説明

監視システム

【課題】自動的に重要な映像が適切に残るよう管理が行われる。
【解決手段】監視カメラ11により撮像して得られた映像情報を蓄積する記憶サーバ3−1〜3−mと、前記監視カメラ11に対する要求或いは映像情報に対する要求に基づき重要度情報を作成し、作成された重要度情報に基づき前記記憶サーバ3−1〜3−mにおける保存期間を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、監視カメラにより撮像して得られた映像情報を蓄積する蓄積手段を備えたシステムにおいて、必要な映像情報を適切に選択して蓄積することのできる監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から複数の監視カメラを使用して映像監視システムにおいては、監視映像を蓄積するシステムが構築されてきた。映像の蓄積装置を分散してカメラ毎に設置したり、中央に大容量の蓄積装置設置し、全ての映像をまとめて保存するなどの手法が用いられている。しかしながら、前者は設置条件の制約等などから蓄積時間に制約があることが多く、また、後者は常に全ての映像を伝送する必要があり、途中の伝送路の容量が非常に大きく必要であったり、中央の蓄積装置が大規模になり非常に高価であった。
【0003】
そのため、前者と後者を組み合わせてシステム構成し、長期的な保存をしたい場合のみ中央の蓄積装置に転送するといった構成も用いられているが、ユーザのオペレーションを必要とするため、管理に手間がかかり利用しにくいといった問題があった。
【0004】
特許文献1には、センサによりカメラの移動を監視し、移動が生じた場合にカメラのメモリに蓄積された映像情報等を転送するものが示されている。
【特許文献1】特開平11−136660号公報
【0005】
上記の特許文献1に記載の手法は、カメラ移動というトリガに基づき蓄積を移すものであるが、目的が盗難防止ということからも明らかな通り、必要な映像が適切に残るような管理を行うことはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の通り、人手を要することなく、必要な映像が適切に残るような管理が行われる監視システムの実現要請に基づいてなされたもので、その目的は、自動的に重要な映像が適切に残るよう管理が行われる監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る監視システムは、監視カメラにより撮像して得られた映像情報を蓄積する蓄積手段と、前記監視カメラに対する要求或いは映像情報に対する要求に基づき重要度情報を作成する重要度情報作成手段と、作成された重要度情報に基づき前記蓄積手段における保存期間を管理する保存管理手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る監視システムは、蓄積手段を複数備え、前記保存管理手段は、保存期間に応じて保存する蓄積手段を変更することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る監視システムでは、重要度情報作成手段は、監視カメラに対する旋回・ズーム要求、映像情報の配信要求、蓄積手段に蓄積された映像情報に対する再生要求、蓄積手段に蓄積された映像情報に対する別媒体へのコピー要求に応じて、重み付けを行い、重要度情報を作成することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る監視システムは、作成された重要度情報に基づき対応する映像情報に対するメタ情報を作成し、付加するメタ情報作成付加手段と、映像情報の提供の際に或いは映像情報の提供とは別に、提供を行うメタ情報提供手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る監視システムは、複数の蓄積手段に対し、重要度に基づき映像情報を平準化して蓄積することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る監視システムは、監視カメラに対する要求或いは映像情報に対する要求に基づき重要度情報を作成し、作成された重要度情報に基づき蓄積手段における保存期間を管理するようにしたので、監視カメラに対する要求或いは映像情報に対する要求をキーとして保存期間が管理され、必要な重要であろう映像情報を長く残すようにすることが可能である。本発明に係る監視システムは、蓄積手段を複数備え、保存期間に応じて保存する蓄積手段を変更するので、蓄積手段の容量や寿命や速度などの特性に応じて蓄積先を選択することを可能とする。