説明

発酵により得られたポリヒドロキシアルカノエート粒子を、ジェット式分離装置を用いて分離する方法

本発明は、i)産生細胞を破砕し、かつ引き続きii)細胞断片を、連続的に運転するジェット式分離装置を用いて、ポリヒドロキシアルカノエート粒子から分離することを特徴とする、産生細胞からポリヒドロキシアルカノエートを単離する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産生細胞からポリヒドロキシアルカノエートを単離する方法に関する。
【0002】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、たとえばポリヒドロキシブチレート(PHB)は、細菌を用いて合成することができる。たとえばBiopolymer、Wiley−VCH、2002年には、このような生物工学的な方法が記載されている。
【0003】
PHBは、発酵の終了時に細菌細胞中で、タンパク質外被に被覆されている粒子の形で存在している(J.Biol.Chem.1989年、264(6)、第3286〜3291頁)。十分に純粋なPHBを得るためには、PHBを細菌細胞から分離しなくてはならない。
【0004】
生物工学的に製造された原料は、所望のポリヒドロキシアルカノエート以外に、ポリヒドロキシアルカノエートを産生した微生物(産生細胞、バイオマスまたはポリヒドロキシアルカノエート以外の物質)を含有している。バイオマスからのポリヒドロキシアルカノエートの単離は、a)バイオマスの溶解により、b)適切な抽出剤中でのポリヒドロキシアルカノエートの抽出により、またはc)バイオマス(産生細胞)の機械的な破砕および引き続きポリヒドロキシアルカノエート(PHA)粒子からの細胞断片の分離により行うことができる。
【0005】
このために最も頻繁な方法は、バイオマスからの溶剤を用いたPHA粒子の抽出である。ポリヒドロキシアルカノエートのために適切な溶剤として、塩素化化合物が使用される(方法b))。その例は、EP0124309および該文献で引用されている文献に記載されている。溶剤の使用は、結果として一連の欠点をもたらす。溶剤の取り扱いおよび回収のために、高価でコストの高い基盤施設に投資することが強いられる。抽出後のバイオマスから、肥料または飼料としてのその後の使用の前に、溶剤の残分を除去しなくてはならない。PHBは多くの溶剤中での溶解度が不十分であるため、必要とされる溶剤の量は極めて大量である。
【0006】
バイオマスの分解および溶解(後処理a))のために、たとえば酵素または化学的な方法を使用することができる。さらに、界面活性化合物を添加することができる。複数の方法の組み合わせが可能である。
【0007】
EP0145233には、酵素によるバイオマスの分解が記載されている。
【0008】
WO94/24302には、酵素と過酸化水素とによるバイオマスの分解が記載されている。
【0009】
US5110980には、次亜塩素酸塩によるバイオマスの分解が記載されており、この分解によって高い分子量を有するポリヒドロキシアルカノエートが得られる。次亜塩素酸塩を用いた処理の間の種々のパラメータ、たとえば温度、時間またはpHが試験されている。希釈した酸を用いたポリヒドロキシアルカノエートの精製は記載されていない。
【0010】
形成されたポリヒドロキシブチレート(PHB)を遺伝子工学的に変性された大腸菌の細胞から放出させるためのもう1つの方法が記載されている(Research In Microbiology 2005、156、第865〜873頁)。ここでは自己分解が後接続されている。正確な自己分解条件は記載されていない。自己分解は、細胞が自身の酵素によって自己溶解するプロセスである。この製造法は、次の欠点を有している。自己分解は不完全に進行し、かつ細胞断片ならびにPHB粒子はなお相互に付着しているので、形成されたPHBの約80%が放出されるのみである。
【0011】
従って課題は、産生細胞の細胞断片を、形成されたポリヒドロキシアルカノエート粒子から完全に分離する方法を見いだすことである。
【0012】
慣用の遠心分離による試験は失敗に終わったが、意外なことに、連続的に運転されるジェット式分離装置を用いて、ポリヒドロキシアルカノエート粒子から細胞断片を極めて効果的に分離することができることが判明した。ポリヒドロキシアルカノエート粒子からなるペレットは、ノズルによって常時連行され、他方、細胞断片は常に上澄み(本来の清澄液(Klarlauf))中で効果的に分離される。ドラムを開放して中身をあけることはなく、このことによって、損失、渦流および効果的な分離の負荷となる類似の不安定性も存在しない。さらに高い純度を達成するために、PHA粒子に清澄な水を添加し、かつ改めて遠心分離することができる。このようにして高純度のPHA粒子の水性懸濁液が得られ、次いで該懸濁液を公知の方法で、たとえば噴霧乾燥によって乾燥させることができる。生じた生成物は、熱可塑性プラスチックへとさらに加工するために適切である。溶剤の使用は不要である。
