説明

皮膚病学的症状を改善するためのフラーレン組成物

本発明は、皮膚病学的症状に罹患しているか又は皮膚病学的症状に罹患する可能性のある哺乳動物の皮膚の少なくとも一部に置換フラーレンを含む組成物を投与することを含む、哺乳動物の皮膚の皮膚病学的症状を改善する方法であって、上記置換フラーレンが、フラーレンコア(Cn)と、(i)フラーレンコアに結合した1〜3個の(>CX)基、(ii)フラーレンコアに結合した1〜18個の−X基、(iii)フラーレンコアに結合した1〜6個の−X−基、又は(iv)フラーレンコアに結合した1〜6個のデンドロンの少なくとも1つとを含む方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に皮膚病学的症状を改善する分野に関する。より詳細には、日焼け、加齢などの皮膚病学的症状を治療するためのフラーレン組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に「フリーラジカル」と称される反応性酸素種(ROS)は、これらに限定されないが、日焼け、加齢及びスモーカーズフェイスを含む様々な皮膚病学的症状に関わりがあるとされてきた。ROSは、皮膚の少なくともある種の細胞、細胞種類、組織又は組織種類において、症状の中でとりわけ、細胞死(アポトーシス)、損なわれた細胞機能、並びにエラスチン又はコラーゲンなどの細胞外マトリックス成分の割合の改変又は変更を促進すると考えられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ROSを中和できる化合物を投与することによって皮膚病学的症状を治療することの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、本発明は、皮膚病学的症状に罹患しているか又は皮膚病学的症状に罹患する可能性のある哺乳動物の皮膚の少なくとも一部に置換フラーレンを含む組成物あって、上記置換フラーレンが、フラーレンコア(Cn)と、
(i)フラーレンコアに結合した1〜3個の(>CX)基、
(ii)フラーレンコアに結合した1〜18個の−X基、
(iii)フラーレンコアに結合した1〜6個の−X−基、又は
(iv)フラーレンコアに結合した1〜6個のデンドロン
の少なくとも1つとを含む組成物を投与することに関する。
【0005】
本明細書では、「又は」という用語は、出現する場合いつでも包含的な意味を有する。
【0006】
他の実施形態では、本発明は、(a)置換フラーレンと、(b)薬剤として許容される担体とを含む哺乳動物の皮膚の皮膚病学的症状を改善するための組成物に関する。
【0007】
以下の図は本出願の一部を形成し、本発明のいくつかの態様をさらに示すためにこれらを含める。本明細書で示す具体的な実施形態の詳細な説明とともにこれらの図面の1つ又は複数を参照することによって、本発明をより良く理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
一実施形態では、本発明は、皮膚病学的症状に罹患しているか又は皮膚病学的症状に罹患する可能性のある哺乳動物の皮膚の少なくとも一部に置換フラーレンを含む組成物を投与すること
を含む哺乳動物の皮膚の皮膚病学的症状を改善する方法に関する。
【0009】
疾患を「改善する」ということは、疾患に罹患しているか、又は疾患に罹患するリスクのある対象の状態を改善させることを意味する。改善することには、本開示の利益を有する当業者に明らかなもののなかで、とりわけ、疾患の症状の重篤度の軽減、疾患の症状の度合いの軽減、疾患の症状の数の低減、病因物質数の削減、疾患の症状の拡大の縮小、疾患の症状の発現の遅延、疾患発現の遅延、或いは、疾患の発現から疾患の寛解までの時間の短縮のうちの1つ又は複数を含むことができる。上記の疾患を改善する例を相対的な用語で定義する限りにおいて、適切な比較は、改善するための組成物を何も投与せず、且つ改善するためのどんな方法も行わない場合の疾患又はその症状に対してである。「防止する」(本明細書では、「疾患の発現を止める」ことを意味する)及び「治療する」(本明細書では、「疾患に罹患する哺乳動物の症状を改善する」ことを意味する)という用語はどちらも、本明細書で使用する「改善する」ことの範囲内である。
【0010】
本発明では、疾患は酸化ストレス性疾患である。「酸化ストレス性疾患」は、1つ又は複数の細胞小器官、非細胞小器官細胞下構造、細胞、細胞種類、組織、組織種類、器官又は器官系の健全な機能が、フリーラジカル、特にラジカル酸素種(ROS)などの酸化剤の作用によって損なわれる疾患である。疾患の過程で健全な機能の障害がそれによって発生する経路のうちで、酸化剤の作用が、その疾患が酸化ストレス性疾患であるためのただ1つの経路であるわけではない。酸化ストレス性疾患においては、多くの酸化剤の供給源が知られている。その供給源の例には、これらに限定されないが、とりわけ代謝の副作用、環境要因による刺激(例えば、タバコの煙又は紫外線)又は内的問題(例えば虚血)が含まれる。多数の酸化ストレス性疾患のうちのいずれか1つ又は複数を、本方法の実施によって改善することができる。
【0011】
本明細書で用いる「皮膚病学的症状」という用語は、哺乳動物の皮膚の少なくとも一部が罹患する病気を指す。「皮膚の少なくとも一部が罹患する」とは、哺乳動物の皮膚のすべて又は一部が、細胞死、細胞損傷、損なわれた細胞機能、細胞損傷を反映する細胞産生物の産生、皮膚中に通常存在しないか又は皮膚中に通常高レベルで存在しない細胞種類の増殖、細胞外マトリックスの分解又は変質、或いは、皮膚の1つ又は複数の細胞、細胞種類、組織又は組織種類に認められた場合に当業者が通常、皮膚病学的症状を示していると認識できる他の症状のうちの1つ又は複数を経験することを意味する。
【0012】
皮膚病学的症状の原因の例には、これらに限定されないが、とりわけ火炎、熱、放射線、例えばアルファ粒子、ベータ粒子、紫外線(UV)又はガンマ線などの電磁放射線が含まれる。
【0013】
一実施形態では、皮膚病学的症状は日焼けである。「日焼け」という用語は、放射線の供給源が太陽か又は他の星であるかに関わらず、任意の波長の電磁放射線、α放射線、β放射線の1つ又は複数によって、皮膚上に受ける任意の損傷を包含するものとする。他の実施形態では、皮膚病学的症状は加齢である。本明細書で用いる、「加齢」という用語は、時間の経過に伴う皮膚の外的形態の変化(例えば、笑いじわ、目尻のしわ又は他のしわの形成;又は肝斑の出現)と、上記外的形態の変化の元になっている分子的変化(例えば、皮膚の細胞外マトリックスにおける、エラスチン、コラーゲン、又はその両方の濃度の変化)とを包含する。さらに他の実施形態では、皮膚病学的症状は乾癬である。他の実施形態では、皮膚病学的症状は座瘡である。他の実施形態では、皮膚病学的症状はスモーカーズフェイスである。さらに他の実施形態では、皮膚病学的症状は日焼け、加齢、脱毛又はスモーカーズフェイスである。
【0014】
一実施形態では、酸化ストレス性疾患は老化である。本明細書では、「老化」という用語は、哺乳動物の全般的な健康の低下、哺乳動物の全般的な体力の低下、哺乳動物の全般的な生活の質の低下のうちの1つ又は複数を指す。そうした低下は一般に加齢プロセスによってもたらされる。一実施形態では、老化を改善することによって、哺乳動物の一生の後期に、特定のレベルの全身的な健康さの維持がもたらされる。一実施形態では、老化を改善することによって、哺乳動物の予想される寿命の少なくとも部分的な延長がもたらされる。
【0015】
