説明

皮膚病変を治療するための方法および装置

細菌、真菌もしくはウイルス感染、または刺激物への暴露に起因する皮膚病変を治療するための方法および装置を開示する。本発明は、感染した組織または炎症を起こした組織に、制御された量の熱エネルギーを送達することによって回復過程を速めるための方法および装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年5月31日に出願したUSSN 60/474,821の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、制御された熱の印加を介してヒトおよび動物における皮膚科学的状態を治療するための方法に関する。特定の実施形態において、本発明は、細菌感染によって引き起こされるか、あるいは悪化させられる皮膚科学的状態を治療する方法、特に座瘡を治療するための方法に関する。また、本発明は、皮膚科学的状態を治療するための方法において使用するための、制御的に熱を印加するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚感染および皮膚刺激は、著しい健康上および美容上の問題をもたらす。細菌性および真菌性皮膚感染は、座瘡、吹き出物および爪下真菌感染などの一般的病変につながる。他の病変は、昆虫咬傷の結果として、または他の天然もしくは人工の皮膚刺激物への暴露によって持ち込まれることがある刺激物によって引き起こされる。さらに他の皮膚病変は、ウイルス感染によって引き起こされ、一般的な例は、「口辺単純疱疹(cold sores)」または「熱性疱疹(fever blisters)」として知られている病変である。これらの皮膚病変は、見苦しくて痛みを伴うことが多く、現在の治療方法は不十分であることが多い。
【0004】
真皮および表皮の膿疱性皮疹、限局性膿瘍形成および局所炎症状態は、特に著しい美容上および健康上の問題である。このタイプの最も一般的な苦痛の1つは、尋常性座瘡として知られている状態によって引き起こされる病変である。尋常性座瘡は、グラム陽性嫌気性菌プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)と関係がある。座瘡は、十代の若者すべての90%を苦しめ、二十、三十および四十代の人生において男性および女性を苦しませ続けることが多く、成人期を通じて存続することがある。(Yonkosky,D.M.およびP.E.Pochi、Acne vulgaris in childhood.Pathogenesis and management.Dermatol Clin、1986.4(1):p.127〜36)。多くの主に細菌種(一般に、ブドウ球菌(Staphylococcus)および連鎖球菌(Streptococcus))ならびに皮膚糸状菌などの真菌種による膿瘍形成は、医学上および美容上の問題になることはあまり多くないが、効果的治療に関して同様な課題を抱えている。
【0005】
座瘡および他の皮膚感染の状況を説明すると、青年期および思春期に血液中に異常に高濃度で存在する内因性ホルモン(主にアンドロゲン)は、皮脂の過剰な産生を引き起こす。この状態は、皮膚の角のように硬い層(角質層)の角化速度が同時に増加することによって悪化することがある。角質細胞は、増殖するにつれて閉塞性のプラグまたは面皰を形成することがあり、皮脂産生の増加と相まって、P.acnesなどの皮膚上にしばしば存在する菌株の増殖に理想的な培地を提供する。
【0006】
尋常性座瘡では、詰まった濾胞が最終的に破裂し、それらの内容物を排出させ、局所的腫脹および炎症を引き起こす。露出した濾胞は、皮膚のさらに深部の層における損傷細胞からの色素の沈着により黒ずむことがある。
【0007】
したがって、尋常性座瘡は、面皰(毛穴の黒ずみ)、丘疹、膿疱、嚢胞、小結節を特徴とする毛包脂腺濾胞の慢性障害であり、特に顔、胸、背中、および時には首および上腕の皮膚の最も目立つ領域に現れる永久的な瘢痕の形成をもたらすことが多い(Cunliffe,W.J.、他、Comedogenesis:some aetiological,clinical and therapeutic strategies.Dermatology、2003.206(1):11〜6)。P.acnesは、白血球を引きつける低分子量の走化因子を産生し、それによって炎症を引き起こすか、あるいは炎症を促進することが知られている(Scholdgen,W.、Hautarzt、1965.16(11):518〜20;Lever,L.およびR.Marks、Drugs、1990.39(5):681〜92)。この炎症プロセスの増加は、無治療で放置された場合、永久的な瘢痕形成を含む著しい即時型および長期の美容上の問題を生じることがある。
【0008】
座瘡は、多段階状態である。その最も重症型において、座瘡は、患者の入院、皮膚の広範な不快感および長期の瘢痕化につながる。
【0009】
1960年代前半から座瘡および限局性膿瘍形成に対する複数の治療選択肢が利用されてきたが(Scholdgen,W.、Hautarzt、1965.16(11):518〜20;Lever,L.およびR.Marks、Drugs、1990.39(5):681〜92)、独特なタイプの座瘡または膿瘍形成すべてに対して効果的な薬物は1つも現れず、大部分の製剤は著しい副作用を有している(Russell,J.J.、Am Fam Physician、2000.61(2):357〜66)。例えば、面皰分解剤(Comedolytic agents)は、面皰の排膿を促進するが、著しい皮膚刺激を引き起こす。局所用抗生物質は、P.acnesの増殖を阻害することにより軽症から中等症の炎症病変数を減少させ、皮膚刺激、乾燥、および抗生物質耐性の可能性、ならびに真菌の過成長または酵母感染の可能性とも関係する。(Gollnick,H.P.およびA.Krautheim、Dermatology、2003.206(1):29〜36)。経口用抗生物質は、中等症から重症の座瘡病変を治療するための標準であるが、長期の暴露で重感染を起こすことがあり、日常的な検査室モニタリングを必要とすることがある。P.acnesに対する抗生物質治療は、40年以上もの間、治療の柱であった。(Loveckova,Y.およびI.Havlikova、Biomed Pap Med Fac Univ Palacky Olomouc Czech Repub、2002.146(2):29〜32)。最も一般的なものとしてテトラサイクリン、エリスロマイシン(Vermeulen,B.、J.P.Remon、およびH.Nelis、Int J Pharm、1999.178(1):137〜41)およびクリンダマイシン(Rizer,R.L.、他、Clindamycin phosphate 1% gel in acne vulgaris.Adv Ther、2001.18(6):244〜52)などの全身性抗生物質の広範囲な使用にもかかわらず、抗生物質に対するP.acnesの感受性の変化がここ20年間に見られている。全身性と局所性抗生物質治療の双方に対するP.acnesの耐性増加につながる多くの変異が明らかにされている。
【0010】
P.acnesに対する別の広範囲な治療選択肢は、cis−レチノイン酸などの経口ビタミンA酸誘導体(アキュテイン)の使用であった。しかしながら、cis−レチノイン酸の使用は、cis−レチノイン酸の使用によって著しい副作用が見られることがあるため、尋常性座瘡の重症例のために使用されてきた。(Thorne,E.G.、Br J Dermatol、1992.127 Suppl 41:31〜6)。これらの副作用の一部には、肝臓毒性、重症な皮膚乾燥、紫外線に対する感受性増加、トリグリセリドおよびコレステロールレベルの上昇、ならびに重症なうつ病を含む情緒変化が含まれる。かさねて、cis−レチノイン酸は、尋常性座瘡の重症例または難治例のために使用されてきた。
