説明

発着ホーム判定システム

【課題】ユーザが列車に乗降する際に用いる発着ホームに関する情報を容易に判定することを可能にする発着ホーム判定システムを提供する。
【解決手段】発着ホーム判定部22は、発着ホームを包含する所定の領域内に存在している移動端末情報に基づいて移動軌跡ベクトルを生成する。次に、発着ホーム判定部22は生成された移動軌跡ベクトルの中から、発着ホームに対応する発着ホームポリゴンを横切る移動軌跡ベクトルを抽出する。そして、抽出された移動軌跡ベクトルと、発着ホームポリゴンとに基づいて、対象列車が対象駅におけるどの発着ホームに到着したのかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の移動端末から送信されるプローブ情報に基づいて列車の発着ホームを判定する到着ホーム判定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、位置情報を取得するGPS受信機等のデバイスの小型化が進み、小型の移動端末にこれらのデバイスを実装することが可能となってきた。また、これらの複数の移動端末により測位された位置データを通信端末からサーバへ送信して、その位置情報を解析するとともに、その解析結果をユーザに提供するサービスも可能になっている。例えば、特許文献1には、ユーザから送信されたプローブ情報を処理する技術が記載されている。ここで、プローブ情報とは、移動端末が位置検出部によって検出された現在位置の位置情報や当該現在位置を検出した検出時間の時間情報などであって、移動端末から当該プローブ情報を位置情報生成装置に対して発信される情報である。以降、プローブ情報を、「移動端末情報」ともいう。
【0003】
このようなプローブ情報を解析することにより、様々な情報を判定したり整備したりすることができる。特許文献1に記載の技術では、ユーザから送信されたプローブ情報を利用して、列車等の交通機関の運行情報(遅延情報)を取得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−219672号文献
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、所定の路線における列車運転状況を表したダイヤや時刻表については、携帯端末等を用いてインターネット上から取得することができる。一方、どの列車が駅の何番ホームに到着するかという情報は、入手するのが困難である。これは、到着ホームを整備する作業が煩雑であり、整備が進まないという理由が大きいと思われる。
本発明の目的は、ユーザが列車に乗降する際に用いる発着ホームに関する情報を容易に判定することを可能にする発着ホーム判定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の移動端末から現在位置に関する情報が含まれる移動端末情報を受信して、該移動端末情報に基づいて駅における列車の発着ホームを判定する発着ホーム判定システムであって、受信された移動端末情報を記憶する移動端末情報記憶部と、駅の発着ホームの領域形状を表す領域形状情報を記憶する領域形状情報記憶部と、列車のダイヤに関するダイヤ情報を記憶するダイヤ情報記憶部と、前記領域形状情報及び前記ダイヤ情報に基づいて、前記移動端末情報のうち、前記領域形状情報を含む所定領域内で所定時間範囲内に測定された移動端末情報を抽出する移動端末情報抽出部と、前記移動端末情報抽出部で抽出された前記移動端末情報に基づいて前記列車の発着ホームを判定する発着ホーム判定部とを備えることを特徴とする。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする方法もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、携帯端末から送信されるプローブ情報を用いて簡単に、列車が各駅で発着するホームに関するデータを判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】システムの構成図。
【図2】駅の概要図。
【図3】本発明の判定処理のフローチャート。
【図4】本発明で用いる抽出領域の一例を示す図。
【図5】本発明で用いる抽出領域の一例を示す図。
【図6】発着ホーム判定処理のフローチャート。
【図7】不要な移動軌跡ベクトルの説明図。
【図8】発着ホーム及び移動端末情報の関係を説明する図。
【図9】発着ホーム及び移動端末情報の関係を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施例を説明する。
