直流電力供給システム
【課題】直流電力を負荷に供給するに適した直流電力供給システムを提供する。
【解決手段】直流電力供給システム1は、トランスTrに巻回される巻線Neを有するコンバータeと、巻線Nf1、巻線Nf2を有するコンバーfと、コンバータfと負荷VL2との間に接続される直流スイッチS2と、直流スイッチS2を制御するシステム制御部Cyと、を備える。直流スイッチS2は、電子的開閉スイッチと、機械的開閉スイッチと、スイッチ制御回路と、を具備する。システム制御部Cyは、コンバーfを制御して直流電力を出力可能な状態とし、直流スイッチS2を閉とするに際して、スイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチを閉路とした後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とする。
【解決手段】直流電力供給システム1は、トランスTrに巻回される巻線Neを有するコンバータeと、巻線Nf1、巻線Nf2を有するコンバーfと、コンバータfと負荷VL2との間に接続される直流スイッチS2と、直流スイッチS2を制御するシステム制御部Cyと、を備える。直流スイッチS2は、電子的開閉スイッチと、機械的開閉スイッチと、スイッチ制御回路と、を具備する。システム制御部Cyは、コンバーfを制御して直流電力を出力可能な状態とし、直流スイッチS2を閉とするに際して、スイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチを閉路とした後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力を負荷に供給するに適した直流電力供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は,同期発電機を用いた交流電力系統(商用電源)から交流電力が一般家庭に供給されている。一方、近年では、太陽光発電、風力発電などによる分散型電源が注目され、一般家庭でも用いられるようになってきている。このような分散電源から得られる直流電力に商用電源から得られる交流電力を組み合わせ、負荷には直流電力を供給するようにした直流電力供給システムを構築する試みが開始されつつある(例えば、特許文献1〜特許文献5を参照)。
【0003】
負荷に関しては、家庭で用いる電力負荷である家庭電器製品、工場で用いられる電力機器は直流化(電力負荷を直流電力で動作するようにすること)が進められている。例えば、モータを備える洗濯機、冷蔵庫、エアーコンディショナー、工場で用いられる電力機器においては直流電力を用いたインバータ制御が多用されている。また、双方向AC/DCコンバータ技術(双方向エーシーディシーコンバータ技術)(例えば、非特許文献1を参照)が提供されている。また、双方向DC/DCコンバータ技術(双方向ディシーディシーコンバータ技術)(例えば、特許文献6〜特許文献8を参照)が提供されている。また、複数のコンバータを同一のトランスに結合して、時分割で各コンバータから出力されるパルスのパルス幅を制御する多入力DC/DCコンバータの技術が提供されている(非特許文献2を参照)。また、直流スイッチの技術(例えば、特許文献9を参照)が提供されている。ここで、直流スイッチの技術に関しては、直流電力供給システムには欠かせない技術となりつつある。すなわち、直流の場合には、交流のように電流が零となる時刻がないため、スイッチの機械的接点を開く際に生じたアークが消滅しない。そして、アークによって機械的接点を開いた後も持続的に電流が流れ続け、従来の交流用のスイッチでは直流電力供給システムにおいては対応できない。直流スイッチはこのような問題に対応するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−215257号公報
【特許文献2】特開2007−215258号公報
【特許文献3】特開平06−284704号公報
【特許文献4】特開平06−6935号公報
【特許文献5】特開2009−44902号公報
【特許文献6】特開2002−165448号公報
【特許文献7】特開2009−177940号公報
【特許文献8】特開2009−55747号公報
【特許文献9】特開2007−213842号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】西村正太郎・丸橋徹・岡田隆夫・村上吉繁「電気機器学」平成10年3月25日発行 オーム社
【非特許文献2】谷内和也 洪存仁 丸山正彦 黒川不二雄 松尾博文「多入力DC−DCコンバータの制御特性について」1994年11月18日 電子情報通信学会技術研究報告 PE94―51〜55 社団法人電子情報通信学会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
直流電力を負荷に供給する直流電力供給システムにおいては、直流スイッチが必要とされるが、直流電力供給システムにおいて直流スイッチを有効活用するための技術についてはほとんど提供されていない。
【0007】
発明が解決しようとする課題は、直流スイッチを有する直流電力供給システムにおける電力を有効活用する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明の第1観点の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータおよび前記直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、前記直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために前記直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、前記電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、前記並列機械的開閉スイッチと前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を具備し、前記直流スイッチを閉とするに際して、前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記電子的開閉スイッチを閉路とした後に、前記並列機械的開閉スイッチを閉路とする。
【0009】
本発明の第2観点の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータおよび前記直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、前記直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするための電子的開閉スイッチと、前記電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、前記直列機械的開閉スイッチと前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、前記電子的開閉スイッチと前記直列機械的開閉スイッチとの直列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードと、を具備し、前記直流スイッチを閉とするに際して、前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、前記電子的開閉スイッチを閉路とし、前記直流スイッチを開とするに際して、前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して前記第1のコンバータに電力を供給可能とし、前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記電子的開閉スイッチを開路とした後に、前記直列機械的開閉スイッチを開路とする。
【0010】
本発明の第3観点の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータを少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータおよび前記直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、前記直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするための電子的開閉スイッチと、前記電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、前記直列機械的開閉スイッチと前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、該直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードと、を具備し、前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、前記直流スイッチを閉とするに際しては、前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、前記電子的開閉スイッチを閉路とし、前記直流スイッチを開とするに際しては、前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記電子的開閉スイッチを開路とした後に、前記直列機械的開閉スイッチを開路とする。
【0011】
本発明の第4観点の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される第1の直流負荷との間に配される第1の直流スイッチと、前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される第1の直流負荷との間に配される第2の直流スイッチと、前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータ、前記第1の直流スイッチおよび前記第2の直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、前記第1の直流スイッチおよび前記第2の直流スイッチの各々は、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために前記直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、前記電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、前記並列機械的開閉スイッチを前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、前記電子的開閉スイッチと前記並列機械的開閉スイッチとの並列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードと、該直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードと、を具備し、前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、前記システム制御部によって制御される前記第1の直流スイッチの前記スイッチ制御回路は、前記並列機械的開閉スイッチを開路とし、前記並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、前記電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、前記電子的開閉スイッチを開路とし、前記第1の直流スイッチの前記電子的開閉スイッチが開路とされた後に、前記システム制御部によって制御される前記第2の直流スイッチの前記スイッチ制御回路は、前記第2の直流スイッチの前記電子的開閉スイッチを閉路とした後に、前記第2の直流スイッチの前記並列機械的開閉スイッチを閉路とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数個の直流スイッチをシステム制御部によって制御して直流電力供給システムにおける電力を有効活用する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の直流電力供給システムを示す図である。
【図2】第1実施例の直流スイッチを示す図である。
【図3】第1実施例の直流スイッチにおける、並列機械的開閉スイッチおよび電子的開閉スイッチの開閉の手順をタイミングチャートで示す図である。
【図4】図2に示す直流スイッチの回路例を示す図である。
【図5】第2実施例の直流スイッチを示す図である。
【図6】第2実施例の直流スイッチにおける、並列機械的開閉スイッチ、電子的開閉スイッチ、直列機械的開閉スイッチの開閉の手順をタイミングチャートで示す図である。
【図7】第3実施例の直流スイッチを示す図である。
【図8】直流スイッチの第1変形例を示す図である。
【図9】直流スイッチの第2変形例を示す図である。
【図10】直流スイッチの第3変形例を示す図である。
【図11】直流スイッチの第4変形例を示す図である。
【図12】直流スイッチの第5変形例を示す図である。
【図13】直流スイッチの第6変形例を示す図である。
【図14】直流スイッチの第7変形例を示す図である。
【図15】第1実施形態の直流電力供給システムの制御方法を示す図である。
【図16】第2実施形態の直流電力供給システムの制御方法を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明を実施するための最良の形態の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、第1のコンバータ、第2のコンバータおよび直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備える。直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を具備する。
【0015】
直流スイッチを閉とするに際して、システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチを閉路とした後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とする。このようにして、システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とするので、1次側として機能する第1のコンバータから2次側として機能する第2のコンバータへ電力の供給が可能となる。そして、第2のコンバータから得られる直流電流の電流路を閉路とするに際しては、電子的開閉スイッチを閉路とした後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするので、アークを発生させることなく電流路を閉路とすることができ、かつ、直流スイッチにおける電力損失を低減させることができる。
【0016】
また、直流スイッチを開とするに際して、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、並列機械的開閉スイッチを開路とし、並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、電子的開閉スイッチを開路として、アークの発生を防止できるとともに電子的開閉スイッチの破壊を防止できる。
【0017】
また、直流スイッチは、電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチを備えるようにしても良い。そして、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、直列機械的開閉スイッチが閉路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い所定時間後に、電子的開閉スイッチを閉路とすることができる。また、電子的開閉スイッチを開路とした後に、直列機械的開閉スイッチを開路とすることができる。さらに、直流スイッチは、電子的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチとの直列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードを備えるようにしても良い。そして、直流スイッチを開とするに際して、システム制御部は、第2のコンバータを1次側として機能するように制御して2次側として機能する第1のコンバータに回生電力を供給することができる。
【0018】
発明を実施するための別の最良の形態の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、第1のコンバータ、第2のコンバータおよび直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備える。直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするための電子的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、直列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、電子的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチとの直列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードと、を具備する。
【0019】
直流スイッチを閉とするに際して、システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、電子的開閉スイッチを閉路とする。また、直流スイッチを開とするに際して、システム制御部は、第2のコンバータを制御して第1のコンバータに電力を供給可能とし、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチを開路とした後に、直列機械的開閉スイッチを開路とする。
【0020】
このようにして、システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とするので、1次側として機能する第1のコンバータから2次側として機能する第2のコンバータへ電力の供給が可能となる。そして、第2のコンバータから得られる直流電流の電流路を閉路とするに際しては、直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、電子的開閉スイッチを閉路とするのでアークを発生させることなく電流路を閉路とすることができる。また、第2のコンバータから得られる直流電流の電流路を開路とするに際しては、電子的開閉スイッチを開路とした後に、直列機械的開閉スイッチを開路とするのでアークを発生させることなく電流路を開路とすることができる。
【0021】
また、回生ダイオードを有するので、システム制御部は、第2のコンバータを制御して、1次側として機能する第2のコンバータから2次側として機能する第1のコンバータに対して、直流スイッチを開とするに際して発生する回生電力を供給可能とできる。
【0022】
発明を実施するための、また別の最良の形態の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータを少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、第1のコンバータ、第2のコンバータおよび直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備える。直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするための電子的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、直列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、該直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードと、を具備する。
【0023】
システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、直流スイッチを閉とするに際しては、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、電子的開閉スイッチを閉路とし、直流スイッチを開とするに際しては、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチを開路とした後に、直列機械的開閉スイッチを開路とする。
【0024】
このようにして、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、1次側として機能する第1のコンバータから2次側として機能する第2のコンバータへ電力の供給が可能となる。そして、第2のコンバータから得られる直流電流の電流路を閉路とするに際しては、直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、電子的開閉スイッチを閉路とするのでアークを発生させることなく電流路を閉路とすることができる。また、第2のコンバータから得られる直流電流の電流路を開路とするに際しては、電子的開閉スイッチを開路とした後に、直列機械的開閉スイッチを開路とするのでアークを発生させることなく電流路を開路とすることができる。さらに、直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードを有するので、直流電流の電流路を開路とするに際して発生する逆起電圧の発生を防止して直流スイッチを保護することができる。
【0025】
発明を実施するための、さらに別の最良の形態の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される第1の直流負荷との間に配される第1の直流スイッチと、第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される第1の直流負荷との間に配される第2の直流スイッチと、第1のコンバータ、第2のコンバータ、第1の直流スイッチおよび第2の直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備える。第1の直流スイッチおよび第2の直流スイッチの各々は、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチを電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、電子的開閉スイッチと並列機械的開閉スイッチとの並列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードと、該直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードと、を具備する。
【0026】
システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、システム制御部によって制御される第1の直流スイッチのスイッチ制御回路は、並列機械的開閉スイッチを開路とし、並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、電子的開閉スイッチを開路とし、第1の直流スイッチの電子的開閉スイッチが開路とされた後に、システム制御部によって制御される第2の直流スイッチのスイッチ制御回路は、第2の直流スイッチの電子的開閉スイッチを閉路とした後に、第2の直流スイッチの並列機械的開閉スイッチを閉路とする。
【0027】
このようにして、システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とするので、1次側として機能する第1のコンバータから2次側として機能する第2のコンバータへ電力の供給が可能となる。そして、第1の直流スイッチのスイッチ制御回路は、並列機械的開閉スイッチを開路とし、並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、電子的開閉スイッチを開路とするので、第1の直流スイッチにおいてアークを発生させることなく電子的開閉スイッチを破壊することなく電流路を開路とすることができる。
【0028】
また、第1の直流スイッチの電子的開閉スイッチが開路とされた後に、第2の直流スイッチの電子的開閉スイッチを閉路とするので、第1の直流スイッチの回生ダイオードによって第1の直流負荷からの回生電力が第2の直流スイッチの電子的開閉スイッチを介して第2の直流負荷において利用できる。さらに、第1の直流スイッチの転流ダイオードによって第1の直流スイッチの電子的開閉スイッチが開路とされた後の第1の直流負荷で発生する逆起電圧を防止できる。そして、第2の直流スイッチの電子的開閉スイッチを閉路とした後に、第2の直流スイッチの並列機械的開閉スイッチを閉路とするので第2の直流スイッチにおいてアークを発生させることなく電流路を開路とすることができる。
【0029】
[直流電力供給システムの構成の概略]
発明を実施するための実施形態の直流電力供給システムについて、図面を参照して以下に説明をする。図1に示す直流電力供給システム1は、コンバータa、コンバータb、コンバータc、コンバータd、コンバータe、コンバータf、コンバータg、コンバータhを有している。また、これらのコンバータa〜コンバータhの各コンバータの巻線Na〜巻線Nhの各巻線は、トランスTrの同一のコアに巻かれた巻線とされている。また、これらのコンバータを制御するシステム制御部Cyを有している。
【0030】
「コンバータの説明」
まず、コンバータa〜コンバータhの各々の構成の概略について以下に説明をする。コンバータa〜コンバータhがどのように動作するかについては、直流スイッチである直流スイッチS1、直流スイッチS2、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33、直流スイッチS4との関係において、詳細に後述する。
【0031】
コンバータaは、周知の双方向AC/DCコンバータ(双方向エーシーディシーコンバータ)である。コンバータaは、商用周波数の交流電源である電源ACからの電力を直流電力に変換後、さらに巻線Naに高周波電力を供給する方向への電力の流れを制御する。また、巻線Naからの高周波電力を直流電力に変換後、さらに商用周波数の交流電力に変換して電源ACに供給する方向への電力の流れを制御する。制御はコンバータaをシステム制御部Cyからの制御信号によって制御しておこなわれる。ここで、高周波電力とは、商用電源の周波数(50Hz、60Hz)よりも高い周波数の交流電力を言い、交流電力の周波数(高周波)としては1kHz〜100kHz程度である。以下においても高周波、高周波電力の用語は同様な意味で用いられる。
【0032】
コンバータaは、AC/DCコンバータ部を有するとともに、DC/DCコンバータ部を有して構成されている。AC/DCコンバータ部は、スイッチa11、スイッチa12、スイッチa13、スイッチa14、これらのスイッチの各々に並列に接続された4個のダイオードDを有して形成される。ここで、スイッチa11〜スイッチa14は、フルブリッジ接続とされている。スイッチa11とスイッチa14は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチa12とスイッチa13は同時にオンとされ、同時にオフとされる。DC/DCコンバータ部は、フルブリッジ接続とされる、スイッチa1、スイッチa2、スイッチa3、スイッチa4、これらのスイッチの各々に並列に接続された4個のダイオードDを有して1次側が形成され、コンバータa以外の他のコンバータ(コンバータb〜コンバータh)である各コンバータが2次側を形成するようになされている。
【0033】
以下の説明において、1次側、2次側の定義は、双方向AC/DCコンバータ、双方向DC/DCコンバータにおいては、一方向コンバータとは異なり、電力が双方向に伝送されるので、説明をしているコンバータに該当するコンバータを1次側のコンバータと以下では称する。説明をしているコンバータに該当しないコンバータを2次側のコンバータと以下では称する。また、電力を送ることなく電力を受けるだけのコンバータ(整流回路)は、常に2次側のコンバータとして説明をする。
【0034】
