説明

盗電防止用据置端子

【課題】盗電を効果的に防止することができ且つ所定の設置スペース内に容易に収めることができる据置端子を提供する。
【解決手段】計器と配電線とに接続される端子部を備える据置端子であって、前記据置端子の前記配電線側の端子部を含む前面が前記計器によって覆われるように、前記計器の背面に取り付けられる、据置端子が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力量計等の計器と配電線とに接続される端子部を備える据置端子に関し、特に、配電線側の端子部を含む据置端子の前面が計器によって覆われるように、計器の背面に取り付けられる据置端子に関する。
【背景技術】
【0002】
配電線と電力量計との接続には、据置端子が用いられる場合がある。これは、配電線を計器に直接接続せずに、据置端子に接続し、据置端子の計器接続部における棒端子を計器に差し込み接続する方法である。据置端子を使用すると、電線を据置端子に固定したまま、棒端子を計器から着脱させることができるので、異極の電線どうしを接触させる等の虞なく計器交換作業をすることができる。一方、据置端子と配電線との接続には、従来から、ねじを用いた締め付けによる接続方法が多く用いられている。
【0003】
このような据置端子は、一般に、計器本体の下面に取り付けられ、計器と共に、建造物の壁面等に設置される。据置端子は、通常箱形である本体の側面等に配電線を挿入するための電線挿入口を備えている。電線挿入口に挿入された配電線は、据置端子本体の導通部分(端子部)内に配置される。据置端子本体の前面には、配電線を据置端子の端子部に固定するための固定ねじを受け入れるねじ穴が設けられており、ねじ穴を通して固定ねじを締め付けることにより、配電線が据置端子に接続される。配電線接続後の据置端子には、端子カバーが取り付けられる。端子カバーは、盗電防止を目的として、封印ねじにより封印される。封印された端子カバーを開けると痕跡が残るため、盗電行為を抑制できるが、これによって盗電を完全に防止することは困難である。また、端子カバーを開けると、据置端子前面の電源側端子部が露出されるため、盗電される可能性がある。
【0004】
特開平7−198753号は、電線と電力量計の計器部との間を接続する端子金具が組み込まれて計器部側の受け具に着脱可能に装着される、独立構造部品としての端子ブロックを開示している。この端子ブロックでは、無停電での計器交換を容易に行なうために、電線に接続される端子金具が、同極の電源側電線と負荷側電線が前後に二段重ねに配置されるように位置決めされている。電源側端子金具と負荷側端子金具の間を短絡ボルトで接続することにより短絡が行われ、この間に計器交換が行なわれる。しかし、同極の電源側電線と負荷側電線とを二段重ねに配置するために、端子ブロックにおける電線側の端子金具は、電源側と負荷側が縦方向にずれた位置に整列させられている。このため、端子ブロックの縦方向寸法が大きい。しかし、据置端子を含めた電力量計の取付けに使用できる壁面の面積は、通常、限られているため、据置端子の寸法はできるだけ小さいことが望ましい。特に隠蔽配線の場合には、その必要性がある。
【0005】
特開2006−170787号は、電源側配電線が接続される一次側端子と負荷側配電線が接続される二次側端子が一体化された端子ブロックを備えており、端子ブロックがユニット接合部を介して複数のユニット区画に接続される、ユニット型電力量計を記載している。複数のユニット区画は、開閉器ユニットを含み、開閉器ユニットにより送電の停止停解が行なわれる。しかし、開閉器の設置や複雑な開閉機構は高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−198753号
【特許文献2】特開2006−170787号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、盗電を効果的に防止することができる据置端子を提供することにある。また、本発明の目的は、所定の設置スペース内に容易に収めることができ、且つ、無停電での計器交換作業を容易に行なうことができる据置端子を提供することにある。さらに、本発明の目的は、送電の停止停解作業を、従来より簡単な構造を用いて安価な手段で行なうことができる据置端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明によれば、計器と配電線とに接続される端子部を備える据置端子であって、前記据置端子の前記配電線側の端子部を含む前面が前記計器によって覆われるように、前記計器の背面に取り付けられる、据置端子が提供される。