説明

監視制御システム

【課題】計算処理や通信にかかる負荷を低減し、リアルタイムで識別性の高い入力情報を表示できる監視制御システムを得ることを目的とする。
【解決手段】各コンソールは、自コンソールの操作情報の受付け、受付けた操作情報の他のコンソールへの送信、および他のコンソールの操作情報の受信、および収集した操作情報にコンソールを識別するための識別情報識別情報を付与した操作表示情報の生成、を行う操作情報管理部121、221と、操作表示情報に基づいて、コンソールを識別できる操作イメージを生成する入出力I/F生成部104、204と、を備え、運転用コンソール1の入出力I/F生成部104は、監視制御部103が生成した画面コンテンツを基に基本画面イメージを生成し、生成した基本画面イメージを、管理用コンソール2に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して接続された複数のコンソールによって監視制御を行う監視制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力プラントのような大きな設備を対象とする監視制御システムでは、監視制御の操作を行う運転員のための運転員用コンソールと、運転員による操作内容を管理者が確認するための管理者用コンソールとをネットワークを介して接続し、それぞれのディスプレイで操作状態をリアルタイムでモニタできるようにしている。そして、管理者用コンソールでは、運転員用コンソールでのディスプレイと同じ画面をモニタするだけでなく、その操作の承認や、場合によっては直接操作制御を行うというように、コンソール間で連携して監視制御を行うことにより、監視制御状態を多重にチェックできるようにしている。
【0003】
このようなシステムでは、マウスカーソルのような入力操作に関わるイメージが、自己のものか他のものかを区別するだけでなく、その入力操作が直接運転操作に影響するのか否かなどが容易に識別できものであり、各コンソールで遅滞なく表示される必要がある。そこで、監視制御で用いられる画像の中から、マウスカーソルの画像を抽出し、情報量は多いが変化の小さな監視制御用の基本画面と、情報量は少ないが変化が大きくリアルタイム性を要求されるマウスカーソルの情報とを分離して処理する遠方監視システムが提案されている(例えば特許文献1参照。)。また、サーバ側の入力デバイスのドライバと操作インタフェースとの間にデバイス中継サーバを設け、クライアント側のGUIインタフェースにはドライバとデバイス中継サーバを並列接続し、サーバ側からクライアント側に別途送信されたサーバ側の操作情報と、クライアント側のドライバからの操作情報を並行してGUIインタフェースに出力する監視制御装置も提案されている(例えば特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−179526号公報(段落0175〜0187、図19〜図21)
【特許文献2】特開2010−262323号公報(段落0012〜0027、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像データからマウスカーソルの情報を抽出するような構成では、計算機に余分な処理負荷がかかり、マウス以外のテキスト入力を区別することができず、さらには誤認する可能性もあった。また、GUIインタフェースにサーバ側の操作情報とドライバからの操作情報を一括して出力する構成では、GUIインタフェースが入力された操作情報がどのデバイス由来のものかを個別に管理して監視画面に合成するか否かを判断・処理する必要があり、処理負荷が増大して高速に処理することが困難になるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、計算処理や通信にかかる負荷を低減し、リアルタイムで識別性の高い操作情報を表示できる監視制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の監視制御システムは、ネットワークを介して接続した2つのコンソールを備え、前記2つのコンソールのうちの一方を被監視制御系の監視制御の運転用として、他方を前記一方のコンソールの操作の管理用として使用する監視制御システムであって、前記2つのコンソールのそれぞれは、当該コンソールの操作に用いる入力デバイスと、前記入力デバイスの操作情報の受付け、受付けた操作情報の他のコンソールへの送信、および前記他のコンソールの入力デバイスの操作情報の受信を行うとともに、収集した操作情報に、いずれのコンソールからの操作情報であるかを識別するための識別情報を付与した操作表示情報を生成する操作情報管理部と、前記操作表示情報に基づいて、いずれのコンソールで行われた操作かが区別できるように入力デバイスでの操作を示す操作イメージを生成するとともに、前記操作イメージと基本画面イメージとを合成して、監視制御のための入出力インタフェースイメージを生成する入出力インタフェース生成部と、前記入出力インタフェース生成部が生成したインタフェースイメージを表示する画像表示装置と、前記基本画面イメージを前記他のコンソールと送受信するための画像データ中継部と、を備えるとともに、前記一方のコンソールは、監視制御を行うための画面コンテンツを生成する監視制御部をさらに備え、前記一方のコンソールの入出力インタフェース生成部は、前記監視制御部が生成した画面コンテンツを基に前記基本画面イメージを生成するとともに、生成した基本画面イメージを、前記画像データ中継部を介して前記他方のコンソールに送信し、前記他方のコンソールの入出力インタフェース生成部は、前記一方のコンソールの入出力インタフェースが生成した基本画面イメージを、前記画像データ中継部を介して受信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の本発明の監視制御システムによれば、操作情報の送受信や、由来を識別する情報を付与する操作情報管理部を設けることにより、計算処理や通信にかかる負荷を低減し、リアルタイムで識別性の高い画面表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる監視制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる監視制御システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる監視制御システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる監視制御システムの画面表示の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1にかかる電力系統用の監視制御システム10について図を用いて説明する。図1〜図4は本実施の形態1にかかる電力系統用の監視制御システムについて説明するためのもので、図1は監視制御システムの構成を示すブロック図、図2と図3は監視制御システムの動作を説明するためのもので、図2は操作情報管理部での動作を示すフローチャート、図4は入出力インタフェース生成部での動作を示すフローチャートである。また、図4は監視制御システムの各コンソールにおける画面表示の例を示す図である。
【0011】
本実施の形態1にかかる監視制御システムが求められる理由として、はじめに、本監視制御システムの効果を発揮するのに好適な監視制御のひとつである電力系統について説明する。電力系統は、発電所で生産した電気を家庭や工場などへ送る為の発電所、変電所、送電線などの設備からなる電気のネットワークである。電力系統はライフラインと呼ばれるように、生活や産業にとって途切れることが許されないシステムであり、高信頼性:24時間・365日のノンストップ運転、安定性能:台風・雷発生等の自然災害時も安定した性能を確保、長期稼動性:10年〜15年の長期連続稼動、操作性:誤操作・誤制御の無い使い易さ、のように、数多くの厳しい要件が課せられている。これらの要件に応えるため、電力系統用の監視制御システムでは、どのような状況になっても最適な監視制御ができるよう、多重チェックできることが求められている。
【0012】
そこで、監視制御システム10としては、図1に示すように、監視制御の実務を担当する運転員用の第1コンソール1と、運転員の操作を管理するために、第1コンソール1で行われる操作のモニタ、承認および運転員に代わる操作を行うための管理者用の第2コンソール2と、第1コンソール1と第2コンソール2とを結ぶネットワーク51とを備えている。
【0013】