コンバータaが、電源ACからの電力を変換して巻線Naに高周波電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyには、電源ACの電圧Vacと電源ACから直流電力供給システム1に流れ込む電流Iacとが入力される。そして、システム制御部Cyは、AC/DCコンバータ部のスイッチa11を制御するスイッチ信号a11(スイッチの符号とそのスイッチを制御するスイッチ信号の符号とは同一とする。他のスイッチに関しても同様にして符号を付する)、スイッチa12を制御するスイッチ信号a12、スイッチa13を制御するスイッチ信号a13、スイッチa14を制御するスイッチ信号a14を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチa11〜スイッチa14を制御して、力率を1に近づけつつ、直流電力供給システム1が必要とする電力を電源AC(商用電源)から供給する。ここで、電源ACから供給される電力は直流電力としてコンデンサCaを介してDC/DCコンバータ部に供給される。力率を1にする(力率を改善する)手法は周知技術である。
【0035】
システム制御部Cyは、コンバータaにおけるDC/DCコンバータ部のスイッチa1を制御するスイッチ信号a1、スイッチa2を制御するスイッチ信号a2、スイッチa3を制御するスイッチ信号a3、スイッチa4を制御するスイッチ信号a4を出力する。ここで、スイッチa1とスイッチa4は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチa2とスイッチa3は同時にオンとされ、同時にオフとされる。そして、システム制御部Cyは、スイッチa1〜スイッチa4を制御して、巻線Naに高周波電力を供給する。ここで、インダクタLaが直列に接続されている巻線Naに供給される高周波電力の量は、パルス信号であるスイッチ信号a1〜スイッチ信号a4のデユーティファクター(時比率)に応じて変化する。
【0036】
コンバータaが、巻線Naからの高周波電力を直流に変換後に商用周波数の交流電力に変換して電源ACに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、DC/DCコンバータ部のスイッチa1を制御するスイッチ信号a1、スイッチa2を制御するスイッチ信号a2、スイッチa3を制御するスイッチ信号a3、スイッチa4を制御するスイッチ信号a4の各々を出力して、スイッチa1〜スイッチa4をオフ(OFF)とする。スイッチa1〜スイッチa4に並列に接続された4個のダイオードはブリッジ整流回路として機能して、コンデンサCaの両端に直流電圧を発生させる。
【0037】
そして、システム制御部Cyは、AC/DCコンバータ部のスイッチa11を制御するスイッチ信号a11、スイッチa12を制御するスイッチ信号a12、スイッチa13を制御するスイッチ信号a13、スイッチa14を制御するスイッチ信号a14を出力して、力率を1に近づけつつ、直流電力供給システム1が余剰とする電力を電源ACに供給する。
【0038】
コンバータbは、周知の双方向DC/DCコンバータ(双方向ディシーディシーコンバータ)である。コンバータbは、スイッチb1、スイッチb2、スイッチb3、スイッチb4、これらのスイッチの各々に並列に接続された4個のダイオードDを有して1次側が形成され他のコンバータが2次側を形成するようになされている。ここで、スイッチb1とスイッチb4は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチb2とスイッチb3は同時にオンとされ、同時にオフとされる。
【0039】
コンバータbは、バッテリーBtからの直流電力を高周波電力に変換して、インダクタLbが直列に接続されている巻線Nbを介して、2次側を形成する他のコンバータに電力を供給する電力の流れと、各コンバータからの高周波電力をトランスTrの巻線Nbを介して得て、その高周波電力を直流電力に変換してバッテリーBtに供給する方向への電力の流れと、を制御するようになされている。
【0040】
バッテリーBtからの直流電力を高周波電力に変換して巻線Nbを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチb1を制御するスイッチ信号b1、スイッチb2を制御するスイッチ信号b2、スイッチb3を制御するスイッチ信号b3、スイッチb4を制御するスイッチ信号b4を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチb1〜スイッチb4を制御して、巻線Nbに高周波電力を供給する。ここで、バッテリーBtから巻線Nbに供給される高周波電力の量は、パルス信号であるスイッチ信号b1〜スイッチ信号b4のデユーティファクターに応じて変化する。
【0041】
ここで、スイッチb1〜スイッチb4を制御するスイッチ信号b1〜スイッチ信号b4について説明をする。スイッチ信号b1とスイッチ信号b4とを同位相でレベルのみが異なる信号として、スイッチb1とスイッチb4とを同時に制御し、スイッチ信号b2とスイッチ信号b3とを同位相でレベルのみが異なる信号として、スイッチb2とスイッチb2を同時に制御する信号とするものである。例えば、スイッチ信号b1〜スイッチ信号b4はパルス幅が制御される信号とし、パルス幅に応じて2次側への伝送電力の量を制御するものであっても良い。このようなパルス幅制御技術は周知技術である。
【0042】
また、スイッチ信号b1とスイッチ信号b4とのデューティファクタを略50%とし、スイッチ信号b2とスイッチ信号b3とのデューティファクタを略50%としても良い。ここで、略50%とは、スイッチb1からスイッチb2への、または、スイッチb3からスイッチb4への縦方向の電流を防止するために周知のデッドタイムを設けるようにして、デューティファクタを50%以下とすることを意味するものである。この場合には、パルス幅(デューティファクタ)を変化させるのではなく、スイッチ信号b1とスイッチ信号b4の組の信号と、スイッチ信号b2とスイッチ信号b3の組の信号との位相差を調整して位相差に応じて2次側への伝送電力の量を制御するものであっても良い。例えば、上述した位相差が0°である場合には、2次側への伝送電力の量は0とされ、上述した位相差が180°(逆相)である場合には、2次側への伝送電力の量は最大とされる。このような位相差制御技術は周知技術である。
【0043】
コンバータbが、巻線Nbからの高周波電力を直流に変換後にバッテリーBtに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチb1を制御するスイッチ信号b1、スイッチb2を制御するスイッチ信号b2、スイッチb3を制御するスイッチ信号b3、スイッチb4を制御するスイッチ信号b4の各々を出力して、スイッチb1〜スイッチb4をオフ(OFF)とする。スイッチb1〜スイッチb4に並列に接続された4個のダイオードはブリッジ整流回路として機能して、バッテリーBtの両端に直流電圧を発生させて、バッテリーBtを充電する。よって、バッテリーBtの充電量Jbに応じた電力を1次側に伝送し、バッテリーBtの充電量Jbが減少したときには、2次側から電力を得て充電することができる。なお、バッテリーBtに替えて電気二重層コンデンサを用いる場合であっても同様な作用効果を得ることができる。
【0044】
コンバータcは、周知のDC/DCコンバータ(ディシーディシーコンバータ)である。コンバータcは、スイッチc1、スイッチc2、スイッチc3、スイッチc4を有して1次側が形成され、他のコンバータが2次側を形成するようになされている。ここで、スイッチc1とスイッチc4は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチc2とスイッチc3は同時にオンとされ、同時にオフとされる。コンバータcは、風力発電機Fからの直流電力をコンデンサCcで平滑後、高周波電力に変換して巻線Ncを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する電力の流れを制御するようになされている。
【0045】
風力発電機Fからの直流電力を高周波電力に変換して巻線Ncを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチc1を制御するスイッチ信号c1、スイッチc2を制御するスイッチ信号c2、スイッチc3を制御するスイッチ信号c3、スイッチc4を制御するスイッチ信号c4を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチc1〜スイッチc4を制御して、巻線Ncに高周波電力を供給する。ここで、巻線Ncに供給される高周波電力の量は、スイッチ信号c1〜スイッチ信号c4のデユーティファクターに応じて変化する。よって、風力発電機Fの発生する電圧Vfを検知して、発電電力の最大量を取り出し、または、発電能力の一部を取り出して、2次側に伝送することができる。
【0046】
システム制御部Cyは、電流Ivの向きが2次側に電力を供給する向きである場合には、スイッチc1〜スイッチc4をパルス信号で制御して2次側に対して電力を供給する。一方、電流Ivの向きが風力発電機Fに電力を供給する向きであるときには、一旦、スイッチc1〜スイッチc4をオフとする。スイッチc1〜スイッチc4の制御に際しては、コンバータbの説明において述べたパルス幅制御技術、位相差制御技術のいずれをも用いることができる。
【0047】
そして、所定時間後(例えば、30秒後)に再びスイッチc1〜スイッチc4をパルス信号で短時間駆動して、電流Ivの方向を検出する。電流Ivの向きが2次側に電力を供給する向きである場合には、スイッチc1〜スイッチc4をパルス信号で制御して2次側に対して電力を供給する。そして、所定時間後(例えば、30秒後)に再びスイッチc1〜スイッチc4をパルス信号で短時間駆動して、電流Ivの方向を検出する。電流Ivの向きが風力発電機Fに電力を供給する向きであるときには、再び、スイッチc1〜スイッチc4をオフとする。このような繰り返しによって、風力発電機Fに電力が逆流することを防止してを風力発電機Fを保護するとともに、電力損失を防ぐことができる。
【0048】
コンバータdは、周知のDC/DCコンバータである。コンバータdは、スイッチd1、スイッチd2、スイッチd3、スイッチd4を有して1次側が形成され、他のコンバータが2次側を形成するようになされている。ここで、スイッチd1とスイッチd4は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチd2とスイッチd3は同時にオンとされ、同時にオフとされる。コンバータdは、太陽光パネルTtからの直流電力を高周波電力に変換して巻線Ndを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する電力の流れを制御するようになされている。
【0049】
太陽光パネルTtからの直流電力を高周波電力に変換して巻線Ndを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチd1を制御するスイッチ信号d1、スイッチd2を制御するスイッチ信号d2、スイッチd3を制御するスイッチ信号d3、スイッチd4を制御するスイッチ信号d4を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチd1〜スイッチd4を制御して、巻線Ndに高周波電力を供給する。ここで、巻線Ndに供給される高周波電力の量は、スイッチ信号d1〜スイッチ信号d4のデユーティファクターに応じて変化する。よって、太陽光パネルTtの発生する電圧Vtを検知して、発電電力の最大量を取り出し、または、発電能力の一部を取り出して、2次側に伝送することができる。
【0050】
スイッチd1〜スイッチd4は、コンバータcにおいて説明したと同様にして、例えば、以下のように制御する。巻線Ndに発生する電圧が太陽光パネルTtに発生する電圧よりも大きい場合には電流Itの向きは太陽光パネルTtに流れ込む向きとなる。また、巻線Ndに発生する電圧が太陽光パネルTtに発生する電圧よりも小さい場合には電流Itの向きは太陽光パネルTtから流れ出す向きとなる。よって、システム制御部Cyは、電流Itの向きが2次側に電力を供給する向きである場合には、スイッチd1〜スイッチd4をパルス信号で制御して2次側に対して電力を供給する。一方、電流Itの向きが太陽光パネルTtに電力を供給する向きであるときには、一旦、スイッチd1〜スイッチd4をオフとする。スイッチd1〜スイッチd4の制御に際しては、コンバータbの説明において述べたパルス幅制御技術、位相差制御技術のいずれをも用いることができる。
【0051】
そして、所定時間後(例えば、30秒後)に再びスイッチd1〜スイッチd4をパルス信号で短時間駆動して、電流Itの方向を検出する。電流Itの向きが2次側に電力を供給する向きである場合には、スイッチd1〜スイッチd4をパルス信号で制御して2次側に対して電力を供給する。そして、所定時間後(例えば、30秒後)に再びスイッチd1〜スイッチd4をパルス信号で短時間駆動して、電流Itの方向を検出する。電流Itの向きが太陽光パネルTtに電力を供給する向きであるときには、再び、スイッチd1〜スイッチd4をオフとする。このような繰り返しによって、太陽光パネルTtに電力が逆流することを防止してを太陽光パネルTtを保護するとともに、電力損失を防ぐことができる。
【0052】
コンバータeは、周知の双方向DC/DCコンバータである。コンバータeは、スイッチe1、スイッチe2、スイッチe3、スイッチe4、これらのスイッチの各々に並列に接続された4個のダイオードDを有して1次側が形成され、他のコンバータが2次側を形成するようになされている。ここで、スイッチe1とスイッチe4は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチe2とスイッチe3は同時にオンとされ、同時にオフとされる。スイッチe1〜スイッチe4の制御に際しては、コンバータbの説明において述べたパルス幅制御技術、位相差制御技術のいずれをも用いることができる。
【0053】
コンバータeは、コンバータe以外の各コンバータからの高周波電力をトランスTrのインダクタLeが直列に接続されている巻線Neを介して得て、その高周波電力を直流電力に変換して負荷L1に供給する方向への電力の流れを制御するようになされている。また、コンバータeは、負荷L1で生じた逆起電力を他のコンバータに供給するように形成されている。ここで、スイッチS1は、直流スイッチであり、その詳細については、後述するが、直流電力のオンオフ(ON/OFF)をおこなうスイッチである。直流スイッチS1がオンとされるときに、負荷L1とコンバータeとが接続される。
【0054】
コンバータeが、巻線Neからの高周波電力を直流に変換後に負荷L1(例えば、冷蔵庫)に電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチe1を制御するスイッチ信号e1、スイッチe2を制御するスイッチ信号e2、スイッチe3を制御するスイッチ信号e3、スイッチe4を制御するスイッチ信号e4の各々を出力して、スイッチe1〜スイッチe4をオフ(OFF)とする。スイッチe1〜スイッチe4に並列に接続された4個のダイオードはブリッジ整流回路として機能して、コンデンサCeの両端に直流電圧である負荷電圧VL1を発生させる。ここで、直流スイッチS1がオン(ON)である場合には直流電力が負荷L1の両端に供給される。そして、負荷L1は所期の動作(例えば、冷蔵庫としての動作)をする。
【0055】
負荷L1からの直流電力を高周波電力に変換して巻線Neを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチe1を制御するスイッチ信号e1、スイッチe2を制御するスイッチ信号e2、スイッチe3を制御するスイッチ信号e3、スイッチe4を制御するスイッチ信号e4を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチe1〜スイッチe4を制御して、巻線Neに高周波電力を供給する。
【0056】
ここで、負荷L1から巻線Neに供給される高周波電力の量は、パルス幅制御を用いる場合にはスイッチ信号e1〜スイッチ信号e4のデユーティファクターに応じて変化する。なお位相差制御を用いる場合には、負荷L1から巻線Neに供給される高周波電力の量は、スイッチ信号e1とスイッチ信号e4の組と、スイッチ信号e2とスイッチ信号e3の組との位相差に応じて変化する。以下においては、パルス幅制御を用いる場合について説明をするが、位相差制御においても同様な制御が可能である。
【0057】
負荷L1が冷蔵庫である場合にはモータを有するので、負荷L1から得られる直流電力は、モータからの回生電力として得られる。この回生電力をどのように戻すかは、上述したように、スイッチ信号e1〜スイッチ信号e4のデユーティファクターに応じて変化し、デユーティファクターがより大きければ単位時間当たりより大きな電力が回生電力として、巻線Neに高周波電力が供給される。ここで、回生電力の1次側への伝送の制御は負荷電圧VL1を監視しながらおこなわれる。信号SD1は負荷L1に接続された直流スイッチS1に対してオンとするトリガー信号が入力されたことを検出する信号であり、信号SA1は負荷L1に接続された直流スイッチS1をオンとするための信号である。これらの信号については後述する。
【0058】
コンバータfは、コンバータeとは異なる別の形式の周知の双方向DC/DCコンバータである。コンバータfは、スイッチf1、スイッチf2、これらのスイッチの各々に並列に接続された2個のダイオードDを有して1次側が形成され、他のコンバータが2次側を形成するようになされている。ここで、スイッチf1とスイッチf2とは同時にオンとなることはなく、一方がオンのときは他方がオフまたは両方ともオフとされる相補的な動作をする。スイッチf1とスイッチf2とインダクタLaの一端とが接続され、インダクタLaの他端はコンデンサCfに接続されている。
【0059】
コンバータfは、コンバータf以外の各コンバータからの高周波電力をトランスTrの巻線Nf1と巻線Nf2とを介して得て、その高周波電力を直流電力に変換して負荷L2に供給する方向への電力の流れを制御するようになされている。ここで、巻線Nf1と巻線Nf2とに付された黒丸は、巻き始めを示すものである。また、コンバータfは、負荷L2で生じた逆起電力を他のコンバータに供給するように形成されている。ここで、直流スイッチS2は、直流スイッチであり、その詳細については、後述するが、直流電力のオンオフ(ON/OFF)をおこなうスイッチである。直流スイッチS2がオンとされるときに、負荷L2とコンバータfとが接続される。
【0060】
コンバータfが、巻線Nf1と巻線Nf2とから得られる高周波電力を直流に変換後に負荷L2に電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチf1を制御するスイッチ信号f1、スイッチf2を制御するスイッチ信号f2の各々を出力して、スイッチf1とスイッチf2とをオフ(OFF)とする。スイッチf1とスイッチf2とに並列に接続された2個のダイオードは全波整流回路として機能して、コンデンサCfの両端に直流電圧である負荷電圧VL2を発生させる。ここで、直流スイッチS2がオン(ON)である場合には直流電力が負荷L2の両端に供給される。そして、負荷L2は所期の動作(例えば、エアーコンディショナーとしての動作)をする。
【0061】
負荷L2からの直流電力を高周波電力に変換して巻線Nf1と巻線Nf2とを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチf1を制御するスイッチ信号f1、スイッチf2を制御するスイッチ信号f2を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチf1とスイッチf2を制御して、巻線Nf1と巻線Nf2とに高周波電力を供給する。ここで、負荷L2から巻線Nf1と巻線Nf2とに供給される高周波電力の量は、スイッチ信号f1とスイッチ信号f2のデユーティファクターに応じて変化する。
【0062】
負荷L2がエアーコンディショナーである場合にはモータを有するので、負荷L2から得られる直流電力は、モータからの回生電力として得られる。この回生電力をどのように戻すかは、上述したように、スイッチ信号f1とスイッチ信号f2のデユーティファクターに応じて変化し、デユーティファクターがより大きければ単位時間当たりより大きな電力が回生電力として、巻線Nf1と巻線Nf2とに高周波電力が供給される。ここで、回生電力の2次側への伝送の制御は負荷電圧VL2を監視しながらおこなわれる。信号SD2は負荷L2に接続された直流スイッチS2に対してオンとするトリガー信号が入力されたことを検出する信号であり、信号SA2は負荷L2に接続された直流スイッチS2をオンとするための信号である。これらの信号については後述する。
【0063】
コンバータgは、周知の双方向DC/DCコンバータである。コンバータgは、スイッチg1、スイッチg2、スイッチg3、スイッチg4、これらのスイッチの各々に並列に接続された4個のダイオードDを有して1次側が形成され、他のコンバータが2次側を形成するようになされている。ここで、スイッチg1とスイッチg4は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチg2とスイッチg3は同時にオンとされ、同時にオフとされる。
【0064】
コンバータgは、各コンバータからの高周波電力をトランスTrのインダクタLgが直列に接続されている巻線Ngを介して得て、その高周波電力を直流電力に変換して負荷L31、負荷L32、負荷L33に供給する方向への電力の流れを制御するようになされている。また、コンバータgは、負荷L31、負荷L32、負荷L33で生じた逆起電力を、負荷L31、負荷L32、負荷L33の相互間で融通しあう。このときに、システム制御部Cyが、直流スイッチS31を制御する信号である信号SA31、直流スイッチS32を制御する信号である信号SA32、直流スイッチS33を制御する信号である信号SA33を発生させて相互間の電力のやり取りを制御する。また、負荷L31、負荷L32、負荷L33で生じた逆起電力を他のコンバータに供給するように形成されている。ここで、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33は、直流スイッチであり、その詳細については、後述するが、直流電力のオンオフ(ON/OFF)をおこなうスイッチである。直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33の各々がオンとされるときに、負荷L31、負荷L32、負荷L33の各々とコンバータgとが接続される。
【0065】
コンバータgが、巻線Ngからの高周波電力を直流に変換後に、負荷L31に電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。なお、負荷L31、負荷L32についても同様であるので、説明は省略する。システム制御部Cyは、スイッチg1を制御するスイッチ信号g1、スイッチg2を制御するスイッチ信号g2、スイッチg3を制御するスイッチ信号g3、スイッチg4を制御するスイッチ信号g4の各々を出力して、スイッチg1〜スイッチg4をオフ(OFF)とする。スイッチg1〜スイッチg4に並列に接続された4個のダイオードはブリッジ整流回路として機能して、コンデンサCgの両端に直流電圧を発生させる。ここで、直流電力を負荷L31の両端に供給するために、直流スイッチS31がオン(ON)とされる。そして、負荷L31は所期の動作をする。
【0066】
負荷L31からの直流電力を高周波電力に変換して巻線Ngを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチg1を制御するスイッチ信号g1、スイッチg2を制御するスイッチ信号g2、スイッチg3を制御するスイッチ信号g3、スイッチg4を制御するスイッチ信号g4を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチg1〜スイッチg4を制御して、巻線Ngに高周波電力を供給する。ここで、負荷L31から巻線Ngに供給される高周波電力の量は、スイッチ信号g1〜スイッチ信号g4のデユーティファクターに応じて変化する。
【0067】
ここで、負荷L31から巻線Ngに供給される高周波電力の量は、パルス幅制御を用いる場合にはスイッチ信号g1〜スイッチ信号g4のデユーティファクターに応じて変化する。なお位相差制御を用いる場合には、負荷L31から巻線Ngに供給される高周波電力の量は、スイッチ信号g1とスイッチ信号g4の組と、スイッチ信号g2とスイッチ信号g3の組との位相差に応じて変化する。以下においては、パルス幅制御を用いる場合について説明をするが、位相差制御においても同様な制御が可能である。
【0068】
負荷L31が、例えばインダクテイブ負荷である場合には、負荷L31から得られる直流電力は、インダクテイブ負荷からの逆起電力として得られる。この逆起電力をどのように他のコンバータに戻すかは、上述したように、スイッチ信号g1〜スイッチ信号g4のデユーティファクターに応じて変化し、デユーティファクターがより大きければ単位時間当たりより大きな電力が巻線Ngに供給される。ここで、電力の1次側への伝送の制御は負荷電圧VL3を監視しながらおこなわれる。信号SD31は負荷L31に接続された直流スイッチS31に対してオンとするトリガー信号が入力されたことを検出する信号であり、信号SD32は負荷L32に接続された直流スイッチS32に対してオンとするトリガー信号が入力されたことを検出する信号であり、信号SD33は負荷L33に接続された直流スイッチS33に対してオンとするトリガー信号が入力されたことを検出する信号である。
【0069】
信号SA31は負荷L31に接続された直流スイッチS31をオンとするための信号であり、信号SA32は負荷L32に接続された直流スイッチS32をオンとするための信号であり、信号SA33は負荷L33に接続された直流スイッチS33をオンとするための信号である。これらの信号については後述する。
【0070】
コンバータhは、周知のブリッジ整流回路である。コンバータhは、4個のダイオードDを有して形成され、コンバータh以外の各コンバータから電力が供給されるようになされている。コンバータhは、各コンバータからの高周波電力をトランスTrのインダクタLhが直列に接続されている巻線Nhを介して得て、その高周波電力を直流電力に変換して負荷L4に供給する。ここで、直流スイッチS4は、直流スイッチであり、その詳細については、後述するが、直流電力のオンオフ(ON/OFF)をおこなうスイッチである。直流スイッチS4がオンとされるときに、負荷L4とコンバータhとが接続される。
【0071】
「システム制御部の説明」
システム制御部Cyについて説明をする。システム制御部Cyは、いずれも図示しない、中央演算装置(CPU)と、ラム(RAM)と、ロム(ROM)と、ハードデイスク(HDD)と、エーディ変換器(A/D Convertor)と、を主なる構成部として有している。ロムには、直流電力供給システム1を動作させるに必要なプログラムが格納されており、このプログラムが実行されることによって、各種の制御がおこなわれる。ハードディスクには各コンバータの動作履歴が記憶される。
【0072】
エーディ変換器は、複数個備えられている。電源ACの電圧Vac、電源ACからカレントセンサを用いて検出した直流電力供給システム1に流れ込む電流Iac、バッテリーBtの充電量Jb、風力発電機Fから発生する電圧Vf、風力発電機Fから得られる電流If、太陽光パネルTtから発生する電圧Vt、太陽光パネルTtから得られる電流It、コンデンサCeの両端電圧である負荷電圧VL1、コンデンサCfの両端電圧である負荷電圧VL2、コンデンサCgの両端電圧である負荷電圧VL3、コンデンサChの両端電圧である負荷電圧VL4の各種アナログ信号を、エーディ変換器を介して中央演算装置に取り込む。
【0073】
システム制御部Cyは、信号SD1、信号SD2、信号SD31、信号SD32、信号SD33、信号SD4を入力する。信号SD1、信号SD2、信号SD31、信号SD32、信号SD33、信号SD4は、各負荷に接続されている、後述する、直流スイッチをオンとするための直流スイッチに備えられている制御スイッチ17を操作したときに出力される信号である。
【0074】
また、システム制御部Cyは、信号SA1、信号SA2、信号SA31、信号SA32、信号SA33、信号SA4を出力する。システム制御部Cyは、信号SD1、信号SD2、信号SD31、信号SD32、信号SD33、信号SD4の状態を常時把握しており、これらの信号に基づき、制御する負荷がどのようなものであるかに応じて、予定された制御則に則って、直流スイッチである、直流スイッチS1、直流スイッチS2、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33、直流スイッチS4の各々を制御するために、信号SA1、信号SA2、信号SA31、信号SA32、信号SA33、信号SA4の各々を出力する。
【0075】
また、システム制御部Cyは、スイッチ信号a1、スイッチ信号a2、スイッチ信号a3、スイッチ信号a4、スイッチ信号a11、スイッチ信号a12、スイッチ信号a13、スイッチ信号a14、スイッチ信号b1、スイッチ信号b2、スイッチ信号b3、スイッチ信号b4、スイッチ信号c1、スイッチ信号c2、スイッチ信号c3、スイッチ信号c4、スイッチ信号d1、スイッチ信号d2、スイッチ信号d3、スイッチ信号d4、スイッチ信号e1、スイッチ信号e2、スイッチ信号e3、スイッチ信号e4、スイッチ信号f1、スイッチ信号f2、スイッチ信号g1、スイッチ信号g2、スイッチ信号g3、スイッチ信号g4を出力する。
