説明

発電装置

【課題】発電用媒体流路に空気が混入することを防止できる発電装置を提供する。
【解決手段】大気圧に対して最も負圧になる凝縮器出口側の発電用媒体圧力が大気圧より正圧になるように、凝縮器への熱の供給量を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉循環流路を通流する発電用媒体を空気で冷却する凝縮器を備えた発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体に水を用い、熱源で水を加熱して生じた蒸気でタービンを回し、タービンに連結された発電機で発電を行い、タービンから排出された低温蒸気を凝縮器で液化し、液化した水を前記熱源で気化するサイクルを備えた発電装置が知られている。従来の発電装置では、媒体である水を外気と接触させ、水の気化熱による冷却効果で水自身を冷やしていた。例えば、特許文献1は、復水器と、空気抽出器と、復水器冷却器と、復水器冷却器に冷却水を送る循環水ポンプと、循環水ポンプ用電動機と、復水器冷却器の冷却能力を調整するべく循環水ポンプの回転数を制御する制御手段と、を有する復水器システムを開示している。
上記のような、水と外気を直接接触させて冷却する方式とは別の冷却方式として、特許文献2は、発電用その他に利用される蒸気タービンより排気される蒸気を排気管により復水器本体内に形成された風洞に導き、復水器本体に設けられた空気入口部より風洞に導入された空気との熱交換により蒸気を凝縮させて復水する空冷復水器において、復水器本体の空気入口部に設けられた吸気冷却器と、この吸気冷却器に冷却配管を介して接続され冷媒を循環させて空気入口部より風洞に流入する空気を冷却する放熱器と、吸気冷却器より放熱器に戻る冷媒を凝縮させる圧縮機を備える空冷復水器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−343211号公報
【特許文献2】特開2007−107814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような水と外気を直接接触させて冷却する方式では、水が蒸発するため補給水が必要であり、さらに水の濃縮によりスケールが発生するため、水質管理をしなければならない問題点があった。この問題点を克服する冷却方式として、特許文献2に記載のような空冷方式の冷却器が開発されている。しかし、特許文献2のように、吸気冷却器で冷却された空気によって発電用媒体である蒸気を冷却する方式では、発電用媒体ガスを冷却する冷却器において、冬季に外気温度が発電用媒体の沸点より低下すると発電用媒体ガス流路内が大気に比べて負圧になるために、発電用媒体流路の配管接続部分から空気が混入するという問題があった。
【0005】
上記の課題を解決するべく、本発明は、発電用媒体流路に空気が混入することを防止できる発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、発明者は、大気圧に対して最も負圧になる凝縮器出口側の発電用媒体圧力が大気圧より正圧になるように、凝縮器への熱の供給量を増加させればよいということを発想した。そこで、本発明に係る発電装置は、熱源流体の熱で発電用媒体を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器から排出された発電用媒体で回転するタービンと、前記タービンに接続された発電機と、前記タービンから排出された発電用媒体を空気で冷却して凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器から排出される発電用媒体の圧力を測定する圧力計と、前記凝縮器から排出される発電用媒体を前記蒸発器に送る循環ポンプと、前記循環ポンプの流量を制御する制御装置を備える発電装置であって、前記制御装置は、大気圧以上の予め定めた圧力値を目標圧力値として、または前記大気圧に所定の値を加えた値を目標圧力値として設定され、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より高い場合は、前記凝縮器への熱供給量を減らし、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より低い場合は、前記凝縮器への熱供給量を増やすことを基本的な特徴とする。熱源流体としては、例えば、地熱水や工場排熱などが利用できる。凝縮器へ供給される熱の温度は、発電用媒体の沸点より高い温度である。
