説明

監視ネットワーク、プログラム、記録媒体

【課題】情報の監視を確実に行うことが可能な監視ネットワークを低コストに提供する。
【解決手段】監視装置40のコンピュータ本体41は、検知装置42の検知結果に基づき、監視ネットワーク10における監視対象の監視結果の状態を判定し、その監視結果の状態が変化する度に履歴要素を生成し、検知装置42が検知結果を送信してきた時刻を確定時刻とし、時計装置43の計測した現在時刻を生存確認時刻とし、生存確認時刻と確定時刻と履歴要素とを組み合わせて状態履歴を生成し、その状態履歴を通信回線CLを介して監視システム20へ送信する。監視システム20のコンピュータ本体21は、PULL型またはPUSH型により、監視装置40から送信されてくる状態履歴をRAM33またはHDD35に記憶して管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視ネットワーク、プログラム、記録媒体に係り、詳しくは、情報をコンピュータネットワークを用いて監視する監視ネットワーク、その監視ネットワークを実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラム、そのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々の情報をコンピュータを用いて監視する監視システムには、以下の2種類がある。
(種類1)取得した情報をそのまま出力するか、または、監視システムの監視結果を利用する別のシステム(後工程のシステム)や監視システムの管理者が利用し易いように取得した情報を加工して出力する監視システム。
(種類2)取得した情報に基づいて何らかの判定を行い、その判定結果を監視結果として記録すると共に出力する監視システム。
【0003】
種類1の監視システムには、例えば、監視カメラと監視カメラの映像を表示するディスプレイとを組み合わせたもの、気温を測定する温度センサと気温の変動をグラフにして出力するディスプレイとを組み合わせたもの等がある。
種類2の監視システムには、例えば、電子機器内部の温度を測定する温度センサとその温度に基づいて電子機器の異常を判定する判定装置とを組み合わせたもの、ネットワークに接続されたコンピュータに対して定期的に伝文を送信し、その応答確認によりコンピュータの生存チェックを行うもの等がある。
本発明は、種類2の監視システムに関するものである。
【0004】
近年、監視システムにおける監視対象の増加に伴い、監視結果の数の増大が著しい。
例えば、本出願人(株式会社トラフィック・シム)が製造販売しているデジタル放送向けTS(Transport Stream)監視システム(製品名「TSM-1000」「TSW-1000」「TSW-3000」「TSW-500」「TSG-1000」など)においては、1台のコンピュータで1万〜10万項目の監視結果をリアルタイムに管理し、監視システムの監視結果を利用する別のシステム(後工程のシステム)や監視システムの管理者へ通知する機能を有している。
【0005】
従来の監視システムでは、監視結果を記録する方法として、以下の2つの方法が用いられている。
(方法1)監視結果をログとして記録する方法。
(方法2)監視結果を状態として記録する方法。
【0006】
方法1には、例えば、ログファイルの中で目的の文字列を検出したら自動的に管理者に対して電子メール送信を実施するなどの機能を有するswatchプログラムを用いた監視システムがある。
方法2には、SNMP(Simple Network Management Protocol)を用いた監視システムがある(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−066993号公報
【特許文献2】特開2010−061226号公報
【特許文献3】特開2009−301306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
swatchプログラムでは、ログファイル内の特定文字列に反応する形で監視結果を生成するが、例えば、温度異常が現在発生中であるかどうかを判定するには、ログを現在から過去にさかのぼって参照し、「温度異常発生」および「温度異常復帰」の文字列を検索し、最初に見つかった文字列が「温度異常発生」であれば温度異常が現在発生中であると判定し、最初に見つかった文字列が「温度異常復帰」であれば温度異常が現在発生していないと判定するため、コンピュータにとって負荷の高い処理を行わなければならなかった。
【0009】
よって、本出願人が製造販売しているTS監視システムのように1台のコンピュータで10万項目の監視結果をリアルタイムに管理する監視システムに方法2を適用するには、高価な高性能コンピュータを使用するか、または、複数台のコンピュータを組み合わせる必要があり、監視システムのコストが増大するという問題があった。
【0010】
SNMPを用いた監視システムでは、監視装置が「エージェント」と呼ばれ、監視ネットワークを管理する装置が「マネージャ」と呼ばれ、エージェントが監視結果を記録する。
そして、PULL型の監視システムでは、マネージャがエージェントに対して監視結果の送信を要求すると、エージェントからマネージャに対して監視結果が送信される。
また、PUSH型の監視システムでは、監視結果が変化する度にエージェントからマネージャに対して監視結果が送信される。
【0011】
PULL型の監視システムでは、監視結果が変化した時刻をエージェントがマネージャへ送信しないため、監視結果が変化した時刻をマネージャが把握できない。
また、PULL型の監視システムでは、マネージャがエージェントに対して監視結果の送信を要求してから次に監視結果の送信を要求するまでの間に(PULL動作とPULL動作の間に)、監視結果が複数回変化すると、その監視結果の複数回の変化をマネージャが把握できず取りこぼすため、監視結果の変化を一瞬でも見逃してはならない用途には使用できない。
【0012】
PUSH型の監視システムでは、マネージャが監視結果を受信した時刻をその監視結果が変化した時刻としているため、エージェントから送信された監視結果をマネージャが受信できずに取りこぼすと、監視結果が変化した時刻をマネージャが把握できない。
特に、PUSH型の監視システムでは、エージェントが短時間に多数の監視結果を送信するとマネージャの負荷が過大になり、エージェントから送信された監視結果をマネージャが受信できずに取りこぼす確率が大きくなる。
【0013】
そこで、PUSH型の監視システムでは、エージェントから送信された監視結果をマネージャが取りこぼすことなく受信できるように、以下の2つの方法を用いている。
(方法A)マネージャが監視結果を確実に受信できるように、エージェントが同一の監視結果を複数回送信する方法。
(方法B)再送機能付の通信プロトコルを用い、マネージャが監視結果を受信できなかったことをエージェントが検知した場合に、その監視結果をエージェントがマネージャへ再送する方法。
【0014】
方法Aおよび方法Bでは、エージェントが監視結果を送信する回数が増えるため、通信回線の負荷が大きくなることから、エージェントおよびマネージャに高価な高性能コンピュータを使用する必要がある。
また、方法Aおよび方法Bでは、マネージャが同一の監視結果をエージェントに送信している最中にも監視結果が変化する場合があり、その場合には新たな監視結果を送信できなくなるおそれがある。
【0015】
そして、多数の監視結果を扱う監視システムにおいて、監視システムの監視結果を利用する別のシステム(後工程のシステム)や管理者へ監視結果を通知する際には、通知する監視結果の数が後工程のシステムや管理者の対処能力を超えてしまった場合、後工程のシステムや管理者が監視結果に対して適切な処置をとれなくなるおそれがある。
例えば、異常を示す監視結果が日常的に多発していると、まれに重大な異常が発生した際に、日常的に多発している重大ではない監視結果に埋もれて適切な処置がされないままとなる「オオカミ少年状態」となってしまう懸念があった。
【0016】
そこで、重要な監視結果のみを通知するため、複数の監視結果を自動的に集計して新たな監視結果を生成する機能が必要となるが、例えば、SNMPで管理される監視結果を基にした集計では、短時間で変化する監視結果を時系列で管理することができず、生成した新たな監視結果では、時刻に対する厳密性が損なわれていた。
【0017】
また、SNMPを用いた監視システムでは、複数の監視結果を自動的に集計して新たな監視結果を生成する際に、集計元の監視結果の記述方法に応じた処理を行う必要があった。
すなわち、SNMPを用いた監視システムでは、監視結果の記述方法が規格化されておらず、例えば、「値が0のとき異常がないことを表す」「値が1のとき正常であることを表す」「値が50〜100の範囲内のとき正常であることを表す」「値がOKのとき正常であることを表す」といった具合に、監視システムによって監視結果の記述方法がまちまちであった。
そのため、複数の監視結果を自動的に集計して新たな監視結果を生成する際には、監視結果の記述方法に応じた集計プログラムを開発する必要があり、その開発に多大な労力を要していた。
【0018】
さらに、SNMPを用いた監視システムでは、エージェントにおける監視結果の管理方法を監視システムの起動前に設定しておかなければならず、監視システムの起動後に監視結果の管理方法を変更することができなかった。
【0019】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、以下の目的を有するものである。
(1)情報の監視を確実に行うことが可能な監視ネットワークを低コストに提供する。
(2)前記(1)の監視ネットワークを実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを提供する。
(3)前記(1)の監視ネットワークを実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
<請求項1>
請求項1に記載の発明は、
1台または複数台の監視装置と、通信回線と、監視システムとを備えた監視ネットワークであって、
前記監視装置は、
監視ネットワークにおける監視対象の監視結果の状態を検知する検知手段と、
現在時刻を計測する計時手段と、
前記検知手段の検知結果に基づき、前記監視結果の状態を判定し、その監視結果の状態が変化する度に履歴要素を生成し、前記計時手段が計測した現在時刻に基づいて前記検知手段が前記監視結果の状態を検知した時刻を確定時刻とし、その確定時刻と前記履歴要素とを組み合わせて状態履歴を生成する状態履歴生成手段と、
前記状態履歴生成手段が生成した前記状態履歴を記憶する記憶手段と、
前記状態履歴生成手段が生成した前記状態履歴を前記通信回線を介して送信する送信手段とを備え、
前記監視システムは、
前記1台または複数台の監視装置から前記通信回線を介して送信されてくる前記状態履歴を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記状態履歴を記憶して管理する記憶管理手段とを備え、
前記状態履歴は、前記確定時刻と1個以上の履歴要素とが1つに配列されて構成され、
