説明

発熱具

【課題】ショーツ等の衣類から発熱具を取り外す際に、発熱具のシートの破れを防止し、操作性を高めることができる発熱具を提供すること。
【解決手段】本発明の発熱具は、第1,第2のシート13,14、発熱部11を備えている。シート13,14には、周縁接着領域15とそれに囲まれる空間が形成され、周縁接着領域15は、上下縁接着領域15a,15b、左右縁接着領域15c,15dを有する。発熱部11は、空間内に横方向に並置されている。第2のシート14には粘着部16が設けられ、粘着部16は中央粘着部16e、左右端粘着部16c,16dを有する。右端粘着部16dは右縁接着領域15dに一部重なって配され、左端粘着部16cは左縁接着領域15cに一部重なって配されており、中央間粘着部16eは上下縁接着領域15a,15bの間に配され、且つ、上下縁接着領域15a,15bの両領域に重なって配されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の加温に用いられる発熱具に関し、特に衣類へ固定して用いられる発熱具に関する。
【背景技術】
【0002】
扁平な袋内に発熱材料を封入し、該発熱材料の発熱により身体を加温するために用いられる発熱具が種々知られている。例えば本出願人は先に、着用者の肌に近い側に位置する第1の面と、着用者の肌から遠い側に位置する第2の面と、第1の面及び第2の面の間に介在配置された発熱部とを有する発熱具とを具備し、第2の面の外面に発熱具を衣類へ固定するための粘着部が設けられている発熱具を提案した(特許文献1・特許文献2参照)。
【0003】
特許文献2に記載の発熱具によれば、ショーツの内面に取り付けるときや取り外すときに、着用者の指や陰毛が粘着部に粘着することが防止でき、また誤ってショーツのウエスト開口部からはみ出すように発熱具を取り付けても、粘着部が他の衣類に粘着することが防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−220943号公報
【特許文献2】特開2008−220527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような発熱具では、使用状態や衣類の種類等によっては、粘着部が強固に接着してしまうと、ショーツ等の衣類から発熱具を取り外す際に、発熱具の粘着部の設けられた面に破れが生じてしまう可能性があり、このような破れを防止したいとの要求が想定される。
したがって、本発明の課題は、前述した要求を満たし、更に操作性の向上した発熱具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、着用者の肌に近い側に位置する第1のシートと、着用者の肌から遠い側に位置する第2のシートと、第1のシート及び第2のシートの間に介在配置された発熱部とを備え、横方向に延びる上縁及び下縁と、前記横方向に直交し縦方向に延びる左右の側縁とを有し、横方向に長い形状である発熱具であって、
前記第1のシートと前記第2のシートとは、前記発熱具の周縁部にて接着されてなる周縁接着領域と該周縁接着領域に囲まれる空間が形成されており、
前記発熱部は、前記空間内に横方向に離間して並置された少なくとも2つの発熱部からなり、
前記周縁接着領域は、上縁接着領域、下縁接着領域及び左右縁接着領域を有し、
前記第2のシートの外面に、発熱具を衣類へ固定するための粘着部が設けられており、
前記粘着部は、前記少なくとも2つの発熱部の間の領域に配される中央粘着部と、横方向Xの両端側縁に配される左端粘着部と右端粘着部とを有し、
前記左端粘着部は、前記左縁接着領域に少なくとも一部が重なって配され、且つ、前記右端粘着部は、前記右縁接着領域に少なくとも一部が重なって配され、
前記中央粘着部は、前記上縁接着領域と前記下縁接着領域の間に配され、且つ、前記上縁接着領域及び前記下縁接着領域の両領域に重なって配されている発熱具を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、前記発熱具の使用方法であって、前記発熱具を着用者の衣類から取り外す際には、前記発熱具の下縁側から前記発熱具と衣類との間へ親指以外の指を挿入し、前記中央粘着部と前記左端粘着部との間の非粘着領域、及び/又は前記中央粘着部と前記右端粘着部との間の非粘着領域に親指以外の指を添え、且つ前記第1のシートの外面に親指を添え、親指と他の指で前記発熱具を把持して取り外す、発熱具の使用方法を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、前記発熱具の使用方法であって、前記発熱具を着用者の衣類に取り付ける際には、前記第1のシートの外面に親指を添え、且つ前記中央粘着部と前記左粘着部との間の非粘着領域、及び/又は前記中央粘着部と前記右粘着部との間の非粘着領域それぞれに、前記発熱具の下縁側から親指以外の指を添え、親指と他の指で発熱具を把持し、前記上縁接着部が前記衣類のウエスト開口部に沿うように取り付ける、発熱具の使用方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発熱具によれば、着用中は脱落等の不具合が生じず、且つ、ショーツ等の衣類から取り外す際に、発熱具の粘着部の設けられたシートに破れが生じることを防止し、更に、発熱具の取り付け取り外し等の操作性を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1(a)は、本発明の発熱具の第1の実施形態としての蒸気温熱具をその第1のシート側からみた平面図であり、図1(b)は、本発明の発熱具の第1の実施形態としての蒸気温熱具をその第2のシート側からみた平面図である。
【図2】図2は、図1(b)におけるX1−X1線断面図である。
【図3】図3は、図1(b)に示す蒸気温熱具の第2のシートに剥離紙を取り付けた状態の平面図である。
【図4】図4は、図3に示す剥離紙を取り付けた蒸気温熱具を更に中間線CLで二つ折りした状態の断面図である。
【図5】図5は、図1に示す蒸気温熱具をショーツに取り付けたりショーツから取り外したりする際の蒸気温熱具の把持の仕方を示す図である。
【図6】図6は、図1に示す蒸気温熱具をショーツに取り付ける状態を示す説明図である。
