合で加えてもよい。即ち、鉄以外の金属1.0〜50質量部、酸化鉄以外の金属酸化物1.0〜50質量部、界面活性剤0.01〜5質量部、疎水性高分子化合物、骨材、繊維状物はそれぞれ0.01〜10質量部、発熱助剤0.01〜10質量部、酸性物質0.01〜1質量部である。
【0014】
前記水としては、適当なソースからのものでよい。その純度及び種類等には制限はない。
水の含有量は、発熱組成物の場合、発熱組成物の7〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜50質量%を含有する。
【0015】
前記炭素成分としては、炭素を成分としたものであれば制限はない。カーボンブラック、黒鉛、活性炭などが一例として挙げられる。ココナツの殻、木材、木炭、石炭、骨炭などから調製された活性炭や、動物産物、天然ガス、脂肪、油及び樹脂のような他の原料から調製されたものも一例として挙げられる。特に、吸着保持能を有する活性炭が好ましい。
また、炭素成分としては、必ずしも単独で存在する必要はなく、炭素成分を含有及び/又は炭素成分で被覆された鉄粉を発熱組成物に使用した場合、炭素成分が単独に存在しなくても、前記発熱組成物は炭素成分を含むものとする。
【0016】
前記反応促進剤としては、発熱物質の反応促進ができるものであれば制限はない。金属ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、金属硫酸塩類等が一例として挙げられる。金属ハロゲン化物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化第一鉄、臭化第二鉄、沃化ナトリウム、沃化カリウム等が一例として挙げられる。硝酸塩としては硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が一例として挙げられる。酢酸塩としては、酢酸ナトリウム等が一例として挙げられる。炭酸塩としては、炭酸第一鉄等が一例として挙げられる。金属硫酸塩類としては、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等が一例として挙げられる。
【0017】
前記保水剤としては、保水できれば制限はない。木粉、パルプ粉、活性炭、おがくず、多くの綿毛を有する綿布、綿の短繊維、紙屑、植物質材料及び他の大きい毛細管機能と親水性とを有する植物性多孔質材料、活性白土、ゼオライト等の含水ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物、パーライト、バーミキュライト、シリカ系多孔質物質、珊瑚化石、火山灰系物質(テラバルーン、シラスバルーン、タイセツバルーン等)等が一例として挙げられる。尚、これら保水剤の保水力の増加等のため、焼成及び/又は粉砕等の加工処理をしたものもよい。
前記吸水性ポリマーは、架橋構造を有し、かつ自重に対するイオン交換水の吸水倍率が3倍以上の樹脂であれば特に限定されるものではない。また、表面を架橋したものでもよい。従来公知の吸水性ポリマーや市販のものも用いることもできる。
吸水性ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸塩架橋体、スルホン酸基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリオキシアルキレン基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミド架橋体、(メタ)アクリル酸塩と(メタ)アクリルアミドとの共重合架橋体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルと(メタ)アクリル酸塩との共重合架橋体、ポリジオキソラン架橋体、架橋ポリエチレンオキシド、架橋ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン架橋体、架橋ポリビニルピリジン、デンプン−ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物、デンプン−ポリ(メタ)アクリル酸(塩)グラフト架橋共重合体、ポリビニルアルコールと無水マレイン酸(塩)との反応生成物、架橋ポリビニルアルコールスルホン酸塩、ポリビニルアルコール−アクリル酸グラフト共重合体、ポリイソブチレンマレイン酸(塩)架橋重合体等が一例として挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記吸水性ポリマー中の生分解性を有する吸水性ポリマーとしては、生分解性を有する吸水性ポリマーであれば制限はない。ポリエチレンオキシド架橋体、ポリビニルアルコール架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋体、アルギン酸架橋体、澱粉架橋体、ポリアミノ酸架橋体、ポリ乳酸架橋体などが一例として挙げられる。
