説明

皮膚上の界面活性剤吸着の評価方法

皮膚に対する界面活性剤の相対的親和性を比較する、使用が簡便な方法は、染料または色素が皮膚に結合するための固体または半固体の基材を用いる。染料または色素は、皮膚または個人的な洗浄の際に皮膚上に吸着した界面活性剤のどちらかに親和性を有する。基材は、試薬に溶解性のポリマーフィルムまたはテンポラリータトゥーを含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚上の残留界面活性剤レベルを評価する試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナル洗浄製品は、使用者の皮膚に対する低刺激性の度合いに基づいてしばしば市販される。残念なことに、一般的使用において多くの界面活性剤は皮膚のタンパク質に結合しやすく、皮膚の炎症をもたらし得る。さらに界面活性剤が異なると、皮膚タンパク質への結合の度合いも異なる。したがって、界面活性剤が皮膚に残留しない洗浄剤が多くの消費者にとってより望ましい。皮膚に結合した染料および/または色素の量を評価し、染料および/または色素の結合を妨げる界面活性剤の、皮膚への吸着の度合いを評価する、少なくとも1種の試験が開示されている。しかし、特定の洗浄剤が、特定の洗浄方法を使用した消費者の皮膚にどのように相互作用するかを確定する、消費者にとって簡便な方法は現在のところない。
【0003】
Imokawa and Mishima,Contact Dermatitis 5:357−366,(1979)により診断試験が開示されており、この試験は、皮膚が多量の界面活性剤を吸着しているかどうかを確定するために染料を使用する。開示された試験は、消費者の使用を意図する簡便な方法を開発する場合には、簡便または適切ではない染料液を使用している。
【0004】
残留界面活性剤を検出および定量化する簡便な方法が発見され、この方法は、染料および/または色素の担体として、可溶性または分散性の固体または半固体のフィルムを用い、この染料および/または色素は、皮膚または皮膚に残留した界面活性剤のどちらかに親和性を有する。以下の理論に縛られるつもりはないが、染料および/または色素が皮膚に親和性を有するが、対象となる残留界面活性剤には親和性を有さない第1の場合において、染料および/または色素を界面活性剤が残留する皮膚に適用すると、界面活性剤が残留していない皮膚に対するよりも皮膚への着色が少ない。染料および/または色素が、対象となる残留界面活性剤に親和性を有するが皮膚に親和性を有さない第2の場合において、染料および/または色素を界面活性剤が残留する皮膚に適用すると、界面活性剤が残留していない皮膚に対するよりも皮膚はより着色されると考えられる。どちらの場合にも、界面活性剤もフィルム/被膜を除去する試薬も、皮膚に吸着された界面活性剤の量にかかわらず、所与の染料または色素と相互に作用する皮膚の傾向を変化させるようには、皮膚それ自体を変化させないと仮定する。
【発明の開示】
【0005】
(発明の概要)
本発明の一態様は、洗浄後に使用者の皮膚に残存する洗浄用組成物の残留量を評価する方法であり、限定するものではないが以下のステップを含む:
a.皮膚のある範囲を、洗浄用組成物をこの範囲に塗布することにより処理するステップ(ここで、洗浄用組成物は陰イオン界面活性剤の少なくとも約1重量%を含む。)、
b.前記洗浄用組成物を、使用者の皮膚の処理範囲に残存する残留洗浄用組成物の感覚が全くなくなるまで、皮膚の処理範囲から除去するステップと、
c.皮膚の処理範囲に、第1試薬中に可溶性または分散性であり、固体または半固体のフィルムまたは被膜を貼るステップ(該フィルムまたは被膜は染料および/または色素の少なくとも0.001重量%を含み、前記染料および/または色素は、陰イオン界面活性剤またはヒトもしくは動物の皮膚のどちらかに吸着、反応および/または随伴することができる。)、
d.フィルムまたは被膜を、フィルムまたは被膜に含まれる染料および/または色素が皮膚の処理範囲に接触可能となるために有効な、十分な第1試薬に接触させるステップ、
e.皮膚または皮膚上の残留界面活性剤のどちらかに吸着された染料または色素の量を、第1試薬によりフィルムまたは被膜を除去した上で評価するステップ。
【0006】
本発明の別の態様は、洗浄用組成物の除去後に皮膚に残存する、1種以上の陰イオン界面活性剤を含む洗浄用組成物の残留量を評価する診断キットであり、限定するものではないが、キットは以下を含む:
a.第1試薬に可溶性または分散性であり、染料および/または色素の少なくとも0.001重量%を含み、前記染料およびまたは色素が陰イオン界面活性剤またはヒトもしくは動物の皮膚のどちらかに吸着、反応および/または随伴することができる、固体または半固体のフィルムと、
b.フィルムを皮膚に貼り、フィルムの除去後に皮膚上に残留した吸着陰イオン界面活性剤を視覚化するための指示書と、
c.皮膚上に残留する洗浄用組成物のおよそのレベルに一致する、皮膚上に吸着された染料および/または色素の強度を表示する、カラーグラデーションの等級表。
【0007】
本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照し、実施例を用いて以下に説明する。
【0008】
(発明の詳細)
本発明の一態様は、洗浄後に使用者の皮膚に残存する洗浄用組成物の残留量を評価する方法であり、限定するものではないが以下のステップを含む:
a.皮膚のある範囲を、洗浄用組成物をこの皮膚に塗布することにより処理し、ここで、洗浄用組成物は、陰イオン界面活性剤の少なくとも約1、2、3、4または5重量%を含むステップと、
b.前記洗浄用組成物を、使用者の皮膚の処理範囲に残存する残留洗浄用組成物の感覚が全くなくなるまで、皮膚の処理範囲から除去する(水ですすぐことが好ましい)(その後処理範囲を軽く押えて水気を切ることが有利である)ステップと、
c.皮膚の処理範囲に、第1試薬中に可溶性または分散性である、固体または半固体のフィルムまたは被膜を貼り、フィルムまたは被膜は染料および/または色素の少なくとも0.001重量%(例えば、インジゴカルミン、オクタデシルフルオレセイン、βカロチン、リコピンおよび/またはメチレンブルーなど)を含み、ここで前記染料および/または色素は、陰イオン界面活性剤またはヒトもしくは動物の皮膚のどちらかに吸着、反応および/または随伴することができるステップと、
d.フィルムまたは被膜を、フィルムまたは被膜に含まれる染料および/または色素が皮膚の処理範囲に接触可能となるために有効な、十分な第1試薬に接触させるステップと、
e.皮膚または皮膚上の残留界面活性剤のどちらかに吸着された染料または色素の量を、フィルムまたは被膜を除去した上で評価するステップ。
【0009】
好ましい一実施形態において、皮膚または皮膚上の残留界面活性剤のどちらかに吸着された染料および/または色素を、さらに十分な第2試薬(染料および/または色素に親和性を有し、過剰な染料および/または色素を除去する)により処理する。有利なことには、皮膚の処理範囲に吸着された染料および/または色素の量は、界面活性剤が全く吸着されていない皮膚の、対照となる処理範囲と視覚的に比較される。好ましくは、皮膚の処理範囲に吸着された染料および/または色素の量は、界面活性剤が全く吸着されていない、対照となる処理範囲と、定量的なエネルギー反射率および/または吸着方法により比較される。より好ましくは、フィルムは自己支持性フィルム(水、アルコールまたは油溶性ポリマーのフィルムなど)または非自己支持性被膜(テンポラリータトゥーなど)から選択される。
【0010】
好ましい実施形態において、洗浄用組成物は、約10、20、30、40または50を超える個別のゼイン値を有する陰イオン界面活性剤の少なくとも5%を含む。有利なことに洗浄用組成物は、アシルグルタメート、アシルペプチド、サルコシネート、タウレート、アルカン酸およびアルカノエート、エステルカルボン酸、エーテルカルボン酸、リン酸エステルおよび塩、アシルイセチオネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルホネート、スルホサクシネート、アルキルエーテルサルフェートもしくはアルキルサルフェートまたはこれらのブレンドから選択される1種以上の陰イオン活性剤を含む。
【0011】
好ましくは、染料および/または色素は、約0.001から50重量%、好ましくは約0.01、0.05または0.1の下限、約0.5、1、2、3、4、5、10、20または30重量%の上限の濃度範囲においてフィルムに存在する。より好ましくは、染料および/または色素は、以下のクラスの1種以上から選択される:酸、塩基、媒染剤、天然、溶媒性、直接、FD&C染料、D&C染料、安全であると一般的に認識され、参照により本明細書に組み込まれるC.T.F.A.Cosmetic Ingredient Handbook、第1版、Washington D.C.(1988)に掲載されている色素を含む適切な色素。
【0012】