【図7】図7は、本発明の発熱具の第2実施形態としての蒸気温熱具をその第2のシート側からみた平面図(図1(b)相当図)である。
【図8】図8は、本発明の発熱具の第3実施形態としての蒸気温熱具をその第2のシート側からみた平面図(図1(b)相当図)である。
【図9】図9は、本発明の発熱具の第4実施形態としての蒸気温熱具をその第2のシート側からみた平面図(図1(b)相当図)である。
【図10】図10は、本発明の発熱具の第5実施形態としての蒸気温熱具をその第2のシート側からみた平面図(図1(b)相当図)である。
【図11】図11は、本発明の発熱具の第6実施形態としての蒸気温熱具をその第2のシート側からみた平面図(図1(b)相当図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1(a)には、本発明の発熱具の第1実施形態としての蒸気温熱具10Aをその第1のシート13b側からみた平面図が示されている。図1(b)は、該蒸気温熱具をその第2のシート14b側からみた平面図である。図2は、図1(b)におけるX1−X1線断面図である。
【0012】
蒸気温熱具は、それに含まれる発熱部から発生した所定温度に加熱された水蒸気を、着用者の身体に適用するために用いられるものである。
【0013】
蒸気温熱具10Aは、図1(a),(b)に示すように、着用者の肌に近い側に位置する第1のシート13bと、着用者の肌から遠い側に位置する第2のシート14bと、第1のシート13b及び第2のシート14bの間に介在配置された発熱部11とを備えた発熱具であり、第2のシート14bの外面に設けられた粘着部16により衣類へ固定し、第1のシート13b側から水蒸気を放出するものである。蒸気温熱具10Aは、横方向X及びそれに直交する縦方向Yを有する横方向Xに長い形状であり、横方向Xに延びる上縁10a及び下縁10bと、横方向Xに直交し縦方向Yに延びる左右の側縁(左側縁10c,右側縁10d)とを有している。上縁10aは、蒸気温熱具10Aの横方向Xに延びる中心線Lに向かう内向きの凸状となるような曲線形状をしている。下縁10bは、横方向Xに延びる中心線Lに対して外向きの凸状となるような曲線形状をしている。左右の側縁10c,10dは、それぞれ、縦方向Yに延びる中心線CLに対して外向きの凸状となるような曲線形状をしている。上縁10aの両端部は左右の側縁10c,10dの上端部と滑らかに連なっている。同様に、下縁10bの両端部は左右の側縁10c,10dの下端部と滑らかに連なっている。蒸気温熱具10Aがこのような滑らかな輪郭を有することで、該蒸気温熱具10Aはその着用中に違和感が発生しづらくなっている。
蒸気温熱具10Aの大きさは、横方向Xの長さは50〜300mm、特に100mm〜200mmが好ましく、縦方向Yの長さは30〜120mm、特に50〜100mmが好ましい。
【0014】
蒸気温熱具10Aでは、図2に示すように、着用者の肌に近い側に位置する第1のシート13bと着用者の肌から遠い側に位置する第2のシート14bとが、蒸気温熱具10Aの周縁部にて接着されてなる周縁接着領域15と該周縁接着領域15に囲まれる空間が形成されている。この周縁接着領域15に囲まれる空間内には、2つの発熱部(右発熱部11fと左発熱部11g)が横方向Xに離間して並置されている。該2つの発熱部11、即ち、右発熱部11f及び左発熱部11gは、中心線CLに対して左右対称に配されている。発熱部11は被酸化性金属が酸素と接触することによる酸化反応で生じた熱を利用して、所定温度に加熱された水蒸気を発生する部位であり、着用者の肌に近い側に位置するシート材13a、及びそれと反対側であり、使用者の肌から遠い側に位置するシート材14aがその周縁部で貼り合わされることで形成された扁平袋状の収容体12中に収容されている。具体的には、右発熱部11fは、着用者の肌に近い側に位置するシート材13fa、及びそれと反対側であり、使用者の肌から遠い側に位置するシート材14faがその周縁部で貼り合わされることで形成された扁平袋状の右収容体12f中に、そして、左発熱部11gは、着用者の肌に近い側に位置するシート材13ga、及びそれと反対側であり、使用者の肌から遠い側に位置するシート材14gaがその周縁部で貼り合わされることで形成された扁平袋状の左収容体12g中に収容された状態で、周縁接着領域15に囲まれる空間内に横方向Xに発熱部が離間した状態で並置されている。右収容体12fと左収容体12gとは隣接して並置されていれば良く、離間した状態で並置しても良いが当接した状態で並置しても良く、周縁接着領域15に囲まれる空間内に横方向Xに発熱部が離間した状態で並置されている状態であれば何れでも良い。シート材13a及びシート材14aのその周縁部での貼り合わせについては、例えば、熱による融着、接着剤を用いた接着、超音波を用いた接合などの手段により適宜形成することができる。発熱部11の詳細については後述する。
【0015】
シート材13aは空気及び水蒸気の透過が可能なように通気性を有している。一方、シート材14aは、空気及び水蒸気の透過の程度がシート材13aよりも低くなっている。即ちシート材14aはシート材13aよりも難通気性であるか、又は非通気性である。シート材14aが難通気性であるか、それとも非通気性であるかは、蒸気温熱具10Aの具体的な用途に応じて適宜選択される。
【0016】
また、前記周縁接着領域15に囲まれる空間に収容体12を固定する手段としては、シート材13aと第1のシート13bとを発熱を妨げない範囲で接着剤等の接合手段を用いて固定する方法や、シート材14aと第2のシート14bとを発熱を妨げない範囲で接着剤等の接合手段を用いて固定する方法や、或いはこれら両固定をどちらも行うことで固定する方法等が挙げられる。なお、接合手段はシート材全面に施されていても良いが、この場合は、不連続な接合パターンで接合されることが好ましい。一方、通気性が損なわれないようにするためには、接合手段は少なくとも一部に施されている方が良いが、好ましくは、周縁接着領域15と収容体12の周縁部とが重なるように接合されていると良い。更に別の実施形態として、このような固定手段を用いず単に前記周縁接着領域に囲まれる空間に収容体12を固定せずに収容するのみでも良い。ところで、蒸気温熱具10Aは、その第1のシート13bの外面が着用者の肌に直接接し、第2のシート14bの外面が衣類(本実施形態では、後述するようにショーツ)に直接接するように使用される。従って、発熱部の発熱によって発生した水蒸気は、シート材13a及び第1のシート13bを通じ、対象物である着用者の肌に付与されるようになっている。よって、前記固定をする場合には、特に、図2のように、肌に接しない第2のシート14bにシート材14aを接着剤で固定することが好ましい。
