皮膚観察装置、皮膚を観察する方法、観察装置、皮膚を照射治療する方法、及びOLEDの使用
皮膚の近くで用いる皮膚観察装置は、処理回路接続手段及び少なくとも1つの光センサーを含む。光センサーは、皮膚によって反射される光及び/又は皮膚から放射される光の近接波長の少なくとも1つを検出するように構成される。皮膚観察装置は信号受信回路を備え、これにより少なくとも1つの光センサーからの信号を受信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚を観察する装置に関する。本発明は皮膚の色を観察する方法にも関する。更に本発明は色を観察する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光、とりわけ赤外線及び/又は赤い光は、人体に良い効果があることが知られている。効果は例えば次を含むが、これらに限らない:筋肉痛や関節痛の効果的な治療;細菌の除菌及び/又は滅菌(例えば潰瘍で用いる、創傷の治癒を早める);線維芽細胞を刺激して結合組織及び治癒中の創傷(例えば火傷で壊死した深い箇所)を安定させるためにコラーゲンを生成させる;光により誘導される血管やリンパ管の拡張によってセルライト、座瘡及び/又は皺縮の治療を助ける可能性がある;湿疹のような炎症を予防及び/又は治療する;特定の皮膚病の治療;その他。光の適用(即ち光線治療)は、事故や手術の後の入院期間を短縮でき、例えば自宅での回復を加速できる。美容療法(例えば皮膚を改善するかもしれない)も、光線治療の恩恵を受けるかもしれない。有益な光線治療の装置で、光を皮膚に照射するために、LED(発光ダイオード)を備えるものが知られている。
【0003】
創傷の治癒は他の治癒過程と同様にしばしば繊細で時間が掛かる過程である。皮膚を注意深く観察することが必要である。このような過程は、専用の光線治療から恩恵を受けることができる。光線治療では、異なる型のパラメーター(例えば波長、パルスの持続時間、強度、等)の光が、治癒過程の時間の異なる段階において、創傷を照射する。特定の波長又は他のパラメーターは、治癒過程の特定の時期に活発である特定の細胞への最適な刺激を誘発してもよい。例えば、創傷が治癒する際の異なる段階は、コラーゲンの生成、血管の再生、及び表皮の形成を含んでもよい。これらの各々を刺激するのに、特定の波長又は他の特定のパラメーターを用いることができる。
【0004】
治癒過程の特定の段階のための有益な光強度及び/又は他のパラメーターの例は光線治療の当業者には既知である。
【特許文献1】WO2006/085278
【特許文献2】WO2002/037410
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1つは、光線治療を実施する前の準備として、皮膚の状態を観察する簡便で効果的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的及び他の目的を達成するのは、皮膚の近くで用いる皮膚観察装置である。皮膚観察装置は、処理回路接続手段及び少なくとも1つの光センサーを含む。少なくとも1つの光センサーは、皮膚によって反射される光及び/又は皮膚から放射される光の、少なくとも1つの近接波長を検出するように構成される。皮膚観察装置は信号受信回路を備え、これにより少なくとも1つの光センサーからの信号を受信する。
【0007】
前述の目的及び他の目的はまた、皮膚を観察する方法によっても達成される。ここで少なくとも1つの光センサーの手段を用いる。少なくとも1つの光センサーは、皮膚によって反射される光及び/又は皮膚から放射される光を受ける。少なくとも1つの(好適には少なくとも2つの)、皮膚によって反射される光及び/又は皮膚から放射される光の近接波長は、少なくとも1つの信号に変換され、この少なくとも1つの信号は皮膚データに変換される。
【0008】
更に、前述の目的及び他の目的は、観察装置によって達成される。この観察装置は、電源接続手段、少なくとも1つの近接波長を放射しかつ検出するための少なくとも1つのLED(発光ダイオード)若しくはOLED(有機発光ダイオード)、及び信号検出回路を含む。ここでLED又はOLEDは、検出モードを有するように構成される。また、信号検出回路は、LED又はOLEDが検出モードにあるときは、LED又はOLEDを通って流れる信号を検出するように構成される。
【0009】
更に、前述の目的及び他の目的は、皮膚を照射治療する方法によって達成される。これは、皮膚に観察装置を適用すること、及び、皮膚に少なくとも1つのLED又はOLEDによって光を照射することによる。観察装置は、少なくとも1つの光センサーの手段によって、皮膚からの光の反射及び/又は放射を観察する。LED又はOLEDは少なくとも1つの光センサーからの信号に基づいて制御される。
【0010】
前述の目的及び他の目的はまた、0〜5mmの間の距離で皮膚によって反射又は放射される光を登録するためにLED又はOLEDを用いることにより達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は次の事実を同定した。即ち皮膚の治癒過程についての情報は、皮膚の可視光及び不可視光の反射度(及び場合によっては放射度)において見出すことができる。また、専門医は、本発明の効果によって、患者を観察することを、より簡便に、より短時間で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
有利な実施例においては、波長の範囲(即ち近接波長)を、光センサーとして機能するLED及び/又はOLEDによって検出する。反射度を簡便に測定できるのは、LED及び/又はOLEDが出力する信号を測定することによる。ここで反射度は測定された信号の強さと相関する。
【0013】
別の実施例では、近接波長をレーザーセンサーで検出する。レーザーセンサーは、レーザーと光センサーを含む。レーザーは、レーザービームの1部がレーザーの中に再入射できるように適応される。光センサーは、レーザーから照射する光を測定するためのものであり、これにより、元のレーザービームと反射したレーザービームの間の干渉によって変化する信号を得る。このようなレーザーセンサー19は例えば特許文献1に記載されている。レーザーセンサーは、創傷の近くで測定できてもよく、より精確な創傷治癒の観察ができてもよい。
【0014】
ある実施例では、本発明を、例えば、創傷の被覆と統合する、又は、創傷の被覆の内部若しくは下部に配置する。後者の場合、創傷を観察するために被覆を頻繁に交換する必要が無い。
【0015】
特定の実施例では、皮膚に光線治療を実施している最中に、皮膚の特定の領域の状態を観察する。観察後、皮膚のデータを送出し、光の特定のパラメーター(例えば光の強度)を局所的に調整できる。これを、プログラムした算法を用いて自動的に行ってもよく、又は、専門医が行ってもよい。この際に、測定された皮膚のデータによって行ってもよい。特定の光強度及び/又は他のパラメーターを、特定の時期に適用してよい。
【0016】
別の実施例では、皮膚観察装置はLEDを備える。このLEDはとりわけ光線治療を実施するための光の近接波長を放射する。このLEDはまた、光の近接波長を信号に変換するように構成してもよい。この実施例においては、光線治療装置と皮膚観察装置を簡便なように統合する。
【実施例】
【0017】
本記載において、同一又は対応する部分は同一又は対応する参照番号を持つ。例として示す実施例を、如何なるやり方においても、本願発明を限定するものと解釈してはならない。例として示す実施例は、本発明の概念を例示するためだけの役割である。
【0018】
本発明による皮膚観察装置1を図1に示す。皮膚観察装置1は、LED及び/又はOLED(以下「LED」という。)2を備える。LED2により、皮膚7の反射度及び/又は放射度を測定する。LED2は、皮膚7によって放射及び/又は反射される近接波長の光10を、信号に変換する。この近接波長とは、波長の範囲という意味である。LEDも光ダイオードも、厳密な波長を放射する及び/又は検出するわけでは無いからである。むしろこれはある範囲の内部を動きうる波長である。近接波長は変わってもよい。例えば、訳1nmという狭い波長の範囲、又は数nm、若しくは数十nm(例えば50nm)の範囲であってもよい。普通、LEDが放射及び/又は検出する波長の範囲は、数nmから数十nmである。電源5があり、LED2に電力を供給する。また、周波数調整回路14があり、特定の周波数でLED2を駆動する。これにより、雑音及び/又は光強度を制御する。電源5はまた、信号受信回路4に接続してもよい。信号受信回路4は、信号を取り上げ、その信号を処理回路6に送る。ある実施例では、処理回路6は遠隔からの信号を読む。例えばこの際に無線通信装置の助けを借りる。処理回路6は、受信した信号を皮膚データに変換する。皮膚データは、インターフェース11を用いることにより、専門医8に分かる形式になり、及び/又は、計算機が読めるようになる。例えば、受け取った特定の皮膚データを利用者インターフェース11で検査することにより、専門医8は、治療過程に調整が必要かどうかを判断する。別の例では、計算機が、皮膚データを既定のデータと比べる算法を適用して、信号を発光装置に送る。
【0019】
LED(発光ダイオード)及び/又はOLED(有機発光ダイオード)は、特定の色温度及び構造的特性を有する光源であるように構成できる。LED及び/又はOLEDは、比較的薄く、自由な形状にして作ることができる。このことは、柔軟性がある光源を得るために、とりわけ有利である。柔軟性がある光源は、患者が動いても、比較的又は全く、自由度を失わないで、患者の体の部分を覆うことができる。更に、LEDもOLEDも、制御特性をパラメーターで変えられるように作ることができる。例えば波長、輝度、色、パルスの持続時間、強度、熱放射、反応時間、等を変えられる。また、LEDもOLEDも、携帯型の電流供給源で駆動するのに適するように作ることができる。例えば熱放射が少ないといった特徴により、LEDもOLEDも、皮膚の近くで使う光線治療のための適切な光源となる。例えば、LEDを柔軟な素材に組み込んでもよい。例えば、織布及び不織布、ポリマー、ゴム状素材、箔、その他といった素材である。LEDに電力を供給するために、及び/又はLEDを制御するために、これらの素材に電気回路の伝導線を組み込んでもよい。
【0020】
OLEDは電子発光源であり、柔軟に及び/又は透明に構成することができる。OLEDは小分子OLEDとポリマーOLED(ポリOLED)のどちらでもよい。一個のOLEDで邪魔されずに人体の大きな部分をカバーして、なおかつ柔軟性を保つことができる。人体の大きな部分をカバーするOLEDを、ただ一対の電極で駆動できる。勿論、複数のOLEDを組み合わせて1つの発光装置にしてもよい。LEDとOLEDの双方の応用について、更なる層を追加して、光の拡散、冷却、光源の保護等のために用いてもよい。後述の記載では、LEDに対する如何なる参照も、LED及び/又はOLEDに関するものとして解釈してもよい。ただし別様に指定されている場合を除く。
【0021】