【0011】
尋常性座瘡を治療するための処方箋を必要とする薬の他に、多くの非処方箋局所製剤も同様に広く使用される。(Scholdgen,W.、Z Allgemeinmed、1972.48(17):833〜5;Melski,J.W.およびK.A.Arndt、Current concepts:topical therapy for acne.N Engl J Med、1980.302(9):503〜6;Lester,R.S.、Topical formulary for the pediatrician.Pediatr Clin North Am、1983.30(4):749〜65;Broniarczyk−Dyla,G.およびC.Arkuszewska、Dermatol Monatsschr、1989.175(1):40〜3;Zander,E.およびS.Weisman、Treatment of acne vulgaris with salicylic acid pads.Clin Ther、1992.14(2):247〜53;Kaye,E.T.およびK.M.Kaye、Topical antibacterial agents.Infect Dis Clin North Am、1995.9(3):547〜59)。
【0012】
これらには、乾燥剤、酸化剤および収斂薬と、多種多様な皮膚洗浄剤および清浄薬も、ならびにP.acnesに対して毒性があると報告されている酸化剤を形成しようと試みる製剤が広く含まれる。
【0013】
示唆されてきた他の治療方法には、治療として集中光源が使用される尋常性座瘡の治療における光線療法の使用を含む米国特許番号6,183,500に開示されている方法が含まれる。さらに、限局的にエネルギーを送達するための超音波装置も記載されている。(Ruiz−Esparza,J.およびJ.B.Gomez、Dermatol Surg、2003.29(4):333〜9;考察339)。局所麻酔と一緒に焼灼薬を用いる試みさえも記載されている。(Pepall,L.M.、M.P.Cosgrove、およびW,J.Cunliffe、Br J Dermatol、1991.125(3):256〜9)。これらの装置の多くは、高価で扱いにくい機器、および医師による治療を必要とする。
【0014】
他のタイプの細菌性皮膚病変には、細菌性毛包炎、(毛包の限局性感染)皮膚炎、蜂窩織炎、膿痂疹、膿瘡、せつなどが含まれる。
【0015】
膿疱性皮疹ならびに限局性膿瘍への熱の印加が、これらの状態を治療する効果的な方法かもしれないということは長い間知られてきた。用いられる最も一般的方法は、温湿布を使用し、一般的には、たとえ少しばかり有効であっても1日に複数回使用しなければならない。温湿布の使用は、吹き出物および他の膿疱性皮疹を「つぶし」、それらを排出することによって不快感を軽減するために推奨されることが多い。熱の印加は、P.acnesおよびブドウ球菌(Staphylococcus)種を含む多くの型の細菌に対して毒性があることはよく知られているが、温湿布の使用は、座瘡などの皮膚病変の治療において限定的な有用性を示した。実際に、多くの臨床家は、温湿布が座瘡を悪化させると考えられているために温湿布を嫌う。さらに、温湿布は、送達される熱の量が一般に不均一である。使用者による圧定布の過熱は、火傷を容易にもたらすことがある。他の欠点には、温湿布は、極めて限られた時間、熱を維持するに過ぎず、あちこち動かすか、あるいは再使用した場合に、健康な組織への感染体の広がりをもたらすことがあるという事実が含まれる。
【0016】
治療することが困難であることが判明している他のタイプの皮膚病変は、熱性疱疹としても知られている口辺単純疱疹などのウイルス性皮膚病変である。通常、口辺単純疱疹は、単純ヘルペスウイルスの株によって引き起こされ、感染者の唇の上および近辺ならびに口内に病変をもたらすことが多い。この疱疹は、痛みを伴いかつ見苦しく、他の顔面病変と同様、この状態に悩む患者に心理的ストレスをもたらすことが多い。疱疹の発疹には、必ずではないが、差し迫った病変を警告する痛みを伴う感覚が先行することが多い。
【0017】
疱疹の痛みを伴う症状を軽減し、疱疹が治癒する時間を短縮するために使用することができる様々な軟膏剤および皮膚治療が存在する。アシクロビルおよびファムビルなどの特定の抗ウイルス薬を、発生を予防し、治癒時間を短縮するために使用することができる。しかしながら、これらの薬物は、一般に高価であり処方箋で利用できるに過ぎない。さらに、それらは、腎毒性などの有害な副作用をもたらすことがあるため、医師は、単純な発生例にこれらの薬物を処方したがらないことがある。また、口辺単純疱疹発生を効果的に予防するため、薬物は通常、予防的に、または発生の最初の兆候があった時点で投与しなければならない。いったん疱疹が発疹すると、病変は、他人に感染する可能性のある感染性粒子を生じる。ヘルペスウイルスを実験的に阻害するためにアルカリ阻害が一般に使用されるが、アルカリの塗布は、正常な皮膚に対する治療の厳しさにより、臨床条件では実際的でない。
【0018】
他のタイプの皮膚病変は、真菌性皮膚炎としても知られている真菌感染であり、医学的に体部白癬、足部白癬、爪白癬、頭部白癬、股部白癬、および白癬性毛瘡として知られている状態が含まれる。足爪または指爪の下で発生する真菌感染である爪白癬として知られている状態、医学的に爪甲真菌症または爪のタムシとも呼ばれている状態は特に厄介である。爪甲真菌症は、毛瘡白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)または紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)を含むいくつかのタイプの真菌によって引き起こされることがある。このような感染は、有効量の抗真菌薬を爪の下の領域に送達することが困難なために、効果的に治療することが極めて困難である。
【0019】
爪甲真菌症は、爪が肥厚しかつ光沢を失ったように見える原因となることがあり、爪の不快感を引き起こすことが多い。また、感染した爪は、体部の他の部分に広がって再感染し得る病原微生物の貯蔵庫を持ち、他の爪における爪甲真菌症、水虫、足部乾燥皮膚などの慢性疾患を引き起こす。爪甲真菌症は、大部分の集団全体に蔓延し、それらの大部分は、40代以上から苦しむ。
【0020】
ヒトの爪は、死細胞の硬い外面である爪板、および爪板の下の爪床を有する。爪板は、非多孔性であるが、爪床は、多孔性である。爪床の下には柔らかい肉がある。爪板および爪床は、痛みに対して比較的鈍感である。下にある肉は、痛みに対して敏感である。爪甲真菌症では、爪板、爪床、および重症例では、爪床の下の肉が感染することがある。
【0021】
爪甲真菌症を治療する方法には、爪床に薬物を送達する様々な方法が含まれ、爪板の下、または爪板を通して薬物を取り込むか、あるいは爪板を部分的または完全に除去して感染した組織にアクセスする様々な方法が含まれる。他の治療には、全身性抗真菌薬が含まれる。全身性薬物の困難さは、それらが爪領域に局在化しないため、体部の他の部分において望ましくない副作用を生じることなく有効な投与を行うことが困難なことである。
【0022】
輪状白癬(tinea circinata)または須毛部白癬(tinea glabrosa)としても知られ、一般に体部のタムシと呼ばれている体部白癬は、無毛皮膚、すなわち髭の生えた領域、頭皮、鼠径部、手および足以外の領域の真菌感染または皮膚糸状菌症であり、犬小胞子菌(Microsporum canis)などの小胞子菌(Microsporum)、紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)などの白癬菌(Trichophyton)、毛瘡白癬菌(T.Mentagrophytes)、および表皮菌(Epidermophyton)などの真菌種、特に白癬菌(Trichophyton)および表皮菌(Epidermophyton)によって引き起こされる。一般的に、この状態には、1個または複数の境界が明瞭な紅斑性で、境界がわずかに隆起し中央が治癒し、環状の輪郭を生じる落屑性斑の存在が含まれる。水疱性、湿疹性、乾癬様、疣贅性、プラーク様、または深在性などの様々な他のタイプの病変が生じることもある。