有利には、フィルムは以下の成分の1種以上を含む:炭水化物、タンパク質、アクリルアミドもしくは第四変性化合物またはこれらのブレンド(有利には、デンプン、セルロース、ヒドロキシプロピルトリモニウムグアー、プルラン、ジェランガム、ポリクオタニウム―22、ゼラチン、ポリアクリルアミドなど)。試薬は、以下の成分の1種以上を含むことが好ましい:水、1価および/もしくは多価アルコール、ポリオール、無機物、グリセリドおよび/もしくはシリコーン油またはこれらのブレンド。
【0013】
本発明の別の態様は、洗浄用組成物の除去後に皮膚に残存する、1種以上の陰イオン界面活性剤を含む洗浄用組成物の残留量を評価する診断キットであり、限定するものではないが、キットは以下を含む:
a.第1試薬に可溶性または分散性であり、染料および/または色素の少なくとも0.001重量%(例えば、インジゴカルミン、オクタデシルフルオレセイン、βカロチン、リコピンおよび/またはメチレンブルーなど)を含み、前記染料および/または色素が、陰イオン界面活性剤またはヒトもしくは動物の皮膚のどちらかに吸着、反応および/または随伴ができる、固体または半固体のフィルムと、
b.フィルムを皮膚に貼り、フィルムおよび場合により過剰の染料および/または色素の除去後に皮膚上に残留した吸着陰イオン界面活性剤を視覚化するための指示書と、
c.皮膚上に残留する洗浄用組成物のおよそのレベルに一致する、皮膚上に吸着された染料およびまたは色素の強度を表示する、カラーグラデーションの等級表。
【0014】
染料および色素
適切な染料および/または色素は、残留洗浄剤組成物または皮膚それ自体に対する親和性および/または色を有する、様々な有機および無機の染料もしくは色素またはこれらのブレンドを含む。適切な有機色素は、D&CおよびFD&C(青、茶、緑、橙、赤、黄色など)として指定された、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノンおよびキサンチンの染料を含む。無機の色素は、一般的にレーキと称する食用色素添加物の不溶性金属塩または酸化鉄である。他の適切な色素は、二酸化チタン、酸化亜鉛および化粧品染料の金属レーキまたはこれらのブレンドの群から選択される。適切な天然染料は、ターメリックの含油樹脂、コチニール抽出物、クチナシ抽出物および野菜ジュースに由来する天然色素を含む。適切な天然染料の他の具体例は、限定するものではないが、ビート抽出物、ブドウの皮の抽出物および抽出物を含むクロロフィル(例えば、イラクサ抽出物、アルファファ抽出物、ホウレンソウ抽出物)を含む。適切な色素は、安全であると一般的に認識され、参照により本明細書に組み込まれたC.T.F.A.Cosmetic Ingredient Handbook、第1版、Washington D.C.(1988)に掲載されている色素を含む。具体例としては、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、褐色酸化鉄、ウルトラマリン、FD&C赤色、2、5、6、7、10、11、12、13、30および34番、FD&C黄色5番、赤3、21、27、28および33号アルミニウムレーキ、黄色5、6および10号アルミニウムレーキ、橙色5号アルミニウムレーキ、青色1号アルミニウムレーキ、赤色6号バリウムレーキ、赤色7号カルシウムレーキなどである。
【0015】
試薬可溶性または分散性の固体または半固体フィルム
好ましい実施形態において、第1試薬に可溶性および/または分散性である、固体または半固体のフィルムまたは被膜は、上記のように染料および/または色素の皮膚への送達の有用な方法である。第1試薬に可溶性または分散性である、固体または半固体のフィルムまたは被膜は、本明細書中において第1試薬に25℃で接触させた場合に時間と共に溶解または分散するものとして定義する。フィルムが分解すると、フィルムまたは被膜に含まれる染料および/または色素が、フィルムまたは被膜が配置された皮膚範囲に接触し、視覚化される。有利には、第1試薬に接触させるこの時間を約0.5から10秒の範囲にできる。第1試薬を高温で使用する場合、時間は短縮できる。放出はここでは、25℃においてフィルムに親和性を有する適切な第1試薬にフィルムが接触する場合、フィルム中の染料および/または色素の少なくとも約50%が、約5秒フィルムに隣接する皮膚に接触できるとして定義する。
【0016】
