説明

発音機能付きそろばん練習機

【課題】五玉と4個の一玉によって表されるその桁の数がそろばん本体に表示されると共に複数の桁にあるすべての五玉とすべての一玉の位置によって表わされる数を報知手段によって発音される発音機能付きそろばん練習機を提供する。
【解決手段】五玉1にスライド桁軸が固着され,五玉1がスライド桁軸と共に上下に移動可能に形成され,スライド桁軸が4個の一玉2の下部に延伸配置され,スライド桁軸上で4個の一玉2がスライド桁軸の長手方向に上下に移動可能に配設され,すべての五玉1とすべての一玉2の位置を検出する検出手段と、検出したすべての五玉1とすべての一玉2の位置によって表わされる数を発音する報知手段13を有し,報知手段13によりすべての五玉1とすべての一玉2の位置によって表わされる数が発音される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,複数の桁を持ち,一の桁には1個の五玉と4個の一玉が上下に移動可能に形成されたそろばんについてのそろばん練習機に関するものであり,特に五玉と4つの一玉によって表わされるその桁の数をそろばん本体に表示すると共に,すべての五玉と一玉によって表わされる数を発音によって報知する機能を備えた発音機能付きそろばん練習機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来,そろばんの五玉と一玉の位置によって表される数がそろばん本体に表示されるそろばん練習機が提案されている(特許文献1)。該そろばん練習機は,五玉及び4個の一玉が挿通されている桁軸が断面扁平状に形成されると共に縦方向に3分割され,両側の桁軸が固定桁軸としてそろばん枠に固定され,中央の桁軸がスライド桁軸として五玉に固着され,五玉が両固定桁軸に挿通されて上下にスライド桁軸と共に移動可能に形成され,4個の一玉が両固定桁軸及びスライド桁軸に挿通されて上下に移動可能に形成され,梁より下部の4個の一玉の位置によって形成される一玉1個分の隙間部にあるスライド桁軸上面に,五玉と4個の一玉の位置によって表されるその桁の数が表示される構成と成っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−193038号公報
【0004】
しかし,特許文献1に係るそろばん練習機は,五玉と4個の一玉の位置によって表されるその桁の数が,4個の一玉で形成される桁軸の隙間にあるスライド桁軸の上面に表示されるだけで,数字がしっかりと読めない幼児には五玉と4個の一玉によって表されるその桁の数が何なのかをその状態を見ただけでは理解することが出来ないという課題があった。
【0005】
また数字を読むことが出来る者あっても,スライド桁軸上面に表示された数字を目で見て読み取る動作が必要で,五玉及び一玉を移動させるたびに該動作を行うことは,繰り返し練習する者にとって過大のストレスとなる場合があった。
【0006】
さらには,五玉及び4個の一玉の位置とは関係なしにスライド桁軸上面に表示される数字を読むだけになってしまう場合もあり,結果として五玉及び4個の一玉の位置と,これによって表されるその桁の数を短時間で関連付けて記憶することが出来ない場合もある,という課題があった。
【0007】
そろばん本来の機能は,計算の際に扱う数字によって親指と人差し指を運指して五玉及び一玉を移動させ,運指後の五玉及び一玉の全体の状態によって,その数字を最後に読み取ることができることにあり,上記のように五玉及び4個の一玉の位置とは関係なしにスライド桁軸上面に表示される数字だけを読むことに成ってしまうと,そろばんの本来の機能に基づいた,そろばんを扱う技術を取得できない場合があるという課題にも成っていた。
【0008】