【0017】
前記第1のシート13bと前記第2のシート14bとは、前記蒸気温熱具10Aの周縁部にて接着されて周縁接着領域15を形成するとともに、周縁接着領域15に囲まれる空間を形成する。すなわち、該周縁接着領域15は、前記蒸気温熱具10Aの周縁部に沿って、帯状に連続して形成され、第1のシート13bと第2のシート14bを接着している。ここで「連続して」とは、周縁接着領域15が連続して形成されているような状態に加え、10mm未満の間隔でドット状や縞状に連続して形成されているような状態も含む意味である。周縁接着領域15は、例えば、熱による融着、接着剤を用いた接着、超音波を用いた接合などの手段により適宜形成することができる。特に、接着剤を用いた接着はその使用感等の点で好ましく、具体的には、天然または合成ゴム系、(メタ)アクリル酸エステル系、シリコーン系、ポリウレタン系などの粘着剤を第1のシート13b(第1の不織布13b)の周縁部、又は第2のシート14b(第2の不織布14b)の周縁部に、その内面、すなわち、その互いに向き合う面へ塗工したり転写したりすることで形成されると良い。
【0018】
周縁接着領域15は、蒸気温熱具10Aにおいて、図1(b)及び図2に示すように、上縁10aに沿って横方向Xに延びる上縁接着領域15a及び下縁10bに沿って横方向Xに延びる下縁接着領域15bと、左側縁10cに沿って縦方向Yに延びる左縁接着領域15cと、右側縁10dに沿って縦方向Yに延びる右縁接着領域15dとを有している。
尚、周縁接着領域15(上縁接着領域15a、下縁接着領域15b、及び左縁接着領域15c,右縁接着領域15d)は、周縁接着領域15に囲まれる空間内に2つの発熱部11が離間した状態で安定して並置される観点から、その幅が5〜30mmであることが好ましく、7〜25mmであることが更に好ましい。
【0019】
前述のとおり、本発明の蒸気温熱具10Aは、その第1のシート13bの外面が着用者の肌に直接接し、第2のシート14bの外面が衣類(本実施形態では、後述するようにショーツ)に直接接するように使用される。そこで、第2のシート14の外面には、図1(b),図2に示すように、蒸気温熱具10Aを着用者の衣類へ固定するための粘着部16が設けられている。粘着部16は、例えば天然または合成ゴム系、(メタ)アクリル酸エステル系、シリコーン系、ポリウレタン系などの粘着剤を第2のシート14(第2の不織布14b)の外面に転写したり印刷したりすることで形成されている。
【0020】
蒸気温熱具10Aは、粘着部16の配置位置が特徴の一つになっている。すなわち、粘着部16は、少なくとも2つの発熱部11の間の領域に配される中央粘着部16eと、横方向Xの両端側縁に配される右端粘着部16dと左端粘着部16cとを有している。そして、右端粘着部16dは、右縁接着領域15dに少なくとも一部が重なって配され、且つ、左端粘着部16cは、左縁接着領域15cに少なくとも一部が重なって配され、中央粘着部16eは、上縁接着領域15aと下縁接着領域15bの間に配され、且つ、上縁接着領域15a及び下縁接着領域15bの両領域に重なって配されている。このように粘着部が配されていることにより、本発明の蒸気温熱具10Aをショーツ等の衣類から取り外す際に、特に、粘着部16の設けられた第2のシート14bに破れが生じることを防止し、蒸気温熱具10Aの取り付け取り外し等の操作性を更に高めることができる。
特に、本発明の第1の実施形態の蒸気温熱具10Aでは、粘着部16は、図1(b)に示すように、中央粘着部16eのみならず、右端粘着部16dも左端粘着部16cも上縁接着領域15a及び下縁接着領域15bの両領域に重なって配されている。このように左端粘着部16c及び右端粘着部16dの少なくとも一方及び/又は両方が上縁接着領域15aや前記下縁接着領域15bの両領域に重なって配されていることで、特に、着用中の脱落等の不具合が生じ辛く、且つ、ショーツ等の衣類から発熱具を取り外す際に、発熱具の粘着部16の設けられた第2のシート14bに破れが生じることをより確実に防止することができる。
【0021】
蒸気温熱具10Aにおいては、更に、中央粘着部16eは、上縁接着領域15aの外縁(蒸気温熱具10Aの上縁10a)から下縁接着領域15bの外縁(蒸気温熱具10Aの下縁10b)まで到達して配されている。言い換えれば、蒸気温熱具10Aの中央粘着部16eは、蒸気温熱具10Aの縦方向Yに延びる中心線CLに沿って、上縁接着領域15aの外縁(蒸気温熱具10Aの上縁10a)から下縁接着領域15bの外縁(蒸気温熱具10Aの下縁10b)に至るまで、縦方向Yに延びている。このように、中央粘着部16eが、上縁接着領域15aの外縁(蒸気温熱具10Aの上縁10a)から下縁接着領域15bの外縁(蒸気温熱具10Aの下縁10b)に至るまで、縦方向Yに延びているので、ショーツ等の衣類から発熱具を取り外す際に、発熱具の第2のシート14bに破れが生じることを確実に防止し、発熱具の取り付け取り外し等の操作性を更に高めることができる。尚、蒸気温熱具10Aにおいては、中央粘着部16eの全部位が、下縁接着領域15bに重なって配されているのが最も好ましいが、中央粘着部16eの少なくとも一部が下縁接着領域15bに重なって配されていればよい。
【0022】
また、蒸気温熱具10Aにおいては、左端粘着部16c及び右端粘着部16dそれぞれも、上縁接着領域15aの外縁(蒸気温熱具10Aの上縁10a)から下縁接着領域15bの外縁(蒸気温熱具10Aの下縁10b)に亘って配されている。このように、蒸気温熱具10Aの左端粘着部16c及び右端粘着部16dそれぞれも、中心線CLに平行に、上縁接着部15aの外縁(蒸気温熱具10Aの上縁10a)から下縁接着領域15bの外縁(蒸気温熱具10Aの下縁10b)に至るまで、縦方向Yに延びている。そのため、ショーツ等の衣類から発熱具を取り外す際に、発熱具の第2のシート14bに破れが生じることを防止し、着用中は脱落等の不具合を確実に防止しつつ、発熱具の取り付け取り外し等の操作性を更に高めることができる。