第1試薬が水を含む場合、水溶性または水分散性の本発明の固体または半固体のフィルムまたは被膜を作製するために使用できる材料は、プルランなどの周知の水溶性または水分散性の樹脂、他の水溶性/水分散性の多糖類およびこれらの誘導体、水溶性または水分散性のセルロース誘導体などを含む。他の適切な樹脂は、本明細書に参照により組み込まれている、Davidson and Sittig,Water − Soluble Resins,Van Nostrand Reinhold Company,New York (1968)に記載されている。水溶性または水分散性の樹脂は、フィルム内に含まれる染料および/または色素を迅速に放出するような十分な水溶性または水分散性および機械により裂けることなく形を整え、包装する操作ができるための十分な強度および柔軟性などの有用な特性を有すべきである。他の好ましい水溶性または水分散性の樹脂は、ポリビニルアルコール、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド、デンプン、ポリブニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル−無水マレイン酸、ポリ無水マレイン酸、スチレン無水マレイン酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、アクリルアミドコポリマー、グアーガム、カゼイン、エチレン−無水マレイン酸系樹脂、ポリエチレンイミン、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどを含む。
【0017】
他の有用なフィルムは、油溶性/油分散性、アルコール可溶性/アルコール分散性またはヒトもしくは動物の皮膚に接触しても安全である任意の試薬に可溶性/分散性であるいずれのフィルムをも含む。油は、1種以上の無機物、グリセリド、シリコーンもしくは任意の他の適切な油またはこれらのブレンドからなり得る。アルコールは1種以上の1価もしくは多価のアルコール、ポリオールまたはこれらのブレンドなどを含み得る。適切なフィルムの例としては、アミノメチルプロパノールなどの塩基で中和されたオクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、アルコール可溶性ポリアミド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリエーテルおよびエピクロルヒドリンなどのフィルムを作ることができる、水/アルコール可溶性または水/アルコール分散性のポリマーが挙げられる。フィルムに使用できる適切な油溶性ポリマーは、アルキル基が少なくとも4個の炭素原子(平均で)、好ましくは22個未満の炭素原子(平均で)を有する、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリルモノマー、好ましくはアルキル(メタ)アクリル酸エステル(即ち、アクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキル)の重合に由来するポリマーなどのビニルポリマー、ならびに少なくとも1種のモノエチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)モノマー、好ましくはモノエチレン性不飽和ポリ(アルキレンオキシド)(メタ)アクリルモノマーなどを含む。得られたポリマーの特性次第で、ポリマーの調製に使用するモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリル酸エステルは短鎖アルキル基(例えば、少なくとも炭素原子は4個(平均で)および好ましくは、炭素原子は14個未満(平均で))だけ、もしくは長鎖アルキル基(例えば、炭素原子は少なくとも15個(平均で)および好ましくは炭素原子は22個未満(平均で))だけを有することができ、またはモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリル酸エステルと短鎖アルキル基との混合物を、長鎖アルキル基を有するモノエチレン性不飽和アルキル(メタ)アクリル酸エステルと組み合わせて使用することもできる(例えば、ターポリマー)。アルキル基は、場合によりヘテロ原子(例えば、N、OまたはS)を含むことができ、線状、分岐型または環状であってもよい。他の適切なビニルポリマーは、2000から8000の分子量を有するポリエチレン、ポリスチレン、ポリαメチルスチレン、スチレンとエチレン、プロピレンおよび/またはブタレンとのブロックコポリマー、ポリビニルピロリドンとポリエチレンとのコポリマーなどを含む。
【0018】
油溶性であるセルロースおよびデンプンのポリマー誘導体などのポリマー、例えばパルミチン酸デキストリンのようなデキストリンエステル、またはフィルムを作製できる他の油溶性ポリマーもまた使用できる。
