説明

発電装置、及びハイブリッド発電システム

【課題】NOガスの排出量は低減し、発電効率を高めるとともに、電力を安定供給可能とする発電装置、及びこのような発電装置を用いたハイブリッド発電システムを提供する。
【解決手段】原動機7から伝達される回転エネルギーによって発電を行う発電機8を備えている発電装置1,31,41において、酸素イオンを透過する機能を有する酸素イオン透過膜5a,33aと、酸素イオン透過膜5a,33aに空気を供給することによって空気から分離された純酸素を貯蔵するリザーブタンク14とを備え、リザーブタンク14に貯蔵された純酸素を燃料とともに原動機7に供給かつ燃焼させて発生した燃焼エネルギーを、原動機7によって回転エネルギーに変換するように構成されていることを特徴とする発電装置1,31,41。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機の回転エネルギーによって発電を行う発電機を備えた発電装置、及びこのような発電装置を用いたハイブリッド発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーを得るために、原動機と回転式発電機とを備えた発電装置が広く用いられている。この発電装置では、原動機にて、燃料を空気とともに燃焼させることにより高温の燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスの熱エネルギーを機械の回転動力に変換し、さらに発電機にて、この回転動力により得られた回転エネルギーを用いて発電を行なっている。このようにして得られる電力は、より効率的に発電され、かつ安定供給されることが望ましい。また、発電装置には、原動機にて燃料を燃焼させる際に発生するNOガスの排出量を低減することが要求され、原動機を高効率で作動させること等によって高効率で発電を行うことが要求され、かつ電力を安定供給することが要求される。
【0003】
特許文献1では、NOガスの排出量を低減するために、原動機にて、燃料を酸素富化ガスとともに燃焼させて、作動温度領域を低下させることにより希薄噴出温度を低下させた状態で高温の燃焼ガスを発生させており、このような燃焼ガスの熱エネルギーを機械の回転動力に変換している。ここで酸素富化ガスを生成する酸素富化ガス源には、圧力スイング吸着システム、電解槽、又は膜反応器が用いられており、特に膜反応器には、例えば、ペロブスカイト等のセラミックス材料から成る酸素透過膜が用いられている。
【0004】
そこで、高純度の酸素富化ガスとして純酸素を生成するために、特許文献2のように酸素製造装置にて、ジルコニア等のセラミックス材料から成る固体電解質を設けた酸素イオン透過膜を用いることが考えられる。特許文献2では、このような酸素イオン透過膜の一方面に高温の酸素含有ガスを高圧で供給し、固体電解質を透過した酸素イオンを酸素イオン透過膜の他方面にて純酸素の状態で取り出している。
【0005】
また、近年では地球環境問題を考慮して、より高効率で発電を行い、かつ安定して電力を供給できる発電方式が検討されている。このような発電方式の一例としては、ハイブリッド発電システムが挙げられる。ハイブリッド発電システムでは、原動機と発電機とを備えた発電装置に、二次電池が付設されている。このハイブリッド発電システムでは、原動機をできる限り一定の負荷により高効率で作動させ、かつ高効率な発電を行なうため、原動機の負荷が変動する場合には二次電池により電力を供給している。
【0006】
ハイブリッド発電システムの利用例としては、自動車、風力発電機、燃料電池等が挙げられる。ハイブリッド発電システムを用いたハイブリッド自動車では、駆動車輪が原動機、及び二次電池に接続したモータのいずれかによって安定して駆動される構成となっている。さらに、ハイブリッド発電システムを用いた風力発電機では、風力の変化により発電電力が変動した場合に電力を安定供給可能とするため、風力発電機に二次電池が付設されている。ハイブリッド発電システムを用いた燃料電池でもまた、電力を安定供給可能とするため、燃料電池に二次電池が付設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−255424号公報
【特許文献2】特開2000−203805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、原動機を高効率で作動させるためには、燃焼ガスの温度を高温にする必要がある。そのため、特許文献1の原動機では、NOガスの排出量は低減されるが、作動温度領域を低下させることにより希薄噴出温度を低下させた状態で燃焼ガスを発生させているので、燃焼ガスの燃焼温度が十分に得られず、原動機を高効率で作動させることが困難となっている。従って、このような原動機を用いた発電装置では、高効率な発電を行うことが難しいという問題があった。
