説明

皮膚状態を処置するための装置

本発明は、皮膚の処置、特に美容的な皮膚状態の処置のための、および、太陽でダメージを受けたおよび/または老化した皮膚の外観を改善するための、トランスデューサーのフレキシブルアレイを含む超音波を送達する装置および方法および局所用組成物に関する;本発明はさらに、皮膚を処置する方法におけるこのような装置および組成物の使用に関し、該方法は超音波の適用を包含していてもよい。本組成物は、1またはそれ以上の抗糖化剤、1またはそれ以上の抗酸化剤、皮膚科学的に許容できる賦形剤、さらに、場合により、1種またはそれ以上の、分子シャペロンの発現を誘導することができる物質を含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、皮膚の処置、特に美容的な皮膚状態の処置のための、さらに太陽でダメージを受けたおよび/または老化した皮膚の外観を改善するための、超音波を送達する装置、方法および局所用組成物に関する;本発明はさらに、皮膚を処置する方法におけるこのような装置および組成物の使用に関し、該方法は、超音波の適用を包含していてもよい。
【0002】
発明の背景
皮膚は、医薬的または美容上活性な物質を体内に送達するための可能な一経路である。しかしながら、概して角質層や表皮の透過性は低いため、皮膚は、効率的な送達経路とは一般的に考えられていない。従来、医薬的治療剤の局所的適用は、局所的な外皮部位を対象としてきた。さらに近年、特にこの経路が活性物質の分解が起こる可能性がある肝循環を迂回することから、経皮技術は特に全身系を対象として用いられてきた。
【0003】
皮膚内に分子を送達するために超音波を用いることができる。このような状況において超音波が用いられる場合、これは「超音波導入法(sonophoresis)」と称される。皮膚に適用される超音波は、2つの主要な作用を有する。第一は、急速に振動する圧力場によって空洞形成を発生させ、気泡形成及び崩壊を引き起こし、それにより角質層を貫通するチャンネルを機械的に形成することである。第二の作用は、反射、吸収および分散によりアコースティックエネルギーが減衰することによる、音波が通る材料の直接加熱である。皮膚においては、その不均質性のために他の組織に比べて4倍もの高さでこれが起こる。角質層中の脂質二重層の系が加熱により崩壊することが知られ、これも表皮の透過性の強化に寄与する。超音波の加熱能力に影響を与える要因はいくつかあり、例えば以下が挙げられる:
(i)パルスモードよりも連続モードで超音波を適用すること、
(ii)曝露時間を長くすること、
(iii)非集中的な適用を用いるよりも超音波を集中させること、
(iv)反射の程度を減少させるために用いられる水性ゲルの使用を避けること、
(v)より高い出力密度で超音波を適用すること、
(vi)骨に直接隣接した組織に超音波を適用すること。
【0004】
超音波を用いると、インビトロでの単離した表皮を通る低分子量の分子の拡散は2〜5000倍高まり、理論上の研究では1700倍まで高まることが示されている。インスリンやヘパリンのような大きい分子の薬物でさえも、15分間の20kHzUSを用いた場合、有効に送達されている。あるインビトロでの研究では、51kDaまでのポリ-L-リシン分子は、20kHzの超音波と2〜50W/cm2の範囲の強度を用いて送達できることが見出された。このような透過の高まりを説明するために、いくつかの研究では、個々の孔の直径(28±12Å)の増加よりも、孔の数の増加を報告している。しかしながら、用語「ソノマクロポレーション(sonomacroporation)」は、より大きい孔形成を実際に引き起こす特殊な超音波について用いられてきた。
【0005】
皮膚の透過性は、加熱および/または機械的応力により細胞内脂質を破壊することによって、および、多孔率を高めることによって増加する。6℃(1MHz、0.25W/cm2)〜50℃(20kHz、10〜30W/cm2)の温度上昇が報告されているが、11℃(1MHz、2W/cm2)程度の上昇でも、皮膚のダメージを引き起こすことが示されている。強度1W/cm2の連続モードの超音波では、深さ3cmでの組織の温度が、10分間で40℃に上昇する。
【0006】
マンニトールのようなより小さい分子の場合、前処理として、または、分子の適用と同時に超音波が適用されると、皮膚透過の強化が起こる;それに対して、インスリンのようなより大きい分子の場合、透過の強化は、超音波の適用中にしか記録されなかった。
【0007】
超音波は、経皮の薬物送達を改善するために用いることができる。WO99/34857は、20W/cm2未満、好ましくは10W/cm2未満の出力密度を用いた、様々な活性物質の経皮の薬物送達を開示している;用いられる周波数は、2.5MHz未満、好ましくは2MHz未満、好ましくは1MHz未満、最も好ましくは20〜100kHzであり;インビボでのラットを用いた実験データは、周波数20kHz、出力密度1または1.5または7W/cm2を用いて作製されている。
【0008】
US4,767,402は、超音波を出力密度0〜3W/cm2、好ましくは0.5〜1.5MHzで用いた経皮の薬物送達を説明しており、さらに、出力密度を減少させるにつれ、周波数も減少させるべきと推奨している。周波数870kHzでの出力密度1〜2W/cm2が例示されている。
【0009】
また、皮膚の質の改善を目的とした美容的処置も、表皮、特に外側の角質層のバリア機能によって妨害される。表皮は、角化した細胞/脂質二重層によって、溶質の移動に対する有意な機械的および化学的なバリアとなっている。また、表皮および真皮内には有意な酵素活性も存在し、これらは、塗布された生体異物を中和する生化学的な防御をもたらし、これは、単位体積あたりの活性に関して言えば肝臓での防御に匹敵する。加えて、それらが皮膚を通過して拡散できるかどうかの決定において、活性物質の分子量が重要であることがわかっている。分子量約500Daおよびそれ以上の物質の拡散は、非効率的であることがわかっている。超音波を伴う方法および装置は、皮膚の美容や医療での使用が開示されている。
【0010】
US6,113,559は、集中的超音波ビーム(超音波の出力密度100〜500W/cm2、周波数1〜500MHz)を皮膚領域に適用することによって、真皮層を刺激するかまたは炎症を起こさせて真皮層で変化を引き起こして表皮層の滑らかさに変化を付与するために、真皮層に送達されたエネルギーが組織を加熱するのに十分にし、しわを減らす方法および装置を開示する。
【0011】
セルライト(cellulite)を処置するための超音波療法が周知であり、皮下の脂肪組織を破壊することにおいて超音波エネルギーの適用が有効であることが一般的に証明されている。例えばEP0695559は、セルライトを処置するための多機能の器具に関し、この器具は、例えば患者の体の大腿部へ適用するための超音波振動のエミッターを含んでいてもよい。しかしながら、適切な出力密度と周波数は考察されていない。GB2303552は、非侵襲的にセルライトを減少させるのに有用な超音波装置を開示している。超音波デバイスは、予め決められた周波数約3.3MHzおよび典型的な出力密度2.8W/cm2での、超音波を用いたセルライトの処置に用いられており、エネルギーの50%が、皮膚表面下1.27cm〜2.54cmの深さに吸収される。
【0012】
US6,030,374は、皮膚に超音波を照射し、注射によって皮膚に活性物質を与えることによって、皮膚を介した活性物質の輸送を促進する方法を開示している。この活性物質は、セルライトの出現を低くするために用いることができる。低周波数の超音波に関しては、出力密度0.5〜2.0W/cm2で、周波数25kHz〜3MHzの超音波が用いられ;高周波数の超音波に関しては、出力密度0.2〜1.0W/cm2で、周波数3MHz〜16MHzの超音波が用いられる。
【0013】
US5,665,053は、エンダモロジー(endermology)というボディマッサージ器具に関し、この器具は、操作する者によって選択的に制御される超音波発生器を有する。開示された極めて低周波数の長波長の超音波(10〜40kHz)は、一般的に破壊的な超音波と認識されている範囲に含まれるため、これらは細胞にダメージを与える可能性があり、従って、安全性の理由で、極めて低い出力レベルでの使用を除いては、一般的な使用に適していない。
【0014】
US5,507,790は、局所的な脂肪組織(fat tissue)の脂肪分解反応速度を促進するために、患者の皮下の脂肪組識層(adipose tissue layer)内の部位の温度が40.0〜41.5℃に上昇するように、超音波エネルギーを集中させる装置を開示する。この装置は、集中用素子に、ある周波数(開示なし)の超音波エネルギーを、ある出力密度(開示なし)で供給する超音波トランスデューサーを含む。
【0015】
WO99/56829は、超音波帯具および超音波トランスデューサーアレイ帯具を開示しており、これらは、該超音波帯具および超音波トランスデューサーアレイ帯具を創傷に隣接させて設置し、超音波パルスを発生させることによって、創傷治癒を促進するのに有用であると述べられている。
【0016】
WO99/48621は、広範な領域のための、フレキシブルな圧電性の複合トランスデューサー素子、および、このようなトランスデューサー素子の広範な領域のためのアレイを説明しており、これらは、臀部や背骨のような人体の曲線に適合するように十分なフレキシビリティーを有する。
【0017】
効果的にするために、皮膚の老化や太陽のダメージのような美容的な皮膚の状態の処置では、活性物質を少なくとも真皮上層(真皮乳頭層)の深さに送達しなければならず、それゆえに、この有効な物理的および生化学的バリアを、たとえ加齢に伴って衰えていても、克服することができるメカニズムを用いなければならない。
【0018】
自然な、または、「本来起こるべき」老化による人間の皮膚の変質は、多数の症状を特徴とする。このような症状としては、表皮と真皮の両方が薄くなることや、それらの間の結合組織の平坦化や、引き裂き抵抗、弾性およびバリア機能のような関連する機械的特性の劣化に伴う、創傷治癒、体温調節および免疫機能の不良、が挙げられる。目に見える外観もまた変質し、不均一な色素沈着を伴い、きめが粗くなり、しわができ、乾燥した外観を与える。ほとんどの場合、皮膚の老化は、感染や機能障害を起こす可能性がある機能が不十分な創傷治癒のような場合を除き、医学的な重要性はない。
【0019】
加齢に伴う目に見える皮膚の変質は、程度の差はあれど同時に発生する数種の変化の組み合わせによるものである。この変質は、喫煙や日光浴のような生活様式の選択によって促進されることもあり、目に見えて明らかな変化としては、たるんだ皮膚、きめの粗い皮膚組織、色素沈着異常、くすんだ顔色、および、一般的な光沢の損失が挙げられる。しわまたは皺皮形成は、恐らく、皮膚の老化に最も一般的に関連する症状であり、マトリックスタンパク質およびプロテオグリカンのタイプや分布の変化によって引き起こされることがわかっている。同様に、加齢に伴って衰退する皮膚の機能としては、細胞の代謝、免疫の認識、知覚、傷害応答、血管反応性、ビタミンD生産、バリア機能、体温調節、皮脂生産、化学的な排除、汗の生産、および、機械的な保護が挙げられる。また、pHの変化(4.5〜5)が起こる可能性もある。
【0020】
老化した皮膚は、乳頭間隆起パターンの平坦化を伴う、表皮の厚さと増殖力の減少を特徴とする。目に見えて薄くなることは、基底層の細胞増殖が損なわれると共に、基底層および表皮有棘層におけるアポトーシスが増加することが関連している可能性がある。老化した皮膚は薄くなり、弾性が少なくなり、バリア機能が減少する。これは、真皮において、硬く柔軟ではないマトリックスタンパク質中の細胞含量が少なくなり、ループ状毛細血管の数が減少しているためである。その結果として、上を覆う表皮の質が落ちるが、これは、真皮−上皮接合部(Dermal-Epidermal Junction: DEJ)が平坦化して、DEJに隣接するループ状毛細血管がかなり少なくなり、そのため接触表面領域の減少が起こるためである。2つの層の間での栄養素や代謝産物の変換が減少し、外界の環境状態の変化に応じて層の完全性を維持するのに必要な伝達が損なわれる。
【0021】
皮膚は、内因的な、または、年代に応じた加齢問題に晒されるだけではなく、環境の、または、外因的ならびに問題にも晒される。例えば、食物、汚染および喫煙のような要因が、皮膚の老化速度に影響を与えることがわかっている。しかしながら、最も有力な「老化要因(gerontogen)」として顕著な要因は、日光である。顔の老化の約80%は、日光曝露によるものであることが示唆されている。
【0022】
コラーゲン、エラスチンおよびその他の皮膚の細胞内および細胞外タンパク質が影響を受け、日光性弾力線維症が発症し、真皮中に局部的な線維束状の弾性組織の蓄積が生じる。
【0023】
また、日光の紫外線成分は、表皮の細胞群(ケラチノサイト)、および、真皮の細胞群(線維芽細胞)の減少にも関連する。これは、プログラム細胞死、または、アポトーシスの増加に起因するものであると示唆されている。表皮および真皮は、加齢に伴ってますます無細胞化が進むことがわかっており、これは、この仮説を裏付けている。表皮は、皮膚の乾燥したきめの粗い外観に影響を与えるが、表面の滑らかさの程度を決定するのは、真皮である。マトリックスタンパク質や高度に水が結合しているプロテオグリカンの減少および/または再分布は、概して、しわの外観、および、全般的な表面の滑らかさを左右する。同様に、皮膚の瘢痕化は、外傷後の肉芽組織の形成による異常なタンパク質含量、コンフォメーションおよび分布によるものであって、重ねて言えば、これは本来、表皮の問題ではなくむしろ皮膚の問題である。
【0024】
典型的な光老化の症状としては、きめの粗さ、しわ、不規則な色素沈着、末梢血管拡張症、鱗状になること、および、多種多様な良性、前癌および悪性新生物が挙げられる。光老化は、日光曝露の経験がある肌の白いコーカソイドで顕著であり、顔、頚部および上肢の伸筋表面で最もひどく起こる。弾力線維症は、頚部および胸郭上部に見られるつぶつぶした感触のガチョウの肉のようなものであり、これは真皮中の変質したエラスチン線維の結節性の集合体によるものである。日光曝露した皮膚の真皮乳頭層と真皮網状層において、さらに高濃度化しもつれたエラスチン線維の増加が観察されている。太陽で軽いダメージしか受けていない皮膚においてでさえも、エラスチン線維の直径の5〜20倍の増加が見出され、線維構造がわずかに変化し、正常な構成が変化し、破壊され「虫に食われた」ような外観を与える。
【0025】
総体的に言えば、光によるダメージは、支持細胞外マトリックスへの定量的および定性的な変化を伴う、皮膚の線維芽細胞への進行性傷害によって証明される。太陽エネルギーは皮膚を通過し吸収されるため、ダメージの勾配が起こり、ここでほとんどのダメージは外側の真皮乳頭層に見られ、より深い位置にある真皮網状層へのダメージはそれより少ない。
【0026】
内因的な(年代に応じた)老化は、弾性の損失と代謝活性の減少を伴う皮膚の萎縮を特徴とする。具体的には、角質層は不変のままであるが、真皮-上皮接合部の平坦化を伴い表皮が全体的に薄くなり、それによって、皮膚の脆さが高まる。皮膚の厚さと皮膚の血管分布が減少するが、これは、皮膚の線維芽細胞の数と生合成活性の減少を伴う。この後者の変化は、創傷治癒の遅れによって証明され、さらに加齢もケラチノサイトおよび線維芽細胞の増殖因子に対する応答を減少させる作用を有する。
【0027】
分子レベルおよび超微細構造レベルでは、マトリックスタンパク質において弾性の変化、およびその他の変化がみられる。弾性に関しては、細胞外タンパク質のフィブリリンの減少がみられ、このフィブリリンは、真皮-上皮接合部を真皮乳頭層に連結させるミクロフィブリルの束の主要な構成要素である。これらの束(オキシタラン線維と呼ばれることが多い)が実質的に、表皮と真皮との間の弾性の結合を提供する。真皮-上皮接合部に存在する線維は、線維芽細胞でのみ合成されると考えられてきたが、ケラチノサイトによって合成されることが示されている。光老化した皮膚におけるフィブリリンの濃度が減少していることが見出されており、さらに、フィブリリンはしわ形成に関連することがわかっているため、これは光老化有用なバイオマーカーであることが証明されている。また、フィブリリン濃度は、引張り応力に晒された皮膚でも減少し、皮膚線条(線状萎縮)を示す。
【0028】
インビボでタンパク質は、タンパク質(細胞内と細胞外の両方)と糖類との非酵素反応(メイラード反応)によって、翻訳後修飾によって修飾される。この反応は、糖化(glycation)またはグリコシル化のいずれかとして知られており、タンパク質代謝、組織のリモデリング、糖尿病および老化において重要な役割を果たすことがよく理解されている。皮膚において、このプロセスは紫外線により悪化するが、皮膚の糖化は35歳を過ぎると顕著に増加することが多い。還元グルコースおよびフルクトースのような糖類、または、グリオキサールのようなそれらの反応性中間体と、長い半減期のタンパク質、例えばコラーゲン(人間の皮膚において半減期=15年間)やエラスチンのアミノ基とが真皮中で反応すると、タンパク質の糖化が起こる。このプロセスの結果として、細胞毒性を有する進行性糖化最終生成物(Advanced Glycation End-products: AGE)が蓄積する。
【0029】
糖化の増加は、予め紫外線照射した皮膚で観察されていた。タンパク質糖化の周知のバイオマーカーであるカルボキシメチルリシン(CML)は、真皮の日光性弾力線維症になっている領域で優勢に存在しており、一般的には、光老化した皮膚においてはより高い濃度で存在することが示されており、これは、紫外線で誘導された酸化が、光老化した皮膚におけるAGE形成を促進する可能性があることを示唆している。
【0030】
AGE形成は、数種の作用を有する。進行性の糖化の最終産物で修飾されたタンパク質は、長波長紫外線で誘導された活性酸素種(Reactive oxygen species: ROS)の生成による人間の皮膚における光酸化性の細胞傷害の内因性の増感剤であり、光老化や光発癌に寄与する。また、ROS生成は、ROS生成速度と直接的な関連を有するAGE形成の初期および後期にも関連しており、AGEが形成されたら、順にマトリックスメタロプロテイナーゼ発現が高められ、その結果、健康な消化可能なマトリックスを減少させる。さらに細胞外タンパク質の架橋もみられ、これは、タンパク質の構造的な機械特性の変質を引き起し、規則的で健康なタンパク質の代謝を正しく確実にする体内の天然の酵素、例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)に対するそれらの感受性を減少させる。架橋AGEとしては、ペントシジンのような種が挙げられる。架橋されていないAGEとしては、CMLのような種が挙げられる。また、糖化によってもタンパク質の水の接近しやすさは減少するので、それらはより熱安定性になり、熱変性する可能性が低くなる。
【0031】
体は、タンパク質消化酵素のような、有害なタンパク質改変から防御する生理学的なメカニズムのホストを有する。タイムリーなタンパク質分解によって、障害を受けたタンパク質が酸化によるダメージや架橋を受ける前に除去される。従って、迅速で有効なタンパク質分解は、事実上、抗老化メカニズムに相当する。すでに述べられているが、紫外線で誘導された糖化によって翻訳後修飾されたタンパク質、例えばコラーゲンやエラスチンは、内因性酵素(例えばメタロプロテイナーゼ)の消化に対してより高い耐性を有する。これは、このような酵素の発現の増加と一緒になって、健康な消化可能なマトリックスタンパク質の修飾された有害なタンパク質に対する比率をさらに減少させる。
【0032】
コラゲナーゼおよびエラスターゼのような内因性酵素による天然型のタンパク質の代謝に加えて、その他の系が細胞内と細胞外の両方に存在しており、加齢、および/または、変性した/ストレスを受けたタンパク質を処理している。このようなメカニズムの一つは、分子シャペロンを用いたものである。加齢は、全ての生理学的な系においてホメオスタシスを維持する能力の減少に関連しており、これは、部分的には少なくとも、並行したヒートショックタンパク質を生産する能力の進行性の衰退によって起こるといえる。減衰したヒートショックタンパク質応答は、老化した個体において環境からの攻撃に対する感受性を高めることに寄与する可能性がある。
【0033】
また、ヒートショックタンパク質(HSP)は、ストレスタンパク質としても知られており、タンパク質合成、輸送、フォールディングおよび分解を補助することによって、分子シャペロンとして作用すると考えられている。これは、あらゆる細胞、あらゆる生命の形態に存在するタンパク質群である。これらは、細胞が、環境のストレス、熱、低温または酸素による排除を受けると誘導される。HSPはまた、完全に正常な状態の細胞にも存在し、血管平滑筋における収縮および弛緩応答の調節に関連している;これらは、ストレスの非存在下でさえも、タンパク質のフォールディングと機能において重要な役割を果たす。
【0034】
進行性糖化最終生成物が形成されると、タンパク質はフォールディングされずに、回復不能の架橋やその他の化学修飾を引き起こす。HSPは、リフォールディング/コンフォメーションの維持を促進し、さらに回復不能な障害を受けたタンパク質の迅速な分解も促進することがわかっている。α-クリスタリンのような低分子量のヒートショックタンパク質は、目の水晶体タンパク質を糖化によって誘導された変化から保護することがわかっている。低分子量のヒートショックタンパク質(sHSP)は、共通の「クリスタリン」コアを有することがわかっており、これは、これらのシャペロンの触媒活性に関与すると思われる。α-クリスタリン/Hspシャペロンの作用の理解が高まれば、白内障を治療および予防する治療剤の開発に影響を与えるだろう、ということが示唆されている。
【0035】
ヒートショックタンパク質ファミリーとしては、8kDのユビキチン(ユビキチン-プロテアソームタンパク質分解経路に関連して知られている)、32kDのヘムオキシゲナーゼ-1(長波長紫外線で誘導された酸化ストレスと関連がある)、および、HSP-47、既知のコラーゲンシャペロンが挙げられる。HSP-27は、人間の皮膚で見出されており、これらはインターロイキン-1や腫瘍壊死因子-αと関連しているために、炎症性疾患において予防的役割を果たすことが示唆されている。これは、HSP-27発現が表皮ケラチノサイトの分化と密接に関連しているという理解の下で、HSP-27のようなヒートショックタンパク質は、皮膚の保護、さらに場合によっては紫外線や日焼けによる炎症のサイクルにおいて役割を果たすことを示す。その他の細胞および臓器系とは異なり、表皮ケラチノサイトは、構成的にHSP-72を発現する、すなわち予めストレスに晒さなくてもHSP-72を発現することがわかっている。ヒートショックタンパク質HSP47は、ヒト線維芽細胞におけるプロコラーゲン合成に関する分子シャペロンとして重要であること示されている。HSP47合成は、老化した皮膚や光老化した皮膚で減少している。