前記pH調整剤としては、pHが調整できれば制限はない。アルカリ金属の弱酸塩、水酸化物など、或いは、アルカリ土類金属の弱酸塩、水酸化物などがあり、NaCO、NaHCO、NaPO、NaHPO、Na10、NaOH、KOH、Ca(OH)、Mg(OH)、Ca(POなどが一例として挙げられる。
前記水素発生抑制剤としては、水素の発生を抑制するものであれば制限はない。イオウ化合物、酸化剤、アルカリ性物質、イオウ、アンチモン、セレン、リン及びテルルからなる群より選ばれた少なくとも1種又は2種以上からなるものが一例として挙げられる。尚、イオウ化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属との化合物で、硫化カルシウム等の金属硫化物、亜硫酸ナトリウム等の金属亜硫酸塩やチオ硫酸ナトリウム等金属チオ硫酸塩等が一例として挙げられる。
前記酸化剤としては、硝酸塩、酸化物、過酸化物、ハロゲン化酸素酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩等が一例として挙げられる。
前記骨材としては、充填剤として有用であり、及び/又は、発熱組成物の多孔質化に有用であれば制限はない。化石サンゴ(サンゴ化石、風化造礁サンゴ等)、竹炭、備長炭、シリカ−アルミナ粉、シリカ−マグネシア粉、カオリン、結晶セルロース、コロイダルシリカ、軽石、シリカゲル、シリカ粉、マイカ粉、クレー、タルク、合成樹脂の粉末やペレット、発泡ポリエステル及びポリウレタンのような発泡合成樹脂、藻土、アルミナ、繊維素粉末等が一例として挙げられる。尚、カオリン及び結晶セルロースは、本発明の発熱組成物には含まないものとする。
前記繊維状物としては、無機系の繊維状物及び/又は有機系の繊維状物である、ロックウール、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維、パルプ、紙、不織布、織物、綿や麻等の天然繊維、レーヨン等再生繊維、アセテート等の半合成繊維、合成繊維及びそれらの粉砕品が一例として挙げられる。
前記界面活性剤としては、アニオン、カチオン、ノニオン、両性イオンを含む界面活性剤を包含する。特に、ノニオン界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルフェノール・エチレンオキサイド付加物、高級アルコール燐酸エステル等が一例として挙げられる。
前記疎水性高分子化合物としては、組成物中の水抜けをよくするため、水との接触角が40°以上、より好ましくは50°以上、更に好ましくは60°以上の高分子化合物であれば制限はない。形状も制限はなく、粉体、顆粒、粒、錠等が一例として挙げられる。ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が一例として挙げられる。
前記発熱助成剤としては、金属粉、金属塩、金属酸化物などがあり、Cu、Mn、CuCl、FeCl、二酸化マンガン、酸化第二銅、四三酸化鉄等やそれらの混合物等が一例として挙げられる。
前記酸化鉄以外の金属酸化物としては、二酸化マンガン、酸化第二銅等が一例として挙げられる。
前記酸性物質としては、無機酸、有機酸、及び酸性塩の何れでもよく、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、クロル酢酸、塩化鉄、硫酸鉄、シュウ酸鉄、クエン酸鉄、塩化アルミニウム、塩化アンモニウム、次亜塩素酸等が一例として挙げられる。
【0018】
前記鉄粉とは、通常の鉄粉だけでなく、鉄合金粉や鉄粉の表面の少なくとも一部に酸素含有皮膜を有する鉄粉又は鉄合金粉等も含む。
前記鉄粉は、限定はされないが、鋳鉄鉄粉、アトマイズ鉄粉、電解鉄粉、還元鉄粉、スポンジ鉄粉及びそれらの鉄合金粉や混合粉等が一例として使用できる。更に、これら鉄粉が炭素や酸素を含有していてもよく、また、鉄を50%以上含む鉄で、他の金属を含んでいてもよい。合金等として含まれる金属の種類は鉄成分が発熱組成物の成分として働けば特に制限はないが、アルミニウム、マンガン、銅、ニッケル、ケイ素、コバルト、パラジウム及びモリブデン等の金属、半導体が一例として挙げられる。これらの金属及び合金は表面のみ又は内部のみに有していても表面と内部との両方に有していてもよい。
【0019】
発熱組成物は、温度の立ち上がり特性に影響しない範囲において、水溶性高分子、凝集助剤、凝集化助剤、集塊補助剤、乾燥結合材、乾燥結合剤、乾燥バインダ、粘着素材、増粘剤、賦形剤、凝集剤、可溶性粘着性素材を含有することができる。
【0020】
また、市場に提供される、発熱組成物を収納袋に収納した発熱体は非通気性の収納袋である外袋に収納して長期保存可能を前提として提供されるので、水素発生抑制剤を含有した発熱組成物を使用することが好ましい。
【0021】