【0009】
さらに、特許文献2のように製造した純酸素を用いた場合、酸素富化ガスには、酸素と結合することによりNOガスの排出量を増加させる不純物が含まれない。そのため、燃焼ガスをより高温で燃焼させることができ、原動機をより高効率で作動させることができる。この場合、純酸素を製造しながら発電を行なう必要があり、純酸素を原動機に安定供給することが難しいので、原動機が一定負荷かつ高効率で作動し難く、電力を安定供給することが困難となるという問題があった。
【0010】
また、ハイブリッド発電システムについても、原動機をできる限り一定の負荷で、かつ高効率で作動させるために二次電池を用いて高効率化を図っているが、さらに発電効率を高めるためには十分でない。
【0011】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、NOガスの排出量を低減し、発電効率を高めるとともに、電力を安定供給可能とする発電装置、及びこのような発電装置を用いたハイブリッド発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
課題を解決するために本発明の発電装置は、原動機から伝達される回転エネルギーによって発電を行う発電機を備えている。当該発電装置は、酸素イオンを透過する機能を有する酸素イオン透過膜と、前記酸素イオン透過膜に空気を供給することによって前記空気から分離された純酸素を貯蔵するリザーブタンクとを備え、前記リザーブタンクに貯蔵された純酸素を燃料とともに前記原動機に供給かつ燃焼させて発生した燃焼エネルギーを、前記原動機によって前記回転エネルギーに変換するように構成されている。
【0013】
本発明の発電装置では、前記酸素イオン透過膜に空気を供給する空気用経路に、前記原動機から発生する燃焼排ガスの熱を利用して空気を加熱可能に構成される加熱部を設け、前記加熱部によって、前記酸素イオン透過膜に供給される空気の温度が加熱されるように構成されている。
【0014】
本発明の発電装置では、前記酸素イオン透過膜に、電子と酸素イオンとの混合導電性を有するM1−xM’Co1−yM’’から成るペロブスカイト酸化物が用いられ、M及びM’がそれぞれSr、Ba、La、Sc及びYのいずれかであり、M’’がFe、Nb、Ni及びRuのいずれかであり、x及びyがそれぞれ0〜0.3となっている。
【0015】
本発明の発電装置では、前記酸素イオン透過膜に、酸化イオンを透過可能なイットリア安定化ジルコニア、又はスカンジア安定化ジルコニアが用いられている。
【0016】
本発明のハイブリッド発電システムは、上述の発電装置に、前記発電機からの電力を蓄電するための二次電池を取付けている。
【0017】
本発明のハイブリッド発電システムでは、前記発電機からの電力をすべて前記二次電池に蓄電するために使用し、前記二次電池から外部に電力を供給するように構成されている。
【0018】
本発明のハイブリッド発電システムでは、前記酸化イオン透過膜が、アノード電極とカソード電極との間に配置され、前記アノード電極及びカソード電極の間に前記二次電池から電力を供給することによって、前記酸素イオン透過膜にて空気から純酸素を分離することを促すように構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
本発明の発電装置は、原動機から伝達される回転エネルギーによって発電を行う発電機を備えており、酸素イオンを透過する機能を有する酸素イオン透過膜と、前記酸素イオン透過膜に空気を供給することによって前記空気から分離された純酸素を貯蔵するリザーブタンクとを備え、前記リザーブタンクに貯蔵された純酸素を燃料とともに前記原動機に供給かつ燃焼させて発生した燃焼エネルギーを、前記原動機によって前記回転エネルギーに変換するように構成されている。
そのため、純酸素が燃料とともに前記原動機に供給されることとなり、前記原動機にて発生する燃焼エネルギーを高めることができる。純酸素には、酸素と結合することによりNOガスを発生させるような物質(N)が含まれないので、NOガスの排出量を低減できる。また、純酸素は、前記リザーブタンクに貯められた状態から前記原動機に供給されるので、純酸素を含む燃料が安定供給されることとなる。よって、本発明の発電装置は、NOガスの排出量を低減し、発電効率を高めるとともに、電力を安定供給できる。
【0020】
本発明の発電装置では、前記酸素イオン透過膜に空気を供給する空気用経路に、前記原動機から発生する燃焼排ガスの熱を利用して空気を加熱可能に構成される加熱部を設け、前記加熱部によって、前記酸素イオン透過膜に供給される空気の温度が加熱されるように構成されているので、前記発電装置内で発生した燃焼排ガスが、純酸素生成の効率化のために循環されて再利用されることとなる。従って、発電効率を高めることができる。