【0019】
テンポラリータトゥー
第2の好ましい実施形態において、皮膚上の残留界面活性剤を確定するために、テンポラリータトゥーを有利に用いることができる。染料および/または色素は、界面活性剤または皮膚のどちらかに対して親和性を有利に有し、テンポラリータトゥーに組み込まれる。皮膚に貼り付ける方法が異なる、3種の原理型のテンポラリータトゥーがある。限定はしないが、テンポラリータトゥーを以下のように分類することは有用である:1)皮膚上に直接手書きまたは描くテンポラリータトゥー;2)基材上に印刷(または手書きまたは描く)し、その後、後の任意の時に皮膚に転写するテンポラリータトゥー;および3)透明な基材上に印刷(または手書きまたは描く)し、後で皮膚に接着するテンポラリータトゥー。透明な基材は、水、アルコール、油または皮膚に接触しても安全な別の試薬に可溶性または分散性であることが好ましい。
【0020】
1型のテンポラリータトゥーでは、アートワークは、筆および/もしくはペンまたは類似の道具を用いて、インクまたは染料および/もしくは色素を使用し、紙にイラストを作製するのと類似の方法で、皮膚に適用される。ステンシルもまた使用できる。2型のテンポラリータトゥーでは、アートワークは普通インクまたは染料および/もしくは色素で、印刷後の任意の時にアートワークを基材から分離できる特性を有する基材(紙など)の上に印刷され、皮膚に転写される(このような例は、デカルコマニア、デカールまたはトランスファーなどの代替名を有する)。この転写は、基材を最も上にして印刷した基材を皮膚に置き、その後基材を湿らせ、基材をはがす前に軽く押え、アートワークを皮膚接着させて残すことによって達成される。明らかに、基材、インクならびに染料および/または色素は、転写手順に適切な特性を有するように選択されなければならない。別法として、基材の表面を覆い、印刷されたアートワークの上にある透明な層があってもよい。この場合、透明層はアートワークと共に皮膚に転写され、その後アートワークの保護膜を形成し、基材をはがし取った後で皮膚の最も上にある。別法として、アートワークを皮膚に転写した後で、透明な材料の一片を用いてアートワークを覆うことによって、または溶液の形態で透明層に塗布し、溶媒が蒸発した後に層がタトゥーの上に堆積することによって、透明な保護層をタトゥーに適用してもよい。これらの方法によって、透明な保護層を1型のテンポラリータトゥーに適用してもよい。3型では、アートワークは透明な、基材上にインクまたは染料および/もしくは色素で通常印刷され、透明な基材はアートワークを超える、重複する、または囲んだ接着範囲を有し、皮膚への接着を支援する、または関与する(これらはステッカーと代替的に呼ばれる)。3型のテンポラリータトゥーは、アートワークが皮膚に接触するように皮膚に接着され、透明な基材は多くの場合保護接着層を提供する。
【0021】
本発明による皮膚試験に使用されるべき(任意の型の)テンポラリータトゥーは、アートワークの特定の指定範囲が異なる試験用染料および/または色素の化合物を含むようにも作製できる。異なる範囲は、同じであるが濃度が異なる、試験用染料および/または色素の化合物または材料もまた含むことができる。試験を実施した人々は、一実施形態において慎重な記録またはタトゥーにおける試験用染料および/または色素の材料の詳細な分布を述べた「タトゥーマップ」を保存した。試験に割り当てられた時間の後で、タトゥーは適切な試薬または試薬のブレンドを用いて部分的にまたは完全に除去でき、下の皮膚を染料および/または色素の反応または吸着のどんな兆候をも検査した。残留界面活性剤の兆候またはこれら(例えば、皮膚の着色)がないことをマップと比較することで、皮膚に残留する界面活性剤の評価(および、場合により分布)が可能である。
【0022】
実施例および比較例または明確に示した場合を除いて、材料の量を示す記述におけるすべての数字は、「約」という言葉により修飾されていると理解するべきである。
【0023】
以下の実施例により、本発明の実施形態をより十分に例示する。本明細書中および添付の特許請求の範囲において述べるすべての部分、割合および比率は、明示しない限り重量によるものである。物理的試験方法を以下に記載する。
実施例
【実施例1】
【0024】