【0023】
なお、蒸気温熱具10Aの粘着部16は発熱部11と一部が重なる位置に配されても良いが、粘着部16を形成する粘着剤が発熱部11からの熱により物性変化してしまう等の影響を低く抑え、使用者の肌又は着衣に安定的に固定する観点から、粘着部16は発熱部11と重ならない位置に配されるのが好ましい。
すなわち、蒸気温熱具10Aの中央粘着部16eは、横方向Xにおいては、図1(b)に示すように、右発熱部11fにおける縦方向Yに延びる中心線CL側の一側部、及び左発熱部11gにおける縦方向Yに延びる中心線CL側の一側部に重なる位置に配されていても良いが、中央粘着部16eは発熱部11に重ならない位置に配されていることが好ましい。従って、蒸気温熱具10Aの中央粘着部16eは、その幅W1が、蒸気温熱具10Aの横方向及び縦方向の長さが前述した範囲であることを条件として、10〜50mm、特に20〜40mmであることが好ましい。
【0024】
蒸気温熱具10Aの左端粘着部16c及び/又は右端粘着部16dも、横方向Xにおいては、図1(b)に示すように、右発熱部11fにおける他側部に重なる位置に配され、左発熱部11gにおける他側部に重なる位置に配されていても良いが、好ましくは上記観点から左端粘着部16c及び/又は右端粘着部16dも発熱部11に重ならない位置に配されていることが好ましい。従って、蒸気温熱具10Aの左端粘着部16c及び/又は右端粘着部16dは、その幅W2が、蒸気温熱具10Aの横方向及び縦方向の長さが前述した範囲であることを条件として、5〜30mm、特に10〜20mmであることが好ましい。
【0025】
本発明の実施形態1の蒸気温熱具10Aの粘着部16は、図1(b)に示すように、更に、上縁接着領域15aに少なくとも一部が重なって配される上端粘着部16aを有していると着用中の脱落等の不具合が生じ辛くなり、好ましい。上端粘着部16aは、図1(b)に示すように、蒸気温熱具10Aの横方向Xに延び左側縁10cから右側縁10dまで到達して配されていると特に好ましい。これによって、ショーツ等の衣類から蒸気温熱具10Aを取り外す際に、発熱具の第2のシート14bに破れが生じることを防止することができ、且つ、着用中の脱落等の不具合を良好に防止することができる。
【0026】
蒸気温熱具10Aの上端粘着部16aも、上述のとおり、上縁接着領域15aに少なくとも一部が重なって配されることが好ましいが、加えて、粘着部が強固に接着してしまうことを防止する観点から発熱部11に重ならない位置に配されていることが好ましい。従って、蒸気温熱具10Aの上端粘着部16aは、その縦方向Yの幅W3が、蒸気温熱具10Aの横方向及び縦方向の長さが前述した範囲であることを条件として、5〜30mm、特に8〜20mmであることが好ましい。
【0027】
発熱体11(左右発熱体11f,11g)の発熱により、粘着部の衣類への粘着力が増加してしまうことを抑制する観点や、蒸気温熱具10Aを衣類へ安定的に固定する観点から、発熱体11の総面積(右発熱体11fの面積と左発熱体11gの面積との合計値)が3,000〜10,000mm2である場合、粘着部16の総面積(蒸気温熱具10Aにおいては中央粘着部16e、左端粘着部16c、右端粘着部16d及び上端粘着部16aの面積合計値)は、3000〜8000mm2であることが好ましく、特に、4000〜7000mm2であることが好ましい。
また、同様の観点から、第2のシート14bの面積(S1)における粘着部16の総面積(蒸気温熱具10Aにおいては中央粘着部16e、左端粘着部16c、右端粘着部16d及び上端粘着部16aの面積合計値)(S2)の比率(S2/S1×100)は、30〜80%であることが好ましく、40〜70%であることが更に好ましい。
【0028】
次に、蒸気温熱具10Aを構成する各部材の材料について説明する。
蒸気温熱具10Aにおいては、収容体12の通気面であるシート材13a及びそれに対向する非通気面或いは難通気面であるシート材14aの通気度を適切に調整することで、第1のシート13bを通じて水蒸気が優先的に放出されるように構成されている。具体的には、シート材14aの通気度は、シート材13aの通気度よりも大きい。ここで、通気度はJIS P8117によって測定される値であり、100mlの空気が6.45cm2の面積を通過する時間(秒/100ml)で定義される。したがって、通気度が大きいことは空気の通過に時間がかかること、即ち通気性が低いことを意味している。
【0029】
シート材14aが非通気性である場合、収容体12内への空気の流入、及び水蒸気の発生は、専らシート材13aを通じて行われる。
【0030】
一方、シート材14aが難通気性である場合、シート材13aとシート材14aの通気度をバランスさせることで、空気はシート材14aを通じて優先的に収容体12内に流入すると共に、水蒸気はシート材13aを通じて優先的に放出される。シート材14aが難通気性である場合、該シート材14aを通じての空気の流入を確保しつつ、該シート材14aを通じての水蒸気の放出を抑制させる観点から、シート材14aの通気度を、シート材13aの通気度の1.3倍以上、特に2倍以上とすることが好ましい。或いは、シート材13aの通気度とシート材14aの通気度との比(シート材13a/シート材14a)を0.8以下、特に0.5以下とすることも好ましい。これによって、シート材14aを通じての水蒸気の放出を一層減じさせることができ、且つシート材13aを通じての水蒸気の放出を一層増加させることができる。
【0031】
シート材14aが難通気性である場合、該シート材14aの通気度を20000秒/100ml以上、特に30000秒/100ml以上、とりわけ40000秒/100ml以上とすることが好ましい。一方、シート材13aの通気度は、シート材14aが非通気性であるか又は難通気性であるかを問わず、100〜50000秒/100ml、特に1000〜40000秒/100mlであることが好ましい。
【0032】
着用者の肌に近い側に位置する第1のシート13bの通気性は、収容体12の通気面であるシート材13aの通気性に比べて十分に高ければ良く、そのようにすることで、着用者の肌に近い側の通気性は、シート材13aの通気性によって決定される。
