説明

皮膚デリバリーデバイス中の活性成分の非意図的使用を減少させるシステムおよび方法

本発明は、使用済み皮膚用パッチおよびピール中に存在する残留活性成分などの活性成分の非意図的使用を減少させるシステムおよび方法に関する。該システムは、活性成分を包含する皮膚用パッチおよび該活性成分と化学的に反応するように配置された破壊剤を包含することができる。該破壊剤は、容器または吸収体中に存在することができる。一つの態様において、該吸収体は、容器内で用いることができる。該容器は、皮膚用パッチを収容して、該容器内で活性成分が破壊剤に接触するように配置することができる。該吸収体は、皮膚用パッチに接触して、活性成分が該吸収体の破壊剤に接触するように配置することができる。更に、皮膚用パッチまたはピール中に存在するものなどの活性成分の非意図的使用を妨げるシステムおよび方法も提供する。該システムは、活性成分を皮膚または粘膜表面に送達するように配置された第一面を有する皮膚用パッチを包含し、ここにおいて、該第一面は、皮膚用接着剤を更に包含する。該システムは、更に、接着剤被覆デバイスを包含する。該デバイスの接着剤被覆表面は、該第一面に接着するように配置することができるが、この場合、皮膚用パッチの使用後、接着剤被覆表面と該第一面との接触時に、残留活性成分を実質的に利用不能にする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、使用後の経皮性パッチを含めた皮膚用パッチまたはピールの処理に関する。より詳しくは、本発明は、意図した使用後に、皮膚用パッチまたはピール中に典型的に残っている残留薬物物質の破壊または非意図的使用の妨げに関する。
【0002】
発明の背景
皮膚の局所的処置、組織の局部的処置、または循環系による全身的処置のための皮膚用パッチは、多くの目的に用いられてきた。用いることができる皮膚用パッチの一つのタイプは、局所的または局部的な組織処置用である。もう一つのタイプは、全身的取込みのための、真皮を介する活性剤の移動を容易にする経皮性パッチである。概して、経皮性パッチを含めた皮膚用パッチは、皮膚接着用に製造することができるし、または粘膜組織接着用に製造することができる。現在市場で用いられている二つの一般的なタイプのパッチには、レザバー(reservoir)パッチおよびマトリックスパッチが含まれる。更に、皮膚用ピールも、薬物を送達するのに用いられる。
【0003】
経皮性製品は、いろいろな組織特異的なまたは全身的な疾患または状態についてのドラッグデリバリーおよび処置の重要な部分となってきた。現在、経皮性パッチとして利用可能な一握りの活性成分または薬物が存在するが、新製品が絶えず開発されている。経皮投与される薬物およびそれらの関連処置の例には、乗物酔いの処置用のスコポラミン;冠状動脈性心疾患による胸痛または不快感の処置用のニトログリセリンまたはイソソルビドジニトレート;更年期症状の軽減および産児制限のためのエストラジオールおよび/または他のホルモン類;高血圧の処置用のクロニジン;慢性疼痛の処置用のフェンタニール;禁煙のためのニコチン;およびホルモン補充療法のためのエストラジオール/酢酸ノルエチステロンまたはテストステロンが含まれる。他のパッチは、産児制限のような適応用に製造されてきた。
【0004】
現在、残留薬物を包含する使用済みまたは使用済み皮膚用パッチは、典型的に、捨てられて廃物となるまたは下水システム中に水で流される。これら廃棄方法は、薬物乱用、非意図的使用および環境危険の可能性を含めた深刻な問題をもたらしている。例えば、使用後の残留薬物を包含する経皮性フェンタニールパッチは、違法な使用または再販のためにその残留薬物を抽出したい者が、廃物から容易に入手することがありうる。使用済み皮膚用パッチは、合法の医学的目的に皮膚用パッチを使用している患者と一緒に生活している幼い子供が入手することもありうる。不注意な廃棄は、使用済み皮膚用パッチを子供が噛むまたは飲み込むことになりうるし、したがって、子供を深刻な危険にさらすことがありうる。他の活性成分は、埋立ごみまたは下水システムによって、結果的にそれらが地下水系に入るならば、環境を汚染するかもしれない。例えば、きわめて多数の廃棄済み皮膚用パッチ中のエストロゲンは、人間および動物が利用する水系に入るかもしれないということが懸念される。
【0005】
この問題を認識して、非意図的使用および/または環境被害、例えば、偶発的摂取、地下水の汚染、廃棄済みパッチから一つまたは複数の残留薬物を常習者が抽出すること等を免れるために、経皮性パッチを含めた皮膚用パッチまたはピールの適切な廃棄のためのシステムおよび方法を提供することが望まれると考えられる。
【0006】
発明の要旨
使用済み皮膚用パッチまたはピール中に存在したまま残っている少なくとも一つの残留活性成分または薬物を処理する、または無効にする、利用不能にする、または破壊された状態にするシステムおよび方法を開発することは、好都合であろうということが認識された。それ自体で、活性成分の非意図的使用を減少させるシステムは、活性成分を包含する皮膚用パッチまたはピール;活性成分と化学的に反応性である破壊剤;および破壊剤を支持するデバイスを含むことができる。そのデバイスは、皮膚用パッチまたはピールを収容し且つ活性成分を破壊剤に接触させるように配置することができる。
【0007】
別の態様において、活性成分の非意図的使用を減少させるシステムは、活性成分を包含する皮膚用パッチまたはピール;活性成分と化学的に反応性である破壊剤;および破壊剤を中に含浸させた状態で有する吸収体を含むことができる。その吸収体は、更に、皮膚用パッチまたはピールに接触し且つ活性成分を破壊剤に接触させるように配置することができる。
【0008】
或いは、皮膚用ドラッグデリバリーデバイス中の活性成分を破壊する方法は、皮膚用パッチまたはピールの活性成分と化学的に反応性である破壊剤を選択し;そして破壊剤を活性成分と接触させ、それによって、活性成分を失活させる工程を含むことができる。
【0009】
別の態様において、活性成分の非意図的使用を妨げるシステムは、活性成分を皮膚または粘膜表面に送達するように配置された第一面を包含する皮膚用パッチ、およびにかわ被覆表面(glue-coated surface)を包含するデバイスを含むことができる。皮膚用パッチの第一面は、皮膚用接着剤を更に包含することができ、そしてデバイスのにかわ被覆表面は、その第一面に接着するように配置することができる。したがって、にかわ被覆表面と第一面との接触時に、残留活性成分を、実質的に利用不能にすることができる。
【0010】
また別の態様において、活性成分の非意図的使用を妨げる方法は、活性成分を皮膚または粘膜表面に送達するように配置された第一面を包含する皮膚用パッチを入手し、そして使用済み皮膚用パッチの第一面をデバイスのにかわ被覆表面に接着させ、それによって、残留活性成分を実質的に利用不能にする工程を含むことができる。一つの態様において、皮膚用パッチの第一面は、皮膚用接着剤を包含する。
【0011】
