説明

盗難防止用施錠具

【課題】 コンピュータ等盗難防止具に穿設の係止用鍵孔に、ロック本体から突出の先端係止部をシリンダー錠の鍵操作でロックすると共に、ロック本体から延出の縛用索を柱等に縛止して窃取を阻止するもので、外力に対する破壊強度をシリンダー錠の大形化なしに増強し、盗難防止の信頼性を向上する。
【解決手段】 ロック本体10のシリンダー内筒10bを鍵操作で回動させると、図示した回り止め具14の回り止め腕14a、14bは盗難防止物Bの係止用鍵孔Hに嵌合した状態で、シリンダー内筒10bと共転自在な別部材の引っ掛け軸体13における先端係止部13bが90°転動し、ロック本体10は引き抜き不能なロック状態となる。強度大なる引っ掛け軸体13の共転用係嵌部13cは、シリンダー内筒10bの被係嵌部10fに係嵌されて、角度規制カム16と内筒抜け止め17により、シリンダー内筒10bに止着されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンピュータなどの盗難防止物に、予め穿設されている係止用鍵孔に対し、ロック本体のシリンダー錠に係る鍵操作で回動自在な引っ掛け軸体を差し入れた後、当該鍵操作により、引っ掛け軸体の先端係止部が係止用鍵孔から引き抜き不能状態となるようロックしてしまい、この際、ロック本体から延設されているワイヤーロープ等による縛用索を、室内の柱などに縛持状態としておくことで、当該コンピュータなどの搬出による盗取を阻止するようにした盗難防止用施錠具の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の施錠具は既に市販されているもの(USP,No.5,327,752)もあり、各種の提案がなされているが、従来の提案にあっては図7に開示の如く、ロック本体1と、これより延出された縛用索2とからなり、当該縛用索2の索条2aにあって、その先端部には固定具2bを介してループ索条2cを形成し、このループ索条2cに、ロック本体1を挿通するなどして、図示しない柱などに上記の索条2aを回装縛持させ、ロック本体1は、コンピュータなどの盗難防止物Bに穿設した係止用鍵孔Hに、後述の如く引き抜き不能状態となるようロックしてしまうことで、当該コンピュータなどの搬出による窃取を防止しようとしている。
【0003】そして、ロック本体1は、シリンダー外筒1aとシリンダー内筒1bおよび内装されているピンタンブラーとからなる周知のシリンダー錠1Aと、シリンダー外筒1aの後部に被嵌されて軸線方向へ所定延出長Sだけ摺動自在である整合用キャップ3を具備しており、さらに、上記シリンダー内筒1bの後端からは、一体に引っ掛け軸体1dが軸線方向へ突設されている。
【0004】上記の引っ掛け軸体1dには、図示の如くシリンダー内筒1bの鍵穴1eに対する鍵操作により、所定規制角度例えば90°だけ回動自在にして、整合用キャップ3の後端壁軸孔3aから、軸杆1fの先端側と、これに直交状にて連設された先端係止部1gとが突出されている。
【0005】さらに、上記引っ掛け軸体1dの軸杆1fを挟んで、整合用キャップ3の後端壁軸孔3aから、上記先端係止部1gの直前まで延出されている一対の回り止め腕4a、4bが、当該先端係止部1gの長さLと略同寸法の外法を有していると共に、当該回り止め腕4a、4bに直交状で整合用キャップ3内に配設され、かつシリンダー外筒1aの後端壁面1hから突設の後部規制突部1iに係当して、回動が所定の範囲内に阻止される周縁板部4cとにより形成された回り止め具4を具有しており、そして、この周縁板部4cと、前記整合用キャップ3における後部壁内面3bとの間には、スプリング5が介装されている。
【0006】前記の如く鍵操作により、シリンダー内筒1bを所定規制角度だけ回動自在とするため、図7の場合にはシリンダー内筒1bの後部にあって、角度規制カム6がシリンダー内筒1bと共に回動するよう係嵌されており、当該角度規制カム6に設けた図示されていない二箇所の係止突起が、シリンダー外筒1aにおける前記の後部規制突起1iに衝当することで、所定規制角度範囲の回動だけが許容されるようになっている。