【0023】
一般的に「ジョック痒疹(jock itch)」または鼠径部のタムシとも呼ばれる股部白癬は、鼠径部、会陰および会陰領域の真菌感染または皮膚糸状菌症であり、一般的には男性に見られ、隣接部に広がることがあり、一般的に小胞子菌(Microsporum)、白癬菌(Trichophyton)、および表皮菌(Epidermophyton)などの真菌種、特に白癬菌(Trichophyton)および表皮菌(Epidermophyton)の真菌種によって引き起こされる。一般的に、この状態には、隆起した紅斑性周縁および薄く乾燥した鱗屑を伴う極めて掻痒性で境界の明瞭な病変が含まれる。体部白癬は、足部白癬(「水虫」としても知られている)に伴うことが多い。
【0024】
足部白癬は、指間病変をもたらす。水虫は、真菌に感染した空間内で増殖する多数の通常の非病原性細菌に起因する掻痒性で悪臭のひどい不快な障害である。
【0025】
特定の昆虫咬傷および特定の植物との接触は、痒いか痛みを伴う免疫応答をもたらす刺激物に皮膚を暴露することがある。一般的に、この症状は、刺激物が持ち込まれた直後に現れるが、刺激物が免疫応答によって効率的に除去されないか、あるいは不活性化されない場合には、長期間にわたって持続するか、あるいは散発的に再発することがある。これらの刺激物によって引き起こされる症状を治療するために様々な治療が提案されている。通常、この治療には、これらの状態と通常関係のある痒みおよび炎症を生じる免疫応答を阻害する化合物の塗布が含まれる。これらの化合物は、刺激の根本原因に対処することなく、昆虫咬傷の症状をマスクする傾向がある。また、これらの化合物は、継続的な症状の軽減を得るために反復塗布を必要とする傾向があり、かなり治療しても治癒時間を速めることはないことが多い。
【0026】
昆虫咬傷については、「ItchZapper(商標)」としても知られている装置が現在市販されている。この装置は、咬傷領域に1種または複数の熱バーストを印加することによって昆虫咬傷によって持ち込まれた刺激物を分解し、ヒスタミンの遊離を止めることによって昆虫咬傷を治療するということになっている。この装置は、122°F(50℃)の温度までの加熱を提供し、昆虫タンパク質は、118°F(約48℃)で分解すると言われている。本発明者等は、この装置をテストし、いくつかの点で昆虫咬傷の治療にとって不十分であることを見いだした。発明者等が検討したItchZapper(商標)装置は、2〜4秒間にわたりピーク温度まで急激に加熱した。加熱サイクルが完了した後、数秒間に残留熱が装置から放出されるにつれて装置は冷却した。温度の上下動が顕著であり、この装置は、長時間持続する温度を保つことはできなかった。この装置は、二度と同一温度に達することはなく、比較的短時間に複数回テストした場合、温度は、ヒトの皮膚に熱損傷もたらすことが多かった(すなわち、この装置は、対象を火傷させる可能性があった)。この装置の総加熱時間は、10秒以下であった。極めて短い治療時間は、反復治療なしに昆虫咬傷の症状に対する明らかな効果を持つ可能性は低い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
したがって、細菌、ウイルスおよび真菌感染により、ならびに昆虫咬傷および有毒植物によって持ち込まれる刺激物などの刺激物への暴露によって引き起こされる皮膚病変の改善された治療、特に大部分の患者において有害作用を引き起こすことなく病変の症状を効率的に改善し、治癒を促進する治療が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、侵入してくる細菌、真菌またはウイルス粒子の死亡を加速するか、あるいは皮膚刺激物の分解を支援することによって回復過程を速めるための、膿疱型発疹または限局性膿瘍などの皮膚病変に適用することができる調整された熱源の使用に関する。
【0029】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに示すために含まれる。本明細書に示される具体的な実施形態の詳細な説明と併せて1つまたは複数のこれらの図面を参照することによって本発明をより良く理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、感染した組織または炎症を起こした組織に制御された量の熱エネルギーを印加することによって回復過程を速めることを含む皮膚病変を治療するための方法および装置に関する。本発明を用い、調整された量の熱を印加することによって、細菌、真菌またはウイルス感染によって引き起こされる皮膚病変を治療することができる。また、本発明を用い、特定の皮膚刺激物の熱分解を引き起こすことができる。本発明の目的で、皮膚病変を「治療すること」とは、皮膚病変の進行を遅延、停止、または逆転させ、病変の治癒時間を短縮することを意味する。
【0031】
1.治療される病変
本発明による病変は、熱の印加によって効率的に治療することができる任意の感染した組織または炎症を起こした組織である。
【0032】
本発明は、定義された時間、調整された量の熱エネルギーを送達するように設計された方法および装置を提供する。制御された熱の印加は、対象の皮膚に熱損傷を引き起こすことなく、病変形成の進行を妨げるか、あるいは病変の治癒を加速するように、または両方のために最適化される。
【0033】
真皮、表皮、濾胞または他の皮膚構造の皮膚病変、ならびに歯ぐきまたは口の内側にある他の皮膚などの粘膜表面状の皮膚病変は、本発明の方法および装置によって治療することができる。指または足の爪および角質の内部および周辺の付加的皮膚構造も、細菌および真菌感染が発生する可能性のある部位である。
【0034】
病変は、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、ブドウ球菌(Staphylococcus)種または連鎖球菌(Streptococcus)種などの株を含むが、これらに限定されない菌株による感染の結果であってよい。好ましい実施形態において、本発明は、尋常性座瘡と一般的に関係する種類などの皮膚病変を治療するための方法および装置を提供する。これらの皮膚病変には、膿疱性皮疹および嚢胞、小結節、膿疱、丘疹、面皰(毛穴の黒ずみ)などの限局性膿瘍が含まれる。これらの病変には、吹き出物、稗粒腫(whiteheads)、にきび、座瘡などと一般的に呼ばれている病変が含まれる。
【0035】
あるいは、またはさらに、病変は、足爪または指爪感染、タムシなどの状態を生じ得る真菌種を含むが、これらに限定されない真菌種による感染の結果であってもよい。これらの真菌種には、犬小胞子菌(Microsporum canis)などの小胞子菌(Microsporum)種、紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)などの白癬菌(Trichophyton)種、毛瘡白癬菌(Trichophyton.Mentagrophytes)、表皮菌(Epidermophyton)種、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)などが含まれる。このような真菌種は、広く「皮膚糸状菌」と呼ばれることがある。
【0036】
あるいは、またはさらに、他の実施形態において、皮膚病変は、単純ヘルペスIおよびII型(口辺単純疱疹および陰部ヘルペス)、水痘帯状疱疹(水痘)などのヘルペスウイルスによって引き起こされる感染を含むウイルス感染の結果であってよい。