【0007】
このような構成にすれば、凝縮器へ供給される熱量を増加することで、凝縮器出口側の発電用媒体の温度の低下を防止できる。したがって、凝縮器での流入熱量より放熱量が多くなって凝縮器出口側の発電用媒体の温度が沸点より低下することによって凝縮器出口側が大気圧より負圧になるという状況を避けることができる。
【0008】
上記の発電装置の一つの態様としては、前記基本的な特徴を備えた発電装置において、前記制御装置は、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より高い場合は、前記循環ポンプの発電用媒体流量を減らし、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より低い場合は、前記循環ポンプの発電用媒体流量を増やすようにしてもよい。
【0009】
このような構成にすれば、凝縮器出口側が大気圧より負圧になるという状況を避けることができると共に、熱の供給量が調節し易くなる。
また、上記の発電装置の別の態様としては、前記タービン出口から前記凝縮器入口を接続する配管に第1流量調整バルブを設け、前記制御装置は、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より高い場合は、前記第1流量調整バルブのバルブ開度を減らし、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より低い場合は、前記第1流量調整バルブのバルブ開度を増やすようにしてもよい。
【0010】
このような構成にすれば、凝縮器出口側が大気圧より負圧になるという状況を避けることができると共に、凝縮器への熱の供給量が調節し易くなる。
また、上記の発電装置の別の態様としては、前記基本的な特徴を備えた発電装置において、前記タービン入口から前記凝縮器入口を接続するバイパス流路を設け、前記バイパス流路に第2流量調整バルブを設け、前記制御装置は、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より高い場合は、前記第2流量調整バルブのバルブ開度を減らし、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より低い場合は、前記第2流量調整バルブのバルブ開度を増やすようにしてもよい。
【0011】
このような構成にすれば、凝縮器出口側が大気圧より負圧になるという状況を避けることができると共に、凝縮器への熱の供給量が調節し易くなる。
また、上記の発電装置の別の態様としては、前記基本的な特徴を備えた発電装置において、前記凝縮器は、大気圧における発電用媒体の沸点より高い温度の前記熱源流体で加温されることがより望ましい。より具体的には、前記の特徴を備えた発電装置において、大気圧における発電用媒体の沸点より高い温度の前記熱源流体を通流して前記凝縮器を加温する第1加温流路を設け、前記第1加温流路に加温用ポンプを設けるかまたは前記熱源流体を分流して第1加温流路に流入させる分岐点に3方弁を設け、前記制御装置は、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より高い場合は、前記第1加温流路を通流する前記熱源流体の流量を減らし、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より低い場合は、前記第1加温流路を通流する前記熱源流体の流量を増やすように前記加温用ポンプまたは前記3方弁を制御するようにしてもよい。その際、前記第1加温流路を通流する前記熱源流体に、前記蒸発器より下流側の熱源流体を用いる事がより望ましい。さらに、前記凝縮器の加温される部位が、前記凝縮器の出口ヘッダ部であることがより望ましい。
【0012】
このような構成にすれば、凝縮器出口側が大気圧より負圧になるという状況を避けることができると共に、発電用媒体を加熱した後の熱源流体の熱を利用する場合には、発電量が減ることがなく、従来そのまま排出されていた低温排熱を有効利用できる。
【0013】