加えて,複数桁の場合その桁の数がそろばん本体のスライド桁軸の上面に表示はされるが,10の位ではその桁の数は1であっても本来は10であり,同様に100の位ではその桁の数は1であっても本来は100であるため,そのスライド桁軸の上面に表示された数を読み取るときはその桁の位を考えて10とか100とかといったように頭の中で換算する必要があるという課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は,五玉と4個の一玉によって表されるその桁の数がそろばん本体に表示されると共に複数の桁にあるすべての五玉とすべての一玉の位置によって表わされる数を位の表示も含めて報知手段によって発音され,このため数字が読めない幼児等であっても,該報知音で五玉と一玉によって表される数を理解することができ,また数字を読むことが出来る者であっても,該報知音が耳から自然に入ってくるため,数字を読むという動作が不必要となって該動作によるストレスが無くなり,さらには,報知手段により発音される数によって,その数と,五玉と4個の一玉の位置を素早く(数字を読むという作業なしで)関連付けて記憶に定着させることができ,結果としてそろばんを扱う技術を短期間で習得することができ,さらには複数桁のすべての五玉とすべての一玉によって表わされる数がその位を含めて報知されることによって,スライド桁軸の上面に表示された数を読み取るときにその桁の位を考えて本来の数を頭の中で換算するという作業を必要としない発音機能付きそろばん練習機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は,複数の桁を有し,一の桁には1個の五玉と4個の一玉が上下に移動可能に形成されたそろばんにおいて,五玉にスライド桁軸が固着され,該五玉がスライド桁軸と共に上下に移動可能に形成され,スライド桁軸が4個の一玉の下部に延伸配置され,該スライド桁軸上で4個の一玉が該スライド桁軸の長手方向に上下に移動可能に配設され,すべての五玉とすべての一玉の位置を検出する検出手段と、該検出手段によって検出したすべての五玉とすべての一玉の位置によって表わされる数を発音する報知手段を有し,スライド桁軸の上面であって4個の一玉の位置によって形成される隙間に,五玉と4個の一玉の位置によって表されるその桁の数が表示されるようにスライド桁軸上面に該数を表示し,五玉と4個の一玉の位置によって表されるその桁の数をスライド桁軸上面であって4個の一玉の位置によって形成される隙間に表示すると共に,報知手段によりすべての五玉とすべての一玉の位置によって表わされる数が発音されることを特徴とする発音機能付きそろばん練習機を提供する。
【0011】
請求項2記載の発明は,請求項1記載の発音機能付きそろばん練習機において,さらに報知手段による発音動作手段を設け,該発音動作手段を操作した時にだけすべての五玉とすべての一玉の位置によって表される数を報知手段により発音することを特徴とする発音機能付きそろばん練習機を提供する。
【0012】
請求項3記載の発明は,請求項1記載の発音機能付きそろばん練習機において,少なくとも五玉と一玉のいずれかを移動させたのち所定時間の間にさらに五玉又は一玉のいずれかが移動しない場合に,報知手段による発音が行われることを特徴とする発音機能付きそろばん練習機を提供する。
【0013】
請求項4記載の発明は,請求項1記載の発音機能付きそろばん練習機において,さらにモード切替手段と報知手段による発音動作手段が設けられ,モード切替手段を第1のモードに設定した際は,報知手段が動作せず,モード切替手段を第2のモードに設定した際は,発音動作手段を操作した時にだけ報知手段により発音し,モード切替手段を第3のモードに設定した際は,少なくとも五玉と一玉のいずれかを移動させたのち所定時間の間にさらに五玉又は一玉のいずれかが移動しない場合に,報知手段による発音が行われることを特徴とする発音機能付きそろばん練習機を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1記載の発音機能付きそろばん練習機は,五玉と4個の一玉の位置によって表されるその桁の数がそろばん本体であるスライド桁軸上面であって4個の一玉の位置によって形成される隙間に表示されると共に,報知手段によりすべての五玉とすべての一玉の位置によって表わされる数が位も含めて発音されるため,数字が読めない幼児等であっても,ある桁の五玉と4個の一玉の位置によって表されるその桁の数だけでなく,すべての五玉とすべての一玉の位置によって表わされる位を含めた数を報知音によって理解することができる効果がある。
【0015】