本発明に係る監視システムでは、監視カメラに対する旋回・ズーム要求、映像情報の配信要求、蓄積手段に蓄積された映像情報に対する再生要求、蓄積手段に蓄積された映像情報に対する別媒体へのコピー要求に応じて、重み付けを行い、重要度情報を作成するので、これらの操作や要求が行われた映像情報を長く残すようにすることが可能である。本発明に係る監視システムは、作成された重要度情報に基づき対応する映像情報に対するメタ情報を作成付加し、映像情報の提供の際に或いは映像情報の提供とは別に、提供を行うので、重要度に応じてメタ情報が付されると共にメタ情報が付された映像情報が重要度が高いことが確保され、内容把握も容易となる効果を奏する。本発明に係る監視システムは、複数の蓄積手段に対し、重要度に基づき映像情報を平準化して蓄積するので、いずれかの蓄積手段に重要な映像情報が偏って蓄積され、アクセスの集中と読み出し遅延が起こる事態を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明に係る監視システムの実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明の実施例に係る監視システムの構成図を示す。この監視システムでは、1−1〜1−nに、監視位置1−1と同様の構成が備えられている。即ち、監視位置1−1には、監視カメラ11、ローカル処理部12、センサ13が備えられている。監視カメラ11は旋回(パン、チルト)及びズームの機構を備えるものとする。
【0014】
監視位置1−1〜1−nのローカル処理部12は、ネットワーク2に接続されている。ネットワーク2には、映像管理部20、記憶サーバ3−1〜3−m、監視室4が接続されている。監視室4は複数設けられるが、ここでは省略している。
【0015】
記憶サーバ3−1〜3−mは同様の構成であり、記憶サーバ3−1に代表して示されているように、長期映像記憶装置31と外部メディア書込部32が備えられている。長期映像記憶装置31は、蓄積映像を転送し長期保存したい場合に使用される。
【0016】
監視室4には、通信・制御部41と表示部42及び入力部43が設けられている。これらの構成は、パーソナルコンピュータにより構成することも可能である。
【0017】
図2に、ローカル処理部12の詳細構成例を示す。ローカル処理部12には、映像入力部15、短期映像蓄積部16、映像変換部17、映像伝送・通信部18及び制御部19が接続されて備えられている。
【0018】
映像入力部15は、監視カメラ11から映像信号を取り込む部分であり、また旋回やズームの制御信号を監視カメラ11へ送出する部分でもある。映像変換部17は映像信号をコンピュータ処理及びネットワーク2を伝送可能な映像情報へ変換するものである。映像変換部17により変換された映像信号は、短期映像蓄積部16に蓄積される。
【0019】
映像伝送・通信部18は、ネットワーク2へ映像情報などを伝送し、または制御情報などを受けて制御部19へ送出するものである。制御部19は、各部を制御し、特に到来した制御情報を映像入力部15を介して監視カメラ11へ送出し、旋回・ズームの制御を行う他、センサ13からの情報を映像情報に関連付けて短期映像蓄積部16に蓄積し、更には、要求に応じて短期映像蓄積部16の映像情報などをネットワーク2を介して転送するものである。
【0020】
図3には、映像管理部20の詳細構成が示されている。映像管理部20には、制御部21、通信部22、蓄積管理部23及び映像情報データベース24が備えられている。制御部21は各部を制御し、通信部22はネットワーク2との通信を行う。
【0021】
映像情報データベース24には、図4(A)、図4(B)、図9に示されるメモリテーブルが備えられている。図4(A)は度数テーブルであり、監視カメラ11に対する旋回・ズーム要求などの「カメラ制御」、映像情報の配信要求である「映像要求」、蓄積手段である記憶サーバ3−1〜3−mに蓄積された映像情報に対する「再生要求」、蓄積手段である記憶サーバ3−1〜3−mに蓄積された映像情報に対する別媒体へのコピー要求である「外部取出要求」毎に、例えば10秒当りの重みと、それが行われたカメラ番号(識別情報)とそのときの映像情報に関する時刻情報であるタイムススタンプが記憶されており、重要度情報の作成を行うためのテーブルである。
【0022】
図4(B)は映像情報管理テーブルであり、各カメラ毎に所定の時間間隔(ここでは10分)毎に、図4(A)のテーブルから求めた重みを加算した累計度数、前回との差分履歴(即ち、累計が行われたごとの各差分値が記憶されて、重要度情報を構成しているものである。図9は、各蓄積手段である記憶サーバ3−1〜3−mに蓄積されている映像情報の、保存時間累計情報が記憶されたテーブルである。