別の態様において、活性成分の非意図的使用を妨げるシステムは、活性成分を皮膚または粘膜表面に送達するように配置された皮膚用パッチまたはピール;および活性成分を、非意図的使用に実質的に利用不能にするように、皮膚用パッチまたはピールを中に包むようにまたは密封するように配置されたデバイスを含むことができる。
【0012】
関連態様において、残留活性成分の非意図的使用を妨げる方法は、活性成分を皮膚または粘膜表面に送達するように配置された皮膚用パッチまたはピールを入手し;そして皮膚用パッチまたはピールをデバイス内に密封し、それによって、活性成分を、非意図的使用に実質的に利用不能にする工程を含むことができる。
【0013】
本発明の追加の特徴および利点は、次の、本発明の特徴を実施例によって詳しく説明している詳細な説明から明らかであろう。
複数の好ましい態様の詳細な説明
本発明の具体的な態様を開示し且つ記載する前に、本発明は、ある程度まで異なることがありうるように、本明細書中に開示された具体的な方法および材料に制限されるわけではないということが理解されるはずである。更に、本発明の範囲は、請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定義されるので、本明細書中に用いられる専門用語は、具体的な態様を記載する目的のみに用いられ、制限するためのものではないということが理解されるはずである。
【0014】
本発明を記載するおよび請求の範囲に記載する場合、次の専門用語が用いられるであろう。
「ある("a", "an")」および「その("the")」という単数形は、それ以外に明記されていないならば、複数の意味を包含する。したがって、例えば、「活性成分」の意味は、一つまたはそれを超えるこのような活性成分の意味を包含する。
【0015】
本明細書中に用いられる「薬物」および「活性成分」という用語は、同じ意味に用いられることがありうるし、患者に局所的か、限局的かまたは全身的に送達されるように配置されている皮膚用パッチまたはピール中に存在する物質を意味する。この物質は、しばしば、本発明の態様にしたがって変性する、破壊されるまたは密封されることが望まれるものである。
【0016】
「皮膚用」および「皮膚デリバリー」という用語は、マトリックスパッチ、レザバーパッチまたは皮膚用ピールでのような、皮膚または粘膜表面に、その中にまたはそれを介して送達される活性成分、例えば、薬物の投与経路を意味する。したがって、外傷または熱傷への抗生物質または軟膏剤などの局所用活性成分の適用、または経皮デリバリーのための皮膚中へのまたは皮膚を介する薬物の適用は、「皮膚デリバリー」という用語に包含される。
【0017】
「経皮性」および「経皮デリバリー」は、マトリックスパッチ、レザバーパッチまたは皮膚用ピールでのような、活性成分または薬物の皮膚適用を意味し、その薬物は、限局組織または全身の投与用に、皮膚または粘膜表面中にまたはそれを介して移動することができる。経皮投与を促進するいろいろな方法には、一つまたは複数の化学的透過促進剤の使用、熱の使用、電界の使用等が含まれる。
【0018】
「皮膚用パッチ」、「皮膚用ドラッグパッチ」、「皮膚用ドラッグデリバリーデバイス」等という用語は、皮膚の表面上に、皮膚中に、および/または局部組織または全身循環中へと皮膚を越えて薬物を送達するドラッグデリバリーシステムを意味する。用いられる活性成分または薬物は、局所的、局部的および/または全身的に標的指向させることができる。
【0019】
「レザバーパッチ」という用語は、典型的に、薬物の溶液、ゲルまたは懸濁液をパッチ内またはパッチ上に含有するコンパートメントを包含する。レザバーパッチの一つのタイプにおいて、薬物のレザバーは、半透過性膜および皮膚用接着剤によって剥離ライナーから隔てられうるが、この場合、皮膚用接着剤は、皮膚または粘膜表面にパッチを接着するのに用いられる。
【0020】
「マトリックスパッチ」という用語は、典型的に、薬物の溶液または懸濁液をパッチ内またはパッチ上に含有するゲル様、半固体または固体のポリマーマトリックスを包含する。その薬物は、典型的に、剥離ライナーと直接接触している。典型的に、皮膚用接着剤も存在して、皮膚または粘膜表面にパッチを接着する。一つの態様において、薬物は、皮膚用接着剤と密接に混合されていることがありうる。
【0021】
「皮膚用ピール」または「ピール」という用語は、ゲルまたはクリームのような、皮膚または粘膜に薄層として適用されうる半固体配合物を意味し、それは、揮発性溶媒のような少なくとも一つの溶媒が蒸発した後に、凝固した、柔軟性のおよび可剥性の層となる。凝固は、液体からの若干の溶媒の蒸発または乾燥の結果として生じることができる。使用後、ピールは、その名前が示唆するように、ピーリング法によって除去することができる。皮膚用パッチの場合と同様、しばしば、ピールは、残留量の活性成分または薬物を含有するであろうが、それは、計画的乱用または非計画的誤用を許すことがありうる。例えば、ピールが適切に廃棄されない場合、子供がその使用済み皮膚用ピールを入手して、それを口に入れるかもしれない。
【0022】
「透過促進剤」という用語は、パッチ中に存在する薬物と一緒に用いられて、薬物が皮膚または粘膜表面中にまたはそれを越えて透過する速度を増加させることができる化学薬剤を意味する。
【0023】
「破壊剤」という用語は、皮膚用パッチ中の薬物を化学的にまたは物理的に破壊することができる一つまたは複数の化学薬剤または物理的物質を意味する。破壊的化学薬品、光および/または熱は、用いることができる破壊剤の例である。化学的破壊剤を論じる場合、しばしば、破壊剤に関して有益な性状を与えることができる溶媒が、破壊剤と一緒に存在する。
【0024】
「破壊的溶液」、「破壊剤含有溶液」および「破壊剤溶液」という用語は、溶媒および破壊剤を含む溶液を意味する。典型的に、破壊剤は、飽和溶液を用いることもできるが、溶媒によって十分に可溶化している。
【0025】
「実質的に利用不能」という用語は、非意図的使用を抑止するまたは防止するために、または廃棄に妥当な環境保護を製剤に提供するために、接着剤被覆デバイスを用いて、使用済み皮膚用パッチに接着している(使用済み皮膚用パッチまたはピールを包んでいる)態様を記載するのに用いられる。実質的に利用不能とは、若干の器具、例えば、シリンジ、切断装置等が、この抑止作用を覆すのに用いられることがありうるので、活性成分が完全に利用不能であろうということを示してはいない。したがって、「実質的に利用不能」により、意味することは、引裂き、ピーリング、剪断、スクリュー、捩り等のような手段により、活性成分が一層利用困難であろうということである。
【0026】
「残留」という用語は、活性成分を論じる場合、使用後の皮膚用パッチまたはピール内に残っているかもしれない一定量の薬物または活性成分を意味する。例えば、経皮性パッチまたはピールを用いて皮膚を介して薬物を通過させることは、時々困難であるので、意図した薬物投与期間の間中、十分な透過推進力を維持するために、過剰の薬物をパッチマトリックス、レザバーまたはピール中に包含させる。設計により、過剰の薬物自体は、皮膚用パッチまたはピール中に包含させることができるが、それは、意図した量の時間用いられた後でも残っているであろう。したがって、本発明の目的について、残留という用語は、微量の活性成分だけが残っていることを示す意味ではない。しばしば、比較的多量の活性成分が、使用後の皮膚用パッチまたはピール中に残っているが、それら量は、本発明によって「残留」と考えられるであろう。