つぎに、各コンソールの構成について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1にかかる監視制御システム10の構成図である。この構成では、第1コンソール1を運転員の運転操作用に用いられる運転用(被モニタ側)のコンソール、第2コンソールを、例えば運転員の上長となる管理者用(モニタ側)のコンソールとして説明する。両コンソール1と2は、基本的には以下に説明するように、同様の構成のものを用いることができ、役割を入れ替えて使用することもできるが、説明を容易にするため、役割を固定し、第1コンソール1の操作のみが監視制御に影響する、つまり運転制御の制御権が与えられているものとして説明する。
【0014】
運転制御に用いられる第1コンソール1は、監視制御対象設備の情報を収集する図示しない制御機器から各種監視情報の処理結果データを受信したり、監視制御対象設備に対する指令を制御機器経由で送信したりする運転用計算機11を有する。運転用計算機11は汎用のパーソナルコンピュータまたはエンジニアリングワークステーションで構成され、OS上に各種ソフトウェアがインストールされることにより、所定の処理動作を実行するハードウェアのように機能する機能部を形成する。そして、第1コンソール1を操作する運転員が制御操作を行うための装置として、入力デバイスであるマウス13とキーボード14が接続され、さらに、画像表示装置としてCRTや液晶などのディスプレイ装置12が接続される。なお、電力系統のように大きな設備を監視制御対象とする場合、通常、仕様の異なる複数のディスプレイを備えることが多いが、ここでは簡略化して1台のディスプレイ装置を接続した例を記載している。
【0015】
運転用計算機11では、監視制御対象設備の制御機器と監視制御業務を遂行するために必要な情報のやり取りを行うための画面コンテンツを生成する監視制御部103が形成されている。そして、監視制御部103から得た画面コンテンツを基に生成した画像をディスプレイ12で提示し、入力デバイスであるマウス13とキーボード14による運転員からの指示を監視制御部103に出力するためのインタフェース、つまり監視制御のための入出力インタフェースを生成する入出力インタフェース生成部104が形成されている。入出力インタフェース生成部104は、いわゆるGUI(Graphic User Interface)ソフトウェアで、一般的なものにX Window Systemなどがある。ここで、本実施の形態1にかかる監視制御システムでは、入出力インタフェース生成部104には、マウスドライバ101及びキーボードドライバ102から操作情報が直接入力されるのではなく、間に挿入した操作情報管理部121によって所定の情報が付与された操作表示情報が入力されるようにしている。
【0016】
操作情報管理部121は、操作情報を受信すると、その操作情報が自コンソール(第1コンソール1)の入力デバイスから出力されたものか、他コンソール(第2コンソール2)の入力デバイスから出力されたものかであるか、および、その操作情報が監視制御の動作に直接影響するものか無視すべきものかを区別できるように操作表示情報を生成する。
【0017】
つまり、本発明の実施の形態1にかかる監視制御システム10では、マウス操作やキーボード操作といった入力操作に関する操作情報を、入出力インタフェース生成部104に代わって、操作情報管理部121で処理するようにした。そのため、マウス13やキーボード14といった入力デバイスからの操作信号を受け付けるドライバ101、102と、画面表示処理を行う入出力インタフェース生成部104との間に操作情報管理部121を介在させる。そして、入出力インタフェースを生成するための情報のうち、入力操作に関する操作情報を、後述する基本画面の情報とは別に、ネットワーク51を通して第2コンソール2と送受信(図では送信のみ表示)するようにした。
【0018】
入出力インタフェース生成部104は、監視制御部103から入力された監視制御画面情報である画面コンテンツから入出力インタフェースに適した表示を行うための基本画面イメージデータを生成する。そして、操作情報管理部121から入力された操作表示情報に基づいて、自コンソール1の入力操作機器(マウス13、キーボード14)のものか、他コンソール2の入力操作機器(マウス23、キーボード24)から出力されたものかであるか、および監視制御の動作に直接影響するものかどうかが区別できるように操作表示イメージデータを生成する。そして、操作表示イメージが前面に出るように、操作イメージデータと基本画面イメージデータとを合成したインタフェースイメージデータをディスプレイ装置12に出力し、監視制御のための入出力インタフェース画像がディスプレイ装置12に表示される。
