発電機用の防音箱
【課題】発電機の出し入れを容易とし、かつ各部のシールが有効に機能するか否かの確認機能を備えた発電機用の防音箱を提供する。
【解決手段】発電機を収納する発電機用の防音箱1において、防音箱1の一側面に設けられる開閉扉と、開閉扉を開いた状態で防音箱1の内外へスライド可能に構成される台座30と、台座30を防音箱1内の所定の収納位置に保持するためのロックレバー18とを具備する。台座30を所定の収納位置までスライドさせた状態でなければロックレバー18がロック位置に移動せず、かつロックレバー18がロック位置になければロックレバー18が開閉扉に当接して該開閉扉が閉じないように構成する。所定の収納位置を、台座30が押し込まれることで排気シール12が変形してシール機能が発揮される位置とする。
【解決手段】発電機を収納する発電機用の防音箱1において、防音箱1の一側面に設けられる開閉扉と、開閉扉を開いた状態で防音箱1の内外へスライド可能に構成される台座30と、台座30を防音箱1内の所定の収納位置に保持するためのロックレバー18とを具備する。台座30を所定の収納位置までスライドさせた状態でなければロックレバー18がロック位置に移動せず、かつロックレバー18がロック位置になければロックレバー18が開閉扉に当接して該開閉扉が閉じないように構成する。所定の収納位置を、台座30が押し込まれることで排気シール12が変形してシール機能が発揮される位置とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機用の防音箱に係り、特に、可搬式エンジン発電機をより静かに運転するために、この発電機をまるごと収納するようにした発電機用の防音箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、可搬式エンジン発電機をより静かに運転するために、この発電機をまるごと収納して外部から聞こえる運転音量を下げるようにした発電機用の防音箱が知られている。このような防音箱には、高い防音性能はもとより、発電機の出し入れが容易であり、かつ排気ガスを防音箱の外側に排出するためのシール性能を有することが求められる。
【0003】
特許文献1には、4つの車輪を有する発電機を収納する防音箱において、略直方体に形成された防音箱の一側面に開閉扉を設け、この開閉扉の下側の周縁によって形成される段差を車輪で乗り越えつつ、発電機を防音箱内のストッパに当接するまで押し込んで、段差部分で輪留めをすることで所定位置に保持するようにした防音箱が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、4つの車輪を有する発電機を収納するための防音箱において、略直方体に形成された防音箱の一側面に開閉扉を設け、この開閉扉を開いた状態で外側にせり出すスライド式台座を備えた防音箱が開始されている。この防音箱では、台座に接続される2本のレール上を走らせて発電機を台座上に移動させてから、台座をスライドさせることで発電機を防音箱内に収納するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3314845号公報
【特許文献2】特許第3795104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された防音箱では、防音箱の段差を乗り越えさせて収納する際の労力が大きく、また、発電機の排気ガスを防音箱の外側に排出するためのシールが有効に機能しているか否かの確認が難しいという課題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載された防音箱では、スライド式台座を備えることにより発電機を防音箱内に押し込む労力は小さくなるものの、略直方体とされる防音箱の短手方向に対向する側面のうちの一側に開閉扉が設けられているため、開口部のシール面積が大きくなりやすく、また、特許文献1に記載された防音箱と同様に、各部のシールが有効に機能しているか否かの確認が難しいという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、発電機の出し入れを容易とし、かつ各部のシールが有効に機能するか否かの確認機能を備えた発電機用の防音箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、発電機(80)を収納する発電機用の防音箱(1)において、前記防音箱(1)の一側面に設けられる開閉扉(3)と、前記開閉扉(3)を開いた状態で前記防音箱(1)の内外へスライド可能に構成される台座(30)と、前記台座(30)を、前記防音箱(1)内の所定の収納位置に保持するためのロックレバー(18)とを具備し、前記台座(30)を前記所定の収納位置までスライドさせた状態でなければ前記ロックレバー(18)がロック位置に移動せず、かつ前記ロックレバー(18)がロック位置になければ前記ロックレバー(18)が前記開閉扉(3)に当接して該開閉扉(3)が閉じないように構成されている点に第1の特徴がある。
【0010】
また、前記防音箱(1)の内部には、前記発電機(80)の排気ガスを前記防音箱(1)の外部に排出する排気通路(21)が形成されており、前記排気通路(21)の排気開口(6)は、前記防音箱(1)の奥側に設けられており、前記排気通路(21)の排気開口(6)には、前記発電機(80)の排気口(60)の周囲に当接する排気シール(12)が設けられており、前記所定の収納位置は、前記台座(30)が押し込まれることで前記排気シール(12)が変形してシール機能が発揮される位置である点に第2の特徴がある。
【0011】
また、前記ロックレバー(18)は、前記防音箱(1)に対して揺動自在に軸支されており、前記台座(30)には、上方に突出するロックレバー係合部(35)が設けられており、前記台座(30)を所定の収納位置まで押し込んだ状態で、前記ロックレバー(18)を揺動させて前記ロックレバー係合部(35)に係合させることにより、前記台座(30)が所定の収納位置に保持されるように構成されている点に第3の特徴がある。
【0012】
また、前記開閉扉(3)には、前記ロックレバー(18)がロック位置にない場合にその先端部(18a)が当接する凸状ブラケット(10)が設けられており、前記ロックレバー(18)をロック位置に移動させると、前記先端部(18a)と前記凸状ブラケット(10)とが当接することなく前記開閉扉(3)の閉動作が可能となる点に第4の特徴がある。
【0013】
また、前記台座(30)には、前記発電機(80)の外殻に前後方向から接触してその配設位置を規定する前側ガイドバー(31)および2つの後側ガイドバー(33)が取り付けられ、前記防音箱(1)の上壁には、前記台座(30)のスライド方向に指向して前記発電機(80)の上部に設けられる凸状の取手(81)と係合する凹状のガイドブラケット(17)が設けられている点に第5の特徴がある。
【0014】
また、前記2つの後側ガイドバー(33,33)は、前記台座(30)に対して着脱可能かつ位置変更可能に構成されている点に第6の特徴がある。
【0015】
また、前記排気通路(21)の排気開口(6)を形成する仕切板(11)は、前記防音箱(1)に対して着脱可能に取り付けられている点に第7の特徴がある。
【0016】
さらに、発電機(80)の底面に設けられる防振ブッシュ(88)と係合して発電機(80)の配設位置を規定するブッシュガイド(32)が設けられている点に第8の特徴がある。