一方、着用者の肌から遠い側に位置する第2のシート14bの通気性も、収容体12の通気面であるシート材13aに対向する非通気面或いは難通気面であるシート材14aの通気性に比べて十分に高ければ良く、そのようにすることで、着用者の肌から遠い側の通気性は、シート材14aの通気性によって決定される。
【0033】
前述のとおり、蒸気温熱具10Aにおいては、収容体12の通気面であるシート材13a及びそれに対向する非通気面或いは難通気面であるシート材14aの通気度を適切に調整することで、第1のシート13bを通じて水蒸気が優先的に放出されるように構成されている。このため、シート材13aは透湿性シートであり、且つ、シート材14aは、透湿性シートであるか、又は非透湿性シートである。シート材14aが透湿性シートの場合、シート材14aの透湿度は、シート材13aの透湿度よりも小さい。このような、透湿性シートとしては、透湿性フィルムが好適に用いられる。透湿性フィルムは、熱可塑性樹脂及び該樹脂と相溶性のない有機又は無機のフィラーの溶融混練物をフィルム状に成形し、一軸又は二軸延伸して得られたものであり、微細な多孔質構造になっている。
【0034】
第1のシート13b及び第2のシート14bとしては、表面の風合い等の観点から、例えばエアスルー不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ケミカルボンド不織布、ヒートボンド不織布などを用いることができる。
第2のシート14bは、蒸気温熱具10Aにおいては、製造設備での効率的で安定的な生産の観点から、その構成繊維が縦方向Yに配向していることが好ましい。構成繊維の配向は、目視にて観測される。
第2のシート14bとしては、表面の風合い等の観点から、横方向Xの破断強度が8.5N/5cm以下であることが好ましく、特に、7N/5cm以下であることが好ましい。横方向Xの破断強度の下限は、蒸気温熱具10Aとしての強度維持する観点から、横方向Xの破断強度が3N/5cm以上であることが好ましい。なお、本破断強度は、以下の測定方法により測定される。
【0035】
〔破断強度の測定方法〕
横方向Xに150mm、縦方向Yに50mmの不織布等のサンプルを用意し、チャック間100mmにてサンプルをセットし、試験速度300mm/minにて引っ張り試験を行い、そのときに得られる最大点荷重をもって、横方向Xの破断強度とする。
尚、蒸気温熱具10Aから、第2のシート14bを切り出し、上記サイズのサンプルを用意する場合には、粘着部16が存在しない領域から用意する。
【0036】
蒸気温熱具10Aにおける発熱部11(左右発熱部11f,11g)について説明すると、発熱部11(左右発熱部11f,11g)は、被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含む。そのような発熱部11(左右発熱部11f,11g)は、例えば発熱シート又は発熱粉体からなる。発熱部11(左右発熱部11f,11g)が発熱シートからなる場合には、湿式抄造により得られたシート状物や、発熱粉体を紙等で挟持してなる積層体等が挙げられる。発熱シート及び発熱粉体のうち、どのような姿勢においても水蒸気を均一に適用し得る点から、発熱部11としては発熱シートを用いることが好ましい。また、発熱シートは、発熱粉体に比較して、発熱の温度分布を均一化することが容易であり、また、被酸化性金属の担持能力が優れている点からも有利である。
【0037】
本実施形態の蒸気温熱具10Aは、その使用前は、その全体が酸素バリア性を有する包装材(図示せず)によって包装されて、発熱部11(左右発熱部11f,11g)が空気中の酸素と接触しないようになっている。酸素バリア性の材料としては、例えばその酸素透過係数(ASTM D3985)が10cm3・mm/(m2・day・MPa)以下、特に2cm3・mm/(m2・day・MPa)以下であるようなものが好ましい。具体的にはエチレン−ビニルアルコール共重合体やポリアクリロニトリル等のフィルム、又はそのようなフィルムにセラミック若しくはアルミニウム等を蒸着したフィルムが挙げられる。
【0038】
図3に示すように、本実施形態の蒸気温熱具10Aを包装材(図示せず)に包装する際には、粘着部16を覆うように、第2のシート14bの外面に剥離紙が取り付けられている。具体的には、蒸気温熱具10Aは、右発熱部11f側に右剥離紙17bが取り付けられ、左発熱部11g側に左剥離紙17aが取り付けられている。一例としては、右剥離紙17bは、蒸気温熱具10Aの左側の形状と略同形状であり、蒸気温熱具10Aの左側縁10cから中心線CLまで配されており、右端粘着部16d、上端粘着部16aの左側、及び中央粘着部16eの左側を覆っている。一方、左剥離紙17aは、蒸気温熱具10Aの右側の形状と略同形状であり、蒸気温熱具10Aの左側縁10cから中心線CLを越える位置まで延在して配されており、左端粘着部16c、上端粘着部16aの右側、及び中央粘着部16eの右側を覆っている。このように配することにより、本実施形態の蒸気温熱具10Aを包装材(図示せず)に包装する際には、衛生上の観点から、蒸気温熱具10Aの肌当接面である第1のシート13が内側となるように、中心線CLの位置にて二つ折りされ、二つ折りされた状態で包装材(図示せず)に包装するところ、その際、図4に示すように、左剥離紙17aの中心線CLを越えた部分は、右剥離紙17bとオーバーラップしているため、右剥離紙17bと左剥離紙17aとの間に隙間ができてしまうことによる粘着剤の露出が生じず、粘着部16が包装材(図示せず)に付着することを防止している。また、左剥離紙17aの中心線CLを越えた端部は、使用する際に、剥離紙を剥がす起点となる。
【0039】
一方、中心線CLの位置にて二つ折りされた状態で、前述のような右剥離紙17bと左剥離紙17aとの間に隙間ができてしまうことによる粘着剤の露出が問題にならない場合や、問題を更に別の露出防止手段を採用する等で解決する場合は、右剥離紙17bは、蒸気温熱具10Aの左側の形状と略同形状であり、蒸気温熱具10Aの左側縁10cから中心線CLまで配され、右端粘着部16d、上端粘着部16aの左側、及び中央粘着部16eの左側を覆っていても良い。一方、左剥離紙17aも、蒸気温熱具10Aの右側の形状と略同形状であり、蒸気温熱具10Aの左側縁10cから中心線CLまで延在して配され、左端粘着部16c、上端粘着部16aの右側、及び中央粘着部16eの右側を覆っていても良い。この場合、右剥離紙17bと左剥離紙17aとが当接していても良く、離間していても良い。
