説明

発電用装置

第1電極(1)及び第2電極(2)を有する発電用装置(6)において、少なくとも1種の双性イオン化合物及び/又は1種のラジカル化合物を含む分離層(3)が、2つの電極(1及び2)の間に配置されている。2つの電極(1及び2)と分離層(3)を組み合わせた後に、特定の期間、2つの電極(1及び2)間に外部電圧を印加する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、独立請求項のプリアンブルに記載の発電用装置及び発電用装置の製造方法に関する。
【0002】
[技術の現状]
生細胞は、細胞の生存能力及び正常機能を確保するために、例えば情報処理、情報転送、発電、代謝物質の合成、及びその他の機能などの様々な目的を対象とする、多くの機能的に決定論的な膜系又は複合体を含む。こうした系は、主として、膜の脂質マトリックス中に埋め込まれ立体的に配置されたタンパク質アセンブリである。特有な例、好塩菌の色素タンパク質(バクテリオロドプシンとして知られている、哺乳動物の視力系タンパク質に類似);視覚ロドプシン(脊椎動物の網膜の感光性視細胞顔料);輸送アデノシントリフォスファターゼ、イオンの電気化学ポテンシャル勾配に対抗して活性且つエネルギー独立にイオンを輸送するための膜系;シトクロムオキシダーゼ、すべての好気性生物の呼吸酵素系中の最後の構成要素;原形質膜のNa、K活性化アデノシントリフォスファターゼであり、最大の細胞エネルギーを消費するこのエネルギー生成系は、その勾配に対抗してナトリウム及びカリウムを輸送するためのエネルギーを提供する。こうした系の含有量は、生物体のこうした必要性又は任意の必要性のための電気的作用の性能をつかさどる器官(アカエイの神経、脳、電気的器官など)において特に高い。列挙された生物有機化学構造の中で最も重要な構造単位、及びその他の同様の機能を持つものは、輸送タンパク質及び受容タンパク質として知られている。これらのタンパク質は、生物系内の電子、イオン、様々な物質などの輸送に直接関与している。一般に、チトクロムC;葉緑素(ドナーからアクセプターへの電子の移動に関与する);オキシレダクターゼ(レドックス反応用触媒);トランスフェラーゼ(ある分子から別の分子へ様々な基を移動させるための触媒);ヘモグロビン、ヘモシアニン及びミオグロビン(酸素担体);血清アルブミン(血液中の脂肪酸輸送)、βリポタンパク質(脂質輸送)、セルロプラスミン(血液中の銅輸送)、膜の脂質交換タンパク質、並びにその他多くのものが、輸送タンパク質とされている。受容タンパク質の例としては、動物視力系のロドプシン、及び最も近い関連したバクテリオロドプシンがある。様々な生物系のロドプシンは、プロトンポンプとして働き、細胞膜を通して様々なイオン(H、Dなど)を直接輸送して、上述の膜上の電位差を、極限条件下の好塩菌の生存又は動物の視覚刺激の発生に十分な値に維持する。
【0003】
上述の生物系は、構造的及び立体的に精密に配列又は構築されており、且つ様々なレベルの秩序で存在する。一次構造は鎖中の異なる秩序のサブユニットの配列を画定し、二次構造は鎖の折りたたみパターン(αヘリックス、β構造、β屈曲又は他のもの)を画定し、三次構造は鎖の立体的配向である。タンパク質アセンブリの種々の個別のサブユニット間の立体的関係及び可能な相互作用は、四次構造として知られているものによって説明される。膜系は、正確に配置され且つ単位体として機能するために、異なるサブユニットからなり、すべてが4つの構造的階層によって特徴づけられ、且つ膜の脂質マトリックス中に埋め込まれた、大部分がタンパク質のアセンブリである。生体内の生物系が、秩序をもって配列された生体材料内の電荷担体の(膜を通した)有向移動の手段を有することを可能にし、更にこれらの生体材料の限界において電位差を生成し且つ起電力源としてこれを生体内で利用することを可能にするのは、脂質膜に配置されたサブユニットのこの非常に厳密な配向である。
【0004】
すべてのタンパク質のサブユニットはアミノ酸である。アミノ酸はそれぞれpHに応じて、(正又は負電荷を有する)極性の1価イオン、又はプロトン化アミノ基(HN)及び脱プロトンカルボキシル基(COO)を有する、両性イオン(双性イオン)の形態である。より詳細には、実質的にすべてのアミノ酸は中性状態(pH=7.0)で双性イオンとして存在する。こうした双性イオンサブユニットは、相互に作用する原子(例えば、C、O、N、Hなど)の特定の組合せであり、電荷が過剰な(+;これは一般にプロトン化アミノ基NHである)及び欠乏した(−;これは一般に脱プロトンカルボキシル基COOである)少なくとも2つの基を含んでいるので、こうしたサブユニットは、事実上構造的に複合した機能的に安定な自立した要素であり、相当する電位差及び電界強度をその領域内に規定する空間的に分離した電荷を有する。