【0076】
システム制御部Cyが、上述した各スイッチ信号を送出して、どのようして各コンバータを制御するかについて簡単に説明をする。システム制御部Cyが各コンバータを一括管理することによって、すべてのコンバータを同期制御する。2つ以上のコンバータから同時にトランスTrに対して電力を供給するに際しては、例えば、背景技術の説明において引用した非特許文献2に記載された公知の手法を用いることができる。すなわち、他のコンバータがトランスに対して電力を供給していない時間に各コンバータは電力を供給して、コンバータの相互間でトランスへの電力供給の時間が重ならない時分割制御をシステム制御部Cyはおこなう。また、電力を受け取る側のコンバータでは、そのコンバータの各スイッチを開として、2巻線を用いた両波整流回路または1巻線を用いたブリッジ方式の全波整流回路を形成して電力を受け取る。なお、コンバータc、コンバータdは整流素子を有しないので他のコンバータから電力を受け取ることはない。また、電力を受け取る側のコンバータの出力電圧(負荷電圧VL1、負荷電圧VL2、負荷電圧VL3)をシステム制御部Cyが検出して、電力を供給する側のコンバータのパルス幅を制御して出力電圧を所定の電圧とすることができる。
【0077】
ここで、システム制御部Cyは、直接に各スイッチ(例えば、スイッチa1)を制御する上述した信号(例えば、スイッチ信号a1)を出しても良いが、これらの信号は数十kHz以上の周波数の信号であるので、これらを直接に出力することなく、スイッチ信号a1、スイッチ信号a2、スイッチ信号a3、スイッチ信号a4を生成するためのアナログ信号を出力して、コンバータaの側でこのアナログ信号からパルス幅信号、または位相差信号を生成するデコーダ(図示せず)を備えるようにしても良い。パルス幅信号に対応したアナログ信号を各コンバータに送出する場合には、すべてのコンバータの動作を同期させるための1本の同期信号線がアナログ信号を伝送するための1本のアナログ信号線に加えて必要とされる。このようにして、スイッチ信号a1、スイッチ信号a2、スイッチ信号a3、スイッチ信号a4を生成することができる。また、スイッチ信号a1〜スイッチ信号a4を生成するためのアナログ信号は、電波としてシステム制御部Cyから送信をして、コンバータaの側で受信した後にスイッチ信号a1、スイッチ信号a2、スイッチ信号a3、スイッチ信号a4を生成するようにしても良いものである。他のスイッチ信号についても同様にして、アナログ信号として配線に印加してデコーダでパルス幅信号を生成し、または、電波を用いてパルス幅信号に対応した信号の送受信をすることができる。このようにして、多量の配線をすることなく直流電力供給システム1を動作させることができる。
【0078】
「直流スイッチの説明」
以下に、上述した、直流スイッチS1、直流スイッチS2、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33、直流スイッチS4として用いるのに好適な直流スイッチの実施例について、図2〜図14を参照して説明する。各図における、信号SD1は負荷に接続された直流スイッチに対してオンまたはオフとするトリガー信号が制御スイッチ(例えば、制御スイッチ17)を介して入力されたことを検出して、システム制御部Cyに対して送出される信号である。また、信号SA1は負荷に接続された直流スイッチをオンまたはオフとするためのシステム制御部Cyから送出される信号である。
【0079】
図1との関係では、信号SD1は、直流スイッチS1からシステム制御部Cyに対して送出され、信号SA1は、システム制御部Cyから直流スイッチS1に対して送出される信号として記載されている。これは、図2、図4、図5、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14に記載された実施例に示す各直流スイッチが、図1に記載された直流スイッチS1として使用可能であることを示すものである。なお、上述した各図に記載の直流スイッチには、後述する電力回生用のダイオードDrを有しないものもあり、この場合には電力回生の作用はないが、図1に記載された直流スイッチS1として用いることができる。
【0080】
また、図2、図4、図5、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14に記載された、信号SD1は、信号SD2、信号SD31、信号SD32、信号SD33、信号SD4を代表するものとして記載されており、信号SA1は、信号SA2、信号SA31、信号SA32、信号SA33、信号SA4を代表するものとして記載されている。すなわち、実施例に示す各直流スイッチは、図1に記載された、直流スイッチS2、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33、直流スイッチS4として用い得るものである。実施例に示す各直流スイッチが図1に記載された、直流スイッチS2として用いられる場合には、図2、図4、図5、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14に記載された、信号SD1は、信号SD2と読み替えられ、信号SA1は、信号SA2と読みかえられる。他の直流スイッチS2、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33、直流スイッチS4についても同様に読み替えられる。
【0081】
第1実施例の直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、この電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を備える。そして、スイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチを閉路とした所定時間後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするものである。
【0082】
第2実施例の直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、この電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、この電子的開閉スイッチとこの並列機械的開閉スイッチとに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチの3つのスイッチの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を備える。そして、スイッチ制御回路は、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際して、直列機械的開閉スイッチを閉路とした所定時間後に、電子的開閉スイッチを閉路とし、最後に並列機械的開閉スイッチを閉路とする。また、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際して、並列機械的開閉スイッチを開路とした所定時間後に、電子的開閉スイッチを開路とし、最後に直列機械的開閉スイッチを開路とするものである。
【0083】
第3実施例の直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、この電子的開閉スイッチに直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチとこの直列に接続される機械的開閉スイッチとで形成される直列接続回路に対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチの3つのスイッチの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を備える。そして、スイッチ制御回路は、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際して、直列機械的開閉スイッチを閉路とした所定時間後に、電子的開閉スイッチを閉路とし、最後に並列機械的開閉スイッチを閉路とする。また、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際して、並列機械的開閉スイッチを開路とした所定時間後に、電子的開閉スイッチを開路とし、最後に直列機械的開閉スイッチを開路とするものである。
【0084】
実施例の変形の形態(以下実施例の変形例と記載する)の直流スイッチは、第1実施例ないし第3実施例の直流スイッチに対して、さらには、電子的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチのみを有する直流スイッチに対して転流ダイオードの付加、または、回生ダイオードの付加をするものである。転流ダイオードの付加は、直流スイッチを切断した直後における逆起電圧の発生を防止することを解決課題とする。回生ダイオードの付加は、負荷であるモータに生じた電力を、直流スイッチを介して電力回生をおこなうことを解決課題とする。
【0085】
上述した直流スイッチは、直接に負荷となる電気装置に組み込まれて、通常のスイッチと同様に、操作者の意思を直接に伝えて直ちに、電気装置を操作するようにしても良い。しかしながら、本実施形態の直流電力供給システムにおいては、直流スイッチを有効活用するために以下のように制御される。制御スイッチ(制御スイッチ17)を操作したときに出力される信号(信号SD1等)をシステム制御部に出力するようにしている。そして、システム制御部が、予め組み込まれたプログラムに基づき自らの判断によって、直流スイッチをオン(導通)とする信号(信号SA1)を直流スイッチに出力した場合にのみ直流スイッチはオンとなるようにされている。また、システム制御部が、予め組み込まれたプログラムに基づき自らの判断によって、直流スイッチをオフ(切断)とする信号(信号SA1)を直流スイッチに出力した場合にのみ直流スイッチはオフとなるようにされている。
【0086】
以下に第1実施例の直流スイッチないし第3実施例の直流スイッチ、さらには、これらの実施例の変形の形態について詳細に説明をするが、第1実施例の直流スイッチでは並列機械的開閉スイッチ、第2実施例の直流スイッチおよび第3実施例の直流スイッチでは並列機械的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチとを直流スイッチの一構成要素とし、実施例の直流スイッチの変形例においても、これらを一構成要素としているのでこれらの機械的開閉スイッチについてまず説明をする。
【0087】
機械的開閉スイッチは、導電体で形成された2つの接点を有し、電流が流れる経路である直流電流路に機械的開閉スイッチは挿入され、機械的開閉スイッチの各々の接点は2つに分断された直流電流路に各々接続されている。2つの接点が相互に接触して閉状態となることによって直流電流路が形成され、2つの接点が離間して開状態となることによって直流電流路が切断されるようになされている。
【0088】
第1実施例の直流スイッチ、および、第2実施例の直流スイッチでは、後述する機械的開閉スイッチ16は、後述する電子的開閉スイッチ15に対して並列接続されるので、機械的開閉スイッチ16は、並列機械的開閉スイッチ16とも記載してその機能を明確にする。また、第3実施例の直流スイッチでは機械的開閉スイッチ16は、機械的開閉スイッチ161を介してではあるが電子的開閉スイッチ15に対して並列接続されるので、第3実施例の直流スイッチにおいても並列機械的開閉スイッチ16と記載する。
【0089】
第2実施例の直流スイッチでは、機械的開閉スイッチ161は、並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15の並列接続回路に直列に接続されており、少なくとも電子的開閉スイッチ15に対して直列接続されているので、機械的開閉スイッチ161は、直列機械的開閉スイッチ161とも記載してその機能を明確にする。また、第3実施例の直流スイッチでは、機械的開閉スイッチ161は、電子的開閉スイッチ15に対して直列接続されているので、機械的開閉スイッチ161は、同様に、直列機械的開閉スイッチ161とも記載してその機能を明確にする。
【0090】
ここで、並列機械的開閉スイッチにおける並列とは、直流電流路中に配された電子的開閉スイッチと機械的開閉スイッチとに電流が分流する(一方に分流する電流が0である場合も含む)接続態様を意味するものである。すなわち、電子的開閉スイッチと機械的開閉スイッチとを並列に接続すると、電子的開閉スイッチの抵抗値は、機械的開閉スイッチの抵抗値よりも高いので、直流電流路に流れる電流の多くは機械的開閉スイッチに流れる。また、電子的開閉スイッチが抵抗として機能するのではなく、一定のオン電圧(導通時のスイッチ両端の電圧)を有する素子として機能する場合には、オン電圧が0に近い機械的開閉スイッチにのみ電流は流れる。
【0091】
また、直列機械的開閉スイッチにおける直列とは、直流電流路中に配された電子的開閉スイッチに流れる電流が、機械的開閉スイッチに流れるような接続態様を意味するものである。すなわち、電子的開閉スイッチと機械的開閉スイッチとを直列に接続する場合には、いずれか、一方が切断する(開となる)と、この電子的開閉スイッチと機械的開閉スイッチとが直列接続された部分の直流電流路には電流が流れることはない。安全規格等で機械的開閉スイッチの設置を義務づけている電気機器においては、このような直列接続を用いることによってこの義務に対応できることとなる。
【0092】
(第1実施例の直流スイッチ)
図2は第1実施例の直流スイッチを示す図である。図2に沿って第1実施例の直流スイッチ20aについて説明する。直流スイッチ20aは、負荷30と直流の電力系等(直流電源)10との間に挿入して用いられる。図2では、直流スイッチ20aは、入力端子Aと入力端子Bと出力端子Cと出力端子Dとを有する四端子回路として記載されているが、入力端子Aと出力端子Cとは電気的には同一箇所であり、出力端子Cを設けることなく入力端子Aと入力端子Bと出力端子Dとを有する三端子回路であっても同様の作用効果を生じる。電力系統10は、入力端子A(+側)と入力端子B(−側)とに対して接続されている。負荷30は、四端子回路の出力端子C(+側)と出力端子D(−側)とに対して、また、図示はしないが、入力端子(入出力端子)Aと入力端子Bと出力端子Dとを有する三端子回路である場合には、入力端子(入出力端子)A(+側)と出力端子D(−側)とに対して接続される。
【0093】
直流スイッチ20aは、並列機械的開閉スイッチ16と、電子的開閉スイッチ15と、スイッチ制御回路14と、制御スイッチ17と、を備えている。ここで、制御スイッチ17は一回押すとオン(導通)となり、もう一回押すとオフ(切断)となるスイッチである。そして、この並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15とは並列に接続され、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15の並列接続回路が、電力系統10と負荷30との間の直流電流路に挿入されている。
【0094】
負荷は、電気機器である。電気機器は静止機器(例えば、テレビジョン受像機)のみならず、回転機器(例えば、冷蔵庫のコンプレッサ)であっても良く、回転機器としては、例えば、直流モータ、インバータなどの電力変換器を介して駆動する交流モータが、例として挙げられる。直流スイッチ20aの並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15は、負荷30に対して、直流電流が流れる直流電流路を開路(直流電流路が形成されない状態)または閉路(直流電流路が形成される状態)とするために挿入されている。
【0095】
すなわち、並列接続された並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15は、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15のいずれもが、入力端子Bの側のマイナス側の母線13に挿入され電力系統10と負荷30との間に直列に接続されている。このために、並列機械的開閉スイッチ16または電子的開閉スイッチ15のいずれか一方を閉(導通)とすると直流電流路は導通(閉路)とされ、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15の両方を開(切断)とすると直流電流路は切断(開路)とされる。この開閉の動作によって、負荷30への電力供給を絶ち、または、負荷30に電力系統10からの電力を供給することができる。なお、図2では並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15が、マイナス側の母線13に挿入されているが、入力端子Aの側のプラス側の母線12に挿入しても同様な作用効果を奏する。
【0096】
スイッチ制御回路14は、並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15との両者の相互の開閉時間差を制御する。このとき、制御スイッチ17は開閉を行い、スイッチ制御回路14に対して、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15の開閉の契機となるトリガー信号を与える。制御スイッチ17は、例えば、人間によって操作されるスイッチである。
【0097】
図3は、第1実施例における、信号SA1の指令、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15の開閉の手順をタイミングチャートで示す図である。図3(A)は信号SA1の指令が切断(切断状態)であるか導通(導通状態)であるかを示し、図3(B)は電子的開閉スイッチ15が開である切断(切断状態)と閉である導通(導通状態)を示し、図3(C)は並列機械的開閉スイッチ16が開である切断(切断状態)と閉である導通(導通状態)を示すものである。横軸は時刻tを示すものである。図3を参照して、信号SA1の指令、電子的開閉スイッチ15および並列機械的開閉スイッチ16の開閉の動作を説明する。まず、直流スイッチ20aによって直流電流路を閉路とする場合の手順を説明する。
【0098】
制御スイッチ17の操作者が、制御スイッチ17を切断から導通に変化させ、システム制御部Cyに信号SD1が送出され、信号SD1に応じて信号SA1が送出される。または、直流電力供給システム1の全体を管理するシステム制御部Cyが、信号SA1を送出して切断から導通に変化させる(図3(A)の時刻t1を参照)。スイッチ制御回路14は、信号SA1の指令によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15を切断から導通に変化させる(図3(B)の時刻t1、図3(C)の時刻t2を参照)。すなわち、図3(B)に示すように、信号SA1の指令が導通(閉)となると、電子的開閉スイッチ15は、原理的には動作遅れなく、実際の半導体素子ではごく僅かの動作遅れを有して導通(閉)となる。一方、図3(C)に示すように、信号SA1の指令が導通(閉)となると、並列機械的開閉スイッチ16は予め定めた所定時間τ1の後に導通(閉)となる。ここで、時刻t1と時刻t2の間の所定時間τ1の間は、電子的開閉スイッチ15のみが導通する。そして所定時間τ1の間は電子的開閉スイッチ15において電力損失が発生するので、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度以上(例えば、60℃以上)に上昇しないような短い時間に所定時間τ1は設定されている。
【0099】
所定時間τ1は電子的開閉スイッチ15の動作遅れ以上であれば良い。所定時間τ1の長さを長くすることによって、電子的開閉スイッチ15が十分に導通した後(電子的開閉スイッチ15のオン電圧が十分に低くなった後)に並列機械的開閉スイッチ16を導通させることを確保できる。このように所定時間τ1を設定することによって並列機械的開閉スイッチ16の接点に高電圧が印加されたまま回路を閉とし、その結果として、接点に熱損失が生じるようなことはない。
【0100】
つまり、所定時間τ1の最大許容時間は、電子的開閉スイッチ15の許容温度によって定まり、所定時間τ1の最小許容時間は、電子的開閉スイッチ15の導通速度によって定まる。さらに、所定時間τ1が長くなればなるほど、直流電流路中の電子的開閉スイッチ15に生じる電力損失は大きくなる。以上を勘案して、所定時間τ1は定められる。
【0101】
このようにして、並列機械的開閉スイッチ16が電子的開閉スイッチ15よりも先に導通しないようにしている。仮に、並列機械的開閉スイッチ16が電子的開閉スイッチ15よりも先に導通する場合には、並列機械的開閉スイッチ16の接点にアークが発生して接点の損傷を生じるおそれがある。特に、接点のチャタリングによってアークが発生する可能性は倍加する。ここで、チャタリングとは、並列機械的開閉スイッチ16の接点が切り替わった際に、微細で非常に速い機械的振動によって、接点が接触と非接触とを繰り返し直流電流路に流れる電流を切断・導通させようとする現象であり、例えば、1〜100ms(ミリセカンド)程度持続する現象である。
【0102】
次に、直流スイッチ20aによって直流電流路を開路とする場合の手順を説明する。システム制御部Cyが導通から切断に変化させる信号SA1を送出する(図3(A)の時刻t3を参照)。スイッチ制御回路14は、信号SA1の指令によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16を導通から切断に変化させる(図3(C)の時刻t3を参照)。また、スイッチ制御回路14は、信号SA1の指令によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16を導通から切断に変化させてから所定時間τ2後の時刻t4に電子的開閉スイッチ15を導通から切断に変化させる。ここで、時刻t3と時刻t4との間の所定時間τ2は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上に設定されるとともに、所定時間τ2は、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内に設定する。
【0103】
このような手順で、導通から切断とする場合においては、所定時間τ2は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間よりも長い時間に設定されている。よって、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まった後、並列機械的開閉スイッチ16が完全に開となった時点において、未だ電子的開閉スイッチ15は閉となっている。そのために、所定時間τ2以内の時間において、電子的開閉スイッチ15が、例えば、MOS−FETの場合には、電子的開閉スイッチ15の抵抗値は小さく、電子的開閉スイッチ15の両端に生じる電圧は小さい。よって、所定時間τ2以内の時間において、並列機械的開閉スイッチ16の接点にチャタリングが生じたとしても、並列機械的開閉スイッチ16の接点間におけるアークの発生はない。
【0104】
また、電子的開閉スイッチ15が、例えば、バイポーラトランジスタの場合には、接点の両端には、電子的開閉スイッチ15のオン電圧以上の電圧が生じることはない。よって、並列機械的開閉スイッチ16の接点間におけるアークの発生はない。
【0105】
また、所定時間τ2は、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度(例えば、安全規格で定める温度、半導体の定格で定める温度)に上昇する時間よりも短い時間に設定されるので、電子的開閉スイッチ15は、安全な低い温度を維持し、また、熱破壊することがない。そして、電子的開閉スイッチ15を開とする時点で直流電流路は切断(開)の状態とされる。
【0106】
つまり、所定時間τ2の最大許容時間は、電子的開閉スイッチ15の許容温度によって定まり、所定時間τ2の最小許容時間は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリング持続時間であり、所定時間τ2はチャタリング持続時間以上の時間とされる。さらに、所定時間τ2が長くなればなるほど、直流電流路中の電子的開閉スイッチ15に生じる電力損失は大きくなる。以上を勘案して、所定時間τ2は定められる。
【0107】
要するに第1実施例の直流スイッチでは、並列機械的開閉スイッチ16の導通する時間を前後方向(より前の時刻から(前方向)より後の時刻まで(後方向))に覆うように、電子的開閉スイッチ15の導通する時間を定めるものである。そして、前方向に覆う時間である所定時間τ1と後方向に覆う時間である所定時間τ2とは、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内に設定するとともに、電子的開閉スイッチ15に生じる電力損失が無視できる時間とする。また、所定時間τ2は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上に設定するものである。このようにして、電子的開閉スイッチ15が導通している間は、この直流スイッチは導通とされる。
【0108】
図4は、図2に示す直流スイッチ20aの回路例を示す図である。図4を参照して、直流スイッチ20aのより具体的な構成の一例を説明する。並列機械的開閉スイッチ16の一実施例である並列機械的開閉スイッチ16aは、電気接点を機械的に開閉する継電器(リレー)50と、継電器50を駆動するバイポーラトランジスタ51を有して、バイポーラトランジスタ51を介して、継電器50のコイル巻線に流す電流を制御することができるようになされている。例えば、コイル巻線に電流を流す場合に接点が閉とされ、コイル巻線に電流を流さない場合に接点が開とされる。
【0109】
電子的開閉スイッチ15の一実施例である電子的開閉スイッチ15aは、MOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transisitor:モスエフイーテー)53と、バイポーラトランジスタ54とを主要な構成部品とし形成される。抵抗R1および抵抗R2の接続点とバイポーラトランジスタ54のコレクタとをMOS−FET53のゲートに接続して、MOS−FET53は、直流電流路を開閉するようになされている。ここで、電子的開閉スイッチ15aを開路とする場合には、ゲート電圧を下げて、ドレインとソースとの間を高抵抗とし、電子的開閉スイッチ15aを閉路とする場合には、ゲート電圧を上げて、ドレインとソースとの間を低抵抗とするようになされている。
【0110】
スイッチ制御回路14の一実施例であるスイッチ制御回路14aは、デジタルロジック回路18と周辺回路で構成される。抵抗R4は、デジタルロジック回路18に対して動作電圧を供給するためのものであり、動作電圧は、ゼナーダイオードZDとコンデンサCとで定電圧化が図られている。制御スイッチ17の両端の一方には抵抗R3が接続され、他方には母線13が接続される。制御スイッチ17の切断と導通との変化をトリガー信号として発生させ、トリガー信号は、直接に直流スイッチを制御する場合には、デジタルロジック回路18の信号入力端子Iに入力される。トリガー信号が信号SA1に置き換えられる場合には、信号SA1によって直流スイッチは制御される。デジタルロジック回路18は信号出力端子O1と信号出力端子O2とを具備し、信号出力端子O1からの信号は、バイポーラトランジスタ51のベースに印加され、信号出力端子O2からの信号は、バイポーラトランジスタ54のベースに印加されるようになされている。このようなスイッチ制御回路14の一実施例であるスイッチ制御回路14aによって、図3のタイミングチャートに示す動作を実現できる。なお、信号出力端子O1からの信号のレベルがハイレベルのときに継電器50の接点が閉とされ、信号出力端子O2からの信号のレベルがローレベルのときには、MOS−FET53のドレインとソースとの間を低抵抗とするように、すなわち、電子的開閉スイッチ15aを閉路とするようになされている。
【0111】
上述した回路例において、電子的開閉スイッチとして、MOS−FETを用い、このMOS−FETを駆動する回路部としてバイポーラトランジスタを用いたが、この両者の組み合わせにおいて、MOS−FET、バイポーラトランジスタ、IGBT等の半導体デバイスをいかなるように組み合わせても同様な効果を得ることができる。例えば、電子的開閉スイッチとして、バイポーラトランジスタを用い、このバイポーラトランジスタを駆動する回路部としてMOS−FETを用いることもできるものである。
【0112】
(第2実施例の直流スイッチ)
図5は第2実施例の直流スイッチを示す図である。図5には第2実施例の直流スイッチとしての直流スイッチ20bを示す。第2実施例の直流スイッチ20bは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される並列機械的開閉スイッチ16および直列機械的開閉スイッチ161と、電子的開閉スイッチ15と、スイッチ制御回路141と、を備えている。ここで、直列機械的開閉スイッチ161は、電子的開閉スイッチ15と直列に接続されるので、上述したように直列機械的開閉スイッチと称される。
