説明

発電式水栓の電源回路

【課題】負荷が変動しても常に高い効率で電力を供給でき、発電機からの出力が少なくても、発電式水栓の機能を維持できる電源回路を提供する。
【解決手段】給水管を流れる水の流れによって発電する発電機60と、ダイオードブリッジ10で整流した電流を蓄電するリチウムイオンキャパシタ75と、リチウムイオンキャパシタ75で蓄電している電流で吐水制御を行う制御部と、吐止水弁85と制御部とに供給する電圧を調整する電圧調整回路と、を備える発電式水栓の電源回路1において、電圧調整回路として、小電力供給時に効率が高い小電力高効率電圧調整回路50と、大電力供給時に効率が高い大電力高効率電圧調整回路52と、が設けられており、少なくとも吐止水弁85は、大電力高効率電圧調整回路52から供給される電力によって駆動し、制御部は、小電力高効率電圧調整回路50から供給される電力によって駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電式水栓の電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の給水装置や衛生設備機器では、水の流れによって発電すると共に発電した電力を蓄電し、この蓄電した電力を用いて各電磁弁を作動させているものがある。例えば、特許文献1に記載されている電力供給システムでは、蓄電手段として充電可能電池が用いられており、給水時の水流によって発電機で発電した電流を、充電可能電池に充電している。この電力供給システムは、衛生設備機器の駆動機器を作動させるシステムになっており、充電可能電池に充電した電力は、電磁弁制御回路を介して電磁弁に供給されて、各電磁弁を作動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−102601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電磁弁を作動させることにより吐水の制御を行う給水装置等では、充電可能電池等の蓄電素子に蓄電した電力を電磁弁制御回路等の電力消費回路を作動させるのに都合の良い電圧調整する電圧調整回路を設けることが多い。この電圧調整回路を流れる電流は、電磁弁の静止時は数μA〜数100μA程度であるのに対し、電磁弁駆動時は数100mA〜1Aとなり、電流値が大きくなる。一方、電圧調整回路は、その採用する方式によって効率が良い電流の大きさの範囲が異なっており、大電流で効率が良い電圧調整回路では、小電流時に効率が比較的悪くなる。このため、給水装置で使用する電源回路で用いる電圧調整回路を、電磁弁の駆動時の電流に合わせて大電流時に効率が良いものを使用すると、当該回路において時間割合のほとんどを占める小電流時では、効率が低下し易くなる。
【0005】
これに対し、小電流時に効率が良い電圧調整回路を使用した場合、大電力時には効率が低下したり出力電圧が下降してしまい易い。この場合、電磁弁を適切に駆動することが困難なため、高価で容積の大きな大容量のコンデンサを設けて出力電圧を安定させる等の対策を行っていた。
【0006】
従来の発電式水栓の電源回路の一例を、図2を用いて説明する。吐水や止水を切替える電磁弁112と、水の流れを用いて発電をする発電機110と、発電機110で発電した電流を蓄電する蓄電素子108と、蓄電素子108の蓄電量が低下した場合における補助の電源である補助電池114と、を有する電源回路100では、制御部102で電磁弁112の駆動制御を行うことにより、吐水や止水を切替える。また、蓄電素子108に蓄電されている電圧を調整して制御部102や電磁弁112に供給すると共に、ダイオード等の素子を含んで構成される電圧調整回路104を有している。しかし、制御部102と電磁弁112とでは、上述したように駆動時における電力が大きく異なっている。
【0007】