尚、発熱部の形状は如何なるものでもよいが、平面形状で、円、楕円、多角形状、星形状、花形状等が一例として挙げられる。立体形状では、多角錐形状、円錐形状、錐台形状、球形状、平行六面体形状、円筒体形状、半円柱体形状、半楕円柱体形状、蒲鉾形状体、円柱体形状、楕円柱体形状等が一例として挙げられる。また、これらの形状は角部にアールを設け、角部を曲線状や曲面状にしてもよいし、中央部等に凹部があってもよい。
【0022】
これらの発熱部は、型成形により、収納用ポケットを有しない包材上に発熱組成物成形体を積層し、更に包材を被せ、シールして単位発熱部を有する発熱部や発熱体を作成する場合には少なくともどちらか一方の包材は熱可塑性樹脂製の繊維状物と熱可塑性樹脂製のフィルム状物との積層体を使用することが好ましい。
前記フィルム状物とは、基材や被覆材の構成層となる少なくとも一層のフィルム状にしたもので、前記繊維状物としては、不織布や織布等が一例として挙げられる。前記積層の方法に制限はなく、化学カイロ等の発熱体で使用する包材の作成時に使用する方法が一例として挙げられる。
【0023】
尚、本明細書において、成形性とは抜き穴を有する抜き型を用いた型通し成形や、凹状の型を用いた鋳込み成形により、抜き穴や凹状型の形状で発熱組成物の成形体ができ、型離れを含め成形後、発熱組成物成形体の成形形状を維持することを示すものである。
成形性があると発熱組成物成形体が少なくとも被覆材に覆われ、基材と被覆材の間にシール部が形成されるまで、形状が維持されるので、所望の形状でその形状周縁部でシールができ、シール部に発熱組成物の崩れ片であるいわゆるゴマが散在しないので、シール切れがなくシールできる。
【0024】
また、上記基材としては、例えば、オレフィン系フィルム等を使用することができる。また、被覆材としては、例えば、PETスパンレース等を使用することができる。尚、通気性を有する部位は、基材側であっても、被覆材側であっても、また、両方であってもよい。
通気性としては、発熱が維持できれば制限はない。通常の発熱に使用される場合、通気性はリッシー法(Lyssy法)による透湿度が、通常は50〜10,000g/m/24hrであり、好ましくは70〜5,000g/m/24hrであり、より好ましくは100〜2,000g/m/24hr、更に好ましくは100〜700g/m/24hrである。
この透湿度が、50未満であると発熱量が少なくなり、十分な温熱効果が得られないので好ましくなく、一方、10,000g/m/24hrを超えると発熱温度が高くなって安全性に問題が生じる虞れが生じるので好ましくない。
ただし、用途によっては10,000g/m/24hrを超えたり、場合によっては開放系に近い透湿度で使用することも制限されない。
また、基材の伸張率(準拠JIS規格:L1096 8.14)は、幅60mmの試料でTD方向で2.5%、MD方向で2%程度の材料を例えば使用することができる。また、被覆材の伸張率(準拠JIS規格:L1096 8.14)は、幅60mmの試料で、TD方向で4.1%、MD方向で2%程度の材料を例えば使用することができる。
【0025】
前記基材及び被覆材(以下、「包材」ともいう。)の少なくともどちらか一方が、好ましくは400g/mm以上、より好ましくは500g/mm以上、更に好ましくは1000g/mm以上、更に好ましくは2000g/mm以上の破断強度を有する素材から構成する。また、前記包材の厚みは前記破断強度を確保すれば制限はないが、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは10〜500μmであり、更に好ましくは10〜300μmであり、更に好ましくは10〜250μmであり、更に好ましくは50〜250μmである。
包材として、不織布と熱可塑性樹脂のフィルム状物との積層体が好ましい一例として挙げられる。
少なくとも1つの包材は繊維状物とフィルム状物との積層体で、ヒートシール可能で、可撓性の素材である。基材又は被覆材の少なくとも1種に前記包材を使用する発熱体は、発熱組成物成形体を実質的に平面状の基材上に積層し、それに被覆材を被せ、発熱組成物成形体の周縁部をヒートシールし、シール部である区分け部が形成されるが、一例として被覆材に前記包材を使用した場合、可撓性で、腰があって、発熱組成物成形体を確実に覆うことができる。更にヒートシール時に、ヒートシール時の温度により被覆材は破断することなく、シール切れもなく、確実なヒートシール部を形成できる。
【0026】
ヒートシール層を構成するヒートシール材としては、単独素材でもよく、ヒートシール層を有する複合素材でもよく、加熱によって少なくともその一部が接合しうるものであれば制限はない。一例を挙げると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンやオレフィン共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂などのエチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂等のエチレン系ホットメルト樹脂、ポリアミド系ホットメルト樹脂、ブチラール系ホットメルト樹脂、ポリエステル系ホットメルト樹脂、ポリアミド系ホットメルト樹脂、ポリエステル系ホットメルト樹脂、ポリメチルメタクリレート系ホットメルト樹脂、ポリビニルエーテル系ホットメルト樹脂、ポリウレタン系ホットメルト樹脂、ポリカーボネート系ホットメルト樹脂、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のホットメルト系樹脂及びそのフィルムやシートが一例として挙げられる。また、ホットメルト系樹脂及びそのフィルムやシートには、種々の酸化防止剤等添加剤を配合したものも使用することができる。特に、低密度ポリエチレン、メタロセン触媒使用のポリエチレンが有用である。
