説明

発音装置

【課題】 2つの装置の組み合わせによって多様な音声や色を発することのできる発音装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の発音装置では、nビットの第1アドレス及びmビットの第2アドレスにおける各ビットにたてられた値によって、複数種類の音声選択アドレスを取得することができるので、種々の音声選択アドレスに応じた種々の音声が発音される。即ち、ユーザは、第1装置と第2装置とをいろいろ組み合わせることによって発音される種々の音声を聞いて楽しむことができる。また、第1装置及び第2装置にそれぞれ対応付けられた第1アドレス及び第2アドレスは、ユーザが一見して確認できる情報ではないので、第1装置と第2装置とがそれぞれ別々のユーザによって所有されている場合に、お互いの装置を組み合わせによって発音される音声が何かということを楽しむことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの装置の組合わせ方に応じた音声を発する発音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2つの装置を対として組み合わせることによって所定の音声を発音する発音装置がある。ここで、図5は、そのような従来の発音装置100を説明する図であり、図5(a)は、発音装置100を構成する雄装置60と雌装置80とが分離された状態を示す模式的な断面図であり、図5(b)は、雄装置60と雌装置80とが組み合わされて電気的に接続された状態を示す模式的な断面図である。
【0003】
図5(a)に示すように、雌装置80は、導電性材料によって器状に形成されたケース81を備えている。そのケース81の内側底部には、金属製のスプリング85が設置されており、その上に2個のボタン電池84が直列接続となるように積重されて配置されている。2個のボタン電池84におけるスプリング85とは反対側の端子(プラス端子)側には、外側に凸となるように撓んだ可撓性を有する樹脂製フィルム83が設けられている。
【0004】
この樹脂製フィルム83は、導電性材料によって形成されたスイッチ82を、常態において、その端部82aがボタン電池84と離間されるように保持している。樹脂製フィルム83は可撓性を有するので、スイッチ82が矢印X方向に押下されると、樹脂製フィルム83が撓み、端部82aとボタン電池84とが接触される。
【0005】
一方で、雄装置60は、導電性材料によって器状に形成されたケース61を備えている。そのケース61の内部には、非図示の配線によって接続された基板62とスピーカ63と赤色発光ダイオード64(以下、発光ダイオードは「LED」と称する)とが収納されている。また、ケース61には、導電性材料から形成されたカバー65が嵌め込まれている。このカバー65は、ケース61内に収納された基板62やスピーカ63を覆う一方で、開口部65aから赤色LED64を露出する。
【0006】
基板62には、所定のデジタル音声が記録されている非図示のIC(Integrated Circuit)が取り付けられている。ここで、上記した雄装置60を、矢印X方向に雌装置80に押し付けて、ケース61とケース81とを接触させると共に、スイッチ82の端部82aをボタン電池84に接触させると、図5(b)に示すように、ボタン電池84から電流Iが供給される電気回路が形成され、その結果として、基板62上のIC(非図示)に記憶されているデジタル音声が再生されてスピーカ63から発音される。
【0007】
また、上記のように雄装置60と雌装置80とを組み合わせて発音装置100とした場合に、形成された電気回路を流れる電流Iによって、赤色LED64が発光する。
【0008】
一方で、発音装置には、上記のように2つの装置を対として組み合わせるのではなく、単体の装置のスイッチを入れた場合に、その単体の装置に記憶されている複数の音声の中の1つが選択されて発音されるものもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記発音装置100は、雄装置60と雌装置80との組み合わせによって雄装置60に供給される電力(電流I)によって、基板62上のIC(非図示)に記憶されているデジタル音声が再生されるという構成であるために、スピーカ63からは単一の音声しか発音されず、単調で面白味に欠けるという問題点があった。また、図5(b)に示すように、雄装置60と雌装置80とを組み合わせた際に、赤色LED64が発音装置100の内側に隠れてしまうので、発光した色がユーザに見難く、ユーザに違和感や不快感を与えるという問題点があった。