ヒト及びその伴侶の全般的な健康と長寿を増進させるための方法は、非常に活発な研究分野である。後生動物の全体にわたる細胞過程又は発育過程の保存性質を前提として、老化の研究のために、ネマトーダすなわちシノラブディスエレガンス(Caenorhabditis elegans)及び果実ハエすなわちショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を含む、いくつかのモデル有機体が用いられてきた。
【0016】
例えば、C.エレガンスの遺伝分析によって、寿命決定に関わるいくつかの遺伝子が明らかになった。Daf−2(インスリン受容体)及びClk−1(「Clock1」、発育時期及び行動時の多くの面で影響を及ぼす遺伝子)における突然変異は、C.エレガンス成虫の寿命を延ばすことが示されている。しかし、Clk−1変異体は若年期において、より高い死亡率を有している。Clk−1長寿表現型は、スーパーオキシド/フリーラジカル代謝に関わる遺伝子コード化カタラーゼ中における突然変異によって消失する。さらに、C.エレガンスの食餌における補酵素Qの排除によって、寿命が延長されることが示されている。これらの観察は、反応性酸素種がC.エレガンスにおける老化に関係することを示唆している。
【0017】
ショウジョウバエにおいて、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)とカタラーゼの過剰発現は寿命を35%延長させた。メトセラ(Methuselah)遺伝子(「Mth」)における突然変異は寿命を20%延長させることが分かった。G−タンパク質結合型受容体であるMthの機能は知られていないが、変異体はパラコート(スーパーオキシドラジカル損傷誘発剤)への抵抗性が増大していることが分かった。これらの観察は、反応性酸素種がショウジョウバエの老化に関係していることを示唆している。
【0018】
Duganら、米国公開特許出願2003/0162837は、C3をマウスに経口投与すると(約0.5mg/kg/日で)、対照に対して約20%の平均生存率の増加(28.7+/−3.3カ月対23.5+/−5.5カ月、p=0.033)がもたらされ、したがって、これは、抗酸化性化合物が老化を改善することができたことを示唆していると報告している。
【0019】
「皮膚」という用語は、哺乳動物の身体の包囲体(encasement)の大部分を提供する一般的な外皮と、毛髪、粘膜、胸部の乳頭を形成する特殊な組織、又は、とりわけ、当業者に明らかな口、生殖器、爪、蹄又は鉤爪の外皮の両方を意味する。本明細書の説明及び特許請求の範囲でこの用語を使用する場合、表面積で哺乳動物の皮膚表面の約1mmから全体までの範囲の体内の皮膚の任意の部分を「一部」と考えることができる。
【0020】
本明細書で定義の皮膚病学的症状に罹患する任意の哺乳動物は、組成物の投与を受けることができる。哺乳動物の例はヒトであるが、経済的又は審美的な効用を有する他の哺乳動物(例えばウシ、ヒツジ又はウマなどの家畜;例えば犬やネコなどのペット)も組成物の投与を受けることができる。
【0021】
本明細書では、「投与する」という用語は、組成物を哺乳動物の皮膚の少なくとも一部に導入するすべての技術を包含するものとする。投与経路の例には、とりわけ局所施用及び皮下注射が含まれ、とりわけ、静脈内、動脈内、筋肉内、経口、経直腸及び経鼻などの全身的投与経路が含まれる。
【0022】
その組成物は置換フラーレンを含む。
【0023】
フラーレン、より口語的にはバッキーボルとしても知られているバックミンスターフラーレンは、本質的にsp混成炭素からなる、かご形分子であり、一般式(C20+2m)(mは自然数)を有する。フラーレンはダイヤモンド及びグラファイトに次ぐ第3の高純度炭素である。一般に、フラーレンは六角形、五角形又はその両方の形で配置されている。最も良く知られているフラーレンは、12個の五角形と、分子の大きさに応じて変動する個数の六角形を有する。「C」はn個の炭素原子を含むフラーレン部分を指す。
【0024】
通常のフラーレンはC60及びC70を含むが、最大で約400個の炭素原子を含むフラーレンも知られている。
【0025】
フラーレンは、これに限定されないが、グラファイトの高温蒸発を含む既知の技術で製造することができる。フラーレンは、供給業者のなかでとりわけ、MER Corporation(Tucson,AZ)及びFrontier Carbon Corporationから入手することができる。
【0026】
置換フラーレンは、フラーレンコアの少なくとも1個の炭素に結合した少なくとも1個の置換基を有するフラーレンである。置換フラーレンの例には、とりわけ、カルボキシフラーレン及びヒドロキシル化フラーレンが含まれる。
【0027】
本明細書で用いるカルボキシフラーレンとは、Cコアと1個又は複数の置換基を含むフラーレン誘導体であって、少なくとも1個の置換基がカルボン酸部分又はエステル部分を含む誘導体である。一般に、カルボキシフラーレンは水溶性であるが、具体的なカルボキシフラーレンが水溶性であるかどうかは、当業者には、通常の実験で判断できることである。
【0028】
他の実施形態では、フラーレンはヒドロキシル化フラーレンである。本明細書で用いる「ヒドロキシル化フラーレン」という用語は、Cコアと1個又は複数の置換基を含むフラーレン誘導体であって、少なくとも1個の置換基がヒドロキシル部分を含む誘導体である。
【0029】
すべての実施形態において、置換フラーレンはフラーレンコア(Cn)を含み、そのコアは、任意の数の炭素原子を有することができる。一実施形態では、Cnは60個の炭素原子(本明細書ではC60と表すことがある)を有する。一実施形態では、Cnは70個の炭素原子(本明細書ではC70と表すことがある)を有する。
【0030】
本発明の説明を通して、本明細書で説明する個々の実施形態を、特定の酸、アミド、エステル又は塩の形態で述べるが、当業者は、上記及び他の形態のなかで、製造、保存及び使用のpH及び他の条件に応じて実施形態を変えることができることを理解されよう。すべてのそうした形態は添付の特許請求の範囲内である。例えば酸と塩との間の形態の変更は通常の変更であるが、酸部分の−Hへの脱炭酸(反応)などの構造的変化は通常の変更ではない。
【0031】
一実施形態では、置換フラーレンはフラーレンコア(Cn)とフラーレンコアに結合した1〜3個の(>CX)基とを含む。「>C」という表記は、基が、炭素原子「C」とCnとの間の2つの単結合によってフラーレンコアに結合していることを示す。X及びXは独立に、少なくとも1個の炭素原子を含む任意の部分であってよい。但し、置換フラーレンがフラーレンコアとそれに結合した1個又は複数の(>CX)基からなる場合、少なくとも1個の(>CX)基の少なくとも1つのX又はX部分は−COOHでないか、或いは(>CX)基はフラーレンコア上でC3配向又はD3配向ではない。
【0032】
他の一実施形態では、Xは−H、−COOH、−CONH、−CONHR’、−CONR’、−COOR’、−CHO、−(CHOH又はその塩(式中、各R’は独立に、(i)1〜約6個の炭素原子を有する炭化水素部分、又は(ii)1〜約6個の炭素原子と末端カルボン酸とを有する炭化水素部分であり、dは0〜約20の整数である)から選択することができる。さらに他の実施形態では、Xは、−R、−RCOOH、−RCONH、−RCONHR’、−RCONR’、−RCOOR’、−RCHO、−R(CHOH、又はその塩(式中、Rは1〜約6個の炭素原子を有する炭化水素部分である)から選択することができる。
【0033】
同様にしかし独立に、一実施形態では、Xは−H、−COOH、−CONH、−CONHR’、−CONR、−COOR’、−CHO、−(CHOH又はその塩から選択することができる。他の実施形態では、Xは−R、−RCOOH、−RCONH、−RCONHR’、−RCONR’、−RCOOR’、−RCHO、−R(CHOH、又はその塩から選択することができる。