次のことが知られている。皮膚及び/又は皮膚の要素は、特定の型の反射性/吸収性を特定の波長で有し、従ってその特定の型は、特定の皮膚データに対応する。この文脈で、皮膚データとは、皮膚の特定の状態を表す情報である。例えば、血液の酸素化度、皮膚の発赤、表皮におけるメラニン含有量、コラーゲンの量、エラスチンの弾力性と量、及び脂肪の量である。皮膚は次を含む層構造として定義される:表皮(約200μmの厚さ);真皮(約1―2mmの厚さ);下皮又は皮下脂肪(ミリメートルからセンチメートル単位の厚さ);筋肉;軟骨;及び骨。水分又は湿度成分、血液成分、及び血液の酸素化度は、皮膚の状態を測定するために重要なパラメーターである。これらを光学的に計測するには、例えば次のうちの1つ及び/又は組み合わせを測定すればよい:皮膚の発色団の波長に依存する吸収(例えば血液、メラニン、カロテノイド、フラビン等);細胞膜境界における又は真皮中の膠原繊維における屈折率の変化により誘導される、波長に依存する散乱;波長に依存する散乱の異方性(散乱が角度に依存する度合い);波長に依存する屈折率及び層の厚さ。従って、皮膚のこれら特有の状態を判断するには、皮膚の反射度を測定すればよい。これにより、特定の場所の皮膚の特定の要素についての、少なくとも1つの、好ましくは2つ以上の波長における、皮膚の吸収及び後方散乱の情報がもたらされる。また、皮膚は熱を放射している。これは中赤外域の帯域(3〜8μmの波長)である。これは、皮膚の温度を測定する役に立てる。この測定はこの波長帯の水の吸収帯との関連に基づく。
【0022】
当業者には既知であるが、図2Aに示す通り、LED2は、電子が伝導帯12から価電子帯13に移動する際に近接波長の光9を発する。近接波長は変化する。例えば数nmから数十nmの帯域幅である。図2Bに示す通り、LED2は逆方向で光センサーとして機能する。即ち、特定の波長範囲の光10が電子を励起して価電子帯から伝導帯へ移動させる。これにより電圧が印加されると電流を生ずる。従って、LED2は電流によって光9を発するのに適し、同様に光10を受けると電流を生ずるのに適する。皮膚による光の反射度及び/又は放射度が高ければ、普通は電流も多く流れる。使用中に信号受信回路4は、特定の受光LED2が駆動する電流量を検出することにより、反射度及び/又は放射度を、LED2の特性に基づいて、少なくとも近似的に、測定することができる。
【0023】
原理的には、LED2以外の光センサー2も光を検出するのに適している。例えば光ダイオード及び/又はレーザーである。これら代わりの光センサーを、好適には実質的に平ら及び/又は柔軟な測定装置1に用いることによって、皮膚の近くで使用する。光センサー2の応用分野の例は次を含むがこれらに限定されない:痣の年代測定、皮膚弁の生存能力、微小循環、ポートワイン母斑除去療法の観察、皮膚科的疾患の観察、及び光力学的治療の有効性。
【0024】
LED2の品質と機能は、例えばレーザー及び/又は光ダイオードのような光センサーの品質と機能に比べると、実際はより好ましくないと思われているのだが、LED2の特徴である、例えば柔軟に構成できるという事実により、LED2を、とりわけ光線治療及び/又は柔軟な光源としての応用のような分野で適用するのは簡便である。更に、LED2は、光源と光検出器の双方の機能を果たすように構成できる。
【0025】
ある実施例によれば、皮膚7は光源から発する光9を、光10として反射して戻す。別の実施例では、光源はLED2の代わりに例えば自然光、レーザー光源及び/又は他の既知の光源(とりわけ光線治療の分野で既知のもの)を含んでもよい。
【0026】
有利な実施例では、光9はLED2が発し、LED2が受光する。このような皮膚観察装置1の構成は、比較的単純で柔軟に保つことができる。更に、皮膚の反射度をマップすることができる。複数のLEDを使うことにより、異なる位置で皮膚の反射度を測ることができ、反射度の異なる度合いを測定できるからである。反射度の測定は、皮膚の異なる位置及び/又は領域で、時間順に行うことができる。つまり、必要であれば放射した光を時間順に調整することができる。これは図3A〜図3Cにも示されている。
【0027】
図3AはLED2Aの格子を示す。LED2は点灯しており、創傷の治癒を促進する。図3Bに示す通り、皮膚の反射度を一定の時間間隔で測る。この際にLED2Bを光検出モードで用いて反射度を測定する。LED2Bが光センサーとして機能して光電流を生成するのに対して、LED2Aは光源として機能する。LED2Bが受け取った光が励起した電流を、信号受信回路4が受け取り、皮膚データに変換する処理を行う。皮膚観察装置1は、LED2が皮膚7の近くにあるように構成できるので、反射度を位置の関数として測定できる。原理的には、LED2は皮膚7に接して配置できる。別の実施例では、LED2は光を照射及び/又は検出するのに、皮膚7から少しの距離を取る。例えば数mmの距離である。
【0028】
例えば、皮膚の局所が発赤しており、それに対応してその局所周囲の皮膚と反射度が異なることから、皮膚の炎症が結論される場合には、処理回路6は信号を発することになる。この信号は例えば計算機回路、利用者インターフェース11、及び/又は専門医8に伝えられる。この測定手続を繰り返す際に、様々な場所のLEDを点灯(2A)し、様々な場所のLEDで受光(2B)することができる。このようにして、皮膚7をマップし、皮膚データを作ることができる。皮膚データを用いて創傷の治癒をより効果的に促進できる。これを図3Cに示す。例えば、LED2Cの強度を、皮膚7上の位置の関数として調節する。ここでは、全てのLED2A、2Cは点灯しているが、LED2CはLED2Aとは異なる強度で発光している。勿論、LED2の格子に渡って光強度の勾配を適用できる。この場合、格子に渡って強度が次第に変化する。
【0029】
有利な実施例では、LED2A、2Cは、あるパルス化周波数で発光する。周波数調整回路14がこの周波数を提供する。パルス周波数は発光を入/切する。これにより散乱のような雑音を、処理回路6及び算法がフィルターできるようになる。より高い信号対雑音比を、周波数調整回路14を用いることによって、得ることができる。
【0030】
本発明の実施例では、原則的に、皮膚観察装置1に組み込む全ての又は殆どのLEDは、発光し、かつ、受光するように構成される。この実施例では、1つのLED2は、光検出モードを特定の時間間隔に有し、発光モードを別の時間間隔に有するように構成される。別の実施例では、特定のLED2が発光するように構成され、別のLEDが受光するように構成される。
【0031】
ある実施例では、LED2の代わりに、及び/又は、LED2の隣に、レーザー16を用いて皮膚7を照射治療する。レーザーの照射光は、皮膚7の表面下を比較的深く浸透できる。例えば数mm及び/又は数cm浸透し、例えば皮膚の下の組織の血液灌流を測定できる。光センサー17は光を検出する。この光は、皮膚7が散乱した及び/又は皮膚表面より下部の組織(例えば血球)が散乱した光である。センサーで、前記レーザー16と光センサー17の双方を含むものを、本願ではレーザーセンサー19と呼ぶ。好適な実施例では、レーザーセンサー19はレンズ18を備え、このレーザー16からの光の焦点を合わせる。
【0032】
レーザーセンサー19を有する実施例を図1Aに示す。ここで、レーザー16は、組織7を照らすように配置される。この際に、組織で散乱した光ビーム10の一部がレーザー16に再入し、これにより自己混合効果を得る。このようなレーザーセンサー19は、前出の特許文献1に記載されている。特許文献1の内容を、ここに参照により援用する。より一般的な型の自己混合レーザーセンサーで、レーザーと光センサーを含むものが、特許文献2に記載されている。光10は組織で反射し、光センサー17によって電気信号として登録される。この光10は、元のレーザービームと散乱したレーザービームの間の干渉により変化する信号を含む。各血球は、反射するレーザービームにドップラー偏移を有する信号を生成することになる。この偏移はレーザービームの方向に対するその血球の速度に依存する。従って、この信号を用いて、組織を観察できる。また、この信号がとりわけ有用であるのは、次のようなデータを測定する場合である:血球の相対量;血球の平均速度;血液灌流;及び/又は、関連する血液の特性。ドップラー偏移は、スペックルパターンを生じることになる。これは多量のシヌソイド関数の和である。好適には、処理回路6は、フーリエ変換を前記信号に適用するように適応される。これにより、この信号のスペクトルを提供する。また、処理回路6は、指数フィットをそのスペクトルに適用するように適応される。それにより、組織中の血球の平均速度と組織中の血液量とに対応するパラメーターを得る。
【0033】
レーザーセンサー19は、LED2と同様に、小型化に適している。レーザーセンサー19は、LED2と同様に、例えば柔軟な材料に組み込むことができる。柔軟な材料とは例えば絆創膏、織布及び不織布、ポリマー、ゴム状素材、箔、その他である。使用に際しては、レーザーセンサー19と皮膚7の間の距離は、有利には小さく保つことができる。例えば0〜2mmの間である。とりわけ、レンズ18が装置に備わっている場合には、レンズ18は皮膚7と直接接触してもよい。レーザー光はLED2の光に比べるとコヒーレンスが向上しているので、例えば波長の幅が1(又は1未満)〜数nmの間の場合には、レーザー光は、散乱した光を照射した光と比較して測定するために、とりわけ有用である。更に、この実施例は前記レーザー16、光センサー17及び/又はレンズ18を含み、血流を測定するためにとりわけ有用でありうる。血流を測定することは、創傷を観察するためにとりわけ有用である。この測定は治癒過程を促進するために用いられうるからである。更に、血液灌流は、皮膚の反射度よりも、創傷の治癒を観察するためには、より信頼できるパラメーターであってもよい。レーザーセンサー19は比較的正確でありうるからである。例えばLED2よりも正確でありうる。しかし、レーザーセンサー19を、皮膚の反射度又は他のパラメーターを測定するために用いることもできる。この場合、例えばレンズ18の焦点距離を調節することができる。
【0034】
観察装置1の実用的な実施例では、LED2の1部又は全部を、レーザーセンサー19で置き換える。第1の実施例はLED2の格子(図3D)を含む。ここでいくつかのLED2をレーザーセンサー19で置き換える。この組み合わせた観察装置1を用いて、例えば皮膚の色及び血液灌流を測定することができる。この際、好適には、皮膚の色にはLED2を用い、血液灌流にはレーザーセンサー19を用いる。組み合わせた観察は、創傷治癒過程についての比較的詳細な情報を提供してもよい。ここで組織についていくつかの位置における位置情報を得ることができる。更に、レーザーセンサー19は、散乱した光を測定し、及び、散乱した光を照射した光と比較する際に、改善の役に立ってもよい。検出モードにおけるLED2の場合と比べて、レーザー光は、コヒーレンスがより高いからである。他方、LED2が照射する光は、レーザー16が照射する光と同じ治癒効果を有してもよい。レーザー16はまた、治癒のために組織を照射治療する役に立ってもよい。レーザー16及び/又はLED2は、異なる型の専用治癒のために例えば構成されることができる。例えばレーザー16は、LED2とは異なる周波数及び/又は波長を有するからである。このことはまた、例えば異なる複数のレンズ18の焦点距離を調節することによって達成してもよい。