【0113】
第2実施例の直流スイッチの特徴は、第1実施例における直流電流路の閉路状態における電力損失が小さいという特徴を維持しながら、さらに、直流電流路の電子的開閉スイッチ15に対して直列に直列機械的開閉スイッチ161を挿入して、直流電流路の切断をより確実なものとして、より安全性を向上するものである。
【0114】
第2実施例の直流スイッチ20bにおける並列機械的開閉スイッチ16および直列機械的開閉スイッチ161は、第1実施例の直流スイッチ20aにおける並列機械的開閉スイッチ16と同様の構成を有しており、第2実施例の直流スイッチ20bにおける電子的開閉スイッチ15は、第1実施例の直流スイッチ20aにおける電子的開閉スイッチ15と同様の構成を有している。
【0115】
そして、この並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15とは並列に接続され、この並列接続回路と直列機械的開閉スイッチ161とは直列に接続されている。よって、並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15との並列接続回路とこの並列接続回路に対して直列接続される直列機械的開閉スイッチ161とで形成される直列接続回路が、電力系統10と負荷30との間に直列となるように配置されている。
【0116】
図6は、信号SA1の指令、並列機械的開閉スイッチ16、電子的開閉スイッチ15および直列機械的開閉スイッチ161の開閉の手順をタイミングチャートで示す図である。図6(A)は、信号SA1の指令が切断(切断状態)であるか導通(導通状態)であるかをを示し、図6(B)は、直列機械的開閉スイッチ161の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(C)は、電子的開閉スイッチ15の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(D)は、並列機械的開閉スイッチ16の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示すものである。横軸は時刻tを示すものである。このような制御はスイッチ制御回路141によって行われる。
【0117】
ここで、図6(C)と図6(D)に表された、電子的開閉スイッチ15の切断(切断状態)および導通(導通状態)と並列機械的開閉スイッチ16の切断(切断状態)と導通(導通状態)との相互の関係は、図3(B)と図3(C)に表されたものと同様である。つまり、図6と図3とに示す並列機械的開閉スイッチ16は、図6と図3とに示すに示す電子的開閉スイッチ15に対して同様の時間関係を有して動作する。
【0118】
つまり、電子的開閉スイッチ15が導通となる時刻t6から所定時間τ4の後である時刻t7に並列機械的開閉スイッチ16は導通するが、所定時間τ4(図6を参照)と所定時間τ1(図3を参照)とは同じ基準に基づき定められる。また、並列機械的開閉スイッチ16が切断となる時刻t8から所定時間τ5の後である時刻t9に電子的開閉スイッチ15は切断するが、所定時間τ5(図6を参照)と所定時間τ2(図3を参照)とは同じ基準に基づき定められる。
【0119】
図6を参照して、まず、直流スイッチ20bによって直流電流路を閉路とする場合の手順を説明する。
【0120】
直流スイッチを導通に変化させるための信号SA1が出力される(図6(A)の時刻t5を参照)。スイッチ制御回路141は、信号SA1の指令によって発生するトリガー信号に基づき直列機械的開閉スイッチ161を切断から導通に変化させる(図6(B)の時刻t5を参照)。すなわち、図6(B)に示すように、信号SA1の指令が導通(閉)となると、直列機械的開閉スイッチ161は導通(閉)となる。ここで、直列機械的開閉スイッチ161が導通しても、電子的開閉スイッチ15、並列機械的開閉スイッチ16のいずれもが開であるので、直列機械的開閉スイッチ161に電流が流れることはない。そして、スイッチ制御回路141は、時刻t5から所定時間τ3後に電子的開閉スイッチ15を導通させる。
【0121】
直列機械的開閉スイッチ161と電子的開閉スイッチ15とが導通する時刻t6において直流電流路は閉となり負荷30に電力が供給される。ここで、時刻t5と時刻t6との間の所定時間τ3の長さは、直列機械的開閉スイッチ161の接点のチャタリングが収まる(消滅する)までの時間よりも長くしている。このようにして、直列機械的開閉スイッチ161の接点にアークが生じることを防止している。
【0122】
このような手順で、切断から導通とする場合においては、直列機械的開閉スイッチ161を閉とする時点では、未だ電子的開閉スイッチ15は開となっており、直列機械的開閉スイッチ161の接点に電圧が加わることはないのでチャタリングが生じたとしても、直列機械的開閉スイッチ161の接点にアークが生じることはない。
【0123】
上述したように、電子的開閉スイッチ15と並列機械的開閉スイッチ16との相互の動作の時間関係は、第1実施例におけると同様であるが、以下に説明をする。電子的開閉スイッチ15が導通となる時刻t6から予め定めた所定時間τ4の後の時刻t7に並列機械的開閉スイッチ16は導通(閉)となる。ここで、所定時間τ4は、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度以上に上昇しないような短い時間であることが望ましい。
【0124】
電子的開閉スイッチ15の動作遅れが全く無く、スイッチ制御回路141からの制御信号によって直に導通状態となる場合には、所定時間τ4は、0であっても良いが、所定時間τ4の長さを長くすることによって、電子的開閉スイッチ15が十分に導通した後(電子的開閉スイッチ15のオン電圧が十分に低くなった後)に並列機械的開閉スイッチ16を導通させることを確保できる。仮に、並列機械的開閉スイッチ16が電子的開閉スイッチ15よりも先に導通する場合には、並列機械的開閉スイッチ16の接点のチャタリングによってアークが発生する可能性があり、このような制御は採用できない。
【0125】
次に、直流スイッチ20bによって直流電流路を開路とする場合の手順を説明する。導通から切断に変化させるような信号SA1が出力される(図6(A)の時刻t8を参照)。スイッチ制御回路141は、信号SA1の指令によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16を導通から切断に変化させる(図6(C)の時刻t8を参照)。また、スイッチ制御回路141は、信号SA1の指令によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16を導通から切断に変化させてから所定時間τ5後の時刻t9に電子的開閉スイッチ15を導通から切断に変化させる。ここで、所定時間τ5は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上に設定されるとともに、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内に設定される。さらに、所定時間τ5が長くなればなるほど、直流電流路中の電子的開閉スイッチ15に生じる電力損失は大きくなる。以上を勘案して、所定時間τ5は定められる。
【0126】
そして、電子的開閉スイッチ15を開路とした後である所定時間τ6の後に、直列機械的開閉スイッチ161を開路とする。ここで、所定時間τ6は0であっても良いが、所定時間τ6の長さを長くすることによって、電子的開閉スイッチ15が十分に切断した後に直列機械的開閉スイッチ161を切断させることを確保できる。
【0127】
このような手順で、導通から切断とする場合においては、並列機械的開閉スイッチ16を開とする時点では、未だ電子的開閉スイッチ15は閉となっており、並列機械的開閉スイッチ16の接点にチャタリングが生じたとしても、並列機械的開閉スイッチ16の接点の両端には、電子的開閉スイッチ15のオン電圧以上の電圧が生じることはなく、この接点間におけるアークの発生はない。そして、電子的開閉スイッチ15を開とする時点で直流電流路は切断(開)の状態とされる。
【0128】
そして、最後に、直列機械的開閉スイッチ161を切断(開)とすることによって直流電流路の切断をより確実なものとする。直列機械的開閉スイッチ161の切断は、時刻t9よりも所定時間τ6遅れた時刻t10に行われるようにスイッチ制御回路141が制御をする。電子的開閉スイッチ15の切断(開)が十分の行われた後(電子的開閉スイッチ15が完全にオフ状態となった後)に行うように、所定時間τ6の長さを選択するのが望ましい。つまり、電子的開閉スイッチ15の動作遅れが大きい場合には、所定時間τ6を長くして、直列機械的開閉スイッチ161の接点がダメージを受けないようにする。
【0129】
要するに第2実施例の直流スイッチでは、並列機械的開閉スイッチの導通する時間を前後方向に覆うように、電子的開閉スイッチの導通する時間を定める。また、電子的開閉スイッチの導通する時間を前後方向に覆うように、直列機械的開閉スイッチの導通する時間を定める。ここで、直列機械的開閉スイッチの接点のチャタリングが収まる時間、電子的開閉スイッチの導通する時間を前方向に覆うにしている。このようにして、電子的開閉スイッチ15が導通している間は、この直流スイッチは導通とされる。
【0130】
(第3実施例の直流スイッチ)
図7は、第3実施例の直流スイッチを示す図である。図7に第3実施例の直流スイッチとしての直流スイッチ20cを示す。第2実施例の直流スイッチ20cは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される並列機械的開閉スイッチ16および直列機械的開閉スイッチ161と、電子的開閉スイッチ15と、スイッチ制御回路141と、を備えている。第3実施例の直流スイッチの特徴は、第1実施例における直流電流路の導通状態における電力損失が小さいという特徴を維持しながら、さらに、直流電流路に直列に直列機械的開閉スイッチ161を挿入して、直流電流路の切断をより確実なものとして、より安全性を向上するものである。
【0131】
第3実施例の直流スイッチ20cにおける並列機械的開閉スイッチ16および直列機械的開閉スイッチ161は、第1実施例の直流スイッチ20aにおける並列機械的開閉スイッチ16と同様の構成を有しており、第3実施例の直流スイッチ20cにおける電子的開閉スイッチ15は、第1実施例の直流スイッチ20aにおける電子的開閉スイッチ15と同様の構成を有している。
【0132】
そして、この直列機械的開閉スイッチ161と電子的開閉スイッチ15とは直列に接続され、この直列接続回路と並列機械的開閉スイッチ16とは並列に接続されている。よって、直列機械的開閉スイッチ161と電子的開閉スイッチ15との直列接続回路とこの直列接続回路に対して並列接続される並列機械的開閉スイッチ16とで形成される並列接続回路が、電力系統10と負荷30との間に直列となるように配置されている。
【0133】
母線13に挿入されている機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチの接続態様に着目して、図5に示す第2実施例の直流スイッチと図7に示す第3実施例の直流スイッチとを対比する。図5に示す第2実施例の直流スイッチと図7に示す第3実施例の直流スイッチのいずれにおいても直列機械的開閉スイッチ161と電子的開閉スイッチ15とは直列に接続されている。また、図5に示す第2実施例の直流スイッチでは、並列機械的開閉スイッチ16は、電子的開閉スイッチ15と並列に接続されており、図7に示す第3実施例の直流スイッチでは、並列機械的開閉スイッチ16は、直列機械的開閉スイッチ161を介して、電子的開閉スイッチ15と並列に接続されている。
【0134】
第2実施例の直流スイッチ20bと第3実施例の直流スイッチ20cのこのような接続態様の共通性から、第3実施例における、信号SA1の指令、並列機械的開閉スイッチ16、電子的開閉スイッチ15および直列機械的開閉スイッチ161の開閉の手順を示すタイミングチャートは図6と同様なものとなるので、再び図6を参照して説明をする。
【0135】
図6(A)は、信号SA1の指令が切断(切断状態)であるか導通(導通状態)であるかを示し、図6(B)は、直列機械的開閉スイッチ161の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(C)は、電子的開閉スイッチ15の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(D)は、並列機械的開閉スイッチ16の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示すものである。横軸は時刻tを示すものである。このような制御はスイッチ制御回路141によって行われる。
【0136】
つまり、電子的開閉スイッチ15が導通となる時刻t6から所定時間τ4の後である時刻t7に並列機械的開閉スイッチ16は導通するが、所定時間τ4(図6を参照)と所定時間τ1(図3を参照)とは同じ基準に基づき定められる。また、第1機械的開閉スイッチが切断となる時刻t8から所定時間τ5の後である時刻t9に電子的開閉スイッチ15は切断するが、所定時間τ5(図6を参照)と所定時間τ2(図3を参照)とは同じ基準に基づき定められる。また、所定時間τ3(図6を参照)と所定時間τ6(図6を参照)とは、第2実施例におけると同様の意味内容を有する時間である。
【0137】
第3実施例の直流スイッチ20cの開閉の手順は、第2実施例に示したものと同様であるので説明を省略する。
【0138】
要するに第3実施例の直流スイッチでは、並列機械的開閉スイッチ16の導通する時間を前後方向に覆うように、電子的開閉スイッチ15の導通する時間を定める。また、電子的開閉スイッチ15の導通する時間を前後方向に覆うように、直列機械的開閉スイッチ161の導通する時間を定める。ここで、機械的開閉スイッチ(直列機械的開閉スイッチ)の接点のチャタリングが収まる時間、電子的開閉スイッチの導通する時間を前方向に覆うにしている。
【0139】
上述した、第1実施例の直流スイッチないし第3実施例の直流スイッチのいずれにおいても、直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために、直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を備えており、スイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチを閉路とした所定時間後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするものである。
【0140】
このようにすることによって、並列機械的開閉スイッチを閉路とするに際して、チャタリングによって、並列機械的開閉スイッチの接点にアークを生じさせることがない。また、電子的開閉スイッチを閉路とした所定時間後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするので、この所定時間の間のみ電子的開閉スイッチには電流が流れ、電子的開閉スイッチの温度上昇が防止できる。そして、並列機械的開閉スイッチおよび電子的開閉スイッチの小型化、さらには、電子的開閉スイッチに設けられるヒートシンクの小型化が図られる。
【0141】
また、スイッチ制御回路は、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際しては、並列機械的開閉スイッチを開路とし、並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、電子的開閉スイッチを開路とするものである。
【0142】
また、上述した、第2実施例の直流スイッチおよび第3実施例の直流スイッチのいずれにおいても、直流スイッチは、電子的開閉スイッチと並列機械的開閉スイッチとに加えて、電子的開閉スイッチに直列に接続される直列機械的開閉スイッチを備えており、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際しては、直列機械的開閉スイッチが閉路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い所定時間後に、電子的開閉スイッチを閉路とするものである。
【0143】
また、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際しては、電子的開閉スイッチを開路とした後に、直列機械的開閉スイッチを開路とするものである。
【0144】
このようにすることによって、第2実施例の直流スイッチおよび第3実施例の直流スイッチのいずれにおいても、第1実施例の直流スイッチと同様に、電子的開閉スイッチを閉路とした所定時間後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするので、並列機械的開閉スイッチを閉路とするに際して、チャタリングによって、並列機械的開閉スイッチの接点にアークを生じさせることがない。また、この所定時間の間のみ電子的開閉スイッチには電流が流れ、電子的開閉スイッチの温度上昇が防止できる。そして、並列機械的開閉スイッチおよび電子的開閉スイッチの小型化、さらには、電子的開閉スイッチに設けられるヒートシンクの小型化が図られる。加えて、直列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとが直流電流路に直列に配置されるので、直列機械的開閉スイッチを開とすることによって、直列機械的開閉スイッチの2つの接点は離間され、物理的に直流電流路が切断され直流スイッチとしての安全性がより高まる。さらに、直列機械的開閉スイッチは最後に開とされるので、直列機械的開閉スイッチの接点にアークを生じさせることがない。
【0145】
「実施例の直流スイッチの変形例」
(電力回生回路付直流スイッチ)
第1実施例の直流スイッチないし第3実施例の直流スイッチにおいて、直流スイッチ20aの出力端子Cと出力端子Dから負荷30までの配線が長く配線がインダクタンスを有する場合、直流スイッチ20bの出力端子Cと出力端子Dから負荷30までの配線が長く配線がインダクタンスを有する場合、または、直流スイッチ20cの出力端子Cと出力端子Dから負荷30までの配線が長く配線がインダクタンスを有する場合においては、負荷30の側、母線の側、または、各直流スイッチ(直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c)の側、のいずれかに逆起電圧の発生に対する特別の配慮を払うことが直流スイッチに対して高電圧の印加を防止する観点より解決すべき課題となる。また、負荷30がモータ等のインダクタンス成分を有する負荷である場合には、配線が短くとも同様の配慮をすることが望ましい。さらに、負荷がモータである場合には、生じる起電力をどのようにして有効活用するかが解決すべき課題となる。
【0146】
つまり、各直流スイッチの出力側にインダクタンス負荷(インダクタンス成分を有する負荷)が接続される場合には、上述した各直流スイッチの切断直後において、大きな逆起電圧が、出力端子Cと出力端子Dとの間に印加されることとなる。この逆起電圧によって、各直流スイッチおよび線路上の他の機器が影響を受け、各直流スイッチおよび他の機器が破壊に至る場合もあり得る。
【0147】
このような逆起電圧が発生することを防止するためには、負荷30の内部に転流ダイオードを設けておくことが望ましい。転流ダイオードの作用により大きな逆起電圧の発生を防止することができる。なお、負荷30の内部に転流ダイオードを設けるか否かは、負荷である電気機器の製造者の意思によるので、電気機器の内部に転流ダイオードが設けられない場合もあり得る。この場合には、直流スイッチから負荷に至るまでの線路中、または、直流スイッチの内部に逆起電圧に対する対策を施すこととなる。
【0148】
さらに、負荷がモータ(電動機)である場合には、起電力を電力系統の側に戻す回生ダイオードを設けることが、より望ましい。転流ダイオード自体、回生ダイオード(電力回生ダイオード)自体は、公知技術である。しかしながら、電子的開閉スイッチ、または、機械的開閉スイッチによって電力系統と負荷との間の直流電流路が切断されてしまう直流スイッチにおいて、どのようにして、転流ダイオード、回生ダイオードの技術を利用するかについては、まだ、知られていない。
【0149】
以下における実施例は、上述した直流スイッチに、さらに、転流ダイオード、回生ダイオードを付加する直流スイッチを提供するものである。そして、逆起電圧の発生を防止し、起電力を電力系統の側に戻すという課題を解決するものである。
【0150】
各直流スイッチにおける逆起電圧に対する対策としては、各直流スイッチの内部であって、出力端子Cと出力端子Dとの間に転流ダイオードを予め設けるようにすることができる。
【0151】
図8は、直流スイッチの第1変形例を示す図である。図8示す直流スイッチ20dでは、直流スイッチの内部に転流ダイオードとして機能するダイオードDfを設けた図である。図8に示す直流スイッチ20dの各部については、ダイオードDf以外は図2に示す直流スイッチ20aと同様であるので、説明を省略する。ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように設ければよく、その位置は厳密に特定されるものではない。このように、直流スイッチ20aの内部にダイオードDfを逆バイアスとなるように設けることによって、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後にダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20aが破壊することを防止できる。
【0152】
回生ダイオードについては、直流スイッチ20dでは、電子的開閉スイッチとしてMOS−FET35を用いる場合には、MOS−FET35の逆バイアスとされるボディダイオード(図4を参照)が回生ダイオードの作用を果すことになる。よって、必ずしも、回生ダイオードを付加する必要はない。電子的開閉スイッチとしてバイポーラトランジスタを用いる場合には、ボディダイオードと同位置に回生ダイオードを設けることになる。このようにして、直流スイッチ20dが開となった直後には、通常動作時には逆バイアスとされるボディダイオードに、回生電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0153】
図8では、直流スイッチ20dの出力端子Cと出力端子Dとの両端に、逆バイアスとなるようにダイオードDfを並列に接続したが、この趣旨は、直流スイッチ20dの内部の部品のすべてを保護するためである。図示はしないが、特に、電子的開閉スイッチ15a(図4を参照)を保護することを目的とする場合には、母線13に挿入される電子的開閉スイッチ15aの近傍と他の母線である母線12との間にダイオードDfを逆バイアスとなるように設けることがより効果的である。
【0154】
図9は、直流スイッチの第2変形例を示す図である。図9に示す直流スイッチ20eは、図5に示す直流スイッチ20bに対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、入力端子Bと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
【0155】
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20eが破壊することを防止することができる。また、ダイオードDrに順方向電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0156】
図10は、直流スイッチの第3変形例を示す図である。図10に示す直流スイッチ20fは、図7に示す直流スイッチ20cに対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、入力端子Bと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
【0157】
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20fが破壊することを防止することができる。また、ダイオードDrに順方向電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0158】
図11は、直流スイッチの第4変形例を示す図である。図11に示す直流スイッチ20gは、電子的開閉スイッチ15と直列機械的開閉スイッチ161に対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、入力端子Bと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
【0159】
直流スイッチ20gでは、スイッチ制御回路114は、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際しては、直列機械的開閉スイッチ161が閉路とされた後に、電子的開閉スイッチ15を閉路とし、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際しては、電子的開閉スイッチ15が開路とされた後に、直列機械的開閉スイッチ161を開路とするものである。このようにして直列機械的開閉スイッチ161にアーク放電が生じるのを防止できる。このようにして、電子的開閉スイッチ15が導通している間は、この直流スイッチは導通とされる。
【0160】
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20gが破壊することを防止する。また、ダイオードDrに順方向電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0161】
図12は、直流スイッチの第5変形例を示す図である。図12に示す直流スイッチ20hは、図5に示す直流スイッチ20bに対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、直列機械的開閉スイッチ161に並列に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
【0162】
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20hが破壊することを防止できる。また、ダイオードDrと電子的開閉スイッチ15のボディダイオードとに順方向電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0163】
図13は、直流スイッチの第6変形例を示す図である。図13に示す直流スイッチ20iは、図7に示す直流スイッチ20cに対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、直列機械的開閉スイッチ161に並列に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
【0164】
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20iが破壊することを防止できる。また、ダイオードDrと電子的開閉スイッチ15のボディダイオードとに順方向電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0165】
図14は、直流スイッチの第7変形例を示す図である。図14に示す直流スイッチ20jは、電子的開閉スイッチ15と直列機械的開閉スイッチ161に対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrを接続している。ダイオードDrは、機械的開閉スイッチ(直列機械的開閉スイッチ)116に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
【0166】
直流スイッチ20jでは、スイッチ制御回路114は、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際しては、直列機械的開閉スイッチ161が閉路とされた後に、電子的開閉スイッチ15を閉路とし、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際しては、電子的開閉スイッチ15が開路とされた後に、直列機械的開閉スイッチ161を開路とするものである。このようにして直列機械的開閉スイッチ161にアーク放電が生じるのを防止できる。このようにして、電子的開閉スイッチ15が導通している間は、この直流スイッチは導通とされる。
【0167】
また、上述の構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20jが破壊することを防止できる。また、ダイオードDrと電子的開閉スイッチ15のボディダイオードとに順方向電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0168】
上述した、実施例の変形例では、直流スイッチの出力端の両端に、逆バイアスとなるように接続されるダイオードDf(転流ダイオード)を備える。さらに、電子的開閉スイッチに対して逆バイアスとなるように並列に接続されるダイオードDr(回生ダイオード)、または、電子的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチの直列接続回路に対して逆バイアスとなるように並列に接続されるダイオードDr(回生ダイオード)、もしくは、機械的開閉スイッチに対して逆バイアスとなるように並列に接続されるダイオードDr(回生ダイオード)を備えるようにしている。
【0169】
上述した、実施例の変形例では、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと、回生ダイオードとして機能するダイオードDrとの両方を設けるとして説明をした。しかしながら、負荷がインダクタンス成分(例えば、転流ダイオードの両端から負荷までの配線インダクタンス成分、負荷自体のインダクタンス成分)を有する場合においては、転流ダイオードのみを設ける場合でも、直流スイッチの出力端子間に生じる逆起電圧の発生を防止することができる。また、負荷がモータ(電動機)で起電力を生じる場合においては、回生ダイオードのみを設ける場合でも、回生電力を電力系統に戻すことができる。
【0170】
転流ダイオードと回生ダイオードとの両方を設ける場合には、上述したように、負荷がインダクタンス成分を有する場合、負荷がモータである場合を含み、さらに、広範囲な種類の負荷に対して、直流スイッチの出力端子間に生じる逆起電圧の発生を防止し、または/および、回生電力を電力系統に戻すことができる。
【0171】
例えば、負荷がモータである場合には以下のように転流ダイオードと回生ダイオードの各々が時間差を有して動作をする。直流スイッチを切断した直後に、配線インダクタンス成分およびモータの巻線のインダクタンス成分に起因する逆起電圧が発生しようとするが、転流ダイオードによってこの逆起電圧の発生を防止することができるとともに、転流ダイオードに流れる順方向電流によってモータは回転させられる。その後、転流ダイオードの順方向電流が無くなれば、モータは発電機となり、回生ダイオードに順方向電流が流れて回生電力を電力系統に戻すことができる。
【0172】
(直流スイッチの挿入箇所の変形例)
第1実施例の直流スイッチないし第3実施例の直流スイッチ、および、転流ダイオード、回生ダイオードを有する実施例の直流スイッチの変形例においては、機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチは、いずれも、入力端子Bと出力端子Dとの間に挿入されるものとして説明をした。しかしながら、機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチと回生ダイオードとは、入力端子Aと出力端子Cとの間に挿入するようにしても、所望の効果を生じさせることができる。つまり、母線12と母線13のいずれの側に、直列機械的開閉スイッチまたは/および並列機械的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチと、回生ダイオードと、を挿入しても、同一の効果を得ることができる。
【0173】
「直流電力供給システムの制御方法」
上述した実施例の直流スイッチを用いて、図1に示す直流電力供給システム1をどのように制御するかについて説明をする。なお、直流電力供給システム1においては、上述した直流スイッチの入力端子である入力端子A、入力端子Bは各コンバータに接続される。また、直流スイッチの出力端子である、出力端子C、出力端子Dは負荷に接続される。
【0174】
(第1実施形態の直流電力供給システムの制御方法)
実施形態の直流電力供給システム1において採用される、第1実施形態の直流電力供給システムの制御方法について説明をする。
【0175】
第1実施形態の直流電力供給システムの制御方法では、コンバータで分離された複数の負荷で消費される電力の平準化をする。つまり、同時刻に多くの負荷において過大電力が消費されることを防止するように制御される。
【0176】
図15は第1実施形態の直流電力供給システムの制御方法を示す図である。図1と図15を参照して以下説明をする。
【0177】
図15は、負荷L1(図1を参照)と負荷L2(図1を参照)とに注目して2個の負荷に供給される電力の平準化を図る電力供給の方法を示すものである。ここで、負荷L1は冷蔵庫であり、負荷L2はエアーコンディショナーであるとして説明をする。負荷L1への電力の供給をするかしないかを制御する直流スイッチである直流スイッチS1(図1を参照)の開閉(切断)によって冷蔵庫の電力供給の制御がなされる。また、負荷L2への電力の供給をするかしないかを制御する直流スイッチである直流スイッチS2(図1を参照)の開閉(切断)によってエアーコンディショナーの電力供給の制御がなされる。ここで、直流スイッチS1は冷蔵庫の本体に設けられ、直流スイッチS2はエアーコンディショナーの本体に設けられているとして説明をする。
【0178】
直流スイッチS1の構成としては、図2に示す直流スイッチ20a、図5に示す直流スイッチ20b、図7に示す直流スイッチ20c、図8に示す直流スイッチ20d、図9に示す直流スイッチ20e、図10に示す直流スイッチ20f、図11に示す直流スイッチ20g、図12に示す直流スイッチ20h、図13に示す直流スイッチ20i、図14に示す直流スイッチ20jのいずれをも採用することができる。また、直流スイッチS2の構成としては、図2に示す直流スイッチ20a、図5に示す直流スイッチ20b、図7に示す直流スイッチ20c、図8に示す直流スイッチ20d、図9に示す直流スイッチ20e、図10に示す直流スイッチ20f、図11に示す直流スイッチ20g、図12に示す直流スイッチ20h、図13に示す直流スイッチ20i、図14に示す直流スイッチ20jのいずれをも採用することができる。
【0179】
図15(A)〜図15(E)の横軸は、時間である。以下、時刻t21から時刻t32までの時系列に沿って直流電力供給システム1の動作を説明する。図15(A)に示すように、時刻t21において、冷蔵庫の本体の直流スイッチS1に設けられた制御スイッチ17を操作者が操作して冷蔵庫をオンとする意思表示をした状態を示す。制御スイッチ17から得られるのと同じ信号SD1がシステム制御部Cyに送出される。信号SD1がシステム制御部Cyで受け取られた段階では、システム制御部Cyが、冷蔵庫を動作させたいという操作者の意志を受信しただけであって、直流スイッチS1は、システム制御部Cyの判断を経ることなく直ちに導通して電力の供給を開始することはない。
【0180】
図15(C)に示すように、時刻t22において、システム制御部Cyが、信号SA1を直流スイッチS1に送出して直流スイッチを接続する動作に入る。信号SA1によって直流スイッチS1を切断から導通とするための、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、システム制御部Cyは、直流電力供給システムにおける他の負荷への電力供給状態(この場合には、エアーコンディショナーへの電力供給状態)を判断して、電力平準化を制御基準として、信号SA1を送出する。つまり、エアーコンディショナーへ電力供給がされていないことを確認して、冷蔵庫へ電力を供給するように信号SA1を送出する。
【0181】
図15(E)に示すように、時刻t23において、システム制御部Cyが、信号SA1を直流スイッチS1に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS1の電子的開閉スイッチの導通が図られる。これによって、時刻t23から冷蔵庫への電力供給が開始される。
【0182】
図15(B)に示すように、時刻t24において、エアーコンディショナーの本体の直流スイッチS2に設けられた制御スイッチ17を操作者が操作してエアーコンディショナーをオンとする意思表示をした状態を示す。制御スイッチ17から得られるのと同じ信号SD2がシステム制御部Cyに送出される。信号SD2がシステム制御部Cyで受け取られた段階では、システム制御部Cyが、エアーコンディショナーを動作させたいという操作者の意志を受信しただけであって、直流スイッチS2は直ちに導通して電力の供給を開始することはない。
【0183】
図15(C)に示すように、時刻t25において、システム制御部Cyが、信号SA1を直流スイッチS1に送出して直流スイッチを切断とする動作に入る。信号SA1によって直流スイッチS1を導通から切断とする、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。すなわち、システム制御部Cyは、時刻t22から時間T1後に冷蔵庫への電力の供給を停止するように信号SA1を送出する。ここで、時間T1の長さは、予め、システム制御部Cyの内部のロムに記憶しておきこれを用いるようにしても良い。時間T1を所定長確保する理由は、冷蔵庫への電力供給の切断を頻繁におこなうのは装置の信頼性維持、装置寿命の長期化の面からも好ましくないからである。
【0184】
図15(E)に示すように、時刻t26において、システム制御部Cyが、信号SA1を直流スイッチS1に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS1の電子的開閉スイッチの切断が図られる。これによって、時刻t26から冷蔵庫への電力供給が停止される。ここで、時刻t25と時刻t26の間の時間τ21は、時間τ2および時間τ5(直流スイッチ内部で設定される時間である。図3、図6を参照)よりも長い時間に設定している。負荷L1への電力供給と負荷L2への電力供給とが重ならないようにするためである。また、回生電力を負荷L1と負荷L2との相互間で利用するためには、時間τ2および時間τ5よりも長い時間であって、かつ、なるべく短い時間が望ましい。後述する時間τ23から時間τ21を引いた時間の間、負荷L1から負荷L2に回生電力が送られる。また、後述する時間τ24から後述する時間τ22を引いた時間の間、負荷L2から負荷L1に回生電力が送られる。
【0185】
図15(D)に示すように、時刻t27において、システム制御部Cyが、信号SA2を直流スイッチS2に送出して直流スイッチを導通とする動作に入る。信号SA2によって直流スイッチS2を切断から導通とする、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、システム制御部Cyは、自ら、信号SA1を送出しているので直流電力供給システムにおける他の負荷への電力供給(この場合には、エアーコンディショナーへの電力供給)が、時刻t25(実際に電力供給が断たれるのは時刻t26であるが、システム制御部Cyは時刻t26を知ることができない。なお、上述したようにして、時刻t25と時刻t26との時間(時間τ2、または、時間τ5)は直流スイッチ内部で設定される)から断たれていることを認識している。そして、時刻t25から所定時間τ21後の時刻t27に信号SA2を直流スイッチS2へ送出するようにしている。所定時間τ21は、上述したように、冷蔵庫への電力供給とエアーコンディショナーへの電力供給とが重なることがなく、かつ回生電力を利用できるように設けられた時間であり、システム制御部Cyの内部のロムに記憶しておきこれを用いるようにしても良い。
【0186】
図15(F)に示すように、時刻t28において、システム制御部Cyが、信号SA2を直流スイッチS2に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS2の電子的開閉スイッチの導通が図られる。これによって、時刻t28からエアーコンディショナーへの電力供給が開始される。
【0187】
図15(D)に示すように、時刻t27から時間T2経った時刻t29において、システム制御部Cyが、信号SA2を直流スイッチS2に送出して直流スイッチを切断する動作に入る。信号SA2によって直流スイッチS2を導通から切断とするための、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。
【0188】
図15(F)に示すように、時刻t30において、システム制御部Cyが、信号SA2を直流スイッチS2に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS2の電子的開閉スイッチの切断が図られる。これによって、時刻t30からエアーコンディショナーへの電力供給が停止される。
【0189】
図15(C)に示すように、時刻t29から所定時間τ22後の時刻t31において、システム制御部Cyが、信号SA1を直流スイッチS1に送出して直流スイッチを接続する動作に入る。信号SA1によって直流スイッチS1を切断から導通とするための、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、所定時間である時間τ22は、上述した所定時間τ21と同様に時間τ2および時間τ5よりも長い時間に設定して、かつ、負荷L2から負荷L1に送られる回生電力を有効に利用できるようになるべく短く設定されている。
【0190】
以下同様にして、上述した2つの負荷への電力供給のサイクルを繰り返す。ここで、システム制御部Cyは、直流電力供給システムにおける複数の負荷への電力供給状態(この場合には、エアーコンディショナーへの電力供給状態と冷蔵庫への電力供給状態)を判断して、電力平準化を制御基準として、信号SA1と信号SA2を送出する。つまり、エアーコンディショナーの動作と冷蔵庫の動作が問題をおこすことなく、両者が協調して電力平準化がおこなわれるように、時間T1と時間T2とを適切に定める。
【0191】
第1実施形態の制御方法における直流スイッチである、直流スイッチS1と直流スイッチS2とについて説明をする。直流スイッチS1は、上述した、直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c、直流スイッチ20d、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jのいずれを採用しても良い。直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jを採用する場合には、これらの直流スイッチはダイオードDrを有して形成されるので、負荷L1(冷蔵庫)で生じた回生電力を2次側の他のコンバータに伝送することが可能となる。
【0192】
同様に、直流スイッチS2は、上述した、直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c、直流スイッチ20d、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jのいずれを採用しても良い。直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jを採用する場合には、これらの直流スイッチはダイオードDrを有して形成されるので、負荷L2(エアーコンディショナー)で生じた回生電力を2次側の他のコンバータに伝送することが可能となる。
【0193】
図15(G)には、負荷L1からの回生電力を他のコンバータに伝送するために、コンバータeを動作させるためのスイッチ信号e1〜スイッチ信号e4の制御のタイミングを示す。スイッチ信号e1〜スイッチ信号e4は、時刻t26に直流スイッチS1の電子的開閉スイッチが開(切断)となった直後から所定時間τ23の間発生される。ダイオードDrを介してコンデンサCeの両端に発生する回生電圧である負荷電圧VL1の大きさに応じてスイッチ信号e1〜スイッチ信号e4のデユーティファクターが制御されて、他のコンバータに回生電力が伝送される。この双方向コンバータを用いた電力回生技術は周知である。所定時間τ23は、負荷電圧VL1が所定電圧となるまでの時間である。
【0194】
図15(G)には、負荷L2からの回生電力を他のコンバータに伝送するために、コンバータfを動作させるためのスイッチ信号f1とスイッチ信号f2との制御のタイミングを示す。スイッチ信号f1とスイッチ信号f2とは、時刻t30に直流スイッチS2の電子的開閉スイッチが開(切断)となった直後から所定時間τ24の間発生される。ダイオードDrを介してコンデンサCfの両端に発生する回生電圧である負荷電圧VL2の大きさに応じてスイッチ信号f1とスイッチ信号f2とのデユーティファクターが制御されて、他のコンバータに回生電力が伝送される。この双方向コンバータを用いた電力回生技術は周知である。所定時間τ24は、負荷電圧VL1が所定電圧となるまでの時間である。
【0195】
なお、回生電力を他のコンバータに伝送して回生電力を回収しない場合、例えば、回生電力の大きさが小さい場合、あるいは、回生電力を積極的に利用しない場合には、図15(G)に示す、コンバータeを動作させるためのスイッチ信号e1〜スイッチ信号e4の制御、コンバータfを動作させるためのスイッチ信号f1とスイッチ信号f2との制御は必要とはされない。また、上述した実施形態では、負荷が接続されるコンバータの数が2個の場合について説明をしたが、負荷が接続されるコンバータの数が3個以上の場合についても同様にして動作させることができる。
【0196】
信号SD1、信号SD2、信号SA1、信号SA2は、システム制御部Cyと直流スイッチS1および直流スイッチS2との間でやり取りされるが、配線をするのではなく、無線で信号をやり取りするものとしても良い。この場合には、システム制御部Cyと直流スイッチS1および直流スイッチS2との各々に無線インターフェイスが設けられる。また、周知の有線LANを用いて信号のやり取りをするようにしても良い。
【0197】
(第2実施形態の直流電力供給システムの制御方法)
第2実施形態の直流電力供給システムの制御方法では、同一の直流配電系統に接続される複数の負荷で消費される電力の平準化をする。つまり、同一の直流配電系統において同時刻に多くの負荷において過大電力が消費されることを防止するように制御される。
【0198】
第2実施形態の直流電力供給システムにおいては、各負荷が、負荷L31、負荷L31、負荷L31として示すように同一の直流配電系統に、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33を介して相互に接続されている。このような場合には、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jを採用すれば、これらの直流スイッチはダイオードDrを有して形成されるので、負荷L31、負荷L32、負荷L32の各負荷で生じた回生電力を他の負荷に伝送することが可能となる。つまり、図15(G)に示すようにコンバータを制御することなく、回生動作が可能とされる。
【0199】
図16は第2実施形態の直流電力供給システムの制御方法を示す図である。図1と図16を参照して以下説明をする。
【0200】
図16は、負荷L31と負荷L32と負荷L33と(例えば、冷蔵庫、エアーコンディショナー、乾燥機)に注目して3個の負荷に供給される電力の平準化を図る電力供給の方法を示す図である。負荷L31への電力の供給をするかしないかを、制御する直流スイッチである直流スイッチS31の開閉(切断)によって負荷L31の電力供給の制御がなされる。また、負荷L32への電力の供給をするかしないかを、制御する直流スイッチである直流スイッチS32の開閉(切断)によって負荷L32の電力供給の制御がなされる。ここで、直流スイッチS31は負荷L31の本体に設けられ、直流スイッチS32は負荷L32の本体に設けられ、直流スイッチS33は負荷L33の本体に設けられているとして説明をする。ここで、システム制御部Cyは、コンバータgのスイッチg1、スイッチg2、スイッチg3、スイッチg4のすべてを開とするように制御して全波整流回路によって直流電力を出力可能な状態とし、電力を供給する他の1または複数のコンバータを制御して負荷電圧VL3を所定の電圧とする。
【0201】
直流スイッチS31の構成としては、直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c、直流スイッチ20d、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jのいずれをも採用することができる。また、直流スイッチS32の構成としては、直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c、直流スイッチ20d、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jのいずれをも採用することができる。また、直流スイッチS33の構成としては、直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c、直流スイッチ20d、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jのいずれをも採用することができる。
【0202】
図16(A)〜図16(I)の横軸は、時間である。以下、時刻t41から時刻t54までの時系列に沿って直流電力供給システム1の動作を説明する。図16(A)に示すように、時刻t41において、負荷L31の本体の直流スイッチS31に設けられた制御スイッチ17を操作者が操作して負荷L31をオンとする意思表示をした状態を示す。制御スイッチ17から得られるのと同じ信号SD1がシステム制御部Cyに送出される。信号SD1がシステム制御部Cyで受け取られた段階では、システム制御部Cyが、冷蔵庫を動作させたいという操作者の意志を受信しただけであって、直流スイッチS31は直ちに導通して電力の供給を開始することはない。
【0203】
図16(D)に示すように、時刻t42において、システム制御部Cyが、信号SA31を直流スイッチS31に送出して直流スイッチを接続する動作に入る。信号SA31によって直流スイッチS31を切断から導通とするための、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、システム制御部Cyは、直流電力供給システムにおける他の負荷への電力供給状態(この場合には、負荷L32と負荷L33とへの電力供給状態)を判断して、電力平準化を制御基準として、信号SA31を送出する。つまり、負荷L32と負荷L33とへの電力供給がされていないことを確認して、負荷L31へ電力を供給するように信号SA31を送出する。
【0204】
図16(G)に示すように、時刻t43において、システム制御部Cyが、信号SA31を直流スイッチS31に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの導通が図られる。これによって、時刻t43から負荷L31への電力供給が開始される。
【0205】
図16(B)に示すように、時刻t44において、負荷L32の本体の直流スイッチS32に設けられた制御スイッチ17を操作者が操作して負荷L32をオンとする意思表示をした状態を示す。制御スイッチ17から得られるのと同じ信号SD32がシステム制御部Cyに送出される。信号SD32がシステム制御部Cyで受け取られた段階では、システム制御部Cyが、負荷L32を動作させたいという操作者の意志を受信しただけであって、直流スイッチS32は直ちに導通して電力の供給を開始することはない。
【0206】
図16(C)に示すように、時刻t45において、負荷L33の本体の直流スイッチS33に設けられた制御スイッチ17を操作者が操作して負荷L33をオンとする意思表示をした状態を示す。制御スイッチ17から得られるのと同じ信号SD33がシステム制御部Cyに送出される。信号SD33がシステム制御部Cyで受け取られた段階では、システム制御部Cyが、負荷L33を動作させたいという操作者の意志を受信しただけであって、直流スイッチS33は直ちに導通して電力の供給を開始することはない。
【0207】
図16(D)に示すように、時刻t46において、システム制御部Cyが、信号SA31を直流スイッチS31に送出して直流スイッチを切断とする動作に入る。信号SA31によって直流スイッチS31を導通から切断とする、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、システム制御部Cyは、時刻t42から時間T41後に負荷L31への電力の供給を停止するように信号SA31を送出する。ここで、時間T41の長さは、予め、システム制御部Cyの内部のロムに記憶しておきこれを用いるようにしても良い。時間T41を所定長確保する理由は、負荷L31への電力供給の切断を頻繁におこなうのは装置の信頼性維持、装置寿命の長期化の面からも好ましくないからである。
【0208】
図16(G)に示すように、時刻t47において、システム制御部Cyが、信号SA31を直流スイッチS31に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの切断が図られる。これによって、時刻t47から負荷L31への電力供給が停止される。
【0209】
図16(E)に示すように、時刻t46において、システム制御部Cyが、信号SA32を直流スイッチS32に送出して直流スイッチを導通とする動作に入る。信号SA32によって直流スイッチS32を切断から導通とする、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、システム制御部Cyは、自ら、信号SA31を送出しているので直流電力供給システムにおける他の負荷への電力供給(この場合には、負荷L31への電力供給)が、時刻t46(実際には時刻t47であるが、システム制御部Cyは時刻t46を知ることができない。なお、上述したようにして、時刻t46と時刻t47との時間は直流スイッチ内部で設定される)から断たれていることを認識している。そして、時刻t46において直流スイッチS32を導通するための信号SA32を送出する。
【0210】
図16(H)に示すように、時刻t48において、システム制御部Cyが、信号SA32を直流スイッチS32に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS32の電子的開閉スイッチの導通が図られる。これによって、時刻t48から負荷L32への電力供給が開始される。ここで、直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの切断が図られる時刻t47と、直流スイッチS32の電子的開閉スイッチの導通が図られる時刻t48とは同時刻であっても良く、ステップバイステップ処理がされるシステム制御部Cyの処理のステップ遅れの結果として、時刻t48は時刻t47の直後となるものであっても良い。時刻t48が時刻t47と同時または直後である場合には回生ダイオードによって負荷L31で発生する回生電力の有効活用が図られ、時刻t48が時刻t46から時刻t47の範囲でない限り(例えば、同時、直後、時刻t48が時刻t47より所定時間後)電力の平準化が図られる。
【0211】
図16(E)に示すように、時刻t46から時間T42経った時刻t49において、システム制御部Cyが、信号SA32を直流スイッチS32に送出して直流スイッチを切断する動作に入る。信号SA32によって直流スイッチS32を導通から切断とするための、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。
【0212】
図16(H)に示すように、時刻t50において、システム制御部Cyが、信号SA32を直流スイッチS32に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS32の電子的開閉スイッチの切断が図られる。これによって、時刻t50から負荷L32への電力供給が停止される。
【0213】
図16(F)に示すように、時刻t49において、システム制御部Cyが、信号SA33を直流スイッチS33に送出して直流スイッチを導通とする動作に入る。信号SA33によって直流スイッチS33を切断から導通とする、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、システム制御部Cyは、自ら、信号SA32を送出しているので直流電力供給システムにおける他の負荷への電力供給(この場合には、負荷L32への電力供給)が、時刻t49(実際には時刻t50であるが、システム制御部Cyは時刻t49を知ることができない。なお、上述したようにして、時刻t49と時刻t50との時間は直流スイッチ内部で設定される)から断たれていることを認識している。そして、時刻t49において直流スイッチS33を導通するための信号SA33を送出する。
【0214】