このため、このような電源回路100では、電圧調整回路104は、駆動時間が圧倒的に長い制御部102に合わせて小電流時に効率が良いものを使用する。しかし、この電圧調整回路104は大電流出力時に給電能力が不足し、そのため出力の電圧降下が大きく、電磁弁112を駆動することが困難になる。このため、このような電源回路100では、電磁弁112を駆動する際における電力を確保できるように、大容量コンデンサ106を設け、制御部102と電磁弁112との双方の駆動性を確保する。このように、発電量が少ない発電機からの出力によって負荷の大きさがことなる複数の装置を駆動させる場合、各装置を適切に駆動させることは、大変困難なものとなっていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、負荷が変動しても常に高い効率で電力を供給でき、それによって発電量が少ない発電機からの出力でも、発電式水栓の機能を維持できる電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る発電式水栓の電源回路は、給水管を流れる水の流れによって発電をする発電機と、整流回路で整流した電流を蓄電する蓄電手段と、前記蓄電手段で蓄電している電流によって電磁弁を駆動させることにより吐水の制御を行う制御部と、前記電磁弁と前記制御部とに供給する電力の電圧を調整する電圧調整回路と、を備える発電式水栓の電源回路において、前記電圧調整回路として、小電力供給時に効率が高い小電力高効率電圧調整回路と、大電力供給時に効率が高い大電力高効率電圧調整回路と、が設けられており、少なくとも前記電磁弁は、前記大電力高効率電圧調整回路から供給される電力によって駆動し、前記制御部は、前記小電力高効率電圧調整回路から供給される電力によって駆動することを特徴とする。
【0010】
また、上記発電式水栓の電源回路において、少なくとも前記電磁弁の駆動に用いる電源はリチウムイオンキャパシタを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る発電式水栓の電源回路は、負荷に最適な効率で電力を供給でき、発電量が少ない発電機からの出力でも、容易に発電式水栓を構成することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施形態に係る発電式水栓の電源回路の構成例を示す摸式図である。
【図2】図2は、従来の発電式水栓の電源回路を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る発電式水栓の電源回路の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る発電式水栓の電源回路の構成例を示す摸式図である。同図に示す電源回路1は、水栓の吐水口の付近に差し出された手を、吐水口の近傍に設けられる検出センサ44によって検知し、吐水口から自動吐水する自動水栓の電源回路1として構成されている。また、この自動水栓は、給水管を流れる水の流れによって発電をする発電機60によって発電した電力で、電磁弁である吐止水弁85を駆動することにより吐水や止水を切り替える発電式水栓になっている。発電機60は、吐水口から吐水する水が流れる給水管内に、水の流れによって回転する水車を有しており、この水の流れによって水車が回転することにより発電する。
【0015】
また、この電源回路1は、発電機60で発電した電流を整流する整流回路であり、一般的に用いられる整流ダイオード12と、ショットキーバリアダイオード14とを、それぞれ2つずつ用いることにより構成されたダイオードブリッジ10と、発電機60で発電をした電流を蓄電する蓄電手段を有している。このうち、蓄電手段にはリチウムイオンキャパシタ75が用いられている。吐止水弁85、及び吐止水弁85の開閉制御を行う制御部40は、このリチウムイオンキャパシタ75で蓄電した電力によって駆動する。さらに、電源回路1には、リチウムイオンキャパシタ75での蓄電量が低下した場合における補助的な電源として補助電池80が接続されており、リチウムイオンキャパシタ75での蓄電量の低下時は、吐止水弁85及び制御部40は、補助電池80からの電力によって駆動する。
【0016】
なお、リチウムイオンキャパシタ75は、使用電圧が所定の範囲値以上の蓄電状態で使用する必要がある。このため、電源回路1は、使用電圧がリチウムイオンキャパシタ75の使用可能電圧の下限値であるか否かを判定し、出力信号を切り替えるボルテージディテクタである電圧判定部25を有している。詳しくは、リチウムイオンキャパシタ75は、使用電圧が約2.2V以上になる蓄電状態で使用する必要があるため、本実施形態に係る電源回路1では安全性を考慮して電圧の判定値を余裕を持って設定し、電圧判定部25は2.5Vで出力信号が切り替わるものが使用されている。
【0017】