【0010】
また、単体の装置のスイッチを入れた場合に、複数の音声の中の1つが選択されて発音する装置の場合も、その装置から発音させる行為が自分自身で行う操作に限られるので、意外性や面白味に欠け、そのため、ユーザが飽きるのも早いという問題点があった。
【0011】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、2つの装置の組み合わせによって多様な音声や色を発することのできる発音装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、請求項1記載の発音装置は、電源を有する第1装置と、その第1装置との組み合わせによって電気回路が形成されて、前記電源から電力が供給されると、音声を発音する発音手段を有し、前記第1装置とは分離可能な第2装置とから構成されるものであって、前記第1装置と前記第2装置との組み合わせの結果として前記電源から電力が供給されると、前記第1装置に対応付けられたnビットの第1アドレス(nは1以上の整数)と前記第2装置に対応付けられたmビットの第2アドレス(mは1以上の整数)とから(n+m)ビットの音声選択アドレスを取得する音声選択アドレス取得手段と、前記音声選択アドレス毎に異なる音声を記憶する音声記憶手段と、前記音声選択アドレス取得手段により取得された音声選択アドレスに対応する音声を、前記音声記憶手段に記憶されている音声の中から、前記発音手段から発音する音声として選択する音声選択手段を備えている。
【0013】
請求項2記載の発音装置は、請求項1記載の発音装置において、前記第1装置及び前記第2装置のうちの少なくとも一方は、前記第1アドレス又は前記第2アドレスの固有値を記憶するアドレス記憶手段を備えている。
【0014】
請求項3記載の発音装置は、請求項1又は2記載の発音装置において、前記第1装置及び前記第2装置のうちの少なくとも一方は、前記第1装置と前記第2装置との組み合わせの結果として前記電源から電力が供給されると、その都度、前記第1アドレス又は前記第2アドレスを可変的に設定するアドレス設定手段を備えている。
【0015】
請求項4記載の発音装置は、請求項1から3のいずれかに記載の発音装置において、前記第1装置と前記第2装置との組み合わせの結果として前記電源から電力が供給されると単色で発光する、又は、複数の色を区別して発光できる発光体を備え、その発光体は、前記第1アドレス又は前記第2アドレス、あるいは、前記音声選択アドレスに応じた点灯状態で発光する。
【0016】
請求項5記載の発音装置は、請求項1から4のいずれかに記載の発音装置において、前記第1装置と前記第2装置との組み合わせの結果として前記電源から電力が供給されると単色で発光する、又は、複数の色を区別して発光できる発光体を備え、前記発光体は、前記第1装置と前記第2装置とを組合わせた場合の外表面から視認される位置に設けられている。
【0017】
請求項6記載の発音装置は、請求項1から5のいずれかに記載の発音装置において、前記第1装置及び前記第2装置は、それぞれアクセサリーの形態である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発音装置によれば、電源を有する第1装置とその第1装置とは分離可能な第2装置との組み合わせによって電気回路が形成され、その電気回路に電源から電力が供給された結果として、第1装置に対応付けられたnビットの第1アドレス(nは1以上の整数)と第2装置に対応付けられたmビットの第2アドレス(mは1以上の整数)とから(n+m)ビットの音声選択アドレスが、音声選択アドレス取得手段によって取得される。そのように音声選択アドレス取得手段により音声選択アドレスが取得されると、音声選択アドレス毎に異なる音声を記憶する音声記憶手段に記憶されている音声の中から、取得された音声選択アドレスに対応する音声が、音声選択手段により選択される。そして、そのように選択された音声が、第2装置における発音手段から発音される。
【0019】
