説明

白蟻類防除組成物及び防除方法

【課題】 数多くの個体により侵襲を行う害虫の防除においては、加害を避ける意味で、殺虫のみならず、害虫の侵入、移動を防ぐことが重要な場合がある。即ち、最終的な直接殺虫力の強さだけではなく、防御的利用を行った場合において、保護対象物又は周辺構造物への加害に対する抑制力の高い殺虫剤組成物又は白蟻類防除組成物が必要である。
【解決手段】 α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トルニトリル 4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾン及びピレスロイド系化合物から選択される1又は2以上の化合物を有効成分として含有することを特徴とする殺虫剤組成物又は白蟻類防除組成物及び使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はα−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トルニトリル 4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾン及びピレスロイド系化合物を有効成分として含有する殺虫剤組成物又は白蟻類防除組成物及びその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の殺虫剤組成物又は白蟻類防除組成物の一方の有効成分であるα−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トルニトリル 4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾン(化学名、以下、化合物Aという)は公知化合物であり、殺虫活性等を有することが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。また、シロアリ駆除に適していることも知られている(例えば、特許文献2を参照。)。また、化合物Aを用いたシロアリ防除方法も知られている(例えば、特許文献3を参照。)。
化合物Aと共に有効成分として用いられるピレスロイド系化合物は文献記載の公知化合物である(例えば、非特許文献1及び特許文献4を参照。)。その一部の化合物は既に防蟻剤の有効成分として用いられている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−4958号公報、表3化合物一覧表番号261。
【特許文献2】特開2001−72516号公報、デリミタ0011化合物番号44、実施例等。
【特許文献3】特開2004−285061号公報。
【特許文献4】特開平7−285813号公報。
【非特許文献1】ザ・ペスティサイドマニュアル第13版(The Pesticide Manual thirteenth Edition 2003)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
白蟻等の防除には大きく分けて、木部等に薬液を塗布して白蟻を防除する木部塗布処理及び床下等の土壌に薬液を散布して防除する土壌処理の2種類があり、既存の住宅等では床下の木部等に塗布する処理方法は困難な場合が多く、土壌処理が多用されているが、白蟻が薬剤処理層を貫通して加害する場合が多く、直接的な殺蟻力及び薬剤処理層貫通阻止力を兼ね備えた白蟻類防除剤が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は家屋、家具類等の木材類を加害する白蟻類に対して顕著な殺蟻効果及び薬剤処理層貫通阻止効果を有する新規な白蟻類防除組成物を創出すべく鋭意研究を重ねた結果、α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トルニトリル 4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾン(化学名、化合物A)とピレスロイド系化合物を組み合わせることにより、それぞれ単独で使用したときの効果からは予想できない顕著な効果を奏することを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0006】
即ち、本発明は、
[1]α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トルニトリル 4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾン及びフルバリネートを除くピレスロイド系化合物を有効成分として含有することを特徴とする殺虫剤組成物、又は、
[2]α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トルニトリル 4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾン及びピレスロイド系化合物を有効成分として含有することを特徴とする白蟻類防除組成物及びその使用方法に関するものである。
【0007】
ピレスロイド系化合物は、単独で用いても良く、2種以上を組み合わせ用いても良い。ピレスロイド系化合物は限定されないが、殺虫剤組成物の場合のピレスロイド系化合物はフルバリネートは除くものである。白蟻類防除組成物の場合のピレスロイド系化合物には、フルバリネートも含まれるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の殺虫剤組成物又は白蟻類防除組成物は、化合物A及びピレスロイド系化合物から選択される化合物の、各々の化合物単独では十分な効果が得られなかった薬量でも、殺虫性においても、貫通阻止性においても顕著な効果を発揮し、薬剤抵抗性等を示すシロアリ類に対しても顕著な防除効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に用いられる化合物Aは、特開平5−4958号公報記載の方法に準じて製造することができる。