【0005】
膜電位の生成及び維持は細胞の基本機能の遂行に不可欠であるから、膜構造又は膜マトリックスは、非導電性電気絶縁性構造として形成されなければならない。電気工学では、非導電層による電荷分離によって機能する系は、コンデンサーとして知られている。したがって、絶縁膜のような生物有機化学サブユニットから帯電した原子及び分子(イオン)の両方を分離する生体膜は、コンデンサーと同様の機能がある。
【0006】
[発明の目的]
本発明は、新規で有利な発電用装置、及び発電用装置の製造方法を提供することを目的とする。これら及び他の目的は、独立請求項に記載の、発電用装置及びこうした装置の製造方法によって達成される。更なる好ましい実施形態は、従属請求項で提供される。
【0007】
[発明の説明]
意外にも、第1電極及び第2電極並びにこれらの電極間に配置された分離層を備える発電用装置は、この分離層が少なくとも1種の双性イオン化合物及び/又はフリーラジカル化合物を含む場合に向上することが見出された。こうした双性イオン化合物は、アミノ酸、好ましくは天然のアミノ酸とすることができる。グリシン又はヒスチジンが特に好適である。フリーラジカル化合物は、安定しており、少なくとも水溶性が限定されていることが好ましい。特に好適なものは、有機フリーラジカル、例えば芳香族炭化水素のフリーラジカルである。特に好適なものは、芳香族3置換メチルラジカル、例えばPhC・ラジカル、即ちトリフェニルメチルである。こうしたフリーラジカルは、非局在化パイ系による分離層中の電子輸送だけでなく、これらのパイ系へのプロトン結合によるプロトン輸送に有利な効果がある。
【0008】
これら2つの電極間の分離層は担体材料を含むことが有利であり、この担体材料は、様々な状態の中でもゲル又は固体の形にすることができる。好適な例は、リネン又は綿から作られた織物又はニット、例えば綿ガーゼである。更に、特に好適なものとしては、セルロース含有複合材料があり、これには、例えば、セルロース繊維又は他の高分子量多糖類(特にグルカン)からなるかこれらを含む材料が挙げられる。或いは、その他の特に好適なものとしてキチン(β−1,4−結合N−アセチルグルコサミン)が挙げられる。こうした有利な分離層は、有機原料、例えば植物繊維から製造することができる。セルロース繊維は、分離層中の内部機構の形成、したがって本発明の装置の機能を促進する。
【0009】
本発明の装置の分離層の製造に特に好適な材料は、スイス国特許出願第1889/08号に記載されており、その内容は、本出願の開示から切り離すことのできない一部を形成するものである。
【0010】
上述の有利な方法では、適切に調製されたセルロース含有材料、例えば麦藁繊維のパルプは、有機出発物質の細胞間及び細胞内の結合を破壊するために、強い交流電磁界にさらされる。この有利な効果は、例えば長さ3〜5mm及び直径0.1〜2.5mmの強磁性粒子を加えることにより更に向上させることができる。強磁性粒子の比率は例えば1〜20重量パーセントである。一方、液体含有量は40重量パーセント以下とすることができる。交流電磁界における強磁性粒子は有機材料の分解を促進する。
【0011】
有利なセルロース材料が製造された後、これを、必要な形状で本発明の装置に配置する。例えば薄層として2つの電極間に配置する。その後、セルロース材料を乾燥する。更に層を硬化することも可能である。
【0012】
本発明の装置の双性イオン化合物及び/又はフリーラジカル化合物を、この初期の時点でセルロース含有材料に加えることができる。或いは、対応する化合物を後で用いることもできる。
【0013】
したがって、本発明の発電用装置は、第1電極及び第2電極並びにこれらの2つの電極間に配置された分離層を備える。分離層は、少なくとも1種の双性イオン化合物及び/又はフリーラジカル化合物を含む。
【0014】
双性イオン化合物は、アミノ酸、特に天然のアミノ酸であることが好ましく、且つグリシン又はヒスチジンであることが好ましい。次にフリーラジカル化合物は、安定化有機ラジカル、特に芳香族3置換メチルラジカルであることが好ましく、且つトリフェニルメチル又はその誘導体であることが好ましい。
【0015】
分離層のpHは、中性の双性イオンが最大濃度で存在するように選択することが好ましい。
【0016】