この構成によれば、据置端子前面の配電線側端子部が計器によって覆われるため、従来の端子カバーの封印による対策と比べて盗電行為を効果的に防止することができる。また、据置端子の前面に計器が重ねられた状態で設置されるので、計器の下面側に取り付けられる従来の据置端子と比較して、壁面等への、据置端子を含めた計器全体の設置面積を著しく小さくすることができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の据置端子において、前記据置端子は、電源側配電線と負荷側配電線とを短絡させるためのバイパス用電源側端子及びバイパス用負荷側端子を備えており、前記バイパス用電源側端子及び前記バイパス用負荷側端子は、前記バイパス用電源側端子が前記バイパス用負荷側端子より前記据置端子に対して内側に配置されるように、所定の間隔をおいて互いに重なり合うように配置される。この構成により、据置端子の外部にはバイパス用負荷側端子のみが露出され、バイパス用電源側端子は外部に露出されないようにすることができるので、盗電を効果的に防止することができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、請求項2に記載の据置端子において、前記バイパス用電源側端子及び前記バイパス用負荷側端子は、それぞれ、導電性ねじを受け入れるためのねじ挿入穴を備えており、前記ねじ挿入穴は、盗電防止用の非導電性ねじを受け入れることができる。この構成によれば、計量時は盗電防止用の非導電性ねじをねじ挿入穴に挿入しておくことにより、盗電行為や、バイパス用端子への塵埃の侵入等を効果的に防止することができる。
【0011】
請求項4の発明によれば、請求項3に記載の据置端子において、前記非導電性ねじは、専用の工具とのみ係合する外形を有している。これにより、盗電を効果的に防止することができる。
【0012】
請求項5の発明によれば、請求項1に記載の据置端子において、前記据置端子の前記計器側の端子部における電源側端子が凹形状を有し、前記計器の電源側端子が凸形状を有する。この構成により、充電部が露出しないため、作業者が充電部に直接触れるおそれなく作業をすることができる。
【0013】
請求項6の発明によれば、請求項5に記載の据置端子において、前記据置端子の前記計器側の端子部における負荷側端子が凸形状を有し、前記計器の負荷側端子が凹形状を有する。この構成により、据置端子の計器側端子部において、負荷側端子は電源側端子に対して凹凸が逆になるため、計器と据置端子を接続する際の電源側と負荷側の誤接続を効果的に防止することができる。
【0014】
請求項7の発明によれば、請求項1に記載の据置端子において、前記据置端子の前記配電線側の端子部における、前記配電線のうち中性線に接続される電源側端子及び負荷側端子が、前記据置端子の内部で短絡されている。これにより、送電の停止停解作業時に、線間の電圧のバランスが崩れて、負荷側機器が過電圧によって破損することが防止される。また、据置端子の計器側端子部に、中性線に接続される負荷側端子を設ける必要がない。
【0015】
請求項8の発明によれば、請求項7に記載の据置端子において、前記据置端子の前記計器側の端子部は、前記中性線に接続される負荷側端子を有しない。これにより、例えば、据置端子の計器側における電源側端子を3端子、負荷側端子を2端子等にすることができ、据置端子に計器を接続する際の電源側と負荷側の誤接続を効果的に防止することができる。
【0016】
請求項9の発明によれば、請求項6に記載の据置端子において、前記据置端子の前記計器側の端子部は、さらに、電源側送電停止端子穴を備えており、前記計器は負荷側送電停止端子穴を備えており、送電を停止させる際、前記電源側送電停止端子穴は前記計器の前記電源側端子を受け入れ、前記負荷側送電停止端子穴は、前記据置端子の前記計器側の端子部における前記負荷側端子を受け入れる。この構成により、計器を据置端子から外し、計器の電源側端子を、凹形状電源側端子とは別の端子穴に挿入するだけで送電の停止停解作業ができる。従って、従来の開閉器を使用する方法に比べて安価な手段で停止停解作業を行なうことができる。
【0017】
