説明

皮内HPVペプチドワクチン接種

本発明は、皮内投与用であるHPV関連疾患の治療又は予防用薬剤の製造のための、HPV−E2、−E6及び/又はE7タンパク質に由来するペプチドの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬及び免疫学の分野に関する。特に、本発明は皮内HPVペプチドワクチン接種に関する。
【背景技術】
【0002】
HPV感染は、若く、性的に活発な男女の個体間で非常に流行している。大規模なプロスペクティブ研究により、3年間の追跡期間の間に、男性パートナーからHPVに感染することが一般的であり、対象の40〜60%に及ぶことが示された(Koutskyら、1997、Hoら、1998、Marrazzoら、2000)。したがってHPVは、おそらく最も一般的な性感染症である。
【0003】
ハイリスク型のパピローマウィルス(例えば、HPV16、18、31、33及び45)は、子宮頸癌の原因である(Boschら、1995、Zur Hausen、1996)。基底上皮細胞が感染した後、HPVの前初期遺伝子であるE1、E2、E5、E6及びE7が発現する。E1及びE2遺伝子は、ウィルスの複製を制御する。さらにE2タンパク質は、E6及びE7癌タンパク質の発現を調節する。ハイリスク型HPVのE6タンパク質は、p53に特異的に結合し、ユビキチン経路を介したその迅速な分解を標的とする。P53はアポトーシスの開始に関与し、このタンパク質の喪失によりアポトーシスが阻止される(Scheffnerら、1990)。ハイリスク型のE7タンパク質はpRBと結合する。pRBは通常、細胞周期移行に必要なタンパク質であるE2Fを不活性化することにより細胞が細胞周期を移行することを妨げている(Dysonら、1989)。E7が発現すると、感染細胞は細胞周期から離脱して分化することができなくなる。
【0004】
E6及びE7癌タンパク質の発現が延長及び上昇することは、HPV誘導性異形成及び子宮頸癌への形質転換と非常に密接な関係がある。
【0005】
ヒトのHPV関連疾患及びHPV誘導性癌に対する防御における免疫系の保護的役割は、免疫抑制された腎移植患者及びHIV感染患者が示す性器HPV感染の発生率が正常な対照と比較して17倍高いことにより示唆される(Hoら、1994、Matorrasら、1991、Halpertら、1986)。免疫抑制個体のHPV感染を消散するための能力の減少は、感染早期における免疫系の保護的役割を間接的に示唆する。早期抗原E2、E6及びE7に対する免疫を介した、HPVに対する保護の証拠は、癌関連パピローマウィルスに関する主要な動物モデルである、ワタオウサギのパピローマウィルスモデルによりもたらされる。非構造タンパク質のE1及びE2をワクチン接種することにより、ウィルス誘導性パピローマの退縮が誘導されるが、ウィルス性腫瘍の成長は抑制される。
【0006】
さらに、E1、E2、E6及びE7の遺伝子の組合せをワクチン接種されたウサギは、ウィルスのチャレンジから完全に保護された(Hanら、1999、Selvakumarら、1995)。重要なことには、パピローマウィルス誘導性のイボが徐々に成長したウサギは、E6及びE7の長鎖重複ペプチドを含むワクチンを2回注射した後、それらの病変を消滅させるだけでなく、潜伏性ウィルス感染を除去することもできた(Vambutas、Vaccine 2005)。これらのデータは、E2、E6及びE7に対する免疫が、パピローマウィルス感染の免疫学的予防として、並びにHPV誘導性病変及び癌の治療に有効であり得ることを示す。
【0007】
HPV16に対する免疫応答に関連するエピトープの特定に相当関心が高まっており、
これらをサブユニットとしてワクチンに組み込み、又はこれらのエピトープをインビボのワクチン誘導性免疫のモニタリングに使用する可能性が示される。大部分の上皮細胞は、MHCクラスIを発現するが、クラスIIは発現しないので、今までのところ、殺腫瘍性のHPV特異的CD8細胞障害性Tリンパ球の誘導に注目が集まっている(Meliefら、2000;Ressingら、1995;Ressingら、2000;Ressingら、1996)。HPV特異的CD8T細胞の反応性は、子宮頸部上皮内新生物、グレードIII(CIN III)の病変又は子宮頸癌と診断された患者の末梢血(Nimakoら、1997;Ressingら、1996)及び子宮頸癌の患者から単離された腫瘍浸潤T細胞集団(Evansら、1997)において認められた。腫瘍特異的CD4ヘルパーT(「Th」)免疫もまた、これらの腫瘍の大部分がMHCクラスIIを発現しないという事実にもかかわらず、固形腫瘍の効率的な根絶にとって極めて重要であると現在考えられている(Meliefら、2000;Pardoll及びTopalian、1998;Toesら、1999に総説がある)。最新の証拠により、CD4腫瘍特異的T細胞が、CD8腫瘍特異的CTLの最適な誘導のみならず、これらのCTLによる局所エフェクター細胞機能の最適な活動のためにも必要であることが示されている(Ossendorpら、1998、Toesら、1999)。MHCクラスI拘束性腫瘍特異的免疫の誘導に関して、プロフェッショナル抗原提示細胞により捕捉されている抗原の交差提示は、主要な役割を担っていると思われる。交差プライミングによる有効な腫瘍特異的CTLの適切な誘導のためには、腫瘍特異的CD4T細胞のヘルプが必要とされる(Toesら、1999、Schoenbergerら、1998)。
【0008】
HPV特異的Th免疫の保護的役割に関する強い表れは、性器イボの退縮におけるCD4T細胞の優位により(Colemanら、1994)、並びにCIN病変が自然に退縮した対象の大部分において、HPV16 E7に対する遅延型過敏性応答が検出されたことにより(Hopflら、2000)示唆された。さらに健康なヒトの大部分において、免疫系は、悪性腫瘍の発生前にウィルスの除去に成功している(Koutsky、1997;Evander、1995)。このことに従って、検査した健康な全女性の半分より多くが、強い増殖性の、HPV16 E2及びE6特異的Th1/Th2細胞メモリー応答を示す(de Jong、2002;Welters、2003;de Jong、2004)。さらに、E2に対するTh反応性は、ウィルスのクリアランスの時に生じることが発見された(Bontkes、1999)。健康な対象は、HPV16のE7特異的免疫もまた示す(Welters、2003;van der Burg、2001)。対照的に、HPV誘導性癌の発生は、免疫の機能不全と強く関係している。HPV16+誘導性新生物を有する患者の末梢血における、HPV16のE2、E6及びE7に特異的なCD4T細胞性免疫の分析により、ハイグレードの外陰部新生物を有する患者の半分(van Poelgeest、2005)及びCIN IIIを有する患者の大部分(de Jong、2004)は、適切な免疫応答を開始しないことが明らかになった。検査した子宮頸癌患者のおよそ半数が、任意の検出可能なT細胞増殖応答を欠いていた。もう半数は、Th1/Th2のサイトカインの産生に関係しないがIL−10の産生に関係する、HPV16 E2及びE6に特異的な、弱いT細胞増殖応答を示した(de Jong、2004)。このことは、E6及びE7に特異的な増殖応答が存在し得るが(Luxton、2003)、子宮頸癌患者における末梢Th1応答は低い(de Gruijl、1996;de Gruijl、1998)又は欠けている(Tsukui、1996)という先の知見を裏付ける。なぜなら、CD4T細胞応答は、CD8CTL免疫の誘導及び維持に極めて重要であり(Melief、2002)、これらのデータは、末梢HPV16特異的CTLがハイグレードな異形成又は癌の患者において検出されることは稀であるが(Ressing、1996;Bontkes、2000;Nimako、1997;Youde、2000)、このようなCTLが、HPV16+新生物を有していない女性において一般的に検出され得る(Nakagawa、1997;Nakagawa、1999)理由の説得力のある説明を提示している。
【0009】
特に、HPVに対して対象を免疫化する臨床的に関連のある手法としては、特異的ヘルパーT細胞及びCTLの双方を誘導することが好ましい。本発明者らは、CTLの最小エピトープを用いた免疫化は、いくつかのモデルにおいて腫瘍に対する保護をもたらす(Kastら、1991)が、他のモデルにおいては、他の形で誘導された場合は保護的であるウィルス特異的CTL及び腫瘍特異的CTLの耐性又は機能的欠失をもたらすことをすでに示した(Toesら、1996ab)。耐性又は機能的欠失の発生により、ワクチン接種の効果は有意に減少する。したがって、この効果に関係するエピトープは免疫化目的には適切ではなかった。MHCクラスI分子、交差プライミング並びに他の機序による提示のための、外来性抗原のプロセッシングは、周知の内因性経路の次の、MHCクラスIによる提示のための第2のプロセッシングの経路と、現在では広く認識されている(Jondalら、1996、Reimannら、1997)。この経路を介した抗原プロセッシングの正常な結果は、CD4T細胞によるAPCの活性化が起こる場合を除いて、CTL耐性である(Kurtsら、1997)。耐性又は機能的欠失のこの問題を解消するために、WO02/070006は、CD4T細胞及びCD8T細胞双方の活性化をもたらす、MHCクラスI及びII双方の提示可能なエピトープを有する長鎖HPVペプチドのワクチンとしての使用を開示した。
【0010】
