皮下組織部位に減圧を施すマニホールド、システムおよび方法
減圧を骨組織部位などの皮下組織部位に送達するためのシステム、方法、および装置が提供されている。一例では、減圧を皮下組織に与えるマニホルドは、少なくとも1の洗浄管腔および減圧管腔が形成された縦型マニホルド本体を具えている。このマニホルドはさらに、縦型マニホルド本体の第2の組織を向いた面に形成された複数のマニホルド表面機構またはスリットと、第2の組織を向いた面上において縦型マニホルド本体に形成された複数の開口部とを具える。複数の開口部は、減圧管腔とマニホルド表面機構またはスリットを流体的に連結している。マニホルドはさらに、減圧管腔と少なくとも1の洗浄管腔を流体連結するエンドキャップを具える。他のシステム、装置、および方法が示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2009年8月13日出願の米国特許出願第12/540,934号の一部継続出願であり、2007年5月29日出願の米国特許出願第11/807,834号の一部継続出願であり、2007年3月13日出願の米国特許出願第11/724,072号の一部継続出願であり、2006年3月14日出願の米国仮特許出願第60/782,171号の利益を主張するものである。本明細書はさらに、米国特許法第119条(e)項の下で、2008年12月31日出願の米国仮特許出願第61/141,728号の利益を主張するものである。上記のすべての出願は、すべての目的のため参照により本書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
実施例は一般に、組織の成長を促進するシステム、装置および方法に関し、より具体的には、減圧組織治療を骨などの組織部位に適用するシステムに関するものである。
【0003】
減圧治療は、減圧治療がなくては治癒が遅いか治癒しない軟組織の創傷における創傷治癒を促進するためにますます利用されている。一般に、減圧は、開放セル発泡体、または減圧を分配するマニホルドとして機能する他のデバイスを通って創傷部位に適用される。開放セル発泡体は現在の創傷に合うサイズに作られ、創傷と接触するように配置された後、創傷が回復して小さくなるにつれて小さい発泡体の小片と定期的に交換される。組織が発泡体のセル内に成長する量を最低限にするため、開放セル発泡体を頻繁に交換する必要がある場合もある。組織の成長が著しいと、発泡体を除去する際に患者に痛みを与えることがある。
【0004】
減圧治療は、回復していない開放創に適用することができる。ある場合には、回復させる組織は皮下であり、他の場合では、組織は真皮組織内またはその上に位置している。従来、減圧治療は主に軟組織に適用されてきた。減圧治療は、閉鎖した深部組織の創傷によって生じるアクセスの問題点のため、このような創傷の治療には一般に利用されてこなかった。さらに、減圧治療は、主にアクセスの問題のため、骨欠損部の治療または骨の成長の促進に関しては通常は利用されてこなかった。
【発明の概要】
【0005】
減圧治療システムが有する現在の問題点を解決するため、本書に記載の実施例は、減圧を皮下組織部位に適用するシステム、方法および装置に関するものである。装置は、皮下組織部位に配置するために挿入するよう適用されたマニホルドを具える。このマニホルドは、流体をマニホルドの遠位部分に送達するよう機能する少なくとも1の洗浄管腔を具えることがある。マニホルドはさらに、マニホルドの遠位部分に少なくとも1のスリットを具えることがある。マニホルドは、少なくとも1のスリットを介して減圧を皮下組織部位に送達するよう機能する少なくとも1の減圧管腔を具えてもよい。一例では、マニホルドはさらに、少なくとも1の洗浄管腔、少なくとも1の減圧管腔、およびマニホルドの遠位部分における少なくとも1のスリットを流体的に相互接続する管腔間チャネルを具える。
【0006】
一実施例によると、皮下組織部位に減圧を適用するシステムも提供されている。このシステムは、減圧をマニホルドに供給するよう機能する減圧源を具える。マニホルドは、減圧源から皮下組織部位に少なくとも1のスリットを介して供給される減圧を送達するよう機能する、少なくとも1の減圧管腔を具えていてもよい。このシステムは更に、マニホルドと流体連通している送達管と、減圧を少なくとも1の減圧管腔に送達する減圧源とを具えてもよい。送達管はさらに、少なくとも1の洗浄管腔に流体を送達するために設けることもできる。
【0007】
一実施例によると、皮下組織部位に減圧を適用する方法も提供されている。この方法は、マニホルドを皮下組織部位に適用するステップを含んでもよい。この方法はさらに、送達管を介して減圧をマニホルドに供給するステップを含んでもよい。
【0008】
一実施例によると、患者の皮下組織部位に減圧を適用する装置を製造する方法も提供されている。この方法は、患者内に挿入され、皮下組織部位に配置するよう適用されたマニホルドを形成するステップを含んでもよい。一例では、この方法はさらに、減圧をマニホルド内の少なくとも1の減圧管腔に送達し、流体をマニホルド内の少なくとも1の洗浄管腔に送達する送達管を設けるステップを含んでもよい。この例では、方法は、送達管がマニホルドと流体連通するように、送達管をマニホルドに連結するステップを含んでもよい。
【0009】
他の実施例によると、減圧を患者の皮下組織部位に提供するマニホルドは、少なくとも1の洗浄管腔と減圧管腔で形成された縦型マニホルド本体を具える。このマニホルド本体は、第1の面と第2の、組織を向いた面とを有する。マニホルドはさらに、縦型マニホルド本体の第2の組織を向いた面に形成された複数のマニホルド表面機構と、縦型マニホルド本体の第2の組織を向いた面上に形成された複数の開口部とを具える。これらの複数の開口部は、減圧管腔とマニホルド表面機構を流体連結する。マニホルドはさらに、減圧管腔と少なくとも1の洗浄管腔を流体連結するエンドキャップを具える。
【0010】
他の実施例によると、減圧で患者の皮下組織部位を治療するシステムは、減圧源と、マニホルドと、減圧源とマニホルドを連結する減圧送達管とを具える。このマニホルドは、少なくとも1の洗浄管腔と減圧管腔で形成された縦型マニホルド本体を具える。マニホルド本体は、第1の面と、第2の組織を向いた面とを有する。マニホルドはさらに、縦型マニホルド本体の第2の組織を向いた面に形成された複数のマニホルド表面機構と、第2の組織を向いた面上に縦型マニホルド本体に形成された複数の開口部とを具える。これらの複数の開口部は、減圧管腔とマニホルド表面機構を流体連結する。マニホルドはさらに、減圧管腔と少なくとも1の洗浄管腔を流体連結するエンドキャップを具える。
【0011】
他の実施例によると、減圧を患者の皮下組織部位に提供するマニホルドを製造する方法は、少なくとも1の洗浄管腔と減圧管腔で縦型マニホルド本体を形成するステップを含む。このマニホルド本体は、第1の面と、第2の、組織を向いた面を有する。この方法はさらに、縦型マニホルド本体の第2の組織を向いた面に複数のマニホルド表面機構を形成するステップと、第2の組織を向いた面上に縦型マニホルド本体の複数の開口部を形成するステップとを含む。これらの複数の開口部は、減圧管腔とマニホルド表面機構とを流体連結する。この方法はさらに、減圧管腔と少なくとも1の洗浄管腔を流体連結するマニホルド本体にエンドキャップを形成するステップを含む。
【0012】
例示的、非限定的な実施形態によると、減圧を皮下組織部位に適用するシステムは、減圧を供給する減圧源と、流体を供給する流体源と、皮下組織部位に配置するよう適合されたマニホルドとを具える。このマニホルドは複数の第1の導管を具えており、複数の第1の導管はそれぞれ、少なくとも1の第1の開口部と少なくとも1の第2の開口部が形成された壁を有する。複数の第1の導管の少なくとも1本は減圧源と連通しており、少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を皮下組織部位に送達するよう機能する。マニホルドはさらに、複数の第1の導管の各壁の一部によって形成される第2の導管を具えている。第2の導管は、少なくとも1の第2の開口部を介して、複数の第1の導管と流体連通している。このシステムは更に、マニホルドと減圧源に流体連結された送達導管を具えていてもよい。
【0013】
他の例示的、非限定的な実施形態によると、減圧を皮下組織部位に適用するマニホルドは複数の第1の導管を具えており、複数の第1の導管はそれぞれ、少なくとも1の第1の開口部と少なくとも1の第2の開口部とを有する壁を有している。複数の第1の導管の少なくとも1本は、少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を皮下組織部位に送達するよう機能する。複数の第1の導管は、内部空間を形成するように間隔をあけた配置で連結される。マニホルドはさらに、内部空間を具え、複数の第1の導管の各壁の一部によって形成された第2の導管を具える。第2の導管は、少なくとも1の第2の開口部を介して、複数の第1の導管と流体連通している。
【0014】
他の例示的、非限定的な実施形態によると、皮下組織部位に減圧を適用する方法は、マニホルドを設けるステップと、マニホルドを皮下組織部位に適用するステップと、送達導管を介して減圧をマニホルドに供給するステップとを含む。このマニホルドは、複数の第1の導管を具える。複数の第1の導管はそれぞれ、少なくとも1の第1の開口部と少なくとも1の第2の開口部とを有する壁を有している。複数の第1の導管の少なくとも1本は、少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を皮下組織部位に送達するよう機能する。複数の第1の導管は、内部空間を形成するように間隔をあけた配置で連結される。マニホルドはさらに、内部空間を具え、複数の第1の導管の各壁の一部によって形成された第2の導管を具える。この第2の導管は、少なくとも1の第2の開口部を介して複数の第1の導管と流体連通している。
【0015】
他の例示的、非限定的な実施形態によると、減圧を皮下組織に適用する装置を製造する方法は、複数の第1の導管を設けるステップを含む。複数の第1の導管はそれぞれ、少なくとも1の第1の開口部と少なくとも1の第2の開口部を有して形成された壁を有する。複数の第1の導管の少なくとも1本は、少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を皮下組織部位に送達するよう機能する。この方法はさらに、複数の第1の導管を互いに連結して第2の導管を形成するステップを含む。第2の導管は、複数の第1の導管の各壁の一部によって形成され、少なくとも1の第2の開口部を介して複数の第1の導管と流体連通している。
【0016】
他の例示的、非限定的な実施形態によると、1以上の流体を組織部位に送達する医療用マニホルドは、間隔をあけて連結された複数の外部導管を具え、複数の外部導管の間に内部空間を規定する。内部空間は、中央導管を具える。この医療用マニホルドはさらに、複数の外部導管に形成された複数の開口部を具える。
【0017】
他の例示的、非限定的な実施形態によると、医療用マニホルドを製造する方法は、それぞれの第1の導管が他の2の導管と接触している状態の4本の第1の導管を形成するステップと、4本の第1の導管から第2の導管を形成するステップと、コアピンを用いて第1の導管および第2の導管に開口部を設けるステップを含む。
【0018】
実施例の他の特徴および利点は、以下の図面および詳述を参照すると明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1の図面を含む。カラー図面を有する本発明または本出願のコピーは、要求および必要な手数料の支払いに応じてオフィスから提供される。
【図1】図1は、本発明の実施形態による減圧送達装置の透視図を示しており、当該減圧送達装置は柔軟なバリアから延在して複数の流路を作る複数の突起部を有している。
【図2】図2は、図1の減圧送達装置の正面図を示している。
【図3】図3は、図1の減圧送達装置の上面図を示している。
【図4A】図4Aは、図1の減圧送達装置の側面図を示しており、当該減圧送達装置は1本の管腔、すなわち減圧送達管を有している。
【図4B】図4Bは、図1の減圧送達装置の代替的な実施形態の側面図を示しており、当該減圧送達装置は二重の管腔、すなわち減圧送達管を有している。
【図5】図5は、図1の減圧送達装置の拡大透視図を示している。
【図6】図6は、本発明の実施形態による減圧送達装置の透視図を示しており、当該減圧送達装置はスパイン部と一対のウイング部を有する柔軟なバリアに取り付けられる気泡材料を有し、気泡材料は複数の流路を有している。
【図7】図7は、図6の減圧送達装置の正面図を示している。
【図8】図8は、VIII−VIIIで取られた図7の減圧送達装置の側断面図を示している。
【図8A】図8Aは、本発明の実施形態による減圧送達装置の正面断面図を示している。
【図8B】図8Bは、図8Aの減圧送達装置の側面図を示している。
【図9】図9は、患者の骨に減圧組織治療を適用するために使用される本発明の実施形態による減圧送達装置の正面図を示している。
【図10】図10は、本発明の実施形態による減圧送達システムの正面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達装置を組織部位に経皮的に挿入するために使用されるマニホルド送達管を有している。
【図11】図11は、図10のマニホルド送達管の拡大正面図を示しており、当該マニホルド送達管は圧縮位置にある柔軟なバリアまたは気泡材料を有する減圧送達装置を収容している。
【図12】図12は、図11のマニホルド送達管の拡大正面図を示しており、当該マニホルド送達管から押し出された後に拡張位置にある減圧送達装置の柔軟なバリアまたは気泡材料を図示している。
【図13】図13は、本発明の実施形態による減圧送達システムの正面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達装置を組織部位に経皮的に挿入するために用いられるマニホルド送達管を有しており、マニホルド送達管の外側だが圧縮位置にある不透過膜により拘束された減圧送達装置を示している。
【図14】図14は、図13の減圧送達システムの正面図を示しており、マニホルド送達管の外側だが弛緩位置にある不透過膜により拘束された減圧送達装置を示している。
【図15】図15は、図13の減圧送達システムの正面図を示しており、マニホルド送達管の外側だが拡張位置にある不透過膜により拘束された減圧送達装置を示している。
【図15A】図15Aは、図13の減圧送達システムの正面図を示しており、マニホルド送達管の外側だが拡張位置にある不透過膜によって囲まれた減圧送達装置を示している。
【図16】図16は、本発明の実施形態による減圧送達システムの正面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達装置を組織部位に経皮的に挿入するために用いられるマニホルド送達管を有し、マニホルド送達管の外側だが接着シールを有する不透過膜により拘束された減圧送達装置を示している。
【図16A】図16Aは、本発明の実施形態による減圧送達システムの正面図を示している。
【図17】図17は、本発明の実施形態による減圧送達システムの正面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達装置を組織部位に経皮的に挿入するために用いられるマニホルド送達管を有している。
【図17A】図17Aは、本発明の実施形態による減圧送達システムの正面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達装置を組織部位に設置された不透過膜に経皮的に送達するために用いられるマニホルド送達管を有している。
【図18】図18は、本発明の実施形態による減圧組織治療を組織部位に施す方法のフローチャートを示している。
【図19】図19は、本発明の実施形態による減圧組織治療を組織部位に施す方法のフローチャートを示している。
【図20】図20は、本発明の実施形態による減圧組織治療を組織部位に施す方法のフローチャートを示している。
【図21】図21は、本発明の実施形態による減圧組織治療を組織部位に施す方法のフローチャートを示している。
【図22】図22は、本発明の実施形態による減圧送達装置の断面正面図を示しており、当該減圧送達装置は人工股関節を囲んでいる骨の領域に減圧を適用する複数の流路を有する人工股関節を具えている。
【図23】図23は、人工股関節を囲んでいる骨の領域に流体を送達する第2の複数の流路を有する、図22の人工股関節の断面正面図を示している。
【図24】図24は、本発明の実施形態による減圧組織治療を用いて患者の関節を治療する方法のフローチャートを示している。
【図25】図25は、本発明の実施形態による減圧送達装置の断面正面図を示しており、当該減圧送達装置は、整形外科用の固定デバイスに隣接する骨の領域に減圧を適用する複数の流路を有する整形外科用の固定デバイスを具えている。
【図26】図26は、整形外科用の固定デバイスに隣接する骨の領域に流体を送達する第2の複数の流路を有する、図25の整形外科用の固定デバイスの断面正面図を示している。
【図27】図27は、本発明の実施形態による減圧組織治療を用いて骨の骨欠損部を治療する方法のフローチャートを示している。
【図28】図28は、本発明の実施形態による減圧組織治療を組織部位に施す方法のフローチャートを示している。
【図29】図29は、本発明の実施形態による減圧組織治療を組織部位に施す方法のフローチャートを示している。
【図30】図30は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図31】図31は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図32】図32は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図33】図33は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図34】図34は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図35】図35は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図36】図36は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図37】図37は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図38】図38は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図39】図39は、本発明の実施形態による減圧送達システムの透視図および上部断面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達管に一体的に接続された主要なマニホルドを有している。
【図40】図40は、本発明の実施形態による減圧送達システムの透視図および上部断面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達管に一体的に接続された主要なマニホルドを有している。
【図41】図41は、実施例によるマニホルドの概略的透視図である。
【図42】図42は、図2のマニホルドの概略的な縦断面図である。
【図43】図43は、他の実施例によるマニホルドの概略的な横断面図である。
【図44A】図44Aは、実施例によるマニホルドの概略的な縦断面図である。
【図44B】図44Bは、図44Aのマニホルドの概略的な横断面図である。
【図45】図45は、実施例によるマニホルドの概略断面図である。
【図46】図46は、実施例によるマニホルドの概略断面図である。
【図47】図47は、骨の組織部位に第2のマニホルドを適用している、図30乃至図40の主要なマニホルドの透視図を示している。
【図48】図48は、本発明の実施形態による第2の導管に流体連結されたバルブを有する減圧送達システムの概略図を示している。
【図49】図49は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略平面図である。
【図50】図50は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略側面図である。
【図51】図51は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略平面図である。
【図52】図52は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略透視図である。
【図53】図53は、実施例によるマニホルドの概略断面図である。
【図54】図54は、実施例によるマニホルドの概略断面図である。
【図55】図55は、実施例による遷移領域の概略断面図である。
【図56】図56は、実施例による送達管の概略断面図である。
【図57】図57は、実施例による減圧を皮下組織部位鋳適用する装置の概略平面図である。
【図58】図58は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略透視図である。
【図59】図59は、実施例によるマニホルドの概略断面図である。
【図60】図60は、実施例による遷移領域の概略断面図である。
【図61】図61は、実施例による送達管の概略断面図である。
【図62】図62は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略透視図である。
【図63】図63は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略透視図である。
【図64】図64は、減圧送達装置の他の実施例の概略透視図である。
【図65】図65は、図64の線65−65に沿って取り出した概略断面図である。
【図66】図66は、エンドキャップを示す図64および図65の減圧送達装置の概略端面図である。
【図67】図67は、減圧送達装置の他の実施例の概略透視図である。
【図68】図68は、内側部分を示すべく切断された図67の減圧送達装置の一部の概略透視図である。
【図69】図69は、図67の線69−69に沿って取り出した概略断面図である。
【図70】図70は、図67乃至図69の減圧送達装置の概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の好適な実施形態の詳述では、その一部を構成する添付の図面について説明しており、本発明を実施できる特定の好ましい実施形態の実施例として示されている。これらの実施形態は、当該技術分野における当業者が本発明を実施できる程度に十分詳細に記載されており、他の実施形態が利用可能であり、本発明の精神または範囲を超えることなく、論理構造的、機械的、電気的および化学的な変更が可能であることを理解されたい。当業者が本発明を実施可能とするのに必要のない細部説明を避けるため、当業者に既知の特定の情報を説明から省略することがある。従って以下の詳述は限定の意味で捉えるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0021】
本書で用いられるような、用語「エラストマの(elastomeric)」は、エラストマの性質を有することを意味する。用語「エラストマ(elastomer)」は、ゴムのような性質を有する高分子材料を一般に意味する。より具体的には、殆どのエラストマは100%を越える最大伸び率と著しい弾力性を有する。材料の弾力性とは、弾性変形から回復する材料の能力を意味する。エラストマの例は、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマ、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン、およびシリコーンを含みうるが、これらに限定はされない。
【0022】
本書で用いられるような、用語「柔軟な(flexible)」とは、湾曲または屈曲可能な物体または材料を意味する。エラストマ材料は一般に柔軟であるが、本書における柔軟な材料については材料の選択肢をエラストマのみに限定する必要はない。本発明の材料または減圧送達装置に関して用いられる用語「柔軟な」とは、一般に組織部位の形状に適合する、あるいはほぼ一致する材料の能力を意味する。例えば、骨の欠損部を治療するために用いられる減圧送達装置の柔軟な性質によって、装置を欠損部を有する骨部分の周囲に覆うか巻き付けることが可能となる。
【0023】
本書に使用する用語「流体」とは、一般に気体または液体を意味するが、限定はしないが、ゲル、コロイド、および発泡体を含む他の流動可能な材料を含んでもよい。
【0024】
本書に使用する用語「不透過」とは、一般に液体または気体の何れかの透過を遮るか、停滞させる膜、カバー、シート、または他の物質の能力を意味する。不透過性は、液体の透過に耐性があり、一方で気体はその膜を透過可能なカバー、シート、または他の膜を指して用いられる場合もある。不透過膜は液密であってもよいが、膜は単にすべての液体または特定の液体のみの透過率を低下させてもよい。用語「不透過」の使用は、不透過膜が水蒸気透過率(WVTR)の特定の数値などの不透過性に関する特定の業界標準測定値を越えるか、下回るということを意味するものではない。
【0025】
本書に使用する用語「マニホルド」は、一般に組織部位に減圧を適用する、流体を送達する、あるいはそこから流体を除去するのを補助すべく設けられた物体または構造を意味する。マニホルドは通常は複数の流路または通路を具えており、これらはマニホルド周囲の組織の領域に流体を分配したり、そこから流体を除去するのを向上させるべく相互に接続されている。マニホルドの例は、流路、開放セル発泡体のようなセル状発泡体、多孔質組織の堆積、および流路を含むか含むように硬化する液体、ゲルおよび発泡体を形成するように配置された構造要素を有するデバイスを含んでもよいが、これらに限定はされない。
【0026】
本書に使用する用語「減圧」は、一般に治療を受ける組織部位の周囲圧力よりも低い圧力を意味する。殆どの場合、この減圧は患者がいる大気圧よりも低いであろう。代替的に、減圧は組織部位における組織の静水圧より低くてもよい。減圧は、最初に管内および組織部位の領域に流体の流れを発生させることがある。組織部位の周囲の静水圧が所望の減圧に近づくにつれて、流量は弱まり、減圧が維持される。特に指示がない限り、本書に記載する圧力の数値はゲージ圧である。
【0027】
本書に使用する用語「スキャフォールド」は、細胞の成長または組織の形成を高める、あるいは促進するために使用される物質または構造を意味する。特に指示がない限り、「また」は相互排他性を必要としない。スキャフォールドは一般に、細胞成長用のテンプレートを設ける3次元の多孔質構造である。スキャフォールドは、細胞の成長を促進するため、細胞、成長因子、または他の栄養素を注入される、コートされる、またはこれらで構成されてもよい。スキャフォールドは、組織部位に減圧組織治療を施すべく、本書に記載の実施形態に応じたマニホルドとして使用してもよい。
【0028】
本書に使用する用語「組織部位」は、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、靱帯を含む任意の組織上またはその中に位置する損傷または欠損を意味するが、これらに限定はされない。用語「組織部位」はさらに、必ずしも創傷または欠損していない任意の組織の領域であるが、更なる組織の成長を加えるあるいは促進させることが望ましい領域を意味することがある。例えば、減圧組織治療を特定の組織領域に用いて、摘出して別の組織の場所に移植することができる更なる組織を成長させてもよい。
【0029】
主に図1乃至図5を参照すると、本開示の原理による減圧送達装置、またはウイングマニホルド211は、スパイン(spine)部215と一対のウイング(wing)部219を有する柔軟なバリア213を具えている。各ウイング部219はスパイン部215の両側に沿って設けられている。このスパイン部215は、ウイングマニホルド211の長さ全体に延在する、あるいは延在しないアーチ状溝部223を形成する。ウイング部219の幅が等しくなるようにスパイン部215をウイングマニホルド211の中央に設けてもよいが、図1乃至図5に示すようにスパイン部215はオフセットしてもよく、これにより一方のウイング部219が他方のウイング部219よりも幅広くなる。骨の再生または回復に関してウイングマニホルド211を使用する場合に、一方のウイング部219の余分幅が特に有用であり、幅広のウイングマニホルド211が骨に取り付けられる固定金具の周囲に巻き付けられる。
【0030】
柔軟なバリア213は、シリコーン重合体などのエラストマ材料で形成されることが好ましい。適切なシリコーン重合体の例は、カリフォルニア州、カーピンテリア、Nusil Technologies社で製造されたMED−6015を含む。しかしながら、この柔軟なバリア213は他の生体適合性の柔軟な材料で作ることができるということに留意されたい。柔軟なバリア213は、強度と耐久性を柔軟なバリア213に加える柔軟な裏材227を覆っている。柔軟な裏材227を覆っている柔軟なバリア213の厚さは、ウイング部219よりもアーチ状溝部223において薄いことがある。シリコーン重合体を用いて柔軟なバリア213を形成する場合、シリコーン接着剤を用いて柔軟な裏材227の接着を補助することもできる。シリコーン接着剤の例は、Nusil Technologies社で販売されているMED−1011を含みうる。柔軟な裏材227は、アリゾナ州テンペのC.R.Bard社で製造されているBard6013などの、ポリエステルのニット生地から作られるのが好ましい。しかしながら、柔軟な裏材227は、強度と耐久性を柔軟なバリア213に加えることができる、任意の生体適合性の柔軟な材料で作ることができる。特定の状況下では、柔軟なバリア213が適切な強度の材料で作られる場合、柔軟な裏材227を省くことができる。
【0031】
柔軟なバリア213または柔軟な裏材227の何れかは、液体、空気および他の気体に対して不透過であることが好ましく、代替的には、柔軟な裏材227および柔軟なバリア213は双方とも、液体、空気、および他の気体に対して不透過であってもよい。
【0032】
柔軟なバリア213および柔軟な裏材227は、ウイングマニホルド211を使用した後に、患者の身体から取り除く必要がない生体吸収性材料で構成することもできる。適切な生体吸収性材料は、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコ−ル酸(PGA)のポリマブレンドを含んでもよいが、これらに限定はされない。ポリマブレンドは、ポリカーボネート、ポリフマラート、およびカプロラクトンを含みうるが、これらに限定はされない。柔軟なバリア213および柔軟な裏材227はさらに新しい細胞の成長用のスキャフォールドとして機能することがあり、あるいはスキャフォールド材料は、細胞の成長を促進させるために柔軟なバリア213および柔軟な裏材227と組み合わせて使用してもよい。適切なスキャフォールド材料は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、サンゴのヒドロキシルアパタイト、炭酸塩、または処理された同種移植材料を含みうるが、これらに限定はされない。好適には、スキャフォールド材料は、高い空洞率(すなわち、高い空気含有量)を有する。
【0033】
一実施形態では、柔軟な裏材227は、柔軟なバリア213の表面に接着して取り付けることができる。シリコーン重合体を用いて柔軟なバリア213を形成する場合、シリコーン接着剤を用いて柔軟な裏材227を柔軟なバリア213に取り付けることもできる。柔軟な裏材227が柔軟なバリア213に表面接着される場合には接着剤が取り付けに好適な方法であるが、任意の適切な取り付けを利用してもよい。
【0034】
柔軟なバリア213は、柔軟なバリア213の表面上のウイング部219から延在している複数の突起部231を具えている。これらの突起部231は、各突起部231の少なくとも一部が突起部231が取り付けられている柔軟なバリア213の側に付随する面と異なる平面にある限り、円筒形、球形、半球形、立方体、または任意の他の形状であってもよい。これについて、特定の突起部231は他の突起部231と同一の形状またはサイズを有する必要はない。実際、突起部231は異なる形状およびサイズを不規則に混合したものを含んでもよい。従って、各突起部231が柔軟なバリア213から延在する距離は様々であってもよいが、複数の突起部231間では均一であってもよい。
【0035】
柔軟なバリア213上の突起部231の配置が、突起部間に複数の流路233を作り出す。突起部231の形状およびサイズが均一であり、柔軟なバリア213上に均等に間隔をあけて配置される場合、突起部231の間に作られる流路233は同様に均一である。突起部231のサイズ、形状、および間隔のばらつきを利用して、流路233のサイズおよび流動特性を変化させてもよい。
【0036】
減圧送達管241はアーチ状溝部223内に設置され、図5に示すように柔軟なバリア213に取り付けられる。減圧送達管241は柔軟なバリア213または柔軟な裏材227に単に取り付けられてもよく、あるいは減圧送達管241は柔軟なバリア213と柔軟な裏材227の双方に取り付けることもできる。減圧送達管241は、減圧送達管241の遠位端に遠位開口243を具えている。遠位開口243がアーチ状溝部223に沿った任意の地点に位置するよう減圧送達管241を配置してもよいが、遠位開口243がアーチ状溝部223の長手方向に沿ったほぼ中間に位置するよう減圧送達管241を設置するのが好ましい。遠位開口243は、好適には、管241の長軸に対して90度未満の平面に沿って減圧送達管241を切断することにより、楕円形または長円形に作られる。遠位開口243は円形であってもよいが、楕円形の遠位開口243は突起部231間に形成される流路233との液通を増加させる。
【0037】
減圧送達管241は、パリレンコートされたシリコーンまたはウレタンで作られるのが好ましい。しかしながら、医療グレードの管材を用いて、減圧送達管241を構成してもよい。管を覆うことができる他のコーティングは、ヘパリン、抗凝固剤、抗フィブリノゲン、抗付着剤、抗トロンビン剤、および親水性皮膜を含む。
【0038】
一実施形態では、減圧送達管241は、遠位開口243の代替として、あるいは遠位開口243に加えて、減圧送達管241に沿って設けられた開口または液口251を具えていてもよく、減圧送達管241と流路233の間の液通を更に増加させる。減圧送達管241は、図1乃至図5に示すようにアーチ状溝部223の長手方向の長さの一部のみに沿って設けられてもよく、あるいは代替的に、アーチ状溝部223の長手方向の長さ全体に沿って設けられてもよい。減圧送達管241がアーチ状溝部223の長さ全体を占めるように設けられる場合、管241と流路233の間の液通が総て液口251を通って生じるように、遠位開口243を覆ってもよい。
【0039】
減圧送達管241はさらに、管241の近位端に近位開口255を具えている。この近位開口255は減圧源と整合するよう構成されており、図9を参照して以下に詳細に説明する。図1乃至図3、4A、及び5に示す減圧送達管241は、単一の管腔、又は通路259のみを具えている。しかしながら、図4Bに示す二重の管腔管261のように、減圧送達管241は複数の管腔を具えることが可能である。二重の管腔管261は、第1の管腔263と第2の管腔265を具えている。二重の管腔管を使用すると、減圧送達管241の近位端と流路233の間の流体連通の経路が分かれる。例えば、二重の管腔管261を用いて、第1の管腔263に沿って減圧源と流路233の間の液通を可能にしてもよい。第2の管腔265を用いて、流体を流路233に導入してもよい。この流体は、濾過した空気又は他の気体、抗生物質、抗ウイルス薬、細胞成長促進剤、洗浄用流体、化学的活性流体、又は他の流体であってもよい。別個の液通路を通って流路233に複数の流体を導入するのが望ましい場合、減圧送達管に2以上の管腔を設けてもよい。
【0040】
さらに図4Bを参照すると、水平の仕切り271が減圧送達管241の第1および第2の管腔263、265を分離し、第1の管腔263が第2の管腔265の上方に位置している。第1および第2の管腔263、265の相対位置は、第1および第2の管腔263、265と流路233の間を如何に液通させるかに応じて変えてもよい。例えば、第1の管腔263が図4Bに図示するように位置する場合、液口251と同様の液口を設けて流路233との液通を可能にしてもよい。第2の管腔265が図4Bに図示するように位置する場合、第2の管腔265は遠位開口243と同様に遠位開口を通って流路233と連通してもよい。代替的に、減圧送達管の複数の管腔は、垂直仕切りが管腔を分離した状態で隣り合って位置してもよく、あるいは管腔は同心円状または同軸に配置されてもよい。
【0041】
液通する独立した経路の提供は、上記のように複数管腔の管を設ける方法を含む、多くの異なる方法で実行できることは、当業者にとって明らかである。代替的に、1つの管腔を別の1つの管腔に取り付けることによって、あるいは1つまたは複数の管腔を有する別個の連結されない管を使用することによって、液通する独立した流路を設けてもよい。
【0042】
別個の管腔を用いて流路233と液通する別個の流路を設ける場合、スパイン部215は、複数のアーチ状溝部223を各管について1つ有してもよい。代替的に、複数の管に適応するようアーチ状溝部223を大きくしてもよい。流体送達管から分離した減圧送達管を有する減圧送達装置の一例を、図9を参照して以下に詳細に説明する。
【0043】
図6乃至図8を参照すると、本開示の原理による減圧送達装置またはウイングマニホルド311は、スパイン部315および1対のウイング部319を有する柔軟なバリア313を具えている。各ウイング部319は、スパイン部315の両側に沿って設けられる。スパイン部315は、ウイングマニホルド311の長さ全体に延在する、あるいは延在しないアーチ状溝部323を形成する。ウイング部319のサイズが等しくなるようにスパイン部315をウイングマニホルド311の中央に設けてもよいが、図6乃至図8に示すようにスパイン部315はオフセットしてもよく、これにより一方のウイング部319は他方のウイング部319よりも幅が広くなる。ウイングマニホルド311が骨の再生または回復に関して使用される場合、一方のウイング部319の余分幅は特に有用であり、幅広のマニホルド311が骨に取り付けられる固定金具の周囲に巻き付けられる。
【0044】
気泡材料327が柔軟なバリア313に取り付けられ、スパイン部315および双方のウイング部319にわたって延在する柔軟なバリア313の表面全体を覆う1つの材料として設けられてもよい。気泡材料327は、柔軟なバリア313に近接して配置される取り付け面(図6に図示せず)と、取り付け面と反対側の主要な分配面329と、複数の周囲面330とを有している。
【0045】
一実施形態では、柔軟なバリア313は柔軟なバリア213と類似しており、柔軟な裏材を有してもよい。気泡材料327を柔軟なバリア313に取り付けるには接着剤が好適な方法であるが、他の適切な取り付け方法によって柔軟なバリア313と気泡材料327を取り付けてもよく、あるいは治療部位で利用者が組み立てるように残してもよい。柔軟なバリア313または柔軟な裏材は、液体、空気、および他の気体といった流体の透過に対して不透過性のバリアとして機能する。
【0046】
一実施形態では、柔軟なバリアおよび柔軟な裏材を気泡材料327の裏側に別個に設けないでもよい。むしろ、気泡材料327は、気泡材料327の不透過性部分である一体のバリア層を有してもよい。流体の透過を防ぐ閉鎖セル材料でバリア層を形成することで、柔軟なバリア313の代わりにできる。一体のバリア層を気泡材料327と共に使用する場合、このバリア層は、柔軟なバリア313について前述したように、スパイン部およびウイング部を有していてもよい。
【0047】
柔軟なバリア313は、シリコーン重合体などのエラストマ材料で形成されることが好ましい。適切なシリコーン重合体の例は、カリフォルニア州、カーピンテリア、Nusil Technologies社で製造されたMED−6015を含む。しかしながら、柔軟なバリア313は他の生体適合性の柔軟な材料で作ることができることに留意されたい。柔軟なバリアが柔軟な裏材を覆う、または組み込む場合、柔軟な裏材はアリゾナ州テンペ、C.R.Bard社で製造されているBard6013などの、ポリエステルのニット生地から作られるのが好ましい。しかしながら、柔軟な裏材は、強度と耐久性を柔軟性バリア313に加えることができる、任意の生体適合性の柔軟な材料で作ることができる。
【0048】
一実施形態では、気泡材料327は、約400乃至600ミクロンの範囲の細孔サイズを有する、開放セルの網状ポリエーテルウレタン発泡体である。このような発泡体の一例は、テキサス州サンアントニオ、Kinetic Concepts社で製造されているGranuFoam(登録商標)を含んでもよい。気泡材料327はさらに、複数の通路を通して立体的に連通させる、ガーゼ、フェルトのマット、または他の生体適合性材料でもよい。
【0049】
気泡材料327は、隣接するセルと流体連通する複数のセルを有する、主に「開放セル」材料である。複数の流路が、気泡材料327の「開放セル」によって、これらの間に形成されている。流路により、開放セルを有する気泡材料327の部分を通って流体連通が可能となる。セルおよび流路は、均一の形状およびサイズであってもよく、あるいはパターン化またはランダムに変化した形状およびサイズを有していてもよい。気泡材料327のセルの形状およびサイズのばらつきによって流路は変化し、このような特性を利用して気泡材料327を通る流体の流動特性を変えることができる。気泡材料327はさらに、「閉鎖セル」を有する部分を含んでもよい。気泡材料327のこのような閉鎖セル部分は複数のセルを含んでおり、これらの大部分は隣接するセルと流体連通していない。閉鎖セル部分の一例は、柔軟なバリア313の代わりとなりうるバリア層として上述されている。同様に、気泡材料327内に閉鎖セル部分を選択的に配置して、気泡材料327の周囲の面330を通り流体の透過を防ぐことができる。
【0050】
柔軟性のあるバリア313および気泡材料327は、減圧送達装置311の使用後に患者の身体から取り除く必要がない生体吸収性材料で構成することもできる。適切な生体吸収性材料は、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)のポリマブレンドを含みうるが、これらに限定はされない。ポリマブレンドはまた、ポリカーボネート、ポリフマラート、およびカプロラクトンを含みうる。柔軟なバリア313および気泡材料327はさらに、新たな細胞の成長用のスキャフォールドとして機能することがあり、あるいはスキャフォールド材は柔軟なバリア313、柔軟な裏材または気泡材料327と組み合わせて使用し、セルの成長を促進してもよい。適切なスキャフォールド材は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、サンゴのヒドロキシアパタイト、炭酸塩、または処理された同種移植材料を含みうるが、これらに限定はされない。好適には、スキャフォールド材は、高い空洞率(すなわち、高い空気含有量)を有している。
【0051】
減圧送達管341はアーチ状溝部323内に設置され、柔軟なバリア313に取り付けられる。減圧送達管341は気泡材料327に取り付けられてもよく、あるいは気泡材料327のみを有する場合には、減圧送達管341は気泡材料327のみに取り付けられてもよい。減圧送達管341は、図5の遠位開口243と同様に、減圧送達管341の遠位端に遠位開口343を具えている。この減圧送達管341は、遠位開口343がアーチ状溝部323に沿った任意の地点に位置するよう配置されてもよいが、好適には、アーチ状溝部323の長手方向に沿った長さのほぼ中間に配置される。遠位開口343は、好適には、減圧送達管341の長軸に対して90度未満の平面に沿って減圧送達管341を切断することにより、楕円形または長円形に作られる。開口は円形であってもよいが、楕円形の開口は気泡材料327における流路との液通を増加させる。
【0052】