【発明の効果】
【0017】
第1の特徴によれば、防音箱の一側面に設けられる開閉扉と、開閉扉を開いた状態で防音箱の内外へスライド可能に構成される台座と、台座を、防音箱内の所定の収納位置に保持するためのロックレバーとを具備し、台座を前記所定の収納位置までスライドさせた状態でなければロックレバーがロック位置に移動せず、かつロックレバーがロック位置になければロックレバーが開閉扉に当接して該開閉扉が閉じないように構成されているので、スライド式の台座を適用することで発電機の出し入れ作業が容易になる。また、台座を所定の収納位置にスライドさせてロックレバーをロック位置に移動させなければ開閉扉が閉じないため、発電機が所定の収納位置に収まっていない状態で開閉扉が閉じること防ぐことができる。
【0018】
第2の特徴によれば、防音箱の内部には、発電機の排気ガスを防音箱の外部に排出する排気通路が形成されており、排気通路の排気開口は防音箱の奥側に設けられており、排気通路の排気開口には、発電機の排気口の周囲に当接する排気シールが設けられており、所定の収納位置は、台座が押し込まれることで排気シールが変形してシール機能が発揮される位置であるので、台座を所定の収納位置にスライドさせることで排気シールが有効にシール機能を発揮する状態であることを確認することが可能となる。
【0019】
第3の特徴によれば、ロックレバーは、防音箱に対して揺動自在に軸支されており、台座には、上方に突出するロックレバー係合部が設けられており、台座を所定の収納位置まで押し込んだ状態で、ロックレバーを揺動させてロックレバー係合部に係合させることにより、台座が所定の収納位置に保持されるように構成されているので、台座を所定位置まで押し込まなければロックレバーをロック位置に揺動させることができず、排気シールの機能が発揮されていない状態で開閉扉が閉じられることを防ぐことができる。
【0020】
第4の特徴によれば、開閉扉には、ロックレバーがロック位置にない場合にその先端部が当接する凸状ブラケットが設けられており、ロックレバーをロック位置に移動させると、先端部と凸状ブラケットとが当接することなく開閉扉の閉動作が可能となるので、簡単な構成によって、ロックレバーがロック位置にない場合に開閉扉の閉動作を禁止することができる。これにより、発電機を乗せた台座が所定位置に収まっていないことを目視で判別することができ、排気シールが有効に機能しない状態であることを視覚によって操作者に報知することができる。
【0021】
第5の特徴によれば、台座には、発電機の外殻に前後方向から接触してその配設位置を規定する前側ガイドバーおよび2つの後側ガイドバーが取り付けられ、防音箱の上壁には、台座のスライド方向に指向して発電機の上部に設けられる凸状の取手と係合する凹状のガイドブラケットが設けられているので、台座側のガイドバーおよび防音箱側のガイドブラケットによって発電機の位置決めを容易に行うことができる。また、発電機が台座上の正しい位置に置かれていない状態で台座をスライドさせようとしても、発電機の上部の取手がガイドブラケットと干渉することでこれを禁止することができる。
【0022】
第6の特徴によれば、2つの後側ガイドバーは、台座に対して着脱可能かつ位置変更可能に構成されているので、後側ガイドバーの位置を変更することで、発電機の形状や大きさが異なる場合にも対応することが可能となる。
【0023】
第7の特徴によれば、排気通路の排気開口を形成する仕切板は、防音箱に対して着脱可能に取り付けられているので、仕切板を異なる形状のものに交換することで、発電機の形状や大きさが異なる場合にも対応することが可能となる。
【0024】
第8の特徴によれば、発電機の底面に設けられる防振ブッシュと係合して発電機の配設位置を規定するブッシュガイドが設けられているので、ラバー等で形成された防振ブッシュにより発電機の位置決めを行うので、確実な位置決めを行うと共に、運転時の振動が台座側に伝達されることを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る発電機用の防音箱の斜視図である。
【図2】発電機を取り外した状態の発電機用の防音箱の斜視図である。
【図3】発電機を収納した状態の防音箱の右側面図である。
【図4】発電機を収納した状態の防音箱の平面図である。
【図5】平面視における発電機の配置説明図である。
【図6】図3のA−A線断面図である。
【図7】台座の平面図(a)および側面図(b)である。
【図8】仕切板の正面図(a)および側面図(b)である。
【図9】台座のロック機構の説明図である。
【図10】台座のロック機構の説明図である。
【図11】図5のB−B線断面図である。
【図12】図5のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る発電機用の防音箱(以下、単に防音箱と示すこともある)1の斜視図である。また、図2は、発電機80を取り外した状態の防音箱1の斜視図である。さらに、図3は、発電機80を収納した状態の防音箱1の右側面図であり、図4は同平面図である。図2,3,4では、防音箱1の内部構造を説明するために筐体2の一部を切り欠いた状態を示す。
【0027】
防音箱1は、略直方体に形成された筐体2の内部に発電機80を収納することで、外部から聞こえる運転音量を下げるための発電機用の防音箱である。防音箱1の筐体2の長手方向で対向する側面の一側には、開閉扉3を有する開口50が設けられている。
【0028】
開口50には、スライド機構によって長手方向に出し入れ自在な台座30が設けられている。発電機80の収納は、この台座30の上面に発電機80を配置した後に台座30をスライドさせて所定の収納位置まで押し込み、開閉扉3を閉じることによって完了する。なお、以下では、開閉扉3の設けられている側を防音箱1の「前方」と呼ぶと共に、排気スリット15が設けられている側を防音箱1の「後方」と呼び、発電機80に関しても同様の方法で方向を示すこととする。
【0029】
発電機80の上部には、操作者が把持するための取手81が設けられており、この取手81の前方側には、ねじ込み式の給油キャップ82が取り付けられている。発電機80の前方側の側面には、発電電力を供給する配線86のプラグ87を接続する配電盤85が設けられており、右側の側面には、手動でエンジンを始動するリコイルスタータのハンドル収納部83およびチョークノブ84が設けられている。
【0030】
防音箱1の筐体2は金属製の薄板等で形成されており、その底板2aの下面には、4つの脚部7が取り付けられている。底板2aの上面には、防音箱1の前後方向に指向する2本のスライダレール16が取り付けられており、このスライダレール16に沿って台座30が前後方向に摺動するように構成されている。
【0031】
開閉扉3は、ヒンジ9によって開閉自在に取り付けられており、台座30を所定の収納位置まで押し込んだ状態で開閉扉3を閉じると、略U字状の湾曲シール8、台座30の前面部に設けられた直線状の台座側シール36、開閉扉3の下部に設けられた直線状の扉側シール36によって、開口50の周囲が密閉(シーリング)される。開閉扉3は、開閉扉3に設けられたフック4に筐体側のファスナー5を係合させることで、各シール部分の圧着度を高めつつ閉状態に保持される。
【0032】