高用量のペプチド及び/又は連続したワクチン接種が、最適な免疫原性効果を得るために通常使用されているので、WO02/070006において開発されたHPVワクチンはさらに改善できる。さらに、MontanideISA−51などのアジュバントが、最適な免疫原性効果を得るために普通必要である。これらのアジュバントは、注射部位の長期にわたる局所的腫れ、赤くはれた手、熱、嘔吐、関節の痛み、インフルエンザに感染した時の症状に似た病気の全身症状などの望ましくない副作用を誘導する。これらの副作用は、一般的に不快であり、早期病変を有する患者の治療を妨げると思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、既存のワクチンの欠点を全く有さない改善されたHPVワクチンが未だに必要であり、中でも、本発明に使用するHPVワクチンは、高用量のペプチド及び/又は連続したワクチン接種及び/又はアジュバントを必要としない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、皮内投与用である、HPV関連疾患の治療又は予防用薬剤の製造のための、HPV−E2、−E6及び/又は−E7タンパク質に由来するペプチドの使用に関する。
【0013】
本発明に使用するペプチドの配列は、HPV16又は18由来のHPV−E2、−E6及び/又は−E7タンパク質に由来するものである限り重要ではない。好ましくは、このペプチドは、これらのタンパク質の最も免疫原性の高い領域の1つにおいて選択される。より好ましくは、このペプチドは、HPV−E2、−E6及び/又はE7特異的T細胞応答を誘導及び/又は強化でき、したがってこのペプチドは特異的T細胞エピトープを含む。
【0014】
HLAクラスI及びクラスIIのエピトープの長さを超える長さの(例えば、本明細書に記載の長さを有する)ペプチドは、それらは、WO02/070006において説明されるように、プロフェッショナル抗原提示細胞(APC)、特にDC中に存在するように、抗原取込みのための食細胞機構を要求するために十分長く、含まれているHLAクラスI及びクラスIIのエピトープの細胞表面提示が起こる前にDCにおいてプロセッシングされるので、薬剤としての使用に特に有利である。したがって、(Toesら、1996、PNAS93:7855及びToesら、1996、J.Immunol.156:3
911)に示されるような)T細胞耐性の不利な誘導が、本明細書に示された長さを有するペプチドの使用によって妨げられる(Zwavelingら、2002、J.Immunol.169:350に示される)。したがって、好ましい実施形態において、本発明の使用が提供され、前記ペプチドはAPCを活性化できる配列を含む。APCを活性化できる配列とは、APC、好ましくはプロフェッショナルAPCを少なくとも部分的に活性化できる配列を意味する。前記活性化により、好ましくは前記APCの表面において、前記ペプチドの少なくとも1つのエピトープの提示がもたらされる。特に好ましい実施形態において、前記ペプチドは、前記抗原に対する少なくとも2つのT細胞エピトープを含む。前記抗原に対する少なくとも2つのT細胞エピトープの存在は、さらにより有効な、前記抗原特異的T細胞応答の誘導及び/又は強化を可能にする。
【0015】
好ましくは、前記エピトープの少なくとも1つは、前記抗原に対するヘルパーT細胞エピトープ又は前記抗原に対する細胞障害性Tリンパ球(CTL)エピトープを含む。ペプチド上に存在する少なくとも1つの又は他のエピトープを有することは好ましい。前記ペプチドがヘルパーT活性化配列を含む場合、有効な誘導及び/又は強化が達成される。ヘルパーT活性化配列とは、本明細書において、ヘルパーT細胞を少なくとも部分的に活性化できる配列を意味する。前記活性化は、好ましくは前記抗原特異的T細胞応答の誘導及び/又は強化の改善をもたらす。一実施形態において、前記ペプチドは、前記抗原に対する少なくとも1つのヘルパーT細胞エピトープ及び前記抗原に対する少なくとも1つの細胞障害性Tリンパ球(CTL)エピトープを含む。
【0016】
したがって、少なくとも1つのHLAクラスII(ヘルパーT細胞)エピトープ及び/又は少なくとも1つのHLAクラスI(細胞障害性T細胞)エピトープが、血清型16、18、31、33又は45などのハイリスクなHPV血清型に由来するHPV E2又はE6及び/又はE7タンパク質のアミノ酸からの連続するアミノ酸配列内に存在するペプチドが好ましく使用される。より好ましくは、使用するペプチド中に存在する連続アミノ酸配列が、HPV血清型16、18、31又は33に由来するHPV E2、E6又はE7タンパク質のアミノ酸、さらにより好ましくはHPV血清型16又は18、最も好ましくはHPV血清型HPV16に由来する。HPV16及びHPV18のE2、E6及びE7のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号1、2、3、4、5及び6で表わす。
【0017】
好ましくは、連続するアミノ酸配列の長さは、45アミノ酸未満であり、HPV16又はHPV18のE2、E6及び/又はE7タンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6)から選択される、少なくとも19アミノ酸を含み、このペプチドは、少なくとも1つのHLAクラスIIエピトープ及び/又は少なくとも1つのHLAクラスIエピトープを含み、双方ともHPV E2、E6及び/又はE7タンパク質のアミノ酸配列に由来する。より好ましくは、ペプチド中の、少なくとも1つのHLAクラスIIエピトープ及び/又は少なくとも1つのHLAクラスIエピトープが、HPV E2、E6及び/又はE7タンパク質のアミノ酸配列に由来する、連続するアミノ配列内に存在する。
【0018】
明確にすると、本発明に使用するペプチドは、好ましくは少なくとも1つのHLAクラスIエピトープ及び/又は少なくとも1つのHLAクラスIIエピトープを含み、これらのエピトープそれぞれが提示可能であり、本明細書に記載のようにプロセッシングされた後で、細胞上に存在する、対応する特異的HLA分子と結合するであろう。したがって、各HLAエピトープを、HLA結合エピトープ及び/又はHLA提示可能エピトープとも名付けることができる。より好ましくは、使用するペプチドは、HPV−E2、−E6及び/又はE7特異的T細胞応答を誘導及び/又は強化することができ、このペプチドは、前記HPV−E2、−E6及び/又はE7タンパク質に対して特異的なT細胞エピトープを含む。さらにより好ましくは、このペプチドは、HPV E2又はE6及び/又はE7
タンパク質由来の22〜45の連続するアミノ酸残基を含む。
【0019】
ペプチド内に含まれる、HPV E2、E6及び/又はE7タンパク質由来の連続するアミノ酸配列の長さは、好ましくは、19〜45、22〜45、22〜40、22〜35、24〜43、26〜41、28〜39、30〜40、30〜37、30〜35、32〜35、33〜35、31〜34の間のアミノ酸を含む。別の実施形態において、ペプチドは、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44若しくは45、又は45を超える、HPV E2、E6及び/又はE7タンパク質の連続するアミノ酸残基を含む。別の好ましい実施形態において、本発明のペプチドは、本明細書において定義されたようなHPV E2、E6及び/又はE7タンパク質由来の、連続するアミノ酸配列のいずれかからなる。本発明に使用するペプチドは、容易に合成可能であり、プロフェッショナルAPCにより取り込まれるために十分長く、プロテアソームによりプロセッシングされ、少なくとも1つのHLAクラスI及び/又は1つのHLAクラスIIエピトープを含むために十分な物理的能力及び長さを有する。したがって上で定義したように、好ましい実施形態において、ペプチドはAPCを活性化できる配列を含む。
【0020】
又は、先の好ましい実施形態と組み合わせて、ペプチドはヘルパーT活性化配列を含む。
【0021】
さらにより好ましい実施形態において、ペプチドは、前記抗原に対する少なくとも2つのT細胞エピトープを含む。より好ましくは、このペプチド中に、前記エピトープの少なくとも1つは、前記抗原に対するヘルパーT細胞エピトープ及び/又は前記抗原に対する細胞障害性Tリンパ球(CTL)エピトープを含む。
【0022】
別の好ましい実施形態において、ペプチド中に存在する抗原は、HPV E2、E6及び/又はE7タンパク質又はそれらの免疫原性部分、誘導体及び/若しくは類似体に由来する。タンパク質の免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体は、前記タンパク質それ自体と同じ種類の免疫原性能力を含むが、必ずしも量的に同じである必要はない。このようなタンパク質の誘導体は、好ましい保存的アミノ酸置換によって得ることができる。
【0023】
より好ましくは、前記ペプチドは、最も免疫原性の高い領域として本明細書において特定されたE2、E6及び/又はE7の領域を含む。さらに、この領域にマッピングされた、自然にプロセッシングされた多くのThエピトープがすでに特定されている。健康な血液ドナーに由来する短期及び長期のPBMC培養をそれぞれ含む方法は、適切なペプチドを特定するために使用できる。PBMCの培養は、検査されるペプチドを用いて刺激され得る。平行して、IFNγ ELISPOTアッセイにより検出される、インビボで誘導されるE2、E6及び/又はE7に特異的な免疫は、健康な対象並びにHPV16病変を有すると診断された対象において分析できる。
【0024】
好ましい実施形態において、本明細書で使用する薬剤は、HPV−E2、E6及び/又はE7タンパク質に由来する、少なくとも2種の異なるペプチドを含む。より好ましくは、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種又はそれ以上のペプチドを薬剤中に混合物又はプールとして組み合わせて使用する。1つの単回ワクチンを使用して、1つのHPVタンパク質E2、E6又はE7内に存在する、いくつかの免疫原性エピトープに対するワクチン接種及びその後の保護を得ることができるので、このことは有利である。
