皮膚画像取得装置および皮膚画像取得方法
【課題】皮膚を伸展した状態の画像を一定の条件にて容易に取得する。
【解決手段】皮膚画像取得装置のヘッド部2には、球面状の端面211を有するとともに、端面211が皮膚91に当接する透明な接触部材21、および、接触部材21を介して皮膚91の画像を取得する撮像部23が設けられる。皮膚の性状評価に利用される画像を取得する際には、押し込み機構により、接触部材21が皮膚91に当接する初期状態から皮膚91に向かって所定の距離だけ押し込まれて皮膚91が伸展され、この状態で、撮像部23にて撮像動作が行われる。このように、皮膚91を伸展する接触部材21を介して皮膚91の画像を取得することにより、皮膚91を伸展した状態の画像を一定の条件にて容易に取得することができる。
【解決手段】皮膚画像取得装置のヘッド部2には、球面状の端面211を有するとともに、端面211が皮膚91に当接する透明な接触部材21、および、接触部材21を介して皮膚91の画像を取得する撮像部23が設けられる。皮膚の性状評価に利用される画像を取得する際には、押し込み機構により、接触部材21が皮膚91に当接する初期状態から皮膚91に向かって所定の距離だけ押し込まれて皮膚91が伸展され、この状態で、撮像部23にて撮像動作が行われる。このように、皮膚91を伸展する接触部材21を介して皮膚91の画像を取得することにより、皮膚91を伸展した状態の画像を一定の条件にて容易に取得することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の性状評価に利用される画像を取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の販売現場や、皮膚の診療現場等において皮膚の硬さ(弾力性等を含む。)の性状を評価する際に、従来より様々な手法が用いられている。例えば、非特許文献1では、皮膚を一定方向に伸展させて応力と変位との関係を調べるものや(いわゆる、エクステンソメータ(Extensometer))、二重円筒からなり、皮膚に接着させた内筒を一定の力で回転させて皮膚の変位量の時間変化を調べるもの(ツイストメータ(Twistometer))等を用いた手法が紹介されており、非特許文献2では、吸引器によって皮膚表面を吸引して皮膚の高さの変化を測定するものや、小さなハンマーで皮膚を打った後にできる皮膚のリバウンドを波形として測定するもの(バリストメータ(Ballistometer))、あるいは、拇指と示指とで摘み上げるのと同様の作用を皮膚に生じさせて皮膚の高さを測定するもの(ツゴメータ(Tugometer))等を用いた手法が説明されている。
【0003】
また、特許文献1では、噴射ノズルにて皮膚に圧縮ガスを噴射しつつ高速度カメラにて画像を連続的に取得し、これらの画像に現れた皮膚の皺または光沢の成長、移動、復元、消失等の経時変化に着目して、皮膚のはり、弾力性、柔軟性を評価する手法が開示されている。
【0004】
なお、非特許文献3では、2つの画像間の互いに対応する点を特定するポイントパターンマッチングの一手法が開示されている。
【特許文献1】特開2006−346020号公報
【非特許文献1】高橋元次,「最近の皮膚表面の光学的,力学的測定機」,フレグランスジャーナル 1990年12月号(Fragrance Journal 1990-12),有限会社フレグランスジャーナル社,p.34−40
【非特許文献2】新谷洋一、外2名,「6.皮膚の硬さを測る Custometerで硬さを測る−皮膚粘弾性測定−」,皮膚科診療プラクティス 14 機器を用いたスキンクリニック,株式会社文光堂,2002年5月31日,p.103−113
【非特許文献3】高木幹雄、下田陽久監修,新線画像解析ハンドブック,初版,東京大学出版会,2004年9月10日,p.1687−1693
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、皮膚を実際に伸展しつつ取得される画像に基づいて皮膚の性状評価を行う際に、特許文献1のように、噴射ノズルにて皮膚に圧縮ガスを噴射する場合には、皮膚表面に対する圧縮ガスの噴射方向や皮膚の撮像方向等、皮膚を伸展して撮像する条件が測定毎にばらつきやすくなり、皮膚を伸展した状態の画像を一定の条件にて取得することが困難となる。その結果、皮膚の硬さに係る性状を一定の基準にて評価することができなくなる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、皮膚を伸展した状態の画像を一定の条件にて容易に取得することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得装置であって、凸曲面状の端面を有するとともに、前記端面が皮膚に当接する透明な接触部材と、前記接触部材を介して前記皮膚の画像を取得する撮像部と、前記接触部材を前記皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む押し込み機構と、前記押し込み機構が前記接触部材を前記皮膚に押し込んだ状態で、前記撮像部に画像を取得させる制御部とを備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得装置であって、皮膚の所定の撮像領域の周囲を囲む3以上の箇所にてそれぞれ先端が当接する棒状の3以上の接触子を有する接触部材と、前記3以上の接触子にて囲まれる空間を介して前記撮像領域の画像を取得する撮像部と、前記接触部材を前記皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む押し込み機構と、前記押し込み機構が前記接触部材を前記皮膚に押し込んだ状態で、前記撮像部に画像を取得させる制御部とを備える。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の皮膚画像取得装置であって、前記撮像部が、前記接触部材の周囲から前記皮膚へと入射する光の前記皮膚における散乱光を受光することにより前記画像を取得する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の皮膚画像取得装置であって、前記押し込み機構が前記接触部材を前記皮膚に押し込んだ状態で、前記接触部材を前記皮膚におよそ垂直な軸を中心として所定の角度だけ回転する回転機構をさらに備え、前記画像が、前記回転機構による前記接触部材の回転の直後に取得される。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の皮膚画像取得装置であって、前記押し込み機構による押し込み動作の直前および直後にて前記撮像部にて2つの画像が取得され、前記皮膚画像取得装置が、前記2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める演算部をさらに備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の皮膚画像取得装置であって、前記回転機構による回転動作の直前および直後にて前記撮像部にて2つの画像が取得され、前記皮膚画像取得装置が、前記2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める演算部をさらに備える。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の皮膚画像取得装置であって、前記評価値が、前記皮膚上の特定の位置の前記2つの画像間での変位量である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項5または6に記載の皮膚画像取得装置であって、前記評価値が、前記皮膚上の特定の2点間距離の前記2つの画像間での変化を示す値である。
【0015】
請求項9に記載の発明は、皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得方法であって、a)凸曲面状の端面を有する透明な接触部材を、前記端面が皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む工程と、b)前記接触部材を介して撮像部にて前記皮膚の画像を取得する工程とを備える。
【0016】
請求項10に記載の発明は、皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得方法であって、a)皮膚の所定の撮像領域の周囲を囲む3以上の箇所にてそれぞれ先端が当接する棒状の3以上の接触子を有する接触部材を、前記先端が前記皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む工程と、b)前記3以上の接触子にて囲まれる空間を介して撮像部にて前記撮像領域の画像を取得する工程とを備える。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載の皮膚画像取得方法であって、前記撮像部が、前記接触部材の周囲から前記皮膚へと入射する光の前記皮膚における散乱光を受光することにより前記画像を取得する。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項9ないし11のいずれかに記載の皮膚画像取得方法であって、c)前記a)工程と前記b)工程との間に、前記接触部材を前記皮膚におよそ垂直な軸を中心として所定の角度だけ回転する工程をさらに備える。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項9ないし11のいずれかに記載の皮膚画像取得方法であって、d)前記a)工程の直前に、前記初期状態の前記接触部材を介して前記撮像部にて画像を取得する工程と、e)前記d)工程および前記b)工程にて取得される2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める工程とをさらに備える。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項12に記載の皮膚画像取得方法であって、d)前記a)工程と前記c)工程との間に、前記撮像部にて画像を取得する工程と、e)前記d)工程および前記b)工程にて取得される2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める工程とをさらに備える。