一実施形態では、減圧送達管341は、図5の液口251と同様の開口、または液口(図示せず)を具えてもよい。液口は、遠位開口343の代替として、あるいは遠位開口343に加えて減圧送達管341に沿って設けられ、減圧送達管341と流路との間の液通を更に増加させる。上述のように、減圧送達管341をアーチ状溝部323の長手方向の長さの一部のみに沿って設けてもよく、あるいは代替的に、アーチ状溝部323の長手方向の長さ全体に沿って設けてもよい。減圧送達管341がアーチ状溝部323全体を占めるように設けられる場合、減圧送達管341と流路との間の全ての液通が液口を通って生じるように遠位開口343を覆ってもよい。
【0053】
好適には、気泡材料327は、減圧送達管341を覆い、直接接触している。気泡材料327は減圧送達管341に接続されてもよく、あるいは気泡材料327は柔軟なバリア313に単に取り付けられてもよい。減圧送達管341が単にアーチ状溝部323の中間点に延在するよう配置される場合、減圧送達管341を収容していないアーチ状溝部323の領域における柔軟なバリア313のスパイン部315に気泡材料327を取り付けてもよい。
【0054】
減圧送達管341はさらに、減圧送達管341の近位端に近位開口355を有している。この近位開口355は減圧源に整合するよう構成されており、図9を参照して以下に詳細に説明されている。図6乃至図8に示す減圧送達管341は、単一の管腔、または通路359のみを有している。しかしながら、図4Bに関して前述したように、減圧送達管341は複数の管腔を具えることは可能である。複数の管腔の管を使用すると、前述のように、減圧送達管341の近位端と流路との間の液通する経路は分離される。これらの別個の液通の経路はさらに、流路と連通する1つまたは複数の管腔を有する別個の管によって設けられてもよい。
【0055】
図8Aおよび図8Bを参照すると、本開示の原理による減圧送達装置371は、減圧送達管373の遠位端377に延長部375を有する減圧送達管373を具えている。この延長部375は、好適には、減圧送達管373の湾曲と一致するアーチ形状である。延長部375は遠位端377における減圧送達管373の一部を取り除くことによって形成することができ、これにより肩部383を有する切り欠き部381を形成する。複数の突起部385が減圧送達管373の内面387に設けられており、突起部385間に複数の流路391を形成している。突起部385は、図1乃至図5に関して記載された突起部と同様のサイズ、形状、および間隔であってもよい。減圧送達装置371は、切り欠き部381内に受容しうる結合組織の組織に減圧を適用してこれを再生するのに特に適している。靱帯、腱、および軟骨は、減圧送達装置371によって治療できる組織の非限定的な例である。
【0056】
図9を参照すると、本書に記載の他の減圧送達装置と同様の減圧送達装置411を用いて、患者の人間の骨415といった組織部位413に減圧組織治療を施す。骨の組織成長を促すのに用いる場合、減圧送達治療は、骨折、偽関節、空洞、または他の骨欠損に関する治癒の速度を高めることができる。さらに、減圧組織治療を利用して骨髄炎からの回復を改善させることができると考えられている。さらにこの治療を利用して、骨髄炎を患っている患者の骨密度を局所的に高めることができる。さらには、減圧組織治療を利用して、腰インプラント、膝インプラント、および固定デバイスといった整形外科用インプラントのオッセオインテグレーション(oseointegration)を促進且つ改善することができる。
【0057】
さらに図9を参照すると、減圧送達装置411は、減圧源427に流体連結された近位端421を有する減圧送達管419を具えている。減圧源427は、減圧送達装置411と関連する減圧送達管419および複数の流路を通って組織部位413に減圧を適用することが可能なポンプまたは他のデバイスである。組織部位413の近くに減圧送達装置411のウイング部を設置し、このような特定の例では骨415内の空洞欠損部429の周囲にウイング部を巻き付けることにより、減圧を組織部位413に適用できる。減圧送達装置411は、外科的または経皮的に挿入することができる。経皮的に挿入する場合、減圧送達管419は患者の皮膚組織を貫通する殺菌挿入シースを通して挿入されるのが好ましい。
【0058】
減圧組織治療を適用すると、一般に組織部位413の周囲の領域に肉芽組織を形成する。肉芽組織は、体内の組織を修復する前に多くの場合に形成する一般的な組織である。通常の状況下では、肉芽組織は異物に応じてまたは創傷治癒の際に形成されることがある。肉芽組織は通常、健常な代替組織のためのスキャフォールドとして機能し、さらには瘢痕組織を発生させる。肉芽組織は非常に血管化し、減圧下で非常に血管化した組織の増大した成長および成長速度が組織部位413での新たな組織の成長を促進させる。
【0059】
さらに図9を参照すると、流体送達管431は、減圧送達装置411の流路に遠位端で流体連結することができる。流体送達管431は、流体送達源433に流体連結された近位端432を有している。組織部位に送達される流体が空気の場合、空気を浄化および滅菌するために、この空気は少なくとも0.22μm程度の粒子を濾過しうるフィルタ434によって濾過されることが好ましい。組織部位413への空気の導入は、特に組織部位413が皮膚の表面の下方に位置している場合に、組織部位413を十分に排出し易くするのに重要であり、これにより減圧送達管419の閉塞を減少または防止する。減圧送達管413および流体送達源433をさらに用いて、限定ではないが、抗生物質、抗ウイルス剤、細胞成長促進剤、洗浄用流体、または他の化学的活性剤といった他の流体を組織部位413に導入できる。経皮的に挿入する場合、流体送達管431は患者の皮膚組織を貫通する滅菌挿入シースを通して挿入するのが好ましい。
【0060】
圧力センサ435を流体送達管431に動作可能に連結して、流体送達管431が血液または他の体液で閉塞されているかを表示することができる。圧力センサ435を流体送達源433に動作可能に連結して、組織部位413に導入される流体の量を制御するようにフィードバックさせてもよい。逆止弁(図示せず)を流体送達管431の遠位端の近くに動作可能に連結して、血液または他の体液が流体送達管431に侵入するのを防ぐこともできる。
【0061】
減圧送達管419および流体送達管431によって与えられる独立した液通の経路は、図4Bに関して前述したように、単一または複数管腔を設ける方法を含む多くの様々な方法で実現できる。当業者は、流体送達管431に関連するセンサ、バルブ、および他の構成要素はさらに、複数管腔の管を使用する場合には減圧送達管419の特定の管腔と同様に関連していることを認識するであろう。組織部位と流体連通する管腔または管を抗凝血剤でコートして、管腔または管内に体液または血液が蓄積するのを防ぐのが好ましい。管腔または管を覆う他のコーティングは、ヘパリン、抗凝固剤、抗フィブリノゲン、抗付着剤、抗トロンビン剤および親水性皮膜を含むが、これらに限定はされない。
【0062】
図10を参照すると、本開示の実施形態による減圧送達システム711は、患者の組織部位713に減圧組織治療を送達する。減圧送達システム711は、マニホルド送達管721を具えている。このマニホルド送達管721は、カテーテルまたはカニューレであってもよく、組織部位713にマニホルド送達管721を誘導可能な操作ユニット725およびガイドワイヤ727といった機構を具えている。ガイドワイヤ727およびマニホルド送達管721の配置および誘導は、内視鏡、超音波、X線透視法、聴診、触診、または他の適切な位置特定法を用いることによって行ってもよい。マニホルド送達管721は、患者の組織部位713に減圧送達装置を経皮的に挿入するよう設けられる。経皮的に挿入する場合、マニホルド送達管721は、患者の皮膚組織を貫通する滅菌挿入シースを通して挿入するのが好ましい。
【0063】
図10では、組織部位713は患者の骨733の裂け目731の近くに骨組織を有している。マニホルド送達管721は、患者の皮膚735および骨733の周りの軟組織739を通って挿入される。上述のように、組織部位713はさらに、限定はしないが、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、または靱帯を含む、他の種類の組織を含みうる。
【0064】
図11および図12を参照すると、減圧送達システム711がさらに図示されている。マニホルド送達管721は先細の遠位端743を具えており、図10の患者の皮膚735および軟組織739に挿入し易くなっている。この先細の遠位端743はさらに、先細の遠位端743の内径が管721の他の部分の内径とほぼ同一かそれ以上となるように、開放位置へと半径方向外側に曲がるよう構成されている。先細の遠位端743の開放位置を図11に破線737で概略的に示す。
【0065】
マニホルド送達管721はさらに、減圧送達装置761または他の減圧送達装置を収容する通路751を具えている。減圧送達装置761は、図6乃至図8を参照に上述したのと同様の柔軟なバリア765または気泡材料767を具えている。柔軟なバリア765または気泡材料767は、好適には、減圧送達管769の周りに巻き付けられ、折り畳まれ、あるいは押し付けられて、通路751内の減圧送達装置761の断面積を減少させる。
【0066】
マニホルド送達管721の先細遠位端743を組織部位713に配置した後に、減圧送達装置761を通路751内に配置して組織部位713に誘導してもよい。代替的に、マニホルド送達管721を患者に挿入する前に、減圧送達装置761を通路751内に予め配置してもよい。減圧送達装置761を通路751に押し通す場合、生体適合性のある潤滑剤を用いて減圧送達装置761とマニホルド送達管721との間の摩擦を低下させてもよい。先細遠位端743を組織部位713に配置して減圧送達装置761を先細遠位端743に送達する場合、次に減圧送達装置761が先細遠位端743の方へ押し出されて、先細遠位端743を開放位置へと半径方向外側に拡張させる。減圧送達装置761は、マニホルド送達管721から、好適には組織部位713に近接する空洞または空間内へと押し出される。この空洞または空間は通常、軟組織の切開によって形成されるが、これは経皮的な手段によっても実現できる。幾つかの場合では、組織部位713は創傷部位に位置しており、創傷の構造によって空洞が自然に存在する。他の例では、バルーン切開、鋭い切開、鈍い切開、水による切開、空気による切開、超音波切開、電気焼灼による切開、レーザ切開、または他の適切な切開方法によって空洞を形成する。減圧送達装置761が組織部位713に近接する空洞に進入すると、減圧送達装置761の柔軟なバリア765または気泡材料767は、減圧送達装置761が組織部位713と接触して配置されるように、展開、拡張、または伸張される(図12参照)。必要ではないが、柔軟なバリア765または気泡材料767を減圧送達管769を通って供給される真空または減圧下に置いて、柔軟なバリア765または気泡材料767を圧縮してもよい。柔軟なバリア765または気泡材料767の拡張は、減圧送達管769を通って供給される圧力を緩める、あるいは拡開プロセスを補助するよう減圧送達管769を通って正圧を供給することによって実現しうる。減圧送達装置761の最終的な配置および操作は、内視鏡、超音波、X線透視法、聴診、触診、または他の適切な位置特定法を用いることによって実現しうる。減圧送達装置761を配置した後に、マニホルド送達管721は患者から好適には取り外されるが、減圧送達装置761と関係する減圧送達管がその場に残ると組織部位713への減圧の経皮的な適用が可能となる。
【0067】
図13乃至図15を参照すると、本開示の実施形態による減圧送達システム811は、遠位端843の内径がマニホルド送達管821の他の部分の内径とほぼ同じまたはそれ以上となるように、開放位置へと半径方向外側に曲がるよう構成された先細遠位端843を有するマニホルド送達管821を具えている。遠位端843の開放位置は図13乃至図15に破線837で概略的に図示されている。
【0068】
マニホルド送達管821はさらに、本書に記載した他の減圧送達装置と同様の減圧送達装置861を収容する通路を具えている。減圧送達装置861は、柔軟なバリア865または気泡材料867を有しており、これらは好適に、減圧送達管869の周りに巻き付けられ、折り畳まれ、あるいは押し付けられて、通路内の減圧送達装置861の断面積を減少させる。
【0069】
減圧送達装置861が不透過膜871の内部空間873内に収容されるように、内部空間873を有する不透過膜871が減圧送達装置861の周囲に設けられる。この不透過膜871は、当該不透過膜871が圧縮位置(図13参照)、弛緩位置(図14参照)、および拡張位置(図15および図15A参照)の少なくとも1つを取るように、流体が通過するのを防ぐことが可能なバルーン、シース、または他の種類の膜であってもよい。不透過膜871は、不透過膜871の内部空間873がマニホルド送達管821の通路と流体連通するように、マニホルド送達管821にシール接続されてもよい。不透過膜871の内部空間873が減圧送達管869の通路と流体連通するように、不透過膜871を減圧送達管869に代替的に取り付けてもよい。不透過膜871は、内部空間873と流体連通する別の制御管または制御管腔(例えば図15A参照)に代わりに取り付けられてもよい。
【0070】
一実施形態では、通路内の減圧送達装置861の断面積をさらに減少させるべく不透過膜871を設けてもよい。これを実現するため、不透過膜871の周りの周囲圧力よりも低い圧力が、不透過膜871の内部空間873に加えられる。これにより、内部空間873内の空気または他の流体の大部分が排出され、不透過膜871を図13に示す圧縮位置にする。圧縮位置では、減圧送達装置861に圧縮力を加えて減圧送達装置861の断面積をさらに減少させるように、不透過膜871が内側に引き寄せられる。図11および図12を参照して上述したように、マニホルド送達管821の遠位端843を組織部位に配置した後に、減圧送達装置861を組織部位に送達してもよい。不透過膜871および減圧送達装置861の配置および操作は、内視鏡、超音波、X線透視法、聴診、触診、または他の適切な位置特定法を用いることによって行ってもよい。不透過膜871は、それを取り外す前にX線透視によって不透過膜871の可視化を向上させる、X線不透過性のマーカ881を有していてもよい。
【0071】
遠位端843を通して減圧送達装置861を押し出した後、内部空間873に適用された減圧が不透過膜871を弛緩位置(図14参照)に配置させやすくすることで、不透過膜871から減圧送達装置861を取り外しやすくなる。トロカール、探り針、または他の鋭い器具といった取り外し器具885を設けて、不透過膜871を破裂させることができる。好適には、この取り外し器具885を減圧送達管869を通して挿入して、不透過膜871と接触するよう進展させることができる。不透過膜871が破裂した後に、取り外し器具885および不透過膜871をマニホルド送達管821を通して引き抜くと、減圧送達装置861が組織部位と接触するよう配置できるように、減圧送達装置861の柔軟なバリア865または気泡材料867を展開、拡張、または伸張することが可能となる。柔軟なバリア865または気泡材料867の展開は、内部空間873への減圧を緩和し、不透過膜871を取り外した後に自動的に行ってもよい。ある場合では、正圧が減圧送達管869を通って送達され、柔軟なバリア865または気泡材料867の展開または伸張を補助する。減圧送達装置861を最終的に配置した後に、マニホルド送達管821は好適には患者から取り外されるが、減圧送達装置861と関連する減圧送達管869がその場に残ると組織部位への減圧の経皮的な適用が可能となる。
【0072】
減圧送達装置861を組織部位に接して配置する前に、不透過膜871を用いて組織部位に近接する組織を切開することもできる。減圧送達装置861および無傷の不透過膜871をマニホルド減圧管821の遠位端843を通して押し出した後に、空気または他の流体を不透過膜871の内部空間873へと投入または注入してもよい。液体の非圧縮性によって不透過膜871をより均一且つ連続して拡張させるのが可能なため、液体を用いて不透過膜871を膨張させることが好ましい。不透過膜871は、その製造方法およびマニホルド送達管821への取り付け方法に応じて、図15に示すような半径方向または一方向に拡張しうる。不透過膜871が空気または流体の圧力によって拡張位置(図15参照)へと外側に拡張すると、空洞が組織部位の近くで破裂する。空洞が十分に大きい場合、液体、空気または他の流体が内部空間873から解放され、不透過膜871を弛緩位置にすることが可能となる。次いで、不透過膜871が上記のように破裂して、減圧送達装置861が組織部位の近くに挿入される。
【0073】
図15Aを参照すると、不透過膜871を主に使用して組織部位に近接する組織を切開する場合、内部空間873がマニホルド送達管821と関連またはこれに取り付けられる第2の管腔または管891と流体連通するように、不透過膜871をマニホルド送達管821にシール接続してもよい。第2の管腔891を用いて内部空間873に液体、空気、または他の流体を送達し、拡張位置に不透過膜871を配置してもよい。切開した後に、図14を参照して上述したように不透過膜871を緩和および破裂させてもよい。
【0074】
図16を参照すると、本開示の実施形態による減圧送達システム911は、遠位端943の内径がマニホルド送達管921の他の部分の内径とほぼ同じかそれ以上となるように、開放位置へと半径方向外側に曲がるよう構成された先細遠位端943を有するマニホルド送達管921を具えている。遠位端943の開放位置は、図16に破線937で概略的に図示されている。
【0075】
マニホルド送達管921はさらに、本書に記載の他の減圧送達装置と同様の減圧送達装置961を収容する通路を具えている。減圧送達装置961は、柔軟なバリア965または気泡材料967を有しており、これらは減圧送達管969の周りに巻き付けられ、折り畳まれ、あるいは押し付けられて、マニホルド送達管921の通路内の減圧送達装置961の断面積を減少させる。
【0076】
内部空間973を有する不透過膜971が減圧送達装置961の周りに設けられ、これにより減圧送達装置961は不透過膜971の内部空間973の中に収容される。不透過膜971は、不透過膜971の一端に接着シール977を有しており、不透過膜971から減圧送達システム961を取り外す代替的な方法を与える。不透過膜971の内部空間973がマニホルド送達管921の通路と流体連通するように、不透過膜971をマニホルド送達管921の他端にシール接着してもよい。代替的に、不透過膜971を内部空間973と流体連通している別の制御管(図示せず)に取り付けてもよい。
【0077】
図13の不透過膜871と同様に、不透過膜971が圧縮位置、弛緩位置、および拡張位置の少なくとも1つとなるように、不透過膜971は流体の通過を防ぐことができる。不透過膜971を圧縮位置および拡張位置に配置するための手順は、不透過膜871についての手順と同様であるため、減圧送達装置961を取り外す異なるプロセスのみを説明する。
【0078】
減圧送達装置961は不透過膜971内の組織部位に送達され、内視鏡、超音波、X線透視法、聴診、触診、または他の適切な位置特定法を用いて適切に配置される。不透過膜971は、取り外す前にX線透視によって不透過膜971の可視化を向上させる、X線不透過性のマーカ981を有していてもよい。次いで、減圧送達装置961がマニホルド送達管921の遠位端943を通って押し出される。内部空間973に適用された減圧は、不透過膜971を弛緩位置に配置しやすくできる。次いで減圧送達装置961が接着シール977を通って押し出されて、不透過膜971を出る。
【0079】
図16Aを参照すると、本開示の実施形態による減圧送達システム985は、図16のマニホルド送達管921と同様のマニホルド送達管を有さないでもよい。代わりに、減圧送達システム985は、ガイドワイヤ987と、減圧送達管989と、減圧送達装置991とを具えることができる。減圧送達装置991は、減圧送達管989に流体連結された複数の流路を有している。減圧送達装置991を送達するために独立したマニホルド送達管を用いる代わりに、減圧送達装置991および減圧送達管989がガイドワイヤ987に配置され、組織部位993へと経皮的に誘導される。好適には、ガイドワイヤ987および減圧送達管989は、滅菌シースを通って患者の皮膚を貫通する。ガイドワイヤ987に沿って減圧送達管989および減圧送達装置991を誘導することにより、減圧送達装置991を組織部位993に配置して、減圧組織治療の経皮的な適用が可能となる。
【0080】
減圧送達装置991は、組織部位993への送達の際にマニホルド送達管内に拘束されないため、送達の間は減圧送達装置991を圧縮位置に保持するのが好ましい。減圧送達装置991として弾性発泡体が使用される場合、生体適合性のある水溶性の接着剤が発泡体に適用され、当該発泡体が圧縮される。組織部位に到達すると、減圧送達システム989を通って送達される体液または他の流体がこの接着剤を分解し、発泡体は組織部位と接触するよう拡張できる。代替的に、減圧送達装置991は圧縮した乾燥ヒドロゲルで形成することができる。ヒドロゲルは、組織部位993に送達した後の湿気を吸収して、減圧送達装置991を拡張することができる。さらに別の減圧送達装置991は、患者の体温に曝された場合に組織部位993で拡張する熱活性化材料(例えば、ポリエチレングリコール)で作ることができる。さらに別の実施例では、圧縮された減圧送達装置991を吸収性の膜の中で組織部位993に送達してもよい。
【0081】
図17を参照すると、本開示の実施形態による減圧送達システム1011は、患者の組織を通って組織部位1025にアクセスするように挿入される遠位端1043を有するマニホルド送達管1021を具えている。組織部位1025は、創傷または他の欠損部と関連する空洞1029、または代替的に、上記のような切開法を含む切開によって形成された空洞を有することがある。
【0082】
組織部位1025に近接する空洞1029内に遠位端1043を配置した後、注射可能、注入可能、または流動性のある減圧送達装置1035をマニホルド送達管1021を通って組織部位1025に送達する。減圧送達装置1035は、組織部位への送達の際に流動性がある状態で存在し、到達後に減圧または流体を分配する複数の流路を形成することが好ましい。ある場合では、流動性がある材料は、組織部位に達した後に、乾燥プロセス、硬化プロセス、または他の化学的または物理的反応によって固体状態に固まってもよい。他の場合では、流動性がある材料は、組織部位に送達した後にその場で発泡体を形成する。さらに他の材料は組織部位1025にゲルのような状態で存在していてもよいが、それでも減圧を送達する複数の流路を有している。組織部位1025に送達される減圧送達装置1035の量は、空洞1029を部分的または完全に充填するのに十分である。減圧送達装置1035は、マニホルドとスキャフォールドの双方の態様を含みうる。マニホルドとして、減圧送達装置1035は、空洞1029に送達した後に材料に形成される複数の空孔または開放セルを有している。空孔または開放セルが互いに連通することで、複数の流路を形成する。流路を使用して、減圧を組織部位1025に適用および分配する。スキャフォールドとしては、減圧送達装置1035は生体吸収性材料であり、新たな組織がその上およびその中で成長する下地として機能する。
【0083】
一実施形態では、減圧送達装置1035は、液体または粘性ゲル全体に分散するNaClまたは他の塩といったポラゲンを含んでもよい。液体または粘性ゲルを組織部位1025に送達した後に、材料は空洞1029に適合して、次いで固体の塊に硬化する。水溶性のNaClポラゲンは、相互接続した空孔または流路を有する構造を残して体液の存在下で溶ける。減圧または流体は流路に送達される。新たな組織が成長すると、組織は減圧送達装置1035の空孔内へと成長し、分解するにつれて最終的に減圧送達装置1035と入れ替わる。このような特定の例では、減圧送達装置1035はマニホルドとして機能するだけではなく、新たな組織の成長のためのスキャフォールドとしても機能する。
【0084】
他の実施形態では、減圧送達装置1035は400μmのマンノースビーズと混合したアルギン酸塩である。ポラゲンまたはビーズは、局部の体液によって、あるいは組織部位の減圧送達装置1035に送達される洗浄流体または他の流体によって分解されうる。ポラゲンまたはビーズが分解した後、ポラゲンまたはビーズによって以前は占められていた空間が他の空洞と相互接続された空洞となり、減圧送達装置1035内に流路を形成する。
【0085】
材料に流路を形成するためにポラゲンを使用することは効果的であるが、それはまた、選択したポラゲンのおよその粒径サイズに限定された大きさの空孔および流路を形成する。ポラゲンの代わりに化学反応を利用して、気体の副生成物の形成により大きい空孔を形成することもできる。例えば、一実施形態では、重炭酸ナトリウムおよびクエン酸の粒子(非化学量論量を用いてもよい)を含む流動性がある材料を組織部位1025に送達してもよい。流動性がある材料がその場で発泡体または固体を形成すると、体液が重炭酸ナトリウムとクエン酸との間の酸塩基反応を開始する。生成して得られた二酸化炭素ガス粒子は、ポラゲンの溶解による方法よりも、減圧送達装置1035全体に大きな空孔および流路を形成する。
【0086】
液体または粘性ゲルから固体または発泡体への減圧送達装置1035の変化は、pH、温度、光、または体液、組織部位に送達される化学物質または他の物質との反応によって引き起こすことができる。この変化は、複数の反応要素を混合することによっても起きる。一実施形態では、減圧送達装置1035は、生体吸収性ポリマで作られた生体吸収性の微小球を選択することによって調製される。この微小球は、光開始剤およびヒアルロン酸、コラーゲン、または光反応基を有するポリエチレングリコールといったヒドロゲル形成材料を含む溶液内に拡散する。微小球ゲル混合物に短い時間光に当てると、ヒドロゲルを部分的に架橋して微小球にヒドロゲルを固定させる。余分な溶液が排出され、その後に微小球を乾燥させる。微小球は注射または注入によって組織部位に送達され、送達された後に、混合物が湿気を吸収し、ヒドロゲルコーティングが水和される。次いで、混合物に再び光を当てると、微小球を架橋して、複数の流路を形成する。架橋した微小球はマニホルドとして機能し、減圧を組織部位に送達して、多孔質のスキャフォールドとして機能して新たな組織の成長を促進する。
【0087】
本書に記載の上記の実施形態に加えて、減圧送達装置1035は、気体、液体、ゲル、ペースト、パテ、スラリー、懸濁液、または他の流動性のある材料として組織部位に送達することが可能で、組織部位と流体連通する複数の流路を形成可能な、リン酸カルシウム、コラーゲン、アルギン酸塩、セルロース、または他の同等の材料を含む様々な材料で作ることができるが、これらに限定はされない。流動性のある材料はさらに、粒子状の固体のサイズが十分に小さい場合、マニホルド送達管1021を通って流れることができるビーズなどの粒子状固体を有していてもよい。流動可能な状態で組織部位に送達される材料は、その場で重合またはゲル化する。
【0088】
上述のように、減圧送達装置1035は、組織部位1025に近接する空洞1029内に直接注射または注入される。図17Aを参照すると、マニホルド送達管1021は、マニホルド送達管1021の遠位端1043に不透過膜または半透膜1051を有している。膜1051は、マニホルド送達管1021に取り付けられた第2の管腔1057と流体連通する内部空間1055を有している。マニホルド送達管1021は、ガイドワイヤ1061を通して組織部位1025に誘導される。
【0089】
第2の管腔1057を通して減圧送達装置1035を注射または注入して、膜1051の内部空間1055を充填してもよい。流体またはゲルが膜1051を充填するにつれて、膜1051が拡張して空洞1029を充填し、これによりこの膜は組織部位1025と接触する。膜1051が拡張すると、この膜1051を用いて組織部位1025に隣接するまたはその近くの余計な組織を切開することができる。膜1051が不透過性の場合は、物理的に破裂して取り除かれ、組織部位1025に接触する減圧送達装置1035の後方に残る。代替的に、膜1051は、当該膜1051に送達される体液または生体適合性溶媒の存在下で溶解する、分解可能な材料で作られてもよい。膜1051が半透膜の場合は、膜1051は残ることがある。半透膜1051によって、組織部位1025への減圧あるいは他の流体の連通が可能となる。
【0090】
図18を参照すると、減圧組織治療を組織部位に施す方法1111は、ステップ1115で組織部位の近くにマニホルドを外科的に挿入するステップを含み、マニホルドは柔軟なバリアから延在する複数の突起部を有し、突起部の間に複数の流路を形成する。突起部の少なくとも一部が組織部位と接触するように、ステップ1119でマニホルドが配置される。ステップ1123では、減圧がマニホルドを通して組織部位に適用される。
【0091】
図19を参照すると、減圧組織治療を組織部位に施す方法1211は、ステップ1215で組織部位の近くにマニホルドを経皮的に挿入するステップを含んでいる。マニホルドは柔軟なバリアから延在する複数の突起部を有しており、突起部間に複数の流路を形成する。代替的に、マニホルドは気泡材料内に複数の流路を有する気泡材料を有している。代替的に、マニホルドは、組織部位に送達され、組織部位に到達した後に複数の流路を形成する注射可能または注入可能な材料で作ることもできる。ステップ1219では、流路の少なくとも一部が組織部位と流体連通するようにマニホルドが配置される。ステップ1223でマニホルドを通して減圧が組織部位に適用される。
【0092】
図20を参照すると、減圧組織治療を組織部位に施す方法1311は、ステップ1315で患者の組織を通って通路を有する管を経皮的に挿入し、当該管の遠位端を組織部位の近くに配置するステップを含んでいる。ステップ1319では、管に関連するバルーンを膨張させて組織部位に近接する組織を切開することで、空洞を形成している。ステップ1323では、マニホルドが通路を通って送達される。マニホルドは、柔軟なバリアから延在する複数の突起部を有しており、突起部間に複数の流路を形成する。代替的に、マニホルドは、気泡材料内に複数の流路を有する気泡材料を有している。代替的に、マニホルドは、図17に関して上述したように、組織部位に送達される注射可能または注入可能な材料で作られてもよい。ステップ1327では、流路の少なくとも一部が組織部位と流体連通するように、マニホルドが空洞内に配置される。ステップ1331では、減圧送達管または他の送達手段を介し、マニホルドを通って減圧が組織部位に適用される。
【0093】
図21を参照すると、減圧組織治療を組織部位に施す方法1411は、ステップ1415で、患者の組織を通って通路を有する管を経皮的に挿入して、組織部位の近くに管の遠位端を配置するステップを含んでいる。ステップ1423では、マニホルドが通路を通って不透過性のシース内の組織部位に送達され、ステップ1419では、不透過性のシースにシースの周囲圧力よりも小さい第1の減圧が適用される。ステップ1427では、このシースを破裂してマニホルドを組織部位と接触するよう配置する。ステップ1431では、第2の減圧がマニホルドを通って組織部位に適用される。
【0094】
図22および図23を参照すると、本開示の実施例による減圧送達装置1511は、患者の大腿骨1517の既存の大腿骨頭を交換するための整形外科用の人工股関節1515を有している。人工股関節1515は、ステム部1521および頭部1525を有している。このステム部1521は、大腿骨1517の骨幹に穴開けされた通路1529内に挿入するために細長い。多孔質のコーティング1535はステム部周囲に施されており、好適には焼結またはガラス化セラミックスまたは金属で構成される。代替的に、多孔質特性を有する気泡材料をステム部の周りに配置してもよい。流路1541が多孔質のコーティング1535と流体連通するように、複数の流路1541が人工股関節1515のステム部1521内に設けられる。連結ポート1545が流路1541に流体連結されており、このポートは減圧送達管1551および減圧送達源1553に取り外し可能に接続するよう構成されている。移植した後に、流路1541を用いて、減圧を多孔質のコーティング1535または人工股関節1515を囲んでいる骨に送達する。流路1541はいくつかの横方向の支線1547と流体連通する主要な分配線1543を有しており、支線は多孔質のコーティング1535と連通している。横方向の支線1547は、図22に示すように主要な分配線1543に対して垂直な方向に向いているか、または主要な分配線1543に対して角度を成していてもよい。減圧を分配する代替的な方法は、中空の人工股関節を設けて、この人工関節の内部空間を多孔質のコーティング1535と流体連通しうる気泡材料(好適には開放セル)で充填するステップを含む。
【0095】
特に図23を参照すると、人工股関節1515がさらにステム部1521内に第2の複数の流路1561を有しており、多孔質のコーティング1535または人工股関節1515を囲んでいる骨に流体を供給する。この流体は、濾過された空気または他の気体、抗生物質、抗ウイルス薬、細胞成長促進剤、洗浄用流体、化学的活性流体、または他の流体を含みうる。複数の流体を人工股関節1515を囲んでいる骨に導入するのが望ましい場合、更なる液通の通路を設けてもよい。接続ポート1565が流路1561に流体連結され、この連結ポート1565は、流体送達管1571および流体送達源1573に取り外し可能に接続するよう構成されている。流路1561は、いくつかの横方向の支線1585と流体連通する主要な分配線1583を有しており、支線は多孔質のコーティング1535と連通している。横方向の支線1585は、図23に示すように主要な分配線1583に対して垂直な方向を向いているか、または主要な分配線1583に対して角度を成している。
【0096】
第1の複数の流路1541への減圧の送達および第2の複数の流路1561への流体の送達は、減圧送達管1551および流体送達管1571といった別個の管によって実施できる。代替的に、本書で上述したような複数の管腔を有する管を用いて、減圧や流体を送達する連通路を分けてもよい。さらに、人工股関節1515内に流体連通する別個の通路を設けることが好ましいが、第1の複数の流路1541を用いて、減圧および流体の双方を人工股関節1515を囲んでいる骨に送達することができることに留意されたい。
【0097】
上述のように、減圧を骨組織に適用すると、新たな骨組織の成長を促進且つ速める。マニホルドとして人工股関節1515を用いて、人工股関節を囲んでいる骨の領域に減圧を送達することにより、大腿骨1517の回復が更に速くなり、人工股関節1515は骨と上手く一体化する。第2の複数の流路1561を設けて人工股関節1515を囲んでいる骨を排出することで、関節の周りの新たな骨の良好な成長を向上させる。
【0098】
人工股関節1515を通して所定時間減圧を適用した後、減圧送達管1551および流体送達管1571は連結ポート1545、1565から外され、好適には外科的に侵襲的な処置をすることなく患者の体から除去される。連結ポート1545、1565と管1551、1571間の接続は、患者の体外の管1551、1571に軸方向の張力を加えることによって実現される、手で取り外し可能な接続である。代替的に、連結ポート1545、1565は、選択された流体または化学物質の存在下で生体吸収可能または分解可能な材料であってもよく、これにより、連結ポート1545、1565をこの流体または化学物質に曝すことで管1551、1571を開放することができる。これらの管1551、1571は、長時間かけて分解する生体吸収性材料、または特定の化学物質または他の物質の存在下で分解する活性材料で作られてもよい。
【0099】
減圧送達源1553を患者の体外に設けて減圧送達管1551に接続し、減圧を人工股関節1515に送達してもよい。代替的に、減圧送達源1553を組み込むか人工股関節1515の近くに設置することによって患者の体内に埋め込んでもよい。患者の体内に減圧送達源1553を配置すると、経皮的な流体連結の必要性がなくなる。埋め込まれる減圧送達源1553は、流路1541に動作可能に接続された従来型のポンプであってもよい。このポンプは、患者に埋め込まれたバッテリによって電力供給するか、あるいはポンプに電気的且つ経皮的に接続された外部バッテリによって電力供給することができる。このポンプは更に、減圧を送達して流路1541、1561を通して流体を循環させる化学反応によっても直接駆動することができる。
【0100】
人工股関節1515のステム部1521および頭部1525のみが図22および図23に図示されているが、本書に記載の流路および減圧組織治療を適用するための手段を、例えば寛骨臼カップを含む、骨または他の組織に接触する人工股関節1515の部品に適用してもよいことに留意されたい。
【0101】
図24を参照すると、患者の関節を修復する方法1611は、ステップ1615で、関節に近接する骨の中に人工関節を埋め込むステップを含んでいる。この人工関節は、患者の関節の動きが回復するのを補助する、上記のような人工股関節または他の人工関節であってもよい。人工関節は、骨と流体連通するよう構成された複数の流路を有している。ステップ1619では、減圧が複数の流路を通って骨に適用されて人工関節のオッセオインテグレーションを改善する。
【0102】
図25および図26を参照すると、本開示の実施形態による減圧送達装置1711は、骨折1719または他の欠損を含む患者の骨1717を固定する整形外科用の固定デバイス1715を具えている。図25および図26に示す整形外科用の固定デバイス1715は、ネジ1725、ピン、ボルト、または他の締結具で整形外科用の固定デバイス1715を骨1717に固定する、複数の通路1721を有するプレートである。多孔質のコーティング1735は、骨1717と接触するよう整形外科用の固定デバイス1715の面に施してもよい。多孔質のコーティングは、焼結またはガラス化セラミックスまたは金属で構成されるのが好ましい。代替的に、多孔質の特性を有する気泡材料を骨1717と整形外科用の固定デバイス1715との間に設けてもよい。流路1741が多孔質のコーティング1735と流体連通するように、複数の流路1741が整形外科用の固定デバイス1715内に設けられる。連結ポート1745は流路1741に流体連結されており、このポートは減圧送達管1751と減圧送達源1753を接続するよう構成されている。整形外科用の固定デバイス1715を骨1717に固定した後、流路1741を用いて、多孔質のコーティング1735または整形外科用の固定デバイス1715を囲んでいる骨に減圧を送達する。流路1741は、いくつかの横方向の支線1747と流体連通する主要な分配線1743を有しており、支線は多孔質のコーティング1735と連通している。横方向の支線1747は、図25に示すように主要な分配線1743に対して垂直な方向に向いているか、あるいは主要な分配線1743に対して角度を成している。減圧を分配する代替的な方法は、中空の整形外科用の固定デバイスを設けて、整形外科用の固定デバイスの内部空間を多孔質のコーティング1735と流体連通できる気泡材料(好適には開放セル)で充填するステップを含む。
【0103】
整形外科用の固定デバイス1715は、図25に示すようなプレートであってもよく、あるいは代替的に、骨の一部を安定化させるために使用する、スリーブ、ブレース、支柱、または他のデバイスといった固定デバイスであってもよい。この整形外科用の固定デバイス1715はさらに、締結具が締結具の近くまたは周囲の組織に減圧を送達するための流路を有しているならば、人工装具または他の整形外科用デバイスまたは移植組織(例えば、骨組織または軟骨)を取り付けるために使用する締結具であってもよい。これらの締結具の例は、ピン、ボルト、ネジまたは他の適切な締結具を含みうる。
【0104】
図26をより具体的に参照すると、整形外科用の固定デバイス1715はさらに、整形外科用の固定デバイス1715内に第2の複数の流路1761を有しており、多孔質のコーティング1735または整形外科用の固定デバイス1715周囲の骨に流体をもたらすことができる。流体は、濾過した空気または他の気体、抗生物質、抗ウイルス剤、細胞成長促進剤、洗浄用流体、化学的活性薬剤、または他の流体を含む。複数の流体を整形外科用の固定デバイス1715を囲んでいる骨に導入するのが望ましい場合、更に流体連通する通路を設けてもよい。連結ポート1765は流路1761に流体連結されており、この連結ポート1765は、流体送達管1771および流体送達源1773を接続するように構成されている。流路1761は、いくつかの横方向の支線1785と流体連通する主要な分配線1783を具えており、支線は多孔質のコーティング1735と連通している。横方向の支線1785は、図23に示すように主要な分配線1783に対して垂直な方向に向いているか、または主要な分配線1783に対して角度を成している。
【0105】
第1の複数の流路1741への減圧の送達および第2の複数の流路1761への流体の送達は、減圧送達管1751および流体送達管1771といった別個の管によって実施することができる。代替的に、本書で上述したような複数の管腔を有する管を用いて、減圧と流体を送達する連通路を分離してもよい。整形外科用の固定デバイス1715内に流体連通する別々の通路を設けることが好ましいが、第1の複数の流路1741を用いて整形外科用の固定デバイス1715に近接する骨に減圧および流体の双方を送達できることに留意されたい。
【0106】
マニホルドとして整形外科用の固定デバイス1715を利用し、整形外科用の固定デバイス1715の近くの骨の領域に減圧を送達すると、骨1717の割れ目1719の回復を速めて向上させる。第2の複数の流路1761を設けて整形外科用の固定デバイス1715の周囲の骨と液通すると、整形外科用の固定デバイスの近くの新たな骨の良好な形成を向上させる。
【0107】
図27を参照すると、骨の骨欠損を治療する方法1811は、ステップ1815で整形外科用の固定デバイスを使用して骨を固定するステップを含んでいる。整形外科用の固定デバイスは、整形外科用の固定デバイス内に設けられた複数の流路を有している。ステップ1819では、複数の流路を通って減圧が骨欠損に適用される。
【0108】
図28を参照すると、減圧組織治療を組織部位に施す方法1911は、流路の少なくとも一部が組織部位と流体連通するように、ステップ1915で複数の流路を有するマニホルドを配置するステップを含んでいる。ステップ1919では、流路を通って組織部位に減圧が適用され、ステップ1923では流路を通って組織部位に流体が送達される。
【0109】
図29を参照すると、減圧組織に治療組織部位を施す方法2011は、ステップ2015で組織部位の近くにマニホルド送達管の遠位端を配置するステップを含んでいる。ステップ2019ではマニホルド送達管を通って組織部位に流体を送達する。流体は組織部位に近接する空洞を充填することが可能であり、組織部位と流体連通する複数の流路を有する固体マニホルドとなる。ステップ2023で固体マニホルドの流路を通って減圧が組織部位に適用される。
【0110】
図30乃至図38を参照すると、減圧送達システム2111は、主要な流路2121を囲んでいる壁部2117を有する主要なマニホルド2115を具えている。壁部2117は、近位端2123で減圧送達管2125に接続されている。減圧送達管2125の形状は一般に断面が円形であり、主要なマニホルド2115の形状の断面は円形以外(すなわち、図30乃至図35の矩形および図36乃至図38の三角形)でもよいため、移行領域2129が減圧送達管2125と主要なマニホルド2115の間に設けられる。主要なマニホルド2115は、減圧送達管2125に接着してもよく、融合またはインサート成形といった他の手段を用いて連結してもよく、あるいは代替的に共押し出しによって一体的に接続してもよい。減圧送達管2125は、減圧を主要なマニホルド2115に送達し、組織部位にまたはその近くに分配する。
【0111】
壁2117は、柔軟な材料、硬質な材料、または柔軟な材料と硬質な材料双方の組み合わせで作ることができる。例えば、医療グレードのシリコーン重合体または他の柔軟な材料が成形、押出し成型、あるいは製造されて、柔軟な壁2117を形成してもよい。代替的に、硬質な材料は、限定ではないが、金属、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、および他の硬質なポリマ材料を含み、硬質な壁2117を形成すべく、成形、押し出し成形、あるいは製造される。
【0112】