よって、nビットの第1アドレス及びmビットの第2アドレスにおける各ビットにたてられた値によって、複数種類の音声選択アドレスを取得することができるので、種々の音声選択アドレスに応じた種々の音声が発音される。即ち、ユーザは、第1装置と第2装置とをいろいろ組み合わせることによって発音される種々の音声を聞いて楽しむことができるという効果がある。
【0020】
また、第1装置及び第2装置にそれぞれ対応付けられた第1アドレス及び第2アドレスは、ユーザが一見して確認できる情報ではないので、第1装置と第2装置とがそれぞれ別々のユーザによって所有されている場合に、お互いの装置を組み合わせによって発音される音声が何かということを楽しむことができるという効果がある。
【0021】
また、2つの装置(第1装置及び第2装置)の組み合わせによって種々の音声が発音されるので、単体の装置であった場合には得ることのできない意外性をユーザに与えることができるという効果がある。よって、ユーザ(ユーザ達)の興味を長きに渡って引き続けることができるのである。
【0022】
請求項2記載の発音装置によれば、請求項1記載の発音装置の奏する効果に加えて、第1装置及び第2装置のうちの少なくとも一方には、第1アドレス又は第2アドレスの固有値がアドレス記憶手段に記憶されているので、アドレス記憶手段に記憶される第1アドレス又は第2アドレスの固有値によって、対応する第1装置又は第2装置を特定することができるという効果がある。例えば、第1装置にアドレス記憶手段が設けられている場合には、そのアドレス記憶手段に記憶されている第1アドレスの固有値によって、第1装置をそれぞれ特定することができるのである。
【0023】
その結果として、そのように各々特定された第1装置(又は第2装置)に対し、第2装置(又は第1装置)を組み合わせることによって得られる種々の音声選択アドレスに応じた種々の音声を聞くことができるという効果がある。
【0024】
請求項3記載の発音装置によれば、請求項1又は2記載の発音装置の奏する効果に加えて、第1装置及び第2装置のうちの少なくとも一方には、第1装置と第2装置との組み合わせの結果として電源から電力が供給される毎に、アドレス設定手段によって、第1アドレス又は第2アドレスが可変的に設定されるので、第1装置と第2装置とを組み合わせる毎に、異なる第1アドレス又は第2アドレスによって第1装置又は第2装置が特定されるという効果がある。例えば、第1装置にアドレス設定手段が設けられている場合には、第2装置と組み合わせる毎に可変的に設定される第1アドレスによって第1装置が特定されることになる。
【0025】
その結果として、組み合わせる毎に可変的に設定される第1アドレス(又は第2アドレス)によって特定される第1装置(又は第2装置)は、組み合わせる毎に発音される音声も可変性を有することになる。即ち、同一の第1装置と第2装置とについて、組み合わせたり分離させたりを繰り返した場合であっても、組み合わされる毎に発音する音声が変わることになるので、お互いの装置を組み合わせた場合に今回発音される音声が何かということを予想して楽しむことができるという効果がある。
【0026】
請求項4記載の発音装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の発音装置の奏する効果に加えて、第1装置と第2装置との組み合わせの結果として電源から電力が供給されると、単色で発光する発光体、又は、複数の色を区別して発光できる発光体が、第1アドレス又は第2アドレス、あるいは、音声選択アドレスに応じた点灯状態で発光するという効果がある。
【0027】
なお、この「点灯状態」には、発光する色や発光の状態(点滅、非点滅など)などが含まれる。一例としては、発光体が複数の色を区別して発光可能なものである場合において、その発光体が発光可能な各色で発光されることが各々「点灯状態」であり、別の例としては、発光体が点滅又は非点滅で発光することが各々「点灯状態」である。
【0028】
よって、第1アドレスと第2アドレスとの組み合わせに応じて種々の音声が発音されるだけでなく、発光体が、第1アドレス又は第2アドレス、あるいは、第1アドレスと第2アドレスとから構成される音声選択アドレスに応じた点灯状態で発光されるので、聴覚的だけでなく視覚的にも種々の点灯状態(種々の色や、点滅など)を楽しむことができるという効果がある。
【0029】
請求項5記載の発音装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の発音装置の奏する効果に加えて、発光体が、第1装置と第2装置とを組合わせた場合の外表面から視認される位置に設けられているので、発光体から発光される色をユーザが確実に視認でき、ユーザに与える視覚的な違和感を抑制できるという効果がある。
