説明

目視検査システム

【課題】カラーフィルタなどの大型表示デバイスを製造する場合に検査の信頼性を向上し欠陥製品の得意先への流出を防止すること。
【解決手段】表示デバイスの出荷前にマクロ検査機にて目視による最終的な品質検査を行う目視検査システムであって、
各マクロ検査機での検査結果情報を格納する検査結果格納手段と、
各検査結果情報を総合的に判定するための判定条件を格納する判定条件格納手段と、
判定条件格納手段に格納されている判定条件を参照しながら、検査結果格納手段から収集した各検査結果情報を総合的に判定して、判定結果を各マクロ検査機に表示させる検査結果判定手段とを備えることを特徴とする目視検査システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタなどの表示デバイスを目視により検査する目視検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カラーフィルタなどの表示デバイスを製造する場合、製品の出荷前に検査員が検査装置を用いて目視検査を行って、最終的な製品の品質評価をする(例えば特許文献1及び2参照)。大型サイズの基板になると、目視検査用のマクロ検査機の検査台に被検査基板を自動的に取り込み、ムラ、膜面汚れ、膜キズなどの欠陥の有無を判定する機構により実施する(例えば特許文献2参照)。
【0003】
目視検査は検査に時間を要するので、製造ラインの生産性を維持するために、図1に示すように複数台のマクロ検査機を隣接して設置し、各マクロ検査台にそれぞれ検査員を配置して実施される。検査員は、目視により上記の欠陥を確認し、問題がなければ製品として出荷される。
【0004】
従来の目視検査においては、目視検査が検査員の経験に頼るところが大きいので、検査員の検査精度がばらつき、検査の信頼性が低下してしまうという問題が存在する。
【0005】
さらに被検査基板の大型化により、基板上の欠陥数が必然的に増大し、マクロ検査機が巨大化することになって、たとえ重大な欠陥が見つかっても、欠陥を発見した検査員が他のマクロ検査機の検査員に連絡するために移動する必要があり、他のマクロ検査機の検査員へ注意を促すのに時間を要するので、重大欠陥を見落とし、欠陥製品が得意先に流出するという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−98036号公報
【特許文献2】特開平7−270339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は斯かる背景技術に鑑みてなされたもので、カラーフィルタなどの大型表示デバイスを製造する場合に検査の信頼性を向上し欠陥製品の得意先への流出を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明において上記課題を解決するために、まず請求項1の発明では、表示デバイスの出荷前にマクロ検査機にて目視による最終的な品質検査を行う目視検査システムであって、
各マクロ検査機での検査結果情報を格納する検査結果格納手段と、
各検査結果情報を総合的に判定するための判定条件を格納する判定条件格納手段と、
判定条件格納手段に格納されている判定条件を参照しながら、検査結果格納手段から収集した各検査結果情報を総合的に判定して、判定結果を各マクロ検査機に表示させる検査結果判定手段とを備えることを特徴とする目視検査システムとしたものである。
【0009】
また請求項2の発明では、前記検査結果格納手段は、各マクロ検査機での検査結果情報に、該検査結果情報を他のマクロ検査機に通知するか否かの何れかを意味する情報を含ませて格納し、
前記検査結果判定手段は、検査結果格納手段から収集した各検査結果情報に他のマクロ検査機に通知することを意味する情報が含まれている場合、該情報が含まれている各検査結果情報を各マクロ検査機に表示させることを特徴とする請求項1記載の目視検査システムとしたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明は、マクロ検査機における検査精度のばらつきや、共通欠陥などの重大欠陥の見落としを防ぐことができるという効果がある。
【0011】
また請求項2の発明は、他の検査員から発せられた異常や注意点などをリアルタイムで全ての検査員の間で共有することが可能となるという効果がある。
【0012】
従って、カラーフィルタなどの大型表示デバイスを製造する場合に検査の信頼性を向上し欠陥製品の得意先への流出を防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】大型表示デバイスの製造ラインで実施される目視検査機構の例を示す図。
【図2】本発明の目視検査システムのハードウェア構成を示す図。
【図3】基板通過履歴格納テーブルのデータ項目を示す図。
【図4】マクロ検査結果格納テーブルのデータ項目を示す図。
【図5】マクロ検査結果判定条件テーブルのデータ項目を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
【0015】
1.全体構成
本発明の目視検査システムは、図2に示すように、マクロ検査機と、データベースシステムと、マクロ検査結果判定システムとを備え、これらがインサーネットに接続されているものである。
【0016】
マクロ検査機は、その付近に設置された端末を備える。
【0017】
インサーネットには、カラーフィルターなどの大型表示デバイスの製造ライン(以後単に製造ラインとも云う)を構成する装置であって、マクロ検査機以外のものも接続されている。
【0018】
マクロ検査機は、製造ラインの生産性を維持するために、図1に示すように複数台隣接して、製造ラインの一部として設置され、各マクロ検査機に配置された検査員は、各マクロ検査機を利用して、被検査基板に対して、ムラ検査、膜キズ、色残り等の検査、基板判定を行う。
【0019】
製造ラインにて搬送される全ての基板は、個々に識別コード(以後、基板コードとも云う)を持っており、製造ラインを構成する各装置は、基板払出しとともに、識別コード、基板の搬送制御フラグ等を、下流装置に受け渡すデータトラッキングを行う。このデータトラッキングにより、自装置内に取り込んだ基板について、識別コードおよびロット番号を取得する。
【0020】
データベースシステムは、基板通過履歴データベース(DB)と、マクロ検査結果格納データベース(DB)と、マクロ検査結果判定システムデータベース(DB)とを備える。
【0021】
2.基板通過履歴データベース
基板通過履歴データベースは、製造ラインで製造された全基板に対し、通過した装置、および、この装置内のポジションに係る情報などの基板通過履歴を、この装置から受け取り、図3に示すような基板通過履歴格納テーブルに格納して蓄積するものである。この装置には、もちろん、マクロ検査機が含まれる。
【0022】
基板通過履歴格納テーブルには、図3に示すように、データ項目として、「基板コード」、「LD投入日時」、「LD投入カセット」、「装置ID」、「ポジションID」、「投入日時」、「通過日時」、「ロット」がある。
【0023】
項目「基板コード」の値は、被検査基板の識別コードである。
【0024】
項目「LD投入日時」の値は、投入装置(LD)に投入された日時である。
【0025】
項目「LD投入カセット」の値は、投入装置(LD)から投入されたカセットのカセットIDである。
【0026】
項目「装置ID」の値は、該当装置の識別コードである。
【0027】
項目「ポジションID」の値は、該当装置内のポジションの識別コードである。
【0028】
項目「投入日時」の値は、該当装置への投入日時である。
【0029】
項目「通過日時」の値は、該当装置から払い出された日時である。
【0030】
項目「ロット」の値は、被検査基板のロット番号である。
【0031】
3.マクロ検査結果格納データベース
マクロ検査結果格納データベースは、各マクロ検査機における検査結果情報を、各マクロ検査機から受け取り、図4に示すようなマクロ検査結果格納テーブルに格納して蓄積するものである。
【0032】
マクロ検査結果格納テーブルには、図4に示すように、データ項目として、「基板コード」、「判定」、「欠陥座標(範囲)」、「NG面番号」、「不良モード」、「検査機」、「ロット」、「検査日時」、「検査員」、「共有フラグ」、「通知コメント」がある。
【0033】
項目「基板コード」の値は、被検査基板の識別コードである。
【0034】
項目「判定」の値は、OK(良品)、或いはNG(不良品)の何れかで、被検査基板の総合判定結果を表すものである。
【0035】
項目「欠陥座標(範囲)」の値は、欠陥が発生した箇所のX座標とY座標の範囲である。
【0036】
項目「NG面番号」の値は、面落ちした面の番号である。
【0037】
項目「不良モード」の値は、面落ち原因のモードである。
【0038】
項目「検査機」の値は、検査に用いた検査機の識別コードである。
【0039】
項目「ロット」の値は、被検査基板のロット番号である。
【0040】
項目「検査日時」の値は、被検査基板を検査した日時である。
【0041】
項目「検査員」の値は、被検査基板を検査した担当者である。
【0042】
項目「共有フラグ」の値は、0或いは1を取り、0の場合は、検査結果情報を他のマクロ検査機に配置された検査員に通知しないことを意味し、他方、1の場合は、検査結果情報を他のマクロ検査機に配置された検査員に通知することを意味する。
【0043】
項目「通知コメント」の値は、共有フラグの値が1の場合に、検査結果情報を他のマクロ検査機に配置された検査員に通知するコメントである。
【0044】
4.マクロ検査結果判定システムデータベース
マクロ検査結果判定システムデータベースは、マクロ検査結果判定システムが、検査結果情報を総合的に判定して、その判定結果を各マクロ検査機に配置されている検査員に通知するための判定条件を、マクロ検査結果判定システムから受け取り、図5に示すようなマクロ検査結果判定条件テーブルに格納して蓄積するものである。
【0045】
マクロ検査結果判定条件テーブルには、図5に示すように、データ項目として、「条件No」、「通知レベル」、「通知コメント」、「判定面番号」、「座標(範囲)」、「座標マージンX」、「座標マージンY」、「不良モード」、「件数しきい値」、「波及範囲」、「通知検査機」がある。
【0046】
項目「条件No」の値は、判定条件を識別する番号であって、マクロ検査結果判定条件が新規に設定される度に、1だけ増やして付けられるものである。
【0047】
項目「通知レベル」の値は、判定結果を通知する優先度のレベルであって、0、1、2の何れかの値を取る。0、1,2それぞれは、共有レベル、注意レベル、重大レベルを意味し、この順に通知の優先度が高くなる。
【0048】
項目「通知コメント」の値は、判定結果の通知に付けるコメントであって、任意に設定される。
【0049】
項目「判定面番号」の値は、マクロ検査結果格納テーブルの項目「NG面番号」の値を、どのように判定するのかを示す条件であって、0、1、2の何れかの値が設定される。0は、項目「NG面番号」の値を判定に使用しないことを意味する。1は、項目「NG面番号」の値が同一の基板の検査結果情報を抽出することを意味する。2は、項目「NG面番号」の指定された値を有する基板の検査結果情報を抽出することを意味する。
【0050】
項目「座標(範囲)」の値は、マクロ検査結果格納テーブルの項目「欠陥座標(範囲)」の値を、どのように判定するのかを示す条件であって、0、1、2の何れかの値が設定される。0は、項目「欠陥座標(範囲)」の値を判定に使用しないことを意味する。1は、項目「欠陥座標(範囲)」の値が同一の基板の検査結果情報を抽出することを意味する。2は、項目「欠陥座標(範囲)」の指定された値を有する基板の検査結果情報を抽出することを意味する。
【0051】
項目「座標マージンX」の値は、マクロ検査結果格納テーブルの項目「欠陥座標(範囲)」の値として登録されているX座標のズレを考慮し、この項目「欠陥座標(範囲)」の値からのマージンを考慮する際に利用されるもので、任意に設定される。
【0052】
項目「座標マージンY」の値は、マクロ検査結果格納テーブルの項目「欠陥座標(範囲)」の値として登録されているY座標のズレを考慮し、この項目「欠陥座標(範囲)」の値からのマージンを考慮する際に利用されるもので、任意に設定される。
【0053】
項目「不良モード」の値は、マクロ検査結果格納テーブルの項目「不良モード」の値を、どのように判定するのかを示す条件であって、0、1、2の何れかの値が設定される。0は、項目「不良モード」の値を判定に使用しないことを意味する。1は、項目「不良モード」の値が同一の基板の検査結果情報を抽出することを意味する。2は、項目「不良モード」の指定された値を有する基板の検査結果情報を抽出することを意味する。
【0054】
項目「件数しきい値」の値は、上記項目「判定面番号」及び「座標(範囲)」並びに「不良モード」の値で示される条件に何件該当した段階で通知するかを示すもので、任意に設定される。
【0055】
項目「波及範囲」の値は、上記項目「判定面番号」及び「座標(範囲)」並びに「不良モード」の値で示される条件に該当した場合、欠陥が波及している恐れがあるとして通知する基板の範囲を示すもので、1、2、3の何れかの値が設定される。1、2、3それぞれは、設定枚数分、現行ロット分、現行投入カセット分の基板に、欠陥が波及している恐れがあるとして通知することを意味している。
【0056】
項目「通知検査機」の値は、判定結果を、どの検査機に配置されている検査員に通知するかを指定するもので、0、1の何れかの値が設定される。0は、判定結果を、全ての検査機に配置されている検査員に通知することを意味する。1は、判定結果を、指定された検査機に配置されている検査員に通知することを意味する。
【0057】
5.マクロ検査結果判定システムによる検査結果情報の判定
以下に、マクロ検査結果判定システムによる判定条件を用いた検査結果情報の判定に係る各種処理を説明する。
【0058】
5.1.マクロ検査結果判定条件の設定
検査員或いは管理者は、マクロ検査結果判定条件システム上にて、判定条件を、マクロ検査結果判定条件テーブルに新規に登録し、登録されたものを変更或いは削除できる。
【0059】
新規に登録する度に、マクロ検査結果判定条件テーブルの項目「条件No」には、マクロ検査結果判定条件システムによって、1だけ増やした値が発行されて入力され、マクロ検査結果判定条件テーブルの項目「条件No」以外のデータ項目の値だけが、検査員或いは管理者によって、入力、変更、削除できる。
【0060】
以下に、判定条件の設定例として、共通欠陥の判定条件の例を説明する。
【0061】
共通欠陥とは、複数枚の基板に対して同一の欠陥が存在する場合の欠陥であって、共通欠陥の見落としは、重大な品質クレームに繋がる。
【0062】
項目「通知レベル」の値を2(重大レベル)に、項目「通知コメント」の値を「共通欠陥検出!!」に、項目「判定面番号」の値を1(一致)に、項目「座標(範囲)」の値を1(一致)に、項目「座標マージンX」の値を任意に、項目「座標マージンY」の値を任意に、項目「不良モード」の値を1(一致)に、項目「件数しきい値」の値を任意に、項目「波及範囲」の値を2(現行ロット)に、項目「通知検査機」の値を0(全て)に設定しておくことで、複数のマクロ検査機にて検査された結果から共通欠陥を判定し、各マクロ検査機に配置された検査員に通知することが可能になる。
【0063】
5.2.マクロ検査機による基板通過履歴及び検査結果情報登録
以下のa〜fに、マクロ検査機による基板通過履歴及び検査結果情報登録に係る処理のフローを説明する。尚、検査員は、検査を実施する前に、予めマクロ検査機付近に設置された端末から検査員コードを設定して、このマクロ検査機に保持させておく。
【0064】
a.被検査基板は、各マクロ検査機に自動で搬送される。この際、マクロ検査機は、当該基板の識別コード及びロット番号を上流装置より受け取って保持する。またマクロ検査機は、受け取った基板の識別コードおよびロット番号と、投入装置(LD)から投入されたカセットの識別コードとを、基板通過履歴格納テーブルに、それぞれ項目「基板コード」、項目「ロット」、項目「LD投入カセット」の値として、リアルタイムに格納する。
【0065】
b.被検査基板がマクロ検査機にセットされると、検査員は、セットされた被検査基板に対して、ムラ欠陥、膜キズ、色残り等の有無を目視で検査する。
【0066】
c.検査員は、当該基板の欠陥の検出或いは未検出を判断し、当該基板の判定を行う。
【0067】
d.基板判定時に、検査員は、マクロ検査機の付近に設置された端末で、少なくとも、以下のマクロ検査結果情報を入力或いは選択する。まず項目「基板判定」の値として、OK又はNGの何れかを入力或いは選択する。また、面落ちが存在する場合は、項目「NG面番号」の値として、面落ちした面の番号を入力或いは選択し、項目「欠陥座標(範囲)」の値として、欠陥の座標X及び座標Yの範囲を入力或いは選択し、項目「不良モード」の値として、面落ち原因のモードを入力或いは選択する。
【0068】
e.検査員は端末にて上記で入力或いは選択したマクロ検査結果情報を登録する。マクロ検査機は、登録されたマクロ検査結果情報を、基板単位にマクロ検査機に保持している基板の識別コード、ロット番号、自装置コード、検査員コードと一緒にして、マクロ検査結果情報テーブルに、それぞれ項目「基板判定」、項目「NG面番号」、項目「欠陥座標(範囲)」、項目「不良モード」、項目「基板コード」、項目「ロット」、項目「検査機」、項目「検査員」の値として格納する。
【0069】
f.マクロ検査結果格納テーブルに格納された情報は、マクロ検査結果判定システムにて利用される。
【0070】
5.3.マクロ検査結果判定システムによる検査結果情報の判定
以下のa〜iに、マクロ検査結果判定システムによる検査結果情報の判定に係る処理のフローを説明する。
【0071】
a.マクロ検査結果判定システムは、マクロ検査結果判定条件テーブルに保存されてい
る各マクロ検査機の検査結果情報を収集する。
【0072】
b.マクロ検査結果判定システムは、マクロ検査結果判定条件テーブルに予め設定された「判定面番号」、「座標(範囲)」、「不良モード」の各項目の値として示される条件を1項目ずつ参照して、収集した検査結果情報から何れかの条件に該当する基板のものを抽出する。
【0073】
c.マクロ検査結果判定条件テーブルに予め設定されたマクロ検査判定条件の「判定面番号」、「座標(範囲)」、「不良モード」の各項目の値として示される条件に該当する件数が、項目「件数しきい値」の値になるまで、a〜bの処理を繰り返し、項目「件数しきい値」の値になると、次のdの処理に進む。
【0074】
d.マクロ検査結果判定システムは、基板通過履歴格納テーブルと各マクロ検査機の検査結果情報との基板コードを比較し、マクロ検査機を通過している基板と、これからマクロ検査機に投入される基板とを分別して、項目「波及範囲」の値に示される設定枚数分、原稿ロット分、現行カセット分の何れかに適応される基板コードのリストを把握する。
【0075】
項目「波及範囲」の値に現行ロット分が設定されている場合、次の(1)〜(4)の処理により基板コードのリストを把握する。
【0076】
(1)同ロット内で各マクロ検査機にて検査された基板のリストをマクロ検査結果格納テーブルより取得する
【0077】
(2)前工程の回収装置(ULD)で回収された基板のリストを、基板通過履歴格納テーブルより取得する。
【0078】
(3)(1)で取得した基板リストを、同ロット内で、マクロ検査機を通過している基板のリストとし、(2)で取得した基板リストから(1)で取得した基板リストを除いたものを、同ロット内で、これからマクロ検査機に投入される基板のリストとして、リスト化する。
【0079】
(4)項目「通知レベル」の値が重大レベルに設定されている場合、(1)で取得された基板リストを再検査が必要なものとしてリスト化する。
【0080】
項目「波及範囲」の値に現行カセット分が設定されている場合は、次の(i)〜(iV)の処理により基板コードのリストを把握する。
【0081】
(i)同カセット内で各マクロ検査機にて検査された基板のリストをマクロ検査結果格納テーブルより取得する。
【0082】
(ii)同カセットを投入した投入装置(LD)の基板通過履歴を基板通過履歴格納テーブルより参照して、同カセットから投入された基板のリストを取得する。
【0083】
(iii)(i)で取得した基板リストを、同カセット内で、マクロ検査機を通過している基板のリストとし、(ii)で取得した基板リストから(i)で取得した基板リストを除いたものを、同カセット内で、これからマクロ検査機に投入される基板のリストとして、リスト化する。
【0084】
(iV)項目「通知レベル」の値が重大レベルに設定されている場合、(i)で取得された基板リストを再検査が必要なものとしてリスト化する。
【0085】
e.マクロ検査結果判定システムは、少なくとも、マクロ検査結果判定条件テーブルのマクロ検査条件の項目「条件No」、「通知レベル」、「通知レベル」、「波及範囲」、「通知検査機」それぞれの値と、このマクロ検査結果判定条件に該当する基板の検査結果情報の項目「ロット」、「NG面番号」、「欠陥座標(範囲)」、「不良モード」それぞれの値とを含む判定情報と、上記dで把握した基板リストとを判定結果として通知情報にセットする。
【0086】
f.マクロ検査結果判定システムは、セットされた通知情報を、項目「通知検査機」の値で示される各マクロ検査機に通知する。
【0087】
g.マクロ検査結果判定システムより通知情報を受け取った各マクロ検査機は、受け取った通知情報を参照して、自装置に設置されている端末上に、取得した項目「通知レベル」の値が高いものから順に通知情報を表示して検査員に知らせる。
【0088】
h.マクロ検査結果判定システムより通知情報を受け取った各マクロ検査機は、受け取った通知情報と、この通知情報を受け取った現在で表示(履歴保持)している通知情報とを比較し、新規情報か、或いは既存情報かを判断し、新規情報の場合、基板コード単位に保持している通知情報格納部の内容を更新する。
【0089】
尚、表示された通知情報は、マクロ検査機側の端末上にて、基板コード単位に保持、削除が可能である。
【0090】
i.a〜hを繰り返す。
【0091】
このような判定処理を用いることで、マクロ検査機における検査精度のばらつきや、共通欠陥などの重大欠陥の見落としを防ぐことができる。
【0092】
6.マクロ検査結果判定システムによる他検査機へ検査結果情報の通知
マクロ検査結果判定システムによる他検査機への検査結果情報通知は、予めマクロ検査結果判定条件を設定していない場合や、検査員間の情報共有化を行う場合に使用される。以下、マクロ検査結果判定システムによる他検査機への検査結果情報通知に係る各種処理を説明する。
【0093】
6.1.マクロ検査機による基板通過履歴及び検査結果情報登録
以下のa〜fに、マクロ検査機による基板通過履歴及び検査結果情報登録に係る処理のフローを説明する。尚、検査員は、検査を実施する前に、予めマクロ検査機付近に設置された端末から検査員コードを設定して、このマクロ検査機に保持させておく。
【0094】
a.被検査基板は、各マクロ検査機に自動で搬送される。この際、マクロ検査機は、当該基板の識別コード及びロット番号を上流装置より受け取って保持する。またマクロ検査機は、受け取った基板の識別コードおよびロット番号と、投入装置(LD)から投入されたカセットの識別コードとを、基板通過履歴格納テーブルに、それぞれ項目「基板コード」、項目「ロット」、項目「LD投入カセット」の値として、リアルタイムに格納する。
【0095】
b.被検査基板がマクロ検査機にセットされると、検査員は、セットされた被検査基板に対して、ムラ欠陥、膜キズ、色残り等の有無を目視で検査する。
【0096】
c.検査員は、当該基板の欠陥の検出或いは未検出を判断し、当該基板の判定を行う。
【0097】
d.基板判定時に、検査員は、マクロ検査機の付近に設置された端末で、少なくとも、以下の検査結果情報を入力或いは選択する。まず項目「基板判定」の値として、OK又はNGの何れかを入力或いは選択する。また、面落ちが存在する場合は、項目「NG面番号」の値として、面落ちした面の番号を入力或いは選択し、項目「欠陥座標(範囲)」の値として、欠陥の座標X及び座標Yの範囲を入力或いは選択し、項目「不良モード」の値として、面落ち原因のモードを入力或いは選択する。
【0098】
e.また基板判定時に、上記マクロ検査結果情報を他の検査員に通知したい場合、上記マクロ検査結果情報とともに以下の付加情報もマクロ検査結果情報として入力或いは選択する。まず項目「共有フラグ」の値として、マクロ検査結果情報を他のマクロ検査機に配置された検査員に通知することを意味する1を入力或いは選択する。また項目「通知コメント」として、他の検査員に通知するコメントを入力或いは選択する。
【0099】
他方、上記マクロ検査結果情報を他の検査員に通知しない場合、項目「共有フラグ」の値として、マクロ検査結果情報を他のマクロ検査機に配置された検査員に通知しないことを意味する0を入力或いは選択する。
【0100】
f.検査員は端末にて上記で入力或いは選択した検査結果情報を登録する。マクロ検査機は、登録された検査結果情報を、基板単位にマクロ検査機に保持している基板の識別コード、ロット番号、自装置コード、検査員コードと一緒にして、マクロ検査結果情報テーブルに、それぞれ項目「基板判定」、項目「NG面番号」、項目「欠陥座標(範囲)」、項目「不良モード」、項目「共通フラグ」、項目「通知コメント」、項目「基板コード」、項目「ロット」、項目「検査機」、項目「検査員」の値として格納する。
【0101】
6.2.マクロ検査結果判定システムによる他検査機へのマクロ検査結果情報の通知
以下のa〜eに、マクロ検査結果判定システムによる他検査機への検査結果情報の通知に係る処理のフローを説明する。
【0102】
a.マクロ検査結果判定システムは、マクロ検査結果判定条件テーブルに保存されている各マクロ検査機の検査結果情報を収集する。
【0103】
b.マクロ検査結果判定システムは、収集したマクロ検査結果情報から、項目「共通フラグ」の値が1であるものを抽出する。
【0104】
c.マクロ検査結果判定システムは、抽出したマクロ検査結果情報より、項目「ロット」、項目「NG面番号」、項目「欠陥座標(範囲)」、項目「不良モード」、項目「通知コメント」の値を得て、少なくとも、これらの値を含む通知情報を各マクロ検査機に通知する。
【0105】
d.各マクロ検査機は、マクロ検査結果判定システムより受け取った通知情報を、自装置に設置されている端末上に表示する。
【0106】
尚、表示された通知情報は、マクロ検査機側の端末上で保持、削除が可能である。
【0107】
e.マクロ検査結果判定システムは、各マクロ検査機に通知情報を通知した段階で、この通知情報に含めた各項目の値を提供したマクロ検査結果情報について、項目「共通フラグ」の値を0に変更すると同時に、マクロ検査結果判定条件テーブルにおける項目「共通フラグ」の値も0に変更し、次回処理時の再通知を防止する。
【0108】
この通知処理により、他の検査員から発せられた異常や注意点などをリアルタイムで全
ての検査員の間で共有することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示デバイスの出荷前にマクロ検査機にて目視による最終的な品質検査を行う目視検査システムであって、
各マクロ検査機での検査結果情報を格納する検査結果格納手段と、
各検査結果情報を総合的に判定するための判定条件を格納する判定条件格納手段と、
判定条件格納手段に格納されている判定条件を参照しながら、検査結果格納手段から収集した各検査結果情報を総合的に判定して、判定結果を各マクロ検査機に表示させる検査結果判定手段とを備えることを特徴とする目視検査システム。
【請求項2】
前記検査結果格納手段は、各マクロ検査機での検査結果情報に、該検査結果情報を他のマクロ検査機に通知するか否かの何れかを意味する情報を含ませて格納し、
前記検査結果判定手段は、検査結果格納手段から収集した各検査結果情報に他のマクロ検査機に通知することを意味する情報が含まれている場合、該情報が含まれている各検査結果情報を各マクロ検査機に表示させることを特徴とする請求項1記載の目視検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−243424(P2010−243424A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94610(P2009−94610)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】