【0027】
前記不織布としては、パルプ、麻、綿、レーヨン、アセテートなどの植物繊維、或いは、ポリエチレンなどを原料とした合成パルプ、及びポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンやエチレンを主体とする共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン三元ランダム共重合体等の自己接合型を狙ったポリオレフィン系、ナイロン6等のポリアミド系、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系、などの熱可塑性高分子物質の単繊維及び複合繊維、更にこれらの混合繊維、更にセルロース繊維パルプ等を混合したものが用いられる。前記不織布は短繊維不織布、長繊維不織布、連続フィラメント不織布でも使用可能であるが、機械的性質の点から長繊維不織布や連続フィラメント不織布が好ましい。
【0028】
また、前記発熱体を構成する、基材等、人体の皮膚に対する側のフィルムには汗等の分泌物を吸収するための吸水性を備えるようにしてもよいし、予め水分等を含ませて、皮膚に水分等を補給できるようにしてもよい。
具体的には、フィルムの中間層に吸水性を有する紙、織布、不織布、或いは、発泡シートを積層したもの、或いは吸水性ポリマーやベントナイト等の保水剤を担持させた紙、織布、不織布、或いは、発泡シートを積層したもの等が一例として挙げられる。
【0029】
前記基材、ならびに、被覆材は透明、不透明、着色、無着色等如何なるものでもよい。また、記号、絵、写真、図、模様等を設けてもよい。
前記発熱部の皮膚と接触する側に温熱緩和シートを設けてもよい。
【0030】
また、発熱体は気密性の非通気性収納袋(外袋)に封入され、保管、輸送されるが、その例としては、製造された発熱体を2枚の非通気性フィルム又はシートの間に介在させ、この介在と同時に、又は、この介在後に、前記2枚のフィルム又はシートを前記発熱体より大きいサイズに打ち抜き、この打ち抜きと同時に、若しくは打ち抜き前に、前記発熱体のサイズを超える周辺部において、前記2枚のフィルム又はシートを封着した発熱体が一例として挙げられる。前記外袋は非通気性のものであればそのほかの制限はなく、ラミネートされているものでもよく、通常非通気性素材から作成されたものを使用する。尚、発熱体は発熱部を中心にするなどして折り畳み、或いは、まるめて、外袋に封入すると非常にコンパクトになり、外袋の節約、優れた携帯性等が生まれ、都合がよい。
【0031】
また、発熱体には、皮膚や衣服に貼着するために粘着部を設けてもよい。粘着部を構成する材料としては、身体又は衣服に発熱体を貼付できるものであれば特に制限するものではないが、例えば、SIS系粘着剤(厚さ:38μm)等を使用することができる。また、粘着強度についても特に制限はないが、例えば、0.18〜2.5kgf/25mmの範囲にすることができる。
【0032】
本発明の発熱体の使用法は制限ないが、肩こり、腰痛、筋肉疲労等の症状を緩和し、気血の流れを阻害する筋肉やすじの緊張を解きほぐす方法として使用できる。
【0033】
また、発熱組成物成形体、基材及び被覆材の少なくとも1種の全面又はその一部に加圧処理等をしたり、また、凹凸を形成してもよい。これらにより、基材と被覆材間での発熱組成物成形体の移動を防止してもよい。
【0034】
前記発熱部において、磁気物質を含有させ、磁気効果による血行向上や肩こりの改善などを目的に磁石等の磁気物質を収容することもできる。
【0035】
また、本発明の発熱体には必要に応じて固定手段を設けてもよい。固定手段としては、発熱体や発熱部を有するものを所要部に固定できる固定能力を有するものであれば制限はない。
前記固定手段として一般的に採用されている、粘着剤層、鍵ホック、ホックボタン、ベルクロ等の面ファスナー、バンド、ひも等及びそれらを組み合わせたものを任意に使用できる。