【0037】
理論に縛られるわけではないが、細菌、真菌およびウイルス感染によって引き起こされる皮膚病変の治療は、その死亡、障害、休眠をもたらす微生物における「熱ショック」応答の刺激あるいは感染体の生存度についての他の損失により、制御された量の熱を印加することによって効率的に治療することができると考えられている。
【0038】
あるいは、またはさらに、本発明の実施形態は、刺激物によって引き起こされる皮膚病変を治療するために、制御された熱を印加するための方法および装置を提供する。本発明によって治療することができる一般的な皮膚刺激物には、蚊、恙虫、蟻、蜘蛛咬傷、疥癬などの昆虫咬傷によって持ち込まれる刺激物が含まれる。クラゲ、蛇などの他の動物種により、またはツタウルシ、有毒オーク、毒ウルシなどの植物によって持ち込まれる他の皮膚刺激物も、本発明の方法および装置を用いて治療することができる。理論に制限されるわけではないが、調整された量の熱の印加は、異種の刺激性タンパク質の生化学的変性をもたらすことができ、または特定の刺激物に対する宿主反応を妨げることができ、または両方の場合もある。宿主反応の妨害は、異物に対する細胞応答に影響を生じる熱によって起きることがある。
【0039】
本発明の方法および装置は、ある量の熱(熱エネルギー)の病変への印加を提供し、ここで、熱は、治療病変に回復時間の改善をもたらすのに十分な量で1回または複数の治療期間にわたって印加される。したがって、有効治療量は、好ましくは、平均回復時間を1、2、3、4、5日以上改善し、新たな病変の新たな発生を予防し、さらに、またはあるいは、掻痒または痛み、圧迫、熱などの感覚などの病変に伴う不快感を明らかにまたは実質的に軽減することにより、所与のタイプの皮膚病変の平均回復時間をある程度まで短縮することができる任意な1回または複数回の熱の印加である。
【0040】
2.皮膚病変を治療する方法
特定の実施形態において、本発明は、治療される病変または組織の温度を38℃〜67℃の治療上有効な温度範囲、より好ましくは43℃〜67℃の範囲まで上げるのに有効な量の熱を印加することにより、真菌もしくは細菌感染、または皮膚刺激物への暴露に起因する皮膚病変を治療する方法を提供する。治療上有効な温度の他の好ましい範囲は、約38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57または58℃の下限および50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66または67℃の上限を有する範囲である。特定の病変の治療に最適な温度範囲は、培養において適切な感染性生物をテストすること、刺激物の熱不安定性をテストすることなどのルーチンな方法によるか、あるいは特定のタイプの皮膚病変を起こしている生きた対象をテストすることにより、当業者が容易に決定することができる。
【0041】
口辺単純疱疹などのウイルス性皮膚感染の治療については、印加される調整された量の熱は、感染した組織を38℃〜67℃の治療上有効な温度範囲まで加熱するのに十分であってよい。治療上有効な温度の他の好ましい範囲は、約38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57または58℃の下限および約42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66または67℃の上限を有する範囲である。特定の病変の治療に最適な温度範囲は、適切なウイルス培養をルーチンにテストすることによるか、あるいは特定のタイプの皮膚病変を起こしている生きた対象をテストすることにより、当業者が容易に決定することができる。
【0042】
感染した組織は、少なくとも5秒、好ましくは、少なくとも10秒、少なくとも15秒、少なくとも20秒、少なくとも25秒、少なくとも30秒、少なくとも40秒、少なくとも50秒、少なくとも60秒、少なくとも90秒、少なくとも2分、少なくとも2.5分、少なくとも3分、少なくとも3.5分、少なくとも4分、少なくとも5分、少なくとも6分、少なくとも7分、少なくとも10分、少なくとも15分または少なくとも20分の間、適切な温度範囲まで加熱される。好ましい実施形態において、感染した組織は、治療期間中、適切な温度範囲内で1種または複数の温度まで継続的に加熱されたままでなければならない。特定のタイプの病変を適切な温度範囲内の温度まで加熱すべき最適な時間は、培養において適切な感染性生物をテストすること、刺激物の熱不安定性をテストすることなどのルーチンな方法によるか、あるいは特定のタイプの皮膚病変を起こしている生きた対象をテストすることにより、当業者が容易に決定することができる。
【0043】
特定の実施形態において、感染した組織は、30秒まで、60秒まで、90秒まで、120秒まで、150秒まで、180秒まで、210秒まで、240秒まで、5分まで、10分まで、14分までまたは20分以上までの間、適切な温度範囲まで加熱される。
【0044】
多くの実施形態において、本発明の方法および装置は、いかなる治療薬の同時投与なしに皮膚病変を治療するために使用される。他の実施形態において、熱治療前、熱治療中または熱治療後に抗菌薬、座瘡薬または消毒薬などの治療薬を病変に投与することが望ましいことがある。そのような実施形態において、温度および熱印加の時間は、熱エネルギーの投与によってのみ病変を効率的に治療するのに必要なパラメータによって決定される。熱の投与は、一部の治療薬の取り込みを促進することがあるものの、本発明において使用される温度および熱印加の時間は、治療薬の効果的または強化された同時投与にとって必要な任意なパラメータとは無関係である。
【0045】
代替の実施形態において、感染した組織に印加される熱の有効治療量は、経験的にテストすることによって決定することができる。送達される熱の量が、許容できないレベルの熱損傷(火傷)を負わせるのを避けるのに十分低く、予防または回復過程を助けるのに十分高い限り、当業者に知られている任意の有効な方法を用い、感染した組織に熱を送達することができる。一般的に、より大量の熱の印加は、有効であるより短い印加時間を必要とし、より少量の熱の印加は、より長い印加時間を必要とする。しかしながら、どんな場合でも、熱の量は、最も好ましくは、平均回復時間を少なくとも1、2、3、4、5日以上改善することによるか、あるいは、病変が膿疱性皮疹、疱疹、または他のタイプの皮膚病変をもたらす前に新たな発生を予防することにより、治癒時間を明らかに、または実質的に変えるのに十分な量の臨界閾値を満たしていなければならない。
【0046】
3.皮膚病変を治療するための装置
本発明によって提供される装置は、有効治療量の熱を送達するのに十分な時間、調整された熱エネルギーの供給を病変に送達することができる加熱装置、好ましくは電気加熱装置である。
【0047】
本発明の装置は、対象の皮膚に接触するための接触面および38℃〜67℃の温度まで接触面を加熱し、少なくとも5秒間はその範囲内の1つまたは複数の温度を維持することができるヒーターを備える。
【0048】
本発明の目的にとっての「対象」とは、熱の印加によって効率的に治療することができる病変を有するヒトまたは動物である。「使用者」とは、有効治療量の熱を病変に印加するために本発明の装置を使用する人物である。特定の実施形態において、使用者が使用者自身の体の上で装置を病変に使用している場合のように、使用者が対象であってもよい。あるいは、使用者が、別の、例えば小児または患者に見いだされる病変に装置を使用する対象以外の個人であってもよい。
【0049】