閉塞防止材2135が主要なマニホルド内に配置されて主要なマニホルド2115が潰れるのを防ぎ、その結果、減圧を適用する際に主要な流路2121が閉塞するのを防ぐ。一実施形態では、閉塞防止材2135は、壁2117の内面2141に設置され、主要な流路2121へと延在する複数の突起部2137(図34参照)であってもよい。他の実施形態では、この閉塞防止材2135は、内面2141に設置された1または複数の頂部2145(図30および図31参照)であってもよい。更に他の実施形態では、閉塞防止材2135は、図37に示すように、主要な流路内に設置された気泡材料2149を含んでもよい。閉塞防止材2135は、流路内に挿入できる、あるいは壁2117と一体または壁に取り付けることができる材料または構造であってもよい。この壁2117が柔軟な材料で作られる場合、閉塞防止材2135は壁2117が完全に潰れるのを防ぐことができるが、さらに主要な流路2121を通って流体が流れることもできる。
【0113】
壁2117はさらに、主要な流路2121と連通している壁2117を通る複数の開口部2155を具えている。この開口部2155によって、主要な流路2121に送達された減圧を組織部位に分配することが可能となる。開口部2155は、主要なマニホルド2115の周囲に選択的に配置され、好適には真空を送達させてもよい。
【0114】
減圧送達管2125は、好適には主要な流路2121に流体連結された少なくとも1の出口を有する第1の導管2161を具えており、減圧を主要な流路2121に送達する。第2の導管2163を設けて、流体で主要な流路2121および第1の導管2161を浄化し、組織部位から吸い出された滲出液および他の流体による閉塞を防ぐか解消することができる。第2の導管2163は好適には、主要な流路2121の少なくとも1つおよび第1の導管2161の少なくとも1の出口に近接して設置された少なくとも1つの出口を具えている。
【0115】
より具体的に図30および図31を参照すると、減圧送達システム2111は、主要な流路2121および第1の導管2161を洗浄する複数の導管を具えている。減圧送達管2125が取り付けられる端部と反対側の壁2117の端部は図30に示すように開口しているが、壁2117の端部を覆うと、洗浄機能の性能や信頼性が向上しうることが分かっている。好適には、覆われた壁の端部と第2の導管2163の端部の間に頭部空間2171が設けられる。この頭部空間2171によって、洗浄プロセスの際に洗浄流体を蓄積し、洗浄流体が主要な流路2121を通って第1の導管2161に流入するのが可能となる。
【0116】
また、閉塞防止材2135として機能する仕切りを図31に示す。中央に設置された仕切りは、主要な流路2121を2つのチャンバに分岐させ、これらのチャンバの一方が閉塞して洗浄により閉塞を解消することが不可能な場合にも、主要なマニホルド2115の連続的な動作を可能にする。
【0117】
図39および図40を参照すると、減圧送達システム2211は、減圧送達管2217と一体となった主要なマニホルド2215を具えている。減圧送達管2217は、中央管腔2223と複数の補助管腔2225とを具えている。補助管腔2225を使用して組織部位またはその近くの圧力を測定する一方、さらに補助管腔2225を使用して中央管腔2223を洗浄し閉塞を防止または解消することができる。複数の開口部2231は中央管腔2223と連通して中央管腔2223によって送達される減圧を分配する。図40に示すように、開口2231は補助管腔2225を貫通しないことが好ましい。また、減圧送達管の皿頭端部を図40に示しており、これが補助管腔2225の端部以外に頭部空間2241を形成する。減圧を適用する際に、組織、スキャフォールド、または他の材料が減圧送達管2217の端部と係合すると、頭部空間2241が連続して液体または気体といった洗浄流体を中央管腔2223に送達可能となる。
【0118】
動作時に、図30乃至図40の減圧送達システム2111、2211を組織部位に直接適用して、減圧を組織部位に分配してもよい。本書に記載の経皮的な導入および取り外し法では、薄型の主要なマニホルドの形状が非常に望ましい。同様に、主要なマニホルドを外科的に挿入することもできる。
【0119】
ここで図41および図42を参照すると、実施例によるマニホルド5115が図示されている。図42は、マニホルド5115の縦断面図である。このマニホルド5115は、患者に挿入されて、皮下組織部位に配置されるよう適合されている。マニホルド5115は、互いに近接している複数の第1の導管5121を具えており、第1の導管5121の間に第2の導管5163を規定する内部空間を形成する。複数の第1の導管5121は、均一なパターンまたは不規則なパターンで配置されてもよく、複数の第1の導管5121の部材はサイズが均一または異なっていてもよい。第1の導管5115は、溶接、セメント、接着等といった複数の接着剤によって互いに連結されてもよい。マニホルド5115は、第1の導管5121および第2の導管5163を用いて減圧供給機能および洗浄機能を提供している。非限定的な一例では、第2の導管5163は、複数の第2の開口部5140を介してそれぞれの第1の導管5121と連通していてもよい。
【0120】
マニホルド5115は第1の導管5121を具えている。第1の導管5121はそれぞれ、環状壁などの壁5125に形成された少なくとも1つの第1の開口部5131と、少なくとも1つの第2の開口部5140とを有する。図41および図42の非限定的な例では、第1の導管5121はそれぞれ、壁5125に形成された複数の第1の開口部5131と複数の第2の開口部5140とを有している。第1の開口部5131は、互いに均一または不均一な間隔に配置されてもよく、直径が均一または不均一であってもよい。さらに、第2の開口部5140は、互いに均一または不均一な間隔に配置されてもよく、直径が均一または不均一であってもよい。
【0121】
一実施例では、少なくとも1つの第1の導管5121が、図9の減圧源427のような減圧源と流体連通している。第1の導管5121の少なくとも1つは、第1の開口部5131を介して減圧源から組織部位に減圧を送達することができる。第1の導管5121はさらに、マニホルド5115の遠位端5182といった、マニホルド5115の任意の部分に減圧を送達することもできる。別の実施例では、第1の導管5121はそれぞれ減圧源と流体連通しており、第1の導管5121がそれぞれ第1の開口部5131を介して減圧を皮下組織部位に送達する。第1の導管5121を通ってマニホルド5115の遠位端5182から離れる方向の流体の流れを矢印5171に示している。このようにマニホルド5115から離れる流体の流れによって、第1の導管5121または第1の導管の少なくとも一部分における減圧が第1の開口部5131を介して組織部位に送達される。
【0122】
それぞれ第1の開口部5131は、第1の導管5121と組織部位などのマニホルド5115の外側の空間との間の流体連通を可能にする。第1の導管5121から組織部位への減圧の送達を可能にすることに加えて、第1の開口部5131によって、組織部位からの滲出液または他の流体が第1の導管5121内に侵入することも可能となる。マニホルド5115の外側の空間から第1の導管5121内への流体の流れを、矢印5172に示している。
【0123】
第1の導管5121は、円形の断面形状を示している。しかしながら、第1の導管5121は、楕円形、ひし形、三角形、四角形、多角形等を含む任意の断面形状を有することができる。
【0124】
さらに、図41は4の第1の導管5121を有するマニホルド5115を示しているが、マニホルド5115は任意の数の第1の導管を有することができる。例えば、マニホルド5115は2以上の第1の導管5121を有し、第2の導管5163を少なくとも部分的に取り囲んで形成してもよい。第2の導管5163は、2以上の第1の導管5121間、一般には少なくとも3以上の第1の導管5121の間の中央に配置することができる。
【0125】
円形の断面形状を有する第1の開口部5131がそれぞれ図示されている。しかしながら、それぞれの第1の開口部5131は、楕円または多角形の断面形状といった任意の断面形状を有することができる。他の例では、それぞれの第1の開口部5131は、第1の導管5121の総てまたは一部に沿って延在するスリットであってもよい。本書で使用する「スリット」とは、細長い穴、開口部、またはチャネルである。一実施例では、スリットはそれぞれ、互いにほぼ平行であってもよい。
【0126】
マニホルド5115の第2の導管5163は、第1の導管5121のそれぞれの外面5184および5186の一部分によって形成されている。それぞれの第2の開口部5140は、第2の導管5163を形成する第1の導管5121のそれぞれの外面5184および5186の一部に位置している。第2の導管5163は通常、第1の導管5121の間に形成、あるいは設置される。第2の導管5163は、第2の開口部5140を介して第1の導管5121と流体連通している。
【0127】
第2の導管5163は、組織部位または第1の導管5121の部分に流体を供給する流体源(図示せず)と流体連通することができる。第2の導管5163は、流体源を受けることができる。一実施形態では、第2の導管5163が、第2の開口部5140を介して第1の導管5121それぞれに流体を送達する。第2の導管5163はさらに、マニホルド5115の端部を含む、マニホルドの遠位部分5115に流体を送達することもできる。第2の導管5163はさらに、マニホルド5115周囲の組織空間に流体を送達することもできる。第2の導管5163によって送達される流体は、空気などの気体または液体であってもよい。第2の導管5163によって送達される流体の流れを、矢印5173に示す。代替的な実施形態では、流体源からの流体は、1以上の第1の導管5121によって、マニホルド5115の遠位端5182へと送達されうる。
【0128】
非限定的な一実施例では、第1の導管5121が第2の開口部5140を介して第2の導管5163から流体を抜き取る。この実施形態では、減圧源からの減圧によって、流体は第2の開口部5140を介して第2の導管5163から第1の導管5121に抜き取られる。他の非限定的な実施例では、流体源によって発生し、第2の導管5163によって送達される正圧は、第2の開口部5140を介して第2の導管5163から第1の導管5121に流体を押しやる、あるいは移動させる。第2の開口部5140を介して第2の導管5163から第1の導管5121に流体が移動すると、マニホルド5115に形成される閉塞を取り除くか減少させる効果があるマニホルド5115の洗浄機能を促進させる。第1の導管5121は任意の数の第2の開口部5140を具えてもよく、この数が第2の導管5163から第1の導管5121に移動する流速を制御することができる。
【0129】
一実施形態では、マニホルド5115は、マニホルド5115の遠位端5182と接続するよう適用されるか、接続されたエンドキャップ5170を具え、分配空間を形成することができる。第2の導管5163によって送達された流体は、エンドキャップ5170をマニホルド5115の遠位端5182に接続することで形成された空間を介して、第2の導管5163から第1の導管5121に移動することができる。一実施形態では、この空間は、第2の導管5163から第1の導管5121に移動する流体が通る唯一の通路を設けてもよい。この実施形態では、第2の開口部5140が第1の導管5121には存在しない、あるいは最低数の開口部5140であってもよい。
【0130】
一実施例では、第2の開口部5140はない、あるいはマニホルド5115の外側へと開放していなくともよく、液体または空気などの流体は、バルブを大気(例えば、空気パージ)に開放することで第2の導管5163へと吸い出すことができる。このバルブは、第2の導管5163と流体連通している。従って、流体は第2の導管5163を通って吸い出され、第1の導管5121を介して減圧デバイスへと戻り、これは、減圧下では、マニホルド5115から減圧源へとフィブリン形成物などの凝固/凝結の形成物を吸い出す力を供給することができる。この実施形態では、第2の導管5163への供給ポートは、マニホルド5115の外面になくてもよい。この実施例では、第2の導管5163は、第2の導管5163の遠位端を含み、第1の導管5121によって完全に囲まれていてもよく、その結果、組織空間などの外側の環境から閉鎖されていてもよい。第2の導管5163は、第2の導管5163から第1の導管5121へと隣接するエンドキャップ5170と通じている。この実施例は、第2の導管5163から第1の導管5121に流体が移動するにつれて、流体がマニホルド5115内に含まれるようにすることができる。従って、この実施形態では、流体が組織空間の内外に移動する可能性は減少するか、なくなる。
【0131】
例示的、非限定的な一実施形態では、マニホルド5115が4の第1の導管5121で形成されている。前述のように、第1の導管5121が第2の導管5163を形成している。4の第1の導管5121はそれぞれ、4の第1の導管5121の他の少なくとも2つと接触している。この実施形態では、4の第1の導管5121および第2の導管5163は、導管5121、5163を共押し出し成形することで形成される。導管5121、5163を共押し出し成形した後に、コアピンを用いて導管に真直ぐ穴開けし、第1の開口部5131を形成することができる。従って、例えば、コアピンが(図41の向きに対して)上部右側の第1の導管5121および下部左側の第1の導管5121を穴開けして、第2の導管5163を同時に貫通させてもよい。これは、必要な回数且つ様々な向きで繰り返すことができる。
【0132】
第2の導管5163内の流体が液体である例では、この液体は第2の導管5163に汲み出されるか重力送りされ、これにより、液体用の通路のみが第1の導管5121に沿って、減圧源の方へと、第2の開口部5140を通って第1の導管5121に通っている。マニホルド5115は好適には対象的なデザインを有しており、マニホルド5115の対称的なデザインによって、マニホルド5115を任意の空間的向きに利用でき、それぞれの位置で同じまたは同様の結果を得ることが可能となる。
【0133】
他の実施例では、供給された流体は組織空間などのマニホルド5115を囲んでいる空間に侵入することが可能である。例えば、流体は第2の導管5163の遠位端5182にある開口でマニホルド5115を出ることができる。次いで、この流体は、第1の導管5121内に吸い込まれてもよい。
【0134】
一実施例では、減圧を皮下組織部位に適用する方法は、マニホルド5115を皮下組織部位に適用するステップを含んでいる。このマニホルド5115は患者に経皮的に挿入することができ、マニホルド5115は、皮下組織部位に近接するか、隣接して設置することができる。マニホルド5115の対称的なデザインは、任意の向きにマニホルドを容易に埋め込めるようにすることができる。
【0135】
一実施例では、減圧を皮下組織部位に適用する装置を製造する方法は、第1の導管5121を設けるステップを含んでいる。この方法はさらに、第1の導管5121を互いに接続して、第2の導管5163を形成するステップを含んでもよい。第2の導管5163は、第1の導管5121のそれぞれの外面5184および5186の一部によって形成される。この方法はさらに、第1の導管5121の少なくとも1つに減圧を送達すべく、送達導管を設けるステップを含んでもよい。この方法はさらに、この送達導管を第1の導管5121および第2の導管5163に流体連結するステップを含みうる。
【0136】
図43を参照すると、マニホルド5115の他の例示的、非限定的な実施形態が図示されている。マニホルド5115は複数の第1の導管5121を具えており、これらの導管は複数の接着剤5117によって間隔を開けて接続されている。複数の第1の導管5121はそれぞれ、異なる直径または同一の直径を有していてもよく、この実施例では、第1の導管5121のうち1の導管5123は、他の導管よりも小さい直径で示されている。この実施例および他の実施例では、第1の導管の直径は異なる、あるいは均一であってもよいと理解されたい。
【0137】
マニホルド5115は、第1の導管5121のそれぞれの外面5184の一部によって形成された第2の導管5163を具えている。第2の導管5163は波線で示されており、この図では星状の形状をしている。第3の導管5165などの1以上の更なる導管を、第2の導管5163内に設置してもよい。更なる導管5165は、図示のように複数の第1の導管5121それぞれに接触するようなサイズであってもよく、あるいは更に小さいサイズであってもよい。更なる導管または第3の導管5165は、1以上の第1の導管5121に接続することができる。代替的な実施形態(図示せず)では、第1の導管5121は第2の導管を形成しないまたは完全には形成しないでもよいが、マニホルド5115は第1の導管5121それぞれに近接する中央位置に更なる導管5165を有していてもよい。
【0138】
更なる導管5165は洗浄流体を通すことができる、あるいはこの導管を利用して、マニホルド5115の遠位端(図示せず)に、またはそこから他の流体を通してもよい。更なる導管5165の外側および第2の導管5163の内側に形成された空間5167は、第1の導管5121の外壁部5184の開口部を通して導入される洗浄流体を伝達することができ、更なる導管5165は、洗浄流体をエンドキャップ(例えば、図42のエンドキャップ5170)に送達して、洗浄流体を遠位端における第1の導管5121に導入することができる。エンドキャップ5170は、締まりばめ、RF溶接、RF形成による先端加工、溶剤結合、または他の連結法を用いて、遠位端5182に取り付けることができる。
【0139】
図44Aおよび図44Bを参照すると、実施例によるマニホルド5315が図示されている。このマニホルド5315は、管腔の壁5380によって少なくとも部分的に分離している洗浄管腔5363と減圧管腔5321を具えている。非限定的な一例では、洗浄管腔5363は管腔間チャネル5340および頭部空間5371を介してそれぞれの減圧管腔5321と連通していてもよい。
【0140】
マニホルド5315は、減圧源から減圧を送達する減圧管腔5321を具えている。この減圧管腔5321は、減圧源から組織部位、またはマニホルド5315の任意の部分に減圧を送達する。減圧管腔5321を通ってマニホルド5315の端部5382から離れる方向に流れる流体を、矢印5369に示す。このようにマニホルド5315から離れる流体の流れによって、減圧管腔5321における減圧を組織部位、さらにはマニホルド5315の他の部分に送達することができる。減圧管腔5321は、円形、楕円形、平板、不揃い、または多角形の断面形状を含む、任意の断面形状を有していてもよい。一例では、マニホルド5315を作る材料は柔軟であって、管腔を通る流体の流れに応じて、減圧管腔5321の断面形状を変化させてもよい。さらに、図44Aおよび図44Bは2つの減圧管腔5321を有するマニホルド5315を示しているが、マニホルド5315は、特定の実施形態に応じて任意の数の減圧管腔を有していてもよい。
【0141】
減圧管腔5321はさらに開口部5331を具えている。減圧源からの減圧は、減圧管腔5321の開口部5331を介して組織部位に送達することができる。それぞれの開口部5331は、減圧管腔5321と組織部位などのマニホルド5315の外側の空間との流体連通を可能にしている。減圧管腔5321から組織部位への減圧の移動を可能にすることに加えて、開口部5331はさらに、組織部位からの滲出液または他の流体が減圧管腔5321に侵入するのを可能にする。マニホルド5315の外側の空間から減圧管腔5321内への流体の流れを、矢印5372に示す。
【0142】
開口部5331はそれぞれ、円形の断面形状を有していてもよい。しかしながら、それぞれの開口部5331は、楕円形、多角形、不揃いな断面形状といった、任意の断面形状を有していてもよい。他の例では、それぞれの開口部5331は、減圧管腔5321の全体または一部に沿って延在するスリットであってもよい。この例では、スリットはそれぞれ、互いにほぼ平行であってもよい。
【0143】
マニホルド5315はさらに、洗浄管腔5363を具えている。洗浄管腔5363は、減圧管腔5321間の中央に設置される。この洗浄管腔5363は、図30および図31の第2の導管2163の別の非限定的な実施例であり、マニホルド5315の端部5382を含むマニホルドの遠位部分5315に流体を送達するよう機能しうる。洗浄管腔5363はさらに、マニホルド5315周囲の組織空間に流体を送達することもできる。洗浄管腔5363によって送達される流体は、空気などの気体、または液体であってもよい。洗浄管腔5363によって送達される流体の流れを矢印5373に示す。
【0144】
洗浄管腔5363は、円形、楕円形、平板、不揃い、または多角形の断面形状を含む任意の断面形状を有していてもよい。一例では、マニホルド5315を作る材料は柔軟であって、管腔を通る流体の流れ、さらには他の要素に応じて洗浄管腔5363の断面形状を変化させてもよい。1つの洗浄管腔5363が図示されているが、マニホルド5315は任意の数の洗浄管腔を有していてもよい。
【0145】
洗浄管腔5363は、柔軟または硬質な管腔の壁5380によって、減圧管腔5321と分離している。管腔の壁5380は、管腔間チャネル5340を具えている。これらの管腔間チャネル5340は、洗浄管腔5363と減圧管腔5321の間を流体連結する、あるいは流体連通をもたらしている。一例では、減圧管腔5321は、管腔間チャネル5340を介して洗浄管腔5363から洗浄流体を吸い出す。他の例では、洗浄管腔5363内の正圧が管腔間チャネル5340を介して洗浄管腔5363から減圧管腔5321に流体を押し出している。洗浄管腔5363内の正圧は、正圧源によって供給されてもよい。管腔の壁5380は任意の数の管腔間チャネル5340を有していてもよく、この数が洗浄管腔5363から減圧管腔5321に送達される流体の速度を制御することができる。
【0146】
別の例では、洗浄管腔5363から減圧管腔5321への流体の移動は、マニホルド5315の端部をエンドキャップ5370に連結することにより形成される頭部空間5371を介して生じることがある。一実施形態では、この頭部空間が、洗浄管腔5363から減圧管腔5321に伝達される流体が通る唯一の通路を設けてもよい。この実施形態では、管腔間チャネル5340はマニホルド5315になくてもよい。洗浄管腔5363から減圧管腔5321への流体の移動を促進するため、管腔の壁5380はエンドキャップ5370に接触せずに終端して、頭部空間5371を形成してもよい。
【0147】
図45および図46を参照すると、実施例によるマニホルド5415が図示されている。図46は、図45の線46−46に沿って取り出した、マニホルド5415の断面図である。マニホルド5415は、シート5580および5581を具えている。シート5580の外周部5590は、シート5581の外周部5592に取り付けられて、ポーチを形成する。マニホルド5415はさらに、ポーチによって少なくとも部分的に囲まれた減圧空洞5421を有している。洗浄管5463はポーチ内へ延在している。
【0148】
シート5580および5581は任意の材料で作られ、硬質または柔軟であってもよい。一例では、このシート5580および5581は、シリコーンで構成される。薄型、且つ場合によっては柔軟な性質のマニホルド5415は、皮下組織部位におけるマニホルド5415の移動および配置を容易にする。薄型のマニホルド5415はさらに、マニホルド5415の経皮的な除去も容易にすることができる。シート5580および5581の間を接続することで形成されたポーチが図45に示されており、「U」型を有している。図46の断面図は、長円形または「ひとみ」型を有するシート5580および5581を示している。しかしながら、実施形態に応じて、ポーチは、円形、多角形、または不揃いな形状といった任意の形状を有してもよい。一例では、ポーチを作る材料は柔軟であって、空洞を通る流体の流れ、さらには他の要素に応じて、ポーチの断面形状、ひいては減圧空洞5421を変化させてもよい。
【0149】
一例では、シート5580の外周部5590はシート5581の外周部5592に固定して取り付けられ、シーム5479を形成する。代替的に、シート5580および5581の間を接続することでシームがない場合もある。他の例では、シート5580および5581は、別個のシートではなく、1つの連続した材料部分から形成される。
【0150】
減圧空洞5421は、減圧源から減圧を移動させる。この減圧空洞5421は、減圧源から組織部位、またはマニホルド5415の任意の部分に減圧を送達することができる。減圧空洞5421を通ってマニホルド5415の端部5482から離れる流体の流れを、矢印5469に示す。このようにマニホルド5415から離れる流体の流れにより、減圧空洞5421における減圧を組織部位、さらにはマニホルド5415の他の部分に移動させる。
【0151】
シート5580および5581は、開口部5531を具えている。減圧源からの減圧は、開口部5531を介して組織部位に送達することができる。各開口部5531によって、減圧空洞5421と組織部位などのマニホルド5415の外側の空間との間の流体連通が可能となる。減圧空洞5421から組織部位への減圧の移動を可能にすることに加えて、開口部5531によって組織部位からの滲出液または他の流体が減圧空洞5421に侵入することも可能となる。マニホルド5415の外側の空間から減圧空洞5421内への流体の流れを矢印5572に示す。
【0152】
開口部5531はそれぞれ、円形の断面形状を有していてもよい。しかしながら、それぞれの開口部5531は、楕円形、多角形、不揃いな断面形状といった、任意の断面形状を有してもよい。他の例では、それぞれの開口部5531は、シート5580および5581の全体または一部に沿って延在するスリットであってもよい。この例では、それぞれのスリットは、互いにほぼ平行であってもよい。シート5580および5581の双方に具えられた開口部5531が図示されているが、開口部5531はシート5580および5581の片方のみに具えられてもよい。
【0153】
洗浄管5463は、シート5580および5581によって形成されるポーチ内に設置される。この洗浄管5463は、図30および図31の第2の導管2163の他の非限定的な実施例であって、マニホルド5415の端部5482を含む、マニホルド5415の遠位部分に流体を送達するよう機能する。洗浄管5463はさらに、マニホルド5415周囲の組織空間に流体を送達してもよい。洗浄管腔5463によって送達される流体は、空気などの気体、または液体であってもよい。洗浄管腔5463によって送達される流体の流れを矢印5473に示す。
【0154】
洗浄管5463は、円形、楕円形、平板、不揃い、または多角形の断面形状を含む、任意の断面形状を有していてもよい。一例では、洗浄管5463を作る材料は柔軟であって、管を通る流体の流れ、さらには他の要素に応じて、洗浄管5463の断面形状を変化させてもよい。1つの洗浄管5463が図示されているが、マニホルド5415は任意の数の洗浄管腔であってもよい。
【0155】
洗浄管5463は管腔間チャネル5440を具えている。この管腔間チャネル5440は、洗浄管5463と減圧空洞5421の間を流体連結するか、流体連通を設けている。一例では、減圧空洞5421は管腔間チャネル5440を介して洗浄管5463から洗浄流体を抜き取る。他の例では、洗浄管5463内の正圧が、管腔間チャネル5440を介して洗浄管5463から減圧空洞5421に流体を押しやる。洗浄管5463内の正圧は、正圧源によって供給することができる。洗浄管5463は任意の数の管腔間チャネル5440を有していてもよく、この数が洗浄管5463から減圧空洞5421に移動する流体の速度を制御することができる。
【0156】
他の例では、洗浄管5463から減圧空洞5421への流体の移動は、頭部空間5471を介して生じてもよい。この例では、洗浄管5463からの流体が頭部空間5471に侵入できるように、エンドキャップ5470のようなエンドキャップを洗浄管5463の端部に配置しないでもよい。一実施形態では、頭部空間は、洗浄管5463から減圧空洞5421に移動する流体が通る唯一の通路を設けてもよい。この実施形態では、管腔間チャネル5440はマニホルド5415になくてもよく、エンドキャップを洗浄管5463の端部に配置しなくてもよい。他の例では、管腔間チャネル5440が洗浄管5463から減圧空洞5421に移動する流体が通る唯一の通路を提供するように、エンドキャップ5470を洗浄管5463の端部に配置してもよい。
【0157】
図47を参照すると、本書に記載の任意のマニホルドである主要なマニホルド5486は、補助マニホルド5488と併用して使用することができる。図47では、補助マニホルド5488は、二層のフェルトマットを具えている。補助マニホルド5488の第1の層は、骨の骨折5490または他の欠損部を含む骨の組織部位5489と接触して配置される。主要なマニホルド5486は第1の層と接触して配置され、補助マニホルド5488の第2の層は、主要なマニホルド5486および第1の層の上に配置される。補助マニホルド5488は、主要なマニホルド5486と骨の組織部位5489との間の流体連通を容易にし、さらに、骨の組織部位5489と主要なマニホルド5486との間の直接的な接触を防止する。
【0158】
好適には、補助マニホルド5488は生体吸収性であり、減圧治療が終了した後に補助マニホルド5488をそのまま残すことができる。減圧治療が終了すると、主要なマニホルド5486は、骨組織部位5489に殆どまたは全く障害を与えることなく、補助マニホルド5488の層の間から取り除くことができる。一実施形態では、主要なマニホルド5486は、潤滑材またはヒドロゲルを形成する材料でコートされ、層の間から容易に除去できるようにできる。
【0159】
補助マニホルド5488は、新たな組織が成長するためのスキャフォールドとして機能することが好ましい。スキャフォールドとして、補助マニホルド5488は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリウレタン、コラーゲン、ヒアルロン酸、キトサン、ハイドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、バイオガラス、ステンレス鋼、チタン、タンタル、同種移植片および自家移植片の群から選択された少なくとも1つの材料で構成されてもよい。
【0160】
図30乃至図32、36、39、および図40における減圧送達システムの洗浄機能は、本書に記載のマニホルドと共に使用することができる。マニホルドまたは減圧を送達する導管を洗浄する能力は、減圧の適用を妨げる閉塞部の形成を防ぐ。これらの閉塞部は、組織部位に近い圧力が平衡に達し、組織部位周囲の流体の放出が緩慢になるにつれて、一般に形成される。特定の時間、特定の間隔で空気によってマニホルドおよび減圧導管を洗浄すると、閉塞を防ぐまたは解消するのに役立つことが分かっている。例えば、マニホルドを洗浄すると、フィブリンによって起こる閉塞を防ぐことができる。
【0161】
より具体的には、減圧を送達する第1の導管とは別個の第2の導管を通って空気が送達される。第2の導管の出口は、マニホルドまたは第1の導管の出口に近い方が好ましい。空気は加圧されて第2の導管の出口に「押し出され」てもよいが、この空気は組織部位における減圧によって第2の導管を通って抜き取られるのが好ましい。減圧を適用する際に60秒の間隔で2秒間空気を送達すると、多くの場合は、閉塞の形成を防ぐには十分であるということが分かっている。この洗浄スケジュールは、マニホルドおよび第1の導管内の流体を十分に移動させる十分な空気を提供する一方で、過剰な空気が導入されるのを防ぐ。空気を多く導入しすぎる、あるいは空気を高頻度の間隔で導入すると、減圧システムは洗浄サイクルの間に目標減圧に戻ることができなくなる。洗浄流体を送達する規定の時間および洗浄流体を送達する規定の間隔は、システムの構成要素(例えば、ポンプ、管など)の設計およびサイズに基づいて異なる。しかしながら、閉塞部を十分に洗浄しながら、洗浄サイクルの間に完全な目標圧力に回復することが可能な量および間隔で、空気などの洗浄流体を送達するべきである。
【0162】
図48を参照すると、一実施例では、減圧送達システム5491は、第1の導管5493および第2の導管5494に流体連結されたマニホルド5492を具えている。第1の導管5493は減圧源5495に連結され、減圧をマニホルド5492に提供する。第2の導管5494は、マニホルド5492と流体連通し、第1の導管5493の出口と近位に設置された出口5496を具えている。第2の導管5494はバルブ5497に流体連結され、バルブ5497が開放位置にある場合に、第2の導管5494と外気の間の連通を可能にすることができる。バルブ5497はバルブ5497の開閉を制御可能なコントローラ5498に機能的に連結され、外気で第2の導管の洗浄を調整し、マニホルド5492および第1の導管5493内の閉塞を防ぐ。
【0163】
液体または気体を含む流体を利用して、本書に記載された洗浄法を実施できることに留意されたい。洗浄流体を流す力は組織部位における減圧の抜き取りであることが好ましいが、図9について説明したものと同様の流体送達手段によって同様に流体を送達することもできる。
【0164】
図49乃至図52を参照すると、実施例による減圧送達装置5800が図示されている。この減圧治療装置5800は、マニホルド5815と、移行領域5829と、送達管5825とを具えている。減圧治療装置5800は、図48の減圧源5495のような減圧源から皮下組織部位にスリット5831を通って減圧を送達する。減圧治療装置5800はさらに、マニホルド5815に閉塞が形成されるのを防ぐ効果がある洗浄機能も具えている。
【0165】
図49乃至図52には図示されていないが、マニホルド5815は、気体または液体といった流体をマニホルドの遠位部分5815に送達可能な少なくとも1の洗浄管腔を具えてもよい。マニホルド5815はさらに、スリット5831を介して皮下組織部位に減圧を送達可能な少なくとも1の減圧管腔を具えてもよい。少なくとも1の減圧管腔はスリット5831で終端することができ、このスリットが皮下組織部位に適用される減圧を通す開口部を設けている。さらに、マニホルド5815は、少なくとも1の減圧管腔、少なくとも1の洗浄管腔、およびスリット5831の組み合わせを流体的に相互連結する1以上の管腔間チャネルを具えてもよい。一実施形態では、スリット5831は、少なくとも1の減圧管腔(図示せず)および少なくとも1の洗浄管腔(図示せず)に対して平行である。少なくとも1の洗浄管腔、減圧管腔、および管腔間チャネルは、図53乃至図55に更に詳しく図示されている。
【0166】
マニホルド5815は、皮下組織部位に配置するために挿入されるよう適合されている。図49乃至図52の実施形態では、マニホルド5815は平板形状を有しており、皮下組織部位にマニホルド5815を配置するのを容易にしている。特に、マニホルド5815は、平坦面5885および反対の平坦面5886、さらには曲面5887および反対の曲面5888を有している。他の例では、平坦面5885および5886と、曲面5887および5888はそれぞれ、平坦、湾曲、または他の形状であってもよい。マニホルド5815の幅5890はマニホルド5815の高さ5891よりも大きく、平板形状のマニホルド5815を提供している。しかしながら、幅5890は高さ5891と等しいか、それよりも小さくてもよい。
【0167】
マニホルド5815は、皮下組織部位に設置可能な任意の材料で構成することができる。一例では、マニホルド5815は、マニホルド5815を通って減圧が適用されたときに潰れにくいものである。このような耐性は、マニホルド5815の構造、さらにはマニホルド5815が作られる材料により、少なくとも部分的に与えることができる。例えば、マニホルド5815を作る材料の硬さは、マニホルド5815を通して減圧が適用されたときにマニホルド5815が潰れにくいように調整されてもよい。一実施形態では、マニホルド5815は、医療グレードのシリコーンなどのシリコーンで構成されてもよい。他の実施形態では、マニホルド5815は熱可塑性のシリコーンポリエーテルウレタンで構成されてもよい。
【0168】
皮下組織部位におけるマニホルド5815の設置を容易にするため、マニホルド5815は生体適合性または合成の潤滑剤でコートされてもよい。この潤滑剤はマニホルド5815の経皮的な挿入、さらにマニホルド5815の皮下の動きを容易にすることができる。一例では、マニホルド5815は、ヘパリンまたはパリレンの何れかまたは両方でコートされる。
【0169】
マニホルド5815の平坦面5885は、スリット5831を具えている。このスリット5831は、マニホルドの遠位部分5815に位置している。3つのスリット5831を有するマニホルド5815が図示されているが、マニホルド5815は1つのスリットというように、任意の数のスリットを有することができる。スリット5831は、マニホルド5815の遠位端に延在している。一例では、スリット5831は、マニホルド5815の長さ5894の大部分にわたって延在してもよい。他の例では、スリット5831は、マニホルド5815の長さ5894全体にわたって延在してもよい。
【0170】
スリット5831はそれぞれ、マニホルド5815の片側、特に平坦面5885に位置している。しかしながら、スリット5831は、マニホルド5815の1以上の面に位置していてもよい。例えば、マニホルド5815の総ての面が1以上のスリットを有していてもよい。このスリット5831は、互いに平行で、それぞれ同じ長さを有することができる。しかしながら、スリット5831は、互いに任意の向きを向いていてもよい。例えば、スリット5831の一部は、スリット5831の他の部分に対して垂直であってもよい。さらに、スリット5831は、例えばそれぞれのスリット5831が異なる長さを有する例を含む、不均一な長さを有していてもよい。
【0171】
マニホルド5815はさらにマニホルド5815の端部に取り付けできるエンドキャップ5870を具え、図31の頭部空間2171のような頭部空間を形成することができる。エンドキャップ5870は、マニホルド5815に恒久的または脱着可能に取り付けることができる。頭部空間は、少なくとも1の減圧管腔を介して流体が吸い出される前に、少なくとも1の洗浄管腔から流体を蓄積することができる。
【0172】
減圧治療装置5800はさらに、減圧送達管5825を具えている。送達管5825はマニホルド5815と流体連通している。一実施形態では、送達管5825は、減圧を少なくとも1の減圧管腔に送達し、気体または液体といった流体を少なくとも1の洗浄管腔に送達する。送達管5825は、円形、楕円形、多角形、または不揃いな断面形状といった、任意の断面形状を有することができる。
【0173】
減圧治療装置5800はさらに、送達管5825とマニホルド5815の間に位置する移行領域5829を具えている。一例では、移行領域5829が送達管5825とマニホルド5815の間の流体連通を容易にしている。片方の端部5895は送達管5825に合うサイズであってもよく、他端5896はマニホルド5815に合うよう適合されてもよい。
【0174】
図53および図54を参照すると、実施例によるマニホルド5815の断面図を示している。特に、図53は、図49の線53−53に沿って取り出したマニホルド5815の断面図である。図54は、図49の線54−54に沿って取り出したマニホルド5815の断面図である。
【0175】
マニホルド5815は、図48の減圧源5495のような減圧源から減圧を移動させる減圧管腔6321を具えている。減圧管腔6321は、減圧源から組織部位、またはマニホルド5815の任意の部分に減圧を送達する。減圧管腔6321は、円形、楕円形、平板、不揃い、または多角形の断面形状を含む、任意の断面形状を有することができる。一例では、マニホルド5815を作る材料は柔軟であって、管腔を通る流体の流れ、さらに他の要素に応じて減圧管腔6321の断面形状を変化させることができる。さらに、図54は3つの減圧管腔6321を有するマニホルド5815を示しているが、マニホルド5815は、特定の実施形態に応じて任意の数の減圧管腔を有してもよい。
【0176】
減圧管腔6321はマニホルド5815の遠位端の方に延在しているため、減圧管腔6321は平坦面5885の方へと徐々に開放され、スリット5831となる。この方法では、減圧管腔6321はそれぞれ、各スリット5831で終端することができる。従って、それぞれの減圧管腔6321の少なくとも1つの壁は各スリットの壁と連続していてもよい。減圧管腔6321の数は、マニホルド5815のスリット5831の数と等しい。
【0177】
減圧源からの減圧は、スリット5831を介して組織部位に送達することができる。各スリット5831は、減圧管腔6321と皮下組織部位などのマニホルド5815の外側の空間との間の流体連通を可能にしている。減圧管腔6321から組織部位への減圧の移動を可能にすることに加えて、スリット6331は組織部位からの滲出液または他の流体が減圧管腔6321に侵入するのを可能にする。減圧管腔6321に対するスリット6331の向きは、ある場合では垂直方向を含み、軟組織が減圧管腔6321に侵入するのを防ぐことができ、その結果、閉塞や軟組織の損傷を防ぐの効果がある。
【0178】
マニホルド5815はさらに、洗浄管腔6263を具えている。4の洗浄管腔6263を有するマニホルド5815が図示されているが、マニホルド5815は任意の数の洗浄管腔を有することができる。図30および図31における第2の導管2163の他の非限定的な実施例である洗浄管腔6263は、マニホルド5815の端部を含むマニホルドの遠位部分5815に流体を送達するよう機能する。洗浄管腔6263はさらに、マニホルド5815周囲の組織空間に流体を送達することもできる。洗浄管腔6263によって送達される流体は、空気などの気体、または液体であってもよい。一実施形態では、1以上の洗浄管腔6263は検出管腔であってもよい。皮下組織部位における減圧は、1以上の検出管腔を用いて検出することができる。
【0179】
洗浄管腔6263は、円形、楕円形、平板、不揃い、または多角形の断面形状を含む、任意の断面形状を有することができる。一例では、マニホルド5815を作る材料は柔軟であって、管腔を通って流れる流体に応じて洗浄管腔6263の断面形状を変化させてもよい。
【0180】
マニホルド5815は、管腔間チャネル6240を具えている。管腔間チャネル6240は、洗浄管腔6263と、減圧管腔6321およびスリット5831の片方または両方との間を流体連結するか、あるいは流体連通を提供している。一例では、減圧管腔6321は管腔間チャネル6240を介して洗浄管腔6263から洗浄流体を抜き取る。他の例では、洗浄管腔6263内の正圧が管腔間チャネル6240を介して洗浄管腔6263から減圧管腔6321に流体を押しやる。洗浄管腔6263の正圧は、正圧源によって供給することができる。
【0181】
マニホルド5815は、管腔間チャネル6240のような、任意の数の管腔間チャネルを具えてもよい。例えば、マニホルド5815は、マニホルド5815の長さ5894に沿った任意の地点に位置する2以上の管腔間チャネルを具えてもよい。非限定的な例では、管腔間チャネル6240は、互いに均一または不均一に間隔をあけて配置されてもよい。他の非限定的な例では、管腔間チャネル6240、または複数の管腔間チャネル6240は、スリット5831を有するマニホルド5815の部分というように、マニホルド5815の指定された部分において、互いに近接していてもよい。他の非限定的な例では、総ての管腔間チャネル6240が、スリット5831を有するマニホルド5815の部分に設置されてもよい。管腔間チャネルの数は、洗浄管腔6263から減圧管腔6321に送達される、または通過する流体の速度を制御することができる。2以上の管腔間チャネル6240を有していると、1以上の管腔間チャネルがフィブリンまたは他の物質によって閉塞または塞がれた場合に、洗浄管腔6263と減圧管腔6321の間の連続的な流体連通を可能にすることができる。
【0182】
他の例では、洗浄管腔6263から減圧管腔6321への流体の移動は、マニホルド5815の端部を図49乃至図52のエンドキャップ5870に接続することで形成される頭部空間を介して起こりうる。一実施形態では、頭部空間が洗浄管腔6263から減圧管腔6321に移動する流体が通る唯一の通路を提供してもよい。この実施形態では、管腔間チャネル6240はマニホルド5815になくてもよい。
【0183】
図55および図56を参照すると、実施例による減圧治療装置5800の断面図が示されている。特に、図55は、図49の断面指示56の投影から図示された移行領域5829の断面図である。図56は、図49の断面指示56の投影から図示された送達管5825の断面図である。
【0184】
送達管5825は、図53および図54の洗浄管腔6263に流体を送達できる流体送達管腔6430を具えている。送達管5825はさらに、減圧管腔6321、さらにはマニホルド5815の他の部分および近接する組織部位に減圧を送達できる減圧送達管腔6428を具えている。