【0013】
従って本方法は、従来の方法に対して、高い効率、経済性および優れたプロセス性能によって優れている。
【0014】
ジェット式分離装置もまた、Westfalia Separatorの概念の下で公知である。詳細な記載は、たとえばwww.gea−westfalia.deで入手可能である。たとえばVisCon(登録商標)システムが挙げられるが、この場合、ノズルは粘度制御されている。このことにより、供給条件を変更する際の分離装置のパラメータ(中身をあける時間)の適合は省略され、その結果、固体の排出濃度が一定に維持される。VisCon(登録商標)システムの場合、ノズルはドラムの周縁部に存在するのではなく、ドラム内のそれより小さい直径上に存在する。水力気密性の(hydrohermetisch)供給部による導入ならびにノズルを介した排出により、分離された細胞の細胞活性が高まる。
【0015】
必要とされる装置は、工業的に入手可能であり、かつ任意でアップスケール可能であるので、本方法を工業的な規模に問題なく転用することができる。
【0016】
本発明による方法の特別な実施態様は、工程i)において、産生細胞を機械的に破砕することである。化学薬品不含の破砕は利点を有する。PHB産生細菌であるアルカリゲネス・ユートロフスの細胞を、ホモジナイザーを用いて破砕することができることは記載されている(Bioseparation 1991、2、第155〜166頁)。細胞中に存在するPHB粒子は、ホモジナイザーを数回経由した後にほぼ完全に、細胞から抽出することができた。細胞懸濁液は、このタイプのホモジナイザーの場合、バルブを通って押し出される。バルブコーンと弁座との間の間隙の幅を調整することによって乱流が生じる。するとバルブから排出される懸濁液はスチール板に衝突する。従ってこの機械の圧力は、1500バールまでに限定されている。
【0017】
高い圧力を発生させるためには大量の電流が必要とされる。ホモジナイザーを用いた細胞の破砕は特に、細胞が1回通過した後に完全に破砕されている場合に経済的である。Bioseparation 1991、2、第155〜166頁に記載されている方法は、ホモジナイザーを4回通過しなくてはならないという欠点を有している。
【0018】
我々は意外なことに、特にアルカリゲネス・ユートロフスのPHA含有細胞は、たとえば以下に記載するように、高圧ホモジナイザーを用いて極めて良好に破砕することができることを確認した。この場合、2000バール以上の圧力で高圧ホモジナイザーを1回通過すると、細胞の99%以上が破砕され、かつPHAはほぼ完全に放出される。従って本発明の対象は、2000バール気圧以上の圧力で作業される高圧ホモジナイザーを用いた破砕でもある。該ホモジナイザーはたとえば以下の装置を有する:
適切なホモジナイズ装置のための例は、以下のとおりである:
a)少なくとも1の入口ノズルを有するオリフィス板と、少なくとも1の出口ノズルを有するオリフィス板とからなり、その際、前記オリフィス板の間の中空部において、場合によりさらに機械的なエネルギー導入を行うか、または
b)少なくとも1の入口ノズルを有するオリフィス板と、衝突板とからなり、その際、オリフィス板と衝突板との間の中空部において、場合により機械的なエネルギー導入を行う。
【0019】
実施態様a)
ポリヒドロキシアルカノエートを単離するためのホモジナイズ装置は、たとえば少なくとも1の入口ノズルを有するオリフィス板と、少なくとも1の出口ノズルを有するオリフィス板とからなり、その際、これらのノズルは相互に軸方向に配置されている。これらのオリフィス板の間の中空部には、スタチックミキサーが存在していてよい。場合により、該中空部においてさらに、機械的なエネルギー導入が行われる。
【0020】
本発明による方法により使用可能なオリフィス板は、少なくとも1の開口部、つまり少なくとも1のノズルを有する。この場合、両方のオリフィス板はそれぞれ任意の数の開口部を有しているが、しかし有利にはそれぞれ5を超えない開口部を有し、特に有利にはそれぞれ3を超えない開口部を有し、とりわけ有利にはそれぞれ2を超えない開口部を有し、かつ殊にはそれぞれ1を超えない開口部を有する。両方のオリフィス板は、異なった数の、または同じ数の開口部を有するが、有利には両方のオリフィス板は同じ数の開口部を有する。一般にこれらのオリフィス板は、それぞれ少なくとも1つの開口部を有する穿孔されたプレートである。