特定の実施形態において、装置は、38℃〜67℃に調整された温度まで接触面を加熱することができる。本発明によれば、調整された温度は、病変の治療に必要な時間、望ましい温度範囲から著しく逸脱しない温度である。接触面は、約38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65または66℃の下限を有する望ましい温度範囲まで加熱することができることが好ましい。さらに、接触面は、約39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66または67℃の上限を有する望ましい温度範囲まで加熱されることが好ましい。特定の治療装置に最適な温度範囲は、その装置によって治療されることが意図されているタイプの病変を有する生きた対象で治療装置をテストすることなどのルーチンな方法によって当業者が容易に決定することができる。
【0050】
一般的に、熱損傷は、ヒトの皮膚が約66℃(150°F)以上の温度まで加熱された場合に起きるが、それでもなお、この温度またはそれ以上高い温度まで加熱された接触面は、特定の表面積に送達される熱エネルギーの量および加熱された組織によってどの程度容易に熱エネルギーが散逸されるかによって、熱損傷をもたらすことなく有効治療量の熱を病変に送達することができる。
【0051】
(a)接触面
本発明の装置は、ヒーターによって生じた熱が、治療されている病変または皮膚組織に送達される導管としての機能を果たす接触面を備えている。
【0052】
本発明の接触面は、対象の皮膚に直接使用することができるが、特定の実施形態において、対象の皮膚と接触面の間に1個または複数の介在層があってもよい。1個または複数の介在層は、熱エネルギーの伝達を可能にすることができる任意の望ましい物質であってよい。特に、介在層は、固体、半固体または液体層から構成されていてよい。特定の好ましい実施形態において、このような介在層は、ある使用から次の使用に感染体の伝達を予防することを意図した接触面用の滅菌可能な、または使い捨ての被覆を含むことができる。他の実施形態において、介在層は、病変上の絆創膏または他の包帯であってよい。さらに他の実施形態において、介在層は、例えば、爪の下に存在する真菌感染を治療するための装置を使用する場合、指爪または足爪などの生体物質であってよい。
【0053】
代替の実施形態において、本発明の装置は、接触面の表面上に存在する任意の微生物の生存度の損失をもたらすのに十分な高温および十分な時間、装置を加熱することによって滅菌することができる。他の実施形態において、接触面の滅菌は、細菌などの微生物を生存させない金属または他の材料でできている接触面を用いることによって向上させることができる。さらに他の実施形態において、接触面そのものが、交換可能、使い捨てであってよいか、さもなければ、例えば、滅菌される表面への殺菌薬の塗布などの従来型の殺菌の方法により殺菌可能であってよい。
【0054】
本発明の接触面は、対象の皮膚または組織と直接的または間接的に接触することが意図されている装置の一部である。接触面は、治療される領域への有効な熱の伝達を可能にする任意の形状のいずれであってもよい。接触面は、100cm、50cm、20cm、10cm、5cm、2cm、1cm、0.5cm、0.3cm、0.2cmまたは0.1cmを超える表面積を有することができ、あるいは、接触面は、0.1cmより小さくてもよい。接触面は、500cm、200cm、100cm、50cm、20cm、10cm、5cm、2cm、1cm、0.5cm、0.3cm、0.2cmまたは0.1cm未満の表面積を有することができ、あるいは、接触面は、500cmより大きくてもよい。一般的に、より大きな接触面を有する装置は、単一の対象で複数の病変を治療するのに望ましく、接触面のより小さな接触面を有する装置は、数個または単一の病変を治療するのに望ましい。より小さな接触面の使用は、特定の環境において、特定のタイプの病変を治療するのにより高温またはより長時間の治療が望ましい場合は特に、治療中に患者が経験すると思われる任意な不快感を軽減する手段として望ましいであろう。
【0055】
接触面の形は、任意の形でよく、特定のタイプの病変を治療するのに適切な任意の材料でできていてよい。特に、接触面が柔軟性のないか、あるいは実質的に柔軟性のない材料でできている場合、接触面は、実質的に平面、凸面または凹面であってよい。例えば、顔面の膿疱性皮疹または局在性膿瘍の治療を目的とした装置の接触面は、1個または複数の病変と、おそらく、それらのすぐ周囲と接触するように、実質的に平面または凸面であることが好ましい。足爪の真菌感染を治療するための装置は、感染した組織に極めて接近して位置するように、輪、弧、キャップ、または他の適切な形であることが好ましい。接触面の他の形は、本発明の装置で治療されるように意図されている病変のタイプに応じて、当業者には容易に明らかであろう。
【0056】
(b)熱源
本発明は、本明細書に開示された方法に従って治療用の熱を提供することが意図されている1個または複数のヒーターを有する装置を提供する。
【0057】
好ましい実施形態において、ヒーターには、その直線範囲で動作するトランジスターなどの半導体素子が含まれる。本発明の装置の特定の配置において、半導体素子は、電力を熱として発散し、1個または複数のヒート・シンクに直接的または間接的に熱を移動することができる。したがって、1個または複数のヒート・シンクは、熱を病変に送る働きをすることができる。
【0058】
他の実施形態において、ヒーターには、サーマル・マス、または望ましい電圧または温度範囲で動作することができるその他のタイプの熱源に接続されているカートリッジ・ヒーター、ランプ・バルブまたはライト・バルブ、ホイル型(foil−type)ヒーターが含まれてよい。このような熱源は、病変に直接熱を印加するために使用するか、あるいは病変に熱を伝達することができる1個または複数のヒート・シンクに接続することができる。
【0059】
本発明において使用することができる多くのタイプのヒーターは、当業者には明らかであろう。本発明の方法にとって適切な量の熱を発生することができる任意の加熱システムは、皮膚病変を治療するための熱源として使用することができる。
【0060】
本発明の好ましい装置には、すべて、接触面の温度が1回または複数の治療期間の間に望ましい温度範囲を決して逸脱しないように、持続性で一定の温度に接触面を加熱することができるヒーターを有する装置、治療期間中に温度を上げることができる装置、治療期間中に温度を下げることができる装置、および調整的に温度を変えることができる装置が含まれる。特定の実施形態において、調整的に温度を上げることができる装置が特に望ましい。一部の対象は、特定の治療量の熱の印加からわずかな不快感を経験する。この不快感は、望ましい治療温度範囲まで徐々に上げる装置によって完全に軽減または排除できることが多い。特定の実施形態において、装置の接触面は、対象の皮膚に接触している間に望ましい温度へ徐々に加熱することができる。代替の実施形態において、接触面は、望ましい温度範囲まで加熱され、次いで、病変に使用される。
【0061】
(c)動力源
本発明の装置において使用されるヒーターは、いくつかのタイプの動力源の使用により熱を発生する。好ましい実施形態において、ヒーターの動力源は、事実上電気である。このような電気装置は、交流により、または直流により動力を供給することができる。特定の実施形態において、電池などの携帯型動力源を使用することができる。他の実施形態において、装置は、従来型の交流出力によって動力を供給することができる。
【0062】
本発明の電気装置には、正確かつ持続的に接触面への熱の移動を調整することができる集積回路が含まれてもよい。特定の実施形態において、装置は、接触面の現在の温度を検出し、接触面の実際の温度および特定の用途に必要な温度に基づいて接触面に移動される熱の量を調整する手段をさらに備えることができる。
【0063】
本発明の電気装置のための電流源は、装置に対して内部もしくは外部、または両方の組合せであってよい。内部動力源には、再充電可能な、および再充電不可能な電池システムなどが含まれる。外部動力源には、交流または直流動力源が含まれてもよい。