【0023】
蓄積管理部23は、重要度情報作成手段51、保存管理手段52、メタ情報作成付加手段53、メタ情報提供手段54を備えている。重要度情報作成手段51は、監視カメラ11に対する要求或いは映像情報に対する要求に基づき重要度情報を作成するものである。保存管理手段52は、作成された重要度情報に基づき蓄積手段である記憶サーバ3−1〜3−mにおける保存期間を管理するものである。保存管理手段52は、蓄積手段である記憶サーバ3−1〜3−mに対し、重要度に基づき映像情報を平準化して蓄積する。メタ情報作成付加手段53は、作成された重要度情報に基づき対応する映像情報に対するメタ情報を作成し、付加するものである。メタ情報提供手段54は、映像情報の提供の際に或いは映像情報の提供とは別に、提供を行うものである。ここでは、映像情報の提供とは別に、提供を行うものとする。
【0024】
以上の通りに構成された監視システムにおいて、蓄積管理部23は図5に示されるフローチャートの処理を行う。監視室4から到来する要求に対応して、所要の監視位置のローカル処理部へ制御情報を送り、監視カメラ11の旋回・ズーム制御を行い、短期映像蓄積部16に蓄積された映像情報配信し、或いは要求された記憶サーバへのアクセスを行って映像再生を行い、または外部メディア書込部32における書き込みを記憶サーバから受けるなどの処理を行う(S11)。
【0025】
また、蓄積管理部23は上記ステップS11の結果を受けて、図4(A)に示すテーブルへの更新書き込みを行う(S12)。例えば、映像再生要求があると、「映像再生」の空きエリアに、その映像情報を撮像した監視カメラの番号と再生要求された映像情報のタイムスタンプ(始めと終わり)を書き込む。
【0026】
上記ステップS12の次ぎに、蓄積管理部23は図4(B)の映像情報管理テーブルの更新と蓄積映像の管理を行う(S13:重要度情報作成手段51)。このステップS13は、所定時間毎に行われるもので、図4(A)の度数テーブルに書き込まれたタイムスタンプ(何秒間)と重みを掛けて10秒で割って度数を求め、図4(B)の映像情報管理テーブルにおける該当カメラ番号の欄を検索し、またタイムスタンプが該当する時刻の欄について、既にある累積度数に新たな度数を加えて累積度数とし、加えた度数を差分として記憶する。この処理が終わると、図4(A)の度数テーブルにおける該当欄の記憶を消去する。従って、全てが終わると、図4(A)の度数テーブルの書き込みデータは消去される。図4(B)の映像情報管理テーブルにおいては、該当時刻についての該当カメラ番号対応欄の情報が更新される。
【0027】
以上のような処理に対し、保存管理手段52は、図6と図7に示すフローチャートの処理を行う。図4(B)の映像情報管理テーブルの時刻が新しい所定範囲部分が短期映像蓄積部16の映像情報に対応している。図4(B)の映像情報管理テーブルの各欄のデータを検索して、累積度数と差分履歴が所定の値を超えており、長期映像記憶装置31へ複写するものがあるかを検出する(S21、S22)。
【0028】
ステップS22において該当ありとなると、該当の映像情報を所定の長期映像記憶装置へ複写し、予め定められた保存期間(例えば、1週間)を記憶する(S23)。図8には、或る長期映像記憶装置の記憶状態を示す。エントリ番号に対応して、カメラ番号とタイムスタンプ、保存期間情報と付加された場合に存在するメタ情報、そして映像情報が一体にされて記憶されている。ステップS23に続いて全ての検索を確認し(S24)、全てが検索されていなければステップS21へ戻り、全ての検索終了を確認するとエンドとなる。短期映像蓄積部16では次々に上書きされて古い映像情報が消えてゆくので、図4(B)の一定の範囲が短期映像蓄積部に該当し、残りが長期映像蓄積部に該当する。
【0029】
図7の処理では、図4(B)の映像情報管理テーブルの該当範囲について、各欄のデータを検索して、累積度数と差分履歴が所定の値を超えており、保存期間を更新すべきものがあるかを検出する(S31、S32)。
【0030】
保存期間を更新すべきものがあると、該当の記憶サーバ3−1〜3−mにおける図8に示した保存期間情報を更新し、また、必要な場合(当該記憶サーバに保存期間が長い映像情報が多くなった場合)に記憶内容を他に移転する(S33)。
【0031】
次に、累積度数と差分履歴が所定の値を超えており、メタデータを作成すべきものがあるかを検出する(S34)。メタデータを作成すべきものがあると、メタデータを作成し、図8に示した保存期間情報に付加して記憶する(S35)。メタデータは、例えば、センサ13の情報(例えば、道路監視であれば凍結など)を付加し、或いは、画像処理を行って事故などの情報を得てメタデータとする(メタ情報作成付加手段53)。