【0027】
「非意図的使用」という用語は、製品設計と無関係の使用または出来事を意味する。例えば、偶発的摂取、地下水の汚染、および違法な薬物使用のための廃棄済みパッチまたはピールから残留薬物の計画的抽出も、全て非意図的使用と考えられる。
【0028】
「使用済み」という用語は、皮膚用パッチまたはピールを論じる場合、全活性成分が除去されたことを意味してはいない。それは、単に、パッチまたはピールが、少なくとも少量の時間用いられていて、そして一つまたは別の理由で、除去されるまたは廃棄される状態にあるということを意味する。残留活性成分は、典型的に、使用済み皮膚用パッチまたはピール中に残っている。
【0029】
「接着剤」という用語は、いくつかの状況で用いることができる。「皮膚用接着剤」は、皮膚用パッチを皮膚または粘膜表面に接着するために皮膚用パッチ上に存在する接着剤を意味する。逆に、「接着剤被覆表面」、「接着剤被覆デバイス」および「接着剤被覆不透過性デバイス」等という用語は、皮膚接着には用いられないが、むしろ、パッチの非意図的使用を阻止するように、デバイスが使用済み皮膚用パッチに接着している態様において用いられる支持体上に存在する接着剤を意味する。皮膚用ピールも、それらが適用される皮膚または粘膜表面に関して接着剤であることが知られている。
【0030】
これら定義によれば、活性成分の非意図的使用を減少させるシステムは、活性成分を包含する皮膚用パッチまたはピール;活性成分と化学的に反応性である破壊剤;および破壊剤を支持するデバイスを含むことができる。そのデバイスは、皮膚用パッチまたはピールを収容し且つ活性成分を破壊剤に接触させるように配置することができる。一つの態様において、デバイスは、破壊剤を含有する容器でありうるし、そして更に、皮膚用パッチまたはピールを収容して、その容器内で活性成分が破壊剤に接触するように配置することができる。
【0031】
別の態様において、活性成分の非意図的使用を減少させるシステムは、活性成分を包含する皮膚用パッチまたはピール;活性成分と化学的に反応性である破壊剤;および破壊剤を中に含浸させた状態で有する吸収体を含むことができる。その吸収体は、更に、皮膚用パッチまたはピールに接触し且つ活性成分を破壊剤に接触させるように配置することができる。このような吸収体は、ガーゼパッド、スポンジまたはスポンジ様材料等でありうる。この態様において、例えば、吸収体は、破壊剤または破壊剤含有溶液を含浸することができる。用いられる皮膚用パッチまたはピールは、皮膚用パッチまたはピールの活性成分放出面が吸収体と接触するように、したがって、破壊剤と接触した状態になりうるように、吸収体上に置くことができる。一定量の時間後、皮膚用パッチまたはピール中の活性薬物の全部ではないとしても大部分が破壊されうる。一つの態様において、破壊的溶液を含浸した吸収体は、存在するいずれかの溶媒の溢流(spillage)および可能性のある蒸発を防止するために、密封容器中に貯蔵することができる。その同じ容器は、吸収体と皮膚用パッチまたはピールとの間の接触を容易にするのに用いることができる。
【0032】
別の態様において、皮膚用ドラッグデリバリーデバイス中の活性成分を破壊する方法は、皮膚用パッチまたはピールの活性成分と化学的に反応性である破壊剤を選択し;そしてその破壊剤を活性成分と接触させ、それによって、活性成分を失活させる工程を含むことができる。典型的に、用いられる皮膚用パッチまたはピールは、使用済み皮膚用パッチまたはピールであろう。
【0033】
上のシステムおよび方法において、活性成分は、局所にまたは経皮で適用されるべき組成物でありうる。しかしながら、本発明は、具体的には、適切に用いられないまたは廃棄されない場合に有害でありうる活性成分、例えば、フェンタニールなどの鎮痛薬、ベンゾジアゼピンなどの鎮静薬、ホルモンおよびバルビツレート(barbiturates)を破壊するのに適応される。皮膚用パッチまたはピール中のこれらおよび他の活性成分を無害にするのに用いることができる破壊剤の例には、次亜塩素酸塩、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸、過マンガン酸塩および他の酸化剤が含まれる。
【0034】
一つの態様において、破壊剤は、溶媒中に実質的に溶解して、破壊剤含有溶媒を形成することができる。この態様は、いくつかの利点の一つを提供することができる。例えば、破壊剤を溶媒中に十分に溶解させることにより、その破壊剤は、皮膚用パッチまたはピール中に拡散し、そして皮膚用パッチまたはピールの活性成分に接触することができる。或いは、溶媒を、溶媒/破壊剤組合せが、皮膚用パッチまたはピールから活性成分を抽出するように配置することもでき、それによって接触を増加させる。
【0035】
プレス嵌めリッド(press fit lid)、ねじぶた(screw cap)またはプラグ(plug)などの再封可能なリッドを有する箱形容器または円筒形容器のような容器を用いることができる。更に、一つの態様において、容器は、その中に吸収体を有することができ、それは、破壊剤を吸収するようにまたはそれ以外には破壊剤が含浸するように配置されている。例えば、破壊剤または破壊剤溶液組成物は、増粘剤によってまたはゲルによっても保持されうる。このような増粘剤は、溢流が少なくなりうるように、破壊剤または破壊剤溶液の粘度を増加させるのに用いることができる。或いは、破壊剤または破壊剤溶液は、スポンジまたはスポンジ様材料などの吸収体材料で保持されうる。容器が用いられる場合、増粘剤または吸収体は、破壊剤と一緒にその容器内でありうる。しかしながら、吸収体が、構造的に自立可能である、例えば、スポンジまたはガーゼパッドである場合、容器を使用する必要はない。
【0036】
皮膚デリバリーシステム中のある種の薬物を許容しうる時間内に破壊することは、望ましいと言える。許容しうる時間は、意図した目的、更には、破壊される薬物を考慮することによって決定することができる。例えば、フェンタニール経皮デリバリーパッチ中のフェンタニールを破壊する一つの理由は、薬物乱用を防止することである。患者は、使用済みフェンタニールパッチが入った厨芥容器を、フェンタニールパッチを廃棄後数時間以内に収集のために外に持ち出すかもしれないので、数時間以内にまたは数分以内にでも、フェンタニールを破壊することができる装置を有することが望まれると考えられる。同じことは、他の鎮痛薬、ベンゾジアゼピンなどの鎮静薬、バルビツレート等のような乱用の可能性がある他の薬物に当てはまる。もう一方で、エストラジオール経皮デリバリーパッチ中のエストラジオールを破壊する主な理由は、エストラジオールが地下水系に入るのを防止することである。密閉破壊容器は、埋立ごみ中に何ヶ月間も存在し続けることがありうると考えられるので、数日または数週間以内のエストラジオールの破壊は、許容しうると考えられる。本発明の多くの態様において、破壊剤は、活性成分の少なくとも80%を2時間未満で破壊するように濃縮され且つ配置されうる。一つの態様において、活性成分がフェンタニールである場合、破壊剤は、フェンタニールの少なくとも80%を1〜2分未満で破壊するように濃縮され且つ配置されうる。