【0030】
請求項6記載の発音装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の発音装置の奏する効果に加えて、第1装置及び第2装置が、それぞれ、ユーザが普段において持ち歩き易いアクセサリー(例えば、携帯電話用ストラップを初めとする各種ストラップや、キーホルダーや、ペンダントなど)の形態であるので、第1装置を持ち歩くユーザと、第2装置を持ち歩くユーザとが、気軽に互いの所有する装置を組み合わせることができ、それによって発音される種々の音声を楽しむことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明における第1実施例の発音装置1の外観図である。図1に示すように、発音装置1は、携帯電話用のストラップ10の飾り11に埋め込まれている雄装置20と雌装置40とから構成される。
【0032】
次に、図2を参照して、ストラップ10の飾り11に埋め込まれている雄装置20及び雌装置40の具体的構造について説明する。図2(a)は、発音装置1を構成する雄装置20及び雌装置40の模式的な断面図であり、図2(b)は、雄装置20及び雌装置40の回路図である。
【0033】
図2(a)に示すように、雌装置40は、導電性材料によって器状に形成されたケース41を備えている。そのケース41の内側底部には、金属製のスプリングからなる接続端子45が設置されており、この接続端子45は、所定電圧(例えば、3V)を供給可能なボタン電池などのバッテリ44のマイナス端子(非図示)と接触されている。
【0034】
バッテリ44における接続端子45とは反対側には、非導電性の樹脂から構成されるスプリング43が配置され、そのスプリング43の他端には、その一部がスプリング43の内周側に挿入されているスイッチ42が配置されている。
【0035】
このスイッチ42は、導電性材料から形成され、スプリング43の存在によって、常態ではその端部42aがバッテリ44のプラス端子(非図示)とは離間されている。このスイッチ42が、雄装置20によって矢印X方向に押下されると、スプリング43が収縮して端部42aがバッテリ44のプラス端子(非図示)に接触される。そして、雄装置20が取り外されると、スプリング43の付勢力によって、バッテリ44のプラス端子(非図示)に接触していた端部42aは、再びプラス端子から離間される。
【0036】
また、接続端子45におけるバッテリ44と反対側は、基板46に接続されている。この基板46には、その雌装置40に固有の3ビットのアドレスを第1アドレスとして記憶するアドレスメモリ51が設けられている(図2(b)参照)。即ち、雌装置40は、このアドレスメモリ51に記憶される3ビットの第1アドレスによって区別することができる。
【0037】
一方で、雄装置20は、導電性材料によって器状に形成されたケース21を備えている。そのケース21の内部には、非図示の配線によって接続された基板22とスピーカ23とが収納されている。また、ケース21の背面(図2(a)における左側の面)からは、基板22と非図示の配線によって接続された赤色LED24が露出されている。また、ケース21には、導電性材料から形成されたカバー25が嵌め込まれており、このカバー25によって、ケース21内に収納された基板22やスピーカ23が覆われている。なお、基板22には、その雄装置20に固有の3ビットのアドレスを第2アドレスとして記憶するアドレスメモリ31が設けられている(図2(b)参照)。
【0038】
雄装置20と雌装置40とを組み合わせて発音装置1とした場合、即ち、雄装置20を、矢印X方向に雌装置40に押し付けて、ケース21とケース41とを接触させると共に、スイッチ42の端部42aをバッテリ44と接触させると、図2(b)に示すように、雄装置20及び雌装置40の各回路が点線A〜Cによって結ばれて1の電気回路が形成される。その結果、発音装置1(雄装置20及び雌装置40)に、バッテリ44から電力(電流)が供給されると、雌装置40のアドレスメモリ51に記憶されている第1アドレスが音声メモリ32へ出力される。
【0039】
同様に、雄装置20及び雌装置40の各回路が点線A〜Cによって結ばれて1の電気回路を形成してバッテリ44から電力が供給された場合に、アドレスメモリ31に記憶されている第2アドレスが音声メモリ32へ出力される。