この電圧判定部25の出力には、FET(Field−Effect Transistor:電界効果トランジスタ)26、30が接続されており、このFET26、30により、リチウムイオンキャパシタ75と、小電力高効率電圧調整回路50及び大電力高効率電圧調整回路52との間の遮断と接続とを行う。このうちFET30は、ソース電極がリチウムイオンキャパシタ75側に接続され、ドレイン電極側が整流ダイオード12のカソード側に接続されたp型のMOS−FETであり、FET26のドレイン電極が、FET30のゲート電極に接続されている。
【0018】
また、電圧判定部25は、電圧下限伝達部28にも接続されている。この電圧下限伝達部28は、FET26と同様にn型のMOSFETによって設けられており、電圧判定部25の出力は、電圧下限伝達部28のゲート電極に接続されている。また、電圧下限伝達部28のドレイン電極は制御部40に接続されており、これにより、制御部40は、電圧判定部25の信号の状態を、電圧下限伝達部28を介して検出可能になっている。
【0019】
また、制御部40は、電子制御装置として構成されており、ハード構成は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部や、RAM(Random Access Memory)等の記憶部等を備えた公知の構成であるため、説明は省略する。
【0020】
この制御部40や吐止水弁85等の駆動部は、これらに供給する電圧を調整する電圧調整回路から供給される電力によって駆動する。電源回路1には、この電圧調整回路として、小電力出力時に効率が高い小電力高効率電圧調整回路50と、大電力出力時に効率が高い大電力高効率電圧調整回路52と、が設けられている。つまり、大電力高効率電圧調整回路52は、効率よく出力できる電力の大きさが、少なくとも、小電力高効率電圧調整回路50で効率よく出力できる電力よりも大きいものが使われる。制御部40は、リチウムイオンキャパシタ75で蓄電電圧を小電力高効率電圧調整回路50が調整して供給する電力によって駆動される。また、吐止水弁85は、リチウムイオンキャパシタ75の蓄電電圧を大電力高効率電圧調整回路52で調整して供給する電力によって駆動される。
【0021】
即ち、小電力高効率電圧調整回路50と大電力高効率電圧調整回路52とは、効率よく電圧を調整して電力を供給することができる電力の範囲が異なっており、小電力高効率電圧調整回路50は、制御部40で使用する電力の範囲で効率よく電圧を調整することができ、大電力高効率電圧調整回路52は、吐止水弁85で使用する電力の範囲で効率よく電圧を調整することが可能になっている。具体的には、大電力高効率電圧調整回路52は、小電力高効率電圧調整回路50よりも、大きな電力の範囲で、効率よく電圧を調整して吐止水弁85に供給することが可能になっている。
【0022】
なお、これらの場合における大電力は、水周りで使用する電磁弁を主に駆動させることが可能な電力であり、例えば、0.5〜5W程度であり、また、小電力は、電子制御装置である制御部40の少なくともCPUを主に駆動させることが可能な電力であり、例えば、3μW〜3mW程度である。つまり、電磁弁の駆動時に出力される電流は100mA〜1A程度であり、電磁弁が停止し、制御部40のみの駆動時に出力される電流は1μA〜1mA程度であるため、大電力と小電力としては、上記のように定義される。
【0023】
また、本実施形態に係る電源回路1では、吐止水弁85の駆動電圧は5Vになっており、制御部40の駆動電圧は3Vになっている。このため、本実施形態に係る電源回路1では、小電力高効率電圧調整回路50における効率が良い電力の範囲が大電力高効率電圧調整回路52における効率が良い電力の範囲より低いのみでなく、小電力高効率電圧調整回路50で調整する電圧も、大電力高効率電圧調整回路52で調整する電圧よりも低くなっている。
【0024】
また、大電力高効率電圧調整回路52と吐止水弁85との間には、吐止水弁85の開閉を切り替える吐止水弁制御回路55が設けられている。この吐止水弁制御回路55は、複数の開閉制御用トランジスタ56と複数の開閉制御用ダイオード57とにより構成されている。開閉制御用トランジスタ56のベース電極には制御部40が接続されており、制御部40で複数の開閉制御用トランジスタ56を制御することにより、大電力高効率電圧調整回路52から吐止水弁85に流れる電流の経路を切り替えることが可能になっている。これにより、吐止水弁85の開閉を切り替えることが可能になっている。