【0019】
また、他コンソール2と入出力インタフェース生成部104とで基本画面イメージデータの送受信を行うための画像データ中継部105が形成されている。画像データ中継部105は、操作情報管理部121とは独立して送受信を行えるように、ネットワーク51に接続されている。
【0020】
管理用の第2コンソール2も、モニタ用計算機21を有する。モニタ用計算機21も、運転用計算機11と同様に、汎用のパーソナルコンピュータまたはエンジニアリングワークステーションで構成され、管理者が操作を行うための装置として、入力デバイスであるマウス23とキーボード24が接続され、さらに、画像表示装置としてCRTや液晶などのディスプレイ装置22が接続される。
【0021】
モニタ用計算機21でも、運転用計算機11と同様にOS上に各種ソフトウェアがインストールされることにより、様々な動作を実現するハードウェアのように機能する。そして、監視制御対象設備の制御機器と、監視制御業務を遂行するために必要な情報のやり取りを行うための画面コンテンツを生成する監視制御部203が形成されている。そして、監視制御部203から得た画面コンテンツを基に生成した画像をディスプレイ22で提示し、入力デバイスであるマウス23とキーボード24による管理者からの指示を監視制御部203に出力するためのインタフェース、つまり監視制御のための入出力インタフェースを生成する入出力インタフェース生成部204が形成されている。また、入出力インタフェース生成部204と、マウスドライバ201及びキーボードドライバ202との間には、操作情報管理部221が設けられ、入出力インタフェース生成部204には、操作情報に所定の情報が付与された操作表示情報が入力されるようにしている。
【0022】
また、他コンソール(第1コンソール1)と入出力インタフェース生成部204との基本画面イメージデータの送受信を行う画像データ中継部205が形成されている。画像データ中継部205は、他コンソール1の画像データ中継部105とネットワーク51に接続されることにより、操作情報管理部221による操作情報とは独立して他コンソール1と基本画面イメージデータの送受信を行う。
【0023】
しかし、第2コンソール2に制御権を与えずモニタとしてのみ機能させている、つまり第2コンソール2の操作が監視制御に直接影響しない場合、監視制御部203は機能させない。そして、入出力インタフェース生成部204は、操作情報管理部221から入力された操作情報から操作イメージデータは作成するが、自身では基本画面イメージデータは生成しない。その代わりに、運転用計算機11の画像データ中継部105から送信された基本画面イメージデータと生成した操作イメージデータを合成してディスプレイ22に出力するようにする。
【0024】
次に動作について図2、3のフローチャートを用いて説明する。
ここでは、第1コンソール1に監視制御の制御権があり、第2コンソール2は、モニタのみ行うと仮定する。なお、本実施の形態1にかかる制御監視システム10は、操作イメージデータを生成するための情報処理や送受信方法に特徴を有するものであるため、監視制御部103への入出力インタフェース生成部104からの出力、つまり監視制御対象に対する監視制御動作についての記載は省略する。
【0025】
まず、第1コンソール1側の動作から説明する。
操作情報管理部121は、第1コンソール1(自コンソール)や第2コンソール2(他コンソール)の制御権の有無、つまり操作の監視制御への有効性に関する連携情報を取得する。この状態で、運転員または管理者が自コンソール1または他コンソール2の入力デバイスを操作すると、自コンソール1の入力ドライバ101、102あるいは、他コンソール2の操作情報管理部221から操作情報管理部121にマウスの位置やクリックの有無、押したキー種等の情報といった操作情報が出力される。操作情報管理部121は、操作情報を受信する(ステップS20で「Y」)と、自コンソール1や他コンソール2の制御権の有無といった連携情報に基づき、受信した操作情報に、受信した操作情報の発信元と制御権の有無を識別できる識別情報を付加した操作表示情報を生成する(ステップS30)。
【0026】
このとき、操作情報管理部121は、自コンソール1からの操作情報に対しては、制御権を有することと、自コンソール1であることを示す識別情報を付加した操作表示情報を生成し、他コンソール2からの操作情報に対しては、制御権のないことと、他コンソール2であることを示す識別情報を付加して操作表示情報を生成する。