【0040】
音声メモリ32は、第1アドレス及び第2アドレスが入力されると、上位3ビットに第1アドレスの値をたて、下位3ビットに第2アドレスの値をたてることによって、6ビットの音声選択アドレスとした上で(特許請求の範囲における「音声選択アドレス取得手段」に該当する)、その音声選択アドレスに対応する音声を選択し(特許請求の範囲における「音声選択手段」に該当する)、そして、選択した音声をスピーカ23へ出力する。その結果として、スピーカ23から音声選択アドレスに対応する音声が発音される。
【0041】
第1アドレス及び第2アドレスはいずれも3ビットのデータであるので、それぞれ「000」〜「111」までの8(=2)通りが存在する。よって、上位ビットが第1アドレスであり、下位ビットが第2アドレスである音声選択アドレスは、8×8=64通り存在することになる。従って、例えば、音声メモリ32に記憶させる音声を64種類とし、1の音声選択アドレスに対して1の音声を対応付けた場合には、最大64種類の音声をスピーカ23から発音させることができる。
【0042】
また、本実施例の発音装置1において、雄装置20及び雌装置40の各回路が点線A〜Cによって結ばれて1の電気回路を形成してバッテリ44から電力が供給されると、赤色LED24が点灯する。上記したように、赤色LED24は、ケース21の背面(図2(a)における左側の面)から露出されているので、ユーザは、赤色LED24からの発光を確実に視認することができ、発光する光が見え難いことによって感じる違和感や不快感を抑制することができるのである。
【0043】
以上説明したように、本実施例の発音装置1は、雌装置40を特定する3ビットの固有値である第1アドレスと、雄装置20を特定する3ビットの固有値である第2アドレスとの組み合わせによって、64通りの音声選択アドレスを得ることができるので、複数の音声選択アドレスに応じた種々の音声を発音させることができる。
【0044】
その結果として、ユーザは、雄装置20と雌装置40との組み合わせに応じて種々の音声を聞くことができるので、雄装置20と雌装置40とをいろいろ組み合わせた場合に発音される種々の音声(例えば、「相性度100」「相性度0」など)を聞いて楽しむことができるのである。
【0045】
また、アドレスメモリ51に記憶され、雌装置40を特定する第1アドレス、及び、アドレスメモリ31に記憶され、雄装置20を特定する第2アドレスは、いずれもユーザが一見して確認できる情報ではないので、雄装置20と雌装置40とを組み合わせた際に初めて、その組み合わせにおいて発音される音声を知ることができる。よって、例えば、雄装置20及び雌装置40が別々のユーザによって所有されていた場合に、お互いの装置20,40を組み合わせることによって発音される音声が何であるかということを予想しながら楽しむことができる。
【0046】
また、本実施例の発音装置1は、種々の音声を発音させるために、2つの装置(雄装置20及び雌装置40)を組み合わせるので、発音装置が単体の装置であった場合には得ることのできない意外性を与えることができる。即ち、例えば、雄装置20及び雌装置40が別々のユーザによって所有された場合に、ユーザは、お互いの装置20,40を組み合わせることによって発音される音声が何であるかを簡単に予測することができない。よって、発音装置1に対するユーザ(ユーザ達)の興味を長きに渡って引き続けることが可能となる。
【0047】
なお、雄装置20及び雌装置40は、ユーザが普段持ち歩き易いという観点から、上記において例示したストラップ10(飾り11)や、キーホルダーや、ペンダントなどのアクセサリーの形態であることが好ましい。このように、雄装置20及び雌装置40が、ユーザが普段において持ち歩く頻度の高いアクセサリーの形態であることにより、雄装置20を備えるアクセサリー(本実施例では、ストラップ10(飾り11))を持ち歩くユーザと、雌装置40を備えるアクセサリーを持ち歩くユーザとが、気軽に互いの所有する装置20,40を組み合わせ、それによって発音される種々の音声を楽しむことができる。
【0048】
次に、図3を参照して、発音装置1の第2実施例について説明する。図3は、第2実施例の発音装置1における雄装置20及び雌装置40の回路図である。なお、この第2実施例において、上記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0049】