【0021】
請求項15に記載の発明は、請求項13または14に記載の皮膚画像取得方法であって、前記評価値が、前記皮膚上の特定の位置の前記2つの画像間での変位量である。
【0022】
請求項16に記載の発明は、請求項13または14に記載の皮膚画像取得方法であって、前記評価値が、前記皮膚上の特定の2点間距離の前記2つの画像間での変化を示す値である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、皮膚を伸展した状態の画像を一定の条件にて容易に取得することができる。
【0024】
また、請求項3および11の発明では、好ましい画像を取得することができ、請求項4および12の発明では、接触部材の回転による皮膚の変形後の画像を一定の条件にて容易に取得することができ、請求項5ないし8、並びに、請求項13ないし16の発明では、皮膚の硬さに係る性状を数値化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は本発明の一の実施の形態に係る皮膚画像取得装置1の構成を示す図である。皮膚画像取得装置1は、人の頬等の皮膚の画像を取得して皮膚の硬さ(弾力性等を含む。以下同様。)に係る性状を評価するためのものである。皮膚画像取得装置1は、皮膚の性状評価の際に被験者の頭部を固定する固定部11(図1では、固定部11の一部(側面部111)のみを図示している。)、固定部11の側面部111に形成される開口112に挿入されるとともに人の頬等の皮膚91の画像を取得するヘッド部2、ヘッド部2を皮膚91に向かって押し込む押し込み機構3、ヘッド部2からの画像信号が入力されるADコンバータ4、各種演算処理を行うCPUや各種情報を記憶するメモリ等を有するコンピュータ5を備える。コンピュータ5は、ADコンバータ4、ヘッド部2および押し込み機構3に接続され、ADコンバータ4からデジタル化された画像信号(以下、単に「画像」ともいう。)が入力されるとともにヘッド部2および押し込み機構3の制御を行う。
【0026】
図2はヘッド部2を拡大して示す斜視図であり、図2では、後述の回転機構24の図示を省略している。図2に示すように、ヘッド部2は一様な曲率を有する球面状の端面211を有するとともに皮膚91に対してほぼ垂直な方向に伸びるロッド状の接触部材21、接触部材21の端面211とは反対側の端部に接続されるとともに光学系を構成するレンズ等の光学素子が内部に配置されるレンズ支持部22、および、レンズ支持部22の接触部材21とは反対側に配置される撮像部23を備える。接触部材21は、石英やアクリル樹脂等により形成される透明部材とされ、長手方向に垂直な断面は、例えば30ミリメートル(mm)角の正方形とされる。ヘッド部2では、物体側テレセントリック光学系が構築されており、接触部材21の周囲から皮膚91へと入射する光の皮膚91における散乱光が、接触部材21を介してレンズ支持部22内へと取り込まれて光学系により撮像部23へと導かれ、皮膚91の像が撮像部23の撮像面上に形成される。
【0027】
図1に示すように、ヘッド部2の接触部材21のレンズ支持部22側の部位には回転機構24が取り付けられ、回転機構24のモータ241がギアに接続されたシャフトを回転することによりレンズ支持部22に対して接触部材21が皮膚91におよそ垂直な軸(ここでは、接触部材21の中心軸)を中心として所定の角度だけ(一定の回転力にて)回転する。また、押し込み機構3は、モータ31、送りねじ機構32およびガイド部33を有し、モータ31が回転することにより、レンズ支持部22を支持するベース板221が固定部11の側面部111に垂直な方向に移動し、接触部材21が皮膚91に向かって一定の力にて押し込まれる。なお、回転機構24は後述の動作例にて用いられる。
【0028】
図3は皮膚画像取得装置1の機能構成を示すブロック図である。図3中の制御部51、表示部52および入力部53がコンピュータ5が実現する機能であり、図3ではこれらの機能構成のそれぞれを実線にて囲み、他の各機能構成を破線にて囲んで示している。実際には、制御部51はコンピュータ5が所定のプログラムを実行することによりCPUやRAM等により実現される機能であり、制御部51は、ADコンバータ4から入力される画像に基づいて皮膚の性状評価に関する後述の評価値を算出する演算部511、および、当該画像を記憶する記憶部512を有する。
【0029】
図4は、皮膚画像取得装置1が皮膚の画像を取得して皮膚の硬さに係る性状を評価する動作の流れを示す図である。ここで、皮膚の硬さに係る性状とは、接触部材21を用いた後述の動作による皮膚の伸展の度合いや皮膚の歪みの度合いを示すものである。図1の皮膚画像取得装置1が皮膚91の画像を取得する際には、まず、被験者の頭部が固定部11に固定されるとともに、押し込み機構3が接触部材21を僅かに移動することにより、図2に示すように、接触部材21の端面211の頂点近傍のみが皮膚91に当接した状態(以下、「初期状態」という。)とされる(ステップS11)。続いて、初期状態において、撮像部23にて皮膚91を示す多階調の画像が取得され、ADコンバータ4を介して制御部51に出力されて記憶部512にて記憶される(ステップS12)。
【0030】
図5は、撮像部23にて取得される画像を示す図である。図5に示す画像では、皮膚の表面における微細な溝である皮溝による模様(肌理と捉えることもできる。)や毛孔が示されている。後述するように、皮膚91を伸展させた状態の画像も取得されるため、以下、ステップS12の処理にて取得される画像を伸展前画像という。
【0031】
伸展前画像が取得されると、押し込み機構3により接触部材21が初期状態から皮膚91に向かって所定の距離(例えば、10mm)だけ押し込まれる(ステップS13)。このとき、接触部材21の端面211が球面状とされていることにより、端面211に当接する皮膚91の部分が伸展される。そして、押し込み機構3が接触部材21を皮膚91に押し込んだ状態において、制御部51が撮像部23に撮像動作を行わせることにより皮膚91を示す多階調の画像が取得され、ADコンバータ4を介して制御部51に出力されて記憶部512にて記憶される(ステップS14)。
【0032】
図6は、撮像部23にて取得される画像を示す図である。図6に示す画像は、伸展された皮膚91を示しており、図5に示す伸展前画像と同位置にて取得される画像となっている。以下、ステップS14の処理にて取得される画像を伸展後画像という。
【0033】
以上のようにして、伸展前画像および伸展後画像が取得されて準備されると、制御部51により伸展前画像および伸展後画像が表示部52に並べて表示される(ステップS15)。これにより、表示部52上の画像に基づいて、操作者が皮膚91の性状を視覚的に把握することが可能となる。
【0034】
また、演算部511では、伸展前画像の各画素の画素値と所定の閾値とが比較され、画素値が閾値よりも大きい画素には値1が付与され、画素値が閾値以下の画素には値0が付与され、2値画像が取得される。続いて、2値画像において、ラベリング処理により互いに隣接する値1の画素の集合(以下、「クラスタ」という。)が特定され、各クラスタに対して所定の度合いの収縮処理が施される(すなわち、クラスタに対して細らせ処理(細線化処理)が施される。)。このように、伸展前画像を2値化した後に、収縮処理を行うことにより、図7に示すように、細らせ処理後のクラスタを示す2値の伸展前画像(以下、「伸展前2値画像」という。)が取得される。また、伸展後画像も同様に、2値化されるとともに細らせ処理が施され、図8に示すように細らせ処理後のクラスタを示す2値の伸展後画像(以下、「伸展後2値画像」という。)が取得される(ステップS16)。
【0035】
続いて、上記の非特許文献3のポイントパターンマッチングの手法を用いて、伸展前2値画像および伸展後2値画像間の互いに対応する点(すなわち、皮膚91上の同じ部位を示す点)が特定される(ステップS17)。
【0036】
ここで、非特許文献3の手法では、まず、各画像において濃淡レベルの変化が全ての方向に大きく、かつ、その付近で最も大きな変化を示す点を対応点候補として抽出し、一の画像中の各対応点候補に関して、他の画像中の対応する位置と、当該位置を中心とする探索範囲内に存在する各対応点候補とを結ぶ相違ベクトル候補が特定される。一の画像中の各対応点候補の各相違ベクトル候補に対して、当該相違ベクトルに対応する2つの画像中の2つの対応点候補の類似度に基づくラベル確率(マッチング確率)を付与し、一の画像において、一の対応点候補の一の相違ベクトル候補に着目して、当該一の対応点候補の近傍の他の対応点候補における当該一の相違ベクトル候補に対応する相違ベクトル候補(他の画像中の同じ対応点候補を終点とする相違ベクトル候補)のラベル確率が高い(すなわち、局所的な矛盾が少ない)場合には、当該一の相違ベクトル候補のラベル確率が高くなるようにラベル確率が更新され、ラベル確率の更新は、例えばラベル確率の変化がなくなるまで繰り返される(いわゆる、弛緩法)。そして、最終的なラベル確率に基づいて2つの画像間の互いに対応する点が特定される。
【0037】
例えば、図9および図10にそれぞれ示す伸展前2値画像および伸展後2値画像では、上記手法を用いることにより、図10の伸展後2値画像中にて符号P21,P22,P23を付す白い点が、図9の伸展前2値画像中にて符号P11,P12,P13を付す白い点にそれぞれ対応するものとして特定される。そして、点P11,P12間の距離と点P21,P22間の距離との比(差であってもよい。)、点P12,P13間の距離と点P22,P23間の距離との比、および、点P13,P11間の距離と点P23,P21間の距離との比の平均値が評価値として取得される(ステップS18)。
【0038】