【0035】
図3Eに、レーザーセンサー19の格子を有する観察装置1の実施例を示す。この実施例では、図3Dの実施例と比べて、より高い観察の解像度を得ることができる。図3Eの実施例ではレーザー16を治癒のために用いてもよい。
【0036】
異なるLED2及び/又はレーザーセンサー19が測定した局所信号に依存して、レーザー16及び/又はLED2が発する光を局所的に調整して、治療を最適化することができる。例えば、使用する際に、複数のレーザーセンサー19を、創傷の表面に対して異なる場所に配置する。これにより、信号を局所的に測定できる、及び/又は、照射量を局所的に調整する。
【0037】
組み合わせた格子(例えば図3Dに示すもの)又はレーザーセンサー19の格子(例えば図3Eに示すもの)を、柔軟な素材(例えば布又は絆創膏)に例えば簡便に埋め込むことができる。好適には、レーザーセンサー19を、体の近くに簡便に纏うことができる素材に埋め込む。レーザーセンサー19は、体の近く(例えば皮膚から2mm以下)に位置することができる、又は、レーザーセンサー19は、体と接触できるからである。レーザーセンサー19をこのような柔軟な素材と結合することは、LED2をこのような柔軟な素材と結合することに似てもよい。
【0038】
前述の通り、レーザーセンサー19はレンズ18を備えてもよい。同様に、レンズ18を他の光源に備えてもよい。他の光源とは例えばLED2である。このLED2は例えば本発明の他の実施例におけるものである。レンズ18は、既定の治療のために最適化した焦点距離を有してもよい。例えば、血球の特性を測定する場合には、レンズ18は2mm以下(例えば1mm)の焦点距離を有してもよい。異なる焦点距離を有する、異なるレンズ18を適用することが、簡便であってもよい。これにより、使用する際に、同一の観察装置1によって、組織を異なる深さで観察できる。
【0039】
有利な実施例では、皮膚7のある領域で反射する色を検出する際に、皮膚のその領域の反射度を、少なくとも2つの異なる照射波長で検出する。より詳しくは、皮膚7の反射度をより精確に検出することを達成するには、LEDが発する光に対応する2つの近接波長に対応する2つの得られた信号の間の比率を計算する。当業者には既定の表が既知である。この表は、皮膚の反射度の比率を異なる波長で特定の皮膚データに対して表示する。特定の皮膚データとは例えば皮膚の発赤、皮膚の温度、等である。2より多い波長を用いれば、測定は更により正確になってもよい。記述を判明にするために、本願では一般に2つの波長を参照する。しかし、3以上の波長も本発明により適用してもよい。
【0040】
血液の量、灌流、及び/又は速度を測定するために、例えば、レーザーセンサー19又は他の光源を用いる。この際に、皮膚の色を測定する必要が無い場合がある。従って、1つの波長で照射するだけでも十分であってもよい。この場合、異なる血球からの異なる散乱の信号は、一箇所で測定され比較される。結果のスペックルパターンから、血液の量、灌流、及び/又は速度についての情報を得ることができる。
【0041】
例示の実施例では、皮膚7の発赤の推定を、前述の2つの異なる照射波長での反射度の比率を計算することによって、行うことができる。照射波長とは例えば可視波長の範囲のものである。反射度の測定は、LED2が光センサーとして機能することによって行い、その結果を信号に変換する。図4では、1人の皮膚の反射度が縦軸(Y)に示されている。反射度は上方向に増える。これを矢印aで示す。この人の皮膚に少なくとも1つのLED2によって照射される光の波長が横軸(X)に示される。単位はナノメートルである。表示の曲線C1は異なる波長における皮膚の反射度の測定結果を示す。図4では、この曲線の表示は可視波長の範囲である。即ち約400nm〜約820nmの範囲である。この例では、皮膚の発赤を判断できるのは、約580nmと620nmの波長における反射度(又はその信号)を測定することによる。図4では580nmでの反射度をR1の点に示し、620nmでの反射度をR2の点に示す。点R1と点R2の間の傾きは、点R1と点R2を結ぶ直線Sで示される。この傾きは、反射度R2引く反射度R1の値を、620nmと580nmの波長の差である40nmで割ることで定義される。ここで、比率R1/R2はまた、発赤の尺度となる。この値が低いほど、より発赤していることになる。2つの信号の比率を求めれば、特定の皮膚データ(この例では皮膚7の発赤)を前記既定の表又は他の既定のデータから検索できる。この際に、例えば、処理回路6又は医師から、援助を受ける。さほど高度ではない実施例では、専門医8が、検出した信号を皮膚データに自分で変換する。この際に例えば便覧の援助を受ける。
【0042】
例示の実施例では、血液の酸素化度(とりわけ毛細血管中の血液の酸素化度)の測定も、2以上の波長で皮膚の反射度を検出することによって行うことができる。この実施例では、有利なのは次のことである。即ち、反射度を、ある近接波長で検出する。この近接波長では、反射度(即ち光の吸収)は、ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンについて、およそ同一である。即ち、この近接波長は等吸収点である。かつ、反射度を、少なくとも1つの別の近接波長でも検出する。この近接波長では、ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの反射度の値は異なる。皮膚7の反射度の検出を、酸素化ヘモグロビンが比較的高い水準の場合と、ヘモグロビンが比較的高い水準の場合について行うと、前者は実線の曲線C1に、後者は点線の曲線C2に、それぞれなる。この2つの曲線は等吸収点O1で交わる。また、異なる反射度は点O2で得られる。O1とO2での2つの反射度の比率が酸素化度の尺度となる。一般に、創傷においては、酸素化度は、通常の組織に比べて、より小さくなる。しかし、微小循環は局所的に異なってもよい。従って、創傷の酸素化度も、体の1つの解剖学的位置から別の解剖学的位置に移るにつれ、変化してもよい(ということを考慮にいれてもよい)。従って、体のどの位置かということも、創傷箇所の酸素化度についての参照の役に立ってもよい。
【0043】
更なる例示の実施例では、皮膚のメラニン含有量を測定できる。反射率のスペクトルの傾きがメラニン含有量の尺度である。皮膚のメラニン含有量とは、皮膚の白さ又は黒さである。白い皮膚については、この傾きは比較的高い。黒い皮膚については、この傾きは比較的低い。例えば、信号を、約450nmと、約660nmの波長で測定することができる。図4では前者を点M1で示し、後者を点M2で示す。例えば、この2つの波長での信号の強さの相対的な差を、波長660nmの信号で正規化すると、メラニン含有量の尺度となる。メラニン含有量は局所的に異なってもよい(例えば母斑)。又は、メラニン含有量は人によって異なってもよい。従って、測定したメラニン含有量を用いて、他の特性の測定した反射度を補償してもよい。例えば皮膚の発赤を判断する際に、そのようにする。
【0044】
別の例示の実施例では、皮膚の反射度は皮膚の湿潤に依存する。これは近赤外線域で測定できる。例えば水分吸収帯域である、約1450nmと約2000nmの間の帯域、又は約1450nmの波長若しくは約2000nmの波長である。皮膚の浸潤(湿潤)は、創傷の状態についての指標となることができる。例えば、創傷が開いているか(この場合は比較的湿る)、又は創傷が閉じているか(この場合は比較的乾く)という状態である。
【0045】
別の例示の実施例では、皮膚の放射度を測定する。例えば赤外線域のより長い波長の放射を検出する。例えばこれは約2500nmから約8500nmの間の範囲である。放射度、とりわけこの範囲の放射度は、皮膚の温度に関係する。従って、これは炎症の指標となることができる。皮膚の温度は、一般的に、炎症の領域では上がるからである。
【0046】
勿論、別の実施例では、反射度及び/又は放射度を検出するのは、前述の波長とは異なる波長で行い、前述の例示の実施例とは異なる皮膚データについて行う。前述の波長の値及び範囲は本発明を如何なる方法でも限定しないと解釈されるべきである。これは単に例を説明するためだけのものである。より有利な波長が当業者に既知であってもよい。より有利な波長はこの分野の研究が進展するにつれ実際に変わってもよい。また、算法で用いる既定のデータも継続的に更新される。
【0047】
別の実施例では、皮膚観察装置は、皮膚の前述の複数の異なる観察を結合するように構成される。皮膚観察装置1は、例えば、次の特性を検出するように構成される:メラニン含有量;皮膚の発赤;温度;酸素化;湿潤;又はこれらのうちの少なくとも2つ。ここでこれらの特性は、相互に依存してもよい。このような実施例においては、LED2が2つよりも多い波長を放射及び/又は検出すれば、有利である。
【0048】
前述の通り、有利なのは、特定の実施例においては、皮膚観察装置1が、少なくとも2つの異なる波長で、およそ同じ位置及び/又は範囲に光を発することである。この目的のために有利なのは、LED2が少なくとも2つの異なる波長域で発光することである。従って、有利には、異なる型のLED2を用いてもよい。ここで各々の型のLEDは特定の波長帯の内部で発光し検出する。LED2の波長及び/又は光強度を、局所的に制御できる。例えばLED2を個別に及び/又は群で制御する。波長は変化してもよい。例えば、異なる波長の異なるLED2を切り替えることによって変化させる。異なるLED2を、例えば、互いに近くに配置してもよく、及び/又は、重ねて配置してもよい。これにより、発光するLEDの光を制御し観察できる。この制御は比較的正確である。この発光は特定の場所に行う。この発光は異なる近接波長である。異なる近接波長は皮膚7に照射される及び/又は反射される。単一の型のLED2が異なる波長で発光及び/又は検出する技法も既知である。
【0049】
有利な実施例においては、皮膚観察装置1は、柔軟である、又は、少なくとも体の部分に形状を適合できる。これにより、ある量の移動の自由を提供する。ある実施例では、LED2は体の覆いに統合される。覆いとは例えば絆創膏1A、湿布、布、毛布1B、等である。これにより、体に装着する及び/又は巻き付けることができる。図5及び図6を参照。皮膚観察装置1は、実質的に平らであってよい。これにより、例えば、衣服及び/又は毛布の下に着用できる。図5が示すのは、可搬及び/又は可処分電源5が皮膚観察装置1Aに接続している様子である。送信機15又は何か別の無線通信部を配置し構成してもよい。これにより信号を処理回路6に送信する。図6が示す実施例は毛布1Bが柔軟なOLED2を有する。
【0050】
別の実施例では、LED2は創傷から離れた位置に保たれる。即ち、創傷には触れない。これにより炎症を防ぐ。例えば、LED2を皮膚及び/又は創傷から、約0.1mm〜約50mm離して保ってもよい。好適には、約2〜30mmの間の距離を置く。これにより例えば十分な空気が創傷を通過できる。同じ理由で、皮膚観察装置1の素材の少なくとも部分を、通気性及び/又は吸収性があるように構成してもよい。皮膚観察装置1は、この間隔を設定するための間隔空け部を含んでもよい。この間隔空け部は、例えば、粘着性の点、柔軟な多孔質層、ガーゼ等を含んでもよい。