本発明の装置の第1電極及び/又は第2電極は、例えば、炭素、スズ、亜鉛、又は有機導電体からなるものとすることができる。この装置の1つ又は両方の電極は、好ましくはスパッタリング、蒸着又はプラズマコーティングによって、冷電子放出に適した材料でコーティングされていることが好ましい。
【0017】
装置の有利な実施形態では、分離層は担体材料を有する。この担体材料は、ゲル又は固体の形とすることができる。担体材料は、繊維布であることが好ましく、セルロース、特にリネン又は綿から作られた織布又は不織布であることが好ましい。
【0018】
別の有利な変形においては、担体材料は、セルロース含有材料及び/又はキチン含有材料を含む。セルロース含有材料及び/又はキチン含有材料は、交流電磁界で粉砕されていることが好ましい。
【0019】
本発明の装置の更に別の有利な実施形態では、この装置は電気化学電池を備える。
【0020】
本発明の発電用装置を製造するための本発明による有利な方法においては、2つの電極と分離層を組み合わせた後に、特定の期間、2つの電極間に外部電圧を印加する。これは分離層中に構造形成をもたらし、これにより本発明の装置の機能が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の発電用装置6を図1に概略的に示す。
【図2】本発明の装置の別の構成の断面を図2に概略的に示す。
【図3】コンデンサー両端間の電圧Uを時間tの関数として記録した。結果を図3(a)に示す。刺激の後に測定した電圧曲線を図3(b)に示す。
【図4】コンデンサー両端間の電圧Uを時間tの関数として記録した。結果を図4(a)に示す。刺激の後に測定した電圧曲線を図4(b)に示す。
【図5】コンデンサー両端間の電圧Uを時間tの関数として図5に示す。
【0022】
[発明の実績]
(実施例1)
本発明の発電用装置6を図1に概略的に示す。板状の第1電極1と板状の第2電極2の間に担体材料を有する分離層3が配置されている。これら2つの電極1及び2は電気黒鉛からなり、抵抗を最小化するために研磨面を有する。電極1及び2は、接触線によって電圧値及び電流値を測定することができる計器4に接続されている。分離層3は、グリシン及びトリフェニルメチルを含浸させた綿素材からなる。
【0023】
本発明の装置の製造における1つの可能な変形では、きれいにした表面を有する電気黒鉛から作られた第1電極1は、適切な非導電性基体5、例えばガラス上に配置される。第1電極1の面積は50〜100cmである。未処理の綿セルロースガーゼの形の、厚み0.1〜0.5mmの分離層3を、担体材料として第1電極上に置く。必要により、織物材料は複数の層とすることもできる。試験のために、電気黒鉛から作られた第2電極2を分離層3上に置き、抵抗及び静電容量を対照用に測定する(>20MOhm;120Hzで0.011〜0.019nF)。
【0024】
高純度水(導電率4.5〜6.0μS)及び結晶質の純グリシンから、飽和溶液(75.08M)を調製する。pHを7.0に調節する。この値では、グリシン分子は主として中性の双性イオン状態にある。第2のトリフェニルメチルラジカル溶液を同様に調製する。その濃度は、グリシン溶液の濃度の0.01%〜0.1%である。
【0025】
次いで、0.25〜0.3マイクロリットルのグリシン溶液を担体材料に塗布し、1〜2分後に0.25〜0.3マイクロリットルのフリーラジカル溶液を担体材料に塗布する。第2電極2を適用し、装置を外部圧力によって電極に押しつける。次いで、計器4で電圧差ΔU=120mVが測定された。電極に対して一時的に模擬電圧を印加した後に、ΔUを測定したところ140mVまで上昇した。
【0026】
これら2つの電極材料として亜鉛(Zn)を使用した場合、電圧差ΔUは60mVであったが、刺激電圧を印加した後では、電圧差ΔUは80mVまで上昇した。
【0027】
炭素と亜鉛の電極対を用いて、様々な分離層を試験した。分離層の含浸にグリシン溶液のみを使用した場合、電圧差ΔUは500〜510mVであったが、刺激の後、電圧差ΔUは900mVまで上昇した。トリフェニルメチルラジカル溶液では、電圧差ΔUは750〜760mVであったが、刺激の後、電圧差ΔUは1050mVまで上昇した。対照的に、両方の溶液を使用した場合、電圧差ΔUは既に950〜990mVであったが、刺激の後、1100mVまで上昇した。
【0028】
例として、電極と分離層の更なる組合せについて、本発明の発電装置で測定した電圧値及び電流値を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
