説明

皮膚欠陥を特性化する方法及び装置、並びに化粧用薬剤、外皮用薬剤、又は薬剤を使用する皮膚欠陥のための処置の有効性を評価する方法

【課題】皮膚欠陥を特性化する新規な方法及び新規な装置、および、当該欠陥に対する活性化粧用薬剤、外皮用薬剤、若しくは製薬剤を、又は、当該活性薬剤を含む化粧組成物、皮膚組成物、若しくは薬剤組成物の有効性を評価する方法を提供する。
【解決手段】デジタルカラーイメージ撮影デバイスを使用して、特性化すべき少なくとも1つの欠陥を含む皮膚の領域の少なくとも1つのデジタルイメージを撮影し、人の皮膚欠陥を特性化する装置であり、前記装置を用いて活性化粧剤、皮膚剤、若しくは薬剤、又は、前記活性薬剤を含む化粧品組成物、皮膚組成物、又は薬剤組成物を使用する、皮膚欠陥のための処置の有効性を測定する方法、及び皮膚欠陥の減衰又はマスクを目的とする染色方法の有効性を測定する方法である。

【発明の詳細な説明】
【説明】
【0001】
本発明は、皮膚欠陥を特性化する方法及び機器、並びに化粧用薬剤、外皮用薬剤、又は製薬剤を使用する皮膚欠陥のための処置の有効性を評価する方法におけるその応用に関するものである。
【現況技術】
【0002】
米国特許第6551982 B1号公報は、700〜2500ナノメートルの範囲の波長を使用するNIRと呼ばれる近赤外線法に基づく人の相対的年齢の非侵襲推定のための方法及び装置を開示している。
【0003】
また、国際公開第00/67398 A1号公報は、皮膚欠陥を検査するために様々なデジタルイメージの取得及び作成を実施し、次いで皮膚欠陥を含むサブイメージを考慮に入れる、皮膚を解析する画像システム及び方法を開示している。
【0004】
また、本出願人が出願した国際公開第2007/042 708号公報は、皮膚欠陥を特性化する方法及び機器、並びに化粧製品の老化防止効果を評価する方法を開示している。
【発明の目的】
【0005】
本発明の目的は、皮膚欠陥を特性化する新規な方法及び新規な装置を提供することに伴う技術的問題を解決することである。
【0006】
本発明の目的はまた、皮膚欠陥を特性化する方法又は装置を実施する方法であって、当該欠陥に対する活性化粧用薬剤、外皮用薬剤、若しくは製薬剤を、又は、当該活性薬剤を含む化粧組成物、皮膚組成物、若しくは薬剤組成物の有効性を評価する方法を提供することに伴う技術的問題を解決することである。
【0007】
本発明は、これらの2つの技術的問題に対する満足の行く解決策であって、上記欠陥を特性化することでより高い精度を実現することができ、実装が比較的容易であり、得られる結果に関して安全で信頼性の高い解決策を提供する。
【発明の詳細な説明】
【0008】
<本発明に従って使用される用語又は表現の定義>
【0009】
「皮膚欠陥」という表現は、肉眼で識別でき若しくは見える皮膚欠陥、又は、それに関して、イメージ拡大デバイスを共に用いることができるイメージ撮影方法又は装置、例えばカメラ、カムコーダによってその少なくとも1つのイメージを撮影することが可能である皮膚欠陥を意味すると理解されたい。
【0010】
本発明による方法によって特性化することのできる幾つかのタイプの皮膚欠陥を識別することができる。
【0011】
まず、様々な皮膚色異常の結果として生じる皮膚欠陥であって、異常色素沈着のために健康な皮膚とは異なる色の少なくとも1つの斑点の形を取る皮膚欠陥がある。
【0012】
次いで、皮膚の通常の機能を低下させ、皺、ひだ、斑点、影、弛緩性皮膚領域の出現として反映される、遺伝的にプログラムされた老衰の結果としての内因性の、又は過剰な化学的又は物理的刺激(太陽、光、UVに対する露出、ストレス、及び栄養不良)の結果である外因性の、皮膚の老化の結果として生じる欠陥がある。
【0013】
最後に、皮膚の炎症又は感染の結果として生じる欠陥がある。
【0014】
「グレイレベル」という表現は、デジタルカラーイメージ撮影デバイスのデジタルセンサのピクセル上で集められる光度の量子化を意味するものと理解されたい。
【0015】
「グレイレベルの閾値処理」という表現は、寄生要素又はアーティファクトを除去するための、ある所定のグレイレベルしきい値未満のグレイレベルの除去を意味するものと理解されたい。
【0016】
「代表的グループ」という表現は、本発明の実施状況では、所与の年齢の集団を代表し、処置剤又は製品の有効性に関する意味のある統計的結果を確立するのに使用される1群の人々を意味するものと理解されたい。
【0017】
第1の態様によれば、本発明は、人の皮膚欠陥を特性化する方法であって、
a)デジタルカラーイメージ撮影デバイスを使用して、特性化すべき少なくとも1つの欠陥を含む皮膚の領域の少なくとも1つのデジタルイメージを撮影するステップであって、当該イメージが複数のピクセルで画成され、当該イメージがデジタルイメージ処理デバイスに送られる、ステップと、
b)上記イメージ処理デバイスを使用して、R、G、Bと呼ばれる赤、緑、青の3つのカラープレーンにデジタルイメージを分割するステップと、
c)これらのプレーンのうちの1つだけ、又はこれらのプレーンの組合せを抽出するステップと、
を含み、
d)抽出したプレーン又はこれらのプレーンの組合せ上で欠陥を検出し、
e)上記プレーン又はこれらのプレーンの上記組合せ上で、上記欠陥に対して原点Oを定義し、原点Oから、欠陥の領域を少なくとも部分的に通過する線分をプロットし、
f)P、P...Pと表されるn個(nは2以上の整数)の点Pを上記線分上に定義し、Pと表されるこれらの点のうちの少なくとも1つが、欠陥の中に位置し、
g)適切に定義した各点Pについて、1対の値(x;y)を求め、xは原点Oに対する当該点Pの距離であり、yは当該点Pで記録したグレイレベルの値であり、
h)対(x;y)で定義される各点Pを正規直交基準系内に配置し、当該正規直交基準系では、x軸が上記距離を表し、y軸がグレイレベルを表し、又はその逆であり、
i)ステップe)で定義した各線分について、上記正規直交系で、相異なる点P〜Pから、特に最小2乗法によって直線を定義、トレース、又はプロットし、欠陥を特性化するために、得られた直線の傾きを計算する、
方法を提供する。
【0018】
勾配の絶対値を使用して、調査される線分すべてに沿って皮膚欠陥の強さを特性化することができる。
【0019】
健康な皮膚と欠陥の領域との間でイメージ撮影機器によって登録されるグレイレベル変動は、例えば色素斑又は病変、更には皺の特徴起伏の場合には、皮膚の階調の変動を反映することができる。
【0020】
高い絶対勾配値は、非一様な皮膚階調、或いは粗さ又は著しい起伏を有する表面領域に特徴的な皮膚欠陥を通過する線分に沿ったグレイレベルの主要な変動を示す。
【0021】
この方法の特定の実施形態によれば、上記方法は、各点O、P、P...Pがイメージのピクセルに対応することを特徴とする。