【0025】
なお、この吐止水弁85は、ラッチ式の電磁弁になっている。このため、開方向、または閉方向の電流を吐止水弁85に供給して吐止水弁85を駆動させた場合、その後に吐止水弁85に対する電流を遮断しても、吐止水弁85は、開状態、または閉状態が維持される。
【0026】
また、水栓の吐水口の付近に差し出された手を検出する検出センサ44は、発光ダイオードからなるセンサ発光部45と、フォトダイードからなるセンサ受光部46とを有している。このうち、センサ発光部45は、小電力高効率電圧調整回路50が供給する電圧によって間欠的に発光し、吐水口付近を照射する。また、センサ受光部46は、制御部40に接続されており、吐水口付近に差し出された手に照射されたセンサ発光部45からの光が、手で反射した際における反射光を受光する。制御部40は、この時にセンサ発光部45に流れる電流を検知することにより、吐水口付近に手が差し出されたことを検知する。
【0027】
この実施形態に係る発電式水栓の電源回路1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。この電源回路1が備えられる自動水栓は、制御部40によって制御されるが、制御部40は、小電力高効率電圧調整回路50で電圧が調整されたリチウムイオンキャパシタ75からの電力によって駆動する。また、制御部40は常時駆動しているが、センサ発光部45の発光時及び吐止水弁85の駆動時以外は待機状態(いわゆるスリープモード)になっている。
【0028】
この状態で、自動水栓の使用者が手を吐水口の付近に差し出すと、センサ発光部45からの光が手に当たり、光が手で反射する。このように手で反射した反射光をセンサ受光部46で受光した場合、制御部40は、手が差し出されていることを検出する。
【0029】
手が差し出されていることを検出した制御部40は、大電力高効率電圧調整回路52に駆動信号を送り、さらに吐止水弁制御回路55の開閉制御用トランジスタ56に対して、吐止水弁85を開く方向の制御信号を送信する。これにより、吐止水弁85には、当該吐止水弁85が開弁する方向の電流が流れる。この場合における電流は、大電力高効率電圧調整回路52で電圧が調整されたリチウムイオンキャパシタ75からの電力になっており、吐止水弁85の駆動に適した電力になっている。吐止水弁85は、この電力によって駆動して開弁する。
【0030】
なお、この吐止水弁85への電力の供給は短時間のみ行われ、電力の供給開始後、吐止水弁85を開弁することができる程度の時間が経過したら、吐止水弁85への電力の供給を停止する。さらに、大電力高効率電圧調整回路52への駆動信号も停止する。ラッチ式電磁弁である吐止水弁85は、このように電力の供給が停止しても、開弁状態を維持する。吐止水弁85が開かれた場合、給水管内を流れる水の流れ方向における吐止水弁85よりも下流側に水が流れ、この水が自動水栓の吐水口から吐水する。
【0031】
このように、給水管内を水が流れる場合、発電機60は、この水の流れによって水車が回転して発電をする。発電機60で発電した電流はリチウムイオンキャパシタ75に流れてリチウムイオンキャパシタ75に供給するが、発電機60で発電をした電流は交流であるため、リチウムイオンキャパシタ75に供給する前に整流し、直流の状態でリチウムイオンキャパシタ75に供給する。即ち、自動水栓の吐水時は、給水管内を流れる水の流れによって発電機60で発電し、この発電した電流をダイオードブリッジ10で整流した後、リチウムイオンキャパシタ75に蓄電する。
【0032】
また、吐水口から吐水している状態で、センサ受光部46が反射光を受光しなくなることにより、吐水口に差し出されていた手が移動したことを制御部40で検出した場合には、制御部40は、大電力高効率電圧調整回路52への駆動信号と、開閉制御用トランジスタ56に対して、吐止水弁85を閉じる方向の制御信号を送信する。これにより、吐止水弁85には、大電力高効率電圧調整回路52から、当該吐止水弁85が閉弁する方向の電流が流れる。吐止水弁85は、この電流により駆動して閉弁し、吐水口からの水は止水する。吐止水弁85を閉弁したら、吐止水弁85への電力の供給を停止する。さらに、大電力高効率電圧調整回路52への駆動信号も停止する。この閉弁時も開弁時と同様に、吐止水弁85は、電力の供給が停止しても閉弁状態を維持する。