上記した第1実施例の発音装置1では、雌装置40のアドレスメモリ51に記憶される3ビットの固有値で構成される第1アドレスと、雄装置20のアドレスメモリ31に記憶される3ビットの固有値で構成される第2アドレスとを組み合わせて音声選択アドレスを得るように構成した。これに換えて、この第2実施例では、図3に示すように、雌装置40及び雄装置20に、それぞれ、3ビットのアドレスをランダム(可変的)に発生するアドレス発生回路56及びアドレス発生回路36を設ける。
【0050】
アドレス発生回路56及びアドレス発生回路36はいずれも、図3に示すように、雄装置20及び雌装置40の各回路が点線A〜Cによって結ばれて1の電気回路を形成し、バッテリ44から電力が供給された場合に、3ビットのアドレス、即ち、「000」から「111」までの8通りのアドレスの中の1つをランダムに発生する回路である。
【0051】
そして、アドレス発生回路56により発生されたアドレスは第1アドレスとして音声メモリ32へ出力され、アドレス発生回路36により発生されたアドレスは第2アドレスとして音声メモリ32へ出力される。
【0052】
第1アドレス及び第2アドレスが音声メモリ32に入力されると、第1実施例と同様に、上位3ビットが第1アドレスであり、下位3ビットが第2アドレスである6ビットの音声選択アドレスが得られ、その音声選択アドレスに対応する音声をスピーカ23へ出力する。その結果として、スピーカ23から音声選択アドレスに対応する音声が発音される。
【0053】
よって、アドレス発生回路56によって、1の雌装置40が「000」から「111」までの8通りの第1アドレスの中の1つによってランダムに特定される。同様に、アドレス発生回路36によって、1の雄装置20が8通りの第2アドレスの中の1つによってランダムに特定される。
【0054】
その結果、同一の雌装置40と雄装置20とを組み合わせたとしても、それらの装置20,40に電力が供給される毎に、64種類の音声選択アドレスの中の1種類がランダムに形成されるので、その都度、異なる音声をスピーカ23から発音させることができ、これらの装置20,40を組み合わせる毎に、今回発音される音声が何であるかということを予想しながら楽しむことができる。
【0055】
また、図3に示すように、この第2実施例の発音装置1の雄装置20には、赤色LED24に換えて、異なる7色を区別して発色できる7色LED28が設けられている。この7色LED28は、アドレス発生回路36に接続されており、アドレス発生回路36においてランダムに発生された第2アドレスに応じた色を発光するように構成されている。即ち、7色LED28は、雄装置20に電力が供給される毎に、7色の中のいずれかの色をランダムに発光する。
【0056】
よって、この第2実施例の発音装置1は、雌装置40及び雄装置20に電力が供給される毎にランダムに発生する第1アドレス及び第2アドレスの組み合わせに応じて種々の音声がスピーカ23から発音されるだけでなく、7色LED28が、ランダムに発生された第2アドレスに応じた色で発光するので、聴覚的のみならず視覚的にもユーザを楽しませることができる。
【0057】
以上説明したように、第2実施例の発音装置1は、雌装置40及び雄装置20に電力が供給される毎に、第1アドレス及び第2アドレスをランダムに発生させるので、スピーカ23から発音される音声や、7色LED28から発光される色を、これらの装置20,40を組み合わせる毎にランダムに変更させることができる。その結果として、ユーザは、「今回発音される音声が何であるか」や「今回発光される色が何であるか」を予想する楽しみを享受することができる。
【0058】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0059】
例えば、上記実施例では、発音装置1における雄装置20及び雌装置40は、それぞれ、導電性材料によって器状に形成されたケース21及びケース41を備えており、これらのケース21とケース41とを接触させることによって、雄装置20及び雌装置40のそれぞれの回路から、発音装置1の回路を形成するように構成した。
【0060】