【0064】
内部動力源を有する特定の実施形態において、本発明の電気装置は、従来型のアルカリおよびリチウム型電池などを含む電池、好ましくは市販の携帯型または充電可能な電池を使用して動力を供給される。他の実施形態において、内部動力源は、消費者によって取り替えられることが意図されていない充電可能な電池システムである。このような実施形態は、電池システムを再充電するための1個または複数の装置と併せて販売されることがある。好ましい実施形態において、電池システムは、電池の再充電装置を介して電池システムを交流動力源に接続することによって再充電することができる。
【0065】
外部動力源を有する特定の実施形態において、電気装置には、従来型の壁コンセントなどの電流動力源にシステムを接続するための電源コードおよびプラグが含まれてもよい。
【0066】
本発明の電気装置の電気動力源は、本出願に当業者が適合させることができる任意の動力源であってよい。例えば、1個または複数の電池を利用する実施形態において、電池数は、装置の加熱システムの動力需要に従い、または必要な電池の交換または再充電の間隔を最適化するために調整することができる。様々な電気動力源と併せて使用する装置を設計する方法は、当業者には容易に明らかであろう。
【0067】
(d)ヒーター制御システム
特定の実施形態において、本発明の電気装置には、ヒーター温度を監視し、さらに、またはあるいは、ヒーター、さらに、またはあるいは、1個または複数のヒート・シンクの最適な温度範囲を維持するためにヒーター温度を調整するように設計されたヒーター制御システムが含まれてもよい。本発明のヒーター制御システムには、加熱中に接触面の温度を設定、維持または調整するための「オン−オフ」制御、比例制御、比例−微分(PD)、比例−積分−微分(PID)制御などのフィードバック制御を用いるシステムが含まれる。好ましい実施形態において、ヒーター制御システムは、接触面の温度を直接的または間接的に制御するためのPIDアルゴリズムを使用する。PID制御メカニズムが好ましい実施形態であるが、望ましい温度または望ましい範囲内で装置の温度を監視、調整または維持するための他のメカニズムは、当業者には明らかであろう。
【0068】
したがって、ヒーター制御システムは、望ましい範囲内に接触面の温度を維持することができるか、あるいは接触面が望ましい温度を実質的に超えるのを防ぐための任意のシステムであってよい。また、ヒーター制御システムを用い、望ましい時間、制御的に装置の温度を上下することができる。例えば、ヒーター制御システムを用い、接触面を望ましい温度まで素早く導き、望ましい治療期間中、その温度を維持することができる。あるいは、ヒーター制御システムを用い、徐々に装置を加熱することができる(特に、治療中に対象の不快感を最小限に抑えるため、装置を低温で皮膚にあて、望ましい治療温度まで徐々に上げる本発明の実施形態において)。
【0069】
ヒーター制御システムを含む装置が本発明の特に好ましい実施形態であるのは、それらが、従来型の温湿布などの皮膚加熱装置によって引き起こされる多くの安全性の懸念を軽減するからである。それらの設計にもよるが、従来型の加熱装置は、正常な、または一般的な動作条件下で容易に過熱され、対象に対する被害または深刻な不快感をもたらすことがある。本発明の好ましいヒーター制御システムは、望ましい治療温度範囲内に接触面の温度を実質的に維持することができるシステム、さらに、またはあるいは、装置を、対象に危険な、または有害な温度まで接触面を加熱することができないようにする制御メカニズムを含むシステムである。
【0070】
特に、正常な、または一般的な動作条件下で、ヒーター制御システムは、接触面が特定のタイプの治療にとって望ましい高温を実質的に超えるのを防ぐことが最も望ましい。装置は、皮膚が熱的に損傷を受ける温度以上の温度まで加熱することができないことが特に好ましい。理論に縛られるわけではないが、大部分の対象にとって、その温度は約66℃(150°F)であると考えられている。
【0071】
また、ヒーター制御システムは、接触面が少なくとも5秒、少なくとも10秒、少なくとも15秒、少なくとも20秒、少なくとも25秒、少なくとも30秒、少なくとも40秒、少なくとも50秒、少なくとも60秒、少なくとも90秒、少なくとも2分、少なくとも2.5分、少なくとも3分、少なくとも3.5分、少なくとも4分、少なくとも5分、少なくとも6分、少なくとも7分、少なくとも10分、少なくとも15分または少なくとも20分の間、望ましい温度範囲にとどまるように接触面の温度を調整することができることが望ましい。
【0072】
(e)入力/出力システム
本発明の装置は、プログラム可能または調整可能であってよい。特定の実施形態において、本発明には、入力/出力システムが含まれる。好ましい実施形態において、装置の温度をプログラムまたは調整する手段は、集積回路、およびさらに、またはあるいはサーモスタット制御であってよい。しかしながら、当業者に知られている装置の機能を使用者が制御することができる任意の手段が本発明において使用可能である。
【0073】
最も初歩的には、入力/出力システムは、単に、動力源にヒーターを接続することによって接触面を加熱する手段である。例えば、入力/出力システムは、装置の外部にアクセル可能な何らかのオン/オフスイッチを備えることができる。より複雑なシステムには、押しボタン、タッチ・パッド、ダイアル、スイッチまたは他のタイプの入力メカニズムが含まれ、それらによって、使用者は、前もってプログラムされた装置の設定を始動させ、さらに、またはあるいは、望ましい方法で熱を印加するために装置をプログラムまたは設定することができる。したがって、入力装置は、装置が加熱される時間を限定し、接触面の温度を調整するか、さもなければ装置が熱を送達する方法を変えるために、使用者が様々な方法で装置の機能を調整するのを可能にすることができる。例えば、使用者が、特定の温度まで加熱するように装置に指示し、次いで特定の速度で温度を上げ、次いで望ましい最終温度に達した場合、接触面の温度を一定に保つことができるように入力/出力システムを設計することができる。好ましい実施形態において、入力/出力システムは、使用者が、装置の安全な動作範囲内の任意の温度に接触面の温度を調整することを可能にすることができる。他の実施形態において、特定のタイプの病変を治療するために装置の製造者によって最適化された複数の設定で入力/出力システムを前もってプログラムすることができる。
【0074】
より高機能な入力/出力システムには、タイマーが含まれていてもよい。前記タイマーは、望ましい時間が経過したことを使用者に示すため、一定時間装置の加熱を調整するため、または使用者に役立つと思われるその他の目的のために使用することができる。例えば、装置は、病変にとって推奨されるか、あるいは望ましい治療期間が経過したことを示すタイマーを有することがある。このようなタイマーは、使用者によってプログラム可能であるか、あるいは前もってプログラムされた設定によってアクセスされることがある。代替の実施形態において、装置が加熱される温度範囲を変える様々な設定、一定温度を維持するか、あるいは望ましい方法で温度を変える設定、さらに、またはあるいは、プログラム可能な、もしくは前もってプログラムされた印加時間を提供する設定を有するように装置をプログラムすることができる。
【0075】
使用前に特定の温度まで装置を予熱することが望ましい場合、入力/出力システムは、装置が使える状態であることを使用者に知らせる手段を有することができる。例えば、入力/出力システムは、適切な温度に達したことを判断するためのセンサーおよび装置が使える状態であることを使用者に知らせるためのインジケーターを備えることができる。
【0076】