図16(I)に示すように、時刻t51において、システム制御部Cyが、信号SA33を直流スイッチS33に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS33の電子的開閉スイッチの導通が図られる。これによって、時刻t51から負荷L33への電力供給が開始される。ここで、直流スイッチS32の電子的開閉スイッチの切断が図られる時刻t50と、直流スイッチS33の電子的開閉スイッチの導通が図られる時刻t51とは同時刻であっても良く、ステップバイステップ処理がされるシステム制御部Cyの処理のステップ遅れの結果として、時刻t51は時刻t50の直後となるものであっても良い。時刻t51が時刻t50と同時または時刻t50の直後である場合には回生ダイオードによって負荷L32で発生する回生電力の有効活用が図られ、時刻t51が時刻t48から時刻t50の範囲でない限り(例えば、同時、直後、時刻t51が時刻t50より所定時間後)電力の平準化が図られる。
【0215】
図16(F)に示すように、時刻t49から時間T43経った時刻t52において、システム制御部Cyが、信号SA33を直流スイッチS33に送出して直流スイッチを切断する動作に入る。信号SA33によって直流スイッチS33を導通から切断とするための、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。
【0216】
図16(I)に示すように、時刻t53において、システム制御部Cyが、信号SA33を直流スイッチS33に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS33の電子的開閉スイッチの切断が図られる。これによって、時刻t50から負荷L33への電力供給が停止される。ここで、直流スイッチS33の電子的開閉スイッチの切断が図られる時刻t53と、直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの導通が図られる時刻(図示せず)とは同時刻であっても良く、ステップバイステップ処理がされるシステム制御部Cyの処理のステップ遅れの結果として、直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの導通が図られる時刻は時刻t53の直後となるものであっても良い。直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの導通が図られる時刻が時刻t53と同時または時刻t53の直後である場合には回生ダイオードによって回生電力の有効活用が図られ、直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの導通が図られる時刻が直流スイッチS33の電子的開閉スイッチの導通が図られている時間の範囲でない限り(例えば、同時、直後、所定時間後)電力の平準化が図られる。
【0217】
以下同様にして、上述した3つの負荷への電力供給のサイクルを繰り返す。ここで、システム制御部Cyは、直流電力供給システムにおける複数の負荷への電力供給状態(この場合には、負荷L1、負荷L2、負荷L3への電力供給状態)を判断して、電力平準化を制御基準として、信号SA31と信号SA32と信号SA33とを送出する。つまり、三者が協調して電力平準化がおこなわれるように、時間T41と時間T42と時間T43とを適切に定める。
【0218】
第2実施形態の制御方法における直流スイッチである、直流スイッチS31と直流スイッチS32と直流スイッチS33とについて説明をする。これらの直流スイッチは、上述した、直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c、直流スイッチ20d、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jのいずれを採用しても良い。
【0219】
ここで、直流スイッチとして、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jを採用する場合には、これらの直流スイッチはダイオードDrを有して形成される。そして、負荷L1、負荷L2、負荷L3は、略、切れ目なく電力供給の順番が切替えられるので、負荷L1、負荷L2、負荷L3で生じた回生電力を電力供給が断たれた負荷から次に電力が供給される負荷に引き渡すことが可能となる。
【0220】
(第3実施形態の直流電力供給システムの制御方法)
第3実施形態の直流電力供給システムの制御方法では、常時、電力を供給することが必要な負荷には常時電力を供給するようにするものである。例えば、負荷L4には電力が供給され続けるようにコンバータとしては、コンバータhで示すような整流回路が採用されている。
【0221】
(その他の直流電力供給システムの制御方法)
直流電力供給システム1は、バッテリーBt(または、電気二重層コンデンサ)を備え、風力発電機Fを備え、太陽光パネルTtを備え、商用電源である電源ACを備えるので、これらの分散電源からの電力を、システム制御部Cyによる制御によって有機的に組み合わせることができる。例えば、風力発電機Fと太陽光パネルTtとから供給される電力供給量が負荷で消費する電力を下回る場合には、バッテリーBt(または、電気二重層コンデンサ)からの電力で不足分をまかない、バッテリーBt(または、電気二重層コンデンサ)の充電量が規定値を下回る場合には、電源ACからの電力で不足分をまかなうことができる。
【0222】
上述した種々の実施形態に開示された個々の技術を組み合わせた、新たな実施形態も実施可能である。また、本発明は上述した実施形態およびこれらを組み合わせた実施形態の範囲に限られるものではない。
【符号の説明】
【0223】
10 電力系統、 12、13 母線、 14、14a、141 スイッチ制御回路、 15、15a、115 電子的開閉スイッチ、 16、16a 機械的開閉スイッチ(並列機械的開閉スイッチ)、 17、117 制御スイッチ、 18 デジタルロジック回路、 20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20j 直流スイッチ、 30 負荷、 50 継電器、 51、54 バイポーラトランジスタ、 53 MOS−FET(モスエフイーテー)、116、161 機械的開閉スイッチ(直列機械的開閉スイッチ)、 A、B 入力端子、 C、D 出力端子、 Cy システム制御部、 Bt バッテリー、 Dfオ ダイード(転流ダイオード)、 Dr ダイオード(回生ダイオード)、 I 信号入力端子、O1、O2 信号出力端子、 R1、R2、R3、R4 抵抗、a、b、c、d、e、f、g、h コンバータ、 a1、a2、a3、a4、a11、a12、a13、a14、b1、b2、b3、b4、c1、c2、c3、c4、d1、d2、d3、d4、e1、e2、e3、e4、f1、f2、g1、g2、g3、g4 スイッチ(スイッチ信号)、 Ca、Cc、Cd、Ce、Cf、Cg、Ch コンデンサ、 Cy システム制御部、 Iac、If、It、Iv 電流、 Jb 充電量、 L1、L2、L3、L31、L32、L33、L4 負荷、 La、Lb、Le、Lg、Lh インダクタ、 Na、Nb、Nc、Nd、Ne、Nf1、Nf2、Ng、Nh、 巻線、 S1、S2、S31、S32、S33、S4、 直流スイッチ、 SA1、SA2、SA31、SA32、SA33、SA4、SD1、SD2、SD31、SD32、SD33、SD4 信号、 t、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8、t9、t10、t21、t22、t23、t24、t25、t26、t27、t28、t29、t30、t31、t32、t41、t42、t43、t44、t45、t46、t47、t48、t49、t50、t51、t52、t53、t54 時刻、T21、T22、T41、T42、T43 時間、 Tr トランス、 Tt 太陽光パネル、 τ1、τ2、τ3、τ4、τ5、τ6、τ21、τ22、τ23、τ24 所定時間、 VL1、VL2、VL3、VL4、 負荷電圧、 Vac、Vf 電圧、 VL1、VL2、VL3、VL4、Vt 負荷電圧、 ZD ゼナーダイオード
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力を負荷に供給するに適した直流電力供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は,同期発電機を用いた交流電力系統(商用電源)から交流電力が一般家庭に供給されている。一方、近年では、太陽光発電、風力発電などによる分散型電源が注目され、一般家庭でも用いられるようになってきている。このような分散電源から得られる直流電力に商用電源から得られる交流電力を組み合わせ、負荷には直流電力を供給するようにした直流電力供給システムを構築する試みが開始されつつある(例えば、特許文献1〜特許文献5を参照)。
【0003】
負荷に関しては、家庭で用いる電力負荷である家庭電器製品、工場で用いられる電力機器は直流化(電力負荷を直流電力で動作するようにすること)が進められている。例えば、モータを備える洗濯機、冷蔵庫、エアーコンディショナー、工場で用いられる電力機器においては直流電力を用いたインバータ制御が多用されている。また、双方向AC/DCコンバータ技術(双方向エーシーディシーコンバータ技術)(例えば、非特許文献1を参照)が提供されている。また、双方向DC/DCコンバータ技術(双方向ディシーディシーコンバータ技術)(例えば、特許文献6〜特許文献8を参照)が提供されている。また、複数のコンバータを同一のトランスに結合して、時分割で各コンバータから出力されるパルスのパルス幅を制御する多入力DC/DCコンバータの技術が提供されている(非特許文献2を参照)。また、直流スイッチの技術(例えば、特許文献9を参照)が提供されている。ここで、直流スイッチの技術に関しては、直流電力供給システムには欠かせない技術となりつつある。すなわち、直流の場合には、交流のように電流が零となる時刻がないため、スイッチの機械的接点を開く際に生じたアークが消滅しない。そして、アークによって機械的接点を開いた後も持続的に電流が流れ続け、従来の交流用のスイッチでは直流電力供給システムにおいては対応できない。直流スイッチはこのような問題に対応するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−215257号公報
【特許文献2】特開2007−215258号公報
【特許文献3】特開平06−284704号公報
【特許文献4】特開平06−6935号公報
【特許文献5】特開2009−44902号公報
【特許文献6】特開2002−165448号公報
【特許文献7】特開2009−177940号公報
【特許文献8】特開2009−55747号公報
【特許文献9】特開2007−213842号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】西村正太郎・丸橋徹・岡田隆夫・村上吉繁「電気機器学」平成10年3月25日発行 オーム社
【非特許文献2】谷内和也 洪存仁 丸山正彦 黒川不二雄 松尾博文「多入力DC−DCコンバータの制御特性について」1994年11月18日 電子情報通信学会技術研究報告 PE94―51〜55 社団法人電子情報通信学会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
直流電力を負荷に供給する直流電力供給システムにおいては、直流スイッチが必要とされるが、直流電力供給システムにおいて直流スイッチを有効活用するための技術についてはほとんど提供されていない。
【0007】
発明が解決しようとする課題は、直流スイッチを有する直流電力供給システムにおける電力を有効活用する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明の第1観点の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータおよび前記直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、前記直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために前記直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、前記電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、前記並列機械的開閉スイッチと前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を具備し、前記直流スイッチを閉とするに際して、前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記電子的開閉スイッチを閉路とした後に、前記並列機械的開閉スイッチを閉路とする。
【0009】
本発明の第2観点の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータおよび前記直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、前記直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするための電子的開閉スイッチと、前記電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、前記直列機械的開閉スイッチと前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、前記電子的開閉スイッチと前記直列機械的開閉スイッチとの直列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードと、を具備し、前記直流スイッチを閉とするに際して、前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、前記電子的開閉スイッチを閉路とし、前記直流スイッチを開とするに際して、前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して前記第1のコンバータに電力を供給可能とし、前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記電子的開閉スイッチを開路とした後に、前記直列機械的開閉スイッチを開路とする。
【0010】
本発明の第3観点の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータを少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータおよび前記直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、前記直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするための電子的開閉スイッチと、前記電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、前記直列機械的開閉スイッチと前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、該直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードと、を具備し、前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、前記直流スイッチを閉とするに際しては、前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、前記電子的開閉スイッチを閉路とし、前記直流スイッチを開とするに際しては、前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記電子的開閉スイッチを開路とした後に、前記直列機械的開閉スイッチを開路とする。
【0011】
本発明の第4観点の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される第1の直流負荷との間に配される第1の直流スイッチと、前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される第1の直流負荷との間に配される第2の直流スイッチと、前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータ、前記第1の直流スイッチおよび前記第2の直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、前記第1の直流スイッチおよび前記第2の直流スイッチの各々は、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために前記直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、前記電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、前記並列機械的開閉スイッチを前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、前記電子的開閉スイッチと前記並列機械的開閉スイッチとの並列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードと、該直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードと、を具備し、前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、前記システム制御部によって制御される前記第1の直流スイッチの前記スイッチ制御回路は、前記並列機械的開閉スイッチを開路とし、前記並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、前記電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、前記電子的開閉スイッチを開路とし、前記第1の直流スイッチの前記電子的開閉スイッチが開路とされた後に、前記システム制御部によって制御される前記第2の直流スイッチの前記スイッチ制御回路は、前記第2の直流スイッチの前記電子的開閉スイッチを閉路とした後に、前記第2の直流スイッチの前記並列機械的開閉スイッチを閉路とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数個の直流スイッチをシステム制御部によって制御して直流電力供給システムにおける電力を有効活用する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の直流電力供給システムを示す図である。
【図2】第1実施例の直流スイッチを示す図である。
【図3】第1実施例の直流スイッチにおける、並列機械的開閉スイッチおよび電子的開閉スイッチの開閉の手順をタイミングチャートで示す図である。
【図4】図2に示す直流スイッチの回路例を示す図である。
【図5】第2実施例の直流スイッチを示す図である。
【図6】第2実施例の直流スイッチにおける、並列機械的開閉スイッチ、電子的開閉スイッチ、直列機械的開閉スイッチの開閉の手順をタイミングチャートで示す図である。
【図7】第3実施例の直流スイッチを示す図である。
【図8】直流スイッチの第1変形例を示す図である。
【図9】直流スイッチの第2変形例を示す図である。
【図10】直流スイッチの第3変形例を示す図である。
【図11】直流スイッチの第4変形例を示す図である。
【図12】直流スイッチの第5変形例を示す図である。
【図13】直流スイッチの第6変形例を示す図である。
【図14】直流スイッチの第7変形例を示す図である。
【図15】第1実施形態の直流電力供給システムの制御方法を示す図である。
【図16】第2実施形態の直流電力供給システムの制御方法を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明を実施するための最良の形態の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、第1のコンバータ、第2のコンバータおよび直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備える。直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を具備する。
【0015】
直流スイッチを閉とするに際して、システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチを閉路とした後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とする。このようにして、システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とするので、1次側として機能する第1のコンバータから2次側として機能する第2のコンバータへ電力の供給が可能となる。そして、第2のコンバータから得られる直流電流の電流路を閉路とするに際しては、電子的開閉スイッチを閉路とした後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするので、アークを発生させることなく電流路を閉路とすることができ、かつ、直流スイッチにおける電力損失を低減させることができる。
【0016】
また、直流スイッチを開とするに際して、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、並列機械的開閉スイッチを開路とし、並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、電子的開閉スイッチを開路として、アークの発生を防止できるとともに電子的開閉スイッチの破壊を防止できる。
【0017】
また、直流スイッチは、電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチを備えるようにしても良い。そして、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、直列機械的開閉スイッチが閉路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い所定時間後に、電子的開閉スイッチを閉路とすることができる。また、電子的開閉スイッチを開路とした後に、直列機械的開閉スイッチを開路とすることができる。さらに、直流スイッチは、電子的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチとの直列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードを備えるようにしても良い。そして、直流スイッチを開とするに際して、システム制御部は、第2のコンバータを1次側として機能するように制御して2次側として機能する第1のコンバータに回生電力を供給することができる。
【0018】
発明を実施するための別の最良の形態の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、第1のコンバータ、第2のコンバータおよび直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備える。直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするための電子的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、直列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、電子的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチとの直列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードと、を具備する。
【0019】
直流スイッチを閉とするに際して、システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、電子的開閉スイッチを閉路とする。また、直流スイッチを開とするに際して、システム制御部は、第2のコンバータを制御して第1のコンバータに電力を供給可能とし、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチを開路とした後に、直列機械的開閉スイッチを開路とする。
【0020】
このようにして、システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とするので、1次側として機能する第1のコンバータから2次側として機能する第2のコンバータへ電力の供給が可能となる。そして、第2のコンバータから得られる直流電流の電流路を閉路とするに際しては、直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、電子的開閉スイッチを閉路とするのでアークを発生させることなく電流路を閉路とすることができる。また、第2のコンバータから得られる直流電流の電流路を開路とするに際しては、電子的開閉スイッチを開路とした後に、直列機械的開閉スイッチを開路とするのでアークを発生させることなく電流路を開路とすることができる。
【0021】
また、回生ダイオードを有するので、システム制御部は、第2のコンバータを制御して、1次側として機能する第2のコンバータから2次側として機能する第1のコンバータに対して、直流スイッチを開とするに際して発生する回生電力を供給可能とできる。
【0022】
発明を実施するための、また別の最良の形態の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータを少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、第1のコンバータ、第2のコンバータおよび直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備える。直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするための電子的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、直列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、該直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードと、を具備する。
【0023】
システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、直流スイッチを閉とするに際しては、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、電子的開閉スイッチを閉路とし、直流スイッチを開とするに際しては、システム制御部によって制御されるスイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチを開路とした後に、直列機械的開閉スイッチを開路とする。
【0024】
このようにして、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、1次側として機能する第1のコンバータから2次側として機能する第2のコンバータへ電力の供給が可能となる。そして、第2のコンバータから得られる直流電流の電流路を閉路とするに際しては、直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、電子的開閉スイッチを閉路とするのでアークを発生させることなく電流路を閉路とすることができる。また、第2のコンバータから得られる直流電流の電流路を開路とするに際しては、電子的開閉スイッチを開路とした後に、直列機械的開閉スイッチを開路とするのでアークを発生させることなく電流路を開路とすることができる。さらに、直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードを有するので、直流電流の電流路を開路とするに際して発生する逆起電圧の発生を防止して直流スイッチを保護することができる。
【0025】
発明を実施するための、さらに別の最良の形態の直流電力供給システムは、電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される第1の直流負荷との間に配される第1の直流スイッチと、第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される第1の直流負荷との間に配される第2の直流スイッチと、第1のコンバータ、第2のコンバータ、第1の直流スイッチおよび第2の直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備える。第1の直流スイッチおよび第2の直流スイッチの各々は、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチを電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、電子的開閉スイッチと並列機械的開閉スイッチとの並列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードと、該直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードと、を具備する。