【0034】
本明細書で示すすべての構造式は、その構造をいずれかの特定の異性体に限定すると解釈しないものとする。
【0035】
本明細書で開示する置換フラーレンの可能性あるすべての異性体が本開示の範囲内である。例えば、>CXにおいては、各置換基のうちの一方の基(X又はX)はフラーレンコアから離れる方を向き、他方の基はフラーレンコアの方を向いている。さらに例を挙げると、X及びXが異なる場合、各置換基の中心炭素(それは、その炭素が、2つの結合でフラーレンコアと、1つの結合でXと、1つの結合でXと結合することを意味する)は対掌性(キラル)である。
【0036】
2つ以上の置換基を有する置換フラーレンは、フラーレンコアへの置換基の、可能な異なる部位の結合によって得られる異性体を有することになることも明らかであろう。
【0037】
一実施形態では、置換フラーレンは(C60(>C(COOH))(C3)の脱炭酸(反応)生成物である。「C3の脱炭酸(反応)生成物」という用語は、0個又は1個のカルボキシ(−COOH)基が、C3の3つのマロネート部分(>C(COOH))のそれぞれから取り外され、−Hで置き換えられる反応の生成物を意味する。但し、マロネート部分の少なくとも1つは−Hで置換された1個のカルボキシ基を有するものとする。これは、マロネート部分からCOが失われると考えることができる。脱炭酸(反応)の技術のなかで、とりわけ、これは、C3を酸の中で加熱して行うことができる。
【0038】
C3の脱炭酸(反応)の際、C3からのCOの損失だけが観察される。各マロネート部分は少なくとも1つのカルボキシルを保持し、脱炭酸(反応)はCO基を3つ(C3の各マロネート部分から1つ)失って停止する。本開示の利益を有する当業者は、1、2、4、5、又は6個のマロネート部分を有する置換フラーレンも脱炭酸(反応)を受けることを認識されよう。
【0039】
C3では、各マロネート部分は、本明細書ではエキソと称する外側へ向くカルボキシ基(フラーレンから離れる方向)と、本明細書ではエンドと称する内側へ向くカルボキシ基(フラーレンへの方向)を有する。図2AはC3(図2A)の構造式と、エキソ−及びエンド−酸(図2B)の図式の両方を示す。
【0040】
図3は、C3(ボックス30の中)と、続く1つ又は2つのCO基の脱炭酸(反応)による損失によって得られる生成物のC3−ペンタ酸(ボックス32の中)及びC3−テトラ酸(ボックス34の中)を示す。脱炭酸(反応)は白抜きの矢印31と33で示す。C3、C3−ペンタ酸及びC3−テトラ酸の異性体を、それぞれボックス30、ボックス32及びボックス34に示す。
【0041】
正確な命名のために、基の名称を常に時計回りでつけることによって我々はエキソ又はエンドの順番を定義する。
【0042】
図4は、ボックス34に示した第3のCO基のC3−テトラ酸から脱炭酸(反応)による続く損失によって得られる生成物のC3−トリス酸(ボックス42)を示す。脱炭酸(反応)は白抜きの矢印41で示す。C3−テトラ酸及びC3−ペンタ酸の異性体を、それぞれボックス34及びボックス42で示す。回転によってのみ差異がでる異性体を破線43、44及び45で結んでいる。
【0043】
図5は、C3の対掌性を、構造式(鏡像50a及び50b)と略図(鏡像52a及び52b)の両方で示す。図6はC3−ペンタ酸の対掌性(鏡像60a及び60b;鏡像62a及び62b)を示す。
【0044】
他の実施形態では、置換フラーレンは図7で示す構造72、74、76、77、又は78のうちの1つを含む。
【0045】
一実施形態では、置換フラーレンはC60とC3配向又はD3配向の3個の(>CX)基を含む。D3配向はC3配向の鏡像様の転位である。C3−ペンタ酸、C3−テトラ酸及びC3−トリス酸の上記の説明は、ペンタ酸、テトラ酸及びトリス酸のD3配向にも適用される。
【0046】
一実施形態では、図11に示すように、置換フラーレンはC60と、トランス−2配向1206、トランス−3配向1207、e配向1208又はシス−2配向1209の2個の(>CX)基を含む。
【0047】
他の実施形態では、やはり図11に示すように、置換フラーレンはC70と、ビス配向の1210又は1211の2個の(>CX)基を含む。
【0048】
一実施形態では、置換フラーレンは式C60(>C(COOR)を有する。式中、−Rは−H、又は1個又は複数の炭素原子を含む有機部分であり、nは1〜30の整数である。−R部分は同じ置換基又は他の基の別の−R部分に結合していてもよい。他の実施形態では、置換フラーレンは図8Bに示す構造を有する。
【0049】
一実施形態では、置換フラーレンはフラーレンコア(Cn)と、フラーレンコアに結合した1〜18個の−X基を含む。「−X」という表記は、この基が、X基の1つの原子と、フラーレンコアの1個の炭素原子との間の単結合によって、フラーレンコアに結合していることを示す。以下に示す個々のX基において、任意の空位の原子価は、基とフラーレンコアとの間の単結合を表す。
【0050】
一実施形態では、置換フラーレンは、1〜約6個の−X基を含み、各−X基は独立に、
−N(R)(R)(R)(式中、R、R及びRは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)である)、
−N(R)(R)(R)(式中、R及びRは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)であり、各Rは独立に、−(CH−SO、−(CH−PO又は−(CH−COO(但し、fは1〜約20の整数である)である)、
−C(R)(R)(R)(式中、R、R及びRは独立に、−COOH、−H、−CH(=O)又は−CHOHである)、
−C(R)(R)(R)(式中、R及びRは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)であり、各Rは独立に、−(CH−SO、−(CH−PO、又は−(CH−COO(但し、fは1〜約20の整数である)である)、
−(CH−COOH、−(CH−CONH、−(CH−COOR’又はペプチジル部分(式中、eは1〜約6の整数であり、各R’は独立に、(i)1〜約6個の炭素原子を有する炭化水素部分、又は(ii)1〜約6個の炭素原子と末端カルボン酸とを有する炭化水素部分である)、或いは
カチオン性窒素を含む芳香族複素環部分
から選択される。
【0051】
上記から明らかなように、この実施形態による置換フラーレンは、上記のカテゴリーのうちの1つ又は複数から選択される1つ又は複数の基を含むことができる。
【0052】
他の実施形態では、置換フラーレンはフラーレンコア(Cn)と、フラーレンコアに結合した1〜6個の−X−基を含む。表示「−X−」は、その基が2つの単結合によってフラーレンコアに結合しており、一方の単結合は基の第1の原子とフラーレンコアの第1の炭素との間にあり、他方の単結合は基の第2の原子とフラーレンコアの第2の炭素との間にある(形容詞の「第1の」及び「第2の」は、本明細書ではどの場合でも、この形容詞によって修飾されている名詞の特定の順番(時間的にも、空間的にもまたその両方においても)を意味するものではない)。
【0053】
一実施形態では、各−X−基は独立に、
【化1】


(Rは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)であり、Rは独立に、−(CH−SO、−(CH−PO又は−(CH−COO(但し、fは1〜約20の整数である)である)
である。
【0054】
他の実施形態では、各−X−基は独立に、