【0007】従って、上記の角度規制カム6における後側周面6aには、前記スプリング5によって押圧されている回り止め具4の周縁板部4cが押当されていると共に、整合用キャップ3は同上スプリング5によって、所定延出長Sだけ後方へ向けて突出された状態となっている。
【0008】上記構成による盗難防止用施錠具によるときは、ロック本体1をループ索条2cに挿通して、索条2aにより柱等に縛用索2を回装縛持させた後、図7のように回り止め具4における一対の回り止め腕4a、4bと、引っ掛け軸体1dにおける先端係止部1gとを、引き揃えられた並装状態である解錠の態勢として、当該先端係止部1gから盗難防止物Bの係止用錠孔Hに嵌装し、一対の回り止め腕4a、4bは、その先端部が係止用錠孔Hに係嵌状態とすることで、ロック本体1が不本意に回動してしまわないようになし、この際、引っ掛け軸体1dの先端係止部1gが係止用錠孔Hを通過した突出状態とするのである。
【0009】上記の通過状態は、盗難防止物Bのボデイ板厚dに、大小のばらつきがあっても、整合用キャップ3は、スプリング5の弾力に抗して軸線方向へ変動自在であることから、常に当該ボディ板厚dの大小に追随させることができ、このとき図示しない鍵操作によって、シリンダー内筒1bを所定規制角度(図示例では90°)だけ回動されれば、先端係止部1gが、係止用錠孔H従って回り止め腕4a、4bと直交状態となってロックの状態が確保されるに至り、この結果、ロック本体1は盗難防止物Bから引き抜くことができなくなり、コンピュータなどの搬出による窃取が不能となる。尚ここで図7の7は内筒抜けどめを示し、シリンダー内筒1bにあって、シリンダー外筒1aの後端壁面1hに当接するよう係嵌されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記構成による盗難防止用施錠具によるときは、もちろん、その本来の目的を達成することはできるのであるが、前記のようにシリンダー内筒1bから一体に引っ掛け軸体1dを突設するようにしているため、前記の如くロック本体1を盗難防止物Bにロックした状態にあって、これを引き抜くための不本意な大なる外力が加えられた際、当該外力はシリンダー内筒1bに対して、直接に大きな力を作用させることとなるため、既知の如くシリンダー錠1Aに内装されているピンタンブラー1cに無理な力が加わって、シリンダー錠1Aとしての円滑な機能が発揮され難くなる。
【0011】また、コンピューターなどの掛止用錠孔Hは、予め小さな幅長の長孔に設定されていることから、引っ掛け軸体1dの軸杆1fは可成り細くしないと嵌挿できず、しかもシリンダー内筒1bの材質も特定されており、それ程の強度が期待できないことから、前記の大なる力によって軸杆1fが折損し難く、盗難防止に対する信頼性が低下してしまう欠陥を有している。
【0012】また、前記の如くスプリング5の弾力によって、回り止め具4の周縁板部4cが、シリンダー内筒1bと共転する角度規制カム6と、スプリング5の弾力により押当状態になっていることから、前記の如く鍵操作によってシリンダー内筒1bを施錠そして解錠させると、角度規制カム6がスプリング5の弾力を受けている周縁板部4cと摺動しながら回動し、この結果鍵操作が軽快に行えないばかりか、部材の損耗も大となる。
【0013】本発明は上記の諸難点を解消しようとするもので、請求項1にあっては、前記の引っ掛け軸体を、シリンダー内筒とは全く別部材によって形成することで、当該引っ掛け軸体をシリンダー内筒よりも強度の大なる素材により形成して、引っ掛け軸体の軸杆などが、不本意に折損することのないようにして、盗難防止に対する信頼性を向上すると共に、引っ掛け軸体の先端係止部に外力が加えられても、それが直接でなく諸部材を介して間接的にシリンダー内筒へ伝達されることから、シリンダー内筒とシリンダー外筒との間に装填されている既知の発条や、ピンタンブラーの挙動が不円滑となって、鍵操作自体が行いにくくなるといった問題を解消しようとするのが、その目的である。