【0021】
本発明の発電装置では、前記酸素イオン透過膜に、電子と酸素イオンとの混合導電性を有するM1−xM’Co1−yM’’から成るペロブスカイト酸化物が用いられ、M及びM’がそれぞれSr、Ba、La、Sc及びYのいずれかであり、M’’がFe、Nb、Ni及びRuのいずれかであり、x及びyがそれぞれ0〜0.3となっている。
または、本発明の発電装置では、前記酸素イオン透過膜に、酸化イオンを透過可能なイットリア安定化ジルコニア、又はスカンジア安定化ジルコニアが用いられている。
そのため、このような酸素イオン透過膜によって純酸素が確実に生成されるので、NOガスの排出量を低減し、発電効率を高めるとともに、電力を安定供給できる。
【0022】
本発明のハイブリッド発電システムは、上述の発電装置に、前記発電機からの電力を蓄電するための二次電池を取付けている。
そのため、前記発電装置により発電された電力、又は前記二次電池に蓄電された電力を外部に供給できる。例えば、前記発電機からの電力が、外部機器の動作負荷等に対して多くなった場合には、前記二次電池に電力を供給して蓄電を行なう一方で、前記発電機からの電力が、外部機器の動作負荷等に対して少なくなった場合には、前記二次電池に蓄電した電力を外部機器に供給することができる。よって、電力を安定供給できる。
【0023】
本発明のハイブリッド発電システムでは、前記発電機からの電力をすべて前記二次電池に蓄電するために使用し、前記二次電池から外部に電力を供給するように構成されているので、常に前記二次電池に一旦蓄電された電力が供給されることによって、電力を安定供給できる。
【0024】
本発明のハイブリッド発電システムでは、前記酸化イオン透過膜が、アノード電極とカソード電極との間に配置され、前記アノード電極及びカソード電極の間に前記二次電池から電力を供給することによって、前記酸素イオン透過膜にて空気から純酸素を分離することを促すように構成されているので、前記酸素イオン透過膜に流れる電流を調節することによって酸素の透過量を正確かつ容易に調節できる。加えて、前記発電装置により発電され、かつ前記二次電池に一旦蓄電された電力を利用して、効率的に純酸素を生成できる。従って、さらに発電効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態におけるハイブリッド発電システムを模式的に示す図である。
【図2】第2実施形態におけるハイブリッド発電システムを模式的に示す図である。
【図3】第3実施形態におけるハイブリッド発電システムを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
第1実施形態における発電装置、及び当該発電装置を備えるハイブリッド発電システムを説明する。図1に示すように、ハイブリッド発電システム1は、発電装置2と、この発電装置2と接続される二次電池3とを備えている。
【0027】
第1実施形態の発電装置2の構成について説明する。発電装置2には、空気を供給するための空気供給部4が設けられている。発電装置2には、空気供給部4から供給される空気を用いて純酸素ガスを生成する酸素分離ユニット5が設けられている。発電装置2には、酸素分離ユニット5にて生成された純酸素ガスとともに燃料ガスを送る燃料供給部6が設けられている。発電装置2には、燃料供給部6から供給される純酸素ガスを含む燃料ガスを燃焼させることにより発生した燃焼エネルギーを回転エネルギーに変換する原動機7が設けられている。発電装置2には、原動機7の回転運動により得られる回転エネルギーを用いて発電する発電機8が設けられている。
【0028】
空気供給部4について説明する。空気供給部4には、空気を供給する空気用経路9が設けられている。空気用経路9の中間部には、通過する空気を加熱する加熱部として熱交換器10が設けられている。空気用経路9の熱交換器10より下流側には温度センサ11が設けられている。温度センサ11は温度制御部12に接続され、温度制御部12は熱交換機10に接続されている。
【0029】
酸素分離ユニット5について説明する。酸素分離ユニット5は、酸素イオンを透過する機能を有する酸素イオン透過膜5aを備えている。この酸素イオン透過膜5aには、電子と酸素イオンとの混合導電性を有するM1−xM’Co1−yM’’から成るペロブスカイト酸化物が用いられている。なお、M及びM’がそれぞれSr、Ba、La、Sc及びYのいずれかであり、M’’がFe、Nb、Ni及びRuのいずれかであり、x及びyがそれぞれ0〜0.3となっている。なお、第1実施形態では、酸素イオン透過膜5aには、La0.8Sr0.2Co0.7Fe0.3から成るペロブスカイト酸化物が用いられているものとする。