図1に示すように、本実施例における発着ホーム判定システムは、携帯端末11と、無線基地局12と、公衆通信回線としてのインターネット13と、サーバ14とを備える。無線基地局12は、例えば携帯端末11の無線基地局等を想定しており、予め定められた一定の距離や領域毎に配置されている。この無線基地局12は、インターネット13を通してサーバ14に通信可能に接続されている。
携帯端末11は、位置測定部としてのGPS15と、端末送受信部16と、端末制御部17とを備えている。サーバ14は、移動端末情報記憶部及び領域形状情報記憶部及びダイヤ情報記憶部としてのハードディスク20、移動端末情報抽出部21、発着ホーム判定部22、サーバ送受信部23、制御部としてのCPU24を備える。
【0010】
GPS15は、端末制御部17の制御に基づいて携帯端末11の現在位置を測位する。具体的には、携帯端末11のGPSアンテナによって受信された、複数のGPS衛星から送信される電波信号に基づいて携帯端末11の現在位置(緯度および経度)を測位する。このほかにも、現在位置は、DGPS(ディファレンシャルGPS)を利用した方法や、携帯端末11の無線基地局12の電波を利用した方法や、ジャイロセンサを利用若しくは併用した方法などによって測位してもよい。
【0011】
端末送受信部16は、端末制御部17の制御に基づいて携帯端末11からサーバ14に移動端末情報等の各種データを送信するとともに、サーバ14から送信された各種データを受信する機能を有する。移動端末情報には、GPS15で測位された位置に関する位置情報、当該位置を測定した時間に対応する時間情報、端末固有の情報であって各携帯端末11を識別するためのID情報等が含まれている。移動端末情報は、無線基地局12、インターネット13を経由してサーバ14に送信される。なお、移動端末情報は、携帯端末11から一定間隔(例えば5秒)でサーバ14へと送信される。あるいは、一定間隔毎に送信されるのではなく、携帯端末11で一定数蓄積されたものを端末送受信部16からまとめてサーバ14へと送信するようにしてもよい。
端末制御部17は、携帯端末11が備える各部15,16等の動作を、図示しないメモリ等に記録されている所定のプログラムに基づいて制御する機能を有する。
【0012】
ハードディスク20には、携帯端末11から送信されてサーバ送受信部23で受信した移動端末情報が蓄積される。
また、ハードディスク20には、図2に示すように、各駅の発着ホームの領域形状を表す発着ホームポリゴン25に関する領域形状情報がその位置情報(緯度、経度)、駅名情報、ホーム番号の情報とともに記憶されている。発着ホームは、駅舎26や路線27とともに、駅を構成する。
さらに、ハードディスク20には、表1に示すように、列車毎の始発駅から終着駅までのダイヤに関するダイヤ情報が記憶されている。
【0013】
表1

【0014】
ダイヤ情報には、各駅における所定の列車の発着時刻がそれぞれ記憶されている。ここで、表1において「苅田駅」は、列車の始発駅であるため着時刻は記憶されていない。また、「小倉駅」は、終着駅であるために、発時刻は記憶されていない。またこれらの時刻表データには、対応する列車の種別(普通、急行、特急等)、列車名、列車番号、列車設備、運転日(毎日運転、土日のみ運転、平日のみ運転等)等の各種列車情報が対応付けられている。なお、時間については、発着に関する情報のうちのいずれか一方の時刻情報のみを記憶するようにしてもよい。また、表1に示すように、ダイヤ情報には各駅での発着ホームの情報を記憶する領域が設けられているが、発着ホームが整備される前の状態では、当該情報は存在していない。
【0015】
移動端末情報抽出部21は、領域形状情報及びダイヤ情報に基づいて、移動端末情報のうち、領域形状情報を含む所定領域内で所定時間範囲内に測定された移動端末情報を抽出する。所定領域には、駅舎に対応する領域が含まれている。また、所定時間範囲としては、ダイヤ情報を参照して得られた列車の発着の前から後にわたる一定の時間範囲とするのが望ましい。例えば、列車がある駅に12時10分に到着する場合、所定時間範囲は12時09分から12時15分の範囲とする。時間範囲のうち、到着予定時刻前の時間範囲を小さくしたのは、列車は通常到着予定時刻前に到着することはほとんどないことによる。一方、到着予定時刻後の時間範囲を大きくしたのは、列車が諸般の事情により遅延することを想定したことによる。つまり、所定時間は、前後の列車の到着時刻や、列車の遅延等を考慮して、到着予定時刻の前後にわたる適当な数分間を設定するようにすればよい。
【0016】
発着ホーム判定部22は、移動端末情報抽出部21で抽出された移動端末情報に基づいて列車の発着ホームを判定する。