ここで、面ファスナーとは、マジックテープ(登録商標)、マジックファスナー(登録商標)、ベルクロファスナー、フックアンドループテープ等の商品名で知られているもので、雌ファスナーであるループと前記雌ファスナーと締結し得る雄ファスナーであるフックとの組み合わせで締結機能を有するものである。前記ループ機能を有するものとして、不織布や、毛羽立ち、わなを有する糸の織布等あるが、前記固定手段を形成する芯材の表面にこれらループ機能(雌ファスナー機能)を有するものを被覆してもよい。雄ファスナー部材であるフック部材は特に制限はないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂やポリアミド、ポリエステル等から形成されたものが一例として挙げられる。フックの形状は特に限定されるものではないが、断面がI字型、逆L字型、逆J字型、いわゆるきのこ型等の形状のフックがループに引っかかり易く、かつ肌に極度の刺激感を与えない点で好ましい。尚、フックがファスニングテープの全面積に粘着されていてもよく、更にテープ基体を省略してフックのみで、ファスニングテープとして使用してもよい。
前記粘着剤層は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、界面活性剤、有機ケイ素化合物、疎水性高分子化合物、酸化防止剤、骨材、繊維状物、保湿剤、機能性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有してもよい。
粘着剤は、非親水性粘着剤、混合粘着剤、親水性粘着剤(ジェル等)に分類される。
前記粘着剤層を構成する粘着剤としては、皮膚や衣服に付着するのに必要な粘着力を有するものであれば、制限はなく、溶剤系、水性系、エマルジョン型、ホットメルト型、反応性、感圧系、或いは、非親水性粘着剤、親水性粘着剤などの各種形態が用いられる。
前記非親水性粘着剤層が吸水性ポリマーや保水剤を含有して吸水性を改良したものは非親水性粘着剤層として扱う。
前記親水性粘着剤層と基材又は被覆材との間にホットメルト系の粘着剤を設けてもよい。
また、前記親水性粘着剤を発熱体に設ける場合制限はなく、発熱体のシール処理後に親水性粘着剤層を発熱体に設けてもよい。
非親水性粘着剤層を構成する粘着剤はアクリル系粘着剤、酢酸ビニル系粘着剤(酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル樹脂系ホットメルト粘着剤)、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルアセタール系粘着剤、塩化ビニル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエチレン系粘着剤、セルロース系粘着剤、クロロプレン(ネオプレン)系粘着剤、ニトリルゴム系粘着剤、ポリサルファイド系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤、シリコーンゴム系粘着剤、スチレン系粘着剤(例えば、スチレン系ホットメルト粘着剤)、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が一例として挙げられる。これらのうち、粘着力が高く、安価で、長期安定性が良く、しかも温熱を与えても粘着力の低下が少ない等の理由より、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤又はホットメルト系高分子物質を含有する粘着剤が望ましい。
前記粘着剤に所望により、他の成分、例えば、ロジン類、クマロンインデン樹脂、水添石油樹脂、無水マレイン酸変性ロジン、ロジン誘導体類又はC5系石油樹脂等の脂環族系石油樹脂に代表される石油樹脂類等の粘着付与剤やテルペンフェノール系樹脂、ロジンフェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂等のフェノール系粘着付与剤(特にアニリン点が50℃以下の粘着付与剤)、ヤシ油、ヒマシ油、オリーブ油、ツバキ油、流動パラフィン等の軟化剤、軟化剤、老化防止剤、充填剤、骨材、粘着調整剤、粘着改良剤、着色剤、消泡剤、増粘剤、改質剤等が適宜配合し、ナイロン製衣類や混紡布製衣類への粘着性向上等の性能向上をしてもよい。
前記ホットメルト系の粘着剤としては、粘着性を付与した公知のホットメルト系粘着剤が挙げられ、具体的には、例えば、SIS、SBS、SEBS又はSIPS等のA−B−A型ブロック共重合体をベースポリマーとするスチレン系粘着剤、塩化ビニル樹脂をベースポリマーとする塩化ビニル系粘着剤、ポリエステルをベースポリマーとするポリエステル系粘着剤、ポリアミドをベースポリマーとするポリアミド系粘着剤、アクリル樹脂をベースポリマーとするアクリル系粘着剤、ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンをベースポリマーとするポリオレフィン系粘着剤、1,2−ポリブタジエンをベースポリマーとする1,2−ポリブタジエン系粘着剤又はポリウレタンをベースポリマーとするポリウレタン系粘着剤、或いは、接着性の改善や安定性等を変えたこれらの変性体からなる粘着剤、若しくはこれらの粘着剤の2種以上の混合物が挙げられる。また、発泡させた粘着剤から構成される粘着剤層や粘着剤が架橋されたものから構成される粘着剤層も使用できる。