【0014】さらに、請求項2にあっては、前期した回り止め具における周縁板部にあって、その外周端からスペース周縁部を突設して、これをシリンダー外筒の後端壁面に押当させることにより、上記周縁板部がシリンダー内筒や、これに係嵌した内筒抜け止めから離間するようにし、このことで、シリンダー内筒の鍵操作による回動を軽快に行い得るようにしようとするのが、その目的である。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するため、ロック本体と、これより延設されて所要箇所に縛持自在とした縛用索とからなり、ロック本体はシリンダー外筒とシリンダー内筒そして内装のピンタンブラーとからなるシリンダー錠と、シリンダー外筒の後部に被嵌され軸線方向へ所定延出長だけ摺動自在である整合用キャップと、シリンダー内筒の鍵操作により所定規制角度だけ回動自在にして、上記整合用キャップの後端壁軸孔から軸杆の先端側と、これに直交状にて連設の先端係止部とが突出された引っ掛け軸体と、当該引っ掛け軸体の上記軸杆を挟んで前記整合用キャップの後端壁軸孔から、上記先端係止部の直前まで延出されている一対の回り止め腕が、当該先端係止部の長さと略同寸法の外法を有し、当該回り止め腕に直交状で整合用キャップ内に配設され、かつシリンダー外筒の後端壁面から突設の後部規制突部に係当して回動を阻止される周縁板部とにより形成された回り止め具と、上記周縁板部と整合用キャップの後端壁内面間に介装されて、整合用キャップを前掲所定延出長だけ突出させているスプリングとを具備し、上記引っ掛け軸体の先端係止部と回り止め具の回り止め腕とを並装状態として、盗難防止物に穿設された係止用錠孔に嵌装することで、整合用キャップの後端壁面に盗難防止物を当接すると共に、上記係止用錠孔内に一対の回り止め腕を係嵌し、かつ、先端係止部は係止用錠孔を通過させ、当該状態にて鍵操作によりシリンダー内筒を前記の所定規制角度だけ回動することで、回り止め腕に対して先端係止部を交差状態として施錠し、鍵操作によるシリンダー内筒の復動により、ロック本体を係止用鍵孔から引き外し可能とした盗難防止用の施錠具において、前記の引っ掛け軸は、先端係止部を設けた軸杆の前端に共転用係嵌部を連設した単独部品により形成され、当該共転用係嵌部が、シリンダー内筒の後端部に設けられた被係嵌部に係嵌されると共に、前記シリンダー外筒の後端壁面に押当して、上記共転用係嵌部に被嵌され、かつ上記の被係嵌部に係嵌されて、シリンダー内筒をシリンダー外筒の後部規制突部に係当して、前記の所定規制角度だけ回動自在とした角度規制カムと、この角度規制カムの後端側面に当接して、シリンダー内筒の後端部に係嵌した内筒抜け止めとが具備されていることを特徴とする盗難防止用施錠具を提供しようとしている。
【0016】さらに、請求項2にあっては、上記請求項1の構成に加えて、回り止め具の回り止め腕に連設された周縁板部における外周端からは、前端周縁がシリンダー外筒の後端壁面に押当するスペース周縁部を曲突することにより、上記周縁板部とシリンダー内筒の後端部とが離間されるようにしたことを、その内容としている。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明につき図1ないし図6によって詳記するが、次に説示の構成は、上記した図7の盗難防止用施錠具と実質的に同一である。すなわち、ロック本体10と、これより延設されて所要箇所に縛持自在とした縛用索11とからなり、このロック本体10は、既知の如くシリンダー外筒10aとシリンダー内筒10bそして、図示されていない内装のピンタンブラー10c等とからなるシリンダー錠10Aとを具有している。