開閉扉3の表側には、防音箱1の内部に外気を導入するための複数の吸気スリット55が形成されており、開閉扉3の裏面側(発電機側)には、吸気スリット55から浸入する雨水等が発電機80に触れないようにする薄板状のカバー55aが設けられている。また、カバー55aの下方でヒンジ9から離間する方向にオフセットした位置には、後述するロックレバー18と当接する凸状ブラケット10が設けられている。
【0033】
防音箱1の後方側の面は、その上部に複数の排気スリット15が形成された背面部材13によって構成されている。背面部材13の前方には、排気開口6が形成された仕切板11が取り付けられている。
【0034】
排気開口6の縁部には、ラバー等からなる排気シール12が取り付けられている。この排気開口6は、台座30に固定した発電機80を所定の収納位置まで押し込んだ際に、発電機80の排気口60(図3参照)の周囲を覆う形状とされており、排気シール12が発電機80の表面に密着することで、すべての排気ガスが排気開口6に導かれるように構成されている。
【0035】
排気開口6を通って仕切板11の後方に導かれた排気ガスは、背面部材13から立設する導風板14の前方側を通って、排気スリット15から外部に排出される。
【0036】
筐体2の天井面には、発電機80の取手81と係合するガイドブラケット17が取り付けられている。凹状の断面を有するガイドブラケット17は、凸状の取手81と係合することで発電機80の上下左右方向の位置を規定する機能を有する。
【0037】
台座30の上面には、発電機80の配設位置を規定するためのガイド部材が複数取り付けられている。発電機80の後側下部には、左右一対の後側ガイドバー33が取り付けられており、発電機80の前側下部には、左右方向に渡る形状の前側ガイドバー31が取り付けられている。さらに、前側ガイドバー31の後方には、発電機80の底面に取り付けられる防振ブッシュ(図5参照)と係合して発電機80の位置決めを行うブッシュガイド32が左右一対で取り付けられている。ブッシュガイド32の後方で右寄りの位置には、発電機80から排出される液体を集めるドレン受け部34が設けられている。
【0038】
前側ガイドバー31の前方で右寄りの位置には、上方に立設するロックレバー係合部35が設けられており、筐体2の開口50の右側下部には、このロックレバー係合部35に対応する位置にロックレバー18が配設されている。板状部材からなるロックレバー18は、筐体2に対して揺動軸19によって揺動可能に軸支されている。また、台座30の前端部には、台座側シール36を支持するスカート部材38が固定されている。台座側シール36の上部には、配線86を所定位置に保持するための2つの環状ガイド37が取り付けられている。
【0039】
開閉扉3の吸気スリット55は、上下方向の略中央に集中配置されており、背面部材13の排気スリット15は、上下方向の上方寄りに集中配置されている。排気開口6を通過した排気ガスは、排気通路21(図3参照)内を上昇した後に、導風板14の前方を通過して排気スリット15から外部に排出される。
【0040】
図5は、平面視における発電機80の配置説明図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。発電機80は、防音箱1の前後左右方向の略中央に配設される。発電機80の裏面側に設けられる4つの防振ブッシュ88のうちの前方側の2つは、2つのブッシュガイド32によって位置決めが行われる。これに対して、前側ガイドバー31および後側ガイドバー33は、発電機80の表面に接触することで発電機80の位置決めを行うように構成されている。ロックレバー18の先端部は、開閉扉3を閉じた際に、開閉扉3の外殻近傍まで突出する形状とされている。
【0041】
前側ガイドバー31は、締結部材31aによって台座30に固定されている。また、後側ガイドバー33は、締結部材33aによって台座30に固定され、ブッシュガイド32は締結部材32aによって台座30に固定されている。
【0042】
図6は、図3のA−A線断面図である。発電機80の取手81と係合するガイドブラケット17は、締結部材17aによって筐体2の天井面に取り付けられている。凹状の断面を有するガイドブラケット17は、発電機80の収納時に取手81と係合することで、発電機80の位置を上方から規定している。
【0043】
そして、ガイドブラケット17は、発電機80が台座30上の正しい位置に置かれた状態でなければ台座30の収納を禁止する機能も有する。すなわち、台座30上の正しい位置に発電機80が置かれていない状態では、ブッシュガイド32に防振ブッシュ88が係合しないために発電機80の位置が高くなり、取手81がガイドブラケット17と干渉して台座30が押し込めなくなるように構成されている。
【0044】
図7は、台座30の平面図(a)および側面図(b)である。台座30のベース部材30aは、金属製の薄板等で形成されている。ベース30aの前端部に取り付けられるスカート部材38は、台座側シール36を支持するステーであると共に、防音箱1から発電機80を取り出すために台座30を引き出す際の取手としても機能する。板状部材を折り曲げてなるロックレバー係合部35は、ベース30aの前方右側の上面に溶着されている。ベース30aの後端部には、台座30をスライダレール16にスムーズに係合させるための傾斜部30bが形成されている。
【0045】
前側ガイドバー31の締結部材31aは、ベース部材30aの下面に溶着されるナット31bと締結される。また、ブッシュガイド32の締結部材32aは、ベース部材30aの下面に溶着されるナット32bと締結される。後側ガイドバー33の締結部材33aは、ベース部材30aの下面に溶着されるナット33bと締結される。ドレン受け部34の内側には、ドレン孔34aが形成されている。
【0046】
本実施形態では、ナット33bおよび位置決め孔40を用いて後側ガイドバー33を固定しているが、より内側に設けられた位置決め孔39を用いて後側ガイドバー33を固定することにより、部品の変更等を行うことなく、発電機80よりひとまわり小さな発電機に対応できるように構成されている。
【0047】
図8は、仕切板11の正面図(a)および側面図(b)である。仕切板11のベース部材11aは、金属製の薄板等により形成されており、その周縁の折り曲げ部11b,11c,11dによって、多少の気密性が発揮されるように筐体2の内壁に着脱可能に固定されている。排気シール12(図2,3参照)は、排気開口6の周縁に形成されるリブ11eの端部に嵌め込まれている。後側ガイドバー33の取り付け位置を変更して発電機80よりひとまわり小さな発電機を収納する際には、仕切板11の配設位置も併せて変更することで、排気シール12を有効に機能させることが可能となる。
【0048】
図9および図10は、台座30のロック機構の説明図である。前記したように、防音箱1に発電機80を収納する際には、引き出した台座30の上部に発電機80を配置し、台座30をスライドさせて内部に押し込むこととなるが、このとき、発電機80が台座30上の正しい位置に配設されていない場合は、発電機80の取手81がガイドブラケット17に干渉して台座30を押し込むことが不可能となる。
【0049】
次に、発電機80が台座30上の正しい位置に配設されていても、排気シール12が発電機80の外殻に当接して排気シール12が有効に機能する所定の収納位置まで台座30を押し込まなければ、ロックレバー18がロックレバー係合部35に干渉してしまうため、図10に実線で示すロック位置に揺動させることができない。さらに、ロックレバー18が図10に示すアンロック位置にある状態では、ロックレバー18の先端部18aが開閉扉3に設けられた凸状ブラケット10に当接するため、開閉扉3を閉じることが不可能となる。