【0022】
この方法の別の特定の実施形態によれば、上記方法は、本願で(BI)と表される欠陥の縁部を求めるためにグレイレベルを閾値処理し、線分をプロットする前に、欠陥の原点Oを確立するために欠陥の凸形エンベロープも求めることを特徴とする。
【0023】
この実施形態によれば、(CI)と表される欠陥の「クラウン」と呼ばれる特定の領域を求めることも可能となり、欠陥の縁部(BI)の両側に位置するクラウンの内縁部(BIC)及び外縁部(BEC)が、欠陥の縁部(BI)からオペレータによって定義される選択された数のピクセルに対応する距離の所にプロットされる。
【0024】
この方法の別の特定の実施形態によれば、上記方法は、点Pが欠陥の縁部(BI)上に位置し、又は欠陥の外側の当該欠陥の縁部の近傍に位置することを特徴とする。
【0025】
この方法の別の特定の実施形態によれば、上記方法は、クラウンの内縁部(BIC)上に位置する点P、欠陥の縁部(BI)上に位置する点P、及びクラウンの外縁部(BEC)上に位置する点Pが第1線分上に定義されることを特徴とする。
【0026】
この方法の更に別の特定の実施形態によれば、上記方法は、原点Oから、ステップe)で定義される第1線分とは別個の幾つかの別の線分であり欠陥の領域を少なくとも部分的に通過する線分を定義、トレース、又はプロットし、次いでステップf)〜i)を再現して、プロットした線分が存在するだけ多くの傾き値を得て、それらの傾き値から、欠陥を特性化するよう平均を計算することを特徴とする。
【0027】
最後の実施形態の特定の変形形態によれば、本発明による方法は、好ましくは、最初にプロットした線分からなる所謂水平軸から、THETAの倍数である所定の角度をそれぞれが当該水平軸と共に形成するように他の線分を定義、トレース、又はプロットし、当該角度THETAが、オペレータによって定義される0より大きく360°未満である角度であることを特徴とする。
【0028】
好ましい変形形態によれば、THETAは360の約数であり、具体的には60°以下である。
【0029】
この方法の別の特定の実施形態によれば、上記方法は、欠陥を平均として十分に特性化するのに十分な数の、欠陥を通過する線分をプロットするために、特に不規則な斑点について、0.1〜60°、より好適には1〜60°の範囲のTHETA値を選択することを特徴とする。
【0030】
この方法の別の特定の実施形態によれば、上記方法は、青色プレーンを抽出することを特徴とする。
【0031】
本発明による方法の特定の特徴によれば、上記方法は、デジタルカラーイメージ撮影デバイスによって得られたイメージを拡大することを特徴とし、オペレータが皮膚欠陥をより良好に検査し、寄生要素又はアーティファクトをなくすために用いるグレイレベルの閾値処理を評価することを可能とする。
【0032】
この方法の更に別の特定の実施形態によれば、上記方法は、分析すべき人の皮膚の限定された表面領域を選択し、その表面領域上で、皮膚欠陥をこの表面領域全体にわたって分析することを特徴とする。
【0033】
本発明による方法の別の特定の実施形態によれば、上記方法は、市販の良好な解像度のデジタルカラー写真機器、又はMONO−CCD、DI−CCD、又はTRI−CCD型のデジタルカラーカメラ、例えば4V LED内蔵照明を備えるイメージ解像度450000ピクセルを有するDEKAのフォトファインダ(Fotofinder)(商標)カメラ、又は市販のカラーカメラ、特にSONYから市販されているカラーカメラをデジタルカラーイメージ撮影デバイスとして使用することを特徴とする。
【0034】
この方法の特定の実施形態によれば、上記方法は、欠陥が、特に、光線皮膚病の皮膚作用の結果として生じ、接触皮膚病又は薬物光線皮膚病、更には黒皮症、角化症、例えば老人性角化症又は光線性角化症、老人性黒子(加齢斑)、日光黒子、日焼けや他の皮膚創などの熱傷の永続的効果、瘢痕、アレルギー反応又は光毒反応による斑点、皮膚炎、又は他の類似の小さい固定の色素沈着性病変によって誘発される色素沈着の結果として生じる異常色素沈着のために、或いは白斑(vitiligo)などの一定の白斑(leucodermias)によって誘発される脱色領域のために健康な皮膚とは異なる色の少なくとも1つの斑点の形態の皮膚色異常であることを特徴とする。
【0035】
この方法の別の特定の実施形態によれば、上記方法は、欠陥が、内因性又は外因性の皮膚の老化の結果として生じる皺、ひだ、影、弛緩性皮膚の領域であることを特徴とする。
【0036】
この方法の別特定の実施形態によれば、上記方法は、欠陥が、炎症又は皮膚感染、特に例えば湿疹などの皮膚炎の結果として生じる病変であることを特徴とする。
【0037】
本発明に関する方法の更に別の特定の実施形態によれば、上記方法は、1人の同じ人の皮膚の少なくとも1つのイメージ又は複数のイメージをデジタルデータ記憶デバイス上に格納することを特徴とする。
【0038】
第2の態様によれば、本発明は、人の皮膚欠陥を特性化する装置であって、
a)特性化すべき少なくとも1つの欠陥を含む皮膚の領域の少なくとも1つのデジタルイメージを撮影するデジタルカラーイメージ撮影デバイスであって、当該イメージが多数のピクセルによって画成され、当該イメージがデジタルイメージ処理デバイスに送られる、当該デジタルカラーイメージ撮影デバイスと、
b)イメージ処理装置を使用して、R、G、Bと呼ばれる赤、緑、青の3つのカラープレーンにデジタルイメージを分割する手段と、
c)これらのプレーンのうちの1つだけ、又はこれらのプレーンの組合せを抽出する手段と、
を備え、
d)抽出したプレーン又はこれらのプレーンの組合せ上で欠陥を検出する手段と、
e)上記欠陥に対して原点Oを生成する手段と、欠陥を含む領域を少なくとも部分的に通過する線分をプロットする手段と、
f)上記線分上にn個の点Pを作成する手段であって、当該点がP、P...Pと表され、nが2以上の整数であり、Pと表されるこれらの点のうちの少なくとも1つが、欠陥の中に位置する、当該手段と、
g)原点Oに対する上記点Pの距離を測定及び格納する手段と、上記点Pでのグレイレベルを測定及び格納する手段と、
h)各点Pについて測定及び格納した距離及びグレイレベルを正規直交基準系に転送する手段であって、正規直交基準系では、x軸が前記距離を表し、y軸がグレイレベルを表し、又はその逆である、当該手段と、
i)ステップe)で定義した各線分について、上記正規直交系で、異なる点P〜Pから、特に最小2乗法によって直線を定義、トレース、又はプロットし、欠陥を特性化するために、得られた直線の傾きを計算する計算手段と、
を備える装置に関するものである。
【0039】
本発明による装置の特定の変形実施形態によれば、上記装置は、点を選択する上述の手段が、各点O、P、P...Pがイメージのピクセルに対応するように設計されていることを特徴とする。