【0185】
マニホルド5815内の洗浄管腔6263の数は、送達管5825内の流体送達管腔6430の数を超える場合がある。さらに、マニホルド5815内の減圧管腔6321の数は送達管5825内の減圧送達管腔6428の数を超える場合もある。管腔の数は、送達管5825からマニホルド5815へと、この方法では移行領域5829において増加し、移行領域は送達管5825とマニホルド5815の間のインタフェースとして機能する。
【0186】
一実施形態では、移行領域5829は少なくとも1つの空洞を具えている。一例では、流体送達管腔6430は、この空洞を介して洗浄管腔6263と流体連通することができる。この例では、流体送達管腔6430は送達管5825に近い空洞の端部に接続されるか、流体連結することができる。洗浄管腔6263は、マニホルド5815に近い空洞の端部に接続されるか、流体連結することができる。このように空洞を設けると、流体送達管腔6430と洗浄管腔6263の間の流体連通を維持しながら、それらの数を変更することができる。
【0187】
他の例では、減圧送達管腔6428は、空洞を介して減圧管腔6321と流体連通することができる。この例では、減圧送達管腔6428は、送達管5825に近い空洞の端部に接続、あるいは流体連結することができる。減圧管腔6321は、マニホルド5815に近い空洞の端部に接続されるか、流体連結することができる。このように空洞を設けると、減圧送達管腔6428と減圧管腔6321との間の流体連通を維持しながら、それらの数を変更することができる。さらに、移行領域は2つの空洞を具え、そのうちの1つが流体送達管腔6430と洗浄管腔6263の間の流体連通をもたらし、他方が減圧送達管腔6428と減圧管腔6321との間の流体連通をもたらしてもよい。
【0188】
他の実施形態では、移行領域5829は1以上の分枝または分岐通路を具え、少ない数の流体送達管腔と多くの洗浄管腔との間の流体連通を可能にする。移行領域5829は、1以上の分枝または分岐通路を具えて、少ない数の減圧送達管腔と多くの減圧管腔との間の流体連通を可能にしてもよい。
【0189】
図57および図58を参照すると、実施例による減圧治療装置6600が図示されている。この減圧治療装置6600は、マニホルド6615と、移行領域6629と、送達管6625とを具えている。減圧治療装置6600は、図48の減圧源5495のような減圧源からスリット6631を通して皮下組織部位に減圧を送達する(そのスリットのうち1つのみを図57および図58に示す)。減圧治療装置6600はさらに、マニホルド6615内に閉塞部が形成されるのを防ぐ効果がある洗浄機能を具えている。
【0190】
図49乃至図53のマニホルド5815とは異なり、マニホルド6615はほぼ円筒の形状、さらにはほぼ円形の断面形状を有している。他の実施形態では、マニホルド5815は、ほぼ四角形、ほぼ多角形、ほぼ三角形、ほぼ楕円形、星形、または不揃いな断面形状といった、任意の断面形状を有することができる。
【0191】
図59を参照すると、実施例による図57の線59−59に沿って取り出したマニホルド6615の断面図が示されている。図59は、洗浄管腔6863およびスリット6631の空間的な向きを示している。
【0192】
図49、52、および図53のスリット5831とは異なり、スリット6631はマニホルド6615の外面周囲に等間隔に配置されている。特に、マニホルド6615は、互いに90度の間隔で間隔をあけて配置された4のスリット6631を具えている。さらに、第1の組のスリットによって形成された軸6852は、第2の組のスリットによって形成された軸6854に対して垂直である。4のスリット6631がマニホルド6615上に図示されているが、マニホルド6615は任意の数のスリットを具えることができる。さらに、スリット6631は、互いに不均一の間隔で配置されてもよく、あるいはマニホルド6615の片側に総て配置されてもよい。
【0193】
洗浄管腔6863はそれぞれ、ほぼ扇形である。扇形は、1以上の側面が湾曲するように調整された三角形を含みうる。さらに、洗浄管腔6863は、マニホルド6615の中心の長軸6856の周りに等間隔で配置されている。4の洗浄管腔6863はそれぞれ、マニホルド6615の別々の四分円に位置しており、互いに90度の間隔をあけて配置されている。第1の組の洗浄管腔によって形成された軸6857は、第2の組の洗浄管腔によって形成された軸6858に対して垂直である。4の洗浄管腔6863がマニホルド6615に図示されているが、マニホルド6615は任意の数の洗浄管腔を有することができる。さらに、洗浄管腔6863は互いに不均一な間隔で配置されてもよい。
【0194】
図60および図61を参照すると、実施例による減圧治療装置6600の断面図が示されている。特に、図60は、図57の線60−60に沿って取られた移行領域6629の断面図である。図61は、図57の線61−61に沿って取られた送達管6625の断面図である。
【0195】
送達管6625は、図59および図60の洗浄管腔6863に流体を送達できる流体送達管腔6930を具えている。送達管6625はさらに、減圧管腔6921、さらにはマニホルド6615の他の部分および近接する組織部位に減圧を送達できる減圧送達管腔7028を具えている。流体送達管腔6930よりも大きい直径を有する減圧送達管腔7028が図示されているが、これらの管腔はそれぞれ、互いに任意のサイズを有していてもよい。
【0196】
管腔の数は、送達管6625からマニホルド6615にかけて移行領域6629で増加し、送達管6625とマニホルド6615との間のインタフェースとして機能する。
【0197】
図62および図63を参照すると、実施例による皮下組織部位7105へのマニホルド7115の適用が示されている。このマニホルド7115は、当該マニホルド7115の外面の少なくとも一部を覆い、図47における補助マニホルド5488のような第2のマニホルドとして機能しうるフェルト膜7197を具えている。一例では、フェルト膜7197は、マニホルド7115の外面の大部分または全体を覆ってもよい。このフェルト膜7197は軟組織がマニホルド7115の穴、開口部、またはスリットを閉塞するのを防ぎ、マニホルド7115が皮下組織部位7105から除去されるときに組織を損傷するのを防ぐ効果がある場合がある。
【0198】
一実施形態では、減圧を皮下組織部位7105に適用する方法は、マニホルド7115を皮下組織部位7105に適用する方法を含んでいる。マニホルド7115を患者に経皮的に挿入することができ、マニホルド7115は皮下組織部位7105に近接するか接触して配置することができる。実施例の少なくとも一部に含まれる対称的な設計のマニホルドは、任意の向きにマニホルドを容易に埋め込めるようにできる。
【0199】
皮下組織部位7105が骨折などの欠損部を有する例では、スキャフォールド7196を欠損部位に設置して、治癒および組織を生成する特性を高めることができる。脛骨用釘7198を用いてスキャフォールド7196を皮下組織部位7105に隣接させてもよい。
【0200】
送達管7125を用いて、皮下組織部位7105におけるマニホルド7115の設置を容易にすることができる。送達管7125は、洗浄/減圧コネクタ7195を介して減圧源に連結することができる。
【0201】
一実施形態では、減圧を皮下組織部位7105に適用する装置を製造する方法は、マニホルド7115を形成するステップを含む。この方法はさらに、送達管7125がマニホルド7115と流体連通するように、送達管7125を設けて、当該送達管7125をマニホルド7115に連結するステップを含む。
【0202】
図64乃至図66を参照すると、減圧送達装置7200の他の実施例が図示されている。この減圧送達装置7200は、縦型マニホルド本体7204を有し、第1の面7206と第2の組織を向いた面7208とを有するマニホルド7202を具えている。減圧送達装置7200は、図49の減圧源5495のような減圧源から、縦型マニホルド本体7204の第2の組織を向いた面7208に形成された複数の開口部7210を通って、骨またはより具体的には椎骨または複数の椎骨といった皮下組織部位に減圧を送達する。複数の開口部7210は、複数の凹部7214または湾曲した溝部などの複数のマニホルド表面機構7212によって、さらに分配または多岐にわたる場合がある。複数の凹部7214は非対称であって、経皮的な除去を容易にすることができる。
【0203】
複数の開口部7210は複数のマニホルド表面機構7212に関連しており、減圧の分配を補助する。複数の開口部7210は、導管7218によって、複数のマニホルド表面機構7212を排出管腔または減圧管腔7216に流体連結する。減圧管腔7216は、減圧を送達して流体を除去する1または複数の導管であってもよい。減圧管腔7216は、縦型マニホルド本体7204の縦方向の長さに通っている。この縦型マニホルド本体7204はさらに、少なくとも1の洗浄管腔または導管7220を有する。1以上の洗浄管腔7220もまた、縦型マニホルド本体7204の縦方向の長さに通っている。マニホルド7202の遠位端7222はエンドキャップ7224である。このエンドキャップ7224は、縦型マニホルド本体7204の一部として一体的に形成されてもよい。
【0204】
エンドキャップ7224は、1以上の洗浄管腔7220内の洗浄流体を減圧管腔7216に流体連結可能にする頭部空間(図示せず)を設けている。遠位端7222に近い縦型マニホルド本体7204の第1の面7206はさらに、複数のリッジ7226と、第2の複数の凹部7228を有している。
【0205】
縦型マニホルド本体7204の外側の近位端7230は、減圧送達管または導管7234との連結を容易にするコネクタ7232を有していてもよい。減圧送達管7234は、減圧源からマニホルド7202の減圧管腔7216に減圧を与え、洗浄流体を1以上の洗浄管腔7220に与える複数管腔の導管であってもよい。
【0206】
動作時、減圧送達装置7200は、上述の実施形態と同様の方法で使用される。従って、マニホルド7202の第2の組織を向いた面7208は組織部位の近くに設置され、減圧が供給される。この減圧は、開口部7210およびマニホルド表面機構7212を通って組織部位に送達される。空気などの洗浄流体を利用して、減圧管腔7216の閉塞を除去して防止し、静力学的平衡を防ぐように補助する。
【0207】
図67乃至図70を参照すると、減圧送達装置7300の他の実施例が図示されている。この減圧送達装置7300は、第1の面7306と第2の組織を向いた面7308とを有する縦型マニホルド本体7304を有するマニホルド7302を具えている。マニホルド7302は、射出成型によって形成することができる。マニホルド7302を射出成型すると、一部が破損する、あるいは患者の体内に残されるリスクを防止するのに役立つ場合がある。マニホルド7302はさらに、部品に押し出し成型され、次いで一体型ユニットを形成すべく接着あるいは接続されてもよい。代替的に、マニホルド7302を押出し成型して、補助的な制御溶融「チッピング」プロセスを実施し、一体型ユニットを形成することもできる。マニホルド7302は、柔軟または半硬質の材料で作ることができる。例えば、マニホルド7302は、ポリウレタン等の医療グレードのポリマで作られてもよい。一実施形態では、マニホルド7302は、ショアA硬度が約80の材料で作られるが、他の硬さを用いてもよい。マニホルド7302の材料強化を避けるため、マニホルド7302にコーティングを加えてもよい。
【0208】
骨などの皮下組織部位に減圧を与えるため、複数の開口部7310が縦型マニホルド本体7304の第2の組織を向いた面7308に形成されている。これらの開口部は対称的な空間パターンで図示されているが、開口部は任意のパターンまたはランダムな配置で形成されてもよいことを理解されたい。複数のマニホルド表面機構7312は、第2の組織を向いた面7308上に形成される。複数のマニホルド表面機構7312は、複数のスタンドオフまたはオフセット部7314を有していてもよい。これらの複数のオフセット部7314は、縦型マニホルド本体7304の第2の組織を向いた面7308と一体的に形成されるか、連結されてもよい。このオフセット部7314は、第2の組織を向いた面7308と組織部位との間に効果的な流路を作り出す表面機構であってもよい。表面機構7312はマニホルド7302が経皮的に取り除かれるときにマニホルド本体7304から取り外すことができ、表面機構7312は生体吸収性であってもよい。
【0209】
開口部7310は、縦型マニホルド本体7304に形成された減圧管腔7316に流体連結されている。減圧管腔7316は、複数の導管7318によって開口部7310に流体連結されている。減圧管腔7316は縦型マニホルド本体7304の長さ7319に通っている。縦型マニホルド本体7304には、当該縦型マニホルド本体7304の長さ7319に通っている1以上の洗浄管腔7320も形成されている。実施例は2つの洗浄管腔7320を示しているが、任意の数を利用できることを理解されたい。さらに、減圧管腔7316の周りに対称的に間隔をあけて配置された2つの洗浄管腔7320が図示されており、対称的な位置の2つの洗浄管腔7320は、異なる位置付けによって性能が低下しないという点で性能を向上させるが、他の位置を利用してもよい。圧力検出管腔などの更なる管腔を縦型マニホルド本体7304内に具えてもよい。
【0210】
縦型マニホルド本体7304の遠位端7322には、エンドキャップ7324が形成または連結されている。このエンドキャップ7324は、1以上の洗浄管腔7320を減圧管腔7316に流体連結可能にする頭部空間7325を形成している。エンドキャップ7324が縦型マニホルド本体7304と一体的に、あるいはその一部として形成されることで、患者の体内から除去する際にエンドキャップが外れるリスクを防止している。
【0211】
縦型マニホルド本体7304の近位端7330では、減圧送達管または導管7334に容易に連結できるようにコネクタ7332を接続してもよく、同様に減圧源、および洗浄流体または液体の供給源にも流体連結される。減圧送達管7334は、減圧を減圧管腔7316に送達し、洗浄流体を1以上の洗浄管腔7320に与える複数管腔の導管であってもよい。洗浄流体は、外気などであってもよい。
【0212】
縦型マニホルド本体7304は、長さ7319および幅7336を有している。一般に、縦方向の長さ7340を有する治療領域7338は、遠位端7322の近くに形成される。縦型マニホルド本体7304は一般にアスペクト比を有しており、アスペクト比は幅7336で割られた長さ7319であって、5以上、通常は10以上か20またはそれ以上である。脊髄に適用する実施形態では、治療領域7338の縦方向の長さ7340は約60乃至80ミリメートルの範囲内だが、関連する適用例に応じて任意の寸法を用いてもよいことを理解されたい。
【0213】
例示的、非限定的な一実施形態では、縦型マニホルド本体7304の横断面図の有効径は8ミリメートルであり、他の実施例では11ミリメートルであるが、具体的な寸法は例として与えられており、任意のサイズの有効径を用いてもよいことを理解されたい。僅かな楕円形または三角形が示されているが、縦型マニホルド本体の断面形状は、前述した任意の形状または不揃いまたは他の形状であってもよいことに注目すべきである。
【0214】
動作時、マニホルド7302は外科的に、あるいは最小の侵襲的な手術を利用して挿入することができる。一般に、マニホルド7302は経皮的に取り除かれ、一実施形態では、生体吸収性であって所定の場所に残される。
【0215】
本書に記載のシステムおよび方法に従って組織部位に施す減圧組織治療は、組織部位に十分な減圧を適用し、その後で所定の時間このような十分な減圧を保持することによって実施できる。代替的に、組織部位に適用する減圧は実際は周期的でもよい。より具体的には、適用する減圧の量を選択した一時的な周期に従って変えてもよい。減圧を適用するさらに別の方法は、ランダムに減圧の量を変えるものである。同様に、組織部位に送達される流体の速さまたは量は、実際は一定、周期的、またはランダムでよい。流体の送達は、周期的に行う場合、減圧を適用している間、または減圧を適用していないサイクル中に起きてもよい。組織部位に適用する減圧の量は、一般に組織部位の病状および減圧組織治療を施す環境によって変わる一方で、減圧は一般に約−5mmHg乃至−500mmHgであり、より好適には約−5mmHg乃至−300mmHgである。
【0216】
本開示のシステムおよび方法を、人間の患者の組織の成長および治癒に関連して説明してきたが、減圧組織治療を適用するこれらのシステムおよび方法は、組織の成長および治癒を促進することが望まれる生物で使用できると認識すべきである。同様に、本開示のシステムおよび方法は、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、維管束組織、結合組織、軟骨、腱、または靱帯を含む組織に適用してもよいが、これらに限定はされない。組織の治癒は、本書に記載するように減圧組織治療を適用する1つの関心の的であるが、特に患者の皮下組織に減圧組織治療を適用して、罹患していない、欠陥がない、または損傷していない組織の成長させるためにも利用できる。例えば、経皮的な埋め込み方法を用いて減圧組織治療を適用し、後で採取可能な組織部位における更なる組織を成長させるのが望ましい場合もある。採取した組織を別の組織に移植して罹患または損傷組織と取り替えてもよく、または代替的に採取した組織を別の患者に移植してもよい。
【0217】
また、本書に記載の減圧送達装置をスキャフォールド材とともに使用して、新たな組織の成長および成長速度を高めることに注目することが重要である。スキャフォールド材は組織部位と減圧送達装置との間に配置でき、または減圧送達装置自体を新たな組織の成長に対するスキャフォールドとして機能する生体吸収性材料で作ることもできる。
【0218】
本発明およびその利点が特定の例示的、非限定的な実施形態の文中に開示されてきたが、添付の特許請求の範囲に規定された発明の範囲を越えることなく、様々な変更、代用、置換、および代替を実施できることに留意されたい。一実施形態に関して記載された任意の特徴は他の実施形態にも適用できるということを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2009年8月13日出願の米国特許出願第12/540,934号の一部継続出願であり、2007年5月29日出願の米国特許出願第11/807,834号の一部継続出願であり、2007年3月13日出願の米国特許出願第11/724,072号の一部継続出願であり、2006年3月14日出願の米国仮特許出願第60/782,171号の利益を主張するものである。本明細書はさらに、米国特許法第119条(e)項の下で、2008年12月31日出願の米国仮特許出願第61/141,728号の利益を主張するものである。上記のすべての出願は、すべての目的のため参照により本書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
実施例は一般に、組織の成長を促進するシステム、装置および方法に関し、より具体的には、減圧組織治療を骨などの組織部位に適用するシステムに関するものである。
【0003】
減圧治療は、減圧治療がなくては治癒が遅いか治癒しない軟組織の創傷における創傷治癒を促進するためにますます利用されている。一般に、減圧は、開放セル発泡体、または減圧を分配するマニホルドとして機能する他のデバイスを通って創傷部位に適用される。開放セル発泡体は現在の創傷に合うサイズに作られ、創傷と接触するように配置された後、創傷が回復して小さくなるにつれて小さい発泡体の小片と定期的に交換される。組織が発泡体のセル内に成長する量を最低限にするため、開放セル発泡体を頻繁に交換する必要がある場合もある。組織の成長が著しいと、発泡体を除去する際に患者に痛みを与えることがある。
【0004】
減圧治療は、回復していない開放創に適用することができる。ある場合には、回復させる組織は皮下であり、他の場合では、組織は真皮組織内またはその上に位置している。従来、減圧治療は主に軟組織に適用されてきた。減圧治療は、閉鎖した深部組織の創傷によって生じるアクセスの問題点のため、このような創傷の治療には一般に利用されてこなかった。さらに、減圧治療は、主にアクセスの問題のため、骨欠損部の治療または骨の成長の促進に関しては通常は利用されてこなかった。
【発明の概要】
【0005】
減圧治療システムが有する現在の問題点を解決するため、本書に記載の実施例は、減圧を皮下組織部位に適用するシステム、方法および装置に関するものである。装置は、皮下組織部位に配置するために挿入するよう適用されたマニホルドを具える。このマニホルドは、流体をマニホルドの遠位部分に送達するよう機能する少なくとも1の洗浄管腔を具えることがある。マニホルドはさらに、マニホルドの遠位部分に少なくとも1のスリットを具えることがある。マニホルドは、少なくとも1のスリットを介して減圧を皮下組織部位に送達するよう機能する少なくとも1の減圧管腔を具えてもよい。一例では、マニホルドはさらに、少なくとも1の洗浄管腔、少なくとも1の減圧管腔、およびマニホルドの遠位部分における少なくとも1のスリットを流体的に相互接続する管腔間チャネルを具える。
【0006】
一実施例によると、皮下組織部位に減圧を適用するシステムも提供されている。このシステムは、減圧をマニホルドに供給するよう機能する減圧源を具える。マニホルドは、減圧源から皮下組織部位に少なくとも1のスリットを介して供給される減圧を送達するよう機能する、少なくとも1の減圧管腔を具えていてもよい。このシステムは更に、マニホルドと流体連通している送達管と、減圧を少なくとも1の減圧管腔に送達する減圧源とを具えてもよい。送達管はさらに、少なくとも1の洗浄管腔に流体を送達するために設けることもできる。
【0007】
一実施例によると、皮下組織部位に減圧を適用する方法も提供されている。この方法は、マニホルドを皮下組織部位に適用するステップを含んでもよい。この方法はさらに、送達管を介して減圧をマニホルドに供給するステップを含んでもよい。
【0008】
一実施例によると、患者の皮下組織部位に減圧を適用する装置を製造する方法も提供されている。この方法は、患者内に挿入され、皮下組織部位に配置するよう適用されたマニホルドを形成するステップを含んでもよい。一例では、この方法はさらに、減圧をマニホルド内の少なくとも1の減圧管腔に送達し、流体をマニホルド内の少なくとも1の洗浄管腔に送達する送達管を設けるステップを含んでもよい。この例では、方法は、送達管がマニホルドと流体連通するように、送達管をマニホルドに連結するステップを含んでもよい。
【0009】
他の実施例によると、減圧を患者の皮下組織部位に提供するマニホルドは、少なくとも1の洗浄管腔と減圧管腔で形成された縦型マニホルド本体を具える。このマニホルド本体は、第1の面と第2の、組織を向いた面とを有する。マニホルドはさらに、縦型マニホルド本体の第2の組織を向いた面に形成された複数のマニホルド表面機構と、縦型マニホルド本体の第2の組織を向いた面上に形成された複数の開口部とを具える。これらの複数の開口部は、減圧管腔とマニホルド表面機構を流体連結する。マニホルドはさらに、減圧管腔と少なくとも1の洗浄管腔を流体連結するエンドキャップを具える。
【0010】
他の実施例によると、減圧で患者の皮下組織部位を治療するシステムは、減圧源と、マニホルドと、減圧源とマニホルドを連結する減圧送達管とを具える。このマニホルドは、少なくとも1の洗浄管腔と減圧管腔で形成された縦型マニホルド本体を具える。マニホルド本体は、第1の面と、第2の組織を向いた面とを有する。マニホルドはさらに、縦型マニホルド本体の第2の組織を向いた面に形成された複数のマニホルド表面機構と、第2の組織を向いた面上に縦型マニホルド本体に形成された複数の開口部とを具える。これらの複数の開口部は、減圧管腔とマニホルド表面機構を流体連結する。マニホルドはさらに、減圧管腔と少なくとも1の洗浄管腔を流体連結するエンドキャップを具える。
【0011】
他の実施例によると、減圧を患者の皮下組織部位に提供するマニホルドを製造する方法は、少なくとも1の洗浄管腔と減圧管腔で縦型マニホルド本体を形成するステップを含む。このマニホルド本体は、第1の面と、第2の、組織を向いた面を有する。この方法はさらに、縦型マニホルド本体の第2の組織を向いた面に複数のマニホルド表面機構を形成するステップと、第2の組織を向いた面上に縦型マニホルド本体の複数の開口部を形成するステップとを含む。これらの複数の開口部は、減圧管腔とマニホルド表面機構とを流体連結する。この方法はさらに、減圧管腔と少なくとも1の洗浄管腔を流体連結するマニホルド本体にエンドキャップを形成するステップを含む。
【0012】
例示的、非限定的な実施形態によると、減圧を皮下組織部位に適用するシステムは、減圧を供給する減圧源と、流体を供給する流体源と、皮下組織部位に配置するよう適合されたマニホルドとを具える。このマニホルドは複数の第1の導管を具えており、複数の第1の導管はそれぞれ、少なくとも1の第1の開口部と少なくとも1の第2の開口部が形成された壁を有する。複数の第1の導管の少なくとも1本は減圧源と連通しており、少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を皮下組織部位に送達するよう機能する。マニホルドはさらに、複数の第1の導管の各壁の一部によって形成される第2の導管を具えている。第2の導管は、少なくとも1の第2の開口部を介して、複数の第1の導管と流体連通している。このシステムは更に、マニホルドと減圧源に流体連結された送達導管を具えていてもよい。
【0013】
他の例示的、非限定的な実施形態によると、減圧を皮下組織部位に適用するマニホルドは複数の第1の導管を具えており、複数の第1の導管はそれぞれ、少なくとも1の第1の開口部と少なくとも1の第2の開口部とを有する壁を有している。複数の第1の導管の少なくとも1本は、少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を皮下組織部位に送達するよう機能する。複数の第1の導管は、内部空間を形成するように間隔をあけた配置で連結される。マニホルドはさらに、内部空間を具え、複数の第1の導管の各壁の一部によって形成された第2の導管を具える。第2の導管は、少なくとも1の第2の開口部を介して、複数の第1の導管と流体連通している。
【0014】
他の例示的、非限定的な実施形態によると、皮下組織部位に減圧を適用する方法は、マニホルドを設けるステップと、マニホルドを皮下組織部位に適用するステップと、送達導管を介して減圧をマニホルドに供給するステップとを含む。このマニホルドは、複数の第1の導管を具える。複数の第1の導管はそれぞれ、少なくとも1の第1の開口部と少なくとも1の第2の開口部とを有する壁を有している。複数の第1の導管の少なくとも1本は、少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を皮下組織部位に送達するよう機能する。複数の第1の導管は、内部空間を形成するように間隔をあけた配置で連結される。マニホルドはさらに、内部空間を具え、複数の第1の導管の各壁の一部によって形成された第2の導管を具える。この第2の導管は、少なくとも1の第2の開口部を介して複数の第1の導管と流体連通している。
【0015】
他の例示的、非限定的な実施形態によると、減圧を皮下組織に適用する装置を製造する方法は、複数の第1の導管を設けるステップを含む。複数の第1の導管はそれぞれ、少なくとも1の第1の開口部と少なくとも1の第2の開口部を有して形成された壁を有する。複数の第1の導管の少なくとも1本は、少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を皮下組織部位に送達するよう機能する。この方法はさらに、複数の第1の導管を互いに連結して第2の導管を形成するステップを含む。第2の導管は、複数の第1の導管の各壁の一部によって形成され、少なくとも1の第2の開口部を介して複数の第1の導管と流体連通している。
【0016】
他の例示的、非限定的な実施形態によると、1以上の流体を組織部位に送達する医療用マニホルドは、間隔をあけて連結された複数の外部導管を具え、複数の外部導管の間に内部空間を規定する。内部空間は、中央導管を具える。この医療用マニホルドはさらに、複数の外部導管に形成された複数の開口部を具える。
【0017】
他の例示的、非限定的な実施形態によると、医療用マニホルドを製造する方法は、それぞれの第1の導管が他の2の導管と接触している状態の4本の第1の導管を形成するステップと、4本の第1の導管から第2の導管を形成するステップと、コアピンを用いて第1の導管および第2の導管に開口部を設けるステップを含む。
【0018】
実施例の他の特徴および利点は、以下の図面および詳述を参照すると明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1の図面を含む。カラー図面を有する本発明または本出願のコピーは、要求および必要な手数料の支払いに応じてオフィスから提供される。
【図1】図1は、本発明の実施形態による減圧送達装置の透視図を示しており、当該減圧送達装置は柔軟なバリアから延在して複数の流路を作る複数の突起部を有している。
【図2】図2は、図1の減圧送達装置の正面図を示している。
【図3】図3は、図1の減圧送達装置の上面図を示している。
【図4A】図4Aは、図1の減圧送達装置の側面図を示しており、当該減圧送達装置は1本の管腔、すなわち減圧送達管を有している。
【図4B】図4Bは、図1の減圧送達装置の代替的な実施形態の側面図を示しており、当該減圧送達装置は二重の管腔、すなわち減圧送達管を有している。
【図5】図5は、図1の減圧送達装置の拡大透視図を示している。
【図6】図6は、本発明の実施形態による減圧送達装置の透視図を示しており、当該減圧送達装置はスパイン部と一対のウイング部を有する柔軟なバリアに取り付けられる気泡材料を有し、気泡材料は複数の流路を有している。
【図7】図7は、図6の減圧送達装置の正面図を示している。
【図8】図8は、VIII−VIIIで取られた図7の減圧送達装置の側断面図を示している。
【図8A】図8Aは、本発明の実施形態による減圧送達装置の正面断面図を示している。
【図8B】図8Bは、図8Aの減圧送達装置の側面図を示している。
【図9】図9は、患者の骨に減圧組織治療を適用するために使用される本発明の実施形態による減圧送達装置の正面図を示している。
【図10】図10は、本発明の実施形態による減圧送達システムの正面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達装置を組織部位に経皮的に挿入するために使用されるマニホルド送達管を有している。
【図11】図11は、図10のマニホルド送達管の拡大正面図を示しており、当該マニホルド送達管は圧縮位置にある柔軟なバリアまたは気泡材料を有する減圧送達装置を収容している。
【図12】図12は、図11のマニホルド送達管の拡大正面図を示しており、当該マニホルド送達管から押し出された後に拡張位置にある減圧送達装置の柔軟なバリアまたは気泡材料を図示している。
【図13】図13は、本発明の実施形態による減圧送達システムの正面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達装置を組織部位に経皮的に挿入するために用いられるマニホルド送達管を有しており、マニホルド送達管の外側だが圧縮位置にある不透過膜により拘束された減圧送達装置を示している。
【図14】図14は、図13の減圧送達システムの正面図を示しており、マニホルド送達管の外側だが弛緩位置にある不透過膜により拘束された減圧送達装置を示している。
【図15】図15は、図13の減圧送達システムの正面図を示しており、マニホルド送達管の外側だが拡張位置にある不透過膜により拘束された減圧送達装置を示している。
【図15A】図15Aは、図13の減圧送達システムの正面図を示しており、マニホルド送達管の外側だが拡張位置にある不透過膜によって囲まれた減圧送達装置を示している。
【図16】図16は、本発明の実施形態による減圧送達システムの正面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達装置を組織部位に経皮的に挿入するために用いられるマニホルド送達管を有し、マニホルド送達管の外側だが接着シールを有する不透過膜により拘束された減圧送達装置を示している。
【図16A】図16Aは、本発明の実施形態による減圧送達システムの正面図を示している。
【図17】図17は、本発明の実施形態による減圧送達システムの正面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達装置を組織部位に経皮的に挿入するために用いられるマニホルド送達管を有している。
【図17A】図17Aは、本発明の実施形態による減圧送達システムの正面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達装置を組織部位に設置された不透過膜に経皮的に送達するために用いられるマニホルド送達管を有している。
【図18】図18は、本発明の実施形態による減圧組織治療を組織部位に施す方法のフローチャートを示している。
【図19】図19は、本発明の実施形態による減圧組織治療を組織部位に施す方法のフローチャートを示している。
【図20】図20は、本発明の実施形態による減圧組織治療を組織部位に施す方法のフローチャートを示している。
【図21】図21は、本発明の実施形態による減圧組織治療を組織部位に施す方法のフローチャートを示している。
【図22】図22は、本発明の実施形態による減圧送達装置の断面正面図を示しており、当該減圧送達装置は人工股関節を囲んでいる骨の領域に減圧を適用する複数の流路を有する人工股関節を具えている。
【図23】図23は、人工股関節を囲んでいる骨の領域に流体を送達する第2の複数の流路を有する、図22の人工股関節の断面正面図を示している。
【図24】図24は、本発明の実施形態による減圧組織治療を用いて患者の関節を治療する方法のフローチャートを示している。
【図25】図25は、本発明の実施形態による減圧送達装置の断面正面図を示しており、当該減圧送達装置は、整形外科用の固定デバイスに隣接する骨の領域に減圧を適用する複数の流路を有する整形外科用の固定デバイスを具えている。
【図26】図26は、整形外科用の固定デバイスに隣接する骨の領域に流体を送達する第2の複数の流路を有する、図25の整形外科用の固定デバイスの断面正面図を示している。
【図27】図27は、本発明の実施形態による減圧組織治療を用いて骨の骨欠損部を治療する方法のフローチャートを示している。
【図28】図28は、本発明の実施形態による減圧組織治療を組織部位に施す方法のフローチャートを示している。
【図29】図29は、本発明の実施形態による減圧組織治療を組織部位に施す方法のフローチャートを示している。
【図30】図30は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図31】図31は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図32】図32は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図33】図33は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図34】図34は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図35】図35は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図36】図36は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図37】図37は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図38】図38は、本発明の実施形態による減圧送達システムの様々な図を示しており、当該減圧送達システムは主要な流路を囲んでいる柔軟な壁と、柔軟な壁にある複数の開口部とを有する主要なマニホルドを有している。
【図39】図39は、本発明の実施形態による減圧送達システムの透視図および上部断面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達管に一体的に接続された主要なマニホルドを有している。
【図40】図40は、本発明の実施形態による減圧送達システムの透視図および上部断面図を示しており、当該減圧送達システムは減圧送達管に一体的に接続された主要なマニホルドを有している。
【図41】図41は、実施例によるマニホルドの概略的透視図である。
【図42】図42は、図2のマニホルドの概略的な縦断面図である。
【図43】図43は、他の実施例によるマニホルドの概略的な横断面図である。
【図44A】図44Aは、実施例によるマニホルドの概略的な縦断面図である。
【図44B】図44Bは、図44Aのマニホルドの概略的な横断面図である。
【図45】図45は、実施例によるマニホルドの概略断面図である。
【図46】図46は、実施例によるマニホルドの概略断面図である。
【図47】図47は、骨の組織部位に第2のマニホルドを適用している、図30乃至図40の主要なマニホルドの透視図を示している。
【図48】図48は、本発明の実施形態による第2の導管に流体連結されたバルブを有する減圧送達システムの概略図を示している。
【図49】図49は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略平面図である。
【図50】図50は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略側面図である。
【図51】図51は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略平面図である。
【図52】図52は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略透視図である。
【図53】図53は、実施例によるマニホルドの概略断面図である。
【図54】図54は、実施例によるマニホルドの概略断面図である。
【図55】図55は、実施例による遷移領域の概略断面図である。
【図56】図56は、実施例による送達管の概略断面図である。
【図57】図57は、実施例による減圧を皮下組織部位鋳適用する装置の概略平面図である。
【図58】図58は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略透視図である。
【図59】図59は、実施例によるマニホルドの概略断面図である。
【図60】図60は、実施例による遷移領域の概略断面図である。
【図61】図61は、実施例による送達管の概略断面図である。
【図62】図62は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略透視図である。
【図63】図63は、実施例による減圧を皮下組織部位に適用する装置の概略透視図である。
【図64】図64は、減圧送達装置の他の実施例の概略透視図である。
【図65】図65は、図64の線65−65に沿って取り出した概略断面図である。
【図66】図66は、エンドキャップを示す図64および図65の減圧送達装置の概略端面図である。
【図67】図67は、減圧送達装置の他の実施例の概略透視図である。
【図68】図68は、内側部分を示すべく切断された図67の減圧送達装置の一部の概略透視図である。
【図69】図69は、図67の線69−69に沿って取り出した概略断面図である。
【図70】図70は、図67乃至図69の減圧送達装置の概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の好適な実施形態の詳述では、その一部を構成する添付の図面について説明しており、本発明を実施できる特定の好ましい実施形態の実施例として示されている。これらの実施形態は、当該技術分野における当業者が本発明を実施できる程度に十分詳細に記載されており、他の実施形態が利用可能であり、本発明の精神または範囲を超えることなく、論理構造的、機械的、電気的および化学的な変更が可能であることを理解されたい。当業者が本発明を実施可能とするのに必要のない細部説明を避けるため、当業者に既知の特定の情報を説明から省略することがある。従って以下の詳述は限定の意味で捉えるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0021】
本書で用いられるような、用語「エラストマの(elastomeric)」は、エラストマの性質を有することを意味する。用語「エラストマ(elastomer)」は、ゴムのような性質を有する高分子材料を一般に意味する。より具体的には、殆どのエラストマは100%を越える最大伸び率と著しい弾力性を有する。材料の弾力性とは、弾性変形から回復する材料の能力を意味する。エラストマの例は、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマ、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン、およびシリコーンを含みうるが、これらに限定はされない。
【0022】
本書で用いられるような、用語「柔軟な(flexible)」とは、湾曲または屈曲可能な物体または材料を意味する。エラストマ材料は一般に柔軟であるが、本書における柔軟な材料については材料の選択肢をエラストマのみに限定する必要はない。本発明の材料または減圧送達装置に関して用いられる用語「柔軟な」とは、一般に組織部位の形状に適合する、あるいはほぼ一致する材料の能力を意味する。例えば、骨の欠損部を治療するために用いられる減圧送達装置の柔軟な性質によって、装置を欠損部を有する骨部分の周囲に覆うか巻き付けることが可能となる。
【0023】
本書に使用する用語「流体」とは、一般に気体または液体を意味するが、限定はしないが、ゲル、コロイド、および発泡体を含む他の流動可能な材料を含んでもよい。
【0024】
本書に使用する用語「不透過」とは、一般に液体または気体の何れかの透過を遮るか、停滞させる膜、カバー、シート、または他の物質の能力を意味する。不透過性は、液体の透過に耐性があり、一方で気体はその膜を透過可能なカバー、シート、または他の膜を指して用いられる場合もある。不透過膜は液密であってもよいが、膜は単にすべての液体または特定の液体のみの透過率を低下させてもよい。用語「不透過」の使用は、不透過膜が水蒸気透過率(WVTR)の特定の数値などの不透過性に関する特定の業界標準測定値を越えるか、下回るということを意味するものではない。
【0025】
本書に使用する用語「マニホルド」は、一般に組織部位に減圧を適用する、流体を送達する、あるいはそこから流体を除去するのを補助すべく設けられた物体または構造を意味する。マニホルドは通常は複数の流路または通路を具えており、これらはマニホルド周囲の組織の領域に流体を分配したり、そこから流体を除去するのを向上させるべく相互に接続されている。マニホルドの例は、流路、開放セル発泡体のようなセル状発泡体、多孔質組織の堆積、および流路を含むか含むように硬化する液体、ゲルおよび発泡体を形成するように配置された構造要素を有するデバイスを含んでもよいが、これらに限定はされない。
【0026】
本書に使用する用語「減圧」は、一般に治療を受ける組織部位の周囲圧力よりも低い圧力を意味する。殆どの場合、この減圧は患者がいる大気圧よりも低いであろう。代替的に、減圧は組織部位における組織の静水圧より低くてもよい。減圧は、最初に管内および組織部位の領域に流体の流れを発生させることがある。組織部位の周囲の静水圧が所望の減圧に近づくにつれて、流量は弱まり、減圧が維持される。特に指示がない限り、本書に記載する圧力の数値はゲージ圧である。
【0027】
本書に使用する用語「スキャフォールド」は、細胞の成長または組織の形成を高める、あるいは促進するために使用される物質または構造を意味する。特に指示がない限り、「また」は相互排他性を必要としない。スキャフォールドは一般に、細胞成長用のテンプレートを設ける3次元の多孔質構造である。スキャフォールドは、細胞の成長を促進するため、細胞、成長因子、または他の栄養素を注入される、コートされる、またはこれらで構成されてもよい。スキャフォールドは、組織部位に減圧組織治療を施すべく、本書に記載の実施形態に応じたマニホルドとして使用してもよい。
【0028】