【0010】
本発明の殺虫剤組成物又は白蟻類防除組成物は、化合物Aとピレスロイド系化合物を組み合わせて使用することにより本発明の効果を奏するものである。本発明で使用できるピレスロイド系化合物としては、例えば、アクリナトリン(acrinathrin)、アレスリン(allethrin)、バルトリン(barthrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、シクレトリン(cyclethrin)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、β−シフルトリン(beta-cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、γ−シハロトリン(gamma-cyhalothrin)、λ−シハロトリン(lambda-cyhalothrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、α−シペルメトリン(alpha-cypermethrin)、シフェノトリン(cyphenothrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、ジメフルトリン(dimefluthrin)、ジメトリン(dimethrin)、エムペトリン(empenthrin)、フェンフルトリン(fenfluthrin)、
【0011】
フェンピリトリン(fenpirithrin)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、フタルスリン(phthalthrin、d-T80-フタルスリン等を含む)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルバリネート(fluvalinate)、タウ−フルバリネート(tau-fluvalinate)、フレトリン(furethrin)、イミプロトリン(imiprothrin)、メトフルトリン(metofluthrin)、ペルメトリン(permethrin)、バイオペルメトリン(biopermethrin)、フェノトリン(phenothrin)、プラレトリン(prallethrin)、プロフルトリン(profluthrin)、ピレトリン(pyrethrin)、ピレスメトリン(pyresmethrin)、レスメトリン(resmethrin)、シスメトリン(cismethrin)、テフルトリン(tefluthrin)、テラレトリン(terallethrin)、テトラメトリン(tetramethrin)、トラロメトリン(tralomethrin)トランスフルトリン(transfluthrin)、エトフェンプロックス(etofenprox)、フルフェンプロックス(flufenprox)、ハルフェンプロックス(halfenprox)、シラフルオフェン(silafluofen)等の群から選択される1種又は2種以上のピレスロイド系化合物を例示することができるが、本発明はこれらのピレスロイド系化合物に限定されるものではない。これらの化合物には、光学異性体、立体異性体等が存在する場合があるが、本発明は、これら異性体の単独又は2以上の異性体を任意の割合で含む混合物をも含むものである。例えば、アレスリンには異性体単独又は2以上の異性体の任意の混合物も含まれ得るものであり、具体的にはdl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニルdl−シス,トランス−クリサンセメート、dl・d−T80−アレスリン;3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル d−シス/トランス−クリサンテマート、dl・d−T−アレスリン;3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル・d−トランス−クリサンテマート(バイオアレスリン)、d・d−T−アレスリン;d−3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル d−トランス−クリサンテマート等が例示できる。フタルスリン、プラレトリン、フェノトリン、シフェノトリン、レスメトリン、フラメトリン等も同様である。
【0012】
好ましくは、アレスリン、エトフェンプロックス、シクロプロトリン、シハロトリン、シフルトリン、シペルメトリン、ピレトリン、トラロメトリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、フルシトリネート、ペルメトリン、ビフェントリン、シラフルオルフェン、レスメトリン、テフルトリン、アクリナトリン、プラレトリン、シスメトリン、d−フェノトリン、デルタメトリン、テトラメトリン、フルバリネート、フタルスリン、シフェノトリン等である。より好ましくは、アレスリン、ビフェントリン、フルバリネート、フタルスリン、プラレトリン又はレスメトリンである。更に好ましくは、アレスリン、ビフェントリン又はフタルスリンである。これらのピレスロイド系化合物は、公知の方法により、例えば、ザ・ペスティサイドマニュアル第13版に提示された製造関連文献等に準じて製造できるか又は市販品として入手可能である。
【0013】
本発明の殺虫剤組成物又は白蟻類防除組成物は化合物Aを1重量部に対してピレスロイド系化合物0.0001〜10重量部の範囲で配合すれば良い。好ましくは、0.001〜1.0重量部の範囲であれば良く、より好ましくは、0.005〜0.2重量部の範囲で配合するのが良い。
