説明

発酵処理装置

【課題】供給管の配管を合成樹脂製の表層材によって簡単且つ低コストで行うと共に、供給管を配管溝内で保護し各ノズル孔から噴出するエアによる好気性発酵を均質に行うことができる発酵処理装置を提供する。
【解決手段】本発明は、好気性発酵する処理物を表面側に積層する床面6上に、床面6を覆う表層材2を固定的に敷き詰め、該表層材2の層厚内に高圧エアの供給部に接続され外周に向って、高圧エア噴出用の多数の微小径のノズル孔7を設けた供給管1を配管した発酵処理装置に関する。上記表層材2を所定の弾力性と剛性を備えた合成樹脂製の板状部材とし、該表層材2を複数枚並べて敷き詰め、隣接表層材2の間に供給管1を収容して配管する溝状の配管用目地11を形成し、該供給管1を表層材2の層厚内に納まるように該配管用目地11内に固定的に配管してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マット面上に積層される畜糞や生ゴミ等好気性発酵をする有機質材料を、供給管から噴出させるエアによって好気性発酵を行わせる発酵処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、堆肥舎等の床面に複数のマットを敷設しマット内に高圧エア供給部と接続する供給管を配管し、マット面に積層される堆肥材料(以下処理物と言う)に供給管のノズル体からエアを噴出して好気性発酵を行わせる発酵処理装置は既に公知である(例えば特許文献1。)。
【特許文献1】特開2006−198566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1で示される発酵処理装置は、供給管を内装したマットを敷設する際に、隣接するマットの供給管を互いに接続することにより、マット全体に対する配管を簡単に行うことができる利点がある。然し、この発酵処理装置はマット内に供給管を挿入しておくための取付孔やノズル開放孔等の複雑な加工、及び取付孔に供給管を挿入する煩雑な作業を要するため、マットの製造コストが高くなると共に、マット重量も増大し敷設作業に困難を伴う等の欠点がある。
【0004】
またボブキャットやバッケットローダ等の作業車両を使用して、堆肥の荷下ろしや取り出し或いは切り返し等の車両作業(バケット作業)を行うとき、タイヤが供給管の上方を走行する際に踏圧重量が供給管に直接的に掛かるので、マット内の供給管の変形や破損を伴い易いという欠点がある。また作業車両が上面を移動する際にマットがタイヤによって後方にたぐり寄せられて、供給配管の変形・破損を生じたり、マットの剥離を生じる欠点がある。従って上記構造からなるマットを使用した発酵処理装置は、長期にわたり安定した処理物の発酵処理を均質に行うことが困難である等の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための発酵処理装置は、第1に、好気性発酵する処理物を表面側に積層する床面6上に、床面6を覆う表層材2を固定的に敷き詰め、該表層材2の層厚内に高圧エアの供給部に接続され外周に向って、高圧エア噴出用の多数の微小径のノズル孔7を設けた供給管1を配管した発酵処理装置において、上記表層材2を所定の弾力性と剛性を備えた合成樹脂製の板状部材とし、該表層材2を複数枚並べて敷き詰め、隣接表層材2との間に供給管1を収容して配管する溝状の配管用目地11を形成し、該供給管1を表層材2の層厚内に納まるように該配管用目地11内に固定的に配管してなることを特徴としている。
【0006】
第2に、表層材2の弾力性と剛性が、床面6上の処理物を処理するバケットローダその他の作業車両による処理作業時に、表層材2の圧縮による大きい弾性変形を防止し走行部表面とのグリップ性を確保するとともに、表層材2自体及び供給管1の損傷を防止するのに必要な弾力性及び剛性であることを特徴としている。
【0007】
第3に、表層材2が発泡合成樹脂製材料を成形したものであることを特徴としている。
【0008】
第4に、表層材2がオレフィンゴムを含有することを特徴としている。
【0009】
第5に、各表層材2が縦長の同一厚みの板状材であり、複数の板状材の側辺を隣接させて同方向に並べて配置するとともに、適宜間隔毎に直線状の配管用目地11を形成し、該配管用目地11内に供給管1を収容して配管したことを特徴としている。
【0010】
第6に、配管用目地11の少なくとも床面側及び左右両側壁側内面と供給管1の周面との間にコーキング材を充填して供給管1を固定することを特徴としている。
【0011】
第7に、表層材2の裏面を床面6の表面に接着剤により接着固定してなることを特徴としている。