【0050】
本実施形態に係る防音箱1では、上記したような構成を適用することにより、不適切な操作を行った場合には、操作がそれ以上進まないようにすることで、排気シールが有効に機能しない状態で発電機80が収納されてしまうことを防ぐことを可能としている。
【0051】
収納手順を再度確認すると、発電機80を台座30上の正しい位置に配設することで台座30の押し込み操作が可能となり、次に、台座30を所定の収納位置まで押し込むことで排気シール12が有効に機能すると共にロックレバー18のロック位置への揺動動作が可能となり、そして、ロックレバー18をロック位置へ揺動させることで開閉扉3を閉じることが可能となる。
【0052】
図10に示すように、ロックレバー18をロック位置へ揺動させた状態では、その先端部18aが、凸状ブラケット10と扉側シール22との間の空間に水平方向に挿入され、お互いの干渉が生じないように構成されている。そして、開閉扉3を閉じていくと、筐体2に取り付けられた湾曲シール8と開閉扉3との間、および、スカート部材38に固定された台座側シール38と開閉扉3に取り付けられた扉側シール22とが互いにシール機能を発揮して、開閉扉3の周縁部が密閉されることとなる。
【0053】
図11は、図5のB−B線断面図である。台座30は、摺動抵抗の小さなスライダ部材を介してスライダレール16の内側に配設されている。台座30の上面および側面には、複数のスライダ部材60a,60bが取り付けられている。一方、台座30の下面は、筐体2の底板2aに固定されたスライダ部材61によって互いに摺動可能とされている。
【0054】
図12は、図5のC−C線断面図である。前記したように、防振ブッシュ88をブッシュガイド32で保持することで確実な位置決めを可能にすると共に、係合が不適切な場合に発電機80が台座30から浮き上がって取手81がガイドブラケット17に干渉するように構成することを可能としている。また、防振ブッシュ88を保持することにより、防音箱1への振動の伝達が低減される。締結部材7a,7bによって筐体2の底板2aに固定される脚部7は、防音箱1を接地する条件等に応じて種々の変更が可能である。
【0055】
上記したように、本発明に係る発電機用の防音箱によれば、発電機の設置位置を決め、発電機を防音箱内に収める台座のスライド機構と、発電機上部の合わせ形状と、発電機の台座へのロックレバーと開閉扉との合わせ形状を設け、収納する発電機が正規位置に設置されていないとこれらの各合わせ形状部分が互いに干渉して防音箱の開閉扉が閉まらないようにしたので、操作者が特に意識することなく、簡単な構造で、防音箱内に発電機本体を適切に設置固定することができ、万が一誤った設置を行ってもすぐに分かるようになる。これに伴い、各部のシールを確実に機能させ、箱内に排気が漏れずかつ防音防水性に優れた防音箱を得ることが可能となる。
【0056】
なお、防音箱、筐体、台座、各ガイドやマウントの形状や構造、ロックレバーおよびロックレバー係合部の形状、各シールの形状や材質等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、ガイドやマウント等の形状は、発電機の大きさや形状に合わせて任意の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0057】
1…防音箱、2…筐体、3…開閉扉、4…フック、5…ファスナー、6…排気開口、8…湾曲シール、10…凸状ブラケット、11…仕切板、13…背面部材、15…排気スリット、16…スライダレール、17…ガイドブラケット、18…ロックレバー、21…排気通路、22…扉側シール、30…台座、31…前側ガイドバー、32…ブッシュガイド、33…後側ガイドバー、35…ロックレバー係合部、36…台座側シール、38…スカート部分、55…吸気スリット、80…発電機、81…取手、82…燃料キャップ、86…配線、87…プラグ、88…防振ブッシュ
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機用の防音箱に係り、特に、可搬式エンジン発電機をより静かに運転するために、この発電機をまるごと収納するようにした発電機用の防音箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、可搬式エンジン発電機をより静かに運転するために、この発電機をまるごと収納して外部から聞こえる運転音量を下げるようにした発電機用の防音箱が知られている。このような防音箱には、高い防音性能はもとより、発電機の出し入れが容易であり、かつ排気ガスを防音箱の外側に排出するためのシール性能を有することが求められる。
【0003】
特許文献1には、4つの車輪を有する発電機を収納する防音箱において、略直方体に形成された防音箱の一側面に開閉扉を設け、この開閉扉の下側の周縁によって形成される段差を車輪で乗り越えつつ、発電機を防音箱内のストッパに当接するまで押し込んで、段差部分で輪留めをすることで所定位置に保持するようにした防音箱が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、4つの車輪を有する発電機を収納するための防音箱において、略直方体に形成された防音箱の一側面に開閉扉を設け、この開閉扉を開いた状態で外側にせり出すスライド式台座を備えた防音箱が開始されている。この防音箱では、台座に接続される2本のレール上を走らせて発電機を台座上に移動させてから、台座をスライドさせることで発電機を防音箱内に収納するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3314845号公報
【特許文献2】特許第3795104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された防音箱では、防音箱の段差を乗り越えさせて収納する際の労力が大きく、また、発電機の排気ガスを防音箱の外側に排出するためのシールが有効に機能しているか否かの確認が難しいという課題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載された防音箱では、スライド式台座を備えることにより発電機を防音箱内に押し込む労力は小さくなるものの、略直方体とされる防音箱の短手方向に対向する側面のうちの一側に開閉扉が設けられているため、開口部のシール面積が大きくなりやすく、また、特許文献1に記載された防音箱と同様に、各部のシールが有効に機能しているか否かの確認が難しいという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、発電機の出し入れを容易とし、かつ各部のシールが有効に機能するか否かの確認機能を備えた発電機用の防音箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、発電機(80)を収納する発電機用の防音箱(1)において、前記防音箱(1)の一側面に設けられる開閉扉(3)と、前記開閉扉(3)を開いた状態で前記防音箱(1)の内外へスライド可能に構成される台座(30)と、前記台座(30)を、前記防音箱(1)内の所定の収納位置に保持するためのロックレバー(18)とを具備し、前記台座(30)を前記所定の収納位置までスライドさせた状態でなければ前記ロックレバー(18)がロック位置に移動せず、かつ前記ロックレバー(18)がロック位置になければ前記ロックレバー(18)が前記開閉扉(3)に当接して該開閉扉(3)が閉じないように構成されている点に第1の特徴がある。