請求項10の発明によれば、請求項9に記載の据置端子において、前記電源側送電停止端子穴に電圧が印加されている。この構成により、送電の停止中においても計器に電源を供給することができるため、特に計器が電子式である場合、計器の時計機能や表示機能等を維持しておくことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、盗電を効果的に防止することができる据置端子を提供することができる。また、本発明によれば、所定の設置スペース内に容易に収めることができ、且つ、無停電での計器交換作業を容易に行なうことができる据置端子を提供することができる。さらに、本発明によれば、送電の停止停解作業を、従来より簡単な構造を用いて安価な手段で行なうことができる据置端子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による据置端子と、これに接続される計器の斜視図である。
【図2】(A)は、図1に示す据置端子の正面図であり、(B)は、側面図である。
【図3】(A)は、図1に示す計器の背面図であり、(B)は、側面図である。
【図4】据置端子の内部配線を説明する図である。
【図5】計器の内部配線を説明する図である。
【図6】据置端子に設けられたバイパス用端子部の構成を説明するための図である。(A)は、バイパス用端子部を示す、据置端子の部分拡大正面図であり、(B)は、(A)のI−I線に沿って見た据置端子の部分拡大断面図である。
【図7】据置端子が接続された計器の計量時の状態の例を示す図である。(A)は正面図であり、(B)は側面図である。
【図8】据置端子が接続された計器の送電停止時の状態の例を示す図である。(A)は正面図であり、(B)は側面図である。
【図9】本発明を適用することができる配電線の配列方法の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0021】
図1乃至図8を参照して、本発明の一実施形態による据置端子1を説明する。図1は、本発明の一実施形態による据置端子1と、これに接続される電力量計等の計器2の斜視図である。図2(A)は、図1に示す据置端子1の正面図であり、図2(B)は、側面図である。図3(A)は、図1に示す計器2の背面図であり、図3(B)は、側面図である。尚、本明細書中、「上」「下」「左」「右」「前」「後」「正面」「背面」等の方向を示す用語は、計器2に取り付けられた据置端子1が、取り付け板(図示せず)等を介して建造物の壁面等に設置された状態について用いられる。
【0022】
図1に示されるように、据置端子1は、実質的に矩形状の箱形の本体3を備えており、左右の側面3a、3bには、電源側及び負荷側配電線を挿入するための電線挿入口4が開口している。尚、本実施形態は、単相3線式(1S、2S、3S、1L、2L、3L)の配電線に適用され、計器2は、電子式電力量計である。電線挿入口4から挿入される配電線(図示せず)は、本体3の内部に形成される導通部(配電線側端子部)5内に配置され、固定ねじ6を締め付けることによって配電線側端子部5に固定される。配電線側端子部5には、固定ねじ6を挿入するためのねじ穴(符号省略)が形成されており、本体3の前面3cの、ねじ穴に対応する位置には、窓部7が形成され、窓部7の内側には、ねじ穴及びその周囲の配電線側端子部5が据置端子1の外部に露出される空間が形成されている。固定ねじ6は、窓部7を通してドライバー等でねじ穴に締め付けられる。8、10は、据置端子1における、計器側端子部であり、計器2に接続される。8は、計器2の電源側端子9に接続される据置端子1の電源側端子であり、配電線側端子部5の電源側端子5aと接続している。10は、計器2の負荷側端子11に接続される据置端子1の負荷側端子であり、配電線側端子部5の負荷側端子5bと接続している。12、13は、それぞれ、据置端子1に設けられた電源側送電停止端子穴、計器2に設けられた負荷側送電停止端子穴である。電源側送電停止端子穴12は、電源側端子8を介して、配電線側端子部5の電源側端子5aと接続している。電源側送電停止端子穴12、負荷側送電停止端子穴13は、送電停止時に用いられる端子穴である。20、21は、設置後の計器2の状態を示すための状態表示部である。尚、後述するように、本実施形態では、中性線(2S、2L)に接続される負荷側端子5bと電源側端子5aが据置端子1の本体3の内部で短絡されている。このため、中性線(2S、2L)に対応する据置端子1の負荷側端子10及び計器2の負荷側端子11、負荷側送電停止端子穴13は設けられていない。
【0023】