【0040】
本発明による装置の特定の実施形態によれば、上記装置は、グレイレベルの閾値処理を考慮に入れる手段と、線分をプロットする前に、欠陥の凸形エンベロープを求め、当該凸形エンベロープ内の、オペレータによって固定され得る原点を格納する手段と、を備えることを特徴とする。
【0041】
本発明による機器の別の特定の実施形態によれば、上記装置は、クラウンの内縁部(BIC)上に位置する点P、欠陥の縁部(BI)上に位置する点P、及びクラウンの外縁部(BEC)上に位置する点Pが、第1線分上に定義されることを特徴とする。
【0042】
本発明による機器の特定の実施形態によれば、上記装置は、原点Oから、第1線分とは別個の幾つかの別の線分であり欠陥の領域を少なくとも部分的に通過する線分を定義、トレース、又はプロットし、次いでステップf)〜i)を再現して、プロットした線分が存在するだけ多くの傾き値を得て、それら傾き値から、欠陥を特性化するために平均を計算することを特徴とする。
【0043】
変形実施形態によれば、これらの計算手段は、好ましくは、プロットした第1線分からなる所謂水平軸に基づいて、THETAの倍数である所定の角度をそれぞれが当該水平軸と共に形成するように他の線分を定義、トレース、又はプロットするのに使用され、角度THETAは、オペレータによって定義される0より大きく360°未満である角度であり、具体的には60°以下である。
【0044】
本発明の装置の好適な特徴によれば、上記装置は、デジタルカラーイメージ撮影デバイスで得られた上記イメージを拡大する手段を備え、オペレータが皮膚欠陥をより良好に検査し、寄生要素又はアーティファクトを除去するためのグレイレベルの閾値処理を評価することを可能にすることを特徴とする。
【0045】
特定の変形実施形態によれば、この装置は、イメージ撮影デバイスによって撮影された皮膚の領域のイメージから、当該デジタルイメージから選択される注目領域を抽出する手段を備えることを特徴とする。
【0046】
本発明による装置の好適な実施形態によれば、この装置は、デジタルイメージが撮影されている皮膚表面を照明する手段を備えることを特徴とする。
【0047】
本発明による装置の好適な実施形態によれば、上記装置は、本説明で定義される、デジタルカラー写真機器又はデジタルカラーカメラから選択されたデジタルカラーイメージ撮影デバイスを提供することを特徴とする。
【0048】
本発明による装置の特定の実施形態によれば、上記装置は、1人の同じ人の皮膚の少なくとも1つのイメージ又は複数のイメージをデジタルデータ記憶装置上に格納する手段を備えることを特徴とする。
【0049】
本発明による装置の更に別の特定の実施形態によれば、上記装置は、画面を備えるモニタ、キーボード、及びマウスと組み合わされ、
R、G、Bと呼ばれる赤、緑、青の3つのカラープレーンにデジタルイメージを分割する手段と、
これらのプレーンのうちの1つだけ、特に、青色に対応する所謂青色プレーンを抽出する手段と、
抽出したプレーン又はこれらのプレーンの組合せ上で欠陥を検出する手段と、
前記欠陥に対する原点Oを作成する手段と、欠陥を含む上記領域を少なくとも部分的に通過する少なくとも第1線分をプロットする手段と、
上記線分上でn個の点Pを作成する手段であって、これら点がP、P...Pと表され、nが2以上の整数である、当該手段と、
原点Oに対する点Pの距離を測定及び格納する手段と、点Pでのグレイレベルを測定及び格納する手段と、
各点Pについて測定及び格納した距離及びグレイレベルを正規直交基準系に転送する手段であって、正規直交基準系では、x軸が前記距離を表し、y軸がグレイレベルを表し、又はその逆である手段と、
特に最小2乗法を使用して、直線を定義、トレース、又はプロットし、欠陥を特性化するために、得られた直線の傾きを計算する計算手段と、
グレイレベルの閾値処理を考慮に入れる手段と、
場合によっては、上記イメージを拡大する手段と、
皮膚の少なくとも1つのイメージ又は複数のイメージを格納する手段と、
を含む全ての上述の手段を組み込むソフトウェアを含むコンピュータを備えることを特徴とする。
【0050】
本発明による装置の特定の実施形態によれば、上記装置は、原点Oから、第1線分とは別個の幾つかの別の線分であり欠陥の領域を少なくとも部分的に通過する線分を定義、トレース、又はプロットし、次いで第1線分と同じステップを再現して、定義、トレース、又はプロットした線分が存在するだけ多くの傾き値を得て、それら傾き値から、欠陥を特性化するために平均を計算する計算手段を備えることを特徴とする。
【0051】
皮膚欠陥を特性化する方法及び装置に関する好適な本発明の方法によれば、計算手段は、少なくとも1つの色素斑に由来する欠陥を計算する。
【0052】
第3の態様によれば、本発明は、活性化粧用薬剤、外皮用薬剤、若しくは製薬剤、又は、前記活性薬剤を含む化粧組成物、皮膚組成物、若しくは薬剤組成物を使用する皮膚欠陥の処置の有効性を測定する方法であって、
a)前述の方法又は以下の説明から得られる方法による少なくとも1つの欠陥の特性化と、
b)少なくとも上記活性剤又は上記組成物を使用して上記欠陥の化粧処置、皮膚処置、又は治療処置を実施した後の、前述の方法又は以下の説明から得られる方法による、処置した欠陥の特性化と、
c)上記処置の有効性を決定するための2つの特性の比較であって、上記特性化方法から推論される傾き又は傾きの平均の計算を含む比較と、
d)統計的検定を使用して、処置の前後の傾き又は上記の傾きの平均の変動を比較することによる、上記欠陥に関する上記処置の有効性の有意性の決定と、
を含む方法を提供する。
【0053】
この方法の特定の実施形態によれば、上記方法は、欠陥が、皮膚色異常、皮膚の内因性又は外因性老化、更には皮膚の炎症又は感染の結果として生じることを特徴とする。
【0054】
他の変形形態によれば、この方法は、不完全性が、
・特に、光線皮膚病の皮膚作用の結果として生じ、接触皮膚病又は薬物光線皮膚病、さらには黒皮症、角化症、例えば老人性角化症又は光線性角化症、老人性黒子(加齢斑)、日光黒子、日焼けや他の皮膚創などの熱傷の永続的効果、瘢痕、アレルギー反応又は光毒反応による斑点、皮膚炎、又は他の類似の小さい固定の色素沈着性病変によって誘発される色素沈着の皮膚作用の結果として生じる異常色素沈着のために、或いは白斑(vitiligo)などの一定の白斑(leucodermias)によって誘発される脱色領域のために健康な皮膚とは異なる色の斑点の形を取る皮膚色異常、或いは
・皺、ひだ、影、弛緩性皮膚の領域、更には
・炎症又は皮膚感染、特に例えば湿疹などの皮膚炎の結果として生じる皮膚病変
であることを特徴とする。
【0055】