本書に使用する用語「組織部位」は、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、靱帯を含む任意の組織上またはその中に位置する損傷または欠損を意味するが、これらに限定はされない。用語「組織部位」はさらに、必ずしも創傷または欠損していない任意の組織の領域であるが、更なる組織の成長を加えるあるいは促進させることが望ましい領域を意味することがある。例えば、減圧組織治療を特定の組織領域に用いて、摘出して別の組織の場所に移植することができる更なる組織を成長させてもよい。
【0029】
主に図1乃至図5を参照すると、本開示の原理による減圧送達装置、またはウイングマニホルド211は、スパイン(spine)部215と一対のウイング(wing)部219を有する柔軟なバリア213を具えている。各ウイング部219はスパイン部215の両側に沿って設けられている。このスパイン部215は、ウイングマニホルド211の長さ全体に延在する、あるいは延在しないアーチ状溝部223を形成する。ウイング部219の幅が等しくなるようにスパイン部215をウイングマニホルド211の中央に設けてもよいが、図1乃至図5に示すようにスパイン部215はオフセットしてもよく、これにより一方のウイング部219が他方のウイング部219よりも幅広くなる。骨の再生または回復に関してウイングマニホルド211を使用する場合に、一方のウイング部219の余分幅が特に有用であり、幅広のウイングマニホルド211が骨に取り付けられる固定金具の周囲に巻き付けられる。
【0030】
柔軟なバリア213は、シリコーン重合体などのエラストマ材料で形成されることが好ましい。適切なシリコーン重合体の例は、カリフォルニア州、カーピンテリア、Nusil Technologies社で製造されたMED−6015を含む。しかしながら、この柔軟なバリア213は他の生体適合性の柔軟な材料で作ることができるということに留意されたい。柔軟なバリア213は、強度と耐久性を柔軟なバリア213に加える柔軟な裏材227を覆っている。柔軟な裏材227を覆っている柔軟なバリア213の厚さは、ウイング部219よりもアーチ状溝部223において薄いことがある。シリコーン重合体を用いて柔軟なバリア213を形成する場合、シリコーン接着剤を用いて柔軟な裏材227の接着を補助することもできる。シリコーン接着剤の例は、Nusil Technologies社で販売されているMED−1011を含みうる。柔軟な裏材227は、アリゾナ州テンペのC.R.Bard社で製造されているBard6013などの、ポリエステルのニット生地から作られるのが好ましい。しかしながら、柔軟な裏材227は、強度と耐久性を柔軟なバリア213に加えることができる、任意の生体適合性の柔軟な材料で作ることができる。特定の状況下では、柔軟なバリア213が適切な強度の材料で作られる場合、柔軟な裏材227を省くことができる。
【0031】
柔軟なバリア213または柔軟な裏材227の何れかは、液体、空気および他の気体に対して不透過であることが好ましく、代替的には、柔軟な裏材227および柔軟なバリア213は双方とも、液体、空気、および他の気体に対して不透過であってもよい。
【0032】
柔軟なバリア213および柔軟な裏材227は、ウイングマニホルド211を使用した後に、患者の身体から取り除く必要がない生体吸収性材料で構成することもできる。適切な生体吸収性材料は、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコ−ル酸(PGA)のポリマブレンドを含んでもよいが、これらに限定はされない。ポリマブレンドは、ポリカーボネート、ポリフマラート、およびカプロラクトンを含みうるが、これらに限定はされない。柔軟なバリア213および柔軟な裏材227はさらに新しい細胞の成長用のスキャフォールドとして機能することがあり、あるいはスキャフォールド材料は、細胞の成長を促進させるために柔軟なバリア213および柔軟な裏材227と組み合わせて使用してもよい。適切なスキャフォールド材料は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、サンゴのヒドロキシルアパタイト、炭酸塩、または処理された同種移植材料を含みうるが、これらに限定はされない。好適には、スキャフォールド材料は、高い空洞率(すなわち、高い空気含有量)を有する。
【0033】
一実施形態では、柔軟な裏材227は、柔軟なバリア213の表面に接着して取り付けることができる。シリコーン重合体を用いて柔軟なバリア213を形成する場合、シリコーン接着剤を用いて柔軟な裏材227を柔軟なバリア213に取り付けることもできる。柔軟な裏材227が柔軟なバリア213に表面接着される場合には接着剤が取り付けに好適な方法であるが、任意の適切な取り付けを利用してもよい。
【0034】
柔軟なバリア213は、柔軟なバリア213の表面上のウイング部219から延在している複数の突起部231を具えている。これらの突起部231は、各突起部231の少なくとも一部が突起部231が取り付けられている柔軟なバリア213の側に付随する面と異なる平面にある限り、円筒形、球形、半球形、立方体、または任意の他の形状であってもよい。これについて、特定の突起部231は他の突起部231と同一の形状またはサイズを有する必要はない。実際、突起部231は異なる形状およびサイズを不規則に混合したものを含んでもよい。従って、各突起部231が柔軟なバリア213から延在する距離は様々であってもよいが、複数の突起部231間では均一であってもよい。
【0035】
柔軟なバリア213上の突起部231の配置が、突起部間に複数の流路233を作り出す。突起部231の形状およびサイズが均一であり、柔軟なバリア213上に均等に間隔をあけて配置される場合、突起部231の間に作られる流路233は同様に均一である。突起部231のサイズ、形状、および間隔のばらつきを利用して、流路233のサイズおよび流動特性を変化させてもよい。
【0036】
減圧送達管241はアーチ状溝部223内に設置され、図5に示すように柔軟なバリア213に取り付けられる。減圧送達管241は柔軟なバリア213または柔軟な裏材227に単に取り付けられてもよく、あるいは減圧送達管241は柔軟なバリア213と柔軟な裏材227の双方に取り付けることもできる。減圧送達管241は、減圧送達管241の遠位端に遠位開口243を具えている。遠位開口243がアーチ状溝部223に沿った任意の地点に位置するよう減圧送達管241を配置してもよいが、遠位開口243がアーチ状溝部223の長手方向に沿ったほぼ中間に位置するよう減圧送達管241を設置するのが好ましい。遠位開口243は、好適には、管241の長軸に対して90度未満の平面に沿って減圧送達管241を切断することにより、楕円形または長円形に作られる。遠位開口243は円形であってもよいが、楕円形の遠位開口243は突起部231間に形成される流路233との液通を増加させる。
【0037】
減圧送達管241は、パリレンコートされたシリコーンまたはウレタンで作られるのが好ましい。しかしながら、医療グレードの管材を用いて、減圧送達管241を構成してもよい。管を覆うことができる他のコーティングは、ヘパリン、抗凝固剤、抗フィブリノゲン、抗付着剤、抗トロンビン剤、および親水性皮膜を含む。
【0038】
一実施形態では、減圧送達管241は、遠位開口243の代替として、あるいは遠位開口243に加えて、減圧送達管241に沿って設けられた開口または液口251を具えていてもよく、減圧送達管241と流路233の間の液通を更に増加させる。減圧送達管241は、図1乃至図5に示すようにアーチ状溝部223の長手方向の長さの一部のみに沿って設けられてもよく、あるいは代替的に、アーチ状溝部223の長手方向の長さ全体に沿って設けられてもよい。減圧送達管241がアーチ状溝部223の長さ全体を占めるように設けられる場合、管241と流路233の間の液通が総て液口251を通って生じるように、遠位開口243を覆ってもよい。
【0039】
減圧送達管241はさらに、管241の近位端に近位開口255を具えている。この近位開口255は減圧源と整合するよう構成されており、図9を参照して以下に詳細に説明する。図1乃至図3、4A、及び5に示す減圧送達管241は、単一の管腔、又は通路259のみを具えている。しかしながら、図4Bに示す二重の管腔管261のように、減圧送達管241は複数の管腔を具えることが可能である。二重の管腔管261は、第1の管腔263と第2の管腔265を具えている。二重の管腔管を使用すると、減圧送達管241の近位端と流路233の間の流体連通の経路が分かれる。例えば、二重の管腔管261を用いて、第1の管腔263に沿って減圧源と流路233の間の液通を可能にしてもよい。第2の管腔265を用いて、流体を流路233に導入してもよい。この流体は、濾過した空気又は他の気体、抗生物質、抗ウイルス薬、細胞成長促進剤、洗浄用流体、化学的活性流体、又は他の流体であってもよい。別個の液通路を通って流路233に複数の流体を導入するのが望ましい場合、減圧送達管に2以上の管腔を設けてもよい。
【0040】
さらに図4Bを参照すると、水平の仕切り271が減圧送達管241の第1および第2の管腔263、265を分離し、第1の管腔263が第2の管腔265の上方に位置している。第1および第2の管腔263、265の相対位置は、第1および第2の管腔263、265と流路233の間を如何に液通させるかに応じて変えてもよい。例えば、第1の管腔263が図4Bに図示するように位置する場合、液口251と同様の液口を設けて流路233との液通を可能にしてもよい。第2の管腔265が図4Bに図示するように位置する場合、第2の管腔265は遠位開口243と同様に遠位開口を通って流路233と連通してもよい。代替的に、減圧送達管の複数の管腔は、垂直仕切りが管腔を分離した状態で隣り合って位置してもよく、あるいは管腔は同心円状または同軸に配置されてもよい。
【0041】
液通する独立した経路の提供は、上記のように複数管腔の管を設ける方法を含む、多くの異なる方法で実行できることは、当業者にとって明らかである。代替的に、1つの管腔を別の1つの管腔に取り付けることによって、あるいは1つまたは複数の管腔を有する別個の連結されない管を使用することによって、液通する独立した流路を設けてもよい。
【0042】
別個の管腔を用いて流路233と液通する別個の流路を設ける場合、スパイン部215は、複数のアーチ状溝部223を各管について1つ有してもよい。代替的に、複数の管に適応するようアーチ状溝部223を大きくしてもよい。流体送達管から分離した減圧送達管を有する減圧送達装置の一例を、図9を参照して以下に詳細に説明する。
【0043】
図6乃至図8を参照すると、本開示の原理による減圧送達装置またはウイングマニホルド311は、スパイン部315および1対のウイング部319を有する柔軟なバリア313を具えている。各ウイング部319は、スパイン部315の両側に沿って設けられる。スパイン部315は、ウイングマニホルド311の長さ全体に延在する、あるいは延在しないアーチ状溝部323を形成する。ウイング部319のサイズが等しくなるようにスパイン部315をウイングマニホルド311の中央に設けてもよいが、図6乃至図8に示すようにスパイン部315はオフセットしてもよく、これにより一方のウイング部319は他方のウイング部319よりも幅が広くなる。ウイングマニホルド311が骨の再生または回復に関して使用される場合、一方のウイング部319の余分幅は特に有用であり、幅広のマニホルド311が骨に取り付けられる固定金具の周囲に巻き付けられる。
【0044】
気泡材料327が柔軟なバリア313に取り付けられ、スパイン部315および双方のウイング部319にわたって延在する柔軟なバリア313の表面全体を覆う1つの材料として設けられてもよい。気泡材料327は、柔軟なバリア313に近接して配置される取り付け面(図6に図示せず)と、取り付け面と反対側の主要な分配面329と、複数の周囲面330とを有している。
【0045】
一実施形態では、柔軟なバリア313は柔軟なバリア213と類似しており、柔軟な裏材を有してもよい。気泡材料327を柔軟なバリア313に取り付けるには接着剤が好適な方法であるが、他の適切な取り付け方法によって柔軟なバリア313と気泡材料327を取り付けてもよく、あるいは治療部位で利用者が組み立てるように残してもよい。柔軟なバリア313または柔軟な裏材は、液体、空気、および他の気体といった流体の透過に対して不透過性のバリアとして機能する。
【0046】
一実施形態では、柔軟なバリアおよび柔軟な裏材を気泡材料327の裏側に別個に設けないでもよい。むしろ、気泡材料327は、気泡材料327の不透過性部分である一体のバリア層を有してもよい。流体の透過を防ぐ閉鎖セル材料でバリア層を形成することで、柔軟なバリア313の代わりにできる。一体のバリア層を気泡材料327と共に使用する場合、このバリア層は、柔軟なバリア313について前述したように、スパイン部およびウイング部を有していてもよい。
【0047】
柔軟なバリア313は、シリコーン重合体などのエラストマ材料で形成されることが好ましい。適切なシリコーン重合体の例は、カリフォルニア州、カーピンテリア、Nusil Technologies社で製造されたMED−6015を含む。しかしながら、柔軟なバリア313は他の生体適合性の柔軟な材料で作ることができることに留意されたい。柔軟なバリアが柔軟な裏材を覆う、または組み込む場合、柔軟な裏材はアリゾナ州テンペ、C.R.Bard社で製造されているBard6013などの、ポリエステルのニット生地から作られるのが好ましい。しかしながら、柔軟な裏材は、強度と耐久性を柔軟性バリア313に加えることができる、任意の生体適合性の柔軟な材料で作ることができる。
【0048】
一実施形態では、気泡材料327は、約400乃至600ミクロンの範囲の細孔サイズを有する、開放セルの網状ポリエーテルウレタン発泡体である。このような発泡体の一例は、テキサス州サンアントニオ、Kinetic Concepts社で製造されているGranuFoam(登録商標)を含んでもよい。気泡材料327はさらに、複数の通路を通して立体的に連通させる、ガーゼ、フェルトのマット、または他の生体適合性材料でもよい。
【0049】
気泡材料327は、隣接するセルと流体連通する複数のセルを有する、主に「開放セル」材料である。複数の流路が、気泡材料327の「開放セル」によって、これらの間に形成されている。流路により、開放セルを有する気泡材料327の部分を通って流体連通が可能となる。セルおよび流路は、均一の形状およびサイズであってもよく、あるいはパターン化またはランダムに変化した形状およびサイズを有していてもよい。気泡材料327のセルの形状およびサイズのばらつきによって流路は変化し、このような特性を利用して気泡材料327を通る流体の流動特性を変えることができる。気泡材料327はさらに、「閉鎖セル」を有する部分を含んでもよい。気泡材料327のこのような閉鎖セル部分は複数のセルを含んでおり、これらの大部分は隣接するセルと流体連通していない。閉鎖セル部分の一例は、柔軟なバリア313の代わりとなりうるバリア層として上述されている。同様に、気泡材料327内に閉鎖セル部分を選択的に配置して、気泡材料327の周囲の面330を通り流体の透過を防ぐことができる。
【0050】
柔軟性のあるバリア313および気泡材料327は、減圧送達装置311の使用後に患者の身体から取り除く必要がない生体吸収性材料で構成することもできる。適切な生体吸収性材料は、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)のポリマブレンドを含みうるが、これらに限定はされない。ポリマブレンドはまた、ポリカーボネート、ポリフマラート、およびカプロラクトンを含みうる。柔軟なバリア313および気泡材料327はさらに、新たな細胞の成長用のスキャフォールドとして機能することがあり、あるいはスキャフォールド材は柔軟なバリア313、柔軟な裏材または気泡材料327と組み合わせて使用し、セルの成長を促進してもよい。適切なスキャフォールド材は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、サンゴのヒドロキシアパタイト、炭酸塩、または処理された同種移植材料を含みうるが、これらに限定はされない。好適には、スキャフォールド材は、高い空洞率(すなわち、高い空気含有量)を有している。
【0051】
減圧送達管341はアーチ状溝部323内に設置され、柔軟なバリア313に取り付けられる。減圧送達管341は気泡材料327に取り付けられてもよく、あるいは気泡材料327のみを有する場合には、減圧送達管341は気泡材料327のみに取り付けられてもよい。減圧送達管341は、図5の遠位開口243と同様に、減圧送達管341の遠位端に遠位開口343を具えている。この減圧送達管341は、遠位開口343がアーチ状溝部323に沿った任意の地点に位置するよう配置されてもよいが、好適には、アーチ状溝部323の長手方向に沿った長さのほぼ中間に配置される。遠位開口343は、好適には、減圧送達管341の長軸に対して90度未満の平面に沿って減圧送達管341を切断することにより、楕円形または長円形に作られる。開口は円形であってもよいが、楕円形の開口は気泡材料327における流路との液通を増加させる。
【0052】
一実施形態では、減圧送達管341は、図5の液口251と同様の開口、または液口(図示せず)を具えてもよい。液口は、遠位開口343の代替として、あるいは遠位開口343に加えて減圧送達管341に沿って設けられ、減圧送達管341と流路との間の液通を更に増加させる。上述のように、減圧送達管341をアーチ状溝部323の長手方向の長さの一部のみに沿って設けてもよく、あるいは代替的に、アーチ状溝部323の長手方向の長さ全体に沿って設けてもよい。減圧送達管341がアーチ状溝部323全体を占めるように設けられる場合、減圧送達管341と流路との間の全ての液通が液口を通って生じるように遠位開口343を覆ってもよい。
【0053】
好適には、気泡材料327は、減圧送達管341を覆い、直接接触している。気泡材料327は減圧送達管341に接続されてもよく、あるいは気泡材料327は柔軟なバリア313に単に取り付けられてもよい。減圧送達管341が単にアーチ状溝部323の中間点に延在するよう配置される場合、減圧送達管341を収容していないアーチ状溝部323の領域における柔軟なバリア313のスパイン部315に気泡材料327を取り付けてもよい。
【0054】
減圧送達管341はさらに、減圧送達管341の近位端に近位開口355を有している。この近位開口355は減圧源に整合するよう構成されており、図9を参照して以下に詳細に説明されている。図6乃至図8に示す減圧送達管341は、単一の管腔、または通路359のみを有している。しかしながら、図4Bに関して前述したように、減圧送達管341は複数の管腔を具えることは可能である。複数の管腔の管を使用すると、前述のように、減圧送達管341の近位端と流路との間の液通する経路は分離される。これらの別個の液通の経路はさらに、流路と連通する1つまたは複数の管腔を有する別個の管によって設けられてもよい。
【0055】
図8Aおよび図8Bを参照すると、本開示の原理による減圧送達装置371は、減圧送達管373の遠位端377に延長部375を有する減圧送達管373を具えている。この延長部375は、好適には、減圧送達管373の湾曲と一致するアーチ形状である。延長部375は遠位端377における減圧送達管373の一部を取り除くことによって形成することができ、これにより肩部383を有する切り欠き部381を形成する。複数の突起部385が減圧送達管373の内面387に設けられており、突起部385間に複数の流路391を形成している。突起部385は、図1乃至図5に関して記載された突起部と同様のサイズ、形状、および間隔であってもよい。減圧送達装置371は、切り欠き部381内に受容しうる結合組織の組織に減圧を適用してこれを再生するのに特に適している。靱帯、腱、および軟骨は、減圧送達装置371によって治療できる組織の非限定的な例である。
【0056】
図9を参照すると、本書に記載の他の減圧送達装置と同様の減圧送達装置411を用いて、患者の人間の骨415といった組織部位413に減圧組織治療を施す。骨の組織成長を促すのに用いる場合、減圧送達治療は、骨折、偽関節、空洞、または他の骨欠損に関する治癒の速度を高めることができる。さらに、減圧組織治療を利用して骨髄炎からの回復を改善させることができると考えられている。さらにこの治療を利用して、骨髄炎を患っている患者の骨密度を局所的に高めることができる。さらには、減圧組織治療を利用して、腰インプラント、膝インプラント、および固定デバイスといった整形外科用インプラントのオッセオインテグレーション(oseointegration)を促進且つ改善することができる。
【0057】
さらに図9を参照すると、減圧送達装置411は、減圧源427に流体連結された近位端421を有する減圧送達管419を具えている。減圧源427は、減圧送達装置411と関連する減圧送達管419および複数の流路を通って組織部位413に減圧を適用することが可能なポンプまたは他のデバイスである。組織部位413の近くに減圧送達装置411のウイング部を設置し、このような特定の例では骨415内の空洞欠損部429の周囲にウイング部を巻き付けることにより、減圧を組織部位413に適用できる。減圧送達装置411は、外科的または経皮的に挿入することができる。経皮的に挿入する場合、減圧送達管419は患者の皮膚組織を貫通する殺菌挿入シースを通して挿入されるのが好ましい。
【0058】
減圧組織治療を適用すると、一般に組織部位413の周囲の領域に肉芽組織を形成する。肉芽組織は、体内の組織を修復する前に多くの場合に形成する一般的な組織である。通常の状況下では、肉芽組織は異物に応じてまたは創傷治癒の際に形成されることがある。肉芽組織は通常、健常な代替組織のためのスキャフォールドとして機能し、さらには瘢痕組織を発生させる。肉芽組織は非常に血管化し、減圧下で非常に血管化した組織の増大した成長および成長速度が組織部位413での新たな組織の成長を促進させる。
【0059】
さらに図9を参照すると、流体送達管431は、減圧送達装置411の流路に遠位端で流体連結することができる。流体送達管431は、流体送達源433に流体連結された近位端432を有している。組織部位に送達される流体が空気の場合、空気を浄化および滅菌するために、この空気は少なくとも0.22μm程度の粒子を濾過しうるフィルタ434によって濾過されることが好ましい。組織部位413への空気の導入は、特に組織部位413が皮膚の表面の下方に位置している場合に、組織部位413を十分に排出し易くするのに重要であり、これにより減圧送達管419の閉塞を減少または防止する。減圧送達管413および流体送達源433をさらに用いて、限定ではないが、抗生物質、抗ウイルス剤、細胞成長促進剤、洗浄用流体、または他の化学的活性剤といった他の流体を組織部位413に導入できる。経皮的に挿入する場合、流体送達管431は患者の皮膚組織を貫通する滅菌挿入シースを通して挿入するのが好ましい。
【0060】
圧力センサ435を流体送達管431に動作可能に連結して、流体送達管431が血液または他の体液で閉塞されているかを表示することができる。圧力センサ435を流体送達源433に動作可能に連結して、組織部位413に導入される流体の量を制御するようにフィードバックさせてもよい。逆止弁(図示せず)を流体送達管431の遠位端の近くに動作可能に連結して、血液または他の体液が流体送達管431に侵入するのを防ぐこともできる。
【0061】
減圧送達管419および流体送達管431によって与えられる独立した液通の経路は、図4Bに関して前述したように、単一または複数管腔を設ける方法を含む多くの様々な方法で実現できる。当業者は、流体送達管431に関連するセンサ、バルブ、および他の構成要素はさらに、複数管腔の管を使用する場合には減圧送達管419の特定の管腔と同様に関連していることを認識するであろう。組織部位と流体連通する管腔または管を抗凝血剤でコートして、管腔または管内に体液または血液が蓄積するのを防ぐのが好ましい。管腔または管を覆う他のコーティングは、ヘパリン、抗凝固剤、抗フィブリノゲン、抗付着剤、抗トロンビン剤および親水性皮膜を含むが、これらに限定はされない。
【0062】
図10を参照すると、本開示の実施形態による減圧送達システム711は、患者の組織部位713に減圧組織治療を送達する。減圧送達システム711は、マニホルド送達管721を具えている。このマニホルド送達管721は、カテーテルまたはカニューレであってもよく、組織部位713にマニホルド送達管721を誘導可能な操作ユニット725およびガイドワイヤ727といった機構を具えている。ガイドワイヤ727およびマニホルド送達管721の配置および誘導は、内視鏡、超音波、X線透視法、聴診、触診、または他の適切な位置特定法を用いることによって行ってもよい。マニホルド送達管721は、患者の組織部位713に減圧送達装置を経皮的に挿入するよう設けられる。経皮的に挿入する場合、マニホルド送達管721は、患者の皮膚組織を貫通する滅菌挿入シースを通して挿入するのが好ましい。
【0063】
図10では、組織部位713は患者の骨733の裂け目731の近くに骨組織を有している。マニホルド送達管721は、患者の皮膚735および骨733の周りの軟組織739を通って挿入される。上述のように、組織部位713はさらに、限定はしないが、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、または靱帯を含む、他の種類の組織を含みうる。
【0064】
図11および図12を参照すると、減圧送達システム711がさらに図示されている。マニホルド送達管721は先細の遠位端743を具えており、図10の患者の皮膚735および軟組織739に挿入し易くなっている。この先細の遠位端743はさらに、先細の遠位端743の内径が管721の他の部分の内径とほぼ同一かそれ以上となるように、開放位置へと半径方向外側に曲がるよう構成されている。先細の遠位端743の開放位置を図11に破線737で概略的に示す。
【0065】
マニホルド送達管721はさらに、減圧送達装置761または他の減圧送達装置を収容する通路751を具えている。減圧送達装置761は、図6乃至図8を参照に上述したのと同様の柔軟なバリア765または気泡材料767を具えている。柔軟なバリア765または気泡材料767は、好適には、減圧送達管769の周りに巻き付けられ、折り畳まれ、あるいは押し付けられて、通路751内の減圧送達装置761の断面積を減少させる。
【0066】
マニホルド送達管721の先細遠位端743を組織部位713に配置した後に、減圧送達装置761を通路751内に配置して組織部位713に誘導してもよい。代替的に、マニホルド送達管721を患者に挿入する前に、減圧送達装置761を通路751内に予め配置してもよい。減圧送達装置761を通路751に押し通す場合、生体適合性のある潤滑剤を用いて減圧送達装置761とマニホルド送達管721との間の摩擦を低下させてもよい。先細遠位端743を組織部位713に配置して減圧送達装置761を先細遠位端743に送達する場合、次に減圧送達装置761が先細遠位端743の方へ押し出されて、先細遠位端743を開放位置へと半径方向外側に拡張させる。減圧送達装置761は、マニホルド送達管721から、好適には組織部位713に近接する空洞または空間内へと押し出される。この空洞または空間は通常、軟組織の切開によって形成されるが、これは経皮的な手段によっても実現できる。幾つかの場合では、組織部位713は創傷部位に位置しており、創傷の構造によって空洞が自然に存在する。他の例では、バルーン切開、鋭い切開、鈍い切開、水による切開、空気による切開、超音波切開、電気焼灼による切開、レーザ切開、または他の適切な切開方法によって空洞を形成する。減圧送達装置761が組織部位713に近接する空洞に進入すると、減圧送達装置761の柔軟なバリア765または気泡材料767は、減圧送達装置761が組織部位713と接触して配置されるように、展開、拡張、または伸張される(図12参照)。必要ではないが、柔軟なバリア765または気泡材料767を減圧送達管769を通って供給される真空または減圧下に置いて、柔軟なバリア765または気泡材料767を圧縮してもよい。柔軟なバリア765または気泡材料767の拡張は、減圧送達管769を通って供給される圧力を緩める、あるいは拡開プロセスを補助するよう減圧送達管769を通って正圧を供給することによって実現しうる。減圧送達装置761の最終的な配置および操作は、内視鏡、超音波、X線透視法、聴診、触診、または他の適切な位置特定法を用いることによって実現しうる。減圧送達装置761を配置した後に、マニホルド送達管721は患者から好適には取り外されるが、減圧送達装置761と関係する減圧送達管がその場に残ると組織部位713への減圧の経皮的な適用が可能となる。
【0067】
図13乃至図15を参照すると、本開示の実施形態による減圧送達システム811は、遠位端843の内径がマニホルド送達管821の他の部分の内径とほぼ同じまたはそれ以上となるように、開放位置へと半径方向外側に曲がるよう構成された先細遠位端843を有するマニホルド送達管821を具えている。遠位端843の開放位置は図13乃至図15に破線837で概略的に図示されている。
【0068】
マニホルド送達管821はさらに、本書に記載した他の減圧送達装置と同様の減圧送達装置861を収容する通路を具えている。減圧送達装置861は、柔軟なバリア865または気泡材料867を有しており、これらは好適に、減圧送達管869の周りに巻き付けられ、折り畳まれ、あるいは押し付けられて、通路内の減圧送達装置861の断面積を減少させる。
【0069】
減圧送達装置861が不透過膜871の内部空間873内に収容されるように、内部空間873を有する不透過膜871が減圧送達装置861の周囲に設けられる。この不透過膜871は、当該不透過膜871が圧縮位置(図13参照)、弛緩位置(図14参照)、および拡張位置(図15および図15A参照)の少なくとも1つを取るように、流体が通過するのを防ぐことが可能なバルーン、シース、または他の種類の膜であってもよい。不透過膜871は、不透過膜871の内部空間873がマニホルド送達管821の通路と流体連通するように、マニホルド送達管821にシール接続されてもよい。不透過膜871の内部空間873が減圧送達管869の通路と流体連通するように、不透過膜871を減圧送達管869に代替的に取り付けてもよい。不透過膜871は、内部空間873と流体連通する別の制御管または制御管腔(例えば図15A参照)に代わりに取り付けられてもよい。
【0070】
一実施形態では、通路内の減圧送達装置861の断面積をさらに減少させるべく不透過膜871を設けてもよい。これを実現するため、不透過膜871の周りの周囲圧力よりも低い圧力が、不透過膜871の内部空間873に加えられる。これにより、内部空間873内の空気または他の流体の大部分が排出され、不透過膜871を図13に示す圧縮位置にする。圧縮位置では、減圧送達装置861に圧縮力を加えて減圧送達装置861の断面積をさらに減少させるように、不透過膜871が内側に引き寄せられる。図11および図12を参照して上述したように、マニホルド送達管821の遠位端843を組織部位に配置した後に、減圧送達装置861を組織部位に送達してもよい。不透過膜871および減圧送達装置861の配置および操作は、内視鏡、超音波、X線透視法、聴診、触診、または他の適切な位置特定法を用いることによって行ってもよい。不透過膜871は、それを取り外す前にX線透視によって不透過膜871の可視化を向上させる、X線不透過性のマーカ881を有していてもよい。
【0071】
遠位端843を通して減圧送達装置861を押し出した後、内部空間873に適用された減圧が不透過膜871を弛緩位置(図14参照)に配置させやすくすることで、不透過膜871から減圧送達装置861を取り外しやすくなる。トロカール、探り針、または他の鋭い器具といった取り外し器具885を設けて、不透過膜871を破裂させることができる。好適には、この取り外し器具885を減圧送達管869を通して挿入して、不透過膜871と接触するよう進展させることができる。不透過膜871が破裂した後に、取り外し器具885および不透過膜871をマニホルド送達管821を通して引き抜くと、減圧送達装置861が組織部位と接触するよう配置できるように、減圧送達装置861の柔軟なバリア865または気泡材料867を展開、拡張、または伸張することが可能となる。柔軟なバリア865または気泡材料867の展開は、内部空間873への減圧を緩和し、不透過膜871を取り外した後に自動的に行ってもよい。ある場合では、正圧が減圧送達管869を通って送達され、柔軟なバリア865または気泡材料867の展開または伸張を補助する。減圧送達装置861を最終的に配置した後に、マニホルド送達管821は好適には患者から取り外されるが、減圧送達装置861と関連する減圧送達管869がその場に残ると組織部位への減圧の経皮的な適用が可能となる。
【0072】
減圧送達装置861を組織部位に接して配置する前に、不透過膜871を用いて組織部位に近接する組織を切開することもできる。減圧送達装置861および無傷の不透過膜871をマニホルド減圧管821の遠位端843を通して押し出した後に、空気または他の流体を不透過膜871の内部空間873へと投入または注入してもよい。液体の非圧縮性によって不透過膜871をより均一且つ連続して拡張させるのが可能なため、液体を用いて不透過膜871を膨張させることが好ましい。不透過膜871は、その製造方法およびマニホルド送達管821への取り付け方法に応じて、図15に示すような半径方向または一方向に拡張しうる。不透過膜871が空気または流体の圧力によって拡張位置(図15参照)へと外側に拡張すると、空洞が組織部位の近くで破裂する。空洞が十分に大きい場合、液体、空気または他の流体が内部空間873から解放され、不透過膜871を弛緩位置にすることが可能となる。次いで、不透過膜871が上記のように破裂して、減圧送達装置861が組織部位の近くに挿入される。
【0073】
図15Aを参照すると、不透過膜871を主に使用して組織部位に近接する組織を切開する場合、内部空間873がマニホルド送達管821と関連またはこれに取り付けられる第2の管腔または管891と流体連通するように、不透過膜871をマニホルド送達管821にシール接続してもよい。第2の管腔891を用いて内部空間873に液体、空気、または他の流体を送達し、拡張位置に不透過膜871を配置してもよい。切開した後に、図14を参照して上述したように不透過膜871を緩和および破裂させてもよい。
【0074】
図16を参照すると、本開示の実施形態による減圧送達システム911は、遠位端943の内径がマニホルド送達管921の他の部分の内径とほぼ同じかそれ以上となるように、開放位置へと半径方向外側に曲がるよう構成された先細遠位端943を有するマニホルド送達管921を具えている。遠位端943の開放位置は、図16に破線937で概略的に図示されている。
【0075】
マニホルド送達管921はさらに、本書に記載の他の減圧送達装置と同様の減圧送達装置961を収容する通路を具えている。減圧送達装置961は、柔軟なバリア965または気泡材料967を有しており、これらは減圧送達管969の周りに巻き付けられ、折り畳まれ、あるいは押し付けられて、マニホルド送達管921の通路内の減圧送達装置961の断面積を減少させる。
【0076】
内部空間973を有する不透過膜971が減圧送達装置961の周りに設けられ、これにより減圧送達装置961は不透過膜971の内部空間973の中に収容される。不透過膜971は、不透過膜971の一端に接着シール977を有しており、不透過膜971から減圧送達システム961を取り外す代替的な方法を与える。不透過膜971の内部空間973がマニホルド送達管921の通路と流体連通するように、不透過膜971をマニホルド送達管921の他端にシール接着してもよい。代替的に、不透過膜971を内部空間973と流体連通している別の制御管(図示せず)に取り付けてもよい。
【0077】
図13の不透過膜871と同様に、不透過膜971が圧縮位置、弛緩位置、および拡張位置の少なくとも1つとなるように、不透過膜971は流体の通過を防ぐことができる。不透過膜971を圧縮位置および拡張位置に配置するための手順は、不透過膜871についての手順と同様であるため、減圧送達装置961を取り外す異なるプロセスのみを説明する。
【0078】
減圧送達装置961は不透過膜971内の組織部位に送達され、内視鏡、超音波、X線透視法、聴診、触診、または他の適切な位置特定法を用いて適切に配置される。不透過膜971は、取り外す前にX線透視によって不透過膜971の可視化を向上させる、X線不透過性のマーカ981を有していてもよい。次いで、減圧送達装置961がマニホルド送達管921の遠位端943を通って押し出される。内部空間973に適用された減圧は、不透過膜971を弛緩位置に配置しやすくできる。次いで減圧送達装置961が接着シール977を通って押し出されて、不透過膜971を出る。
【0079】
図16Aを参照すると、本開示の実施形態による減圧送達システム985は、図16のマニホルド送達管921と同様のマニホルド送達管を有さないでもよい。代わりに、減圧送達システム985は、ガイドワイヤ987と、減圧送達管989と、減圧送達装置991とを具えることができる。減圧送達装置991は、減圧送達管989に流体連結された複数の流路を有している。減圧送達装置991を送達するために独立したマニホルド送達管を用いる代わりに、減圧送達装置991および減圧送達管989がガイドワイヤ987に配置され、組織部位993へと経皮的に誘導される。好適には、ガイドワイヤ987および減圧送達管989は、滅菌シースを通って患者の皮膚を貫通する。ガイドワイヤ987に沿って減圧送達管989および減圧送達装置991を誘導することにより、減圧送達装置991を組織部位993に配置して、減圧組織治療の経皮的な適用が可能となる。
【0080】
減圧送達装置991は、組織部位993への送達の際にマニホルド送達管内に拘束されないため、送達の間は減圧送達装置991を圧縮位置に保持するのが好ましい。減圧送達装置991として弾性発泡体が使用される場合、生体適合性のある水溶性の接着剤が発泡体に適用され、当該発泡体が圧縮される。組織部位に到達すると、減圧送達システム989を通って送達される体液または他の流体がこの接着剤を分解し、発泡体は組織部位と接触するよう拡張できる。代替的に、減圧送達装置991は圧縮した乾燥ヒドロゲルで形成することができる。ヒドロゲルは、組織部位993に送達した後の湿気を吸収して、減圧送達装置991を拡張することができる。さらに別の減圧送達装置991は、患者の体温に曝された場合に組織部位993で拡張する熱活性化材料(例えば、ポリエチレングリコール)で作ることができる。さらに別の実施例では、圧縮された減圧送達装置991を吸収性の膜の中で組織部位993に送達してもよい。
【0081】
図17を参照すると、本開示の実施形態による減圧送達システム1011は、患者の組織を通って組織部位1025にアクセスするように挿入される遠位端1043を有するマニホルド送達管1021を具えている。組織部位1025は、創傷または他の欠損部と関連する空洞1029、または代替的に、上記のような切開法を含む切開によって形成された空洞を有することがある。
【0082】
組織部位1025に近接する空洞1029内に遠位端1043を配置した後、注射可能、注入可能、または流動性のある減圧送達装置1035をマニホルド送達管1021を通って組織部位1025に送達する。減圧送達装置1035は、組織部位への送達の際に流動性がある状態で存在し、到達後に減圧または流体を分配する複数の流路を形成することが好ましい。ある場合では、流動性がある材料は、組織部位に達した後に、乾燥プロセス、硬化プロセス、または他の化学的または物理的反応によって固体状態に固まってもよい。他の場合では、流動性がある材料は、組織部位に送達した後にその場で発泡体を形成する。さらに他の材料は組織部位1025にゲルのような状態で存在していてもよいが、それでも減圧を送達する複数の流路を有している。組織部位1025に送達される減圧送達装置1035の量は、空洞1029を部分的または完全に充填するのに十分である。減圧送達装置1035は、マニホルドとスキャフォールドの双方の態様を含みうる。マニホルドとして、減圧送達装置1035は、空洞1029に送達した後に材料に形成される複数の空孔または開放セルを有している。空孔または開放セルが互いに連通することで、複数の流路を形成する。流路を使用して、減圧を組織部位1025に適用および分配する。スキャフォールドとしては、減圧送達装置1035は生体吸収性材料であり、新たな組織がその上およびその中で成長する下地として機能する。
【0083】
一実施形態では、減圧送達装置1035は、液体または粘性ゲル全体に分散するNaClまたは他の塩といったポラゲンを含んでもよい。液体または粘性ゲルを組織部位1025に送達した後に、材料は空洞1029に適合して、次いで固体の塊に硬化する。水溶性のNaClポラゲンは、相互接続した空孔または流路を有する構造を残して体液の存在下で溶ける。減圧または流体は流路に送達される。新たな組織が成長すると、組織は減圧送達装置1035の空孔内へと成長し、分解するにつれて最終的に減圧送達装置1035と入れ替わる。このような特定の例では、減圧送達装置1035はマニホルドとして機能するだけではなく、新たな組織の成長のためのスキャフォールドとしても機能する。
【0084】
他の実施形態では、減圧送達装置1035は400μmのマンノースビーズと混合したアルギン酸塩である。ポラゲンまたはビーズは、局部の体液によって、あるいは組織部位の減圧送達装置1035に送達される洗浄流体または他の流体によって分解されうる。ポラゲンまたはビーズが分解した後、ポラゲンまたはビーズによって以前は占められていた空間が他の空洞と相互接続された空洞となり、減圧送達装置1035内に流路を形成する。
【0085】
材料に流路を形成するためにポラゲンを使用することは効果的であるが、それはまた、選択したポラゲンのおよその粒径サイズに限定された大きさの空孔および流路を形成する。ポラゲンの代わりに化学反応を利用して、気体の副生成物の形成により大きい空孔を形成することもできる。例えば、一実施形態では、重炭酸ナトリウムおよびクエン酸の粒子(非化学量論量を用いてもよい)を含む流動性がある材料を組織部位1025に送達してもよい。流動性がある材料がその場で発泡体または固体を形成すると、体液が重炭酸ナトリウムとクエン酸との間の酸塩基反応を開始する。生成して得られた二酸化炭素ガス粒子は、ポラゲンの溶解による方法よりも、減圧送達装置1035全体に大きな空孔および流路を形成する。
【0086】
液体または粘性ゲルから固体または発泡体への減圧送達装置1035の変化は、pH、温度、光、または体液、組織部位に送達される化学物質または他の物質との反応によって引き起こすことができる。この変化は、複数の反応要素を混合することによっても起きる。一実施形態では、減圧送達装置1035は、生体吸収性ポリマで作られた生体吸収性の微小球を選択することによって調製される。この微小球は、光開始剤およびヒアルロン酸、コラーゲン、または光反応基を有するポリエチレングリコールといったヒドロゲル形成材料を含む溶液内に拡散する。微小球ゲル混合物に短い時間光に当てると、ヒドロゲルを部分的に架橋して微小球にヒドロゲルを固定させる。余分な溶液が排出され、その後に微小球を乾燥させる。微小球は注射または注入によって組織部位に送達され、送達された後に、混合物が湿気を吸収し、ヒドロゲルコーティングが水和される。次いで、混合物に再び光を当てると、微小球を架橋して、複数の流路を形成する。架橋した微小球はマニホルドとして機能し、減圧を組織部位に送達して、多孔質のスキャフォールドとして機能して新たな組織の成長を促進する。
【0087】
本書に記載の上記の実施形態に加えて、減圧送達装置1035は、気体、液体、ゲル、ペースト、パテ、スラリー、懸濁液、または他の流動性のある材料として組織部位に送達することが可能で、組織部位と流体連通する複数の流路を形成可能な、リン酸カルシウム、コラーゲン、アルギン酸塩、セルロース、または他の同等の材料を含む様々な材料で作ることができるが、これらに限定はされない。流動性のある材料はさらに、粒子状の固体のサイズが十分に小さい場合、マニホルド送達管1021を通って流れることができるビーズなどの粒子状固体を有していてもよい。流動可能な状態で組織部位に送達される材料は、その場で重合またはゲル化する。
【0088】
上述のように、減圧送達装置1035は、組織部位1025に近接する空洞1029内に直接注射または注入される。図17Aを参照すると、マニホルド送達管1021は、マニホルド送達管1021の遠位端1043に不透過膜または半透膜1051を有している。膜1051は、マニホルド送達管1021に取り付けられた第2の管腔1057と流体連通する内部空間1055を有している。マニホルド送達管1021は、ガイドワイヤ1061を通して組織部位1025に誘導される。