【0036】
紫外線曝露後のHSP発現は、紫外線で誘導された細胞死に対する耐性の増加と関連している。HSPの非毒性の誘発物質は、紫外線曝露の迅速かつ長期にわたる作用に対して保護する可能性がある。研究によれば、細胞が予め赤色光や赤外線(IR)光に曝露されると、それに続く紫外線光曝露に対して細胞が保護されることが示された。同様に、細胞のIRによる前処理も、それに続いて適用された致死性の熱応力(51℃)から細胞を保護する。
【0037】
よく知られているHSPの環境ストレスからの予防作用は、加齢に伴って変化する。ストレスに対するHSP応答は、加齢に伴い、恐らく転写レベルで減衰する。人間の皮膚の線維芽細胞へ反復性軽度熱ショック(repetitive mild heat shock: RMHS)を与えることにより、加齢に関連した変化の速度を減少させることが見出された。ある研究では、加齢に関連したヒト線維芽細胞の、糖化タンパク質の蓄積を減少させる能力の減少と、それと平行するHSP70を発現する能力の減少とを関連づけているが、これは、RMHSに晒したヒト線維芽細胞は、高いHSP70発現と、糖化タンパク質の少ない蓄積を示したためである。RMHSの有益な作用は、高いプロテアソーム活性、高いH2O2分解能力、少ないリポフスチンの蓄積、および、長波長紫外線に対する強化された耐性にある。
【0038】
筋肉において標準を越える3〜5℃の温度上昇が、HSP誘導を引き起こすことが示されている。ラット胚において、正常な体温で、30分間のパルス超音波を適用してHSPを誘導したところ、熱ショック応答は、熱だけに特異的なのではなく、機械的応力に応答して起こる可能性もあるということが実証された。同様に、超音波照射したニワトリの胎芽(有意な熱の寄与はまったくない)は、HSP72の合成の増大示し、これは、機械的な刺激によりストレス応答を誘導することができることを示唆している。また、「十分な生物学的作用を起こすためには、ストレスは、曝露中に約10秒間またはそれ以上のあらゆる時間間隔で一定でなければならない」とも結論付けられた。軽度の熱ショックを3日にわたり繰り返したところ、筋肉のHSPレベルが有意に上昇したことが見出されたため、累積的な作用により、HSP生産を刺激することが可能である。
【0039】
ある種の物質は、HSP発現に作用を有する。例えばサリシンは、培養したヒト線維芽細胞およびケラチノサイトにおいて、HSP発現を惹起するのに必要な温度上昇の程度を、42℃から39℃に減少させること、および、それに続く紫外線で誘導されたダメージの程度を減少させることが示されている。また、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)のような既知の刺激原もHSP発現を誘導する。化学的な刺激による細胞のストレスを決定する方法として、切り出した人間の皮膚へSLSを適用することによるHSP27のアップレギュレーションが用いられてきた。しかしながら、類似の研究において、ヒト表皮におけるSLSによって誘導されたHSP27の発現は、ビタミンCの局所的適用によって抑制された。
【0040】
L-カルノシン亜鉛という物質(商品名ポラプレジンクとしても知られる)は、胃粘膜保護細胞中で、化学的刺激によって、適用されたストレスからHSP72(ストレス誘導性HSP70)発現を誘導することが示されている。コントロールとして、ZnSO4およびカルノシンも試験したところ、同じ応答を惹起しないことが見出された。L-カルノシン亜鉛の創傷治癒作用は、抗潰瘍薬として知られており、線維芽細胞のような非内皮細胞におけるその血管増殖性の応答に関連している。
【0041】
熱応力を与えた無傷のラットで、HSP70発現に対するアスピリンの影響を調査した。ラットに、アスピリン(100mg/kg)または媒体のいずれかを単独で、60分間腹腔内注射し、その後、それらを37℃または室温で30分間置いた。アスピリンと熱処理との組み合わせにより、熱処理単独で観察されたレベルに比べて、3〜4倍高いレベルのHSP70のmRNAが生じた。
【0042】
ラットの胃粘膜でのアスピリンの攻撃に対する耐性付与におけるHSP-72および-70の役割が調査されている;慢性的なアスピリン曝露の後、これらのHSPの発現は上昇した。
【0043】
アスピリン、イブプロフェンおよびパラセタモールのような鎮痛薬は、白内障からの保護作用があることがわかっている。この作用の理由は、α-クリスタリンのような低分子量のHSPにおける糖で誘導された架橋の阻害にあった。白内障から保護する酵素は、糖化で誘導された不活性化を受けやすいが、アスピリンは、それらから保護することが示されている。
【0044】
同様に、アセチル-L-カルニチンは、可能性あるシャペロン保護物質として認識されているが、これは、アセチル-L-カルニチンが、低分子量のHSPの可能性がある糖化部位をアセチル化することによって、糖化が介在するタンパク質のダメージからそれらを保護する能力を有することによる。
【0045】
低分子量のヒートショックタンパク質(sHSP)およびクラスタリンは、有意な配列類似性がないにもかかわらず、多くの機能的な類似性を共有する分子シャペロンである。低分子量のヒートショックタンパク質は、細胞内タンパク質に遍在しており、それに対してクラスタリンは、一般的に細胞外に見出される。いずれのシャペロンも、高温、還元および酸化のようなストレス状態下での標的タンパク質の無定形の凝集および沈殿を予防する。HSPおよびクラスタリンの転写はいずれも、転写因子HSF-1が介在する。しかしながら、クラスタリンは、ストレスを受けた標的タンパク質の溶液からの沈殿を予防することにおいて、ある種のsHSP(例えばα-クリスタリン)よりもかなり効率的であることが示されている。
【0046】
クラスタリンは、75〜80kDaのヘテロ二量体タンパク質として発現され、高度に糖化され、その質量の30%が糖で構成されているほどである。α-クリスタリンのような低分子量のヒートショックタンパク質のシャペロン活性は、低いpHほど有意に減少するのに対し、クラスタリンの活性は低いpHほど強化される。これは、局所的なアシドーシス(pH<6)が起こっている組織の損傷または炎症部位に関して重要な関係を示す。クラスタリンがsHSPと共有するその他の類似性は、アポトーシスを調節する能力である。クラスタリンの過剰発現は、アポトーシスを別の方法で誘導する多種多様な物質(例えば、TNF-αや紫外線照射)から細胞を保護することができる。クラスタリンは、ストレスを受けた細胞表面タンパク質と相互作用して、前アポトーシス性のシグナル伝達を阻害するか、または、ストレスを受けている間の細胞内タンパク質の不適切な相互作用を予防する可能性があることが示唆されている。
【0047】
多くの局所的な皮膚用調製物が、医学的な皮膚状態の処置および美容的な皮膚状態の処置、特に皮膚の老化および太陽のダメージの処置のために利用可能である。多くの例において、これらの調製物は効果がなく、あったとしてほんのわずかか、または短期間の有効性しかもたない。従って、皮膚状態の処置において有効な新しい調製物が要求されている。さらに本発明は、このような新規調製物の皮膚への効率的な送達を達成することにおける問題にも取り組んでいる。
【0048】
発明の開示
本発明は、空間立体配置(spaced configuration)において、フレキシブル材料中にアレイとして配置された複数の超音波トランスデューサー素子(ultrasound transducer elements)を含む超音波を皮膚に適用するための装置を提供し、ここで、超音波トランスデューサー素子は、皮膚の領域に、低周波数および/または高周波数で超音波を送達することができる。
【0049】
本発明のこの形態によれば、超音波アレイは、皮膚に貼り付けて、超音波を供給することができるマスク、パッチ(単数又は複数)に包含させることができる。
【0050】
好ましくは、マスクまたはパッチは、顔の表面の少なくとも一部に適合するような形状にする。従って、超音波トランスデューサー素子のフレキシブルアレイは、円形状、または、その他のあらゆる単純な形状または複雑な形状に形成することができ、特に、体の形状および特徴(特に顔の部分と頚部)に適合するように最適化した形状に形成することができる。このアレイは、半径3〜4cmの曲率に曲げることができるほど、好ましくは、単独でカーブした表面と同様に、二重にカーブした表面を取り囲む形状に曲げることができるほど十分に柔軟であると予想される。
【0051】
本発明に係る装置を用いた超音波の適用は、本発明の組成物を適用する前の前処理として用いることができ、または、本発明の組成物は、直接的に適用してもよいし、または、本組成物で含浸させた材料(例えば、ゲルパッドのようなパッド)を介して皮膚に適用してもよく、続いて、このフレキシブルアレイを介して超音波が送達される。本フレキシブル超音波アレイは、本組成物を含み薄い(2〜3mm)使い捨てのゲルパッドに連結することができ、さらに超音波エネルギーを連結させる。適切には、本フレキシブルアレイは、処置の持続時間中、直接的または間接的に(例えば、パッドを介して)皮膚に貼ることができる。
【0052】
本アレイのトランスデューサー素子は、密封されることが好ましく、例えば、水性製剤と密着/連結している場合であっても、電気的な性能を発揮することができる防水性のフレキシブル材料中に収められる。
【0053】
本装置において、超音波を転換したりあるいは消散させたりする可能性があるような、材料における反射の発生を防ぐために、フレキシブル材料は、一方または好ましくは両方のトランスデューサー素子に、少なくともほぼアコースティックに整合している(acoustically matched)ことが好ましい。フレキシブル材料は、熱可塑性物質、熱硬化物質、ゴム、または、それらの混合物から選択される高分子材料を含んでいてもよい。アコースティックに整合しているフレキシブル材料は、通常は、高分子材料、および、必要に応じて充填剤から形成されると予想される。このような高分子材料は、トランスデューサー素子の部品との優れた適合性、生体適合性、および、フレキシビリティーを有すると予想される。適切な高分子材料としては、熱可塑性物質、例えば高密度ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリウレタン、例えば、モルトン・ケミカル(Morton Chemical)より入手可能なCA118およびCA128ならびにエスタン(estane)ポリエステルなど;熱硬化物質、例えばエポキシ類、例えばSpurrエポキシおよびStycast80、Stycast1365-65など;および、ゴム、例えばシリコーンゴム、例えば、ダウ・コーニング(Dow Corning)より入手可能なディスパージョン236(dispersion 236)およびローヌ・プーラン社(Rhone-Poulenc, Inc.)より入手可能なRTV-141など;が挙げられる。必要に応じて、このような高分子材料の音響インピーダンスを、1種またはそれ以上の充填剤を取り込むことによって高めてもよい。適切な充填剤としては、PZT、タングステン、アルミナ、シリカガラス、タングステンカーバイド、チタン、ガラス粉末などが挙げられ、ガラス粉末が好ましい。充填剤の粒子サイズは、約0.1〜約50ミクロン、好ましくは約0.5〜約5ミクロンの範囲であろう。用いられる充填剤の量は、望ましい音響インピーダンスを付与するのに必要な量であろう。通常、約2〜約50体積パーセントの充填剤、好ましくは約5〜約30体積パーセントの充填剤が用いられる。好ましい高分子材料は、シリコーンゴムである。
【0054】
典型的には、トランスデューサー素子は、超音波トランスデューサー素子が、同時に、または、連続的に、低周波数および高周波数の超音波を送達することができるように、別々に超音波発生器に連結されると予想される。
【0055】
本発明に係る装置は、それぞれ高周波数および低周波数の超音波を送達することができる、一連の高周波トランスデューサー素子、および、一連の低周波トランスデューサー素子を有するフレキシブルアレイを含んでいてもよい。高周波および低周波トランスデューサーは、交互に配置されていてもよいし、別のパターンで配置されていてもよく、例えば、2タイプのトランスデューサーが実質的に規則的な配置をとっていてもよい。その他の実施形態において、高周波数および低周波数の素子は、一緒に搭載されていてもよく、例えば互いの上に、具体的には同軸上に搭載されていてもよい。この観点において、トランスデューサー素子は、単一の軸に沿って、低周波数および高周波数の超音波を、連続的に、または、同時に送達することができるデュアル周波トランスデューサー素子であってもよい。デュアル周波トランスデューサーは、ある種のパターンで配置されていてもよく、例えば実質的に規則的な、デュアル周波トランスデューサーの配置をとっていてもよい。トランスデューサーは、円形、またはその他の規則的な形状、もしくは、不規則な形状が可能である。トランスデューサー素子は、適切には、当業界既知のトランスデューサーの材料、例えば圧電セラミック、PVDF、および/または、圧電性の材料、例えば、モーガン・マトロック社(Morgan Matroc, Inc .)から市販されているPZT粉末、セラミック、リラクサ型強誘電体単結晶、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr, Ti)O3、メタニオブ酸鉛Pb(Nb2O6)、改変されたチタン酸鉛PbTi3、例えば(Pb, Ca) TiO3、および、(Pb, Sm) TiO3、チタン酸バリウムBaTiO3、PMN-PT (1-x) Pb (Mg”3Nb2/3) O3-xPbTiO3、PZN-PT/BTNb2/3) O3-x (yPbTiO3- (1-y) PbZrO3) Pb (Zn1/3Nb2/3) O3-xPbTiO3-BaTiO3、 (1-x) Pb (Zn1/3)などを含む。
【0056】
本発明に係る装置において、トランスデューサー素子は、低周波数の成分をパルスモードで、および、高周波数の成分を連続モードで送達することができ、または、より好ましくは、低周波数の超音波成分を連続モードで、高周波数の超音波成分をパルスモードで送達することができる。パルスモードは、調節できるように制御可能であり、可変パルス型、例えば2msオン、8msオフ(20%のデューティサイクル)を提供することができる。
【0057】
本発明に係る装置において、適切には、トランスデューサー素子は、20〜500kHz、好ましくは〜50kHzの低周波数の超音波、および/または、0.5〜3.5MHz、好ましくは〜1MHzから3MHzまでの高周波数の超音波を送達することができる。低周波数の超音波エネルギーの空間的な平均出力密度は、適切には、20〜500mW/cm2である。高周波数の超音波エネルギーの空間的な平均出力密度は、適切には、0.5〜3W/cm2である。
【0058】
第二の観点において、本発明は、高周波トランスデューサー素子および低周波トランスデューサー素子を含むデュアル周波トランスデューサー素子を提供し、好ましくは、高周波および低周波トランスデューサー素子は、同軸上に搭載され、さらに、機械的にかつ電気的に連結されていてもよい。好ましい実施形態において、高周波トランスデューサー素子は圧電セラミック材料を含み、低周波トランスデューサー素子はPVDFを含む。高周波および低周波トランスデューサー素子は、場合により、その間に金属スペーサー素子をはさんで一緒に接着させることができ、ここで、金属スペーサー素子は、金属スペーサー素子でもよい。
【0059】
本発明に係る装置は、本明細書で説明されているようなデュアル周波トランスデューサー素子のアレイを含んでいてもよい。
【0060】
超音波アレイは、望ましい順序の高周波数および/または低周波数の超音波が、パルスモードまたは連続モードで、決まったパターンで送達されるように、プログラム化することができ、それによって、皮膚を過剰に加熱する可能性がある超音波を皮膚に過剰曝露させたり、または曝露不足にさせたりする問題を回避することができる。本発明の装置は、予め決められたパターンおよび予め決められた速度で、超音波場がアレイを通過して移動するように低周波数および高周波数を駆動させるようにして制御することができ、例えば、超音波場は、アレイの全幅(例えば5〜10cm)を横切って左から右まで2〜3秒間、次に戻ってくるのに2〜3秒間、すなわち4〜6秒間のサイクル時間で調節され;または、特にアレイが円形の幾何学的配置を有する場合、超音波場は、アレイの中心に移動して、戻ってくるように調節される。パターンは、同じ処置セッション内で多様であってもよく、例えば、左から右、続いて上から下のパターンであってもよい。理想的には、高周波数と低周波数は、処置しようとする領域がそれぞれの周波数で可能な限り均一に覆われるように適用される。本フレキシブルアレイは、好ましくは、超音波が目に適用されないように設計され、さらに、骨(例えば、頬骨または眼窩)に近接している皮膚への超音波の過剰曝露の可能性が最小化されるようにトランスデューサーが配置され、制御されるように設計される。これは、パルスモードでの超音波の適用によって達成でき、例えば、予め決められた位相配列で超音波を送達することによって達成できる。家庭で使用する場合には、超音波を適用するためのマスク、パッチ(単数または複数)の使用が特に適している。
【0061】
本装置は出力および制御ユニットを含んでいてもよく、これらは、適切には、手で持てるような適切なサイズを有する。このようなユニットは、好ましくは、防水性/拭き取り繊維からなる包装材の中に収められる。出力は、電池、例えば再充電可能な電池から供給されてもよく、コンセントからの供給が利用できない環境での使用が可能になる。ユニットには、好ましくは、使用者が望ましい処置のための設定を選択できるようなコントロール部が提供され、これらは、使用者が、例えば抗老化処置、セルライトの処置または瘢痕の減少のような、異なる用途での設定を選択できるように予め決められたレベルを含んでいてもよく、この様々な設定は、異なる周波数および振幅/出力の設定に基づく。適切には、コントロールユニットは、過剰曝露を予防するための最大時間でのカットアウト(例えば10分間)を含んでいてもよい。例えば処置の日付および/または持続時間を記録するための記憶機能が提供されていてもよい。
【0062】
具体的に好ましい実施形態において、本発明は、アレイ(2)として配置された複数のトランスデューサー素子(15)を含む超音波処置システムに関し、上記トランスデューサー素子は、規格に準拠した材料(4)によって互いに近接して保持され、上記材料は、適切にはシリコーンゴムである(図1a、bおよびc)。
【0063】
各素子(15)は、各素子の正に分極した電極が、境界面(9)で機械的に、かつ電気的に連結されるように配置された2つの部品、すなわち高周波トランスデューサー素子、例えば圧電セラミックディスク素子(5)と、低周波トランスデューサー素子、例えばpvdf素子(7)とを含んでいてもよい。PZT素子(5)の上面(30)、および、pvdf素子(7)の下面(31)は共に、電気的に連結される(図1(d))。各素子(1)は、図1a柔軟に搭載されたプレート(6)上に並置された接触部(3)に取り付けられたバネ状のコネクター(8)を介して、図3で説明されている動力源に別々に連結される。次に、トランスデューサーアレイを、コネクター(11)を介して超音波発生器に連結させてもよい。
【0064】
図2aおよび2bは、特定の形態のトランスデューサー素子を示しており、ここで、PZTディスク(12)は、金属製の素子(13)に導電的になように取り付けられており、これは順に、金属製の環(23)と絶縁スペーサー環(22)を介してpvdf材料(24)に導電的に取り付けられている。導電性の環(21)を介して、共通のHT連結部(9)が完成する。50kHzと1MHzとからなる交互の駆動周波数は、システム図3Bの個々の回路によって、または、図3AのDDSチップを介して発生する。従って、連結されたトランスデューサーは、50kHzおよび1MHzの正弦波パルスのバーストでどちらかにエネルギーが入れられる。活性化シグナルの長さおよび比率は、プロセッサーで制御してもよいし、または、標的組織の測定された特徴に関するセンサーの制御によって得てもよい。
【0065】
図2aにおいて、素子(13)は、集中型(focusing)装置として形成されてもよく、この場合、成形された集中型輪郭(例えば凹面の輪郭)を有する下面を成形することにより、幾何学的に規格準拠した(compliant)、pvdfフィルムに類似する特性が付与される。
【0066】
第三の観点において、本発明は、1種またはそれ以上の抗糖化剤(anti-glycation agent)、1種またはそれ以上の抗酸化剤、皮膚科学的に許容できる賦形剤または賦形剤、さらに、場合により、1種またはそれ以上の、分子シャペロンの発現を誘導することができる物質を含む、組成物を提供する。
【0067】
本発明の組成物は、美容的な皮膚状態の処置において有用であり、具体的には、特に太陽のダメージの作用を改善することによって老化した皮膚の外観が改善されるように作用する。通常、抗糖化剤またはそれぞれの抗糖化剤は、組成物の約0.5〜5%、好ましくは約1〜3%w/wで存在する。
【0068】
適切には、本発明の組成物のいくつかの実施形態において、抗糖化剤は抗酸化活性も有する。
【0069】
組成物に取り込むのに好ましい抗糖化剤としては、ヒスチジンを含むジペプチド、アラニル-L-ヒスチジン(L-カルノシン)またはそれらのペプチド模擬体、N-アセチルシステイン、アミノグアニジン、d-ペニシラミン、アセチルサリチル酸(アスピリン)、パラセタモール、インドメタシンおよびイブプロフェン、および/または、それらの機能的なホモログ、誘導体もしくはプロドラッグの、1種またはそれ以上が挙げられる。
【0070】
ヒスチジンを含む天然のジペプチド、例えばL-カルノシン(β-アラニル-L-ヒスチジン、または、「カルノシン」)は、様々な酸素誘導性フリーラジカルに対して有効であることがわかっており、さらにリポペルオキシルラジカルに対しても有効である。カルノシンは、骨格筋組織に高濃度で存在し、これは、培養したヒト線維芽細胞中で、老化を遅延させて細胞の再活性化を起こすことができる。カルノシンは、抗酸化活性と酸素-フリーラジカル捕捉活性が十分立証されているにもかかわらず、このような単純な分子がこれらの作用をどのように誘導するかというメカニズムはまだわかっていない。カルノシンの予防作用加えて、カルノシンはまた、場合によってはタンパク質のカルボニル基と直接反応することによって、老化したタンパク質の不活性化/除去に直接参加する可能性もある。これらのカルノシニル化されたタンパク質の起こし得る結果としては、不活性リポフスチンの形成、受容体と相互作用した後のプロテアソーム系を介したタンパク質分解およびエキソサイトーシスが挙げられる。