【0014】
本発明の殺虫剤組成物としての態様では、水稲、野菜、果樹、その他の花卉等を加害する各種農林、園芸、貯穀害虫や衛生害虫等の害虫防除にも用いることができる。例えば半翅目(Hemiptera)、鱗翅目(Lepidoptera)、甲虫目(Coleoptera)、膜翅目(Hymenoptera)、直翅目(Orthoptera)害虫等が挙げられ、特に鱗翅目及び甲虫目害虫に対し高い活性を有しており好適に用いられる。
【0015】
白蟻類防除組成物としての態様では、例えばミゾガシラシロアリ科(Rhinotermitidae) のイエシロアリ(Coptotermes formosanus Shiraki)、ヤマトシロアリ(Reticulitermessperatus (Kolbe) )、北アメリカに生息するReticulitermes hesperus 、Reticulitermes tibialis 、Reticulitermes flavipes 等、地中海沿岸に生息するReticulitermes lucifugus、Reticulitermes santonensis等やシロアリ科(termitidae)のタイワンシロアリ(Odontotermes formosanus (Shiraki) )、レイビシロアリ科(Kalotermitidae)のアメリカカンザイシロアリ(Incisitermes minor (Hagen))、西インドカンザイシロアリ(Cryptotermes brevis)、ハワイシロアリ(Incisitermes immigrans)、ダイコクシロアリ(Cryptotermes domesticus (Haviland))、カタンシロアリ(Glyptotermes fuscus)、サツマシロアリ(Glyptotermes satsumensis)及びオオシロアリ科(Termopsidae) のHodotermopsis japonica (Holmgren)、オオシロアリ(Hodotermopsis sjostedti)、アメリカオオシロアリ(Zootermopsis angusticollis)、ネバダオオシロアリ(Zootermopsis nevadensis)等の家屋、建材類、家具類、皮革類、繊維類、ビニール加工品、電線・ケーブル等に加害する全てのシロアリ類に対して低薬量で顕著な殺蟻効果及び薬剤処理層貫通阻止効果を有するものである。
また、本発明の殺虫剤組成物又は白蟻類防除組成物は人畜毒性が低く、環境への影響も少ないため場所を選ばず使用できるものである。
【0016】
本発明の殺虫剤組成物又は白蟻類防除組成物を効率的に使用するには、一般的に通常使用される製剤処方に従って適当な固体担体及び/又は液体担体等及び必要に応じて補助剤等と共に適当な割合に配合して溶解、懸濁、混合、含浸、吸着若しくは付着させ、使用目的に応じて適当な剤形、例えば油剤、乳剤、液剤、粉剤、粒剤、水和剤、エアゾール剤、燻煙剤又はフロアブル剤等に調製して使用すれば良い。米糠等の誘引物質を混ぜて、ベイト剤やトラップ等として用いることもできる。
【0017】
本発明で使用する固体担体としては、例えばカオリン、ベントナイト、酸性白土等の粘土類、タルク、ピロフィライト等のタルク類、珪藻土、珪砂、雲母、合成珪酸塩、合成高分散珪酸等のシリカ類、軽石、砂等の無機鉱物質粉末を例示することができ、液体担体としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン、セロソルブ等のエーテル類、灯油、ケロシン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、シクロヘキサノン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を例示することができ、これらの固体担体又は液体担体は単独で使用しても良く、混合して使用することもできる。
【0018】
本発明において補助剤として噴射剤、界面活性剤、固着剤、分散剤、増粘剤及び結合剤等を使用することができ、噴射剤としては、例えば液化石油ガス、ジメチルエーテル、フルオロカーボン等を使用することができ、界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、アルキルアリルソルビタンモノラウレート、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩高級アルコール硫酸エステル塩等を例示することができ、これらの界面活性剤は単独で又は混合して使用することができる。又、固着剤、分散剤、増粘剤及び結合剤としては、例えばカゼイン、ゼラチン、デンプン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、寒天、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アラビアゴム、キサンタンガム等を必要に応じて使用することができる。
【0019】
本発明の殺虫剤組成物又は白蟻類防除組成物は、更に必要に応じてN−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ(2,2,2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(サイネピリン500)、N−オクチルビシクロヘプテンカルボキシイミド、イソボルニルチオシアナアセテート、ブチルカービトル 6−プロピル−ピペロニル エーテル(ピペロニルブトキサイド)、オクタクロロジプロピルエーテル(S−421)等の共力剤を含むこともできる。本発明の白蟻類防除組成物は白蟻等から樹木、塀、枕木等の木質物、社寺、家屋、納屋、工場等の建築物を保護するために周辺土壌、床下土壌等の表面又は土中に処理されるのみならず、合板、家具等の製材品、パーティクルボード、ハーフボード等の木質製品や被覆電線、シート等のビニール製品等に使用することができる。本発明は前記の態様のみならず白蟻類の発生が予測される箇所に予防的に使用する態様も包含されるものである。本発明の白蟻類防除組成物は床下土壌に処理する場合、1平方メートル当たり有効成分量として0.3g〜30.0gの範囲で処理すれば良い。また木部に処理する場合、1平方メートル当たり有効成分量として0.025g〜25.0gの範囲で処理すればよい。