なお、剥離紙としては、紙やフィルム等の基材シートに、付加反応型や縮合反応型などの熱硬化性シリコーンや、紫外線照射(UV)法や電子線照射(EB)法によるシリコーン処理等の離型処理が施されているものを用いることができる。
【0040】
次に上述した蒸気温熱具10Aの使用方法について説明する。
着用者の衣類(ショーツ)18に蒸気温熱具10Aを取り付ける際には、先ず、蒸気温熱具10Aを、酸素バリア性を有する包装材から取りだし、左剥離紙17a、右剥離紙17b、の順に取り除く。次に、左剥離紙17a及び右剥離紙17bを取り除いた蒸気温熱具10Aを、図5に示すように、第1のシート13bの外面に親指を添え、且つ、中央粘着部16eと右端粘着部16dとの間の非粘着領域に、蒸気温熱具10Aの下縁10b側から親指以外の指(例えば人差し指)を添え、中央粘着部16eと左端粘着部16cとの間の非粘着領域に、蒸気温熱具10Aの下縁10b側から親指以外の指(例えば中指及び薬指)を添え、親指と他の指(例えば人差し指、中指及び薬指)で蒸気温熱具10Aを把持し、図6に示すように、着用者の肌から遠い側に位置する第2のシート14bの粘着部の設けられた側を、着用者の衣類(ショーツ)18に、上縁10aがショーツ18のウエスト開口部WOに沿うように取り付ける。前記のように、蒸気温熱具10Aを把持することで、蒸気温熱具10Aを首尾良くショーツ18のウエスト開口部WOに沿って取り付けることができる。特に、蒸気温熱具10Aに上端粘着部16aが形成されている場合、上端粘着部16aから取り付けることで、蒸気温熱具10Aをショーツ18のウエスト開口部WOに沿って首尾良く取り付けることができ、図6に示すように装着することで、所定温度に加熱された水蒸気による熱が直接着用者の身体に施されるので、使用感が向上する。
【0041】
また、着用者の衣類(ショーツ)18から蒸気温熱具10Aを取り外す際にも、図5に示すように、前記発熱具と衣類との間へ下縁10b側から親指以外の指を挿入し、中央粘着部16eと右端粘着部16dとの間の非粘着領域に、親指以外の指(例えば人差し指)を添え、中央粘着部16eと左端粘着部16cとの間の非粘着領域に親指以外の指(例えば中指及び薬指)を添え、且つ、第1のシート13bの外面に親指を添え、親指と他の指(例えば人差し指、中指及び薬指)で蒸気温熱具10Aを把持して取り外す。前記のように、蒸気温熱具10Aを把持することで、蒸気温熱具10Aを首尾良くショーツ18から取り外すことができる。
なお、中央粘着部16eと右端粘着部16dとの間及び中央粘着部16eと左端粘着部16cとの間それぞれが非粘着領域であるため、蒸気温熱具10Aをショーツ18へ取り付けるとき及び/又はショーツ18から取り外すときに、着用者の指が粘着部に付着しづらく、その結果、取り付け及び取り外しの操作性が良好になる。
【0042】
以上の構成を有する第1実施形態の蒸気温熱具10Aの作用効果について説明する。
蒸気温熱具10Aは、図1(b)に示すように、中央粘着部16e、右端粘着部16d及び左端粘着部16cを有し、左端粘着部16cは、左縁接着領域15cに少なくとも一部が重なって配され、且つ、右端粘着部16dは、右縁接着領域15dに少なくとも一部が重なって配され、加えて、中央粘着部16eは、上縁接着領域15aと下縁接着領域15bの間に配され、且つ、上縁接着領域15a及び下縁接着領域15bの両領域に重なって配されている。その為、着用中は脱落等の不具合が生じず、且つ、ショーツ等の衣類から取り外す際に、発熱具の粘着部16の設けられた第2のシートに破れが生じることを防止し、更に、発熱具の取り付け取り外し等の操作性を更に高めることができる。特に、蒸気温熱具10Aの第2のシート14bとして横方向Xの破断強度の低い不織布を用いたとしても破れが生じ難く好ましい。
【0043】
また、蒸気温熱具10Aは、図1(b)に示すように、上縁接着部15aの内向側に横方向Xに延びる上端粘着部16aを有している。その為、特に、着用中は脱落等の不具合が生じず、且つ、蒸気温熱具10Aの第2のシート14bとして横方向Xの破断強度の低い不織布を用いたとしても破れが生じ難く好ましい。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態の蒸気温熱具10Bについて、図7に基づいて説明する。
第2実施形態の蒸気温熱具10Bについては、第1実施形態の蒸気温熱具10Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、蒸気温熱具10Aと同様であり、蒸気温熱具10Aの説明が適宜適用される。
【0045】
蒸気温熱具10Bの粘着部16は、図7に示すように、蒸気温熱具10Aの粘着部16と同様に、中央粘着部16e、左端粘着部16c,右端粘着部16d、及び上端粘着部16aを有しているが、蒸気温熱具10Bの上端粘着部16aの形状が異なっている。具体的には、蒸気温熱具10Bの上端粘着部16aは、図7に示すように、蒸気温熱具10Bの横方向Xに延びているが、連続しておらず、少なくとも2箇所の非粘着領域が形成されている。
【0046】
以上の構成を有する蒸気温熱具10Bの作用効果について説明する。
第2実施形態の蒸気温熱具10Bの効果については、第1実施形態の蒸気温熱具10Aの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、蒸気温熱具10Aの効果と同様であり、蒸気温熱具10Aの効果の説明が適宜適用される。
【0047】
第2実施形態の蒸気温熱具10Bは、図7に示すように、上端粘着部16aに非粘着領域を形成しているので、ショーツ18のウエスト開口部に沿って、適切な位置に貼付けできなかったときに、貼り直しやすく好ましい。また、ショーツの横方向への伸縮に比較的追随しやすくなるため使用中に脱落する等の問題が起き辛くなり好ましい。
【0048】
次に、本発明の第3実施形態の蒸気温熱具10Cについて、図8に基づいて説明する。