皮膚欠陥に適用される処置の有効性は、関係するパラメータのうちの少なくとも1つが、処置が適用された後に有意に低下するときに判断される。
【0056】
この方法の好適な実施形態によれば、上記方法は、5%以下の誤り確率で有意な低下が得られることを特徴とする。
【0057】
この方法の特定の変形実施形態によれば、処置後に得られる同じ皮膚の領域の第2イメージのパラメータが、処置前の第1皮膚イメージのパラメータと比較される。
【0058】
この方法の別の好適な実施形態によれば、皮膚欠陥の処置の有効性を測定する方法が、処置すべき欠陥を呈する人々のグループに適用される。この場合、特性化方法から推論されるパラメータの平均が、処置前後で、グループ内の全ての人々について計算される。
【0059】
方法の別の特定の変形実施形態によれば、欠陥の特性化は、欠陥の中に位置するPと、欠陥の縁部、又は欠陥の縁部の近傍の当該欠陥の外部に位置するPとを含む1以上の点の測定を含む。
【0060】
この方法の別の好適な実施形態によれば、上記方法は、活性化粧用薬剤若しくは外皮用薬剤、又は、上記活性薬剤を含む化粧組成物若しくは皮膚組成物の有効性が、上記皮膚欠陥に対する上記活性薬剤又は上記組成物の有効性の有意性を決定するために、所与の年齢カテゴリを代表するグループの人々の一団にわたって評価されることを特徴とする。
【0061】
第4の態様によれば、本発明は、化粧染色組成物による皮膚欠陥、特に色素斑の減衰又はマスキングの有効性を測定する方法であって、
・少なくとも傾き又は上記の傾きの平均を考慮に入れながら、染色組成物の塗布前の皮膚の基準パラメータを求めるために、染色組成物を塗布する前に、欠陥を含む皮膚の領域の少なくとも1つの第1デジタルイメージを撮影し、
・染色組成物を塗布した後に、少なくとも1つの第2イメージを撮影し、同じパラメータを求め、
・染色組成物の塗布後に得られた同じ皮膚の領域の第2イメージのパラメータを、上記組成物の塗布前の第1皮膚イメージのパラメータと比較し、
・少なくとも傾き又は上記の傾きの平均を考慮に入れた関係する平均パラメータのうちの少なくとも1つが、第1イメージのパラメータの平均と比べて有意に低下したとき、得られたマスキング効果又は減衰効果の実際の有効性を結論付ける、
方法を提供する。
【0062】
この方法の特定の実施形態によれば、皮膚欠陥は色素斑である。
【0063】
この場合、欠陥を染色するのに使用される色は、皮膚欠陥の周囲の皮膚の階調に可能な限り近くなるべきであり、それによって、欠陥がマスク又は減衰された後は、前述の特性化方法に従って計算された直線の傾きが0に近づき、すなわち原点から皮膚欠陥を通過する領域までの線分全体にわたって階調の一様性を示す。
【0064】
欠陥の処置の有効性を測定する装置又は各方法の様々な変形実施形態は、前述の欠陥を特性化する方法、又は本発明の一体部分を形成する図面で補足される以下の説明から得られる欠陥を特徴付ける方法の第1実施形態の様々な実施形態から、当業者には明らかとなる。
【0065】
本発明による方法及び装置により、前述の技術的問題が、単純で、安全で、かつ信頼性の高い方式で解決される。
【0066】
本発明の別の目的、特徴、及び利点が、本発明の現在好ましい実施形態を参照しながら与えられる以下の説明の観点から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】前述の皮膚欠陥を特性化する方法、及びこのような欠陥の処置の有効性を測定する方法を実施する、人の皮膚不完全性を特性化する装置を表す図であり、この場合は、第1実施形態に従って、皮膚の領域のイメージの撮影が、具体的に分析される少なくとも1つの色素斑を含む図である。
【図2】欠陥の一例として、欠陥の縁部(BI)、外縁部(BEC)及び内縁部(BIC)によって斑点の縁部(BI)の両側に定義されたクラウン、並びに最後にクラウンの内縁部と外縁部をリンクし、それに沿ってグレイレベルが測定される線分Sがプロットされている色素斑16Bを表す図である。
【図3】イメージのピクセルにそれぞれ対応する原点O、並びに点P、P、P、及びPから幾つかの線分がプロットされている図2の色素斑16Bを表す図であり、Pが斑点のクラウンの内縁部(BIC)に位置し、Pが斑点(BI)の縁部に位置し、Pが斑点のクラウンの外縁部(BEC)に位置し、Pが前記クラウンの外部に位置し、各線分S1、S2、Sn自体が、水平軸と共にTHETAの倍数である所定の角度を形成し、THETAはこの場合は45°に等しい図である。
【図4】少なくともP、P、P、P...Pを含む所与の線分について定義された点Pを正規直交基準系(O;x;y)に加えることによって得られる直線を表す図であり、イメージのピクセルに対応する各点Pが、その対(x;y)で定義され、x軸上のxが、原点Oに対する点Pの距離を表し、y軸上のyが、上記ピクセルについて測定されたグレイレベルを表す。抽出されたプレーン上にプロットされた線分から得られる直線の傾き値が、平均傾き値を計算し、欠陥をを特性化するのに使用される。
【図5】あまり見えないものと分類される色素斑を示す9個のイメージを表す図である。
【図6】見えるものと分類される色素斑を示す9個のイメージを表す図である。
【図7】非常に見えるものであると分類される色素斑を示す9個のイメージを表す図である。
【発明の現在好ましい実施形態の説明】
【0068】
<本発明の実施例1−図1に示す装置の説明>
【0069】
以下、図1を参照する。図1は、全般を示す参照番号10で表される本発明の装置の現在好ましい実施形態を提示している。人Pの位置決めの精度を保証するために、人は、例えばフランスの会社EOTECHから商号ビジオフェース(VISIOFACE)で市販されている再配置テーブル上に座る。
【0070】
この装置10は、人の皮膚の欠陥16を特徴化するように設計されている。
【0071】
本発明の装置の特定の実施形態によれば、少なくとも1つの決定された皮膚の領域34、36、38、40のデジタルカラーイメージ14を撮影するデバイス12を設けることができ、イメージ14は、複数のピクセルで定義される。
【0072】
デバイス12は、例えば
良好な解像度を有するデジタルカラー写真デバイス
又は、4V LED内蔵照明を備えるイメージ解像度450000ピクセルを有する会社DEKAのフォトファインダ(Fotofinder)(商標)カメラや、特に会社ソニーから市販されているデジタルカラーカメラなどのデジタルカラーカメラ12
であってもよい。
【0073】
次いで、このデジタルイメージが、適切なリード13のような、当業者には周知の市販の転送手段を介して、デジタルイメージ処理デバイスに送られる。
【0074】