サーバ送受信部23は、サーバ14から携帯端末11に各種データを送信するとともに、携帯端末11から送信された移動端末情報などの各種データを受信する機能を有する。
CPU24は、サーバ14が備える各部20〜23の動作をメモリ等に記録されている所定のプログラムに基づいて制御する機能を有する。
【0017】
次に、本実施例における発着ホーム判定システムを使用して発着ホームを判定する方法について説明する。
図3に示すように、まず、CPU24は、判定する対象となる列車を選択する(ステップS31)。次に、CPU24は、列車が停車する駅のダイヤ情報をハードディスク20から読み込む(ステップS32)。そして、CPU24は当該ダイヤ情報に含まれる対象となる列車の発着時刻である発着時刻情報を抽出する。
【0018】
また、CPU24は、列車が停車する対象駅の発着ホームポリゴン25のデータをハードディスク20から読み込む(ステップS33)。
次に、CPU24は、発着ホームポリゴン25の所定の位置を中心とした、当該発着ホームポリゴン25全体が含まれる図4に示すような略楕円形状をなす領域28を決定する(ステップS34)。
【0019】
なお、当該領域28の形状は、楕円形状に限られない。円形状であってもよいし、発着ホームポリゴン25を太らせ処理することによって得られる形状であってもよい。つまり、発着ホームポリゴン25を全て包含するような領域であればよい。このように移動端末情報を抽出するための領域28を決定することにより、発着ホーム上の移動端末情報を重点的に抽出することが可能となる。なお、発着ホームポリゴン25の領域をそのまま領域28として採用しなかったのは、GPS15の測位精度を考慮したものである。すなわち、測位精度が劣っている場合であっても、ある程度の移動端末情報を抽出することができるようにするためである。
【0020】
次に、CPU24は、対象駅における対象列車の発着時刻情報に基づいて所定時間範囲を決定する。例えば、対象駅が朽網駅である場合、表1に示すように対象列車の発着時刻は8時18分であることから、CPU24は、所定時間範囲を8時17分から8時23分と決定する。そして、移動端末情報抽出部21は、図5に示すように、サーバ14のハードディスク20に蓄積されている移動端末情報のうち、8時17分から8時23分の間に領域28内に存在している移動端末情報を抽出する(ステップS35)。具体的には、移動端末情報抽出部21は、移動端末情報の位置座標(緯度、経度)が領域28内に存在するか否かについて内外判定を実行する。
【0021】
次に、発着ホーム判定部22は、移動端末情報抽出部21で抽出された移動端末情報に基づいて、対象列車の対象駅における発着ホームを判定する(ステップS36)。具体的な発着ホームの判定処理については後述する。
CPU24は、発着ホーム判定部22で判定された発着ホームに関する情報を、表2に示すように、ダイヤ情報における対象駅の発着ホームに関する情報を記憶する領域に記憶する。
【0022】
表2

【0023】
そして、CPU24は、全ての対象駅について判定したか否かを、ダイヤ情報に基づいて判断する(ステップS37)。全ての対象駅について判定したと判断した場合には、CPU24は、処理を終了する。一方、全ての対象駅について判定していないと判断した場合には、CPU24は、次の対象駅について、発着ホームの判定処理を実行する。
【0024】
次に、発着ホーム判定処理(ステップS36)について説明する。
図6に示すように、まず、発着ホーム判定部22は、移動端末情報抽出部21によって抽出された移動端末情報29を、当該移動端末情報29に含まれているID情報に基づいて同一の携帯端末11から送信された移動端末情報29毎に分類する(ステップS61)。次に、発着ホーム判定部22は、図8に示すように、同一の携帯端末11から送信された移動端末情報29を時間順にたどることで、移動端末情報29を送信した携帯端末11が移動したことを示す移動軌跡ベクトル30を生成する(ステップS62)。
【0025】
次に、発着ホーム判定部22は、路線27側から発着ホームポリゴン25の存在する方向に向かっており、発着ホームポリゴン25を横切る移動軌跡ベクトル30、及び発着ホームポリゴン25側から路線27の存在する方向に向かっており、発着ホームポリゴン25を横切る移動軌跡ベクトル30を抽出する(ステップS63)。例えば、発着ホーム判定部22は、発着ホームポリゴン25の長手方向側辺と交差する移動軌跡ベクトル30を抽出する。
【0026】
図8では、発着ホームポリゴン25が各ホームごとに設定されている。すなわち、発着ホームポリゴン25a〜25dが、1番〜4番ホームにそれぞれ対応している。図8に示す例の場合、2番ホームに対応する発着ホームポリゴン25b上に存在している移動端末情報29に基づいて生成される移動軌跡ベクトル30は、発着ホームポリゴン25bを横切るものではない。したがって、これらの移動軌跡ベクトル30は、発着ホーム判定部22によって抽出されることはない。