【0037】
本発明は、主に、薬物などの皮膚用パッチまたはピール中の活性成分の破壊に関するが、しばしば、他の成分も存在し、他のものまたは環境に危険でありうる。例えば、活性成分が皮膚または他の配合賦形剤に入るまたはそれを通過することを容易にする透過促進剤も存在しうる。本発明の態様により、皮膚用パッチまたはピール中に存在しうるこれら二次的化学薬品は、代わりにまたは更に、破壊することができる。
【0038】
一つまたは複数の破壊剤の選択は、破壊される具体的な薬物に依存する。例えば、フェンタニールは、次亜塩素酸ナトリウムの溶液を用いることによって容易に破壊することができる。フェンタニールは、過マンガン酸カリウムによっても、典型的に、より遅い速度であるが、破壊することができる。エストラジオールも、次亜塩素酸ナトリウムを用いて破壊することができる。特定の理論によって拘束されることなく、これら二つの薬剤を伴う破壊の機構は、おそらくは酸化であると考えられる。
【0039】
他の破壊剤を用いることもできる。例えば、光;熱;過酸化物;水素化アルミニウムリチウム;微量金属、例えば、鉄、コバルト、マグネシウム等;酸、例えば、濃厚溶液または水溶液;塩基、例えば、濃厚溶液または水溶液;および/または金属ナトリウムまたはカリウム。光および熱は、化学薬剤ではないが、それらは、本発明の態様により、破壊剤と考えることもできる。
【0040】
破壊剤機能のいくつか具体的な例を提供するために、多数の破壊的スキームを提供する。詳しく説明すると、露光時の有機分子は、有機分子中で見出されるいずれの単結合も解離させるのに十分であるエネルギーを吸収することができる。これら単結合の破断は、フリーラジカルを生じることがあり、それは、自動酸化生成物を生じるであろう。金属イオンは、システム中の支持体との直接反応によって自動酸化反応を開始することもありうる。その反応は、金属イオンと有機化合物との間に電子移動を伴うことがありうる。水素化アルミニウムリチウム反応は、求電子性原子(通常は、カルボニル基の炭素原子)への金属水素化物の攻撃を伴って、カルボニル基の還元を引き起こすことがありうる。酸および塩基は、加水分解反応を触媒する助けとなりうるので、それらを用いることができる。酸および塩基の触媒作用は、反応を可能にするために、適当な官能基のプロトン付加または脱プロトンの助けとなりうる。反応速度は、温度の上昇によってモジュレーションする(加速するまたは減速する)ことができる。HBrおよびHIなどの強酸は、熱と組み合わせて、エーテルの開裂に用いることができる。これら酸は、エーテル中の酸素原子にプロトン付加して良好な脱離基を生じるのに十分な強さである。ハロゲンイオンも良好な求核試薬であり、それを用いて、プロトン付加されたエーテルとの反応を促進することができる。更に、皮膚用パッチまたはピールの活性成分と金属ナトリウムまたはカリウムとの反応は、酸化・還元反応を引き起こすが、この場合、金属は酸化され、そして薬物分子の水素原子は還元される。得られた薬物陰イオンは、良好な求核試薬でありうるが、次に、それを別の試薬と反応させて、治療的に不活性な分子を生じることができる。温度の上昇は、反応物分子の運動エネルギーを増加させて、反応が進行するのに必要な自由エネルギーを有する分子数の部分を増加させることができる。
【0041】
活性成分または薬物を破壊するためには、薬物を破壊的溶液中に入れることができるし、または破壊剤(または溶液)を、皮膚用パッチまたはピール内の薬物配合物中に入れることができるし、または双方の組合せがありうる。破壊剤を薬物配合物中に送達する一つの方法は、破壊剤が皮膚用パッチまたはピール内の薬物配合物中に拡散しうるように、薬物配合物を破壊的溶液と接触させることである。この目的のために、破壊剤の溶液は、皮膚用パッチまたはピール中に存在する薬物配合物中への十分な拡散推進力を有するように配置することができる。「十分な拡散推進力」とは、薬物の大部分または全部を許容しうる時間内に破壊するために、皮膚用パッチまたはピール内の薬物配合物中に十分な量の破壊剤を推進させる十分に高い拡散推進力として定義することができる。例えば、破壊剤のための溶媒系は、破壊剤のその溶液中への溶解度が、薬物配合物中への溶解度より低いように製造されることが望ましいことがありうる。したがって、破壊剤は、薬物配合物中に好都合に分配することができる。それ以外には、破壊剤のその溶液への溶解度が、薬物配合物中への溶解度よりはるかに高い場合、破壊剤は、薬物配合物中に行くよりもむしろ、溶液中に止まる傾向がありうる。この後者の配列での破壊は、長期の時間を要することがありうるが、それは、薬物乱用の防止が望まれる状況に望ましくないことがありうる。このことがあっても、より遅い破壊は、やはり本発明の範囲内であると見なされる。もう一方において、破壊的溶液は、溶媒中への破壊剤の妥当な溶解度を有するように配置することができる。それ自体で、本発明の一つの側面は、破壊剤を含む溶液と、その破壊剤の溶解度が、薬物配合物中への有効な破壊剤透過のために十分に低いが、薬物の納得のいく破壊に十分な量の破壊剤を可溶化するために十分に高いように設計された溶液に関する。
【0042】
前に述べたように、薬物の破壊は、薬物が、薬物配合物から、そして破壊的溶液中へと抽出される場合に起こることもありうる。概して、これは、薬物が、破壊的溶液中への高い溶解度を有し、結果として、破壊的溶液に接触するのに有利に皮膚用パッチまたはピールから離れる傾向がある場合に達成されうる。再度、これは、破壊的溶液の性状を操作することによって行うことができる。例えば、破壊される薬物が塩基である場合、破壊的溶液は、概して、酸性であるように製造されうる。これは、塩基性薬物は、通常、酸性溶液中への溶解度が一層高く、したがって、配合物を離れ且つ破壊的溶液に入る傾向が一層高いという理由のためである。本発明の別の側面は、破壊剤を含む溶液に関し、そして更に、その溶液は、破壊される薬物の溶解度が、薬物を配合物から効率よく抽出するのに十分に高いように配置される。実際的装置が、上の二つの機構の組合せを用いることによって薬物を破壊するように配置されることも可能である。
【0043】
薬物は、必ずしも破壊されないが、実質的に利用不能にされる態様に関して、皮膚用ドラッグデリバリーデバイス中に存在しうる残留活性成分の非意図的使用を妨げるシステムおよび方法を提供する。一つの態様において、このようなシステムは、活性成分を皮膚または粘膜表面に送達するように配置された第一面を包含する皮膚用パッチ、およびにかわ被覆表面を包含するデバイスを含むことができる。皮膚用パッチの第一面は、更に、皮膚用接着剤を包含することができ、そしてデバイスのにかわ被覆表面は、その第一面に接着するように配置することができる。したがって、にかわ被覆表面と第一面との接触時に、残留活性成分は、実質的に利用不能にすることができる。典型的に、デバイスの支持体は、薬物に不透過性でありうる。