【0071】
カルノシンは、糖化タンパク質の除去に関するタグとなると考えられる。タンパク質のターンオーバーは、熱変性については水和に頼っており、糖化タンパク質は、より高い変性エンタルピーを有することがその分解可能性を明らかに低くしていることが知られる。糖化タンパク質の「カルノシニル化(carnosinylation)」は、このようなタンパク質の表面に接近可能な水を増加させる可能性があり、それにより熱変性中の水和およびアンフォールディングを促進することが示唆されている。この理論は、カルノシニル化された糖化タンパク質に関してより低いΔHおよびΔGの変性が観察されていることによって確認されている。
【0072】
カルノシンは抗糖化剤として作用し、これは、メチルグリオキサール(MG)およびAGEカルボキシメチルリシン(CML)によるカルボニルへの攻撃を阻害する。カルノシンそれ自身は、多種多様な糖類によって容易に糖化され、非突然変異誘発性の付加物が形成される。その保護的な役割は、クリスタリン、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびカタラーゼを糖化から保護する作用に帰する。カルノシンは、抗糖化剤のアミノグアニジンと比較して、優れた有効性および毒性プロファイルを示すことが見出されていることから、カルノシンは、好ましい抗糖化剤である。
【0073】
カルノシンは、Mn+キレート化およびROS捕捉特性を示すが、それらのみでは、老化した線維芽細胞を再活性化することにおいて、それらが有する作用を適切に説明することができない。ある研究によれば、その特性は、カルノシンと、糖化/酸化されたタンパク質およびその他の分子のカルボニル基とが反応することが理由であるとしている;この反応は、「カルノシニル化」と言い、グリコキシド化された(glycoxidised)タンパク質の架橋を阻害して正常な高分子にする;および、カルノシニル化が、グリコキシド化されたポリペプチドの運命に影響を与える可能性がある。ラット胎児線維芽細胞を用いた研究では、L-カルノシンは、5週間の栄養障害の最中でさえ細胞形態の保持を支えたことが実証されている。また、L-カルノシンは、連続培養の4週間後、細胞中の8-ヒドロキシ-デオキシグアノシン(8-OHdG)の形成を有意に減少させる。従って、L-カルノシンの抗老化作用は、恐らく、酸化ストレス中における、その細胞内8-OHdG形成阻害に関連があると推測できる。カルノシンはまた、培養ヒト線維芽細胞の寿命を延長させ、形質転換細胞を死滅させ、細胞をアルデヒドやアミロイドペプチドフラグメントから保護し、インビトロでのタンパク質糖化、および、DNA/タンパク質の架橋を阻害する。線維芽細胞は、カルノシンの存在下で若々しい外観を保つが、カルノシンを除去すると老化した外観に戻る。
【0074】
抗糖化、抗酸化活性加えて、カルノシンはまた、抗炎症性作用も有する。炎症部位で変性したタンパク質は糖化をさらに受けやすくなるため、抗炎症性作用は、糖化の阻害を強化する可能性がある。
【0075】
カルノシンは水溶性であり、このことは、細胞膜を保護するよう作用するα-トコフェロールのような脂溶性の抗酸化剤に対する水相の相対物の一つかもしれない、ということを示唆する。カルノシンおよびカルノシン関連化合物(CRC)(イミダゾール、ヒスチジン、アンセリン)およびエルゴチオネインは、一重項酸素の消光において同様に効率的であることが見出された。フェントン反応で過酸化水素からヒドロキシルラジカルが生成している間、カルノシンは、試験されたCRCよりも有効であることが見出された。しかしながら、ヒト血清リポタンパク質の酸化を測定して、以下のカルノシン関連化合物の効率の順位が示された:アセチルカルノシン < アセチルアンセリン < ホモカルノシン = オフィディン(ophidine) < カルノシン < アンセリン。ここで、カルノシンの成分であるアミノ酸、ヒスチジンおよびアラニンは、脂質またはタンパク質の酸化に対してほんのわずかな阻害作用しか示さないか、まったく示さない。カルノシンの天然レベルは、加齢に伴って、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)系のようなその他の抗酸化系の活性と平行して減少する。加えて、カルノシンそれ自身は、酵素を別の方法で不活性化すると予想されるCu, Zn-SODに含まれるタンパク質のペルオキシルラジカルの細分化から保護することができる。カルノシンは、その一重項酸素消光活性に関してよく知られている。
【0076】
カルノシンは、Cu2+と二量体を形成して錯化することが示されており、これから、なぜカルノシンがフリーラジカル生産を減少させるのかを、別の方法でタンパク質中のAGEと配位的に結合し(カルノシンのイミダゾール環は、AGEのX-結合を含む多くの異なるイミダゾール環と比較することができる)、in situでのヒドロキシルおよびその他の活性酸素種の生産をもたらすと予想される金属と錯化させることによって、Cu2+とFe2+の利用可能なレベルを減少させるためである、と説明することができる。また、カルノシンは、鉄/アスコルビン酸塩で誘導されたリン脂質の酸化を妨害する。
【0077】
カルノシンは、内皮とは無関係の、用量依存性の血管弛緩(血管拡張)を引き起こす。興味深いことに、同じ研究において、カルノシンの成分であるアミノ酸のL-ヒスチジンおよびアラニンは、作用及び用量依存性の血管収縮のどちらも生じないことが見出された。
【0078】
カルノシンは、その成分であるアミノ酸:ヒスチジンおよびβ-アラニンに、生理学的に加水分解される。β-アラニンはコラーゲン合成の促進に関与すると考えられる。ヒスチジンは、その抗炎症性の特性に関して、一重項酸素を捕捉し、鉄およびその他の金属イオンが関与する酸化還元反応を妨害する能力を有することがわかっている。
【0079】
カルノシンは、完成した経腸製剤の一部として投与されると、創傷治癒の速度を改善することが示されているが、創傷治癒調製物で局所的に用いられる可能性については、これまで報告されていない。
【0080】
カルノシンのプロドラッグであるN-アセチル-L-カルノシン(NAC)のようなCRCは、加水分解を受け、in situでカルノシンを生じる。NACは、白内障や緑内障のような眼の障害において酸化ストレスを処理することが示されている。
【0081】
その他のカルノシンホモログとしては、ホモカルノシンおよびアンセリンが挙げられ、これらは、Cu, Zn-SODを不活性化から保護し、Cu2+の放出を予防する。多くのカルノシンホモログは、酵素カルノシンシンセターゼによって生産される。
【0082】
本発明に係る組成物に包含され得るカルノシンの機能的ホモログ、誘導体およびプロドラッグとしては、β-アラニルヒスタミン(カルシニン(carcinine))、N-アセチル-β-アラニルヒスタミン(N-アセチルカルシニン)、L-プロリルヒスタミンおよび/またはn-アセチル-L-カルノシンの、1種またはそれ以上が挙げられる。
【0083】
L-カルノシンの脱炭酸反応は、加水分解酵素に対する耐性が増加した誘導体を提供する。カルノシンペプチド模倣剤(機能的ホモログ)は、天然のカルノシンペプチドに類似した、またはそれらより優れた、フリーラジカルを捕捉する特性および脂質ヒドロペルオキシドを不活性化する特性を有することがわかっている。
【0084】
2つのカルノシンペプチド模倣剤(機能的ホモログ)であるN-アセチル-β-アラニルヒスタミンおよびL-プロピルヒスタミンは、脂質ヒドロペルオキシドが介在するタンパク質架橋の極めて有効な阻害剤である。インビボで、N-アセチル-β-アラニルヒスタミンは、紫外線で誘導された分解から皮膚の酵素を保護することが示されている。
【0085】
本発明に係る組成物は、1種またはそれ以上の抗酸化剤を含み、これは好ましくはアルギニン、アスコルビン酸、アスコルビン酸のプロドラッグまたは誘導体、アスコルビン酸パルミテート、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビル三ナトリウム、アンセリン、カルノシン、オピダイン(opidine)、ホモカルノシン、および/または、アセチルアンセリンからなる群より選択される。一般的に、上記抗酸化剤またはそれぞれの抗酸化剤は、組成物の約0.5〜5%、好ましくは約1〜3%w/wで存在する。
【0086】
アルギニンは、強力な抗酸化剤であり、メイラード型のタンパク質架橋反応の極めて有効な犠牲的な標的である。アルギニンとリシンはいずれも糖化の有効な阻害剤であることが示されているが、アルギニンは特に、AGEそれ自身を形成する傾向がある。加齢に伴って、皮膚と表皮との接合部(DEJ)に隣接したループ状毛細血管の数と直径が減少することがわかっている。その結果として、栄養素の供給、および、代謝およびその他の細胞性プロセスからの副産物の除去が損なわれる。L-アルギニンは、酵素触媒によって酸化窒素(NO)がin situで形成されることによって、血管拡張剤として作用する。L-アルギニンからの酸化窒素(NO)の形成は、現在、心臓血管、中枢および末梢神経系の調節、加えて、その他の恒常性メカニズムに関与する遍在する生化学的な経路と認識されている。
【0087】
アスコルビン酸(ビタミンC、AA)は、多くの生理学的機能に関与する必須の栄養素である。これらは、2回の連続した一電気酸化プロセスを容易に(ただし可逆的に)受けて、比較的非反応性のフリーラジカルであるアスコルビン酸ラジカルを形成するために、優れた還元剤とみなされている。生物において、アスコルビン酸は、フリーラジカルや活性酸素誘導種による酸化ダメージから組織や細胞を保護することができる。X線照射などを含む目の水晶体タンパク質での研究において、AAは、強い長波長紫外線保護能力を発揮することがわかっている。
【0088】
残念なことに、いくつかの状況において、溶液中のアスコルビン酸は、酸化を受け、デヒドロ-L-アスコルビン酸、加えて多くの分解産物を生産する可能性があり、この分解産物が、アスコルビン酸を含む組成物の褐色化を引き起こすと考えられる。アスコルビン酸と酸素分子との反応メカニズムは未だ完全には解明されていないが、高い貯蔵温度、光、高いpH値、および、溶存酸素の存在のような数種の因子が、アスコルビン酸分解を促進することができる。その上、アスコルビン酸と酸素との反応は、金属イオン、具体的には第二銅および第二鉄イオンによって強く触媒される。分解を回避するために、組成物のアスコルビン酸成分は、別々に提供してもよいし、使用直前に組成物のその他の成分に混合してもよい。アスコルビン酸の安定なプロドラッグまたは誘導体は、アスコルビン酸の代替物として、または、アスコルビン酸に加えて、本組成物に含めることができる。
【0089】
アスコルビン酸パルミテートは、スキンケア製品で広く用いられるビタミンCの脂溶性誘導体である。これは、非刺激性であり、アスコルビン酸よりも高い安定を有する。その上、アスコルビン酸パルミテートは、脂溶性の抗酸化剤であり、脂質の過酸化(皮膚において主要なタイプのフリーラジカルのダメージ)からの皮膚の保護において、ビタミンEと少なくとも同等に有効である。
【0090】
リン酸アスコルビルマグネシウムは、ビタミンCの水溶性誘導体である。これは、非刺激性であり、ビタミンCよりも高い安定を有する。最も重要なことには、リン酸アスコルビルマグネシウムは、ビタミンCと同様の皮膚のコラーゲン合成を促進する能力を有するようであるが、それより有意に低い濃度で有効である。ほとんどのビタミンC製剤は酸性が強く、剥離を引き起こすことから、リン酸アスコルビルマグネシウムは、組成物に使用するための、具体的には、敏感な皮膚を有する人向けの組成物、および、剥離作用を防ぐことが望まれる組成物に使用するための、好ましいアスコルビン酸誘導体である。
【0091】
リン酸アスコルビル三ナトリウム(Stay-C(登録商標)50)は、アスコルビン酸のモノリン酸エステルのナトリウム塩である。これは、水溶液中でアスコルビン酸よりも大きい安定性を有するプロビタミンである。皮膚中のホスファターゼは、リン酸アスコルビル三ナトリウムに作用して、アスコルビン酸を放出させる。
【0092】
本発明に係る組成物は、分子シャペロンの発現を誘導することができる1またはそれ以上の物質を含み、具体的に有用なものは、ヒートショックタンパク質の発現を誘導することができる物質である、クラスタリンおよび/またはアルファクリスタリンである。1種またはそれ以上の、分子シャペロンの発現を誘導することができる物質は、アセチルサリチル酸、サリチル酸、亜鉛イオン、亜鉛塩、硫酸亜鉛および/またはL-カルノシン亜鉛であり得る。通常、亜鉛を含む物質は、組成物の約0.1〜1%、好ましくは約0.25〜0.75%、最も好ましくは約0.5%w/wで存在する。アセチルサリチル酸またはサリチル酸が、本組成物中に存在する場合、適切な濃度は、組成物の約0.5〜2.5%、好ましくは約1〜1.5%w/wである。
【0093】
本発明に係る組成物は、1種またはそれ以上の抗アポトーシス性の物質をさらに含んでいてもよく、好ましくはニコチンアミド、L-カルニチン、アセチル-L-カルニチン、N-アセチル-システインおよび/またはL-カルノシンからなる群より選択される。上記抗アポトーシス性の物質、または、ある抗アポトーシス性の物質は、一般的には、組成物の約0.5〜5%、好ましくは1〜3%の濃度で存在する。
【0094】
第四の観点において、本発明は、1種またはそれ以上の、分子シャペロンの発現を誘導することができる物質、および、皮膚科学的に許容できる賦形剤を含む組成物を提供する。
【0095】
本発明に係る組成物は、1種またはそれ以上のビタミン、1種またはそれ以上の低分子量のペプチドおよび/または1種またはそれ以上のアミノ酸、または、それらの誘導体もしくはプロドラッグからなる群より選択される1種またはそれ以上の成分をさらに含んでいてもよい。
【0096】
本発明の組成物に包含されていてもよいビタミンとしては、ビタミンB化合物、例えばチアミン(ビタミンB1)、例えばチアミンピロリン酸塩、例えばベンフォチアミン;ピリドキサミン(ビタミンB6)、ビタミンA、および/または、E、または、それらの誘導体もしくはプロドラッグが挙げられる。
【0097】
ピリドキサミン(B6)は、AGEと脂質過酸化(lipoxidation)産物の形成を有効に阻害し、特に、それ自身でメチルグリオキサール-ピリドキサミン二量体を形成することによってメチルグリオキサール-リシン二量体の形成をブロックすることが示されている。ピリドキサミン(B6)およびチアミンピロリン酸塩(B1)はいずれも、有効なAGE形成のアマドリ転位後の阻害剤であることが示されており、B6は、AGE形成速度と最終的なAGEレベルとにおける測定可能な減少をもたらし、B1は、最終的なAGEレベルのみにおける測定可能な減少をもたらす。いずれの化合物も、AGE形成のアマドリ転位後の阻害において、アミノグアニジンよりもはるかに大きい効力を示す。ベンフォチアミン(チアミンの脂溶性プロドラッグ)のようなチアミン誘導体は、血管における糖尿病の合併症の治療における細胞内での糖化を阻害する見込みのある治療剤として同定されており、さらに、イミダゾロン型のAGE蓄積を阻害することが示されている。
【0098】
本組成物は、1種またはそれ以上の低分子量のペプチド(適切にはジペプチド、トリペプチドおよび/またはテトラペプチドとして)および/または1種またはそれ以上のアミノ酸、例えばプロリン、リシン、ヒスチジン、アラニン、または、それらの誘導体もしくはプロドラッグを含んでいてもよい。
【0099】
本発明に係る組成物は、1種またはそれ以上の多糖類をさらに含んでいてもよく、このような多糖類は、1種またはそれ以上のプロテオグリカン、例えばグリコサミノグリカンであり得る。
【0100】
用いられる1種またはそれ以上のグリコサミノグリカンとしては、低分子量および/または高分子量のヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、および/または、それらの1またはそれ以上の誘導体が可能である。
【0101】
マトリックスタンパク質を脱糖化し、真皮の血管の機能を高める必要性に加えて、本発明に係る組成物の重要な作用は、プロテオグリカン含量と分布の再構築である。プロテオグリカン(PG)は、皮膚に、水和による「滑らかな」ふくよかさを提供するために重要であり、さらに、増殖因子およびその他のサイトカインの細胞内貯留層としても重要である。PGは皮膚の線維芽細胞によって合成され、塩基性線維芽細胞増殖因子(b-FGF)のような増殖因子と密接な関係を有する。コラーゲンのN末端結合ドメインは、糖化による影響を受け、その結果として、真皮中のPGの量および位置が、AGE蓄積の影響を受ける。例えば、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)は、FGF-2との相互作用を介して細胞増殖を促進する。
【0102】
いくつかのGAG、特にヒアルロン酸は、老化した皮膚では存在量が次第に減少することが示されている。真皮中で上記分子は、分子それ自身の体積の1000倍までの量の水と結合するため、皮膚の0.1〜0.3%(乾燥重量)がムコ多糖類のみで構成されている場合でも、どのようなレベルでの減少も、皮膚のトルゴール(turgor)に影響を与えるということが容易に理解することができる。加えて、これらの物質は、場合によっては、結合組織の細胞の移動、増殖および分化に影響を与えることがわかっている。
【0103】
ヒアルロン酸またはヒアルロナン(「HA」)は、長鎖多糖類であり、ほとんどの動物組織における細胞を取り囲む重要な主成分である。HAは、細胞膜上の特異的な受容体に引きつけられ、そこに付着し、体内のダメージや病気を有する部位ではますます数を増やして、皮膚上において有意な量で存在することができる。これは、薬物を必要とする場所に、その薬物を標的化し、その部位に保持させることができる可能性を意味する。HAの安全性プロファイル、その薬物送達能力および、その潜在的な標的化特性により、HAは、局所的な薬物送達として優れた媒体となる。薬物は、HAに共有結合していてもよいし、または、HA誘導体のX-リンク(X-linked)ネットワーク内に含まれていてもよい。
【0104】
ここ数十年、ヒアルロナンは、免疫反応またはその他のあらゆる副作用を伴わない化粧品、粘性物質を用いた外科手術(viscosurgery)および粘性物質を用いた補充療法(viscosupplementation)で用いられてきた。これらは本来、皮膚や軟骨のような結合組織、目のガラス体および滑液に高濃度で存在する。これらの大部分は細胞やタンパク質に結合しているが、一部のHAは間質液に存在する。HAは、グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンとの交互単位からなる多糖類である。そこに存在するカルボキシル基は、通常、皮膚のpH(一般的に約pH4.5〜5.5)でイオン化されており、従って、これらは高い親水性を有する。HAの水との結合特性や重合体の分子サイズは、粘弾性ゲルを形成しやすくし、このゲルは、治療剤の貯蔵庫として作用する表面保持ポテンシャルを有する。HAは親水性特性を有するにもかかわらず、正常な表皮に浸透し、既知の代謝経路を経由して除去される前に、真皮中で細胞外に蓄積することができる。
【0105】
好ましい実施形態において、本発明に係る組成物は、低分子量および高分子量のヒアルロナン、および/または、それらの1またはそれ以上の誘導体を含むと予想される。低分子量のヒアルロナンは、特徴的には、1×106kDa未満の分子量を有し、それに対して、高分子量のヒアルロナンは、一般的に、1×106Daより大きい分子量を有する。
【0106】
HAは、皮膚表面に適用すると、粘弾性の滑らかな、潤滑性を有する膜を形成し、従って、外用されるHAは、皮膚に有益な作用を有するだけでなく、皮膚へ適用した際に組成物がゲル様の層で皮膚と接触したままになるように、組成物の粘度を高めるために用いることができる。これは、本発明に係る組成物で処置した皮膚に超音波を適用する場合に特に有益である。
【0107】
HA分子は、アセトアミドの改変、末端基の還元(ただし最も一般的には、ヒドロキシおよびカルボキシレート基)によって誘導体化することができる。また、グリコシド結合も容易に加水分解され、それより短い鎖またはオリゴ糖が生成する。HA-薬物の付加物は、制御された送達用途のために合成されており、HA-タンパク質の付加物は、バイオマテリアルや細胞基質として合成されている。
【0108】
HAは、生理学的なpHでNa-HAとして存在する。これは、免疫原性がまったくないため、バイオマテリアルおよび薬物送達システムのためのビルディングブロックとして理想的である。HAは、基底膜の周りに薬物の貯蔵庫を形成することによって、皮膚経由の薬物の制御された持続放出を実現する。NaCMC(重量または流動学的に当量の濃度で)も、コンドロイチン硫酸塩(当量濃度で)も、完全な厚さの皮膚におけるヒアルロナン配合物で観察された制御放出作用を発揮しないため、HAは、本発明の目的に特に好ましいグルコサミノグリカンである。HAで経皮吸収が促進される理由は、部分的に皮膚に潤いを与え、堅く詰まった細胞/脂質層を崩壊させる能力にあると考えられる。この点において、HAは、高い水との結合能力によって、その他のGAGより優れている。
【0109】
HAの四糖類は、ストレス条件下でHSP72発現をアップレギュレートし、細胞死を抑制するため、抗アポトーシス作用を発揮することが見出されている。高分子量HA多糖類は、一般的に、抗血管新生、抗炎症性および免疫抑制活性を有する空間充填型の分子である。より低分子量のフラグメント(6〜20kDa)は、血管新生、炎症性および免疫刺激性である。
【0110】
HAは、フリーラジカルのメカニズムに従って、メイラード反応生成物(グルコース-リシン)によって脱重合されることが示されている。HAは、ヒドロキシルラジカルによって脱重合されるが、これは、関節炎における炎症や滑液の分解に関連がある。高い(低くはない)分子量のHAおよびHAの誘導体(例えばBEHA)は、抗酸化剤を捕捉する活性酸素種(ROS)、例えばO2-およびOHとして作用し、これらは別の方法で、皮膚の線維芽細胞の移動および血管増殖性の特性を損なうと予想され、それによって、炎症を長引かせ、創傷治癒を遅らせる。
【0111】
ヒアルロナンは、プロテオグリカン合成を高めて、組織の阻害剤(メタロプロテイナーゼ-1)を刺激する能力を有し、さらに、コラーゲンリモデリングを刺激する、細胞移動を強化し、トランスフォーミング増殖因子-βの発現をアップレギュレートすることによって創傷治癒を刺激する能力を有する。
【0112】
低分子量のHA(〜300kDa)は、Sigma, Poole, Dorset(ウシ硝子体液から単離)より入手可能である。高分子量のHAは、ConvaTec, Flintshire, 英国(ヒト臍帯から単離)より入手可能である。表1a、1bおよび1cに、市販のHA調製物を示す。
【0113】
【表1】