また、上記の発電装置の別の態様としては、前記基本的な特徴を備えた発電装置において、前記蒸発器と前記循環ポンプの間に前記蒸発器から出た前記熱源流体と前記循環ポンプから出た前記発電用媒体を熱交換する予熱器を備え、前記予熱器からでた発電用媒体の一部を分流させて、分流した前記発電用媒体の熱を前記凝縮器に供給する第2加温流路を設け、前記第2加温流路に第3流量調整バルブを設け、前記制御装置は、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より高い場合は、前記第2加温流路を通流する前記熱源流体の流量を減らし、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より低い場合は、前記第2加温流路を通流する前記熱源流体の流量を増やすように前記第3流量調整バルブを制御することとしてもよい。
【0014】
このような構成にすれば、凝縮器出口側が大気圧より負圧になるという状況を避けることができると共に、予熱器を備えているので熱源流体から回収できる熱量を増加できる。
より具体的には、前記第2加温流路が、前記予熱器の発電用媒体出口側と前記凝縮器の入口側を接続する流路であり、前記予熱器で加熱された発電用媒体が、前記凝縮器の入口側へ供給されるようにしてもよい。また、前記第2加温流路が、前記予熱器の発電用媒体出口側と前記凝縮器の出口ヘッダ部を接続する流路であり、前記予熱器で加熱された発電用媒体が、前記凝縮器の出口ヘッダ部へ供給されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発電用媒体流路に空気が混入することを防止できる発電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る構成図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る構成図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る構成図である。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る構成図である。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る凝縮器の概略構成図である。
【図7】本発明の第6の実施形態に係る構成図である。
【図8】本発明の第6の実施形態に係る凝縮器の概略構成図である。
【図9】本発明の第7の実施形態に係る構成図である。
【図10】本発明の第7の実施形態に係る凝縮器の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る発電装置の実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。
【0018】
本発明に係る第1の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、第1の実施形態における発電装置の主な構成図である。図1は、図2から図4にとって共通の構造を備えているため、同一の構成要素については、同一の符号を付け、重複する説明は省略する。
【0019】
熱源流体入口1から流入した熱源流体は、配管を通って蒸発器3、予熱器8を通流後、熱源流体出口15へ排出される。熱源流体入口1の近傍の配管に熱源流体の流量を測定する流量計16と、温度計17が設置されている。発電用媒体が通流する部分としては、循環ポンプ7、予熱器8、蒸発器3、タービン4および凝縮器6が、順に環状に配管で接続されており、タービン4と凝縮器6の間の配管に温度計20と圧力計21を備え、凝縮器6と循環ポンプ7との間の配管に温度計22と圧力計23を備えている。予熱器8では、蒸発器3から排出された熱源流体で凝縮器6から排出された液状の発電用媒体を加熱している。なお、予熱器8は必須ではないが、予熱器8を備える構成にすると、熱源流体から回収できる熱量を増加できる。
【0020】
予熱器8で予熱された液状の発電用媒体は、蒸発器3で気化され、ガス状の発電用媒体がタービン4へ供給される。蒸発器3とタービン4を接続する配管には気化した発電用媒体の温度と圧力をそれぞれ測定する温度計と圧力計が設置されている。
【0021】
タービン4は、タービン入口側にある蒸発器3で生じる高圧と、タービン出口側にある凝縮器6により生じる低圧との間の圧力差によって発電用媒体が高圧側から低圧側へ移動する力を受けて回転する。タービン4の回転軸は、発電機5に連結されており、タービン5の回転により発電機5は発電する。タービンの回転数を計測する回転数計25が設置されている。発電機5の出力は、電力変換器30に入力され、各制御装置40,41,42,43,44,45の指令に基づいて所定の電圧の直流電力、または所定の電圧と周波数の交流電力へ変換され、外部へ出力される。