【0051】
有利な実施例では、皮膚観察装置1は、無線通信部を含む。これにより遠隔の計算機及び/又は専門医と通信する。専門医8及び/又は計算機は、遠隔から治癒過程を観察でき、LEDの光9の強度及び/又は波長を調節できる(そう望む場合)。ある実施例では、皮膚観察装置1を、患者が治癒過程を観察し、皮膚観察装置1を操作できるように構成する。これにより患者が皮膚観察装置1の設定を自分で調整できる。この際に例えば利用者インターフェース11を用いる。処理回路6及び利用者インターフェース11は、治癒過程において自動的に相互作用するように、並びに/又は、相互作用が必要であれば患者及び/若しくは専門医に警告するように構成できる。
【0052】
明らかに、分離した信号検出回路4及び周波数調整回路14の代わりに、処理回路6を、信号検出回路4及び/又は周波数調整回路14を含むように構成してもよい。これ(ら)はまた、直接に発光装置と接続してもよい。
【0053】
更に、本願発明の原理を、光線治療の分野以外に適用してもよい。例えば、表面から反射する光一般を、本発明による皮膚観察装置1で測定できる。これは例えば、ある種の物性及び/又は生物学的生命形態の研究に有利でありうる。例えば、複数のLED2を発光源及び光検出器として用いることにより、比較的簡単な手段で表面からの反射を測定できる。
【0054】
明らかに本発明は明細書及び図面に示す例示の実施例に如何なる方法でも限定されない。特許請求の範囲に定義する本発明の範囲の内部で多くの変形が可能である。皮膚観察装置1を例えば如何なる型の光線治療のためにも構成してよい。これは本明細書に記載の適用には特別に又は排他的に関与しない。実施例の2つ以上の観点の組み合わせ又は実施例の組み合わせが本発明の範囲の内部で可能である。全ての類似の変形は特許請求の範囲が定義する本発明の範囲の内部に含まれると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】皮膚観察装置の実施例の図である。
【図1A】皮膚観察装置の別の実施例の図である。
【図2A】皮膚観察装置の実施例によるLEDの側面図である。
【図2B】皮膚観察装置の実施例によるLEDの側面図である。
【図3A】皮膚観察装置の実施例によるLEDの格子の平面図である。
【図3B】皮膚観察装置の実施例によるLEDの格子の平面図である。
【図3C】皮膚観察装置の実施例によるLEDの格子の平面図である。
【図3D】皮膚観察装置の実施例によるLEDとレーザーセンサーとの格子の平面図である。
【図3E】皮膚観察装置の実施例によるレーザーセンサーの格子の平面図である。
【図4】波長が反射度の関数である2つの曲線を示す。
【図5】絆創膏に統合した皮膚観察装置の実施例を示す。
【図6】毛布に統合した皮膚観察装置の実施例を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚を観察する装置に関する。本発明は皮膚の色を観察する方法にも関する。更に本発明は色を観察する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光、とりわけ赤外線及び/又は赤い光は、人体に良い効果があることが知られている。効果は例えば次を含むが、これらに限らない:筋肉痛や関節痛の効果的な治療;細菌の除菌及び/又は滅菌(例えば潰瘍で用いる、創傷の治癒を早める);線維芽細胞を刺激して結合組織及び治癒中の創傷(例えば火傷で壊死した深い箇所)を安定させるためにコラーゲンを生成させる;光により誘導される血管やリンパ管の拡張によってセルライト、座瘡及び/又は皺縮の治療を助ける可能性がある;湿疹のような炎症を予防及び/又は治療する;特定の皮膚病の治療;その他。光の適用(即ち光線治療)は、事故や手術の後の入院期間を短縮でき、例えば自宅での回復を加速できる。美容療法(例えば皮膚を改善するかもしれない)も、光線治療の恩恵を受けるかもしれない。有益な光線治療の装置で、光を皮膚に照射するために、LED(発光ダイオード)を備えるものが知られている。
【0003】
創傷の治癒は他の治癒過程と同様にしばしば繊細で時間が掛かる過程である。皮膚を注意深く観察することが必要である。このような過程は、専用の光線治療から恩恵を受けることができる。光線治療では、異なる型のパラメーター(例えば波長、パルスの持続時間、強度、等)の光が、治癒過程の時間の異なる段階において、創傷を照射する。特定の波長又は他のパラメーターは、治癒過程の特定の時期に活発である特定の細胞への最適な刺激を誘発してもよい。例えば、創傷が治癒する際の異なる段階は、コラーゲンの生成、血管の再生、及び表皮の形成を含んでもよい。これらの各々を刺激するのに、特定の波長又は他の特定のパラメーターを用いることができる。
【0004】
治癒過程の特定の段階のための有益な光強度及び/又は他のパラメーターの例は光線治療の当業者には既知である。
【特許文献1】WO2006/085278
【特許文献2】WO2002/037410
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1つは、光線治療を実施する前の準備として、皮膚の状態を観察する簡便で効果的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的及び他の目的を達成するのは、皮膚の近くで用いる皮膚観察装置である。皮膚観察装置は、処理回路接続手段及び少なくとも1つの光センサーを含む。少なくとも1つの光センサーは、皮膚によって反射される光及び/又は皮膚から放射される光の、少なくとも1つの近接波長を検出するように構成される。皮膚観察装置は信号受信回路を備え、これにより少なくとも1つの光センサーからの信号を受信する。
【0007】
前述の目的及び他の目的はまた、皮膚を観察する方法によっても達成される。ここで少なくとも1つの光センサーの手段を用いる。少なくとも1つの光センサーは、皮膚によって反射される光及び/又は皮膚から放射される光を受ける。少なくとも1つの(好適には少なくとも2つの)、皮膚によって反射される光及び/又は皮膚から放射される光の近接波長は、少なくとも1つの信号に変換され、この少なくとも1つの信号は皮膚データに変換される。
【0008】
更に、前述の目的及び他の目的は、観察装置によって達成される。この観察装置は、電源接続手段、少なくとも1つの近接波長を放射しかつ検出するための少なくとも1つのLED(発光ダイオード)若しくはOLED(有機発光ダイオード)、及び信号検出回路を含む。ここでLED又はOLEDは、検出モードを有するように構成される。また、信号検出回路は、LED又はOLEDが検出モードにあるときは、LED又はOLEDを通って流れる信号を検出するように構成される。
【0009】
更に、前述の目的及び他の目的は、皮膚を照射治療する方法によって達成される。これは、皮膚に観察装置を適用すること、及び、皮膚に少なくとも1つのLED又はOLEDによって光を照射することによる。観察装置は、少なくとも1つの光センサーの手段によって、皮膚からの光の反射及び/又は放射を観察する。LED又はOLEDは少なくとも1つの光センサーからの信号に基づいて制御される。
【0010】
前述の目的及び他の目的はまた、0〜5mmの間の距離で皮膚によって反射又は放射される光を登録するためにLED又はOLEDを用いることにより達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は次の事実を同定した。即ち皮膚の治癒過程についての情報は、皮膚の可視光及び不可視光の反射度(及び場合によっては放射度)において見出すことができる。また、専門医は、本発明の効果によって、患者を観察することを、より簡便に、より短時間で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
有利な実施例においては、波長の範囲(即ち近接波長)を、光センサーとして機能するLED及び/又はOLEDによって検出する。反射度を簡便に測定できるのは、LED及び/又はOLEDが出力する信号を測定することによる。ここで反射度は測定された信号の強さと相関する。
【0013】
別の実施例では、近接波長をレーザーセンサーで検出する。レーザーセンサーは、レーザーと光センサーを含む。レーザーは、レーザービームの1部がレーザーの中に再入射できるように適応される。光センサーは、レーザーから照射する光を測定するためのものであり、これにより、元のレーザービームと反射したレーザービームの間の干渉によって変化する信号を得る。このようなレーザーセンサー19は例えば特許文献1に記載されている。レーザーセンサーは、創傷の近くで測定できてもよく、より精確な創傷治癒の観察ができてもよい。
【0014】
ある実施例では、本発明を、例えば、創傷の被覆と統合する、又は、創傷の被覆の内部若しくは下部に配置する。後者の場合、創傷を観察するために被覆を頻繁に交換する必要が無い。
【0015】
特定の実施例では、皮膚に光線治療を実施している最中に、皮膚の特定の領域の状態を観察する。観察後、皮膚のデータを送出し、光の特定のパラメーター(例えば光の強度)を局所的に調整できる。これを、プログラムした算法を用いて自動的に行ってもよく、又は、専門医が行ってもよい。この際に、測定された皮膚のデータによって行ってもよい。特定の光強度及び/又は他のパラメーターを、特定の時期に適用してよい。
【0016】
別の実施例では、皮膚観察装置はLEDを備える。このLEDはとりわけ光線治療を実施するための光の近接波長を放射する。このLEDはまた、光の近接波長を信号に変換するように構成してもよい。この実施例においては、光線治療装置と皮膚観察装置を簡便なように統合する。
【実施例】
【0017】
本記載において、同一又は対応する部分は同一又は対応する参照番号を持つ。例として示す実施例を、如何なるやり方においても、本願発明を限定するものと解釈してはならない。例として示す実施例は、本発明の概念を例示するためだけの役割である。
【0018】
本発明による皮膚観察装置1を図1に示す。皮膚観察装置1は、LED及び/又はOLED(以下「LED」という。)2を備える。LED2により、皮膚7の反射度及び/又は放射度を測定する。LED2は、皮膚7によって放射及び/又は反射される近接波長の光10を、信号に変換する。この近接波長とは、波長の範囲という意味である。LEDも光ダイオードも、厳密な波長を放射する及び/又は検出するわけでは無いからである。むしろこれはある範囲の内部を動きうる波長である。近接波長は変わってもよい。例えば、訳1nmという狭い波長の範囲、又は数nm、若しくは数十nm(例えば50nm)の範囲であってもよい。普通、LEDが放射及び/又は検出する波長の範囲は、数nmから数十nmである。電源5があり、LED2に電力を供給する。また、周波数調整回路14があり、特定の周波数でLED2を駆動する。これにより、雑音及び/又は光強度を制御する。電源5はまた、信号受信回路4に接続してもよい。信号受信回路4は、信号を取り上げ、その信号を処理回路6に送る。ある実施例では、処理回路6は遠隔からの信号を読む。例えばこの際に無線通信装置の助けを借りる。処理回路6は、受信した信号を皮膚データに変換する。皮膚データは、インターフェース11を用いることにより、専門医8に分かる形式になり、及び/又は、計算機が読めるようになる。例えば、受け取った特定の皮膚データを利用者インターフェース11で検査することにより、専門医8は、治療過程に調整が必要かどうかを判断する。別の例では、計算機が、皮膚データを既定のデータと比べる算法を適用して、信号を発光装置に送る。