【0010】
また、前記防音箱(1)の内部には、前記発電機(80)の排気ガスを前記防音箱(1)の外部に排出する排気通路(21)が形成されており、前記排気通路(21)の排気開口(6)は、前記防音箱(1)の奥側に設けられており、前記排気通路(21)の排気開口(6)には、前記発電機(80)の排気口(60)の周囲に当接する排気シール(12)が設けられており、前記所定の収納位置は、前記台座(30)が押し込まれることで前記排気シール(12)が変形してシール機能が発揮される位置である点に第2の特徴がある。
【0011】
また、前記ロックレバー(18)は、前記防音箱(1)に対して揺動自在に軸支されており、前記台座(30)には、上方に突出するロックレバー係合部(35)が設けられており、前記台座(30)を所定の収納位置まで押し込んだ状態で、前記ロックレバー(18)を揺動させて前記ロックレバー係合部(35)に係合させることにより、前記台座(30)が所定の収納位置に保持されるように構成されている点に第3の特徴がある。
【0012】
また、前記開閉扉(3)には、前記ロックレバー(18)がロック位置にない場合にその先端部(18a)が当接する凸状ブラケット(10)が設けられており、前記ロックレバー(18)をロック位置に移動させると、前記先端部(18a)と前記凸状ブラケット(10)とが当接することなく前記開閉扉(3)の閉動作が可能となる点に第4の特徴がある。
【0013】
また、前記台座(30)には、前記発電機(80)の外殻に前後方向から接触してその配設位置を規定する前側ガイドバー(31)および2つの後側ガイドバー(33)が取り付けられ、前記防音箱(1)の上壁には、前記台座(30)のスライド方向に指向して前記発電機(80)の上部に設けられる凸状の取手(81)と係合する凹状のガイドブラケット(17)が設けられている点に第5の特徴がある。
【0014】
また、前記2つの後側ガイドバー(33,33)は、前記台座(30)に対して着脱可能かつ位置変更可能に構成されている点に第6の特徴がある。
【0015】
また、前記排気通路(21)の排気開口(6)を形成する仕切板(11)は、前記防音箱(1)に対して着脱可能に取り付けられている点に第7の特徴がある。
【0016】
さらに、発電機(80)の底面に設けられる防振ブッシュ(88)と係合して発電機(80)の配設位置を規定するブッシュガイド(32)が設けられている点に第8の特徴がある。
【発明の効果】
【0017】
第1の特徴によれば、防音箱の一側面に設けられる開閉扉と、開閉扉を開いた状態で防音箱の内外へスライド可能に構成される台座と、台座を、防音箱内の所定の収納位置に保持するためのロックレバーとを具備し、台座を前記所定の収納位置までスライドさせた状態でなければロックレバーがロック位置に移動せず、かつロックレバーがロック位置になければロックレバーが開閉扉に当接して該開閉扉が閉じないように構成されているので、スライド式の台座を適用することで発電機の出し入れ作業が容易になる。また、台座を所定の収納位置にスライドさせてロックレバーをロック位置に移動させなければ開閉扉が閉じないため、発電機が所定の収納位置に収まっていない状態で開閉扉が閉じること防ぐことができる。
【0018】
第2の特徴によれば、防音箱の内部には、発電機の排気ガスを防音箱の外部に排出する排気通路が形成されており、排気通路の排気開口は防音箱の奥側に設けられており、排気通路の排気開口には、発電機の排気口の周囲に当接する排気シールが設けられており、所定の収納位置は、台座が押し込まれることで排気シールが変形してシール機能が発揮される位置であるので、台座を所定の収納位置にスライドさせることで排気シールが有効にシール機能を発揮する状態であることを確認することが可能となる。
【0019】
第3の特徴によれば、ロックレバーは、防音箱に対して揺動自在に軸支されており、台座には、上方に突出するロックレバー係合部が設けられており、台座を所定の収納位置まで押し込んだ状態で、ロックレバーを揺動させてロックレバー係合部に係合させることにより、台座が所定の収納位置に保持されるように構成されているので、台座を所定位置まで押し込まなければロックレバーをロック位置に揺動させることができず、排気シールの機能が発揮されていない状態で開閉扉が閉じられることを防ぐことができる。
【0020】
第4の特徴によれば、開閉扉には、ロックレバーがロック位置にない場合にその先端部が当接する凸状ブラケットが設けられており、ロックレバーをロック位置に移動させると、先端部と凸状ブラケットとが当接することなく開閉扉の閉動作が可能となるので、簡単な構成によって、ロックレバーがロック位置にない場合に開閉扉の閉動作を禁止することができる。これにより、発電機を乗せた台座が所定位置に収まっていないことを目視で判別することができ、排気シールが有効に機能しない状態であることを視覚によって操作者に報知することができる。
【0021】
第5の特徴によれば、台座には、発電機の外殻に前後方向から接触してその配設位置を規定する前側ガイドバーおよび2つの後側ガイドバーが取り付けられ、防音箱の上壁には、台座のスライド方向に指向して発電機の上部に設けられる凸状の取手と係合する凹状のガイドブラケットが設けられているので、台座側のガイドバーおよび防音箱側のガイドブラケットによって発電機の位置決めを容易に行うことができる。また、発電機が台座上の正しい位置に置かれていない状態で台座をスライドさせようとしても、発電機の上部の取手がガイドブラケットと干渉することでこれを禁止することができる。
【0022】
第6の特徴によれば、2つの後側ガイドバーは、台座に対して着脱可能かつ位置変更可能に構成されているので、後側ガイドバーの位置を変更することで、発電機の形状や大きさが異なる場合にも対応することが可能となる。
【0023】
第7の特徴によれば、排気通路の排気開口を形成する仕切板は、防音箱に対して着脱可能に取り付けられているので、仕切板を異なる形状のものに交換することで、発電機の形状や大きさが異なる場合にも対応することが可能となる。
【0024】
第8の特徴によれば、発電機の底面に設けられる防振ブッシュと係合して発電機の配設位置を規定するブッシュガイドが設けられているので、ラバー等で形成された防振ブッシュにより発電機の位置決めを行うので、確実な位置決めを行うと共に、運転時の振動が台座側に伝達されることを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る発電機用の防音箱の斜視図である。
【図2】発電機を取り外した状態の発電機用の防音箱の斜視図である。
【図3】発電機を収納した状態の防音箱の右側面図である。
【図4】発電機を収納した状態の防音箱の平面図である。
【図5】平面視における発電機の配置説明図である。
【図6】図3のA−A線断面図である。
【図7】台座の平面図(a)および側面図(b)である。
【図8】仕切板の正面図(a)および側面図(b)である。
【図9】台座のロック機構の説明図である。
【図10】台座のロック機構の説明図である。
【図11】図5のB−B線断面図である。