【0030】
酸素イオン透過膜5aの一方面には、酸素イオン透過膜5aに透過する空気を供給する空気供給部5bが配置されている。この空気供給部5bに空気用経路9が接続され、熱交換器10によって加熱された空気が空気供給部5bに供給されることとなる。酸素イオン透過膜5aの他方面には、空気を酸素イオン透過膜5aに透過させることによって生成された純酸素ガスを取り出す酸素取出部5cが配置されている。
【0031】
燃料供給部6について説明する。酸素取出部5cに第1の酸素用経路13が接続され、酸素取出部5cにて取り出された純酸素ガスが第1の酸素用経路13に送られるように構成されている。さらに第1の酸素用経路13は、純酸素を貯蔵するリザーブタンク14に接続されており、リザーブタンク14には貯蔵される純酸素の量を検出する貯蔵量検出センサ15が設けられている。
【0032】
さらにリザーブタンク14には第2の酸素用経路16が接続され、リザーブタンク14に貯蔵された純酸素が気体の状態で第2の酸素用経路16に送られるように構成されている。第2の酸素用経路16の中間部には酸素用制御弁17が設けられている。第2の酸素用経路16の酸素用制御弁17より下流側には、酸素用流量センサ18が設けられている。また、燃料ガスを供給する燃料用経路19が設けられている。酸素用経路16と燃料用経路19とは、合流部20にて合流して合流経路21に接続され、さらに合流経路21が原動機7と接続されている。燃料用経路19の合流部20より上流側には、燃料用制御弁22が設けられている。燃料用経路19の合流部20と燃料用制御弁22との間には、燃料用流量センサ23が設けられている。リザーブタンク14の貯蔵量検出センサ15と、第2の酸素用経路16の酸素用流量センサ18と、燃料用経路19の燃料用流量センサ23とは、流量制御部24に接続されている。さらに流量制御部24は、第2の酸素用経路16の酸素用制御弁17と、燃料用経路19の燃料用制御弁22とに接続されている。
【0033】
原動機7について説明する。原動機7は、内燃式の原動機となっており、合流経路21から燃料ガス及び純酸素を供給されるように構成されている。さらに、原動機7は、供給される燃料ガス及び純酸素ガスを燃焼させることにより発生した燃焼エネルギーを、ピストン7aの往復運動に変換し、さらにピストン7aの往復運動をクランク7bの回転運動に変換する構成となっている。なお、原動機7には、燃料及び酸素の燃焼後に発生する排ガスを排出する排ガス用経路25が設けられている。
【0034】
発電機8について説明する。発電機8は、原動機7の回転運動を伝える伝動機構26によって原動機7と連結されており、原動機7の回転運動により得られる回転エネルギーを用いて発電するように構成されている。
【0035】
なお、第1実施形態におけるハイブリッド発電システム1では、このような発電装置2の発電機8と二次電池3とが接続され、発電機8により発電された電力が二次電池3に蓄電可能に構成されている。
【0036】
第1実施形態のハイブリッド発電システム1、及び発電装置2を用いた発電方法について説明する。空気用経路9に空気を供給し、この空気を熱交換器10によって加熱する。ここで熱交換器10によって加熱される空気は温度センサ11により検出され、検出された温度特性に関する情報が温度制御部12に送られ、温度制御部12によって熱交換器10が空気を600℃〜1000℃に加熱するように制御される。
【0037】
加熱された空気は、酸素分離ユニット5の空気供給部5bに送られる。その後、酸素イオン透過膜5aの一方面側と他方面側との差圧によって、当該空気中の酸素イオンが酸素イオン透過膜5aを透過する。酸素イオン透過膜5aを通過した酸素イオンは、酸素取出部5cにて純酸素ガスの状態で取り出される。この純酸素ガスは第1の酸素用経路13に送られる。
【0038】
第1の酸素用経路13に送られた純酸素ガスは、液化されて液体になった状態又は気体のままの状態で、リザーブタンク14に所定量貯蔵される。その後、リザーブタンク14に貯蔵された純酸素は気体の状態で第2の酸素用経路16に送られる。このとき、第2の酸素用経路16を通過する純酸素ガスの流量が流量センサ18により検出され、検出された流量に関する情報が流量制御部24に送られ、流量制御部24によって酸素用制御弁17が第2の酸素用経路16を通過する純酸素ガスを所定の流量とするように制御される。また、燃料ガスは燃料用経路19に供給される。このとき、燃料用経路19を通過する燃料ガスの流量が燃料用流量センサ23により検出され、検出された流量に関する情報が流量制御部24に送られ、流量制御部24によって燃料用制御弁22が燃料用経路19を通過する燃料ガスを所定の流量とするように制御される。