【0114】
本発明に係る組成物に使用するのに適した皮膚科学的に許容できる賦形剤または賦形剤としては、水、水/エタノール混合物(例えば、組成物の%w/wで、25%以下、好ましくは20%以下のエタノール)、粘性のゲルもしくはエマルジョン、水性ゲル、ヒドロゲル、クリームもしくはアプリケーションの形態の水性エマルジョン、クリームもしくはアプリケーションの形態の水中油型エマルジョン、またはゼリーが挙げられる。
【0115】
一般的に、超音波処置と共に適用することができる組成物(ここで、本組成物は、超音波処置の前に、超音波処置中に、または、超音波で前処理した直後に適用される)は、組成物の層が皮膚上に塗り広げられ、例えば本組成物をティッシュまたは脱脂綿で拭き取るか、または、配合物をすすぎ落とすことによって除去されるまで皮膚上の所定位置に留まっているように、粘性の性質を有するであろう。
【0116】
本発明に係る組成物は、皮膜形成成分を含んでいてもよい。本発明に係る組成物には、日焼け止め、湿潤剤、顔料、ファンデーションまたはコンシーラー用顔料、フェイクタン用顔料または組成物から選択される1種またはそれ以上の成分が含まれていてもよい。
【0117】
本発明に係る組成物は、好ましくは、皮膚のpHに近いpHであり、例えばpH4〜pH6、または、pH4.5〜pH5.5のpHである。
【0118】
第五の観点において、本発明は、皮膚に本発明に係る組成物を適用することを含む、皮膚の処置方法を提供する。
【0119】
好ましくは、本方法は、美容的な皮膚の状態の美容的処置の方法である。しかしながら、本発明はまた、医学的な皮膚状態の処置も包含し、この場合、本方法は、医療(medical treatment)の方法である。
【0120】
皮膚の処置方法は、本組成物が適用された皮膚の領域に、または、前処理として、本組成物を適用する予定の皮膚の領域に、超音波を直接的または間接的に適用することをさらに含んでいてもよい。
【0121】
好ましい本発明の方法において、超音波の適用は、本組成物が適用された皮膚の領域に、または、本組成物を適用する予定の皮膚の領域に、低周波数および/または高周波数で、直接的または間接的に行われる。
【0122】
低周波数および高周波数の超音波は、同時に、連続的に、または、別々に、例えば、低周波数および高周波数を何回か交互させて、一回の適用として連続的に、または、別々に(この場合、一連の低周波数の適用と、一連の高周波数の適用とが交互に行われる)適用することができる。低周波数の超音波は、皮膚への分子の送達を容易にするのに有用であると考えられる(「超音波導入法」と称されるプロセス)。高周波数の超音波は、低周波数よりも超音波導入による作用は低いが、高周波数の超音波は、線維芽細胞増殖を刺激する、コラーゲンおよびその他の細胞外マトリックス(ECM)成分の形成(例えばフィブリリン)を刺激する、血液供給を刺激する、加齢に伴って硬くなるECMの弾性の特性を再活性化させる、線維芽細胞(真皮)およびケラチノサイト(表皮)におけるヒートショックタンパク質(HSP-細胞内分子シャペロン)の発現を熱的刺激および機械的な刺激を介して刺激する、という点で、皮膚に有益なその他の多くの作用を有する。
【0123】
好ましい方法において、低周波数および高周波数の超音波は、同時に適用される。
【0124】
低周波数および高周波数の超音波の適用を含む本発明の方法において、超音波の低周波数の成分は、好ましくは、連続モードで適用され、高周波数の成分は、好ましくは、パルスモードで適用される。
【0125】
用語「超音波」は、20kHzおよびそれより高い可聴周波数を意味しており、低周波数の超音波は、20〜500kHzであり、低周波数の超音波エネルギーの空間的な平均出力密度は、20〜500mW/cm2であり;高周波数の超音波は、500kHz(0.5MHz)〜3.5MHzであり、高周波数の超音波エネルギーの空間的な平均出力密度は、0.5〜3W/cm2である。
【0126】
本発明の方法において、一般的に、上記ビームは、集中型ビームではなく、発散型ビームである。目標とする皮膚の温度上昇は、42または43℃までであるが、好ましくはそれより高くならないことである。単一の皮膚の領域に、最低5分間、好ましくは10分間、または、5〜12分間の時間、超音波を照射する。
【0127】
本発明の方法において、超音波は、手で持てるアプリケーターを用いて適用することができ、場合により本発明に係る組成物の皮膚への適用に適したアプリケーターが用いられる。例えば、ヘッドが皮膚表面上を動き回ると同時に配合物が徐々に放出されるように、超音波ヘッドにカートリッジ/ディスペンサーを取り付けてもよく、カートリッジには、予め決められた量の配合物が含まれていてもよい。処置する予定の皮膚の状態に応じて、様々な配合物を含む別々のカートリッジが取り付けられていてもよく、例えば別々のカートリッジに、抗老化処置、瘢痕、皮膚線条が付いた皮膚(stretch-marked skin)またはセルライトの処置のための様々な組成物を含んでいてもよい。超音波は、円形または直線的なストロークで、超音波アプリケーターで皮膚を穏やかにマッサージすることによって適用される。
【0128】
超音波は、本発明の組成物を適用する前の前処理として適用することができる。その代わりに、または、それに加えて、本組成物の、または、本組成物で含浸させた材料の層を、超音波の適用中に、または、その前に、皮膚に適用してもよい。アプリケーターを用いる場合、アプリケーターは、過熱を引き起こす可能性があるため一つの領域だけに超音波が照射されないように皮膚の上を動き回る。超音波と、マッサージする動作によってもたらされる機械的な刺激との組み合わせは、皮膚への刺激を援助し、再活性化や修復を促進することができる。
【0129】
超音波は、処置予定の領域を超音波浴中に浸漬させることによって、例えば素肌を本発明の組成物に直接浸漬することによって適用されるか、または、皮膚を本組成物で被覆し、処置する予定の部分をラッピングし、超音波エネルギーを伝達できる液体に浸漬することによって適用することができる。
【0130】
上述したように、超音波を皮膚に適用するための装置は、空間立体配置において、フレキシブル材料中にアレイとして配置された複数の超音波トランスデューサー素子を含んでいてもよく、ここで、超音波トランスデューサー素子は、皮膚の領域に、低周波数および/または高周波数で超音波を送達することができる。
【0131】
これらの方法を用いた皮膚の処置は、美容診療所もしくは病院のような医療診療所で、または、医師による外科手術で行うことができる。
【0132】
皮膚の直径2〜3cmの円形領域は、最低5分間、好ましくは10分間、または、5〜12分間の時間、超音波照射されると予想される。
【0133】
皮膚の処置が美容診療所もしくは病院のような医療診療所、または、医者による外科手術で行われる場合、本発明の方法で使用するための適切な超音波デバイスは、超音波アレイであって、これは、本明細書で説明されているようなマスクまたはパッチに包含される;または、低周波数および高周波数のアウトプットを作製することができ、アウトプットの周波数とエネルギーの組み合わせが与えられるように設計されたハンドセットを有するデバイスに包含され、このようなデバイスとしては、例えば、デュオ・ソン(Duo SonTM)ユニット(オルトソニックス(Orthosonics), デボン州, 英国)が挙げられる。このデュオ・ソンTMユニットは、現行の仕様書(表2で説明されている)、または、いくらか変更した仕様書のいずれかに沿って用いることができ、このような変更は、活性物質の送達および細胞/タンパク質の刺激が強化されるように、周波数、ワット数およびデューティサイクルパラメーターを最適化することによってによって決定される。このような調整は、このユニットのCEマーキングに関するガイドラインの範囲内に収める。
【0134】
皮膚にへ分子を送達するための超音波(US)または超音波導入法の有効性は、その皮膚への作用に関する2つの観点によるものである。まず第一に、急速に振動する圧力場によって空洞形成を発生させ気泡形成及び崩壊を引き起こし、機械的に角質層を貫通するチャンネルを形成する。第二の作用は、反射、吸収および分散によりアコースティックエネルギーが減衰することによる、音波が通る材料の直接加熱である。皮膚においては、その不均質性のために他の組織に比べて4倍もの高さでこれが起こる。角質層中の脂質二重層の系が加熱により崩壊することが知られ、これも表皮の透過性の強化に寄与する。
【0135】
【表2】