【0027】
生成した操作表示情報は、入出力インタフェース生成部104に出力される(ステップS40)。そして、自コンソール1の入力デバイスからの操作情報は、他コンソール2の操作情報管理部221にネットワーク51経由で送信される(ステップS50)。
【0028】
操作表示情報が入力された入出力インタフェース生成部104は、受信した操作表示情報に、制御権を有すること、自コンソール1であることを示す識別情報が付加されていれば、図4(a)に示すように制御権を示す手先形状で、自コンソール1であることを示す太線のカーソルC11を表示するように操作イメージデータを生成する(ステップS400)。あるいは、受信した操作表示情報に、モニタ機能のみ(制御権なし)であること、他コンソール2であることを示す識別情報が付加されていれば、モニタを示す瞳形状で、他コンソール2であることを示す細線のカーソルC12を表示するように操作イメージデータを生成する。このとき、カーソルの表示方法は、受信した操作表示情報に付加された識別情報に基づいて機械的に選択すればよいので、入出力インタフェース生成部104が表示方法を判断するための余計な演算をする必要はない。
【0029】
そして、自コンソール1は制御権を有するので(ステップS410で「Y」)、入出力インタフェース生成部104には、監視制御部103が制御機器から受信したデータを元に生成した監視制御用の画像を生成するための画面コンテンツが入力される(ステップS500)。入出力インタフェース生成部104は、入力した画面コンテンツから基本画面イメージデータを生成する(ステップS510)。生成した基本画面イメージデータを他コンソール2で表示できるように画像データ中継部105に出力する(ステップS520)。画像データ中継部105に出力された基本画面イメージデータは、ネットワーク51を介して他コンソール2に送信される。そして、生成した操作イメージが前面に表示されるように操作イメージデータと基本画面イメージデータを合成した入出力インタフェースイメージ(データ)をディスプレイ12に出力する(ステップS700)。すると、ディスプレイ12には、図2(a)に示すように基本画面D1Bの前面に自コンソール1のカーソルC11と他コンソール2のカーソルC12が表示される画面D1が表示される。
【0030】
このとき、第2コンソール2は、以下のように動作する。
操作情報管理部221は、第2コンソール2(自コンソール)や第1コンソール1(他コンソール)の制御権の有無に関する連携情報を取得する。この状態で、管理者または運転員が自コンソール2または他コンソール1の入力デバイスを操作すると、自コンソール2の入力ドライバ201、202あるいは、他コンソール1の操作情報管理部121から操作情報管理部221に操作情報が出力される。操作情報管理部221は、操作情報を受信する(ステップS20で「Y」)と、自コンソール2や他コンソール1の制御権の有無といった連携情報に基づき、受信した操作情報に、受信した操作情報の発信元と制御権の有無を識別できる識別情報を付加した操作表示情報を生成する(ステップS30)。
【0031】
自コンソール2からの操作情報に対しては、制御権を有しないことと、自コンソール2であることを示す識別情報を付加した操作表示情報を生成し、他コンソール1からの操作情報に対しては、制御権を有することと、他コンソール1であることを示す識別情報を付加して操作表示情報を生成する。
【0032】
生成した操作表示情報は、入出力インタフェース生成部204に出力される(ステップS40)。そして、自コンソール2の入力デバイスから受信した操作情報は、他コンソール1の操作情報管理部121にネットワーク51経由で送信される(ステップS50)。
【0033】
操作表示情報が入力された入出力インタフェース生成部204は、受信した操作表示情報に、制御権を有しないこと、自コンソール2からであることを示す識別情報が付加されていれば、図4(b)に示すようにモニタ機能のみを示す瞳形状で、自コンソール2であることを示す太線のカーソルC22を表示するように操作イメージデータを生成する(ステップS400)。あるいは、受信した操作表示情報に、制御権のあること、他コンソール1からであることを示す識別情報が付加されていれば、制御権を示す手先形状で、他コンソール1であることを示す細線のカーソルC21を表示するように操作イメージデータを生成する。