【化2】


(式中、R及びRそれぞれは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)である)
である。
【0055】
他の実施形態では、各−X−基は独立に、
【化3】


(式中、各Rは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)であり、各Rは独立に、−H、−OH、−OR’、−NH、−NHR’、−NHR’又は−(CHOH(式中、各R’は独立に、(i)1〜約6個の炭素原子を有する炭化水素部分又は(ii)1〜約6個の炭素原子と末端カルボン酸とを有する炭化水素部分である)である)
から選択される。
【0056】
本発明の一実施形態では、置換フラーレンはフラーレンコア(Cn)とフラーレンコアに結合した1〜6個のデンドロンを含む。
【0057】
本発明の意味の範囲内でのデンドロンは、構造単位として末端に分枝を有するフラーレンの付加体(addendum)である。デンドロンは2つ以上の反応部位を含むコアから誘導されると考えることができる。第1世代デンドロンと定義するためには、コアの各反応部位が、1つの活性部位(本発明の文脈では、コアの反応部位と反応する部位である)と2つ以上の反応部位を含む分子と反応していると考えることができる。第1世代デンドロンは本明細書で用いる「デンドロン」という用語の範囲内である。より高い世代のデンドロンは、1つの活性部位と2つ以上の反応部位を含む、同じか又は他の分子と反応した第1世代デンドロンの各反応部位によって、形成されていると考えることができ、これを第2世代デンドロンと定義する。続く世代は直近の世代への同じような付加によって形成されていると考えることができる。デンドロンは上記技術によって作製することができるが、他の技術で作製されたデンドロンも本明細書で用いる「デンドロン」という用語の範囲内である。
【0058】
デンドロンのコアは、(a)フラーレンの1個又は複数の炭素と、(b)コアの1個又は複数の原子との間の1個又は複数の結合によってフラーレンに結合されている。一実施形態では、シクロプロパニル基を形成するような形で、デンドロンのコアはフラーレンと結合している。
【0059】
一実施形態では、デンドロンのコアは、フラーレンへの結合の部位とコアの反応部位との間に、1〜約100個の原子、例えば約2〜約10個の炭素原子の鎖であるスペーサーを含む。
【0060】
デンドロンの諸世代はN、C、P、Siなどの三価若しくは多価元素、又はアリール若しくはヘテロアリールなどの多価分子セグメントを含むことができる。各世代の反応部位の数は約2又は約3でよい。世代の数は1〜約10であってよい。
【0061】
フラーレンに付加するのに適したデンドロンに関するさらなる情報は、Hirsch、米国特許第6506928号を参照することができる。その開示を参照により本明細書に組み込む。
【0062】
他の実施形態では、置換フラーレンは図9A〜9Gから選択される構造を有する。図9Dでは、各「糖」は独立に炭水化物部分を表し、各「リンカー」は独立に有機又は無機部分を表す。他の実施形態では、各糖は独立に、リノース又はデオキシリボースであり、各「リンカー」は式−(CH−(但し、dは0〜約20の整数である)を有する。
【0063】
この実施形態の置換フラーレンはフラーレンへの付加体である非デンドロン部分をさらに含むことができる。この付加体は上記デンドロンに見られるようなコア及び世代構造を有していない。非デンドロンの例には、これらに限定されないが、−COOHが含まれる。デンドロンが18個の−COOH基を含む場合、置換フラーレンは1個又は複数の非デンドロンを含む。
【0064】
本発明の置換フラーレンは、「含む(comprising)」の明白な意味にしたがって、上記実施形態の1つ、2つ又はそれ以上を満足させることができる。
【0065】
上記実施形態のいずれの置換フラーレンも内包金属をさらに含むことができる。「金属」は金属元素のうちの少なくとも1つの原子を意味し、「内包」とは、金属がフラーレンコアによって閉じ込められていることを意味する。金属は元素であっても、他の元素を含む分子中の1個又は複数の原子であってもよい。内包金属を含む置換フラーレンを「メタロフラーレン」と称することができる。他の実施形態では、メタロフラーレンは以下の構造で表すことができる。
@C
式中、各Mは独立に、金属を含む分子であり、
mは1〜約5の整数であり、
はn個の炭素原子を含むフラーレンコア(但し、nは60以上の整数である)である。
【0066】
一実施形態では、Mは遷移金属原子である。一実施形態では、Mは55を超える原子番号を有する金属原子である。金属の例には、金属カーバイドを形成しないものが含まれる。一実施形態では、その金属はHo、Gd又はLuである。
【0067】
一実施形態では、Mは有機金属分子又は無機金属分子である。一実施形態では、Mは式M’N(但し各M’は独立に金属原子である)を有する分子である。各金属原子M’は、とりわけ、遷移金属、約55を超える原子番号の金属又は上記例示の金属の1つなどの任意の金属であってよい。
【0068】
一実施形態では、Mは反応性酸素種と反応可能な金属である。
【0069】
一実施形態では、メタロフラーレンは、MがHo、HoN、Gd、GdN、Lu又はLuNであり、mが1であり、nが60であることを特徴とする。
【0070】
一実施形態では、置換フラーレンは重合している。そのことは、単一分子中に複数のフラーレンコアが存在することを意味する。その分子は、第1のフラーレンコアと第2のフラーレンコアの間の炭素−炭素結合と、第1のフラーレンコア上の第1置換基と第2のフラーレンコア上の第2置換基の間の共有結合、或いはその両方を含むことができる。
【0071】
置換フラーレンは、本方法において、他の成分を有する組成物として使用することができる。一実施形態では、組成物は式(B)−C−(A)を有する両親媒性フラーレンをさらに含む。式中、Cはn個の炭素原子を含むフラーレン部分(但しnは60≦n≦240の整数)であり、Bは1〜約40個の極性頭部基部分を含む有機部分であり、bは1≦b≦5の整数であり、各Bは1若しくは2個の炭素−炭素、炭素−酸素又は炭素−窒素結合を介して共有結合でCと結合しており、AはCに近接した末端とCから遠位の1個又は複数の末端とを含む有機部分であり、Cから遠位の末端はそれぞれ−C(但しxは8≦x≦24の整数であり、yは整数であって、1≦y≦2x+1である)を含み、aは1≦a≦5の整数であって2≦b+a≦6であり、各Aは、1若しくは2個の炭素−炭素、炭素−酸素又は炭素−窒素結合を介して共有結合でCと結合している。
【0072】
Bは1〜約40個の極性頭部基部分を含む任意の有機部分から選択される。「極性頭部基」は極性である部分であり、そのことは、その部分内の各結合の結合双極子のベクトルの合計がゼロではないことを意味する。極性頭部基は正に荷電していても、負に荷電していても、中性であってもよい。極性頭部基は、その部分の少なくとも一部が分子の環境に曝されるように位置することができる。極性頭部基部分の例には、これらに限定されないが、当技術分野で知られているものでとりわけ、カルボン酸、アルコール、アミド及びアミン部分を含むことができる。Bは約6〜約24個の極性頭部基部分を有することが好ましい。一実施形態では、Bは、極性頭部基部分の大部分がカルボン酸部分である構造を有する。そのカルボン酸部分は、両親媒性フラーレンを水性溶媒中に曝した場合に水に曝される。Bの構造には、樹枝状構造又は他の通常の高次分枝構造が適している。
【0073】