【0022】
タービン4から排出された発電用媒体は、凝縮器6へ導入される。凝縮器6は、空冷式の熱交換器であり、外部からの電力の供給なしに、隔壁を介して外気と発電用媒体との間で熱交換が行われる。凝縮器6の具体的構造としては、例えば、フィンチューブ型の熱交換器が望ましい。
【0023】
図1、図2、図3、図4、図5、図7、図9において、温度計17,20,22,26、圧力計21,23、流量計16、回転数計25の各値は、図中に破線で示した信号線を通して制御装置40,41,42,43,44,45,46にぞれぞれ入力されている。また、これら制御装置は、発電装置が外部へ出力する電圧や周波数に関する指令を電力変換器30へ出力している。さらに、これら制御装置は、循環ポンプ7を制御して発電用媒体の流量を調整している。
【0024】
図1に示した第1の実施形態の制御装置40では、大気圧より若干高い圧力を目標圧力値として、凝縮器6出口側に備えた圧力計23の圧力が目標圧力になるように循環ポンプ7の流量を制御する。圧力計23の圧力が目標圧力より高い場合は、目標圧力と実測圧力の乖離の程度に応じて循環ポンプ7の流量を減らし、圧力計23の圧力が目標圧力より低い場合は、目標圧力と実測圧力の乖離の程度に応じて循環ポンプ7の流量を増やすように制御する。目標圧力に幅を持たせるように上限値、下限値を設定して、圧力計23の圧力が目標圧力上限値より高い場合は、目標圧力と実測圧力の乖離の程度に応じて循環ポンプ7の流量を減らし、圧力計23の圧力が目標圧力下限値より低い場合は、目標圧力と実測圧力の乖離の程度に応じて循環ポンプ7の流量を増やすように制御してもよい。
【0025】
図2は、第2の実施形態における発電装置の主な構成図である。第2の実施形態では、図1の発電装置に加えて、凝縮器6の上流側配管に第1流量調整バルブ19を備えている。制御装置41は、第1流量調整バルブ19のバルブ開度を制御して、凝縮器6へ流入する発電用媒体の流量を調整している。通常運転時には、第1流量調整バルブ19のバルブ開度は、全開ではなく、予め定めた開度の絞りを行っている。制御装置41は、凝縮器6出口側に備えた圧力計23の圧力が大気圧より低くならないように第1流量調整バルブ19のバルブ開度を制御している。具体的には、大気圧より若干高い圧力を目標圧力値として、圧力計23の圧力が目標圧力になるように第1流量調整バルブ19のバルブ開度を制御する。圧力計23の圧力が目標圧力より高い場合は、第1流量調整バルブ19のバルブ開度を予め定めた開度になるように制御する。圧力計23の圧力が目標圧力より低い場合は、目標圧力と実測圧力の乖離の程度に応じて第1流量調整バルブ19のバルブ開度を予め定めた開度よりも開くように制御する。第1流量調整バルブ19のバルブ開度が全開であっても圧力計23の圧力が目標圧力より低い場合は、循環ポンプ7の流量を増やすように制御する。
【0026】
図3は、第3の実施形態における発電装置の主な構成図である。第3の実施形態では、図1の発電装置に加えて、タービン入口から凝縮器入口を連通するバイパス流路18を備え、さらに、このバイパス流路18に第2流量調整バルブ20を備えている。制御装置42は、第2流量調整バルブ20のバルブ開度を制御して、バイパス流路18を経由して凝縮器6へ流入する発電用媒体の流量を調整している。通常運転時には、第2流量調整バルブ20のバルブ開度は、全閉である。制御装置42は、大気圧より若干高い圧力を目標圧力値として、圧力計23の圧力が目標圧力になるように第2流量調整バルブ20のバルブ開度を制御する。具体的には、圧力計23の圧力が目標圧力より高い場合は、第2流量調整バルブ20のバルブ開度を全閉になるように制御する。圧力計23の圧力が目標圧力より低い場合は、目標圧力と実測圧力の乖離の程度に応じて第2流量調整バルブ20のバルブ開度を開くように制御する。
【0027】
