説明

目地材

【課題】施工後においてその存在が目立ち難い目地材を提供する。
【解決手段】化粧パネル22と化粧パネル24との間に現れている棒状の目地形成材14はその全体が軟質樹脂で形成されているので、その幅を十分に狭くすることができる。また、目地形成材14の高さは、化粧パネル22,24の厚みよりも僅かに高く設定されており、その基部には、括れ部14bが形成されているので、施工時に目地形成材14を2枚の化粧パネル22,24で強く挟持すると、目地形成材14が均等に弾性変形し、化粧パネル22,24の表面側に僅かに突出した突出部14cが化粧パネル22,24側へ流れて化粧パネル22,24の板縁を覆い隠す。したがって、化粧パネル22,24と目地材10との間に影が生じることはなく、上述した目地形成材14の幅狭効果とも相俟って施工後に目立ち難い目地材10を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工後にその存在が目立ち難い目地材に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧パネルを壁面などの下地面に張設する際は、化粧パネルと化粧パネルとの間に隙間が生じるのを防止するために、化粧パネルと化粧パネルとの間の継ぎ目部分に目地材を配設することが一般に行われている。
【0003】
その一例として、例えば特許文献1には、その幅方向略中央部分に突条部がその長手方向全長にわたって曲折形成されている硬質樹脂製の平板基材と、前記突条部の上面ならびに左右両側面に設けられ前記突条部と溶融一体化されている軟質樹脂製の目地形成材とで構成された目地材が開示されている。
【0004】
この従来技術において、目地形成材を2枚の化粧パネルの間で挟み込むように化粧パネルと化粧パネルとの間に目地材を配設すると、各化粧パネルの端縁が軟質樹脂製の目地形成材と密着し、化粧パネルの継ぎ目部分において隙間が生じるのを防止することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59−38330号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の目地材においては、突条部の上面と左右両側面に目地形成材を設けるようにしているが、突条部は平板基材を曲折形成した構造のものであるため、その幅をある程度幅広のものにせざるを得ず、その表面に設けられている目地形成材も当然幅広なものとなってしまう。
【0007】
しかも、従来の目地材は、突条部の高さが化粧パネルの厚みよりも低く設定されており、施工後に目地形成材の上面が化粧パネルの表面よりも一段下がったところに位置してしまうため、目地材と化粧パネルとの境界部分に影が出来てしまい、上述した幅広の目地形成材とも相俟って、化粧パネルの施工後において、化粧パネルと化粧パネルとの間から覗いている目地材が目立ってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、施工後においてその存在が目立ち難い目地材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載した発明は、「硬質樹脂または軟質樹脂からなり、その表面側に化粧パネル22,24が配設される平板状の基礎パネル12と、軟質樹脂からなり、基礎パネル12の表面側にてその幅方向略中央部分に設けられ、その両側に化粧パネル22,24がセットされてその端面が当接される棒状の目地形成材14とを有しており、目地形成材14の基部には、化粧パネル22,24との当接面である側面14aから内側に凹んだ括れ部14bが形成されており、目地形成材14の高さは、化粧パネル22,24の厚みよりも僅かに高く設定されている」ことを特徴とする目地材10である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、「硬質樹脂または軟質樹脂からなり、その表面側に化粧パネル22が配設される平板状の基礎パネル12と、軟質樹脂からなり基礎パネル12の上面にてその幅方向一方端部に設けられ、その幅方向一方端側は壁面34に沿って配設され、幅方向他方端側には化粧パネル22がセットされることによってその端面が当接される棒状の目地形成材14とを有しており、目地形成材14の幅方向一方端部の端面は、基礎パネル12の幅方向一方端部の端面と面一か或いはやや外方に突出しており、目地形成材14の基部には、化粧パネル22ならびに壁面34に対する当接面から内側に控えた括れ部14bが形成されており、目地形成材14の高さは、化粧パネル22の厚みよりも僅かに高く設定されている」ことを特徴とする目地材30である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の目地材によれば、化粧パネルの敷設時に化粧パネルと化粧パネルとの間から覗く部分、すなわち、化粧パネルと化粧パネルとで挟持する部分が棒状の目地形成材だけで構成されているので、その幅を十分に狭くすることができる。
【0012】
また、目地形成材の基部には、括れ部が形成されており、目地形成材のうち括れ部よりも当接面側の部分が自由に弾性変形できる。したがって、化粧パネルの敷設時に目地形成材を2枚の化粧パネルでその両側から強く挟持すると、目地形成材のうち括れ部から表面側の部分が均等に弾性変形して化粧パネルと密着する。
【0013】