【0012】
第8に、隣接し合う表層材2の間に、作業車両による処理作業時に作業車両の走行部の接地及び作業機の接触に耐え得る硬質材よりなるガード部材5を介挿してなることを特徴としている。
【0013】
第9に、ガード部材5が板状断面であり、該板状断面の上部端面が表層材2の表面近傍に位置することを特徴としている。
【0014】
第10に、ガード部材5を表層材2の隣接側面と床面6との少なくとも一方の面に固着してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成した発酵処理装置は次のような効果を奏する。弾力性と剛性を備える合成樹脂製板で形成される表層材を、床面に対し隣接する表層材との間で供給管を挿入する配管用目地を設けて固定し、該配管用目地に供給管を表層材厚さ内に沿わせて設けることにより、供給管の配管を簡単な表層材の構成によって廉価に行うことができる。また供給管を配管用目地内で表層材によって保護した状態で配管するので、堆肥の切り返し等の車両作業を行う際に、タイヤの踏圧走行に対し配管用目地及び表層材が供給管の損傷を防止する。そして、積層される処理物の下部に各ノズル体から噴出するエアを均等に供給し、好気性発酵を広い範囲で均質に行うことができる。
【0016】
配管用目地と供給管との間に形成した横スペースと下スペースに、コーキング剤を充填することにより、供給管をコーキング剤によって配管用目地内の所定位置に支持して配管保護を確実に行うことができる。また、横スペースと下スペースに充填したコーキング剤によって処理物の溝内奥への侵入を防止するので、表層材面の清掃を行い易くすると共に、溝方向に隣接するノズル体から噴出されるエアを溝の上スペースで連通させて広い範囲で処理物に供給することができる。
【0017】
隣接する複数の供給管を配管して形成される配管間隔内に、同一形状の表層材を同方向に複数接当させて敷設固定することにより、分割され軽量化した複数の表層材により配管間隔内に平坦な表層材面を簡単に形成することができる。
【0018】
床面に対し表層材を接着剤により接着することにより、表層材の敷設及び固定を簡単且つ確実に行うことができ、且つ表層材面上で行なわれる堆肥の切り返し等の車両作業時に、タイヤとのグリップ性を高め表層材の剥離を防ぐことができ、また配管用目地に設置される供給管の損傷を防止することができる。
隣接床材間にガード部材が介挿されているので、表層材上面を処理作業車が走行し又はさらに作業機で処理作業を行う際の表層材の剥離や変形、表面損傷等が防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は地面または床面にエアを噴出する複数の供給管1を配管間隔を有して配管し、該配管間隔内に表層材2を敷設した発酵処理装置3の全体斜視図である。図2は図1の要部の構成を示す平面図である。
図3は図2の正面図である。図4は図2のA−A線断面図であり供給管1の配管構造とノズル部4の構造を拡大して示す。図5は図2のB−B線断面図であり隣接する表層材2の間に設けるガード部材5を示す。
【0020】
上記発酵処理装置3の構成について図2〜図5参照し説明する。この発酵処理装置3は、コンクリート等で剛性を供えた平坦面に形成された床面6に複数の板状の表層材2を敷き詰めて敷設して形成される広い表層材面上に処理物を積層させ、該処理物に対し床面側に配管されて高圧エア供給部に接続される供給管1のノズル体4からエアを供給し、処理物の好気性発酵を促進する。
そして、上記複数の供給管1を配管して形成される各配管間隔に、表層材2が敷設されて平坦な一連の床面を構成し、処理物の発酵処理促進と、バケットローダ等の作業車両を使用して行う処理物の運搬や切り返し等の作業を行う。
【0021】
発酵処理装置3の各部の構成について説明する。先ず供給管1はステンレス材又は耐アルカリ性の合成樹脂材等からなる棒状のパイプであり、この実施形態では合成樹脂材製で外径15〜20ミリ程度の肉厚パイプとなし、長方形状の表層材2の長手方向に沿って配管され、その中途に特許文献1で示されるものと同様な複数のノズル部4を、所定のエア噴出間隔(ノズルピッチ)を有して設け、パイプ先端を閉じている。
【0022】
上記ノズル体4は図4で示すように、中心部にエア噴出用の微小径のノズル孔7を穿設し、ノズル孔7の表面側にノズル孔の径を拡大して開放する凹部からなる座ぐり孔8を形成している。径の大きい座ぐり孔8は凹部を平面視多角形状となし、側断面視で内周壁を形成する立壁の下部に上向きのノズル孔7を拡開状とする斜面によって底部を形成している。またノズル体4は供給管1の上面側にノズルピッチ毎に穿設した取付孔にねじ込み嵌合して固定している。