前記確定時刻は、前記状態履歴が確定している時点の時刻の情報であり、
前記履歴要素は、変化時刻および前記監視結果の状態から構成され、
前記変化時刻は、前記監視結果の状態が変化した時刻の情報であり、
前記監視結果の状態は、発生状態と復帰状態の2つの情報値を有し、
前記発生状態は、予め規定されている状態が前記監視対象に起こっていることを表し、
前記復帰状態は、前記発生状態が無くなったことを表すことを技術的特徴とする。
【0021】
請求項1をPULL型の監視ネットワークに適用した場合には、監視システムが監視装置に対して状態履歴の送信を通信回線を介して要求すると、監視装置は記憶手段に記憶しておいた状態履歴を読み出し、その状態履歴を通信回線を介して監視システムへ送信する。
そのため、監視システムが監視装置に対して状態履歴の送信を要求してから次に状態履歴の送信を要求するまでの間に(PULL動作とPULL動作の間に)、監視装置が複数個の履歴要素を生成していたとしても、その複数個の履歴要素は監視装置の記憶手段に記憶されているため、監視装置は複数個の履歴要素を全て監視システムへ送信できる。
請求項1をPUSH型の監視ネットワークに適用した場合には、監視ネットワークにおける監視対象の監視結果の状態が変化する度に監視装置が履歴要素を生成し、監視装置は生成した履歴要素を記憶手段に記憶しておき、記憶手段から読み出した状態履歴を通信回線を介して監視システムへ送信する。
そのため、監視装置が短時間に多数個の履歴要素を生成した場合でも、生成した履歴要素は記憶手段に一旦記憶されるため、監視装置が履歴要素を生成する度に監視システムへ送信する必要がないことから、監視システムの負荷が過大にならず、監視装置から送信された状態履歴に含まれる履歴要素を監視システムが取りこぼすおそれが無くなり、状態履歴の送信に係るオーバーヘッドを削減できる。
従って、請求項1によれば、監視装置が生成した履歴要素を監視システムが取りこぼすことなく全て受信することが可能であり、監視装置が生成した全ての履歴要素を監視システムが時間と同期して管理できる。
【0022】
また、請求項1によれば、履歴要素には変化時刻の情報が含まれるため、履歴要素の状態が変化した時刻を監視システムが確実に把握できる。
そして、請求項1によれば、状態履歴に含まれる複数個の履歴要素のうち変化時刻が最新の履歴要素と確定時刻に基づいて、監視対象の監視結果の最新の状態を確実に把握できる。
【0023】
<請求項2:第2実施形態(図4参照)、第3実施形態(図5参照)、別の実施形態[ア]に該当>
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視結果の状態は、前記発生状態と前記復帰状態の2つの情報値に加えて、不定状態、参照不要状態、参照不明状態、参照先無し状態から成るグループから選択された少なくとも1つの情報値を有し、
前記不定状態は、前記発生状態とも前記復帰状態とも判断がつかない状態を表し、
前記参照不要状態は、前記監視結果の状態を参照することが禁止されている状態を表し、
前記参照不明状態は、前記参照不要状態であるかどうかかが不明な状態を表し、
前記参照先無し状態とは、参照すべき前記監視結果の状態が存在しない状態を表すことを技術的特徴とする。
【0024】
<請求項3:第1実施形態(図1〜図3参照)に該当>
請求項3に記載の発明は、
請求項1または請求項2に記載の監視ネットワークにおいて、
前記状態履歴生成手段は、前記計時手段の計測した現在時刻を生存確認時刻とし、その生存確認時刻と前記確定時刻と前記履歴要素とを組み合わせて前記状態履歴を生成し、
前記状態履歴は、前記生存確認時刻と前記確定時刻と1個以上の履歴要素とが1つに配列されて構成され、
前記生存確認時刻は、前記監視装置の正常な動作が確認された最新の時刻の情報であることを技術的特徴とする。
【0025】
請求項3によれば、監視システムは、生存確認時刻に基づいて、監視装置の故障や通信回線の障害の有無を確実に把握できる。
【0026】
<請求項4:第4実施形態(図6,図7参照)に該当>
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視システムは、前記記憶管理手段に記憶している前記状態履歴に対して識別子および属性情報を付与して紐付け管理することを技術的特徴とする。
【0027】
請求項4によれば、監視ネットワークの管理者は、属性情報に含まれる情報値を指定することで絞り込んだ状態履歴について、複数の状態履歴をまとめて参照したり、複数の状態履歴に含まれる履歴要素をまとめて追加または削除することが可能になるため、複数の状態履歴を有効に管理できる。
【0028】
<請求項5:第12実施形態(図15〜図21参照)、第13実施形態(図22〜図28参照)に該当>
請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視システムは、1個または複数個の前記状態履歴を関数の引数とし、前記状態履歴を加工して得られた新たな状態履歴を生成し、複数個の前記状態履歴を相互に作用させて得られた新たな状態履歴を生成する演算手段を備えることを技術的特徴とする。
【0029】
<請求項6:第9実施形態(図11,図12参照)、第10実施形態(図13参照)に該当>
請求項6に記載の発明は、
請求項5に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視システムを複数台備え、前記複数台の監視装置および監視システムを階層構造またはメッシュ型構造で管理することを技術的特徴とする。
【0030】
<請求項7:第11実施形態(図14参照)に該当>
請求項7に記載の発明は、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視システムは、複数個の前記状態履歴について、前記確定時刻が同一であるならば、その確定時刻を共通にして、複数個の前記状態履歴に含まれる前記履歴要素を1つに配列することにより、複数個の前記状態履歴を1個の状態履歴として管理することを技術的特徴とする。
【0031】
<請求項8:第5実施形態(図8参照)に該当>
請求項8に記載の発明は、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視システムは、前記履歴要素に含まれる監視結果の状態が変化する度に、その監視結果の状態の変化に応じて、予め設定しておいたログ文字列を前記記憶管理手段に記憶させることを技術的特徴とする。
【0032】
請求項8によれば、監視結果の状態の変化に対して抜けなくログ文字列を記憶管理手段に記憶させることにより、監視システムは監視結果の状態の変化を確実に管理できる。
【0033】
<請求項9:第5実施形態、第6実施形態に該当>
請求項9に記載の発明は、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視システムは、前記履歴要素に含まれる監視結果の状態が変化する度に、その監視結果の状態の変化に応じて、視覚的通知手段、聴覚的通知手段、触覚的通知手段から成るグループから選択された少なくとも1つの通知手段により、前記監視結果の状態の変化を監視ネットワークの管理者へ通知することを技術的特徴とする。
【0034】
請求項9によれば、監視システムは監視ネットワークの管理者へ監視結果の状態の変化を確実に通知できる。
【0035】
<請求項10:第7実施形態(図9参照)に該当>
請求項10に記載の発明は、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視結果の状態が、前記監視結果の数値に置き換えられ、
前記履歴要素は、前記変化時刻および前記監視結果の数値から構成され、
前記監視結果の数値は、予め設定しておいた閾値を超えて変化した時点の数値の情報であることを技術的特徴とする。
【0036】
<請求項11:第8実施形態(図10参照)に該当>
請求項11に記載の発明は、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視結果の状態が、前記監視結果の文字列に置き換えられ、
前記履歴要素は、前記変化時刻および前記監視結果の文字列から構成されることを技術的特徴とする。
【0037】
<請求項12、請求項13>
請求項12に記載の発明は、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおける前記各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラム。
請求項13に記載の発明は、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおける前記各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【0038】
請求項12によれば、請求項1〜11のいずれか1項に記載の監視ネットワークを実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを提供できる。
また、請求項13によれば、請求項12のプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の監視ネットワーク10の概略構成を示すブロック図。
【図2】第1実施形態における状態履歴の配列構成を説明するための説明図。
【図3】第1実施形態において状態履歴を構成する各要素(生存確認時刻、確定時刻、履歴要素)の関係を説明するための説明図。
【図4】第2実施形態において状態履歴を構成する各要素の関係を説明するための説明図。
【図5】第3実施形態において状態履歴を構成する各要素の関係を説明するための説明図。
【図6】第4実施形態において状態履歴と識別子および属性情報との紐付け管理を説明するための説明図。
【図7】第4実施形態において状態履歴と識別子および属性情報との紐付け管理を説明するための説明図。
【図8】第5実施形態において履歴要素に含まれる監視結果の状態が変化した際に、HDD35に記憶されるログ文字列の例を説明するための説明図。
【図9】第7実施形態における状態履歴の配列構成を説明するための説明図。
【図10】第8実施形態における状態履歴の配列構成を説明するための説明図。
【図11】第9実施形態の監視ネットワーク100の概略構成を示すブロック図。
【図12】第9実施形態の監視システム110a,110bの概略構成を示すブロック図。
【図13】第10実施形態の監視ネットワーク200の概略構成を示すブロック図。
【図14】第11実施形態における状態履歴の配列構成を説明するための説明図。
【図15】第12実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第12−1例を説明するための説明図。
【図16】第12実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第12−2例を説明するための説明図。
【図17】第12実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第12−3例を説明するための説明図。