【0032】
作成したメタデータが存在する記憶サーバ3−1〜3−mにおけるエントリをメタ情報提供手段54がテーブル化して備え、メタデータの要求に応じてこのテーブルを用いて該当記憶サーバへアクセスしてメタデータを読み出し、監視室4へ提供する。
【0033】
ステップS35に続いて全ての検索を確認し(S36)、全てが検索されていなければステップS31へ戻り、全ての検索終了を確認するとエンドとなる。
【0034】
図9は、上記ステップS33において、当該記憶サーバに保存期間が長い映像情報が多くなった場合に記憶内容を他に移転する処理を行うためのテーブルである。記憶サーバ3−1〜3−mにおける長期映像記憶装置31に記憶された全ての映像情報の保存時間情報を累計した時間が、記憶サーバ3−1〜3−mの番号に対応して記憶されている。保存期間情報を蓄積時と蓄積終了時としておくことで、各映像情報の保存時間情報が求まり、これを加算して求める。この保存時間累計情報が所定以上偏ると、映像情報を平準化して蓄積するように移転を行う。これにより、アクセスの集中と読み出し遅延が起こる事態を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例に係る監視システムの構成図。
【図2】本発明の実施例に係る監視システムにおける要部の詳細構成例を示す図。
【図3】本発明の実施例に係る監視システムにおける要部の詳細構成例を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る監視システムに用いられる度数テーブルと映像情報管理テーブルの記憶内容を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る監視システムの動作を説明するためのフローチャート。
【図6】本発明の実施例に係る監視システムの動作を説明するためのフローチャート。
【図7】本発明の実施例に係る監視システムの動作を説明するためのフローチャート。
【図8】本発明の実施例に係る監視システムに用いられる長期映像蓄積装置における記憶内容を示す図。
【図9】本発明の実施例に係る監視システムに用いられるテーブルの記憶内容を示す図。
【符号の説明】
【0036】
1−1〜1−n 監視位置
2 ネットワーク
3−1〜3−m 記憶サーバ
4監視室
11 監視カメラ
12 ローカル処理部
13 センサ
16 短期映像蓄積部
20 映像管理部
23 蓄積管理部
31 長期映像蓄積装置
32 外部メディア書込部
41 重要度情報作成手段
42 保存管理手段
43 メタ情報作成付加手段
44 メタ情報提供手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラにより撮像して得られた映像情報を蓄積する蓄積手段と、
前記監視カメラに対する要求或いは映像情報に対する要求に基づき重要度情報を作成する重要度情報作成手段と、
作成された重要度情報に基づき前記蓄積手段における保存期間を管理する保存管理手段と
を具備することを特徴とする監視システム。
【請求項2】
蓄積手段を複数備え、
前記保存管理手段は、保存期間に応じて保存する蓄積手段を変更することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
重要度情報作成手段は、監視カメラに対する旋回・ズーム要求、映像情報の配信要求、蓄積手段に蓄積された映像情報に対する再生要求、蓄積手段に蓄積された映像情報に対する別媒体へのコピー要求に応じて、重み付けを行い、重要度情報を作成することを特徴とする請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項4】
作成された重要度情報に基づき対応する映像情報に対するメタ情報を作成し、付加するメタ情報作成付加手段と、
映像情報の提供の際に或いは映像情報の提供とは別に、提供を行うメタ情報提供手段とを具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
複数の蓄積手段に対し、重要度に基づき映像情報を平準化して蓄積することを特徴とする請求項2に記載の監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−141424(P2008−141424A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324854(P2006−324854)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】