図4は、第4の実施形態における発電装置の主な構成図である。第4の実施形態では、図1の発電装置に加えて、蒸発器3の下流側に温度計26を備える。そして、蒸発器3より下流の熱源流体を一部分岐させて、分岐した熱源流体の熱を凝縮器6に供給する第1加温流路31を備え、第1加温流路31に加熱用ポンプ24を備えている。温度計22の温度が温度計26の温度より低い場合において、制御装置43は、加熱用ポンプ24の流量を制御して、第1加温流路31を経由して凝縮器6へ伝熱する熱の供給量を調整している。通常運転時には、加熱用ポンプ24は、休止している。制御装置43は、大気圧より若干高い圧力を目標圧力値として、圧力計23の圧力が目標圧力になるように加熱用ポンプ24の流量を制御する。具体的には、圧力計23の圧力が目標圧力より高い場合は、加熱用ポンプ24の流量をゼロにする。圧力計23の圧力が目標圧力より低い場合は、目標圧力と実測圧力の乖離の程度に応じて加熱用ポンプ24の流量を増加するように制御する。加温に使用された後の熱源流体は、熱源流体出口15へ排出される。温度計22の温度が温度計26の温度より低いことが明らかな場合では、温度計26を省略してもよい。
【0028】
図5は、第5の実施形態における発電装置の主な構成図である。第5の実施形態では、図1の発電装置に加えて、蒸発器3の下流側に温度計26を備える。そして、蒸発器3より下流の熱源流体を一部分岐させて、分岐した熱源流体の熱を凝縮器6に供給する第1加温流路31を備え、熱源流体流路2と第1加温流路31の上流側の分岐点に3方弁27を備えている。蒸発器3と3方弁27の間に、循環ポンプ7から出た発電用媒体と蒸発器3から出た熱源流体とで熱交換する予熱器8を備えることがより望ましい。3方弁27は、熱源流体流路2と第1加温流路31とに流れる熱源流体の流量分配比率を調整している。温度計22の温度が温度計26の温度より低い場合において、制御装置43は、3方弁27の流量分配比率を変更して第1加温流路31への流量を増減して、第1加温流路31を経由して凝縮器6へ伝熱する熱の供給量を調整している。通常運転時には、3方弁27の流量分配比率は、第1加温流路31への流量がゼロになるようにしている。より具体的には、制御装置44は、大気圧より若干高い圧力を目標圧力値として、圧力計23の圧力が目標圧力になるように3方弁27の流量分配比率を制御する。圧力計23の圧力が目標圧力より高い場合は、目標圧力と実測圧力の乖離の程度に応じて3方弁27の流量分配比率を第1加温流路31への流量が減るように制御し、圧力計23の圧力が目標圧力より低い場合は、目標圧力と実測圧力の乖離の程度に応じて3方弁27の流量分配比率を第1加温流路31への流量が増えるように制御する。目標圧力に幅を持たせるように上限値、下限値を設定して、圧力計23の圧力が目標圧力上限値より高い場合は、目標圧力と実測圧力の乖離の程度に応じて3方弁27の流量分配比率を第1加温流路31への流量が減るように制御し、圧力計23の圧力が目標圧力下限値より低い場合は、目標圧力と実測圧力の乖離の程度に応じて3方弁27の流量分配比率を第1加温流路31への流量が増えるように制御してもよい。加温に使用された後の熱源流体は、熱源流体出口15へ排出される。温度計22の温度が温度計26の温度より低いことが明らかな場合では、温度計26を省略してもよい。
【0029】
図6は、第5の実施形態における凝縮器6の概略構成図である。ガス状の発電用媒体は、凝縮器入口ヘッダ部34で各熱交換細管35に分流され、ここを通流する過程で熱交換細管35の管壁を介して空気と熱交換して冷却されて、液化する。その後、液化した発電用媒体は、凝縮器出口ヘッダ部36で第1加温流路31の暖かい熱源流体と熱交換され、凝縮器出口ヘッダ部36が加温される。その後、液化した発電用媒体は、凝縮器出口ヘッダ部36から循環ポンプ7へ流れる。
【0030】
図7は、第6の実施形態における発電装置の主な構成図である。第6の実施形態では、図1の発電装置に加えて、予熱器8出口と凝縮器出口ヘッダ部36とを接続する第2加温流路32を備えている。第2加温流路32には、第3流量調整バルブ33を備えており、制御装置45は、第3流量調整バルブ33のバルブ開度を制御して、第2加温流路32を経由して凝縮器38へ流入する発電用媒体の流量を調整している。通常運転時には、第3流量調整バルブ33のバルブ開度は、全閉である。制御装置45は、大気圧より若干高い圧力を目標圧力値として、圧力計23の圧力が目標圧力になるように第3流量調整バルブ33のバルブ開度を制御する。具体的には、圧力計23の圧力が目標圧力より高い場合は、第3流量調整バルブ33のバルブ開度を全閉になるように制御する。圧力計23の圧力が目標圧力より低い場合は、目標圧力と実測圧力の乖離の程度に応じて第3流量調整バルブ33のバルブ開度を開くように制御する。