【0044】
別の態様において、皮膚用ドラッグデリバリーデバイス中に存在する残留活性成分の非意図的使用を妨げる方法は、活性成分を皮膚または粘膜表面に送達するように配置された第一面を包含する皮膚用パッチを入手し、そして使用済み皮膚用パッチの第一面をデバイスのにかわ被覆表面に接着させ、それによって、残留活性成分を実質的に利用不能にする工程を含むことができる。一つの態様において、皮膚用パッチの第一面は、皮膚用接着剤を包含する。典型的に、使用済み皮膚用パッチは、使用後の残留活性成分を包含することがありうる。
【0045】
上に挙げた活性成分の非意図的使用を妨げることに関するシステムおよび方法の双方において、デバイスまたは支持体の接着剤被覆表面は、皮膚用接着剤と結合して、皮膚用パッチとデバイスとの間の結合強度の増加を実現するように配置することができる。言い換えると、必要ではないが、皮膚用接着剤およびデバイスの接着剤被覆表面は、相乗的に働いて、結合強度を改善することができる。更に、一つの態様において、接着剤被覆デバイスは、更に、活性成分に接触するように配置されている破壊剤を包含することができる。破壊剤が、デバイスの接着剤被覆表面と一緒に存在しない場合、それは、層中に存在しうるが、この場合、破壊剤または活性成分は、接着剤被覆層を介して通過することが可能であり、結果として、破壊剤および活性成分は接触した状態になる。また別の態様において、デバイスは、活性成分に実質的に不透過性でありうる。
【0046】
関連態様において、皮膚用パッチまたはピール中に存在する残留活性成分の非意図的使用を妨げるシステムは、活性成分を皮膚または粘膜表面に送達するように配置された皮膚用パッチまたはピール;および活性成分を、非意図的使用に実質的に利用不能にするように、皮膚用パッチまたはピールを中に包むようにまたは密封するように配置されたデバイスを含むことができる。更に、皮膚用パッチまたはピール中に存在する残留活性成分の非意図的使用を妨げる方法は、活性成分を皮膚または粘膜表面に送達するように配置された皮膚用パッチまたはピールを入手し;そして皮膚用パッチまたはピールをデバイス内に密封し、それによって、活性成分を、非意図的使用に実質的に利用不能にする工程を含むことができる。
【0047】
皮膚用ピールおよびパッチ双方に応用可能であるが、皮膚用ピールには裏地がないので、活性成分は、ピールの両面から利用可能でありうる。したがって、皮膚用ピールは、具体的には、ピールを包囲するまたは封入することができるデバイスから利益を得ると考えられる。このような封入または包囲は、例えば、ピールが、巻かれたデバイス内に密封状態になるように、皮膚用ピールの上に巻かれているにかわ被覆デバイスの使用によって行うことができる。或いは、本開示を考察後、当業者に知られると考えられるように、にかわ被覆表面を各々有する二つのデバイスを用いて、皮膚用ピールをその中に挟み且つ密封することができる。
【実施例】
【0048】
次の実施例は、現在最も良く知られている本発明の態様を詳しく説明する。しかしながら、次が、本発明の原理の応用を単に代表するものまたは例示するものであるということは理解されるはずである。多数の修飾および代替組成物、方法およびシステムは、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者が考えることができる。
【0049】
実施例1−次亜塩素酸ナトリウム溶液中のフェンタニール破壊
約3mgのフェンタニールおよび2.8mgのクエン酸を、5mLの水中に溶解させる。フェンタニールが溶液中に溶解後、その水溶液に、5mLの次亜塩素酸ナトリウム濃厚溶液(<0.2wt%水酸化ナトリウム;6〜9wt%次亜塩素酸ナトリウム)を加える。次に、その水溶液を、150rpmで設定されたオービタルシェーカー上に置く。所定の時点に、溶液のアリコートを取り出し、そして各々の時間間隔において残っているフェンタニールの量を、下の表1に示されるように、HPLCを用いて決定する。
【0050】
【表1】

【0051】
上の表1に示されるように、本実施例によって調製された次亜塩素酸塩溶液中に入れられた場合、90%を超えるフェンタニールが、4時間以内に分解する。
実施例2−アセトニトリル/次亜塩素酸ナトリウム溶液中のエストラジオール破壊
約2mgのエストラジオールを、2.5mLのアセトニトリル中に溶解させる。この溶液に、7.5mLの次亜塩素酸ナトリウム濃厚溶液(<0.2wt%水酸化ナトリウム;6〜9wt%次亜塩素酸ナトリウム)を加える。次に、その水溶液を、150rpmで設定されたオービタルシェーカー上に置く。所定の時点に、アリコートを取り出し、そしてエストラジオールの量を、HPLCを用いて決定する。最も早い時点(約5秒)に、エストラジオールは、実質的に、ないしは完全に破壊されているということが示される。
【0052】
実施例3−次亜塩素酸ナトリウム溶液中のクロナゼパム破壊
約1mgのクロナゼパムを、0.5mLのアセトニトリル中に溶解させる。この溶液に、3mLの次亜塩素酸ナトリウム濃厚溶液(<0.2wt%水酸化ナトリウム;6〜9wt%次亜塩素酸ナトリウム)を加える。次亜塩素酸ナトリウム溶液の添加時に、直ちに、溶液は暗黄色になり、そして9〜18分後、溶液は徐々に一層明るい黄色になる。次に、その水溶液を、150rpmで設定されたオービタルシェーカー上に置く。所定の時点に、アリコートを取り出し、そしてクロナゼパムの量を、下の表2に示されるように、HPLCを用いて決定する。
【0053】
【表2】

【0054】
上の表2に示されるように、本実施例によって調製された次亜塩素酸塩溶液中に入れられた場合、90%を超えるフェンタニールが、9分以内に分解する。
実施例4−過マンガン酸カリウムによるフェンタニール破壊
2.17mg量のフェンタニールおよび2.8mgのクエン酸を、10mLの水中に溶解させる。次に、17mgの過マンガン酸カリウムを、その水溶液に加える。水溶液を、150rpmで設定されたオービタルシェーカー上に置く。所定の時点に、アリコートを取り出し、そして残っているフェンタニールの量を、HPLCを用いて決定するが、結果は、下の表3に示されている。
【0055】
【表3】

【0056】
上の表3に示されるように、90%を超えるフェンタニールが、40分以内に分解する。いったん薬剤が溶液中に入ると、分解速度は一層速く進行する。
実施例5−スポンジを用いた次亜塩素酸ナトリウム溶液中のフェンタニール破壊