【0089】
第2の管腔1057を通して減圧送達装置1035を注射または注入して、膜1051の内部空間1055を充填してもよい。流体またはゲルが膜1051を充填するにつれて、膜1051が拡張して空洞1029を充填し、これによりこの膜は組織部位1025と接触する。膜1051が拡張すると、この膜1051を用いて組織部位1025に隣接するまたはその近くの余計な組織を切開することができる。膜1051が不透過性の場合は、物理的に破裂して取り除かれ、組織部位1025に接触する減圧送達装置1035の後方に残る。代替的に、膜1051は、当該膜1051に送達される体液または生体適合性溶媒の存在下で溶解する、分解可能な材料で作られてもよい。膜1051が半透膜の場合は、膜1051は残ることがある。半透膜1051によって、組織部位1025への減圧あるいは他の流体の連通が可能となる。
【0090】
図18を参照すると、減圧組織治療を組織部位に施す方法1111は、ステップ1115で組織部位の近くにマニホルドを外科的に挿入するステップを含み、マニホルドは柔軟なバリアから延在する複数の突起部を有し、突起部の間に複数の流路を形成する。突起部の少なくとも一部が組織部位と接触するように、ステップ1119でマニホルドが配置される。ステップ1123では、減圧がマニホルドを通して組織部位に適用される。
【0091】
図19を参照すると、減圧組織治療を組織部位に施す方法1211は、ステップ1215で組織部位の近くにマニホルドを経皮的に挿入するステップを含んでいる。マニホルドは柔軟なバリアから延在する複数の突起部を有しており、突起部間に複数の流路を形成する。代替的に、マニホルドは気泡材料内に複数の流路を有する気泡材料を有している。代替的に、マニホルドは、組織部位に送達され、組織部位に到達した後に複数の流路を形成する注射可能または注入可能な材料で作ることもできる。ステップ1219では、流路の少なくとも一部が組織部位と流体連通するようにマニホルドが配置される。ステップ1223でマニホルドを通して減圧が組織部位に適用される。
【0092】
図20を参照すると、減圧組織治療を組織部位に施す方法1311は、ステップ1315で患者の組織を通って通路を有する管を経皮的に挿入し、当該管の遠位端を組織部位の近くに配置するステップを含んでいる。ステップ1319では、管に関連するバルーンを膨張させて組織部位に近接する組織を切開することで、空洞を形成している。ステップ1323では、マニホルドが通路を通って送達される。マニホルドは、柔軟なバリアから延在する複数の突起部を有しており、突起部間に複数の流路を形成する。代替的に、マニホルドは、気泡材料内に複数の流路を有する気泡材料を有している。代替的に、マニホルドは、図17に関して上述したように、組織部位に送達される注射可能または注入可能な材料で作られてもよい。ステップ1327では、流路の少なくとも一部が組織部位と流体連通するように、マニホルドが空洞内に配置される。ステップ1331では、減圧送達管または他の送達手段を介し、マニホルドを通って減圧が組織部位に適用される。
【0093】
図21を参照すると、減圧組織治療を組織部位に施す方法1411は、ステップ1415で、患者の組織を通って通路を有する管を経皮的に挿入して、組織部位の近くに管の遠位端を配置するステップを含んでいる。ステップ1423では、マニホルドが通路を通って不透過性のシース内の組織部位に送達され、ステップ1419では、不透過性のシースにシースの周囲圧力よりも小さい第1の減圧が適用される。ステップ1427では、このシースを破裂してマニホルドを組織部位と接触するよう配置する。ステップ1431では、第2の減圧がマニホルドを通って組織部位に適用される。
【0094】
図22および図23を参照すると、本開示の実施例による減圧送達装置1511は、患者の大腿骨1517の既存の大腿骨頭を交換するための整形外科用の人工股関節1515を有している。人工股関節1515は、ステム部1521および頭部1525を有している。このステム部1521は、大腿骨1517の骨幹に穴開けされた通路1529内に挿入するために細長い。多孔質のコーティング1535はステム部周囲に施されており、好適には焼結またはガラス化セラミックスまたは金属で構成される。代替的に、多孔質特性を有する気泡材料をステム部の周りに配置してもよい。流路1541が多孔質のコーティング1535と流体連通するように、複数の流路1541が人工股関節1515のステム部1521内に設けられる。連結ポート1545が流路1541に流体連結されており、このポートは減圧送達管1551および減圧送達源1553に取り外し可能に接続するよう構成されている。移植した後に、流路1541を用いて、減圧を多孔質のコーティング1535または人工股関節1515を囲んでいる骨に送達する。流路1541はいくつかの横方向の支線1547と流体連通する主要な分配線1543を有しており、支線は多孔質のコーティング1535と連通している。横方向の支線1547は、図22に示すように主要な分配線1543に対して垂直な方向に向いているか、または主要な分配線1543に対して角度を成していてもよい。減圧を分配する代替的な方法は、中空の人工股関節を設けて、この人工関節の内部空間を多孔質のコーティング1535と流体連通しうる気泡材料(好適には開放セル)で充填するステップを含む。
【0095】
特に図23を参照すると、人工股関節1515がさらにステム部1521内に第2の複数の流路1561を有しており、多孔質のコーティング1535または人工股関節1515を囲んでいる骨に流体を供給する。この流体は、濾過された空気または他の気体、抗生物質、抗ウイルス薬、細胞成長促進剤、洗浄用流体、化学的活性流体、または他の流体を含みうる。複数の流体を人工股関節1515を囲んでいる骨に導入するのが望ましい場合、更なる液通の通路を設けてもよい。接続ポート1565が流路1561に流体連結され、この連結ポート1565は、流体送達管1571および流体送達源1573に取り外し可能に接続するよう構成されている。流路1561は、いくつかの横方向の支線1585と流体連通する主要な分配線1583を有しており、支線は多孔質のコーティング1535と連通している。横方向の支線1585は、図23に示すように主要な分配線1583に対して垂直な方向を向いているか、または主要な分配線1583に対して角度を成している。
【0096】
第1の複数の流路1541への減圧の送達および第2の複数の流路1561への流体の送達は、減圧送達管1551および流体送達管1571といった別個の管によって実施できる。代替的に、本書で上述したような複数の管腔を有する管を用いて、減圧や流体を送達する連通路を分けてもよい。さらに、人工股関節1515内に流体連通する別個の通路を設けることが好ましいが、第1の複数の流路1541を用いて、減圧および流体の双方を人工股関節1515を囲んでいる骨に送達することができることに留意されたい。
【0097】
上述のように、減圧を骨組織に適用すると、新たな骨組織の成長を促進且つ速める。マニホルドとして人工股関節1515を用いて、人工股関節を囲んでいる骨の領域に減圧を送達することにより、大腿骨1517の回復が更に速くなり、人工股関節1515は骨と上手く一体化する。第2の複数の流路1561を設けて人工股関節1515を囲んでいる骨を排出することで、関節の周りの新たな骨の良好な成長を向上させる。
【0098】
人工股関節1515を通して所定時間減圧を適用した後、減圧送達管1551および流体送達管1571は連結ポート1545、1565から外され、好適には外科的に侵襲的な処置をすることなく患者の体から除去される。連結ポート1545、1565と管1551、1571間の接続は、患者の体外の管1551、1571に軸方向の張力を加えることによって実現される、手で取り外し可能な接続である。代替的に、連結ポート1545、1565は、選択された流体または化学物質の存在下で生体吸収可能または分解可能な材料であってもよく、これにより、連結ポート1545、1565をこの流体または化学物質に曝すことで管1551、1571を開放することができる。これらの管1551、1571は、長時間かけて分解する生体吸収性材料、または特定の化学物質または他の物質の存在下で分解する活性材料で作られてもよい。
【0099】
減圧送達源1553を患者の体外に設けて減圧送達管1551に接続し、減圧を人工股関節1515に送達してもよい。代替的に、減圧送達源1553を組み込むか人工股関節1515の近くに設置することによって患者の体内に埋め込んでもよい。患者の体内に減圧送達源1553を配置すると、経皮的な流体連結の必要性がなくなる。埋め込まれる減圧送達源1553は、流路1541に動作可能に接続された従来型のポンプであってもよい。このポンプは、患者に埋め込まれたバッテリによって電力供給するか、あるいはポンプに電気的且つ経皮的に接続された外部バッテリによって電力供給することができる。このポンプは更に、減圧を送達して流路1541、1561を通して流体を循環させる化学反応によっても直接駆動することができる。
【0100】
人工股関節1515のステム部1521および頭部1525のみが図22および図23に図示されているが、本書に記載の流路および減圧組織治療を適用するための手段を、例えば寛骨臼カップを含む、骨または他の組織に接触する人工股関節1515の部品に適用してもよいことに留意されたい。
【0101】
図24を参照すると、患者の関節を修復する方法1611は、ステップ1615で、関節に近接する骨の中に人工関節を埋め込むステップを含んでいる。この人工関節は、患者の関節の動きが回復するのを補助する、上記のような人工股関節または他の人工関節であってもよい。人工関節は、骨と流体連通するよう構成された複数の流路を有している。ステップ1619では、減圧が複数の流路を通って骨に適用されて人工関節のオッセオインテグレーションを改善する。
【0102】
図25および図26を参照すると、本開示の実施形態による減圧送達装置1711は、骨折1719または他の欠損を含む患者の骨1717を固定する整形外科用の固定デバイス1715を具えている。図25および図26に示す整形外科用の固定デバイス1715は、ネジ1725、ピン、ボルト、または他の締結具で整形外科用の固定デバイス1715を骨1717に固定する、複数の通路1721を有するプレートである。多孔質のコーティング1735は、骨1717と接触するよう整形外科用の固定デバイス1715の面に施してもよい。多孔質のコーティングは、焼結またはガラス化セラミックスまたは金属で構成されるのが好ましい。代替的に、多孔質の特性を有する気泡材料を骨1717と整形外科用の固定デバイス1715との間に設けてもよい。流路1741が多孔質のコーティング1735と流体連通するように、複数の流路1741が整形外科用の固定デバイス1715内に設けられる。連結ポート1745は流路1741に流体連結されており、このポートは減圧送達管1751と減圧送達源1753を接続するよう構成されている。整形外科用の固定デバイス1715を骨1717に固定した後、流路1741を用いて、多孔質のコーティング1735または整形外科用の固定デバイス1715を囲んでいる骨に減圧を送達する。流路1741は、いくつかの横方向の支線1747と流体連通する主要な分配線1743を有しており、支線は多孔質のコーティング1735と連通している。横方向の支線1747は、図25に示すように主要な分配線1743に対して垂直な方向に向いているか、あるいは主要な分配線1743に対して角度を成している。減圧を分配する代替的な方法は、中空の整形外科用の固定デバイスを設けて、整形外科用の固定デバイスの内部空間を多孔質のコーティング1735と流体連通できる気泡材料(好適には開放セル)で充填するステップを含む。
【0103】
整形外科用の固定デバイス1715は、図25に示すようなプレートであってもよく、あるいは代替的に、骨の一部を安定化させるために使用する、スリーブ、ブレース、支柱、または他のデバイスといった固定デバイスであってもよい。この整形外科用の固定デバイス1715はさらに、締結具が締結具の近くまたは周囲の組織に減圧を送達するための流路を有しているならば、人工装具または他の整形外科用デバイスまたは移植組織(例えば、骨組織または軟骨)を取り付けるために使用する締結具であってもよい。これらの締結具の例は、ピン、ボルト、ネジまたは他の適切な締結具を含みうる。
【0104】
図26をより具体的に参照すると、整形外科用の固定デバイス1715はさらに、整形外科用の固定デバイス1715内に第2の複数の流路1761を有しており、多孔質のコーティング1735または整形外科用の固定デバイス1715周囲の骨に流体をもたらすことができる。流体は、濾過した空気または他の気体、抗生物質、抗ウイルス剤、細胞成長促進剤、洗浄用流体、化学的活性薬剤、または他の流体を含む。複数の流体を整形外科用の固定デバイス1715を囲んでいる骨に導入するのが望ましい場合、更に流体連通する通路を設けてもよい。連結ポート1765は流路1761に流体連結されており、この連結ポート1765は、流体送達管1771および流体送達源1773を接続するように構成されている。流路1761は、いくつかの横方向の支線1785と流体連通する主要な分配線1783を具えており、支線は多孔質のコーティング1735と連通している。横方向の支線1785は、図23に示すように主要な分配線1783に対して垂直な方向に向いているか、または主要な分配線1783に対して角度を成している。
【0105】
第1の複数の流路1741への減圧の送達および第2の複数の流路1761への流体の送達は、減圧送達管1751および流体送達管1771といった別個の管によって実施することができる。代替的に、本書で上述したような複数の管腔を有する管を用いて、減圧と流体を送達する連通路を分離してもよい。整形外科用の固定デバイス1715内に流体連通する別々の通路を設けることが好ましいが、第1の複数の流路1741を用いて整形外科用の固定デバイス1715に近接する骨に減圧および流体の双方を送達できることに留意されたい。
【0106】
マニホルドとして整形外科用の固定デバイス1715を利用し、整形外科用の固定デバイス1715の近くの骨の領域に減圧を送達すると、骨1717の割れ目1719の回復を速めて向上させる。第2の複数の流路1761を設けて整形外科用の固定デバイス1715の周囲の骨と液通すると、整形外科用の固定デバイスの近くの新たな骨の良好な形成を向上させる。
【0107】
図27を参照すると、骨の骨欠損を治療する方法1811は、ステップ1815で整形外科用の固定デバイスを使用して骨を固定するステップを含んでいる。整形外科用の固定デバイスは、整形外科用の固定デバイス内に設けられた複数の流路を有している。ステップ1819では、複数の流路を通って減圧が骨欠損に適用される。
【0108】
図28を参照すると、減圧組織治療を組織部位に施す方法1911は、流路の少なくとも一部が組織部位と流体連通するように、ステップ1915で複数の流路を有するマニホルドを配置するステップを含んでいる。ステップ1919では、流路を通って組織部位に減圧が適用され、ステップ1923では流路を通って組織部位に流体が送達される。
【0109】
図29を参照すると、減圧組織に治療組織部位を施す方法2011は、ステップ2015で組織部位の近くにマニホルド送達管の遠位端を配置するステップを含んでいる。ステップ2019ではマニホルド送達管を通って組織部位に流体を送達する。流体は組織部位に近接する空洞を充填することが可能であり、組織部位と流体連通する複数の流路を有する固体マニホルドとなる。ステップ2023で固体マニホルドの流路を通って減圧が組織部位に適用される。
【0110】
図30乃至図38を参照すると、減圧送達システム2111は、主要な流路2121を囲んでいる壁部2117を有する主要なマニホルド2115を具えている。壁部2117は、近位端2123で減圧送達管2125に接続されている。減圧送達管2125の形状は一般に断面が円形であり、主要なマニホルド2115の形状の断面は円形以外(すなわち、図30乃至図35の矩形および図36乃至図38の三角形)でもよいため、移行領域2129が減圧送達管2125と主要なマニホルド2115の間に設けられる。主要なマニホルド2115は、減圧送達管2125に接着してもよく、融合またはインサート成形といった他の手段を用いて連結してもよく、あるいは代替的に共押し出しによって一体的に接続してもよい。減圧送達管2125は、減圧を主要なマニホルド2115に送達し、組織部位にまたはその近くに分配する。
【0111】
壁2117は、柔軟な材料、硬質な材料、または柔軟な材料と硬質な材料双方の組み合わせで作ることができる。例えば、医療グレードのシリコーン重合体または他の柔軟な材料が成形、押出し成型、あるいは製造されて、柔軟な壁2117を形成してもよい。代替的に、硬質な材料は、限定ではないが、金属、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、および他の硬質なポリマ材料を含み、硬質な壁2117を形成すべく、成形、押し出し成形、あるいは製造される。
【0112】
閉塞防止材2135が主要なマニホルド内に配置されて主要なマニホルド2115が潰れるのを防ぎ、その結果、減圧を適用する際に主要な流路2121が閉塞するのを防ぐ。一実施形態では、閉塞防止材2135は、壁2117の内面2141に設置され、主要な流路2121へと延在する複数の突起部2137(図34参照)であってもよい。他の実施形態では、この閉塞防止材2135は、内面2141に設置された1または複数の頂部2145(図30および図31参照)であってもよい。更に他の実施形態では、閉塞防止材2135は、図37に示すように、主要な流路内に設置された気泡材料2149を含んでもよい。閉塞防止材2135は、流路内に挿入できる、あるいは壁2117と一体または壁に取り付けることができる材料または構造であってもよい。この壁2117が柔軟な材料で作られる場合、閉塞防止材2135は壁2117が完全に潰れるのを防ぐことができるが、さらに主要な流路2121を通って流体が流れることもできる。
【0113】
壁2117はさらに、主要な流路2121と連通している壁2117を通る複数の開口部2155を具えている。この開口部2155によって、主要な流路2121に送達された減圧を組織部位に分配することが可能となる。開口部2155は、主要なマニホルド2115の周囲に選択的に配置され、好適には真空を送達させてもよい。
【0114】
減圧送達管2125は、好適には主要な流路2121に流体連結された少なくとも1の出口を有する第1の導管2161を具えており、減圧を主要な流路2121に送達する。第2の導管2163を設けて、流体で主要な流路2121および第1の導管2161を浄化し、組織部位から吸い出された滲出液および他の流体による閉塞を防ぐか解消することができる。第2の導管2163は好適には、主要な流路2121の少なくとも1つおよび第1の導管2161の少なくとも1の出口に近接して設置された少なくとも1つの出口を具えている。
【0115】
より具体的に図30および図31を参照すると、減圧送達システム2111は、主要な流路2121および第1の導管2161を洗浄する複数の導管を具えている。減圧送達管2125が取り付けられる端部と反対側の壁2117の端部は図30に示すように開口しているが、壁2117の端部を覆うと、洗浄機能の性能や信頼性が向上しうることが分かっている。好適には、覆われた壁の端部と第2の導管2163の端部の間に頭部空間2171が設けられる。この頭部空間2171によって、洗浄プロセスの際に洗浄流体を蓄積し、洗浄流体が主要な流路2121を通って第1の導管2161に流入するのが可能となる。
【0116】
また、閉塞防止材2135として機能する仕切りを図31に示す。中央に設置された仕切りは、主要な流路2121を2つのチャンバに分岐させ、これらのチャンバの一方が閉塞して洗浄により閉塞を解消することが不可能な場合にも、主要なマニホルド2115の連続的な動作を可能にする。
【0117】
図39および図40を参照すると、減圧送達システム2211は、減圧送達管2217と一体となった主要なマニホルド2215を具えている。減圧送達管2217は、中央管腔2223と複数の補助管腔2225とを具えている。補助管腔2225を使用して組織部位またはその近くの圧力を測定する一方、さらに補助管腔2225を使用して中央管腔2223を洗浄し閉塞を防止または解消することができる。複数の開口部2231は中央管腔2223と連通して中央管腔2223によって送達される減圧を分配する。図40に示すように、開口2231は補助管腔2225を貫通しないことが好ましい。また、減圧送達管の皿頭端部を図40に示しており、これが補助管腔2225の端部以外に頭部空間2241を形成する。減圧を適用する際に、組織、スキャフォールド、または他の材料が減圧送達管2217の端部と係合すると、頭部空間2241が連続して液体または気体といった洗浄流体を中央管腔2223に送達可能となる。
【0118】
動作時に、図30乃至図40の減圧送達システム2111、2211を組織部位に直接適用して、減圧を組織部位に分配してもよい。本書に記載の経皮的な導入および取り外し法では、薄型の主要なマニホルドの形状が非常に望ましい。同様に、主要なマニホルドを外科的に挿入することもできる。
【0119】
ここで図41および図42を参照すると、実施例によるマニホルド5115が図示されている。図42は、マニホルド5115の縦断面図である。このマニホルド5115は、患者に挿入されて、皮下組織部位に配置されるよう適合されている。マニホルド5115は、互いに近接している複数の第1の導管5121を具えており、第1の導管5121の間に第2の導管5163を規定する内部空間を形成する。複数の第1の導管5121は、均一なパターンまたは不規則なパターンで配置されてもよく、複数の第1の導管5121の部材はサイズが均一または異なっていてもよい。第1の導管5115は、溶接、セメント、接着等といった複数の接着剤によって互いに連結されてもよい。マニホルド5115は、第1の導管5121および第2の導管5163を用いて減圧供給機能および洗浄機能を提供している。非限定的な一例では、第2の導管5163は、複数の第2の開口部5140を介してそれぞれの第1の導管5121と連通していてもよい。
【0120】
マニホルド5115は第1の導管5121を具えている。第1の導管5121はそれぞれ、環状壁などの壁5125に形成された少なくとも1つの第1の開口部5131と、少なくとも1つの第2の開口部5140とを有する。図41および図42の非限定的な例では、第1の導管5121はそれぞれ、壁5125に形成された複数の第1の開口部5131と複数の第2の開口部5140とを有している。第1の開口部5131は、互いに均一または不均一な間隔に配置されてもよく、直径が均一または不均一であってもよい。さらに、第2の開口部5140は、互いに均一または不均一な間隔に配置されてもよく、直径が均一または不均一であってもよい。
【0121】
一実施例では、少なくとも1つの第1の導管5121が、図9の減圧源427のような減圧源と流体連通している。第1の導管5121の少なくとも1つは、第1の開口部5131を介して減圧源から組織部位に減圧を送達することができる。第1の導管5121はさらに、マニホルド5115の遠位端5182といった、マニホルド5115の任意の部分に減圧を送達することもできる。別の実施例では、第1の導管5121はそれぞれ減圧源と流体連通しており、第1の導管5121がそれぞれ第1の開口部5131を介して減圧を皮下組織部位に送達する。第1の導管5121を通ってマニホルド5115の遠位端5182から離れる方向の流体の流れを矢印5171に示している。このようにマニホルド5115から離れる流体の流れによって、第1の導管5121または第1の導管の少なくとも一部分における減圧が第1の開口部5131を介して組織部位に送達される。
【0122】
それぞれ第1の開口部5131は、第1の導管5121と組織部位などのマニホルド5115の外側の空間との間の流体連通を可能にする。第1の導管5121から組織部位への減圧の送達を可能にすることに加えて、第1の開口部5131によって、組織部位からの滲出液または他の流体が第1の導管5121内に侵入することも可能となる。マニホルド5115の外側の空間から第1の導管5121内への流体の流れを、矢印5172に示している。
【0123】
第1の導管5121は、円形の断面形状を示している。しかしながら、第1の導管5121は、楕円形、ひし形、三角形、四角形、多角形等を含む任意の断面形状を有することができる。
【0124】
さらに、図41は4の第1の導管5121を有するマニホルド5115を示しているが、マニホルド5115は任意の数の第1の導管を有することができる。例えば、マニホルド5115は2以上の第1の導管5121を有し、第2の導管5163を少なくとも部分的に取り囲んで形成してもよい。第2の導管5163は、2以上の第1の導管5121間、一般には少なくとも3以上の第1の導管5121の間の中央に配置することができる。
【0125】
円形の断面形状を有する第1の開口部5131がそれぞれ図示されている。しかしながら、それぞれの第1の開口部5131は、楕円または多角形の断面形状といった任意の断面形状を有することができる。他の例では、それぞれの第1の開口部5131は、第1の導管5121の総てまたは一部に沿って延在するスリットであってもよい。本書で使用する「スリット」とは、細長い穴、開口部、またはチャネルである。一実施例では、スリットはそれぞれ、互いにほぼ平行であってもよい。
【0126】
マニホルド5115の第2の導管5163は、第1の導管5121のそれぞれの外面5184および5186の一部分によって形成されている。それぞれの第2の開口部5140は、第2の導管5163を形成する第1の導管5121のそれぞれの外面5184および5186の一部に位置している。第2の導管5163は通常、第1の導管5121の間に形成、あるいは設置される。第2の導管5163は、第2の開口部5140を介して第1の導管5121と流体連通している。
【0127】
第2の導管5163は、組織部位または第1の導管5121の部分に流体を供給する流体源(図示せず)と流体連通することができる。第2の導管5163は、流体源を受けることができる。一実施形態では、第2の導管5163が、第2の開口部5140を介して第1の導管5121それぞれに流体を送達する。第2の導管5163はさらに、マニホルド5115の端部を含む、マニホルドの遠位部分5115に流体を送達することもできる。第2の導管5163はさらに、マニホルド5115周囲の組織空間に流体を送達することもできる。第2の導管5163によって送達される流体は、空気などの気体または液体であってもよい。第2の導管5163によって送達される流体の流れを、矢印5173に示す。代替的な実施形態では、流体源からの流体は、1以上の第1の導管5121によって、マニホルド5115の遠位端5182へと送達されうる。
【0128】
非限定的な一実施例では、第1の導管5121が第2の開口部5140を介して第2の導管5163から流体を抜き取る。この実施形態では、減圧源からの減圧によって、流体は第2の開口部5140を介して第2の導管5163から第1の導管5121に抜き取られる。他の非限定的な実施例では、流体源によって発生し、第2の導管5163によって送達される正圧は、第2の開口部5140を介して第2の導管5163から第1の導管5121に流体を押しやる、あるいは移動させる。第2の開口部5140を介して第2の導管5163から第1の導管5121に流体が移動すると、マニホルド5115に形成される閉塞を取り除くか減少させる効果があるマニホルド5115の洗浄機能を促進させる。第1の導管5121は任意の数の第2の開口部5140を具えてもよく、この数が第2の導管5163から第1の導管5121に移動する流速を制御することができる。
【0129】
一実施形態では、マニホルド5115は、マニホルド5115の遠位端5182と接続するよう適用されるか、接続されたエンドキャップ5170を具え、分配空間を形成することができる。第2の導管5163によって送達された流体は、エンドキャップ5170をマニホルド5115の遠位端5182に接続することで形成された空間を介して、第2の導管5163から第1の導管5121に移動することができる。一実施形態では、この空間は、第2の導管5163から第1の導管5121に移動する流体が通る唯一の通路を設けてもよい。この実施形態では、第2の開口部5140が第1の導管5121には存在しない、あるいは最低数の開口部5140であってもよい。
【0130】
一実施例では、第2の開口部5140はない、あるいはマニホルド5115の外側へと開放していなくともよく、液体または空気などの流体は、バルブを大気(例えば、空気パージ)に開放することで第2の導管5163へと吸い出すことができる。このバルブは、第2の導管5163と流体連通している。従って、流体は第2の導管5163を通って吸い出され、第1の導管5121を介して減圧デバイスへと戻り、これは、減圧下では、マニホルド5115から減圧源へとフィブリン形成物などの凝固/凝結の形成物を吸い出す力を供給することができる。この実施形態では、第2の導管5163への供給ポートは、マニホルド5115の外面になくてもよい。この実施例では、第2の導管5163は、第2の導管5163の遠位端を含み、第1の導管5121によって完全に囲まれていてもよく、その結果、組織空間などの外側の環境から閉鎖されていてもよい。第2の導管5163は、第2の導管5163から第1の導管5121へと隣接するエンドキャップ5170と通じている。この実施例は、第2の導管5163から第1の導管5121に流体が移動するにつれて、流体がマニホルド5115内に含まれるようにすることができる。従って、この実施形態では、流体が組織空間の内外に移動する可能性は減少するか、なくなる。
【0131】
例示的、非限定的な一実施形態では、マニホルド5115が4の第1の導管5121で形成されている。前述のように、第1の導管5121が第2の導管5163を形成している。4の第1の導管5121はそれぞれ、4の第1の導管5121の他の少なくとも2つと接触している。この実施形態では、4の第1の導管5121および第2の導管5163は、導管5121、5163を共押し出し成形することで形成される。導管5121、5163を共押し出し成形した後に、コアピンを用いて導管に真直ぐ穴開けし、第1の開口部5131を形成することができる。従って、例えば、コアピンが(図41の向きに対して)上部右側の第1の導管5121および下部左側の第1の導管5121を穴開けして、第2の導管5163を同時に貫通させてもよい。これは、必要な回数且つ様々な向きで繰り返すことができる。
【0132】
第2の導管5163内の流体が液体である例では、この液体は第2の導管5163に汲み出されるか重力送りされ、これにより、液体用の通路のみが第1の導管5121に沿って、減圧源の方へと、第2の開口部5140を通って第1の導管5121に通っている。マニホルド5115は好適には対象的なデザインを有しており、マニホルド5115の対称的なデザインによって、マニホルド5115を任意の空間的向きに利用でき、それぞれの位置で同じまたは同様の結果を得ることが可能となる。
【0133】
他の実施例では、供給された流体は組織空間などのマニホルド5115を囲んでいる空間に侵入することが可能である。例えば、流体は第2の導管5163の遠位端5182にある開口でマニホルド5115を出ることができる。次いで、この流体は、第1の導管5121内に吸い込まれてもよい。
【0134】
一実施例では、減圧を皮下組織部位に適用する方法は、マニホルド5115を皮下組織部位に適用するステップを含んでいる。このマニホルド5115は患者に経皮的に挿入することができ、マニホルド5115は、皮下組織部位に近接するか、隣接して設置することができる。マニホルド5115の対称的なデザインは、任意の向きにマニホルドを容易に埋め込めるようにすることができる。
【0135】
一実施例では、減圧を皮下組織部位に適用する装置を製造する方法は、第1の導管5121を設けるステップを含んでいる。この方法はさらに、第1の導管5121を互いに接続して、第2の導管5163を形成するステップを含んでもよい。第2の導管5163は、第1の導管5121のそれぞれの外面5184および5186の一部によって形成される。この方法はさらに、第1の導管5121の少なくとも1つに減圧を送達すべく、送達導管を設けるステップを含んでもよい。この方法はさらに、この送達導管を第1の導管5121および第2の導管5163に流体連結するステップを含みうる。
【0136】
図43を参照すると、マニホルド5115の他の例示的、非限定的な実施形態が図示されている。マニホルド5115は複数の第1の導管5121を具えており、これらの導管は複数の接着剤5117によって間隔を開けて接続されている。複数の第1の導管5121はそれぞれ、異なる直径または同一の直径を有していてもよく、この実施例では、第1の導管5121のうち1の導管5123は、他の導管よりも小さい直径で示されている。この実施例および他の実施例では、第1の導管の直径は異なる、あるいは均一であってもよいと理解されたい。
【0137】
マニホルド5115は、第1の導管5121のそれぞれの外面5184の一部によって形成された第2の導管5163を具えている。第2の導管5163は波線で示されており、この図では星状の形状をしている。第3の導管5165などの1以上の更なる導管を、第2の導管5163内に設置してもよい。更なる導管5165は、図示のように複数の第1の導管5121それぞれに接触するようなサイズであってもよく、あるいは更に小さいサイズであってもよい。更なる導管または第3の導管5165は、1以上の第1の導管5121に接続することができる。代替的な実施形態(図示せず)では、第1の導管5121は第2の導管を形成しないまたは完全には形成しないでもよいが、マニホルド5115は第1の導管5121それぞれに近接する中央位置に更なる導管5165を有していてもよい。
【0138】
更なる導管5165は洗浄流体を通すことができる、あるいはこの導管を利用して、マニホルド5115の遠位端(図示せず)に、またはそこから他の流体を通してもよい。更なる導管5165の外側および第2の導管5163の内側に形成された空間5167は、第1の導管5121の外壁部5184の開口部を通して導入される洗浄流体を伝達することができ、更なる導管5165は、洗浄流体をエンドキャップ(例えば、図42のエンドキャップ5170)に送達して、洗浄流体を遠位端における第1の導管5121に導入することができる。エンドキャップ5170は、締まりばめ、RF溶接、RF形成による先端加工、溶剤結合、または他の連結法を用いて、遠位端5182に取り付けることができる。
【0139】
図44Aおよび図44Bを参照すると、実施例によるマニホルド5315が図示されている。このマニホルド5315は、管腔の壁5380によって少なくとも部分的に分離している洗浄管腔5363と減圧管腔5321を具えている。非限定的な一例では、洗浄管腔5363は管腔間チャネル5340および頭部空間5371を介してそれぞれの減圧管腔5321と連通していてもよい。
【0140】
マニホルド5315は、減圧源から減圧を送達する減圧管腔5321を具えている。この減圧管腔5321は、減圧源から組織部位、またはマニホルド5315の任意の部分に減圧を送達する。減圧管腔5321を通ってマニホルド5315の端部5382から離れる方向に流れる流体を、矢印5369に示す。このようにマニホルド5315から離れる流体の流れによって、減圧管腔5321における減圧を組織部位、さらにはマニホルド5315の他の部分に送達することができる。減圧管腔5321は、円形、楕円形、平板、不揃い、または多角形の断面形状を含む、任意の断面形状を有していてもよい。一例では、マニホルド5315を作る材料は柔軟であって、管腔を通る流体の流れに応じて、減圧管腔5321の断面形状を変化させてもよい。さらに、図44Aおよび図44Bは2つの減圧管腔5321を有するマニホルド5315を示しているが、マニホルド5315は、特定の実施形態に応じて任意の数の減圧管腔を有していてもよい。
【0141】
減圧管腔5321はさらに開口部5331を具えている。減圧源からの減圧は、減圧管腔5321の開口部5331を介して組織部位に送達することができる。それぞれの開口部5331は、減圧管腔5321と組織部位などのマニホルド5315の外側の空間との流体連通を可能にしている。減圧管腔5321から組織部位への減圧の移動を可能にすることに加えて、開口部5331はさらに、組織部位からの滲出液または他の流体が減圧管腔5321に侵入するのを可能にする。マニホルド5315の外側の空間から減圧管腔5321内への流体の流れを、矢印5372に示す。
【0142】
開口部5331はそれぞれ、円形の断面形状を有していてもよい。しかしながら、それぞれの開口部5331は、楕円形、多角形、不揃いな断面形状といった、任意の断面形状を有していてもよい。他の例では、それぞれの開口部5331は、減圧管腔5321の全体または一部に沿って延在するスリットであってもよい。この例では、スリットはそれぞれ、互いにほぼ平行であってもよい。
【0143】
マニホルド5315はさらに、洗浄管腔5363を具えている。洗浄管腔5363は、減圧管腔5321間の中央に設置される。この洗浄管腔5363は、図30および図31の第2の導管2163の別の非限定的な実施例であり、マニホルド5315の端部5382を含むマニホルドの遠位部分5315に流体を送達するよう機能しうる。洗浄管腔5363はさらに、マニホルド5315周囲の組織空間に流体を送達することもできる。洗浄管腔5363によって送達される流体は、空気などの気体、または液体であってもよい。洗浄管腔5363によって送達される流体の流れを矢印5373に示す。
【0144】
洗浄管腔5363は、円形、楕円形、平板、不揃い、または多角形の断面形状を含む任意の断面形状を有していてもよい。一例では、マニホルド5315を作る材料は柔軟であって、管腔を通る流体の流れ、さらには他の要素に応じて洗浄管腔5363の断面形状を変化させてもよい。1つの洗浄管腔5363が図示されているが、マニホルド5315は任意の数の洗浄管腔を有していてもよい。
【0145】
洗浄管腔5363は、柔軟または硬質な管腔の壁5380によって、減圧管腔5321と分離している。管腔の壁5380は、管腔間チャネル5340を具えている。これらの管腔間チャネル5340は、洗浄管腔5363と減圧管腔5321の間を流体連結する、あるいは流体連通をもたらしている。一例では、減圧管腔5321は、管腔間チャネル5340を介して洗浄管腔5363から洗浄流体を吸い出す。他の例では、洗浄管腔5363内の正圧が管腔間チャネル5340を介して洗浄管腔5363から減圧管腔5321に流体を押し出している。洗浄管腔5363内の正圧は、正圧源によって供給されてもよい。管腔の壁5380は任意の数の管腔間チャネル5340を有していてもよく、この数が洗浄管腔5363から減圧管腔5321に送達される流体の速度を制御することができる。
【0146】
別の例では、洗浄管腔5363から減圧管腔5321への流体の移動は、マニホルド5315の端部をエンドキャップ5370に連結することにより形成される頭部空間5371を介して生じることがある。一実施形態では、この頭部空間が、洗浄管腔5363から減圧管腔5321に伝達される流体が通る唯一の通路を設けてもよい。この実施形態では、管腔間チャネル5340はマニホルド5315になくてもよい。洗浄管腔5363から減圧管腔5321への流体の移動を促進するため、管腔の壁5380はエンドキャップ5370に接触せずに終端して、頭部空間5371を形成してもよい。
【0147】
図45および図46を参照すると、実施例によるマニホルド5415が図示されている。図46は、図45の線46−46に沿って取り出した、マニホルド5415の断面図である。マニホルド5415は、シート5580および5581を具えている。シート5580の外周部5590は、シート5581の外周部5592に取り付けられて、ポーチを形成する。マニホルド5415はさらに、ポーチによって少なくとも部分的に囲まれた減圧空洞5421を有している。洗浄管5463はポーチ内へ延在している。
【0148】
シート5580および5581は任意の材料で作られ、硬質または柔軟であってもよい。一例では、このシート5580および5581は、シリコーンで構成される。薄型、且つ場合によっては柔軟な性質のマニホルド5415は、皮下組織部位におけるマニホルド5415の移動および配置を容易にする。薄型のマニホルド5415はさらに、マニホルド5415の経皮的な除去も容易にすることができる。シート5580および5581の間を接続することで形成されたポーチが図45に示されており、「U」型を有している。図46の断面図は、長円形または「ひとみ」型を有するシート5580および5581を示している。しかしながら、実施形態に応じて、ポーチは、円形、多角形、または不揃いな形状といった任意の形状を有してもよい。一例では、ポーチを作る材料は柔軟であって、空洞を通る流体の流れ、さらには他の要素に応じて、ポーチの断面形状、ひいては減圧空洞5421を変化させてもよい。
【0149】
一例では、シート5580の外周部5590はシート5581の外周部5592に固定して取り付けられ、シーム5479を形成する。代替的に、シート5580および5581の間を接続することでシームがない場合もある。他の例では、シート5580および5581は、別個のシートではなく、1つの連続した材料部分から形成される。
【0150】
減圧空洞5421は、減圧源から減圧を移動させる。この減圧空洞5421は、減圧源から組織部位、またはマニホルド5415の任意の部分に減圧を送達することができる。減圧空洞5421を通ってマニホルド5415の端部5482から離れる流体の流れを、矢印5469に示す。このようにマニホルド5415から離れる流体の流れにより、減圧空洞5421における減圧を組織部位、さらにはマニホルド5415の他の部分に移動させる。
【0151】
シート5580および5581は、開口部5531を具えている。減圧源からの減圧は、開口部5531を介して組織部位に送達することができる。各開口部5531によって、減圧空洞5421と組織部位などのマニホルド5415の外側の空間との間の流体連通が可能となる。減圧空洞5421から組織部位への減圧の移動を可能にすることに加えて、開口部5531によって組織部位からの滲出液または他の流体が減圧空洞5421に侵入することも可能となる。マニホルド5415の外側の空間から減圧空洞5421内への流体の流れを矢印5572に示す。
【0152】
開口部5531はそれぞれ、円形の断面形状を有していてもよい。しかしながら、それぞれの開口部5531は、楕円形、多角形、不揃いな断面形状といった、任意の断面形状を有してもよい。他の例では、それぞれの開口部5531は、シート5580および5581の全体または一部に沿って延在するスリットであってもよい。この例では、それぞれのスリットは、互いにほぼ平行であってもよい。シート5580および5581の双方に具えられた開口部5531が図示されているが、開口部5531はシート5580および5581の片方のみに具えられてもよい。
【0153】
洗浄管5463は、シート5580および5581によって形成されるポーチ内に設置される。この洗浄管5463は、図30および図31の第2の導管2163の他の非限定的な実施例であって、マニホルド5415の端部5482を含む、マニホルド5415の遠位部分に流体を送達するよう機能する。洗浄管5463はさらに、マニホルド5415周囲の組織空間に流体を送達してもよい。洗浄管腔5463によって送達される流体は、空気などの気体、または液体であってもよい。洗浄管腔5463によって送達される流体の流れを矢印5473に示す。
【0154】
洗浄管5463は、円形、楕円形、平板、不揃い、または多角形の断面形状を含む、任意の断面形状を有していてもよい。一例では、洗浄管5463を作る材料は柔軟であって、管を通る流体の流れ、さらには他の要素に応じて、洗浄管5463の断面形状を変化させてもよい。1つの洗浄管5463が図示されているが、マニホルド5415は任意の数の洗浄管腔であってもよい。
【0155】
洗浄管5463は管腔間チャネル5440を具えている。この管腔間チャネル5440は、洗浄管5463と減圧空洞5421の間を流体連結するか、流体連通を設けている。一例では、減圧空洞5421は管腔間チャネル5440を介して洗浄管5463から洗浄流体を抜き取る。他の例では、洗浄管5463内の正圧が、管腔間チャネル5440を介して洗浄管5463から減圧空洞5421に流体を押しやる。洗浄管5463内の正圧は、正圧源によって供給することができる。洗浄管5463は任意の数の管腔間チャネル5440を有していてもよく、この数が洗浄管5463から減圧空洞5421に移動する流体の速度を制御することができる。
