説明

直接的または間接的オルロフ印刷をする方法および印刷された像

本発明は、直接または間接オルロフ(Orlov)印刷を実行する方法に関する。本発明は、版胴上に多色インキストリップの領域を形成できるように装備された塗布ローラを含み、塗布ローラが版胴に対して自由に取り付けられ、それを使用して版胴の組立てられた印刷版の領域にインキを着けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷技術、正確には、『オルロフ(Orlov)印刷』として知られ、かつ有価証券を印刷しかつ保護を必要とする他の多色印刷生産物を印刷するために使用される印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直接的または間接的オルロフ印刷を実施する方法および印刷された像は既知であり、この方法は、多色インキにより版胴の組立てられた印刷版の複数領域にインキを着けて初期インキ領域間に色彩介在領域を形成し、版胴と共働するテンプレートローラまたはインキ補給群の中間(介在)ローラを使用し、かつその後に版胴の印刷版から得られたインキ像を紙または中間ブラケットシリンダへ転写する各工程を含む(1999年12月27日RF特許2143344、IPC B41M3/14−同様技術および最も類似の技術(原型)参照)。
【0003】
従来技術方法の欠点は、スムースなインキ転移ゾーン内で製造される色彩範囲の変形形態数が十分でなく、結果として有価証券生産品の質の低下に繋がる。
【0004】
【特許文献1】RF特許2143344
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、有価証券の生産品質を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、版胴の組立てられた印刷版の複数領域にインキを付与する次の工程により達成される。即ち、版胴に対して自由に取り付けられた塗布ローラを使用して版胴上に多色インキストリップの領域を形成し、前記ストリップを版胴の回転方向へ配向して、シャープな転移および/またはスムースなアイリス(iris−虹様)転移および/またはスペースゾーンによってストリップ間に境界を形成し、かつ次に版胴上の二つまたはそれ以上のストリップの領域からインキ層をテンプレートローラまたはインキ補給群内に含まれる中間ローラへ、軸往復運動可能なドラムローラにより転写して、テンプレートローラ上に設けられた印刷部材内の初期インキを混合する、各工程を含み、色彩付与ゾーンの形成が組立てられた印刷版領域へのインキの戻しと同時にインキの転換を含み、その形態がテンプレートローラの印刷部材によって決定され、インキストリップの完全または部分的オーバーラップ、および混合ゾーンによる境界領域を伴うことを特徴とする。
【0007】
初期インキの混合物を組立てられた印刷版の同様領域上へ付与するために、取り付けられた二つのテンプレートローラが使用される。
【0008】
軸方向にインキの色彩を分割するときに色彩付与ゾーン内にスムース転移を創出するために、一つもしくはそれ以上のテンプレートローラ、またはドラムローラが往復運動をするために含まれる。
【0009】
版胴の回転方向にインキの色彩を分割するときに色彩付与ゾーン内でスムースな転移を創出するために、一つもしくはそれ以上のテンプレートローラ、またはドラムローラが版胴の回転方向において脈動するために含まれる。
【0010】
上記方法により印刷像が形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
直接的または間接的オルロフ(Orlov)印刷法の特徴を添付図面を参照して次に説明する。
【0012】
直接的または間接的オルロフ(Orlov)印刷法は、多色インキにより版胴1の組立てた印刷版の複数領域にインキを着けて初期インキ領域間に色彩介在ゾーンを形成し、テンプレートローラ2またはインキ補給群に含まれる中間ローラを版胴1と共働して使用し、かつその後に版胴1の印刷版から得られたインキ像を紙または中間ブラケットシリンダ(図示せず)へ直接転写する、各工程を含む。
【0013】
版胴1の印刷版の領域にインキを着けるために、版胴に対して自由に取り付けられる塗布ローラ3を使用して版胴1上に多色インキストリップ4,5,14の複数領域を形成する。前記ストリップを版胴の回転方向へ配向して、シャープ転移および/またはスムースなアイリス(iris)転移7および/またはスペースゾーン8と共に、ストリップ4,5間に境界6を形成する。
【0014】
次に版胴1上の二つまたはそれ以上のストリップ4,5の領域からインキ層をテンプレートローラ2または中間ローラへ、軸往復運動可能なドラムローラ9により転送して、テンプレートローラ2上に装備された印刷部材10内で初期インキを混合する。
【0015】
色彩付与ゾーン11の形成は印刷版1の領域へのインキの戻しと同時にインキの転送(転写)を含み、その形状はテンプレートローラ2の印刷部材10によって決定され、インキストリップの完全または部分的オーバーラップ、および混合ゾーンによる境界領域を伴う。
【0016】
二つのテンプレートローラ2が使用され相互に対して共働する。
【0017】
軸方向にインキの色彩を分割するときに色彩付与ゾーン11内でスムース転移を可能にするために、一つもしくはそれ以上のテンプレートローラ2、またはドラムローラ9が、テンプレートローラ2、またはドラムローラ9の往復運動を可能にするために含まれる。
【0018】
版胴1の回転方向にインキの色彩を分割するときに色彩付与ゾーン内でスムース転移13を可能にするために、一つもしくはそれ以上のテンプレートローラ2、またはドラムローラ9が、組立てられた印刷版を有する版胴1の回転方向においてテンプレートローラ2またはドラムローラ9を脈動させるために含まれる。
【0019】
前記特徴を有するいずれか1の方法により印刷像が形成される。
【0020】
前記方法は次のように実施される。
版胴1の組立てられた印刷版を、配向したインキストリップ4,5を有する塗布ローラ3を使用して二つまたはそれ以上の異なる色彩のインキによって必要場所へインキを塗布し、かつそのインキストリップ間の境界はシャープ転移6および/またはスムースアイリス転移7および/またはスペースゾーン8により具体化される。境界領域の像のタイプの組合せ、および像の順番の変更は異なってよく、かつこれは偽造に対する防護を改良する。