さらに、当業者には周知の通り、上述のデジタルイメージ処理デバイスは、市販されているものであり、例えば、リード13でカメラ12にリンクされたコンピュータ50上にインストールすることのできるイメージ解析ソフトウェア ビジログ(VISILOG)6.2などのソフトウェアの形態をとっている。コンピュータ50は、当然に、その画面54を有するモニタ52、そのキーボード56、及びマウス58と組み合わされる。
【0075】
本発明によれば、デジタルイメージ処理装置は、R、G、Bと呼ばれる赤60、緑70、青80の3つのカラープレーンにデジタルイメージを分割する手段を備える。デジタルイメージ処理装置はまた、これらのプレーンのうちの1つだけ、又はこれらのプレーンの組合せを抽出する手段をも備える。この場合、欠陥16について、青色に対応する所謂青色プレーン80(B)を抽出するための準備が行われ、したがって、得られた所謂青色不欠陥が16Bと下位参照される。このイメージ16Bは、皮膚の欠陥に関係しており、この場合、第1実施形態によれば色素斑の欠陥に関係する。このイメージにグレイレベルの閾値処理を施すことができ、したがって閾値処理済イメージが得られ、閾値処理済イメージから皮膚欠陥がより良好に認識される。皮膚欠陥は、この場合は、色素斑であるが、皺、ひだ、又は弛緩性皮膚であってもよい。
【0076】
また、本発明によれば、装置は、特に、
・オペレータによって固定され得る上記欠陥に対する原点Oを作成する手段であって、原点Oから、欠陥の領域、この場合はPとPとの間で定義された欠陥のクラウンを少なくとも部分的に通過する少なくとも第1線分S1がプロットされる、当該手段と、
・上記線分上で、P、P...Pと表されるn個(nは2以上の整数)の点Pを作成する手段であって、Pと表されるこれらの点のうちの少なくとも1つが、欠陥の中に位置する、当該手段と、
・原点Oに対する上記点Pの距離を測定及び格納する手段と、上記点Pでグレイレベルを測定及び格納する手段と、
・各点Pについて測定及び格納した距離及びグレイレベルを正規直交基準系に転送する手段であって、正規直交基準系では、x軸が距離を表し、y軸がグレイレベルを表し、又はその逆である、当該手段と、
計算手段と、
を備える。計算手段は、上述のソフトウェアを内蔵し、又は補足するものである。計算手段は、特に上述のオペレータによって与えられる命令又は測定を組み込むために使用され、特に、各線分について、計算手段は、正規直交系で転送された異なる点P〜Pから、特に最小2乗法を使用して、直線を定義、トレース、又はプロットし、欠陥を特性化するために、得られた直線の傾きを計算する計算手段を備える。
【0077】
特定の実施形態では、計算手段は、原点Oから第1線分とは別個の幾つかの別の線分を定義、トレース、又はプロットし、欠陥の領域を少なくとも部分的に通過させ、次いでステップf)〜i)を再現して、プロットした線分が存在するだけ多くの傾き値を得て、それらの傾き値から、欠陥を特性化するために平均を計算するために、予測される。
【0078】
得られた直線の傾きからの欠陥のこの特性化は、以下のように行われる。
【0079】
直線から推論される勾配(又は幾つかの直線から推論される勾配の平均値)が低くなり、又は化粧処置又は皮膚処置に対して低下すると、欠陥が見えにくくなる。
【0080】
特定の実施形態によれば、本発明の装置はまた、グレイレベルの閾値処理を考慮に入れる手段と、線分をプロットする前に、欠陥の凸形エンベロープを求め、オペレータによって固定され得る凸形エンベロープ内の原点を格納する手段と、を備える。
【0081】
本発明による装置の別の特定の実施形態によれば、抽出とは、計算手段がそれに対して上述のパラメータの計算を実施する青色プレーンを抽出することを意味する。
【0082】
本発明によれば、青色プレーン80(B)が、最大のコントラストを示し、皮膚欠陥のより良好な表示を実現するので好ましいことが発見されている。
【0083】
抽出した青色プレーン80(B)に対して、イメージ解析ソフトウェアで提供される数学的フィルタを適用して、フィルタ後のイメージを得ることによって、反射といったイメージからの寄生ノイズを除去することができる。
【0084】
この装置の更に別の特定の実施形態によれば、上記装置は、分析すべき人の皮膚の限定された表面領域34、36、38、40のイメージを撮影するよう提供され、この表面領域上で計算手段が、この表面領域全体にわたって皮膚欠陥の分析を進めることを特徴とする。
【0085】
本発明による装置の好適な特徴によれば、上記装置は、細部を拡大するために、例えば色素斑16Bなどの欠陥が大きい場合に4倍拡大する拡大手段を備える。好適には、こうした拡大手段も、イメージ撮影機器12で得られたイメージを処理する上記ソフトウェアに組み込まれ、オペレータが皮膚欠陥をより良好に検査し、寄生要素又はアーティファクトを除去するためのグレイレベルの閾値処理を評価することが可能となる。
【0086】
本発明による装置の別の好適な特徴によれば、上記装置は、やはりソフトウェアに組み込まれる、グレイレベルの閾値処理を考慮に入れる手段、すなわち、寄生要素をなくすために、ある所定のグレイレベルの閾値未満の又はそれを超えるグレイレベルを除去し、したがって寄生要素が取り除かれたイメージ80Bを生成する手段を備える。
【0087】
好適には、先行する閾値処理ステップで検出したが注目の領域ではない最小の領域を除去するために、やはりソフトウェアで提供される第2数学的フィルタリングが提供され、この場合、皮膚欠陥が非常にはっきりと見える、閾値処理され、浄化されたイメージ80が得られる。この最終イメージ80Bに対して、イメージ解析ステップ及び計算ステップが好適に実施される。
【0088】
本発明の状況では、こうしたイメージ解析が、欠陥、例えば特に皺、ひだ、又は弛緩性皮膚に関する欠陥を含む皮膚の領域の拡大写真、具体的には80B上で行われる。色素斑の場合、皮膚の任意の有用な領域、具体的には手、腕、更には脚が撮影される。
【0089】
皮膚欠陥を量子化する方法は、以下の実施例2に持ち越される色素不完全性を量子化するために実装された。
【0090】
<本発明の実施例2−欠陥の量子化、色素斑の例>
【0091】
この場合に、手の色素斑について統計的に代表的な、男性及び/又は女性の15人のボランティアのサンプルが選択される。
【0092】
取得のために、斑点を参照するために、20倍に拡大した取得を生成することを可能とするフォトファインダカメラを使用して(会社:DEKA、イメージ撮影デバイス:1/4”CCD(合計470000ピクセル)、内蔵照明:LED、4ボルト)、任意の時間に再現することのできるように設ける。
【0093】
斑点イメージバンクが作成されている。斑点は、美容師及び本発明の発明者によってそれぞれあまり見えない斑点、見える斑点、及び非常に見える斑点と視覚的に評価されている。各カテゴリで撮影された9個のイメージのプレートを、それぞれ図5、6、及び7に示す。