【0039】
このような第2の酸素用経路16の純酸素ガスと燃料用経路19の燃料ガスとが合流経路21に送られて、燃料ガスと純酸素ガスとが合流経路21から原動機7に送られることとなる。原動機7では、燃料ガスと純酸素ガスとを燃焼させて発生した燃焼エネルギーをピストン7aの往復運動に変換し、さらにピストン7aの往復運動をクランク7bの回転運動に変換する。この原動機7の回転運動は、伝動機構26によって発電機8に伝えられる。なお、原動機7にて、燃料ガスと純酸素ガスとを燃焼させて発生した排ガスは、排ガス用経路25によって排出される。発電機8は、原動機7の回転運動により得られた回転エネルギーを用いて発電を行なう。発電機8により発電された電力は、外部機器(図示せず)に供給される。
【0040】
ここで、発電機8からの電力が外部機器の動作負荷等に対して多くなった場合、二次電池3に電力を供給して蓄電を行なう。その一方で、発電機8からの電力が外部機器の動作負荷等に対して少なくなった場合、二次電池3に蓄電した電力を外部機器に供給する。
【0041】
なお、リザーブタンク14に貯蔵された純酸素の量が所定量以下であることを、貯蔵量検出センサ15が検出した場合には、検出された純酸素の貯蔵量の情報が流量制御部24に送られ、流量制御部24によって、酸素用制御弁17が純酸素ガスの供給を止めるように制御され、かつ燃料用制御弁22が燃料ガスの供給を止めるように制御されると好ましい。純酸素ガスが十分に供給できない場合には、燃料ガス及び純酸素ガスの供給が止められるので、安定して一定量の純酸素を含む燃料ガスが、原動機7に安定供給されることとなる。さらに、燃料ガス及び純酸素ガスの供給を止めた場合、純酸素ガスがリザーブタンク14に所定量貯蔵されるまでの間、原動機7の作動を停止して、二次電池3から外部機器に電力を供給するように構成すると好ましい。純酸素ガスの貯蔵中には、原動機7からの電力の供給が停止するが、二次電池3から電力が供給され、電力を安定供給できる。
【0042】
以上、第1実施形態の発電装置2によれば、純酸素が燃料とともに原動機7に供給されることとなり、原動機7にて発生する燃焼エネルギーを高めることができる。純酸素は、酸素と結合することによりNOガスを発生させるような物質(N等)を含まないので、NOガスの排出量を低減できる。また、純酸素は、リザーブタンク14に貯められた状態から原動機7に供給されるので、純酸素を含む燃料が安定供給されることとなる。よって、本発明の発電装置2は、NOガスの排出量を低減し、発電効率を高めるとともに、電力を安定供給できる。
【0043】
発電装置2では、酸素分離ユニット5の酸素イオン透過膜5aに、電子と酸素イオンとの混合導電性を有するM1−xM’Co1−yM’’から成るペロブスカイト酸化物(M及びM’がそれぞれSr、Ba、La、Sc及びYのいずれかであり、M’’がFe、Nb、Ni及びRuのいずれかであり、x及びyがそれぞれ0〜0.3)が用いられている。従って、このような酸素イオン透過膜5aによって純酸素が確実に生成されるので、NOガスの排出量を低減し、発電効率を高めるとともに、電力を安定供給できる。
【0044】
ハイブリッド発電システム1は、上述の発電装置2に発電機7からの電力を蓄電するための二次電池3を取付けているので、発電装置2により発電された電力、又は二次電池3に蓄電された電力を外部機器に供給できる。そのため、例えば、発電機7からの電力が、外部機器の動作負荷等に対して多くなった場合には、二次電池3に電力を供給して蓄電を行なう一方で、発電機7からの電力が、外部機器の動作負荷等に対して少なくなった場合、二次電池3に蓄電した電力を外部機器に供給できる。よって、電力を安定供給できる。
【0045】
[第2実施形態]
第2実施形態の発電装置、及びハイブリッド発電システムを以下に説明する。第2実施形態の発電装置、及びハイブリッド発電システムの基本的な構成は、第1実施形態の発電装置、及びハイブリッド発電システムの構成と同様になっている。第1実施形態と同様な要素は、第1実施形態と同様の符号および名称を用いて説明する。ここでは、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0046】
図2に示すように、第2実施形態のハイブリッド発電システム31の発電装置32では、空気用経路9に、通過する空気を加熱する加熱部として熱交換器33が配置されている。この熱交換器33と原動機7とは、循環路34によって、原動機7で燃料及び酸素の燃焼後に発生する排ガスを熱交換器33に送るように接続されている。さらに、熱交換器33には供給された排ガスを排出する排出路35が接続されている。
【0047】