前記ホットメルト粘着剤には、非芳香族ホットメルト粘着剤と芳香族ホットメルト粘着剤がある。
前記非芳香族系ホットメルト系粘着剤とは、ベースポリマーが芳香族環を含有しないホットメルト系粘着剤であれば、制限はない。オレフィン系ホットメルト系粘着剤やアクリル系ホットメルト系粘着剤等が一例として挙げられる。芳香族環を含有しないベースポリマーである非芳香族系ポリマーとは、オレフィンやジエン等のポリマーやコポリマーが挙げられる。一例としてオレフィン系ポリマーが挙げられる。オレフィン系ポリマーは、エチレン、αオレフィンの重合体又は共重合体である。また、他のモノマーとしてブタジエン、イソプレン等のジエンを加えたものもよい。
αオレフィンとしては、二重結合が末端にあるモノマーであれば制限はなく、プロピレン、ブテン、ヘプテン、ヘキセン、オクテン等が一例として挙げられる。
前記芳香族系ホットメルト系粘着剤とは、ベースポリマーが芳香族環を含有するホットメルト系粘着剤で、A−B−A型ブロック共重合体に代表されるスチレン系のホットメルト系粘着剤等が一例として挙げられる。
前記A−B−A型ブロック共重合体において、Aブロックはスチレン、メチルスチレン等のモノビニル置換芳香族化合物Aで、非弾性重合体ブロックであり、Bブロックはブタジエン、イソプレン等の共役ジエンの弾性重合体ブロックであり、具体的には、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、又はこれらの水添タイプ(SEBS、SIPS)等が挙げられ、また、これらを混合して用いてもよい。
前記非親水性粘着剤層の水分増加による粘着力低下防止対策として前記非親水性粘着剤に更に吸水性ポリマーが配合された粘着剤層も使用できる。
前記親水性粘着剤層を構成する親水性粘着剤としては、親水性ポリマーや水溶性ポリマーを主成分として、粘着性を有し、粘着剤として親水性であれば特に制限はない。
前記親水性粘着剤の構成成分としては、ポリアクリル酸等の親水性ポリマーやポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルピロリドン等の水溶性ポリマー、乾燥水酸化アルミニウムやメタケイ酸アルミン酸金属塩等の架橋剤類、グリセリンやプロピレングリコール等の軟化剤類、また、軽質流動パラフィンやポリブテン等の高級炭化水素やミリスチン酸イソプロピル等の一級アルコール脂肪酸エステル、シリコーン油等の含ケイ素化合物、モノグリセリド等の脂肪酸グリセリンエステル、オリーブ油等の植物油等の油性成分、また、パラオキシ安息香酸メチルやパラオキシ安息香酸プロピル等の防腐剤、N−メチル−2−ピロリドン等の溶解剤、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油やソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤、酒石酸等のオキシカルボン酸、軽質無水ケイ酸、吸水性ポリマー、カオリン等の賦形剤、D−ソルビトール等の保湿剤、エデト酸ナトリウムやパラオキシ安息香酸エステルや酒石酸等の安定化剤、架橋型吸水性ポリマー、ホウ酸等のホウ素化合物、水等が一例として挙げられる。また、これらの任意の組み合わせから構成される。
また、接着層の設ける方法については通気調整材が固定できれば制限はなく、全面に設けても、部分的や間欠的に設けてもよい。網状、ストライプ状、ドット状、帯状等、各種形状が一例として挙げられる。
また、粘着剤層を親水性粘着剤層にした場合、前記親水性粘着剤層と発熱組成物成形体との間に水分保持力の差がある場合にはその間にある基材等の包材を介して、水分の移動が起こり、双方に取って、不都合が起こる。特に保存中に多く起こる。これを防止するために、これらの間に介在する包材は、透湿度が、少なくとも、リッシー法(Lyssy法)による透湿度で、2g/m/day以下であることが好ましい。これを使用することにより、発熱体を非通気性収納袋である外袋に収納し保存する場合、水分移動が防げる。
粘着剤層に親水性粘着剤層を使用した場合、発熱組成物成形体と親水性粘着剤層との間に設けられた防湿性包装材の透湿度は、発熱性能に影響しない範囲で、水分の移動が防止できれば制限はないが、リッシー法(Lyssy法)による透湿度で、通常、2.0g/m/day以下であり、好ましくは1.0g/m/day以下であり、より好ましくは0.5g/m/day以下であり、更に好ましくは0.01〜0.5g/m/dayである。ここで、大気圧下、40℃、90%RHという条件下の値である。尚、前記防湿性包装材は基材や被覆材としても使用できるし、単独で基材や被覆材等に積層してもよい。