第3実施形態の蒸気温熱具10Cについては、第1実施形態の蒸気温熱具10Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、蒸気温熱具10Aと同様であり、蒸気温熱具10Aの説明が適宜適用される。
【0049】
蒸気温熱具10Cの粘着部16は、図8に示すように、蒸気温熱具10Aの粘着部16と同様に、中央粘着部16e、左端粘着部16c,右端粘着部16d、及び上端粘着部16aを有しているが、中央粘着部16eの形状が異なっている。具体的には、蒸気温熱具10Cの中央粘着部16eは、図8に示すように、蒸気温熱具10Cの縦方向Yに延び下縁接着領域15bまでその少なくとも一部が到達し重なって配されているものの、すなわち、中央粘着部16eは、前記上縁接着領域15aと前記下縁接着領域15bの間に配され、且つ、前記上縁接着領域15a及び前記下縁接着領域15bの両領域に重なって配されているものの、下縁10bに至っていない。
【0050】
以上の構成を有する蒸気温熱具10Cの作用効果について説明する。
第3実施形態の蒸気温熱具10Cの効果については、第1実施形態の蒸気温熱具10Aの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、蒸気温熱具10Aの効果と同様であり、蒸気温熱具10Aの効果の説明が適宜適用される。
【0051】
第3実施形態の蒸気温熱具10Cは、図8に示すように、中央粘着部16eは、前記上縁接着領域15aと前記下縁接着領域15bの間に配され、且つ、前記上縁接着領域15a及び前記下縁接着領域15bの両領域に重なって配されているものの、下縁10bに至っていないので、中央粘着部16eに陰毛等が貼り付くことを防止できる。また、蒸気温熱具10Cをショーツ18から取り外す際に、中央粘着部16eと左端粘着部16cとの間、及び中央粘着部16eと右端粘着部16dとの間それぞれの非粘着領域に下縁10b側から親指以外の指を入れ易く、取り外しの操作性が良好になる。
【0052】
次に、本発明の第4実施形態の蒸気温熱具10Dについて、図9に基づいて説明する。
第4実施形態の蒸気温熱具10Dについては、第1実施形態の蒸気温熱具10Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、蒸気温熱具10Aと同様であり、蒸気温熱具10Aの説明が適宜適用される。
【0053】
蒸気温熱具10Dの粘着部16は、図9に示すように、蒸気温熱具10Aの粘着部16と同様に、中央粘着部16e、左端粘着部16c,右端粘着部16d、及び上端粘着部16aを有しているが、中央粘着部16eの形状が異なっている。具体的には、蒸気温熱具10Dの中央粘着部16eは、図9に示すように、その幅が蒸気温熱具10Aのものと比較して狭い。
【0054】
以上の構成を有する蒸気温熱具10Dの作用効果について説明する。
第4実施形態の蒸気温熱具10Dの効果については、第1実施形態の蒸気温熱具10Aの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、蒸気温熱具10Aの効果と同様であり、蒸気温熱具10Aの効果の説明が適宜適用される。
【0055】
第4実施形態の蒸気温熱具10Dは、図9に示すように、中央粘着部16eの幅が蒸気温熱具10Aのものと比較して狭いので、発熱部11による熱による粘着剤の物性変化の影響を低く抑え、着用者の衣類に安定的に固定される。また、粘着剤の面積が比較的少なくて済むため、着用者の衣類の生地を傷めにくく、且つ、使用後の取り外しも容易となる。
【0056】
次に、本発明の第5実施形態の蒸気温熱具10Eについて、図10に基づいて説明する。
第5実施形態の蒸気温熱具10Eについては、第1実施形態の蒸気温熱具10Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、蒸気温熱具10Aと同様であり、蒸気温熱具10Aの説明が適宜適用される。
【0057】
蒸気温熱具10Eの粘着部16は、図10に示すように、蒸気温熱具10Aの粘着部16と同様に、中央粘着部16e、左端粘着部16c,右端粘着部16d、及び上端粘着部16aを有しているが、中央粘着部16e、左端粘着部16c及び右端粘着部16dの形状が異なっている。具体的には、蒸気温熱具10Eの中央粘着部16e、左端粘着部16c及び右端粘着部16dは、図10に示すように、蒸気温熱具10Eの縦方向Yに延び下縁接着領域15bまでその少なくとも一部が到達し重なって配されているものの、すなわち、中央粘着部16eは、前記上縁接着領域15aと前記下縁接着領域15bの間に配され、且つ、前記上縁接着領域15a及び前記下縁接着領域15bの両領域に重なって配されているものの、下縁10bに至っておらず、左端粘着部16c及び右端粘着部16dも、右縁接着領域15dや左縁接着領域15cに少なくとも一部が重なって配されているものの、下縁10bに至っていない。
【0058】
以上の構成を有する蒸気温熱具10Eの作用効果について説明する。
第5実施形態の蒸気温熱具10Eの効果については、第1実施形態の蒸気温熱具10Aの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、蒸気温熱具10Aの効果と同様であり、蒸気温熱具10Aの効果の説明が適宜適用される。
【0059】
第5実施形態の蒸気温熱具10Eは、図10に示すように、その中央粘着部16e、左端粘着部16c及び右端粘着部16dが蒸気温熱具10Eの縦方向Yに延び下縁接着領域15bまでその少なくとも一部が到達し重なって配されているものの、下縁10bに至っていないので、中央粘着部16e、左端粘着部16c及び右端粘着部16dに陰毛等が貼り付くことを防止できる。また、蒸気温熱具10Eをショーツ18から取り外す際に、中央粘着部16eと左端着部16cとの間、及び中央粘着部16eと右端粘着部16dとの間それぞれの非粘着領域に下縁10b側から親指以外の指を入れ易く、取り外しの操作性が良好になる。
【0060】
次に、本発明の第6実施形態の蒸気温熱具10Fについて、図11に基づいて説明する。