第2実施形態のハイブリッド発電システム31、及び発電装置32を用いた発電方法について、第1実施形態と異なる部分について説明する。空気用経路9に空気を通して、酸素分離ユニット5の空気供給部5bに空気を供給する。このとき、熱交換器33には原動機7から循環路34により排ガスが送られて、この排ガスにより加熱された熱交換器33によって、空気用経路9を通過する空気が、酸素分離ユニット5にて600℃〜1000℃となるように加熱される。熱交換器33を加熱した排ガスは、排出路35から排出されることとなる。
【0048】
以上、第2実施形態のハイブリッド発電システム31、及び発電装置32によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0049】
第2実施形態のハイブリッド発電システム31によれば、発電装置32内で発生した燃焼排ガスが、純酸素生成の効率化のために循環されて、酸素イオン透過膜5aに送られる空気を加熱するように再利用されている。従って、さらに発電効率を高めることができる
【0050】
[第3実施形態]
第3実施形態の発電装置、及びハイブリッド発電システムを以下に説明する。第3実施形態の発電装置、及びハイブリッド発電システムの基本的な構成は、第2実施形態の発電装置、及びハイブリッド発電システムの構成と同様になっている。第2実施形態と同様な要素は、第2実施形態と同様の符号および名称を用いて説明する。ここでは、第2実施形態と異なる構成について説明する。
【0051】
図3に示すように、第3実施形態のハイブリッド発電システム41の発電装置42にて、酸素分離ユニット43は、酸素イオン透過膜43aの一方面にカソード電極43bが配置され、酸素イオン透過膜43aの他方面にアノード電極43cが配置されている。すなわち、酸素イオン透過膜43aは、カソード電極43bとアノード電極43cとの間に配置されている。さらに、カソード電極43bの酸素イオン透過膜43aとの当接面と反対側の面には、空気供給部43dが設けられている。アノード電極43cの酸素イオン透過膜43aとの当接面と反対側の面には、酸素取出部43eが設けられている。酸素分離ユニット43の空気供給部43dには、空気を供給するための空気用経路9が接続されている。また、酸素取出部43eとリザーブタンク14とは第1の酸素用経路13によって接続されている。
【0052】
このような発電装置42を備えるハイブリッド発電システム41にて、二次電池3は、アノード電極43cを正電位、かつカソード電極43bを負電位とするように、酸素分離ユニット43と電気的に接続されている。
【0053】
第3実施形態のハイブリッド発電システム41、及び発電装置42を用いた発電方法について、第2実施形態と異なる部分について説明する。空気用経路9に空気を通して、酸素分離ユニット43の空気供給部43dに空気を供給する。二次電池3によって、アノード電極43cを正電位、かつカソード電極43bを負電位とするように酸素分離ユニット43に電力を加える。このとき、空気供給部43dに供給された空気は、電解作用によって解離されるとともに、空気供給部43dに供給された空気中の酸素イオンが酸素イオン透過膜43aを透過する。酸素イオン透過膜43aを通過した酸素イオンは、酸素取出部43eにて純酸素ガスの状態で取り出される。
【0054】
以上、第3実施形態のハイブリッド発電システム41、及び発電装置42によれば、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
第3実施形態のハイブリッド発電システム41によれば、酸化イオン透過膜43aが、カソード電極43bとアノード電極43cとの間に配置され、カソード電極43bとアノード電極43cとの間に二次電池3から電力を供給することによって、酸素イオン透過膜43aにて空気から純酸素を分離することを促すように構成されている。そのため、酸素イオン透過膜43aに流れる電流を調節することによって酸素の透過量を正確かつ容易に調節できる。加えて、発電装置42により発電されるとともに、二次電池3に一旦蓄電された電力を利用して、効率的に純酸素を生成できる。従って、さらに発電効率を高めることができる。
【0056】
ここまで第1実施形態〜第3実施形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0057】
第1実施形態〜第3実施形態の第1変形例として、酸素イオン透過膜5a,33aに、酸化イオンを透過可能なイットリア安定化ジルコニア、又はスカンジア安定化ジルコニアが用いられてもよい。第1実施形態〜第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0058】