このように、皮膚91上の特定の2点間距離の伸展前画像と伸展後画像との間での変化を示す値が評価値として取得され、柔らかい皮膚91では接触部材21による皮膚91の伸展の度合いが大きくなるため評価値が大きくなり、硬い皮膚91では反対に評価値は小さくなる。なお、ステップS17の処理において、表示部52に伸展前2値画像および伸展後2値画像(または、伸展前画像および伸展後画像)が並べて表示され、表示部52上の画像を参照しつつ操作者が入力部53を介して入力を行うことにより、これらの画像間の互いに対応する点の位置が操作者により特定されてもよい。
【0039】
皮膚画像取得装置1では、当該評価値と他の評価手法から導かれる値との変換式が必要に応じて準備され、当該変換式に評価値を代入することにより、他の評価手法に対応する値(変換値)が取得され、表示部52に表示される(ステップS19)。もちろん、皮膚画像取得装置1では、評価値がそのまま表示部52に表示されてもよい。
【0040】
以上に説明したように、図1の皮膚画像取得装置1の撮像部23では、押し込み機構3による押し込み動作により皮膚91を伸展する透明な接触部材21を介して皮膚91の画像が取得される。これにより、皮膚91を伸展した状態の画像を一定の条件にて容易に取得することができる。また、押し込み機構3による押し込み動作の直前および直後(すなわち、初期状態および皮膚91を伸展した状態)にて撮像部23にて2つの画像(伸展前画像および伸展後画像)が取得され、演算部511にてこれらの画像を比較することにより、皮膚91の硬さに係る性状の評価値が求められる。これにより、皮膚91の硬さに係る性状を数値化して、皮膚91の性状を的確に把握することができる。
【0041】
さらに、皮膚画像取得装置1では、伸展前画像および伸展後画像(または、伸展前2値画像および伸展後2値画像)が記憶部512にて記憶されることにより、後日、同一の被験者に対して伸展前画像および伸展後画像を同様にして取得する際に、今回の伸展前画像および伸展後画像を前回の伸展前画像および伸展後画像と共に表示部52に表示する等して、前回と今回とで皮膚91の性状を視覚的に比較することも可能となる。もちろん、前回と今回とで評価値が比較されてもよい。
【0042】
ところで、仮に、ヘッド部2において照明光を接触部材21を介して皮膚91に照射する照明部を設け、皮膚91における照明光の正反射光を撮像部23にて受光する場合には、皮膚91のツヤにより反射光の光量が高くなり、皮膚の肌理を示す画像を適切に取得できなくなる場合がある。これに対し、図2のヘッド部2では、接触部材21の周囲から皮膚91へと入射する光の皮膚91における散乱光を撮像部23にて受光することにより、皮膚91の肌理を示す好ましい画像を取得することが可能となる。
【0043】
また、皮膚画像取得装置1では、皮膚91上の特定の位置の伸展前画像と伸展後画像との間での変位量が評価値とされてもよい。例えば、図9の伸展前2値画像および図10の伸展後2値画像では、伸展前2値画像中の点P11に対応する伸展後2値画像中の位置から点P21までの距離、伸展前2値画像中の点P12に対応する伸展後2値画像中の位置から点P22までの距離、および、伸展前2値画像中の点P13に対応する伸展後2値画像中の位置から点P23までの距離の平均値が評価値とされ、皮膚91の硬さに係る性状が数値化される。さらに、伸展前2値画像中の点P11,P12,P13にて形成される三角形の面積と伸展後2値画像中の点P21,P22,P23にて形成される三角形の面積との比または差が評価値とされてもよい。
【0044】
図11は、皮膚画像取得装置1が皮膚の画像を取得する動作の流れの一部を示す図であり、図4のステップS14とステップS15との間にて行われる処理を示している。本動作例では、図1の回転機構24が用いられる。
【0045】
皮膚画像取得装置1では、撮像部23により図6に示す伸展後画像が取得されると(図4:ステップS14)、押し込み機構3が接触部材21を皮膚91に押し込んだ状態において、回転機構24が接触部材21を皮膚91におよそ垂直な軸を中心として回転することにより、皮膚の端面211に当接する部分が捻られる(ステップS14a)。そして、制御部51が撮像部23に撮像動作を行わせることにより、図12に示すように皮膚91を捻った状態を示す画像(以下、「回転後画像」という。)が取得される(ステップS14b)。なお、本動作例では、後述するように、伸展後画像および回転後画像から評価値が求められるため、図4のステップS12における伸展前画像の取得動作については省略されてもよい。
【0046】
続いて、伸展後画像および回転後画像が表示部52に表示されるとともに(ステップS15)、各画像に対して2値化処理および細らせ処理が施され、図8および図13にそれぞれ示すように、伸展後2値画像、および、細らせ処理後のクラスタを示す2値の回転後画像(以下、「回転後2値画像」という。)が取得される(ステップS16)。そして、ポイントパターンマッチングの手法を用いて、または、操作者により、伸展後2値画像および回転後2値画像間の互いに対応する点が特定される(ステップS17)。
【0047】
図14および図15は、伸展後2値画像および回転後2値画像における互いに対応する点を説明するための図である。図15の回転後2値画像中にて符号P31,P32,P33を付す白い点が、図14の伸展後2値画像中にて符号P21,P22,P23を付す白い点にそれぞれ対応しており、伸展後2値画像中の点P21に対応する回転後2値画像中の位置から点P31までの距離、伸展後2値画像中の点P22に対応する回転後2値画像中の位置から点P32までの距離、および、伸展後2値画像中の点P23に対応する回転後2値画像中の位置から点P33までの距離の平均値が評価値として取得される(ステップS18)。このとき、柔らかい皮膚91では接触部材21による皮膚91の捻れの度合いが大きくなるため、評価値が大きくなり、硬い皮膚91では反対に評価値は小さくなる。そして、必要に応じて評価値が他の評価手法に対応する値(変換値)に変換され、表示部52に表示される(ステップS19)。
【0048】
以上のように、皮膚画像取得装置1では、押し込み機構3が接触部材21を皮膚91に押し込んだ状態で回転機構24を駆動し、回転機構24による接触部材21の回転の直後に撮像部23にて画像が取得される。これにより、接触部材21の回転による皮膚91の変形後の画像を一定の条件にて容易に取得することができる。また、回転機構24による回転動作の直前および直後(すなわち、接触部材21により皮膚91を伸展のみさせた状態、および、皮膚91を伸展させ、かつ、捻った状態)にて撮像部23にて2つの画像(伸展後画像および回転後画像)が取得され、演算部511にてこれらの画像を比較することにより、皮膚91の硬さに係る性状の評価値が求められる。これにより、皮膚91の硬さに係る性状を数値化して、皮膚91の性状を的確に把握することができる。なお、伸展前画像および回転後画像を比較することにより、皮膚91の硬さに係る評価値が取得されてもよい。
【0049】
図16は、ヘッド部の他の例を示す図である。図16に示すヘッド部2aの接触部材21aは、皮膚91に(ほぼ)平行な断面が正方形となる四角柱の複数の辺に対応するフレームにより形成される本体212、および、本体212のレンズ支持部22とは反対側の端部から突出する棒状の複数の(ここでは、4個の)接触子213を有する。複数の接触子213は、本体212において皮膚91に対向する四角形のフレーム(すなわち、四角柱の底面に相当する四角形)の複数の頂点から本体212の中心軸(すなわち、ヘッド部2aの光学系における光軸に平行な軸)におよそ沿ってそれぞれ伸びており、当該頂点から離れるに従って中心軸との間の距離が長くなる。図16のヘッド部2aでは、中空の接触部材21aの周囲から皮膚91へと入射する光の皮膚91における散乱光が、複数の接触子213にて囲まれる空間(すなわち、四角柱の底面に相当する四角形と皮膚91との間の空間)を介してレンズ支持部22内へと取り込まれて光学系により撮像部23へと導かれ、皮膚91の像が撮像部23の撮像面上に形成される。
【0050】
図16のヘッド部2aを用いて皮膚91の画像を取得する際には、被験者の頭部が固定部11に固定された後、押し込み機構3が接触部材21aを僅かに移動することにより、複数の接触子213の先端が皮膚91の所定の撮像領域の周囲を囲む複数箇所にそれぞれ当接する初期状態とされる(図4:ステップS11)。本実施の形態では、複数の接触子213が当接する皮膚91上の位置を結んだ形状はほぼ正方形となっており、初期状態では、接触子213は皮膚91にはほとんど押し込まれていない。そして、初期状態において、撮像部23にて皮膚91を示す画像(すなわち、伸展前画像)が取得される(ステップS12)。
【0051】
続いて、押し込み機構3により接触部材21aが初期状態から皮膚91に向かって所定の距離だけ押し込まれる(ステップS13)。このとき、複数の接触子213は変形に対する剛性が高い材料にて形成されており、接触部材21の押し込みに伴って皮膚91の撮像領域の部分(特に、接触子213の先端が当接する位置の近傍)が伸展される。そして、押し込み機構3が接触部材21を皮膚91に押し込んだ状態において、制御部51が撮像部23に画像(すなわち、伸展後画像)を取得させる(ステップS14)。
【0052】
以上のようにして、伸展前画像および伸展後画像が取得されると、図2のヘッド部2を用いる場合と同様に、伸展前画像および伸展後画像が表示部52に並べて表示されるとともに(ステップS15)、演算部511にて伸展前2値画像および伸展後2値画像が取得される(ステップS16)。その後、ポイントパターンマッチングにより、または、操作者により、伸展前2値画像および伸展後2値画像間の互いに対応する点が特定され(ステップS17)、皮膚91の硬さに係る評価値が取得される(ステップS18)。また、必要に応じて、評価値が他の評価手法における値に変換され、当該値が、表示部52に表示される(ステップS19)。
【0053】