インジゴカルミン(2−(1,3−ジヒドロ−3−オキソ−5−スルホ−2H−インドール−2−イルジエン)−2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1H−インドール−5−スルホン酸ジナトリウム塩)、FD&C青色2番(C.I.73015)としても公知の酸性染料を溶液形態で使用し、純粋な界面活性剤試料溶液およびさらに様々な市販の化粧石鹸の両方を使用して、以下に記載した手順に従ってパネリストらの前腕の複数部位を洗浄後、3人の個別のパネリストの皮膚上に残存する残留界面活性剤のレベルを、比較し、結果を図1から4および表1に記載した。界面活性剤の結合が減少すると染料の着色強度が増加する、即ちドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(最小染料吸収)>スルホサクシネート>水>アルキルポリグルコシド(APG)(最大染料吸収)であることが見いだされた。以下の理論に縛られるつもりはないが、皮膚からAPGにより直接脂質を除去すると染料に対してより多くの皮膚タンパク質結合部位が曝され、したがって界面活性剤の吸着と独立して着色強度が高くなると考えられる。前述の順番(APGを除く)を別の方法で表すと以下の通りである:a.染色はほとんどない:界面活性剤の結合は最強度;b.弱い染色:界面活性剤の結合は中程度;c.強度の染色:界面活性剤の結合は少ない;d.強度の染色:水による対照。実際の皮膚の染色は図2に例示する。
【0025】
界面活性剤/染料の結合の特別な指標はb値であり、数字が小さいほど皮膚は青色が強い、即ちbの等級が下がると色は黄色から青色に変化するので、小さい数字ほど青色が強いことを意味する。水処理された部位は、この状態(吸着された界面活性剤がない場合)ではほとんどの染料分子が皮膚に結合できるので、最も低い数字を有するべきであることが期待された。染料を全く用いなかった未処理部位では、b値が最も大きいことが期待された(ほとんど黄色)。石鹸分子が皮膚タンパク質の大部分に結合することは公知なので、染料が皮膚に結合する機会はほとんどない。したがって石鹸により処理された部位は、未処理の対照部位と類似である。Dove(登録商標)は、Olay(登録商標)より、皮膚への界面活性剤の結合に関して、わずかに多いことが見いだされた。
【0026】
【表1】

【0027】
染料染色強度の高い順番を表すと、トイレットバー試験の結果は以下の通りである:Ivory(登録商標)ほとんど染色されない:(界面活性剤の結合は最強度);Dove(登録商標)中程度の染色(界面活性剤の結合は少ない);Olay(登録商標):中程度の染色(界面活性剤の結合は少ない);および水−最強度の染色:水による対照(界面活性剤の結合はない)。以下の理論に縛られるつもりはないが、石鹸は、Dove(登録商標)およびOlay(登録商標)などの合成のトイレットバーに見られるココイルイセチオン酸ナトリウム(SCI)より強力に皮膚に結合すると考えられる。石鹸はSCIより刺激性であることもまた公知である。
注:Ivory(登録商標)およびOlay(登録商標)のトイレットバーはProcter & Gamble Inc.(Cincinnati,OH)の製品であり、Dove(登録商標)トイレットバーはUnilever Inc.(Greenwich,CT.)の製品である。
【0028】
インジゴカルミンを用いた前腕洗浄手順
前腕(面積3.14cm)を界面活性剤/製品溶液またはスラリーの2mlを用いて2分間処理する、例えば
1%w/wの界面活性剤(SDS、スルホサクシネート、APG)
8%w/wのバーのスラリー(Ivory(登録商標),Dove(登録商標),Olay(登録商標))
界面活性剤を除去し、脱イオン化水(およそ23℃)の2mlを用いて部位をすすぎ、その後バーに関してもすすぐステップを繰り返す、
軽く押えて水気を切り、乾燥させる
1%インジゴカルミン染料(水溶液)の2mlを、1分間適用する
染料を除去し、脱イオン化水(およそ23℃)の2mlを用いて部位をすすぐ
軽く押えて水気を切り、乾燥させる、
標準のデジタルカメラを用いて、デジタル画像を得る、
試験部位のl値を、CR−10クロマメーター(Minolta CM 508D 分光光度計)を使用して測定する
【実施例2】
【0029】
プルランからなり、食品グレードの染料(FD&C緑色3番)を含む市販の水溶性フィルム(1)の試料を、表2によるいくつかの洗浄剤を用いて洗浄した後の皮膚に、以下に記載の手順を使用して皮膚に貼った。研究の結果を表1に提供する。
注(1)Listerine PocketPaks(登録商標)オーラルケアストリップ(Warner−Lambert Company Inc.より入手可能)
【0030】
【表2】

【0031】
方法:
Listerine(登録商標)ストリップの適用