前記防湿性包材は、発熱組成物成形体と親水性粘着剤層の間の水分移動が防止できれば、制限はないが、金属蒸着フィルム、金属酸化物の蒸着フィルム、金属箔ラミネートフィルム、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合物、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物)系フィルム、二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニリデンコートフィルム、ポリ塩化ビニリデンをポリプロピレン等の基材フィルムに塗布してなるポリ塩化ビニリデンコートフィルム、アルミニウム箔等の金属箔、ポリエステルフィルム基材にアルミニウム等の金属を真空蒸着やスパッタリングしてなる非通気性包材、可撓性プラスチック基材の上に、酸化ケイ素、酸化アルミニウムを設けた構造の透明バリア性フィルムを使用した包装用積層体が一例として挙げられる。前記外袋等に使用されている非通気性包材も使用できる。
水含有の親水性粘着剤(ジェル等)を粘着剤層に使用する場合、発熱組成物と前記粘着剤層の水分平衡を調整するために、発熱組成物中の塩化ナトリウム等の反応促進剤や吸水性ポリマー等の水分確保力のある物質の含有量を発熱組成物に対して、臨界湿度の差異が2%以下の範囲で調整してもよい。
ここで、臨界湿度とは、30±3℃で、任意に湿度を設定した環境下において、前記親水性粘着剤(ジェル等)及び前記発熱組成物が、前記環境下において水分平衡になる湿度のことである。つまり、前記臨界湿度の差異が2%以下とは、前記親水性粘着剤及び前記発熱組成物について得られる前記水分平衡となる湿度につき、その差異が2%以下であることの意である。
また、透湿性がよく、皮膚への刺激性が低い粘着剤としては、含水粘着剤(親水性粘着剤、ジェル)やホットメルト塗工できる粘着剤やゴム系粘着剤も有用である。
また、粘着剤層の設ける方法については発熱体が固定できれば制限はなく、全面に設けても、部分的や間欠的に設けてもよい。網状、ストライプ状、ドット状、帯状等、各種形状が一例として挙げられる。
【0036】
本発明の発熱体は、各種形状、厚み、温度帯のものが得られるため、通常の身体採暖用のほか、関節用、美顔用、目用、温熱湿布用、薬剤カイロ用、頚部用、腰用、手袋用、痔瘻用、或いは、肩痛、筋肉痛、生理痛等の症状緩和用、温熱シート用、腹部用等の各用途に用いることができる。更に、ペット等への加温・保温用等へ利用できる。
【0037】
例えば、症状緩和用として使用する場合は、本発明の発熱体を身体の必要部位に直接あてるか、衣類,布等を介して間接的にあてる。
尚、筋肉や骨格等の痛みとは、急性筋肉痛、急性骨格痛、急性関連痛、既往筋肉痛、既往骨格痛、慢性関連痛、膝や肘等の関節痛等が一例として挙げられる。
前記発熱体を身体の必要部位に直接あてる場合、持続時間に制限はないが、好ましくは1〜24時間であり、より好ましくは3〜20時間である。
持続温度に制限はないが、好ましくは30〜50℃であり、より好ましくは35〜45℃である。
また、前記発熱体を衣類,布等を介して間接的に身体にあてる場合、持続時間に制限はないが、好ましくは1〜24時間であり、より好ましくは3〜20時間である。
持続時間に制限はないが、好ましくは30〜80℃であり、より好ましくは40〜70℃である。
【0038】
上記説明した発熱体は、例えば、以下の方法により製造することができる。
ローラーベルト等の基材搬送手段により基材を搬送し、この基材上に発熱部を形成することができるように複数の貫通穴を備えた成形型をのせ、成形型内に発熱組成物を入れた後、成形型からあふれた発熱組成物をすり切る。成形型を取り除いた後、基材上に所定の間隔をおいて配置された区分発熱部の上から被覆材により被覆して、各発熱組成物の周囲をヒートシール等でシールする。その後、基材又は被覆材に粘着部を設ける。一の発熱部と隣接する発熱部との間に、切り込みの配設手段により切り込みを設けることもできる。
尚、説明した例では、製造ライン上で基材等に粘着部を設けるものとしたが、基材等に予め粘着部が設けられたものを使用してもよい。
【0039】
本発明の発熱体の一の発熱部と隣接する発熱部との間に、切り込みを設けることもできる。前記切り込みの形状は伸長性が生じれば制限はなく、線状に切り込むことにより形成されたもの、或いは、数mm程度の幅で打ち抜いたものや円形,楕円形等の打ち抜いた切り込みであってもよい。尚、切り込み時に生じる切りくずはゴミとして回収する必要があるので、製造ラインのスピードを速くすることができないという問題がある。従って、図2の(a)〜(d)に示すように、単一,複数列の直線又は図示しないが曲線形状の切り込みとすることが望ましい。
【0040】
この切り込みの配設手段の一例として、特に制限はないが、ロータリーダイカッター、フレキシブルダイを吸着させたマグネットシリンダー、ビク刃やトムソン刃を取り付けた平板抜型等を用いることができる。ロータリーダイカッター、マグネットシリンダーを用いる場合は、連続的な配設を可能とするとともに、基材側や被覆材側、粘着剤面側から切り込みを設けることが可能となる。
【実施例】
【0041】
次に、本発明の実施例を比較例と比較して説明する。
(実施例1)
図3に示す通り、3個の発熱部を隣接して配置した発熱体とした。