【0025】
又は、先の好ましい実施形態を組み合わせて、この薬剤は、連続するアミノ酸配列が、HPV E2、E6及びE7タンパク質の少なくとも2種、より好ましくはHPV E2
、E6及びE7タンパク質の3種すべてに由来するペプチドを含む。1つの単回ワクチンを使用して、いくつかのHPVタンパク質E2、E6又はE7内に存在する、いくつかの免疫原性エピトープに対するワクチン接種及びその後の保護を得ることができるので、このこともまた有利である。
【0026】
使用する薬剤が2種以上のペプチドを含む場合、いくつかのペプチドの組合せを、ペプチドのプール又は混合物と名付けることができる。
【0027】
好ましい実施形態において、この薬剤は以下のペプチドの少なくとも1つを含み、各ペプチドは、HPV16のE2、E6又はE7に由来する、以下の配列を含む、又は以下の配列からなる、又は以下の配列と重複する:E2 31〜60又は配列番号7、E2 46〜75又は配列番号8、E2 301〜330又は配列番号9、E2 316〜345又は配列番号10、E6 1〜32又は配列番号11、E6 19〜50又は配列番号12、E6 41〜65又は配列番号13、E6 55〜80又は配列番号14、E6 71〜95又は配列番号15、E6 85〜109又は配列番号16、E6 91〜122又は配列番号17、E6 109〜140又は配列番号18、E6 127〜158又は配列番号19、E7 1〜35又は配列番号20、E7 22〜56又は配列番号21、E7 43〜77又は配列番号22、E7 64〜98又は配列番号23、E2 1〜30、E2 16〜45、E2 61〜90、E2 51〜70、E2 61〜76、E2
76〜105、E2 91〜120、E2 106〜135、E2 121〜150、E2 136〜165、E2 151〜180、E2 166〜195、E2 181〜210、E2 196〜225、E2 211〜240、E2 226〜255、E2 241〜270、E2 256〜285、E2 271〜300、E2 286〜315、E2 316〜330、E2 311〜325、E2 331〜365、E2 346〜355、E2 351〜365、E6 1〜22、E6 11〜32、E6 21〜42、E6 31〜52、E6 41〜62、E6 51〜72、E6 61〜82、E6
71〜92、E6 81〜102、E6 91〜112、E6 101〜122、E6
111〜132、E6 121〜142、E6 127〜140、E6 131〜152、E6 137〜158、E7 1〜22、E7 11〜32、E7 21〜42、E7 30〜50、E7 31〜52、E7 35〜50、E7 41〜62、E7 50〜62、E7 51〜72、E7 35〜77、E7 61〜82、E7 71〜92、E7 77〜98、中でも、E2 31〜60又は配列番号7、E2 46〜75又は配列番号8、E2 301〜330又は配列番号9、E2 316〜345又は配列番号10、E6 1〜32又は配列番号11、E6 19〜50又は配列番号12、E6 41〜65又は配列番号13、E6 55〜80又は配列番号14、E6 71〜95又は配列番号15、E6 85〜109又は配列番号16、E6 91〜122又は配列番号17、E6 109〜140又は配列番号18、E6 127〜158又は配列番号19、E7 1〜35又は配列番号20、E7 22〜56又は配列番号21、E7 43〜77又は配列番号22、E7 64〜98又は配列番号23が最も好ましい。これらのペプチドのそれぞれの配列は、配列番号1、2又は3で表わされるHPV16の対応するE2、E6又はE7の完全長配列から推測できる。
【0028】
本発明の文脈において、重複は、使用するペプチドの配列が、所与の配列と部分的又は全体的に重複することを意味する。好ましくは、重複は、部分的重複を意味する。好ましくは、部分的は、重複がペプチド配列の5’末端及び/又は3’末端における1つ又は複数のアミノ酸の重複、より好ましくは、5’末端及び/又は3’末端における2つ以上のアミノ酸の重複或いはそれ以上であることを意味する。重複が、ペプチド配列の5’末端における1つ又は複数のアミノ酸の重複、及び/又はペプチド配列の3’末端における2つ以上のアミノ酸の重複或いは逆もまた同様に好ましい。当業者は、得られたペプチドが本明細書において先に定義されたような望ましい免疫原性活性を示す限り、あらゆる種類
の重複が本発明に包含されることを理解するであろう。
【0029】
別の好ましい実施形態において、本薬剤に使用するペプチドは、保存的アミノ酸置換により上に示された配列に由来する。
【0030】
より好ましくは、この薬剤は、上に具体的に述べたペプチドの少なくとも2種、又は少なくとも3種、又は少なくとも4種、又は少なくとも5種、又は少なくとも6種又はそれ以上を含む。
【0031】
最も好ましい実施形態において、この薬剤は、以下のペプチドのプールの少なくとも1つを含み、各ペプチドは、以下の配列を含む、又は以下の配列からなる、又は以下の配列と重複する:
プール1:E2 31〜60及び/若しくはE2 46〜75、並びに/又は
プール2:E2 301〜330及び/若しくはE2 316〜345、並びに/又は
プール3:E2 31〜60及び/若しくはE2 46〜75、及び/若しくはE2 301〜330及び/若しくはE2 316〜345、並びに/又は
プール4:E6 1〜32及び/若しくはE6 19〜50、並びに/又は
プール5:E6 41〜65、E6 55〜80及び/若しくはE6 71〜95、並びに/又は
プール6:E6 85〜109、及び/若しくはE6 91〜122、並びに/又は
プール7:E6 109〜140及び/若しくはE6 127〜158、並びに/又は
プール8:E6 1〜32及び/若しくはE6 19〜50、及び/若しくはE6 41〜65、及び/若しくはE6 55〜80及び/若しくはE6 71〜95、及び/若しくはE6 85〜109、及び/若しくはE6 91〜122及び/若しくはE6 109〜140及び/若しくはE6 127〜158、並びに/又は
プール9:E7 1〜35及び/若しくはE7 22〜56、並びに/又は
プール10:E7 43〜77、及び/若しくはE7 64〜98、並びに/又は
プール11:E7 1〜35及び/若しくはE7 22〜56、及び/若しくはE7 43〜77、及び/若しくはE7 64〜98、並びに/又は
プール12:上で定義したようなプール3及びプール8、並びに/又は
プール13:上で定義したようなプール8及びプール11、並びに/又は
プール14:上で定義したようなプール3及びプール11、並びに/又は
プール15:上で定義したようなプール3、プール8及びプール11。
【0032】
好ましくは、薬剤中に存在するペプチドに含まれるクラスII CD4+Th細胞エピトープは、HPV誘導性疾患を有する患者及び/又は健康な対象において、CD4+Th細胞を活性化できる。活性化は、エクスビボ又はインビボで、より好ましくは、HPV感染/形質転換細胞が所与の抗原を発現する、HPV誘導性疾患を有する患者において好ましく評価される。最も好ましくは、HLAクラスIIエピトープが、CD4+Thメモリー応答を活性化できる、すなわち、CD45RO−陽性CD4+ヘルパーT細胞を活性化できる。このことは、DCのCD40誘発を介した「殺しのライセンス(licence
to kill)」シグナルにより(Lanzavecchia、1998、Nature 393:413)、より強固なCD8エフェクター及びメモリーT細胞応答をもたらすと思われる。
【0033】
当技術分野では、ペプチドを発生させる多くの方法が知られている。本発明は、発生させたペプチドが最小のT細胞エピトープを含む限り、発生させたペプチドのいずれの形態にも限定されない。例としては、薬剤中に存在するペプチドは、タンパク質E2、E6又はE7から得ることができ、インビトロで又は細胞、例えばコード化核酸を介して合成できる。本薬剤に使用するペプチドは、単一ペプチドとして、又は融合タンパク質に組み込
まれて存在することができる。一実施形態において、前記ペプチドは、細胞の内側の前記ペプチドを、前記細胞の表面上のMHC分子に輸送され、及び/又は組み込まれ得るようにプロセッシングできる、プロセッシング部位に隣接している。好ましい実施形態において、本薬剤に使用するペプチドは、プロセッシング後にMHCクラスII分子と複合体を形成できる。MHCクラスII拘束性T細胞性免疫は、現在、例えば、腫瘍細胞の根絶において、前記腫瘍細胞が多くの場合MHCクラスII分子を発現しないにもかかわらず重要であると考えられている。本薬剤に使用するペプチドは、MHCクラスI及びMHCクラスII双方に依存性のT細胞の誘発、誘導及び/又は刺激に特に適している。
【0034】
本薬剤に使用するペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸の欠失又は置換により、N末端及び/又はC末端において追加のアミノ酸又は官能基で伸長することにより、さらに修飾されていてもよく、このことは、生体利用率、標的化及びプロフェッショナルAPCによる取り込みを改善でき、或いはアジュバント又は(共)刺激機能を提供する免疫調節物質を含む、又は放出する。N末端及び/又はC末端における任意選択の追加のアミノ酸は、好ましくはHPV E2、E6及び/又はE7のアミノ酸配列の対応する位置には存在せず、より好ましくは、それらはE2、E6又はE7アミノ酸配列(配列番号1、2、3、4、5、6)には由来しない。