この構成によりノズル体4は、積層される処理物の細片が凹部内に侵入又は侵入しようとするとき、座ぐり孔8に跨がったり立壁や斜面に接当して支持されるため、凹部内に侵入した細片によるノズル孔の目詰まりを防止することができる。これにより各ノズル体4からエアの上方への通気を妨げられることなく、各ノズル孔7から高圧エアの噴出を均等に行うことができる。
【0023】
表層材2は一定の弾力性と剛性を備える発泡合成樹脂製の縦長形状の板としており、縦(長さ)4000ミリ,横(幅)200ミリ,厚さ20〜30ミリ程度にしている。これにより床面6に対し表層材2を互いの縦辺(長辺)を接当させた状態で並べて敷設すると、所望の広さで平坦な表層材面を簡単に形成することができる。また上記のようにして一連に形成される平坦な表層材面には、所定間隔毎に供給管1を配管する際の溝状の配管用目地11を設けている。即ち、上記供給管1の配管間隔内の単位表層材面は、製作及び敷設施工等が行い易い幅と長さに分割形成された同形状の表層材2を複数並べて形成するので、表層材2の製造及び敷設作業を行い易くすることができる。
【0024】
また合成樹脂製で上記サイズ程度に分割形成される各表層材2は、床面6に対し接着剤による接着固定を行い、表層材2の敷設固定を強固にすることができる。また複数の表層材2の敷設固定によって形成される表層材面は、一定の弾力性と剛性を有し作業車両のタイヤの凹凸に馴染み表面摩擦を高めて接するため、作業車・走行時のタイヤとのグリップ性を向上させてスリップを防止したスムーズな走行を可能にする。尚、表層材2の弾力性と剛性は作業車両が乗り上げて作業する際に、表層材が大きく弾性変形せずタイヤのグリップ性を損なわないで、且つ表層材の折損や亀裂を生じない程度のものであり、さらにショベル等の作業機の先端による表面の損傷を生じない程度のものが求められる。
【0025】
従って、前後進並びに回向走行を頻繁に行う車両作業を、堆肥が散在してスリップし易い表層材面上をスムーズに走行させることができる。また強固に固定される各表層材2は、タイヤのスリップ回転に伴うたくなりによる変形や床面6との剥離を防止し表層材面の耐久性が向上する。
また実施形態の表層材2は、ポリプロピレンを主材とした廃棄合成樹脂材を再生加工することにより低コスト量産を可能にし、耐食性、耐薬品性、耐油性等を備えている。この際に発泡加工を行うことにより資材の軽量化(例えば比重0.65〜0.79のように1以下の低比重である)、使用材料の低減、切断加工や釘打加工等の加工性、断熱性及び強度等の向上を図り、オレフィンゴム等の調整材を混入することにより、作業車のタイヤとのグリップ性を高めている。また細粒砂や廃棄鉱物粒等の粒状体を一定割合で混入すると、強度及び耐磨耗性を高め、また表面の凹凸を調整することができる。
【0026】
本実施例では商品名「エコマウッド」と称される市販品(製造販売元 島根県米子市 山陰クリエート社)が使用されており、曲げ、圧縮、縦引張り、せん断の各応力値はそれぞれ木材と略同等であり、各降伏点を超えた後の破壊が生じにくい。
【0027】
また供給管1の両側に表層材面を形成する際に、供給管1の左右両側に隣接させる表層材2は、隣接する長辺の間隔を25〜30ミリ程度離間させて配管用目地11(管設置間隙)を形成するように並べて固定する。このとき供給管1を配管用目地11内に沿って挿入すると、供給管1の左右に5ミリ程度の横スペースと、表層材2の板厚による高さ内で5ミリ程度の上下スペースを設けている。
【0028】
従って、上記横スペースと下スペースには、配管用目地11の上方から接着剤やシリコンゴム等のコーキング剤を充分に且つ簡単に充填することができる。これにより縦方向に長い供給管1は、配管用目地11で所定の下スペース高さを保持し、且つ左右の表層材2との位置決め固定と溝内配管を精度よく行うことができる。また配管後はコーキング剤の充填によって溝内奥への処理物の侵入を防止すると共に、表層材面の清掃時に溝内にある処理物を溝に沿って簡単に除去することができる。
【0029】
また配管用目地11内に上スペースを有して配管される供給管1は、該上スペースが積層される処理物の加圧を緩和させるため、ノズル体4の座ぐり孔8が強く塞がれることなくノズル孔7からエアを処理物に安定供給することができる。さらに縦方向に隣接する各ノズル体4から噴出されるエアは溝方向に連通させることもできるので、配管及び配管用目地11の全長を利用してエアを処理物に広い範囲で供給し発酵処理を促進することができる。また供給管1は配管用目地11によって作業車両のタイヤとの直接的な接触を防止すると共に、タイヤの踏圧力を左右の表層材2と溝上の処理物を介して受け且つコーキング剤を介して支持されるので、供給管1の変形や破損を長期にわたり防止することができる等の利点がある。