【0034】
そして、自コンソール2は制御権を有しないので(ステップS410で「N」)、入出力インタフェース生成部204には、ネットワーク51を介して画像データ中継部205が受信したコンソール1の基本画面イメージデータが入力される(ステップS600)。そして、生成した操作イメージが前面に表示されるように操作イメージデータと基本画面イメージデータを合成した入出力インタフェースイメージ(データ)をディスプレイ22に出力する(ステップS700)。すると、ディスプレイ22には、図2(b)に示すように基本画面D2Bの前面に自コンソール2のカーソルC22と他コンソール1のカーソルC21が表示される画面D2が表示される。
【0035】
これにより、情報量は多いが変化の小さい監視制御用の基本画面イメージデータが画像データ中継部105−205間で、情報量は少ないが変化の大きな操作の状態を示す操作イメージデータが操作情報管理部121−221間というように、別系統で送受信される。そのため、それぞれの系統で、イメージの特性に応じた送信タイミングや送信容量を最適化することにより、リアルタイムで精細な画面表示を複数のコンソールで表示することができる。さらに、操作情報管理部121、221で、入力デバイスの由来の区別や制御権の有無を判断して、識別できるように識別情報を付加した操作表示情報生成し、入出力インタフェース生成部104、204には、識別情報を有する操作表示情報が入力されるようにした。そのため、入出力インタフェース生成部104、204の処理負荷を重くすることなく、自コンソールの操作か他コンソールの操作か、あるいはその操作が監視制御の出力に反映させるものか、参考程度に表示するだけかといった違いを誤認することなく一目で判断できるイメージデータの生成、および画面表示が可能となる。
【0036】
つまり、モニタ側なのか制御側なのかといった制御権の有無の違いが操作表示情報で区別できるので、汎用のGUIソフトウェアを用いて入出力インタフェース生成部104、204を形成することができる。
【0037】
なお、第2コンソール2を単純なモニタ機能に限定し、マウス23やキーボード24からの操作を無視する状態に設定されているときは、操作情報管理部221は、マウス23やキーボード24からの入力があっても、自コンソール2の操作表示情報を作らないようにしてもよい。この場合、例えば、第1コンソール1の入出力インタフェース生成部104は、画像データ中継部105に、ディスプレイ12に出力するのと同じ入出力インタフェースイメージデータを出力し、第2コンソール2では、画像データ中継部205が受信した入出力インタフェースイメージデータを直接ディスプレイ22に出力するようにしてもよい。
【0038】
そのような場合、第2コンソール2で複数のキーを同時に押すなどの特殊なキー操作を実行する、あるいは、第1コンソール1側での解除操作をすることによって、第2コンソール2での承認や監視制御等のためのキーボード24、マウス23による入力操作等を受け付けるようにすればよい。
【0039】
また、制御権の有無や自コンソールか他コンソールかを区別するための表現は、カーソルの形状や文字の手先形状か瞳形状かに限ることなく、点滅や色、大きさなど、多様な表現方法で区別できる。さらに、上記の例では制御権や自他の区別について説明したが、これに限ることはない。例えば第2コンソール2で第1コンソール1の操作状態をモニタしているか否かといった状態を操作表示情報に付与し、その情報に基づいてカーソルの表現を変えるようにすれば、運転員は自身の操作を上長がモニタしてくれているのか否かを認識して操作することもできる。あるいは、入出力インタフェース画面内の領域ごとに制御権を設定するような場合でも、マウスの位置に応じて制御権の有無を区別して表示を変化させることができる。つまり、コンソール間の様々な連携状態やインタフェース画面内の様々な条件について区別する識別情報を操作表示情報に付与することで、画面内での自他の役割や権限等を認識して操作することができる。
【0040】
また、上記例では、制御権を一方のコンソール(第1コンソール1)のみに固定して付与した場合について説明したが、制御権は入力操作によって適宜変更できるものであってよい。例えば、第1コンソール1で運転員が上長の承認が必要な制御操作を行った場合、第2コンソール2に制御権が移り、第2コンソール2において上長が承認を示す入力をしないと第1コンソール1で次の入力ができないようにしてもよい。この場合、承認の入力があるとまた第1コンソール1に制御権を移すようにすればよい。