【0019】
LED(発光ダイオード)及び/又はOLED(有機発光ダイオード)は、特定の色温度及び構造的特性を有する光源であるように構成できる。LED及び/又はOLEDは、比較的薄く、自由な形状にして作ることができる。このことは、柔軟性がある光源を得るために、とりわけ有利である。柔軟性がある光源は、患者が動いても、比較的又は全く、自由度を失わないで、患者の体の部分を覆うことができる。更に、LEDもOLEDも、制御特性をパラメーターで変えられるように作ることができる。例えば波長、輝度、色、パルスの持続時間、強度、熱放射、反応時間、等を変えられる。また、LEDもOLEDも、携帯型の電流供給源で駆動するのに適するように作ることができる。例えば熱放射が少ないといった特徴により、LEDもOLEDも、皮膚の近くで使う光線治療のための適切な光源となる。例えば、LEDを柔軟な素材に組み込んでもよい。例えば、織布及び不織布、ポリマー、ゴム状素材、箔、その他といった素材である。LEDに電力を供給するために、及び/又はLEDを制御するために、これらの素材に電気回路の伝導線を組み込んでもよい。
【0020】
OLEDは電子発光源であり、柔軟に及び/又は透明に構成することができる。OLEDは小分子OLEDとポリマーOLED(ポリOLED)のどちらでもよい。一個のOLEDで邪魔されずに人体の大きな部分をカバーして、なおかつ柔軟性を保つことができる。人体の大きな部分をカバーするOLEDを、ただ一対の電極で駆動できる。勿論、複数のOLEDを組み合わせて1つの発光装置にしてもよい。LEDとOLEDの双方の応用について、更なる層を追加して、光の拡散、冷却、光源の保護等のために用いてもよい。後述の記載では、LEDに対する如何なる参照も、LED及び/又はOLEDに関するものとして解釈してもよい。ただし別様に指定されている場合を除く。
【0021】
次のことが知られている。皮膚及び/又は皮膚の要素は、特定の型の反射性/吸収性を特定の波長で有し、従ってその特定の型は、特定の皮膚データに対応する。この文脈で、皮膚データとは、皮膚の特定の状態を表す情報である。例えば、血液の酸素化度、皮膚の発赤、表皮におけるメラニン含有量、コラーゲンの量、エラスチンの弾力性と量、及び脂肪の量である。皮膚は次を含む層構造として定義される:表皮(約200μmの厚さ);真皮(約1―2mmの厚さ);下皮又は皮下脂肪(ミリメートルからセンチメートル単位の厚さ);筋肉;軟骨;及び骨。水分又は湿度成分、血液成分、及び血液の酸素化度は、皮膚の状態を測定するために重要なパラメーターである。これらを光学的に計測するには、例えば次のうちの1つ及び/又は組み合わせを測定すればよい:皮膚の発色団の波長に依存する吸収(例えば血液、メラニン、カロテノイド、フラビン等);細胞膜境界における又は真皮中の膠原繊維における屈折率の変化により誘導される、波長に依存する散乱;波長に依存する散乱の異方性(散乱が角度に依存する度合い);波長に依存する屈折率及び層の厚さ。従って、皮膚のこれら特有の状態を判断するには、皮膚の反射度を測定すればよい。これにより、特定の場所の皮膚の特定の要素についての、少なくとも1つの、好ましくは2つ以上の波長における、皮膚の吸収及び後方散乱の情報がもたらされる。また、皮膚は熱を放射している。これは中赤外域の帯域(3〜8μmの波長)である。これは、皮膚の温度を測定する役に立てる。この測定はこの波長帯の水の吸収帯との関連に基づく。
【0022】
当業者には既知であるが、図2Aに示す通り、LED2は、電子が伝導帯12から価電子帯13に移動する際に近接波長の光9を発する。近接波長は変化する。例えば数nmから数十nmの帯域幅である。図2Bに示す通り、LED2は逆方向で光センサーとして機能する。即ち、特定の波長範囲の光10が電子を励起して価電子帯から伝導帯へ移動させる。これにより電圧が印加されると電流を生ずる。従って、LED2は電流によって光9を発するのに適し、同様に光10を受けると電流を生ずるのに適する。皮膚による光の反射度及び/又は放射度が高ければ、普通は電流も多く流れる。使用中に信号受信回路4は、特定の受光LED2が駆動する電流量を検出することにより、反射度及び/又は放射度を、LED2の特性に基づいて、少なくとも近似的に、測定することができる。
【0023】
原理的には、LED2以外の光センサー2も光を検出するのに適している。例えば光ダイオード及び/又はレーザーである。これら代わりの光センサーを、好適には実質的に平ら及び/又は柔軟な測定装置1に用いることによって、皮膚の近くで使用する。光センサー2の応用分野の例は次を含むがこれらに限定されない:痣の年代測定、皮膚弁の生存能力、微小循環、ポートワイン母斑除去療法の観察、皮膚科的疾患の観察、及び光力学的治療の有効性。
【0024】
LED2の品質と機能は、例えばレーザー及び/又は光ダイオードのような光センサーの品質と機能に比べると、実際はより好ましくないと思われているのだが、LED2の特徴である、例えば柔軟に構成できるという事実により、LED2を、とりわけ光線治療及び/又は柔軟な光源としての応用のような分野で適用するのは簡便である。更に、LED2は、光源と光検出器の双方の機能を果たすように構成できる。
【0025】
ある実施例によれば、皮膚7は光源から発する光9を、光10として反射して戻す。別の実施例では、光源はLED2の代わりに例えば自然光、レーザー光源及び/又は他の既知の光源(とりわけ光線治療の分野で既知のもの)を含んでもよい。
【0026】
有利な実施例では、光9はLED2が発し、LED2が受光する。このような皮膚観察装置1の構成は、比較的単純で柔軟に保つことができる。更に、皮膚の反射度をマップすることができる。複数のLEDを使うことにより、異なる位置で皮膚の反射度を測ることができ、反射度の異なる度合いを測定できるからである。反射度の測定は、皮膚の異なる位置及び/又は領域で、時間順に行うことができる。つまり、必要であれば放射した光を時間順に調整することができる。これは図3A〜図3Cにも示されている。
【0027】
図3AはLED2Aの格子を示す。LED2は点灯しており、創傷の治癒を促進する。図3Bに示す通り、皮膚の反射度を一定の時間間隔で測る。この際にLED2Bを光検出モードで用いて反射度を測定する。LED2Bが光センサーとして機能して光電流を生成するのに対して、LED2Aは光源として機能する。LED2Bが受け取った光が励起した電流を、信号受信回路4が受け取り、皮膚データに変換する処理を行う。皮膚観察装置1は、LED2が皮膚7の近くにあるように構成できるので、反射度を位置の関数として測定できる。原理的には、LED2は皮膚7に接して配置できる。別の実施例では、LED2は光を照射及び/又は検出するのに、皮膚7から少しの距離を取る。例えば数mmの距離である。
【0028】
例えば、皮膚の局所が発赤しており、それに対応してその局所周囲の皮膚と反射度が異なることから、皮膚の炎症が結論される場合には、処理回路6は信号を発することになる。この信号は例えば計算機回路、利用者インターフェース11、及び/又は専門医8に伝えられる。この測定手続を繰り返す際に、様々な場所のLEDを点灯(2A)し、様々な場所のLEDで受光(2B)することができる。このようにして、皮膚7をマップし、皮膚データを作ることができる。皮膚データを用いて創傷の治癒をより効果的に促進できる。これを図3Cに示す。例えば、LED2Cの強度を、皮膚7上の位置の関数として調節する。ここでは、全てのLED2A、2Cは点灯しているが、LED2CはLED2Aとは異なる強度で発光している。勿論、LED2の格子に渡って光強度の勾配を適用できる。この場合、格子に渡って強度が次第に変化する。
【0029】
有利な実施例では、LED2A、2Cは、あるパルス化周波数で発光する。周波数調整回路14がこの周波数を提供する。パルス周波数は発光を入/切する。これにより散乱のような雑音を、処理回路6及び算法がフィルターできるようになる。より高い信号対雑音比を、周波数調整回路14を用いることによって、得ることができる。
【0030】
本発明の実施例では、原則的に、皮膚観察装置1に組み込む全ての又は殆どのLEDは、発光し、かつ、受光するように構成される。この実施例では、1つのLED2は、光検出モードを特定の時間間隔に有し、発光モードを別の時間間隔に有するように構成される。別の実施例では、特定のLED2が発光するように構成され、別のLEDが受光するように構成される。
【0031】
ある実施例では、LED2の代わりに、及び/又は、LED2の隣に、レーザー16を用いて皮膚7を照射治療する。レーザーの照射光は、皮膚7の表面下を比較的深く浸透できる。例えば数mm及び/又は数cm浸透し、例えば皮膚の下の組織の血液灌流を測定できる。光センサー17は光を検出する。この光は、皮膚7が散乱した及び/又は皮膚表面より下部の組織(例えば血球)が散乱した光である。センサーで、前記レーザー16と光センサー17の双方を含むものを、本願ではレーザーセンサー19と呼ぶ。好適な実施例では、レーザーセンサー19はレンズ18を備え、このレーザー16からの光の焦点を合わせる。
【0032】
レーザーセンサー19を有する実施例を図1Aに示す。ここで、レーザー16は、組織7を照らすように配置される。この際に、組織で散乱した光ビーム10の一部がレーザー16に再入し、これにより自己混合効果を得る。このようなレーザーセンサー19は、前出の特許文献1に記載されている。特許文献1の内容を、ここに参照により援用する。より一般的な型の自己混合レーザーセンサーで、レーザーと光センサーを含むものが、特許文献2に記載されている。光10は組織で反射し、光センサー17によって電気信号として登録される。この光10は、元のレーザービームと散乱したレーザービームの間の干渉により変化する信号を含む。各血球は、反射するレーザービームにドップラー偏移を有する信号を生成することになる。この偏移はレーザービームの方向に対するその血球の速度に依存する。従って、この信号を用いて、組織を観察できる。また、この信号がとりわけ有用であるのは、次のようなデータを測定する場合である:血球の相対量;血球の平均速度;血液灌流;及び/又は、関連する血液の特性。ドップラー偏移は、スペックルパターンを生じることになる。これは多量のシヌソイド関数の和である。好適には、処理回路6は、フーリエ変換を前記信号に適用するように適応される。これにより、この信号のスペクトルを提供する。また、処理回路6は、指数フィットをそのスペクトルに適用するように適応される。それにより、組織中の血球の平均速度と組織中の血液量とに対応するパラメーターを得る。
【0033】