【0020】
本発明の殺虫剤組成物又は白蟻類防除組成物には白蟻防除有効成分として、化合物Aとピレスロイド系化合物に加えて、使用目的・場所等に応じて、有機リン系、カルバメート系、ネオニコチノイド系、フェニルピラゾール(GABA受容体抑制作用剤)系、ベンゾイルフェニルウレア系、アリールピロール化合物、マクロライド系化合物、その他の殺虫活性を有する薬剤を配合することもできる。そのような薬剤としては、例えば、有機燐系としてはホキシム、ピリダフェンチオン、フェニトロチオン、テトラクロルビンフォス、ジクロフェンチオン、プロペタンフォス、マラチオン等が、カルバメート系としてはカルバリル、フェノカルブ、プロポクスル、キシリルカルブ、メトルカルブ等が、ネオニコチノイド系としてはイミダクロプリド、アセタミプリド、ニテンピラム、ニチアジン、チアクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、ジノテフラン等が、ベンゾイルフェニルウレア系としてはビストリフルロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、フルフェノクスロン、ジアフェンチウロン、ノバルロン、トリフルムロン等が、フェニルピラゾール系としてはフィプロニル、エチプロール、アセトプロール、ピリプロール、ピラフルプロール、バニリプロール等が、アリールピロール化合物としてはクロルフェナピル、マクロライド系化合物としてはアバメクチン、エマメクチン、スピノサッド等が挙げられる。その他の殺虫活性を有する化合物としては、例えば、ヒドラメチルノン、エトキサゾール、ピリダベン、テブフェノジド等の有効成分化合物を使用することもできる。
【実施例】
【0021】
以下に本発明の代表的な実施例及び試験例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中、部とあるのは重量部を示す。又、試験例の試験方法は(社)日本木材保存協会規格第13号1987「土壌処理用防蟻剤の防蟻効力試験方法及び性能基準(I)」に準じて行った。
【0022】
実施例1 水76.35部にジオクチルスルホサクシネートソーダ(ネオコールYSK、第一工業製薬製)1.00部、ポリオキシエチレン アリルフェニルエーテルホスフェートアミン塩(ニューカルゲンFS−3、竹本油脂製)0.75部、プロピレングリコール10.00部、消泡剤(シリコンKM−73、信越化学工業製)0.50部及び防腐剤(プロキセルGXL、ゼネカ製)0.10部を加え、攪拌機(ホモミキサー、特殊機化工業製)により混合溶解し、次いで化合物Aを8.00部、ビフェントリンを2.00部加えて分散後、湿式粉砕機(ダイノーミルKDL型、バッコーフェン社製)により微粉砕を行い、平均粒子径が2.0μmの粉砕物を得る。この粉砕物にキサンタンガム(ロドポール23、ローヌプーラン社製)0.30部、精製ベントナイト(クニピアG、クニミネ工業製)1.00部を加えて均一に混合して水性懸濁組成物を得る。
【0023】
実施例2 水60.90部にジオクチルスルホサクシネートソーダ(ネオコールYSK、第一工業製薬製)1.00部、ポリオキシエチレン アリルフェニルエーテルホスフェートアミン塩(ニューカルゲンFS−3、竹本油脂製)0.75部、プロピレングリコール10.00部、消泡剤(シリコンKM−73、信越化学工業製)0.50部及び防腐剤(プロキセルGXL、ゼネカ製)0.10部を加え、攪拌機(ホモミキサー、特殊機化工業製)により混合溶解し、次いで化合物Aを25.00部、トラロメトリンを1.00部加えて分散後、湿式粉砕機(ダイノーミルKDL型、バッコーフェン社製)により微粉砕を行い、平均粒子径が1.0μmの粉砕物を得る。この粉砕物にキサンタンガム(ロドポール23、ローヌプーラン社製)0.20部、精製ベントナイト(クニピアG、クニミネ工業製)1.00部を加えて均一に混合して、水性懸濁組成物を得る。
【0024】
実施例3 化合物A 10.00部、ペルメトリン 2.00部、ポリオキシエチレン スチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン スチリルフェニルエーテルのホルマリン縮合物、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、キシレンからなる乳化剤(ソルポール3005X、東邦化学工業製)20.00部、N−メチル−2−ピロリドン 20.00部、ジイソプロピルナフタレン(KMC−113、呉羽化学工業製) 48.00部を均一に溶解して乳剤組成物を得る。
【0025】
実施例4 化合物A 0.20部、フェンバレレート 0.05部、3−ヨードプロピニル ブチルカーバメート(IPBC) 0.50部、ジエチレングリコール モノ2−エチルヘキシルエーテル 30部、ナフテン系溶剤(エクソールD110、エクソン製)キシレン 69.25部を均一に溶解させて油溶剤組成物を得る。
【0026】