【図18】第12実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第12−4例を説明するための説明図。
【図19】第12実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第12−5例を説明するための説明図。
【図20】第12実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第12−6例を説明するための説明図。
【図21】第12実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第12−7例を説明するための説明図。
【図22】第13実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第13−1例を説明するための説明図。
【図23】第13実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第13−2例を説明するための説明図。
【図24】第13実施形態の作用・効果を説明するための説明図。
【図25】図24に示す場合において、従来のPUSH型の監視ネットワークにおける入力状態履歴と出力状態履歴との関係を示す説明図。
【図26】図24に示す場合において、第13実施形態のPUSH型の監視ネットワーク100,200における入力状態履歴と出力状態履歴との関係を示す説明図。
【図27】第13実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第13−3例を説明するための説明図。
【図28】第13実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第13−4例を説明するための説明図。
【図29】第14実施形態の監視ネットワーク300を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態において、同一の構成部材および構成要素については符号を等しくすると共に、同一内容の箇所については重複説明を省略してある。
【0041】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の監視ネットワーク10の概略構成を示すブロック図である。
監視ネットワーク10は、1台の監視システム20、1台の監視装置40、通信回線CLから構成されている。
【0042】
監視システム20は、コンピュータ本体21、入力装置22、表示装置23、通知装置24から構成されている。
コンピュータ本体21は、CPU(Central Processing Unit)30、GPU(Graphics Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、入出力装置(I/O:Input/Output system)34、HDD(Hard Disk Drive)35などを備えた周知のマイクロコンピュータシステムによって構成されている。
【0043】
入力装置22は、例えば、キーボードやポインティングデバイスなどから構成されており、監視ネットワーク10の管理者からの指示命令をデータ信号に変換し、そのデータ信号をコンピュータ本体21の入出力装置34を介してCPU30およびGPU31へ送信する。
【0044】
表示装置23は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などの各種方式のディスプレイから構成されており、コンピュータ本体21の入出力装置34を介して送信されてくるCPU30およびGPU31の処理結果を表示画面(モニタ画面)に表示して管理者に通知する。
【0045】
通知装置24は、視覚的な通知手段(例えば、インジケータ、ランプなど)、聴覚的な通知手段(例えば、ブザー、音声再生装置など)、触覚的な通知手段(例えば、バイブレータなど)から構成されており、コンピュータ本体21の入出力装置34を介して送信されてくるCPU30およびGPU31の処理結果を管理者に通知する。
【0046】
監視装置40は、コンピュータ本体41、検知装置42、時計装置43から構成されている。
コンピュータ本体41は、CPU30、ROM32,RAM33,入出力装置34などを備えた周知のマイクロコンピュータシステムによって構成されている。
監視装置40のコンピュータ本体41において、監視システム20のコンピュータ本体21と異なるのは、GPU31およびHDD35が省かれている点だけである。
【0047】
検知装置42は、監視ネットワーク10における監視対象の監視結果の状態を、予め設定しておいた一定時間毎(周期的)に検知し、その検知結果をデータ信号に変換し、そのデータ信号をコンピュータ本体41の入出力装置34を介してCPU30へ送信する。
時計装置43は、現在時刻を計測し、その現在時刻をデータ信号に変換し、そのデータ信号をコンピュータ本体41の入出力装置34を介してCPU30へ送信する。
【0048】
監視システム20および監視装置40はそれぞれ、ROM32に記憶(記録)されているソフトウェアのコンピュータプログラムをCPU30またはGPU33にロードし、そのコンピュータプログラムに従ってCPU30またはGPU33が各種演算処理を実行することにより、後述する動作を行う。
【0049】
ところで、前記コンピュータプログラムを、コンピュータ本体21,41に内蔵したROM32ではなく、コンピュータ本体21,41に内蔵した図示しないバックアップRAMや、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を備えた図示しない外部記録装置(外部記憶装置)に記録(記憶)しておき、当該コンピュータプログラムを必要に応じてバックアップRAMや外部記録装置からCPU30またはGPU31にロードして用いるようにしてもよい。
ちなみに、コンピュータで読み取り可能な記録媒体には、例えば、半導体メモリ、HD(Hard Disk)、光ディスク(CD−ROM,DVDなど)、光磁気ディスク(MOなど)、相変化ディスク、磁気ディスク、磁気テープなどがある。尚、記録媒体の具体例の名称には登録商標が含まれる。
【0050】
監視システム20と監視装置40は通信回線CLを介して接続されている。
すなわち、監視システム20のコンピュータ本体21と、監視装置40のコンピュータ本体41とは、それぞれの入出力装置34が通信回線CLによって接続されている。
そして、入出力装置34は、監視ネットワーク10のネットワークコントローラとして機能する。
尚、監視システム20および監視装置40には、市販のパーソナルコンピュータを使用してもよい。
【0051】
通信回線CLは、有線通信または無線通信の伝送路である。
通信回線CLを有線通信の伝送路によって具体化した場合には、例えば、ISDN(Integrated Services Digital Network),ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line),光通信回線などを含む公衆電話回線を利用したインターネット回線、CATV(Community Antenna TeleVision)やLAN(Local Area Network)などの専用通信回線などから構成される。
また、通信回線CLを無線通信の伝送路によって具体化した場合には、例えば、電波通信や光無線通信を用いた無線LANなどから構成される。
【0052】
監視装置40のコンピュータ本体41は、検知装置42の検知結果に基づき、監視ネットワーク10における監視対象の監視結果の状態を判定し、その監視結果の状態が変化する度に履歴要素を生成(作成)する。
また、コンピュータ本体41は、検知装置42が一定時間毎(周期的)に検知結果を送信してくる度に、時計装置43の計測した現在時刻に基づき、検知結果を受信した時刻を最新の確定時刻として古い確定時刻に上書きする。
また、コンピュータ本体41は、時計装置43の計測した現在時刻を最新の生存確認時刻(ALIVE時刻)として古い生存確認時刻に上書きする。
そして、コンピュータ本体41は、生存確認時刻と確定時刻と履歴要素とを組み合わせて状態履歴を生成し、その状態履歴をRAM33に記憶(記録)すると共に、その状態履歴をデータ信号に変換し、PULL型またはPUSH型により、状態履歴のデータ信号を通信回線CLを介して監視システム20へ送信する。
【0053】
監視システム20のコンピュータ本体21は、PULL型またはPUSH型により、監視装置40から通信回線CLを介して送信されてくるデータ信号を受信し、そのデータ信号を状態履歴に変換し、その状態履歴をRAM33またはHDD35に記憶(記録)して管理する。
また、監視システム20は、RAM33またはHDD35に記憶して管理している状態履歴を利用する別のシステム(後工程のシステム:図示略)に対して、PULL型またはPUSH型により、状態履歴のデータ信号を通信回線CLを介して送信する。
【0054】
図2は、第1実施形態における状態履歴の配列構成を説明するための説明図である。
状態履歴は、生存確認時刻、確定時刻、1個以上の履歴要素がこの順番で1つに配列されて構成されている。
生存確認時刻は、監視装置40の正常な動作が確認された最新の時刻(最終の時刻)の情報である。
確定時刻は、状態履歴が確定している時点の時刻の情報である。
【0055】
履歴要素は、変化時刻および監視結果の状態から構成されている。
変化時刻は、監視ネットワーク10における監視対象の監視結果の状態が変化した時刻の情報である。
監視結果の状態は、発生状態と復帰状態の2つの情報値を有している。
発生状態とは、予め規定されている状態が監視対象に起こっていることを表す。
復帰状態とは、発生状態が無くなったことを表す(予め規定されている状態が監視対象に起こった後に、その状態が無くなったことを表す)。
【0056】
発生状態および復帰状態は、監視ネットワーク10の監視対象に応じて適宜定義すればよい。
例えば、監視ネットワーク10の監視対象がデジタル放送のTS(Transport Stream)の場合には、TSにエラーが発生している状態を発生状態と定義し、TSのエラーの発生状態が解除されてエラーが発生しなくなった状態を復帰状態と定義することが考えられる。
尚、TSのエラーについては、本出願人の過去の特許出願(特開2010−119046号公報、特開2008−283603号公報、特開2007−142536号公報、特開2006−013612号公報)に詳述してある。
【0057】
また、監視ネットワーク10の監視対象が原子力発電所における原子炉の温度の場合には、原子炉の温度が安全温度を超えて異常高温が発生している状態を発生状態と定義し、原子炉の温度が異常高温から下がって安全温度以下になった状態を復帰状態と定義することが考えられる。
また、監視ネットワーク10の監視対象が河川の水位の場合には、河川の水位が安全水位を超えて増水している状態を発生状態と定義し、河川の水位が下がって安全水位以下になった状態を復帰状態と定義することが考えられる。
【0058】