レーザーセンサー19は、LED2と同様に、小型化に適している。レーザーセンサー19は、LED2と同様に、例えば柔軟な材料に組み込むことができる。柔軟な材料とは例えば絆創膏、織布及び不織布、ポリマー、ゴム状素材、箔、その他である。使用に際しては、レーザーセンサー19と皮膚7の間の距離は、有利には小さく保つことができる。例えば0〜2mmの間である。とりわけ、レンズ18が装置に備わっている場合には、レンズ18は皮膚7と直接接触してもよい。レーザー光はLED2の光に比べるとコヒーレンスが向上しているので、例えば波長の幅が1(又は1未満)〜数nmの間の場合には、レーザー光は、散乱した光を照射した光と比較して測定するために、とりわけ有用である。更に、この実施例は前記レーザー16、光センサー17及び/又はレンズ18を含み、血流を測定するためにとりわけ有用でありうる。血流を測定することは、創傷を観察するためにとりわけ有用である。この測定は治癒過程を促進するために用いられうるからである。更に、血液灌流は、皮膚の反射度よりも、創傷の治癒を観察するためには、より信頼できるパラメーターであってもよい。レーザーセンサー19は比較的正確でありうるからである。例えばLED2よりも正確でありうる。しかし、レーザーセンサー19を、皮膚の反射度又は他のパラメーターを測定するために用いることもできる。この場合、例えばレンズ18の焦点距離を調節することができる。
【0034】
観察装置1の実用的な実施例では、LED2の1部又は全部を、レーザーセンサー19で置き換える。第1の実施例はLED2の格子(図3D)を含む。ここでいくつかのLED2をレーザーセンサー19で置き換える。この組み合わせた観察装置1を用いて、例えば皮膚の色及び血液灌流を測定することができる。この際、好適には、皮膚の色にはLED2を用い、血液灌流にはレーザーセンサー19を用いる。組み合わせた観察は、創傷治癒過程についての比較的詳細な情報を提供してもよい。ここで組織についていくつかの位置における位置情報を得ることができる。更に、レーザーセンサー19は、散乱した光を測定し、及び、散乱した光を照射した光と比較する際に、改善の役に立ってもよい。検出モードにおけるLED2の場合と比べて、レーザー光は、コヒーレンスがより高いからである。他方、LED2が照射する光は、レーザー16が照射する光と同じ治癒効果を有してもよい。レーザー16はまた、治癒のために組織を照射治療する役に立ってもよい。レーザー16及び/又はLED2は、異なる型の専用治癒のために例えば構成されることができる。例えばレーザー16は、LED2とは異なる周波数及び/又は波長を有するからである。このことはまた、例えば異なる複数のレンズ18の焦点距離を調節することによって達成してもよい。
【0035】
図3Eに、レーザーセンサー19の格子を有する観察装置1の実施例を示す。この実施例では、図3Dの実施例と比べて、より高い観察の解像度を得ることができる。図3Eの実施例ではレーザー16を治癒のために用いてもよい。
【0036】
異なるLED2及び/又はレーザーセンサー19が測定した局所信号に依存して、レーザー16及び/又はLED2が発する光を局所的に調整して、治療を最適化することができる。例えば、使用する際に、複数のレーザーセンサー19を、創傷の表面に対して異なる場所に配置する。これにより、信号を局所的に測定できる、及び/又は、照射量を局所的に調整する。
【0037】
組み合わせた格子(例えば図3Dに示すもの)又はレーザーセンサー19の格子(例えば図3Eに示すもの)を、柔軟な素材(例えば布又は絆創膏)に例えば簡便に埋め込むことができる。好適には、レーザーセンサー19を、体の近くに簡便に纏うことができる素材に埋め込む。レーザーセンサー19は、体の近く(例えば皮膚から2mm以下)に位置することができる、又は、レーザーセンサー19は、体と接触できるからである。レーザーセンサー19をこのような柔軟な素材と結合することは、LED2をこのような柔軟な素材と結合することに似てもよい。
【0038】
前述の通り、レーザーセンサー19はレンズ18を備えてもよい。同様に、レンズ18を他の光源に備えてもよい。他の光源とは例えばLED2である。このLED2は例えば本発明の他の実施例におけるものである。レンズ18は、既定の治療のために最適化した焦点距離を有してもよい。例えば、血球の特性を測定する場合には、レンズ18は2mm以下(例えば1mm)の焦点距離を有してもよい。異なる焦点距離を有する、異なるレンズ18を適用することが、簡便であってもよい。これにより、使用する際に、同一の観察装置1によって、組織を異なる深さで観察できる。
【0039】
有利な実施例では、皮膚7のある領域で反射する色を検出する際に、皮膚のその領域の反射度を、少なくとも2つの異なる照射波長で検出する。より詳しくは、皮膚7の反射度をより精確に検出することを達成するには、LEDが発する光に対応する2つの近接波長に対応する2つの得られた信号の間の比率を計算する。当業者には既定の表が既知である。この表は、皮膚の反射度の比率を異なる波長で特定の皮膚データに対して表示する。特定の皮膚データとは例えば皮膚の発赤、皮膚の温度、等である。2より多い波長を用いれば、測定は更により正確になってもよい。記述を判明にするために、本願では一般に2つの波長を参照する。しかし、3以上の波長も本発明により適用してもよい。
【0040】
血液の量、灌流、及び/又は速度を測定するために、例えば、レーザーセンサー19又は他の光源を用いる。この際に、皮膚の色を測定する必要が無い場合がある。従って、1つの波長で照射するだけでも十分であってもよい。この場合、異なる血球からの異なる散乱の信号は、一箇所で測定され比較される。結果のスペックルパターンから、血液の量、灌流、及び/又は速度についての情報を得ることができる。
【0041】
例示の実施例では、皮膚7の発赤の推定を、前述の2つの異なる照射波長での反射度の比率を計算することによって、行うことができる。照射波長とは例えば可視波長の範囲のものである。反射度の測定は、LED2が光センサーとして機能することによって行い、その結果を信号に変換する。図4では、1人の皮膚の反射度が縦軸(Y)に示されている。反射度は上方向に増える。これを矢印aで示す。この人の皮膚に少なくとも1つのLED2によって照射される光の波長が横軸(X)に示される。単位はナノメートルである。表示の曲線C1は異なる波長における皮膚の反射度の測定結果を示す。図4では、この曲線の表示は可視波長の範囲である。即ち約400nm〜約820nmの範囲である。この例では、皮膚の発赤を判断できるのは、約580nmと620nmの波長における反射度(又はその信号)を測定することによる。図4では580nmでの反射度をR1の点に示し、620nmでの反射度をR2の点に示す。点R1と点R2の間の傾きは、点R1と点R2を結ぶ直線Sで示される。この傾きは、反射度R2引く反射度R1の値を、620nmと580nmの波長の差である40nmで割ることで定義される。ここで、比率R1/R2はまた、発赤の尺度となる。この値が低いほど、より発赤していることになる。2つの信号の比率を求めれば、特定の皮膚データ(この例では皮膚7の発赤)を前記既定の表又は他の既定のデータから検索できる。この際に、例えば、処理回路6又は医師から、援助を受ける。さほど高度ではない実施例では、専門医8が、検出した信号を皮膚データに自分で変換する。この際に例えば便覧の援助を受ける。
【0042】
例示の実施例では、血液の酸素化度(とりわけ毛細血管中の血液の酸素化度)の測定も、2以上の波長で皮膚の反射度を検出することによって行うことができる。この実施例では、有利なのは次のことである。即ち、反射度を、ある近接波長で検出する。この近接波長では、反射度(即ち光の吸収)は、ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンについて、およそ同一である。即ち、この近接波長は等吸収点である。かつ、反射度を、少なくとも1つの別の近接波長でも検出する。この近接波長では、ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの反射度の値は異なる。皮膚7の反射度の検出を、酸素化ヘモグロビンが比較的高い水準の場合と、ヘモグロビンが比較的高い水準の場合について行うと、前者は実線の曲線C1に、後者は点線の曲線C2に、それぞれなる。この2つの曲線は等吸収点O1で交わる。また、異なる反射度は点O2で得られる。O1とO2での2つの反射度の比率が酸素化度の尺度となる。一般に、創傷においては、酸素化度は、通常の組織に比べて、より小さくなる。しかし、微小循環は局所的に異なってもよい。従って、創傷の酸素化度も、体の1つの解剖学的位置から別の解剖学的位置に移るにつれ、変化してもよい(ということを考慮にいれてもよい)。従って、体のどの位置かということも、創傷箇所の酸素化度についての参照の役に立ってもよい。
【0043】
更なる例示の実施例では、皮膚のメラニン含有量を測定できる。反射率のスペクトルの傾きがメラニン含有量の尺度である。皮膚のメラニン含有量とは、皮膚の白さ又は黒さである。白い皮膚については、この傾きは比較的高い。黒い皮膚については、この傾きは比較的低い。例えば、信号を、約450nmと、約660nmの波長で測定することができる。図4では前者を点M1で示し、後者を点M2で示す。例えば、この2つの波長での信号の強さの相対的な差を、波長660nmの信号で正規化すると、メラニン含有量の尺度となる。メラニン含有量は局所的に異なってもよい(例えば母斑)。又は、メラニン含有量は人によって異なってもよい。従って、測定したメラニン含有量を用いて、他の特性の測定した反射度を補償してもよい。例えば皮膚の発赤を判断する際に、そのようにする。
【0044】
別の例示の実施例では、皮膚の反射度は皮膚の湿潤に依存する。これは近赤外線域で測定できる。例えば水分吸収帯域である、約1450nmと約2000nmの間の帯域、又は約1450nmの波長若しくは約2000nmの波長である。皮膚の浸潤(湿潤)は、創傷の状態についての指標となることができる。例えば、創傷が開いているか(この場合は比較的湿る)、又は創傷が閉じているか(この場合は比較的乾く)という状態である。
【0045】
別の例示の実施例では、皮膚の放射度を測定する。例えば赤外線域のより長い波長の放射を検出する。例えばこれは約2500nmから約8500nmの間の範囲である。放射度、とりわけこの範囲の放射度は、皮膚の温度に関係する。従って、これは炎症の指標となることができる。皮膚の温度は、一般的に、炎症の領域では上がるからである。
【0046】
勿論、別の実施例では、反射度及び/又は放射度を検出するのは、前述の波長とは異なる波長で行い、前述の例示の実施例とは異なる皮膚データについて行う。前述の波長の値及び範囲は本発明を如何なる方法でも限定しないと解釈されるべきである。これは単に例を説明するためだけのものである。より有利な波長が当業者に既知であってもよい。より有利な波長はこの分野の研究が進展するにつれ実際に変わってもよい。また、算法で用いる既定のデータも継続的に更新される。
【0047】
別の実施例では、皮膚観察装置は、皮膚の前述の複数の異なる観察を結合するように構成される。皮膚観察装置1は、例えば、次の特性を検出するように構成される:メラニン含有量;皮膚の発赤;温度;酸素化;湿潤;又はこれらのうちの少なくとも2つ。ここでこれらの特性は、相互に依存してもよい。このような実施例においては、LED2が2つよりも多い波長を放射及び/又は検出すれば、有利である。