【0136】
実質的には、皮膚の透過性は、加熱および/または機械的応力の組み合わせにより、および多孔率を高めることにより、細胞内脂質を破壊することによって増加する。50℃(20kHz、10〜30W/cm2)への温度上昇が報告されているが、11℃(1MHz、2W/cm2)程度の上昇でも、皮膚のダメージを引き起こすことが示されている。強度1W/cm2の連続モードの超音波では、深さ3cmでの組織の温度が、10分間で40℃に上昇する。組織は、処置上有益になるように、少なくとも5分間、40〜45℃の温度に達する必要があることが示唆されている。1W/cm2〜1MHzの超音波を照射した場合、組織の温度は、0.86℃/分の速度で増加することが示されている。
【0137】
超音波は、ポリマーを分解するように作用することがわかっており、これらのポリマーからの包含されている薬物の放出量を高めるために用いられてきた。多糖類、好ましくはプロテオグリカン、具体的にはHAのようなグルコサミノグリカンのようなポリマーを含む本発明の組成物に超音波が適用されると、超音波は、このようなポリマーを分解する(脱重合する)だろう。これは、HAが本組成物に存在する場合に多数の作用を有し、超音波によって、容易に皮膚に浸透することができるより短い鎖のHAポリマーが生成する。活性物質の透過を容易にするために超音波を用いることに加えて、作用部位におけるこのような活性物質の有効な滞留時間が最大化されることが重要である。微小血管系は、肝臓で分解させるよう、透過部位から物質を除去することが可能である。滞留時間の最適化は、活性物質が望ましい作用を示すことを可能にするのに必要である。本発明の組成物が、多糖類またはプロテオグリカン、具体的にはHAのようなグルコサミノグリカンのようなポリマーを含む場合、超音波処置は、皮膚内のポリマー(例えば、HA)の貯蔵所の形成を補助するだろう。このような貯蔵所は、長い作用の持続時間を実現する活性物質の徐放のための貯蔵庫として作用することができる。
【0138】
また、超音波は、本組成物の活性成分の遊離も刺激する。また、超音波は、皮膚を透過したポリマー多糖類またはプロテオグリカン、具体的にはHAのようなグルコサミノグリカンを脱重合するようにも作用するだろう。HAとアスコルビン酸とが組成物中に存在する場合、HAの脱重合は、アスコルビン酸によって促進されるだろう。この場合、アスコルビン酸が大気中の酸素と反応し、脱重合を刺激するだろう。
【0139】
本発明の組成物は、超音波と併用して適用することができるが、これは必須ではなく、本発明の組成物はまた、超音波を適用しないで皮膚に適用してもよい。好ましい皮膚の処置方法において、1週間ごと、2週間ごと、または、1月ごとに、本発明の第一の組成物を超音波を併用して適用する(本組成物が適用される皮膚を超音波で前処理するか、または、皮膚へ組成物を適用している間に、または、その後に、超音波を用いて皮膚を処置するかのいずれかで)。超音波を用いた皮膚の処置の後に、例えば1日1回、または、12時間おきに、超音波を用いないで本発明の第二の組成物を適用してもよい。第一および第二の組成物は、同一でもよいし、または、組成が異なっていてもよく、ただし、いずれも本発明に係る組成物であろう。
【0140】
本発明はさらに、本発明に係る組成物を含む包帯剤(dressing)を提供するものであり、本包帯剤は、硬膏、パッチ、ゲルパッチ包帯またはフォームの形態で存在していてもよい。
【0141】
またキットも提供され、本キットは、本発明に係る組成物、および、場合により、皮膚に超音波を適用するためのおよび/または本組成物を皮膚に適用するための、超音波源を含むデバイス、および/または、場合によりアプリケーターを含む。本発明に係るキットは、本明細書で説明されているような本発明の方法を行うのに適している。キットは、キットの使用説明書をさらに含んでいてもよい。
【0142】
本発明は、美容的な皮膚の状態の処置における本発明に係る組成物の使用を提供する。また、美容的な皮膚の状態を処置するための美容用組成物の製造における、本発明に係る組成物の使用も提供され、このような皮膚の状態は、例えば、瘢痕化、太陽でダメージを受けた皮膚、老化した皮膚、しわ、きめの粗さ、不規則な色素沈着、毛細管拡張症、弾力線維症、セルライト、オレンジの皮のような皮膚の外観;乾燥した皮膚状態、鱗状になること、座瘡、皮膚線条;発疹、肌荒れ、炎症を起こしている皮膚;斑点、酒さ、アイスピック状のニキビ跡、肥大性およびケロイド瘢痕、および、脱毛からなる群より選択される。
【0143】
本明細書で用いられる用語「美容的な皮膚状態(cosmetic skin condition)」は、皮膚の老化の徴候を含み、例えば、これらに限定されないが、皮膚の老化による、表面的に、目に見える、および触覚的に認識できるあらゆる兆候、同様に、その他のあらゆるマクロまたはミクロの作用が挙げられる。このような徴候は、内在的または外因的な要素、例えば年代に応じた老化、および/または、環境のダメージ(例えば、日光、紫外線、煙、オゾン、汚染物質、ストレスなど)によって誘導されるか、または、引き起こされる可能性がある。これらの徴候は、これらに限定されないが、組織の不連続さが進行すること、例えば、しわ、例えば微細な表面のしわと目の粗い深いしわの両方、皮膚の筋、しかめ面をしたときの筋、表情線、皺皮、日光による皮膚疾患(dermatoheliosis)、光によるダメージ、若年性の皮膚の老化、ひび割れ、隆起、陥没、大きな毛穴(例えば、汗腺、皮脂腺または毛包のような付属器の構造に連結しているもの)、「オレンジの皮」のような皮膚の外観、乾燥、鱗状になること、薄片状にはがれること、および/またはその他の皮膚の凹凸または粗さの形態;皮脂過多の問題、例えば皮脂の過剰生産、油性、顔のてかり、ファンデーションの破綻(breakthrough);異常な落屑(または剥離)、または、異常な表皮の分化(例えば、異常な皮膚の代謝)、例えば鱗状になること、薄片状にはがれること、角化症、過角化;不十分な皮膚の湿潤(または水和)、例えば皮膚バリアのダメージ、環境の乾燥によって引き起こされるもの;皮膚の弾性の損失(機能的な皮膚エラスチンの損失および/または不活性化)、例えば弾力線維症、たるみ(例えば目やあごの領域の腫れなど)、皮膚の堅さの損失、皮膚の引き締まりの損失、歪みからくる皮膚の弾力の損失;非メラニン性の皮膚変色、例えば目の周りの円形領域下の変色、炎症性の腫脹(例えば、酒さなどによる不均一な赤色の着色)、血色の悪さ(青白い顔色)、末梢血管拡張症によって引き起こされた変色;メラニンに関連する過剰に色素が沈着した(または不規則に色素が沈着した)皮膚領域;炎症後色素沈着過度、例えば炎症性の現象の後に起こるもの(例えば、座瘡による損傷、内方発育毛、昆虫/クモの噛み跡または刺し跡、ひっかき傷、切り傷、創傷、擦過傷など);萎縮、例えば(ただしこれらに限定されないが)加齢またはステロイド使用に関連する萎縮;他の組織学的な変化、または、皮膚成分の微視的な変化、例えば基質(例えばヒアルロン酸、グリコサミノグリカンなど)、コラーゲンの破壊、および、構造的な変化または異常(例えば、角質層、真皮、表皮、皮膚の血管系の変化、例えば末梢血管拡張症);損傷に対する組織の応答、例えば痒みまたはそう痒;および、下層組織(例えば、皮下脂肪、セルライト、筋肉、小柱、隔膜など)の変化、特に皮膚に近接している部分の変化を含むプロセスによって生じる可能性がある。
【0144】
本発明はまた、医療における、または、医薬品としての、本発明に係る組成物の使用を提供する。従って、本発明の組成物は、医薬品として使用するために提供される。さらに、例えば、瘢痕化、日焼け、創傷、切り傷、打撲、やけど、やけどの瘢痕化、湿疹、皮膚炎、乾燥した皮膚状態、じんましん、乾癬からなる群より選択される医学的な皮膚の状態を処置するための医薬品の製造における本発明に係る組成物の使用も提供される。
【実施例】
【0145】
実施例1:局所用配合物「局所用1」
局所用1は、以下の成分を含む本発明に係る組成物である:
【0146】
【表3】