【0041】
さらに、上記例では、第1コンソール1で操作をし、第2コンソール2でモニタする計2つのコンソール1、2をネットワーク51で接続した例について説明したが、これに限ることはない。例えば、3台以上のコンソールを接続し、複数のコンソールで操作を分担したり、複数のコンソールでモニタしたりするようにしてもよい。この場合、操作情報管理部121、221において、識別情報にコンソールのIDを付与するようにすれば、入出力インタフェース生成部104、204でIDを識別できるような操作イメージデータの生成や、表示する必要があるか否かを区別した操作イメージの生成を行うことができる。
【0042】
また、上記例では、操作表示としてマウスカーソルを例にしたが、キーボードの入力でも同様である。例えば制御権を有する第1コンソール1でキーボード入力した場合は入力した値や文字列が監視制御に反映されるようにし、制御権のない第2コンソール2でキーボード入力した場合は、入力した値や文字列が指示事項を書いたメモのように表示されるようにしてもよい。
【0043】
また、上記例では、監視制御部203をモニタ用計算機21にも設けている例を示したが、これに限ることはなく、運転用計算機11のみに設けるようにしてもよい。
【0044】
以上のように、本発明の実施の形態1にかかる監視制御システム10によれば、ネットワーク51を介して接続した2つのコンソール1、2を備え、2つのコンソール1、2のうちの一方(第1コンソール1)を図示しない被監視制御系の監視制御の運転用として、他方(第2コンソール2)を第1コンソール1の操作の管理用として使用する監視制御システム10であって、2つのコンソールのそれぞれは、当該コンソールの操作に用いる入力デバイス13と14、23と24、と、入力デバイスの操作情報の受付け、受付けた操作情報の他のコンソール(1に対する2、2に対する1)への送信、および他のコンソールの入力デバイスの操作情報の受信を行うとともに、収集した操作情報に、いずれのコンソールからの操作情報であるかを識別するための識別情報を付与した操作表示情報を生成する操作情報管理部121、221と、操作表示情報に基づいて、いずれのコンソールで行われた操作かが区別できるように入力デバイスでの操作を示す操作イメージを生成するとともに、操作イメージと基本画面イメージとを合成して、監視制御のための入出力インタフェースイメージを生成する入出力インタフェース生成部104、204と、入出力インタフェース生成部104、204が生成したインタフェースイメージを表示する画像表示装置12、22と、基本画面イメージを他のコンソールと送受信するための画像データ中継部105、205と、を備えるとともに、少なくとも第1コンソール1は、監視制御を行うための画面コンテンツを生成する監視制御部103をさらに備え、第1コンソール1の入出力インタフェース生成部104は、監視制御部103が生成した画面コンテンツを基に基本画面イメージを生成するとともに、生成した基本画面イメージを、画像データ中継部105を介して第2コンソール2に送信し、第2コンソールの入出力インタフェース生成部204は、第1コンソール1の入出力インタフェース104が生成した基本画面イメージを、画像データ中継部205を介して受信する、ように構成したので、情報量の多い基本画面イメージと、変化の大きな操作イメージとを分けて送受信することで、リアルタイム性と情報量を確保できる。そして、操作情報管理部121、221が入力操作情報の送受信や、由来を識別する識別情報の付与を行うようにしたので、(とくに入出力インタフェース104、204での)計算処理負荷を重くすることなく、入力元コンソールを容易に識別できるようにマウスカーソルのような操作イメージを表示できる。
【0045】
さらに、識別情報に、コンソール1、2間の連携状態を示す連携情報を含むようにし、入出力インタフェース生成部104、204は、識別情報に含まれる連携情報に基づいて連携状態を識別できるように操作イメージを生成するようにしたので、表示された操作イメージを見るだけで連携状態が認識できる。
【0046】
とくに、連携情報に、各コンソール1、2のそれぞれの操作の、被監視制御系の監視制御における有効性についての情報を含むようにすれば、表示された操作イメージを見るだけで監視制御に影響のあるものか否かを容易に区別することができる。