【0018】ここで、上記の縛用索11は図1に明示の如く、ワイヤーロープなど、当然容易に切断されない素材により形成され、その基端部11aは、ロック本体10の前端部側に回動自在なるよう被嵌されたリング部11bから突設の回転連結部11cにあって、ロック本体10の軸線方向と直交状に穿設した連結用孔11dに嵌通固定されている。
【0019】そして、上記の固定手段として図示されているものは、基端部11aに被着した連結筒11eの下端に、抜け止め縁11fを形成し、当該連結筒11eを前記連結用孔11dに嵌合することにより、上記の抜け止め縁11fを、リング部11bに欠設した抜け止め切欠部11gに係嵌することにより構成されている。ここで図1の11h、11i、11jは、図7と同じく縛用索11における夫々索条、締結具そしてループ索条を示している。
【0020】次に、ロック本体10は前記のシリンダー外筒10aにあって、その前部に上記した回転連結部11cのリング部11bが被嵌され、これはシリンダー外筒10aの前端周縁10a′により、抜け止めの状態となっており、当該シリンダー外筒10aの後部には、軸線方向へ所定延出長Sだけ摺動自在なるよう整合用キャップ12が被嵌されている。そして図示例では、上記所定延出長Sを設定するため、整合用キャップ12に一対のスライド用長孔12a、12bを貫設すると共に、このスライド用長孔12a、12bに嵌挿したストッパー12c、12dがシリンダー外筒10aの外周壁に嵌入固定されている。ここで、図中14iは、先端係止部13bを挿通可能とするため、上記の周縁板部14cに貫設された嵌入口を示している。
【0021】さらに、引っ掛け軸体13と回り止め具14とは、前記図7のものとその構成が後説の如く相違しているが、引っ掛け軸体13が、シリンダー内筒10bの鍵穴10b′に図示しない鍵を挿入し、90°等の所定規制角度だけ回動自在であり、上記整合用キャップ12の後端壁軸孔12eから、引っ掛け軸体13の軸杆13aにおける先端側と、これに直交状にて連設された先端係止部13bとが、突設されていることは同じである。
【0022】また、上記の回り止め具14についても、上記の軸杆13aを挟んで整合用キャップ12の後端壁軸孔12eから、前記先端係止部13bの直前まで延出されている一対の回り止め腕14a、14bが、当該先端係止部13bの長さLと略同寸法の外法を有し、さらに、回り止め腕14a、14bに直交状で整合用キャップ12内に配設され、しかも、シリンダー外筒10aの後端壁面10dから突設した後部規制突部10eに係当することで、回動が阻止されることとなる周縁板部14cとによって形成されていることも同じである。
【0023】そして、上記の周縁板部14cと整合用キャップ12の後端壁内面12f間に介装されて、整合用キャップ12を前記した所定延出長Sだけ突出させているスプリング15の配設についても、前記のものと同一構成となっている。上記の如き構成に基づき、引っ掛け軸体13の先端係止部13bと、回り止め具14の回り止め腕14a、14bとを引き揃えの並装状態とし、図に明示の盗難防止物Bに穿設されている係止用錠孔Hに嵌装することで、整合用キャップ12の後端壁外面12gを盗難防止物Bに当接すると共に、係止用錠孔H内に一対の回り止め腕14a、14bを係嵌させることができる。そして、この際、先端係止部13bは係止用錠孔Hを通過させるようにし、ここで鍵操作を行うことにより、シリンダー内筒10bを前記の所定規制角度だけ回動することで、ロック時には回り止め腕14a、14bに対して、先端係止部13bを交差状態となし、この状態で鍵の引き抜きが不能となり、ロック解除時には鍵を鍵穴10b′に差し入れて回動することにより、係止用錠孔Hからロック本体10を引き外すことができる。