【0094】
斑点の輪郭の傾きの計算
【0095】
線分がそこからプロットされる原点Oは、皮膚欠陥の凸形エンベロープの幾何学的中心に対応する。
【0096】
線分は、水平(角度0)に対して角度nθでプロットされる。角度θは例えば45°に設定される。したがって、プロットされる線分数は8個に等しい。
【0097】
点Pが各線分上に配置される。
【0098】
は、斑点内の当該斑点の縁部から20ピクセルの位置に配置され、Pは、斑点の外部の当該斑点の縁部から20ピクセルの位置に配置される。この40ピクセルが通過する領域は、色素斑のクラウンに対応する。したがって、Pはクラウンの内縁部(BIC)に位置し、Pは斑点の縁部(BI)に位置し、Pはクラウンの外縁部(BEC)に位置し、点Pはクラウンの外部に位置する。アプリケーションは、点PとPの間で、クラウンを超えてPまでプロットされ得る各線分に沿って、少なくとも40ピクセルのそれぞれについてグレイレベルを求める。
【0099】
8個の線分のそれぞれについて、線分によって支持される幾つかの直線について傾き(Δグレイレベル/Δピクセル)が計算される。このようにして得られる8個の傾き値の平均が、調査中の斑点を特性化する。
【0100】
以下の表1に結果を要約する。
【表1】

【0101】
<結論>
【0102】
統計の解析は、一方ではあまり見えない斑点について計算した傾きの平均と、他方では見える又は非常に見える斑点について計算した傾きの平均との間に有意な相違があることを示している。この方法は、斑点クラスに関して非常に識別力がある。
【0103】
本発明はまた、説明した手段の技術的均等物を形成する全ての手段、並びにそれらの様々な組合せをも包含する。
【0104】
<本発明の実施例3−脱色化粧品処置の有効性の評価>
【0105】
斑点防止製品について実施された有効性試験で取得されたイメージが解析される。
【0106】
斑点防止製品は、重量で3.3%のリン酸アスコルビルマグネシウムを含む水中油型乳剤の形態のナイトクリームであり(供給源、昭和電工)、皮膚淡色化特性を有する薬剤である。
【0107】
試験手順は以下の通りである。
・ボランティアの数:14人のボランティア、17個の斑点を調査
・領域:手
・斑点防止組成物の塗布:4製品の塗布、1日1回、局所的に(0.560ml)塗布。
・太陽光線保護指数(SPF20)を有するハンド用クリームの、必要なだけ多くの回数の使用
・測定時間:調査開始前(T1)、次いで処置の4週後
・機器:フォトファインダ、会社:DEKA、イメージ撮影デバイス:1/4”CCD(合計:470000ピクセル)、内蔵照明:LED、4ボルト
【0108】
実施例2と同様に傾きが計算される。
【0109】
各基準について、以下の統計的分析が5%の危険度について実施される。
・分散の全体的分析
・時刻1(前)とt4 wkとの比較に関する分散分析
・過剰な残留物を有するボランティアを除去することによる分散の全体的分析。残留物は、異常値、又は分析のバックグラウンドノイズを増大させる値である。
【0110】
<結果>
【表2】

【0111】
適用された試験(方法:95%、Newman−Keuls)は、処置前と処置後4週の斑点のイメージについて計算された傾きの平均の間の有意な相違を示している。傾きの平均値の低下は、皮膚の階調の一様性の増大を反映し、視覚的には斑点の減衰で反映される。
【符号の説明】
【0112】
10…機器、12…デバイス、13…リード、14…デジタルカラーイメージ、16…欠陥、16B…青色欠陥、34,36,38,40…表面領域、50…コンピュータ、52…モニタ、54…画面、56…キーボード、58…マウス、BI…欠陥の縁部、BIC…クラウンの内縁部、BEC…クラウンの外縁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の皮膚欠陥を特性化する方法であって、
a)デジタルカラーイメージ撮影デバイスを使用して、特性化すべき少なくとも1つの欠陥を含む皮膚の領域の少なくとも1つのデジタルイメージを撮影するステップであって、前記イメージが複数のピクセルで画成され、前記イメージがデジタルイメージ処理デバイスに送られる、該ステップと、
b)前記イメージ処理デバイスを使用して、R、G、Bと呼ばれる赤、緑、青の3つのカラープレーンに前記デジタルイメージを分割するステップと、
c)これらのプレーンのうちの1つだけ、又はこれらのプレーンの組合せを抽出するステップと、
を含み、
d)抽出した前記プレーン又はこれらのプレーンの前記組合せ上で欠陥を検出し、
e)前記プレーン又はこれらのプレーンの前記組合せ上で、前記欠陥に対して原点Oを定義し、前記原点Oから、前記欠陥の領域を少なくとも部分的に通過する第1線分(S1、S2、Sn)をプロットし、
f)P、P...Pと表されるn個(nは2以上の整数)の点Pを前記線分(S1、S2、Sn)上に定義し、Pと表されるこれらの点のうちの少なくとも1つが、前記欠陥の中に位置し、
g)適切に定義した各点Pについて、1対の値(x;y)を求め、xは前記原点Oに対する前記点Pの距離であり、yは前記点Pで記録したグレイレベルの値であり、
h)対(x;y)で定義される各点Pを正規直交基準系内に配置し、前記正規直交基準系では、x軸が前記距離を表し、y軸がグレイレベルを表し、又はその逆であり、
i)ステップe)で定義した各線分について、前記正規直交系で、異なる点P〜Pから、特に最小2乗法によって直線を定義、トレース、又はプロットし、前記欠陥を特性化するために、得られた前記直線の傾きを計算する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
各点O、P、P...Pが前記イメージのピクセルに対応する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グレイレベルが、前記欠陥の縁部を求めるために閾値処理され、前記線分(S1、S2、Sn)をプロットする前に、前記欠陥の凸形エンベロープが、前記欠陥内に前記原点Oを設けるために求められる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(CI)と表される前記欠陥の「クラウン」と呼ばれる特定のエリアが求められ、前記欠陥の縁部(BI)の両側に位置する前記クラウンの内縁部(BIC)及び外縁部(BEC)が、前記欠陥の縁部(BI)から、選択された数のピクセルに対応するオペレータによって定義される距離でプロットされる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記クラウンの内縁部(BIC)上に位置する点P、前記欠陥の縁部(BI)上に位置する点P、及び前記クラウンの外縁部(BEC)上に位置する点Pが、前記第1線分上で定義される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記原点Oから、ステップe)で定義された前記第1線分とは別個の幾つかの別の線分であり前記欠陥の領域を少なくとも部分的に通過する線分を定義、トレース、又はプロットし、次いでステップf)〜i)を再現して、プロットした線分が存在するだけの数の傾き値を得て、該傾き値から、前記欠陥を特性化するために平均を計算することを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