【0035】
さらに好ましい実施形態において、本薬剤はアジュバントを含まない。より好ましくは、本薬剤は、以下の望ましくない副作用:注射部位の局所的腫れ、赤くはれた手、熱、嘔吐、関節の痛み、インフルエンザに感染した時の症状に似た病気の全身症状などの少なくとも1つを伴うことが現在公知であるアジュバントを含まない。さらにより好ましくは、アジュバントは、不完全フロインドアジュバント又はIFA、Montanide ISA−51又はMontanide ISA720(Seppic、フランス)などの、水中油型乳剤ではない。さらにより好ましくは、アジュバントは、デポー機能を有さない、及び/又は生物分解可能である。デポー機能は、好ましくは、ペプチドが注射部位に長期間含まれ、長期間にわたって漏れ出るだけであることを意味する。好ましくは、長期間は少なくとも1カ月であり、より好ましくは、少なくとも2カ月又は3カ月である。さらにより好ましくは、アジュバントはMontanide ISA−51(Seppic、フランス)ではない。
【0036】
別のさらに好ましい実施形態において、本薬剤は、本明細書において先に定義された1つ又は複数のペプチド及び不活性な薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤からなる。不活性な薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤は、好ましくは免疫応答及び/又は炎症応答或いはアジュバントに関して上に記載した任意の望ましくない副作用を引き起こさないという意味で不活性である。薬剤の処方及び薬学的に許容可能な賦形剤の使用は、当技術分野において公知であり、慣習であり、例えばRemington;The Science and Practice of Pharmacy、第21版、2005 University of Sciences in Philadelphiaに記載されている。本発明に使用する薬剤は、皮内投与又は皮内適用に適するように処方する。皮内は、当業者には公知である。本発明の文脈において、皮内(intradermal)は、皮内(intracutaneous)と同義語であり、皮下とは異なる。物質の最も表面的な適用は、経皮(皮膚上)であり、その次が皮内適用(皮膚中又は皮膚内)、その次が皮下適用(皮膚のすぐ下の組織中)、その次が筋肉内適用(身体の筋肉内)である。皮内適用は、普通注射により実施される。物質の皮内注射は、普通、それに対する反応、アレルギー及び/又は細胞性免疫の可能性を検査するために実施する。皮下適用もまた、普通注射により実施され、針は皮膚の下の組織に差し込まれる。
【0037】
別のさらに好ましい実施形態において、本発明に使用する薬剤は、Montanide
ISA−51などの任意のアジュバントを含まないので、この薬剤の処方がより単純で
あり、油−水に基づく乳剤が、好ましくは使用する薬剤中に存在しないことを意味する。したがって、本発明に使用する薬剤は、Montanide ISA−51などのアジュバントを含まない、及び/又は水中油に基づく乳剤を含まない。したがって好ましい実施形態において、本発明に使用する薬剤は、生理的イオン強度及び/又はオスモル濃度の緩衝水溶液、例えば、本明細書において先に定義されたような、1つ又は複数のペプチドを含む或いは1つ又は複数のペプチドからなるPBS(リン酸緩衝生理食塩水)である。当業者は、このような溶液の調製の仕方を知っている。
【0038】
本発明に使用する薬剤は、本明細書において先に定義されたようなペプチドを、低用量で皮内投与しても免疫原性効果を達成できるという、別の利点を有する。使用する各ペプチドの量は、好ましくは1〜1000μgの間の範囲であり、より好ましくは5〜500μgの間の範囲であり、さらにより好ましくは10〜100μgの間の範囲である。
【0039】
当業者は、予想するペプチド濃度が免疫原性であるかどうかの検査方法を知っているはずである。好ましくは、PBMCを、WO02/070006に例示されているように、さまざまな濃度の検査ペプチドを用いてインビトロで刺激する。実施例において、ペプチド刺激性PBMCが、非刺激性PBMCより、少なくとも2倍強い増殖及び/又は少なくとも2倍多いサイトカインの産生及び/又はマーカー(例えば、CD25、HLA−DR、CD69、CD154、CD137)の活性化の上方制御を開始した場合、免疫原性効果が達成される。或いは、実施例のように皮膚検査を実施する。簡潔に言うと、選択されたペプチドを、好ましくは20mMの等張リン酸緩衝液中に約10〜20%、より好ましくは約16%のDMSO(v/v)中に約0.1から約0.4mg/ml、より好ましくは0.2mg/mlのペプチドの0.05ml(10μg/ペプチド)を皮内注射する。ペプチドは、上腕の個々の皮膚の検査部位に個別に注射する。
【0040】
別の好ましい実施形態において、本薬剤は、本明細書において先に定義されたようなペプチド及び少なくとも1つのアジュバントを含み、前記アジュバントは水中油に基づく乳剤に処方されておらず及び/又は本明細書において先に定義されたような水中油型乳剤ではない。この型の薬剤は、単回投与として投与できる。或いは、本明細書において先に定義されたようなペプチド及び/又はアジュバントの投与は、必要に応じて反復でき、並びに/或いは異なるペプチド及び/又は異なるアジュバントを連続して投与できる。本発明のペプチドを皮内投与し、本明細書において定義されたアジュバントを連続して投与することもまた、本発明に包含される。アジュバントは皮内投与できる。しかし、任意の他の投与方法もまた、アジュバントに関して使用できる。
【0041】
特に好ましいアジュバントは、トール様受容体を介して、及び/又はRIG−1(レチノイン酸誘導性遺伝子I)タンパク質を介して、及び/又はエンドセリン受容体を介して作用することが公知のアジュバントである。先天性免疫系を活性化できるアジュバントは、TLR1〜10を含むトール様受容体(TLR)を介して、特によく活性化できる。TLR受容体を活性化できる化合物並びにそれらの修飾体及び誘導体は、当技術分野において十分立証されている。TLR1は、細菌性リポタンパク質及びそれらのアセチル化形態により活性化でき、さらにTLR2は、グラム陽性細菌の糖脂質、LPS、LPA、LTA、繊毛、外膜タンパク質、細菌起源由来又は宿主由来の熱ショックタンパク質及びマイコバクテリウム・リポアラビノマンナン(Mycobacterial lipoarabinomannans)により活性化できる。TLR3は、dsRNA、特にウィルス起源のdsRNAにより、又は化合物ポリ(I:C)により活性化できる。TLR4は、グラム陰性LPS、LTA、宿主由来又は細菌起源由来の熱ショックタンパク質、ウィルスコートタンパク質又はエンベロープタンパク質、タクソール又はその誘導体、オリゴ糖を含むヒアルロン酸及びフィブロネクチンにより活性化できる。TLR5は、細菌の鞭毛又はフラジェリンにより活性化できる。TLR6は、マイコバクテリアのリポタンパク質
及びB群連鎖球菌の易熱性可溶性因子(GBS−F)又はブドウ球菌のモジュリンにより活性化できる。TLR7は、イミダゾキノリンにより活性化できる。TLR9は、非メチル化CpG DNA又はクロマチン−IgG複合体により活性化できる。特に、TLR3、TLR7及びTLR9は、ウィルス感染に対する先天的免疫応答を仲介する上で、重要な役割を果たし、これらの受容体を活性化できる化合物は、本発明での使用に特に好ましい。特に好ましいアジュバントは、限定するものではないが、dsRNA、ポリ(I:C)、TLR3及びTLR9受容体を誘発する非メチル化CpG DNA、IC31、TLR9アゴニスト、IMSAVAC、TLR4アゴニストを含む合成化合物を含む。RIG−1は、TLR3のようなds−RNAによって活性化されることが公知である(Immunity(2005)、1:19〜28)。別の好ましい実施形態において、アジュバントは、本明細書において先に定義されたようなペプチドに物理的に連結している。アジュバント及び共刺激性の化合物又は官能基の、ペプチドを含むHLAクラスI及びHLAクラスIIのエピトープへの物理的連結は、抗原を取り込み、代謝し、表示する抗原提示細胞、特に樹状細胞の同時刺激により免疫応答の強化を提供する。別の好ましい免疫調節化合物は、T細胞の接着阻害剤、より好ましくはBQ−788(Buckanovich
RJら、Ishikawa K、PNAS(1994)91:4892)などのエンドセリン受容体の阻害剤である。BQ−788は、N−cis−2,6−ジメチルピペリジノカルボニル−L−γ−メチルロイシル−D−1−メトキシカルボニルトリプトファニル−D−ノルロイシンである。しかし、BQ−788の任意の誘導体又はBQ−788化合物の修飾体もまた、本発明の範囲に包含される。
【0042】
さらに、本発明に使用する薬剤中に存在するペプチドと組み合わせて、WO99/61065及びWO03/084999に発表されたようなAPC(共)刺激性分子の使用が好ましい。特に、4−1−BB及び/又はCD40のリガンド、アゴニスト抗体、OX40リガンド又はそれらの機能的断片及び誘導体並びに同様のアゴニスト活性を有する合成化合物の使用は、対象の最適な免疫応答の開始をさらに刺激するために、個別に又は薬剤中に存在するペプチドと組み合わせて治療されるべき対象に好ましく投与される。
【0043】
好ましい実施形態において、アジュバントは、モノホスホリル脂質A及び/又はCpG核酸などのTLR(3、4、7、8、9)リガンド及び/又はCD40リガンドなどのAPC共刺激性分子、アゴニスト抗体又はそれらの機能的断片及び誘導体及び/又はGM−CSFを含む。
【0044】