前腕(面積3.14cm)を界面活性剤/製品溶液またはスラリーの2mlを用いて2分間処理する、例えば
1%w/wの界面活性剤(SDS、スルホサクシネート、APG)
8%w/wのバーのスラリー(Ivory(登録商標),Dove(登録商標),Olay(登録商標))
界面活性剤を除去し、脱イオン化水(およそ23℃)の2mlを用いて部位をすすぐ(バーに関してもすすぐステップを繰り返す)、
軽く押えて水気を切り、乾燥させる、
特定の製品を用いて腕を処理した後で、(実施例1に関する上記の手順を参照されたし)水(およそ23℃)のおよそ5mlを取り、処理範囲を湿らせる。
【0032】
乾燥試験ストリップを、前腕の処理し、湿らせた範囲にそっと置く、
試験ストリップを、皮膚に指でそっと押える
ストリップを前腕に3分間(または腕が風乾されるまで)接触させたままにする
3分後、前腕の試験ストリップを置いた範囲を温水の流れにあて(40−50℃でおよそ10秒)、ストリップの溶け残りを皮膚から除去する。
【0033】
軽く押えて水気を切り、乾燥させる。
【実施例3】
【0034】
【表3】

【0035】
手順:
表3に示した組成を有する1型のテンポラリータトゥーを、処理した皮膚に装飾的なステンシル(例えば、蝶の様な形)を使用して、描くことができる。タトゥーを適用する前に、皮膚を表4に記載された様々なトイレットバーを用いて処理する。テンポラリータトゥーの部位を暖かい(およそ50−60℃)流水に30秒間あて、皮膚のlおよびb特性を、上記の適切な分光光度計を用いて測定する。表4に掲載した結果が得られることが期待される。
【0036】
【表4】

【0037】
ゼイン試験方法
試験する陰イオン界面活性剤を含む洗浄剤は、以下に説明するゼイン溶解度法を使用して10、20、30、40および50を超えるゼイン溶解度を有することが好ましい。ゼインの度数が大きいほど、洗浄用基剤/界面活性剤はより強力と考えられる。本方法は、対象となる陰イオン界面活性剤を含む洗浄剤基剤溶液中へのゼイン(トウモロコシのタンパク質)の溶解度を、以下のように測定することを含む:
洗浄剤基剤の0.3gと水の29.7gとを完全に混合する。ここにゼインの1.5gを加え、1時間混合する。その後混合物を3000rpmで30分間遠心分離にかける。遠心分離の後で、ペレットを抽出し、水で洗浄し、実質的にすべての水が蒸発するまで、真空オーブンにおいて24時間乾燥させる。乾燥ペレットの重量を測定し、溶解したゼインの割合を以下の等式を使用して計算する:
溶解したゼインの%=100(1−乾燥ペレットの重量/1.5)。
【0038】
ゼインの%はさらに以下の参考文献に記載されている:E.Gotte,Skin compatibility of tensides measured by their capacity for dissolving zein protein,Proc.IV International Congress of Surface Active Substances,Brussels,1964,pp 83−90。
【0039】
本発明は特定の実施形態に関して記載されているが、本発明の多数の他の形態および改変が当業者には明らかであることは言うまでもない。添付の特許請求の範囲および本発明が、本発明の真の精神および範囲の内にあるこのような明らかな形態および改変を対象とすることは、一般的に解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1の手順に従って試験された、処理された皮膚のインジゴカルミン染色度を使用した、界面活性剤の型の結合の測色値(L)を示した棒グラフである。
【図2】図1において示した実施例1の手順に従った、様々な界面活性剤液を用いて試験した、対象の前腕の写真である。
【図3】実施例1の手順に従って試験された、処理された皮膚の市販のトイレットバーおよびインジゴカルミン染色度を使用した、界面活性剤の結合の測色値(L)を示した棒グラフである。
【図4】図3において示した実施例1の手順に従った、様々な市販のトイレットバーを用いて試験した、対象の前腕の写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.皮膚のある範囲を、洗浄用組成物をこの範囲に塗布することにより処理するステップ(洗浄用組成物は少なくとも約1重量%の陰イオン界面活性剤を含む。)、
b.前記洗浄用組成物を、皮膚の処理範囲に残存する残留洗浄用組成物の感覚が全くなくなるまで、皮膚の処理範囲から除去するステップ、