【0021】
本発明による方法のもう1つの有利な実施態様では、第二のオリフィス板が、ふるいによって代用されている、つまり第二のオリフィス板は、多数の開口部もしくはノズルを有している。使用可能なふるいは広い範囲の孔の大きさを有していてよく、通常、孔の大きさは0.1〜250μm、有利には0.2〜200μm、特に有利には0.3〜150μm、およびとりわけ有利には0.5〜100μmである。
【0022】
開口部もしくはノズルは、それぞれ考えられる幾何学的形状を有していてよく、これらはたとえば円形、楕円形、場合によっては丸みを有していてもよい、任意の数の角を有する多角形であるか、または星形であってもよい。有利には開口部は円形を有する。
【0023】
入口ノズルの開口部は通常、0.05mm〜1cm、有利には0.08mm〜0.8mm、特に有利には0.1〜0.5mmおよびとりわけ0.2〜0.4mmの直径を有している。出口オリフィス板の開口部は通常、0.5mm〜1cm、有利には5mm〜50mm、特に有利には10〜20mmの直径を有している。
【0024】
両方のオリフィス板は有利には、開口部もしくはノズルが相互に軸方向に配置されているように構成されている。軸方向の配置とは、ノズル開口部の形状寸法により生じる流れ方向が両方のオリフィス板において同一であることと理解すべきである。入口ノズルおよび出口ノズルの開口部の方向は、このために、1つの線上に存在していてはならず、たとえば上記の記載から明らかであるように、平行してずれた位置に配置されていてもよい。有利にはオリフィス板は平行して配置されている。
【0025】
しかし、その他の形状、特に平行でないオリフィス板または入口ノズルおよび出口ノズルの異なった開口部の方向が可能である。2オリフィス板システム(入口および出口オリフィス板)では、上記のとおり、より大きな開口部を有する出口ノズルを有する。このことにより乱流が沈静化される。この場合、衝突板は不要である。
【0026】
オリフィス板の厚さは任意であってよい。有利にはオリフィス板は、0.1〜100mm、有利には0.5〜30mmおよび特に有利には1〜10mmの範囲の厚さを有している。この場合、オリフィス板の厚さ(I)は、開口部の直径(d)と、厚さ(I)とからの商が、1:1、有利には1:1.5および特に有利には1:2の範囲であるように選択されている。
【0027】
両方のオリフィス板の間の中空部は、任意の長さであってよく、通常、中空部の長さは1〜500mm、有利には10〜300mmおよび特に有利には20〜100mmである。
【0028】
オリフィス板の間の中空部には、スタチックミキサーが存在していてもよく、該ミキサーは両方のオリフィス板の間の区間全体にわたっていても、または部分的であってもよい。有利にはスタチックミキサーは両方のオリフィス板の間の中空部の間の全長さにわたって延びている。スタチックミキサーは当業者に公知である。これは、たとえばバルブ式ミキサーであってよいし、穿孔を有するスタチックミキサーであっても、波形の円板からなるか、もしくは相互にかみ合うリブからなるミキサーであってもよい。さらに、らせん形もしくはN型のスタチックミキサーであるか、または加熱もしくは冷却可能な混合部材を有するミキサーであってもよい。
【0029】
スタチックミキサーに加えて、両方のオリフィス板の間の中空部で、さらに機械的なエネルギー導入を行うことができる。エネルギーはたとえば機械的な揺動、超音波または回転エネルギーの形で導入することができる。このことにより乱流が生じ、この乱流によって中空部の粒子が凝集しなくなる。
【0030】
実施態様b)
この第一の変法に代えて、混合装置は、少なくとも1の入口ノズルを有するオリフィス板および衝突板からなっていてもよく、その際、オリフィス板と衝突板との間の中空部には、場合によりスタチックミキサーが存在している。スタチックミキサーに代えて、またはスタチックミキサーに加えて、中空部で機械的エネルギーの導入を行うことができる。
【0031】
入口ノズルを有するオリフィス板、スタチックミキサーを有する中空部および機械的なエネルギー導入部に関しては上記が該当する。
【0032】
この変法では、第二のオリフィス板が衝突板によって代用されている。衝突板は通常、衝突板が設置されている場所では、管の直径よりも0.5〜20%、有利には1〜10%小さい直径を有する。