図1に示されるように、据置端子1に接続される計器2の電源側及び負荷側端子9、11及び負荷側送電停止端子穴13は、計器2の背面14に形成されている。一方、計器2に接続される据置端子1の電源側及び負荷側端子8、10及び電源側送電停止端子穴12は、据置端子1の前面3cに形成されている。このように、据置端子1と計器2は、据置端子1の前面3cと計器2の背面14とが対向して、少なくとも部分的に重なり合うように互いに対して取り付けられる。据置端子1の前面3cの、計器2と重なり合う部分には、据置端子1と計器2の間を接続する端子(8、10、12)の他に、少なくとも、各窓部7の内側に位置する固定ねじ6及びその周囲の配電線側端子部5(電源側端子5a及び負荷側端子5b)が含まれる。換言すれば、据置端子1の前面3cに開口する窓部7が、計器2の背面14によって、外部からの視認及びアクセス不能に覆い隠される。従って、据置端子1から計器2を外さなければ、据置端子1の端子部にアクセスすることができないので、従来の端子カバーを封印することによる盗電防止対策と比較して、より確実に盗電行為を防止することができる。さらに、従来のような計器の下面に据置端子を取り付ける構造では、建造物の壁面等に対する設置面積は、計器の設置面積と据置端子の設置面積のそれぞれが必要であったが、本発明では、据置端子が計器の背面に取り付けられた状態で壁面に設置されるので、壁面には据置端子の設置面積のみが必要となり、据置端子を含めた計器全体の設置面積を著しく小さくすることができる。小さい設置面積は、特に隠蔽配線の場合に、望ましい。即ち、各建造物の壁面における電力量計等の計器の取付け位置は、建造物ごとに予め決められているが、これに加えて、隠蔽配線の場合には、配電線を壁面に形成された既設の穴に通す必要がある。この場合、特に、据置端子の縦方向寸法が大きいと、既設穴の位置が据置端子の電線挿入口に近すぎたり、据置端子が既設穴を覆うことがあり、既設穴から延びる太い配電線を無理に曲げて配置しなければならない等、計器交換時の作業が煩雑になる。
【0024】
また、本実施形態では、据置端子1の計器側端子部における電源側端子8が、凹形状(換言すれば、端子穴)を形成しており、計器2の電源側端子9が凸形状(換言すれば、棒端子)を形成している。これにより、充電部が露出しないため、作業者が充電部に直接触れるおそれなく作業をすることができる。
【0025】
さらに、本実施形態では、据置端子1の負荷側端子10が凸形状(換言すれば、棒端子)を形成し、計器2の負荷側端子11が凹形状(換言すれば、端子穴)を形成している。従って、据置端子1における電源側端子8と負荷側端子10の形状は、凹凸が逆になり、形状が異なっている。従って、据置端子1と計器2を接続する際に電源側と負荷側を誤って接続することを効果的に防止することができる。
【0026】
上記したように、電源側送電停止端子穴12、負荷側送電停止端子穴13は、送電停止時に使用される。送電を停止させる際、計器2の電源側端子9が据置端子1の電源側送電停止端子穴12に受け入れられ、据置端子1の負荷側端子10が計器2の負荷側送電停止端子穴13に受け入れられる。計器2の負荷側送電停止端子穴13は絶縁されており、従って、負荷側送電停止端子穴13に据置端子1の負荷側端子10が挿入されると送電は停止される。尚、据置端子1の電源側送電停止端子穴12には電圧が印加されており、送電停止中にも計器2に電源が供給されるようになされている。電源側端子8と電源側送電停止端子穴12は、上下方向に一列に交互に並ぶように整列され、負荷側端子11と負荷側送電停止端子穴13もまた、上下方向に一列に交互に並ぶように整列されている。このように配置することにより、送電停止時は、計器2を据置端子1から外し、計器2の電源側端子9が、据置端子1における計量用の電源側端子(端子穴)8とは別の端子穴12に挿入されるように、計器2を据置端子1の前面3c上で下方寄りに配置するだけで送電の停止作業ができる(このとき、据置端子1の棒端子10が計器2の負荷側送電停止端子穴13に挿入されるように位置決めされている)。停解時は、再度、計器2を据置端子1から外し、計器2の電源側端子9が電源側端子(端子穴)8に挿入されるように、計器2を据置端子1の前面3c上で上方寄りに配置する(このとき、据置端子1の棒端子10が計器2の負荷側端子11に挿入される)。従って、従来の開閉器を使用する方法に比べて安価な手段で送電の停止停解作業を行なうことができる。尚、電源側端子8と同様に、凹状の電源側送電停止端子穴12を設けることは、充電部が露出されず、作業者が充電部に直接触れるおそれなく作業をすることができる点で有利である。