【図12】図5のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る発電機用の防音箱(以下、単に防音箱と示すこともある)1の斜視図である。また、図2は、発電機80を取り外した状態の防音箱1の斜視図である。さらに、図3は、発電機80を収納した状態の防音箱1の右側面図であり、図4は同平面図である。図2,3,4では、防音箱1の内部構造を説明するために筐体2の一部を切り欠いた状態を示す。
【0027】
防音箱1は、略直方体に形成された筐体2の内部に発電機80を収納することで、外部から聞こえる運転音量を下げるための発電機用の防音箱である。防音箱1の筐体2の長手方向で対向する側面の一側には、開閉扉3を有する開口50が設けられている。
【0028】
開口50には、スライド機構によって長手方向に出し入れ自在な台座30が設けられている。発電機80の収納は、この台座30の上面に発電機80を配置した後に台座30をスライドさせて所定の収納位置まで押し込み、開閉扉3を閉じることによって完了する。なお、以下では、開閉扉3の設けられている側を防音箱1の「前方」と呼ぶと共に、排気スリット15が設けられている側を防音箱1の「後方」と呼び、発電機80に関しても同様の方法で方向を示すこととする。
【0029】
発電機80の上部には、操作者が把持するための取手81が設けられており、この取手81の前方側には、ねじ込み式の給油キャップ82が取り付けられている。発電機80の前方側の側面には、発電電力を供給する配線86のプラグ87を接続する配電盤85が設けられており、右側の側面には、手動でエンジンを始動するリコイルスタータのハンドル収納部83およびチョークノブ84が設けられている。
【0030】
防音箱1の筐体2は金属製の薄板等で形成されており、その底板2aの下面には、4つの脚部7が取り付けられている。底板2aの上面には、防音箱1の前後方向に指向する2本のスライダレール16が取り付けられており、このスライダレール16に沿って台座30が前後方向に摺動するように構成されている。
【0031】
開閉扉3は、ヒンジ9によって開閉自在に取り付けられており、台座30を所定の収納位置まで押し込んだ状態で開閉扉3を閉じると、略U字状の湾曲シール8、台座30の前面部に設けられた直線状の台座側シール36、開閉扉3の下部に設けられた直線状の扉側シール36によって、開口50の周囲が密閉(シーリング)される。開閉扉3は、開閉扉3に設けられたフック4に筐体側のファスナー5を係合させることで、各シール部分の圧着度を高めつつ閉状態に保持される。
【0032】
開閉扉3の表側には、防音箱1の内部に外気を導入するための複数の吸気スリット55が形成されており、開閉扉3の裏面側(発電機側)には、吸気スリット55から浸入する雨水等が発電機80に触れないようにする薄板状のカバー55aが設けられている。また、カバー55aの下方でヒンジ9から離間する方向にオフセットした位置には、後述するロックレバー18と当接する凸状ブラケット10が設けられている。
【0033】
防音箱1の後方側の面は、その上部に複数の排気スリット15が形成された背面部材13によって構成されている。背面部材13の前方には、排気開口6が形成された仕切板11が取り付けられている。
【0034】
排気開口6の縁部には、ラバー等からなる排気シール12が取り付けられている。この排気開口6は、台座30に固定した発電機80を所定の収納位置まで押し込んだ際に、発電機80の排気口60(図3参照)の周囲を覆う形状とされており、排気シール12が発電機80の表面に密着することで、すべての排気ガスが排気開口6に導かれるように構成されている。
【0035】
排気開口6を通って仕切板11の後方に導かれた排気ガスは、背面部材13から立設する導風板14の前方側を通って、排気スリット15から外部に排出される。
【0036】
筐体2の天井面には、発電機80の取手81と係合するガイドブラケット17が取り付けられている。凹状の断面を有するガイドブラケット17は、凸状の取手81と係合することで発電機80の上下左右方向の位置を規定する機能を有する。
【0037】
台座30の上面には、発電機80の配設位置を規定するためのガイド部材が複数取り付けられている。発電機80の後側下部には、左右一対の後側ガイドバー33が取り付けられており、発電機80の前側下部には、左右方向に渡る形状の前側ガイドバー31が取り付けられている。さらに、前側ガイドバー31の後方には、発電機80の底面に取り付けられる防振ブッシュ(図5参照)と係合して発電機80の位置決めを行うブッシュガイド32が左右一対で取り付けられている。ブッシュガイド32の後方で右寄りの位置には、発電機80から排出される液体を集めるドレン受け部34が設けられている。
【0038】
前側ガイドバー31の前方で右寄りの位置には、上方に立設するロックレバー係合部35が設けられており、筐体2の開口50の右側下部には、このロックレバー係合部35に対応する位置にロックレバー18が配設されている。板状部材からなるロックレバー18は、筐体2に対して揺動軸19によって揺動可能に軸支されている。また、台座30の前端部には、台座側シール36を支持するスカート部材38が固定されている。台座側シール36の上部には、配線86を所定位置に保持するための2つの環状ガイド37が取り付けられている。
【0039】
開閉扉3の吸気スリット55は、上下方向の略中央に集中配置されており、背面部材13の排気スリット15は、上下方向の上方寄りに集中配置されている。排気開口6を通過した排気ガスは、排気通路21(図3参照)内を上昇した後に、導風板14の前方を通過して排気スリット15から外部に排出される。
【0040】
図5は、平面視における発電機80の配置説明図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。発電機80は、防音箱1の前後左右方向の略中央に配設される。発電機80の裏面側に設けられる4つの防振ブッシュ88のうちの前方側の2つは、2つのブッシュガイド32によって位置決めが行われる。これに対して、前側ガイドバー31および後側ガイドバー33は、発電機80の表面に接触することで発電機80の位置決めを行うように構成されている。ロックレバー18の先端部は、開閉扉3を閉じた際に、開閉扉3の外殻近傍まで突出する形状とされている。
【0041】
前側ガイドバー31は、締結部材31aによって台座30に固定されている。また、後側ガイドバー33は、締結部材33aによって台座30に固定され、ブッシュガイド32は締結部材32aによって台座30に固定されている。
【0042】
図6は、図3のA−A線断面図である。発電機80の取手81と係合するガイドブラケット17は、締結部材17aによって筐体2の天井面に取り付けられている。凹状の断面を有するガイドブラケット17は、発電機80の収納時に取手81と係合することで、発電機80の位置を上方から規定している。
【0043】
そして、ガイドブラケット17は、発電機80が台座30上の正しい位置に置かれた状態でなければ台座30の収納を禁止する機能も有する。すなわち、台座30上の正しい位置に発電機80が置かれていない状態では、ブッシュガイド32に防振ブッシュ88が係合しないために発電機80の位置が高くなり、取手81がガイドブラケット17と干渉して台座30が押し込めなくなるように構成されている。
【0044】
