説明

白板紙の製造方法

【課題】紙力増強剤と硫酸アルミニウムを併用する白板紙の抄造方法であって、高温抄紙時においても、層間強度に優れた白板紙を提供すること。
【解決手段】原料パルプに古紙パルプ100%を用いて、3層以上の多層からなる白板紙の製造方法であって、マシンチェスト温度が40℃以上、パルプ濃度2.5%以上で硫酸アルミと紙力剤としてカチオン量がアニオン量に対して1.5倍以上の両性ポリアクリルアミドをマシンチェスト又はその前で同じ場所に添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙100%原料に紙力増強剤を添加して抄紙する白板紙の抄造方法に関し、特に層間強度を向上させることができる抄造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に3層以上から成る白板紙は、高い層間強度を要求される。白板紙は一般的には中層(1層以上)に古紙を多量配合し、表層には見栄えのよい化学パルプを用いているものが一般的であるが、近年では、古紙多配合が求められ、パルプ原料として古紙100%のものへの要求が高まっているが、古紙パルプ中にはバージンパルプに比べてアニオン夾雑物が多く含まれるため、原料が古紙100%の場合、系内のアニオン夾雑物が多くなり、カチオン要求量が多くなるため、カチオン性薬品の効果が低下し、層間強度が出にくい。そのため、硫酸アルミニウムまたは紙力増強剤などのカチオン性薬品の役割が重要となってくる。
【0003】
紙力増強剤には、ポリアクリルアミド系紙力増強剤、澱粉系紙力増強剤等があり、これらの紙力増強剤は定着剤と併用して使用される。例えば、紙力増強剤の定着剤としては、硫酸アルミニウムが挙げられる。
【0004】
また、層間強度を上げる別の方法として、層間接着剤のスプレー塗布が挙げられる。層間接着剤としては、従来より安価な澱粉が多く使用されてきたが、澱粉自体の接着強度が弱いために、目的の層間強度を得るためには塗布量が多くなってしまうが、ある一定量以上を塗布してもそれ以上は層間強度が向上しなくなるなどの問題がある。また、澱粉スプレー塗布量が多くなった場合には、地合の悪化を招くなどの弊害が出てくる。
【0005】
紙の主原料であるパルプ繊維はアニオン性であり、紙力増強剤はアニオン基とカチオン基を持つものが多く、紙力増強剤のカチオン基がアニオン性のパルプ繊維にイオン的な力で定着する。紙力増強剤の定着性を向上させるために、硫酸アルミニウムが使用される。硫酸アルミニウムを水に溶解すると、硫酸成分によって酸性となり、アルミニウムは3価のカチオン性を示し、アニオン性のパルプ繊維にカチオン性のアルミニウムイオンが定着することはよく知られている。アルミニウムイオンが定着したパルプ繊維は一部がカチオン性となり、紙力増強剤のアニオン基がイオン的に定着する。その結果、紙力増強剤と硫酸アルミニウムを併用すると、紙力増強剤のアニオン基とカチオン基の両方をパルプ繊維に定着させることが可能となり、紙力増強剤のパルプ繊維に対する定着性が向上し、層間強度が向上するが、古紙100%原料では、アニオン夾雑物が多くなっているため、紙力増強剤の定着性が低下する。
【0006】
これまでに、Z軸強度および層間強度を向上させるためのポリアクリルアミド系紙力増強剤が開示され(特許文献1)、具体的には、アニオン基とカチオン基の量を変更した、アニオン性のポリアクリルアミドが開示されている。
【0007】
しかし、改良された紙力増強剤を用いても、夏場に外気温の上昇に伴って抄紙温度が上昇すると、紙力増強剤の効果が低下し、白板紙の層間強度が低下するといった問題となることがある。特に抄紙温度が40℃以上になると、紙力の低下が顕著である。
【0008】
これまでに、硫酸アルミニウムと製紙用薬品との併用に関して、製紙用薬品の歩留まりを向上させるために、サイズ剤を添加する直前に硫酸アルミニウムを添加する、またはサイズ剤と硫酸アルミニウムを同時に添加する方法(特許文献2)が開示されている。特許文献2に開示されたものは、硫酸アルミニウムと各種薬品の添加順序により、サイズ剤の定着性を向上させる方法であり、硫酸アルミニウムを系の後半にて添加しているため、抄紙機に到達するまでの時間が短く、満足する定着性を得るには十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−336646号公報