約10x15x0.3cmの内寸を有する再封可能な平箱に、箱の内寸に実質的に適合する外寸を有するスポンジ材料を装着する。平箱は、その10x15cmの表面の一つに沿ったプレス嵌めリッドを有し、それは、箱とリッドとの間の界面に長方形ゴム環があることによって、閉じる且つ実質的に密封することができる。約35mLの水中6〜9wt%次亜塩素酸ナトリウム溶液を、スポンジ材料中に含浸させる。スポンジ材料中に次亜塩素酸ナトリウム溶液を吸収後、経皮性フェンタニールパッチの薬物放出面を、次亜塩素酸ナトリウム溶液で飽和したスポンジ材料と接触した状態で入れる。次に、リッドを閉じる。本実施例の場合、パッチ中のフェンタニールの大部分が、1時間以内に破壊される。パッチは、悪影響を伴うことなく、箱内に長時間にわたって、例えば、破壊されたフェンタニールパッチを別の使用済みフェンタニールパッチと交換するために箱が開けられるまで、残っていることができる。3日後、パッチを箱から取り出し、別のパッチと交換する。同様に、約1時間後、パッチ中のフェンタニールの大部分が、更に破壊される。
【0057】
実施例6−平箱内の次亜塩素酸ナトリウム溶液中のフェンタニール破壊
約10x15x0.3cmの内寸、および10x0.3cmの面の一つ(上面)にあるスリット開口部を有する実質的に長方形の容器を提供する。スリット開口部は、8x0.2cmの寸法を有し、密封可能なリッドまたはプラグで覆うことができる。約35mLの6〜9wt%次亜塩素酸ナトリウム溶液を、その容器中に入れる。フェンタニールパッチを、スリット開口部を経て容器中に落とし、リッドを用いて開口部を密封する。1時間以内に、次亜塩素酸塩溶液中に沈んでいるパッチ内のフェンタニールの大部分が破壊される。この配置の場合、多数の使用済みフェンタニールパッチを箱内に落とすことができ、フェンタニールを実質的に含まない多数のパッチを生じることができる。
【0058】
実施例7−円筒形容器内の次亜塩素酸ナトリウム溶液中のフェンタニール破壊
実施例6を、用いられた容器が、ねじぶたで蓋締め可能な開口部を有する円筒形であったことを除いて繰り返した。フェンタニールパッチを固く巻き、小さい丸開口部を経て容器中に落とし、そしてリッドをねじ込んで開口部を密封する。1時間以内に、次亜塩素酸塩溶液中に沈んでいるパッチ内のフェンタニールの大部分が破壊される。この配置の場合、多数の使用済みフェンタニールパッチを巻き上げ且つ円筒内に落とすことができ、フェンタニールを実質的に含まない多数のパッチを生じることができる。
【0059】
実施例8−支持体接着シートを用いて無害にしたフェンタニールパッチ
10x15cmの寸法を有する裏地フィルムを、0.3cm層の支持体接着剤で被覆して、接着シートを成形する。その接着シートの支持体接着剤層を、剥離ライナーで覆う。剥離ライナーを除去後、フェンタニールパッチの薬物放出面が、接着シートの支持体接着剤層を包含するデバイスに接着するように、フェンタニールパッチを接着シートに接着させる。パッチと接着シートとの間の結合は、ピーリング(peel)、剪断作用(sheer)および引張応力に耐性であるし、更には、水および化学溶媒への暴露に耐性である。
【0060】
本発明を、いくつか好ましい態様に関して記載してきたが、当業者は、発明の精神から逸脱することなく、いろいろな修飾、変更、省略および置換を行うことができるということを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分の非意図的使用を減少させるシステムであって、
該活性成分を包含する皮膚用パッチまたはピール;
該活性成分と化学的に反応性である破壊剤;および
該破壊剤を支持するデバイスであって、該皮膚用パッチまたはピールを収容し且つ該活性成分が該破壊剤に接触可能であるように配置されている該デバイス
を含むシステム。
【請求項2】
デバイスが、破壊剤を含有する容器の形であり、ここにおいて、該容器が、更に、皮膚用パッチまたはピールを該容器内に収容するように配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
活性成分が、CNS抑制薬、鎮痛薬、鎮静薬、ホルモンおよびバルビツレートから成る群より選択されるメンバーである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
活性成分が鎮痛薬であり、該鎮痛薬がフェンタニールである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
活性成分が鎮静薬であり、該鎮静薬がベンゾジアゼピンである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
破壊剤が、次亜塩素酸塩、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸および過マンガン酸塩から成る群より選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
破壊剤が、溶媒中に実質的に溶解して、破壊剤溶液組成物を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
破壊剤溶液組成物が、増粘剤によって前記デバイスに保持されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
破壊剤溶液組成物が、吸収材料によって前記デバイスに保持されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
破壊剤が、前記活性成分の少なくとも80%を24時間未満で破壊するように配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
破壊剤が、前記活性成分の少なくとも80%を12時間未満で破壊するように配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
破壊剤が、前記活性成分の少なくとも80%を2時間未満で破壊するように配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
活性成分がフェンタニールであり、そして破壊剤が、該フェンタニールの少なくとも80%を20分未満で破壊するように配置されたナトリウムヒポクロリド(sodium hypochloride)の溶液である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
容器が、プレス嵌めリッド、ねじぶたまたはプラグで密閉されることが可能な開口部を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項15】
破壊剤が、皮膚用パッチまたはピール中に該破壊剤が拡散しうるように溶媒中に十分に可溶性であり、それによって、活性成分に接触する、請求項7に記載のシステム。
【請求項16】
前記溶媒が、皮膚用パッチまたはピールから活性成分を抽出するように配置されていて、それによって、活性成分に接触する、請求項7に記載のシステム。
【請求項17】
皮膚用パッチまたはピールが、使用済みである、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
皮膚用パッチまたはピールが、経皮デリバリーデバイスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