履歴要素[0]は、監視ネットワーク10が監視対象を監視し始めた時点の履歴要素である。
履歴要素[1]は、最初の履歴要素[0]の次(1回目)に監視装置40が生成した履歴要素である。
履歴要素[n]は、最初の履歴要素[0]からn回目に監視装置40が生成した履歴要素である。
【0059】
図3は、第1実施形態において状態履歴を構成する各要素(生存確認時刻、確定時刻、履歴要素)の関係を説明するための説明図である。
図3に示す例では、履歴要素[0]の変化時刻が「10:10:28」で状態が「復帰状態」であり、履歴要素[1]の変化時刻が「10:10:30」で状態が「発生状態」であり、履歴要素[2]の変化時刻が「10:10:33」で状態が「復帰状態」であり、履歴要素[3]の変化時刻が「10:10:37」で状態が「発生状態」であり、確定時刻が「10:10:40」であり、生存確認時刻が「10:10:42」である。
【0060】
[第1実施形態の作用・効果]
第1実施形態の監視ネットワーク10では、監視装置40による監視対象の監視結果が時間の経過に伴い変化するが、その監視結果の履歴が状態履歴の形式で監視システム20にて管理されるため、以下の作用・効果が得られる。
【0061】
[1]PULL型の監視ネットワーク10では、監視システム20が監視装置40に対して状態履歴の送信を通信回線CLを介して要求すると、監視装置40はRAM33に記憶しておいた状態履歴を読み出し、その状態履歴を通信回線CLを介して監視システム20へ送信する。
【0062】
そのため、監視システム20が監視装置40に対して状態履歴の送信を要求してから次に状態履歴の送信を要求するまでの間に(PULL動作とPULL動作の間に)、監視装置40が複数個の履歴要素を生成していたとしても、その複数個の履歴要素は監視装置40のRAM33に記憶されているため、監視装置40は複数個の履歴要素を全て監視システム20へ送信できる。
従って、PULL型の監視ネットワーク10では、監視装置40が生成した履歴要素を監視システム20が取りこぼすことなく全て受信することが可能であり、監視装置40が生成した全ての履歴要素を監視システム20が時間と同期して管理できる。
【0063】
そして、第1実施形態によれば、短い周期でPULL動作を実行するポーリングを強要されず、短時間で完了するはずの処理を決められた時間内に完了することを約束するリアルタイム性に対して厳密なプログラムを記述する必要が無くなるというメリットがある。
【0064】
すなわち、近年のコンピュータは、年々その処理速度を向上させているが、複数のソフトウェアがマルチタスク動作したり、多数の割り込み処理が平行動作していたり、メモリのキャッシュ構造や仮想記憶の処理になどにより、特に短時間で終了すべき処理を決められた時間内に終えることをコミットすることが難しいベストエフォート形で運用されている。例えば、99.999%の確率で0.1秒以内に完了するはずの処理に、時々は数秒間かかってしまうことがある。
第1実施形態によれば、ポーリングの周期についてもベストエフォート形を適用することが可能であるため、実用性に富んでいる。
【0065】
[2]PUSH型の監視ネットワーク10では、監視ネットワーク10における監視対象の監視結果の状態が変化する度に監視装置40が履歴要素を生成し、監視装置40は生成した履歴要素をRAM33に記憶しておき、RAM33から読み出した状態履歴を通信回線CLを介して監視システム20へ送信する。
【0066】
そのため、監視装置40が短時間に多数個の履歴要素を生成した場合でも、生成した履歴要素はRAM33に一旦記憶されるため、監視装置40が履歴要素を生成する度に監視システム20へ送信する必要がないことから、監視システム20の負荷が過大にならず、監視装置40から送信された状態履歴に含まれる履歴要素を監視システム20が取りこぼすおそれが無くなり、状態履歴の送信に係るオーバーヘッドを削減できる。
従って、PUSH型の監視ネットワーク10においても、PULL型と同様の作用・効果が得られ、監視装置40が生成した全ての履歴要素を監視システム20が時間と同期して管理できる。
【0067】
[3]履歴要素には変化時刻の情報が含まれるため、履歴要素の状態が変化した時刻を監視システム20が確実に把握できる。
【0068】
[4]監視装置40は、状態履歴のデータ信号を監視システム20へ送信したら、その送信が完了した時点で、RAM33に記憶しておいた状態履歴の中の履歴要素について、最後の履歴要素を除いた履歴要素を削除すればよい。
また、監視装置40は、状態履歴のデータ信号を監視システム20へ送信した後に、予め設定しておいた所定時間が経過した時点で、RAM33に記憶しておいた状態履歴を削除してもよい。
このようにすれば、監視装置40のRAM33の記憶容量を少なくして低コスト化を図ることが可能になり、少ない記録容量のRAM33で履歴要素を効率良く記憶保存することができる。
【0069】
[5]監視システム20が状態履歴を生成するための演算には、GPU31が実行する行列演算を利用することにより、状態履歴を高速に生成できる。
GPU31は、行列演算など単純な演算を大量に高速に演算することを目的とした演算装置であるため、状態履歴の生成に好適である。しかし、GPU31を省き、高速動作が可能なCPU30や、ロジック回路で構成された専用ハードウェアによって状態履歴を生成してもよい。
【0070】
[6]状態履歴に含まれる確定時刻は、監視装置40のコンピュータ本体41が検知装置42の最新の検知結果を受信した時刻であるが、コンピュータ本体41と検知装置42の間におけるデータ信号の送受信に要する時間はごく短時間である。そのため、検知結果を受信した時刻である確定時刻は、検知装置42が監視ネットワーク10における監視対象の監視結果の状態を検知した時刻と略同一である。
そして、確定時刻は、状態履歴が確定している時点の時刻である。
そのため、監視システム20は、状態履歴に含まれる複数個の履歴要素のうち変化時刻が最新の履歴要素と確定時刻に基づいて、監視対象の監視結果の最新の状態を確実に把握できる。
【0071】
[7]状態履歴に含まれる生存確認時刻は、監視装置40の時計装置43が計測した現在時刻であり、その状態履歴が生成された最新の時刻である。
そして、生存確認時刻は、監視装置40の正常な動作が確認された最新の時刻(最終の時刻)である。
そのため、監視システム20は、生存確認時刻に基づいて、監視装置40の故障や通信回線CLの障害の有無を確実に把握できる。
【0072】
<第2実施形態>
第2実施形態の監視ネットワーク10の構成は、図1に示した第1実施形態と同じである。
第2実施形態において、第1実施形態と異なるのは、履歴要素に含まれる監視結果の状態が、発生状態と復帰状態に加えて不定状態の情報値を有している点だけである。
すなわち、第2実施形態では、履歴要素に含まれる監視結果の状態が、発生状態,復帰状態,不定状態の3つの情報値を有している。
【0073】
不定状態とは、発生状態とも復帰状態とも判断がつかない状態を表す。
すなわち、監視装置40のコンピュータ本体41が受信した検知装置42の検知結果のデータ信号にエラーが含まれており、履歴要素に含まれる監視結果の状態が発生状態なのか復帰状態なのか不明の場合、監視装置40のコンピュータ本体41は監視結果の状態を不定状態と判定する。
【0074】
図4は、第2実施形態において状態履歴を構成する各要素(生存確認時刻、確定時刻、履歴要素)の関係を説明するための説明図である。
図4に示す例において、図3に示した第1実施形態の例と異なるのは、履歴要素[1]の状態が「不定状態」になっている点だけである。
すなわち、時刻が「10:10:30」から「10:10:33」までの間については、履歴要素に含まれる監視結果の状態が発生状態なのか復帰状態なのか不明である。
【0075】
第2実施形態によれば、監視システム20がRAM33またはHDD35に記憶して管理している状態履歴を利用する別のシステム(後工程のシステム)や、監視システム20の管理者が、履歴要素の不定状態を適宜に扱うことができる。
【0076】
例えば、監視ネットワーク10の監視対象が原子力発電所における原子炉の温度であり、原子炉の温度が安全温度を超えて異常高温が発生している状態を発生状態と定義した場合には、万が一にも発生状態であれば後工程のシステムが適切に対処しなければならないため、後工程のシステムでは不定状態を発生状態として扱う必要がある。
また、監視結果の状態が確実に発生状態の場合にのみ、後工程のシステムが対処しなければならないような場合には、後工程のシステムでは不定状態を復帰状態として扱えばよい。
【0077】
<第3実施形態>
第3実施形態の監視ネットワーク10の構成は、図1に示した第1実施形態と同じである。
第3実施形態において、第1実施形態と異なるのは、履歴要素に含まれる監視結果の状態が、発生状態と復帰状態に加えて参照不要状態の情報値を有している点だけである。
すなわち、第3実施形態では、履歴要素に含まれる監視結果の状態が、発生状態,復帰状態,参照不要状態の3つの情報値を有している。
【0078】
参照不要状態とは、監視システム20がRAM33またはHDD35に記憶して管理している状態履歴を利用する別のシステム(後工程のシステム)が、監視結果の状態を参照することが禁止されている状態を表す。
すなわち、監視結果の状態を後工程のシステムで利用して欲しく無い時間帯を、監視装置40のコンピュータ本体41が参照不要状態として設定する。
尚、参照不要状態の時間帯については、監視ネットワーク10の管理者が予め設定しておく。
【0079】
例えば、監視ネットワーク10の監視対象がテレビ放送の映像であり、映像に乱れが発生している状態を発生状態と定義した場合には、深夜の放送休止中の映像の乱れを監視する必要が無い。
そのため、監視装置40は、深夜の放送休止中の時間帯については、検知装置42の検知結果に基づいて生成された履歴要素に含まれる監視結果の状態に関係なく、履歴要素に含まれる監視結果の状態を参照不要状態として状態履歴を生成すればよい。
【0080】
図5は、第3実施形態において状態履歴を構成する各要素(生存確認時刻、確定時刻、履歴要素)の関係を説明するための説明図である。
図5に示す例において、図3に示した第1実施形態の例と異なるのは、履歴要素[1]の状態が「参照不要状態」になっている点だけである。
すなわち、時刻が「10:10:30」から「10:10:33」までの間については、履歴要素に含まれる監視結果の状態に関係なく、監視装置40が参照不要状態と判定していることになる。
【0081】
<第4実施形態>
第4実施形態の監視ネットワーク10の構成は、図1に示した第1実施形態と同じである。
第4実施形態において、第1実施形態と異なるのは、監視システム20がRAM33またはHDD35に記憶している状態履歴に対して識別子および属性情報を付与して紐付け管理している点だけである。
尚、具体的な紐付け管理については、監視ネットワーク10の管理者が監視システム20の入力装置22を用いて設定する。
【0082】
図6および図7は、状態履歴と識別子および属性情報との紐付け管理を説明するための説明図である。