ここで、目地形成材は、その高さが化粧パネルよりも僅かに高く設定されている。したがって、目地形成材が弾性変形すると、化粧パネルの表面よりも僅かに突出している突出部が化粧パネル側へ流れ、化粧パネルの板縁を覆い隠す。したがって、化粧パネルと目地材との間において影が生じることはなく、上述した目地形成材の幅狭効果とも相俟って目地材の存在を非常に目立ち難いものとすることができる。
【0014】
なお、請求項2に記載の構成とすれば、化粧パネルと壁面との間に適用した場合にも上述と同様の効果を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる目地材を示す斜視図である。
【図2】本発明にかかる目地材を示す正面図である。
【図3】目地材の施工方法において、一方の化粧パネルを取り付けた状態を示す図である。
【図4】他方の化粧パネルを取り付けた状態を示す図である。
【図5】目地形成材の両側を2枚の化粧パネルで挟持している状態を示す図である。
【図6】本発明にかかる他の実施例の目地材を示す正面図である。
【図7】図6実施例の目地材の施工方法において、目地材を壁面の入隅部にセッティングした状態を示す図である。
【図8】化粧パネルを取り付けた状態を示す図である。
【図9】目地形成材を化粧パネルと壁面とで挟持している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図面に従って説明する。本発明にかかる目地材は、図1〜5に示すように2枚の化粧パネルの間に敷設するタイプのもの(実施例1)と、図6〜9に示すように壁面と化粧パネルとの間に敷設するタイプのもの(実施例2)とが存在する。以下、それぞれの実施例について詳細に説明する。
【0017】
[実施例1]
図1は、本発明にかかる目地材10を示す斜視図であり、図2は目地材10を示す正面図である。これらの図が示すように、本発明の目地材10は、合成樹脂を素材として形成された押出材を所定寸法にて切り出したもので、基礎パネル12と目地形成材14とが一体的に構成されている。
【0018】
基礎パネル12は、幅広で薄肉の矩形板状部分(帯状部分)であり、その表面側(後述する目地形成材14が取り付けられている側)であって幅方向両側の側縁は全長に亘って面取りがされている。基礎パネル12の材質としては、ABSやポリプロピレン等の硬質樹脂あるいは、塩化ビニル等の軟質樹脂を採用することができ、本実施例では、軟質樹脂である塩化ビニルが採用されている。
【0019】
基礎パネル12の横幅の長さは、特に決まっているわけではないが、施工時において隣合う2枚の化粧パネル22,24の端部が基礎パネル12にそれぞれ当接できる程度の長さがあれば良い。
【0020】
基礎パネル12の表面側であってその幅方向中央部分には、目地形成材14がその長手方向に沿って延びるように設けられている。
【0021】
目地形成材14は、塩化ビニル等の軟質樹脂からなる棒状部分で、化粧パネル22,24との当接面である目地形成材14の側面14aは、上述した基礎パネル12に対して略垂直となっている。基礎パネル12との接続部分であるその基部には、化粧パネル22,24との当接面である側面14aから内側に凹んだ括れ部14bが形成されている。括れ部14bの幅は、目地形成材14の側面14a間の幅よりも幅狭に設定されている。
【0022】
目地形成材14の上面であってその幅方向両側端部は、全長に亘って面取りがされている。なお、面取り部分は、目地形成材14の側面14aのうち、少なくとも化粧パネル22,24と接触しない領域に形成する必要がある。
【0023】
目地形成材14の高さは、化粧パネル22,24の厚みよりも僅かに高くなるように設定されている(すなわち、化粧パネル22,24の施工時に目地形成材14の頭部が化粧パネル22,24の表面から僅かに突出した状態となるように目地形成材14の高さが設定されている)。
【0024】
目地形成材14の幅は、特に限定されるものではないが、目地形成材14の目立ち難さを考慮すればできる限り幅狭に設定するのが好ましく、本実施例では約2mmに設定されている。
【0025】
なお、本実施例において目地材10は、基礎パネル12と目地形成材14とが溶融一体化された1本の押出材として形成されており、基礎パネル12と目地形成材14とは高い接合強度をもって接続されている。
【0026】
目地材10を使用する際には、まず、長尺帯状の目地材10を化粧パネル22,24と同じ長さに切断する。そして、下地面である壁面20と、壁面20に取り付けた一方の化粧パネル22との間の隙間に目地材10の基礎パネル12を、その片側の側縁を先頭にして差し込み目地形成材14の片側の側面14aを化粧パネル22の端部に当接させる(図3)。
【0027】
次に、他の化粧パネル24の端部を目地材10の目地形成材14の反対側の側面14aに沿わせるとともに基礎パネル12の反対側の表面に当接させる(図4)。目地形成材14の高さは、化粧パネルの厚みよりも僅かに高く設定されているので、2枚の化粧パネル22,24を取り付けたときには、目地形成材14が化粧パネル22,24よりも表面側に僅かに突出することとなる。なお、この僅かに突出した部分(図4の斜線部分)が突出部14cである。
【0028】
そして、図4の状態から、他の化粧パネル24を一方の化粧パネル22側へ向けて強く押し付け、目地形成材14を圧縮する(図5)。上述したように、棒状の目地形成材14はその全体が軟質樹脂によって形成されており、しかも、その基部には括れ部14bが形成されている。したがって、目地形成材14が化粧パネル22,24によってその両側から強く押圧されると、目地形成材14のうち括れ部14bよりも表面側の部分が化粧パネル22,24によって強く押圧されて均等に弾性変形する(図5の矢印参照)。そして、化粧パネル22,24の表面側や括れ部14bに逃げようとし、化粧パネルの表面側へ僅かに突出している突出部14cが左右の化粧パネル22,24側へ広がり、化粧パネル22,24の板縁を覆い隠す。