別の好ましい実施形態において、プロフェッショナル抗原提示細胞又は樹状細胞によるペプチドの提示を促進するために、ペプチドを含む薬剤は、本明細書において先に述べたようなTLRリガンドとしてDC活性化剤をさらに含む。
【0045】
好ましい実施形態において、ワクチンである本薬剤をヒト又は動物に投与する。より好ましい実施形態において、このヒト又は動物は、HPV(持続性)関連疾患を患っている、又は患う危険性がある。前記HPV関連疾患は、HPV感染、HPV関連悪性腫瘍、子宮頸部上皮内新生物(CIN)、外陰上皮内新生物(VIN)、肛門上皮内新生物(AIN)、膣上皮内新生物(VAIN)、陰茎上皮内新生物(PIN)、子宮頸癌、頭部及び頸部の癌、特に口腔咽頭癌及びへんとう癌、陰茎癌、肛門癌、膣癌及び外陰癌から選択される。
【0046】
好ましくは、前記HPV関連疾患は、前記免疫応答の誘導及び/又は強化によって、少なくとも部分的に治療可能又は予防可能である。
【0047】
したがって、本発明の方法は、前記抗原に対する免疫及び/又は前記免疫の強化を、対象に提供するために非常に適している。本発明の方法は、他の免疫化戦略を使用する目的
のいずれに対しても適している。かつての免疫化は、ワクチン接種目的、すなわち、疾患の予防のために使用される。しかし、本発明の方法は、疾患予防だけに適しているわけではない。この方法は、既存の疾患の治療にも使用でき、当然のことながらこの疾患は、抗原特異的T細胞性免疫の誘導及び/又は強化によって治療可能な範囲に限定される。この特徴を、例えば、HPV感染などのウィルス感染に伴う疾患、例えばいくつかの癌の治療に使用できる。好ましい実施形態において、前記ヒト又は動物は、前記免疫応答の誘導及び/又は強化によって少なくとも部分的に治療可能又は予防可能である、HPV感染などの疾患を患っている、又は患う危険性がある。好ましくは、前記疾患は、HPVウィルス性疾患及び/又は癌を含む。
【0048】
ペプチドの皮内投与は、ワクチンの注射が、疾患部位又は可能な限り疾患部位の近くに実現でき、疾患流入領域リンパ節の局所活性化をもたらし、免疫系のより強い局所活性化をもたらすので非常に注目すべきものである。特に、VIN、VAIN、AIN、PIN、陰茎癌、外陰癌、肛門癌、頭部及び頸部の癌にとって注目すべきものである。
【0049】
好ましい実施形態において、皮内投与は、病変部位又は疾患部位に直接実施する。本明細書において病変部位においてとは、病変部位から5、2、1、0.5、0.2又は0.1cm未満内であると理解される。
【0050】
本明細書において定義されたような薬剤の皮内投与において、Th2応答だけでなくTh1応答もまた誘発される。遺伝子銃を介した皮膚の抗原提示は、選択的Th2免疫応答をもたらすことがすでに発見されているので、このことは驚くべきことである(Alvarez Dら、2005)。さらに、観察された免疫応答は、Alvarez Dらに基づいて期待できるように皮膚に限定されない。本発明者らは、IFNγを分泌する特異的T細胞が、チャレンジ後の末梢血において検出されたので、二次リンパ系を介して循環することを実証する。
【0051】
本発明の薬剤の別の重要な利点は、比較的低用量のペプチドを、1回のシングルショットで、単純な処方で、Montanide ISA−51などの望ましくない副作用を起こすことが公知の任意のアジュバントを含まずに使用できることである。任意の理論に縛られることを望むものではないが、本発明者らは、本発明に使用するHPV皮内ペプチド(単数又は複数)が、特異的及び直接的に上皮に存在する表皮ランゲルハンス細胞(LC)を標的とすると考えている。ランゲルハンス細胞は、一次免疫応答を開始する優れた能力を示すDCの特異的サブタイプである(Romani Nら)。これらのLCは、本発明に使用する薬剤に用いられる天然のアジュバントとしてみなし得る。
【0052】
別の好ましい実施形態において、本発明は、先に定義されたように皮内投与用である、HPV関連疾患の治療又は予防用薬剤の製造のための、HPV−E2、−E6及び/又は−E7タンパク質に由来するペプチドの使用に関し、さらに、HPV−E2、−E6及び/又は−E7タンパク質に由来するペプチドは、さらに皮下投与用である、HPV関連疾患の治療又は予防用薬剤の製造のために使用される。
【0053】
皮内投与用の薬剤は、すでに本明細書において定義されている。皮下投与に使用するペプチドは、皮内投与に使用するペプチドと同じであり、すでに本明細書において定義されている。当業者は、皮下投与に適した薬剤の処方の仕方を知っている。好ましくは、皮下投与に適した薬剤は、すでに本明細書において定義されたペプチドと、アジュバントを組合せて含む。好ましいアジュバントは、本明細書においてすでに述べている。他の好ましいアジュバントは、不完全フロインドアジュバント又はIFA、MontanideISA−51又はMontanide ISA 720(Seppic、フランス)などの、水中油型乳剤である。さらに好ましい実施形態において、皮下投与に適した薬剤は、1種
又は複数種のペプチド、アジュバント(双方とも本明細書において先に定義された)並びに本明細書において先に定義されたすべての不活性な薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む。薬剤の処方及び薬学的に許容可能な賦形剤の使用は、当技術分野において公知であり、慣習であり、例えばRemington;The Science and
Practice of Pharmacy、第21版、2005 University of Sciences in Philadelphiaに記載されている。本発明に使用する第2の薬剤は、皮下投与に適するように処方される。
【0054】
この好ましい実施形態において、皮内投与に適した薬剤は、皮下投与に適した薬剤と同時投与できる。或いは、双方の薬剤を連続して、皮内投与、続けて皮下投与でき、又は逆もまた同様にできる(まず皮下投与、その後に皮内投与)。皮内投与に充てた先の好ましい実施形態のように、この好ましい実施形態において、本明細書において先に定義されたようなペプチドの皮内及び/又は皮下投与並びに/或いはアジュバントの皮内及び/又は皮下投与は必要に応じて反復でき、並びに/或いは異なるペプチド及び/又は異なるアジュバントを連続して皮内及び/又は皮下投与できる。本発明のペプチドを皮内及び/又は皮下投与し、一方、本明細書において定義されたようなアジュバントを連続して投与することもまた、本発明に包含される。アジュバントは皮内及び/又は皮下投与できる。しかし、任意の他の投与方法もまた、アジュバントに関して使用できる。
【0055】
本発明者らは、本発明による薬剤の皮内投与及び皮下投与の組合せは有利であると期待する。表皮のDCは、真皮及び皮下組織のDCとは明らかに異なる。皮内(intracutaneous)(皮内(intradermal))の免疫化は、抗原のプロセッシング及びそれらの樹状ネットワークを介してケラチノサイトと密接にかかわる表皮DC(ランゲリン陽性ランゲルハンス細胞)の活性化を引き起こすであろう。これはさらに、ランゲルハンス細胞とケラノサイトとの相互作用で炎症経路を最適に活性化し、その後取り込まれた抗原及び活性化ランゲルハンス細胞の、皮膚−流入領域リンパ節への輸送が続く。
【0056】
皮下投与は他のDCサブセットを活性化し、それにより抗原を取り込み、独立して皮膚−流入領域リンパ節に移動するようになる。事によると、皮内及び皮下の両方で投与できる薬剤の使用は、さまざまなDCのサブセットによって、これらの流入領域節においてT細胞の相乗刺激をもたらし得る。
【0057】
この文献において、及びその特許請求の範囲において、「含むこと(to comprise)」という動詞及びその活用は非限定的意味で使用され、その言葉の後に続く項目が含まれることを意味するが、特に述べていない項目を排除するものではない。さらに、不定冠詞「a」又は「an」による要素の言及は、文脈が唯一の要素を明らかに要求していない限り、複数の要素が存在する可能性を排除するものではない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は、通常「少なくとも1つの」を意味する。
【0058】
本発明を、以下の実施例によりさらに例示するが、これらは本発明の範囲を限定するものと解釈するべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】19例の健康なドナー(HD)及び17例の、子宮頸部新生物の病歴のある患者(P)のグループにおける、出現の数、日数及び陽性の皮膚反応を誘導した注射抗原の概要を示す図である。直径2mmより大きい丘疹が、注射後2日以上たって出現した場合、皮膚反応は陽性であると考えた。表示のレイアウトは、8種のペプチドプールに使用し、使用したペプチドプールのタンパク質の最初と最後のアミノ酸を示す。太字で印刷したレイアウトはこの時間枠内の少なくとも1つの陽性反応を示し、塗りつぶされた四角は新たに発生した、表示のペプチドプールに対する陽性の皮膚反応を表わす。
【図2】健康なドナーのチャレンジ前の血液試料において、IFNγ ELIspotによりHPV16特異的T細胞の検出が、認識されたペプチドプールに対する早期(<13日)陽性皮膚反応の出現と有意に相関することを示す図である(p=0.0003、両側、フィッシャーの正確確率検定)。特異的応答は、実験ウェルの平均スポット数から、培地対照の平均スポット数+2×SDを引いて計算した。100.000PBMC当たりの特異的スポット数を示す。ペプチドプールの特異的T細胞頻度が100.000PBMCにおいて≧5の場合、応答を陽性と考えた。