図6に示す例において、状態履歴に含まれる履歴要素は出生率であり、出生率が増加している状態を発生状態と定義し、出生率が変化しないか又は減少している状態を復帰状態と定義している。
そして、状態履歴に対して識別子(ID:IDentifier)IDrおよび属性情報がそれぞれ紐付け管理されている。
属性情報には、国名、人口、GDP(Gross Domestic Product)の3つの情報値が含まれている。
【0083】
監視システム20は、図6に示すように紐付け管理された状態履歴,識別子,属性情報について、属性情報に含まれる情報値を指定することで絞り込むことが可能であり、図7に示すように、絞り込んだ状態履歴の識別子IDrの一覧に対して、絞り込み結果を表す識別子ListIDを付与して紐付け管理することができる。
【0084】
図7に示す例では、図6に示す例において、人口が10億人以上の国を指定して絞り込んだ結果、中国とインドの2カ国が絞り込まれ、その2カ国の識別子IDr[2],IDr[4]の一覧に対して、絞り込み結果を表す識別子ListID[0]を付与して紐付け管理している。
また、人口が2億人以上10億人未満の国を指定して絞り込んだ結果、アメリカ合衆国(USA)とインドネシアの2カ国が絞り込まれ、その2カ国の識別子IDr[0],IDr[5]の一覧に対して、絞り込み結果を表す識別子ListID[1]を付与して紐付け管理している。
【0085】
第4実施形態によれば、監視ネットワーク10の管理者は、属性情報に含まれる情報値を指定することで絞り込んだ状態履歴について、複数の状態履歴をまとめて参照したり、複数の状態履歴に含まれる履歴要素をまとめて追加または削除することが可能になるため、複数の状態履歴を有効に管理できる。
【0086】
例えば、図7に示す例では、識別子ListID[0]に含まれる2個の状態履歴についてまとめて参照したり、2個の状態履歴に含まれる履歴要素をまとめて追加または削除できる。
尚、図7に示す例では、属性情報に含まれる情報値のうち、人口に基づいて絞り込みを行っているが、GDPに基づいて絞り込みを行ってもよい。
【0087】
<第5実施形態>
第5実施形態の監視ネットワーク10の構成は、図1に示した第1実施形態と同じである。
第5実施形態では、履歴要素に含まれる監視結果の状態が、第2実施形態と第3実施形態を組み合わせものであり、発生状態,復帰状態,不定状態,参照不要状態の4つの情報値を有している。
そして、第5実施形態において、監視システム20は、履歴要素に含まれる監視結果の状態が変化する度に、その監視結果の状態の変化に応じて、予め設定しておいたログ文字列をHDD35に記憶させる。
【0088】
図8は、履歴要素に含まれる監視結果の状態が変化した際に、HDD35に記憶されるログ文字列の例を説明するための説明図である。
第5実施形態によれば、監視結果の状態の変化に対して抜けなくログ文字列をHDD35に記憶させることにより、監視システム20は監視結果の状態の変化を確実に管理できる。
【0089】
尚、図8に示すNo.1〜No.12のログ文字列のうち、管理者が監視システム20の入力装置22を用いて予め設定しておいたログ文字列だけを表示装置23に表示させるようにしてもよく、例えば、監視結果の状態が発生状態に変化した場合(No.1,No.8,No.11)にのみログ文字列を表示させることが考えられる。
また、ログ文字列をHDD35に記憶させることに加え、ログ文字列を監視システム20の表示装置23に表示させるようにすれば、監視ネットワーク10の管理者に監視結果の状態の変化を確実に通知できる。
【0090】
<第6実施形態>
第6実施形態の監視ネットワーク10の構成は、図1に示した第1実施形態と同じである。
第6実施形態において、第5実施形態と異なるのは、図8に示すNo.1〜No.12の場合に対応した通知を監視システム20が通知装置24に実行させる点だけである。
従って、第6実施形態によれば、第5実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0091】
例えば、監視システム20は、監視結果の状態が発生状態に変化した場合(図8に示すNo.1,No.8,No.11の場合)には、通知装置24に設けられた赤色ランプ(図示略)を点灯させると共に、通知装置24に設けられたブザー(図示略)から警告音を鳴らし、通知装置24に設けられたバイブレータ(図示略)を振動させる。
また、監視システム20は、監視結果の状態が不定状態に変化した場合(図8に示すNo21,No.5,No.12の場合)には、通知装置24に設けられた黄色ランプ(図示略)を点灯させる。
また、監視システム20は、図8に示すNo.1〜No.12のログ文字列を、通知装置24に設けられた音声再生装置により音声合成して再生させる。
【0092】
<第7実施形態>
第7実施形態の監視ネットワーク10の構成は、図1に示した第1実施形態と同じである。
第7実施形態において、第1実施形態と異なるのは、履歴要素を構成する監視結果の状態が、監視結果の数値に置き換えられている点だけである。
【0093】
図9は、第7実施形態における状態履歴の配列構成を説明するための説明図である。
履歴要素は、変化時刻および監視結果の数値から構成されている。
変化時刻は、監視ネットワーク10における監視対象の監視結果の数値が予め設定しておいた閾値を超えて変化した時刻の情報である。
【0094】
監視結果の数値は、予め設定しておいた閾値を超えて変化した時点の数値の情報であり、監視ネットワーク10の監視対象に応じて適宜定義すればよい。
例えば、監視ネットワーク10の監視対象がデジタル放送の場合には、放送局から送信される各種データのビットレートを監視結果の数値として定義することが考えられる。
また、監視ネットワーク10の監視対象が原子力発電所の原子炉の場合には、原子炉の温度を監視結果の数値として定義することが考えられる。
また、監視ネットワーク10の監視対象が原子力発電所の原子炉の場合には、原子炉の温度を監視結果の数値として定義することが考えられる。
また、監視ネットワーク10の監視対象が河川の安全管理の場合には、河川の水位を監視結果の数値として定義することが考えられる。
【0095】
<第8実施形態>
第8実施形態の監視ネットワーク10の構成は、図1に示した第1実施形態と同じである。
第8実施形態において、第1実施形態と異なるのは、履歴要素を構成する監視結果の状態が、監視結果の文字列に置き換えられている点だけである。
【0096】
図10は、第8実施形態における状態履歴の配列構成を説明するための説明図である。
履歴要素は、変化時刻および監視結果の文字列から構成されている。
変化時刻は、監視ネットワーク10における監視対象の監視結果の文字列が別の文字列に変化した時刻の情報である。
【0097】
監視結果の文字列は、監視ネットワーク10の監視対象に応じて適宜定義すればよい。
例えば、監視ネットワーク10の監視対象がデジタル放送の場合には、地上デジタル放送で利用されている電子番組表内にて番組のジャンルを表す文字列(「ドキュメンタリー」「ニュース」「ドラマ」「音楽」など)を監視結果の文字列として定義することが考えられる。
【0098】
第8実施形態では、監視システム20がRAM33またはHDD35に記憶して管理している状態履歴を利用する別のシステム(後工程のシステム)が、監視結果の文字列を第2実施形態または第3実施形態の各状態(発生状態,復帰状態,不定状態,参照不要状態)として扱う運用が可能である。
例えば、電子番組表内にて番組のジャンルを表す文字列を監視結果の文字列とした場合には、「ドキュメンタリー」を発生状態、「ニュース」を復帰状態、「ドラマ」を不定状態、「音楽」を参照不要状態として扱うことが考えられる。
【0099】
<第9実施形態>
図11は、第9実施形態の監視ネットワーク100の概略構成を示すブロック図である。
監視ネットワーク100は、図1に示した第1実施形態の監視システム20と同一構成の監視システム20a〜20c、第1実施形態の監視装置40と同一構成の監視装置40a〜40e、第1実施形態の検知装置42と同一構成の検知装置42a,42b、監視システム110a,110bから構成されている。
尚、監視システム20a〜20c,110a,110bと監視装置40a〜40eと検知装置42a,42bとは、第1実施形態と同様に通信回線CLを介して接続されているが、図11では通信回線CLの図示を省略してある。
【0100】
図12は、監視システム110a,110bの概略構成を示すブロック図である。
同一構成の監視システム110a,110bはそれぞれ、コンピュータ本体21、入力装置22、表示装置23、通知装置24、検知装置42、時計装置43から構成されている。
【0101】
監視システム110a,110bのコンピュータ本体21は、検知装置42の検知結果に基づき、監視ネットワーク10における監視対象の監視結果の状態を判定し、その監視結果の状態が変化する度に履歴要素を生成する。
また、監視システム110a,110bのコンピュータ本体21は、検知装置42がそれぞれ一定時間毎に検知結果を送信してくる度に、時計装置43の計測した現在時刻に基づき、検知結果を受信した時刻を最新の確定時刻として古い確定時刻に上書きする。
また、監視システム110a,110bのコンピュータ本体21は、時計装置43の計測した現在時刻を最新の生存確認時刻として古い生存確認時刻に上書きする。
そして、監視システム110a,110bのコンピュータ本体21は、生存確認時刻と確定時刻と履歴要素とを組み合わせて状態履歴を生成し、その状態履歴をRAM33またはHDD35に記憶する。
【0102】
検知装置42a,42bはそれぞれ、監視ネットワーク100における監視対象の監視結果の状態を、予め設定しておいた一定時間毎(周期的)に検知し、その検知結果をデータ信号に変換し、そのデータ信号を通信回線CLを介して監視システム110a,110bへ送信する。
監視システム110a,110bのコンピュータ本体21はそれぞれ、検知装置42a,42bの検知結果を受信し、検知装置42の場合と同様に、検知装置42a,42bの検知結果に基づいて履歴要素を生成し、その履歴要素に基づいて状態履歴を生成し、その状態履歴をRAM33またはHDD35に記憶する。
監視システム110aのコンピュータ本体21は、生成した状態履歴をデータ信号に変換し、PULL型またはPUSH型により、状態履歴のデータ信号を通信回線CLを介して送信する。
【0103】
図11では、状態履歴の伝達方向を白抜き矢印で図示し、監視対象の監視結果の状態の伝達方向を実線矢印で図示してある。
【0104】
監視システム20aは、監視装置40a〜40cから送信されてくる状態履歴のデータ信号を受信し、それら状態履歴に基づいて別の状態履歴を新たに生成し、その別の状態履歴のデータ信号を監視システム20cへ送信する。
監視システム20bは、監視装置40d,40eから送信されてくる状態履歴のデータ信号を受信し、それら状態履歴に基づいて別の状態履歴を新たに生成し、その別の状態履歴のデータ信号を監視システム20c,110aへ送信する。
監視システム20cは、監視システム20a,20bから送信されてくる状態履歴のデータ信号を受信し、それら状態履歴に基づいて別の状態履歴を新たに生成し、その別の状態履歴のデータ信号を監視システム110bへ送信する。