【0048】
前述の通り、有利なのは、特定の実施例においては、皮膚観察装置1が、少なくとも2つの異なる波長で、およそ同じ位置及び/又は範囲に光を発することである。この目的のために有利なのは、LED2が少なくとも2つの異なる波長域で発光することである。従って、有利には、異なる型のLED2を用いてもよい。ここで各々の型のLEDは特定の波長帯の内部で発光し検出する。LED2の波長及び/又は光強度を、局所的に制御できる。例えばLED2を個別に及び/又は群で制御する。波長は変化してもよい。例えば、異なる波長の異なるLED2を切り替えることによって変化させる。異なるLED2を、例えば、互いに近くに配置してもよく、及び/又は、重ねて配置してもよい。これにより、発光するLEDの光を制御し観察できる。この制御は比較的正確である。この発光は特定の場所に行う。この発光は異なる近接波長である。異なる近接波長は皮膚7に照射される及び/又は反射される。単一の型のLED2が異なる波長で発光及び/又は検出する技法も既知である。
【0049】
有利な実施例においては、皮膚観察装置1は、柔軟である、又は、少なくとも体の部分に形状を適合できる。これにより、ある量の移動の自由を提供する。ある実施例では、LED2は体の覆いに統合される。覆いとは例えば絆創膏1A、湿布、布、毛布1B、等である。これにより、体に装着する及び/又は巻き付けることができる。図5及び図6を参照。皮膚観察装置1は、実質的に平らであってよい。これにより、例えば、衣服及び/又は毛布の下に着用できる。図5が示すのは、可搬及び/又は可処分電源5が皮膚観察装置1Aに接続している様子である。送信機15又は何か別の無線通信部を配置し構成してもよい。これにより信号を処理回路6に送信する。図6が示す実施例は毛布1Bが柔軟なOLED2を有する。
【0050】
別の実施例では、LED2は創傷から離れた位置に保たれる。即ち、創傷には触れない。これにより炎症を防ぐ。例えば、LED2を皮膚及び/又は創傷から、約0.1mm〜約50mm離して保ってもよい。好適には、約2〜30mmの間の距離を置く。これにより例えば十分な空気が創傷を通過できる。同じ理由で、皮膚観察装置1の素材の少なくとも部分を、通気性及び/又は吸収性があるように構成してもよい。皮膚観察装置1は、この間隔を設定するための間隔空け部を含んでもよい。この間隔空け部は、例えば、粘着性の点、柔軟な多孔質層、ガーゼ等を含んでもよい。
【0051】
有利な実施例では、皮膚観察装置1は、無線通信部を含む。これにより遠隔の計算機及び/又は専門医と通信する。専門医8及び/又は計算機は、遠隔から治癒過程を観察でき、LEDの光9の強度及び/又は波長を調節できる(そう望む場合)。ある実施例では、皮膚観察装置1を、患者が治癒過程を観察し、皮膚観察装置1を操作できるように構成する。これにより患者が皮膚観察装置1の設定を自分で調整できる。この際に例えば利用者インターフェース11を用いる。処理回路6及び利用者インターフェース11は、治癒過程において自動的に相互作用するように、並びに/又は、相互作用が必要であれば患者及び/若しくは専門医に警告するように構成できる。
【0052】
明らかに、分離した信号検出回路4及び周波数調整回路14の代わりに、処理回路6を、信号検出回路4及び/又は周波数調整回路14を含むように構成してもよい。これ(ら)はまた、直接に発光装置と接続してもよい。
【0053】
更に、本願発明の原理を、光線治療の分野以外に適用してもよい。例えば、表面から反射する光一般を、本発明による皮膚観察装置1で測定できる。これは例えば、ある種の物性及び/又は生物学的生命形態の研究に有利でありうる。例えば、複数のLED2を発光源及び光検出器として用いることにより、比較的簡単な手段で表面からの反射を測定できる。
【0054】
明らかに本発明は明細書及び図面に示す例示の実施例に如何なる方法でも限定されない。特許請求の範囲に定義する本発明の範囲の内部で多くの変形が可能である。皮膚観察装置1を例えば如何なる型の光線治療のためにも構成してよい。これは本明細書に記載の適用には特別に又は排他的に関与しない。実施例の2つ以上の観点の組み合わせ又は実施例の組み合わせが本発明の範囲の内部で可能である。全ての類似の変形は特許請求の範囲が定義する本発明の範囲の内部に含まれると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】皮膚観察装置の実施例の図である。
【図1A】皮膚観察装置の別の実施例の図である。
【図2A】皮膚観察装置の実施例によるLEDの側面図である。
【図2B】皮膚観察装置の実施例によるLEDの側面図である。
【図3A】皮膚観察装置の実施例によるLEDの格子の平面図である。
【図3B】皮膚観察装置の実施例によるLEDの格子の平面図である。
【図3C】皮膚観察装置の実施例によるLEDの格子の平面図である。
【図3D】皮膚観察装置の実施例によるLEDとレーザーセンサーとの格子の平面図である。
【図3E】皮膚観察装置の実施例によるレーザーセンサーの格子の平面図である。
【図4】波長が反射度の関数である2つの曲線を示す。
【図5】絆創膏に統合した皮膚観察装置の実施例を示す。
【図6】毛布に統合した皮膚観察装置の実施例を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理回路の接続手段及び少なくとも1つの光センサーを含む皮膚観察装置、ここで、前記皮膚観察装置は、皮膚の近くで適用するためのものであり、前記少なくとも1つの光センサーは、前記皮膚によって、反射される及び/又は放射される、光の、少なくとも1つの近接波長を検出するように構成され、前記皮膚観察装置は、前記少なくとも1つの光センサーからの信号を受信するための信号受信回路を備える。
【請求項2】
少なくとも1つの光源を含む、請求項1による皮膚観察装置、ここで前記少なくとも1つの光源は、光の少なくとも1つの、好適には少なくとも2つの、近接波長の光を放射するように構成される。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光源はレーザーを含む、請求項2による皮膚観察装置。
【請求項4】
レーザーセンサーを備える、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置、ここで、前記レーザーセンサーは、組織を照らすための光源としてのレーザーを含み、前記レーザーは、前記組織によって散乱されたレーザービームの1部が前記レーザーの中に再入できるように適応され、前記レーザーセンサーは、前記レーザーから照射される光を測定するための光センサーを含み、前記レーザーセンサーによって、元の前記レーザービームと前記散乱されたレーザービームとの間の干渉によって変化する信号を得る。
【請求項5】
前記レーザーセンサーはレンズを備える、請求項4による皮膚観察装置、ここで前記レンズは、前記レーザーと前記皮膚との間に配置されるように構成される。
【請求項6】
前記皮膚から、0と2mmとの間の距離で光を、照射するように及び/又は検出するように、構成される、請求項4又は請求項5による皮膚観察装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの、光センサー及び/又は光源は、少なくとも1つの、LED(発光ダイオード)及び/又はOLED(有機発光ダイオード)を、含む、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項8】
少なくとも1つの、好適には少なくとも2つの、光センサーは、前記皮膚によって、反射される及び/又は放射される、少なくとも2つの近接波長の光を検出するように構成される、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光源は前記光センサーとして機能するように構成される、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項10】
LED及び/又はOLED、並びにレーザーセンサーを含む、請求項7乃至9のうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項11】
人体の形状に少なくとも部分的に適合するように構成され、かつ、好適には少なくとも部分的に柔軟であるように構成される、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項12】
少なくとも1つの間隔空け部を含む、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置、ここで前記間隔空け部により、前記皮膚観察装置は、前記皮膚から、約0.1mmと50mmとの間の間隔で、特に約2mmと30mmとの間の間隔で、光を、照射する及び/又は検出する。
【請求項13】
少なくとも1つの処理回路、既定皮膚データを格納するための格納装置、及びインターフェースの接続手段を含む、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置、ここで前記処理回路は、前記信号を処理し、前記信号を前記格納装置に格納された既定皮膚データと比較することによって前記信号を皮膚データに変換し、かつインターフェースを通して前記皮膚データをマップするように構成される。
【請求項14】
前記接続手段のうち少なくとも1つは無線通信手段を含む、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの光源を特定の周波数で駆動するための周波数調整回路を含む、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置、ここで前記処理回路は前記信号を前記周波数によって処理するように構成される。
【請求項16】
前記少なくとも1つの光源は、前記少なくとも1つの光源の表面の部分で局所的に強度を調整するように構成される、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項17】
皮膚によって、反射される及び/又は放射される、光を受ける少なくとも1つの光センサーを用いて、前記皮膚を観察する方法、ここで、前記皮膚によって、反射される及び/又は放射される、少なくとも1つの、好適には少なくとも2つの、近接波長の光は、少なくとも1つの信号に変換され、かつ、前記少なくとも1つの信号は、皮膚データに変換される。
【請求項18】
光は、光の、少なくとも1つの、好適には少なくとも2つの、波長で、光源によって照射される、請求項17による方法。
【請求項19】
前記光は、少なくとも1つのLEDによって及び/又は少なくとも1つのOLEDによって、照射される及び/又は反射される、請求項17又は請求項18による方法。
【請求項20】
前記光はレーザーセンサーによって照射されかつ受けられる、請求項17乃至19のうち何れか1項による方法、ここで前記レーザーセンサーはレーザーを光源として含み、前記レーザーセンサーは光センサーを含み、前記レーザーセンサーは好適には前記皮膚から約0と2mmとの間の距離を有する。