また数字を読むことが出来る者であっても,該報知音が耳から自然に入ってくるため,数字を読み,また位を換算するという作業が不必要となって該作業によるストレスが無くなるという効果がある。さらには,報知手段により発音される数によって,その数と,五玉と一玉の位置を素早く(数字を読むという作業なしで)関連付けて記憶に定着させることができ,結果としてそろばんを扱う技術を短期間で習得することができるという効果がある。
【0016】
加えて,五玉と一玉の位置によって表わされるその桁の数がスライド桁軸に表示されることで視覚によって確認できると共に,発音手段により聴覚によっても確認できるため,それぞれが単独で表示,発音される場合と較べて極めて効果的に短時間で五玉と4個の一玉の位置と,これによって表される数とを関連付けて記憶することが出来,そろばんを扱う能力が短期間で取得できる効果がある。
【0017】
また本発明の請求項2記載の発音機能付きそろばん練習機は,上記請求項1記載の発音機能付きそろばん練習機に係る効果のほか,報知手段による発音が,発音動作手段を操作した時にだけ行われるという効果がある。このため,連続した運指のあとにすべての五玉とすべての一玉の位置によって表わされる数を発音によって確認することが出来るという効果があり,たとえば,多人数が同じ教室や部屋で本発明の発音機能付きそろばん練習機を使用する際,報知手段による発音が他人の練習の妨げになることが少ないという効果がある。
【0018】
また本発明の請求項3記載の発音機能付きそろばん練習機は,上記請求項1記載の発音機能付きそろばん練習機に係る効果のほか,少なくとも五玉と一玉のいずれかを移動させたのち所定時間の間にさらに五玉又は一玉のいずれかが移動しない場合に,報知手段による発音が行われるため,連続した運指によりいずれかの五玉又は一玉が移動している間は,設定された所定時間の空き時間がない限り報知手段による発音がないという効果がある。このため,連続した運指によって五玉又は一玉を動かし続け,最後にその結果の数を発音及びスライド桁軸に表示された数で確認することが出来、発音が運指動作の途中で行われて,そろばん練習の妨げに成るということが無いという効果がある。
【0019】
また本発明の請求項4記載の発音機能付きそろばん練習機は,上記請求項1記載の発音機能付きそろばん練習機に係る効果のほか,モード切替手段を第1のモードに設定したときは,報知手段が動作しないため,多人数が同じ教室や部屋で本発明の発音機能付きそろばん練習機を使用する際には報知手段による発音が他人のそろばん練習の妨げになることが無いという効果がある。またモード切替手段を第2のモードに設定したときは,上記請求項2記載の発音機能付きそろばん練習機によって奏される効果があり,またモード切替手段を第3のモードに設定したときは,上記請求項3記載の発音機能付きそろばん練習機によって奏される効果があり,モード切替手段によって,いろいろな使い方が出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る発音機能付きそろばん練習機の一実施例の状態斜視図である。
【図2】本発明に係る発音機能付きそろばん練習機の一実施例の平面図である。
【図3】本発明に係る発音機能付きそろばん練習機の一実施例の一の桁において,4個の一玉を取り外し,五玉が上に払われた状態を示す平面状態図である。
【図4】本発明に係る発音機能付きそろばん練習機の一実施例の一の桁において,4個の一玉を取り外し,五玉が上に払われた状態を示す側面断面状態図である。
【図5】本発明に係る発音機能付きそろばん練習機の一実施例の一の桁において,4個の一玉を取り外し,五玉が下に入れられた状態を示す平面状態図である。
【図6】本発明に係る発音機能付きそろばん練習機の一実施例の一の桁において,4個の一玉を取り外し,五玉が下に入れられた状態を示す側面断面状態図である。
【図7】本発明に係る発音機能付きそろばん練習機の一実施例における,1個の五玉又は一玉の上面を示す状態斜視図である。
【図8】本発明に係る発音機能付きそろばん練習機の一実施例における,1個の五玉又は一玉の下面を示す状態斜視図である。
【図9】本発明に係る発音機能付きそろばん練習機の一実施例における回路構成を示したブロック図である。
【図10】本発明に係る発音機能付きそろばん練習機の一実施例における検出手段の回路構成例を示した状態図である。