【0105】
監視システム110aは、監視システム20bから送信されてくる状態履歴のデータ信号を受信すると共に、検知装置42aから送信されてくる検知結果(監視対象の監視結果の状態)のデータ信号を受信し、その状態履歴および検知結果と監視システム110a自身が生成した状態履歴とに基づいて別の状態履歴を新たに生成し、その別の状態履歴のデータ信号を監視システム110bへ送信する。
監視システム110bは、監視システム110aから送信されてくる状態履歴のデータ信号を受信すると共に、検知装置42bから送信されてくる検知結果のデータ信号を受信し、その状態履歴および検知結果と監視システム110a自身が生成した状態履歴とに基づいて別の状態履歴を新たに生成し、その別の状態履歴を管理する。
【0106】
第9実施形態の監視ネットワーク100では、監視システム20a〜20c,110a,110bと監視装置40a〜40eの間で状態履歴を送受信し、監視システム110a,110bは検知装置42a,42bの検知結果を受信する。
そして、監視システム20a〜20c,110a,110bは、受信した状態履歴を単独で管理したり、受信した状態履歴または自身が生成した状態履歴から別の状態履歴を生成して管理する。
【0107】
従って、第9実施形態の監視ネットワーク100によれば、監視システム20a〜20c,110a,110bと監視装置40a〜40eとを階層型構造で管理することができる。
すなわち、監視システム110bが階層型構造の最上層の階層(レイヤー)となり、監視システム20c,110aが2番目の階層となり、監視システム20a,20bが3番目の階層となり、監視装置40a〜40eが最下層の階層となる。
【0108】
<第10実施形態>
図13は、第10実施形態の監視ネットワーク200の概略構成を示すブロック図である。
監視ネットワーク200において、図11に示した第9実施形態の監視ネットワーク100と異なるのは、白抜き矢印Pに示すように、監視システム110bが監視システム20bへ状態履歴のデータ信号を送信している点だけである。
【0109】
監視システム20bは、監視装置40d,40eおよび監視システム110bから送信されてくる状態履歴のデータ信号を受信し、それら状態履歴に基づいて別の状態履歴を新たに生成する。
従って、第10実施形態の監視ネットワーク200によれば、監視システム20a〜20c,110a,110bおよび監視装置40a〜40eをニューラルネットワークのようなメッシュ型構造で管理することができる。
【0110】
<第11実施形態>
第11実施形態の監視ネットワーク100,200の構成は、図11または図13に示した第9実施形態または第10実施形態と同じである。
【0111】
図14は、第11実施形態における状態履歴の配列構成を説明するための説明図である。
例えば、図11または図13に示した監視システム20cは、監視システム20a,20bからそれぞれ送信されてきた2個の状態履歴について、生存確認時刻および確定時刻が同一であるならば、生存確認時刻および確定時刻を共通にして、監視システム20aから送信されてきた状態履歴の履歴要素20a[0]〜20a[n]の配列の末尾に、監視システム20bから送信されてきた状態履歴の履歴要素20b[0]〜20b[n]を追加して1つに配列することにより、1個の状態履歴として管理する。
【0112】
従って、第11実施形態によれば、2台の監視システム20a,20bがそれぞれ生成した2個の状態履歴を、1台の監視システム20cで1個の状態履歴として効率的に管理できる。
尚、3台以上の監視システムまたは監視装置がそれぞれ生成した3個以上の状態履歴を、1台の監視システムで1個の状態履歴として管理してもよい。
【0113】
<第12実施形態>
第12実施形態の監視ネットワーク100,200の構成は、図11または図13に示した第9実施形態または第10実施形態と同じである。
第12実施形態において、監視システム20cは、監視システム20aから送信されてくる状態履歴のデータ信号を受信し、その状態履歴(入力状態履歴)に基づいて別の状態履歴(出力状態履歴)を新たに生成する。
図15〜図21はそれぞれ、第12実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第12−1例〜第12−7例を説明するための説明図である。
【0114】
[第12−1例]
図15に示すように、第12−1例において、監視システム20cは、入力状態履歴にNOT処理を施すことにより出力状態履歴を生成する。
すなわち、入力状態履歴の発生状態は出力状態履歴では復帰状態に変換され、入力状態履歴の復帰状態は出力状態履歴では発生状態に変換される。
そして、出力状態履歴の生存確認時刻および確定時刻は、入力状態履歴と同じになる。
【0115】
[第12−2例]
図16に示すように、第12−2例において、監視システム20cは、入力状態履歴における短時間の発生状態を除去する処理を施すことにより出力状態履歴を生成する。
すなわち、入力状態履歴における設定時間t1未満の発生状態は、出力状態履歴では復帰状態に変換される。
そのため、入力状態履歴における時間t2の発生状態は設定時間t1以上であるため出力状態履歴でも発生状態のままになり、入力状態履歴における時間t3の発生状態は設定時間t1未満であるため出力状態履歴では復帰状態に変換される。
そして、出力状態履歴の生存確認時刻は、入力状態履歴と同じになる。
【0116】
入力状態履歴の確定時刻における連続発生状態が設定時間t1以上の場合、もしくは、入力状態履歴の確定時刻における状態が復帰状態の場合は、入力状態履歴の確定時刻が、出力状態履歴の確定時刻となる。
また、入力状態履歴の確定時刻における状態が発生状態で、且つ、連続発生状態が設定時間t1未満の場合は、入力状態履歴における最後の復帰状態から発生状態への変化時刻が、出力状態履歴の確定時刻となる。
【0117】
[第12−3例]
図17に示すように、第12−3例において、図16に示した第12−2例と異なるのは、時刻Taから発生状態になり、その発生状態が確定時刻まで時間t4だけ続き、時間t4が設定時間t1未満である点だけである。
そのため、入力状態履歴における時間t2の発生状態は時間t1以上であるため出力状態履歴でも発生状態のままになり、入力状態履歴における時間t3,t4の発生状態は時間t1未満であるため出力状態履歴では復帰状態に変換される。
そして、出力状態履歴の生存確認時刻は、入力状態履歴と同じになる。
しかし、出力状態履歴の確定時刻は、入力状態履歴から除去された短時間の発生状態の時間t4分だけ古い時刻である時刻Taにずらされる。
【0118】
[第12−4例]
図18に示すように、第12−4例において、図16に示した第12−2例と異なるのは、時刻Tbから発生状態になり、その発生状態が確定時刻まで時間t5だけ続き、時間t5が設定時間t1以上である点だけである。
そのため、入力状態履歴における時間t2,t5の発生状態は時間t1以上であるため出力状態履歴でも発生状態のままになり、入力状態履歴における時間t3の発生状態は時間t1未満であるため出力状態履歴では復帰状態に変換される。
そして、出力状態履歴の生存確認時刻および確定時刻は、入力状態履歴と同じになる。
【0119】
[第12−5例]
図19に示すように、第12−5例において、監視システム20cは、入力状態履歴における発生状態の単位時間内の延べ発生時間が所定時間以上の場合に、出力状態履歴を発生状態とする。
第12−5例では、単位時間が18秒間、延べ発生時間が10秒間に設定されており、入力状態履歴における発生状態が過去18秒間内に延べ10秒間以上続いた場合に出力状態履歴が発生状態となる。
そして、出力状態履歴の生存確認時刻および確定時刻は、入力状態履歴と同じになる。
【0120】
[第12−6例]
図20に示すように、第12−6例において、監視システム20cは、入力状態履歴における短時間の復帰状態を除去する処理を施すことにより出力状態履歴を生成する。
すなわち、入力状態履歴における設定時間t1未満の復帰状態は、出力状態履歴では発生状態に変換される。
そのため、入力状態履歴における時間t2の復帰状態は設定時間t1以上であるため出力状態履歴でも復帰状態のままになり、入力状態履歴における時間t3の復帰状態は設定時間t1未満であるため出力状態履歴では発生状態に変換される。
そして、出力状態履歴の生存確認時刻は、入力状態履歴と同じになる。
【0121】
入力状態履歴の確定時刻における連続復帰状態が設定時間t1以上の場合、もしくは、入力状態履歴の確定時刻における状態が発生状態の場合は、入力状態履歴の確定時刻が、出力状態履歴の確定時刻となる。
また、入力状態履歴の確定時刻における状態が復帰状態で、且つ、連続復帰状態が設定時間t1未満の場合は、入力状態履歴における最後の発生状態から復帰状態への変化時刻が、出力状態履歴の確定時刻となる。
【0122】
[第12−7例]
図21に示すように、第12−7例において、監視システム20cは、入力状態履歴において単位時間内に復帰状態から発生状態への変化が所定回数以上になった時点から、単位時間内に復帰状態から発生状態への変化が0回になった時点までの期間について、出力状態履歴を発生状態とする。
第12−7例では、単位時間が8秒間、所定回数が3回に設定されており、入力状態履歴において過去8秒間内に復帰状態から発生状態への変化が3回以上になった時点から、過去8秒間内に復帰状態から発生状態への変化が0回になった時点までの期間について、出力状態履歴が発生状態となる。
そして、出力状態履歴の生存確認時刻および確定時刻は、入力状態履歴と同じになる。
【0123】
第12−1例〜第12−7例に示すように、第12実施形態の監視システム20cは、1個の状態履歴(入力状態履歴)を関数の引数とし、状態履歴を加工して得られた新たな状態履歴(出力状態履歴)を生成する履歴演算機能を備えている。
【0124】
<第13実施形態>
第13実施形態の監視ネットワーク100,200の構成は、図11または図13に示した第9実施形態または第10実施形態と同じである。
第13実施形態において、監視システム20cは、監視システム20a,20bからそれぞれ送信されてくる2個の状態履歴のデータ信号を受信し、その2個の状態履歴(入力状態履歴)に基づいて別の状態履歴(出力状態履歴)を新たに生成する。
図22,図23はそれぞれ、第13実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第13−1例,第13−2例を説明するための説明図である。
【0125】
[第13−1例]
図22に示すように、第13−1例において、監視システム20cは、監視システム20a,20bから送信されてくる2個の入力状態履歴にAND処理を施すことにより出力状態履歴を生成し、2個の入力状態履歴が共に発生状態の場合にのみ出力状態履歴が発生状態に変換され、2個の入力状態履歴のいずれか一方が復帰状態の場合は出力状態履歴が復帰状態に変換される。
【0126】
そして、第13−1例では、監視システム20aの入力状態履歴が確定時刻で発生状態であり、監視システム20bの入力状態履歴が確定時刻で復帰状態であり、監視システム20aの確定時刻より監視システム20bの確定時刻の方が時間t5だけ古い時刻である。