【0026】
システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、システム制御部によって制御される第1の直流スイッチのスイッチ制御回路は、並列機械的開閉スイッチを開路とし、並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、電子的開閉スイッチを開路とし、第1の直流スイッチの電子的開閉スイッチが開路とされた後に、システム制御部によって制御される第2の直流スイッチのスイッチ制御回路は、第2の直流スイッチの電子的開閉スイッチを閉路とした後に、第2の直流スイッチの並列機械的開閉スイッチを閉路とする。
【0027】
このようにして、システム制御部は、第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とするので、1次側として機能する第1のコンバータから2次側として機能する第2のコンバータへ電力の供給が可能となる。そして、第1の直流スイッチのスイッチ制御回路は、並列機械的開閉スイッチを開路とし、並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、電子的開閉スイッチを開路とするので、第1の直流スイッチにおいてアークを発生させることなく電子的開閉スイッチを破壊することなく電流路を開路とすることができる。
【0028】
また、第1の直流スイッチの電子的開閉スイッチが開路とされた後に、第2の直流スイッチの電子的開閉スイッチを閉路とするので、第1の直流スイッチの回生ダイオードによって第1の直流負荷からの回生電力が第2の直流スイッチの電子的開閉スイッチを介して第2の直流負荷において利用できる。さらに、第1の直流スイッチの転流ダイオードによって第1の直流スイッチの電子的開閉スイッチが開路とされた後の第1の直流負荷で発生する逆起電圧を防止できる。そして、第2の直流スイッチの電子的開閉スイッチを閉路とした後に、第2の直流スイッチの並列機械的開閉スイッチを閉路とするので第2の直流スイッチにおいてアークを発生させることなく電流路を開路とすることができる。
【0029】
[直流電力供給システムの構成の概略]
発明を実施するための実施形態の直流電力供給システムについて、図面を参照して以下に説明をする。図1に示す直流電力供給システム1は、コンバータa、コンバータb、コンバータc、コンバータd、コンバータe、コンバータf、コンバータg、コンバータhを有している。また、これらのコンバータa〜コンバータhの各コンバータの巻線Na〜巻線Nhの各巻線は、トランスTrの同一のコアに巻かれた巻線とされている。また、これらのコンバータを制御するシステム制御部Cyを有している。
【0030】
「コンバータの説明」
まず、コンバータa〜コンバータhの各々の構成の概略について以下に説明をする。コンバータa〜コンバータhがどのように動作するかについては、直流スイッチである直流スイッチS1、直流スイッチS2、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33、直流スイッチS4との関係において、詳細に後述する。
【0031】
コンバータaは、周知の双方向AC/DCコンバータ(双方向エーシーディシーコンバータ)である。コンバータaは、商用周波数の交流電源である電源ACからの電力を直流電力に変換後、さらに巻線Naに高周波電力を供給する方向への電力の流れを制御する。また、巻線Naからの高周波電力を直流電力に変換後、さらに商用周波数の交流電力に変換して電源ACに供給する方向への電力の流れを制御する。制御はコンバータaをシステム制御部Cyからの制御信号によって制御しておこなわれる。ここで、高周波電力とは、商用電源の周波数(50Hz、60Hz)よりも高い周波数の交流電力を言い、交流電力の周波数(高周波)としては1kHz〜100kHz程度である。以下においても高周波、高周波電力の用語は同様な意味で用いられる。
【0032】
コンバータaは、AC/DCコンバータ部を有するとともに、DC/DCコンバータ部を有して構成されている。AC/DCコンバータ部は、スイッチa11、スイッチa12、スイッチa13、スイッチa14、これらのスイッチの各々に並列に接続された4個のダイオードDを有して形成される。ここで、スイッチa11〜スイッチa14は、フルブリッジ接続とされている。スイッチa11とスイッチa14は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチa12とスイッチa13は同時にオンとされ、同時にオフとされる。DC/DCコンバータ部は、フルブリッジ接続とされる、スイッチa1、スイッチa2、スイッチa3、スイッチa4、これらのスイッチの各々に並列に接続された4個のダイオードDを有して1次側が形成され、コンバータa以外の他のコンバータ(コンバータb〜コンバータh)である各コンバータが2次側を形成するようになされている。
【0033】
以下の説明において、1次側、2次側の定義は、双方向AC/DCコンバータ、双方向DC/DCコンバータにおいては、一方向コンバータとは異なり、電力が双方向に伝送されるので、説明をしているコンバータに該当するコンバータを1次側のコンバータと以下では称する。説明をしているコンバータに該当しないコンバータを2次側のコンバータと以下では称する。また、電力を送ることなく電力を受けるだけのコンバータ(整流回路)は、常に2次側のコンバータとして説明をする。
【0034】
コンバータaが、電源ACからの電力を変換して巻線Naに高周波電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyには、電源ACの電圧Vacと電源ACから直流電力供給システム1に流れ込む電流Iacとが入力される。そして、システム制御部Cyは、AC/DCコンバータ部のスイッチa11を制御するスイッチ信号a11(スイッチの符号とそのスイッチを制御するスイッチ信号の符号とは同一とする。他のスイッチに関しても同様にして符号を付する)、スイッチa12を制御するスイッチ信号a12、スイッチa13を制御するスイッチ信号a13、スイッチa14を制御するスイッチ信号a14を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチa11〜スイッチa14を制御して、力率を1に近づけつつ、直流電力供給システム1が必要とする電力を電源AC(商用電源)から供給する。ここで、電源ACから供給される電力は直流電力としてコンデンサCaを介してDC/DCコンバータ部に供給される。力率を1にする(力率を改善する)手法は周知技術である。
【0035】
システム制御部Cyは、コンバータaにおけるDC/DCコンバータ部のスイッチa1を制御するスイッチ信号a1、スイッチa2を制御するスイッチ信号a2、スイッチa3を制御するスイッチ信号a3、スイッチa4を制御するスイッチ信号a4を出力する。ここで、スイッチa1とスイッチa4は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチa2とスイッチa3は同時にオンとされ、同時にオフとされる。そして、システム制御部Cyは、スイッチa1〜スイッチa4を制御して、巻線Naに高周波電力を供給する。ここで、インダクタLaが直列に接続されている巻線Naに供給される高周波電力の量は、パルス信号であるスイッチ信号a1〜スイッチ信号a4のデユーティファクター(時比率)に応じて変化する。
【0036】
コンバータaが、巻線Naからの高周波電力を直流に変換後に商用周波数の交流電力に変換して電源ACに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、DC/DCコンバータ部のスイッチa1を制御するスイッチ信号a1、スイッチa2を制御するスイッチ信号a2、スイッチa3を制御するスイッチ信号a3、スイッチa4を制御するスイッチ信号a4の各々を出力して、スイッチa1〜スイッチa4をオフ(OFF)とする。スイッチa1〜スイッチa4に並列に接続された4個のダイオードはブリッジ整流回路として機能して、コンデンサCaの両端に直流電圧を発生させる。
【0037】
そして、システム制御部Cyは、AC/DCコンバータ部のスイッチa11を制御するスイッチ信号a11、スイッチa12を制御するスイッチ信号a12、スイッチa13を制御するスイッチ信号a13、スイッチa14を制御するスイッチ信号a14を出力して、力率を1に近づけつつ、直流電力供給システム1が余剰とする電力を電源ACに供給する。
【0038】
コンバータbは、周知の双方向DC/DCコンバータ(双方向ディシーディシーコンバータ)である。コンバータbは、スイッチb1、スイッチb2、スイッチb3、スイッチb4、これらのスイッチの各々に並列に接続された4個のダイオードDを有して1次側が形成され他のコンバータが2次側を形成するようになされている。ここで、スイッチb1とスイッチb4は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチb2とスイッチb3は同時にオンとされ、同時にオフとされる。
【0039】
コンバータbは、バッテリーBtからの直流電力を高周波電力に変換して、インダクタLbが直列に接続されている巻線Nbを介して、2次側を形成する他のコンバータに電力を供給する電力の流れと、各コンバータからの高周波電力をトランスTrの巻線Nbを介して得て、その高周波電力を直流電力に変換してバッテリーBtに供給する方向への電力の流れと、を制御するようになされている。
【0040】
バッテリーBtからの直流電力を高周波電力に変換して巻線Nbを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチb1を制御するスイッチ信号b1、スイッチb2を制御するスイッチ信号b2、スイッチb3を制御するスイッチ信号b3、スイッチb4を制御するスイッチ信号b4を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチb1〜スイッチb4を制御して、巻線Nbに高周波電力を供給する。ここで、バッテリーBtから巻線Nbに供給される高周波電力の量は、パルス信号であるスイッチ信号b1〜スイッチ信号b4のデユーティファクターに応じて変化する。
【0041】
ここで、スイッチb1〜スイッチb4を制御するスイッチ信号b1〜スイッチ信号b4について説明をする。スイッチ信号b1とスイッチ信号b4とを同位相でレベルのみが異なる信号として、スイッチb1とスイッチb4とを同時に制御し、スイッチ信号b2とスイッチ信号b3とを同位相でレベルのみが異なる信号として、スイッチb2とスイッチb2を同時に制御する信号とするものである。例えば、スイッチ信号b1〜スイッチ信号b4はパルス幅が制御される信号とし、パルス幅に応じて2次側への伝送電力の量を制御するものであっても良い。このようなパルス幅制御技術は周知技術である。
【0042】
また、スイッチ信号b1とスイッチ信号b4とのデューティファクタを略50%とし、スイッチ信号b2とスイッチ信号b3とのデューティファクタを略50%としても良い。ここで、略50%とは、スイッチb1からスイッチb2への、または、スイッチb3からスイッチb4への縦方向の電流を防止するために周知のデッドタイムを設けるようにして、デューティファクタを50%以下とすることを意味するものである。この場合には、パルス幅(デューティファクタ)を変化させるのではなく、スイッチ信号b1とスイッチ信号b4の組の信号と、スイッチ信号b2とスイッチ信号b3の組の信号との位相差を調整して位相差に応じて2次側への伝送電力の量を制御するものであっても良い。例えば、上述した位相差が0°である場合には、2次側への伝送電力の量は0とされ、上述した位相差が180°(逆相)である場合には、2次側への伝送電力の量は最大とされる。このような位相差制御技術は周知技術である。
【0043】
コンバータbが、巻線Nbからの高周波電力を直流に変換後にバッテリーBtに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチb1を制御するスイッチ信号b1、スイッチb2を制御するスイッチ信号b2、スイッチb3を制御するスイッチ信号b3、スイッチb4を制御するスイッチ信号b4の各々を出力して、スイッチb1〜スイッチb4をオフ(OFF)とする。スイッチb1〜スイッチb4に並列に接続された4個のダイオードはブリッジ整流回路として機能して、バッテリーBtの両端に直流電圧を発生させて、バッテリーBtを充電する。よって、バッテリーBtの充電量Jbに応じた電力を1次側に伝送し、バッテリーBtの充電量Jbが減少したときには、2次側から電力を得て充電することができる。なお、バッテリーBtに替えて電気二重層コンデンサを用いる場合であっても同様な作用効果を得ることができる。
【0044】
コンバータcは、周知のDC/DCコンバータ(ディシーディシーコンバータ)である。コンバータcは、スイッチc1、スイッチc2、スイッチc3、スイッチc4を有して1次側が形成され、他のコンバータが2次側を形成するようになされている。ここで、スイッチc1とスイッチc4は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチc2とスイッチc3は同時にオンとされ、同時にオフとされる。コンバータcは、風力発電機Fからの直流電力をコンデンサCcで平滑後、高周波電力に変換して巻線Ncを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する電力の流れを制御するようになされている。
【0045】
風力発電機Fからの直流電力を高周波電力に変換して巻線Ncを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチc1を制御するスイッチ信号c1、スイッチc2を制御するスイッチ信号c2、スイッチc3を制御するスイッチ信号c3、スイッチc4を制御するスイッチ信号c4を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチc1〜スイッチc4を制御して、巻線Ncに高周波電力を供給する。ここで、巻線Ncに供給される高周波電力の量は、スイッチ信号c1〜スイッチ信号c4のデユーティファクターに応じて変化する。よって、風力発電機Fの発生する電圧Vfを検知して、発電電力の最大量を取り出し、または、発電能力の一部を取り出して、2次側に伝送することができる。
【0046】
システム制御部Cyは、電流Ivの向きが2次側に電力を供給する向きである場合には、スイッチc1〜スイッチc4をパルス信号で制御して2次側に対して電力を供給する。一方、電流Ivの向きが風力発電機Fに電力を供給する向きであるときには、一旦、スイッチc1〜スイッチc4をオフとする。スイッチc1〜スイッチc4の制御に際しては、コンバータbの説明において述べたパルス幅制御技術、位相差制御技術のいずれをも用いることができる。
【0047】
そして、所定時間後(例えば、30秒後)に再びスイッチc1〜スイッチc4をパルス信号で短時間駆動して、電流Ivの方向を検出する。電流Ivの向きが2次側に電力を供給する向きである場合には、スイッチc1〜スイッチc4をパルス信号で制御して2次側に対して電力を供給する。そして、所定時間後(例えば、30秒後)に再びスイッチc1〜スイッチc4をパルス信号で短時間駆動して、電流Ivの方向を検出する。電流Ivの向きが風力発電機Fに電力を供給する向きであるときには、再び、スイッチc1〜スイッチc4をオフとする。このような繰り返しによって、風力発電機Fに電力が逆流することを防止してを風力発電機Fを保護するとともに、電力損失を防ぐことができる。
【0048】
コンバータdは、周知のDC/DCコンバータである。コンバータdは、スイッチd1、スイッチd2、スイッチd3、スイッチd4を有して1次側が形成され、他のコンバータが2次側を形成するようになされている。ここで、スイッチd1とスイッチd4は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチd2とスイッチd3は同時にオンとされ、同時にオフとされる。コンバータdは、太陽光パネルTtからの直流電力を高周波電力に変換して巻線Ndを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する電力の流れを制御するようになされている。
【0049】
太陽光パネルTtからの直流電力を高周波電力に変換して巻線Ndを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチd1を制御するスイッチ信号d1、スイッチd2を制御するスイッチ信号d2、スイッチd3を制御するスイッチ信号d3、スイッチd4を制御するスイッチ信号d4を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチd1〜スイッチd4を制御して、巻線Ndに高周波電力を供給する。ここで、巻線Ndに供給される高周波電力の量は、スイッチ信号d1〜スイッチ信号d4のデユーティファクターに応じて変化する。よって、太陽光パネルTtの発生する電圧Vtを検知して、発電電力の最大量を取り出し、または、発電能力の一部を取り出して、2次側に伝送することができる。
【0050】
スイッチd1〜スイッチd4は、コンバータcにおいて説明したと同様にして、例えば、以下のように制御する。巻線Ndに発生する電圧が太陽光パネルTtに発生する電圧よりも大きい場合には電流Itの向きは太陽光パネルTtに流れ込む向きとなる。また、巻線Ndに発生する電圧が太陽光パネルTtに発生する電圧よりも小さい場合には電流Itの向きは太陽光パネルTtから流れ出す向きとなる。よって、システム制御部Cyは、電流Itの向きが2次側に電力を供給する向きである場合には、スイッチd1〜スイッチd4をパルス信号で制御して2次側に対して電力を供給する。一方、電流Itの向きが太陽光パネルTtに電力を供給する向きであるときには、一旦、スイッチd1〜スイッチd4をオフとする。スイッチd1〜スイッチd4の制御に際しては、コンバータbの説明において述べたパルス幅制御技術、位相差制御技術のいずれをも用いることができる。
【0051】
そして、所定時間後(例えば、30秒後)に再びスイッチd1〜スイッチd4をパルス信号で短時間駆動して、電流Itの方向を検出する。電流Itの向きが2次側に電力を供給する向きである場合には、スイッチd1〜スイッチd4をパルス信号で制御して2次側に対して電力を供給する。そして、所定時間後(例えば、30秒後)に再びスイッチd1〜スイッチd4をパルス信号で短時間駆動して、電流Itの方向を検出する。電流Itの向きが太陽光パネルTtに電力を供給する向きであるときには、再び、スイッチd1〜スイッチd4をオフとする。このような繰り返しによって、太陽光パネルTtに電力が逆流することを防止してを太陽光パネルTtを保護するとともに、電力損失を防ぐことができる。
【0052】
コンバータeは、周知の双方向DC/DCコンバータである。コンバータeは、スイッチe1、スイッチe2、スイッチe3、スイッチe4、これらのスイッチの各々に並列に接続された4個のダイオードDを有して1次側が形成され、他のコンバータが2次側を形成するようになされている。ここで、スイッチe1とスイッチe4は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチe2とスイッチe3は同時にオンとされ、同時にオフとされる。スイッチe1〜スイッチe4の制御に際しては、コンバータbの説明において述べたパルス幅制御技術、位相差制御技術のいずれをも用いることができる。
【0053】
コンバータeは、コンバータe以外の各コンバータからの高周波電力をトランスTrのインダクタLeが直列に接続されている巻線Neを介して得て、その高周波電力を直流電力に変換して負荷L1に供給する方向への電力の流れを制御するようになされている。また、コンバータeは、負荷L1で生じた逆起電力を他のコンバータに供給するように形成されている。ここで、スイッチS1は、直流スイッチであり、その詳細については、後述するが、直流電力のオンオフ(ON/OFF)をおこなうスイッチである。直流スイッチS1がオンとされるときに、負荷L1とコンバータeとが接続される。
【0054】
コンバータeが、巻線Neからの高周波電力を直流に変換後に負荷L1(例えば、冷蔵庫)に電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチe1を制御するスイッチ信号e1、スイッチe2を制御するスイッチ信号e2、スイッチe3を制御するスイッチ信号e3、スイッチe4を制御するスイッチ信号e4の各々を出力して、スイッチe1〜スイッチe4をオフ(OFF)とする。スイッチe1〜スイッチe4に並列に接続された4個のダイオードはブリッジ整流回路として機能して、コンデンサCeの両端に直流電圧である負荷電圧VL1を発生させる。ここで、直流スイッチS1がオン(ON)である場合には直流電力が負荷L1の両端に供給される。そして、負荷L1は所期の動作(例えば、冷蔵庫としての動作)をする。
【0055】
負荷L1からの直流電力を高周波電力に変換して巻線Neを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチe1を制御するスイッチ信号e1、スイッチe2を制御するスイッチ信号e2、スイッチe3を制御するスイッチ信号e3、スイッチe4を制御するスイッチ信号e4を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチe1〜スイッチe4を制御して、巻線Neに高周波電力を供給する。
【0056】
ここで、負荷L1から巻線Neに供給される高周波電力の量は、パルス幅制御を用いる場合にはスイッチ信号e1〜スイッチ信号e4のデユーティファクターに応じて変化する。なお位相差制御を用いる場合には、負荷L1から巻線Neに供給される高周波電力の量は、スイッチ信号e1とスイッチ信号e4の組と、スイッチ信号e2とスイッチ信号e3の組との位相差に応じて変化する。以下においては、パルス幅制御を用いる場合について説明をするが、位相差制御においても同様な制御が可能である。
【0057】
負荷L1が冷蔵庫である場合にはモータを有するので、負荷L1から得られる直流電力は、モータからの回生電力として得られる。この回生電力をどのように戻すかは、上述したように、スイッチ信号e1〜スイッチ信号e4のデユーティファクターに応じて変化し、デユーティファクターがより大きければ単位時間当たりより大きな電力が回生電力として、巻線Neに高周波電力が供給される。ここで、回生電力の1次側への伝送の制御は負荷電圧VL1を監視しながらおこなわれる。信号SD1は負荷L1に接続された直流スイッチS1に対してオンとするトリガー信号が入力されたことを検出する信号であり、信号SA1は負荷L1に接続された直流スイッチS1をオンとするための信号である。これらの信号については後述する。
【0058】
コンバータfは、コンバータeとは異なる別の形式の周知の双方向DC/DCコンバータである。コンバータfは、スイッチf1、スイッチf2、これらのスイッチの各々に並列に接続された2個のダイオードDを有して1次側が形成され、他のコンバータが2次側を形成するようになされている。ここで、スイッチf1とスイッチf2とは同時にオンとなることはなく、一方がオンのときは他方がオフまたは両方ともオフとされる相補的な動作をする。スイッチf1とスイッチf2とインダクタLaの一端とが接続され、インダクタLaの他端はコンデンサCfに接続されている。
【0059】
コンバータfは、コンバータf以外の各コンバータからの高周波電力をトランスTrの巻線Nf1と巻線Nf2とを介して得て、その高周波電力を直流電力に変換して負荷L2に供給する方向への電力の流れを制御するようになされている。ここで、巻線Nf1と巻線Nf2とに付された黒丸は、巻き始めを示すものである。また、コンバータfは、負荷L2で生じた逆起電力を他のコンバータに供給するように形成されている。ここで、直流スイッチS2は、直流スイッチであり、その詳細については、後述するが、直流電力のオンオフ(ON/OFF)をおこなうスイッチである。直流スイッチS2がオンとされるときに、負荷L2とコンバータfとが接続される。
【0060】
コンバータfが、巻線Nf1と巻線Nf2とから得られる高周波電力を直流に変換後に負荷L2に電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチf1を制御するスイッチ信号f1、スイッチf2を制御するスイッチ信号f2の各々を出力して、スイッチf1とスイッチf2とをオフ(OFF)とする。スイッチf1とスイッチf2とに並列に接続された2個のダイオードは全波整流回路として機能して、コンデンサCfの両端に直流電圧である負荷電圧VL2を発生させる。ここで、直流スイッチS2がオン(ON)である場合には直流電力が負荷L2の両端に供給される。そして、負荷L2は所期の動作(例えば、エアーコンディショナーとしての動作)をする。
【0061】
負荷L2からの直流電力を高周波電力に変換して巻線Nf1と巻線Nf2とを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチf1を制御するスイッチ信号f1、スイッチf2を制御するスイッチ信号f2を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチf1とスイッチf2を制御して、巻線Nf1と巻線Nf2とに高周波電力を供給する。ここで、負荷L2から巻線Nf1と巻線Nf2とに供給される高周波電力の量は、スイッチ信号f1とスイッチ信号f2のデユーティファクターに応じて変化する。
【0062】
負荷L2がエアーコンディショナーである場合にはモータを有するので、負荷L2から得られる直流電力は、モータからの回生電力として得られる。この回生電力をどのように戻すかは、上述したように、スイッチ信号f1とスイッチ信号f2のデユーティファクターに応じて変化し、デユーティファクターがより大きければ単位時間当たりより大きな電力が回生電力として、巻線Nf1と巻線Nf2とに高周波電力が供給される。ここで、回生電力の2次側への伝送の制御は負荷電圧VL2を監視しながらおこなわれる。信号SD2は負荷L2に接続された直流スイッチS2に対してオンとするトリガー信号が入力されたことを検出する信号であり、信号SA2は負荷L2に接続された直流スイッチS2をオンとするための信号である。これらの信号については後述する。
【0063】
コンバータgは、周知の双方向DC/DCコンバータである。コンバータgは、スイッチg1、スイッチg2、スイッチg3、スイッチg4、これらのスイッチの各々に並列に接続された4個のダイオードDを有して1次側が形成され、他のコンバータが2次側を形成するようになされている。ここで、スイッチg1とスイッチg4は同時にオンとされ、同時にオフとされる。また、スイッチg2とスイッチg3は同時にオンとされ、同時にオフとされる。
【0064】
コンバータgは、各コンバータからの高周波電力をトランスTrのインダクタLgが直列に接続されている巻線Ngを介して得て、その高周波電力を直流電力に変換して負荷L31、負荷L32、負荷L33に供給する方向への電力の流れを制御するようになされている。また、コンバータgは、負荷L31、負荷L32、負荷L33で生じた逆起電力を、負荷L31、負荷L32、負荷L33の相互間で融通しあう。このときに、システム制御部Cyが、直流スイッチS31を制御する信号である信号SA31、直流スイッチS32を制御する信号である信号SA32、直流スイッチS33を制御する信号である信号SA33を発生させて相互間の電力のやり取りを制御する。また、負荷L31、負荷L32、負荷L33で生じた逆起電力を他のコンバータに供給するように形成されている。ここで、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33は、直流スイッチであり、その詳細については、後述するが、直流電力のオンオフ(ON/OFF)をおこなうスイッチである。直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33の各々がオンとされるときに、負荷L31、負荷L32、負荷L33の各々とコンバータgとが接続される。
【0065】
コンバータgが、巻線Ngからの高周波電力を直流に変換後に、負荷L31に電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。なお、負荷L31、負荷L32についても同様であるので、説明は省略する。システム制御部Cyは、スイッチg1を制御するスイッチ信号g1、スイッチg2を制御するスイッチ信号g2、スイッチg3を制御するスイッチ信号g3、スイッチg4を制御するスイッチ信号g4の各々を出力して、スイッチg1〜スイッチg4をオフ(OFF)とする。スイッチg1〜スイッチg4に並列に接続された4個のダイオードはブリッジ整流回路として機能して、コンデンサCgの両端に直流電圧を発生させる。ここで、直流電力を負荷L31の両端に供給するために、直流スイッチS31がオン(ON)とされる。そして、負荷L31は所期の動作をする。