【特許文献2】特開2007−154349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、紙力増強剤と硫酸アルミニウムを併用する白板紙の抄造方法であって、高温抄紙時においても、層間強度に優れた白板紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、アニオン夾雑物を封鎖することに着目し、紙力増強剤等の薬品の定着性を向上させる方法について検討し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)原料パルプに古紙パルプ100%を用いて、3層以上の多層からなる白板紙の製造方法であって、マシンチェスト温度が40℃以上、パルプ濃度2.5%以上で硫酸アルミニウムと紙力増強剤としてカチオン量がアニオン量に対して1.5倍以上の両性ポリアクリルアミドをマシンチェスト又はその前の同じ場所で添加する白板紙の製造方法。
(2)前記多層のうちの中層用古紙パルプ100%をマシンチェストで、温度40℃以上、パルプ濃度2.5%で、硫酸アルミニウムを0.2質量%以上と前記カチオン量がアニオン量に対して1.5倍以上の両性ポリアクリルアミドを0.8質量%以上で同時に添加する(1)記載の白板紙の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、古紙100%原料を用いて、白板紙を製造する際に、抄紙温度の影響を考えることなく、常に高い層間強度をもった白板紙を得ることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
古紙100%原料では、アニオン夾雑物が多くなる。また、pHが中性域であり、抄紙温度が高くなると、硫酸アルミニウムの構造が変化し、カチオン電荷が不活性化しやすくなる。原料中のアニオン夾雑物が多くなること、また硫酸アルミニウムのカチオン電荷が不活性化することにより、紙力増強剤の定着不良をもたらす。これらのことから、アニオン夾雑物増加時、高温抄紙時には層間強度の低下が起きやすい。本発明によれば、硫酸アルミニウムの添加量、また硫酸アルミニウムと紙力増強剤の添加場所の最適化により、抄紙温度が40℃以上の場合においても、層間強度に優れた白板紙を得ることができる。
【0015】
古紙100%原料としては、新聞古紙、印刷古紙、ダンボール古紙、包装用古紙、オフィス古紙等の古紙を原料とするパルプが挙げられる。これらの古紙パルプは単独、または2種類以上混合して使用してもよい。抄紙系内においては、アニオン夾雑物が存在する。パルプ中のアニオン夾雑物とは、無機物としては硫酸イオン、塩素イオン等が挙げられ、有機物としては樹脂酸、リグニン類、脂肪酸、消泡剤、界面活性剤、またこれらのコロイド状物質等が挙げられる。また、アニオン夾雑物には、前記無機物または有機物のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの塩類も含まれる。これらのものは、抄紙の際に使用されている薬品などに含まれており、そのため一度抄紙された古紙パルプにおけるアニオン夾雑物は、化学パルプなどに比べ多くなる。アニオン夾雑物が増加することで、通常そのままでは紙力増強剤がアニオン夾雑物に阻害されて、パルプ繊維への定着が困難となる。
【0016】
白板紙では層により、古紙パルプを使い分けることが行われ、中層には漂白処理や分散処理の行われないパルプが使用されるため、特にアニオン夾雑物を多く含有する。温度が40℃以上になると、パルプスラリー中には更にアニオン夾雑物が増加する。
【0017】
硫酸アルミニウムの活性状態に関し、pHが中性域にある場合には、形態変化(Al3++OH⇒Al(OH)2++OH⇒Al(OH)+OH⇒Al(OH))を起こし、カチオン性が低下(不活性化)し、硫酸アルミニウムを介在させたイオン的な相互作用が十分に働かず、一般的に薬品歩留まりが低下し、薬品添加の効果は酸性系に比べ低いレベルにある(アルミニウムイオンのカチオン性は、Al3+、Al(OH)2+、Al(OH)、Al(OH)の順に低くなっていく。)。また、水温が上昇すると、アルミニウムイオンの形態変化が進行し、カチオン性の低下が進行しやすくなるため、さらに硫酸アルミニウムを介した薬品の定着不良が起こる。そのため、中性領域で且つ温度が高い場合に、紙力増強剤の効果が十分でなく、紙力が低下すると考えられる。
【0018】
本発明では、アニオン夾雑物を封鎖するのに十分な量の硫酸アルミニウムを添加するとともに、硫酸アルミニウムが形態変化を起こし、カチオン性が失活する前に紙力増強剤を添加することにより、高温抄紙時においても、高い層間強度を確保することが可能になる。