第6実施形態の蒸気温熱具10Fについては、第1実施形態の蒸気温熱具10Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、蒸気温熱具10Aと同様であり、蒸気温熱具10Aの説明が適宜適用される。
【0061】
蒸気温熱具10Fの粘着部16は、図11に示すように、蒸気温熱具10Aの粘着部16と同様に、中央粘着部16e、左端粘着部16c,右端粘着部16d、及び上端粘着部16aを有しているが、上端粘着部16aを有していない。
【0062】
以上の構成を有する蒸気温熱具10Fの作用効果について説明する。
第6実施形態の蒸気温熱具10Fの効果については、第1実施形態の蒸気温熱具10Aの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、蒸気温熱具10Aの効果と同様であり、蒸気温熱具10Aの効果の説明が適宜適用される。
【0063】
第6実施形態の蒸気温熱具10Fは、図11に示すように、上端粘着部16aを有していないので、着用者が誤ってショーツ18のウエスト開口部WOからはみ出すように蒸気温熱具10Fを取り付けた場合であっても、はみ出した部位がショーツ以外の衣類に付着し難く、操作性が良好になる。また、貼り直しやすく好ましい。また更に、上端粘着部16aを有していないので、ショーツの横方向への伸縮に追随しやすいため使用中に脱落する等の問題が起き辛くなり好ましい。
【0064】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば第1,第2,第3,第4,第5,第6の実施形態においては、中央粘着部16e、左端粘着部16c及び右端粘着部16dそれぞれは、蒸気温熱具の上縁10aから縦方向Yに延びているが、上縁接着領域15aと少なくとも一部重なって縦方向Yへ延びていれば、上縁10aから縦方向Yに延びていなくてもよい。
【0065】
また前記実施形態は、本発明の発熱体を蒸気温熱具に適用した例であるが、本発明は、蒸気温熱具以外の発熱体、例えば使い捨てカイロとして知られている、水蒸気の発生を実質的に伴わずに発熱する発熱体にも適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10A,10B,10C,10D,10E,10F 蒸気温熱具
10a,10b 上下縁、10c,10d 左右側縁
11 発熱部
11f,11g 左右発熱部
12 収容体
12f,12g 左右収容体
13 第1の面
13a シート材
13b 第1のシート
14 第2の面
14a シート材
14b 第2のシート
15 周縁接着領域
15a 上縁接着領域、15b 下縁接着領域、15c,15d 左右縁接着領域
16 粘着部
16e 中央粘着部、16a 上端粘着部、16b 下端粘着部、16c,16d 左右端粘着部、
17 剥離紙
17a,17b 左右剥離紙
18 ショーツ
CL 蒸気温熱具の縦方向Yに延びる中心線
L 蒸気温熱具の横方向Xに延びる中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の肌に近い側に位置する第1のシートと、着用者の肌から遠い側に位置する第2のシートと、第1のシート及び第2のシートの間に介在配置された発熱部とを備え、横方向に延びる上縁及び下縁と、前記横方向に直交し縦方向に延びる左右の側縁とを有し、横方向に長い形状である発熱具であって、
前記第1のシートと前記第2のシートとは、前記発熱具の周縁部にて接着されてなる周縁接着領域と該周縁接着領域に囲まれる空間が形成されており、
前記発熱部は、前記空間内に横方向に離間して並置された少なくとも2つの発熱部からなり、
前記周縁接着領域は、上縁接着領域、下縁接着領域及び左右縁接着領域を有し、
前記第2のシートの外面に、発熱具を衣類へ固定するための粘着部が設けられており、
前記粘着部は、前記少なくとも2つの発熱部の間の領域に配される中央粘着部と、横方向の両端側縁に配される左端粘着部と右端粘着部とを有し、
前記左端粘着部は、前記左縁接着領域に少なくとも一部が重なって配され、且つ、前記右端粘着部は、前記右縁接着領域に少なくとも一部が重なって配され、
前記中央粘着部は、前記上縁接着領域と前記下縁接着領域の間に配され、且つ、前記上縁接着領域及び前記下縁接着領域の両領域に重なって配されている発熱具。
【請求項2】
前記粘着部は、前記発熱部と重ならない位置に配されてなる請求項1記載の発熱具。
【請求項3】
前記粘着部は、更に上端粘着部を有し、該上端粘着部は前記上縁接着領域に少なくとも一部が重なって配されている請求項1又は2記載の発熱具。
【請求項4】
前記中央粘着部、前記左端粘着部及び前記右端粘着部のうちの少なくともいずれかが、前記下縁まで達していない請求項1〜3の何れか1項に記載の発熱具。
【請求項5】
前記第2のシートは、横方向の破断強度が8.5N/5cm以下である不織布から構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の発熱具。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の発熱具の使用方法であって、
前記発熱具を着用者の衣類から取り外す際には、前記発熱具の下縁側から前記発熱具と衣類との間へ親指以外の指を挿入し、前記中央粘着部と前記左端粘着部との間の非粘着領域、及び/又は前記中央粘着部と前記右端粘着部との間の非粘着領域に親指以外の指を添え、且つ前記第1のシートの外面に親指を添え、親指と他の指で前記発熱具を把持して取り外す、発熱具の使用方法。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項に記載の発熱具の使用方法であって、
前記発熱具を着用者の衣類に取り付ける際には、前記第1のシートの外面に親指を添え、且つ前記中央粘着部と前記左粘着部との間の非粘着領域、及び/又は前記中央粘着部と前記右粘着部との間の非粘着領域それぞれに、前記発熱具の下縁側から親指以外の指を添え、親指と他の指で発熱具を把持し、前記上縁接着部が前記衣類のウエスト開口部に沿うように取り付ける、発熱具の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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