【0021】
第一インキ補給群に連結されていない分離インキ補給群は、組立てられた版胴1から二つまたはそれ以上の初期インキを除去するテンプレートローラ2を含む。中間ローラを介してインキを除去でき、かつその後にインキをテンプレートローラへ転送できる。第一テンプレートローラに順応して第二テンプレートローラ2を設置可能であり、それにより初期インキのより一層安定した混合を可能にする。二つまたはそれ以上の初期インキの混合物は、テンプレートローラ2の印刷部材10上方のドラムローラ9の軸方向の往復運動により初期インキから製造され、この混合物は初期インキから異なる色彩になる。同時に、初期インキの混合物は、必要な場所で版胴1の組立てられた印刷版へ戻される。その形態はテンプレートローラ2上の印刷部材10により決定され、かつ種々の幾何学図、パターン等の形態で具体化され、テンプレートローラ2と版胴1の相互に一致する歯の係合により達成される。このようして形成される連続的着色線の形態の多色像(図2から9)は組立てられた印刷版から紙へ直接転写され(直接的オルロフ印刷)またはブランケットシリンダの樹脂ウエブ上へ転写される(間接的オルロフ印刷)。
【0022】
一つまたはそれ以上のテンプレートローラ2または分離インキ補給群のシリンダ9が軸往復運動へ駆動される場合に、多色パターンを創出する連続的着色線は版胴1の発生線の方向においてインキ付与ゾーン内にスムース転移12を形成する。
【0023】
テンプレートローラ2または分離インキ補給群のシリンダ9による版胴の回転方向への周期的脈動は、版胴1の回転方向において連続的に着色される線のためのインキ付与ゾーン内にスムース境界転移13を可能にする。
【0024】
テンプレートローラ2または分離インキ補給群のシリンダ9による周期的円周運動および軸運動は、同時または別々に行うことができ、異なるアイリス効果が混合インキ11の重ね合わせにより生じる。
【0025】
この複雑さが、得られる像の可変性を高め、保護印刷技術生産物の製造時の多色刷りの改良によりオルロフ印刷方法の保護効果を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】印刷装置の一形態の略図を示す。
【図2】インキストリップの一タイプの境界領域を示す。
【図3】インキストリップの他のタイプの境界領域を示す。
【図4】インキストリップの他のタイプの境界領域を示す。
【図5】色彩付与ゾーン内に印刷された一タイプの像を示す。
【図6】色彩付与ゾーン内に印刷された他のタイプの像を示す。
【図7】色彩付与ゾーン内に印刷された他のタイプの像を示す。
【図8】色彩付与ゾーン内に印刷された他のタイプの像を示す。
【図9】三つの初期インキによる像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多色インキにより版胴の組立てられた印刷版の複数領域にインキを付与して初期インキ領域間に色彩介在ゾーンを形成し、テンプレートローラまたはインキ補給群の中間ローラを版胴と共働して使用し、かつその後に版胴の印刷版から得られたインキ像を紙または中間ブラケットシリンダへ転写する、各工程を含む直接的または間接的オルロフ(Orlov)印刷を実行する方法において、
版胴の組立てられた印刷版の領域にインキを着け、
版胴に対して自由に取り付けられた塗布ローラを使用して版胴上に多色インキストリップの領域を形成し、
前記ストリップを版胴の回転方向へ配向して、シャープな転移および/またはスムースなアイリス(iris)転移および/またはスペースゾーンによってストリップ間に境界を形成し、かつ
次に版胴上の二つまたはそれ以上のストリップの領域からインキ層をテンプレートローラまたはインキ補給群内に含まれる中間ローラへ、軸往復運動可能なドラムローラにより転写して、テンプレートローラ上に設けられた印刷部材内の初期インキを混合する、各工程を含み、
色彩付与ゾーンの形成が、組立てられた印刷版領域へのインキの戻しと同時にインキの転換を含み、その形態がテンプレートローラの印刷部材によって決定され、インキストリップの完全または部分的オーバーラップ、および混合ゾーンによる境界領域を伴う、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
初期インキの混合物を組立てられた印刷版の同様領域上へ付与するために取り付けられた二つのテンプレートローラを使用することを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項3】
軸方向にインキの色彩を分割するときに色彩付与ゾーン内でスムース転移を創出するために、一つもしくはそれ以上のテンプレートローラ、またはドラムローラが往復運動をするために含まれることを特徴とする、請求項1または2の方法。
【請求項4】
版胴の回転方向にインキの色彩を分割するときに色彩付与ゾーン内でスムースな転移を創出するために、一つもしくはそれ以上のテンプレートローラ、またはドラムローラが版胴の回転方向において脈動するために含まれることを特徴とする、請求項1または2の方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1の方法により形成された印刷像。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−503373(P2008−503373A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517992(P2007−517992)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【国際出願番号】PCT/RU2005/000338
【国際公開番号】WO2006/004456
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(502065583)カーベーアー−ジオリ ソシエテ アノニム (33)
【Fターム(参考)】