【図3A】陽性の皮膚反応の出現と健康なドナーのチャレンジ後の血液試料中の循環HPV16特異的T細胞の同時検出(IFNγ ELIspot)との関連を示す図である(p<0.0001、両側、フィッシャーの正確確率検定)。総計88例の皮膚検査から、39例が陽性であった。これら39例の反応のうち、25例がELIspotにおいて陽性反応と関連があった(100.000PBMC中、T細胞頻度≧5)。皮膚反応を示さなかった49例の皮膚検査部位のうち、10例が陽性のELIspotと関連があった。
【図3B】14日目に、ペプチドプール6(E6109〜140、E6127〜158)に対して陽性皮膚反応を示した健康なドナー(HD10)の例を示す図である(左のパネル)陽性皮膚反応部位のパンチ生検の図である(右側のパネル)。
【図4A】IFNγ ELIspotにより、陽性皮膚反応を表わす健康なドナーの、チャレンジ後血液試料中に検出されたHPV16特異的T細胞応答を示す図である。100.000PBMC当たりの平均スポット数を表わす。メモリー応答混合物(MRM)を、陽性対照として使用した。塗りつぶされたバーは、パンチ生検を採取し培養した陽性皮膚反応部位を示す。
【図4B】パンチ生検から取り出したTリンパ球を、サイトカイン駆動増殖期の14から28日後、皮膚検査で注射したように、ペプチド(10μg/ml)又はタンパク質(20μg/ml)をパルスした単球による刺激に対する、それらの増殖能を検査した図である。フィトヘムアグルチニン(PHA)は陽性対照として機能した。増殖は、[H]チミジンの組込みにより測定し、増殖応答は刺激指数(SI)≧3として具体的に定義した。健康なドナー17(HD17)は、非特異的T細胞からなる陽性皮膚反応部位の例である。
【図4C】Bにおける増殖応答物の上清を、IFNγ、インターロイキン4(IL4)、IL5及び腫瘍壊死因子α、IL2、IL10(図示せず)の存在に関してサイトメトリックビーズアレイにより分析した図である。カットオフ値は、さまざまなサイトカインの標準曲線に基づいた(100pg/ml IFNγ及び残存サイトカインに関しては20pg/ml)。抗原特異的なサイトカインの産生を、上記のカットオフレベルを超え、且つ>2×培地対照濃度のサイトカイン濃度として定義した。健康なドナー15(HD15)は、IL5の高いバックグラウンドレベルを表わすが、抗原刺激後>2×に上昇する。
【図5】健康なドナー15(HD15)のプール4(E641〜65、E655〜80、E671〜95)の皮膚生検のT細胞培養物は、HPV16特異的CD4+T細胞及びCD8+T細胞の双方からなることを示す図である。培養物の特異性を、注射皮膚検査に対応するタンパク質(20μg/ml)及びペプチド(10μg/ml)に対して、細胞内サイトカイン染色(ICS)で検査した。注目すべきことに、4例の生検のうち3例において、CD8+HPV16特異的T細胞が検出された。
【実施例】
【0060】
材料及び方法
研究計画
上腕に臨床グレードのHPV16ペプチドのプールを皮内注射することにより測定する、HPV16 E2、E6及びE7特異的T細胞応答を分析する、横断的パイロット研究を、子宮頸部のHPV関連障害を有する患者及び健康な個人において実施した。遅延型過敏反応は、メモリーT細胞応答を表わすので、分析時のHPV16陽性の前提条件はなか
った。
【0061】
対象
子宮頸癌(n=12)又はCIN(n=5)の病歴のある17例の女性(P)及び19例の健康な個人(HD)のグループが、インフォームドコンセントを受けた後でこの研究に参加した。HPV状態を含む患者の臨床的特徴を、表1に要約する。患者の年齢は28〜72歳(年齢の中央値、46歳)の範囲であった。健康な個人のグループは、年齢の中央値が31歳(範囲、20〜51歳)であり、80%の女性及び20%の男性で構成されていた。末梢血単核細胞(PBMC)を、皮膚検査の投与の直前にすべての対象から得た。健康な個人では陽性の皮膚検査の出現が遅いので、19例の健康なボランティアの11例から第2の血液試料を採取した。研究計画は、Medical Ethical Committee of the Leiden University Medical
Centreの承認を受けた。
【0062】
DTH皮膚検査
遅延型過敏反応(DTH)に基づく皮膚検査を、HPV特異的細胞性免疫応答のインビボ測定のための、高感度且つ単純な方法として使用できる(Hopfl、2000;Hopfl、1991)。皮膚検査用調製物は、HPV16 E6及びE7タンパク質の全体及びHPV16 E2タンパク質の最も免疫原性の高い領域にわたる、臨床グレートの長鎖合成ペプチドの8種のプールで構成されていた(de Jong、2004)。これらの臨床グレードのペプチドは、LUMCの部門間GNP−Facilityで作製された。皮膚検査の各プールは、2又は3種の合成ペプチドからなり、ペプチドでカバーされたタンパク質の領域の最初と最後のアミノ酸で示した。プール1:E231〜60、E246〜75、プール2:E2301〜330、E2316〜345、プール3:E61〜31、E619〜50、プール4:E641〜65、E655〜80、E671〜95、プール5:E685〜109、E691〜122、プール6:E6109〜140、E6127〜158、プール7:E71〜35、E722〜56、プール8:E743〜77、E764〜98。ペプチドプールごとに、20mMの等張リン酸緩衝液中16%のDMSO中に0.2mg/mlのペプチドの0.05ml(10μg/ペプチド)を皮内に注射した。ペプチドプール及び陰性対象(溶剤のみ)を、上腕の個別の皮膚検査部位に、別々に注射した。皮膚検査部位を、少なくとも3回、ペプチドの注射後72時間及び7日(Hopfl)並びに第1の健康な対象の1例において非常に遅い皮膚反応が最初に報告された3週間後に点検した。直径2mmより大きい丘疹が、注射後2日以上たって出現した場合、反応は陽性であると考えた。陽性の皮膚反応部位からパンチ生検(4mm)を得、小片に切断し、10%のヒトAB血清、10%のTCGF並びに5ng/mlのIL7及びIL15を含むIMDM中で培養し、皮膚組織からのリンパ球の遊出を可能にした。培養の2から4週間後、増殖したT細胞を収穫し、それらのHPV特異的反応性に関して検査した。
【0063】
インビトロ免疫アッセイのための抗原
皮膚検査に使用したペプチドと類似の一連のペプチドを、T細胞刺激アッセイ及びIFNγ−ELISPOTアッセイに使用した。4種のHPV16 E2ペプチドは、15残基が重複した30−merペプチドからなり、HPV16 E6は32−merからなり、HPV16 E7は35−merからなり、双方とも14残基が重複していた。ペプチドは、先に記載したように合成し、溶解した(van der Burg、1999)。特に、IFNγ ELISPOTアッセイにおいて、ペプチドプール4及び5は、皮膚検査に使用したペプチドプールとわずかに異なり、プール4はペプチドE637〜68、E655〜86、E673〜104を含み、プール5はペプチドE673〜104、E691〜122を含んだ。
【0064】
破傷風トキソイド(0.75 Limus flocculentius/ml; National Institute of Public Health and Environment、Bilthoven、オランダ)、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)超音波分解物(5μg/ml;Dr.P.Klatser、Royal Tropical Institute、アムステルダム、オランダのご厚意により提供された)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)(0.15mg/ml、HAL Allergenen Lab.、Haarlem、オランダ)の混合物からなるメモリー応答混合物(MRM 50x)を陽性対象として使用した。組換えHPV16 E2、E6及びE7タンパク質を、先に記載したように組換え大腸菌(Escherichia coli)において作製した(van der Burg、2001)。
【0065】
IFNγ ELISPOTによる抗原特異的Th細胞の分析
HPV16特異的Th細胞の存在を、先に記載したように、ELISPOTにより分析した(van der Burg、2001)。簡潔に言うと、新鮮なPBMCを、2×10細胞/ウェルの濃度で、24ウェルプレート(Costar、Cambridge、MA)中の、10%のヒトAB血清を加えた、表示のHPV16 E2、E6及びE7ペプチドプールを含む、又は含まない1mlのIMDM(Bio Whittaker、Verviers、Belgium)に播種した。ペプチドは、5μg/ml/ペプチドの濃度で使用した。37℃で4日間インキュベートした後で、PBMCを収穫し、洗浄し、IFNγ捕捉抗体(Mabtech AB、Nacha、スウェーデン)でコーティングしたMultiscreen 96ウェルプレート(Millipore、Etten−Leur、オランダ)中の10%FCSを加えたl00μlのIMDMに、10細胞/ウェルの濃度で4つの複製ウェルに播種した。さらに抗体をインキュベートし、ELISPOTの発生を、製造業者(Mabtech)の指示書に従って実施した。スポットを全自動コンピューター支援ビデオ画像分析系(Bio Sys)を用いて数えた。特異的スポットを、実験ウェルの平均スポット数から、培地対照の平均スポット数+2×SDを引いて計算した(van der Burg、2001)。
【0066】
T細胞増殖アッセイ