図7は、台座30の平面図(a)および側面図(b)である。台座30のベース部材30aは、金属製の薄板等で形成されている。ベース30aの前端部に取り付けられるスカート部材38は、台座側シール36を支持するステーであると共に、防音箱1から発電機80を取り出すために台座30を引き出す際の取手としても機能する。板状部材を折り曲げてなるロックレバー係合部35は、ベース30aの前方右側の上面に溶着されている。ベース30aの後端部には、台座30をスライダレール16にスムーズに係合させるための傾斜部30bが形成されている。
【0045】
前側ガイドバー31の締結部材31aは、ベース部材30aの下面に溶着されるナット31bと締結される。また、ブッシュガイド32の締結部材32aは、ベース部材30aの下面に溶着されるナット32bと締結される。後側ガイドバー33の締結部材33aは、ベース部材30aの下面に溶着されるナット33bと締結される。ドレン受け部34の内側には、ドレン孔34aが形成されている。
【0046】
本実施形態では、ナット33bおよび位置決め孔40を用いて後側ガイドバー33を固定しているが、より内側に設けられた位置決め孔39を用いて後側ガイドバー33を固定することにより、部品の変更等を行うことなく、発電機80よりひとまわり小さな発電機に対応できるように構成されている。
【0047】
図8は、仕切板11の正面図(a)および側面図(b)である。仕切板11のベース部材11aは、金属製の薄板等により形成されており、その周縁の折り曲げ部11b,11c,11dによって、多少の気密性が発揮されるように筐体2の内壁に着脱可能に固定されている。排気シール12(図2,3参照)は、排気開口6の周縁に形成されるリブ11eの端部に嵌め込まれている。後側ガイドバー33の取り付け位置を変更して発電機80よりひとまわり小さな発電機を収納する際には、仕切板11の配設位置も併せて変更することで、排気シール12を有効に機能させることが可能となる。
【0048】
図9および図10は、台座30のロック機構の説明図である。前記したように、防音箱1に発電機80を収納する際には、引き出した台座30の上部に発電機80を配置し、台座30をスライドさせて内部に押し込むこととなるが、このとき、発電機80が台座30上の正しい位置に配設されていない場合は、発電機80の取手81がガイドブラケット17に干渉して台座30を押し込むことが不可能となる。
【0049】
次に、発電機80が台座30上の正しい位置に配設されていても、排気シール12が発電機80の外殻に当接して排気シール12が有効に機能する所定の収納位置まで台座30を押し込まなければ、ロックレバー18がロックレバー係合部35に干渉してしまうため、図10に実線で示すロック位置に揺動させることができない。さらに、ロックレバー18が図10に示すアンロック位置にある状態では、ロックレバー18の先端部18aが開閉扉3に設けられた凸状ブラケット10に当接するため、開閉扉3を閉じることが不可能となる。
【0050】
本実施形態に係る防音箱1では、上記したような構成を適用することにより、不適切な操作を行った場合には、操作がそれ以上進まないようにすることで、排気シールが有効に機能しない状態で発電機80が収納されてしまうことを防ぐことを可能としている。
【0051】
収納手順を再度確認すると、発電機80を台座30上の正しい位置に配設することで台座30の押し込み操作が可能となり、次に、台座30を所定の収納位置まで押し込むことで排気シール12が有効に機能すると共にロックレバー18のロック位置への揺動動作が可能となり、そして、ロックレバー18をロック位置へ揺動させることで開閉扉3を閉じることが可能となる。
【0052】
図10に示すように、ロックレバー18をロック位置へ揺動させた状態では、その先端部18aが、凸状ブラケット10と扉側シール22との間の空間に水平方向に挿入され、お互いの干渉が生じないように構成されている。そして、開閉扉3を閉じていくと、筐体2に取り付けられた湾曲シール8と開閉扉3との間、および、スカート部材38に固定された台座側シール38と開閉扉3に取り付けられた扉側シール22とが互いにシール機能を発揮して、開閉扉3の周縁部が密閉されることとなる。
【0053】
図11は、図5のB−B線断面図である。台座30は、摺動抵抗の小さなスライダ部材を介してスライダレール16の内側に配設されている。台座30の上面および側面には、複数のスライダ部材60a,60bが取り付けられている。一方、台座30の下面は、筐体2の底板2aに固定されたスライダ部材61によって互いに摺動可能とされている。
【0054】
図12は、図5のC−C線断面図である。前記したように、防振ブッシュ88をブッシュガイド32で保持することで確実な位置決めを可能にすると共に、係合が不適切な場合に発電機80が台座30から浮き上がって取手81がガイドブラケット17に干渉するように構成することを可能としている。また、防振ブッシュ88を保持することにより、防音箱1への振動の伝達が低減される。締結部材7a,7bによって筐体2の底板2aに固定される脚部7は、防音箱1を接地する条件等に応じて種々の変更が可能である。
【0055】
上記したように、本発明に係る発電機用の防音箱によれば、発電機の設置位置を決め、発電機を防音箱内に収める台座のスライド機構と、発電機上部の合わせ形状と、発電機の台座へのロックレバーと開閉扉との合わせ形状を設け、収納する発電機が正規位置に設置されていないとこれらの各合わせ形状部分が互いに干渉して防音箱の開閉扉が閉まらないようにしたので、操作者が特に意識することなく、簡単な構造で、防音箱内に発電機本体を適切に設置固定することができ、万が一誤った設置を行ってもすぐに分かるようになる。これに伴い、各部のシールを確実に機能させ、箱内に排気が漏れずかつ防音防水性に優れた防音箱を得ることが可能となる。
【0056】
なお、防音箱、筐体、台座、各ガイドやマウントの形状や構造、ロックレバーおよびロックレバー係合部の形状、各シールの形状や材質等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、ガイドやマウント等の形状は、発電機の大きさや形状に合わせて任意の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0057】
1…防音箱、2…筐体、3…開閉扉、4…フック、5…ファスナー、6…排気開口、8…湾曲シール、10…凸状ブラケット、11…仕切板、13…背面部材、15…排気スリット、16…スライダレール、17…ガイドブラケット、18…ロックレバー、21…排気通路、22…扉側シール、30…台座、31…前側ガイドバー、32…ブッシュガイド、33…後側ガイドバー、35…ロックレバー係合部、36…台座側シール、38…スカート部分、55…吸気スリット、80…発電機、81…取手、82…燃料キャップ、86…配線、87…プラグ、88…防振ブッシュ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機(80)を収納する発電機用の防音箱(1)において、
前記防音箱(1)の一側面に設けられる開閉扉(3)と、
前記開閉扉(3)を開いた状態で前記防音箱(1)の内外へスライド可能に構成される台座(30)と、
前記台座(30)を、前記防音箱(1)内の所定の収納位置に保持するためのロックレバー(18)とを具備し、
前記台座(30)を前記所定の収納位置までスライドさせた状態でなければ前記ロックレバー(18)がロック位置に移動せず、かつ前記ロックレバー(18)がロック位置になければ前記ロックレバー(18)が前記開閉扉(3)に当接して該開閉扉(3)が閉じないように構成されていることを特徴とする発電機用の防音箱。