【0047】
また、少なくとも管理用として使用する第2コンソール2にも、監視制御を行うための画面コンテンツを生成する監視制御部203が備えられているようにすれば、状況に応じてコンソールの役割を随時入れ替えることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 第1コンソール、 2 第2コンソール、 10 監視制御システム、
11 第1コンソールの計算機(101:マウスドライバ、102:キーボードドライバ、103:監視制御部、104:入出力インタフェース生成部、105:画像データ中継部、121:操作情報管理部)、 12 第1コンソールのディスプレイ(画像表示装置)、 13 第1コンソールのマウス(入力デバイス)、 14 第1コンソールのキーボード(入力デバイス)、
21 第2コンソールの計算機(201:マウスドライバ、202:キーボードドライバ、203:監視制御部、204:入出力インタフェース生成部、205:画像データ中継部、221:操作情報管理部)、 22 第2コンソールのディスプレイ(画像表示装置)、 23 第1コンソールのマウス(入力デバイス)、 24 第2コンソールのキーボード(入力デバイス)、
51 (コンソール間を結ぶ)ネットワーク、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続した2つのコンソールを備え、前記2つのコンソールのうちの一方を被監視制御系の監視制御の運転用として、他方を前記一方のコンソールの操作の管理用として使用する監視制御システムであって、
前記2つのコンソールのそれぞれは、
当該コンソールの操作に用いる入力デバイスと、
前記入力デバイスの操作情報の受付け、受付けた操作情報の他のコンソールへの送信、および前記他のコンソールの入力デバイスの操作情報の受信を行うとともに、収集した操作情報に、いずれのコンソールからの操作情報であるかを識別するための識別情報を付与した操作表示情報を生成する操作情報管理部と、
前記操作表示情報に基づいて、いずれのコンソールで行われた操作かが区別できるように入力デバイスでの操作を示す操作イメージを生成するとともに、前記操作イメージと基本画面イメージとを合成して、監視制御のための入出力インタフェースイメージを生成する入出力インタフェース生成部と、
前記入出力インタフェース生成部が生成したインタフェースイメージを表示する画像表示装置と、
前記基本画面イメージを前記他のコンソールと送受信するための画像データ中継部と、を備えるとともに、
前記一方のコンソールは、監視制御を行うための画面コンテンツを生成する監視制御部をさらに備え、
前記一方のコンソールの入出力インタフェース生成部は、前記監視制御部が生成した画面コンテンツを基に前記基本画面イメージを生成するとともに、生成した基本画面イメージを、前記画像データ中継部を介して前記他方のコンソールに送信し、
前記他方のコンソールの入出力インタフェース生成部は、前記一方のコンソールの入出力インタフェースが生成した基本画面イメージを、前記画像データ中継部を介して受信する、
ことを特徴とする監視制御システム。
【請求項2】
前記識別情報には、少なくとも前記2つのコンソール間の連携状態を示す連携情報が含まれており、
前記入出力インタフェース生成部は、前記連携情報に基づいて、連携状態を識別できるように前記操作イメージを生成することを特徴とする請求項1に記載の監視制御システム。
【請求項3】
前記連携情報には、少なくとも前記2つのコンソールのそれぞれの操作の、前記被監視制御系の監視制御における有効性についての情報が含まれていることを特徴とする請求項2に記載の監視制御システム。
【請求項4】
前記他方のコンソールにも、監視制御を行うための画面コンテンツを生成する監視制御部が備えられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の監視制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−226653(P2012−226653A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95096(P2011−95096)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】