【0156】
他の例では、洗浄管5463から減圧空洞5421への流体の移動は、頭部空間5471を介して生じてもよい。この例では、洗浄管5463からの流体が頭部空間5471に侵入できるように、エンドキャップ5470のようなエンドキャップを洗浄管5463の端部に配置しないでもよい。一実施形態では、頭部空間は、洗浄管5463から減圧空洞5421に移動する流体が通る唯一の通路を設けてもよい。この実施形態では、管腔間チャネル5440はマニホルド5415になくてもよく、エンドキャップを洗浄管5463の端部に配置しなくてもよい。他の例では、管腔間チャネル5440が洗浄管5463から減圧空洞5421に移動する流体が通る唯一の通路を提供するように、エンドキャップ5470を洗浄管5463の端部に配置してもよい。
【0157】
図47を参照すると、本書に記載の任意のマニホルドである主要なマニホルド5486は、補助マニホルド5488と併用して使用することができる。図47では、補助マニホルド5488は、二層のフェルトマットを具えている。補助マニホルド5488の第1の層は、骨の骨折5490または他の欠損部を含む骨の組織部位5489と接触して配置される。主要なマニホルド5486は第1の層と接触して配置され、補助マニホルド5488の第2の層は、主要なマニホルド5486および第1の層の上に配置される。補助マニホルド5488は、主要なマニホルド5486と骨の組織部位5489との間の流体連通を容易にし、さらに、骨の組織部位5489と主要なマニホルド5486との間の直接的な接触を防止する。
【0158】
好適には、補助マニホルド5488は生体吸収性であり、減圧治療が終了した後に補助マニホルド5488をそのまま残すことができる。減圧治療が終了すると、主要なマニホルド5486は、骨組織部位5489に殆どまたは全く障害を与えることなく、補助マニホルド5488の層の間から取り除くことができる。一実施形態では、主要なマニホルド5486は、潤滑材またはヒドロゲルを形成する材料でコートされ、層の間から容易に除去できるようにできる。
【0159】
補助マニホルド5488は、新たな組織が成長するためのスキャフォールドとして機能することが好ましい。スキャフォールドとして、補助マニホルド5488は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリウレタン、コラーゲン、ヒアルロン酸、キトサン、ハイドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、バイオガラス、ステンレス鋼、チタン、タンタル、同種移植片および自家移植片の群から選択された少なくとも1つの材料で構成されてもよい。
【0160】
図30乃至図32、36、39、および図40における減圧送達システムの洗浄機能は、本書に記載のマニホルドと共に使用することができる。マニホルドまたは減圧を送達する導管を洗浄する能力は、減圧の適用を妨げる閉塞部の形成を防ぐ。これらの閉塞部は、組織部位に近い圧力が平衡に達し、組織部位周囲の流体の放出が緩慢になるにつれて、一般に形成される。特定の時間、特定の間隔で空気によってマニホルドおよび減圧導管を洗浄すると、閉塞を防ぐまたは解消するのに役立つことが分かっている。例えば、マニホルドを洗浄すると、フィブリンによって起こる閉塞を防ぐことができる。
【0161】
より具体的には、減圧を送達する第1の導管とは別個の第2の導管を通って空気が送達される。第2の導管の出口は、マニホルドまたは第1の導管の出口に近い方が好ましい。空気は加圧されて第2の導管の出口に「押し出され」てもよいが、この空気は組織部位における減圧によって第2の導管を通って抜き取られるのが好ましい。減圧を適用する際に60秒の間隔で2秒間空気を送達すると、多くの場合は、閉塞の形成を防ぐには十分であるということが分かっている。この洗浄スケジュールは、マニホルドおよび第1の導管内の流体を十分に移動させる十分な空気を提供する一方で、過剰な空気が導入されるのを防ぐ。空気を多く導入しすぎる、あるいは空気を高頻度の間隔で導入すると、減圧システムは洗浄サイクルの間に目標減圧に戻ることができなくなる。洗浄流体を送達する規定の時間および洗浄流体を送達する規定の間隔は、システムの構成要素(例えば、ポンプ、管など)の設計およびサイズに基づいて異なる。しかしながら、閉塞部を十分に洗浄しながら、洗浄サイクルの間に完全な目標圧力に回復することが可能な量および間隔で、空気などの洗浄流体を送達するべきである。
【0162】
図48を参照すると、一実施例では、減圧送達システム5491は、第1の導管5493および第2の導管5494に流体連結されたマニホルド5492を具えている。第1の導管5493は減圧源5495に連結され、減圧をマニホルド5492に提供する。第2の導管5494は、マニホルド5492と流体連通し、第1の導管5493の出口と近位に設置された出口5496を具えている。第2の導管5494はバルブ5497に流体連結され、バルブ5497が開放位置にある場合に、第2の導管5494と外気の間の連通を可能にすることができる。バルブ5497はバルブ5497の開閉を制御可能なコントローラ5498に機能的に連結され、外気で第2の導管の洗浄を調整し、マニホルド5492および第1の導管5493内の閉塞を防ぐ。
【0163】
液体または気体を含む流体を利用して、本書に記載された洗浄法を実施できることに留意されたい。洗浄流体を流す力は組織部位における減圧の抜き取りであることが好ましいが、図9について説明したものと同様の流体送達手段によって同様に流体を送達することもできる。
【0164】
図49乃至図52を参照すると、実施例による減圧送達装置5800が図示されている。この減圧治療装置5800は、マニホルド5815と、移行領域5829と、送達管5825とを具えている。減圧治療装置5800は、図48の減圧源5495のような減圧源から皮下組織部位にスリット5831を通って減圧を送達する。減圧治療装置5800はさらに、マニホルド5815に閉塞が形成されるのを防ぐ効果がある洗浄機能も具えている。
【0165】
図49乃至図52には図示されていないが、マニホルド5815は、気体または液体といった流体をマニホルドの遠位部分5815に送達可能な少なくとも1の洗浄管腔を具えてもよい。マニホルド5815はさらに、スリット5831を介して皮下組織部位に減圧を送達可能な少なくとも1の減圧管腔を具えてもよい。少なくとも1の減圧管腔はスリット5831で終端することができ、このスリットが皮下組織部位に適用される減圧を通す開口部を設けている。さらに、マニホルド5815は、少なくとも1の減圧管腔、少なくとも1の洗浄管腔、およびスリット5831の組み合わせを流体的に相互連結する1以上の管腔間チャネルを具えてもよい。一実施形態では、スリット5831は、少なくとも1の減圧管腔(図示せず)および少なくとも1の洗浄管腔(図示せず)に対して平行である。少なくとも1の洗浄管腔、減圧管腔、および管腔間チャネルは、図53乃至図55に更に詳しく図示されている。
【0166】
マニホルド5815は、皮下組織部位に配置するために挿入されるよう適合されている。図49乃至図52の実施形態では、マニホルド5815は平板形状を有しており、皮下組織部位にマニホルド5815を配置するのを容易にしている。特に、マニホルド5815は、平坦面5885および反対の平坦面5886、さらには曲面5887および反対の曲面5888を有している。他の例では、平坦面5885および5886と、曲面5887および5888はそれぞれ、平坦、湾曲、または他の形状であってもよい。マニホルド5815の幅5890はマニホルド5815の高さ5891よりも大きく、平板形状のマニホルド5815を提供している。しかしながら、幅5890は高さ5891と等しいか、それよりも小さくてもよい。
【0167】
マニホルド5815は、皮下組織部位に設置可能な任意の材料で構成することができる。一例では、マニホルド5815は、マニホルド5815を通って減圧が適用されたときに潰れにくいものである。このような耐性は、マニホルド5815の構造、さらにはマニホルド5815が作られる材料により、少なくとも部分的に与えることができる。例えば、マニホルド5815を作る材料の硬さは、マニホルド5815を通して減圧が適用されたときにマニホルド5815が潰れにくいように調整されてもよい。一実施形態では、マニホルド5815は、医療グレードのシリコーンなどのシリコーンで構成されてもよい。他の実施形態では、マニホルド5815は熱可塑性のシリコーンポリエーテルウレタンで構成されてもよい。
【0168】
皮下組織部位におけるマニホルド5815の設置を容易にするため、マニホルド5815は生体適合性または合成の潤滑剤でコートされてもよい。この潤滑剤はマニホルド5815の経皮的な挿入、さらにマニホルド5815の皮下の動きを容易にすることができる。一例では、マニホルド5815は、ヘパリンまたはパリレンの何れかまたは両方でコートされる。
【0169】
マニホルド5815の平坦面5885は、スリット5831を具えている。このスリット5831は、マニホルドの遠位部分5815に位置している。3つのスリット5831を有するマニホルド5815が図示されているが、マニホルド5815は1つのスリットというように、任意の数のスリットを有することができる。スリット5831は、マニホルド5815の遠位端に延在している。一例では、スリット5831は、マニホルド5815の長さ5894の大部分にわたって延在してもよい。他の例では、スリット5831は、マニホルド5815の長さ5894全体にわたって延在してもよい。
【0170】
スリット5831はそれぞれ、マニホルド5815の片側、特に平坦面5885に位置している。しかしながら、スリット5831は、マニホルド5815の1以上の面に位置していてもよい。例えば、マニホルド5815の総ての面が1以上のスリットを有していてもよい。このスリット5831は、互いに平行で、それぞれ同じ長さを有することができる。しかしながら、スリット5831は、互いに任意の向きを向いていてもよい。例えば、スリット5831の一部は、スリット5831の他の部分に対して垂直であってもよい。さらに、スリット5831は、例えばそれぞれのスリット5831が異なる長さを有する例を含む、不均一な長さを有していてもよい。
【0171】
マニホルド5815はさらにマニホルド5815の端部に取り付けできるエンドキャップ5870を具え、図31の頭部空間2171のような頭部空間を形成することができる。エンドキャップ5870は、マニホルド5815に恒久的または脱着可能に取り付けることができる。頭部空間は、少なくとも1の減圧管腔を介して流体が吸い出される前に、少なくとも1の洗浄管腔から流体を蓄積することができる。
【0172】
減圧治療装置5800はさらに、減圧送達管5825を具えている。送達管5825はマニホルド5815と流体連通している。一実施形態では、送達管5825は、減圧を少なくとも1の減圧管腔に送達し、気体または液体といった流体を少なくとも1の洗浄管腔に送達する。送達管5825は、円形、楕円形、多角形、または不揃いな断面形状といった、任意の断面形状を有することができる。
【0173】
減圧治療装置5800はさらに、送達管5825とマニホルド5815の間に位置する移行領域5829を具えている。一例では、移行領域5829が送達管5825とマニホルド5815の間の流体連通を容易にしている。片方の端部5895は送達管5825に合うサイズであってもよく、他端5896はマニホルド5815に合うよう適合されてもよい。
【0174】
図53および図54を参照すると、実施例によるマニホルド5815の断面図を示している。特に、図53は、図49の線53−53に沿って取り出したマニホルド5815の断面図である。図54は、図49の線54−54に沿って取り出したマニホルド5815の断面図である。
【0175】
マニホルド5815は、図48の減圧源5495のような減圧源から減圧を移動させる減圧管腔6321を具えている。減圧管腔6321は、減圧源から組織部位、またはマニホルド5815の任意の部分に減圧を送達する。減圧管腔6321は、円形、楕円形、平板、不揃い、または多角形の断面形状を含む、任意の断面形状を有することができる。一例では、マニホルド5815を作る材料は柔軟であって、管腔を通る流体の流れ、さらに他の要素に応じて減圧管腔6321の断面形状を変化させることができる。さらに、図54は3つの減圧管腔6321を有するマニホルド5815を示しているが、マニホルド5815は、特定の実施形態に応じて任意の数の減圧管腔を有してもよい。
【0176】
減圧管腔6321はマニホルド5815の遠位端の方に延在しているため、減圧管腔6321は平坦面5885の方へと徐々に開放され、スリット5831となる。この方法では、減圧管腔6321はそれぞれ、各スリット5831で終端することができる。従って、それぞれの減圧管腔6321の少なくとも1つの壁は各スリットの壁と連続していてもよい。減圧管腔6321の数は、マニホルド5815のスリット5831の数と等しい。
【0177】
減圧源からの減圧は、スリット5831を介して組織部位に送達することができる。各スリット5831は、減圧管腔6321と皮下組織部位などのマニホルド5815の外側の空間との間の流体連通を可能にしている。減圧管腔6321から組織部位への減圧の移動を可能にすることに加えて、スリット6331は組織部位からの滲出液または他の流体が減圧管腔6321に侵入するのを可能にする。減圧管腔6321に対するスリット6331の向きは、ある場合では垂直方向を含み、軟組織が減圧管腔6321に侵入するのを防ぐことができ、その結果、閉塞や軟組織の損傷を防ぐの効果がある。
【0178】
マニホルド5815はさらに、洗浄管腔6263を具えている。4の洗浄管腔6263を有するマニホルド5815が図示されているが、マニホルド5815は任意の数の洗浄管腔を有することができる。図30および図31における第2の導管2163の他の非限定的な実施例である洗浄管腔6263は、マニホルド5815の端部を含むマニホルドの遠位部分5815に流体を送達するよう機能する。洗浄管腔6263はさらに、マニホルド5815周囲の組織空間に流体を送達することもできる。洗浄管腔6263によって送達される流体は、空気などの気体、または液体であってもよい。一実施形態では、1以上の洗浄管腔6263は検出管腔であってもよい。皮下組織部位における減圧は、1以上の検出管腔を用いて検出することができる。
【0179】
洗浄管腔6263は、円形、楕円形、平板、不揃い、または多角形の断面形状を含む、任意の断面形状を有することができる。一例では、マニホルド5815を作る材料は柔軟であって、管腔を通って流れる流体に応じて洗浄管腔6263の断面形状を変化させてもよい。
【0180】
マニホルド5815は、管腔間チャネル6240を具えている。管腔間チャネル6240は、洗浄管腔6263と、減圧管腔6321およびスリット5831の片方または両方との間を流体連結するか、あるいは流体連通を提供している。一例では、減圧管腔6321は管腔間チャネル6240を介して洗浄管腔6263から洗浄流体を抜き取る。他の例では、洗浄管腔6263内の正圧が管腔間チャネル6240を介して洗浄管腔6263から減圧管腔6321に流体を押しやる。洗浄管腔6263の正圧は、正圧源によって供給することができる。
【0181】
マニホルド5815は、管腔間チャネル6240のような、任意の数の管腔間チャネルを具えてもよい。例えば、マニホルド5815は、マニホルド5815の長さ5894に沿った任意の地点に位置する2以上の管腔間チャネルを具えてもよい。非限定的な例では、管腔間チャネル6240は、互いに均一または不均一に間隔をあけて配置されてもよい。他の非限定的な例では、管腔間チャネル6240、または複数の管腔間チャネル6240は、スリット5831を有するマニホルド5815の部分というように、マニホルド5815の指定された部分において、互いに近接していてもよい。他の非限定的な例では、総ての管腔間チャネル6240が、スリット5831を有するマニホルド5815の部分に設置されてもよい。管腔間チャネルの数は、洗浄管腔6263から減圧管腔6321に送達される、または通過する流体の速度を制御することができる。2以上の管腔間チャネル6240を有していると、1以上の管腔間チャネルがフィブリンまたは他の物質によって閉塞または塞がれた場合に、洗浄管腔6263と減圧管腔6321の間の連続的な流体連通を可能にすることができる。
【0182】
他の例では、洗浄管腔6263から減圧管腔6321への流体の移動は、マニホルド5815の端部を図49乃至図52のエンドキャップ5870に接続することで形成される頭部空間を介して起こりうる。一実施形態では、頭部空間が洗浄管腔6263から減圧管腔6321に移動する流体が通る唯一の通路を提供してもよい。この実施形態では、管腔間チャネル6240はマニホルド5815になくてもよい。
【0183】
図55および図56を参照すると、実施例による減圧治療装置5800の断面図が示されている。特に、図55は、図49の断面指示56の投影から図示された移行領域5829の断面図である。図56は、図49の断面指示56の投影から図示された送達管5825の断面図である。
【0184】
送達管5825は、図53および図54の洗浄管腔6263に流体を送達できる流体送達管腔6430を具えている。送達管5825はさらに、減圧管腔6321、さらにはマニホルド5815の他の部分および近接する組織部位に減圧を送達できる減圧送達管腔6428を具えている。
【0185】
マニホルド5815内の洗浄管腔6263の数は、送達管5825内の流体送達管腔6430の数を超える場合がある。さらに、マニホルド5815内の減圧管腔6321の数は送達管5825内の減圧送達管腔6428の数を超える場合もある。管腔の数は、送達管5825からマニホルド5815へと、この方法では移行領域5829において増加し、移行領域は送達管5825とマニホルド5815の間のインタフェースとして機能する。
【0186】
一実施形態では、移行領域5829は少なくとも1つの空洞を具えている。一例では、流体送達管腔6430は、この空洞を介して洗浄管腔6263と流体連通することができる。この例では、流体送達管腔6430は送達管5825に近い空洞の端部に接続されるか、流体連結することができる。洗浄管腔6263は、マニホルド5815に近い空洞の端部に接続されるか、流体連結することができる。このように空洞を設けると、流体送達管腔6430と洗浄管腔6263の間の流体連通を維持しながら、それらの数を変更することができる。
【0187】
他の例では、減圧送達管腔6428は、空洞を介して減圧管腔6321と流体連通することができる。この例では、減圧送達管腔6428は、送達管5825に近い空洞の端部に接続、あるいは流体連結することができる。減圧管腔6321は、マニホルド5815に近い空洞の端部に接続されるか、流体連結することができる。このように空洞を設けると、減圧送達管腔6428と減圧管腔6321との間の流体連通を維持しながら、それらの数を変更することができる。さらに、移行領域は2つの空洞を具え、そのうちの1つが流体送達管腔6430と洗浄管腔6263の間の流体連通をもたらし、他方が減圧送達管腔6428と減圧管腔6321との間の流体連通をもたらしてもよい。
【0188】
他の実施形態では、移行領域5829は1以上の分枝または分岐通路を具え、少ない数の流体送達管腔と多くの洗浄管腔との間の流体連通を可能にする。移行領域5829は、1以上の分枝または分岐通路を具えて、少ない数の減圧送達管腔と多くの減圧管腔との間の流体連通を可能にしてもよい。
【0189】
図57および図58を参照すると、実施例による減圧治療装置6600が図示されている。この減圧治療装置6600は、マニホルド6615と、移行領域6629と、送達管6625とを具えている。減圧治療装置6600は、図48の減圧源5495のような減圧源からスリット6631を通して皮下組織部位に減圧を送達する(そのスリットのうち1つのみを図57および図58に示す)。減圧治療装置6600はさらに、マニホルド6615内に閉塞部が形成されるのを防ぐ効果がある洗浄機能を具えている。
【0190】
図49乃至図53のマニホルド5815とは異なり、マニホルド6615はほぼ円筒の形状、さらにはほぼ円形の断面形状を有している。他の実施形態では、マニホルド5815は、ほぼ四角形、ほぼ多角形、ほぼ三角形、ほぼ楕円形、星形、または不揃いな断面形状といった、任意の断面形状を有することができる。
【0191】
図59を参照すると、実施例による図57の線59−59に沿って取り出したマニホルド6615の断面図が示されている。図59は、洗浄管腔6863およびスリット6631の空間的な向きを示している。
【0192】
図49、52、および図53のスリット5831とは異なり、スリット6631はマニホルド6615の外面周囲に等間隔に配置されている。特に、マニホルド6615は、互いに90度の間隔で間隔をあけて配置された4のスリット6631を具えている。さらに、第1の組のスリットによって形成された軸6852は、第2の組のスリットによって形成された軸6854に対して垂直である。4のスリット6631がマニホルド6615上に図示されているが、マニホルド6615は任意の数のスリットを具えることができる。さらに、スリット6631は、互いに不均一の間隔で配置されてもよく、あるいはマニホルド6615の片側に総て配置されてもよい。
【0193】
洗浄管腔6863はそれぞれ、ほぼ扇形である。扇形は、1以上の側面が湾曲するように調整された三角形を含みうる。さらに、洗浄管腔6863は、マニホルド6615の中心の長軸6856の周りに等間隔で配置されている。4の洗浄管腔6863はそれぞれ、マニホルド6615の別々の四分円に位置しており、互いに90度の間隔をあけて配置されている。第1の組の洗浄管腔によって形成された軸6857は、第2の組の洗浄管腔によって形成された軸6858に対して垂直である。4の洗浄管腔6863がマニホルド6615に図示されているが、マニホルド6615は任意の数の洗浄管腔を有することができる。さらに、洗浄管腔6863は互いに不均一な間隔で配置されてもよい。
【0194】
図60および図61を参照すると、実施例による減圧治療装置6600の断面図が示されている。特に、図60は、図57の線60−60に沿って取られた移行領域6629の断面図である。図61は、図57の線61−61に沿って取られた送達管6625の断面図である。
【0195】
送達管6625は、図59および図60の洗浄管腔6863に流体を送達できる流体送達管腔6930を具えている。送達管6625はさらに、減圧管腔6921、さらにはマニホルド6615の他の部分および近接する組織部位に減圧を送達できる減圧送達管腔7028を具えている。流体送達管腔6930よりも大きい直径を有する減圧送達管腔7028が図示されているが、これらの管腔はそれぞれ、互いに任意のサイズを有していてもよい。
【0196】
管腔の数は、送達管6625からマニホルド6615にかけて移行領域6629で増加し、送達管6625とマニホルド6615との間のインタフェースとして機能する。
【0197】
図62および図63を参照すると、実施例による皮下組織部位7105へのマニホルド7115の適用が示されている。このマニホルド7115は、当該マニホルド7115の外面の少なくとも一部を覆い、図47における補助マニホルド5488のような第2のマニホルドとして機能しうるフェルト膜7197を具えている。一例では、フェルト膜7197は、マニホルド7115の外面の大部分または全体を覆ってもよい。このフェルト膜7197は軟組織がマニホルド7115の穴、開口部、またはスリットを閉塞するのを防ぎ、マニホルド7115が皮下組織部位7105から除去されるときに組織を損傷するのを防ぐ効果がある場合がある。
【0198】
一実施形態では、減圧を皮下組織部位7105に適用する方法は、マニホルド7115を皮下組織部位7105に適用する方法を含んでいる。マニホルド7115を患者に経皮的に挿入することができ、マニホルド7115は皮下組織部位7105に近接するか接触して配置することができる。実施例の少なくとも一部に含まれる対称的な設計のマニホルドは、任意の向きにマニホルドを容易に埋め込めるようにできる。
【0199】
皮下組織部位7105が骨折などの欠損部を有する例では、スキャフォールド7196を欠損部位に設置して、治癒および組織を生成する特性を高めることができる。脛骨用釘7198を用いてスキャフォールド7196を皮下組織部位7105に隣接させてもよい。
【0200】
送達管7125を用いて、皮下組織部位7105におけるマニホルド7115の設置を容易にすることができる。送達管7125は、洗浄/減圧コネクタ7195を介して減圧源に連結することができる。
【0201】
一実施形態では、減圧を皮下組織部位7105に適用する装置を製造する方法は、マニホルド7115を形成するステップを含む。この方法はさらに、送達管7125がマニホルド7115と流体連通するように、送達管7125を設けて、当該送達管7125をマニホルド7115に連結するステップを含む。
【0202】
図64乃至図66を参照すると、減圧送達装置7200の他の実施例が図示されている。この減圧送達装置7200は、縦型マニホルド本体7204を有し、第1の面7206と第2の組織を向いた面7208とを有するマニホルド7202を具えている。減圧送達装置7200は、図49の減圧源5495のような減圧源から、縦型マニホルド本体7204の第2の組織を向いた面7208に形成された複数の開口部7210を通って、骨またはより具体的には椎骨または複数の椎骨といった皮下組織部位に減圧を送達する。複数の開口部7210は、複数の凹部7214または湾曲した溝部などの複数のマニホルド表面機構7212によって、さらに分配または多岐にわたる場合がある。複数の凹部7214は非対称であって、経皮的な除去を容易にすることができる。
【0203】
複数の開口部7210は複数のマニホルド表面機構7212に関連しており、減圧の分配を補助する。複数の開口部7210は、導管7218によって、複数のマニホルド表面機構7212を排出管腔または減圧管腔7216に流体連結する。減圧管腔7216は、減圧を送達して流体を除去する1または複数の導管であってもよい。減圧管腔7216は、縦型マニホルド本体7204の縦方向の長さに通っている。この縦型マニホルド本体7204はさらに、少なくとも1の洗浄管腔または導管7220を有する。1以上の洗浄管腔7220もまた、縦型マニホルド本体7204の縦方向の長さに通っている。マニホルド7202の遠位端7222はエンドキャップ7224である。このエンドキャップ7224は、縦型マニホルド本体7204の一部として一体的に形成されてもよい。
【0204】
エンドキャップ7224は、1以上の洗浄管腔7220内の洗浄流体を減圧管腔7216に流体連結可能にする頭部空間(図示せず)を設けている。遠位端7222に近い縦型マニホルド本体7204の第1の面7206はさらに、複数のリッジ7226と、第2の複数の凹部7228を有している。
【0205】
縦型マニホルド本体7204の外側の近位端7230は、減圧送達管または導管7234との連結を容易にするコネクタ7232を有していてもよい。減圧送達管7234は、減圧源からマニホルド7202の減圧管腔7216に減圧を与え、洗浄流体を1以上の洗浄管腔7220に与える複数管腔の導管であってもよい。
【0206】
動作時、減圧送達装置7200は、上述の実施形態と同様の方法で使用される。従って、マニホルド7202の第2の組織を向いた面7208は組織部位の近くに設置され、減圧が供給される。この減圧は、開口部7210およびマニホルド表面機構7212を通って組織部位に送達される。空気などの洗浄流体を利用して、減圧管腔7216の閉塞を除去して防止し、静力学的平衡を防ぐように補助する。
【0207】
図67乃至図70を参照すると、減圧送達装置7300の他の実施例が図示されている。この減圧送達装置7300は、第1の面7306と第2の組織を向いた面7308とを有する縦型マニホルド本体7304を有するマニホルド7302を具えている。マニホルド7302は、射出成型によって形成することができる。マニホルド7302を射出成型すると、一部が破損する、あるいは患者の体内に残されるリスクを防止するのに役立つ場合がある。マニホルド7302はさらに、部品に押し出し成型され、次いで一体型ユニットを形成すべく接着あるいは接続されてもよい。代替的に、マニホルド7302を押出し成型して、補助的な制御溶融「チッピング」プロセスを実施し、一体型ユニットを形成することもできる。マニホルド7302は、柔軟または半硬質の材料で作ることができる。例えば、マニホルド7302は、ポリウレタン等の医療グレードのポリマで作られてもよい。一実施形態では、マニホルド7302は、ショアA硬度が約80の材料で作られるが、他の硬さを用いてもよい。マニホルド7302の材料強化を避けるため、マニホルド7302にコーティングを加えてもよい。
【0208】
骨などの皮下組織部位に減圧を与えるため、複数の開口部7310が縦型マニホルド本体7304の第2の組織を向いた面7308に形成されている。これらの開口部は対称的な空間パターンで図示されているが、開口部は任意のパターンまたはランダムな配置で形成されてもよいことを理解されたい。複数のマニホルド表面機構7312は、第2の組織を向いた面7308上に形成される。複数のマニホルド表面機構7312は、複数のスタンドオフまたはオフセット部7314を有していてもよい。これらの複数のオフセット部7314は、縦型マニホルド本体7304の第2の組織を向いた面7308と一体的に形成されるか、連結されてもよい。このオフセット部7314は、第2の組織を向いた面7308と組織部位との間に効果的な流路を作り出す表面機構であってもよい。表面機構7312はマニホルド7302が経皮的に取り除かれるときにマニホルド本体7304から取り外すことができ、表面機構7312は生体吸収性であってもよい。
【0209】
開口部7310は、縦型マニホルド本体7304に形成された減圧管腔7316に流体連結されている。減圧管腔7316は、複数の導管7318によって開口部7310に流体連結されている。減圧管腔7316は縦型マニホルド本体7304の長さ7319に通っている。縦型マニホルド本体7304には、当該縦型マニホルド本体7304の長さ7319に通っている1以上の洗浄管腔7320も形成されている。実施例は2つの洗浄管腔7320を示しているが、任意の数を利用できることを理解されたい。さらに、減圧管腔7316の周りに対称的に間隔をあけて配置された2つの洗浄管腔7320が図示されており、対称的な位置の2つの洗浄管腔7320は、異なる位置付けによって性能が低下しないという点で性能を向上させるが、他の位置を利用してもよい。圧力検出管腔などの更なる管腔を縦型マニホルド本体7304内に具えてもよい。
【0210】
縦型マニホルド本体7304の遠位端7322には、エンドキャップ7324が形成または連結されている。このエンドキャップ7324は、1以上の洗浄管腔7320を減圧管腔7316に流体連結可能にする頭部空間7325を形成している。エンドキャップ7324が縦型マニホルド本体7304と一体的に、あるいはその一部として形成されることで、患者の体内から除去する際にエンドキャップが外れるリスクを防止している。
【0211】
縦型マニホルド本体7304の近位端7330では、減圧送達管または導管7334に容易に連結できるようにコネクタ7332を接続してもよく、同様に減圧源、および洗浄流体または液体の供給源にも流体連結される。減圧送達管7334は、減圧を減圧管腔7316に送達し、洗浄流体を1以上の洗浄管腔7320に与える複数管腔の導管であってもよい。洗浄流体は、外気などであってもよい。
【0212】
縦型マニホルド本体7304は、長さ7319および幅7336を有している。一般に、縦方向の長さ7340を有する治療領域7338は、遠位端7322の近くに形成される。縦型マニホルド本体7304は一般にアスペクト比を有しており、アスペクト比は幅7336で割られた長さ7319であって、5以上、通常は10以上か20またはそれ以上である。脊髄に適用する実施形態では、治療領域7338の縦方向の長さ7340は約60乃至80ミリメートルの範囲内だが、関連する適用例に応じて任意の寸法を用いてもよいことを理解されたい。
【0213】
例示的、非限定的な一実施形態では、縦型マニホルド本体7304の横断面図の有効径は8ミリメートルであり、他の実施例では11ミリメートルであるが、具体的な寸法は例として与えられており、任意のサイズの有効径を用いてもよいことを理解されたい。僅かな楕円形または三角形が示されているが、縦型マニホルド本体の断面形状は、前述した任意の形状または不揃いまたは他の形状であってもよいことに注目すべきである。
【0214】
動作時、マニホルド7302は外科的に、あるいは最小の侵襲的な手術を利用して挿入することができる。一般に、マニホルド7302は経皮的に取り除かれ、一実施形態では、生体吸収性であって所定の場所に残される。
【0215】
本書に記載のシステムおよび方法に従って組織部位に施す減圧組織治療は、組織部位に十分な減圧を適用し、その後で所定の時間このような十分な減圧を保持することによって実施できる。代替的に、組織部位に適用する減圧は実際は周期的でもよい。より具体的には、適用する減圧の量を選択した一時的な周期に従って変えてもよい。減圧を適用するさらに別の方法は、ランダムに減圧の量を変えるものである。同様に、組織部位に送達される流体の速さまたは量は、実際は一定、周期的、またはランダムでよい。流体の送達は、周期的に行う場合、減圧を適用している間、または減圧を適用していないサイクル中に起きてもよい。組織部位に適用する減圧の量は、一般に組織部位の病状および減圧組織治療を施す環境によって変わる一方で、減圧は一般に約−5mmHg乃至−500mmHgであり、より好適には約−5mmHg乃至−300mmHgである。
【0216】
本開示のシステムおよび方法を、人間の患者の組織の成長および治癒に関連して説明してきたが、減圧組織治療を適用するこれらのシステムおよび方法は、組織の成長および治癒を促進することが望まれる生物で使用できると認識すべきである。同様に、本開示のシステムおよび方法は、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、維管束組織、結合組織、軟骨、腱、または靱帯を含む組織に適用してもよいが、これらに限定はされない。組織の治癒は、本書に記載するように減圧組織治療を適用する1つの関心の的であるが、特に患者の皮下組織に減圧組織治療を適用して、罹患していない、欠陥がない、または損傷していない組織の成長させるためにも利用できる。例えば、経皮的な埋め込み方法を用いて減圧組織治療を適用し、後で採取可能な組織部位における更なる組織を成長させるのが望ましい場合もある。採取した組織を別の組織に移植して罹患または損傷組織と取り替えてもよく、または代替的に採取した組織を別の患者に移植してもよい。
【0217】
また、本書に記載の減圧送達装置をスキャフォールド材とともに使用して、新たな組織の成長および成長速度を高めることに注目することが重要である。スキャフォールド材は組織部位と減圧送達装置との間に配置でき、または減圧送達装置自体を新たな組織の成長に対するスキャフォールドとして機能する生体吸収性材料で作ることもできる。
【0218】
本発明およびその利点が特定の例示的、非限定的な実施形態の文中に開示されてきたが、添付の特許請求の範囲に規定された発明の範囲を越えることなく、様々な変更、代用、置換、および代替を実施できることに留意されたい。一実施形態に関して記載された任意の特徴は他の実施形態にも適用できるということを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮下組織部位に減圧を適用するシステムにおいて、当該システムが:
減圧を供給するように機能しうる減圧源と;
前記患者に挿入され、前記皮下組織部位に配置されるよう適合しているマニホルドであって、
当該マニホルドに形成され、洗浄流体を当該マニホルドの遠位部分に送達するよう機能しうる少なくとも1の洗浄管腔と、
当該マニホルドの遠位部分に形成された少なくとも1のスリットと、
当該マニホルドに形成され、前記少なくとも1のスリットと流体連通している少なくとも1の減圧管腔であって、前記少なくとも1のスリットを介して前記減圧源から前記皮下組織部位に供給される減圧を送達するよう機能しうる少なくとも1の減圧管腔とを具えるマニホルドと;
前記マニホルドと流体連通している送達管であって、減圧を前記少なくとも1の減圧管腔に送達し、前記洗浄流体を前記少なくとも1の洗浄管腔に送達する送達管とを具えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記マニホルドがさらに、前記少なくとも1の洗浄管腔、前記少なくとも1の減圧管腔、および前記マニホルドの遠位部分における前記少なくとも1のスリットのうち少なくとも2つを流体的に相互連結する少なくとも1の管腔間チャネルを具えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1のスリットが、前記マニホルドの遠位端まで延在していることを特徴とするシステム。
【請求項4】
患者の皮下組織部位に減圧を適用する装置において、当該装置が:
前記患者に挿入され、前記皮下組織部位に配置されるよう適合しているマニホルドを具えており、当該マニホルドは:
当該マニホルドに形成され、洗浄流体を当該マニホルドの遠位部分に送達するよう機能しうる少なくとも1の洗浄管腔と、
当該マニホルドの遠位部分における少なくとも1のスリットと、
当該マニホルドに形成され、前記少なくとも1のスリットと流体連通している少なくとも1の減圧管腔とを具えており、前記少なくとも1の減圧管腔は前記少なくとも1のスリットを介して前記皮下組織部位に減圧を送達するよう機能しうることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドがさらに、前記少なくとも1の洗浄管腔、前記少なくとも1の減圧管腔、および前記マニホルドの遠位部分における前記少なくとも1のスリットのうち少なくとも2つを流体的に相互連結する少なくとも1の管腔間チャネルを具えることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットが、前記マニホルドの遠位端まで延在していることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットが、前記マニホルドの長さの少なくとも大部分にわたって延在することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1の減圧管腔が、前記少なくとも1のスリットで終端することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1の減圧管腔の壁が、前記少なくとも1のスリットの壁と連続していることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項4に記載の装置がさらに、前記マニホルドと流体連通している送達管を具えており、当該送達管は減圧を前記少なくとも1の減圧管腔に送達し、前記流体を前記少なくとも1の洗浄管腔に送達することを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項4に記載の装置がさらに:
前記マニホルドと流体連通している送達管を具えており、当該送達管は減圧を前記少なくとも1の減圧管腔に送達し、前記洗浄流体を前記少なくとも1の洗浄管腔に送達し、
前記送達管は少なくとも1の流体送達管腔と、少なくとも1の減圧送達管腔とを有し、
前記少なくとも1の流体送達管腔が前記流体を前記少なくとも1の洗浄管腔に送達し、
前記少なくとも1の減圧送達管腔が減圧を前記少なくとも1の減圧管腔に送達することを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドがさらに、前記マニホルドの端部に取付可能な頭部空間を形成するエンドキャップを具えており、前記頭部空間は、流体が前記少なくとも1の減圧管腔を介して抜き取られる前に前記少なくとも1の洗浄管腔から前記流体を蓄積するよう適合していることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが、ほぼ長方形の断面形状を有することを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが、平板形状を有することを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットが、前記マニホルドの外面周囲に等間隔で設けられた複数のスリットであることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットは前記マニホルドの外面周囲に等間隔で設けられた複数のスリットであって、当該複数のスリットは4つのスリットを含み、第1の組のスリットによって形成された軸が第2の組のスリットによって形成された軸に対して垂直であるように、前記複数のスリットは互いに90度間隔で設けられることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1の洗浄管腔が、前記マニホルドの中央の長軸周囲に等間隔で設けられた複数の洗浄管腔であることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1の洗浄管腔が前記マニホルドの中央の長軸周囲に等間隔で設けられた複数の洗浄管腔であり、当該複数の洗浄管腔はそれぞれ、ほぼ扇形の断面であることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットが、前記少なくとも1の減圧管腔および前記少なくとも1の洗浄管腔に対して平行であることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項4に記載の装置がさらに、前記マニホルドの外面の少なくとも一部を覆うフェルト膜を具えることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが第1のシートと第2のシートを具えており、前記第1のシートの外周部は前記第2のシートの外周部に取り付けられてポーチを形成し、前記少なくとも1の減圧管腔は前記ポーチによって少なくとも部分的に囲まれた減圧空洞であることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが第1のシートと第2のシートを具えており、前記第1のシートの外周部は前記第2のシートの外周部に取り付けられてポーチを形成し、前記少なくとも1の減圧管腔は前記ポーチによって少なくとも部分的に囲まれた減圧空洞であり、前記第1のシートおよび前記第2のシートは柔軟なシートであることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項4に記載の装置において、前記流体が液体であることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットは複数のスリットであって、当該複数のスリットは互いに平行であることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットは複数のスリットであって、当該複数のスリットはそれぞれ同一の長さを有することを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットは複数のスリットであって、当該複数のスリットのすべてが前記マニホルドの片側に配置されることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが、医療グレードのシリコーンで構成されていることを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが、熱可塑性のシリコーンポリエーテルウレタンで構成されていることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが、潤滑性のコーティングを具えることを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが、ヘパリンおよびパリレンの少なくとも一方でコートされることを特徴とする装置。
【請求項31】
減圧を皮下組織部位に適用する方法において、当該方法が:
マニホルドを前記皮下組織部位に適用するステップであって、前記マニホルドは:
流体を当該マニホルドの遠位部分に送達するよう機能しうる少なくとも1の洗浄管腔と、
当該マニホルドの遠位部分における少なくとも1のスリットと、