【0027】
図4に、据置端子1の内部配線を示し、図5に、計器2の内部配線を示す。尚、理解の容易のため、図4、図5中、内部配線は太線で示されている。尚、上記したように、本実施形態は単相3線式(1S、2S、3S、1L、2L、3L)に適用されている。
【0028】
図4に示すように、2側の配電線側端子部5、即ち中性線2S、2Lに接続される電源側端子5aと負荷側端子5bは、据置端子1の本体3の内部で、短絡されている。従って、図示されるように、据置端子1に2側(2Sと2L)の負荷側端子10を、計器2に2側の負荷側端子11及び負荷側送電停止端子穴13を設ける必要がない。従って、図示されるように、本実施形態では、据置端子1の計器側端子部では、電源側端子8を3端子(1S、2S、3S)、負荷側端子10を2端子(1L、3L)としている。このように据置端子1の計器側端子部における電源側端子8と負荷側端子10の数が異なることにより、計器2を据置端子1に接続する際の電源側と負荷側の誤接続を効果的に防止することができる。さらに、常に中性線(2Sと2L)が接続された状態で送電停止停解作業を行なうことができるため、作業中に線間の電圧のバランスが崩れて、負荷側の機器が過電圧によって破損することを防止することができる。
【0029】
上記したように、電源側送電停止端子穴12には電圧が印加されている。これにより、電子式である計器2の時計機能・表示機能等の動作を妨げることがない。また、無停電での計器交換時は、後述するように、1側(1Sと1L)と3側(3Sと3L)のそれぞれにおいて、同極の電源側端子5aと負荷側端子5bは、バイパス用電源側端子15、バイパス用負荷側端子16によって短絡させることができる。
【0030】
図5に示す計器2の内部配線では、上記したように、電源側端子9と負荷側端子11が接続されており、負荷側送電停止端子穴13は絶縁されている。また、2側の電源側端子9は、計器2の動作のための内部回路22(細部は省略)に導入されている。
【0031】
上記したように、本実施形態の据置端子1は、配電線側端子部5の電源側端子5aと負荷側端子5bとを短絡させるためのバイパス用電源側端子15及びバイパス用負荷側端子16を備えるバイパス用端子部を備えている。本実施形態では、バイパス用電源側端子15、バイパス用負荷側端子16を含むバイパス用端子部は、1側(1Sと1L)、3側(3Sと3L)の短絡用に、本体3の上下に1箇所ずつ設けられている。図6(A)、(B)は、バイパス用端子部における、バイパス用電源側端子15及びバイパス用負荷側端子16の配置を説明するための図である。図6(A)は、バイパス用端子部を示す、据置端子1の部分拡大正面図である。図6(B)は、図6(A)のI−I線に沿って見た据置端子1の部分拡大断面図であり、据置端子1の本体3の内部における導通部と非導通部とを互いに異なるハッチングで示している。尚、図6(A)、(B)では、1側のバイパス用電源側端子15及びバイパス用負荷側端子16についてのみ示しているが、3側でも同じ構造を採っている。図6(A)、(B)に示されるように、バイパス用電源側端子15及びバイパス用負荷側端子16は、バイパス用電源側端子15がバイパス用負荷側端子16より据置端子1の本体3に対して内側に(換言すれば、本体3の背面側に)配置されるように、所定の間隔をおいて前後方向に互いに重なり合うように配置される。
【0032】
バイパス用電源側端子15及びバイパス用負荷側端子16は、それぞれ、ねじ挿入穴19を備えており、バイパス用電源側端子15とバイパス用負荷側端子16のねじ挿入穴19は前後方向に互いに整合した位置に配置されて、短絡用の導電性ねじ(図示せず)を受け入れることができる。据置端子1の本体3の前面3cには、据置端子1の外部からねじ挿入穴19に導電性ねじ等を挿入できるように、窓部18が形成される。窓部18は、据置端子1の本体3の前面3c上の、計器2に覆われない位置に配置される。導電性ねじは、例えば、黄銅、真鍮等の導電性材料で形成され、無停電での計器交換作業時に、バイパス用電源側端子15とバイパス用負荷側端子16を短絡させるために用いられる。計器の交換を行なう工事業者が所持し、無停電での計器交換作業時に使用する。尚、例えば非導電性のゴム製等のキャップを導電性ねじの頭部に取り付けることにより、導電性ねじの頭部のみを絶縁して作業者の感電等を効果的に防止することができる。本実施形態では、ねじ挿入穴19は、盗電防止用の非導電性ねじ17を受け入れることができる。非導電性ねじ17は、プラスチック等の樹脂で形成することができる。常時(計量時)、盗電防止用の非導電性ねじ17をねじ挿入穴19に挿入しておくことにより、盗電行為が防止できる他、ねじ挿入穴19を通してバイパス用端子15、16に塵埃が侵入すること等を効果的に防止することができる。