【0031】
図8は、第6の実施形態における凝縮器38の概略構成図である。ガス状の発電用媒体は、凝縮器入口ヘッダ部34で各熱交換細管35に分流され、ここを通流する過程で熱交換細管35の管壁を介して空気と熱交換して冷却されて、液化する。その後、液化した発電用媒体は、凝縮器出口ヘッダ部36で第2加温流路32の暖かい発電用媒体と合流され、凝縮器出口ヘッダ部36が加温される。その後、液化している発電用媒体は、凝縮器出口ヘッダ部36から循環ポンプ7へ流れる。
【0032】
図9は、第7の実施形態における発電装置の主な構成図である。第7の実施形態では、図1の発電装置に加えて、予熱器8出口と凝縮器39の凝縮器入口ヘッダ部34とを接続する第2加温流路50を備えている。第2加温流路50には、第3流量調整バルブ33を備えており、制御装置46は、第3流量調整バルブ33のバルブ開度を制御して、第2加温流路50を経由して凝縮器39へ流入する発電用媒体の流量を調整している。通常運転時には、第3流量調整バルブ33のバルブ開度は、全閉である。制御装置46は、大気圧より若干高い圧力を目標圧力値として、圧力計23の圧力が目標圧力になるように第3流量調整バルブ33のバルブ開度を制御する。具体的には、圧力計23の圧力が目標圧力より高い場合は、第3流量調整バルブ33のバルブ開度を全閉になるように制御する。圧力計23の圧力が目標圧力より低い場合は、目標圧力と実測圧力の乖離の程度に応じて第3流量調整バルブ33のバルブ開度を開くように制御する。
【0033】
図10は、第7の実施形態における凝縮器39の概略構成図である。タービン4から流入するガス状の発電用媒体は、凝縮器入口ヘッダ部34で第2加温流路50の暖かい発電用媒体と合流され、凝縮器39を通過する発電用媒体全体の温度が上昇する。混合されたガス状の発電用媒体は、凝縮器入口ヘッダ部34で各熱交換細管35に分流され、ここを通流する過程で熱交換細管35の管壁を介して空気と熱交換して冷却されて、液化する。その後、液化した発電用媒体は、凝縮器出口ヘッダ部36から循環ポンプ7へ流れる。
【符号の説明】
【0034】
1 熱源流体入口
2 熱源流体流路
3 蒸発器
4 タービン
5 発電機
6,38,39 凝縮器
7 循環ポンプ
8 予熱器
15 熱源流体出口
16 流量計
17,20,22,26 温度計
18 バイパス流路
19 第1流量調整バルブ
20 第2流量調整バルブ
21,23 圧力計
24 加熱用ポンプ
25 回転数計
27 3方弁
30 電力変換器
31 第1加温流路
32, 50 第2加温流路
33 第3流量調整バルブ
34 凝縮器入口ヘッダ部
35 熱交換細管
36 凝縮器出口ヘッダ部
37 フィン
40,41,42,43,44,45,46 制御装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源流体の熱で発電用媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器から排出された発電用媒体で回転するタービンと、
前記タービンに接続された発電機と、
前記タービンから排出された発電用媒体を空気で冷却して凝縮させる凝縮器と、
前記凝縮器から排出される発電用媒体の圧力を測定する圧力計と、
前記凝縮器から排出される発電用媒体を前記蒸発器に送る循環ポンプと、
前記循環ポンプの流量を制御する制御装置を備える発電装置であって、
前記制御装置は、大気圧以上の予め定めた圧力値を目標圧力値として、または前記大気圧に所定の値を加えた値を目標圧力値として設定され、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より高い場合は、前記凝縮器への熱供給量を減らし、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より低い場合は、前記凝縮器への熱供給量を増やすことを特徴とする発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発電装置において、
前記制御装置は、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より高い場合は、前記循環ポンプの発電用媒体流量を減らし、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より低い場合は、前記循環ポンプの発電用媒体流量を増やすことを特徴とする発電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の発電装置において、