前記少なくとも1のスリットを介して前記皮下組織部位に減圧を送達するよう機能しうる少なくとも1の減圧管腔とを具えているステップと;
送達管を介して減圧を前記マニホルドに供給するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項32】
減圧を患者の皮下組織部位に適用する装置を製造する方法において、当該方法が:
前記患者に挿入され、前記皮下組織部位に配置されるよう適合しているマニホルドを形成するステップを含み、前記マニホルドが:
当該マニホルドに形成され、流体を前記マニホルドの遠位部分に送達するよう機能しうる少なくとも1の洗浄管腔と、
前記マニホルドの遠位部分における少なくとも1のスリットと、
前記スリットと流体連通し、前記少なくとも1のスリットを介して減圧を前記皮下組織部位に送達するよう機能しうる少なくとも1の減圧管腔とを具えることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法がさらに:
減圧を前記少なくとも1の減圧管腔に送達し、前記流体を前記少なくとも1の洗浄管腔に送達する送達管を設けるステップと;
当該送達管が前記マニホルドと流体連通するように、前記送達管を前記マニホルドに接続するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
減圧を患者の皮下組織部位に与えるマニホルドにおいて、当該マニホルドは:
少なくとも1の洗浄管腔および減圧管腔が形成された縦型マニホルド本体であって、第1の面と第2の組織を向いた面とを有する縦型マニホルド本体と;
前記縦型マニホルド本体の前記第2の組織を向いた面に形成された複数のマニホルド表面機構と;
前記第2の組織を向いた面において前記縦型マニホルド本体に形成された複数の開口部であって、当該複数の開口部が前記減圧管腔と前記複数のマニホルド表面機構を流体連結している開口部と;
前記減圧管腔と前記少なくとも1の洗浄管腔を流体連結するエンドキャップとを具えることを特徴とするマニホルド。
【請求項35】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記複数のマニホルド表面機構が、複数の凹部を具えることを特徴とするマニホルド。
【請求項36】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記複数のマニホルド表面機構が、複数のオフセットを具えることを特徴とするマニホルド。
【請求項37】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記エンドキャップが、前記縦型マニホルド本体と一体的に形成されることを特徴とするマニホルド。
【請求項38】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記縦型マニホルド本体が、10よりも大きいアスペクト比を有することを特徴とするマニホルド。
【請求項39】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記マニホルド本体および表面機構が、生体適合性材料を含むことを特徴とするマニホルド。
【請求項40】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記表面機構が、生体吸収性であることを特徴とするマニホルド。
【請求項41】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記表面機構が取外可能であり、前記患者から経皮的に除去されるときに外れるよう機能しうることを特徴とするマニホルド。
【請求項42】
減圧で患者の皮下組織部位を治療するシステムにおいて、当該システムが:
減圧源と;
少なくとも1の洗浄管腔および減圧管腔が形成された縦型マニホルド本体であって、第1の面と、第2の組織を向いた面とを有する縦型マニホルド本体と、
前記縦型マニホルド本体の前記第2の組織を向いた面に形成された複数のマニホルド表面機構と、
前記第2の組織を向いた面において前記縦型マニホルド本体に形成された複数の開口部であって、前記減圧管腔と前記複数のマニホルド表面機構を流体連結している複数の開口部と、
前記減圧管腔と前記少なくとも1の洗浄管腔を流体連結しているエンドキャップとを具えるマニホルドと;
前記減圧源と前記マニホルドを接続する減圧送達管とを具えることを特徴とするシステム。
【請求項43】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記複数のマニホルド表面機構が、複数の凹部を具えることを特徴とするシステム。
【請求項44】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記複数のマニホルド表面機構が、複数のオフセットを具えることを特徴とするシステム。
【請求項45】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記エンドキャップが、前記縦型マニホルド本体と一体的に形成されることを特徴とするシステム。
【請求項46】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記縦型マニホルド本体が、10よりも大きいアスペクト比を有することを特徴とするシステム。
【請求項47】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記マニホルド本体および表面機構が、生体適合性材料を含むことを特徴とするシステム。
【請求項48】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記表面機構が、生体吸収性であることを特徴とするシステム。
【請求項49】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記表面機構が取外可能であり、前記患者から経皮的に除去されるときに外れるよう機能しうることを特徴とするシステム。
【請求項50】
減圧を患者の皮下組織部位に与えるマニホルドを製造する方法において、当該方法が:
少なくとも1の洗浄管腔と減圧管腔を有する縦型マニホルド本体を形成するステップであって、当該縦型マニホルド本体は第1の面と第2の組織を向いた面を有しているステップと、
前記縦型マニホルド本体の前記第2の組織を向いた面に複数のマニホルド表面機構を形成するステップと、
前記第2の組織を向いた面において前記縦型マニホルド本体に複数の開口部を形成するステップであって、当該複数の開口部は前記減圧管腔と前記複数のマニホルド表面機構を流体連結しているステップと、
前記縦型マニホルド本体に、前記減圧管腔と前記少なくとも1の洗浄管腔を流体連結するエンドキャップを形成するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法において、前記縦型マニホルド本体を形成するステップ、複数のマニホルド表面機構を形成するステップ、複数の開口部を形成するステップ、およびエンドキャップを形成するステップが、射出成型をするステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項50に記載の方法において、前記縦型マニホルド本体を形成するステップ、複数のマニホルド表面機構を形成するステップ、複数の開口部を形成するステップ、およびエンドキャップを形成するステップが、第1の部分および第2の部分を押出し成形し、前記第1の部分および前記第2の部分を接着するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項50に記載の方法において、前記縦型マニホルド本体を形成するステップ、複数のマニホルド表面機構を形成するステップ、複数の開口部を形成するステップ、およびエンドキャップを形成するステップが、構成要素を押出し成形し、次いで制御メルトチッピングを用いて一体型ユニットを形成するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
減圧を皮下組織部位に適用するシステムにおいて、当該システムが:
減圧を供給する減圧源と;
流体を供給する流体源と;
前記皮下組織部位に配置するよう適合しているマニホルドにおいて、
複数の第1の導管であって、当該複数の第1の導管のそれぞれが少なくとも1の第1の開口部および少なくとも1の第2の開口部が形成された壁を有しており、当該複数の第1の導管の少なくとも1つは前記減圧源と流体連通し、前記少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を前記皮下組織部位に送達する第1の導管と、
前記複数の第1の導管のそれぞれの壁の一部によって形成された第2の導管であって、前記少なくとも1の第2の開口部を介して前記複数の第1の導管と流体連通している第2の導管とを具えるマニホルドと;
前記マニホルドと前記減圧源を流体連結する送達導管とを具えることを特徴とするシステム。
【請求項55】
請求項54に記載のシステムにおいて、前記送達導管が、前記マニホルドおよび前記流体源に流体連結されることを特徴とするシステム。
【請求項56】
請求項54に記載のシステムにおいて、前記複数の第1の導管がそれぞれ、複数の第1の開口部を具えることを特徴とするシステム。
【請求項57】
請求項54に記載のシステムにおいて:
前記第2の導管が前記流体源と流体連通し、前記第2の導管が前記流体源から流体を受け取り;
前記第2の導管が前記少なくとも1の第2の開口部を介して前記複数の第1の導管それぞれに流体を送達し;
前記複数の第1の導管はそれぞれ、前記壁に形成された複数の第2の開口部を具え;
前記複数の第2の開口部は互いに均一に間隔をあけて配置されることを特徴とするシステム。
【請求項58】
請求項54に記載のシステムにおいて:
前記複数の第1の導管はそれぞれ、前記少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を前記皮下組織部位に送達し;
前記複数の第1の導管はそれぞれ、複数の第1の開口部を具えており;
前記流体は液体であることを特徴とするシステム。
【請求項59】
請求項54に記載のシステムにおいて、前記第2の導管が、前記複数の第1の導管の間の中央に設置されることを特徴とするシステム。
【請求項60】
請求項54に記載のシステムがさらに、前記マニホルドの遠位端に連結されるよう適合しているエンドキャップを具え、分配空間を形成することを特徴とするシステム。
【請求項61】
請求項54に記載のシステムにおいて、前記複数の第1の導管はそれぞれ、円形の断面形状を有することを特徴とするシステム。
【請求項62】
請求項54に記載のシステムにおいて、前記複数の第1の導管が、長円形、ひし型、三角形、四角形、または多角形のうち1つの断面形状で形成されることを特徴とするシステム。
【請求項63】
減圧を皮下組織部位に適用するマニホルドにおいて、当該マニホルドが:
複数の第1の導管であって、当該複数の第1の導管のそれぞれが少なくとも1の第1の開口部と少なくとも1の第2の開口部を有する壁を有しており、当該複数の第1の導管の少なくとも1つは前記少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を前記皮下組織部位に送達するよう機能しうる第1の導管を具え;
前記複数の第1の導管は、内部空間を形成する空間配置で接続されており;
前記内部空間を具え、前記複数の第1の導管の各壁の一部によって形成された第2の導管であって、前記少なくとも1の第2の開口部を介して前記複数の第1の導管と流体連通している第2の導管とを具えることを特徴とするマニホルド。
【請求項64】
請求項63に記載のマニホルドにおいて、前記複数の第1の導管はそれぞれ、複数の第1の開口部を具えることを特徴とするマニホルド。
【請求項65】
請求項63に記載のマニホルドにおいて:
前記複数の第1の導管はそれぞれ、複数の第2の開口部を具えており;
前記複数の第2の開口部は互いに均一に間隔をあけて配置されることを特徴とするマニホルド。
【請求項66】
請求項63に記載のマニホルドがさらに、前記マニホルドの遠位端に接続されるよう適合しているエンドキャップを具え、分配空間を形成することを特徴とするマニホルド。
【請求項67】
請求項63に記載のマニホルドにおいて、前記複数の第1の導管はそれぞれ、円形の断面形状を有することを特徴とするマニホルド。
【請求項68】
請求項63に記載のマニホルドにおいて、前記複数の第1の導管のそれぞれの断面形状が、楕円形、ひし形、三角形、四角形、または多角形のうちの1つであることを特徴とするマニホルド。
【請求項69】
減圧を皮下組織部位に適用する方法において、当該方法が:
マニホルドを設けるステップと;
前記マニホルドを前記皮下組織部位に適用するステップであって、前記マニホルドは:
複数の第1の導管であって、当該複数の第1の導管はそれぞれ少なくとも1の第1の開口部と少なくとも1の第2の開口部とを有する壁を有しており、当該複数の第1の導管の少なくとも1つは前記少なくとも1の第1の開口部を介して前記皮下組織部位に減圧を送達するよう機能しうる第1の導管を具え;
前記複数の第1の導管は内部空間を形成する空間配置で接続されており;
前記内部空間を具え、前記複数の第1の導管の各壁の一部によって形成される第2の導管であって、前記少なくとも1の第2の開口部を介して前記複数の第1の導管と流体連通している第2の導管とを具えているステップと;
送達導管を介して減圧を前記マニホルドに供給するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項69に記載の方法がさらに、流体源を設けて、当該流体源を前記マニホルドに連結するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項69に記載の方法がさらに、減圧源および流体源を設けるステップと;前記減圧源を前記マニホルドに連結するステップと;前記流体源を前記マニホルドに連結するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項69に記載の方法がさらに、減圧源および流体源を設けるステップと;前記減圧源を前記複数の第1の導管に流体連結するステップと;前記流体源を前記第2の導管に流体連結するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項73】
減圧を皮下組織部位に適用する装置を製造する方法において、当該方法が:
複数の第1の導管を設けるステップであって、当該複数の第1の導管はそれぞれ少なくとも1の第1の開口部および少なくとも1の第2の開口部が形成された壁を有しており、前記複数の第1の導管の少なくとも1つは前記少なくとも1の第1の開口部を介して前記皮下組織部位に減圧を送達するよう機能しうるステップと;
前記複数の第1の導管を互いに連結して第2の導管を形成するステップであって、当該第2の導管は前記複数の第1の導管の各壁の一部によって形成され、前記第2の導管は前記少なくとも1の第2の開口部を介して前記複数の第1の導管と流体連通しているステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項73に記載の方法がさらに:
減圧を前記複数の第1の導管の少なくとも1つに送達し、流体を前記第2の導管に送達する送達導管を設けるステップと;
前記送達導管を前記複数の第1の導管および前記第2の導管に流体連結するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項73に記載の方法がさらに、前記第2の導管内に第3の導管を配置するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項76】
1以上の流体を組織部位に送達する医療用マニホルドにおいて、当該マニホルドが:
複数の外部導管の間に内部空間を規定するような空間的関係で連結された複数の外部導管を具え;
前記内部空間は中央導管を具えており;
前記複数の外部導管に形成された複数の開口部を具えることを特徴とするマニホルド。
【請求項77】
医療用マニホルドを製造する方法が:
第1の導管がそれぞれ他の2つの第1の導管と接触するように4の第1の導管を形成するステップと;
前記4の第1の導管から第2の導管を形成するステップと;
コアピンを用いて前記第1の導管および前記第2の導管に開口部を作るステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項78】
請求項77に記載の方法において、前記4の第1の導管を形成するステップが、前記4の第1の導管を共押し出し成形するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項79】
請求項77に記載の方法がさらに、エンドキャップを設けて、当該エンドキャップを前記医療用マニホルドの遠位端に連結するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項1】
患者の皮下組織部位に減圧を適用するシステムにおいて、当該システムが:
減圧を供給するように機能しうる減圧源と;
前記患者に挿入され、前記皮下組織部位に配置されるよう適合しているマニホルドであって、
当該マニホルドに形成され、洗浄流体を当該マニホルドの遠位部分に送達するよう機能しうる少なくとも1の洗浄管腔と、
当該マニホルドの遠位部分に形成された少なくとも1のスリットと、
当該マニホルドに形成され、前記少なくとも1のスリットと流体連通している少なくとも1の減圧管腔であって、前記少なくとも1のスリットを介して前記減圧源から前記皮下組織部位に供給される減圧を送達するよう機能しうる少なくとも1の減圧管腔とを具えるマニホルドと;
前記マニホルドと流体連通している送達管であって、減圧を前記少なくとも1の減圧管腔に送達し、前記洗浄流体を前記少なくとも1の洗浄管腔に送達する送達管とを具えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記マニホルドがさらに、前記少なくとも1の洗浄管腔、前記少なくとも1の減圧管腔、および前記マニホルドの遠位部分における前記少なくとも1のスリットのうち少なくとも2つを流体的に相互連結する少なくとも1の管腔間チャネルを具えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1のスリットが、前記マニホルドの遠位端まで延在していることを特徴とするシステム。
【請求項4】
患者の皮下組織部位に減圧を適用する装置において、当該装置が:
前記患者に挿入され、前記皮下組織部位に配置されるよう適合しているマニホルドを具えており、当該マニホルドは:
当該マニホルドに形成され、洗浄流体を当該マニホルドの遠位部分に送達するよう機能しうる少なくとも1の洗浄管腔と、
当該マニホルドの遠位部分における少なくとも1のスリットと、
当該マニホルドに形成され、前記少なくとも1のスリットと流体連通している少なくとも1の減圧管腔とを具えており、前記少なくとも1の減圧管腔は前記少なくとも1のスリットを介して前記皮下組織部位に減圧を送達するよう機能しうることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドがさらに、前記少なくとも1の洗浄管腔、前記少なくとも1の減圧管腔、および前記マニホルドの遠位部分における前記少なくとも1のスリットのうち少なくとも2つを流体的に相互連結する少なくとも1の管腔間チャネルを具えることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットが、前記マニホルドの遠位端まで延在していることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットが、前記マニホルドの長さの少なくとも大部分にわたって延在することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1の減圧管腔が、前記少なくとも1のスリットで終端することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1の減圧管腔の壁が、前記少なくとも1のスリットの壁と連続していることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項4に記載の装置がさらに、前記マニホルドと流体連通している送達管を具えており、当該送達管は減圧を前記少なくとも1の減圧管腔に送達し、前記流体を前記少なくとも1の洗浄管腔に送達することを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項4に記載の装置がさらに:
前記マニホルドと流体連通している送達管を具えており、当該送達管は減圧を前記少なくとも1の減圧管腔に送達し、前記洗浄流体を前記少なくとも1の洗浄管腔に送達し、
前記送達管は少なくとも1の流体送達管腔と、少なくとも1の減圧送達管腔とを有し、
前記少なくとも1の流体送達管腔が前記流体を前記少なくとも1の洗浄管腔に送達し、
前記少なくとも1の減圧送達管腔が減圧を前記少なくとも1の減圧管腔に送達することを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドがさらに、前記マニホルドの端部に取付可能な頭部空間を形成するエンドキャップを具えており、前記頭部空間は、流体が前記少なくとも1の減圧管腔を介して抜き取られる前に前記少なくとも1の洗浄管腔から前記流体を蓄積するよう適合していることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが、ほぼ長方形の断面形状を有することを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが、平板形状を有することを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットが、前記マニホルドの外面周囲に等間隔で設けられた複数のスリットであることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットは前記マニホルドの外面周囲に等間隔で設けられた複数のスリットであって、当該複数のスリットは4つのスリットを含み、第1の組のスリットによって形成された軸が第2の組のスリットによって形成された軸に対して垂直であるように、前記複数のスリットは互いに90度間隔で設けられることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1の洗浄管腔が、前記マニホルドの中央の長軸周囲に等間隔で設けられた複数の洗浄管腔であることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1の洗浄管腔が前記マニホルドの中央の長軸周囲に等間隔で設けられた複数の洗浄管腔であり、当該複数の洗浄管腔はそれぞれ、ほぼ扇形の断面であることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットが、前記少なくとも1の減圧管腔および前記少なくとも1の洗浄管腔に対して平行であることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項4に記載の装置がさらに、前記マニホルドの外面の少なくとも一部を覆うフェルト膜を具えることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが第1のシートと第2のシートを具えており、前記第1のシートの外周部は前記第2のシートの外周部に取り付けられてポーチを形成し、前記少なくとも1の減圧管腔は前記ポーチによって少なくとも部分的に囲まれた減圧空洞であることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが第1のシートと第2のシートを具えており、前記第1のシートの外周部は前記第2のシートの外周部に取り付けられてポーチを形成し、前記少なくとも1の減圧管腔は前記ポーチによって少なくとも部分的に囲まれた減圧空洞であり、前記第1のシートおよび前記第2のシートは柔軟なシートであることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項4に記載の装置において、前記流体が液体であることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットは複数のスリットであって、当該複数のスリットは互いに平行であることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットは複数のスリットであって、当該複数のスリットはそれぞれ同一の長さを有することを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項4に記載の装置において、前記少なくとも1のスリットは複数のスリットであって、当該複数のスリットのすべてが前記マニホルドの片側に配置されることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが、医療グレードのシリコーンで構成されていることを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが、熱可塑性のシリコーンポリエーテルウレタンで構成されていることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが、潤滑性のコーティングを具えることを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項4に記載の装置において、前記マニホルドが、ヘパリンおよびパリレンの少なくとも一方でコートされることを特徴とする装置。
【請求項31】
減圧を皮下組織部位に適用する方法において、当該方法が:
マニホルドを前記皮下組織部位に適用するステップであって、前記マニホルドは:
流体を当該マニホルドの遠位部分に送達するよう機能しうる少なくとも1の洗浄管腔と、
当該マニホルドの遠位部分における少なくとも1のスリットと、
前記少なくとも1のスリットを介して前記皮下組織部位に減圧を送達するよう機能しうる少なくとも1の減圧管腔とを具えているステップと;
送達管を介して減圧を前記マニホルドに供給するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項32】
減圧を患者の皮下組織部位に適用する装置を製造する方法において、当該方法が:
前記患者に挿入され、前記皮下組織部位に配置されるよう適合しているマニホルドを形成するステップを含み、前記マニホルドが:
当該マニホルドに形成され、流体を前記マニホルドの遠位部分に送達するよう機能しうる少なくとも1の洗浄管腔と、
前記マニホルドの遠位部分における少なくとも1のスリットと、
前記スリットと流体連通し、前記少なくとも1のスリットを介して減圧を前記皮下組織部位に送達するよう機能しうる少なくとも1の減圧管腔とを具えることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法がさらに:
減圧を前記少なくとも1の減圧管腔に送達し、前記流体を前記少なくとも1の洗浄管腔に送達する送達管を設けるステップと;
当該送達管が前記マニホルドと流体連通するように、前記送達管を前記マニホルドに接続するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
減圧を患者の皮下組織部位に与えるマニホルドにおいて、当該マニホルドは:
少なくとも1の洗浄管腔および減圧管腔が形成された縦型マニホルド本体であって、第1の面と第2の組織を向いた面とを有する縦型マニホルド本体と;
前記縦型マニホルド本体の前記第2の組織を向いた面に形成された複数のマニホルド表面機構と;
前記第2の組織を向いた面において前記縦型マニホルド本体に形成された複数の開口部であって、当該複数の開口部が前記減圧管腔と前記複数のマニホルド表面機構を流体連結している開口部と;
前記減圧管腔と前記少なくとも1の洗浄管腔を流体連結するエンドキャップとを具えることを特徴とするマニホルド。
【請求項35】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記複数のマニホルド表面機構が、複数の凹部を具えることを特徴とするマニホルド。
【請求項36】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記複数のマニホルド表面機構が、複数のオフセットを具えることを特徴とするマニホルド。
【請求項37】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記エンドキャップが、前記縦型マニホルド本体と一体的に形成されることを特徴とするマニホルド。
【請求項38】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記縦型マニホルド本体が、10よりも大きいアスペクト比を有することを特徴とするマニホルド。
【請求項39】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記マニホルド本体および表面機構が、生体適合性材料を含むことを特徴とするマニホルド。
【請求項40】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記表面機構が、生体吸収性であることを特徴とするマニホルド。
【請求項41】
請求項34に記載のマニホルドにおいて、前記表面機構が取外可能であり、前記患者から経皮的に除去されるときに外れるよう機能しうることを特徴とするマニホルド。
【請求項42】
減圧で患者の皮下組織部位を治療するシステムにおいて、当該システムが:
減圧源と;
少なくとも1の洗浄管腔および減圧管腔が形成された縦型マニホルド本体であって、第1の面と、第2の組織を向いた面とを有する縦型マニホルド本体と、
前記縦型マニホルド本体の前記第2の組織を向いた面に形成された複数のマニホルド表面機構と、
前記第2の組織を向いた面において前記縦型マニホルド本体に形成された複数の開口部であって、前記減圧管腔と前記複数のマニホルド表面機構を流体連結している複数の開口部と、
前記減圧管腔と前記少なくとも1の洗浄管腔を流体連結しているエンドキャップとを具えるマニホルドと;
前記減圧源と前記マニホルドを接続する減圧送達管とを具えることを特徴とするシステム。
【請求項43】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記複数のマニホルド表面機構が、複数の凹部を具えることを特徴とするシステム。
【請求項44】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記複数のマニホルド表面機構が、複数のオフセットを具えることを特徴とするシステム。
【請求項45】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記エンドキャップが、前記縦型マニホルド本体と一体的に形成されることを特徴とするシステム。
【請求項46】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記縦型マニホルド本体が、10よりも大きいアスペクト比を有することを特徴とするシステム。
【請求項47】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記マニホルド本体および表面機構が、生体適合性材料を含むことを特徴とするシステム。
【請求項48】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記表面機構が、生体吸収性であることを特徴とするシステム。
【請求項49】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記表面機構が取外可能であり、前記患者から経皮的に除去されるときに外れるよう機能しうることを特徴とするシステム。
【請求項50】
減圧を患者の皮下組織部位に与えるマニホルドを製造する方法において、当該方法が:
少なくとも1の洗浄管腔と減圧管腔を有する縦型マニホルド本体を形成するステップであって、当該縦型マニホルド本体は第1の面と第2の組織を向いた面を有しているステップと、
前記縦型マニホルド本体の前記第2の組織を向いた面に複数のマニホルド表面機構を形成するステップと、
前記第2の組織を向いた面において前記縦型マニホルド本体に複数の開口部を形成するステップであって、当該複数の開口部は前記減圧管腔と前記複数のマニホルド表面機構を流体連結しているステップと、
前記縦型マニホルド本体に、前記減圧管腔と前記少なくとも1の洗浄管腔を流体連結するエンドキャップを形成するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法において、前記縦型マニホルド本体を形成するステップ、複数のマニホルド表面機構を形成するステップ、複数の開口部を形成するステップ、およびエンドキャップを形成するステップが、射出成型をするステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項50に記載の方法において、前記縦型マニホルド本体を形成するステップ、複数のマニホルド表面機構を形成するステップ、複数の開口部を形成するステップ、およびエンドキャップを形成するステップが、第1の部分および第2の部分を押出し成形し、前記第1の部分および前記第2の部分を接着するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項50に記載の方法において、前記縦型マニホルド本体を形成するステップ、複数のマニホルド表面機構を形成するステップ、複数の開口部を形成するステップ、およびエンドキャップを形成するステップが、構成要素を押出し成形し、次いで制御メルトチッピングを用いて一体型ユニットを形成するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
減圧を皮下組織部位に適用するシステムにおいて、当該システムが:
減圧を供給する減圧源と;
流体を供給する流体源と;
前記皮下組織部位に配置するよう適合しているマニホルドにおいて、
複数の第1の導管であって、当該複数の第1の導管のそれぞれが少なくとも1の第1の開口部および少なくとも1の第2の開口部が形成された壁を有しており、当該複数の第1の導管の少なくとも1つは前記減圧源と流体連通し、前記少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を前記皮下組織部位に送達する第1の導管と、
前記複数の第1の導管のそれぞれの壁の一部によって形成された第2の導管であって、前記少なくとも1の第2の開口部を介して前記複数の第1の導管と流体連通している第2の導管とを具えるマニホルドと;
前記マニホルドと前記減圧源を流体連結する送達導管とを具えることを特徴とするシステム。
【請求項55】
請求項54に記載のシステムにおいて、前記送達導管が、前記マニホルドおよび前記流体源に流体連結されることを特徴とするシステム。
【請求項56】
請求項54に記載のシステムにおいて、前記複数の第1の導管がそれぞれ、複数の第1の開口部を具えることを特徴とするシステム。
【請求項57】
請求項54に記載のシステムにおいて:
前記第2の導管が前記流体源と流体連通し、前記第2の導管が前記流体源から流体を受け取り;
前記第2の導管が前記少なくとも1の第2の開口部を介して前記複数の第1の導管それぞれに流体を送達し;
前記複数の第1の導管はそれぞれ、前記壁に形成された複数の第2の開口部を具え;
前記複数の第2の開口部は互いに均一に間隔をあけて配置されることを特徴とするシステム。
【請求項58】
請求項54に記載のシステムにおいて:
前記複数の第1の導管はそれぞれ、前記少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を前記皮下組織部位に送達し;
前記複数の第1の導管はそれぞれ、複数の第1の開口部を具えており;
前記流体は液体であることを特徴とするシステム。
【請求項59】
請求項54に記載のシステムにおいて、前記第2の導管が、前記複数の第1の導管の間の中央に設置されることを特徴とするシステム。
【請求項60】
請求項54に記載のシステムがさらに、前記マニホルドの遠位端に連結されるよう適合しているエンドキャップを具え、分配空間を形成することを特徴とするシステム。
【請求項61】
請求項54に記載のシステムにおいて、前記複数の第1の導管はそれぞれ、円形の断面形状を有することを特徴とするシステム。
【請求項62】
請求項54に記載のシステムにおいて、前記複数の第1の導管が、長円形、ひし型、三角形、四角形、または多角形のうち1つの断面形状で形成されることを特徴とするシステム。
【請求項63】
減圧を皮下組織部位に適用するマニホルドにおいて、当該マニホルドが:
複数の第1の導管であって、当該複数の第1の導管のそれぞれが少なくとも1の第1の開口部と少なくとも1の第2の開口部を有する壁を有しており、当該複数の第1の導管の少なくとも1つは前記少なくとも1の第1の開口部を介して減圧を前記皮下組織部位に送達するよう機能しうる第1の導管を具え;
前記複数の第1の導管は、内部空間を形成する空間配置で接続されており;
前記内部空間を具え、前記複数の第1の導管の各壁の一部によって形成された第2の導管であって、前記少なくとも1の第2の開口部を介して前記複数の第1の導管と流体連通している第2の導管とを具えることを特徴とするマニホルド。
【請求項64】
請求項63に記載のマニホルドにおいて、前記複数の第1の導管はそれぞれ、複数の第1の開口部を具えることを特徴とするマニホルド。
【請求項65】
請求項63に記載のマニホルドにおいて:
前記複数の第1の導管はそれぞれ、複数の第2の開口部を具えており;
前記複数の第2の開口部は互いに均一に間隔をあけて配置されることを特徴とするマニホルド。
【請求項66】
請求項63に記載のマニホルドがさらに、前記マニホルドの遠位端に接続されるよう適合しているエンドキャップを具え、分配空間を形成することを特徴とするマニホルド。
【請求項67】
請求項63に記載のマニホルドにおいて、前記複数の第1の導管はそれぞれ、円形の断面形状を有することを特徴とするマニホルド。
【請求項68】
請求項63に記載のマニホルドにおいて、前記複数の第1の導管のそれぞれの断面形状が、楕円形、ひし形、三角形、四角形、または多角形のうちの1つであることを特徴とするマニホルド。
【請求項69】
減圧を皮下組織部位に適用する方法において、当該方法が:
マニホルドを設けるステップと;
前記マニホルドを前記皮下組織部位に適用するステップであって、前記マニホルドは:
複数の第1の導管であって、当該複数の第1の導管はそれぞれ少なくとも1の第1の開口部と少なくとも1の第2の開口部とを有する壁を有しており、当該複数の第1の導管の少なくとも1つは前記少なくとも1の第1の開口部を介して前記皮下組織部位に減圧を送達するよう機能しうる第1の導管を具え;
前記複数の第1の導管は内部空間を形成する空間配置で接続されており;
前記内部空間を具え、前記複数の第1の導管の各壁の一部によって形成される第2の導管であって、前記少なくとも1の第2の開口部を介して前記複数の第1の導管と流体連通している第2の導管とを具えているステップと;
送達導管を介して減圧を前記マニホルドに供給するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項69に記載の方法がさらに、流体源を設けて、当該流体源を前記マニホルドに連結するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項69に記載の方法がさらに、減圧源および流体源を設けるステップと;前記減圧源を前記マニホルドに連結するステップと;前記流体源を前記マニホルドに連結するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項69に記載の方法がさらに、減圧源および流体源を設けるステップと;前記減圧源を前記複数の第1の導管に流体連結するステップと;前記流体源を前記第2の導管に流体連結するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項73】
減圧を皮下組織部位に適用する装置を製造する方法において、当該方法が:
複数の第1の導管を設けるステップであって、当該複数の第1の導管はそれぞれ少なくとも1の第1の開口部および少なくとも1の第2の開口部が形成された壁を有しており、前記複数の第1の導管の少なくとも1つは前記少なくとも1の第1の開口部を介して前記皮下組織部位に減圧を送達するよう機能しうるステップと;
前記複数の第1の導管を互いに連結して第2の導管を形成するステップであって、当該第2の導管は前記複数の第1の導管の各壁の一部によって形成され、前記第2の導管は前記少なくとも1の第2の開口部を介して前記複数の第1の導管と流体連通しているステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項73に記載の方法がさらに:
減圧を前記複数の第1の導管の少なくとも1つに送達し、流体を前記第2の導管に送達する送達導管を設けるステップと;
前記送達導管を前記複数の第1の導管および前記第2の導管に流体連結するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項73に記載の方法がさらに、前記第2の導管内に第3の導管を配置するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項76】
1以上の流体を組織部位に送達する医療用マニホルドにおいて、当該マニホルドが:
複数の外部導管の間に内部空間を規定するような空間的関係で連結された複数の外部導管を具え;
前記内部空間は中央導管を具えており;
前記複数の外部導管に形成された複数の開口部を具えることを特徴とするマニホルド。
【請求項77】
医療用マニホルドを製造する方法が:
第1の導管がそれぞれ他の2つの第1の導管と接触するように4の第1の導管を形成するステップと;
前記4の第1の導管から第2の導管を形成するステップと;
コアピンを用いて前記第1の導管および前記第2の導管に開口部を作るステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項78】
請求項77に記載の方法において、前記4の第1の導管を形成するステップが、前記4の第1の導管を共押し出し成形するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項79】
請求項77に記載の方法がさらに、エンドキャップを設けて、当該エンドキャップを前記医療用マニホルドの遠位端に連結するステップを含むことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図15A】
【図16】
【図16A】
【図17】
【図17A】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44A】
【図44B】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図15A】
【図16】
【図16A】
【図17】
【図17A】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44A】
【図44B】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【公表番号】特表2012−513839(P2012−513839A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543696(P2011−543696)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/069527
【国際公開番号】WO2010/080667
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/069527
【国際公開番号】WO2010/080667
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】
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