【0033】
また、電圧判定部25は、リチウムイオンキャパシタ75の蓄電電圧を監視しており、この電圧が下限値であるか否かを判定する。即ち、電圧判定部25は、検出した電圧が2.5Vを超えるとHiの信号を出力し、2.5V以下になるとLoを出力する。この出力信号は、FET26に伝達される。FET26は、この電圧判定部25からの出力がHiの場合はドレイン電極からソース電極の間が導通し、電圧判定部25からの出力がLoの場合は、これらの間が非導通になる。また、電圧判定部25の入力電圧が下限電圧を超えた場合には、FET26が導通し、FET30のゲート電極側をグランドに接続することにより、FET30のゲート電極側の電圧を低下させる。
【0034】
このFET30は、ソース電極の電圧に比べてゲート電極の電圧が十分下がると、ソース電極とドレイン電極との間が導通する素子になっている。このため、電圧判定部25からの出力がHiになることによりFET26のドレイン電極からソース電極の間が導通した場合は、FET30も、ソース電極とドレイン電極との間が導通する。このようにFET30が導通状態になると、ソース電極のリチウムイオンキャパシタ75とドレイン電極側の制御部40とが接続され、リチウムイオンキャパシタ75の蓄電電力が電圧調整回路50、52に供給される。
【0035】
これに対し、FET26が非導通の状態の場合は、FET30は、ソース電極とゲート電極とで電位差が無くなるので、ソース電極とドレイン電極との間は非導通になる。このため、電圧判定部25からの出力がLoになることによりFET26のドレイン電極からソース電極の間が非導通になった場合は、FET30は非導通になる。このようにFET30が非導通になると、ソース電極のリチウムイオンキャパシタ75と電圧調整回路50、52とは切り離され、リチウムイオンキャパシタ75は回路に対して切り離される。この場合、リチウムイオンキャパシタ75の蓄電電力は、回路側には供給されなくなる。これらにより、リチウムイオンキャパシタ75の使用電圧を所定値以上にし、リチウムイオンキャパシタ75の過放電を抑制する。
【0036】
また、電圧判定部25からの信号は、電圧下限伝達部28にも伝達される。この電圧下限伝達部28もFET26と同様に、電圧判定部25からの出力がHiの場合はドレイン電極からソース電極の間が導通し、電圧判定部25からの出力がLoの場合は、これらの間が非導通になる。また、FET26のドレイン電極は制御部40に接続され、ソース電極はグランドに接続されているため、制御部40は、FET26との間の電位差によって、電圧判定部25を検出することができる。このため、制御部40は、FET26が非導通状態であることの検出を介して、電圧判定部25で検出した電圧が2.5V以下であることを検出することができる。
【0037】
また、この場合の回路への電力供給は、補助電池80によって行われる。詳しくは、補助電池80からの供給電圧はリチウムイオンキャパシタ75からの供給電圧よりも低いため、リチウムイオンキャパシタ75が回路に接続されていれば電力はリチウムイオンキャパシタ75から供給され、リチウムイオンキャパシタ75が切り離されていれば、電力は補助電池80から供給される。
【0038】
また、電源回路1は、吐止水弁85駆動中など、リチウムイオンキャパシタ75の蓄電電圧に関わらず回路の制御を中断させたくない時は、制御部40によってFET30の導通を維持し、制御動作の信頼性を高める等、種々の制御が可能である。
【0039】
以上の実施形態に係る発電式水栓の電源回路1は、電圧調整回路として、小電力高効率電圧調整回路50と大電力高効率電圧調整回路52とを設け、吐止水弁85は、大電力高効率電圧調整回路52から供給される電力によって駆動し、制御部40は、小電力高効率電圧調整回路50から供給される電力によって駆動している。これにより、駆動時における負荷がそれぞれ異なる制御部40と吐止水弁85とを、大容量コンデンサを用いなくても高い効率で適切に駆動させることができる。この結果、負荷が変動しても常に高い効率で電力を供給でき、それによって発電量が少ない発電機60からの出力でも、発電式水栓の機能を維持することができる。
【0040】
また、制御部40用の電圧調整回路である小電力高効率電圧調整回路50を、吐止水弁85用の電圧調整回路である大電力高効率電圧調整回路52とは別々に設けることにより、負荷が小さく、電圧が吐止水弁85よりも低い制御部40用の電源を、1つの独立した電源回路にすることができる。この結果、消費電力の低減を図ることができる。