前記タービン出口から前記凝縮器入口を接続する配管に第1流量調整バルブを設け、
前記制御装置は、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より高い場合は、前記第1流量調整バルブのバルブ開度を減らし、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より低い場合は、前記第1流量調整バルブのバルブ開度を増やすことを特徴とする発電装置。
【請求項4】
請求項1に記載の発電装置において、
前記タービン入口から前記凝縮器入口を接続するバイパス流路を設け、
前記バイパス流路に第2流量調整バルブを設け、
前記制御装置は、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より高い場合は、前記第2流量調整バルブのバルブ開度を減らし、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より低い場合は、前記第2流量調整バルブのバルブ開度を増やすことを特徴とする発電装置。
【請求項5】
請求項1に記載の発電装置において、
前記凝縮器は、大気圧における発電用媒体の沸点より高い温度の前記熱源流体で加温されることを特徴とする発電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発電装置において、
大気圧における発電用媒体の沸点より高い温度の前記熱源流体を通流して前記凝縮器を加温する第1加温流路を設け、
前記第1加温流路に加温用ポンプを設けるかまたは前記熱源流体を分流して第1加温流路に流入させる分岐点に3方弁を設け、
前記制御装置は、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より高い場合は、前記第1加温流路を通流する前記熱源流体の流量を減らし、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より低い場合は、前記第1加温流路を通流する前記熱源流体の流量を増やすように前記加温用ポンプまたは前記3方弁を制御することを特徴とする発電装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の発電装置において、
前記第1加温流路を通流する前記熱源流体は、前記蒸発器より下流側の熱源流体であることを特徴とする発電装置。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか1つに記載の発電装置において、
前記凝縮器の加温される部位が、前記凝縮器の出口ヘッダ部であることを特徴とする発電装置。
【請求項9】
請求項1に記載の発電装置において、
前記蒸発器と前記循環ポンプの間に前記蒸発器から出た前記熱源流体と前記循環ポンプから出た前記発電用媒体を熱交換する予熱器を備え、
前記予熱器からでた発電用媒体の一部を分流させて、分流した前記発電用媒体の熱を前記凝縮器に供給する第2加温流路を設け、
前記第2加温流路に第3流量調整バルブを設け、
前記制御装置は、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より高い場合は、前記第2加温流路を通流する前記熱源流体の流量を減らし、前記圧力計の圧力値が前記目標圧力値より低い場合は、前記第2加温流路を通流する前記熱源流体の流量を増やすように前記第3流量調整バルブを制御することを特徴とする発電装置。
【請求項10】
請求項9に記載の発電装置において、
前記第2加温流路が、前記予熱器の発電用媒体出口側と前記凝縮器の入口側を接続する流路であり、前記予熱器で加熱された発電用媒体が、前記凝縮器の入口側へ供給されることを特徴とする発電装置。
【請求項11】
請求項9に記載の発電装置において、
前記第2加温流路が、前記予熱器の発電用媒体出口側と前記凝縮器の出口ヘッダ部を接続する流路であり、前記予熱器で加熱された発電用媒体が、前記凝縮器の出口ヘッダ部へ供給されることを特徴とする発電装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate