説明

目的化合物を母液中の目的化合物の結晶懸濁液から精製分離するための方法

目的化合物を母液中の目的化合物の結晶懸濁液から洗浄カラム中で上方から下向きの結晶床の強制輸送で精製分離する方法であって、この場合結晶床の下端部から回転する除去装置で結晶が除去され、溶融され、結晶溶融液の一部分が洗浄溶融液として結晶床に向かって再び導かれ、この場合この除去装置は、シールを有する入口を通じて下方から洗浄カラム中に案内された駆動軸で固定されており、この駆動軸は、駆動ユニットによって駆動ユニットの長手軸線を中心に回転するように操作され、および1つを上廻る軸受において、1つの軸受中の支承が下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収するように、1つを上廻る軸受の長手軸線を中心に回転可能であるように支承されており、2つ以上の軸受中の支承は、駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収し、付加的に1つの軸受中の支承は、上向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収しうる、目的化合物を母液中の目的化合物の結晶懸濁液から精製分離する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的化合物を母液中の目的化合物の結晶懸濁液から、固定された壁の長手軸線方向に対して回転対称のプロセス空間およびこのプロセス空間に続く結晶溶融空間を包囲する固定された壁を第1の構成部材として有する、種々の構成部材からなる洗浄カラムを少なくとも1つの要素として含む洗浄装置で精製分離するための方法に関し、この場合対称軸線の三次元方向と垂直軸線との間に形成される角度αは、20゜以下であり、このプロセス空間は、洗浄カラムの壁および対称軸線上で対向する2つの端部によって制限され、これらの端部の中で対称軸線上の上部の端部は、供給端部を形成し、および対称軸線上の下部の端部は、除去端部を形成し、この場合
この供給端部で、懸濁液の流れはプロセス空間内に導入され、
前記結晶の保持下にプロセス空間内に導入される懸濁液流からプロセス空間内で結晶床を形成しながら母液流はプロセス空間から放出され、
洗浄カラムの他の構成部材として、除去装置は、この同一の他の構成部材中でプロセス空間の除去端部で回転し、
プロセス空間内の結晶床は、重力とは異なる少なくとも1つの力でプロセス空間の対称軸線に対して平行に回転する除去装置に輸送され、その際、除去装置に衝突し、
回転する除去装置は、この除去装置に衝突する結晶床から結晶を除去し、
除去された結晶の流れは、回転する除去装置を貫流し、および/または回転する除去装置を通り過ぎて洗浄カラムの結晶溶融空間内に流れ、この場合この結晶溶融空間は、結晶床の搬送方向に除去装置の後方でプロセス空間に隣接しており、
洗浄カラムの他の構成部材として、回転のための駆動ユニットによって当該駆動ユニットの長手軸線を中心に駆動される駆動軸は、下方から結晶溶融空間内に導かれる入口を通じて洗浄カラム内に案内されており、この場合駆動軸の回転軸線の三次元方向とプロセス空間の対称軸線の三次元方向から形成される角度βは、2つの三次元方向が1つの平面内に突出する際に20゜以下であり、
前記除去装置は、駆動軸上に固定されており、回転する駆動軸は、除去装置の回転に必要とされるトルクを除去装置上に伝達し、
結晶溶融空間内に輸送される結晶流は、結晶溶融空間内で溶融され、および/または結晶溶融流を生じるために熱を導入することによって結晶溶融空間に導通される溶融液循環路内で溶融され、
結晶溶融空間内への駆動軸のための入口は、結晶溶融液が結晶溶融空間から入口を通じて出口へ意図に反して退出することを防止するシールを装備しており、
前記の結晶溶融流の強さに対して結晶溶融空間から出発して、結晶溶融液の1つの部分流が洗浄溶融液流として回転する除去装置を通じておよび/または回転する除去装置を通り過ぎて結晶床の運動方向とは反対方向に、結晶床中で結晶床を母液帯域と洗浄溶融帯域とに分割する洗浄フロントが形成されるようにプロセス空間内に導入され、残りの部分流は、目的化合物の純粋な溶融流としてこの部分流の出口に供給され、
本方法の標準操作で駆動軸の長手方向に駆動軸上に作用する力は、絶えず下向きに方向付けられ、
駆動軸は、1つの軸受よりも多い軸受で当該駆動軸の長手方向の軸を中心に回転可能に支承されており、
この支承は、前記軸受の1つにおいて、この軸受における支承が駆動軸の長手方向に駆動軸上に下向きに作用する力を吸収するように構成されており、および
支承は、少なくとも2つの軸受において、前記の2つの軸受のそれぞれにおける支承が2つの軸受のそれぞれにおいて駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収するように構成されている。
【0002】
特に、本発明は、WO 2009/148314、WO 01/77056、WO 04/35514、WO 03/41833、WO 02/9839、WO 03/41832、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10036881号明細書、WO 02/55469、WO 03/78378、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005018702号明細書、WO 01/77056、出願番号102007032633.7を有するドイツ国出願および欧州特許出願公開第1448282号明細書に記載されているように、化合物を母液中の目的化合物の結晶懸濁液から、洗浄カラムが水圧洗浄カラムであるような洗浄装置を用いて精製分離するための方法に関する。これは、殊に方法がアクリル酸を汚染されたアクリル酸溶融液中のアクリル酸結晶懸濁液から精製分離するための方法である場合である(即ち、アクリル酸が目的化合物である場合)。
【0003】
アクリル酸は、それ自体またはその塩の形またはそのエステルの形で、多種多様の使用目的(例えば、接着剤、超吸収体、結合剤)のためのポリマーの製造に殊に重要である。
【0004】
前記刊行物中の数値符号は、常に前記刊行物に添付されている図に関連する。
【0005】
母液の概念は、本明細書中で、この概念が不純物を有する、精製すべき目的化合物からの溶融液(50質量%以上の目的化合物中の質量による割合が目的化合物によって割り当てられている)ならびに精製すべき目的化合物の溶液ならびに場合によっては溶剤中または溶剤混合物中の不純物(50質量%未満の目的化合物中の割合が目的化合物によって割り当てられている)を含み、但し、これらの溶融液ならびに溶液、ならびに不純物が冷却される(即ち、母液が冷却される)と、目的化合物は結晶化する。
【0006】
前記刊行物の前文に記載された方法は、欧州特許出願公開第1448282号明細書の記載から公知である。これには、一般に懸濁結晶の方法が続く。目的化合物を合成する場合には、この目的化合物は、通常、純粋な生成物として生じるのではなく、高い純度の望ましい目的化合物と共になお望ましくない成分、例えば溶剤、出発化合物および副生成物(例えば、異性体)を含有する物質混合物の一部分である。
【0007】
このような反応生成物混合物が液状の凝集体状態で存在して冷却され、その際に望ましい目的化合物の結晶が形成される場合には、懸濁結晶化は、極めて有効で安価な方法であり、目的化合物は、反応生成物混合物から高い純度で分離される。この場合には、目的化合物から形成される結晶が成長する場合に、液体中に存在しかつ目的化合物とは異なる成分が一般に実質的に結晶格子によって置換され、母液中に留まるという事実が利用される。しばしば、一工程の結晶化プロセスであっても、望ましい目的化合物の高純度の結晶が得られる。必要な場合には、懸濁結晶化は、多工程で実施されてよい。しばしば、合成で直接に得られる反応生成物混合物は、結晶化とは異なる熱的分離方法(例えば、精留、抽出、ストリッピング、蒸留、脱着および/または吸収)を使用することによって、最初に目的化合物を含有する別の物質混合物に変換され、これに対して懸濁結晶化によって目的化合物を分離するための方法は、さらに特に有利に使用可能であるかまたはこの場合にのみ使用可能である。
【0008】
懸濁結晶化の方法は、公知である(例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007043758号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007043748号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007004960号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007043759号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第102007043758号明細書ならびにこれらの刊行物中で引用された文献)。1つの二次空間および少なくとも1つの一次空間を有する間接的な熱交換器(冷却器または晶出器)を用いて実施することは、使用技術的に好ましい。
【0009】
二次空間に供給され、目的化合物を含有する液状の物質混合物から、二次空間および少なくとも1つの一次空間を互いに分離する材料分離壁(熱伝達面)を通じて少なくとも1つの一次空間内に流入する冷却材中に熱を伝達することによって、液状の物質混合物は、目的化合物での飽和限界を超えるまで冷却され、この物質混合物は、目的化合物から構成される結晶物を形成(析出)することによって過飽和を防止する。
【0010】
望ましい結晶化度(この場合、結晶化度の概念は、結晶懸濁液の全質量に対して、残留する(液状の)母液中の目的化合物の結晶の生じる懸濁液中に含有されている、微粒状結晶の質量画分または質量の割合を意味する)が達成される場合には、結晶懸濁液は、二次空間から導かれる。母液からの結晶の除去によって、望ましい目的化合物は、高い純度で取得されることができる。この場合、除去された目的化合物の純度に決定的に影響を及ぼす、極めて重要な工程は、目的化合物とは異なる成分を濃度が増加された形で含有しかつ目的化合物のなお結晶化されていない割合を含有する母液から結晶を除去するために使用される分離方法である。この分離プロセスは、多工程で進行することができ、この場合には、少なくとも最終工程でしばしばいわゆる洗浄カラムからの除去が使用される。
【0011】
しかし、洗浄カラムからの除去は、唯一の分離工程を形成してもよい。
【0012】
この分離工程は、汚染された母液を結晶からできるだけ定性的に分離するという課題を有する。
【0013】
洗浄カラムは、本明細書中に既に引用された、公知技術水準の文献の記載から公知である。この洗浄カラムは、通常、当該洗浄カラムの長手軸線に対して回転対称のプロセス空間を含み、このプロセス空間は、洗浄カラムの壁および対称軸線に対して互いに対向する2つの端部によって制限され、この場合対称軸線の三次元方向と垂直軸線とから形成される角度αは、通常20゜以下である。特に、αは、できるだけ小さいかまたは零である。
【0014】
分配器空間は、プロセス空間の上流に配置されていてよい。結晶懸濁液をプロセス空間に当該プロセス空間の両端部で直接に供給する代わりに、結晶懸濁液は、最初にプロセス空間の上流に配置された分配装置に供給されてもよい(図4参照)。分配器空間を介してプロセス空間内に案内される通路のために、結晶懸濁液は、プロセス空間の供給端部の断面に亘ってプロセス空間に特に均一に分配されて供給される。
【0015】
プロセス空間内で母液の抜取りによってよりいっそう濃度の高い結晶床が発生され、この結晶床は、プロセス空間を通じて当該プロセス空間の対向する端部に搬送される。原理的に異なる方法は、結晶床を形成させるために有用である。重力によって仕事をする洗浄カラムの場合には、結晶懸濁液は、強制的に上端部でプロセス空間に供給される。結晶床は、沈降プロセスにおいて形成され、搬送方向への結晶床の搬送は、重力の単独に作用によって行なわれる。母液は、通常、溢流によってプロセス空間から除去される。結晶は、プロセス空間の下端部に到達したときに溶融される。固体の結晶と比較して低い見掛け密度を有する、形成された結晶溶融液の流れの一部分は、密度差に従って結晶床の搬送に抗して結晶床中で上向きに流れ、残りの一部分は、目的化合物の純粋な溶融液の流れとして結晶溶融液の流れの出口に供給される。結晶床中での沈降の経過中に垂直方向のチャンネルが形成され、このチャンネルに沿って望ましくない逆混合が生じる可能性があるので、重力によって仕事をする洗浄カラムは、少なくとも当該洗浄カラムの高さの一部分に攪拌機を装備しており、この場合この攪拌機は、このチャンネルの形成を抑制する。
【0016】
重力によって仕事をする洗浄カラム(重力による洗浄カラム)の使用は、本発明による方法から除外されている。それというのも、この使用には、定義された洗浄フロントの形成もなければ、回転する除去装置の使用もないからである。
【0017】
従って、本発明による方法は、いわゆる結晶床の強制的な搬送を備えた洗浄カラム(異なる洗浄カラム型の詳細な記載は、特にChem.−Ing.Techn.57(1985)No.291−102、Chemical Engineering Science 第50卷,No.17、第2712〜2729頁、1995、Elsevier Science Ltd.,Applied Thermal Engineering 第17卷,No.8〜10、第879〜888頁,1997,Verlag Elsevier Science Ltd.および前記刊行物中で引用された文献に見出せる)が使用されるような方法に制限されている。
【0018】
結晶床の強制的な輸送(または強制的な搬送)を備えた洗浄カラムは、重力とは異なる搬送力が結晶床の搬送方向(または輸送方向)に作用することによって特徴付けられる。
【0019】
従って、原理的に強制的な搬送を備えた洗浄カラムにおいて、結晶懸濁液は、プロセス空間に当該のプロセス空間の上端部ならびに当該のプロセス空間の下端部で供給することができ、したがって形成された結晶床は、上方から下向きに、ならびに下方から上向きに搬送される。一般に、結晶床は、強制的な輸送を備えた洗浄カラム中で攪拌されない(攪拌される場合には、軸線方向の混合を実質的に回避しながら攪拌される)。使用技術的に有利であるという理由から、本発明による方法は、上方から下向きへのプロセス空間内での結晶床の強制的な搬送を備えた洗浄カラム中での方法に制限されており、この場合結晶懸濁液は、プロセス空間に当該プロセス空間の上端部で供給される(場合によってはこのプロセス空間の上流にある分配器空間を介して)。
【0020】
結晶床の強制的な搬送を備えた洗浄カラムは、洗浄カラムの2つの群に分けることができる:水圧洗浄カラムおよび機械的洗浄カラム。水圧洗浄カラムの場合、結晶懸濁液は、例えばポンプによって、および/または静水圧的高さによって、圧力下にある洗浄カラム中に搬送される。
【0021】
更に、供給圧力によって強制される液体の流れ(即ち、母液の除去に関連する搬送圧力)は、結晶床を生じるための結晶の圧縮およびこの結晶の搬送(水圧(移動する液体によって発揮される圧力またはプロセス空間から放出されるまでに生じる圧力低下)は、通常0.1〜10バール、しばしば1〜5バールである)を保証する。母液は、通常、フィルター(これは、例えばプロセス空間内で上方から下向きに延在するフィルター管の下部に含まれていてよい、および/またはプロセス空間を包囲する洗浄カラム壁中でプロセス空間の下部に含まれていてよい)を介して水圧洗浄カラムから流出する(フィルターの向こう側では、標準圧力、減圧または過圧が存在していてよい)。供給端部でプロセス空間から除去される母液の一部分の再循環および/または結晶懸濁液と一緒の別の制御液体の供給は、(制御流の)輸送力の調整を可能にする。水圧洗浄カラムおよびその操作モードの詳細な記載は、WO 2006/111565に開示されている。本明細書中の図1および4は、水圧洗浄カラムの例示的な実施形式を示す。
【0022】
機械的洗浄カラムの場合、圧力(この機械的洗浄カラムの場合も、プロセス空間は、高められた圧力を有する)は、洗浄カラムのプロセス空間内で結晶床を形成させかつ搬送するために、機械的な強制搬送装置によって発生される(機械的な搬送を備えた洗浄カラム)。最も簡単な場合には、これは、母液に対して透過性であり、供給される懸濁液の結晶に対して不透過性である(図2参照)、半透過性のプランジャーであることができ、このプランジャーの周期的な上下運動によって、結晶床を圧縮および搬送するための圧力が発生する。しかし、結晶床への機械的な圧縮および同じ結晶床の搬送は、母液をフィルターを介して分離し、および結晶をフィルターから結晶床へ、回転する搬送要素(例えば、スクリュー、攪拌機、ヘリックスまたはスパイラル)により機械的に輸送することによって行なうこともできる。この場合、フィルターは、回転する搬送要素中に組み込まれていてよいし、搬送方向に対して対向した、プロセス空間の端部(図3)に取り付けられていてよい。
【0023】
結晶床の強制的な搬送を備えた洗浄カラムの場合、結晶床は、プロセス空間内にいわゆる形成フロントを有し、この形成フロントで導入される結晶懸濁液の結晶は、連続的に付加される。即ち、形成フロントは、結晶懸濁液から結晶床への移行部を示し、および単位体積当たりの結晶含量の比較的急激な上昇を示す。本発明による方法の場合、形成フロントは、必要に応じてプロセス空間の上部内に存在する。
【0024】
本発明による方法の場合にプロセス空間の下端部に存在する、形成フロントに対向する、結晶床の端部には、結晶床の強制的な搬送を備えた洗浄カラムの場合に使用技術的に有利に洗浄カラム内で回転する除去装置が取り付けられている。これは、例えば通過オリフィスを有し、およびブレードを装備した円形ディスクであることができる(例えば、それぞれの通過オリフィスにブレードが装備されていてよい)。
【0025】
回転ブレードディスク(回転除去ディスク)は、回転ブレードディスク(回転除去ディスク)に向かって搬送される結晶床から、当該ディスクに衝突する端部で連続的に、または時間間隔をおいて、ブレードディスクの通過オリフィスを通じて、結晶床の搬送方向に回転ブレード(除去)ディスク(除去装置)の後方でプロセス空間に隣接する、洗浄カラムの結晶溶融空間に流れる結晶の流れを除去する。
【0026】
通過オリフィスを有するブレードディスクの代わりに、回転する除去装置は、単独の(場合によっては軸中に組み込まれた(軸によって保持された))回転する除去ブレードであってもよい。この場合、回転する除去ブレードによって除去される結晶流は、この除去ブレードを通過して結晶溶融空間内に流入する。回転するブレードディスクの場合および回転する単独ブレードの場合の双方の場合において、回転する除去装置によって記載される回転体は、プロセス空間と結晶溶融空間とを互いに分離する。勿論、例えばWO 2009/148314に記載されているように、回転除去装置として、通過オリフィスを有する回転するブレードディスクと回転する単独ブレードとの間に存在する任意の介在形がこれに該当する。しかし、原理的に前記ディスクの幾何学的形状は、任意であってよい。
【0027】
特に、除去装置の回転軸線(除去装置の駆動軸の回転軸線)と回転対称のプロセス空間の対称軸線とは、一致する。しかし、2つの軸線は、制限された範囲内で側方に互いにずれていてよい(プロセス空間の平均(高さに亘って平均化された)直径に対して、その20%まで(特に、10%以下、または5%以下))。しかし、通常、駆動軸の回転軸線の三次元方向とプロセス空間の対称軸線の三次元方向との間に形成される角度βは、2つの三次元方向が1つの平面内に突出する際に20゜以下である。特に、角度βは、小さく、特に好ましくは、零になるほどに小さくなる。
【0028】
除去装置の回転に必要とされるトルクは、除去装置の長手方向の軸線を中心に回転する駆動軸によって除去装置に伝達され、この駆動軸には、除去装置が固定されている。駆動軸それ自体は、洗浄カラム壁内に存在しかつ結晶溶融空間内に導かれる入口を通じて洗浄カラム内に下方から案内されている。駆動軸は、原理的に除去装置にまで洗浄カラム中に延在するか、またはプロセス空間内に延在するか、或いはむしろプロセス空間を越えて延在する。駆動軸それ自体は、回転のための駆動ユニットによって駆動軸の長手方向の軸線を中心に駆動される。特に、この駆動ユニットは、モーター、特に有利に電気モーター(トランスミッションおよびクラッチシステムを含めて)である。しかし、原理的にタービンまたは水圧駆動装置が使用されてもよい。駆動ユニットは、通常、洗浄カラムの外部に存在し、この駆動ユニットの質量は、典型的には駆動軸上に作用しない。
【0029】
結晶床の下端部から除去装置によって除去されかつ結晶溶融空間内に流れる結晶の流れ(回転および回転による除去は、連続的に行なうこともできるし、時間間隔をおいて行なうことができる)は、結晶溶融流を生じるための熱の導入によって溶融される。この熱の導入は、本発明により使用することができるように、結晶床の強制的な搬送を備えた洗浄カラムの場合に第1の実施態様において、結晶溶融空間それ自体内で行なうことができる(例えば、結晶溶融空間内に組み込まれた、相応する装置、例えば加熱コイルまたは電気的加熱スパイラルにより)。更に、生じる結晶溶融流の強さに基づいて、1つの部分流だけが純粋な溶融液流として結晶溶融空間から出口を介して取り出される。結晶溶融空間内に残留する残りの流れは、結晶と比較して少ない比質量のために、結晶溶融空間から出発して上昇し、回転する除去装置を通じて、および/または回転する除去装置を通り過ぎて洗浄溶融液流として結晶床の移動方向とは反対方向にプロセス空間内で下方から上向きに流れる。
【0030】
しかし、除去された結晶は、第2の実施態様において、結晶溶融空間内で先に既に形成された結晶溶融液中でのみ懸濁されてもよい。更に、この懸濁液は、結晶溶融空間だけよりも結晶溶融液の大きな貯蔵容器を保持することができる溶融回路内で、間接的(好ましい)または直接的な経路によって、結晶を溶融回路内に溶融するために必要とされる熱を導入する溶融装置(例えば、熱交換器)を介して、溶融循環ポンプを用いて結晶溶融空間から再び当該結晶溶融空間内に返送される。しかし、勿論、2つの実施態様は、組み合わされて使用されてもよい。
【0031】
第2の実施態様は、殊に感熱性の目的化合物、例えばアクリル酸の場合に有利であり、それというのも溶融回路の比較的大きな結晶溶融液の貯蔵容器(溶融回路内での結晶溶融液循環流は、除去された結晶の流れ1m3/h当たり有利に2〜30m3/h、多くの場合に5〜20m3/hであり(溶融された形で計算した);換言すれば、溶融回路は、通常、低い含量のなお溶融されていない除去された結晶を有し、このことは、単数または複数の結晶の搬送を促進する)は、高められた熱容量を引き起こし、それによって、同じ熱導入の際に小さな温度変化を受けるか、または同じ温度の際に溶融回路中で懸濁された結晶を溶融するためのよりいっそう大きな熱量を使用することができる。溶融回路中で除去された結晶流から形成される結晶溶融液流に基づいて、1つの部分流は、目的化合物の純粋な溶融液流として溶融回路の出口に供給され、一方で、圧力の結果として結晶溶融液流から進行する残りの部分流は、洗浄溶融液流として回転する除去装置を通り、および/または回転する除去装置を通り過ぎて結晶床の移動方向とは反対方向にプロセス空間内に導入される。排出される純粋な溶融液流の強さは、本発明による方法の際に原理的に出口弁により調節されることができる。結晶溶融空間内の結晶溶融液は、通常、融点を有する(通常、この融点は、結晶溶融空間内で5℃より多くは上廻らず、特に3℃または2℃より多くは上廻らず、特に有利に1℃より多くは上廻らない)。
【0032】
結晶床の搬送方向とは反対方向に流れる洗浄溶融液によって、母液で含浸された結晶床は、結果として実際にプロセス空間内に上向きに流れる洗浄溶融液中に押し込まれ、洗浄効果として母液を結晶床中に制限された程度に簡単に押し戻す。換言すれば、洗浄溶融液流を除去プロセスの境界条件に適当に調節すると、定常状態が確立され、いわゆる洗浄フロントは、結晶床の定義された高さで確立される。この洗浄フロントは、最も高い温度勾配および濃度勾配がプロセス空間の高さの1つの機能として起こる、プロセス空間内の高さとして定義される。洗浄フロントの上方および下方で、高さに依存する温度(濃度)は、比較的急速に(一般に、±5cm未満の高さの変化("洗浄フロント範囲"と呼称される)内で)高さに依存してそれぞれもはや変化しない値を達成する。
【0033】
この値は、洗浄フロントの上方の範囲内でプロセス空間に供給される結晶懸濁液の温度(相応する濃度)であり、および洗浄フロントの下方の範囲内で洗浄溶融液の融点(相応する濃度)である。洗浄フロントの高さの位置は、搬送される結晶質量流と反対方向に供給される洗浄溶融液流との割合を制限された範囲内で調節することによって変動されうる。洗浄フロントから形成フロントまでのプロセス空間内での高さの区分は、母液帯域と呼称され、洗浄フロントから形成フロントと向きが逸れた、結晶床の端部までの高さの区分は、純粋溶融液帯域と呼称される。洗浄溶融液帯域のそれぞれの最小長さ未満で、洗浄効果は、洗浄溶融液帯域の長さが増加すると良好になる。
【0034】
結晶懸濁液がプロセス空間に供給される温度TSPは、一般に本質的に懸濁液が懸濁液晶出器から除去されるような温度に相当する(ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007043759号明細書参照)。目的化合物とは異なる成分を濃度が増加された形で含有する、懸濁液の母液中での結晶化温度は、必要に応じて洗浄溶融液(取り出された純粋な溶融液)の融点TSCH未満である(参考のため、"凝固点降下"参照)ので、TSPは、通常、TSCHより低い。従って、洗浄フロント範囲内で上方から比較的冷たく流入する結晶と下方から比較的熱く流入する洗浄溶融液とが衝突すると、洗浄溶融液から結晶に向かって流去される熱流を生じ、その結果として、洗浄溶融液は、洗浄フロント範囲内でTSCH−TSPの差の大きさに依存して部分的ないし完全に再結晶される。それによって、一方で、洗浄溶融液流の少なくとも1つの部分流が回収される。別の部分流(最も好ましい場合には、零になるほどに小さく、その強さは、一般に洗浄溶融液流の強さに対して30%以下である)は、洗浄カラムから除去される母液と一緒に洗浄カラムのプロセス空間を離れる。再結晶は、精製洗浄カラム分離法のもう1つの精製機構を形成するので、最初に一目して、懸濁結晶化をできるだけ大きな差TSCH−TSPを生じる結晶度になるまで実施することが妥当であると思われる。
【0035】
しかし、また、ΔTSCH=TSCH−TSPが増大すると、除去装置上に搬送すべき結晶床の多孔度が減少し、このことは、プロセス空間内で上昇する洗浄溶融液に対して結晶床の透過度を減少させ、および洗浄溶融液に必要とされる搬送圧力ならびに結晶床の搬送に必要とされる対向搬送圧力を高める。これは、エネルギーバランスに関連する理由から本方法の魅力は、低減するであろう。従って、標準の操作で使用されるΔTSの値は、通常1〜25℃、しばしば2〜20℃、または5〜15℃である。
【0036】
プロセス空間の断面積は、プロセス空間の長さに亘ってしばしば一定である。しかし、一般に、前記プロセス空間を上方から下向きに回転する除去装置の直前で拡大することは、好ましい(プロセス空間の直径に対して5〜100mmだけ)。これは、除去装置の半径方向の寸法を結晶床の半径方向の寸法より若干大きく選択することを可能にし(しかし、原理的に前者の寸法は、後者の寸法より小さくともよい)、このことは、全結晶床断面積に亘って結晶の均一な除去を促進する(欧州特許出願公開第1448282号明細書参照)。結晶溶融空間内に存在する結晶溶融液中での回転する除去装置によって除去された結晶の懸濁を改善するために、除去装置の下方で除去装置のための駆動軸にパドルを固定することは、役に立ち、この場合このパドルは、結晶溶融空間を十分に攪拌する。この目的のためには、除去装置を軸上に固定するために使用されるハブと除去装置との間に大面積で形成され、ならびに結晶溶融空間の内壁上に固定されたバッフルが配置された強化要素が使用されてもよい(2つの要素に対して、欧州特許出願公開第1448282号明細書の図2参照)。
【0037】
結晶溶融空間内への駆動軸のための入口は、結晶溶融液が結晶溶融空間から入口を通じて出口へ意図に反して退出することを防止するシールを装備している。このようなシールとしては、例えばスリップリングシール、スタッフィングボックスまたはリップリングシールがこれに該当する。
【0038】
殊に、目的化合物としてのアクリル酸の場合には、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10228859号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第102005003115号明細書にも記載されているように、二重に作用する軸線方向のスリップリングシールの使用が好ましい。この場合、結晶溶融空間内への入口は、駆動軸の長手方向の軸線に対して互いに対向する2つの出口を有する1つの入口空間として形成されている。更に、上側の出口は、結晶溶融空間内への駆動軸のための実際の入口を形成し、更に、下側の出口は、入口空間内への駆動軸のための入口を形成する。一方の出口ならびに別の出口に向かって駆動軸で堅固に不透過であるように結合された滑動要素(スリップリング)には、それぞれの出口で固定するように取り付けられた対向リングが当てはまる。ばねは、スリップリングを通常、1〜2バールの前張力で対向リングに押し付ける。スリップリングと対向リングは、それぞれスリップリング対を形成する。付加的に、入口空間(バリヤー空間)は、結晶溶融空間内での結晶の溶融液より高い圧力下にあるバリヤー液で充填されている。結晶溶融空間内に存在する圧力と比較してバリヤー液の高められた圧力は、結晶溶融空間から出現する結晶溶融液を阻止する。バリヤー空間内で高められた圧力のために、縁部での漏れ流は、結晶溶融空間内に流入する。漏れ量は、貯蔵容器により連続的に補充される。こうして、結晶溶融液は、スリップリングと対向リングとからなる上側の対の間で滑動面上に到達し(潤滑被膜は、バリヤー液によって形成される)、こうして例えば摩擦熱によって開始される、アクリル酸溶融液の望ましくないラジカル重合は、抑制される。目的化合物としてのアクリル酸の場合には、特にエチレングリコールおよび水ならびにこれらの混合物がバリヤー液として適している。この場合、特に好ましいのは、エチレングリコールの含量が10〜70質量%、有利に20〜40質量%または25〜35質量%であるような混合物である。典型的な漏れ量は、0.5〜20m3/hの純粋溶融液の排出速度の際に1l/h未満、特に0.5l/h未満、特に有利に0.1l/h未満である。二重に作用する軸線方向のスリップリングシールの計算および構造についての詳細な記載は、E.Mayer,"Berechnung und Konstruktion von axialen Gleitringdichtungen",Konstruktion 20,第213〜319頁(1968)に見出せる。スリップリングおよび対向リングに有用な材料は、一連の異なる材料を含む。これは、黒鉛、炭化珪素、酸化アルミニウム、炭化タングステン、特殊鋼、クロム鋳鋼、ポリテトラフルオロエチレンおよび特殊な材料を含む。
【0039】
目的化合物としてのアクリル酸の場合には、SiCは、好ましい材料である。他の選択可能な適当なものは、炭化タングステンである。
【0040】
駆動軸または入口ハウジングに対するスリップリング封止要素の密閉は、一般に二次シールで行なわれる。
【0041】
更に、殊に目的化合物としてのアクリル酸の場合に、さらに上側の対のスリップリングは、特に自由に結晶溶融液中の存在し、したがって、結晶溶融液での良好な外部でのすすぎ洗いは、このスリップリング対の範囲内で行なうことができる。スリップリングシールのこの配置は、凹所構造を有する実施形式を凌駕し、この場合結晶の溶融液と接触するスリップリングは、狭い円筒状の中空空間内に存在し、それというのも、良好なすすぎ洗いは、スリップリングの優れた冷却を保証するからである。
【0042】
洗浄カラムの壁(プロセス空間の外殻)のための材料として、例えば精製法で除去すべき目的化合物に応じて多種多様の異なる種類であってよい金属が使用されてよい。例えば、金属は、純粋な金属であってよいが、しかし、合金、例えば炭素鋼、鉄基の合金(例えば、Cr/Ni添加物を有する特殊鋼)またはニッケル基の合金(例えば、ハステロイ品質)であってもよい。
【0043】
目的化合物がアクリル酸である場合には、洗浄カラムの壁材料として特殊鋼、殊にDIN材料No.1.4571または1.4541の特殊鋼、または本明細書中に存在する合金元素に関連して前記の特殊鋼に類似する特殊鋼が好ましい。プロセス空間の強度を制限する金属壁は、有利に3〜30mm、しばしば4〜20mm、多くの場合に5〜15mmである。この金属壁は、殊に特殊鋼の場合に当てはまる。
【0044】
洗浄カラムの壁は、使用技術的に有利にドイツ連邦共和国特許出願第102008040340.7号の記載と同様に断熱されているか、またはWO 03/041832で推奨されているように付随的に酸洗されている。
【0045】
洗浄カラム(洗浄カラム本体)の壁の正しい位置での固定は、異なる方法で実現させることができる。最も簡単な方法では洗浄カラムの壁には、例えば3個以上の軸足が取り付けられていてよい。他の選択可能な方法によれば、洗浄カラムの下部で洗浄カラムの壁には、洗浄カラムの周囲を包囲する支持リングが取り付けられていてよい。更に、この支持リングで洗浄カラムは、適当な凹所の縁上に載置されていてよい。また、洗浄カラムの本体は、スペーサーによって保持されていてよく、このスペーサーは、その側で支柱に固定されている。
【0046】
既述したように、プロセス空間の上端部は、必要な場合には、洗浄カラムの上端部と一致している必要はない。むしろ、プロセス空間の上方に分配空間が存在していてよく、この分配空間から出発して結晶懸濁液は、分配空間をプロセス空間と分離する分配床上にプロセス空間の上端の断面に亘って均一に分配される(例えば、欧州特許出願公開第1448282号明細書参照)。
【0047】
記載されたように実施すべき洗浄カラム分離法の確実で安定した操作を保証するために、欧州特許出願公開第号1448282明細書には、駆動軸を1個を上廻る軸受中で駆動軸の長手軸線を中心に回転しうるように支承することが推奨されている。
【0048】
この場合、軸受は、駆動軸の長手軸線を中心とする駆動軸のできるだけ摩擦のない回転を目的とすること、ならびに駆動軸の故意の回転運動を除いて空間内での除去装置の固定位置を保持することを追求している。前記の目的を達成させるために、軸受は、原理的に、この軸受が種々の操作状態で駆動軸の長手方向に、および駆動軸に対して垂直方向に考えられ得る全ての力を考慮するように構成されるべきである。本明細書中で、「力」の概念は、常に、異なる個々の力の貢献から生じる全体に亘る全ての力、または選択された三次元方向に作用する、前記力の構成成分を意味する。
【0049】
洗浄カラム中で上方から下向きに搬送される結晶床と一緒に母液液中の目的化合物の結晶懸濁液から目的化合物を分離するための前記記載と同様に実施すべき方法の一般的な場合には、本発明の場合と全く同様に、通常の分離操作で駆動軸の長手方向への駆動軸上に作用する力が(搬送された結晶床から離れて)下向きに方向付けられた方法に限定されている。
【0050】
これは、なかんずく一般的な場合に駆動軸の長手方向に駆動軸上に作用する力に対して別々のプロセス操作で主に貢献するのは、除去装置(その効果は、勿論、アルキメデスの浮力によって減少される)を含めて、駆動軸および洗浄カラム中で駆動軸に対して保護された全ての同時回転する構成部材の全質量の重さGMである。
【0051】
この後者の構成部材の全質量の重さは、とりわけ前記の重さGMが少なくとも3kN、または少なくとも5kN、または少なくとも8kN、または少なくとも10kN、または少なくとも13kNの場合である。一般に、重さGMは、50kN以下、多くの場合に40kN以下、および幾つかの場合に30kN以下になる。これは、殊に除去装置、または除去装置および駆動軸、または除去装置、駆動軸および駆動軸に固定形式で結合された他の構成部材が、比質量(密度)が3g/cm3以上、または5g/cm3以上、または7g/cm3(25℃および1atmに対して)である材料から製造され、同時に結晶溶融空間内の結晶溶融液の密度、およびプロセス空間内の母液および結晶懸濁液の密度が1.5g/cm3以下またはむしろ1.3g/cm3以下または1.1g/cm3以下である(通常は、0.7g/cm3以下である)である場合には実際のことである。一般に、前記材料の密度は、18g/cm3以下である。
【0052】
本発明に対して該当する洗浄カラム分離法の場合に結晶床の搬送方向は、意図的に分離装置に方向を定めることができるので、種々の予想される操作状態において、前記に詳説した、重さGMの貢献は、除去装置上に作用する、上方から下向きに方向付けられた付加的な力の貢献によって増強される。考慮に入れなければならない下方から上方へ向けられた力の貢献は、単に、比較的無視してよい大きさであると思われる。
【0053】
前記貢献の1つは、洗浄溶融液が除去装置を通過した際の洗浄溶融液の圧力損失ΔPwから生じる力の貢献である。この力の貢献は、必要に応じて比較的小さくなければならない。それというのも、洗浄溶融液は、除去装置を下方から上向きに通過し得なければならないだけでなく、除去装置によって結晶床から除去される結晶の流れも上方から下向きに除去装置を通過し得なければならないからである。
【0054】
プロセス空間および結晶溶融空間に互いに除去装置を通じておよび/または除去装置を通り過ぎて接続する同じ通路は、前記目的のために洗浄溶融液流および結晶の流れに有効である(この結晶は、上昇する洗浄溶融液流に抗して下向きに流れことができる)ので、除去装置は、使用技術的に有利に比較的大きな開口比OVを有し(本明細書中で、これは、非回転状態での除去装置に基づき、除去装置を通じておよび/または除去装置を通り過ぎて案内される通路の断面積の総和と除去装置に対向して面する端部での結晶床の断面積との比を意味するものと理解される(通路を通じての通路の断面積が一定でない場合には、通路のそれぞれの最小の断面積が総和を形成するために使用されるべきである))、これは、低いΔPw値を生じる(殊に、洗浄溶融液の質量流は、任意の操作状態で、結晶懸濁液を経てプロセス空間内に導入された結晶の質量流よりも大量であることができないことが配慮される場合)。通常、前記の記載と同様に実施すべき洗浄カラム分離法の場合のOVは、少なくとも0.05または少なくとも0.1、または少なくとも0.2、しばしば少なくとも0.3、多くの場合に少なくとも0.5またはそれ以上(幾つかの場合には、むしろ少なくとも0.9)である。OVは、必然的には1未満であり、多くの場合には、0.95未満である。即ち、全ての操作状態におけるΔPwは、明らかに20ミリバール未満であると想定することができる。
【0055】
他面、これは、除去装置の除去要素(除去ブレード、除去ナイフ)の面(これは、ブレードエッジからブレードバックに走りかつ除去装置の回転の際に結晶床に対向する面を意味する)と駆動軸の回転軸線とが鋭角γを形成するという事実から生じる力の貢献である(γは、一般に20〜70°、特に30〜60°である)(通常、除去装置は、結晶床に対向した側に除去要素を有し、この除去要素は、除去装置から除去装置に対向する、結晶床の端部に向かって突出する)。これは、結晶床が、結晶床から結晶を除去する除去要素上(およびひいては全除去装置上)に除去の経過中に、駆動軸の軸線方向に上向きに向けられた(結晶床の移動に向かって方向付けられた)力の構成成分を有する反応の力を発揮するという効果を有する(キーワード:「右ネジの原理」参照)。この力の貢献の大きさは、討論されている洗浄カラム除去方法の異なる操作状態に対してほんの僅かであると考えられ、それというのも、結晶床の内部変形可能性は、比較的大きいと想定されうるからである(結晶床の個々の結晶は、典型的には比較的簡単に互いに置換可能であるからである)。
【0056】
従って、強制的に上方から下向きに搬送される結晶床を有する、できるだけ確実で安定した、摩擦のない洗浄カラム分離法を保証するために、前記で考慮した背景に対して、欧州特許出願公開第1448282号明細書に基づいて、駆動軸が1つを上廻る軸受中で軸受の軸線方向を中心に回転可能に支承され、1つの軸受中での支承が、この軸受中での支承が駆動軸上に作用する駆動軸の長手方向に下向きの力を吸収するように実施され、少なくとも2つの軸受中での支承が、それぞれこれらの2つの軸受中での支承が2つのそれぞれの軸受中で駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収するように構成されている。
【0057】
しかし、こうして上方から下向きにプロセス空間内に導入され強制的に搬送される結晶床を装備した、洗浄カラムの分離操作において、延長された操作時間の経過中に予想されなかった突然起こる問題が生じた。これは、例えば二重に作用する軸線方向のスリップリングシールが結晶溶融空間内への駆動軸の入口のために使用された場合に、延長された故障なしの操作後にこのスリップリングシールが突然透過性になったことにある。観察された操作上の故障を詳細に分析することは、本方法の標準の操作(分離法の(例えば、少なくとも1時間、または少なくとも10時間、または少なくとも100時間の)中断されなかった操作時間の期間に対してこの期間の全部で95%を上廻る時間)において、駆動軸の長手方向に絶えず下向きに方向付けられて作用する力は、予想することができずかつ起こりそうもない特異な操作状態で明らかに少なくとも短時間で「下向きに方向付けられた」から「上向きに方向付けられた」への力の方向を切り換えるという驚異的な結果を生じた(従って、これはとりわけ驚異的なことではない。それというのも、これは、強制的な貢献の総和が下向きに方向付けられた力の貢献の総和を越えるような強制的な貢献の総和を必要とするからである)。それによって、駆動軸の長手軸線方向に一時的に作用する上向きの力は、駆動軸の上向きの移動およびこの駆動軸に取り付けられた構成部材の上向きの移動を生じ、この力は、洗浄装置の詳細な構成に依存する度合いから多種多様の損傷および故障を引き起こす。
【0058】
従って、本発明の課題は、記載された操作上の問題をもはや有しないかまたはあったとしても減少された程度で有する、目的化合物を母液中の目的化合物の結晶懸濁液から、洗浄カラムの1つを用いて同じ洗浄カラム中で結晶床を上方から下向きに強制的に搬送しながら精製分離するための方法を提供することであった。
【0059】
この課題の解決策として、目的化合物を母液中の目的化合物の結晶懸濁液から、固定された壁の長手軸線方向に対して回転対称のプロセス空間およびこのプロセス空間に続く結晶溶融空間を包囲する固定された壁を第1の構成部材として有する、種々の構成部材からなる洗浄カラムを少なくとも1つの要素として含む洗浄装置で精製分離するための方法であって、この場合対称軸線の空間方向と垂直軸線との間に形成される角度αは、20゜以下であり、このプロセス空間は、洗浄カラムの壁および対称軸線上で対向する2つの端部によって制限され、これらの端部の中で対称軸線上の上部の端部は、供給端部を形成し、および対称軸線上の下部の端部は、除去端部を形成し、この場合
この供給端部で、懸濁液の流れはプロセス空間内に導入され、
前記結晶の保持下にプロセス空間内に導入される懸濁液流からプロセス空間内で結晶床を形成しながら母液流はプロセス空間から放出され、
洗浄カラムの他の構成部材として、除去装置は、この同一の他の構成部材中でプロセス空間の除去端部で回転し、
プロセス空間内の結晶床は、重力によって異なる少なくとも1つの力でプロセス空間の対称軸線に対して平行に回転する除去装置に搬送され、その際、除去装置に衝突し、
回転する除去装置は、この除去装置に衝突する結晶床から結晶を除去し、
除去された結晶の流れは、回転する除去装置を貫流し、および/または回転する除去装置を通り過ぎて洗浄カラムの結晶溶融空間内に流れ、この場合この結晶溶融空間は、結晶床の輸送方向に除去装置の後方でプロセス空間に隣接しており、
洗浄カラムの他の構成部材として、回転のための駆動ユニットによって当該駆動ユニットの長手軸線を中心に駆動される駆動軸は、下方から結晶溶融空間内に導かれる入口を通じて洗浄カラム内に案内されており、この場合駆動軸の回転軸線の空間方向とプロセス空間の対称軸線の空間方向から形成される角度βは、2つの空間方向が1つの平面内に突出する際に20゜以下であり、
前記除去装置は、駆動軸上に固定されており、回転する駆動軸は、除去装置の回転に必要とされるトルクを除去装置上に伝達し、
結晶溶融空間内に輸送される結晶流は、結晶溶融空間内で溶融され、および/または結晶溶融流を生じるために熱を導入することによって結晶溶融空間に導通される溶融サイクル内で溶融され、
結晶溶融空間内への駆動軸の入口は、結晶溶融液が結晶溶融空間から入口を通じて出口へ意図に反して退出することを防止するシールを装備しており、
前記の結晶溶融流の強さに対して結晶溶融空間から出発して、結晶溶融液の1つの部分流が洗浄溶融液流として回転する除去装置を通じておよび/または回転する除去装置を通り過ぎて結晶床の運動方向とは反対に、結晶床中で結晶床を母液帯域と洗浄溶融帯域とに分割する洗浄フロントが形成されるようにプロセス空間内に導入され、残りの部分流は、目的化合物の純粋な溶融流としてこの部分流の出口に供給され、
本方法の標準操作で駆動軸の長手方向に駆動軸上に作用する力は、絶えず下向きに方向を定め、
駆動軸は、1つの軸受よりも多い軸受で当該駆動軸の長手方向の軸を中心に回転可能に支承されており、
この支承は、前記軸受の1つにおいて、この軸受における支承が駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収するように構成されており、および
この支承は、少なくとも2つの軸受において、前記の2つの軸受のそれぞれにおける支承が2つの軸受のそれぞれにおいて駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収するように構成されている、目的化合物を母液中の目的化合物の結晶懸濁液から精製分離するための方法が提供され、
この方法は、付加的に1つの軸受中での支承が、この軸受中での支承が駆動軸の長手方向に駆動軸上に上向きに方向を定めて作用する力を吸収することができるように構成されていることによって特徴付けられる。
【0060】
場合によっては、特異な操作状態は、洗浄カラム中で下向きに搬送される結晶床中で上昇する洗浄溶融液の再結晶の際に個々の結晶の間の洗浄フロント範囲内で劇的に高められた範囲で結晶橋を形成し(例えば、ΔTSは、意図せずに気付かれずに大きくなる)、このことは、個々の結晶の移動可能性を互いに阻止し、除去装置の除去要素に対する結晶床の前記の反応力は、劇的に上昇することができる。また、結晶溶融液空間からプロセス空間内への洗浄溶融液流の故障(例えば、方法の中断後)は、洗浄溶融液流および除去された結晶の流れのための通路(Passagen)を含む除去装置中で進行する(閉塞されるかまたは結晶で充填される)。このことから、除去装置に対する結晶溶融空間内での圧力の劇的な上昇が生じる可能性があり、この上昇は、同様に結晶床に対する除去装置およびこの除去装置を支持する駆動軸の望ましくない軸線方向の運動に貢献しうる(また、結晶溶融空間内に導通される溶融液循環流における相応する導管の横断面は、遮断する結晶によって減少され、その結果として溶融液循環流中の圧力は、上昇される)。駆動軸およびこの駆動軸に固定された同時回転する、洗浄カラムの構成部材のこの種の運動が本発明により抑制されない場合には、使用されるシールが損傷を受けるだけでなく、洗浄カラムがより深刻な損傷を受ける(例えば、上方に移動する除去装置は、水圧洗浄カラムのフィルター管を損なう)。
【0061】
「軸受」の概念は、本明細書中で滑り軸受ならびにローラー軸受を含む。これらの軸受は、商業的に入手可能なシステムであり、このシステムは、2つの互いに可動の部材、軸受相手、を含む。これらの部材は、本質的に一方が他方の中に置かれた(取り付けられた)同心リング(内側リングおよび外側リング)であり、この場合内側リングのリング開口は、支承すべき軸のための通過オリフィスを形成するか、または2つの重なり合って配置されたワッシャー(上側ワッシャーおよび下側ワッシャー)は、それぞれ支承すべき軸のための通過オリフィスを有する。この場合、最初の構造の軸受は、「同心軸受」と呼称され、最後の構造の軸受は、「サンドイッチ軸受」またはサンドイッチ構造を有する軸受と呼称される。ローラー軸受は、軸受相手が回転する物体によって分離され(間隔を置いて離れ)(いわゆる、ローラー体)、この回転する物体上で軸受相手は、この軸受相手の走行路を走行しうる。ローラー体として、球体、円柱体、針状体、筒形体または円錐体が使用されてよい。現在のローラー軸受の場合、ローラー体は、このローラー体をそれぞれ包囲するケージによって等間隔で保持される。滑り軸受の場合、2つの軸受相手は、滑剤フィルム(滑りフィルム)によってのみ互いに分離されている。限界の場合には、支承すべき軸の外側周辺は、軸受相手の機能を想定することができる(軸受相手との一致)。
【0062】
更に、軸受中での駆動軸の支承、但し、この駆動軸は、当該駆動軸の回転能を保持するものとし、は、自体公知の方法で、最初に駆動軸が当該駆動軸の軸線に沿って軸受の通過オリフィスを通じて、支承が作用する位置にまで案内されるように構成されている(即ち、駆動軸が1つを上廻る軸受中で当該軸受の長手軸線を中心に回転可能に支承され、こうして前記の軸受は、駆動軸の長手軸線上に順次に配置されている)。この場合、寸法は、(少なくとも静的摩擦の結果として)2つの軸受相手の一方が軸受上に静置し(「軸受相手」)、この軸受相手の一方と同時回転し(「同時回転する軸受相手」)、他面、他方の軸受相手が駆動軸を包囲するハウジング(任意の固定基礎盤)上または中で静置し(「ハウジング相手」)、駆動軸自身の長手軸線を中心とする駆動軸の回転に関連して固定する(「固定軸受相手」)ように互いに適合される。例えば、ハウジングは、洗浄カラム体上に当該洗浄カラム体の継続部として下向きに固定されていてよく、および互いにネジ締めされた多数の要素から構成されていてよい。
【0063】
更に、軸受の軸受内部構造の個々の構成(軸受の設計;例えば、ローラー体の幾何学的形状、軸受相手の形状、軸受相手の相対的配置)およびハウジング中または駆動軸上での軸受相手のそれぞれの支承に対して特殊な固定によって、軸受相手の可能な位置付けは、互いに関連して、ならびに必要とされるハウジングおよび駆動軸に関連して、駆動軸の長手軸線方向に下向きおよび/または上向きに駆動軸上に作用する力および/または軸受中の駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力が支承によって必要とされるように吸収されることができ、および包囲する構造体中に導入されることができ、および前記力が駆動軸の望まない可動を全くもたらさないように固定されかつ限定される(駆動軸(軸受中)から半径方向に外向きに作用する力の源として、例えば駆動軸の不均衡および回転する除去装置がこれに該当する)。
【0064】
駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する1つの力だけ、または駆動軸の長手方向に上向きに駆動軸上に作用する1つの力だけを吸収することができるように構成されている、軸受中の駆動軸の支承は、一方向での(または一方向で推力を吸収することができる)軸線方向の支承と呼称される。駆動軸によって駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する1つの力だけ、ならびに駆動軸の長手方向に上向きに駆動軸上に作用する1つの力だけを吸収することができるように構成されている、軸受中の駆動軸の支承は、二方向の(または二方向で推力を吸収することができる)軸線方向の支承と呼称される。
【0065】
サンドイッチ軸受またはサンドイッチ構造を有する軸受は、一般的に軸方向推力軸受と呼称され、それというのもこの軸方向推力軸受は、一方向または二方向の軸線方向の支承の構成だけに適しているか、または第1に駆動軸の長手方向に駆動軸上に作用する力を吸収することができる支承の構成に適している。
【0066】
更に、サンドイッチ軸受(軸線方向の軸受)中の一方向での軸線方向の支承を構成するために、適当な遮断要素(固定手段)を用いて駆動軸と同時回転しない軸受相手(「ハウジングワッシャー」)の位置は、ハウジング中で駆動軸の回転軸線に沿って、駆動軸の長手方向に駆動軸に作用しかつ支承によって吸収すべき力が方向付けられる方向に確定、すなわち固定されている(ハウジング中でのハウジングワッシャーの前記方向でのさらなる移動の遮断(ブロック化))。同時に、駆動軸上で同時回転する軸受相手(「軸ワッシャー」)の位置は、適当な遮断要素(固定手段)を用いて反対方向に確定、即ち固定される(駆動軸上での軸ワッシャーの前記方向でのさらなる移動の遮断(ブロック化))。それぞれの反対方向への相応する位置付けの確定は、不要である。
【0067】
一方向の軸線方向の支承を構成するためには、例えば深溝軸方向推力玉軸受(これは、軸ワッシャー、平面または球面の接触面を有するハウジングワッシャーおよびローラー体としての一組の球体、図7参照)または円筒ころ軸方向推力軸受(これは、軸ワッシャー、ハウジングワッシャーおよびローラー体としての円筒ころのリング)が使用されてよい。よく知られているものとしての自動調心ころ軸方向推力軸受(図3参照)において、推力は、上側の走行路から下側の走行路へ(および反対に)、軸受の軸線に対する1つの角度で伝達される。従って、この自動調心ころ軸方向推力軸受は、軸線方向の支承に加えて2つの長手方向の一方になお半径方向の支承を保証するような支承を構成するのに適している(軸線方向の推力の吸収能の55%までの半径方向の推力のための吸収能で)。任意の種類の軸受中でこのような混合した推力を吸収することができる支承は、一般的に支持支承と呼称される。自動調心ころ軸方向推力軸受は、一方向での軸線方向の最も高い推力を吸収するのに適している。従って、自動調心ころ軸方向推力軸受の使用は、本発明による方法において、軸受中の支承が駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力を吸収するように構成されている、1つの軸受中の支承に好ましい(この使用は、本発明による方法において、種々の操作状態で特に高い価値を有するものと推測することができる)。自動調心ころ軸方向推力軸受のもう1つの本質的な特徴は、この自動調心ころ軸方向推力軸受の角度の変動可能性およびハウジングに関連する、または軸の曲げに関連する軸の心狂いに対する、この自動調心ころ軸方向推力軸受の非感受性にある。自動調心ころ軸方向推力軸受は、大多数の非対称のローラーをローラー体として有し、および走行路とローラーとの間の狭い接触を有する。
【0068】
二方向の軸線方向の支承を構成させるために、使用技術的に有利に2つのハウジングワッシャーおよび1つの軸ワッシャーを含む、サンドイッチ構造を有する軸受が使用され、この場合この軸ワッシャーは、下方向から上向きに2つのハウジングワッシャーの間に位置している。ハウジング中で下方のハウジングワッシャーを固定することによって、このハウジングワッシャーの位置は、下向きに確定され、ハウジング中で上方のハウジングワッシャーを固定することによって、このハウジングワッシャーの位置は、上向きに確定される。それぞれの反対方向への相応する位置付けの確定は、不要である。駆動軸上での軸ワッシャーの位置は、上向きならびに下向きでの相応する固定によって確定される。
【0069】
二方向の軸線方向の支承を構成させるために、殊に二方向の深溝軸方向推力玉軸受が適している。この二方向の深溝軸方向推力玉軸受は、軸ワッシャーおよび平面または球面の接触面を有する2つのハウジングワッシャーおよび走行体としての二組の球体を含む。
【0070】
軸を同心軸受中で支承する場合には、軸は、常に内側リングが駆動軸上に軸受上に静置し(軸リング)、この駆動軸と同時回転し、他面、他方の軸受相手(外側リング)は、ハウジング上または中で静置し(ハウジングリング)、および駆動軸の回転に関連して固定される。この理由のために、同心軸受中の駆動軸の支承は、或る程度の範囲内で軸受中の駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を常に吸収することができる。更に、同心軸受中の駆動軸の支承を、この支承が駆動軸の長手方向に駆動軸上に作用する力を吸収することができるように構成する場合には、半径方向の支承と呼称される支承が生じる。この場合、駆動軸は、軸受中の回転可能な支承にも拘わらず駆動軸に沿って駆動軸上に作用する力によって2つの長手方向に移動可能であろう。半径方向の支承は、例えば同心ローラー軸受中での駆動軸の支承において実際に(内側リングの)軸リングの位置が適当な遮断要素(固定手段)を用いて2つの長手方向に駆動軸上に確定(固定)されている場合に生じる(軸リングの移動は、2つの長手方向に遮断される(ブロック化される))が、しかし、ハウジング中でのハウジングリング(外側リング)は、駆動軸の回転軸線に沿って2つの長手方向に移動可能であるように存在している。この場合には、駆動軸は、駆動軸の長手方向に駆動軸上に作用する力の場合に軸受と一緒に作用する力の方向に可動するであろう。反対の手段を続ける場合には(ハウジングリングの位置は、2つの長手方向に確定され、軸リングは、2つの長手方向に移動可能であるように駆動軸上に存在する)、駆動軸の長手方向に駆動軸上に作用する力は、同心ローラー軸受の穿孔を通じて駆動軸を力方向に移動させる。半径方向の支承の2つの例示的に記載された場合は、ルーズな支承とも呼称される。
【0071】
付加的に、軸受の同心軸受の内部構造の個々の構成(軸受の設計;例えば、ローラー体の幾何学的形状、軸受相手の形状、軸受相手の相対的配置)およびハウジング中または駆動軸上での駆動軸の長手方向の軸受相手の位置のそれぞれの支承に対して特殊な固定によって、同心軸受中の支承は、自体公知の方法で、軸受が軸受中の駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力に加えて、なお駆動軸の長手方向に2つの長手方向の1つの方向(すなわち、下向きまたは上向き)または2つの方向に当該駆動軸上に作用する力を吸収しうるように構成されることができる。第1の場合に生じる支承は、支持支承と呼称され、最後の場合は、案内支承と呼称される。軸受中の駆動軸の支承が駆動軸の長手方向に2つの長手方向に作用する力を吸収することができるように構成されている、軸受中の駆動軸の支承は、一般的に二方向の固定支承と呼称される(支承が駆動軸の長手方向に長手方向だけに作用する力を吸収しうるように支承が構成されている場合には、支承は、一般的に一方向の固定支承とも呼称される)。
【0072】
同心ローラー軸受中の駆動軸の案内支承において、2つの長手方向での駆動軸上の(内側リングの)軸リングの位置ならびに2つの方向での駆動軸の回転軸線に沿ってのハウジング中でのハウジングリングの位置は、適当な遮断要素(固定手段)を用いて確定される(固定される)。同心ローラー軸受中の駆動軸の支持支承において、駆動軸の回転軸線に沿ってのハウジング中のハウジングリングの位置は、駆動軸の長手方向に駆動軸上に作用する力を有するような方向に確定される。同時に、駆動軸上での軸リングの位置は、対向方向に固定される(前記方向での駆動軸に対する軸ワッシャーのさらなる移動の遮断(ブロック化))。それぞれの反対方向への相応する位置付けの確定は、不要である。
【0073】
本発明による方法に使用可能な同心ローラー軸受として、例示的に深溝軸方向推力軸受(DIN 625;第1に半径方向の推力を吸収するための支承の構成に適している)、単列アンギュラー玉軸受(DIN 628;一方向の軸線方向の高い推力ならびに半径方向の高い推力を吸収しうる支承の構成に適している(支持支承))、二列アンギュラー玉軸受(O形配置での2個の単列アンギュラー玉軸受に相当し、半径方向および二方向の軸線方向の推力を吸収するための支承の構成に適している(案内支承))、自動調心玉軸受(DIN 630;2個の玉列を有し、半径方向および二方向の軸線方向の推力を吸収するための支承の構成に適している(案内支承))、円筒ころ軸受(DIN 5412;第1に半径方向の推力を吸収するための支承の構成に適している)、ころがり軸受(DIN 720;半径方向および一方向の軸線方向の推力を吸収するための支承の構成に適している(支持支承))および自動調心ころ軸受(DIN 635;自動調心ころ軸受(図8)は、外側リング中に共通の中空球の走行路を備えた2個のローラー列を有し;内側リングは、軸受軸線に対して傾斜した2つの走行路を有し;これらの走行路は、角的動作可能であり、ハウジングに対する軸の心狂い、または軸の曲げに対して非感受的であり;半径方向の推力から離れて適度に固定(構成)させる場合には、これらの走行路は、付加的に1つの長手軸線方向にのみ軸線方向の推力を吸収することができる(支持支承)かまたは2つの長手方向に軸線方向の推力を吸収することができる(案内支承))が挙げられる。
【0074】
同心軸受中の支承は、一般的にこの支承が半径方向の推力ならびに軸線方向の推力を吸収しうるように構成させることができるので、同心軸受に関する呼称は、接頭辞の「半径方向−」、また接頭辞の「軸線方向−」を有する。
【0075】
ハウジング中、または駆動軸上での1つの長手方向または2つの長手方向の軸受相手の位置を確定するための軸受相手の固定は、摩擦力結合、形状結合(例えば、噛合結合、嵌合結合)および素材結合(例えば、溶接、接着)によって行なうことができる。ハウジング中での取付け(固定)のための手段として、例えばキャップ、支持ワッシャー、ネジ締めリング、ハウジングショルダー、スペーサースリーブおよび安全リングがこれに該当する。軸上での取付け(固定)のための手段の例は、安全リングまたは溝付きリング(例えば、ゼーガーリングSeegerring)、シャフトナット、スペーサースリーブ、スペーサーリング、オーバーサイズフィット(Uebermasspassung)、張りスリーブ、ストップカラー(ショルダー)、張りネジ、ナットおよび軸端部に中心ネジを備えたワッシャーである。例えば、内側リングは、ストップカラーと張りネジまたはナットとの間で軸上に圧締めすることができるかまたは張りスリーブで押圧することができる。ハウジング内で、しばしば外側リングは、キャップでストップカラーに対して押圧されるかまたはゼーガーリングで保持される。収縮の方法において、軸受は、高い温度にもたらされる。それによって、軸受全体が伸張され、軸受全体は、加熱された状態で冷たい軸上に押される。冷却時に、この軸受全体は、収縮し、極めて堅固に軸上に隣接する。原理的に凝縮結合が使用されてもよい。勿論、固定は、圧入によって行なわれてもよい。
【0076】
滑り軸受およびローラー軸受中への軸の支承を構成するための詳細な情報は、例えばDubbel,Taschenbuch fuer den Maschinenbau,第21版,K−H.Grote und J.Feldhusen,Springer Verlag(2005)ならびにSKF Hauptkatalog der SKF GmbH Mannheim(1986)およびwww.skf.com.に見出せる。
【0077】
既述したように、本発明によれば、駆動軸を支承するために使用すべき軸受は、商業的に入手可能であり、この軸受が長時間の操作(一般的に少なくとも1000操作時間または少なくとも2000操作時間)でも予想された推力の大きさに耐えうるように選択されるべきである。品質的に価値の高い軸受は、100000操作時間まで、およびそれを上廻る寿命を有する。
【0078】
本発明による処理形式は、殊に、駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力を吸収するような少なくとも2つの軸受中の支承(この支承に使用される軸受を含めて)が50kN以上、または75kN以上、または100kN以上、または1000kN以上である、駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力を吸収しうるように設計(構成)されているような精製洗浄カラム分離法に該当する。一般的に、前記の構成(設計)は、安全性の理由から、構成された推力の吸収能が種々の可能な操作状態に対して起こりうる(予想される)最大の推力を上廻るように行なわれる。しかし、一般的には、前記の推力の設計は、本発明による方法の場合に20000kN、しばしば10000kNを上廻らない(過負荷破損は、一般的に軸受中で起こり、軸受相手の固定では起こらない)。
【0079】
それによって、本発明による方法は、駆動軸の最大直径が除去装置と、軸受の支承が駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力を吸収するように軸受の支承が構成されているような軸受との間に存在する駆動軸の長手範囲(長手区間)で50mm〜400mmの範囲内、または100〜300mmの範囲内、または150mm〜250mmの範囲内にある場合にとりわけ重要である。これは、特に駆動軸ならびに除去装置が鋼(例えば、特殊鋼)から完成されている場合である。前記の直径は、通常、予想される推力で補正して確定される(予想された推力が大きければ大きいほど、直径は、ますます大きくなる)。
【0080】
ところで、本発明による方法の1つの実施態様は、例えば駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力を吸収するように軸受が構成されているような支承が案内支承として構成されていることにある。即ち、駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力、ならびに駆動軸の長手方向に上向きに駆動軸上に作用する力および付加的になお軸受中で駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収するように構成されている支承として構成されている。このような案内支承は、例えば二方向のアンギュラー玉軸受、自動調心玉軸受または自動調心ころ軸受中で構成されていてよい。更に、本発明による方法を実施するために、なおもう1つの軸受中の駆動軸の支承だけが必要とされ、この場合この支承は、純粋に半径方向の支承として構成されており、即ちこの支承は、前記軸受中の駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力だけを吸収する。本発明によれば、好ましくは、このような単独の半径方向の支承には、深溝玉軸受または自動調心ころ軸受がこれに該当する。上方から下向きに見て、本発明によれば、好ましくは、除去装置の下方で最初に半径方向の支承が構成され、同じ除去装置の下方で案内支承が構成される。勿論、1つの純粋な半径方向の支承は、前記の本発明による実施態様において必要な場合には、付加的な他の単独の半径方向の支承によって補充されてよい。
【0081】
しかし、本発明によれば、案内支承の場合のように多数の種々の取り入れるべき推力を個々の軸受中に吸収するのではなく、この推力の吸収を多数の軸受に分配するのが好ましい。これは、殊に個々の予想される推力が極めて大きい場合に当てはまる(例えば、本発明による方法の場合、駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力)。この場合、それぞれの支承は、予想されるそれぞれの吸収すべき推力に対して調整して構成することができる。
【0082】
従って、本発明による方法の他の選択可能な改善された実施態様は、例えば駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力を吸収するように軸受が構成されているような支承が支持支承としてだけ構成されていることにある。
【0083】
即ち、1つの支承として、これは、駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸中で作用する力だけおよび付加的になお軸受中で駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収するように構成されている。このような支持支承は、例えば本発明によれば、有利に自動調心ころ軸方向推力軸受において構成することができる。更に、この場合には、本発明による処理形式の実施のために、もう1つの軸受中の駆動軸の少なくとも1つの支承がなお必要とされ、この場合この支承は、同様に支持支承として構成されていてよく、実際に一面で、駆動軸の長手方向に上向きに駆動軸上に作用する力および付加的になおこの軸受中で駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収するように構成されていてよい。
【0084】
本発明によれば、好ましくは、この支承は、自動調心ころ軸受において構成される。勿論、2つの前記支承は、必要に応じて付加的な単独の半径方向の支承によって補充されてよい(これは、例えば同様に自動調心ころ軸受において構成されていてよい)。上方から下向きに見て、本発明によれば、好ましくは、除去装置の下方で、最初に半径方向の支承、それに続いて駆動軸の長手方向に上向きに駆動軸上に作用する力のための第1の支持支承および最終的に駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力のための第2の支持支承が構成されている。この場合、好ましくは、2つの支持支承の明らかな離隔距離は、150cm以下、特に100cm以下、殊に50cm以下である。しかし、一般的には、前記の離隔距離は、少なくとも10cmになる。前記の実施態様は、殊にシールとして二重に作用する軸線方向のスリップリングシールが使用されることは、好ましく、それというのも、特にできるだけ除去装置に隣接して構成されている付加的な半径方向の支承は、それぞれの2つのスリップリングの予想される心狂いを有効に抑制するからである。しかし、勿論、本発明は、1つの支持支承および/または別の支持支承の代わりに一方向の軸線方向の支承と半径方向の支承(これらは、それぞれ2つの独立した軸受において構成されている)とからの組合せが使用されるような実施態様も含む。
【0085】
総じて、駆動軸の本発明による支承は、必要な場合には、空間内で同時に定義された位置で、駆動軸の長手軸線を中心とする駆動軸のできるだけ摩擦のない回転を可能にし、ひいては本発明による方法の長時間操作において故障のないプロセスの実行を可能にする。これは、殊に50kN以上、または75kN以上、または100kN以上、または1000kN以上(一般的に20000kN以下、または10000kN以下)である、駆動軸の軸線方向に上向きに作用する力を吸収しうる軸受を含めて、駆動軸の長手方向に上向きに駆動軸上に作用する力を窮するように軸受の1つが構成されている支承が構成されていることに該当する。
【0086】
本発明による方法の場合、一緒に使用される軸受は、軸線方向に有利にシールの下方で取り付けられており、このことは、このシールが処理の操作において結晶の溶融液または結晶懸濁液と接触することを阻止する。本発明によれば、一緒に使用すべき軸受は、特に軸受特殊鋼から完成されている。
【0087】
特に、材料の伸張が温度で変化することの理由から(殊に、本発明による方法の範囲内で、駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力の吸収は、駆動軸の長手方向に上向きに駆動軸上に作用する力の吸収とは別の軸受において行なわれる場合)、駆動軸の長手方向に上向きに駆動軸上に作用する力を吸収するような軸受中の本発明による支承は、使用技術的に有利にしばしば、力の吸収が直接に力の作用で行なわれるのではなく、力の作用によって引き起こされる、駆動軸の制限された可動後およびこの駆動軸上に固定された構成部材の相応する長手方向の可動後に初めて行なわれるように構成されている。前記支承のこのような長手方向の遊びは、例えば10cm以下、特に5cm以下、好ましくは1.5cm以下、特に有利に1.0cm以下または0.5cm以下であることができる。殊に、二重に作用する軸線方向のスリップリングシールを一緒に使用する場合には、記載された長手方向の遊びは、できるだけ小さくなるように保持される。
【0088】
他の点では、結晶床の強制輸送で洗浄カラム分離法を実施することに関連する本明細書中の全ての記載は、本発明による処理形式にとっても有用である。
【0089】
即ち、本発明による方法の場合も、αは、特に10°以下、有利に5°以下、特に有利に0°である。更に、本発明による方法の場合、βは、特に10°以下、有利に5°以下、特に有利に0°である。
【0090】
本発明による方法において洗浄カラムのプロセス空間内に導入される目的化合物の結晶懸濁液の含量は、しばしば60質量%以上、または70質量%以上、または80質量%以上、または90質量%以上、または95質量%以上になる(必然的には、100質量%未満、多くの場合に98質量%未満である)。特に、本発明による方法は、本発明による方法において洗浄カラムのプロセス空間内に導入される結晶懸濁液の結晶度が0.10以上、または0.20以上、または0.25以上である場合に当てはまる。一般的に、前記の結晶度は、本発明による方法において0.60以下、しばしば0.50以下、および幾つかの場合に0.40以下になる。従って、本発明によれば、該当する結晶度は、例えば0.2〜0.3の範囲内の結晶度である。
【0091】
本明細書中で既述した全ての記載は、殊に目的化合物がアクリル酸、メタクリル酸、N−ビニルピロリドンおよびp−キシレンからなる群からの化合物である場合に該当する。
【0092】
これは、特に本発明による方法において洗浄カラムのプロセス空間に供給される結晶懸濁液がアクリル酸65質量%以上および水0.1〜30質量%を含有する場合に当てはまる。しかし、前記結晶懸濁液がアクリル酸80質量%以上および水0.5〜15質量%、またはアクリル酸90質量%以上および水0.7〜6質量%を含有する場合も当てはまる(目的化合物は、それぞれアクリル酸である)。従って、これは、とりわけ当てはまる。それというのも、水は、比較的小さな分子量を有するからである。従って、変動する含水量は、TSPに対して認知できる効果を有し、およびこれから生じるΔTSに対して認知できる効果を有する(例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007043758号明細書参照)。
【0093】
即ち、本発明による方法は、アクリル酸が目的化合物であり、およびプロセス空間に供給される結晶懸濁液が次の含量を有する場合に使用可能である:
アクリル酸70質量%以上、
水20質量%まで、
酢酸15質量%まで、
プロピオン酸5質量%まで、
アルデヒド5質量%まで、
重合抑制剤3質量%まで、および
アクリル酸オリゴマー5質量%まで(マイケル付加物)。
【0094】
しかし、アクリル酸が目的化合物であり、およびプロセス空間に供給される結晶懸濁液が次の含量を有する場合も使用可能である:
アクリル酸90〜98質量%、
水0.2〜5質量%、
アクロレイン0.001〜3質量%、
メタクロレイン0.001〜3質量%、
プロピオン酸0.001〜3質量%、
アクロレインおよびメタクロレインとは異なるアルデヒド0.001〜3質量%および
マレイン酸0.001〜3質量%。
【0095】
本明細書中で既述した全ての記載は、殊に、多数(全ての結晶の数字の半分を上廻る)の結晶の最長寸法(結晶上で2点を結合する最も長い直線)が50〜1500μmまたは200〜800μmである場合に当てはまる。
【0096】
とりわけ、本明細書中の全ての実施態様は、ΔTSが本発明による方法の標準操作において5〜15℃である場合に当てはまる。しかし、ΔTSは、1〜20℃または5〜10℃であってもよい。
【0097】
除去装置は、本発明による方法の場合に使用技術的に有利にはブレードディスクとして構成されている。特に、このブレードディスクは、(環状)円形である。プロセス空間を結晶溶融空間と結合する、結晶床から除去された結晶のための通路として、この通路は、スロット(通過オリフィス)を有し、このスロットの縁(回転方向から離れて面する、スロットの輪郭線の側(例えば、長形の穴))には、ブレードが配置されている。ブレードを備えたスロットは、特に、ブレードディスクが回転する際にブレードディスクに対向する結晶床の全端部に亘って結晶が除去されるようにブレードディスクに亘って分布している。有利に、スロットは、半径方向に方向付けられ、それぞれのスロットは、傾斜したブレード(傾斜したナイフ)を装備し、このブレードで結晶は、結晶床から除去される。更に、ブレードディスクに亘ってのスロットの分布は、有利に、ブレードディスクの回転の際にそれぞれのスロットに本質的に結晶の同じ質量流が貫流するように構成されている。それぞれのナイフ(それぞれのブレード)は、結晶床に対向する面(この場合、場合によっては存在する結晶床の輪郭は、考慮されないままであり、即ち参照となる点は、輪郭の最も高い点である)を介して突出し(典型的には、1〜15mm、しばしば2〜10mm、または3〜5mm)、したがってブレードによって結晶は、除去され、およびスロット開口に供給される。
【0098】
本発明によれば、適したブレードディスクの半径は、大工業的方法のために、例えば300〜3000mmであることができる。前記スロットは、しばしば長形の穴の幾何学的形状を有する(長形の穴の定義は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第102007028333号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第102007028332号明細書中に見出せる)。しかし、スロットの幾何学的形状は、長方形であってもよいし、長形の穴の幾何学的形状と長方形の幾何学的形状との間であってもよい。
【0099】
穴の直径(2つの長辺の距離)は、例えば20〜100mmであることができ、2つの穴の中心の距離は、100〜500mmであることができる。更に、結晶床に対向した、ブレードディスクの表面には、使用技術的に有利に同心溝からなる輪郭が備えられている(この溝の断面は、有利に三角形であり、溝の深さは、例えば2〜10mm、または3〜7mmであり、溝の幅は、10〜15mmであり、半径方向に連続する溝の距離は、属する三角断面が共通の頂点を有するように定められていてよい)。この輪郭は、洗浄溶融液空間からプロセス空間内に返送される洗浄溶融液がプロセス空間の断面に亘ってできるだけ均一に分布することを保証する。欧州特許出願公開第1448282号明細書の図5および8は、例示的に本発明により除去装置として適したブレードディスクの構成を示す。除去装置(例えば、除去ブレードまたは除去ナイフ)の除去要素の面および駆動軸の回転軸線を含む角度γは、本発明による方法において(既述したように)しばしば20°〜70゜、多くの場合に30°〜60゜である。駆動軸は、本発明による方法において、下方から出て、使用技術的に有利にブレードディスク(または一般的に除去装置にまで)にまで突出する。駆動軸から半径方向に離れて走る、中空開口を装備した薄片(線形要素)は、ブレードディスクを使用技術的に有利に有する(支持する)。勿論、回転する除去装置は、WO 2009/148314中の記載と同様に構成されていてよい。勿論、本発明による方法は、本明細書中に引用された公知技術水準と同様に実施されてよい。そのためには、殊に欧州特許第1448282号明細書、WO 01/77056、ドイツ連邦共和国特許出願第10200804034.7号、WO 2006/111565、WO 2009/148314およびドイツ連邦共和国特許出願公開第102007004960号明細書が属する。
【0100】
典型的な結晶質量供給流(殊に、アクリル酸結晶の場合)は、プロセス空間の供給端部でプロセス空間の断面積に対して本発明による方法において1〜20t/m2・hである(t=メートルトン)。駆動軸の回転数は、典型的には毎分2〜40回の範囲内、しばしば4〜20回、多くの場合に4〜10回である。駆動軸の長さは、殊に大工業的方法のために0.5〜4mである。
【0101】
図1は、分配器空間なしの水圧洗浄カラムの機能原理を長手方向の断面で略示する。この場合、数値符号は、次の意味を有する:
1:母液中の目的化合物の結晶懸濁液;
2:プロセス空間から放出される母液流:
3:目的化合物の純粋な溶融液中のための出口;
4:搬送圧力を発生させる母液の流れ;
5:上方から下方へ搬送される結晶床;
6:下方から上方へ流れる洗浄溶融液;
7:洗浄カラムのプロセス空間;
8:結晶懸濁液のための搬送ポンプ;
9:溶融液循環路中で除去された結晶を溶融するための溶融装置(例えば、熱伝達装置);
10:洗浄溶融液流の強さを調節するための調節弁;
11:溶融液循環ポンプ;
12:溶融液循環路;
13:制御流として返送される母液のためのポンプ;
14:フィルター管(大工業的に一束のフィルター管が使用される(例えば、欧州特許出願公開第1448282号明細書の図3参照))
15:フィルター管中に取り付けられたフィルター:
16:回転する除去装置(例えば、ブレードディスク);
17:結晶溶融空間;
18:駆動軸;
19:シール。
【0102】
図2は、機械的強制搬送装置として濾過端面および母液除去部を備えた振動ピストンを使用する、分配器空間なしの機械的洗浄カラムの機能原理を長手断面で略示する。
【0103】
同一の数値符号は、図1と同様の意味を有する。付加的に次の2つの数値符号は、図2において次の意味を有する:
20:濾過端面を備えた振動ピストン;
21:プロセス空間から放出すべき母液。
【0104】
図3は、機械的強制搬送のための回転する搬送要素を備えた、分配器なしの機械的洗浄カラムの機能原理を長手断面で略示する。既に図1および2において同一の意味で使用される数値符号に加えて、次の新しい数値符号は、図3において次の意味を有する:
22:均質な結晶床を保証するための欧州特許第1448282号明細書に記載の中央の排除体;
23:回転する搬送要素;
24:フィルター。
【0105】
図4は、プロセス空間の上流に分配器空間を備えた、水圧洗浄カラムの機能原理を長手方向の断面で略示する。既に図1、2および3において同一の意味で使用される数値符号に加えて、次の新しい数値符号は、図4において次の意味を有する:
25:形成フロント;
26:結晶懸濁液のための分配器トレイ;
27:母液除去のための捕集トレイ。
【0106】
図5は、本発明による方法の実施に適した洗浄装置の一部分を示す。既に図1ないし4において同一の意味で使用される数値符号に加えて、次の新しい数値符号は、図5において次の意味を有する:
28:洗浄カラムの壁;
29:駆動軸の回転運動を駆動させるためのトランスミッションを備えた電気モータ;
30:トルクを駆動軸に伝達するためのクラッチシステム;クラッチシステムおよびモータの質量は、通常の場合に駆動軸上に作用せず、それというのも、これらは、一般的に別々に保持されるからであり;
31:互いにネジ締めされた複数の部材からなりかつ洗浄カラム塔とネジ締めされている、駆動軸(固定された基盤)を包囲するハウジング;
32:除去装置(スロットを備えたブレードディスク)を支持する薄片;
33:駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力を吸収するための自動調心ころ軸方向推力軸受中の駆動軸の支持支承;
34:駆動軸の長手方向に上向きに駆動軸上に作用する力を吸収するための自動調心ころ軸受中の駆動軸の支持支承;
35:自動調心ころ軸受中の駆動軸の半径方向の支承;
36:溶融液中に立つ、二重に作用する軸線方向のスリップリングシールの上部のスリップリング対;
37:遮断液で充填された、二重に作用する軸線方向のスリップリングシールの遮断空間;
【0107】
図6は、本発明に照らして見て、拡大された形の図5に図示された洗浄装置の特に当該の区間を示す。既に図1ないし5において同一の意味で使用される数値符号に加えて、次の新しい数値符号は、図6において次の意味を有する:
38:二重に作用する軸線方向のスリップリングシールの下部スリップリング対;
39:自動調心ころ軸方向推力軸受のハウジングワッシャー;
40:自動調心ころ軸方向推力軸受の軸ワッシャー;
41:自動調心ころ軸方向推力軸受のローラー体(駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力を吸収する、駆動軸の支持支承を構成するための自動調心ころ軸方向推力軸受は、特にSFK GmbH社、D−68219 マンハイム在の自動調心ころ軸方向推力軸受 29438Eであり;それによって生じる軸線方向の推力の吸収能(例えば、常に本明細書中で動定格荷重として)は、約2850kNである;
42:自動調心ころ軸方向推力軸受のハウジングワッシャーの位置をハウジング内で駆動軸の回転軸線に沿って下向きに固定するハウジングショルダー(ハウジングの下部での圧痕);ハウジングワッシャーを上向きに相応して位置決めして固定することは、存在していない;
43:その上に存在するストップカラー44と一緒に(駆動軸上での圧痕)軸ワッシャーの位置を駆動軸上に上向きに確定するスペーサーリング;下向きの軸ワッシャーの相応する位置決めの確定は、存在していない;
44:駆動軸上での圧痕(ストップカラー);
45:第1の自動調心ころ軸受の外側リング(第1のハウジングリング);
46:第1の自動調心ころ軸受の内側リング(第1の軸リング);
47:第1の自動調心ころ軸受のローラー体(駆動軸の長手方向に上向きに駆動軸上に作用する力を吸収する、駆動軸の支持支承を構成するための第1の自動調心ころ軸受は、特にSKF GmbH社、D−68219 マンハイム在の自動調心ころ軸受23044 CC/W33であり;それによって生じる軸線方向の推力の吸収能は、約290kNであり(動定格荷重);半径方向の動定格荷重は、約1220kNである);
48:第1のハウジングリングの位置をハウジング内で駆動軸の回転軸線に沿って上向きに確定する、ハウジングでネジ締めされた支持ワッシャー;上向きの第1の外側リング(第1のハウジングリング)の相応する位置決めの確定は、存在せず;駆動軸上での第1の軸リング(第1の内側リング)は、下向きにスペーサーリング43によって固定され;上向きの第1の軸リングの相応する位置決めの確定は、存在しない;
49:第2の自動調心ころ軸受の外側リング(第2のハウジングリング);
50:第2の自動調心ころ軸受の内側リング(第2の軸リング);
51:第2の自動調心ころ軸受のローラー体(二重に作用する軸線方向のスリップリングシールに直接隣接して駆動軸の半径方向の支承を構成するための第2の自動調心ころ軸受は、特にSKF GmbH社、D−68219 マンハイム在の自動調心ころ軸受23048.C3であり;半径方向の動定格荷重は、約1130kNである)
52:第2のハウジングリングの位置をハウジング内で駆動軸の回転軸線に沿って下向きに確定する、ハウジングでネジ締めされた支持ワッシャー;
53:第2のハウジングリングの位置をハウジング内で駆動軸の回転軸線に沿って上向きに確定するハウジングショルダー(上部のハウジング部材中の圧痕);駆動軸上の第2の軸リングの位置は、上向きにも下向きにも確定されず、したがって典型的なルーズな支承が生じる。
【0108】
総じて、図5および6は、例示的に洗浄カラムの除去装置に対する駆動軸の好ましい本発明による支承を示す。この場合、駆動軸は、全体的に3つの軸受(3)中でこれらの軸受の長手方向の軸線を中心に回転可能に支承されている。この場合、上方から下向きに最も下の軸受中の支承は、駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力ならびに自動調心ころ軸方向推力軸受中の駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収する支持支承として構成されている。上方から下向きに最も上の軸受中の支承は、単に最も上の自動調心ころ軸受中の駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収する半径方向の支承として構成されている。駆動軸の支持支承を生じるかまたは案内支承であっても生じる、2つの自動調心ころ軸受の最も上の支承をも使用する潜在的な可能性は、故意に活用していない。他方で、上方から下向きに中央部での軸受中の支承は、駆動軸の長手方向に上向きに駆動軸上に作用する力ならびに中央部の自動調心ころ軸受中の駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収する支持支承として構成されている。
【0109】
本発明による支承のこの構成は、殊に、洗浄カラムの駆動軸およびこの駆動軸上に固定された、同時回転する構成部材の全質量の重さGMが少なくとも3kNまたは少なくとも5kN、または少なくとも8kN、または少なくとも10kN、または少なくとも13kNである場合に適している(この重さは、通常、50kN以下、または40kN以下、または30kN以下である)。
【0110】
これは、一般的に自動調心ころ軸方向推力軸受から二重に作用する軸線方向のスリップリングシールまでの範囲内での駆動軸の最大直径が50〜400mmまたは100〜300mmであり、前記駆動軸の長さが1〜3mの範囲内にあり、駆動軸それ自体ならびにこの駆動軸上に固定された構成部材が本質的に特殊鋼から完成されており、および除去装置が300〜3000mmの範囲内の直径を有する、円形回転する、スロットを備えたブレードディスクである場合になる。
【0111】
殊に、駆動軸の支承の上記に記載された本発明による構成は、付加的に結晶溶融液の少なくとも70質量%、特に少なくとも80質量%または少なくとも90質量%がアクリル酸からなり、アクリル酸が目的化合物である場合に適している。この場合、二重に作用する軸線方向のスリップリングシールとして、殊にBurgmann Industries/GmbH & Co.社,D−82502 Wolfratshausen在の付加的な漏れ孔を備えたスリップリングシールHSMR5L−D/250−E4がこれに該当する。スリップリングおよび対向リングは、Buka 22(DIN 24960によるSiC Q1)から完成されている。
【0112】
米国暫定特許出願番号61/153339号、出願日2009年2月18日は、刊行物の参照をもって本明細書中に取り入れられている。
【0113】
上記の教示に関して、本発明の多様な変更および変化が可能である。従って、本発明は、特許請求の範囲内で、ここでの特定の記載とは異なるような構成から出発することもできる。
【0114】
従って、本発明は、殊に次の実施態様を含む:
1.目的化合物を母液中の目的化合物の結晶性懸濁液から、固定された壁の長手軸線方向に対して回転対称のプロセス空間およびこのプロセス空間に続く結晶溶融空間を包囲する固定された壁を第1の構成部材として有する、種々の構成部材からなる洗浄カラムを少なくとも1つの要素として含む洗浄装置で精製分離するための方法であって、この場合対称軸線の空間方向と垂直軸線との間に形成される角度αは、20゜以下であり、このプロセス空間は、洗浄カラムの壁および対称軸線上で対向する2つの端部によって制限され、これらの端部の中で対称軸線上の上部の端部は、供給端部を形成し、および対称軸線上の下部の端部は、除去端部を形成し、この場合
この供給端部で、懸濁液の流れはプロセス空間内に導入され、
前記結晶の保持下にプロセス空間内に導入される懸濁液流からプロセス空間内で結晶床を形成しながら母液流はプロセス空間から放出され、
洗浄カラムの他の構成部材として、除去装置は、この同一の他の構成部材中でプロセス空間の除去端部で回転し、
プロセス空間内の結晶床は、重力によって異なる少なくとも1つの力でプロセス空間の対称軸線に対して平行に回転する除去装置に搬送され、その際、除去装置に衝突し、
回転する除去装置は、この除去装置に衝突する結晶床から結晶を除去し、
除去された結晶の流れは、回転する除去装置を貫流し、および/または回転する除去装置を通り過ぎて洗浄カラムの結晶溶融空間内に流れ、この場合この結晶溶融空間は、結晶床の輸送方向に除去装置の後方でプロセス空間に隣接しており、
洗浄カラムの他の構成部材として、回転のための駆動ユニットによって当該駆動ユニットの長手軸線を中心に駆動される駆動軸は、下方から結晶溶融空間内に導かれる入口を通じて洗浄カラム内に案内されており、この場合駆動軸の回転軸線の空間方向とプロセス空間の対称軸線の空間方向から形成される角度βは、2つの空間方向が1つの平面内に突出する際に20゜以下であり、
前記除去装置は、駆動軸上に固定されており、回転する駆動軸は、除去装置の回転に必要とされるトルクを除去装置上に伝達し、
結晶溶融空間内に輸送される結晶流は、結晶溶融空間内で溶融され、および/または結晶溶融流を生じるために熱を導入することによって結晶溶融空間に導通される溶融液循環路中で溶融され、
結晶溶融空間内への駆動軸の入口は、結晶溶融液が結晶溶融空間から入口を通じて出口へ意図に反して退出することを防止するシールを装備しており、
前記の結晶溶融流の強さに対して結晶溶融空間から出発して、結晶溶融液の1つの部分流が洗浄溶融液流として回転する除去装置を通じておよび/または回転する除去装置を通り過ぎて結晶床の運動方向とは反対に、結晶床中で結晶床を母液帯域と洗浄溶融帯域とに分割する洗浄フロントが形成されるようにプロセス空間内に導入され、残りの部分流は、目的化合物の純粋な溶融流としてこの部分流の出口に供給され、
本方法の標準操作で駆動軸の長手方向に駆動軸上に作用する力は、絶えず下向きに方向を定め、
駆動軸は、1つの軸受よりも多い軸受で当該駆動軸の長手方向の軸を中心に回転可能に支承されており、
この支承は、前記軸受の1つにおいて、この軸受における支承が駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収するように構成されており、および
この支承は、少なくとも2つの軸受において、前記の2つの軸受のそれぞれにおける支承が2つの軸受のそれぞれにおいて駆動軸から半径方向に外向きに作用する力を吸収するように構成されている、目的化合物を母液中の目的化合物の結晶性懸濁液から精製分離するための方法において、
この方法は、付加的に1つの軸受中での支承が、この軸受中での支承が駆動軸の長手方向に駆動軸上に上向きに方向を定めて作用する力を吸収することができるように構成されていることによって特徴付けられる。
2.駆動軸および駆動軸に対して固定された全ての同時回転する構成部材の全質量の重さは、3kN以上である、実施態様1記載の方法。
3.駆動軸および駆動軸に対して固定された全ての同時回転する構成部材の全質量の重さは、8kN以上である、実施態様1記載の方法。
4.駆動軸および駆動軸に対して固定された全ての同時回転する構成部材の全質量の重さは、10kN以上である、実施態様1記載の方法。
5.駆動軸および駆動軸に対して固定された全ての同時回転する構成部材の全質量の重さは、50kN以上である、実施態様1から4までのいずれか1項に記載の方法。
6.駆動軸および駆動軸に対して固定された全ての同時回転する構成部材の全質量の重さは、50kN以上である、実施態様1から4までのいずれか1項に記載の方法。
7.駆動軸および駆動軸に対して固定された全ての同時回転する構成部材の全質量の重さは、30kN以下である、実施態様1から4までのいずれか1項に記載の方法。
8.角度αは、20゜以下である、実施態様1から7までのいずれか1項に記載の方法。
9.角度αは、5゜以下である、実施態様1から7までのいずれか1項に記載の方法。
10.角度αは、0°である、実施態様1から7までのいずれか1つに記載の方法。
11.角度βは、10゜以下である、実施態様1から10までのいずれか1つに記載の方法。
12.角度βは、5゜以下である、実施態様1から10までのいずれか1つに記載の方法。
13.角度βは、0°である、実施態様1から10までのいずれか1つに記載の方法。
14.洗浄溶融液の温度TSCHとプロセス空間に供給される懸濁液の温度TSPとの差は、1〜25℃である、実施態様1から13までのいずれか1つに記載の方法。
15.TSCH − TSPは、2〜20℃である、実施態様14に記載の方法。
16.TSCH − TSPは、5〜15℃である、実施態様14に記載の方法。
17.シールは、二重に作用する軸線方向のスリップリングシールである、実施態様1から16までのいずれか1つに記載の方法。
18.駆動軸および除去装置は、25℃および1atmでの密度が3g/cm3以上および18g/cm3以下である材料から製造されている、実施態様1から17までのいずれか1つに記載の方法。
19.材料の密度は、5g/cm3以上および18g/cm3以下である、実施態様18に記載の方法。
20.材料の密度は7g/cm3以上および18g/cm3以下である、実施態様18に記載の方法。
21.結晶溶融空間内の結晶溶融液ならびにプロセス空間内の母液および結晶懸濁液の密度は、1.5g/cm3以下および0.7g/cm3以上である、実施態様1から20までのいずれか1つに記載の方法。
22.密度は、1.3g/cm3以下および0.7g/cm3以上である、実施態様21に記載の方法。
23.除去装置の開口比は、0.05以上および1未満である、実施態様1から22までのいずれか1つに記載の方法。
24.除去装置の開口比は、0.01以上および0.95以下である、実施態様23に記載の方法。
25.除去装置は、結晶床に対向した側に除去装置の側に少なくとも1つの除去ブレードを有し、この場合この除去ブレードの面と駆動軸の回転軸線とが鋭角γを形成する、実施態様1から24までのいずれか1つに記載の方法。
26.除去装置は、通過オリフィスを有するワッシャーであり、この場合それぞれの通過オリフィスには、除去ブレードが装備されている、実施態様25に記載の方法。
27.除去装置の回転軸線とプロセス空間の対称軸線とは、プロセス空間の高さに亘って平均した、プロセス空間の直径に対して20%未満側方に互いにずれている、実施態様1から26までのいずれか1つに記載の方法。
28.除去装置の回転軸線とプロセス空間の対称軸線とは、プロセス空間の高さに亘って平均した、プロセス空間の直径に対して5%未満側方に互いにずれている、実施態様1から26までのいずれか1つに記載の方法。
29.駆動軸の最大直径は、除去装置と、軸受の支承が駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収するように軸受の支承が構成されているような軸受との間に存在する駆動軸の長手区間で50mm〜400mmである、実施態様1から28までのいずれか1つに記載の方法。
30.駆動軸の最大直径は、除去装置と、軸受の支承が駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収するように軸受の支承が構成されているような軸受との間に存在する駆動軸の長手区間で100mm〜300mmである、実施態様1から28までのいずれか1つに記載の方法。
31.駆動軸の最大直径は、除去装置と、軸受の支承が駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収するように軸受の支承が構成されているような軸受との間に存在する駆動軸の長手区間で150mm〜250mmである、実施態様1から28までのいずれか1つに記載の方法。
32.プロセス空間内に導入される懸濁液の含量は、目的化合物に対して70質量%以上である、実施態様1から31までのいずれか1つに記載の方法。
33.プロセス空間内に導入される懸濁液の含量は、目的化合物に対して80質量%以上である、実施態様1から31までのいずれか1つに記載の方法。
34.プロセス空間内に導入される懸濁液の含量は、目的化合物に対して90質量%以上である、実施態様1から31までのいずれか1つに記載の方法。
35.プロセス空間内に導入される懸濁液の結晶度は、0.10〜0.60である、実施態様1から34までのいずれか1つに記載の方法。
36.プロセス空間内に導入される懸濁液の結晶度は、0.20〜0.40である、実施態様1から34までのいずれか1つに記載の方法。
37.目的化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、N−ビニルピロリドンおよびp−キシレンからなる群からの化合物である、実施態様1から36までのいずれか1つに記載の方法。
38.目的化合物は、アクリル酸であり、プロセス空間に供給される懸濁液は、アクリル酸65質量%以上および水0.1〜30質量%を含有する、実施態様1から37までのいずれか1つに記載の方法。
39.目的化合物は、アクリル酸であり、プロセス空間に供給される懸濁液は、アクリル酸80質量%以上および水0.5〜15質量%を含有する、実施態様1から37までのいずれか1つに記載の方法。
40.目的化合物は、アクリル酸であり、プロセス空間に供給される懸濁液は、アクリル酸90質量%以上および水0.7〜9質量%を含有する、実施態様1から37までのいずれか1つに記載の方法。
41.少なくとも2つの軸受が駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収するように構成されている少なくとも2つの軸受中の支承は、これらの支承が駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する、50kN以上である力を吸収しうるように構成される、実施態様1から40までのいずれか1つに記載の方法。
42.少なくとも2つの軸受が駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収するように構成されている少なくとも2つの軸受中の支承は、これらの支承が駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する、100kN以上である力を吸収しうるように構成される、実施態様1から40までのいずれか1つに記載の方法。
43.少なくとも2つの軸受が駆動軸の長手方向に上向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収しうるように構成されている少なくとも2つの軸受中の支承は、これらの支承が駆動軸の長手方向に上向きに方向を定めて駆動軸上に作用する、50kN以上である力を吸収しうるように構成される、実施態様1から42までのいずれか1つに記載の方法。
44.少なくとも2つの軸受が駆動軸の長手方向に上向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収しうるように構成されている少なくとも2つの軸受中の支承は、これらの支承が駆動軸の長手方向に上向きに方向を定めて駆動軸上に作用する、75kN以上である力を吸収しうるように構成される、実施態様1から42までのいずれか1つに記載の方法。
45.駆動軸は、少なくとも2つの軸受中に回転可能に支承され、この場合には、第1の軸受中の支承が、駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力ならびに第1の軸受中で駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収し、ならびに付加的に駆動軸の長手方向に上向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収しうる案内支承として構成され、および第2の軸受中の支承がこの第2の軸受中で駆動軸によって半径方向に外向き作用する力だけを吸収する半径方向の支承として構成される、実施態様1から44までのいずれか1つに記載の方法。
46.第1の軸受は、アンギュラー玉軸受、自動調心玉軸受または自動調心ころ軸受である、実施態様45に記載の方法。
47.第2の軸受は、深溝玉軸受または自動調心ころ軸受である、実施態様45または46に記載の方法。
48.第2の軸受中の駆動軸の支承は、第1の軸受中の駆動軸の支承の上方に構成される、実施態様45から47までのいずれか1つに記載の方法。
49.全ての支承は、結晶溶融空間内への駆動軸の入口の下方に構成される、実施態様45から48までのいずれか1つに記載の方法。
50.駆動軸は、少なくとも3つの軸受中に回転可能に支承され、この場合には、第1の軸受中の支承が、駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力ならびに第1の軸受中で駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収する支持支承として構成され、第2の軸受中の支承が同様に第2の軸受中で駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収し、ならびに駆動軸の長手方向に上向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収しうる支持支承として構成され、および第3の軸受中の支承がこの第3の軸受中で駆動軸によって半径方向に外向き作用する力だけを吸収する半径方向の支承として構成される、実施態様1から44までのいずれか1つに記載の方法。
51.第1の軸受は、自動調心ころ軸方向推力軸受である、実施態様50に記載の方法。
52.第2の軸受は、自動調心ころ軸受である、実施態様50または51に記載の方法。
53.第3の軸受は、自動調心ころ軸受である、実施態様50から52までのいずれか1つに記載の方法。
54.第1の軸受中の駆動軸の支承は、第2の軸受中の支承の下方に構成され、この支承は、第3の軸受中の支承の下方に構成される、実施態様50から53までのいずれか1つに記載の方法。
55.全ての支承は、結晶溶融空間内への駆動軸の入口の下方に構成される、実施態様50から54までのいずれか1つに記載の方法。
56.第3の軸受中の支承を含む第3の軸受は、不要である、実施態様1から55までのいずれか1つに記載の方法。
57.除去装置は、結晶床に対向した側に除去装置の側に少なくとも1つの除去ブレードを有し、この場合この除去ブレードの面と駆動軸の回転軸線とが鋭角20゜≦γ≦70°を形成する、実施態様1から56までのいずれか1つに記載の方法。
58.除去装置は、結晶床に対向した側に除去装置の側に少なくとも1つの除去ブレードを有し、この場合この除去ブレードの面と駆動軸の回転軸線とが鋭角30゜≦γ≦60°を形成する、実施態様1から56までのいずれか1つに記載の方法。
59.懸濁液中の多数の結晶は、50〜1500μmの範囲内の最長寸法を有する、実施態様1から58までのいずれか1つに記載の方法。
60.シールは、二重に作用する軸線方向のスリップリングシールであり、このスリップリングシールは、2つのスリップリング対を含む、実施態様1から59までのいずれか1つに記載の方法。
61.下方から上向きにさらに上部に置かれたスリップリング対は、結晶溶融液中に自由に存在する、実施態様60に記載の方法。
【0115】
図7は、例示的に深溝軸方向推力軸受(サンドイッチローラー軸受)を示す。この場合、数値符号は、次の意味を有する:
54:上側ワッシャー;
55:下側ワッシャー;
56:ローラー体。
【0116】
図8は、例示的に自動調心ころ軸受(同心リング)を示す。この場合、新しい数値符号は、次の意味を有する:
57:外側リング;
58:内側リング。
【0117】
図9は、例示的に自動調心ころ軸方向推力軸受を示す。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】水圧洗浄カラムの例示的な1つの実施形式を示す略図。
【図2】機械的強制搬送装置として濾過端面および母液除去部を備えた振動ピストンを使用する、分配器空間なしの機械的洗浄カラムの機能原理を長手断面で示す略図。
【図3】機械的強制搬送のための回転する搬送要素を備えた、分配器なしの機械的洗浄カラムの機能原理を長手断面で示す略図。
【図4】水圧洗浄カラムの例示的な他の実施形式を示す略図。
【図5】本発明による方法の実施に適した洗浄装置の一部分を示す略図。
【図6】本発明に照らして見て、拡大された形の図5に図示された洗浄装置の特に当該の区間を示す略図。
【図7】例示的に深溝軸方向推力軸受(サンドイッチローラー軸受)を示す略図。
【図8】例示的に自動調心ころ軸受(同心リング)を示す略図。
【図9】例示的に自動調心ころ軸方向推力軸受を示す略図。
【実施例】
【0119】
実施例
使用した洗浄カラムは、欧州特許第1448282号明細書の図2に記載の水圧洗浄カラムであった。プロセス空間の長さは、1500mmであった。このプロセス空間は、48.3mmの外径および38.3mmの内径を有する54本のフィルター管ならびに直径350mmの同心円柱ディスプレーサを備えていた。フィルター管の長さは、(除去装置からのフィルター管の距離を保証するために)1497mm(ディスプレーサ区間250mmを含む)であり、フィルター管中に取り付けられた(管の全周を取り囲むための)フィルターの長さは、70mmであった。プロセス空間の断面積は、その長さに亘って本質的に1.54m2であった。前記フィルター管および前記同心ディスプレーサの配置は、欧州特許第1448282号明細書の図3に従うものであった。フィルターは、1177mm(上方から測定した)の管長の後方に取り付けた(フィルター開口は、250〜300μmであった)。除去装置として、欧州特許第1448282号明細書の図5に記載のスロットを備えたブレードディスクを使用した。このブレードディスクは、全体で18個のスロットを有し(内側リング上に6個および外側リング上に12個が存在する)、これらのスロットは、単一の長孔の幾何学的形状を有する。2つの孔の中心間の距離は、275mmであり、孔直径は、55mmであった。前記ディスクの厚さ(スロット高さ)は、50mmであった(最大輪郭の高さにまで計算した)。ブレードディスクの直径は、1468mmであった。それぞれの長孔スロットは、欧州特許出願公開第1448282号明細書の図5の記載によれば、除去ブレードを装備していた(ブレード裏面の厚さは、約15mmであった)。ブレードの長さは、272mmであり、角度γは、40°であり、それぞれのブレードは、スロットを備えたブレードディスクの結晶床に対向した表面の上方に3mm突き出ていた(この場合、この同じブレードディスクの輪郭は、無視され、即ちこの形状は、輪郭の最高点に対するものである)。更に、ブレードディスクの結晶床に対向した表面は、同心溝からなる輪郭を備えていた(溝の断面は、三角形状であり;溝の深さは、5mmであり、溝の幅は、13.5mmであり、半径方向に連続する溝は、それぞれ共通の頂点を有していた)。
【0120】
ブレードディスクは、(上方からブレードディスクを見て)時計の針と反対に毎分8回転で回転した。洗浄カラム体は、支持リングによって保持され、ドイツ特許出願第102008040340.7号の実施例およびドイツ連邦共和国特許出願公開第102007004960号明細書の実施例の記載と同様に断熱材で密閉されていた。他の点では、洗浄カラム装置は、図5および6に図示されかつ本明細書中の記載に詳説されたユニットに相当した。全ての洗浄装置は、ドイツ特許出願第102008040340.7号の実施例およびドイツ連邦共和国特許出願公開第102007004960号明細書の実施例の記載と同様に加熱されたハウジング中に収容された。量の流れは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005018702号明細書およびWO 2006/111565の記載と同様に制御された。本質的に、洗浄カラム装置の全ての構成部材は、特殊鋼から製造された。最も下方の支持支承と二重の作用する軸線方向のスリップリングシールとの間の長さ範囲内の駆動軸の最大直径は、220mmであった。駆動軸の長さは、2.5mであった。駆動軸は、除去装置にまで案内されていた。上方から下向きに、半径方向の支承は、900mm後方に、第1の支持支承は、1300mm後方に、および第2の支持支承は、1480mm後方に取り付けられ、αとβは、双方とも約0°であった。駆動軸および駆動軸に対して固定された構成部材の全質量の重さは、14.6kNであった。使用された軸受は、本明細書中で図6に関連して個別的に記載した。
【0121】
(欧州特許第1448282号明細書の図2に図示したような)プロセス空間の上方に存在する分配器空間を介してプロセス空間に供給された結晶懸濁液は、母液中のアクリル酸結晶の懸濁液であった。結晶床は、上方から下向きに搬送された。結晶懸濁液は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007043748号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第102007004960号明細書の記載と同様に製造された。結晶度は、約0.28であった。結晶懸濁液のアクリル酸含量は、約93〜95質量%であった。結晶懸濁液の含水量は、3〜5質量%であった(それぞれ結晶懸濁液の全質量に対して)。結晶懸濁液は、フェノチアジン(PTZ)、ヒドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)および分子状酸素で重合抑制した。アクリル酸結晶の最長寸法は、200〜800μmであった。結晶懸濁液は、遠心ポンプ(クローズ羽根型)を用いて供給され、この場合量の制御は、ポンプの回転数の調節により行なわれた。制御流ポンプは、同様に調節弁を備えた遠心ポンプとして構成された。制御流として、再循環され除去された母液を使用した。洗浄カラムの調節に使用される制御流の量は、8〜30t/hであった。部分的に、懸濁液と一緒に供給される液体流の量が既に結晶床の輸送のために十分であった場合には、制御流なしに洗浄カラムを操作することが可能であった。有効な輸送圧力差と有効な洗浄圧力差との比は、1.5±0.3であった。溶融液循環路中の循環流の量は、1t/hの除去された結晶の流れに対して10〜15m3/hであった。溶融液循環路中の温度は、13〜16℃であった。溶融液循環路の重合抑制は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007004960号明細書の記載と同様にMEHQを用いて行なわれた(PTZ含量は、検出限界を下廻った)。付加的に、空気が溶融液循環路中に装入され、この空気の過剰量(=結晶溶融液中に溶解されなかった割合)は、循環前にガス分離器を介して結晶溶融空間内に分離された。形成フロントは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005018702号明細書の記載により異なる結晶床長さに亘っての2回の圧力損失測定により検出され、これら2回の圧力損失測定は、相対的な割合にもたらされた。洗浄フロントは、結晶床中での温度測定により調節された。供給された結晶懸濁液の流れ(純粋な結晶流として報告された)は、(製品要求に依存して)5〜5t/h(低い負荷操作)または12〜13t/h(高い負荷操作)であった。この結晶懸濁液の流れの温度は、6〜9℃の範囲内で変動した。結晶床の全高(形成フロントにまで)は、多くの場合に600〜1100mmの範囲内であった。
【0122】
洗浄フロントは、スロットを備えたブレードディスクの上方100〜200(多くの場合に約150)mmに存在した。使用された溶融液循環ポンプは、軸シールの製品側でのフラッシングを有する遠心ポンプであった(スリップリングシール;15〜30℃に冷却された遮断媒体(水(65質量%)とエチレングリコール(35質量%)とからの混合物)を有する二重の構成;この遮断媒体は、結晶溶融空間内への入口で二重に作用する軸線方向のスリップリングシールの遮断空間内でも使用された)。溶融液循環路の出口から、純粋なアクリル酸溶融液5〜6t/h(低い負荷操作)または12〜13t/h(高い負荷操作)が取り出され、これらのアクリル酸溶融液のアクリル酸含量は、99.8質量%であった。最結晶度は、95〜100%の範囲内で変動した。
【0123】
このプロセスは、6ヶ月の操作時間に亘って支障なしに操作することができた。
【0124】
比較例
実施例の記載と同様にプロセスを行なったが、しかし、第2の支持支承は、半径方向の支承としてだけ構成された(支持ワッシャー48は、下方向に第1の自動調心ころ軸受の外側リングにまで延長しなかった)。6ヶ月間の操作時間内で、二重に作用する軸線方向のスリップリングシールの2回の漏れが結晶溶融空間内への入口で起こった(これらの漏れは、遮断液の損失および遮断空間内へのアクリル酸の侵入によって顕著になった)。
【符号の説明】
【0125】
1 母液中の目的化合物の結晶懸濁液、 2 プロセス空間から放出される母液流、 3 目的化合物の純粋な溶融液中のための出口、 4 搬送圧力を発生させる母液の流れ、 5 上方から下方へ搬送される結晶床、 6 下方から上方へ流れる洗浄溶融液、 7 洗浄カラムのプロセス空間、 8 結晶懸濁液のための搬送ポンプ、 9 溶融液循環路中で除去された結晶を溶融するための溶融装置、 10 洗浄溶融液流の強さを調節するための調節弁、 11 溶融液循環ポンプ、 12 溶融液循環路、 13 制御流として返送される母液のためのポンプ、 14 フィルター管、 15 フィルター管中に取り付けられたフィルター、 16 回転する除去装置、 17 結晶溶融空間、 18 駆動軸、 19 シール、 20 濾過端面を備えた振動ピストン、 21 プロセス空間から放出すべき母液、 22 均質な結晶床を保証するための欧州特許第1448282号明細書に記載の中央の排除体、 23 回転する搬送要素、 24 フィルター、 25 形成フロント、 26 結晶懸濁液のための分配器トレイ、 27 母液除去のための捕集トレイ、 28 洗浄カラムの壁、 29 駆動軸の回転運動を駆動させるためのトランスミッションを備えた電気モータ、 30 トルクを駆動軸に伝達するためのクラッチシステム、 31 互いにネジ締めされた複数の部材からなりかつ洗浄カラム塔とネジ締めされている、駆動軸(固定された基盤)を包囲するハウジング、 32 除去装置(スロットを備えたブレードディスク)を支持する薄片、 33 駆動軸の長手方向に下向きに駆動軸上に作用する力を吸収するための自動調心ころ軸方向推力軸受中の駆動軸の支持支承、 34 駆動軸の長手方向に上向きに駆動軸上に作用する力を吸収するための自動調心ころ軸受中の駆動軸の支持支承、 35 自動調心ころ軸受中の駆動軸の半径方向の支承、 36 溶融液中に立つ、二重に作用する軸線方向のスリップリングシールの上部のスリップリング対、 37 遮断液で充填された、二重に作用する軸線方向のスリップリングシールの遮断空間、 38 二重に作用する軸線方向のスリップリングシールの下部スリップリング対、 39 自動調心ころ軸方向推力軸受のハウジングワッシャー、 40 自動調心ころ軸方向推力軸受の軸ワッシャー、 41 自動調心ころ軸方向推力軸受のローラー体、 42 自動調心ころ軸方向推力軸受のハウジングワッシャーの位置をハウジング内で駆動軸の回転軸線に沿って下向きに固定するハウジングショルダー、 43 その上に存在するストップカラー44と一緒に(駆動軸上での圧痕)軸ワッシャーの位置を駆動軸上に上向きに確定するスペーサーリング、 44 駆動軸上での圧痕、 45 第1の自動調心ころ軸受の外側リング、 46 第1の自動調心ころ軸受の内側リング、 47 第1の自動調心ころ軸受のローラー体、 48 第1のハウジングリングの位置をハウジング内で駆動軸の回転軸線に沿って上向きに確定する、ハウジングでネジ締めされた支持ワッシャー、 49 第2の自動調心ころ軸受の外側リング、 50 第2の自動調心ころ軸受の内側リング、 51 第2の自動調心ころ軸受のローラー体、 52 第2のハウジングリングの位置をハウジング内で駆動軸の回転軸線に沿って下向きに確定する、ハウジングでネジ締めされた支持ワッシャー、 53 第2のハウジングリングの位置をハウジング内で駆動軸の回転軸線に沿って上向きに確定するハウジングショルダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的化合物を母液中の目的化合物の結晶性懸濁液から、固定された壁の長手軸線方向に対して回転対称のプロセス空間およびこのプロセス空間に続く結晶溶融空間を包囲する固定された壁を第1の構成部材として有する、種々の構成部材からなる洗浄カラムを少なくとも1つの要素として含む洗浄装置で精製分離するための方法であって、この場合対称軸線の空間方向と垂直軸線との間に形成される角度αは、20゜以下であり、このプロセス空間は、洗浄カラムの壁および対称軸線上で対向する2つの端部によって制限され、これらの端部の中で対称軸線上の上部の端部は、供給端部を形成し、および対称軸線上の下部の端部は、除去端部を形成し、この場合
この供給端部で、懸濁液の流れはプロセス空間内に導入され、
前記結晶の保持下にプロセス空間内に導入される懸濁液流からプロセス空間内で結晶床を形成しながら母液流はプロセス空間から放出され、
洗浄カラムの他の構造部材として、除去装置は、この同一の他の構造部材中でプロセス空間の除去端部で回転し、
プロセス空間内の結晶床は、重力によって異なる少なくとも1つの力でプロセス空間の対称軸線に対して平行に回転する除去装置に搬送され、その際、除去装置に衝突し、
回転する除去装置は、この除去装置に衝突する結晶床から結晶を除去し、
除去された結晶の流れは、回転する除去装置を貫流し、および/または回転する除去装置を通り過ぎて洗浄カラムの結晶溶融空間内に流れ、この場合この結晶溶融空間は、結晶床の輸送方向に除去装置の後方でプロセス空間に隣接しており、
洗浄カラムの他の構造部材として、回転のための駆動ユニットによって当該駆動ユニットの長手軸線を中心に駆動される駆動軸は、下方から結晶溶融空間内に導かれる入口を通じて洗浄カラム内に案内されており、この場合駆動軸の回転軸線の空間方向とプロセス空間の対称軸線の空間方向から形成される角度βは、2つの空間方向が1つの平面内に突出する際に20゜以下であり、
前記除去装置は、駆動軸上に固定されており、回転する駆動軸は、除去装置の回転に必要とされるトルクを除去装置上に伝達し、
結晶溶融空間内に輸送される結晶流は、結晶溶融空間内で溶融され、および/または結晶溶融流を生じるために熱を導入することによって結晶溶融空間に導通される溶融液循環路中で溶融され、
結晶溶融空間内への駆動軸の入口は、結晶溶融液が結晶溶融空間から入口を通じて出口へ意図に反して退出することを防止するシールを装備しており、
前記の結晶溶融流の強さに対して結晶溶融空間から出発して、結晶溶融液の1つの部分流が洗浄溶融液流として回転する除去装置を通じておよび/または回転する除去装置を通り過ぎて結晶床の運動方向とは反対に、結晶床中で結晶床を母液帯域と洗浄溶融帯域とに分割する洗浄フロントが形成されるようにプロセス空間内に導入され、残りの部分流は、目的化合物の純粋な溶融流としてこの部分流の出口に供給され、
本方法の標準操作で駆動軸の長手方向に駆動軸に作用する力は、絶えず下向きに方向を定め、
駆動軸は、1つの軸受よりも多い軸受で当該駆動軸の長手方向の軸を中心に回転可能に支承されており、
この支承は、前記軸受の1つにおいて、この軸受における支承が駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸に作用する力を吸収するように実行されており、および
この支承は、少なくとも2つの軸受において、前記の2つの軸受のそれぞれにおける支承が2つの軸受のそれぞれにおいて駆動軸から半径方向に外向きに作用する力を吸収するように構成されている、目的化合物を母液中の目的化合物の結晶懸濁液から精製分離するための方法において、
付加的に1つの軸受中での支承が、この軸受中での支承が駆動軸の長手方向に駆動軸上に上向きに方向を定めて作用する力を吸収することができるように構成されていることを特徴とする、目的化合物を母液中の目的化合物の結晶懸濁液から精製分離するための方法。
【請求項2】
駆動軸および駆動軸に対して固定された全ての同時回転する構成部材の全質量の重さは、3kN以上である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
駆動軸の全質量および駆動軸に対して固定された全ての同時回転する構成成分の全質量の重さは、50kN以上である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
角度αは、20゜以下である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
角度βは、10゜以下である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
洗浄溶融液の温度TSCHとプロセス空間に供給される懸濁液の温度TSPとの差は、1〜25℃である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
シールは、二重に作用する軸方向のスリップリングシールである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
駆動軸および除去装置は、25℃および1atmでの密度が3g/cm3以上および18g/cm3以下である材料から製造されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
結晶溶融空間内の結晶溶融液ならびにプロセス空間内の母液および結晶懸濁液の密度は、1.5g/cm3以下および0.7g/cm3以上である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
除去装置の開口比は、0.05以上および1未満である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
除去装置は、結晶床に対向した側に除去装置の側に少なくとも1つの除去ブレードを有し、この場合この除去ブレードの面と駆動軸の回転軸線とが鋭角γを形成する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
除去装置は、通過オリフィスを有するワッシャーであり、この場合それぞれの通過オリフィスには、除去ブレードが装備されている、請求項11記載の方法。
【請求項13】
駆動軸の最大直径は、除去装置と、駆動軸の支承が駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収するように駆動軸の支承が構成されているような軸受との間に存在する駆動軸の長手区間で50mm〜400mmである、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
プロセス空間内に導入される懸濁液の含量は、目的化合物に対して70質量%以上である、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
プロセス空間内に導入される懸濁液の結晶度は、0.10〜0.60である、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
目的化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、N−ビニルピロリドンおよびp−キシレンからなる群からの化合物である、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
目的化合物は、アクリル酸であり、プロセス空間内に供給される懸濁液は、アクリル酸65質量%以上および水0.1〜30質量%を含有する、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも2つの軸受が駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収するように構成されている少なくとも2つの軸受中の支承は、これらの支承が駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する、50kN以上である力を吸収しうるように構成される、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも2つの軸受が駆動軸の長手方向に上向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収しうるように構成されている少なくとも2つの軸受中の支承は、これらの支承が駆動軸の長手方向に上向きに方向を定めて駆動軸上に作用する、50kN以上である力を吸収しうるように構成される、請求項1から18でのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
駆動軸は、少なくとも2つの軸受中に回転可能に支承され、この場合には、第1の軸受中の支承が、駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力ならびに第1の軸受中で駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収し、ならびに付加的に駆動軸の長手方向に上向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収しうる案内支承として構成され、および第2の軸受中の支承がこの第2の軸受中で駆動軸によって半径方向に外向き作用する力だけを吸収する半径方向の支承として構成される、請求項1から19でのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
駆動軸は、少なくとも3つの軸受中に回転可能に支承され、この場合には、第1の軸受中の支承が、駆動軸の長手方向に下向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力ならびに第1の軸受中で駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収する支持支承として構成され、第2の軸受中の支承が同様に第2の軸受中で駆動軸によって半径方向に外向きに作用する力を吸収し、ならびに駆動軸の長手方向に上向きに方向を定めて駆動軸上に作用する力を吸収しうる支持支承として構成され、および第3の軸受中の支承がこの第3の軸受中で駆動軸によって半径方向に外向き作用する力だけを吸収する半径方向の支承として構成される、請求項1から19でのいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−518023(P2012−518023A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550533(P2011−550533)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051828
【国際公開番号】WO2010/094637
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】