同様に、装置は、装置が望ましい温度範囲以上に加熱され、温度が適切に下がるまでは使用してはならないことを使用者に示すための安全システムを備えることもできる。装置は、安全な動作温度に達したことを使用者に知らせるための他のインジケーターを含むことができ、あるいは、装置が望ましい温度以上に加熱されていない場合、安全システム用の警告インジケーターのスイッチを切ることができる。
【0077】
本発明のタイマーまたは他のインジケーターは、光、LED、LCDディスプレーなどの視覚的インジケーター、ベル、ブザーなどの聴覚性インジケーター、バイブレーターなどの触覚インジケーター、または当業者に知られているその他のタイプのインジケーターであってよい。
【0078】
前述のように、有効治療範囲内の温度を維持するために本発明の装置をプログラムまたは調整することができる。入力/出力システムは、特定の病変または個人の治療上の要求に従って装置によって提供される熱の量を変える手段を提供することができる。例えば、特定の細菌感染を治療するために必要な治療範囲は、特定のウイルス性病変を治療するために必要な治療範囲より高いことがある。同様に、熱を印加するべき時間を、病変のタイプまたは個人によって変えることができる。入力/出力システムは、特定の病変、対象の年齢または皮膚の感受性にとって最適であると判断された方法で熱の印加を制御するか、さもなければ特定の使用者の要求または願望に従って装置を調整する手段を提供することができる。
【0079】
望ましい場合、滅菌設定を有するように入力/出力システムをさらにプログラムすることができる。例えば、このような設定を用い、接触面の表面上に存在する微生物が生存していないことを保証するのに十分な高温に、または十分な時間、接触面を加熱することができる。
【0080】
本発明の入力/出力システムは、マイクロプロセッサーまたは他の支援電子技術の使用によって達成することができる。本発明において使用するのに適している入力/出力システムのための多くの構造および設計は、当業者には容易に明らかであろう。
【0081】
(f)本体
装置の本体は、ハンドルまたは装置を効率的に取り扱う他の手段を提供するための構造であってよい。また、装置の本体は、装置の動作中に使用者による直接的接触からヒーター、動力源または装置の他の電気部品を遮る役割を果たすことができる。好ましい実施形態において、装置の本体の設計は、使用者が、治療される特定の領域に安全かつ効率的に熱を印加することを可能にする。装置の本体は、装置の使用目的によって判断されるように、任意の許容可能な形であってよい。特定の好ましい実施形態において、装置の本体は、使用者の手に気持ちよくなじむサイズおよび形、例えば、一方の端にハンドルを、他方の端に接触面を有する実質的に円筒形の形である。他の実施形態において、装置は、治療される表面積に適合するパッドまたはパネルとして成形される。そのようなパッドまたはパネルは、装置の接触面としての役割を果たす1個または複数の加熱面および接触面の使用を制御するためのハンドルまたは接触点としての役割を果たす1個または複数の絶縁または非加熱面を有することがある。さらに他の実施形態において、治療される特定の表面積に表面積を一致させるように装置を設計することができ、例えば、湾曲した、または輪状の構造は、足爪もしくは足、または指爪もしくは指全体に適合することを意味する。例えば、装置は、感染した足指を治療するために設計されることがあり、この場合、装置は、足指の病変部に治療量の熱を送達するための少なくとも1個の内面および使用者による安全かつ効率的な装置の取り扱いを可能にする絶縁または非加熱外面を有するキャップを備える。他の構成は、当業者にとって容易に明らかであり、使用者が、治療される病変に安全かつ効率的に熱を印加することを可能にする任意の構造的配置が本発明によって提供される。
【0082】
本発明の要素の例示的配列は、円筒形の本体を備え、接触面が本体の一方の端に配置されている電気装置であろう。装置の反対の端は、使用者のためのハンドルの握りを形成する。使用者が、装置のスイッチを入れ、1種または複数の前もってプログラムされた治療設定を始動させることを可能にする1個または複数の入力装置が、装置の側面に沿って、または反対の端に配置されていてもよい。1個または複数のインジケーターは、装置が治療サイクルを開始する容易ができている時間、および治療サイクルが完了する時間を使用者に知らせる。例示的装置は、再充電可能な電池によって動力を供給される電気動力源をさらに備えている。当業者が容易に理解できるように、この例示的配列は、上述した特徴の可能な組合せの1つに過ぎない。本発明の装置の目的を満たす多くの配列は、当業者には容易に明らかであろう。
【0083】
本発明の好ましい実施形態を示すために以下の実施例を加える。当業者には当然のことながら、続く実施例において開示される技法は、本発明の実施において十分に機能するように発明者によって発見された技法に相当し、本発明を実施するための好ましい様式を構成すると考えることができる。しかしながら、本開示を踏まえて、当業者は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、開示されている特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、同様の、または類似の結果が得られることを理解するであろう。
【実施例1】
【0084】
P.acnesの温度依存性死亡曲線
材料および方法:細菌株P.acnesは、The American Type Culture Collection ATCC(No.11827、Lot 419571、Manassas、VA)から購入した。培養液は、KWIK−STIK凍結乾燥調製物中に保存されていた。凍結乾燥細胞(P.acnes)は、製造業者の推奨に従って元に戻し、最初は、嫌気性条件下で個々のコロニーを単離するためのストリーク・プレート上で増殖させた。次いで、これらのプレートを嫌気性チャンバー内で37℃において一夜インキュベートした。次いで、個々のコロニーを単離し、TSB成長培地中に接種して、培地を一夜撹拌した。これらから、TSBブロス培養液のアリコート0.1mlをPBS滅菌緩衝液0.9mlに加えた。次いで、この混合物を、壁の薄い1.5mlのEppendorf管に移し、様々な時間および温度で加熱ブロックに入れた。特定のインキュベーション時間後の培養液を取り出し、この材料0.1mlをTSAプレート上にプレートした。次いで、この混合物を、滅菌ホッケー・スティックで広げ、次いで、嫌気性条件下で37℃において5日間インキュベートさせた。次いで、プレートを取り出し、コロニーを数えて記録した。結果を図1に示す。図1は、様々な温度および処理期間に対応したP.acnesの急激な減少を示している。熱源に暴露しなかったベースラインのP.acnesコロニー数は、1050であった。
【0085】
結果:菌株を殺すのに必要な時間の一般的な短縮傾向は、より高温のインキュベーションにおいて認められた。コロニー数が極めて急激に落ち込む一時的温度閾値も注目すべきである。このような実験によって作成される曲線を用いることにより、最適な熱出力および各温度のタイミングを局在的加熱装置のために外挿することができる。示される試験管内データは、持続性で低レベルの熱の影響に対するP.acnes細菌細胞の著しい感受性を示している。55℃の温度は、3.5分後に実質的にすべての細菌の死亡をもたらす。58および59℃の温度は、2分後に実質的にすべての細菌の死亡をもたらす。これらの曲線は、死亡曲線によって示される条件下の処理によってP.acnesの大部分を成育不能にすることができることを示している。
【実施例2】
【0086】
ヒト対象における座瘡病変の治療。発明者等は、座瘡病変の発生を起こしている100名以上の志願者について予備試験を行った。全患者は、得られた結果に満足していると報告した。これらの結果は、治療された対象の約90%において治療に対する明確な反応を示した。どの対象も、治療による重症の有害作用を報告しなかった。さらに、我々は、治療病変が未治療病変に比べて80%超早く治癒することを発見した。