【0030】
そして、上記のように配管用目地11に設置する供給管1は基部側を、図示しない高圧エア供給装置と高圧エア供給管12を介して接続される接続管13に対し、T型又はL型をなすジョイント14を介して着脱自在に接続するようにしている。この際に予め供給管1の基部にソケット15を装着しておくと、供給管1にネジ部を形成することなくソケット15を介してジョイント14に簡単に取付けることができる。
尚、上記T型のジョイント14は、左右に略配管間隔長さの接続管13を接続した状態で供給管1を接続し、図示しないL型のジョイントは接続管13の最側端で供給管1を接続することにより、一連の配管を構成することができる。
【0031】
次に図2〜図5を参照し、上記のように構成される発酵処理装置3を建物(堆肥舎)の設置区画に設置する施工例について説明する。先ず上記設置区画は床面6がコンクリートによって平坦面状に仕上げられており、この床面6の所要部分に接着剤を塗布したのち該塗布面に4枚の表層材2を縦方向に並べて貼り付け第1区の表層材面を形成して表層材敷設施工をする。このとき表層材2は予め裏面に接着剤を塗布して敷設することもできる。
【0032】
次いで隣の第2区を施工するとき、第1区の表層材2との間に配管用目地11を形成するように接着剤の塗布と4枚の表層材2の貼り付けを行う。以下同様に第2区と第3区の間に配管用目地11を形成し、第4区以降も同様の施工を繰り返すことにより、全設置区画に対し平坦な表層材面の形成と、配管間隔毎に配管用目地11を精度よく形成することができる。
このとき図2で示すように、表層材2は横辺側を壁や柵等の側体16の基部に沿って、前記接続管13を挿入配管する幅の配管用目地11を形成するように位置決めをしながら敷設する。
【0033】
上記のような敷設作業において、表層材2は押圧しながら敷設されることに伴い、該表層材2の側端から押し出される接着剤が配管用目地11内にはみ出して盛り上がるので、表層材側端の接着固定を確実にすると共に、盛り上がる接着剤部分に各管を載置することができ、後述する配管作業において各管の溝内位置決め作業を行い易くすることができる利点がある。尚、設置区画の側体16には、予め前記高圧エア供給管12を通す通孔17を開けておくことが望ましい。
【0034】
また上記のように複数の表層材2を敷設するとき、隣接する表層材2の間にガード部材5を介装して敷設することが望ましい。実施形態のガード部材5はステンレス鋼等の金属製又は耐摩耗性と比較的硬質で耐圧強度を備えた合成樹脂製からなる方形断面形状としており、表層材2の厚みより僅かに(例えば1〜2mm)突出する程度とし幅を10ミリ程度にしている。このガード部材5の設置作業は、先ず接着剤を塗布した床面6に左右の表層材2をガード部材5の挿入間隔を有して敷設する。次いで、前記溝と同様にはみ出て盛り上がる接着剤が貯まった状態になる挿入間隔にガード部材5を挿入し床面6に押し付ける。このときガード部材5と表層材2の接合面に接着剤を必要により塗布すると、両者間に隙間を生じさせることなく接着することができる。
【0035】
これによりガード部材5の上面は表層材2の表面近傍の高さで足りるが、図示するように表層材2の長手方向に沿って僅かに突出するので、作業車両が縦(長手)方向に沿って堆肥の切り返し作業や供給取り出し等のバケット作業を行うとき、バケットのエッジは先ず硬いガード部材5の表面に接当し、表層材2の直接的な損傷を防止することができる。また作業車両はバケットのエッジをガード部材5の表面に摺動させることができるので、バケットによる各種の作業を能率よく行うことができる。またガード部材5は隣接して接合する表層材2の側辺を補強し、タイヤとのグリップ性を向上させることができる。
【0036】
以上のように施工し構成される発酵処理装置3は、一定の弾力性と剛性を備える合成樹脂製板で形成した表層材2を配管用目地11を設けて接着固定するので、各供給管1は表層材2によって保護された状態でしっかりと配管固定され、各ノズル体4から噴出するエアを、積層された処理物の下部から均等に供給する。また床面6に対し敷設された合成樹脂製の表層材2は断熱材となり処理物の発酵温度の上昇を促進し、好気性発酵を広い範囲で均質に行うことができ、良質な堆肥等の処理製品を能率よく生産することができる。また供給管1はノズル体4がノズル孔7に上向きに開口する座ぐり孔8を有していること、及び配管用目地11内で表層材面より下位に設置していることにより、目詰まりが防止され高圧エアの噴出をスムーズに行うので、ノズル部のメンテナンス作業を省力化した好気性発酵処理を能率よく低コストで行うことができる。