【図11】本発明に係る発音機能付きそろばん練習機の一実施例における検出手段の回路構成例で,五玉及び4個の一玉によって形成される回路と報知手段によって発音される数との関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明に係る発音機能付きそろばん練習機を実施するための形態について説明する。
図1乃至図11に基づき,発音機能付きそろばん練習機の一実施例である実施例1について詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は,本発明に係る発音機能付きそろばん練習機30の一実施例の状態斜視図であり,図2は同平面図である。1は五玉であり2は一玉である。発音機能付きそろばん練習機30は一の桁Aと十の桁Bと百の桁Cの3桁で形成され,梁部3より上に五玉1が上下に移動可能に設けられ,梁部3より下に4個の一玉2が上下に移動可能に設けられた4玉のそろばんである。
【0023】
五玉1及び一玉2は図7及び図8に示すように扁平半球状の弾き部10の両側にT字形状の耳部11が設けられ,耳部11は弾き部10と連なっている連接部11aと,該連接部11aの他端に略直角状に設けられたスライド片11bとから成っている。スライド片11bは連接部11aに対してやや厚みが薄く形成され,両者は段差をもって連続していて,該スライド片11bは一の桁部A,十の桁部B,百の桁部Cの幅広の溝部4a,4bの両側面に設けられた長穴部5に挿入されている。耳部11の連接部11aとスライド片11bとの接合部には段差部11cが設けられ,該段差部11cは溝部4a,4bの両側面の長穴部5に隣接した壁部6に摺動可能に当接し,これによって五玉1及び一玉2は一の桁部A,十の桁部B,百の桁部Cの溝部4a,4b内を上下に移動可能に形成されている。
【0024】
梁部3より上の溝部4aには1個の五玉1が上下に移動可能に形成され,梁部3より下の溝部4bには4個の一玉が上下に移動可能に形成され,各々溝部4a又は4b内を上限又は下限位置まで移動させた際,五玉1又は一玉2の略玉厚み分の隙間が出来るように溝部4a及び溝部4bの溝長さが成っている。
【0025】
五玉1の弾き部10の下部には図3乃至図6に示すように長板状のスライド桁軸7が連設部7aを介して固着され,スライド桁軸7は溝部4aの底面下部に摺動可能に当接すると共に溝部4bの底面下部まで延伸配置されている。溝部4aの底面には,連設部7aが嵌合するガイド長孔8が穿設され,五玉1とスライド桁軸7が上下に移動する際,連設部7aが該ガイド長孔8に沿って摺動するように成っている。
【0026】
溝部4bの底面には4個の一玉2が置かれた位置によって形成される隙間の部分に窓部9が穿設されている。4個の一玉2が置かれた位置によって形成される隙間は溝部4bを上下方向に五分割したそれぞれの位置に形成されるため,窓部9は計五個が溝部4bに略等間隔で設けられている。
【0027】
窓部9からはスライド桁軸7の上面を視認でき,五玉1が溝部4aの上方位置に払われているときには(図3),窓部9に上から順に0,1,2,3,4,の数字が表示されるようにスライド桁軸7の上面に該数字が表示され,五玉1が溝部4aの下方位置に入れられているときには(図5),窓部9に上から順に5,6,7,8,9,の数字が表示されるようにスライド桁軸7の上面に該数字が表示されている。
【0028】
4個の一玉2が溝部4b内を上下に移動して出来る隙間は,図1及び図2に示すように一の窓部9のみであるので,該窓部9には五玉1と4個の一玉2の位置によって表されるその桁の数が表示される。
【0029】
五玉1及び一玉2に設けられた片側のスライド片11bの裏面には図8に示すように導電板20が貼着され,五玉1及び一玉2が溝部4a,4b内を上下に移動した際,導電板20と当接する所定位置に,図1及び図10に示すように五玉1及び一玉2の位置を検出する検出手段100である複数の検出端子12,22,32,42,52,62,72が設けられている。該検出端子12,22,32,42,52,62,72は各桁にそれぞれ設けられている。
【0030】
検出端子12,12は一玉2の導電板20によって閉じた回路を形成するように成っていて,該回路の開閉状態を制御部200で検知し判断する。同様に検出端子22と22,32と32,42と42も同様に形成されている。