【0147】
実施例2:パッチ試験
標準的な4日のパッチ試験アッセイを7日間に延長し、光老化の臨床徴候が改善され得るメカニズムとしてのフィブリリン発現の誘導に対する、閉塞(occlusion)下での、または、超音波を適用しての、局所用1配合物の作用を試験した。
【0148】
前腕皮膚の光老化の臨床的徴候を示す被検者の前腕の裏側に、閉塞下で、以下の生成物を適用した:
(1)67.2%エタノール、30%プロピレングリコールおよび0.05%ブチルヒドロキシトルエン(保存剤)を含み、脱イオン水で100%にした媒体に溶解させた、0.025%t-RA(ポジティブコントロール)、
(2)上記と同じ媒体(単独で)、
(3)局所用1配合物。
【0149】
超音波デバイスを使用して、および、使用しないで、局所用1を投与した。
【0150】
ポジティブコントロールの、0.025%オールトランスRAの局所的適用(閉塞下)を、標準的な4日の時間枠内で適用し、起こり得る有害な副作用を最小化した。
【0151】
フィブリリンは、真皮乳頭層におけるエラスチンネットワークの重要な主成分であり、表皮を下層の真皮に固定する重要な役割を果たす。ポジティブコントロールとしてのオールトランスレチノイン酸(t-RA)の局所的適用は、光老化の臨床徴候を改善する。以前の研究で、閉塞下でのt-RAの4日間の局所的適用(4日のパッチ試験)は、フィブリリンのmRNA、および、閉塞していない(non-occluded)局所的適用で数週間たった後に観察されると予想されるタンパク質の有意な増加を起こすことが実証されており、これは、新しい皮膚への治療的介入の作用を評価する迅速かつ便利な手段を提供する。
【0152】
また、皮膚内のその他の分子を試験することによって、老化もモニターすることができる。以前の研究では、酵素マトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP-1;細胞外マトリックスのリモデリングに必須)3、および、核のレチノイド受容体のレチノイン酸受容体α(RARα;ビタミンAおよびその誘導体の作用を調節するのに必要)4の発現における変化が認められている。異常なタンパク質を除去する経路を同定するために、2種の分子シャペロンを評価した;これらは、ヒートショックタンパク質-72(HSP72)5、および、細胞外のシャペロン、クラスタリン6である。
【0153】
この研究は、非盲検臨床試験であり;生検の評価は、無作為盲検試験であった。この研究は、中度から重度の光老化した前腕皮膚を有すると判断された年齢40〜80歳の10人の被検者で行った。
【0154】
適用された試験対象患者基準は、以下の通り:
年齢40〜80歳;光老化した前腕皮膚の試験に従うことを承諾している;試験用パッチを前腕に4日間装着することを承諾している;4箇所の試験部位それぞれからの3mmの穿刺生検に従うことを承諾している(総計で4つの生検);試験部位の評価を損なうような病状がない;全身性の薬物を用いていない;局所または全身性のレチノイドを、試験に入る前のそれぞれ6ヶ月間、および、12ヶ月の間に用いていない;局所ステロイドまたはその他の局所薬物を2週間用いていない;インフォームド・コンセントに署名している。
【0155】
適用された除外基準は、以下の通り:
試験に入る前の30日間に、実験薬物または実験デバイスの使用歴がある;ケロイド瘢痕の病歴;妊娠または授乳中。
【0156】
研究手順には、病歴を聞くことと身体検査が含まれる;
前腕伸筋の光老化の重症度を0〜9段階で臨床的に格付けすること(0=ダメージなし;9=最大の光によるダメージ);記入して署名されたインフォームド・コンセントを得る。試験が認められた被検者は、6段階またはそれより大きい光によるダメージを有する。
【0157】
材料および方法
パッチ試験プロトコール
6人の健康だが光老化した女性の志願者を採用した(年齢範囲は52〜79歳)。標準的な直径6mmのフィンチャンバー(Finn chamber)下で、前腕伸筋の面に試験物質を別々に適用した:試験物質は、局所用1配合物(20μl/チャンバー)、媒体ベース(20μl/チャンバー)、および、0.025%オールトランスRA(Retin-A(登録商標)クリーム、Janssen-Cilag Ltd., 20μl/チャンバー)であった。加えて、基準となる未処理生検を、基準点として採取した。分析の1日目と4日目に、清潔な皮膚に配合物を適用した。4日目に、オールトランスRAを未処理部位に適用した。8日目に、フィンチャンバーを除去し、1%リグノカイン麻酔下で試験部位それぞれから3mmの穿刺生検を得た。生検をOCT化合物(Tissue-Tek(登録商標), マイルス, インディアナ州, 米国)に埋め込み、および、液体窒素中で急速冷凍した。生検部位を1×4/oのエチロン(ethilon)で縫合し、被検者に、縫合糸の除去のために7〜10日間帰宅するように指示した。
【0158】
超音波プロトコール
10人の健康だが光老化した志願者を採用した(男性:2人;女性:8人;年齢の範囲40〜79歳)。局所用1配合物を、単独で、および、超音波デバイス(デュオ・ソンTMユニット、オルトソニックス、デボン州, 英国)を併用して、前腕伸筋に適用した。低周波数(45kHz, 100mW/cm2, 連続)、および、高周波数(1MHz, 1W/cm2の平均パルス出力, 20%サイクルでのパルス)を、10分間同時に適用し、その間の時間、皮膚の上で超音波の送達ヘッドを動かした。分析の1日目、4日目および7日目に処理を行った。8日目に、各処理部位から3mmの穿刺生検を上述のようにして採取した。
【0159】
スライド調製物
凍結させた切片を、厚さ10μmで製造し(OTFクライオスタット、Bright Instruments Ltd)、組織学的な解析の前に、ゼラチンで被覆したスライドに搭載した。
【0160】
免疫組織化学
光老化した皮膚において減少することが知られている多数の細胞外マトリックス(ECM)分子を、局所用1配合物の起こし得る作用とその送達方法の詳細のために免疫組織化学によって分析した。結果の主要マーカーは、皮膚-表皮接合部(DEJ)に近接しているフィブリリン豊富なミクロフィブリルの分配とした。また、MMP-1およびRARαを発現する表皮ケラチノサイトの数も評価した。起こり得る修復メカニズムを評価するために、分子シャペロン、HSP72およびクラスタリンを試験した。
【0161】
各解析に関してそれぞれ3つの切片(すなわち、3つの切片/処理/患者)で、マーカーを同定した。
【0162】
切片を最適に固定した。トリス緩衝食塩水(TBS;100mMトリス, 150mMのNaCl)中で水和させた後、0.5%Triton(登録商標)-X100(10分間)の添加によって切片を可溶化した。洗浄した後、内因性ペルオキシダーゼ活性を、過量の過酸化水素のメタノール溶液(30分間)とインキュベートすることによって止めた。切片をブロックし、その後、一次抗体を適用した(4℃で一晩インキュベート)。同時に、ネガティブコントロールを、ブロック単独でまたはコントロールマウス血清と、インキュベートした。インキュベート後、切片をTBSで厳密に洗浄し、その後、適切なビオチン化した二次抗体を適用した。さらに、これに、市販のキットを製造元の説明書に従って用いて、酵素ホースラディッシュペルオキシダーゼを結合させた(ABC Elite System, Vector Laboratory, Peterborough, 英国)。クロモゲン(10分間インキュベート)としてVector SG(登録商標)を用いて、TBS中で洗浄して、この反応を止めることによって、抗体を局在化した。Nuclear Fast Redを用いて切片を対比染色し、最後に一連のアルコールで脱水させ、洗浄し、取り外せないように搭載した。
【0163】
【表4】