一般に、達成可能な電圧は、使用した双性イオン又はフリーラジカル化合物の種類、溶剤系、濃度、並びに電極の種類及び外部負荷に左右されると言うことができる。
【0031】
本発明の発電用装置は、実行時間が長く電力消費が低い負荷、例えば医療用移植片のためのエネルギー貯蔵庫として特に好適である。
【0032】
(実施例2)
本発明の装置の別の構成の断面を図2に概略的に示す。図示の装置6は、棒状の内部電極1と、これを完全に囲む分離層3と、外部電極2とを備える。この装置は、適当な絶縁被膜5aを更に備えている。
【0033】
図2による試験的装置を、棒状の炭素電極1の形の第1電極から構築した。調製した分離層3をこの第1電極に巻きつけた。分離層3は担体材料としての綿ガーゼから構成されていたが、綿ガーゼには、トリフェニルメチル1gの水3ml溶液が含浸させてあった。このまわりに、亜鉛板カフの形の第2電極2を置いた。この第2電極2は、ぴったり合うように圧入して第1電極1及び分離層3を取り囲んだ。この亜鉛板カフは、炭素電極の縦方向の長さが15mmであり、内径が8.8mmであった。シート厚みは1mmであった。
【0034】
両電極1及び2は電気接続11及び21を有していた。最後に、絶縁テープ5aを装置6に巻きつけた。装置の完成後、2つの電極間の電圧Uは1.08Vであった。
【0035】
別の好ましい実施形態では、トリフェニルメチル溶液で含浸した後の分離層を乾燥した後、第1内部電極に巻きつけることができる。分離層3を外部電極2で取り囲んだ後、この分離層にトリフェニルメチル溶液を最終的に再度含浸させる。
【0036】
本発明の装置の内部抵抗Rを測定するために、あらかじめ完全放電された静電容量C=470μFを有する電解コンデンサーを、この装置の2つの電極に接続した。コンデンサー両端間の電圧Uを時間tの関数として記録した。結果を図3(a)に示す。
【0037】
コンデンサー両端間の電圧は、式U=U(1−exp(t/RC))+Uで決まる。図3(a)の試験結果をはめ込むと、U=0.294(1−exp(−0.734t))+0.752が得られる。その結果、この装置の内部抵抗R=174kOhm(±7%)が得られる。
【0038】
次に、この装置に外部刺激を加えることにより所望の内部構造を形成した。この目的のために、この装置を電圧6.6Vの電圧源に20秒間接続(正極を第1電極に、負極を第2電極に)し、電圧源の適切に選択された内部抵抗によって電流を抑えた。この刺激の後に測定した電圧曲線を図3(b)に示す。この刺激の後の結果では、この装置の電圧は高くなった。
【0039】
(実施例3)
図2による別の試験的装置を、棒状の炭素電極1の形の第1電極から構築した。この第1電極には調製した分離層3が巻きつけてあった。今回は、分離層3は綿ガーゼから構成されていたが、綿ガーゼには、グリシン20gの水100ml溶液が含浸させてあった。次に、このまわりに、亜鉛板カフの形の第2電極2を置いた。この第2電極2は、ぴったり合うように圧入して第1電極1及び分離層3を取り囲んだ。続いて、絶縁テープ5aを装置6に巻きつけた。装置の完成後の電圧はU=1.02Vであった。
【0040】
別の好ましい変形では、分離層にグリシン溶液を繰り返し含浸させて乾燥し、且つ装置を組み立てた後、分離層にグリシン溶液を再び含浸させる。
【0041】
実施例2と同様にして、静電容量C=470μFを有する電解コンデンサーをこの装置の2つの電極に接続することにより、本発明の装置の内部抵抗Rを再び測定し、コンデンサー両端間の電圧Uを時間tの関数として記録した。結果を図4(a)に示す。
【0042】
上述の式U=U(1−exp(t/RC))+Uに図4(a)の試験結果をあてはめると、U=0.132(1−exp(−0.321t))+0.874が得られる。この式から、この装置の内部抵抗としてR=40kOhm(±11%)の値が得られる。
【0043】
実施例2と同様にして、電圧6.6Vの電圧源を用いて、この装置に外部刺激を20秒間同様に加えた。この刺激の後に測定した電圧曲線を図4(b)に示す。
【0044】
(実施例4)
図2による更に別の試験的装置を実施例3と同様に構築した。担体材料への付着性を最適化するために、グリシン溶液はカルボキシメチルセルロースを更に含有した。この装置を組み立てた後に得られた電圧はU=0.97Vであった。
【0045】
続いてこの装置にストレス試験を行った。この目的のために、この装置を負荷抵抗Rに接続し、この抵抗の両端間の電圧Uを測定した。R=1MOhmでは電圧はU=0.96Vであった。R=560kOhmでは電圧はU=0.95Vであった。更に、R=222kOhmではこの値はU=0.92Vであった。負荷抵抗R=100kOhmでは、電圧は4分後にU=0.79Vで安定化した。これは、電流が約I=8μAに相当する。