【0037】
尚、一般的に作業車輌は側体16の開放された入口から入り、前進及び後進走行によって処理物の切り返し作業を行うので、各供給管1は作業車輔の走行方向に沿って車輪が踏まないように配管することが望ましい。また図示例の発酵処理装置3は堆肥舎に設置した堆肥を発酵処理する例について示したが、屋外の地表にも簡単に設置することができるものであり、この場合には上敷き用のシートを敷いた上に表層材2を敷き並べ、アンカボルト或いは止め杭等の固定手段によって地面に固定すると、発酵処理装置3の設置及び撤去を容易にすることができる。また積層される処理物には上方から保温用のシートで覆うことが望ましい。また処理物は堆肥に限定することなく多様な有機物に対する発酵処理や乾燥処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の発酵処理装置を堆肥舎に設置した状態を示す斜視図である。
【図2】図1の要部の構成を示す平面図である。
【図3】図2の平要部の構成を拡大して示す正面図である。
【図4】図2のA−A線断面図である。
【図5】図2のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 供給管
2 表層材
3 発酵処理装置
6 床面
7 ノズル孔
11 配管用目地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好気性発酵する処理物を表面側に積層する床面(6)上に、床面(6)を覆う表層材(2)を固定的に敷き詰め、該表層材(2)の層厚内に高圧エアの供給部に接続され外周に向って、高圧エア噴出用の多数の微小径のノズル孔(7)を設けた供給管(1)を配管した発酵処理装置において、上記表層材(2)を所定の弾力性と剛性を備えた合成樹脂製の板状部材とし、該表層材(2)を複数枚並べて敷き詰め、隣接表層材(2)との間に供給管(1)を収容して配管する溝状の配管用目地(11)を形成し、該供給管(1)を表層材(2)の層厚内に納まるように該配管用目地(11)内に固定的に配管してなる発酵処理装置。
【請求項2】
表層材(2)の弾力性と剛性が、床面(6)上の処理物を処理するバケットローダその他の作業車両による処理作業時に、表層材(2)の圧縮による大きい弾性変形を防止し走行部表面とのグリップ性を確保するとともに、表層材(2)自体及び供給管(1)の損傷を防止するのに必要な弾力性及び剛性である請求項1の発酵処理装置。
【請求項3】
表層材(2)が発泡合成樹脂製材料を成形したものである請求項1又は2の発酵処理装置。
【請求項4】
表層材(2)がオレフィンゴムを含有する請求項1,2又は3の発酵処理装置。
【請求項5】
各表層材(2)が縦長の同一厚みの板状材であり、複数の板状材の側辺を隣接させて同方向に並べて配置するとともに、適宜間隔毎に直線状の配管用目地(11)を形成し、該配管用目地(11)内に供給管(1)を収容して配管した請求項1,2,3又は4の発酵処理装置。
【請求項6】
配管用目地(11)の少なくとも床面側及び左右両側壁側内面と供給管(1)の周面との間にコーキング材を充填して供給管(1)を固定する請求項1,2,3,4又は5の発酵処理装置。
【請求項7】
表層材(2)の裏面を床面(6)の表面に接着剤により接着固定してなる請求項1,2,3,4,5又は6の発酵処理装置。
【請求項8】
隣接し合う表層材(2)の間に、作業車両による処理作業時に作業車両の走行部の接地及び作業機の接触に耐え得る硬質材よりなるガード部材(5)を介挿してなる請求項1,2,3,4,5,6又は7の発酵処理装置。
【請求項9】
ガード部材(5)が板状断面であり、該板状断面の上部端面が表層材(2)の表面近傍に位置する請求項8の発酵処理装置。
【請求項10】
ガード部材(5)を表層材(2)の隣接側面と床面(6)との少なくとも一方の面に固着してなる請求項8又は9の発酵処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−226308(P2009−226308A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74681(P2008−74681)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(599039212)株式会社ミライエ (1)
【Fターム(参考)】