【0164】
定量化
切片を、無作為盲検で試験し、さらにニコン(Nikon)のOPTIPHOT顕微鏡(東京, 日本)で試験した。ECM成分を評価するため、免疫染色の程度を、半定量的な規模で、5ポイントで評価した(0=染色なし、および、4=最大の染色)。被検者ごと、部位ごとに4つの切片(コントロールを含む)を試験した。免疫染色の程度を、切片1つあたり3点の高倍率視野でスコア付けし、各部位/試験領域について平均スコアを計算した。
【0165】
細胞が関与する染色に関して、高倍率視野1点あたりの陽性の表皮ケラチノサイトの数を評価し、各部位/試験領域について平均スコアを計算した。
【0166】
試験部位間の分布の差、および、様々な期間で試験物質を適用した後の差を、反復測定による分散分析(ANOVA)を用いて有意性に関して評価した。送達方法が結果の測定値に影響を与えるかどうかを評価するために、一対のスチューデントのt検定を用いてデータを試験した。両方のモデルを、SPSS+ソフトウェア(v11.5, SPSS Inc., イリノイ州, 米国)を95%の信頼水準で得られた有意性と共に用いて試験した。
【0167】
結果
紅斑
全ての志願者が、パッチ試験プロトコールに十分な耐性を有していた。さらに、オールトランスRAは、適用部位に著しい紅斑を発生させた。局所用1配合物を用いたところ、紅斑は観察されなかった。
【0168】
パッチ試験プロトコール
フィブリリン-1 IHC
6人中3人の志願者において、オールトランスRA (我々の「模範的な」標準)を適用したところ、DEJに近接してフィブリリン-1の堆積が起こった。局所用1配合物は、試験された6人中4人の志願者においてフィブリリン-1堆積の増加を引き起こしたが、一般的にオールトランスRAを用いて観察されたレベルよりも低いレベルであった(図4)。
【0169】
【表5】

【0170】
MMP-1 IHC
表皮と真皮の両方でMMP-1染色が観察された。4日間のオールトランスRAの全体的な局所的適用(閉塞下)は、表皮ケラチノサイトにおけるMMP-1発現を減少させたが、これは有意なレベルには到達しなかった。局所用1配合物の適用は、同様のレベルの減少を起こした(図5)。
【0171】
【表6】

【0172】
RARα IHC
主として表皮において、RARαのを染色が観察された。4日間のオールトランスRAの全体的な局所的適用(閉塞下)は、表皮ケラチノサイトにおけるRARα発現を有意に減少させた。局所用1配合物の適用は、同様のレベルの減少を起こしたが、これは、このデータ群において有意なレベルには到達しなかった(図6)。
【0173】
【表7】

【0174】
HSP72
HSP72は、主として表皮に見出されており、表皮で強い染色が観察された。オールトランスRAでの処置は、表皮のHSP72の発現を有意に増加させ、局所用1配合物も同様であった(それぞれp=0.005、および、0.012;図7)。
【0175】
【表8】

【0176】
超音波プロトコール
フィブリリン-1
局所用1配合物をさらに、閉塞しないで、または、超音波デバイスを介することをベースとした局所的適用によって、光老化した前腕伸筋に適用した。全ての被験者(n=10)において、超音波による送達は、皮膚と表皮との接合部に近接しているフィブリリンの堆積を有意に増加させた(図8)。
【0177】
【表9】

【0178】
MMP-1
表皮と真皮の両方において、MMP-1染色が観察された。超音波処置後の表皮ケラチノサイトでは、わずかな、有意ではないMMP-1発現の減少しか起こらなかった(図9)。
【0179】
【表10】