bの値は1〜5の任意の整数であってよい。一実施形態では、1つを超えるB基が存在する場合(すなわち、b>1)、そうしたすべてのB基は互いに隣接している。この文脈では、「隣接している」とは、以下に説明するようなA基だけを有するB基がなく、且つ/又は、すべての最も近い付加の隣接点において置換基を有していないB基がないことを意味する。8面体付加パターンで、b>1の場合、「隣接している」とは、B基に最も近接しているオクタヘドロンの4つの頂角は、すべてがA基又は空位(null)ではないことを意味する。
【0074】
一実施形態では、Bは18個の極性頭部基部分を含み、b=1である。
【0075】
Bの極性頭部基部分はB基を親水性にする傾向がある。
【0076】
各Bは1個又は複数の共有結合を介してCに結合している。フラーレン炭素がそれを形成することができ、且つその結合がフラーレン構造を妨害することのない任意の共有結合が考えられる。その例には、炭素−炭素、炭素−酸素又は炭素−窒素結合が含まれる。B基の1個又は複数の原子、例えば1個又は2個の原子は、Cとの結合に加わることができる。一実施形態では、B基の1個の炭素原子は、Cの2個の炭素原子と結合しており、Cのその2個の炭素原子は互いに結合している。
【0077】
一実施形態では、Bはアミドデンドロン構造、
>C(C(=O)OCC(=O)NHC(CC(=O)NHC(CC(=O)OH)
を有する。
【0078】
両親媒性フラーレンでは、AはCに近接した末端とCから遠位の1個又は複数の末端を含む有機部分である。一実施形態では、有機部分はCから遠位の2つの末端を含む。「Cに近接した末端」という用語は、Cとの結合を形成するA基の1個又は複数の原子、例えば1個又は2個の原子を含むA基の一部を意味する。「Cから遠位の末端」は、Cとの結合を形成する原子を全く含まないが、Cに近接したA基の末端との結合を形成する1個又は複数の原子を含むA基の一部を意味する。
【0079】
から遠位の各末端は−C(但しxは8≦x≦24の整数であり、yは整数であって1≦y≦2x+1である)を含む。−Cは直鎖、分枝、環状、芳香族又はそのいくつかの混合物であってよい。AはCから遠位の2つの末端を含むことが好ましい。但し、各−Cは直鎖状であり、12≦x≦18であり、y=2x+1である。2つの末端のそれぞれで、x=12であり、y=25であることがより好ましい。
【0080】
から遠位の末端はA基を疎水性又は親油性にする傾向がある。
【0081】
aの値は1〜5の任意の整数であってよい。aは5であることが好ましい。一実施形態では、1つを超えるA基が存在する(すなわちa>1)場合、そうしたA基はすべて互いに隣接している。本発明の文脈では、「隣接している」とは、以下に説明するようなB基だけを有するA基がなく、且つ/又は、すべての最も近い付加の隣接点において置換基を有していないA基がないことを意味する。8面体付加パターンで、a>1の場合、「隣接している」とは、A基に最も近接しているオクタヘドロンの4つの頂角は、すべてがB基又は空位(null)ではないことを意味する。
【0082】
各Aは共有結合でCと結合している。フラーレン炭素がそれを形成することができ、且つその結合がフラーレン構造を妨害することのない任意の共有結合が考えられる。その例には、炭素−炭素、炭素−酸素又は炭素−窒素結合が含まれる。A基の1個又は複数の原子、例えば1個又は2個の原子は、Cとの結合に参画することができる。一実施形態では、A基の1個の炭素原子は、Cの2個の炭素原子と結合しており、Cのその2個の炭素原子は互いに結合している。
【0083】
一実施形態では、Aは構造>C(C(=O)O(CH11CHを有する。
【0084】
B基及びA基の数は2〜6、すなわち、2≦b+a≦6から選択される。一実施形態では、b+a=6である。親水性B基と疎水性A基の組合せはフラーレンに両親媒性を付与する。B基及びA基の数及び実体(identity)は、個々の目的とする使用に望ましい特定の両親媒性の性質を有するフラーレンを生成するように選択することができる。
【0085】
両親媒性フラーレンは小胞を形成することができ、その小胞壁は両親媒性フラーレンを含む。本明細書で使用する「小胞」という用語は、両親媒性分子の集りであり、それは、(a)親水性(「水を好む」)領域、すなわち当業者に周知のものでとりわけ極性頭部基を含む部分などの一般に荷電しているか又は極性の部分と、(b)疎水性(「水を嫌う」)領域、すなわち当業者に周知のものでとりわけ炭化水素鎖などの一般に無極性部分との両方を含む分子を意味する。水溶液中では、両親媒性分子が壁、すなわち閉じた三次元表面を形成する際に小胞が形成される。その壁は小胞の内側と小胞の外側を画定する。一般に、壁の外部表面はその親水性領域が、水溶液の溶媒である水と接触するように配向された両親媒性分子によって形成される。壁の内部表面は、その親水性領域が小胞の内側に存在する水に接触するように配向された両親媒性分子によって形成されるか、或いは、壁の内部表面は、その疎水性領域が小胞の内側に存在する疎水性物質と接触するように配向された両親媒性分子によって形成される。
【0086】
壁の中の両親媒性分子は層を形成する傾向があり、したがって、その壁は両親媒性分子の1つ又は複数の層を含むことができる。壁が1層からなる場合、「単一層膜」又は「モノ層膜」と称することができる。壁が2層からなる場合、「二層膜」と称することができる。3つ以上の層から任意の数の層までを有する壁も本発明の範囲内である。
【0087】
小胞を、本明細書では「バッキー体(buckysome)」と称することができる。
【0088】
一実施形態では、小胞壁は二層膜である。二層膜は2つの層、すなわち、両親媒性フラーレン及び、もし有れば他の両親媒性化合物から形成される内側層であって、実質的にすべての両親媒性フラーレン及び他の両親媒性分子が、その疎水性部分が外側層に向けて配向されている内側層と、両親媒性フラーレン、及びもし有れば他の両親媒性化合物から形成される外側層であって、実質的にすべての両親媒性フラーレン及び他の両親媒性分子が、その疎水性部分が内側層に向けて配向されている外側層とを含む。その結果、内側層及び外側層それぞれの、実質的にすべての分子の親水性部分は、小胞の内側又は外側の小胞中の水性溶媒に向けて配向されている。
【0089】
両親媒性フラーレン及びそれから作製される小胞のさらなる詳細に関しては、Hirschらの2003年2月14日出願の米国特許出願10/367646、「薬物送達のためのバッキー体すなわちカーボンナノチューブの使用(Use of Buckysome or Carbon Nanotube for Drug Delivery)」を参照されたい。その開示を参照により本明細書に組み込む。
【0090】
本方法は、これらに限定されないが、日焼け、加齢、脱毛、乾癬、座瘡又はスモーカーズフェイスを含む1つ又は複数の皮膚病学的症状を治療するために用いることができる。
【0091】
我々は、置換フラーレンは抗酸化特性を有しており、したがって、ROSに曝露された細胞、又はROSがそこで生じる細胞へのROS損傷を阻害することができることを発見した。
【0092】
フラーレンは、局所皮膚塗布を含めて、本質的に無毒性で非アレルギー性であることが知られている。例えば、Huczkoらの、Fullerene Sci.Tech.7(5):935〜939頁(1999年)を参照されたい。
【0093】
一実施形態では、置換フラーレンは担体も含む組成物の成分である。担体は、置換フラーレンと組成物を形成できる1つ又は複数の任意の材料であってよい。当業者は、具体的な担体を、組成物の使用目的と置換フラーレンの特性、とりわけ、本開示に照らして明らかなパラメータを考慮して選択することができる。
【0094】