つまり、時間t5について、監視システム20bの入力状態履歴が発生状態であるか復帰状態であるか不明である。
時間t5について、監視システム20bの入力状態履歴が発生状態であれば出力状態履歴は発生状態に変換され、監視システム20bの入力状態履歴が復帰状態であれば出力状態履歴は復帰状態に変換されるが、監視システム20bの入力状態履歴が不明であるため出力状態履歴も不明である。
そこで、出力状態履歴の確定時刻は、監視システム20bの確定時刻となり、2個の入力状態履歴における確定時刻の内の古い時刻となる。
そして、出力状態履歴の生存確認時刻は、入力状態履歴と同じになる。
【0127】
[第13−2例]
図23に示すように、第13−2例において、監視システム20cは、監視システム20a,20bから送信されてくる2個の入力状態履歴にAND処理を施すことにより出力状態履歴を生成し、2個の入力状態履歴が共に発生状態の場合は出力状態履歴が発生状態に変換され、2個の入力状態履歴が発生状態と不定状態の場合は出力状態履歴が不定状態に変換され、2個の入力状態履歴のいずれか一方が復帰状態の場合は出力状態履歴が復帰状態に変換される。
【0128】
そして、第13−2例では、監視システム20aの入力状態履歴が確定時刻で復帰状態であり、監視システム20bの入力状態履歴が確定時刻で不定状態であり、監視システム20aの確定時刻より監視システム20bの確定時刻の方が時間t6だけ古い時刻である。
つまり、時間t6について、監視システム20bの入力状態履歴が発生状態,復帰状態,不定状態のいずれであるか不明である。
しかし、時間t6について、監視システム20bの入力状態履歴が発生状態,復帰状態,不定状態のいずれであっても、監視システム20aの入力状態履歴が復帰状態であるため、出力状態履歴は復帰状態になる。
そこで、出力状態履歴の確定時刻は、監視システム20aの確定時刻となり、2個の入力状態履歴における確定時刻の内の新しい時刻となる。
そして、出力状態履歴の生存確認時刻は、入力状態履歴と同じになる。
【0129】
このように、AND処理では、監視結果の状態の4つの情報値(発生状態、復帰状態,不定状態,参照不要状態)について、復帰状態が最も優先され、不定状態が2番目に優先され、発生状態が3番目に優先され、参照不要状態の優先順位が最下位である(優先順位:復帰状態>不定状態>発生状態>参照不要状態)。
【0130】
図24〜図26は、第13実施形態の作用・効果を説明するための説明図である。
監視システム20cは、監視システム20a,20bからそれぞれ送信されてくる2個の状態履歴(入力状態履歴)にAND処理を施すことにより出力状態履歴を生成する。
【0131】
図25は、図24に示す場合において、従来のPUSH型の監視ネットワークにおける入力状態履歴と出力状態履歴との関係を示す説明図である。
図26は、図24に示す場合において、第13実施形態のPUSH型の監視ネットワーク100,200における入力状態履歴と出力状態履歴との関係を示す説明図である。
【0132】
図24に示すように、監視システム20cはベストエフォート形で動作しているため、監視システム20a,20bから送信された状態履歴のデータを実際に受信した時刻と、監視システム20a,20bが送信した状態履歴における履歴要素の変化時刻とが、履歴要素によって異なることがある。
従来のPUSH型の監視ネットワークでは、監視システム20cが状態履歴のデータを実際に受信した時刻を、その状態履歴に含まれる履歴要素の変化時刻としている。
【0133】
そのため、図25に示す従来のPUSH型の監視ネットワークの入力状態履歴および出力状態履歴は、図26に示す第13実施形態のPUSH型の監視ネットワーク100,200の正しい入力状態履歴および出力状態履歴とは、全く異なった誤ったものになってしまう。
第13実施形態によれば、このような従来技術の問題点を解決できる。
【0134】
図27,図28はそれぞれ、第13実施形態において監視システム20cが実行する新たな状態履歴の生成方法の第13−3例,第13−4例を説明するための説明図である。
【0135】
[第13−3例]
図27に示すように、第13−3例において、監視システム20cは、監視システム20a,20bから送信されてくる2個の入力状態履歴にOR処理を施すことにより出力状態履歴を生成し、2個の入力状態履歴のいずれか一方が発生状態の場合は出力状態履歴が発生状態に変換され、2個の入力状態履歴が共に復帰状態の場合にのみ出力状態履歴が復帰状態に変換される。
【0136】
そして、第13−3例では、監視システム20aの入力状態履歴が確定時刻で復帰状態であり、監視システム20bの入力状態履歴が確定時刻で復帰状態であり、監視システム20aの確定時刻より監視システム20bの確定時刻の方が時間t7だけ古い時刻である。
つまり、時間t7について、監視システム20bの入力状態履歴が発生状態であるか復帰状態であるか不明である。
時間t7について、監視システム20bの入力状態履歴が発生状態であれば出力状態履歴は発生状態に変換され、監視システム20bの入力状態履歴が復帰状態であれば出力状態履歴は復帰状態に変換されるが、監視システム20bの入力状態履歴が不明であるため出力状態履歴も不明である。
そこで、出力状態履歴の確定時刻は、監視システム20bの確定時刻となり、2個の入力状態履歴における確定時刻の内の古い時刻となる。
そして、出力状態履歴の生存確認時刻は、入力状態履歴と同じになる。
【0137】
[第13−4例]
図28に示すように、第13−4例において、監視システム20cは、監視システム20a,20bから送信されてくる2個の入力状態履歴にOR処理を施すことにより出力状態履歴を生成し、2個の入力状態履歴が共に復帰状態の場合は出力状態履歴が復帰状態に変換され、2個の入力状態履歴が復帰状態と不定状態の場合は出力状態履歴が不定状態に変換され、2個の入力状態履歴のいずれか一方が発生状態の場合は出力状態履歴が発生状態に変換される。
【0138】
そして、第13−4例では、監視システム20aの入力状態履歴が確定時刻で発生状態であり、監視システム20bの入力状態履歴が確定時刻で不定状態であり、監視システム20aの確定時刻より監視システム20bの確定時刻の方が時間t8だけ古い時刻である。
つまり、時間t8について、監視システム20bの入力状態履歴が発生状態,復帰状態,不定状態のいずれであるか不明である。
しかし、時間t8について、監視システム20bの入力状態履歴が発生状態,復帰状態,不定状態のいずれであっても、監視システム20aの入力状態履歴が発生状態であるため、出力状態履歴は発生状態になる。
そこで、出力状態履歴の確定時刻は、監視システム20aの確定時刻となり、2個の入力状態履歴における確定時刻の内の新しい時刻となる。
そして、出力状態履歴の生存確認時刻は、入力状態履歴と同じになる。
【0139】
このように、OR処理では、監視結果の状態の4つの情報値(発生状態、復帰状態,不定状態,参照不要状態)について、発生状態が最も優先され、不定状態が2番目に優先され、復帰状態が3番目に優先され、参照不要状態の優先順位が最下位である(優先順位:発生状態>不定状態>復帰状態>参照不要状態)。
【0140】
以上のように、第13実施形態の監視システム20cは、2個の状態履歴(入力状態履歴)を関数の引数とし、2個の状態履歴を相互に作用させて得られた新たな状態履歴(出力状態履歴)を生成する履歴演算機能を備えている。
尚、3個以上の複数の状態履歴を関数の引数とし、複数の状態履歴を相互に作用させて得られた新たな状態履歴を生成してもよい。
【0141】
<第14実施形態>
図29は、第14実施形態の監視ネットワーク300を説明するための説明図である。
監視ネットワーク300に設けられた監視システム20は、別の監視システムまたは監視装置(図示略)からそれぞれ送信されてくる3個の状態履歴のデータ信号を受信し、その3個の状態履歴(入力状態履歴)α〜γに基づいて別の状態履歴(出力状態履歴)を新たに生成する。
【0142】
ここで、監視システム20は、入力状態履歴α〜γ毎に重み付けを行い、入力状態履歴α〜γの加算結果が所定値以上になった場合に、出力状態履歴を発生状態とする。
例えば、監視システム20は、監視結果の状態について、発生状態を数値「1」と定義すると共に、復帰状態を数値「0」と定義し、入力状態履歴αには数値「2」を乗算し、入力状態履歴βには数値「1」を乗算し、入力状態履歴γには数値「5」を乗算し、入力状態履歴α〜γの乗算値の加算結果が所定値以上になった場合に出力状態履歴を発生状態とする。
【0143】
そして、第14実施形態と、図13に示した第10実施形態とを組み合わせることにより、ニューラルネットワークを実現できる。
【0144】
尚、入力状態履歴α〜γ毎の重み付けについては、監視結果の状態について延べ発生時間を利用してもよい。
例えば、入力状態履歴α〜γについて、直近x秒間における発生状態の時間に対してそれぞれ数値「2」「1」「5」を乗算し、入力状態履歴α〜γの乗算値の加算結果が所定値以上になった場合に出力状態履歴を発生状態としてもよい。
また、図19に示す第12−5例または図20に示す第12−6例において、延べ発生時間に所定数値を乗算することにより重み付けを行うことが考えられる。
【0145】
<別の実施形態>
本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、前記各実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
【0146】
[ア]第2実施形態と第3実施形態を組み合わせ、履歴要素に含まれる監視結果の状態が、発生状態、復帰状態、不定状態、参照不要状態の4つの情報値を有するように設定してもよい。
また、監視ネットワークの監視対象に応じて、監視結果に新たな状態を追加してもよく、参照不明状態、参照先無し状態を追加することが考えられる。
【0147】
参照不明状態とは、参照不要状態であるかどうかかが不明な状態を表す。
例えば、図1に示す監視ネットワーク10の監視対象がテレビ放送の映像であり、映像に乱れが発生している状態を発生状態と定義した場合には、深夜の放送休止中の時間帯であるかどうか判断できないとき、映像に乱れが発生していても、その状態を発生状態と見なすかどうか定かではないため、監視システム20は参照不明状態として扱う。
この参照不明状態は不定状態と類似するように見えるが、不定状態が参照すべき状態であるにもかかわらず、状態を参照した結果、状態自体が不明である場合を指すのに対し、参照不要状態はその状態自体を参照すべきかどうかが定かでない場合を指す。
【0148】
参照先無し状態とは、監視対象の監視結果の状態を参照したところ、参照すべき状態が存在しない状態を表す。
例えば、図11に示す監視ネットワーク100の監視対象がテレビ放送で受信可能な全てのチャンネルの音声の有無であり、音声が有る状態を発生状態と定義した場合には、監視装置40aが故障したとき、監視すべき状態にもかかわらず、状態が取得できないため、監視システム20aは不定状態として扱う。