発熱部1,1の幅W1を37mmとし、高さTを51.4mmとした。また、発熱部2の幅W2を14mmとし、高さTを52.4mmとした。また、発熱部1,2,1の間隔D1は11mmとした。また、各発熱部の厚さは3mmとした。
【0042】
(比較例1)
図4に示す通り、4個の発熱部を隣接して配置した発熱体とした。
発熱部3の幅W1を17mmとし、高さTを64.5mmとした。また、中央部に位置する発熱部3,3の間隔D2を17mmとし、それ以外の発熱部の間隔D1を12mmとした。各発熱部の厚さは3mmとした。
【0043】
実施例1及び比較例1の発熱体の製造方法は、上記の発熱部1,2,3の形状となるように擦り切り板を用いて、粘着フィルム(日本ライフテック社製 ニトタック E22)の剥離紙が設けられていない側の面に発熱組成物を擦り切り成形し、その上に、通気フィルム(日東ライフテック社製 BRN10300)を被せて、各発熱組成物の回りをシール型でヒートシールすることにより得た。尚、本実施例の記載では、発熱組成物の回りをシールした部分も除いて発熱部としている。
尚、実施例1及び比較例1の発熱組成物は同じ組成のものを用い、いずれも、発熱組成物の総量が16gとなるようにした。実施例1の発熱部1の各発熱組成物の総量は6.65gであり、発熱部2の発熱組成物の総量は2.7gであった。また、比較例1の各発熱部3の発熱組成物の総量は、4gとなった。
【0044】
実施例1及び比較例1に対して、サーモグラフを撮影するためのサーモ試験と、発熱部の温度測定試験とを行った。
【0045】
[サーモ試験]
(A)試験条件
・環境温度:25±2℃
・載置台:厚さ30mmの発泡スチレンの上に綿100%、テックス番手5.905双糸のネルを1枚被覆。
・使用機器:NEC三栄株式会社製 サーモトレーサーTH5104
・使用ソフト:NEC三栄株式会社製 TH51−723 リモートプログラム
NEC三栄株式会社製 TH51−701 熱画像処理プログラム
・記録間隔:100分
(B)試験方法
1時間以上上記環境温度内に放置した実施例1及び比較例1を垂直に固定したプレートに貼り付け、外袋を開封した(発熱開始から)5分後に記録を開始した。
【0046】
[発熱部の温度測定試験]
(A)試験条件
・環境温度:20±1.5℃
・載置台:厚さ30mmの発泡スチレンの上に綿100%、テックス番手5.905双糸のネルを1枚被覆。
・被覆材:上記ネル2枚
・温度センサー:安立計器製、テープ形
仕様温度範囲:−50〜200℃ 精度:±1.2℃
・データコレクター:安立計器製、AM−0810E
・測定間隔:5分
(B)試験方法
1時間以上、上記環境温度内に放置した実施例1及び比較例1を図3及び図4の測定箇所(実施例1は、1〜10のポイント、比較例1は、1〜6のポイント)に温度センサーを貼り、載置台上に貼り付け、上記ネルを上から2枚被せる。実施例1及び比較例1の外袋を開封した(発熱開始から)3分後にデータコレクターの記録を開始して温度を測定した。
【0047】
サーモ試験の結果を、図5及び図6に示す。また、発熱部の温度測定試験の結果を、図7及び図8に示す。
図5及び図6のサーモ試験の結果からは、図5の実施例1の発熱体の各発熱部は、発熱開始から8時間20分経過後であっても均一に発熱しているのに対して、図6の比較例1の発熱体は、同時間経過後では、両側の発熱部の温度低下があることが分かった。
また、図7及び図8の発熱部の温度測定試験の結果からは、図7の実施例1の発熱体の発熱部の測定ポイントの1〜10のいずれにおいても40℃以上で11時間程度の発熱を確認することができた。これに対して、図8の比較例1の発熱体の発熱部では、発熱を開始して40℃を上回った後に40℃を切るまでに9時間という短い時間となった。
【符号の説明】
【0048】
1,2,3 発熱部
4 通気フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱組成物により構成された発熱部を、少なくとも3個隣接して配置することにより構成された発熱体であって、挟まれる方の発熱部の平均発熱総量を、挟む方の各発熱部の発熱総量よりも小さくしたことを特徴とする発熱体。
【請求項2】
挟まれる方の発熱部の発熱組成物の平均総量を、挟む方の各発熱部の発熱組成物の総量よりも小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項3】
各発熱部の厚さを等しくし、挟まれる方の発熱部の幅を、挟む方各発熱部の幅よりも狭くしたことを特徴とする請求項2に記載の発熱体。
【請求項4】
挟む方の発熱部を、発熱部が隣接する方向の両端部に配置したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の発熱体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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