【0033】
一般に、衝突板は任意の形状寸法を有していてよく、有利であるのは円形の板の形であり、従って前面からみるとリング形のギャップがみられる。たとえばスリットまたは流路の形も考えられる。
【0034】
衝突板は、第二のオリフィス板と同様に、上記の方法では第一のオリフィス板に対して異なった間隔で配置されていてもよい。このことにより、オリフィス板と衝突板との間の中空部は、任意の長さであり、中空部の長さは通常1〜500mm、有利には10〜300mmおよび特に有利には20〜100mmである。
【0035】
本発明による方法は、従来技術から公知の方法に対して、いくつかの利点を有している。というのも、高い分子量を有するポリヒドロキシアルカノエートの特に高い収率が得られるからである。特に50000〜2000000、およびとりわけ100000〜200000のMnを有するポリヒドロキシアルカノエートをこの後処理変法によって実現することができる。
【0036】
本発明による方法によって粗エマルションから微細なエマルションへの乳化を行う温度は、通常0〜150℃、有利には5〜80℃、特に有利には20〜40℃である。この場合、装置中で使用される全ての均質化装置は温度調整可能である。
【0037】
均質化は通常、大気圧より高い圧力で、つまり>1バールで実施される。しかしこの場合、圧力は10000バールの値を超えることはなく、従って有利には均質化圧力を>1バール〜10000バール、有利には5〜2500バールおよび特に有利には100〜2000バールに調整する。
【0038】
本発明による方法において使用される産生細胞の濃度は、約20〜300g/L、有利には50〜220g/Lである。
【0039】
この場合、産生細胞とは、任意の種類の細胞または細胞層をいう。特に動物、植物または微生物に由来する細胞である。同様に有利であるのは、組み換え有機体の産生細胞である。特に好適な産生細胞は、原核生物(古細菌を含む)であるか、または真核生物、特に好塩性細菌およびメタノコッカス属を含む細菌、真菌、昆虫細胞、植物細胞および哺乳動物の細胞、特に有利であるのはアルカリゲネス・ユートロフス、大腸菌、枯草菌、巨大菌、麹菌、アスペルギルス・ニジュランス、黒色麹菌、ピチア・パストリス、シュードモナス種、乳酸菌、ハンゼヌラ・ポリモルファ、トリコデルマ・レーセイ、SF9(もしくは類似の細胞)である。特に有利であるのは微生物アルカリゲネス・ユートロフスである。
【0040】
産生細胞は、培養(たとえば発酵)後に直接、本発明による方法において使用することができる。しかし、産生細胞をまず、たとえば滅菌により死滅させ、かつ場合により細胞材料を培地の濾過により富化することも可能である。
【0041】
ポリヒドロキシアルカノエートとは、生物工学的に製造したポリマーであると理解される。これらは特に、ポリ−3−ヒドロキシブチレート(P−3HB)、ポリ−3−ヒドロキシ−ブチレート/コ−3−ヒドロキシバレリアネート(P−3HB−コ−3HV)、ポリ−3−ヒドロキシブチレート/コ−4−ヒドロキシブチレート(P−3HB−コ−4HB)、ポリ−3−ヒドロキシブチレート/コ−3−ヒドロキシヘキサノエート(P−3HB−コ−3HHx)またはポリ−3−ヒドロキシブチレート/コ−3−ヒドロキシオクタノエート(P−3HB−コ−3HO)であると理解すべきである。
【0042】
使用される装置:
実施例では、産生細胞を破砕するための高圧ホモジナイザーとして、以下の装置Iを選択した。入口ノズルとして、14×0.2mmの大きさの穿孔を有するオリフィス板を使用した。発酵ブロスは懸濁液として存在し、かつ約2000気圧の圧力で、オリフィス板を通って押し出された。中空部(長さ15mmおよび直径8mm)では懸濁液が、出口ノズルとして機能する第二のオリフィス板へ移動する前に乱流を形成する。細胞懸濁液は円すい形の穿孔を通過して出口オリフィス板へと案内され、次いでオリフィス板ブロックの単一の穿孔(直径1.5mm)から排出される。出口オリフィス板は、入口ノズルの穿孔に対して中心部に配置されている。
【0043】
ジェット式分離装置として、GEA Westfalia社のHFC−15タイプの装置を使用した。
【0044】
例1:アルカリゲネス・ユートロフス産生細胞からの3−ヒドロキシ−ポリヒドロキシブチレート(3−PHB)の単離
i)アルカリゲネス・ユートロフス産生細胞中での3−ヒドロキシポリヒドロキシブチレートの発酵:
発酵は、Kim、Lee、Lee、Chang、ChangおよびWoo著のBiotechnology and Bioengineering、第43巻、第892〜898頁(1994)に記載されているとおりに行った。