【0180】
HSP72
超音波処置後の表皮発現において、わずかな、有意ではないHSP72の増加を示した(図10)。
【0181】
【表11】

【0182】
クラスタリン
超音波処置後の皮膚の発現において、クラスタリンもまた、わずかな、有意ではない増加を示した(図11)。
【0183】
【表12】

【0184】
サマリー
超音波デバイスを用いた局所用1配合物の適用は、光老化した皮膚と表皮との接合部に近接しているフィブリリンの堆積を有意に増加させた。
【0185】
HSP72発現は、局所用1配合物とオールトランスRAのいずれによっても調節された。その上、局所用1配合物の超音波による送達もまた、HSP72発現を増加させた。ヒートショックタンパク質発現の増加は、環境のストレス要因に対処するよう細胞を刺激することにより(ホルメシス)、皮膚に有益であり得ると言える。従って、表皮ケラチノサイトによるHSP72発現の増加は、ダメージ後の細胞修復プロセスに関与する可能性がある。
【0186】
上記データは、この配合物を適用した後、光老化した皮膚の表皮において、MMP-1およびRARα発現が減少したことを示しており、これは、それらが老化した皮膚の処置への使用に適切であることを支持する。
【0187】
加えて、超音波ベースの皮膚処置の有効性に関する試験の経過中に、以下の非定量的な観察を行った。上記試験のプロトコールの組み立てとは直接比較することはできないが、超音波と共に適用される局所用1配合物は、レチノイド配合物と同様のレベルのフィブリリンの誘導したようにであった。局所用1配合物単独、および、超音波と併用した局所用1配合物は、レチノイド配合物とは異なり、紅斑または表皮の過形成を誘導しなかった。予め超音波で処理した生検部位の瘢痕化の程度は、全てのその他の部位の瘢痕化よりも著しく低かった。
【0188】
参考文献
【0189】
【化1】

【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】図1(a)〜(c)は、トランスデューサー素子のアレイを示す;図1(d)は、デュアル周波数を出す能力を有する別個のトランスデューサー素子を示す。
【図2】図2(a)〜(b)は、トランスデューサー素子を示す。
【図3】図3Aは、交互の高周波数および低周波数を発生させるための単一のDDSチップを示し、それに対して、図3Bでは、高周波数および低周波数は、別個の回路で発生させる。
【図4】図4は、皮膚-表皮接合部に近接しているフィブリリン発現に対する局所用1配合物の作用を示す。
【図5】図5は、表皮におけるMMP-1発現に対する局所用1配合物の作用を示す。
【図6】図6は、表皮におけるRARα発現に対する局所用1配合物の作用を示す。
【図7】図7は、表皮におけるHSP72発現に対する局所用1配合物の作用を示す。
【図8】図8は、超音波処置後の、皮膚-表皮接合部に近接しているフィブリリン発現に対する局所用1配合物の作用を示す。
【図9】図9は、超音波処置後の表皮のMMP-1発現に対する局所用1配合物の作用を示す。
【図10】図10は、超音波処置後の表皮のHSP72発現に対する局所用1配合物の作用を示す。
【図11】図11は、超音波処置後の皮膚のクラスタリン発現に対する局所用1配合物の作用を示す。
【図1(a)】

【図1(b)】

【図1(c)】

【図1(d)】

【図2a】

【図2b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間立体配置において、フレキシブル材料中にアレイとして配置された複数の超音波トランスデューサー素子を含み、該超音波トランスデューサー素子は、皮膚の領域に、低周波数および/または高周波数で超音波を送達することができる、超音波を皮膚に適用するための装置。
【請求項2】
顔の表面の少なくとも一部に適合するように成形されたマスクまたはパッチの形態である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フレキシブル材料が、アコースティックに整合している、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記フレキシブル材料が、熱可塑性物質、熱硬化物質、ゴム、または、それらの混合物から選択される高分子材料を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記トランスデューサー素子が、別々に超音波発生器に連結される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記超音波トランスデューサー素子が、低周波数および高周波数の超音波を、同時にまたは連続的に送達することができる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
それぞれ高周波数および低周波数の超音波を送達することができる、一組の高周波トランスデューサー素子、および、一組の低周波トランスデューサー素子を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記トランスデューサー素子が、低周波数および高周波数の超音波を、連続的にまたは同時に送達することができるデュアル周波トランスデューサー素子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記デュアル周波トランスデューサー素子が、共通の軸に沿って、低周波数および高周波数の超音波を送達することができる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記トランスデューサー素子が、低周波数の超音波成分を連続モードで、高周波数の超音波成分をパルスモードで送達することができる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記トランスデューサー素子が、低周波数の成分をパルスモードで、高周波数の成分を連続モードで送達することができる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記パルスモードが可変性である、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記トランスデューサー素子が、約20〜約500KHzの低周波数の超音波を送達することができる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記低周波数の超音波エネルギーの空間的な平均出力密度が約20〜約500mW/cm2である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
トランスデューサー素子が、約0.5〜約3.5MHzの高周波数の超音波を送達することができる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記高周波数の超音波エネルギーの空間的な平均出力密度が約0.5〜約3W/cm2である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
高周波トランスデューサー素子および低周波トランスデューサー素子を含む、デュアル周波トランスデューサー素子。
【請求項18】
前記高周波および低周波トランスデューサー素子が同軸上に搭載される、請求項17に記載のデュアル周波トランスデューサー素子。
【請求項19】
前記高周波および低周波トランスデューサー素子が、機械的にかつ電気的に連結される、請求項17または18に記載のデュアル周波トランスデューサー素子。
【請求項20】
前記高周波トランスデューサー素子が圧電セラミック材料を含み、前記低周波トランスデューサー素子がPVDFを含む、請求項17〜19のいずれか1項に記載のデュアル周波トランスデューサー素子。
【請求項21】
前記高周波および低周波トランスデューサー素子が一緒に接着させてあり、場合によりその間に金属スペーサー素子をはさんでいる、請求項17〜20のいずれか1項に記載のデュアル周波トランスデューサー素子。
【請求項22】
前記高周波および低周波トランスデューサー素子が、その間に金属スペーサー素子をはさんで、一緒に接着させてある、請求項21に記載のデュアル周波トランスデューサー素子。
【請求項23】
空間立体配置において、フレキシブル材料中にアレイとして配置された、請求項17〜22のいずれか1項に記載のデュアル周波トランスデューサー素子を複数含む、超音波を皮膚に適用するための装置。
【請求項24】
図1〜3を参照しながら説明されているような装置またはデュアル周波トランスデューサー素子。
【請求項25】
1種またはそれ以上の抗糖化剤、1種またはそれ以上の抗酸化剤、皮膚科学的に許容できる賦形剤、および、場合により、1種またはそれ以上の分子シャペロンの発現を誘導することができる物質を含む、組成物。
【請求項26】
前記抗糖化剤が抗酸化活性を有する、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記抗糖化剤が、アラニル-L-ヒスチジン(L-カルノシン)N-アセチルシステイン、アミノグアニジン、d-ペニシラミン、アセチルサリチル酸(アスピリン)、パラセタモール、インドメタシンおよびイブプロフェン、および/または、それらの機能的な誘導体もしくはプロドラッグの1種またはそれ以上である、請求項25または26に記載の組成物。
【請求項28】
前記1種またはそれ以上の機能的な誘導体またはプロドラッグが、β-アラニルヒスタミン(カルシニン)、N-アセチル-β-アラニルヒスタミン(N-アセチルカルシニン)、L-プロリルヒスタミンおよび/またはn-アセチル-L-カルノシンである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記1種またはそれ以上の抗酸化剤が、アルギニン、アスコルビン酸、アスコルビン酸のプロドラッグまたは誘導体、アスコルビン酸パルミテート、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビル三ナトリウム、アンセリン、カルノシン、オピダイン、ホモカルノシンおよび/またはアセチルアンセリンからなる群より選択される、請求項25〜28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
前記1種またはそれ以上の、分子シャペロンの発現を誘導することができる物質が、ヒートショックタンパク質、クラスタリンおよび/またはアルファクリスタリンの発現を誘導することができる、請求項25〜29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
前記1種またはそれ以上の、分子シャペロンの発現を誘導することができる物質が、アセチルサリチル酸、サリチル酸、亜鉛イオン、亜鉛塩、硫酸亜鉛および/またはL-カルノシン亜鉛である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
1種またはそれ以上の抗アポトーシス性物質をさらに含む、請求項25〜31のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
前記抗アポトーシス性物質が、ニコチンアミド、L-カルニチン、アセチル-L-カルニチン、N-アセチル-システインおよび/またはL-カルノシンからなる群より選択される1種またはそれ以上の物質である、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
1種またはそれ以上の、分子シャペロンの発現を誘導することができる物質、および、皮膚科学的に許容できる賦形剤を含む、組成物。
【請求項35】
1種またはそれ以上のビタミン、1種またはそれ以上の低分子量のペプチド、および/または、1種またはそれ以上のアミノ酸、または、それらのホモログ、誘導体もしくはプロドラッグからなる群より選択される1種またはそれ以上の成分をさらに含む、請求項25〜34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項36】
1種またはそれ以上の多糖類をさらに含む、請求項25〜35のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項37】
1またはそれ以上のプロテオグリカンをさらに含む、請求項25〜36のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項38】
前記1種またはそれ以上の多糖類が、1種またはそれ以上のグリコサミノグリカンである、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記1種またはそれ以上のグリコサミノグリカンが、低分子量および/または高分子量のヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、および/または、それらの1またはそれ以上の誘導体である、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
低分子量および高分子量のヒアルロナン、および/または、それらの1またはそれ以上の誘導体を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
1×106Da未満の分子量を有する低分子量のヒアルロナンを含む、請求項39または40に記載の組成物。
【請求項42】
1×106Daより大きい分子量を有する高分子量のヒアルロナンを含む、請求項39または40に記載の組成物。
【請求項43】
前記皮膚科学的に許容できる賦形剤が、水、水/エタノール混合物、粘性のゲルもしくはエマルジョン、水性ゲル、ヒドロゲル、クリームもしくはアプリケーションの形態の水性エマルジョン、クリームもしくはアプリケーションの形態の水中油型エマルジョン、またはゼリーである、請求項25〜42のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
皮膜形成成分をさらに含む、請求項25〜43のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項45】
日焼け止め、湿潤剤、顔料、ファンデーションまたはコンシーラー用顔料、フェイクタン用顔料または組成物から選択される1種またはそれ以上の成分をさらに含む、請求項25〜44のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項46】
前記組成物のpHが、pH4〜pH6である、請求項25〜45のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項47】
皮膚に、請求項25〜46のいずれか1項に記載の組成物を適用することを含む、皮膚の処置方法。
【請求項48】
前記方法が美容的な処置方法である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記方法が医療の方法である、請求項4に記載の方法。
【請求項50】
前記組成物が適用された皮膚の領域に、または、前記組成物を適用する予定の皮膚の領域に、前処理として、超音波を直接的または間接的に適用することをさらに含む、請求項47〜49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記組成物が適用された皮膚の領域に、超音波を、低周波数および/または高周波数で直接的または間接的に適用することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項52】
前記低周波数および高周波数の超音波が同時に適用される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記低周波数および高周波数の超音波が別々に適用される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記低周波数の成分が連続モードで適用され、前記高周波数の成分がパルスモードで適用される、請求項51〜53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記低周波数の超音波が約20〜約500KHzである、請求項51〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記低周波数の超音波エネルギーの空間的な平均出力密度が約20〜約500mW/cm2である、請求項51〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記高周波数の超音波が約0.5〜約3.5MHzである、請求項51〜56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記高周波数の超音波エネルギーの空間的な平均出力密度が約0.5〜約3W/cm2である、請求項51〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記超音波が、場合により請求項25〜46のいずれか1項に記載の組成物の皮膚への適用に適合した手持ちアプリケーターを用いて適用される、請求項50〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記超音波が、処置予定の領域を超音波浴中に浸漬させることによって適用される、請求項50〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記超音波が、請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置を用いて適用される、請求項50〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
請求項25〜46のいずれか1項に記載の組成物を含む包帯剤。
【請求項63】
硬膏、パッチ、ゲルパッチ包帯またはフォームの形態である、請求項62に記載の包帯剤。
【請求項64】
請求項25〜26のいずれか1項に記載の組成物、および、場合により、皮膚に超音波を適用するためのおよび/または皮膚に請求項25〜46のいずれか1項に記載の組成物を適用するための、超音波源および/またはアプリケーターを含むデバイスを含む、キット。
【請求項65】
請求項47〜61のいずれか1項に記載の方法に使用するための、請求項64に記載のキット。
【請求項66】
キットの使用説明書をさらに含む、請求項64または65に記載のキット。
【請求項67】
美容的な皮膚状態の処置における、請求項25〜46のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項68】
美容的な皮膚状態を処置するための美容用組成物の製造における、請求項25〜46のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項69】
瘢痕化、太陽でダメージを受けた皮膚、老化した皮膚、しわ、きめの粗さ、不規則な色素沈着、毛細管拡張症、弾力線維症、セルライト、オレンジの皮のような皮膚の外観;乾燥した皮膚状態、座瘡、皮膚線条;発疹、肌荒れ、炎症を起こしている皮膚;斑点、酒さ、瘢痕化、アイスピック状のニキビ跡、肥大性およびケロイド瘢痕、脱毛からなる群より選択される、美容的な皮膚状態を処置するための美容用組成物の製造における、本発明の請求項25〜46のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項70】
医療における、請求項25〜46のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項71】
医薬品としての、請求項25〜46のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項72】
医薬品として使用するための、請求項25〜46のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項73】
医学的な皮膚状態を処置するための医薬品の製造における、請求項25〜46のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項74】
瘢痕化、日焼け、創傷、切り傷、打撲、やけど、やけどの瘢痕化、湿疹、皮膚炎、乾燥した皮膚状態、じんましん、心因性掻痒、および、乾癬からなる群より選択される医学的な皮膚の状態を処置するための医薬品の製造における、請求項25〜46のいずれか1項に記載の組成物の使用。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−515581(P2008−515581A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536269(P2007−536269)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/GB2005/050181
【国際公開番号】WO2006/040597
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(507119397)ダーマグライア・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】