実施例5 化合物A 5.0部、シペルメトリン 5.0部、ポリオキシエチレン アルキルフェニルエーテル サルフェート(ハイテノールN08、第一工業製薬製)4.0部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物(ラベリンFAN、第一工業製薬製)3.0部、ホワイトカ−ボン(トクシールNP、トクヤマ製)5部、 クレー(KTクレー、トドロキ産業製)78部を均一に混合し、サンプルミル(ホソカワミクロン製)で粉砕して水和剤組成物を得る。
実施例6 化合物A 0.01部、プラレトリン 0.02部、ジエチレングリコール をモノベンジルエーテル 11.97部に溶解し、軽石粒(カガライト2号、カガライト工業製)88.00部に噴霧して粒剤組成物を得る。
【0027】
試験例1 内径約5cm、高さ約12cmのガラス円筒2本を、底面から約2cmの所で内径約1.5cm、長さ約10cmのガラス管(中央部分に長さ5cmで5mmづつの目盛りを付けたもの)で連結した試験系を使用し、一方のガラス円筒に含水率約25%に調整した無処理土壌約60g、他方に濾紙(直径5.5mm)約0.29gを入れガラス管中央透明部に、20メッシュの篩を通過した砂壌土を温度60±2℃で恒量になるまで乾燥した無処理乾燥土壌2.4gと所定濃度の薬液0.45gを加えて十分に混合した後3週間室内に放置した耐候操作をしない供試土壌を1cmの厚さに詰め、ガラス円筒に連結する。無処理土壌を入れたガラス円筒にイエシロアリの職蟻200頭と兵蟻20頭を投入し、試験系を温度28±2℃、湿度70%以上の恒温室に静置する。イエシロアリ投入14日後の穿孔距離(cm)及び食害、殺蟻効果を調査し、効果の判定を下記の基準に従って行った。
【0028】
食害: − 食害無し、
+ 無処理対比10%以下、
++ 無処理対比11〜50%以下、
+++ 無処理対比51%以上、
殺蟻効果: A 死虫率100%、
B 死虫率 80〜99%、
C 死虫率 50〜79%、
D 死虫率 49%以下。
以下結果を第1表に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
試験例2 キャベツの抵抗性コナガ、及びモモアカアブラムシに対する防除効果
カンラン(品種:YR晴徳)を圃場に定植し、定植約1ヵ月後に30株あたりの寄生虫数を調査し、有効濃度に希釈調製した薬液を十分散布する。散布後約1週間後に30株あたりの寄生虫数を調査し、式1にて防除価を算出する。1区2反復で試験する。
[式1]
防除価=100−{(Ta×Cb)/(Tb×Ca)}×100
Ta:処理区の散布後寄生虫数
Tb:処理区の散布前寄生虫数
Ca:無処理区の散布後寄生虫数
Cb:無処理区の散布前寄生虫数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トルニトリル 4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾン及びフルバリネートを除くピレスロイド系化合物を有効成分として含有することを特徴とする殺虫剤組成物。
【請求項2】
α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トルニトリル 4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾン及びピレスロイド系化合物を有効成分として含有することを特徴とする白蟻類防除組成物。
【請求項3】
α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トルニトリル 4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾン1重量部に対してピレスロイド系化合物0.0001〜10重量部である請求項2記載の白蟻類防除組成物。
【請求項4】
ピレスロイド系化合物が、アレスリン、エトフェンプロックス、シクロプロトリン、シハロトリン、シフルトリン、シペルメトリン、ピレトリン、トラロメトリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、フルシトリネート、ペルメトリン、ビフェントリン、シラフルオルフェン、レスメトリン、テフルトリン、アクリナトリン、プラレトリン、シスメトリン、d−フェノトリン、デルタメトリン、テトラメトリン、フルバリネート、フタルスリン、N−(3,4,5,6−テトラヒドロフタリミド)−メチルdl−シス/トランス−クリサンテマート又はシフェノトリンから選択される1又は2以上の化合物である請求項2又は3に記載の白蟻類防除組成物。
【請求項5】
α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トルニトリル 4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾン及びピレスロイド系化合物を有効成分とする白蟻類防除組成物を1m当たり有効成分量として0.3g〜30.0gの割合で土壌処理することを特徴とする白蟻類の防除方法。
【請求項6】
α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トルニトリル 4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾン及びピレスロイド系化合物を有効成分とする白蟻類防除組成物を1m当たり有効成分量として0.025g〜2.50gの割合で木部処理することを特徴とする白蟻類の防除方法。

【公開番号】特開2007−137807(P2007−137807A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332196(P2005−332196)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000232623)日本農薬株式会社 (97)
【Fターム(参考)】