【0046】
9.4Vの電圧源を用いて20秒間外部刺激を加えた後、10分後の結果では装置の電圧はU=1.55Vであった。
【0047】
(実施例5)
トリフェニルメチル1gの水9ml溶液を用いて、実施例2と同様にして本発明の装置を調製した。使用された炭素電極は光アーク灯の電極である。これにより電圧1.1Vが得られる。続いて、この装置に、8.5Vの外部刺激を15秒間加えた。10分後、外部刺激を繰り返した。更に5分後の結果では、この装置の電圧は1.21Vであった。
【0048】
再び、本発明の装置の内部抵抗Rを、静電容量C=470μFを有する電解コンデンサーを充電することにより測定した。コンデンサー両端間の電圧Uを時間tの関数として図5に示す。適合する関数はU=0.844(1−exp(−0.2042t))+0.361である。したがって、内部抵抗はR=10.4kOhm(±4%)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極(1)及び第2電極(2)を備える発電用装置(6)において、前記2つの電極(1及び2)の間に配置された分離層(3)が、少なくとも1種の双性イオン化合物及び/又はフリーラジカル化合物を含むことを特徴とする発電用装置(6)。
【請求項2】
前記双性イオン化合物が、アミノ酸、特に天然のアミノ酸、好ましくはグリシン又はヒスチジンであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フリーラジカル化合物が、安定化有機フリーラジカル、特に芳香族3置換メチルラジカルであり、好ましくはトリフェニルメチル又はその誘導体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記分離層(3)が担体材料を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記担体材料がゲル又は固体の形態であることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記担体材料が、繊維布、好ましくはセルロース、特にリネン又は綿から作られた織布又は不織布を含むことを特徴とする、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記担体材料が、セルロース含有材料及び/又はキチン含有材料を含むことを特徴とする、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項8】
前記セルロース含有材料及び/又はキチン含有材料が、交流電磁界で粉砕されていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置(6)が電気化学電池を備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1電極(1)及び/又は第2電極(2)が、炭素、スズ、亜鉛、又は有機導電体からなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1電極(1)及び/又は第2電極(2)が、好ましくはスパッタリング、蒸着又はプラズマコーティングによって、冷電子放出に適した材料でコーティングされていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記2つの電極(1及び2)と前記分離層(3)とを組み合わせた後に、特定の期間、前記2つの電極(1及び2)間に外部電圧を印加することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の発電用装置(6)の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−501041(P2012−501041A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506664(P2011−506664)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055006
【国際公開番号】WO2009/133040
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(509314965)フィリップ セイント ゲア アーゲー (4)
【Fターム(参考)】