このような、導電性材料から構成されるケース21とケース41との接触による電気回路の形成に換えて、図4に示すように、雄装置20の基板22に接続された端子35を設けると共に、雌装置40の基板46に接続され、端子35に対応する形状の端子55を設けるように構成してもよい。なお、図4は、端子35と端子55とが接続される構成の発音装置1における雄装置20及び雌装置40の模式的な断面図である。また、図4において、上記した実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0061】
図4に示す発音装置1は、雄装置20を、矢印X方向に雌装置40に押し付けて、端子35と端子55とを接続すると共に、スイッチ42の端部42aをバッテリ44と接触させると、雄装置20及び雌装置40の各回路が点線A〜Cによって結ばれて1の電気回路を形成し(図2(b)又は図3参照)、第1アドレス及び第2アドレスに応じた音声がスピーカ23から発音されると共に、赤色LED24が発光する。
【0062】
また、上記第1実施例の発音装置1では、第1アドレス及び第2アドレスはいずれも、それぞれがアドレスメモリ51とアドレスメモリ31に固有値として記憶されているアドレスであり、一方で、第2実施例の発音装置1では、第1アドレス及び第2アドレスはいずれも、それぞれがアドレス発生回路56とアドレス発生回路36からランダムに発生されるアドレスであるとして構成した。このように、雌装置40を特定する第1アドレス及び雄装置20を特定する第2アドレスは、雌装置40と雄装置20とで同じ設定方法を用いることに限定されず、例えば、第1アドレスがアドレスメモリ51に記憶される固有値であり、第2アドレスがアドレス発生回路36からランダムに発生されるアドレスであるように構成してもよい。
【0063】
また、上記実施例では、第1アドレス及び第2アドレス共に3ビットのアドレスであるとして説明したが、その構成ビット数は3ビットに限定されるものではなく、3以外の数値(例えば、1ビット、2ビット、4以上の整数ビット)であってもよい。
【0064】
例えば、第1アドレス及び第2アドレスがいずれも2ビットである場合には、音声選択アドレスは2×2=16種類存在することになり、また、第1アドレス及び第2アドレスがいずれも4ビットである場合には、音声選択アドレスは2×2=256種類存在することになるので、その構成ビット数が大きいほど、発音可能な音声などの種類を豊富にすることができる。
【0065】
また、第1アドレス及び第2アドレスの構成ビット数が同じであることに限定されるものではなく、第1アドレス及び第2アドレスの構成ビット数がそれぞれ異なるものであってもよい。
【0066】
また、上記実施例では、上位3ビットに第1アドレスを設定し、下位3ビットに第2アドレスを設定することによって音声選択アドレスを得るように構成したが、上位3ビットに第2アドレスを設定し、下位3ビットに第1アドレスを設定するように構成してもよい。あるいは、第1アドレスの値に対応付けられた値と第2アドレスの値に対応付けられた値とから音声選択アドレスを得るように構成してもよい。
【0067】
また、上記実施例では、7色LED28が、第2アドレスに応じた色を発光するものとして構成したが、音声選択アドレスや第1アドレスに応じた色を発光するように構成してもよい。
【0068】
また、上記実施例では、赤色LED24又は7色LED28を雄装置20側にのみ設けるよううに構成したが、雌装置40に設けるように構成してもよい。もちろん、雄装置20及び雌装置40の両方に赤色LED24又は7色LED28を設けるように構成してもよい。ここで、雌装置40に7色LED28を設けた場合、第1アドレスや、音声選択アドレスや第2アドレスに応じた色が7色LED28から発光されるように構成してもよい。
【0069】
また、上記第2実施例では、第2アドレスに応じた色が7色LED28から発光されるように構成したが、第2アドレスに応じて異なったタイミングで点滅させるなど、第2アドレスに応じて点灯状態を変化させるものであってもよい。このように点滅タイミングを変化させる場合には、7色LED28ではなく、赤色LED24のような単色のLEDであっても視覚的にユーザを楽しませることができる。また、発光色と点滅タイミングなどを組み合わせるように構成してもよい。
【0070】
また、上記第2実施例では、複数の色を区別して発光できる発光体として7色LED28を例示したが、これに限定されるものではなく、2色LEDや3色LEDなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明における第1実施例の発音装置の外観図である。