好適には最初にプロットした線分からなる所謂水平軸から、THETAの倍数である所定の角度をそれぞれが前記水平軸と共に形成するように他の線分を定義、トレース、又はプロットし、前記角度THETAが、前記オペレータによって定義される0より大きく360°未満である角度である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
THETAが360の約数であり、好ましくは60°未満である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記欠陥を平均として十分に特性化するのに十分な数の、前記欠陥を通過する線分をプロットするために、特に不規則な斑点について、0.1〜60°、より良好には1°〜60°の範囲のTHETA値が選択される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記青色プレーンが抽出される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
オペレータが前記皮膚欠陥をより良好に検査し、寄生要素又はアーティファクトを除去するのに用いる前記グレイレベルの閾値処理を評価することが可能となるよう、前記デジタルカラーイメージ撮影デバイスによって得られた前記イメージが拡大される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
分析すべき人の皮膚の限定された表面領域が選択され、前記表面領域上で、前記皮膚欠陥が該表面領域全体にわたって分析される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記欠陥が、
特に、光線皮膚病の皮膚作用の結果として生じ、接触皮膚病又は薬物光線皮膚病、さらには黒皮症、角化症、例えば老人性角化症又は光線性角化症、老人性黒子(加齢斑)、日光黒子、日焼けや他の皮膚創などの熱傷の永続的効果、瘢痕、アレルギー反応又は光毒反応による斑点、皮膚炎、又は他の類似の小さい固定の色素沈着性病変によって誘発される色素沈着の結果として生じる異常色素沈着のために、或いは白斑(vitiligo)などの一定の白斑(leucodermias)によって誘発される脱色領域のために健康な皮膚とは異なる色の少なくとも1つの斑点の形態の皮膚色異常であり、或いは
皺、ひだ、影、弛緩性皮膚の領域であり、更には、
炎症又は皮膚感染、特に例えば湿疹などの皮膚炎の結果として生じる皮膚病変である、
請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
1人の同じ人の皮膚の少なくとも1つのイメージ又は複数のイメージが、特に幾つかの異なる領域にわたって、デジタルデータ記憶デバイス上に格納される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
人の皮膚欠陥を特性化する装置(10)であって、
a)特性化すべき少なくとも1つの欠陥を含む皮膚の領域(34、36、38、40)の少なくとも1つのデジタルイメージ(14)を撮影するデジタルカラーイメージ撮影デバイス(12)であって、前記イメージが複数のピクセルによって画成され、前記イメージがデジタルイメージ処理装置に送られる、該デジタルカラーイメージ撮影デバイス(12)と、
b)前記イメージ処理装置を使用して、R、G、Bと呼ばれる赤(60)、緑(70)、青(80)の3つのカラープレーンに前記デジタルイメージを分割する手段と、
c)これらのプレーン(80)のうちの1つだけ、又はこれらのプレーンの組合せを抽出する手段と、
を備え、
d)抽出した前記プレーン又はこれらのプレーンの前記組合せ上で欠陥を検出する手段と、
e)前記欠陥に対して原点Oを作成する手段と、前記欠陥を含む前記領域を少なくとも部分的に通過する少なくとも第1線分をプロットする手段と、
f)前記線分上にn個の点Pを作成する手段であって、前記点がP、P...Pと表され、nが2以上の整数であり、Pと表されるこれらの点のうちの少なくとも1つが、前記欠陥の中に位置する、該手段と、
g)前記原点Oに対する前記点Pの距離を測定及び格納する手段と、前記点Pでのグレイレベルを測定及び格納する手段と、
h)各点Pについて測定及び格納した距離及びグレイレベルを正規直交基準系に転送する手段であって、前記正規直交基準系では、x軸が前記距離を表し、y軸がグレイレベルを表し、又はその逆である、該手段と、
i)ステップe)で定義した各線分について、前記正規直交系で、異なる点P〜Pから、特に最小2乗法によって直線を定義、トレース、又はプロットし、前記欠陥を特性化するために、得られた前記直線の傾きを計算する計算手段と、
を備える、装置(10)。
【請求項16】
各点O、P、P...Pが前記イメージのピクセルに対応するように点を選択する手段と、グレイレベルの閾値処理を考慮に入れる手段と、
前記線分をプロットする前に、前記欠陥の凸形エンベロープを求め、前記凸形エンベロープ内の、オペレータによって固定され得る原点を格納する手段と、
前記原点Oから、第1線分とは別個の幾つかの別の線分であり前記欠陥の領域を少なくとも部分的に通過する線分を定義、トレース、又はプロットし、次いでステップf)〜i)を再現して、プロットした線分が存在するだけの数の傾き値を得て、該値から、前記欠陥を特性化するために平均を計算する計算手段と、
好適にはプロットした第1線分からなる所謂水平軸に基づいて、THETAの倍数である所定の角度をそれぞれが前記水平軸と共に形成するように他の線分を定義、トレース、又はプロットするのに使用される計算手段であって、前記角度THETAが、前記オペレータによって定義される0より大きく360°未満である角度である、該計算手段と、
オペレータが皮膚欠陥をより良好に検査し、寄生要素又はアーティファクトを除去するためのグレイレベルの閾値化を評価することを可能にするよう、前記デジタルカラーイメージ撮影デバイスで得られた前記イメージを拡大する手段と、
前記計算手段が前記計算を実施する青色プレーンを抽出する抽出手段と、