皮膚生検のT細胞培養物を3日間の増殖アッセイにおける特異的ペプチド及びタンパク質の認識に関して検査した(van der Burg、2001)。簡潔に言うと、自己単球を、PBMCから、37℃においてX−vivo15培地(Cambrex)中で、2時間、平底の96ウェルプレートに接着させることによって単離した。この単球を、APCとして使用し、10μg/mlのペプチド及び20μg/mlのタンパク質を一晩取り込ませた。皮膚検査浸潤リンパ球を、2〜5×10細胞/ウェルの濃度で、10%のAB血清を添加したIMDMに播種した。培地単独を陰性対照として採取し、フィトヘムアグルチニン(0.5μg/ml)は陽性対照として機能した。増殖は、[H]チミジン(5μCi/mmol)の組み込みにより測定した。増殖応答は刺激指数(SI)≧3として具体的に定義した。増殖アッセイの上清を、抗原特異的サイトカイン産生の分析のために、インキュベーションの48時間後に収穫した。
【0067】
HPV16特異的増殖応答に関与するサイトカインの分析
6種のさまざまなTh1及びTh2サイトカイン:IFNγ、腫瘍壊死因子α、インターロイキン2(IL2)、IL4、IL5及びIL10の同時検出を、サイトメトリックビーズアレイ(Becton Dickinson)を使用して、製造業者の指示書に従って実施した。カットオフ値は、さまざまなサイトカインの標準曲線に基づいた(100pg/ml IFNγ及び残存サイトカインに関しては20pg/ml)。抗原特異的サイトカインの産生を、上記のカットオフレベルを超え、及び>2×培地対照濃度のサイトカイン濃度として定義した(de Jong、2004)。
【0068】
細胞内サイトカイン染色(ICS)
陽性皮膚反応部位に由来するT細胞培養物の特異性及び特徴を、先に報告したように(de Jong、2005)ICSにより検査した。簡潔に言うと、皮膚検査浸潤リンパ球を収穫し、洗浄し、IMDM+10%AB血清に懸濁し、2〜5×10細胞を、50μlのペプチド(10μg/ml)又はタンパク質(20μg/ml)で、X vivo培地中で一晩パルスした自己単球に加えた。培地単独を陰性対照として採取し、フィトヘムアグルチニン(0.5μg/ml)は陽性対照として機能した。試料を、FITC標識マウス−抗ヒトIFNγ(0.5g/ml、BD PharMingen)、PE標識マウス−抗ヒトIL5(0.2mg/ml、BD PharMingen)、APC標識−抗CD4(BD Bioscience)及びPerCP−標識−抗CD8(BD Bioscience)で同時染色した。4℃でインキュベーション後、細胞を洗浄し、1%のパラホルムアルデヒドで固定し、フローサイトメトリー(FACSscan、BD Biosciences)により分析した。
【0069】
統計分析
フィッシャーの正確確率検定(両側)を使用して、PBMC中のIFNγ産生HPV特異的T細胞の検出、皮膚検査反応の存在又は皮膚生検中のHPV特異的T細胞の存在の関係、並びに患者と健康な対照との間の、これらのグループ内の皮膚反応の大きさ又は数の違いを分析した。統計分析は、Graphpad Instat Software(バージョン3.0)及びGraphpad Prism4を使用して実施した。
【0070】
結果
HPV16 E2、E6−及びE7のペプチドの皮内注射に対する皮膚反応
本発明者らは、健康な対象及びHPV誘導性疾患を有する患者の双方における、HPV16 E2、−E6及び−E7のペプチドの皮内注射後の皮膚反応を調査した。陽性皮膚反応は、直径2〜20mmの扁平な赤みがかった丘疹として現れ、注射後2〜25日以内に起こった。陽性皮膚反応を、対照グループ中152例の皮膚検査の46例、及び患者グループ中136例の皮膚検査部位のうち30例において検出した。皮膚反応の大きさは、2つのグループ間で差がなかった。全体的に、皮膚検査の各ペプチドプールは、陽性皮膚反応を引き起こすことができた。E231〜75(19例の対象のうち10例)、E637〜104(9/16)及びE743〜98(7/19)に対する最も頻度の高い反応は、対照グループにおいて観察された。この反応パターンは、本発明者らが、PBMCにおいて先に観察したパターン(de Jong、2002;Welters、2003)及び患者グループにおいて観察したパターン(図1)と似ている。
【0071】
皮膚反応が現れるまでの時間は、健康なボランティアのグループと患者との間で大幅に異なる。注射後24から72時間以内に、古典的DTH反応が、わずか3例、2例の患者及び1例の健康な対照において観察された(図1)。患者グループにおける皮膚反応の大部分は、2から20日以内に発症し、1週間後に最大に達する(図1)。特に、HPV16関連疾患の病歴のある患者9例のうち5例は、8日以内に陽性反応を示した。しかし、対照のグループにおいて、皮膚反応の大部分は13〜25日の間に検出された。
【0072】
健康なドナーにおける皮膚反応は、末梢血においてHPV16特異的T細胞の頻度がより高いことと関連がある。
皮膚検査の結果と循環HPV16特異的1型T細胞の存在とを比較するために、IFNγ ELIspotアッセイを、皮内ペプチドチャレンジが行われる前に収集されたPBMCに実施した。健康なボランティア19例のうち5例において、本発明者らは、HPV16特異的免疫応答をIFNγ−ELlspotにより検出できた。健康な個人のチャレンジ前の血液試料において、循環HPV16特異的T細胞/100.000PBMCの検
出が、≧5であることは、同じペプチド配列に対する早期(≦13日)の陽性皮膚反応と関連があった(p=0.0003、両側、フィッシャー正確確率検定、図2)。後期陽性皮膚反応(14から25日)を誘導したペプチドに対する、健康なドナーのチャレンジ前の血液試料において、HPV16特異的循環T細胞は検出されなかった。このことは、循環抗原特異的細胞の頻度が、皮膚反応が現れる遅延時間を決定することを示唆している。
【0073】
皮膚反応の出現が遅れた時間におけるHPV特異的T細胞の頻度を評価するために、11例の健康なボランティアから追加の血液試料を採取した。88例のうちこれら個体39例において、皮膚検査が陽性であった。39例の陽性皮膚反応の25例において、及び49例の陰性皮膚反応の10例において、≧5/100.000PBMCのHPV16特異的T細胞が検出された。この時点において、チャレンジ後の血液試料中の循環HPV特異的IFNγ産生T細胞の検出と、皮膚反応の存在の間に有意な相関が発見された(p<0.0001、フィッシャー正確確率検定;図3A)。このことは、健康なボランティアの血液中のHPV16特異的T細胞の頻度が、HPV16ペプチドの皮内チャレンジの後で有意に高くなったことを示し、ペプチド抗原の皮内注射が、健康なボランティアの血液中のHPV16特異的T細胞の数を増加させることを示唆している。
【0074】
Th1/Th2−CD4+及びCD8+HPV16特異的T細胞の双方からなる陽性皮膚反応部位の生検。
健康なボランティアの陽性皮膚反応のおよそ25%は、血液中のHPV16特異的IFNγ産生T細胞の検出と関係なく、別の、非IFNγ産生型のT細胞が、HPV16ペプチドの皮内注射後に皮膚に浸潤できることを示唆する。
【0075】
陽性皮膚反応部位の細胞を特徴付けるために、パンチ生検を採取した(図3B)。全体で、8例の生検を、7例の健康な対照のさまざまな陽性皮膚反応部位から採取し、抗原刺激なしでT細胞がインビトロ成長できるサイトカインのカクテルと共に培養した。8症例の7例において、T細胞は組織を離脱し3〜4週間以内に増殖する。増殖したT細胞を、それらの特異性に関して、短期増殖アッセイにおいて検査した。図4は、皮膚検査期間にもこの部位に注射された(HD2、HD10、HD15)ペプチドのプールでパルスされた自己単球、並びにHPV16 E6タンパク質でパルスされた単球で刺激されると特異的に増殖したT細胞培養の例を示している(図4AB)。このことは、これらのT細胞が、抗原が自然にプロセッシングされ、提示された後で、それらの同族HLA−ペプチド複合体を認識できたことを示唆している。これらの増殖T細胞培養物の上清の分析により、HPV16特異的T細胞がIFNγ、IL−4及びIL−5を産生する、混合Th1/Th2サイトカインプロフィールが明らかになった(図4C)。
【0076】
HPV特異的T細胞が生検培養物中に検出された症例(8例のうち4例)それぞれにおいて、このことは、チャレンジ後の血液試料中の循環HPV16特異的IFNγ産生T細胞のELIspotによる検出と同時に起こった(図4A及びBを比較されたい)。他の4例の陽性皮膚反応生検の3例(HD2、HD17、HD18)において、T細胞は、HPV16ペプチドに対して応答せず(図4;HD17)、1つの症例において、T細胞は組織から全く離脱しなかった(HD13)。これらの4つの症例において、本発明者らは、チャレンジ後の血液試料中に循環HPV16特異的IFNγ産生T細胞を検出できなかった。
【0077】
生検−T細胞の、CD4及びCD8細胞表面マーカーによる共染色により、HPV16特異的CD4T細胞のみならず、HPV16特異的CD8T細胞もまた、HPV16ペプチドの皮内チャレンジにおいて皮膚部位に浸潤することが示された(図5)。全体として、HPV16特異的T細胞が浸潤した4例の生検のうち3例において、本発明者らは、HPV16特異的CD8T細胞を検出できた。
【0078】
総合すれば、HPV16ペプチドの皮内チャレンジにおいて、皮膚に遊走する免疫細胞の集団は、HPV16特異的CD4Th1−、Th2−及びCD8細胞障害性T細胞を含む。この浸潤は、血液中の循環HPV16特異的IFNγ産生T細胞の出現と並行している。
【0079】
考察
皮膚検査は、細胞性免疫のインビボ測定のための単純なアッセイとしてよく使用される。本発明者らは、早期抗原のE2、E6及びE7に対するインビボHPV16特異的細胞性免疫応答の測定のための皮膚検査アッセイの使用を、結果を、インビトロアッセイにおけるT細胞の反応性の平行測定の結果と比較することによって正当性を立証した。
【0080】