しかし、監視装置40bが故障していないとき、監視システム20aが誤って存在しないテレビ局の音声の有無を監視装置40bに問い合わせた場合、そもそも監視装置40bは当該テレビ局の音声を監視しておらず、監視結果の状態が存在しないため、監視システム20aは参照先無し状態として扱う。
これにより、監視対象の障害と監視システムの障害を明確に区別して管理することが可能となる。
【0149】
[イ]前記各実施形態の検知装置42,42a,42bは、予め設定しておいた一定時間毎(周期的)に監視対象の監視結果の状態を検知し、その検知結果を検知する度にコンピュータ本体41,21へ送信している。
しかし、検知装置42,42a,42bは、リアルタイムで監視対象の監視結果の状態を検知し、その検知結果をリアルタイムでコンピュータ本体41,21へ送信してもよい。
また、検知装置42,42a,42bは、監視対象の監視結果の状態を検知し、その状態が変化したときにのみ、その検知結果をコンピュータ本体41,21へ送信してもよい。
【0150】
[ウ]前記各実施形態において、個々の監視装置40,40a〜40eは1個の検知装置42を内蔵しているが、個々の監視装置40,40a〜40eは複数個の検知装置42を内蔵してもよい。
また、第10〜13実施形態において、監視システム110a,110bは1個の検知装置42を内蔵しているが、監視システム110a,110bは複数個の検知装置42を内蔵してもよい。
【0151】
[エ]前記各実施形態では、マイクロコンピュータシステムによって構成されたコンピュータ本体21,41によるソフトウェア的な処理によって監視システムおよび監視装置の前記動作を実現している。
しかし、監視システムおよび監視装置の前記動作を実現する機能を備えた専用の回路をハードウェアとして設けることにより、その専用回路にコンピュータ本体21,41を置き換えてもよい。
【0152】
[オ]前記各実施形態は記録媒体としてRAM33またはHDD35を用いているが、監視システムおよび監視装置の前記動作を確実に行うことが可能であれば、RAM33やHDD35をどのような記録媒体に置き換えてもよい。
【0153】
[カ]前記各実施形態において、状態履歴,状態履歴の識別子,属性情報に対する生成権,参照権,書込権,利用権,参照権の販売権利を、監視ネットワークの利用者や利用者グループ毎に管理する機能や、履歴演算機能の利用権や販売権を利用者や利用者グループ毎に管理する機能を持ち、各利用者が前記各権利を得たり行使することに対して課金し、監視ネットワークの管理者,状態履歴の作成者,履歴演算機能の作成者,販売権者に対して課金した代金を支払うようにしてもよい。
【0154】
[キ]前記各実施形態を適宜組み合わせて実施してもよく、その場合には組み合わせた実施形態の作用・効果を合わせもたせたり、相乗効果を得ることができる。
【0155】
<用語の説明>
[特許請求の範囲]および[課題を解決するための手段]に記載した構成要素と、[発明を実施するための形態]に記載した構成部材との対応関係は以下のようになっている。
【0156】
「検知手段」は、検知装置42,42a,42bに該当する。
「計時手段」は、時計装置43に該当する。
「状態履歴生成手段」は、監視装置40のコンピュータ本体41、監視システム110a,110bのコンピュータ本体21に該当する。
「記憶手段」は、監視装置40のRAM33に該当する。
「送信手段」は、監視装置40の入出力装置34に該当する。
「受信手段」は、監視システム20,110a,110bの入出力装置34に該当する。
「記憶管理手段」は、監視システム20,110a,110bのRAM33またはHDD35に該当する。
「演算手段」は、監視システム20,110a,110bのCPU30またはGPU31に該当する。
「通知手段」は、監視システム20,110a,110bの表示装置23または通知装置24に該当する。
【符号の説明】
【0157】
10,100,200,300…監視ネットワーク
20,20a〜20c,110a,110b…監視システム
21…監視システムのコンピュータ本体
22…入力装置
23…表示装置
24…通知装置
30…CPU
31…GPU
32…ROM
33…RAM
34…入出力装置(I/O)
35…HDD
40,40a〜40e…監視装置
41…監視装置のコンピュータ本体
42,42a,42b…検知装置
43…時計装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1台または複数台の監視装置と、通信回線と、監視システムとを備えた監視ネットワークであって、
前記監視装置は、
監視ネットワークにおける監視対象の監視結果の状態を検知する検知手段と、
現在時刻を計測する計時手段と、
前記検知手段の検知結果に基づき、前記監視結果の状態を判定し、その監視結果の状態が変化する度に履歴要素を生成し、前記計時手段が計測した現在時刻に基づいて前記検知手段が前記監視結果の状態を検知した時刻を確定時刻とし、その確定時刻と前記履歴要素とを組み合わせて状態履歴を生成する状態履歴生成手段と、
前記状態履歴生成手段が生成した前記状態履歴を記憶する記憶手段と、
前記状態履歴生成手段が生成した前記状態履歴を前記通信回線を介して送信する送信手段と
を備え、
前記監視システムは、
前記1台または複数台の監視装置から前記通信回線を介して送信されてくる前記状態履歴を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記状態履歴を記憶して管理する記憶管理手段と
を備え、
前記状態履歴は、前記確定時刻と1個以上の履歴要素とが1つに配列されて構成され、
前記確定時刻は、前記状態履歴が確定している時点の時刻の情報であり、
前記履歴要素は、変化時刻および前記監視結果の状態から構成され、
前記変化時刻は、前記監視結果の状態が変化した時刻の情報であり、
前記監視結果の状態は、発生状態と復帰状態の2つの情報値を有し、
前記発生状態は、予め規定されている状態が前記監視対象に起こっていることを表し、
前記復帰状態は、前記発生状態が無くなったことを表す
ことを特徴とする監視ネットワーク。
【請求項2】
請求項1に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視結果の状態は、前記発生状態と前記復帰状態の2つの情報値に加えて、不定状態、参照不要状態、参照不明状態、参照先無し状態から成るグループから選択された少なくとも1つの情報値を有し、
前記不定状態は、前記発生状態とも前記復帰状態とも判断がつかない状態を表し、
前記参照不要状態は、前記監視結果の状態を参照することが禁止されている状態を表し、
前記参照不明状態は、前記参照不要状態であるかどうかかが不明な状態を表し、
前記参照先無し状態とは、参照すべき前記監視結果の状態が存在しない状態を表すことを特徴とする監視ネットワーク。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の監視ネットワークにおいて、
前記状態履歴生成手段は、前記計時手段の計測した現在時刻を生存確認時刻とし、その生存確認時刻と前記確定時刻と前記履歴要素とを組み合わせて前記状態履歴を生成し、
前記状態履歴は、前記生存確認時刻と前記確定時刻と1個以上の履歴要素とが1つに配列されて構成され、
前記生存確認時刻は、前記監視装置の正常な動作が確認された最新の時刻の情報であることを特徴とする監視ネットワーク。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視システムは、前記記憶管理手段に記憶している前記状態履歴に対して識別子および属性情報を付与して紐付け管理することを特徴とする監視ネットワーク。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視システムは、1個または複数個の前記状態履歴を関数の引数とし、前記状態履歴を加工して得られた新たな状態履歴を生成し、複数個の前記状態履歴を相互に作用させて得られた新たな状態履歴を生成する演算手段を備えることを特徴とする監視ネットワーク。
【請求項6】
請求項5に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視システムを複数台備え、前記複数台の監視装置および監視システムを階層構造またはメッシュ型構造で管理することを特徴とする監視ネットワーク。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視システムは、複数個の前記状態履歴について、前記確定時刻が同一であるならば、その確定時刻を共通にして、複数個の前記状態履歴に含まれる前記履歴要素を1つに配列することにより、複数個の前記状態履歴を1個の状態履歴として管理することを特徴とする監視ネットワーク。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視システムは、前記履歴要素に含まれる監視結果の状態が変化する度に、その監視結果の状態の変化に応じて、予め設定しておいたログ文字列を前記記憶管理手段に記憶させることを特徴とする監視ネットワーク。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視システムは、前記履歴要素に含まれる監視結果の状態が変化する度に、その監視結果の状態の変化に応じて、視覚的通知手段、聴覚的通知手段、触覚的通知手段から成るグループから選択された少なくとも1つの通知手段により、前記監視結果の状態の変化を監視ネットワークの管理者へ通知することを特徴とする監視ネットワーク。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視結果の状態が、前記監視結果の数値に置き換えられ、
前記履歴要素は、前記変化時刻および前記監視結果の数値から構成され、
前記監視結果の数値は、予め設定しておいた閾値を超えて変化した時点の数値の情報であることを特徴とする監視ネットワーク。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおいて、
前記監視結果の状態が、前記監視結果の文字列に置き換えられ、
前記履歴要素は、前記変化時刻および前記監視結果の文字列から構成されることを特徴とする監視ネットワーク。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおける前記各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の監視ネットワークにおける前記各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate


【公開番号】特開2012−59188(P2012−59188A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204147(P2010−204147)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(398035604)株式会社トラフィック・シム (8)
【Fターム(参考)】