【0087】
本試験で使用した電気装置は、約0.4cmの接触面を有していた。皮膚表面に装置を使用するのに先立って、約48〜50℃の一定温度まで装置の接触面を加熱し、その温度を治療期間中維持した。各被験者には、装置の使用方法について指示を与え、治療中は監視した。治療は、病変部位に対する装置の2.5分間の使用からなっていた。この試験は、各患者に対して2回の治療サイクルの使用を求め、2回目の治療サイクルは、1回目から12時間後に行われた。しかしながら、実際には、各被験者について治療が1回しか行われないことが多かったのは、1回目の治療後に、それ以上の治療を必要としない程度まで多くの病変が治癒したためである。
【0088】
志願者の被験者に対して行われた実験の結果を表1及び表2に列挙する。対照群のメンバーは治療しなかった。治療群のメンバーは、上述のように治療した。両群は、続く14日間にわたり治療の結果を検査するか、あるいは自己申告した。14日間データを報告した試験参加者からの結果のみを表に含めた。データは、治療前の病変のサイズに関して報告された。100%の病変サイズは、病変サイズが変化していないことを示す。病変サイズは、10%単位で概算した。0%の病変サイズは、病変が完全に治癒したことを示す。対照群および治療群の平均した結果を図2に図示する。図によって示されるように、予備的結果は、治療が、病変サイズと総治癒時間の双方に劇的な減少をもたらしたことを示している。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】



【実施例3】
【0091】
発明者等は、ヒト志願者の複数の口腔ヘルペス病変に対して装置をテストした。結果は、実施例2に記載のように、12時間間隔で、1治療あたり2.5分で装置を2回使用した後のヘルペス性病変の完全な終結を示した。志願者は、このタイプの病変についての通常の治癒サイクルと対比して、治療後の治癒時間の顕著な短縮を報告した。
【0092】
本明細書に開示され、かつ特許請求の範囲に記載される構成および方法はすべて、本開示を踏まえ、必要以上の実験なしに実施および実行することができる。本発明の構成および方法を好ましい実施形態の点から説明してきたが、当業者には明らかなように、本発明の概念、精神および範囲を逸脱することなく、本明細書に記載の装置もしくは方法、または方法のステップまたはステップの順序に対して変形形態を適用することができる。より具体的に、上述の要素と関係のある特定の機械要素を本明細書に記載の機械要素の代わりに用いて同一または類似した結果を得ることができることは明らかであろう。当業者にとって明らかなそのようなすべての類似した置換および変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲および概念の中にあると見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】P.acnesの温度死亡曲線を示す図である。
【図2】座瘡病変に苦しむヒト対象についての対照と治療応答の比較を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚病変を有する対象を治療する方法であって、
(a)病変に熱エネルギーを印加すること、
(b)約38℃〜約67℃の範囲内の温度まで病変を加熱すること、および
(c)少なくとも5秒間、範囲内の1種または複数の温度に病変を維持すること
を含む方法。
【請求項2】
維持される温度は、約48℃〜約52℃である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
範囲内の1種または複数の温度は、少なくとも20秒間維持される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
病変は、細菌感染によって引き起こされる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
病変は、尋常性座瘡によって引き起こされる請求項5に記載の方法。
【請求項6】
皮膚病変を有する対象を治療する方法であって、
(a)装置で病変に熱エネルギーを印加すること、
(b)約38℃〜約67℃で少なくとも約5秒間、病変に印加された熱エネルギーを維持すること
を含む方法。
【請求項7】
皮膚病変を有する対象を治療する方法であって、
(a)制御された量の熱を送達することができる加熱装置を病変に近接した皮膚表面に接触させること、
(b)加熱装置に、有効治療量の熱を病変に移動させること
を含む方法。
【請求項8】
病変は、細菌感染によって引き起こされる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
病変は、尋常性座瘡によって引き起こされる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
病変は、真菌感染によって引き起こされる請求項7に記載の方法。
【請求項11】
病変は、ウイルス感染によって引き起こされる請求項7に記載の方法。
【請求項12】
病変は、ヘルペスウイルスによって引き起こされる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
病変は、刺激物によって引き起こされる請求項7に記載の方法。
【請求項14】
皮膚病変を治療するための電気装置であって、
(a)対象の皮膚に接触させるための接触面、
(b)約38℃〜約67℃の範囲の温度まで接触面を加熱し、少なくとも5秒間、範囲内の1種または複数の温度を維持することができるヒーター
を備える電気装置。
【請求項15】
ヒーターは、約47℃〜約60℃の範囲の温度まで接触面を加熱することができる請求項14に記載の電気装置。
【請求項16】
範囲内の1種または複数の温度は、少なくとも20秒間維持される請求項14に記載の電気装置。
【請求項17】
接触面は、約1cm未満の表面積を有する請求項15に記載の電気装置。
【請求項18】
皮膚病変を治療するための電気装置であって、
(a)対象の皮膚に接触させるための接触面、
(b)接触面を加熱することができるヒーター(接触面は、対象の皮膚に有効治療量の熱を移動することができる)、
(c)ヒーターに電気エネルギーを提供することができる動力源、および
(d)本体
を備える電気装置。
【請求項19】
ヒーター制御システムをさらに備える請求項18に記載の電気装置。
【請求項20】
ヒーター制御システムは、フィードバック制御メカニズムを使用する請求項19に記載の電気装置。
【請求項21】
フィードバック制御メカニズムは、PID制御アルゴリズムの使用を含む請求項20に記載の電気装置。
【請求項22】
入力/出力システムをさらに備える請求項18に記載の電気装置。
【請求項23】
接触面は、10cm未満の表面積を有する請求項19に記載の電気装置。
【請求項24】
接触面は、1cm未満の表面積を有する請求項23に記載の電気装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−501098(P2007−501098A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533507(P2006−533507)
【出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/016996
【国際公開番号】WO2004/107956
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505436911)タイレル、インク (2)
【Fターム(参考)】