組成物は置換フラーレンを任意の形態で含むことができる。一実施形態では、局所投与に適した水溶液中に置換フラーレンを分散させるか又は溶解させる。他の実施形態では、置換フラーレンを、皮下投与に適した水溶液中に分散させるか又は溶解させる。他の実施形態では、置換フラーレンを、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、多重エマルジョン、ゲル又はフルオロカーボンエマルジョン中に分散させるか又は溶解させる。
【0095】
具体的な担体と具体的な組成物の非限定的な例を以下に示す。
【0096】
一実施形態では、担体は水であり、組成物は水と置換フラーレンを含む水溶液である。組成物は、とりわけ、塩、酸、塩基又はその混合物などの溶質をさらに含むことができる。組成物は、界面活性剤、乳化剤又は置換フラーレンの水への溶解度を高めることができる他の化合物も含むことができる。
【0097】
一実施形態では、担体は極性有機溶媒であり、組成物は極性有機溶媒と置換フラーレンを含む極性有機溶液である。「極性」とは、化学技術分野では、永久電気双極子を有する分子を説明するのにその標準的意味を有している。極性分子は、1つ又は複数の正、負又はその両方の電荷を有することができるが、必ずしもそれをもつ必要はない。極性有機溶媒の例には、これらに限定されないが、とりわけ、メタノール、エタノール、ギ酸エステル、アクリル酸エステル又はその混合物が含まれる。組成物は、とりわけ、塩などの溶質をさらに含むことができる。組成物は、界面活性剤、乳化剤、又は極性有機溶媒中で置換フラーレンの溶解度を高めることができる他の化合物も含むことができる。
【0098】
一実施形態では、担体は無極性有機溶媒であり、組成物は無極性有機溶媒と置換フラーレンを含む無極性有機溶液である。「無極性」とは、化学技術分野では、永久電気双極子を有していない分子を説明するのにその標準的意味を有している。無極性有機溶媒の例には、これらに限定されないが、とりわけ、ヘキサン、シクロへキサン、オクタン、トルエン、ベンゼン又はその混合物が含まれる。組成物は、とりわけ、無極性分子などの溶質をさらに含むことができる。組成物は、界面活性剤、乳化剤、又は無極性有機溶媒中での置換フラーレンの溶解度を高めることができる他の化合物も含むことができる。一実施形態では、組成物は、置換フラーレンが水中に溶解し、水を1種又は複数の無極性の有機溶媒を含む連続相中に乳化させる油中水型エマルジョンである。
【0099】
一実施形態では、担体は水と他の溶媒の混合物である。一実施形態では、担体は、とりわけ、ジメチコン、水、尿素、鉱油、乳酸ナトリウム、ポリグリセリル−3ジイソステアレート、セレシン、グリセリン、オクチルドデカノール、ポリグリセリル−2ジポリヒドロキシステアレート、ステアリン酸イソプロピル、パンテノール、硫酸マグネシウム、ビサボロール、乳酸、ラノリンアルコール又はベンジルアルコールの1つ又は複数を含むことができる。
【0100】
一実施形態では、組成物は、絞り型(sqeezable)プラスチック容器に詰めるのに適したクリーム状稠度を有する。一実施形態では、組成物は、絞り型プラスチック容器に詰めるのに適したローション稠度を有する。一実施形態では、組成物は、絞り型プラスチック容器に詰めるのに適した軟膏様の稠度を有する。一実施形態では、組成物は、非絞り型容器に詰めるのに適した液体稠度を有する。非絞り型容器は、プラスチック、ガラス、金属、セラミック又は他の化合物の1つ又は複数から作製することができる。非絞り型容器はフロー式キャップ又はポンプ式ディスペンサで作製することができる。
【0101】
他の担体は、本開示の利点を有する当業者に明らかであろう。
【0102】
一実施形態では、担体は薬剤として許容される担体である。「薬剤として許容される」とは、担体が、哺乳動物に投与することを目的とした医薬品における使用に適していることを意味する。担体の薬剤としての許容性を判断するために考慮するパラメータには、これらに限定されないが、とりわけ、担体の毒性、置換フラーレンと担体との相互作用、担体の規制機関による医薬品での使用のための承認、又は上記のうちの2つ以上を含むことができる。一実施形態では、組成物の他の成分は薬剤として許容されている。
【0103】
置換フラーレン及び担体並びに上記の他の成分に加え、組成物は、とりわけ、保存剤、佐剤、賦形剤、結合剤、希釈剤、界面活性剤、又は1つ又は複数の疾患を改善することができる他の補助薬剤或いはその混合物などの他の化合物もさらに含むことができる。一実施形態では、その他の化合物は薬剤として許容されている。
【0104】
組成物中の置換フラーレンの濃度は、担体、及び本開示に利益を有する当業者に明らかな他のパラメータに応じて変えることができる。典型的な組成物は約0.01重量%〜約5重量%の置換フラーレンを含むことができる。一実施形態では、組成物は約0.1重量%〜約0.5重量%の置換フラーレンを含むことができる。組成物の他の成分の濃度も同様の考え方で変えることができる。一般に、組成物の残余は担体及び他の化合物を含むことになる。
【0105】
組成物は哺乳動物の皮膚の任意の部分に投与することができる。組成物を、皮膚病学的症状の診断後(すなわち、哺乳動物が皮膚病学的症状に罹患している)に、又は皮膚病学的な症状、重症度又はその両方の可能性(すなわち、哺乳動物が皮膚病学的症状に罹患する可能性がある)を予防的に最少化するために投与することができる。皮膚病学的症状に罹患する可能性のある哺乳動物の例は、雲の殆んどない日中特に夏の日中、低緯度、高緯度で、又はその組合せで、日光に曝露されようとするヒトである。その場合、ヒトが罹患する可能性のある皮膚病学的症状は日焼けである。
【0106】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含める。当業者は、以下の実施例で開示した技術は、本発明の実施において良く機能するように本発明者が発見した技術を示しており、したがって、本発明の実施に好ましい様式を構成すると考えることができることを理解されたい。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示した具体的な実施形態において多くの変更を行うことができ、さらに、本発明の趣旨と範囲を逸脱することなく、それによって同様の結果を得ることができることを理解されよう。
【実施例1】
【0107】
ヒト試験対象は、その皮膚の2つの部分を北緯約22度の日中の日光に0日目の昼過ぎに約3時間曝露した。その結果、対象者は、図1の0日目に示す日焼けを示した。図1の写真の数分間以内に0日目をとり、ジメチコン、水、尿素、鉱油、乳酸ナトリウム、ポリグリセリル−3ジイソステアレート、セレシン、グリセリン、オクチルドデカノール、ポリグリセリル−2ジポリヒドロキシステアレート、ステアリン酸イソプロピル、パンテノール、硫酸マグネシウム、ビサボロール、乳酸、ラノリンアルコール及びベンジルアルコールを含む無機性のクリームベース(Beiersdorf,Inc.,Wilton,CTからEucerinの商標名で市販されている)中に図8Bに示す構造を有する置換フラーレンを1%含む組成物を、図1の0日目に示す架空の枠内の、対象者の皮膚の一部に局所軟膏の形態で投与した。投与レジメンには1日当たり2回で2日間の塗布を含めた。外側の対照部分には治療を施さなかった。
【0108】
約48時間後、対象者の皮膚の同じ2つの部分の写真を撮った。この写真を図1の2日目として示す。図1の2日目に見られるように、その皮膚の対照部分は、皮がむけるか水疱状であるか又はその両方であった。その一方、皮膚の治療した対象者の部分は皮がむけたり水疱ができたりは殆んどしていなかった。
【実施例2】
【0109】