第1実施形態〜第3実施形態の第2変形例として、発電機8からの電力をすべて二次電池3に蓄電するために使用し、二次電池3から外部機器に電力を供給するように構成されていてもよい。常に二次電池3に一旦蓄電された電力が供給されることによって、電力を安定供給できる。
【0059】
第1実施形態〜第3実施形態の第3変形例として、原動機7が、外燃式の原動機であってもよく、一例として、スターリングエンジン等であってもよい。第1実施形態〜第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0060】
第1実施形態〜第3実施形態の第4変形例として、発電装置2を単体で使用するように構成してもよい。NOガスの排出量を低減し、発電効率を高めるとともに、電力を安定供給できる。
【符号の説明】
【0061】
1,31,41 ハイブリッド発電システム
2,32,42 発電装置
3 二次電池
4 空気供給部
5 酸素分離ユニット
5a 酸素イオン透過膜
6 燃料供給部
7 原動機
8 発電機
9 空気用経路
10 熱交換器
11 燃料用経路
12 温度制御部
13 第1の酸素用経路
14 リザーブタンク
15 貯蔵量検出センサ
16 第2の酸素用経路
17 酸素用制御弁
18 酸素用流量センサ
19 燃料用経路
22 燃料用制御弁
23 燃料用流量センサ
24 流量制御部
33 熱交換器
34 循環路
43 酸素分離ユニット
43a 酸素イオン透過膜
43b カソード電極
43c アノード電極
43d 空気供給部
43e 酸素取出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機から伝達される回転エネルギーによって発電を行う発電機を備えている発電装置において、
酸素イオンを透過する機能を有する酸素イオン透過膜と、
前記酸素イオン透過膜に空気を供給することによって前記空気から分離された純酸素を貯蔵するリザーブタンクと
を備え、
前記リザーブタンクに貯蔵された純酸素を燃料とともに前記原動機に供給かつ燃焼させて発生した燃焼エネルギーを、前記原動機によって前記回転エネルギーに変換するように構成されていることを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記酸素イオン透過膜に空気を供給する空気用経路に、前記原動機から発生する燃焼排ガスの熱を利用して空気を加熱可能に構成される加熱部を設け、
前記加熱部によって、前記酸素イオン透過膜に供給される空気の温度が加熱されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記酸素イオン透過膜に、電子と酸素イオンとの混合導電性を有するM1−xM’Co1−yM’’から成るペロブスカイト酸化物が用いられ、
M及びM’がそれぞれSr、Ba、La、Sc及びYのいずれかであり、M’’がFe、Nb、Ni及びRuのいずれかであり、x及びyがそれぞれ0〜0.3となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記酸素イオン透過膜に、酸化イオンを透過可能なイットリア安定化ジルコニア、又はスカンジア安定化ジルコニアが用いられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の発電装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の発電装置に、前記発電機からの電力を蓄電するための二次電池を取付けていることを特徴とするハイブリッド発電システム。
【請求項6】
前記発電機からの電力をすべて前記二次電池に蓄電するために使用し、
前記二次電池から外部に電力を供給するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のハイブリッド発電システム。
【請求項7】
前記酸化イオン透過膜が、アノード電極とカソード電極との間に配置され、
前記アノード電極及びカソード電極の間に前記二次電池から電力を供給することによって、前記酸素イオン透過膜にて空気から純酸素を分離することを促すように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のハイブリッド発電システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−13042(P2012−13042A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152269(P2010−152269)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)