皮膚検査の投与後2〜8日以内に現れた、HPV関連新生物の患者における陽性皮膚反応の大部分は、HopflらによりCIN患者において観察されたことと同様である(Hopfl、2000)。さらに健康なボランティアのグループにおいて、早期皮膚反応は、皮内抗原チャレンジ後4〜12日の間に現れた。インビトロでHPV16特異的1型T細胞応答を表わすことが公知(de Jong、2002;Welters、2003)である、この後者のグループにおいて、早期皮膚反応の出現(13日以内)は、少なくとも1/20.000PBMCの頻度でIFNγ産生HPV16特異的T細胞が検出されることと有意に関連がある(図2、p<0.001)。IFNγ ELIspotアッセイにおける陽性反応に関する同じカットオフ基準が、Jeffriesらによって推奨されており(Jeffries、2006)、Jeffriesは、数学的ツールを使用し、マントー反応との関連においてELISPOTの適切なカットオフを定義した。循環メモリーT細胞の数が少ないことにより(図2)、古典的DTH検査と比較して皮膚反応がいくらか遅く現れることの理由が説明できる。T細胞は、ブースト又は再活性化されることを必要とし、十分な細胞が産生され、局所炎症反応:陽性皮膚検査が引き起こされる前に分裂を始める。実際に、陽性皮膚反応が出現する時に、HPV16特異的Th1応答の頻度が高くなることが、末梢血において検出できる(図3)。
【0081】
健康な個人とは対照的に、患者集団の皮膚反応は、IFNγ ELIspotにより測定した循環HPV16特異的1型T細胞とは関連がなく、IFNγ以外の他のサイトカインを産生するHPV16特異的T細胞が、患者の皮膚検査部位に浸潤していることを示唆した。歴史的に、Th1細胞がDTH応答を誘導することは前提とされているが、現在ではいくつかの研究により、Th2細胞も皮膚検査部位に浸潤することが示されている(Wang、1999;Woodfolk、2001)。同様に、この研究は、健康なボランティアの陽性皮膚検査部位が、Th1及びTh2型のHPV16特異的T細胞の双方を含むことを示している(図4及び5)。さらに、陽性皮膚反応は、腎細胞癌又はメラノーマの患者のワクチン接種の後の特異的免疫応答を分析するために使用した陽性皮膚検査部位の2つの綿密な研究(Bleumer、2007)から明らかなように、非特異的T細胞の流入の結果でもあり得る。さらにこの研究は、健康な対照からの多くの陽性皮膚検査部位が、注射されたHPV16抗原に対して応答しなかったT細胞によって浸潤されていたことを示した。今までのところ、特異的陽性皮膚反応の理由ははっきりしないままである。しかし、これらの結果及び本発明者らのこれまでの研究の見解に基づき、子宮頸癌患者の大部分が、機能的HPV特異的CD4T細胞性免疫を欠いていることを示し(de Jong、2004)、本発明者らは、癌患者の陽性皮膚反応は、循環HPV特異的非Th1細胞又はHPV16に対して非特異的である浸潤T細胞のどちらかの結果であると推測する。
【0082】
予期せぬことに、本発明者らは健康な個人の皮膚反応の大部分が、抗原の皮内注射後2〜3週間で現れることを観察した。一方、これらの後期陽性皮膚反応は、チャレンジ前の
血液中の循環HPV特異的CD4メモリーT細胞の検出と相関しなかった(図2)が、これらの皮膚検査部位の免疫学的構造は、古典的DTH検査のものと同様であり(Platt、1983;Poulter、1982)、HPV16特異的CD4Th1−及びTh2−細胞並びにHPV16特異的CD8T細胞を含む(図4及び5)。本発明者らは、これらの反応がT細胞提示の結果であり得るという仮説を立てる。このことは、2ステップのツベルクリン皮膚検査のプロトコルを受けた患者の29%が、第2の検査期間においてのみ陽性であったことは注目されている。(Akcay、2003)。一般的に、ワクチン誘導性T細胞反応は、ワクチン接種後10から14日でピークに達し、3週間でなくなる。しかし、このようなプロトコルでは、より高い抗原用量が多いほど強いアジュバントを注射することになる懸念がある。したがって、皮内チャレンジにより誘導されるT細胞応答が、より緩慢に発生し、遅い時期にピークに達すると推定することは理にかなっている。健康なボランティアにおける皮内ペプチドチャレンジは、HPV16に特異的なCD4T細胞及びCD8T細胞の双方を誘導するので、単回の低用量ワクチン接種として考えるべきである。
【0083】
このパイロット研究の主要な目的は、1型免疫応答をインビボで検出するためのHPV16特異的皮膚検査の使用の正当性を立証することであった。健康なボランティアにおいて、13日以内の陽性皮膚反応は、実際に、インビトロでIFNγ ELIspotにより検出された循環IFNγ産生メモリーT細胞の存在と相関している。重要な事には、本発明者らはさらに、皮膚検査により得られた結果とELIspotにより得られた結果との相違を観察した。多くの症例において、HPV16特異的循環IFNγ産生T細胞が、チャレンジ後の血液試料中に検出されたが、付随する皮膚反応はなく、逆もまた同様であり(図3A)、このことは、擬陰性又は擬陽性の結果と考えることができる。HPVに対する1型免疫の検出の解釈に対するこの影響を完全に理解するために、本発明者らは、インドネシアにおいて、患者及び健康なボランティアの大きなグループで野外試験を始めた。
表1 患者の特徴
【表1】


皮膚検査実施前の治療期間
FIGOに従った子宮頸癌のステージ
ループ型電気メスによる切除法(Loop electrosurgical excision procedure)

【0084】
(参考文献)




















【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮内投与用である、HPV関連疾患の治療又は予防用薬剤の製造のための、HPV−E2、−E6及び/又は−E7タンパク質に由来するペプチドの使用。
【請求項2】
少なくとも1つのHLAクラスIIエピトープ及び/又は少なくとも1つのHLAクラスIエピトープが、少なくとも1つのHPV−E2、−E6及び/又はE7タンパク質のアミノ酸配列からの連続するアミノ酸配列内に存在する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
連続するアミノ酸配列の長さが、HPV−E2、E6及び/又はE7タンパク質由来の19〜45の連続するアミノ酸残基、好ましくは22〜45、より好ましくは22〜40、より好ましくは22〜35、さらにより好ましくは22、25、28、32又は35の連続するアミノ酸である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
薬剤が、HPV−E2、−E6及び/又は−E7タンパク質に由来する少なくとも2種の異なるペプチドを含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
連続するアミノ酸配列が、HPV−E2、−E6及び−E7タンパク質の少なくとも2種、好ましくはHPV−E2、−E6及び−E7タンパク質の3種すべてのアミノ酸配列に由来する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
薬剤がアジュバントを含まない、請求項1から5までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
薬剤が、請求項1から6までに記載の1種又は複数種のペプチド及び不活性な薬学的に許容可能な担体からなる、請求項1から6までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
薬剤が、請求項1から5までに記載のペプチド及び少なくとも1種のアジュバントを含み、前記アジュバントは水中油に基づく乳剤に処方されておらず、及び/又は水中油型乳剤ではない、請求項1から5までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
薬剤が、モノホスホリル脂質A及び/又はCpG核酸などのTLR(3、4、7、8、9)リガンド、及び/又はCD40リガンドなどのAPC共刺激性分子、アゴニスト抗体又はそれらの機能的断片及び誘導体、及び/又はGM−CSFを含む、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
HPV関連疾患が、HPV感染、HPV関連悪性腫瘍、CIN、VIN、AIN、VAIN、PIN、子宮頸癌、外陰癌、肛門癌、頭部及び頸部の癌又は陰茎癌から選択される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
薬剤が、病変部位に直接皮内投与される、請求項1から10までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
更にHPV−E2、−E6及び/又は−E7タンパク質に由来するペプチドが、皮下投与用であるHPV関連疾患の治療又は予防用薬剤の製造のために使用される、請求項1から11までのいずれか一項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−530362(P2010−530362A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510239(P2010−510239)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050315
【国際公開番号】WO2009/002159
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509329730)
【Fターム(参考)】