【0027】
一方、3番ホームに対応する発着ホームポリゴン25c上に存在している移動端末情報29に基づいて生成される移動軌跡ベクトル30には、路線27側から発着ホームポリゴン25の存在する方向に向かっており、発着ホームポリゴン25を横切る移動軌跡ベクトル30aや、発着ホームポリゴン25側から路線27の存在する方向に向かっており、発着ホームポリゴン25を横切る移動軌跡ベクトル30bが存在する。これら移動軌跡ベクトル30a,30bが発着ホーム判定部22によって抽出されることになる。
【0028】
ここで、発着ホーム判定部22によって抽出された移動軌跡ベクトル30の中には、到着ホームを判定するベクトルとして適していないものも含まれている場合がある。そこで、発着ホーム判定部22は、到着ホームを判定するために不要な移動軌跡ベクトル30をノイズとして抽出して除去する処理を実行する(ステップS64)。
図7に示すように、駅舎26内を通行するユーザから送信された移動端末情報29に基づいて生成される移動軌跡ベクトル30の中にも、路線27側から発着ホームポリゴン25の存在する方向に向かっており、発着ホームポリゴン25を横切る移動軌跡ベクトル30が存在しており、このような移動軌跡ベクトル30が発着ホームを誤判定する原因となる場合があるからである。
【0029】
具体的な除去方法の一例は以下のとおりである。
まず、発着ホームポリゴン25を横切るとして抽出された移動軌跡ベクトル30を生成する移動端末情報29について、移動端末情報抽出部21は、その前後の所定時間に取得された移動端末情報29をハードディスク20から抽出する。次に、発着ホーム判定部22は、これら移動端末情報29に基づいて移動軌跡ベクトル30を生成する。そして、このようにして生成された一連の移動軌跡ベクトル30から得られる移動速度に着目する。列車に乗車した後の移動速度や、列車から降車する前の移動速度は、徒歩よりも速いスピードで線路沿いに移動するからである。
【0030】
つまり、発着ホーム判定部22は、発着ホームポリゴン25を横切るとして抽出された移動軌跡ベクトル30の前後の移動軌跡ベクトルについて、速度が一定値以下であるものについては、当該移動軌跡ベクトルはノイズであると判定して除去する。列車に乗車していたとは想定されないためである。なお、この条件に加えて、移動軌跡ベクトルのベクトル方向が明らかに線路に沿っているものでないことも追加の条件とすることで、より確実なノイズの判定が可能となる。
【0031】
ここで、速度について、一定値は平均的な歩行速度(例えば、時速5km)を明らかに超える値(例えば、時速10km)とすればよい。
また、発着ホーム判定部22は、一連の移動軌跡ベクトル30が路線27を跨って移動していると判定した場合にも、当該移動軌跡ベクトル30を除去するようにしてもよい。路線27を跨って移動しているユーザは、駅舎26内を通行していると判断できるからである。
【0032】
次に、発着ホーム判定部22は、抽出された移動軌跡ベクトル30と、発着ホームポリゴン25とに基づいて、対象列車が対象駅におけるどの発着ホームに到着したのかを判定する(ステップS65)。図8の例では、発着ホームポリゴン25を横切る移動軌跡ベクトル30としては、発着ホームポリゴン25cを横切る移動軌跡ベクトル30a,30bのみである。したがって、発着ホーム判定部22は、携帯端末11のユーザが、対象列車から3番ホームへ降車したと判定できるとともに、3番ホームから対象列車に乗車したと判定できる。
【0033】
図8の例は、理想的なパターン、すなわち、GPS15の測位精度が優れている場合であった。しかしながら、現実にはGPS15の位置精度が劣っているために、取得された携帯端末11の位置が実際の携帯端末11の位置に対してずれていることもある。
そこで、発着ホーム判定部22は、移動端末情報の分類処理(ステップS61)の前処理として、以下の処理(実位置推定処理)を実行するようにしてもよい。
【0034】
発着ホーム判定部22は、領域28(図5)内に存在している全ての移動端末情報29について、その相対的な位置関係に基づいて、これら移動端末情報29の実際の位置を推定する実位置推定処理を実行する。この推定処理は、GPS15の測位精度が劣っている場合であっても、全ての移動端末情報29の相対的な位置関係の測位精度にはばらつきがないために実現することができる。
【0035】