【0031】
検出端子52,52は五玉1の導電板20によって閉じた回路を形成するように成っていて,該回路の開閉状態を制御部200で検知し判断する。検出端子62,62及び検出端子72,72は端子のみが設置され,五玉1又は一玉2の導電板20が当接しても回路は形成されない。
【0032】
検出端子12,22,32,42,52によって形成された回路の組み合わせで各桁の五玉1と4個の一玉2の位置を検出することが出来,各桁の五玉1と4個の一玉2の位置によって,発音機能付きそろばん練習機30の本体上面に設けられた報知手段であるスピーカ13から,すべての五玉とすべての一玉の位置によって表わされる数を発音するように成っている。
【0033】
検出端子12,22,32,42,52によって形成された回路の組み合わせとスピーカ13から発音される数の組み合わせ例を示したのが図11であり,例えば,すべての桁の五玉1と一玉2によって表される数がそれぞれ0である場合(検出端子によって形成された回路の組み合わせが,それぞれ12,22,32,42の場合)は一の桁のゼロのみが発音され,百の桁の五玉1と一玉2によって表される数が0(検出端子によって形成された回路の組み合わせが,それぞれ12,22,32,42の場合),十の桁の五玉1と一玉2によって表される数が1(検出端子によって形成された回路の組み合わせが,12,22,32の場合),一の桁の五玉1と一玉2によって表される数が6(検出端子によって形成された回路の組み合わせが,12,22,32,52の場合)は,十の桁のジュウと一の桁のロクが連続して発音される。
【0034】
さらには百の桁の五玉1と一玉2によって表される数が1(検出端子によって形成された回路の組み合わせが,12,22,32の場合),十の桁の五玉1と一玉2によって表される数が0(検出端子によって形成された回路の組み合わせが,それぞれ12,22,32,42の場合),一の桁の五玉1と一玉2によって表される数が3(検出端子によって形成された回路の組み合わせが,12,22,32の場合)は,百の桁のヒャク、と一の桁のサンが連続して発音されるように成っている。
【0035】
その他の各桁の検出端子12,22,32,42,52によって形成される回路の組み合わせと発音される数との組み合わせの一部を図11に示しているが,各桁の検出端子12,22,32,42,52によって形成された回路の組み合わせによって,すべての五玉とすべての一玉の位置によって表わされる数がスピーカ13から発音されるように成っている。
【0036】
発音機能付きそろばん練習機30の本体上面には,モード切替手段であるモード切替スイッチ14,スピーカ13からの発音を操作する発音動作手段である発音スイッチ15が設けられ、さらには,検出手段100,制御部200,スピーカ13に電力を供給する電源部17であるところの電池ボックス18が設けられ,電池ボックス18には乾電池が内蔵されている(図示せず)。
【0037】
モード切替スイッチ14は3つのモードの切り替えを行うことが出来るように成っていて,図1及び図2に図示しているように第1のモードである1の位置にモード切替スイッチ14があるときは,報知手段であるスピーカ13からは発音されない。
【0038】
モード切替スイッチ14が第2のモードである2の位置にあるときは,発音動作手段である発音スイッチ15を押釦して操作した時にスピーカ13からすべての五玉とすべての一玉の位置によって表わされる数が発音されるように成っている。
【0039】
モード切替スイッチ14が第3のモードである3の位置にあるときは,少なくとも五玉1と一玉2のいずれかを移動させたのち所定時間の間にさらに五玉1又は一玉2のいずれかが移動しない場合に,報知手段であるスピーカ13から,すべての五玉とすべての一玉の位置によって表わされる数が発音されるように成っている。
【0040】
所定時間については五玉1と一玉2を移動させる運指のスピードによって変化するが,多数実験した結果では,0.6秒から1.0秒が適当であり,そろばんを練習する初心者である小学生等にとっては0.8秒がより好ましい。また,仮に本発明である発音機能付きそろばん練習機30を,指の運動が不自由になった障害を持ったお年寄り等のリハビリに使用する場合は,1.0秒以上に設定した方がよいと判断され,所定時間は障害の程度により一定の範囲で自由に設定できるようにしてもよい。