以上に説明したように、図16の接触部材21aでは複数の接触子213が設けられ、押し込み機構3により接触部材21を皮膚91に向かって押し込んだ際に、複数の接触子213にて囲まれる空間を介して皮膚91の画像が取得される。これにより、皮膚91を伸展した状態の画像を一定の条件にて容易に取得することができる。また、図16のヘッド部2aでは、接触部材21aの周囲から皮膚91へと入射する光の皮膚91における散乱光を撮像部23にて受光することにより、皮膚91の肌理を示す好ましい画像を取得することが可能となる。なお、図16のヘッド部2aを用いて図11に示す動作を行うことにより、図2のヘッド部2を用いる場合と同様にして、接触部材21aの回転による皮膚91の変形後の画像が取得されてもよい。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0055】
図2に示す接触部材21では、端面211が球面状とされるが、端面211が回転放物面等の他の凸曲面とされることにより、接触部材21の押し込みによる皮膚91の伸展が実現されてもよい。また、図16に示す接触部材21aでは4個の接触子213が設けられるが、接触部材21aの押し込みにより皮膚91の伸展を行うという観点では、接触部材21aには、皮膚の撮像領域の周囲を囲む3以上の箇所(好ましくは、同数の頂点を有する正多角形の頂点位置に配置される3以上の箇所)に先端が当接する3以上の接触子213が設けられておればよい。
【0056】
上記実施の形態において、図2の接触部材21では端面211の頂点近傍のみが皮膚91に当接する状態が初期状態とされ、図16の接触部材21aでは複数の接触子213の先端が皮膚91に僅かに当接した状態が初期状態とされるが、接触部材21の端面211または接触部材21aの接触子213の先端が皮膚91に近接した状態が初期状態とされ、この状態において伸展前画像が取得されてもよい。
【0057】
また、接触部材21aの接触子213は可撓性を有するものであってもよく、この場合、接触部材21aを皮膚91に向かって押し込むことにより、複数の接触子213が撓んで皮膚91の伸展が実現される。
【0058】
上記実施の形態では、2つの2値画像に対してポイントパターンマッチングが行われることにより、2つの画像間の互いに対応する点が少ない演算量にて特定されるが、コンピュータ5の演算能力等によっては、図4のステップS16の処理を省略し、ステップS17の処理にて、2つの多階調画像(例えば、伸展前画像および伸展後画像)に対してポイントパターンマッチングが行われて、2つの画像間の互いに対応する点が特定されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】皮膚画像取得装置の構成を示す図である。
【図2】ヘッド部を拡大して示す斜視図である。
【図3】皮膚画像取得装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】皮膚の画像を取得して皮膚の硬さに係る性状を評価する動作の流れを示す図である。
【図5】伸展前画像を示す図である。
【図6】伸展後画像を示す図である。
【図7】伸展前2値画像を示す図である。
【図8】伸展後2値画像を示す図である。
【図9】伸展前2値画像を示す図である。
【図10】伸展後2値画像を示す図である。
【図11】皮膚の画像を取得する動作の流れの一部を示す図である。
【図12】回転後画像を示す図である。
【図13】回転後2値画像を示す図である。
【図14】伸展後2値画像を示す図である。
【図15】回転後2値画像を示す図である。
【図16】ヘッド部の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 皮膚画像取得装置
3 押し込み機構
21,21a 接触部材
23 撮像部
24 回転機構
51 制御部
91 皮膚
211 端面
213 接触子
511 演算部
S12〜S14,S18,S14a,S14b ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の性状評価に利用される画像を取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の販売現場や、皮膚の診療現場等において皮膚の硬さ(弾力性等を含む。)の性状を評価する際に、従来より様々な手法が用いられている。例えば、非特許文献1では、皮膚を一定方向に伸展させて応力と変位との関係を調べるものや(いわゆる、エクステンソメータ(Extensometer))、二重円筒からなり、皮膚に接着させた内筒を一定の力で回転させて皮膚の変位量の時間変化を調べるもの(ツイストメータ(Twistometer))等を用いた手法が紹介されており、非特許文献2では、吸引器によって皮膚表面を吸引して皮膚の高さの変化を測定するものや、小さなハンマーで皮膚を打った後にできる皮膚のリバウンドを波形として測定するもの(バリストメータ(Ballistometer))、あるいは、拇指と示指とで摘み上げるのと同様の作用を皮膚に生じさせて皮膚の高さを測定するもの(ツゴメータ(Tugometer))等を用いた手法が説明されている。
【0003】
また、特許文献1では、噴射ノズルにて皮膚に圧縮ガスを噴射しつつ高速度カメラにて画像を連続的に取得し、これらの画像に現れた皮膚の皺または光沢の成長、移動、復元、消失等の経時変化に着目して、皮膚のはり、弾力性、柔軟性を評価する手法が開示されている。
【0004】
なお、非特許文献3では、2つの画像間の互いに対応する点を特定するポイントパターンマッチングの一手法が開示されている。
【特許文献1】特開2006−346020号公報
【非特許文献1】高橋元次,「最近の皮膚表面の光学的,力学的測定機」,フレグランスジャーナル 1990年12月号(Fragrance Journal 1990-12),有限会社フレグランスジャーナル社,p.34−40
【非特許文献2】新谷洋一、外2名,「6.皮膚の硬さを測る Custometerで硬さを測る−皮膚粘弾性測定−」,皮膚科診療プラクティス 14 機器を用いたスキンクリニック,株式会社文光堂,2002年5月31日,p.103−113
【非特許文献3】高木幹雄、下田陽久監修,新線画像解析ハンドブック,初版,東京大学出版会,2004年9月10日,p.1687−1693
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、皮膚を実際に伸展しつつ取得される画像に基づいて皮膚の性状評価を行う際に、特許文献1のように、噴射ノズルにて皮膚に圧縮ガスを噴射する場合には、皮膚表面に対する圧縮ガスの噴射方向や皮膚の撮像方向等、皮膚を伸展して撮像する条件が測定毎にばらつきやすくなり、皮膚を伸展した状態の画像を一定の条件にて取得することが困難となる。その結果、皮膚の硬さに係る性状を一定の基準にて評価することができなくなる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、皮膚を伸展した状態の画像を一定の条件にて容易に取得することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得装置であって、凸曲面状の端面を有するとともに、前記端面が皮膚に当接する透明な接触部材と、前記接触部材を介して前記皮膚の画像を取得する撮像部と、前記接触部材を前記皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む押し込み機構と、前記押し込み機構が前記接触部材を前記皮膚に押し込んだ状態で、前記撮像部に画像を取得させる制御部とを備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得装置であって、皮膚の所定の撮像領域の周囲を囲む3以上の箇所にてそれぞれ先端が当接する棒状の3以上の接触子を有する接触部材と、前記3以上の接触子にて囲まれる空間を介して前記撮像領域の画像を取得する撮像部と、前記接触部材を前記皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む押し込み機構と、前記押し込み機構が前記接触部材を前記皮膚に押し込んだ状態で、前記撮像部に画像を取得させる制御部とを備える。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の皮膚画像取得装置であって、前記撮像部が、前記接触部材の周囲から前記皮膚へと入射する光の前記皮膚における散乱光を受光することにより前記画像を取得する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の皮膚画像取得装置であって、前記押し込み機構が前記接触部材を前記皮膚に押し込んだ状態で、前記接触部材を前記皮膚におよそ垂直な軸を中心として所定の角度だけ回転する回転機構をさらに備え、前記画像が、前記回転機構による前記接触部材の回転の直後に取得される。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の皮膚画像取得装置であって、前記押し込み機構による押し込み動作の直前および直後にて前記撮像部にて2つの画像が取得され、前記皮膚画像取得装置が、前記2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める演算部をさらに備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の皮膚画像取得装置であって、前記回転機構による回転動作の直前および直後にて前記撮像部にて2つの画像が取得され、前記皮膚画像取得装置が、前記2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める演算部をさらに備える。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の皮膚画像取得装置であって、前記評価値が、前記皮膚上の特定の位置の前記2つの画像間での変位量である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項5または6に記載の皮膚画像取得装置であって、前記評価値が、前記皮膚上の特定の2点間距離の前記2つの画像間での変化を示す値である。
【0015】