【0045】
ii)細胞の破砕および3−PHB粒子の分離:
バイオドライマス90g/l(うちPHB80%)の含有率を有するアルカリゲネス・ユートロフス発酵ブロス3300リットルを、発酵の完了後に発酵槽中で2℃に冷却した。次いで該ブロスを高圧ホモジナイザーにより圧力2000バールで処理した。圧力は最初に構成しなくてはならなかったので、ブロスの最初の1リットルを別に回収し、かつ発酵槽へ返送した。発酵ブロスは完全に高圧ホモジナイザーで処理した。
【0046】
細胞破砕の有効性は、適切な培地上での発酵ブロスの平板培養により、破砕の前および後に測定した。生細胞数は、破砕前に5×1010cfu/ml(=100%)であった。細胞破砕後に、生細胞数を同様に測定した。その数は、5×106cfu/mlであった。これは、99.99%の高圧での破砕の効率に相応した。
【0047】
次いで細胞ホモジネートをGEA Westfalia社のHFC−15タイプのジェット式分離装置により処理した。遠心分離力により分離された材料(濃縮物)は、分離されなかった細胞片(オーバーフロー)から分離して回収した。全乾燥物質およびPHB濃度をそれぞれ測定した(結果は表の下欄を参照)。濃縮物を脱塩水で当初の出発体積まで希釈し、改めて遠心分離した。この過程を再度繰り返した。
【0048】
iii)3−PHB−粒子の乾燥
ii)から得られた3−PHB懸濁液を、慣用の噴霧乾燥器中で噴霧乾燥させた。乾燥ガスは窒素であり、ガス入口温度は200℃であり、ガス出口温度は90℃であった。PHB懸濁液を、二流体ノズルにより噴霧した。乾燥生成物をスターホイールロックによりガス流から分離した。試験結果は以下の表に記載されている。
【0049】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
産生細胞からポリヒドロキシアルカノエートを単離する方法において、
i)産生細胞を破砕し、かつ引き続き
ii)連続的に運転するジェット式分離装置を用いて、ポリヒドロキシアルカノエート粒子から細胞断片を分離する
ことを特徴とする、産生細胞からポリヒドロキシアルカノエートを単離する方法。
【請求項2】
工程i)において高圧ホモジナイズ装置を用いて産生細胞を破砕することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ホモジナイズ装置が、
a)少なくとも1の入口ノズルを有するオリフィス板と、少なくとも1の出口ノズルを有するオリフィス板とからなり、その際、前記オリフィス板の間の中空部において、場合によりさらに機械的なエネルギー導入を行うか、または
b)少なくとも1の入口ノズルを有するオリフィス板と、衝突板とからなり、その際、オリフィス板と衝突板との間の中空部において、場合により機械的なエネルギー導入を行う
ことを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
産生細胞が、組み換え有機体であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ポリヒドロキシアルカノエートが、ポリ−3−ヒドロキシブチレート(P−3HB)、ポリ−3−ヒドロキシ−ブチレート/コ−3−ヒドロキシバレリアネート(P−3HB−コ−3HV)、ポリ−3−ヒドロキシブチレート/コ−4−ヒドロキシブチレート(P−3HB−コ−4HB)、ポリ−3−ヒドロキシブチレート/コ−3−ヒドロキシヘキサノエート(P−3HB−コ−3HHx)またはポリ−3−ヒドロキシブチレート/コ−3−ヒドロキシオクタノエート(P−3HB−コ−3HO)であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項6】
産生細胞をホモジナイズ前に死滅させることを特徴とする、請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2009−537161(P2009−537161A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511469(P2009−511469)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054731
【国際公開番号】WO2007/135039
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】