活性成分の非意図的使用を減少させるシステムであって、
該活性成分を包含する皮膚用パッチまたはピール;
該活性成分と化学的に反応性である破壊剤;および
該破壊剤を中に含浸させた吸収体であって、更に、該皮膚用パッチまたはピールに接触し且つ該活性成分が該破壊剤に接触可能であるように配置されている該吸収体
を含むシステム。
【請求項20】
吸収体が、スポンジ材料である、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
吸収体を支持体が担持している、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
支持体が、吸収体を含有する容器の形であり、ここにおいて、該容器が、更に、皮膚用パッチまたはピールを該容器内に収容するように配置されていて、そこで、皮膚用パッチまたはピールが吸収体に接触する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
活性成分が、鎮痛薬、鎮静薬、ホルモンおよびバルビツレートから成る群より選択されるメンバーである、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
活性成分が鎮痛薬であり、該鎮痛薬がフェンタニールである、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
活性成分が鎮静薬であり、該鎮静薬がベンゾジアゼピンである、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
破壊剤が、次亜塩素酸塩、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸および過マンガン酸塩から成る群より選択される酸化剤である、請求項19に記載のシステム。
【請求項27】
破壊剤が、溶媒中に実質的に溶解して、破壊剤溶液組成物を形成する、請求項19に記載のシステム。
【請求項28】
破壊剤が、前記活性成分の少なくとも80%を24時間未満で破壊するように配置されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項29】
破壊剤が、前記活性成分の少なくとも80%を12時間未満で破壊するように配置されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項30】
破壊剤が、前記活性成分の少なくとも80%を2時間未満で破壊するように配置されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項31】
活性成分がフェンタニールであり、そして破壊剤が、該フェンタニールの少なくとも80%を24時間未満で破壊するように配置されたナトリウムヒポクロリドの溶液である、請求項19に記載のシステム。
【請求項32】
容器が、プレス嵌めリッド、ねじぶたまたはプラグで密閉されることが可能な開口部を有する、請求項22に記載のシステム。
【請求項33】
破壊剤が、皮膚用パッチまたはピール中に該破壊剤が拡散しうるように溶媒中に十分に可溶性であり、それによって、活性成分に接触する、請求項27に記載のシステム。
【請求項34】
前記溶媒が、皮膚用パッチまたはピールから活性成分を抽出するように配置されていて、それによって、活性成分に接触する、請求項27に記載のシステム。
【請求項35】
皮膚用パッチまたはピールが、使用済み皮膚デリバリーデバイスである、請求項19に記載のシステム。
【請求項36】
皮膚用パッチまたはピールが、経皮デリバリーデバイスである、請求項19に記載のシステム。
【請求項37】
皮膚用ドラッグデリバリーデバイス中の活性成分を破壊する方法であって、
皮膚用パッチまたはピールの活性成分と化学的に反応性である破壊剤を選択し;そして
該破壊剤を該活性成分と接触させ、それによって、該活性成分を失活させることを含む方法。
【請求項38】
接触が容器中で行われる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
吸収体に破壊剤を含浸させる工程を更に含み、ここにおいて、接触工程が、活性成分を該含浸した吸収体と接触させることによって行われる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
吸収体を支持体が担持している、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
支持体が、吸収体を含有する容器の形であり、ここにおいて、該容器が、更に、皮膚用パッチまたはピールを該容器内に収容するように配置されていて、そこで、皮膚用パッチまたはピールが吸収体に接触する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
活性成分が、鎮痛薬、鎮静薬、ホルモンおよびバルビツレートから成る群より選択されるメンバーである、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
活性成分が鎮痛薬であり、該鎮痛薬がフェンタニールである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
活性成分が鎮静薬であり、該鎮静薬がベンゾジアゼピンである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
破壊剤が、次亜塩素酸塩、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸および過マンガン酸塩から成る群より選択される酸化剤である、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
破壊剤が、溶媒中に実質的に溶解して、破壊剤溶液組成物を形成する、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
破壊剤が、前記活性成分の少なくとも80%を24時間未満で破壊するように配置されている、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
破壊剤が、前記活性成分の少なくとも80%を12時間未満で破壊するように配置されている、請求項37に記載の方法。
【請求項49】
破壊剤が、前記活性成分の少なくとも80%を2時間未満で破壊するように配置されている、請求項37に記載の方法。
【請求項50】
活性成分がフェンタニールであり、そして破壊剤が、該フェンタニールの少なくとも80%を24時間未満で破壊するように配置されたナトリウムヒポクロリドの溶液である、請求項37に記載の方法。
【請求項51】