請求項9に記載の発明は、皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得方法であって、a)凸曲面状の端面を有する透明な接触部材を、前記端面が皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む工程と、b)前記接触部材を介して撮像部にて前記皮膚の画像を取得する工程とを備える。
【0016】
請求項10に記載の発明は、皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得方法であって、a)皮膚の所定の撮像領域の周囲を囲む3以上の箇所にてそれぞれ先端が当接する棒状の3以上の接触子を有する接触部材を、前記先端が前記皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む工程と、b)前記3以上の接触子にて囲まれる空間を介して撮像部にて前記撮像領域の画像を取得する工程とを備える。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載の皮膚画像取得方法であって、前記撮像部が、前記接触部材の周囲から前記皮膚へと入射する光の前記皮膚における散乱光を受光することにより前記画像を取得する。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項9ないし11のいずれかに記載の皮膚画像取得方法であって、c)前記a)工程と前記b)工程との間に、前記接触部材を前記皮膚におよそ垂直な軸を中心として所定の角度だけ回転する工程をさらに備える。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項9ないし11のいずれかに記載の皮膚画像取得方法であって、d)前記a)工程の直前に、前記初期状態の前記接触部材を介して前記撮像部にて画像を取得する工程と、e)前記d)工程および前記b)工程にて取得される2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める工程とをさらに備える。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項12に記載の皮膚画像取得方法であって、d)前記a)工程と前記c)工程との間に、前記撮像部にて画像を取得する工程と、e)前記d)工程および前記b)工程にて取得される2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める工程とをさらに備える。
【0021】
請求項15に記載の発明は、請求項13または14に記載の皮膚画像取得方法であって、前記評価値が、前記皮膚上の特定の位置の前記2つの画像間での変位量である。
【0022】
請求項16に記載の発明は、請求項13または14に記載の皮膚画像取得方法であって、前記評価値が、前記皮膚上の特定の2点間距離の前記2つの画像間での変化を示す値である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、皮膚を伸展した状態の画像を一定の条件にて容易に取得することができる。
【0024】
また、請求項3および11の発明では、好ましい画像を取得することができ、請求項4および12の発明では、接触部材の回転による皮膚の変形後の画像を一定の条件にて容易に取得することができ、請求項5ないし8、並びに、請求項13ないし16の発明では、皮膚の硬さに係る性状を数値化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は本発明の一の実施の形態に係る皮膚画像取得装置1の構成を示す図である。皮膚画像取得装置1は、人の頬等の皮膚の画像を取得して皮膚の硬さ(弾力性等を含む。以下同様。)に係る性状を評価するためのものである。皮膚画像取得装置1は、皮膚の性状評価の際に被験者の頭部を固定する固定部11(図1では、固定部11の一部(側面部111)のみを図示している。)、固定部11の側面部111に形成される開口112に挿入されるとともに人の頬等の皮膚91の画像を取得するヘッド部2、ヘッド部2を皮膚91に向かって押し込む押し込み機構3、ヘッド部2からの画像信号が入力されるADコンバータ4、各種演算処理を行うCPUや各種情報を記憶するメモリ等を有するコンピュータ5を備える。コンピュータ5は、ADコンバータ4、ヘッド部2および押し込み機構3に接続され、ADコンバータ4からデジタル化された画像信号(以下、単に「画像」ともいう。)が入力されるとともにヘッド部2および押し込み機構3の制御を行う。
【0026】
図2はヘッド部2を拡大して示す斜視図であり、図2では、後述の回転機構24の図示を省略している。図2に示すように、ヘッド部2は一様な曲率を有する球面状の端面211を有するとともに皮膚91に対してほぼ垂直な方向に伸びるロッド状の接触部材21、接触部材21の端面211とは反対側の端部に接続されるとともに光学系を構成するレンズ等の光学素子が内部に配置されるレンズ支持部22、および、レンズ支持部22の接触部材21とは反対側に配置される撮像部23を備える。接触部材21は、石英やアクリル樹脂等により形成される透明部材とされ、長手方向に垂直な断面は、例えば30ミリメートル(mm)角の正方形とされる。ヘッド部2では、物体側テレセントリック光学系が構築されており、接触部材21の周囲から皮膚91へと入射する光の皮膚91における散乱光が、接触部材21を介してレンズ支持部22内へと取り込まれて光学系により撮像部23へと導かれ、皮膚91の像が撮像部23の撮像面上に形成される。
【0027】
図1に示すように、ヘッド部2の接触部材21のレンズ支持部22側の部位には回転機構24が取り付けられ、回転機構24のモータ241がギアに接続されたシャフトを回転することによりレンズ支持部22に対して接触部材21が皮膚91におよそ垂直な軸(ここでは、接触部材21の中心軸)を中心として所定の角度だけ(一定の回転力にて)回転する。また、押し込み機構3は、モータ31、送りねじ機構32およびガイド部33を有し、モータ31が回転することにより、レンズ支持部22を支持するベース板221が固定部11の側面部111に垂直な方向に移動し、接触部材21が皮膚91に向かって一定の力にて押し込まれる。なお、回転機構24は後述の動作例にて用いられる。
【0028】
図3は皮膚画像取得装置1の機能構成を示すブロック図である。図3中の制御部51、表示部52および入力部53がコンピュータ5が実現する機能であり、図3ではこれらの機能構成のそれぞれを実線にて囲み、他の各機能構成を破線にて囲んで示している。実際には、制御部51はコンピュータ5が所定のプログラムを実行することによりCPUやRAM等により実現される機能であり、制御部51は、ADコンバータ4から入力される画像に基づいて皮膚の性状評価に関する後述の評価値を算出する演算部511、および、当該画像を記憶する記憶部512を有する。
【0029】
図4は、皮膚画像取得装置1が皮膚の画像を取得して皮膚の硬さに係る性状を評価する動作の流れを示す図である。ここで、皮膚の硬さに係る性状とは、接触部材21を用いた後述の動作による皮膚の伸展の度合いや皮膚の歪みの度合いを示すものである。図1の皮膚画像取得装置1が皮膚91の画像を取得する際には、まず、被験者の頭部が固定部11に固定されるとともに、押し込み機構3が接触部材21を僅かに移動することにより、図2に示すように、接触部材21の端面211の頂点近傍のみが皮膚91に当接した状態(以下、「初期状態」という。)とされる(ステップS11)。続いて、初期状態において、撮像部23にて皮膚91を示す多階調の画像が取得され、ADコンバータ4を介して制御部51に出力されて記憶部512にて記憶される(ステップS12)。
【0030】
図5は、撮像部23にて取得される画像を示す図である。図5に示す画像では、皮膚の表面における微細な溝である皮溝による模様(肌理と捉えることもできる。)や毛孔が示されている。後述するように、皮膚91を伸展させた状態の画像も取得されるため、以下、ステップS12の処理にて取得される画像を伸展前画像という。
【0031】
伸展前画像が取得されると、押し込み機構3により接触部材21が初期状態から皮膚91に向かって所定の距離(例えば、10mm)だけ押し込まれる(ステップS13)。このとき、接触部材21の端面211が球面状とされていることにより、端面211に当接する皮膚91の部分が伸展される。そして、押し込み機構3が接触部材21を皮膚91に押し込んだ状態において、制御部51が撮像部23に撮像動作を行わせることにより皮膚91を示す多階調の画像が取得され、ADコンバータ4を介して制御部51に出力されて記憶部512にて記憶される(ステップS14)。
【0032】
図6は、撮像部23にて取得される画像を示す図である。図6に示す画像は、伸展された皮膚91を示しており、図5に示す伸展前画像と同位置にて取得される画像となっている。以下、ステップS14の処理にて取得される画像を伸展後画像という。
【0033】
以上のようにして、伸展前画像および伸展後画像が取得されて準備されると、制御部51により伸展前画像および伸展後画像が表示部52に並べて表示される(ステップS15)。これにより、表示部52上の画像に基づいて、操作者が皮膚91の性状を視覚的に把握することが可能となる。
【0034】
また、演算部511では、伸展前画像の各画素の画素値と所定の閾値とが比較され、画素値が閾値よりも大きい画素には値1が付与され、画素値が閾値以下の画素には値0が付与され、2値画像が取得される。続いて、2値画像において、ラベリング処理により互いに隣接する値1の画素の集合(以下、「クラスタ」という。)が特定され、各クラスタに対して所定の度合いの収縮処理が施される(すなわち、クラスタに対して細らせ処理(細線化処理)が施される。)。このように、伸展前画像を2値化した後に、収縮処理を行うことにより、図7に示すように、細らせ処理後のクラスタを示す2値の伸展前画像(以下、「伸展前2値画像」という。)が取得される。また、伸展後画像も同様に、2値化されるとともに細らせ処理が施され、図8に示すように細らせ処理後のクラスタを示す2値の伸展後画像(以下、「伸展後2値画像」という。)が取得される(ステップS16)。