【0041】
また、吐止水弁85の駆動には大電力が供給可能で、その時に高効率となる大電力高効率電圧調整回路52を使っているので、吐止水弁85の駆動に用いる電源に、直列等価抵抗が低値で安定しているリチウムイオンキャパシタ75を併用すれば、大電力高効率電圧調整回路52の入力または出力に設ける大容量コンデンサを省略したり、大容量コンデンサの容量を小さくしたりすることができる。これにより、電源回路1を簡略化したり、ユニット全体の大きさを小さくしたりすることができる。この結果、製造コストを低減させたり、電源回路1のユニットの設置性を向上させたりすることができる。
【0042】
なお、上述した電源回路1では、リチウムイオンキャパシタ75の電圧の低下時は、電圧調整回路50、52との接続を遮断しているのみであるが、リチウムイオンキャパシタ75の電圧が低下した場合には、使用者に異常を報知するようにしてもよい。これにより、使用者が異常を知らないまま長期間使用を続け、最終的にごくわずかな放電の継続でリチウムイオンキャパシタ75が過放電して破損することを防ぐことができる。
【0043】
また、上述した電源回路1では、蓄電手段としてリチウムイオンキャパシタ75を用いているが、蓄電手段はこれ以外でもよく、例えば、EDLC(電気二重層コンデンサ)を用いてもよい。蓄電手段の形態に関わらず、電圧調整回路として、小電力高効率電圧調整回路50と大電力高効率電圧調整回路52とを設け、吐止水弁85は大電力高効率電圧調整回路52によって駆動し、制御部40は小電力高効率電圧調整回路50によって駆動することにより、発電式水栓の機能を維持することができる。
【0044】
また、上述した電源回路1は、手を差し出したことを検知することにより自動的に吐水する自動水栓用の電源回路1であり、洗面台等で用いられる水栓を想定して説明しているが、電源回路1によって吐水の制御を行う発電式水栓は、これ以外のものでもよい。発電式水栓は、例えば、検出センサ44で人を検知して自動的に洗浄を行う小便器であってもよい。電源回路1で制御する発電式水栓は、検出対象物を検出センサ44で検出し、検出対象物の状態に応じて給水管を流れる水の吐水や止水を切り替えるものであれば、その用途は問わない。
【符号の説明】
【0045】
1 電源回路
10 ダイオードブリッジ(整流回路)
12 整流ダイオード
14 ショットキーバリアダイオード
25 電圧判定部
26 FET
28 電圧下限伝達部
30 FET(電界効果トランジスタ)
40 制御部
44 検出センサ
50 小電力高効率電圧調整回路
52 大電力高効率電圧調整回路
55 吐止水弁制御回路
60 発電機
75 リチウムイオンキャパシタ(蓄電手段)
80 補助電池
85 吐止水弁(電磁弁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水管を流れる水の流れによって発電をする発電機と、
整流回路で整流した電流を蓄電する蓄電手段と、
前記蓄電手段で蓄電している電流によって電磁弁を駆動させることにより吐水の制御を行う制御部と、
前記電磁弁と前記制御部とに供給する電力の電圧を調整する電圧調整回路と、
を備える発電式水栓の電源回路において、
前記電圧調整回路として、小電力供給時に効率が高い小電力高効率電圧調整回路と、大電力供給時に効率が高い大電力高効率電圧調整回路と、が設けられており、
少なくとも前記電磁弁は、前記大電力高効率電圧調整回路から供給される電力によって駆動し、
前記制御部は、前記小電力高効率電圧調整回路から供給される電力によって駆動することを特徴とする発電式水栓の電源回路。
【請求項2】
少なくとも前記電磁弁の駆動に用いる電源はリチウムイオンキャパシタを用いることを特徴とする請求項1に記載の発電式水栓の電源回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−96054(P2013−96054A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236412(P2011−236412)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】