【請求項2】
前記防音箱(1)の内部には、前記発電機(80)の排気ガスを前記防音箱(1)の外部に排出する排気通路(21)が形成されており、
前記排気通路(21)の排気開口(6)は、前記防音箱(1)の奥側に設けられており、
前記排気通路(21)の排気開口(6)には、前記発電機(80)の排気口(60)の周囲に当接する排気シール(12)が設けられており、
前記所定の収納位置は、前記台座(30)が押し込まれることで前記排気シール(12)が変形してシール機能が発揮される位置であることを特徴とする請求項1に記載の発電機用の防音箱。
【請求項3】
前記ロックレバー(18)は、前記防音箱(1)に対して揺動自在に軸支されており、
前記台座(30)には、上方に突出するロックレバー係合部(35)が設けられており、
前記台座(30)を所定の収納位置まで押し込んだ状態で、前記ロックレバー(18)を揺動させて前記ロックレバー係合部(35)に係合させることにより、前記台座(30)が所定の収納位置に保持されるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の発電機用の防音箱。
【請求項4】
前記開閉扉(3)には、前記ロックレバー(18)がロック位置にない場合にその先端部(18a)が当接する凸状ブラケット(10)が設けられており、
前記ロックレバー(18)をロック位置に移動させると、前記先端部(18a)と前記凸状ブラケット(10)とが当接することなく前記開閉扉(3)の閉動作が可能となることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の発電機用の防音箱。
【請求項5】
前記台座(30)には、前記発電機(80)の外殻に前後方向から接触してその配設位置を規定する前側ガイドバー(31)および2つの後側ガイドバー(33)が取り付けられ、
前記防音箱(1)の上壁には、前記台座(30)のスライド方向に指向して前記発電機(80)の上部に設けられる凸状の取手(81)と係合する凹状のガイドブラケット(17)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の発電機用の防音箱。
【請求項6】
前記2つの後側ガイドバー(33,33)は、前記台座(30)に対して着脱可能かつ位置変更可能に構成されていることを特徴とする請求項5に記載の発電機用の防音箱。
【請求項7】
前記排気通路(21)の排気開口(6)を形成する仕切板(11)は、前記防音箱(1)に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の発電機用の防音箱。
【請求項8】
前記台座(30)には、発電機(80)の底面に設けられる防振ブッシュ(88)と係合して発電機(80)の配設位置を規定するブッシュガイド(32)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の発電機用の防音箱。
【請求項1】
発電機(80)を収納する発電機用の防音箱(1)において、
前記防音箱(1)の一側面に設けられる開閉扉(3)と、
前記開閉扉(3)を開いた状態で前記防音箱(1)の内外へスライド可能に構成される台座(30)と、
前記台座(30)を、前記防音箱(1)内の所定の収納位置に保持するためのロックレバー(18)とを具備し、
前記台座(30)を前記所定の収納位置までスライドさせた状態でなければ前記ロックレバー(18)がロック位置に移動せず、かつ前記ロックレバー(18)がロック位置になければ前記ロックレバー(18)が前記開閉扉(3)に当接して該開閉扉(3)が閉じないように構成されていることを特徴とする発電機用の防音箱。
【請求項2】
前記防音箱(1)の内部には、前記発電機(80)の排気ガスを前記防音箱(1)の外部に排出する排気通路(21)が形成されており、
前記排気通路(21)の排気開口(6)は、前記防音箱(1)の奥側に設けられており、
前記排気通路(21)の排気開口(6)には、前記発電機(80)の排気口(60)の周囲に当接する排気シール(12)が設けられており、
前記所定の収納位置は、前記台座(30)が押し込まれることで前記排気シール(12)が変形してシール機能が発揮される位置であることを特徴とする請求項1に記載の発電機用の防音箱。
【請求項3】
前記ロックレバー(18)は、前記防音箱(1)に対して揺動自在に軸支されており、
前記台座(30)には、上方に突出するロックレバー係合部(35)が設けられており、
前記台座(30)を所定の収納位置まで押し込んだ状態で、前記ロックレバー(18)を揺動させて前記ロックレバー係合部(35)に係合させることにより、前記台座(30)が所定の収納位置に保持されるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の発電機用の防音箱。
【請求項4】
前記開閉扉(3)には、前記ロックレバー(18)がロック位置にない場合にその先端部(18a)が当接する凸状ブラケット(10)が設けられており、
前記ロックレバー(18)をロック位置に移動させると、前記先端部(18a)と前記凸状ブラケット(10)とが当接することなく前記開閉扉(3)の閉動作が可能となることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の発電機用の防音箱。
【請求項5】
前記台座(30)には、前記発電機(80)の外殻に前後方向から接触してその配設位置を規定する前側ガイドバー(31)および2つの後側ガイドバー(33)が取り付けられ、
前記防音箱(1)の上壁には、前記台座(30)のスライド方向に指向して前記発電機(80)の上部に設けられる凸状の取手(81)と係合する凹状のガイドブラケット(17)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の発電機用の防音箱。
【請求項6】
前記2つの後側ガイドバー(33,33)は、前記台座(30)に対して着脱可能かつ位置変更可能に構成されていることを特徴とする請求項5に記載の発電機用の防音箱。
【請求項7】
前記排気通路(21)の排気開口(6)を形成する仕切板(11)は、前記防音箱(1)に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の発電機用の防音箱。
【請求項8】
前記台座(30)には、発電機(80)の底面に設けられる防振ブッシュ(88)と係合して発電機(80)の配設位置を規定するブッシュガイド(32)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の発電機用の防音箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図10】
【図11】
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【公開番号】特開2013−87634(P2013−87634A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226120(P2011−226120)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
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