【0024】本発明にあって請求項1では、上記の如き盗難防止用施錠具に対し、以下の如き構成が付加されることになる。すなわち、上記の引っ掛け軸体13は、前掲先端係止部13bの設けられている軸杆13aにあって、その前端に、共転用係嵌部13cが連設され、これにより平面工字状に形成された単独部品となっており、この際シリンダー内筒10bの素材よりも強度の大きなステンレス鋼などを選定して、充分な強度を保有させることができる。
【0025】上記共転用係嵌部13cは、図1、図2そして図4により理解される通り、シリンダー内筒10bの後端部に設けられたT字状の被係嵌部10fにあって、その一字状箇所に係嵌されることで、シリンダー内筒10bの回動により引っ掛け軸体13が共転するようになっている。ここで当該係嵌状態では、被係嵌部10fと共転用係嵌部13cとが夫々雌雄関係となっているが、これとは逆に相互が雄雌の関係であってもよい。
【0026】さらに当該請求項1では、シリンダー外筒10aの後端壁面10dに押当するように、共転用係嵌部13cに形成された係嵌段縁13dと、図4に明示のシリンダー内筒10bにおける段周縁10gとに被嵌された角度規制カム16が設けられており、図示例では図5R>5に明示の如く軸孔16aに突設した係止突片16bが、上記したT字状の被係嵌部10fにおける一字状箇所に係嵌されて、これまたシリンダー内筒10bの回動と共転し得るよう構成されている。そして、この角度規制カム16における外周には、二箇所にカム係止端16c、16dが形成されており、これらがシリンダー外筒10aの後部規制突部10eに係当することで、鍵操作によるシリンダー内筒10bが、90°等所定規制角度だけ回動自在となっている。
【0027】上記角度規制カム16が、後方側へ離脱するのを阻止するため図示例ではC字状(図2)の内筒抜け止め17が、当該角度規制カム16の後端側面に当接した状態にて、シリンダー内筒10bの後端部にあって、その係嵌周溝10hに係嵌されている。
【0028】請求項1の上記盗難防止用施錠具によるときは、上記のように構成されているところから、前記図7R>7のものと同様にして使用できるのはもちろん、シリンダー内筒10bとは別素材である強度大なる引っ掛け軸体13を採択することができ、この結果、ロック状態にあるロック本体10を乱暴に扱っても、軸杆13aが折損して、コンピュータ等を窃取されてしまうことなく、引っ掛け軸体13の先端係止部13bに外力が加えられても、それが角度規制カムや内筒抜け止めを介して間接的にシリンダー内筒10bへ伝達されることから、ピンタンブラ1cやこれを押圧している発条の挙動が不円滑となり、鍵操作自体が行いにくくなることもない。
【0029】次に請求項2によるときは、上記請求項1の構成に加えて、回り止め具14の回り止め腕14a、14bに連設された周縁板部14cにあって、その外周端からスペース周縁部14dが前端側へ向けて曲突され、その前端周縁14eが、図1に示す通りシリンダー外筒10aの後端壁面10dに押当するようになっている。そして、もちろんこの回り止め具14は、回動が阻止された状態に保持されなければならない。このため図示例では、当該回り止め具14が、図2、図1によって理解されるように、スペース周縁部14dの欠落した箇所にあって、周縁板部14cにおける凸弧状に形成された嵌合端縁14fを、シリンダー外筒10aの後部規制突部10e内に嵌合するよう形成されていると共に、スペース周縁部14dの一対である周端縁部14g、14hが、上記の後部規制突部10eの一対である図2に示された端縁10e′に、係当するよう構成されている。
【0030】そして、請求項2によるときは、上記の回り止め具14における周縁板部14cと、シリンダー内筒10bの後端部とが当接せず、従って、内筒抜け止め17とも当接しないように、前記したスペース周縁部14dのの幅長が設定されているのであり、この結果、前記の如く鍵操作によってシリンダー内筒10bを回動させた際、当該回動が上記の周縁板部14cとの摺動による抵抗力によって邪魔されることなく、円滑な鍵操作を保証することができる。