【0041】
なお所定時間の計測は,図9のブロック図に示した制御部200に内蔵されたタイマー部(図示せず)によって行うように成っている。
【0042】
図9は,本発明である発音機能付きそろばん練習機30の回路構成を示すブロック図であり,モード切替スイッチ14,発音スイッチ15,検出手段100の信号が制御部200に入力される。制御部200にはタイマー部が内蔵されると共に電源部17より電気が供給され,モード切替スイッチ14,発音スイッチ15,検出手段100の信号を受けて,上述のようにスピーカ13からの発音を制御するように成っている。
【符号の説明】
【0043】
1 五玉
2 一玉
3 梁部
4a 溝部
4b 溝部
5 長穴部
6 壁部
7 スライド桁軸
7a 連設部
8 ガイド長孔
9 窓部
10 弾き部
11 耳部
11a 連接部
11b スライド片
11c 段差部
12 検出端子
13 スピーカ
14 モード切替スイッチ
15 発音スイッチ
17 電源部
18 電池ボックス
20 導電板
22 検出端子
30 発音機能付きそろばん練習機
32,42,52,62,72 検出端子
100 検出手段
200 制御部
A 一の桁
B 十の桁
C 百の桁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の桁を有し,一の桁には1個の五玉と4個の一玉が上下に移動可能に形成されたそろばんにおいて,五玉にスライド桁軸が固着され,該五玉がスライド桁軸と共に上下に移動可能に形成され,スライド桁軸が4個の一玉の下部に延伸配置され,該スライド桁軸上で4個の一玉が該スライド桁軸の長手方向に上下に移動可能に配設され,すべての五玉とすべての一玉の位置を検出する検出手段と、該検出手段によって検出したすべての五玉とすべての一玉の位置によって表わされる数を発音する報知手段を有し,スライド桁軸の上面であって4個の一玉の位置によって形成される隙間に,五玉と4個の一玉の位置によって表されるその桁の数が表示されるようにスライド桁軸上面に該数を表示し,五玉と4個の一玉の位置によって表されるその桁の数をスライド桁軸上面であって4個の一玉の位置によって形成される隙間に表示すると共に,報知手段によりすべての五玉とすべての一玉の位置によって表わされる数が発音されることを特徴とする発音機能付きそろばん練習機。
【請求項2】
請求項1記載の発音機能付きそろばん練習機において,さらに報知手段による発音動作手段を設け,該発音動作手段を操作した時にだけすべての五玉とすべての一玉の位置によって表される数を報知手段により発音することを特徴とする発音機能付きそろばん練習機。
【請求項3】
請求項1記載の発音機能付きそろばん練習機において,少なくとも五玉と一玉のいずれかを移動させたのち所定時間の間にさらに五玉又は一玉のいずれかが移動しない場合に,報知手段による発音が行われることを特徴とする発音機能付きそろばん練習機。
【請求項4】
請求項1記載の発音機能付きそろばん練習機において,さらにモード切替手段と報知手段による発音動作手段が設けられ,モード切替手段を第1のモードに設定した際は,報知手段が動作せず,モード切替手段を第2のモードに設定した際は,発音動作手段を操作した時にだけ報知手段により発音し,モード切替手段を第3のモードに設定した際は,少なくとも五玉と一玉のいずれかを移動させたのち所定時間の間にさらに五玉又は一玉のいずれかが移動しない場合に,報知手段による発音が行われることを特徴とする発音機能付きそろばん練習機。



【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−242815(P2012−242815A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116381(P2011−116381)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(500201565)株式会社 ウィズコーポレーション (1)
【出願人】(507031723)播州算盤工芸品協同組合 (1)