スーパーオキシドラジカルを、キサンチン/キサンチン酸化酵素/シトクロムc系を用いて生成させた。キサンチン酸化酵素(7.5X10−3単位)をインキュベーション混合物に加えて反応を開始させ、反応に続いて、シトクロムcが還元され、対応する550nmでの吸収が増大した。フェリシトクロムcのフェロシトクロムcへの還元は、酸化形態及び還元形態について、それぞれ9/ミリモル/cm及び27.7/ミリモル/cmのモル吸収係数を用いて測定した。すべてのアッセイは室温で実施した。インキュベーション混合物は、50mMリン酸カルシウム、0.1mM EDTA、0.01mMシトクロムc及び0.05mMキサンチン、並びに指示された濃度の抗酸化剤からなるものであった。各実験では3mLの全容積を用いた。
【0110】
図11に示すように、当技術分野で周知のものと本明細書で報告したものとの両方の様々な置換フラーレンを試験した。知られている非フラーレン抗酸化剤であるTroloxを比較例として試験した。負の対照(示されていないが、抗酸化剤を用いないもの)をシトクロムcの還元のベースラインを確立するために実施した。化合物とそのIC50値を図11に示す。比較例の化合物は表示「(比較例)」で示した。
【0111】
比較例の化合物のうち、DF−1は最も低いIC50値、102μmを有していた。しかし、本発明の化合物の多くははるかに低いIC50値を有していた。これは、より高い抗酸化特性を示している。
【0112】
本明細書で開示し、特許請求した組成物と方法のすべては、本開示に照らして必要以上の実験をすることなく作製し実施することができる。本発明の組成物と方法を、特定の実施形態について説明してきたが、本発明の概念、趣旨及び範囲を逸脱することなく、本明細書で説明した組成物と方法に対して変更を適用することができ、且つその方法のステップ又は一連のステップにおいて変更を適用することができることは当業者に明らかであろう。より具体的には、化学的にも生理学的にも関連するある種の薬剤で、本明細書で述べた薬剤を代替しても、同じか又は同様の結果が得られることは明らかであろう。当業者に明らかなそうした類似の置換及び変更はすべて、添付の特許請求の範囲で定義した本発明の趣旨、範囲及び概念に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】北緯約22度での日中の日光に数時間曝露した直ぐ後で、且つボックス内の部分に置換フラーレンを含む組成物の塗布レジメンを開始する直前(0日目)のヒト試験対象の皮膚の2つの部分(ボックスの内側とボックス外側)と、塗布レジメンの完了の約48時間後(2日目)での皮膚の同じ2つの部分とを示す図である。
【図2】AとBは、置換フラーレンの構造式の例を示す図である。
【図3】C3からC3−ペンタ酸へ、次いでC3−テトラ酸への脱炭酸(反応)を示す図である。
【図4】C3−テトラ酸からC3−トリス酸への脱炭酸(反応)を示す図である。
【図5】C3の対掌性を示す図である。
【図6】脱炭酸(反応)によって形成される異性体へのC3対掌性の効果を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による置換フラーレンの例を示す図である(上段左側のC3は比較例である)。
【図8】AとBは、置換フラーレンの例を示す図である。
【図9】A〜Gは、デンドロフラーレンの例を示す図である。
【図10】デンドロフラーレンDF−1を示す図である。
【図11】A〜Hは、実施例2に記載の様々な置換フラーレン(及びTrolox、既知の非フラーレン抗酸化剤)のIC50値を示す図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚病学的症状に罹患しているか又は皮膚病学的症状に罹患する可能性のある哺乳動物の皮膚の少なくとも一部に置換フラーレンを含む組成物を投与することを含む、哺乳動物の皮膚の皮膚病学的症状を改善する方法であって、前記置換フラーレンが、フラーレンコア(Cn)と、
(i)フラーレンコアに結合した1〜3個の(>CX)基、
(ii)フラーレンコアに結合した1〜18個の−X基、
(iii)フラーレンコアに結合した1〜6個の−X−基、又は
(iv)フラーレンコアに結合した1〜6個のデンドロン
の少なくとも1つとを含む、上記方法。
【請求項2】
前記置換フラーレンが60個の炭素原子又は70個の炭素原子を有するフラーレンコア(Cn)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各X及びXが独立に、−H、−COOH、−CONH、−CONHR’、−CONR’、−COOR’、−CHO、−(CHOH、−R、−RCOOH、−RCONH、−RCONHR’、−RCONR’、−RCOOR’、−RCHO、−R(CHOH、又はその塩から選択され、各Rが1〜約6個の炭素原子を有する炭化水素部分であり、各R’が独立に、(i)1〜約6個の炭素原子を有する炭化水素部分、又は(ii)1〜約6個の炭素原子と末端カルボン酸とを有する炭化水素部分であり、dが0〜約20の整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記置換フラーレンがC60と、C3配向又はD3配向の3個の(>CX)基を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記置換フラーレンがC60と、トランス−2配向、トランス−3配向、e配向又はシス−2配向の2個の(>CX)基を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記置換フラーレンがC70とビス配向の2個の(>CX)基を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記置換フラーレンが図8Bに示す構造を有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記置換フラーレンが、1〜約6個の−X基を含み、各−X基が独立に、
−N(R)(R)(R)(式中、R、R及びRは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)である)、
−N(R)(R)(R)(式中、R及びRは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)であり、各Rは独立に、−(CH−SO、−(CH−PO又は−(CH−COO(但し、fは1〜約20の整数である)である)、
−C(R)(R)(R)(式中、R、R及びRは独立に、−COOH、−H、−CH(=O)又は−CHOHである)、
−C(R)(R)(R)(式中、R及びRは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)であり、各Rは独立に、−(CH−SO、−(CH−PO、又は−(CH−COO(但し、fは1〜約20の整数である)である)、
−(CH−COOH、−(CH−CONH、−(CH−COOR’又はペプチジル部分(式中、eは1〜約6の整数であり、各R’は独立に、(i)1〜約6個の炭素原子を有する炭化水素部分、又は(ii)1〜約6個の炭素原子と末端カルボン酸とを有する炭化水素部分である)、或いは
カチオン性窒素を含む芳香族複素環部分
から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
各−X−基が独立に
【化1】


(式中、Rは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)であり、Rは独立に、−(CH−SO、−(CH−PO又は−(CH−COO(但し、fは1〜約20の整数である)である)である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