【0031】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているから、請求項1によるときは、引っ掛け軸体を別部材で構成し、これをシリンダー内筒の後端部に、角度規制カムと内筒抜け止めとにより適切に連結したので、引っ掛け軸体を強度の大なる素材で形成することにより、大径なシリンダー錠を使用しなくとも、充分な強度をもたせることができ、この種の錠具を小形化しても、高い信頼性を保有させることができると共に、外力を受けても、シリンダー内筒に対し直接的な力が作用しないことから、シリンダー錠のピンタンブラーに無理な力がかからず、常に円滑な鍵操作を保つことができる。
【0032】請求項2によるときは、上記請求項1の効果に加えて、回り止め具に対してシリンダー内筒等が接触しないため、シリンダー錠による錠操作を常に円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る盗難防止用施錠具の使用状態における一部切欠の略示側面図である。
【図2】図1に示した盗難防止用施錠具のロック本体を解体して示した各部品の分解斜視図である。
【図3】前同記ロック本体のシリンダー外筒を示し、(A)はその前面図、(B)は側面図(C)は後面図である。
【図4】前同ロック本体のシリンダー内筒を示し、(A)はその前面図、(B)は側面図(C)は後面図である。
【図5】前同ロック本体の角度規制カムを示した後面図である。
【図6】前同ロック本体の回り止め具を示し、(A)はその前面図、(B)は一部切欠の側面図(C)は後面図である。
【図7】従来の盗難防止用施錠具を改善した提案例の使用状態における一部切欠の略示側面図である。
【符号の説明】
10 ロック本体
10A シリンダー錠
10a シリンダー外筒
10b シリンダー内筒
10c ピンダンブラー
10d 後端壁面
10e 後部規制突部
10f 被係嵌部
11 縛用索
12 整合用キャップ
12e 後端壁軸孔
12f 後端癖内面
12g 後端壁外面
13 引っ掛け軸体
13a 軸杆
13b 先端係止部
13c 共転用係嵌部
14 回り止め具
14a 回り止め腕
14b 回り止め腕
14c 周縁板部
14d スペース周縁部
14e 前端周縁
15 スプリング
16 角度規制カム
17 内筒抜け止め
B 盗難防止物
H 係止用鍵孔
L 先端係止部の長さ
S 所定延出長

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロック本体と、これより延設されて所要箇所に縛持自在とした縛用索とからなり、ロック本体はシリンダー外筒とシリンダー内筒そして内装のピンタンブラーとからなるシリンダー錠と、シリンダー外筒の後部に被嵌され軸線方向へ所定延出長だけ摺動自在である整合用キャップと、シリンダー内筒の鍵操作により所定規制角度だけ回動自在にして、上記整合用キャップの後端壁軸孔から軸杆の先端側と、これに直交状にて連設の先端係止部とが突出された引っ掛け軸体と、当該引っ掛け軸体の上記軸杆を挟んで前記整合用キャップの後端壁軸孔から、上記先端係止部の直前まで延出されている一対の回り止め腕が、当該先端係止部の長さと略同寸法の外法を有し、当該回り止め腕に直交状で整合用キャップ内に配設され、かつシリンダー外筒の後端壁面から突設の後部規制突部に係当して回動を阻止される周縁板部とにより形成された回り止め具と、上記周縁板部と整合用キャップの後端壁内面間に介装されて、整合用キャップを前掲所定延出長だけ突出させているスプリングとを具備し、上記引っ掛け軸体の先端係止部と回り止め具の回り止め腕とを並装状態として、盗難防止物に穿設された係止用錠孔に嵌装することで、整合用キャップの後端壁面に盗難防止物を当接すると共に、上記係止用錠孔内に一対の回り止め腕を係嵌し、かつ、先端係止部は係止用錠孔を通過させ、当該状態にて鍵操作によりシリンダー内筒を前記の所定規制角度だけ回動することで、回り止め腕に対して先端係止部を交差状態として施錠し、鍵操作によるシリンダー内筒の復動により、ロック本体を係止用鍵孔から引き外し可能とした盗難防止用の施錠具において、前記の引っ掛け軸は、先端係止部を設けた軸杆の前端に共転用係嵌部を連設した単独部品により形成され、当該共転用係嵌部が、シリンダー内筒の後端部に設けられた被係嵌部に係嵌されると共に、前記シリンダー外筒の後端壁面に押当して、上記共転用係嵌部に被嵌され、かつ上記の被係嵌部に係嵌されて、シリンダー内筒をシリンダー外筒の後部規制突部に係当して、前記の所定規制角度だけ回動自在とした角度規制カムと、この角度規制カムの後端側面に当接して、シリンダー内筒の後端部に係嵌した内筒抜け止めとが具備されていることを特徴とする盗難防止用施錠具。
【請求項2】 ロック本体と、これより延設されて所要箇所に縛持自在とした縛用索とからなり、ロック本体はシリンダー外筒とシリンダー内筒そして内装のピンタンブラーとからなるシリンダー錠と、シリンダー外筒の後部に被嵌され軸線方向へ所定延出長だけ摺動自在である整合用キャップと、シリンダー内筒の鍵操作により所定規制角度だけ回動自在であり、上記整合用キャップの後端壁軸孔から軸杆の先端側と、これに直交状にて連設の先端係止部とが突出された引っ掛け軸体と、当該引っ掛け軸体の上記軸杆を挟んで前記整合用キャップの後端壁軸孔から、上記先端係止部の直前まで延出されている一対の回り止め腕が、当該先端係止部の長さと略同寸法の外法を有し、当該回り止め腕に直交状で整合用キャップ内に配設され、かつシリンダー外筒の後端壁面から突設の後部規制突部に係当して回動を阻止される周縁板部とにより形成された回り止め具と、上記周縁板部と整合用キャップの後端壁内面間に介装されて、整合用キャップを前掲所定延出長だけ突出させているスプリングとを具備し、上記引っ掛け軸体の先端係止部と回り止め具の回り止め腕とを並装状態として、盗難防止物に穿設された係止用錠孔に嵌装することで、整合用キャップの後端壁面に盗難防止物を当接すると共に、上記係止用錠孔内に一対の回り止め腕を係嵌し、かつ、先端係止部は係止用錠孔を通過させ、当該状態にて鍵操作によりシリンダー内筒を前記の所定規制角度だけ回動することで、対し回り止め腕に対して先端係止部を交差状態として施錠し、鍵操作によるシリンダー内筒の復動により、ロック本体を係止用孔から引き外し可能とした盗難防止用の施錠具において、前記の引っ掛け軸は、先端係止部を設けた軸杆の前端に共転用係嵌部を連設した単独部品により形成され、当該共転用係嵌部が、シリンダー内筒の後端部に設けられた被係嵌部に係嵌されると共に、前記シリンダー外筒の後端壁面に押当して、上記共転用係嵌部に被嵌され、かつ上記の被係嵌部に係嵌されて、シリンダー内筒をシリンダー外筒の後部規制突部に係当して、前記の所定規制角度だけ回動自在とした角度規制カムと、この角度規制カムの後端側面に当接して、シリンダー内筒の後端部に係嵌した内筒抜け止めとを具備し、前期した回り止め具の回り止め腕に連設された周縁板部における外周端からは、前端周縁がシリンダー外筒の後端壁面に押当するスペース周縁部を曲突することにより、上記周縁板部とシリンダー内筒の後端部とが離間されるようにしたことを特徴とする盗難防止用施錠具。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開平10−131584
【公開日】平成10年(1998)5月19日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−303840
【出願日】平成8年(1996)10月30日
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【出願人】(000107572)スガツネ工業株式会社 (153)