c.皮膚の処理範囲に、第1試薬中に可溶性または分散性であり、有効量の染料および/または色素を含む、固体または半固体のフィルムまたは被膜を貼るステップ(前記染料および/または色素は、陰イオン界面活性剤またはヒトもしくは動物の皮膚のどちらかに吸着、反応および/または随伴することができ、皮膚に結合した状態で検出可能な十分量で存在する。)、
d.フィルムまたは被膜を、フィルムまたは被膜に含まれる染料および/または色素が皮膚の処理範囲に接触可能となるために有効な、十分な第1試薬と接触させるステップ、ならびに
e.皮膚または皮膚上の残留界面活性剤のどちらかに吸着された染料または色素の量を、フィルムまたは被膜を除去した上で評価するステップ
を含む、洗浄後に皮膚に残存する洗浄用組成物の残留量を評価する方法。
【請求項2】
皮膚または皮膚上の残留界面活性剤のどちらかに吸着された染料および/または色素が、第2試薬の十分な量を用いてさらに処理され、過剰な染料および/または色素を除去する(第2試薬は染料および/または色素に親和性を有する。)、請求項1の方法。
【請求項3】
皮膚の処理範囲に吸着された染料および/または色素の量が、吸着界面活性剤を全く含まない、皮膚の対照処理範囲と視覚的に比較される、請求項1の方法。
【請求項4】
皮膚の処理範囲に吸着された染料および/または色素の量が、吸着界面活性剤を全く含まない対照処理範囲と、定量的エネルギー反射率および/または吸着方法により比較される、請求項1の方法。
【請求項5】
フィルムが、自己支持性フィルムまたは非自己支持性被膜から選択される、請求項1の方法。
【請求項6】
洗浄用組成物が、10を超える個別のゼイン値を有する陰イオン界面活性剤を少なくとも5%含む、請求項1の方法。
【請求項7】
洗浄用組成物が、アシルグルタメート、アシルペプチド、サルコシネート、タウレート、アルカン酸およびアルカノエート、エステルカルボン酸、エーテルカルボン酸、リン酸エステルおよび塩、アシルイセチオネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルホネート、スルホスクシネート、アルキルエーテルスルフェートもしくはアルキルスルフェートまたはこれらのブレンドから選択される1種以上の陰イオン界面活性剤を含む、請求項1の方法。
【請求項8】
染料および/または色素が、フィルム中に0.001から50重量%の濃度範囲で存在する、請求項1の方法。
【請求項9】
染料および/または色素が、以下のクラス:酸、塩基、媒染剤、天然、溶媒性、直接、FD&C染料、D&C染料の1種以上から選択される、請求項1の方法。
【請求項10】
フィルムが、以下の成分:炭水化物、タンパク質、アクリルアミドもしくは第四変性化合物またはこれらのブレンドの1種以上を含む、請求項1の方法。
【請求項11】
第1試薬が、第2試薬と比較して同じまたは異なっていてもよく、ここで、第1または第2試薬のどちらかまたは両方が、以下の成分:水、1価および/もしくは多価アルコール、ポリオール、無機物、グリセリドおよび/もしくはシリコーン油またはこれらのブレンドの1種以上を含む、請求項2の方法。
【請求項12】
a.第1試薬に可溶性または分散性であり、少なくとも0.001重量%の染料および/または色素を含む固体または半固体のフィルムまたは被膜(前記染料およびまたは色素が陰イオン界面活性剤またはヒトもしくは動物の皮膚のどちらかに吸着、反応および/または随伴することができる。)、
b.フィルムを皮膚に貼るための、ならびに、フィルムおよび場合により過剰の染料および/または色素の除去後に皮膚上に残留した吸着陰イオン界面活性剤を視覚化するための指示書、ならびに
c.皮膚上に残留する洗浄用組成物のおよそのレベルに一致する、皮膚上に吸着された染料および/または色素の強度を表示する、カラーグラデーションの等級表
を含む、洗浄用組成物の除去後に皮膚上に残存する、1種以上の陰イオン界面活性剤を含む洗浄用組成物の残留量を評価する診断キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−529661(P2009−529661A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557610(P2008−557610)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001165
【国際公開番号】WO2007/104396
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】