【0035】
続いて、上記の非特許文献3のポイントパターンマッチングの手法を用いて、伸展前2値画像および伸展後2値画像間の互いに対応する点(すなわち、皮膚91上の同じ部位を示す点)が特定される(ステップS17)。
【0036】
ここで、非特許文献3の手法では、まず、各画像において濃淡レベルの変化が全ての方向に大きく、かつ、その付近で最も大きな変化を示す点を対応点候補として抽出し、一の画像中の各対応点候補に関して、他の画像中の対応する位置と、当該位置を中心とする探索範囲内に存在する各対応点候補とを結ぶ相違ベクトル候補が特定される。一の画像中の各対応点候補の各相違ベクトル候補に対して、当該相違ベクトルに対応する2つの画像中の2つの対応点候補の類似度に基づくラベル確率(マッチング確率)を付与し、一の画像において、一の対応点候補の一の相違ベクトル候補に着目して、当該一の対応点候補の近傍の他の対応点候補における当該一の相違ベクトル候補に対応する相違ベクトル候補(他の画像中の同じ対応点候補を終点とする相違ベクトル候補)のラベル確率が高い(すなわち、局所的な矛盾が少ない)場合には、当該一の相違ベクトル候補のラベル確率が高くなるようにラベル確率が更新され、ラベル確率の更新は、例えばラベル確率の変化がなくなるまで繰り返される(いわゆる、弛緩法)。そして、最終的なラベル確率に基づいて2つの画像間の互いに対応する点が特定される。
【0037】
例えば、図9および図10にそれぞれ示す伸展前2値画像および伸展後2値画像では、上記手法を用いることにより、図10の伸展後2値画像中にて符号P21,P22,P23を付す白い点が、図9の伸展前2値画像中にて符号P11,P12,P13を付す白い点にそれぞれ対応するものとして特定される。そして、点P11,P12間の距離と点P21,P22間の距離との比(差であってもよい。)、点P12,P13間の距離と点P22,P23間の距離との比、および、点P13,P11間の距離と点P23,P21間の距離との比の平均値が評価値として取得される(ステップS18)。
【0038】
このように、皮膚91上の特定の2点間距離の伸展前画像と伸展後画像との間での変化を示す値が評価値として取得され、柔らかい皮膚91では接触部材21による皮膚91の伸展の度合いが大きくなるため評価値が大きくなり、硬い皮膚91では反対に評価値は小さくなる。なお、ステップS17の処理において、表示部52に伸展前2値画像および伸展後2値画像(または、伸展前画像および伸展後画像)が並べて表示され、表示部52上の画像を参照しつつ操作者が入力部53を介して入力を行うことにより、これらの画像間の互いに対応する点の位置が操作者により特定されてもよい。
【0039】
皮膚画像取得装置1では、当該評価値と他の評価手法から導かれる値との変換式が必要に応じて準備され、当該変換式に評価値を代入することにより、他の評価手法に対応する値(変換値)が取得され、表示部52に表示される(ステップS19)。もちろん、皮膚画像取得装置1では、評価値がそのまま表示部52に表示されてもよい。
【0040】
以上に説明したように、図1の皮膚画像取得装置1の撮像部23では、押し込み機構3による押し込み動作により皮膚91を伸展する透明な接触部材21を介して皮膚91の画像が取得される。これにより、皮膚91を伸展した状態の画像を一定の条件にて容易に取得することができる。また、押し込み機構3による押し込み動作の直前および直後(すなわち、初期状態および皮膚91を伸展した状態)にて撮像部23にて2つの画像(伸展前画像および伸展後画像)が取得され、演算部511にてこれらの画像を比較することにより、皮膚91の硬さに係る性状の評価値が求められる。これにより、皮膚91の硬さに係る性状を数値化して、皮膚91の性状を的確に把握することができる。
【0041】
さらに、皮膚画像取得装置1では、伸展前画像および伸展後画像(または、伸展前2値画像および伸展後2値画像)が記憶部512にて記憶されることにより、後日、同一の被験者に対して伸展前画像および伸展後画像を同様にして取得する際に、今回の伸展前画像および伸展後画像を前回の伸展前画像および伸展後画像と共に表示部52に表示する等して、前回と今回とで皮膚91の性状を視覚的に比較することも可能となる。もちろん、前回と今回とで評価値が比較されてもよい。
【0042】
ところで、仮に、ヘッド部2において照明光を接触部材21を介して皮膚91に照射する照明部を設け、皮膚91における照明光の正反射光を撮像部23にて受光する場合には、皮膚91のツヤにより反射光の光量が高くなり、皮膚の肌理を示す画像を適切に取得できなくなる場合がある。これに対し、図2のヘッド部2では、接触部材21の周囲から皮膚91へと入射する光の皮膚91における散乱光を撮像部23にて受光することにより、皮膚91の肌理を示す好ましい画像を取得することが可能となる。
【0043】
また、皮膚画像取得装置1では、皮膚91上の特定の位置の伸展前画像と伸展後画像との間での変位量が評価値とされてもよい。例えば、図9の伸展前2値画像および図10の伸展後2値画像では、伸展前2値画像中の点P11に対応する伸展後2値画像中の位置から点P21までの距離、伸展前2値画像中の点P12に対応する伸展後2値画像中の位置から点P22までの距離、および、伸展前2値画像中の点P13に対応する伸展後2値画像中の位置から点P23までの距離の平均値が評価値とされ、皮膚91の硬さに係る性状が数値化される。さらに、伸展前2値画像中の点P11,P12,P13にて形成される三角形の面積と伸展後2値画像中の点P21,P22,P23にて形成される三角形の面積との比または差が評価値とされてもよい。
【0044】
図11は、皮膚画像取得装置1が皮膚の画像を取得する動作の流れの一部を示す図であり、図4のステップS14とステップS15との間にて行われる処理を示している。本動作例では、図1の回転機構24が用いられる。
【0045】
皮膚画像取得装置1では、撮像部23により図6に示す伸展後画像が取得されると(図4:ステップS14)、押し込み機構3が接触部材21を皮膚91に押し込んだ状態において、回転機構24が接触部材21を皮膚91におよそ垂直な軸を中心として回転することにより、皮膚の端面211に当接する部分が捻られる(ステップS14a)。そして、制御部51が撮像部23に撮像動作を行わせることにより、図12に示すように皮膚91を捻った状態を示す画像(以下、「回転後画像」という。)が取得される(ステップS14b)。なお、本動作例では、後述するように、伸展後画像および回転後画像から評価値が求められるため、図4のステップS12における伸展前画像の取得動作については省略されてもよい。
【0046】
続いて、伸展後画像および回転後画像が表示部52に表示されるとともに(ステップS15)、各画像に対して2値化処理および細らせ処理が施され、図8および図13にそれぞれ示すように、伸展後2値画像、および、細らせ処理後のクラスタを示す2値の回転後画像(以下、「回転後2値画像」という。)が取得される(ステップS16)。そして、ポイントパターンマッチングの手法を用いて、または、操作者により、伸展後2値画像および回転後2値画像間の互いに対応する点が特定される(ステップS17)。
【0047】
図14および図15は、伸展後2値画像および回転後2値画像における互いに対応する点を説明するための図である。図15の回転後2値画像中にて符号P31,P32,P33を付す白い点が、図14の伸展後2値画像中にて符号P21,P22,P23を付す白い点にそれぞれ対応しており、伸展後2値画像中の点P21に対応する回転後2値画像中の位置から点P31までの距離、伸展後2値画像中の点P22に対応する回転後2値画像中の位置から点P32までの距離、および、伸展後2値画像中の点P23に対応する回転後2値画像中の位置から点P33までの距離の平均値が評価値として取得される(ステップS18)。このとき、柔らかい皮膚91では接触部材21による皮膚91の捻れの度合いが大きくなるため、評価値が大きくなり、硬い皮膚91では反対に評価値は小さくなる。そして、必要に応じて評価値が他の評価手法に対応する値(変換値)に変換され、表示部52に表示される(ステップS19)。
【0048】
以上のように、皮膚画像取得装置1では、押し込み機構3が接触部材21を皮膚91に押し込んだ状態で回転機構24を駆動し、回転機構24による接触部材21の回転の直後に撮像部23にて画像が取得される。これにより、接触部材21の回転による皮膚91の変形後の画像を一定の条件にて容易に取得することができる。また、回転機構24による回転動作の直前および直後(すなわち、接触部材21により皮膚91を伸展のみさせた状態、および、皮膚91を伸展させ、かつ、捻った状態)にて撮像部23にて2つの画像(伸展後画像および回転後画像)が取得され、演算部511にてこれらの画像を比較することにより、皮膚91の硬さに係る性状の評価値が求められる。これにより、皮膚91の硬さに係る性状を数値化して、皮膚91の性状を的確に把握することができる。なお、伸展前画像および回転後画像を比較することにより、皮膚91の硬さに係る評価値が取得されてもよい。
【0049】
図16は、ヘッド部の他の例を示す図である。図16に示すヘッド部2aの接触部材21aは、皮膚91に(ほぼ)平行な断面が正方形となる四角柱の複数の辺に対応するフレームにより形成される本体212、および、本体212のレンズ支持部22とは反対側の端部から突出する棒状の複数の(ここでは、4個の)接触子213を有する。複数の接触子213は、本体212において皮膚91に対向する四角形のフレーム(すなわち、四角柱の底面に相当する四角形)の複数の頂点から本体212の中心軸(すなわち、ヘッド部2aの光学系における光軸に平行な軸)におよそ沿ってそれぞれ伸びており、当該頂点から離れるに従って中心軸との間の距離が長くなる。図16のヘッド部2aでは、中空の接触部材21aの周囲から皮膚91へと入射する光の皮膚91における散乱光が、複数の接触子213にて囲まれる空間(すなわち、四角柱の底面に相当する四角形と皮膚91との間の空間)を介してレンズ支持部22内へと取り込まれて光学系により撮像部23へと導かれ、皮膚91の像が撮像部23の撮像面上に形成される。