【請求項21】
光は、前記皮膚から、約0.1mmと50mmとの間の距離で、特に約2mmと30mmとの間の距離で、照射される、請求項17乃至20のうち何れか1項による方法。
【請求項22】
皮膚データは、光の少なくとも2つの異なる波長で変換された、少なくとも2つの信号の少なくとも比率から決定される、請求項17乃至21のうち何れか1項による方法。
【請求項23】
光は、前記皮膚の種々の、位置に及び/又は範囲に、関係する信号に順に変換される、請求項17乃至22のうち何れか1項による方法。
【請求項24】
前記皮膚データは、専門医によって及び/又は処理回路によって、前記皮膚からの距離でマップされかつ分析される、請求項17乃至23のうち何れか1項による方法。
【請求項25】
電源接続手段、少なくとも1つの近接波長で、照射しかつ検出するための、少なくとも1つの、LED(発光ダイオード)若しくはOLED(有機発光ダイオード)、及び信号検出回路を含む、観察装置、ここで前記LED又は前記OLEDは、検出モードを有するように構成され、前記信号検出回路は、前記LED又は前記OLEDが前記検出モードにある場合は、前記LED又は前記OLEDを通って流れる信号を検出するように構成される。
【請求項26】
少なくとも1つの、LED又はOLEDは、少なくとも1つの別の、LED又はOLEDによって、照射され、表面で反射した光を検出する、請求項25による装置。
【請求項27】
皮膚に観察装置を適用することによって、及び、少なくとも1つの、LED又はOLEDでもって、前記皮膚に光を照射することによって、前記皮膚を照射治療する方法、ここで前記観察装置は、少なくとも1つの光センサーの手段でもって、前記皮膚による光の、反射及び/又は放射を、観察し、前記LED又は前記OLEDは、前記少なくとも1つの光センサーからの信号に基づいて制御される。
【請求項28】
少なくとも1つの、LED又はOLEDは、光センサーとして使われる、請求項27による方法。
【請求項29】
0と5mmとの間の距離で、皮膚によって、反射された又は放射された、光を登録するための、LED又はOLEDの、使用。
【請求項1】
処理回路の接続手段及び少なくとも1つの光センサーを含む皮膚観察装置、ここで、前記皮膚観察装置は、皮膚の近くで適用するためのものであり、前記少なくとも1つの光センサーは、前記皮膚によって、反射される及び/又は放射される、光の、少なくとも1つの近接波長を検出するように構成され、前記皮膚観察装置は、前記少なくとも1つの光センサーからの信号を受信するための信号受信回路を備える。
【請求項2】
少なくとも1つの光源を含む、請求項1による皮膚観察装置、ここで前記少なくとも1つの光源は、光の少なくとも1つの、好適には少なくとも2つの、近接波長の光を放射するように構成される。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光源はレーザーを含む、請求項2による皮膚観察装置。
【請求項4】
レーザーセンサーを備える、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置、ここで、前記レーザーセンサーは、組織を照らすための光源としてのレーザーを含み、前記レーザーは、前記組織によって散乱されたレーザービームの1部が前記レーザーの中に再入できるように適応され、前記レーザーセンサーは、前記レーザーから照射される光を測定するための光センサーを含み、前記レーザーセンサーによって、元の前記レーザービームと前記散乱されたレーザービームとの間の干渉によって変化する信号を得る。
【請求項5】
前記レーザーセンサーはレンズを備える、請求項4による皮膚観察装置、ここで前記レンズは、前記レーザーと前記皮膚との間に配置されるように構成される。
【請求項6】
前記皮膚から、0と2mmとの間の距離で光を、照射するように及び/又は検出するように、構成される、請求項4又は請求項5による皮膚観察装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの、光センサー及び/又は光源は、少なくとも1つの、LED(発光ダイオード)及び/又はOLED(有機発光ダイオード)を、含む、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項8】
少なくとも1つの、好適には少なくとも2つの、光センサーは、前記皮膚によって、反射される及び/又は放射される、少なくとも2つの近接波長の光を検出するように構成される、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光源は前記光センサーとして機能するように構成される、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項10】
LED及び/又はOLED、並びにレーザーセンサーを含む、請求項7乃至9のうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項11】
人体の形状に少なくとも部分的に適合するように構成され、かつ、好適には少なくとも部分的に柔軟であるように構成される、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項12】
少なくとも1つの間隔空け部を含む、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置、ここで前記間隔空け部により、前記皮膚観察装置は、前記皮膚から、約0.1mmと50mmとの間の間隔で、特に約2mmと30mmとの間の間隔で、光を、照射する及び/又は検出する。
【請求項13】
少なくとも1つの処理回路、既定皮膚データを格納するための格納装置、及びインターフェースの接続手段を含む、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置、ここで前記処理回路は、前記信号を処理し、前記信号を前記格納装置に格納された既定皮膚データと比較することによって前記信号を皮膚データに変換し、かつインターフェースを通して前記皮膚データをマップするように構成される。
【請求項14】
前記接続手段のうち少なくとも1つは無線通信手段を含む、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの光源を特定の周波数で駆動するための周波数調整回路を含む、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置、ここで前記処理回路は前記信号を前記周波数によって処理するように構成される。
【請求項16】
前記少なくとも1つの光源は、前記少なくとも1つの光源の表面の部分で局所的に強度を調整するように構成される、前項までのうち何れか1項による皮膚観察装置。
【請求項17】
皮膚によって、反射される及び/又は放射される、光を受ける少なくとも1つの光センサーを用いて、前記皮膚を観察する方法、ここで、前記皮膚によって、反射される及び/又は放射される、少なくとも1つの、好適には少なくとも2つの、近接波長の光は、少なくとも1つの信号に変換され、かつ、前記少なくとも1つの信号は、皮膚データに変換される。
【請求項18】
光は、光の、少なくとも1つの、好適には少なくとも2つの、波長で、光源によって照射される、請求項17による方法。
【請求項19】
前記光は、少なくとも1つのLEDによって及び/又は少なくとも1つのOLEDによって、照射される及び/又は反射される、請求項17又は請求項18による方法。
【請求項20】
前記光はレーザーセンサーによって照射されかつ受けられる、請求項17乃至19のうち何れか1項による方法、ここで前記レーザーセンサーはレーザーを光源として含み、前記レーザーセンサーは光センサーを含み、前記レーザーセンサーは好適には前記皮膚から約0と2mmとの間の距離を有する。
【請求項21】
光は、前記皮膚から、約0.1mmと50mmとの間の距離で、特に約2mmと30mmとの間の距離で、照射される、請求項17乃至20のうち何れか1項による方法。
【請求項22】
皮膚データは、光の少なくとも2つの異なる波長で変換された、少なくとも2つの信号の少なくとも比率から決定される、請求項17乃至21のうち何れか1項による方法。
【請求項23】
光は、前記皮膚の種々の、位置に及び/又は範囲に、関係する信号に順に変換される、請求項17乃至22のうち何れか1項による方法。
【請求項24】
前記皮膚データは、専門医によって及び/又は処理回路によって、前記皮膚からの距離でマップされかつ分析される、請求項17乃至23のうち何れか1項による方法。
【請求項25】
電源接続手段、少なくとも1つの近接波長で、照射しかつ検出するための、少なくとも1つの、LED(発光ダイオード)若しくはOLED(有機発光ダイオード)、及び信号検出回路を含む、観察装置、ここで前記LED又は前記OLEDは、検出モードを有するように構成され、前記信号検出回路は、前記LED又は前記OLEDが前記検出モードにある場合は、前記LED又は前記OLEDを通って流れる信号を検出するように構成される。
【請求項26】
少なくとも1つの、LED又はOLEDは、少なくとも1つの別の、LED又はOLEDによって、照射され、表面で反射した光を検出する、請求項25による装置。
【請求項27】
皮膚に観察装置を適用することによって、及び、少なくとも1つの、LED又はOLEDでもって、前記皮膚に光を照射することによって、前記皮膚を照射治療する方法、ここで前記観察装置は、少なくとも1つの光センサーの手段でもって、前記皮膚による光の、反射及び/又は放射を、観察し、前記LED又は前記OLEDは、前記少なくとも1つの光センサーからの信号に基づいて制御される。
【請求項28】
少なくとも1つの、LED又はOLEDは、光センサーとして使われる、請求項27による方法。
【請求項29】
0と5mmとの間の距離で、皮膚によって、反射された又は放射された、光を登録するための、LED又はOLEDの、使用。
【図1】
【図1A】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4】
【図5】
【図6】
【図1A】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2009−539541(P2009−539541A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514962(P2009−514962)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052199
【国際公開番号】WO2007/144817
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052199
【国際公開番号】WO2007/144817
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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