【0019】
硫酸アルミニウムのカチオン性が失活する前に、紙力増強剤を添加する方法として、硫酸アルミニウムをマシンチェストへ、紙力増強剤を種箱へそれぞれ個別に添加していることに注目した。硫酸アルミニウムと紙力増強剤を個別に添加していると、互いが接触するまでに時間差が生じている。その時間差により、硫酸アルミニウムは失活後に紙力増強剤と接触しているため、定着効果が低下している。その時間差をなくすために、紙力増強剤の添加場所をマシンチェスト又はその前へ変更し、硫酸アルミニウムと同時に添加する。
【0020】
硫酸アルミニウムの添加量は、表層、表下層、裏層でのサイズ剤の定着性に寄与する分も合わせて、全層で古紙100%原料に1.0質量%以上添加することが好ましい。1.0質量%以上添加することにより抄紙温度の上昇、pHが中性域になることにより失活したカチオン電荷量を補うことが出来る。全層で2.0質量%を超えての添加はpHの低下を引き起こし、紙力増強剤の定着性に影響を及ぼすため好ましくない。
中層(1層以上)への添加量は、サイズ剤の定着性を考慮する必要がないため、紙力増強剤の定着効果を向上するために0.2質量%以上が好ましい。
【0021】
本願ではマシンチェストへ硫酸アルミニウムと紙力増強剤を同時に添加することが好ましい。同時に添加することにより、硫酸アルミニウムが失活する前に紙力増強剤を定着させることが可能になった。その際、紙料濃度が2.5%以上にすることが好ましい。パルプ濃度が2.5%未満では古紙パルプに接触する頻度が少なく、また5%を越えるパルプ濃度では攪拌が不十分となり、それぞれ定着効果が不十分となる。
また、本発明はアニオン夾雑物の溶出が増大する40℃以上のときに効果を発揮する。
【0022】
更に、紙力増強剤添加位置から、紙料が抄紙機に到達するまでにポンプ、スクリーンの装置を通過し、抄紙機に到達するまでの時間は15分以上であるときに紙力増強剤の定着性が向上する。硫酸アルミニウムと紙力増強剤添加後、抄紙機へ到達するまでの時間が15分以上であることにより、硫酸アルミニウムと紙力増強剤の接触時間が十分であること、且つポンプまたはスクリーンを通過することにより、攪拌が十分になると考えられる。
【0023】
原料の調成工程は、ミキシングチェストと、マシンチェストと、種箱と、スクリーンとを含んで構成される。
まず、古紙パルプの製紙原料と白水等を混合し、リファイナー等で叩解してパルプを溶解させる。この得られたパルプスラリーは順次ミキシングチェスト、マシンチェストへ送られ、次に種箱へ送られる。次に、このパルプスラリーはスクリーンを通り、抄紙機に供給される。
【0024】
本発明では、濃度2.5%以上のパルプスラリーに、硫酸アルミニウムとともに紙力増強剤としてカチオン量がアニオン量に対して1.5倍以上5倍以下の両性ポリアクリルアミド系紙力増強剤を、0.6〜1.0質量%となるように同時に添加する。全層で1.0質量%を越えて添加しても効果が頭打ちになり経済的でない。
しかし、アニオン夾雑物の多い中層(1層以上)へは0.8質量%以上添加することが好ましい。
【0025】
両性ポリアクリルアミドはカチオンモノマー、アニオンモノマーをアクリルアミドと重合したものであり、特徴として分子構造、分子量をコントロールできることがある。また両性ポリアクリルアミドにおいて紙力向上に寄与する部分は、高分子量域であるが、製造段階において低分子量域を減らすことで紙力を効率的に向上させることができる。低分子量域の両性ポリアクリルアミドは定着不良を起こすため、紙力向上への寄与は小さいためである。また、両性ポリアクリルアミドのカチオン量をアニオン量対比1.5倍以上にすることで、従来よりもパルプ繊維への吸着性を向上させることが可能となる。また、5倍を越えたものになるとパルプ繊維の過度の凝集を誘発し、地合の悪化を起こす恐れがある。
【0026】
紙料中には、必要に応じて、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の濾水性向上剤、内添サイズ剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤を適宜添加できる。また、白色度や不透明度などを向上させる目的で、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン等を添加してもよい。
【0027】