各−X−基が独立に、
【化2】


(式中、各R及びRは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)である)
である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
各−X−基が独立に、
【化3】


(式中、各Rは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)であり、各Rは独立に、−H、−OH、−OR’、−NH、−NHR’、−NHR’又は−(CHOH(式中、各R’は独立に、(i)1〜約6個の炭素原子を有する炭化水素部分又は(ii)1〜約6個の炭素原子と末端カルボン酸とを有する炭化水素部分である)である)
である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記置換フラーレンが図9A〜9Gから選択される構造を有する請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記置換フラーレンが内包金属を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、式(B)−C−(A)
(式中、Cはn個の炭素原子を含むフラーレン部分であり、そのnは60≦n≦240の整数であり、Bは1〜約40個の極性頭部基部分を含む有機部分であり、bは1≦b≦5の整数であり、各Bは1若しくは2個の炭素−炭素、炭素−酸素又は炭素−窒素結合を介してCと共有結合しており、AはCに近接した末端とCから遠位の1個又は複数の末端とを含む有機部分であり、Cから遠位の末端はそれぞれ−C(式中、xは8≦x≦24の整数であり、yは整数であって1≦y≦2x+1である)を含み、aは整数であって1≦a≦5;2≦b+a≦6であり、各Aは、1若しくは2個の炭素−炭素、炭素−酸素又は炭素−窒素結合を介してCと共有結合している)
を有する両親媒性フラーレンをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記皮膚病学的症状が日焼け、加齢、乾癬、座瘡又はスモーカーズフェイスである請求項1に記載の方法。
【請求項16】
置換フラーレンと
担体と
を含む哺乳動物の皮膚の皮膚病学的症状を改善するための組成物であって、前記置換フラーレンが、フラーレンコア(Cn)と、
(i)フラーレンコアに結合した1〜3個の(>CX)基、
(ii)フラーレンコアに結合した1〜18個の−X基、
(iii)フラーレンコアに結合した1〜6個の−X−基、又は
(iv)フラーレンコアに結合した1〜6個のデンドロン
の少なくとも1つとを含む組成物。
【請求項17】
各X及びXが独立に、−H、−COOH、−CONH、−CONHR’、−CONR’、−COOR’、−CHO、−(CHOH、−R、−RCOOH、−RCONH、−RCONHR’、−RCONR’、−RCOOR’、−RCHO、−R(CHOH、又はその塩から選択され、各Rが1〜約6個の炭素原子を有する炭化水素部分であり、各R’が独立に、(i)1〜約6個の炭素原子を有する炭化水素部分、又は(ii)1〜約6個の炭素原子と末端カルボン酸とを有する炭化水素部分であり、dが0〜約20の整数である請求項19に記載の組成物。
【請求項18】
前記置換フラーレンが図8Bに示す構造を有する請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記置換フラーレンが、1〜約6個の−X基を含み、各−X基が独立に、
−N(R)(R)(R)(式中、R、R及びRは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)である)、
−N(R)(R)(R)(式中、R及びRは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)であり、各Rは独立に、−(CH−SO、−(CH−PO又は−(CH−COO(但し、fは1〜約20の整数である)である)、
−C(R)(R)(R)(式中、R、R及びRは独立に、−COOH、−H、−CH(=O)又は−CHOHである)、
−C(R)(R)(R)(式中、R及びRは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)であり、各Rは独立に、−(CH−SO、−(CH−PO、又は−(CH−COO(但し、fは1〜約20の整数である)である)、
−(CH−COOH、−(CH−CONH、−(CH−COOR’又はペプチジル部分(式中、eは1〜約6の整数であり、各R’は独立に、(i)1〜約6個の炭素原子を有する炭化水素部分、又は(ii)1〜約6個の炭素原子と末端カルボン酸とを有する炭化水素部分である)、或いは
カチオン性窒素を含む芳香族複素環部分
から選択される請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
各−X−基が独立に、
【化4】


(式中、Rは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)であり、Rは独立に、−(CH−SO、−(CH−PO又は−(CH−COO(但し、fは1〜約20の整数である)である)
である請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
各−X−基が独立に、
【化5】


(式中、各R及びRは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)である)
である請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
各−X−基が独立に、
【化6】


(式中、各Rは独立に、−H又は−(CH−CH(但し、dは0〜約20の整数である)であり、各Rは独立に、−H、−OH、−OR’、−NH、−NHR’、−NHR’又は−(CHOH(但し、各R’は独立に、(i)1〜約6個の炭素原子を有する炭化水素部分又は(ii)1〜約6個の炭素原子と末端カルボン酸とを有する炭化水素部分である)である)
である請求項16に記載の組成物。
【請求項23】
前記置換フラーレンが図9A〜9Gから選択される構造を有する請求項16に記載の組成物。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図11H】
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【図1】
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【公表番号】特表2006−524245(P2006−524245A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509910(P2006−509910)
【出願日】平成16年4月12日(2004.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/011155
【国際公開番号】WO2004/091508
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(504310032)シー スィクスティ、インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】