破壊剤が、皮膚用パッチまたはピール中に該破壊剤が拡散しうるように溶媒中に十分に可溶性であり、それによって、活性成分に接触する、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記溶媒が、皮膚用パッチまたはピールから活性成分を抽出するように配置されていて、それによって、活性成分に接触する、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
皮膚用パッチまたはピールが、使用済み皮膚デリバリーデバイスである、請求項37に記載の方法。
【請求項54】
皮膚用パッチまたはピールが、経皮デリバリーデバイスである、請求項37に記載の方法。
【請求項55】
活性成分の非意図的使用を妨げるシステムであって、
該活性成分を皮膚または粘膜表面に送達するように配置された第一面であって、皮膚用接着剤を更に包含する該第一面を包含する皮膚用パッチ;および
にかわ被覆表面であって、該第一面に接着するように配置されている該にかわ被覆表面を包含するデバイスを含み、ここにおいて、該にかわ被覆表面と該第一面との接触時に、該活性成分を実質的に利用不能にするシステム。
【請求項56】
にかわ被覆表面が、皮膚用パッチの第一面と結合して、該皮膚用パッチとデバイスとの間に結合を与えるように配置されている、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
にかわ被覆表面が、破壊剤を包含する、請求項55に記載のシステム。
【請求項58】
活性成分が、鎮痛薬、鎮静薬、ホルモンおよびバルビツレートから成る群より選択される、請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
活性成分が鎮痛薬であり、該鎮痛薬がフェンタニールである、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
活性成分が鎮静薬であり、該鎮静薬がベンゾジアゼピンである、請求項58に記載のシステム。
【請求項61】
デバイスが、活性成分に対して不透過性である、請求項55に記載のシステム。
【請求項62】
皮膚用パッチが、使用済み皮膚用パッチである、請求項55に記載のシステム。
【請求項63】
皮膚用パッチが、経皮性パッチである、請求項55に記載のシステム。
【請求項64】
活性成分の非意図的使用を妨げる方法であって、
該活性成分を皮膚または粘膜表面に送達するように配置された第一面であって、皮膚用接着剤を更に包含する該第一面を包含する皮膚用パッチを入手し;そして
該皮膚用パッチの該第一面をデバイスのにかわ被覆表面に接着させ、それによって、該活性成分を実質的に利用不能にすることを含む方法。
【請求項65】
にかわ被覆表面が、皮膚用パッチの第一面と結合して、該皮膚用パッチとデバイスとの間に結合を与えるように配置されている、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
にかわ被覆表面が、破壊剤を包含する、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
活性成分が、鎮痛薬、鎮静薬、ホルモンおよびバルビツレートから成る群より選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
活性成分が鎮痛薬であり、該鎮痛薬がフェンタニールである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
活性成分が鎮静薬であり、該鎮静薬がベンゾジアゼピンである、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
デバイスが、活性成分に対して不透過性である、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
皮膚用パッチが、使用済み皮膚用パッチである、請求項64に記載の方法。
【請求項72】
皮膚用パッチが、経皮性パッチである、請求項64に記載の方法。
【請求項73】
活性成分の非意図的使用を妨げるシステムであって、
該活性成分を皮膚または粘膜表面に送達するように配置された皮膚用パッチまたはピール;および
該活性成分を、非意図的使用に実質的に利用不能にするように、該皮膚用パッチまたはピールを中に包み込んで密封するように配置されたデバイス
を含むシステム。
【請求項74】
デバイスが、にかわ被覆表面を包含し、そして該にかわ被覆表面を用いて、皮膚用パッチまたはピールをその中に密封する、請求項73に記載のシステム。
【請求項75】
デバイスが、皮膚用パッチまたはピールの周囲にまとうように配置されている、請求項74に記載のシステム。
【請求項76】
にかわ被覆表面が、破壊剤を包含する、請求項74に記載のシステム。
【請求項77】
活性成分が、鎮痛薬、鎮静薬、ホルモンおよびバルビツレートから成る群より選択される、請求項73に記載のシステム。
【請求項78】
活性成分が鎮痛薬であり、該鎮痛薬がフェンタニールである、請求項77に記載のシステム。
【請求項79】
活性成分が鎮静薬であり、該鎮静薬がベンゾジアゼピンである、請求項77に記載のシステム。
【請求項80】
活性成分の非意図的使用を妨げる方法であって、
該活性成分を皮膚または粘膜表面に送達するように配置された皮膚用パッチまたはピールを入手し;そして
該皮膚用パッチまたはピールをデバイス内に密封し、それによって、該活性成分を、非意図的使用に実質的に利用不能にすることを含む方法。
【請求項81】
デバイスが、にかわ被覆表面を包含し、そして該にかわ被覆表面を用いて、皮膚用パッチまたはピールをその中に密封する、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
密封する工程が、皮膚用パッチまたはピールをデバイスで包み込むことを包含する、請求項81に記載のシステム。
【請求項83】
デバイスが、皮膚用パッチまたはピールの周囲にまとうように配置されている、請求項81に記載のシステム。
【請求項84】
にかわ被覆表面が、破壊剤を包含する、請求項81に記載のシステム。
【請求項85】
活性成分が、鎮痛薬、鎮静薬、ホルモンおよびバルビツレートから成る群より選択される、請求項80に記載のシステム。
【請求項86】
活性成分が鎮痛薬であり、該鎮痛薬がフェンタニールである、請求項80に記載のシステム。
【請求項87】
活性成分が鎮静薬であり、該鎮静薬がベンゾジアゼピンである、請求項80に記載のシステム。

【公表番号】特表2007−509720(P2007−509720A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538356(P2006−538356)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/036131
【国際公開番号】WO2005/041883
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(501127213)ザース・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】