【0033】
本実施形態では、図6(A)に示すように、非導電性ねじ17の頭部は、専用の工具とのみ係合する特殊な外形を有している。これにより、盗電やいたずら等を効果的に防止することができる。このような非導電性ねじ17の頭部の形状としては、例えば、星型やハート型などの専用のドライバービットでなければ回せない構造、またはタイヤのロックナットと専用アダプタのように、専用アダプタを使用しなければ回せない構造などが挙げられる。
【0034】
また、樹脂製の盗電防止用ねじ17は、専用の工具を使用せずに強引に回そうとすると、ねじ頭部が変形または破損するので、盗電やいたずら行為の痕跡が残り、盗電行為等の防止に効果的である。尚、前面3cに形成される窓部18は、外側の(換言すれば、据置端子1の前面3c側に位置する)バイパス用負荷側端子16のみを外部に露出させ、内側のバイパス用電源側端子15に接触することができるような間隙をバイパス用負荷側端子16と窓部18の間に形成しないような位置及び大きさに形成されている。この状態で非導電性ねじ17をねじ挿入穴19に締め付けると、据置端子1の外部にはバイパス用負荷側端子16のみが露出され、バイパス用電源側端子15は外部に露出されることがないので、盗電行為を確実に防止することができる。
【0035】
図7、図8は、それぞれ、据置端子1が接続された計器2の状態の例を示す図である。図7、図8のそれぞれにおいて、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。尚、据置端子1に接続される配電線は図示を省略している。図7(A)、(B)に示す計量時では、図1の位置に形成された電源側端子8と電源側端子9、負荷側端子10と負荷側端子11が接続されており、計器2は据置端子1に対して上方に寄った位置に取り付けられる。この状態では、据置端子1の上方にある状態表示部20が計器2によって覆われ、状態表示部21が外部から視認できるように露出される。図8(A)、(B)に示す送電停止時には、図1の位置に形成された電源側送電停止端子穴12と電源側端子9、負荷側送電停止端子穴13と負荷側端子10が接続されており、計器2は据置端子1に対して下方に寄った位置に取り付けられる。従って、この状態では、据置端子1の下方にある状態表示部21が計器2によって覆われ、状態表示部20が外部から視認できるように露出される。従って、図7、図8に示す例の場合、状態表示部21が外部に表示されているときは計器2が計量状態にあり、状態表示部20が外部に表示されているときは計器2が送電停止状態であることが容易に視認でき、送電の停止停解作業を確実に行なうことができる。さらに、例えば、状態表示部20と状態表示部21を異なる色(例えば状態表示部21を青色、状態表示部20を黄色)に色づけすることにより、計器2の状態をより分かり易く表示できる。尚、本実施形態では、状態表示部20及び状態表示部21は、据置端子1の本体3の前面3cに形成される溝の形態を備えているが、必ずしも溝である必要はない。上記したように互いに異なる色、または模様を付加する、若しくは互いに異なる形状に形成する等、計器2の計量状態と送電停止状態が分かり易く表示されるようにされていればよい。23は計器2の表示パネルである。
【0036】
尚、状態表示部20及び状態表示部21が、それぞれ、計器2の計量状態を示すか送電停止状態を示すかは、電源側端子8と電源側送電停止端子穴12、負荷側端子11と負荷側送電停止端子穴13の配列順序によって変わり得る。例えば、据置端子1における電源側端子8と電源側送電停止端子穴12の配列順序及び計器2における負荷側端子11と負荷側送電停止端子穴13の配列順序を、それぞれ、図1に示すものと上下方向に反転させた場合は、上部の状態表示部20が計量状態を示し、下部の状態表示部21が送電停止状態を示すこととなる。
【0037】