本発明の白板紙は3層以上の多層構造であり、多層抄きができる抄紙機であれば制限はなく、長網式抄紙機、短網式抄紙機、円網式抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマー等の抄紙機が使用できる。
【0028】
また、本発明では、ロールサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、プレメタリングサイズプレスコーター、シムサイザーを使用して、澱粉などの天然接着剤やポリビニルアルコール、ポリアリルアミド、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリル樹脂などの合成接着剤を使用し、印刷適性を付与するために、顔料と接着剤を主成分とする塗工層を設けることが可能である。
【0029】
また、塗工層には、必要に応じて、染料や有色顔料、蛍光染料、増粘保水剤、酸化防止剤、老化防止剤、導電誘電剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、pH調整剤、離型剤、耐水化剤、紙力増強剤、外添サイズ剤、撥水剤等の各種助剤を適宜配合することができる。
【0030】
その塗工には一般の塗被紙製造分野で使用される塗工装置が使用でき、例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、プレーンロッドコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、ダイスロットコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールサイズプレスコーター等の塗工装置が、オンマシンあるいはオフマシンで使用できる。
塗工量としては、片面当り乾燥質量で1〜25g/m、より好ましくは3〜15g/mの範囲である。所望する白色ムラの抑制等を考慮し、各層の塗工量を配分すればよい。因みに、1g/m未満では塗工の安定性や原紙被覆性面で不十分であり、25g/mを超えると塗工層の割れを生じて起す虞がある。
【0031】
このようにして得られた白板紙は、通常カレンダーに通紙して加圧平滑化処理が施された後、巻取製品として仕上げられる。この場合のカレンダー装置についても特に限定されるものではなく、グロスあるいはマットカレンダーとして、例えばスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトコンパクトカレンダー等の金属ロールと弾性ロールより構成される各種カレンダーが、オンマシンまたはオフマシン仕様で、任意に選択、使用される。
【実施例】
【0032】
次に、実施例および比較例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。これから示す白板紙の各層の原料および薬品配合および付量、層間強度の測定方法は下記の通りであり、測定値は表1に示す。
(層間強度)
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法 No.18−1 紙及び板紙−内部結合強さ
試験方法−第一部:Z軸方向引っ張り試験に準拠して測定した。
【0033】
<実施例1>
表層(1層目)
付量 70.0g/m
古紙パルプ100%(ケント古紙および裁落古紙を混合し,漂白処理したものを使用)
フリーネス260mL
紙力増強剤:両性ポリアクリルアミド系(PS−1237B:荒川化学製)0.8%
硫酸アルミニウム3.5%
サイズ剤(AL−1330:星光PMC製)2.3%
歩留まり剤なし
硫酸アルミニウム添加場所 マシンチェスト
PS−1237B添加場所 マシンチェスト
表下層(2層目)
付量 41.0g/m
古紙パルプ100%(雑誌古紙とPP古紙を混合したものを使用)
フリーネス400mL
紙力増強剤:両性ポリアクリルアミド系(PS−1237B:荒川化学製)0.16%
硫酸アルミニウム2.2%
サイズ剤(AL−1330:星光PMC製)1.8%
歩留まり剤(NR−12MLS:ハイモ製)0.028%
硫酸アルミニウム添加場所:マシンチェスト
PS−1237B添加場所:マシンチェスト
中層(3〜6層目)
付量 304.0g/m
古紙パルプ100%(雑誌古紙を使用)
フリーネス400mL
紙力増強剤:両性ポリアクリルアミド系(PS−1237B:荒川化学製)0.8%
硫酸アルミニウム0.27%
サイズ剤なし
歩留まり剤(NR−12MLS:ハイモ製)0.028%
硫酸アルミニウム添加場所 マシンチェスト
PS−1237B添加場所 マシンチェスト
裏層(7層目)
付量 35.0g/m
古紙パルプ100%(雑誌古紙を使用)
フリーネス250mL
紙力増強剤:両性ポリアクリルアミド系(PS−1237B:荒川化学製)0.25%
硫酸アルミニウム1.5%
サイズ剤(AL−1330:星光PMC製)0.55%
歩留まり剤(NR−12MLS:ハイモ製)0.028%
硫酸アルミニウム添加場所 マシンチェスト
PS−1237B添加場所 マシンチェスト
なお、1〜7層目に添加しているPS−1237Bのカチオン量はアニオン量対比1.5倍である。
以上の処方にて、マシンチェスト温度45℃であり、坪量450g/mの白板紙を抄造した結果、層間強度は488kPaであった。
【0034】
<実施例2>
中層のPS−1237Bの添加量を1.1%、また硫酸アルミニウムを0.81%にした以外は、実施例1と同様にして抄造した。その時の層間強度は544kPaであった。
【0035】
<実施例3>
中層の硫酸アルミニウムの添加量を0.54%にした以外は、実施例1と同様にして抄造した。その時の層間強度は508kPaであった。
【0036】
<実施例4>
中層のポリアクリルアミド系紙力増強剤をPS−1237へ変更し、添加量を0.8%にした以外は、実施例1と同様にして抄造した。PS−1237のカチオン量はアニオン量対比5倍である。その時の層間強度は480kPaであった。
【0037】
<実施例5>
坪量を400g/m、中層のPS−1237Bの添加量を0.8%、硫酸アルミニウムの添加量を0.27%にした以外は、実施例1と同様にして抄造した。その時の層間強度は490kPaであった。
【0038】
<実施例6>
中層の硫酸アルミニウムの添加量を0.14%にした以外は、実施例1と同様にして抄造した。その時の層間強度は462kPaであった。
【0039】
<比較例1>
中層のPS−1237Bが無添加であり、また硫酸アルミニウムの添加場所がマシンチェスト、紙力増強剤の添加場所が種箱であること以外は、実施例1と同様にして抄造した。その時の層間強度は402kPaであった。
【0040】
<比較例2>
中層のDH−4182はカチオン性ポリアクリルアミド系紙力増強剤であり、添加量が0.8%、また硫酸アルミニウムの添加場所がマシンチェスト、紙力増強剤の添加場所が種箱であること以外は、実施例1と同様にして抄造した。その時の層間強度は430kPaであった。
【0041】
<比較例3>
中層のDS−4722はカチオン量がアニオン量対比1.0であり、且つ添加量が0.5%、また硫酸アルミニウムの添加場所がマシンチェスト、紙力増強剤の添加場所が種箱であること以外は、実施例1と同様にして抄造した。その時の層間強度は413kPaであった。
【0042】
<比較例4>
中層のDS−4722はカチオン量がアニオン量対比1.0であり、且つ添加量が1.0%、また硫酸アルミニウムの添加場所がマシンチェスト、紙力増強剤の添加場所が種箱であること以外は、実施例1と同様にして抄造した。その時の層間強度は437kPaであった。
【0043】
<比較例5>
中層の硫酸アルミニウムの添加量が0.14%であり,また硫酸アルミニウムの添加場所がマシンチェスト、紙力増強剤の添加場所が種箱であること以外は、実施例1と同様にして抄造した。その時の層間強度は405kPaであった。
【0044】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料パルプに古紙パルプ100%を用いて、3層以上の多層からなる白板紙の製造方法であって、マシンチェスト温度が40℃以上、パルプ濃度2.5%以上で硫酸アルミニウムと紙力増強剤としてカチオン量がアニオン量に対して1.5倍以上の両性ポリアクリルアミドをマシンチェスト又はその前の同じ場所で添加することを特徴とする白板紙の製造方法。
【請求項2】
前記多層のうちの中層用古紙パルプ100%をマシンチェストで、温度40℃以上、パルプ濃度2.5%で、硫酸アルミニウムを0.2質量%以上と前記カチオン量がアニオン量に対して1.5倍以上の両性ポリアクリルアミドを0.8質量%以上で同時に添加することを特徴とする請求項1記載の白板紙の製造方法。

【公開番号】特開2010−285696(P2010−285696A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137787(P2009−137787)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】