【図2】(a)は、発音装置を構成する雄装置及び雌装置の模式的な断面図であり、(b)は、雄装置及び雌装置の回路図である。
【図3】第2実施例の発音装置における雄装置及び雌装置の回路図である。
【図4】本発明の発音装置の変形例における雄装置及び雌装置の模式的な断面図である。
【図5】(a)は、従来の発音装置を構成する雄装置と雌装置とが分離された状態を示す模式的な断面図であり、(b)は、雄装置と雌装置とが組み合わされて電気的に接続された状態を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 発音装置
20 雄装置(第2装置)
23 スピーカ(発音手段)
24 赤色LED(発光体)
28 7色LED(発光体)
31 アドレスメモリ(アドレス記憶手段)
32 音声メモリ(音声記憶手段)
36 アドレス発生回路(アドレス設定手段)
40 雌装置(第1装置)
44 バッテリ(電源)
51 アドレスメモリ(アドレス記憶手段)
56 アドレス発生回路(アドレス設定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源を有する第1装置と、その第1装置との組み合わせによって電気回路が形成されて、前記電源から電力が供給されると、音声を発音する発音手段を有し、前記第1装置とは分離可能な第2装置とから構成される発音装置において、
前記第1装置と前記第2装置との組み合わせの結果として前記電源から電力が供給されると、前記第1装置に対応付けられたnビットの第1アドレス(nは1以上の整数)と前記第2装置に対応付けられたmビットの第2アドレス(mは1以上の整数)とから(n+m)ビットの音声選択アドレスを取得する音声選択アドレス取得手段と、
前記音声選択アドレス毎に異なる音声を記憶する音声記憶手段と、
前記音声選択アドレス取得手段により取得された音声選択アドレスに対応する音声を、前記音声記憶手段に記憶されている音声の中から、前記発音手段から発音する音声として選択する音声選択手段を備えていることを特徴とする発音装置。
【請求項2】
前記第1装置及び前記第2装置のうちの少なくとも一方は、前記第1アドレス又は前記第2アドレスの固有値を記憶するアドレス記憶手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の発音装置。
【請求項3】
前記第1装置及び前記第2装置のうちの少なくとも一方は、前記第1装置と前記第2装置との組み合わせの結果として前記電源から電力が供給されると、その都度、前記第1アドレス又は前記第2アドレスを可変的に設定するアドレス設定手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の発音装置。
【請求項4】
前記第1装置と前記第2装置との組み合わせの結果として前記電源から電力が供給されると単色で発光する、又は、複数の色を区別して発光できる発光体を備え、
その発光体は、前記第1アドレス又は前記第2アドレス、あるいは、前記音声選択アドレスに応じた点灯状態で発光することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発音装置。
【請求項5】
前記第1装置と前記第2装置との組み合わせの結果として前記電源から電力が供給されると単色で発光する、又は、複数の色を区別して発光できる発光体を備え、
前記発光体は、前記第1装置と前記第2装置とを組合わせた場合の外表面から視認される位置に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の発音装置。
【請求項6】
前記第1装置及び前記第2装置は、それぞれアクセサリーの形態であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の発音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−330079(P2006−330079A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149659(P2005−149659)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(502019852)金子コード株式会社 (4)
【Fターム(参考)】