尚、本発明は、上記実施形態とは異なる配電線の配列を有する据置端子にも適用できる。図9は、本発明の据置端子1に用いられる配電線の配列方法の他の例を示す図である。上記実施形態では、電源側配電線1S、2S、3Sと負荷側配電線1L、2L、3Lが、それぞれ、据置端子1の左右側面3a、3bに形成される電線挿入口4を通して接続されている。図9(A)は、据置端子1の上下面3d、3eに電線挿入口4が形成される例であり、図9(B)は据置端子1の下面3eに電線挿入口4が横一列に並んで形成される例である。図9(A)、(B)に示す変形例にも、本発明が適用できる。即ち、変形例においても、各電線挿入口4に対応して形成される配電線側端子部5を含む、据置端子1の前面3cが計器2によって覆われるように、据置端子1を計器2の背面14に取り付けることができる。また、本発明は、単相3線式だけでなく、単相2線式、三相3線式、三相4線式等の場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、電力量計等の計器の端子部に適用され、計器の交換時における無停電工法と送電の停止停解工法に関連する機器等に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 据置端子
2 計器
3 本体
3a、3b 側面
3c 前面
3d 上面
3e 下面
4 電線挿入口
5 配電線側端子部
5a 電源側端子
5b 負荷側端子
6 固定ねじ
7 窓部
8 電源側端子(計器側端子部)
9 電源側端子
10 負荷側端子(計器側端子部)
11 負荷側端子
12 電源側送電停止端子穴(計器側端子部)
13 負荷側送電停止端子穴
14 背面
15 バイパス用電源側端子(バイパス用端子部)
16 バイパス用負荷側端子(バイパス用端子部)
17 非導電性ねじ
18 窓部
19 ねじ挿入穴
20、21 状態表示部
22 内部回路
23 表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計器と配電線とに接続される端子部を備える据置端子であって、前記据置端子の前記配電線側の端子部を含む前面が前記計器によって覆われるように、前記計器の背面に取り付けられる、据置端子。
【請求項2】
前記据置端子は、電源側配電線と負荷側配電線とを短絡させるためのバイパス用電源側端子及びバイパス用負荷側端子を備えており、前記バイパス用電源側端子及び前記バイパス用負荷側端子は、前記バイパス用電源側端子が前記バイパス用負荷側端子より前記据置端子に対して内側に配置されるように、所定の間隔をおいて互いに重なり合うように配置される、請求項1に記載の据置端子。
【請求項3】
前記バイパス用電源側端子及び前記バイパス用負荷側端子は、それぞれ、導電性ねじを受け入れるためのねじ挿入穴を備えており、前記ねじ挿入穴は、盗電防止用の非導電性ねじを受け入れることができる、請求項2に記載の据置端子。
【請求項4】
前記非導電性ねじは、専用の工具とのみ係合する外形を有している、請求項3に記載の据置端子。
【請求項5】
前記据置端子の前記計器側の端子部における電源側端子が凹形状を有し、前記計器の電源側端子が凸形状を有する、請求項1に記載の据置端子。
【請求項6】
前記据置端子の前記計器側の端子部における負荷側端子が凸形状を有し、前記計器の負荷側端子が凹形状を有する、請求項5に記載の据置端子。
【請求項7】
前記据置端子の前記配電線側の端子部における、前記配電線のうち中性線に接続される電源側端子及び負荷側端子が、前記据置端子の内部で短絡されている、請求項1に記載の据置端子。
【請求項8】
前記据置端子の前記計器側の端子部は、前記中性線に接続される負荷側端子を有しない、請求項7に記載の据置端子。
【請求項9】
前記据置端子の前記計器側の端子部は、さらに、電源側送電停止端子穴を備えており、前記計器は負荷側送電停止端子穴を備えており、送電を停止させる際、前記電源側送電停止端子穴は前記計器の前記電源側端子を受け入れ、前記負荷側送電停止端子穴は、前記据置端子の前記計器側の端子部における前記負荷側端子を受け入れる、請求項6に記載の据置端子。
【請求項10】
前記電源側送電停止端子穴に電圧が印加されている、請求項9に記載の据置端子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−58993(P2011−58993A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210204(P2009−210204)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000205661)大崎電気工業株式会社 (61)