前記デジタルイメージから、分析すべき人の皮膚の限定された表面領域を抽出する手段であり、前記表面領域上で、前記計算手段が、前記限定された表面領域の全体にわたって前記皮膚不完全性を分析し、特に、前記パラメータを計算し、前記閾値処理を生成する、該手段と、
前記デジタルイメージが撮影されている皮膚表面を照明する手段と、
1人の同じ人の皮膚の少なくとも1つのイメージ又は複数のイメージをデジタルデータ記憶装置上に格納する手段、
のうちの1以上の手段を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
mono−CCD、DI−CCD、又はTRI−CCD型のデジタルカラー写真機器又はデジタルカラーカメラ(12)が、前記カラーイメージ撮影デバイスとして設けられる、請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
画面(54)を有するモニタ(52)、キーボード(56)、及びマウス(58)と組み合わされ、
R、G、Bと呼ばれる赤(60)、緑(70)、青(80)の3つのカラープレーンに前記デジタルイメージを分割する手段と、
これらのプレーン(80)のうちの1つだけ、好適には青色に対応する所謂青色プレーンを抽出する手段と、
抽出した前記プレーン又はこれらのプレーンの前記組合せ上で欠陥を検出する手段と、
前記欠陥に対する原点Oを作成する手段と、前記欠陥を含む前記領域を少なくとも部分的に通過する少なくとも第1線分を定義、トレース、又はプロットする手段と、
前記線分上でn個の点Pを作成する手段であって、前記点がP、P...Pと表され、nが2以上の整数であり、これらの点のうちの少なくとも1つが、前記欠陥の中に位置する、該手段と、
前記原点Oに対する前記点Pの距離を測定及び格納する手段と、前記点Pでのグレイレベルを測定及び格納する手段と、
各点Pについて測定及び格納した距離及びグレイレベルを正規直交基準系に転送する手段であり、前記正規直交基準系では、x軸が前記距離を表し、y軸がグレイレベルを表し、又はその逆である、該手段と、
特に最小2乗法を使用して、直線を定義、トレース、又はプロットし、前記欠陥を特性化するために、得られた前記直線の傾きを計算する計算手段と、
グレイレベルの閾値処理を考慮に入れる手段と、
前記イメージを拡大する手段と、
皮膚の少なくとも1つのイメージ又は複数のイメージを格納する手段と、
を含む全ての前記手段を組み込むソフトウェアを含むコンピュータ(50)を備える、請求項15〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
化粧薬剤、外皮用薬剤、若しくは製薬剤、又は、前記薬剤を含む化粧組成物、皮膚組成物、又は薬剤組成物の有効性を測定する方法であって、
a)請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法、又は請求項15〜18のいずれか一項に記載の装置による少なくとも1つの欠陥の特性化と、
b)少なくとも1つの前記薬剤を使用して前記欠陥の化粧処置、皮膚処置、又は治療処置を実施した後の、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法、又は請求項15〜18のいずれか一項に記載の装置による、処置した欠陥の特性化と、
c)前記処置の有効性を決定するための2つの特性の比較であって、前記特性化方法から推論される傾き又は傾きの平均の計算を含む、比較と、
d)統計的検定を使用して、処置の前後の傾き又は前記傾きの平均の変動を比較することによる、前記欠陥に関する前記処置の有効性の有意性の決定と、
を含む方法。
【請求項20】
前記欠陥が、皮膚の内因性又は外因性老化、皮膚色異常、更には皮膚の炎症又は感染の結果として生じる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記欠陥が、
特に、光線皮膚病の皮膚作用の結果として生じ、接触皮膚病又は薬物光線皮膚病、さらには黒皮症、角化症、例えば老人性角化症又は光線性角化症、老人性黒子(加齢斑)、日光黒子、日焼けや他の皮膚創などの熱傷の永続的効果、瘢痕、アレルギー反応又は光毒反応による斑点、皮膚炎、又は他の類似の小さい固定の色素沈着性病変によって誘発される色素沈着の皮膚効果の結果として生じる異常色素沈着のために、或いは白斑(vitiligo)などの一定の白斑(leucodermias)によって誘発される脱色領域のために健康な皮膚とは異なる色の少なくとも1つの斑点の形を取る皮膚色異常、或いは
皺、ひだ、影、弛緩性皮膚の領域、更には
炎症又は皮膚感染、特に例えば湿疹などの皮膚炎の結果として生じる皮膚病変
である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
5%以下の誤り確率で有意な低下が得られる、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
処置後に得られる同じ皮膚の領域の第2イメージのパラメータが、処置前の第1皮膚イメージのパラメータと比較される、請求項19〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
活性化粧用薬剤若しくは外皮用薬剤、又は前記活性薬剤を含む化粧組成物若しくは皮膚組成物の有効性が、前記皮膚欠陥に対する前記活性薬剤又は前記組成物の有効性の有意性を決定するために、所与の年齢カテゴリを代表するグループの人々の一団にわたって評価される、請求項19〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
化粧染色組成物による皮膚欠陥、特に色素斑の減衰又はマスキングの有効性を測定する方法であって、
少なくとも傾き又は前記傾きの平均を考慮に入れながら、染色組成物の塗布前の皮膚の基準パラメータを求めるために、染色組成物を塗布する前に、少なくとも1つの所定の皮膚の領域の少なくとも1つの第1デジタルイメージを撮影し、
染色組成物を塗布した後に、少なくとも1つの第2イメージを撮影し、同じパラメータを求め、
処置後に得られた同じ皮膚の領域の第2イメージのパラメータを、処置前の第1皮膚イメージのパラメータと比較する
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−253274(P2010−253274A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−97812(P2010−97812)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(502189579)エルブイエムエイチ レシェルシェ (68)
【Fターム(参考)】