【0029】
そして、以上の作業を全ての化粧パネルについて行うことにより、化粧パネルの施工が完了する。
【0030】
化粧パネルの施工後において、化粧パネル22,24の間の隙間から現れるのは、目地材10の目地形成材14だけであり、その全体が軟質の合成樹脂により形成されているので、その幅を十分に狭くすることができる。
【0031】
しかも、この棒状で軟質樹脂製の目地形成材14は、その高さが化粧パネル22,24の厚みよりも僅かに高く設定されており、その基部には、括れ部14bが形成されているので、目地形成材14を化粧パネル22,24によってその両側から強く押圧すると、化粧パネル22,24によって強く押圧された部分が均等に弾性変形し、化粧パネル22,24の表面側へ僅かに盛り上がった突出部14cが、左右の化粧パネル22,24側へ広がって化粧パネル22,24の板縁を覆い隠すことができるので、化粧パネル22,24と目地材10との間に影が生じることはなく、上述した目地形成材14の幅狭効果とも相俟って目地材10の存在を非常に目立ち難いものとすることができる。
【0032】
[実施例2]
図6に示す第2実施例の目地材30は、基本的には第1実施例の目地材10と同様であるので、共通する部分については上述の記載を援用し、異なる部分について以下に説明することとする。
【0033】
本実施例の目地材30は、第1実施例の目地材10と同様、基礎パネル12と目地形成材14とで構成されており、目地形成材14が、基礎パネル12の幅方向一方端部(図6における右側端部)に設けられている。
【0034】
本実施例では、目地形成材14の幅方向一方端部端縁と、基礎パネル12の幅方向一方端部端縁とが略面一となるように設定されているが、目地形成材14の幅方向一方端部端縁が基礎パネル12の幅方向一方端部端縁よりも僅かに外側(外方)へ突出するように形成しても良い。
【0035】
目地材30を使用する際には、第1実施例と同様、長尺帯状の目地材30を化粧パネル22と同じ長さに切断する。そして、この所定長さに切断した目地材30を、壁の入隅部に配置する(図7)。この状態では、基礎パネル12の底面が一方の壁面32と当接しており、目地形成材14の幅方向一方端部(基礎パネル12が突出していない側)の側面14aが他方の壁面34と当接している。
【0036】
次に、化粧パネル22の端部を、目地材30の目地形成材14の幅方向他方端部(基礎パネル12が突出している側)の側面14aに沿わせるとともに基礎パネル12の表面に当接させる(図8)。
【0037】
そして、図8の状態から、化粧パネル22を壁面34側へ向けて強く押し付け、目地形成材14を圧縮する(図9)。すると、目地形成材14が壁面34側へ若干撓んで化粧パネル22と壁面34とによってその両側から強く押圧され、化粧パネル22の板縁を覆い隠す。
【0038】
本実施例の目地材30のように、目地形成材14を基礎パネル12の幅方向一方端部に設けるようにすれば、壁の入隅部に化粧パネル22を設置する場合であっても、化粧パネル22と壁面34との間の僅かな隙間を埋めることができる目地材30を提供することができるようになる。
【符号の説明】
【0039】
10,30…目地材
12…基礎パネル
14…目地形成材
14a…括れ部
20,32,34…壁面
22,24…化粧パネル



【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質樹脂または軟質樹脂からなり、その表面側に化粧パネルが配設される平板状の基礎パネルと、軟質樹脂からなり、前記基礎パネルの表面側にてその幅方向略中央部分に設けられ、その両側に前記化粧パネルがセットされてその端面が当接される棒状の目地形成材とを有しており、
前記目地形成材の基部には、前記化粧パネルとの当接面である側面から内側に凹んだ括れ部が形成されており、
前記目地形成材の高さは、前記化粧パネルの厚みよりも僅かに高く設定されていることを特徴とする目地材。
【請求項2】
硬質樹脂または軟質樹脂からなり、その表面側に化粧パネルが配設される平板状の基礎パネルと、軟質樹脂からなり前記基礎パネルの上面にてその幅方向一方端部に設けられ、その幅方向は壁面に沿って配設され、幅方向は前記化粧パネルがセットされることによってその端面が当接される棒状の目地形成材とを有しており、
前記目地形成材の幅方向一方端部の端面は、前記基礎パネルの幅方向一方端部の端面と面一か或いはやや外方に突出しており、
前記目地形成材の基部には、前記化粧パネルならびに前記壁面に対する当接面から内側に控えた括れ部が形成されており、
前記目地形成材の高さは、前記化粧パネルの厚みよりも僅かに高く設定されていることを特徴とする目地材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−241336(P2012−241336A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109654(P2011−109654)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(591172799)港製器工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】