図9の例の場合、発着ホーム判定部22は、発着ホームポリゴン25aの左方向に移動端末情報29aが存在していることを認識するとともに、発着ホームポリゴン25d上には移動端末情報29が存在していないことを認識することで、全ての移動端末情報29が全体的に対象駅の左方向にシフトしていることを認識する。そこで、発着ホーム判定部22は、全ての移動端末情報29及び移動軌跡ベクトル30を右方向にシフトさせる。具体的には移動端末情報29aが発着ホームポリゴン25a上となるようにシフトさせる。
【0036】
この処理によって、実際の測位位置とはずれた位置に移動端末情報29が存在した場合、すなわちGPS15の測位精度が劣っている場合であっても、精度よく発着ホームを判定することが可能となる。
以上のとおり、本実施例における発着ホーム判定システムによれば、複数のユーザが保有する携帯端末11の端末送受信部16から送信される移動端末情報29や、各駅の発着ホームの領域形状を表したデータ等に基づいて容易に発着ホームを判定することができる。
【0037】
(変形例)
以上の実施例によらず、本発明は、様々の態様で適用可能である。
・本実施例では列車の発着ホームについて説明したが、バスの発着停留所の判定などにも適用可能である。
・上記の実施例では、列車がある程度予定通りに運行されていることが前提となっている。したがって、数十分程度の大きな遅延が発生した場合には、正確にホームを判定することができなくなる。こうした場合のために、発着ホームの判定処理は複数回実行して信頼性を向上させるようにしてもよい。
【0038】
・同一の列車に乗車する複数のユーザが保有する移動端末や、同一の列車から降車する複数のユーザが保有する移動端末は、ほぼ同じ方向に移動することになる。そのため、所定時間範囲内の複数の移動軌跡ベクトル30も、その移動方向はほぼ同じ方向となる傾向にある。したがって、列車が到着した前後の所定範囲の時間帯における複数の移動軌跡ベクトル30が、ホームポリゴン25に対して略直角方向の成分を有している場合、発着ホーム判定部22は、これらの複数の移動軌跡ベクトル30が略同時に横切る発着ホームポリゴン25に対応する発着ホームを対象列車の発着ホームと判定するようにしてもよい。移動方向が略同一である複数の移動軌跡ベクトル30に基づいて発着ホームを判定するようにしたため、判定精度を向上させることができる。
【0039】
・更に、発着ホーム判定部22は、列車が到着した前後の所定範囲の時間帯における複数の移動軌跡ベクトル30のうち、略平行となる複数の移動軌跡ベクトル30に基づいて対象列車の発着ホームを判定するようにしてもよい。なお、略平行となる複数の移動軌跡ベクトル30は、移動端末情報抽出部21によって抽出される。例えば、これら略平行となる複数の移動軌跡ベクトル30が横切る発着ホームポリゴン25に対応する発着ホームを対象列車の発着ホームと判定する。
【符号の説明】
【0040】
11…携帯端末
12…サーバ
20…移動端末情報記憶部、領域形状情報記憶部、ダイヤ情報記憶部としてのハードディスク
21…移動端末情報抽出部
22…発着ホーム判定部
29…移動端末情報(プローブ情報)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動端末から現在位置に関する情報が含まれる移動端末情報を受信して、該移動端末情報に基づいて駅における列車の発着ホームを判定する発着ホーム判定システムであって、
受信された移動端末情報を記憶する移動端末情報記憶部と、
駅の発着ホームの領域形状を表す領域形状情報を記憶する領域形状情報記憶部と、
列車のダイヤに関するダイヤ情報を記憶するダイヤ情報記憶部と、
前記領域形状情報及び前記ダイヤ情報に基づいて、前記移動端末情報のうち、前記領域形状情報を含む所定領域内で所定時間範囲内に測定された移動端末情報を抽出する移動端末情報抽出部と、
前記移動端末情報抽出部で抽出された前記移動端末情報に基づいて前記列車の発着ホームを判定する発着ホーム判定部と
を備えることを特徴とする発着ホーム判定システム。
【請求項2】
前記発着ホーム判定部は、前記所定領域内に存在している全ての前記移動端末情報について、それらの相対的な位置関係に基づいて、これら全ての移動端末情報の実際の位置を推定する実位置推定機能を備えることを特徴とする請求項1に記載の発着ホーム判定システム。
【請求項3】
前記所定時間範囲は、前記ダイヤ情報を参照して得られた列車の発着の前から後にわたる一定の時間範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発着ホーム判定システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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