【0050】
図16のヘッド部2aを用いて皮膚91の画像を取得する際には、被験者の頭部が固定部11に固定された後、押し込み機構3が接触部材21aを僅かに移動することにより、複数の接触子213の先端が皮膚91の所定の撮像領域の周囲を囲む複数箇所にそれぞれ当接する初期状態とされる(図4:ステップS11)。本実施の形態では、複数の接触子213が当接する皮膚91上の位置を結んだ形状はほぼ正方形となっており、初期状態では、接触子213は皮膚91にはほとんど押し込まれていない。そして、初期状態において、撮像部23にて皮膚91を示す画像(すなわち、伸展前画像)が取得される(ステップS12)。
【0051】
続いて、押し込み機構3により接触部材21aが初期状態から皮膚91に向かって所定の距離だけ押し込まれる(ステップS13)。このとき、複数の接触子213は変形に対する剛性が高い材料にて形成されており、接触部材21の押し込みに伴って皮膚91の撮像領域の部分(特に、接触子213の先端が当接する位置の近傍)が伸展される。そして、押し込み機構3が接触部材21を皮膚91に押し込んだ状態において、制御部51が撮像部23に画像(すなわち、伸展後画像)を取得させる(ステップS14)。
【0052】
以上のようにして、伸展前画像および伸展後画像が取得されると、図2のヘッド部2を用いる場合と同様に、伸展前画像および伸展後画像が表示部52に並べて表示されるとともに(ステップS15)、演算部511にて伸展前2値画像および伸展後2値画像が取得される(ステップS16)。その後、ポイントパターンマッチングにより、または、操作者により、伸展前2値画像および伸展後2値画像間の互いに対応する点が特定され(ステップS17)、皮膚91の硬さに係る評価値が取得される(ステップS18)。また、必要に応じて、評価値が他の評価手法における値に変換され、当該値が、表示部52に表示される(ステップS19)。
【0053】
以上に説明したように、図16の接触部材21aでは複数の接触子213が設けられ、押し込み機構3により接触部材21を皮膚91に向かって押し込んだ際に、複数の接触子213にて囲まれる空間を介して皮膚91の画像が取得される。これにより、皮膚91を伸展した状態の画像を一定の条件にて容易に取得することができる。また、図16のヘッド部2aでは、接触部材21aの周囲から皮膚91へと入射する光の皮膚91における散乱光を撮像部23にて受光することにより、皮膚91の肌理を示す好ましい画像を取得することが可能となる。なお、図16のヘッド部2aを用いて図11に示す動作を行うことにより、図2のヘッド部2を用いる場合と同様にして、接触部材21aの回転による皮膚91の変形後の画像が取得されてもよい。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0055】
図2に示す接触部材21では、端面211が球面状とされるが、端面211が回転放物面等の他の凸曲面とされることにより、接触部材21の押し込みによる皮膚91の伸展が実現されてもよい。また、図16に示す接触部材21aでは4個の接触子213が設けられるが、接触部材21aの押し込みにより皮膚91の伸展を行うという観点では、接触部材21aには、皮膚の撮像領域の周囲を囲む3以上の箇所(好ましくは、同数の頂点を有する正多角形の頂点位置に配置される3以上の箇所)に先端が当接する3以上の接触子213が設けられておればよい。
【0056】
上記実施の形態において、図2の接触部材21では端面211の頂点近傍のみが皮膚91に当接する状態が初期状態とされ、図16の接触部材21aでは複数の接触子213の先端が皮膚91に僅かに当接した状態が初期状態とされるが、接触部材21の端面211または接触部材21aの接触子213の先端が皮膚91に近接した状態が初期状態とされ、この状態において伸展前画像が取得されてもよい。
【0057】
また、接触部材21aの接触子213は可撓性を有するものであってもよく、この場合、接触部材21aを皮膚91に向かって押し込むことにより、複数の接触子213が撓んで皮膚91の伸展が実現される。
【0058】
上記実施の形態では、2つの2値画像に対してポイントパターンマッチングが行われることにより、2つの画像間の互いに対応する点が少ない演算量にて特定されるが、コンピュータ5の演算能力等によっては、図4のステップS16の処理を省略し、ステップS17の処理にて、2つの多階調画像(例えば、伸展前画像および伸展後画像)に対してポイントパターンマッチングが行われて、2つの画像間の互いに対応する点が特定されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】皮膚画像取得装置の構成を示す図である。
【図2】ヘッド部を拡大して示す斜視図である。
【図3】皮膚画像取得装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】皮膚の画像を取得して皮膚の硬さに係る性状を評価する動作の流れを示す図である。
【図5】伸展前画像を示す図である。
【図6】伸展後画像を示す図である。
【図7】伸展前2値画像を示す図である。
【図8】伸展後2値画像を示す図である。
【図9】伸展前2値画像を示す図である。
【図10】伸展後2値画像を示す図である。
【図11】皮膚の画像を取得する動作の流れの一部を示す図である。
【図12】回転後画像を示す図である。
【図13】回転後2値画像を示す図である。
【図14】伸展後2値画像を示す図である。
【図15】回転後2値画像を示す図である。
【図16】ヘッド部の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 皮膚画像取得装置
3 押し込み機構
21,21a 接触部材
23 撮像部
24 回転機構
51 制御部
91 皮膚
211 端面
213 接触子
511 演算部
S12〜S14,S18,S14a,S14b ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得装置であって、
凸曲面状の端面を有するとともに、前記端面が皮膚に当接する透明な接触部材と、
前記接触部材を介して前記皮膚の画像を取得する撮像部と、
前記接触部材を前記皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む押し込み機構と、
前記押し込み機構が前記接触部材を前記皮膚に押し込んだ状態で、前記撮像部に画像を取得させる制御部と、
を備えることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項2】
皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得装置であって、
皮膚の所定の撮像領域の周囲を囲む3以上の箇所にてそれぞれ先端が当接する棒状の3以上の接触子を有する接触部材と、
前記3以上の接触子にて囲まれる空間を介して前記撮像領域の画像を取得する撮像部と、
前記接触部材を前記皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む押し込み機構と、
前記押し込み機構が前記接触部材を前記皮膚に押し込んだ状態で、前記撮像部に画像を取得させる制御部と、
を備えることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の皮膚画像取得装置であって、
前記撮像部が、前記接触部材の周囲から前記皮膚へと入射する光の前記皮膚における散乱光を受光することにより前記画像を取得することを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の皮膚画像取得装置であって、
前記押し込み機構が前記接触部材を前記皮膚に押し込んだ状態で、前記接触部材を前記皮膚におよそ垂直な軸を中心として所定の角度だけ回転する回転機構をさらに備え、
前記画像が、前記回転機構による前記接触部材の回転の直後に取得されることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の皮膚画像取得装置であって、
前記押し込み機構による押し込み動作の直前および直後にて前記撮像部にて2つの画像が取得され、
前記皮膚画像取得装置が、
前記2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める演算部をさらに備えることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項6】
請求項4に記載の皮膚画像取得装置であって、
前記回転機構による回転動作の直前および直後にて前記撮像部にて2つの画像が取得され、
前記皮膚画像取得装置が、
前記2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める演算部をさらに備えることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の皮膚画像取得装置であって、
前記評価値が、前記皮膚上の特定の位置の前記2つの画像間での変位量であることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載の皮膚画像取得装置であって、
前記評価値が、前記皮膚上の特定の2点間距離の前記2つの画像間での変化を示す値であることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項9】
皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得方法であって、
a)凸曲面状の端面を有する透明な接触部材を、前記端面が皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む工程と、
b)前記接触部材を介して撮像部にて前記皮膚の画像を取得する工程と、
を備えることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項10】
皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得方法であって、
a)皮膚の所定の撮像領域の周囲を囲む3以上の箇所にてそれぞれ先端が当接する棒状の3以上の接触子を有する接触部材を、前記先端が前記皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む工程と、
b)前記3以上の接触子にて囲まれる空間を介して撮像部にて前記撮像領域の画像を取得する工程と、
を備えることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の皮膚画像取得方法であって、
前記撮像部が、前記接触部材の周囲から前記皮膚へと入射する光の前記皮膚における散乱光を受光することにより前記画像を取得することを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項12】
請求項9ないし11のいずれかに記載の皮膚画像取得方法であって、
c)前記a)工程と前記b)工程との間に、前記接触部材を前記皮膚におよそ垂直な軸を中心として所定の角度だけ回転する工程をさらに備えることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項13】
請求項9ないし11のいずれかに記載の皮膚画像取得方法であって、
d)前記a)工程の直前に、前記初期状態の前記接触部材を介して前記撮像部にて画像を取得する工程と、
e)前記d)工程および前記b)工程にて取得される2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める工程と、
をさらに備えることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項14】
請求項12に記載の皮膚画像取得方法であって、
d)前記a)工程と前記c)工程との間に、前記撮像部にて画像を取得する工程と、
e)前記d)工程および前記b)工程にて取得される2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める工程と、
をさらに備えることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の皮膚画像取得方法であって、
前記評価値が、前記皮膚上の特定の位置の前記2つの画像間での変位量であることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項16】
請求項13または14に記載の皮膚画像取得方法であって、
前記評価値が、前記皮膚上の特定の2点間距離の前記2つの画像間での変化を示す値であることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項1】
皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得装置であって、
凸曲面状の端面を有するとともに、前記端面が皮膚に当接する透明な接触部材と、
前記接触部材を介して前記皮膚の画像を取得する撮像部と、
前記接触部材を前記皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む押し込み機構と、
前記押し込み機構が前記接触部材を前記皮膚に押し込んだ状態で、前記撮像部に画像を取得させる制御部と、
を備えることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項2】
皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得装置であって、
皮膚の所定の撮像領域の周囲を囲む3以上の箇所にてそれぞれ先端が当接する棒状の3以上の接触子を有する接触部材と、
前記3以上の接触子にて囲まれる空間を介して前記撮像領域の画像を取得する撮像部と、
前記接触部材を前記皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む押し込み機構と、
前記押し込み機構が前記接触部材を前記皮膚に押し込んだ状態で、前記撮像部に画像を取得させる制御部と、
を備えることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の皮膚画像取得装置であって、
前記撮像部が、前記接触部材の周囲から前記皮膚へと入射する光の前記皮膚における散乱光を受光することにより前記画像を取得することを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の皮膚画像取得装置であって、
前記押し込み機構が前記接触部材を前記皮膚に押し込んだ状態で、前記接触部材を前記皮膚におよそ垂直な軸を中心として所定の角度だけ回転する回転機構をさらに備え、
前記画像が、前記回転機構による前記接触部材の回転の直後に取得されることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の皮膚画像取得装置であって、
前記押し込み機構による押し込み動作の直前および直後にて前記撮像部にて2つの画像が取得され、
前記皮膚画像取得装置が、
前記2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める演算部をさらに備えることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項6】
請求項4に記載の皮膚画像取得装置であって、
前記回転機構による回転動作の直前および直後にて前記撮像部にて2つの画像が取得され、
前記皮膚画像取得装置が、
前記2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める演算部をさらに備えることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の皮膚画像取得装置であって、
前記評価値が、前記皮膚上の特定の位置の前記2つの画像間での変位量であることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載の皮膚画像取得装置であって、
前記評価値が、前記皮膚上の特定の2点間距離の前記2つの画像間での変化を示す値であることを特徴とする皮膚画像取得装置。
【請求項9】
皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得方法であって、
a)凸曲面状の端面を有する透明な接触部材を、前記端面が皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む工程と、
b)前記接触部材を介して撮像部にて前記皮膚の画像を取得する工程と、
を備えることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項10】
皮膚の性状評価に利用される画像を取得する皮膚画像取得方法であって、
a)皮膚の所定の撮像領域の周囲を囲む3以上の箇所にてそれぞれ先端が当接する棒状の3以上の接触子を有する接触部材を、前記先端が前記皮膚に当接または近接する初期状態から前記皮膚に向かって所定の距離だけ押し込む工程と、
b)前記3以上の接触子にて囲まれる空間を介して撮像部にて前記撮像領域の画像を取得する工程と、
を備えることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の皮膚画像取得方法であって、
前記撮像部が、前記接触部材の周囲から前記皮膚へと入射する光の前記皮膚における散乱光を受光することにより前記画像を取得することを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項12】
請求項9ないし11のいずれかに記載の皮膚画像取得方法であって、
c)前記a)工程と前記b)工程との間に、前記接触部材を前記皮膚におよそ垂直な軸を中心として所定の角度だけ回転する工程をさらに備えることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項13】
請求項9ないし11のいずれかに記載の皮膚画像取得方法であって、
d)前記a)工程の直前に、前記初期状態の前記接触部材を介して前記撮像部にて画像を取得する工程と、
e)前記d)工程および前記b)工程にて取得される2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める工程と、
をさらに備えることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項14】
請求項12に記載の皮膚画像取得方法であって、
d)前記a)工程と前記c)工程との間に、前記撮像部にて画像を取得する工程と、
e)前記d)工程および前記b)工程にて取得される2つの画像を比較することにより、前記皮膚の硬さに係る性状の評価値を求める工程と、
をさらに備えることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の皮膚画像取得方法であって、
前記評価値が、前記皮膚上の特定の位置の前記2つの画像間での変位量であることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【請求項16】
請求項13または14に記載の皮膚画像取得方法であって、
前記評価値が、前記皮膚上の特定の2点間距離の前記2つの画像間での変化を示す値であることを特徴とする皮膚画像取得方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−302101(P2008−302101A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153554(P2007−153554)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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