【0066】
負荷L31からの直流電力を高周波電力に変換して巻線Ngを介して、2次側を形成する、他のコンバータに電力を供給する場合の動作を簡単に説明する。システム制御部Cyは、スイッチg1を制御するスイッチ信号g1、スイッチg2を制御するスイッチ信号g2、スイッチg3を制御するスイッチ信号g3、スイッチg4を制御するスイッチ信号g4を出力する。そして、システム制御部Cyは、スイッチg1〜スイッチg4を制御して、巻線Ngに高周波電力を供給する。ここで、負荷L31から巻線Ngに供給される高周波電力の量は、スイッチ信号g1〜スイッチ信号g4のデユーティファクターに応じて変化する。
【0067】
ここで、負荷L31から巻線Ngに供給される高周波電力の量は、パルス幅制御を用いる場合にはスイッチ信号g1〜スイッチ信号g4のデユーティファクターに応じて変化する。なお位相差制御を用いる場合には、負荷L31から巻線Ngに供給される高周波電力の量は、スイッチ信号g1とスイッチ信号g4の組と、スイッチ信号g2とスイッチ信号g3の組との位相差に応じて変化する。以下においては、パルス幅制御を用いる場合について説明をするが、位相差制御においても同様な制御が可能である。
【0068】
負荷L31が、例えばインダクテイブ負荷である場合には、負荷L31から得られる直流電力は、インダクテイブ負荷からの逆起電力として得られる。この逆起電力をどのように他のコンバータに戻すかは、上述したように、スイッチ信号g1〜スイッチ信号g4のデユーティファクターに応じて変化し、デユーティファクターがより大きければ単位時間当たりより大きな電力が巻線Ngに供給される。ここで、電力の1次側への伝送の制御は負荷電圧VL3を監視しながらおこなわれる。信号SD31は負荷L31に接続された直流スイッチS31に対してオンとするトリガー信号が入力されたことを検出する信号であり、信号SD32は負荷L32に接続された直流スイッチS32に対してオンとするトリガー信号が入力されたことを検出する信号であり、信号SD33は負荷L33に接続された直流スイッチS33に対してオンとするトリガー信号が入力されたことを検出する信号である。
【0069】
信号SA31は負荷L31に接続された直流スイッチS31をオンとするための信号であり、信号SA32は負荷L32に接続された直流スイッチS32をオンとするための信号であり、信号SA33は負荷L33に接続された直流スイッチS33をオンとするための信号である。これらの信号については後述する。
【0070】
コンバータhは、周知のブリッジ整流回路である。コンバータhは、4個のダイオードDを有して形成され、コンバータh以外の各コンバータから電力が供給されるようになされている。コンバータhは、各コンバータからの高周波電力をトランスTrのインダクタLhが直列に接続されている巻線Nhを介して得て、その高周波電力を直流電力に変換して負荷L4に供給する。ここで、直流スイッチS4は、直流スイッチであり、その詳細については、後述するが、直流電力のオンオフ(ON/OFF)をおこなうスイッチである。直流スイッチS4がオンとされるときに、負荷L4とコンバータhとが接続される。
【0071】
「システム制御部の説明」
システム制御部Cyについて説明をする。システム制御部Cyは、いずれも図示しない、中央演算装置(CPU)と、ラム(RAM)と、ロム(ROM)と、ハードデイスク(HDD)と、エーディ変換器(A/D Convertor)と、を主なる構成部として有している。ロムには、直流電力供給システム1を動作させるに必要なプログラムが格納されており、このプログラムが実行されることによって、各種の制御がおこなわれる。ハードディスクには各コンバータの動作履歴が記憶される。
【0072】
エーディ変換器は、複数個備えられている。電源ACの電圧Vac、電源ACからカレントセンサを用いて検出した直流電力供給システム1に流れ込む電流Iac、バッテリーBtの充電量Jb、風力発電機Fから発生する電圧Vf、風力発電機Fから得られる電流If、太陽光パネルTtから発生する電圧Vt、太陽光パネルTtから得られる電流It、コンデンサCeの両端電圧である負荷電圧VL1、コンデンサCfの両端電圧である負荷電圧VL2、コンデンサCgの両端電圧である負荷電圧VL3、コンデンサChの両端電圧である負荷電圧VL4の各種アナログ信号を、エーディ変換器を介して中央演算装置に取り込む。
【0073】
システム制御部Cyは、信号SD1、信号SD2、信号SD31、信号SD32、信号SD33、信号SD4を入力する。信号SD1、信号SD2、信号SD31、信号SD32、信号SD33、信号SD4は、各負荷に接続されている、後述する、直流スイッチをオンとするための直流スイッチに備えられている制御スイッチ17を操作したときに出力される信号である。
【0074】
また、システム制御部Cyは、信号SA1、信号SA2、信号SA31、信号SA32、信号SA33、信号SA4を出力する。システム制御部Cyは、信号SD1、信号SD2、信号SD31、信号SD32、信号SD33、信号SD4の状態を常時把握しており、これらの信号に基づき、制御する負荷がどのようなものであるかに応じて、予定された制御則に則って、直流スイッチである、直流スイッチS1、直流スイッチS2、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33、直流スイッチS4の各々を制御するために、信号SA1、信号SA2、信号SA31、信号SA32、信号SA33、信号SA4の各々を出力する。
【0075】
また、システム制御部Cyは、スイッチ信号a1、スイッチ信号a2、スイッチ信号a3、スイッチ信号a4、スイッチ信号a11、スイッチ信号a12、スイッチ信号a13、スイッチ信号a14、スイッチ信号b1、スイッチ信号b2、スイッチ信号b3、スイッチ信号b4、スイッチ信号c1、スイッチ信号c2、スイッチ信号c3、スイッチ信号c4、スイッチ信号d1、スイッチ信号d2、スイッチ信号d3、スイッチ信号d4、スイッチ信号e1、スイッチ信号e2、スイッチ信号e3、スイッチ信号e4、スイッチ信号f1、スイッチ信号f2、スイッチ信号g1、スイッチ信号g2、スイッチ信号g3、スイッチ信号g4を出力する。
【0076】
システム制御部Cyが、上述した各スイッチ信号を送出して、どのようして各コンバータを制御するかについて簡単に説明をする。システム制御部Cyが各コンバータを一括管理することによって、すべてのコンバータを同期制御する。2つ以上のコンバータから同時にトランスTrに対して電力を供給するに際しては、例えば、背景技術の説明において引用した非特許文献2に記載された公知の手法を用いることができる。すなわち、他のコンバータがトランスに対して電力を供給していない時間に各コンバータは電力を供給して、コンバータの相互間でトランスへの電力供給の時間が重ならない時分割制御をシステム制御部Cyはおこなう。また、電力を受け取る側のコンバータでは、そのコンバータの各スイッチを開として、2巻線を用いた両波整流回路または1巻線を用いたブリッジ方式の全波整流回路を形成して電力を受け取る。なお、コンバータc、コンバータdは整流素子を有しないので他のコンバータから電力を受け取ることはない。また、電力を受け取る側のコンバータの出力電圧(負荷電圧VL1、負荷電圧VL2、負荷電圧VL3)をシステム制御部Cyが検出して、電力を供給する側のコンバータのパルス幅を制御して出力電圧を所定の電圧とすることができる。
【0077】
ここで、システム制御部Cyは、直接に各スイッチ(例えば、スイッチa1)を制御する上述した信号(例えば、スイッチ信号a1)を出しても良いが、これらの信号は数十kHz以上の周波数の信号であるので、これらを直接に出力することなく、スイッチ信号a1、スイッチ信号a2、スイッチ信号a3、スイッチ信号a4を生成するためのアナログ信号を出力して、コンバータaの側でこのアナログ信号からパルス幅信号、または位相差信号を生成するデコーダ(図示せず)を備えるようにしても良い。パルス幅信号に対応したアナログ信号を各コンバータに送出する場合には、すべてのコンバータの動作を同期させるための1本の同期信号線がアナログ信号を伝送するための1本のアナログ信号線に加えて必要とされる。このようにして、スイッチ信号a1、スイッチ信号a2、スイッチ信号a3、スイッチ信号a4を生成することができる。また、スイッチ信号a1〜スイッチ信号a4を生成するためのアナログ信号は、電波としてシステム制御部Cyから送信をして、コンバータaの側で受信した後にスイッチ信号a1、スイッチ信号a2、スイッチ信号a3、スイッチ信号a4を生成するようにしても良いものである。他のスイッチ信号についても同様にして、アナログ信号として配線に印加してデコーダでパルス幅信号を生成し、または、電波を用いてパルス幅信号に対応した信号の送受信をすることができる。このようにして、多量の配線をすることなく直流電力供給システム1を動作させることができる。
【0078】
「直流スイッチの説明」
以下に、上述した、直流スイッチS1、直流スイッチS2、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33、直流スイッチS4として用いるのに好適な直流スイッチの実施例について、図2〜図14を参照して説明する。各図における、信号SD1は負荷に接続された直流スイッチに対してオンまたはオフとするトリガー信号が制御スイッチ(例えば、制御スイッチ17)を介して入力されたことを検出して、システム制御部Cyに対して送出される信号である。また、信号SA1は負荷に接続された直流スイッチをオンまたはオフとするためのシステム制御部Cyから送出される信号である。
【0079】
図1との関係では、信号SD1は、直流スイッチS1からシステム制御部Cyに対して送出され、信号SA1は、システム制御部Cyから直流スイッチS1に対して送出される信号として記載されている。これは、図2、図4、図5、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14に記載された実施例に示す各直流スイッチが、図1に記載された直流スイッチS1として使用可能であることを示すものである。なお、上述した各図に記載の直流スイッチには、後述する電力回生用のダイオードDrを有しないものもあり、この場合には電力回生の作用はないが、図1に記載された直流スイッチS1として用いることができる。
【0080】
また、図2、図4、図5、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14に記載された、信号SD1は、信号SD2、信号SD31、信号SD32、信号SD33、信号SD4を代表するものとして記載されており、信号SA1は、信号SA2、信号SA31、信号SA32、信号SA33、信号SA4を代表するものとして記載されている。すなわち、実施例に示す各直流スイッチは、図1に記載された、直流スイッチS2、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33、直流スイッチS4として用い得るものである。実施例に示す各直流スイッチが図1に記載された、直流スイッチS2として用いられる場合には、図2、図4、図5、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14に記載された、信号SD1は、信号SD2と読み替えられ、信号SA1は、信号SA2と読みかえられる。他の直流スイッチS2、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33、直流スイッチS4についても同様に読み替えられる。
【0081】
第1実施例の直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、この電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を備える。そして、スイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチを閉路とした所定時間後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするものである。
【0082】
第2実施例の直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、この電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、この電子的開閉スイッチとこの並列機械的開閉スイッチとに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチの3つのスイッチの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を備える。そして、スイッチ制御回路は、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際して、直列機械的開閉スイッチを閉路とした所定時間後に、電子的開閉スイッチを閉路とし、最後に並列機械的開閉スイッチを閉路とする。また、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際して、並列機械的開閉スイッチを開路とした所定時間後に、電子的開閉スイッチを開路とし、最後に直列機械的開閉スイッチを開路とするものである。
【0083】
第3実施例の直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、この電子的開閉スイッチに直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチとこの直列に接続される機械的開閉スイッチとで形成される直列接続回路に対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチの3つのスイッチの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を備える。そして、スイッチ制御回路は、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際して、直列機械的開閉スイッチを閉路とした所定時間後に、電子的開閉スイッチを閉路とし、最後に並列機械的開閉スイッチを閉路とする。また、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際して、並列機械的開閉スイッチを開路とした所定時間後に、電子的開閉スイッチを開路とし、最後に直列機械的開閉スイッチを開路とするものである。
【0084】
実施例の変形の形態(以下実施例の変形例と記載する)の直流スイッチは、第1実施例ないし第3実施例の直流スイッチに対して、さらには、電子的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチのみを有する直流スイッチに対して転流ダイオードの付加、または、回生ダイオードの付加をするものである。転流ダイオードの付加は、直流スイッチを切断した直後における逆起電圧の発生を防止することを解決課題とする。回生ダイオードの付加は、負荷であるモータに生じた電力を、直流スイッチを介して電力回生をおこなうことを解決課題とする。
【0085】
上述した直流スイッチは、直接に負荷となる電気装置に組み込まれて、通常のスイッチと同様に、操作者の意思を直接に伝えて直ちに、電気装置を操作するようにしても良い。しかしながら、本実施形態の直流電力供給システムにおいては、直流スイッチを有効活用するために以下のように制御される。制御スイッチ(制御スイッチ17)を操作したときに出力される信号(信号SD1等)をシステム制御部に出力するようにしている。そして、システム制御部が、予め組み込まれたプログラムに基づき自らの判断によって、直流スイッチをオン(導通)とする信号(信号SA1)を直流スイッチに出力した場合にのみ直流スイッチはオンとなるようにされている。また、システム制御部が、予め組み込まれたプログラムに基づき自らの判断によって、直流スイッチをオフ(切断)とする信号(信号SA1)を直流スイッチに出力した場合にのみ直流スイッチはオフとなるようにされている。
【0086】
以下に第1実施例の直流スイッチないし第3実施例の直流スイッチ、さらには、これらの実施例の変形の形態について詳細に説明をするが、第1実施例の直流スイッチでは並列機械的開閉スイッチ、第2実施例の直流スイッチおよび第3実施例の直流スイッチでは並列機械的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチとを直流スイッチの一構成要素とし、実施例の直流スイッチの変形例においても、これらを一構成要素としているのでこれらの機械的開閉スイッチについてまず説明をする。
【0087】
機械的開閉スイッチは、導電体で形成された2つの接点を有し、電流が流れる経路である直流電流路に機械的開閉スイッチは挿入され、機械的開閉スイッチの各々の接点は2つに分断された直流電流路に各々接続されている。2つの接点が相互に接触して閉状態となることによって直流電流路が形成され、2つの接点が離間して開状態となることによって直流電流路が切断されるようになされている。
【0088】
第1実施例の直流スイッチ、および、第2実施例の直流スイッチでは、後述する機械的開閉スイッチ16は、後述する電子的開閉スイッチ15に対して並列接続されるので、機械的開閉スイッチ16は、並列機械的開閉スイッチ16とも記載してその機能を明確にする。また、第3実施例の直流スイッチでは機械的開閉スイッチ16は、機械的開閉スイッチ161を介してではあるが電子的開閉スイッチ15に対して並列接続されるので、第3実施例の直流スイッチにおいても並列機械的開閉スイッチ16と記載する。
【0089】
第2実施例の直流スイッチでは、機械的開閉スイッチ161は、並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15の並列接続回路に直列に接続されており、少なくとも電子的開閉スイッチ15に対して直列接続されているので、機械的開閉スイッチ161は、直列機械的開閉スイッチ161とも記載してその機能を明確にする。また、第3実施例の直流スイッチでは、機械的開閉スイッチ161は、電子的開閉スイッチ15に対して直列接続されているので、機械的開閉スイッチ161は、同様に、直列機械的開閉スイッチ161とも記載してその機能を明確にする。
【0090】
ここで、並列機械的開閉スイッチにおける並列とは、直流電流路中に配された電子的開閉スイッチと機械的開閉スイッチとに電流が分流する(一方に分流する電流が0である場合も含む)接続態様を意味するものである。すなわち、電子的開閉スイッチと機械的開閉スイッチとを並列に接続すると、電子的開閉スイッチの抵抗値は、機械的開閉スイッチの抵抗値よりも高いので、直流電流路に流れる電流の多くは機械的開閉スイッチに流れる。また、電子的開閉スイッチが抵抗として機能するのではなく、一定のオン電圧(導通時のスイッチ両端の電圧)を有する素子として機能する場合には、オン電圧が0に近い機械的開閉スイッチにのみ電流は流れる。
【0091】
また、直列機械的開閉スイッチにおける直列とは、直流電流路中に配された電子的開閉スイッチに流れる電流が、機械的開閉スイッチに流れるような接続態様を意味するものである。すなわち、電子的開閉スイッチと機械的開閉スイッチとを直列に接続する場合には、いずれか、一方が切断する(開となる)と、この電子的開閉スイッチと機械的開閉スイッチとが直列接続された部分の直流電流路には電流が流れることはない。安全規格等で機械的開閉スイッチの設置を義務づけている電気機器においては、このような直列接続を用いることによってこの義務に対応できることとなる。
【0092】
(第1実施例の直流スイッチ)
図2は第1実施例の直流スイッチを示す図である。図2に沿って第1実施例の直流スイッチ20aについて説明する。直流スイッチ20aは、負荷30と直流の電力系等(直流電源)10との間に挿入して用いられる。図2では、直流スイッチ20aは、入力端子Aと入力端子Bと出力端子Cと出力端子Dとを有する四端子回路として記載されているが、入力端子Aと出力端子Cとは電気的には同一箇所であり、出力端子Cを設けることなく入力端子Aと入力端子Bと出力端子Dとを有する三端子回路であっても同様の作用効果を生じる。電力系統10は、入力端子A(+側)と入力端子B(−側)とに対して接続されている。負荷30は、四端子回路の出力端子C(+側)と出力端子D(−側)とに対して、また、図示はしないが、入力端子(入出力端子)Aと入力端子Bと出力端子Dとを有する三端子回路である場合には、入力端子(入出力端子)A(+側)と出力端子D(−側)とに対して接続される。
【0093】
直流スイッチ20aは、並列機械的開閉スイッチ16と、電子的開閉スイッチ15と、スイッチ制御回路14と、制御スイッチ17と、を備えている。ここで、制御スイッチ17は一回押すとオン(導通)となり、もう一回押すとオフ(切断)となるスイッチである。そして、この並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15とは並列に接続され、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15の並列接続回路が、電力系統10と負荷30との間の直流電流路に挿入されている。
【0094】
負荷は、電気機器である。電気機器は静止機器(例えば、テレビジョン受像機)のみならず、回転機器(例えば、冷蔵庫のコンプレッサ)であっても良く、回転機器としては、例えば、直流モータ、インバータなどの電力変換器を介して駆動する交流モータが、例として挙げられる。直流スイッチ20aの並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15は、負荷30に対して、直流電流が流れる直流電流路を開路(直流電流路が形成されない状態)または閉路(直流電流路が形成される状態)とするために挿入されている。
【0095】
すなわち、並列接続された並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15は、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15のいずれもが、入力端子Bの側のマイナス側の母線13に挿入され電力系統10と負荷30との間に直列に接続されている。このために、並列機械的開閉スイッチ16または電子的開閉スイッチ15のいずれか一方を閉(導通)とすると直流電流路は導通(閉路)とされ、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15の両方を開(切断)とすると直流電流路は切断(開路)とされる。この開閉の動作によって、負荷30への電力供給を絶ち、または、負荷30に電力系統10からの電力を供給することができる。なお、図2では並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15が、マイナス側の母線13に挿入されているが、入力端子Aの側のプラス側の母線12に挿入しても同様な作用効果を奏する。
【0096】
スイッチ制御回路14は、並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15との両者の相互の開閉時間差を制御する。このとき、制御スイッチ17は開閉を行い、スイッチ制御回路14に対して、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15の開閉の契機となるトリガー信号を与える。制御スイッチ17は、例えば、人間によって操作されるスイッチである。
【0097】
図3は、第1実施例における、信号SA1の指令、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15の開閉の手順をタイミングチャートで示す図である。図3(A)は信号SA1の指令が切断(切断状態)であるか導通(導通状態)であるかを示し、図3(B)は電子的開閉スイッチ15が開である切断(切断状態)と閉である導通(導通状態)を示し、図3(C)は並列機械的開閉スイッチ16が開である切断(切断状態)と閉である導通(導通状態)を示すものである。横軸は時刻tを示すものである。図3を参照して、信号SA1の指令、電子的開閉スイッチ15および並列機械的開閉スイッチ16の開閉の動作を説明する。まず、直流スイッチ20aによって直流電流路を閉路とする場合の手順を説明する。
【0098】
制御スイッチ17の操作者が、制御スイッチ17を切断から導通に変化させ、システム制御部Cyに信号SD1が送出され、信号SD1に応じて信号SA1が送出される。または、直流電力供給システム1の全体を管理するシステム制御部Cyが、信号SA1を送出して切断から導通に変化させる(図3(A)の時刻t1を参照)。スイッチ制御回路14は、信号SA1の指令によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15を切断から導通に変化させる(図3(B)の時刻t1、図3(C)の時刻t2を参照)。すなわち、図3(B)に示すように、信号SA1の指令が導通(閉)となると、電子的開閉スイッチ15は、原理的には動作遅れなく、実際の半導体素子ではごく僅かの動作遅れを有して導通(閉)となる。一方、図3(C)に示すように、信号SA1の指令が導通(閉)となると、並列機械的開閉スイッチ16は予め定めた所定時間τ1の後に導通(閉)となる。ここで、時刻t1と時刻t2の間の所定時間τ1の間は、電子的開閉スイッチ15のみが導通する。そして所定時間τ1の間は電子的開閉スイッチ15において電力損失が発生するので、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度以上(例えば、60℃以上)に上昇しないような短い時間に所定時間τ1は設定されている。
【0099】
所定時間τ1は電子的開閉スイッチ15の動作遅れ以上であれば良い。所定時間τ1の長さを長くすることによって、電子的開閉スイッチ15が十分に導通した後(電子的開閉スイッチ15のオン電圧が十分に低くなった後)に並列機械的開閉スイッチ16を導通させることを確保できる。このように所定時間τ1を設定することによって並列機械的開閉スイッチ16の接点に高電圧が印加されたまま回路を閉とし、その結果として、接点に熱損失が生じるようなことはない。
【0100】
つまり、所定時間τ1の最大許容時間は、電子的開閉スイッチ15の許容温度によって定まり、所定時間τ1の最小許容時間は、電子的開閉スイッチ15の導通速度によって定まる。さらに、所定時間τ1が長くなればなるほど、直流電流路中の電子的開閉スイッチ15に生じる電力損失は大きくなる。以上を勘案して、所定時間τ1は定められる。
【0101】
このようにして、並列機械的開閉スイッチ16が電子的開閉スイッチ15よりも先に導通しないようにしている。仮に、並列機械的開閉スイッチ16が電子的開閉スイッチ15よりも先に導通する場合には、並列機械的開閉スイッチ16の接点にアークが発生して接点の損傷を生じるおそれがある。特に、接点のチャタリングによってアークが発生する可能性は倍加する。ここで、チャタリングとは、並列機械的開閉スイッチ16の接点が切り替わった際に、微細で非常に速い機械的振動によって、接点が接触と非接触とを繰り返し直流電流路に流れる電流を切断・導通させようとする現象であり、例えば、1〜100ms(ミリセカンド)程度持続する現象である。
【0102】
次に、直流スイッチ20aによって直流電流路を開路とする場合の手順を説明する。システム制御部Cyが導通から切断に変化させる信号SA1を送出する(図3(A)の時刻t3を参照)。スイッチ制御回路14は、信号SA1の指令によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16を導通から切断に変化させる(図3(C)の時刻t3を参照)。また、スイッチ制御回路14は、信号SA1の指令によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16を導通から切断に変化させてから所定時間τ2後の時刻t4に電子的開閉スイッチ15を導通から切断に変化させる。ここで、時刻t3と時刻t4との間の所定時間τ2は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上に設定されるとともに、所定時間τ2は、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内に設定する。
【0103】
このような手順で、導通から切断とする場合においては、所定時間τ2は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間よりも長い時間に設定されている。よって、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まった後、並列機械的開閉スイッチ16が完全に開となった時点において、未だ電子的開閉スイッチ15は閉となっている。そのために、所定時間τ2以内の時間において、電子的開閉スイッチ15が、例えば、MOS−FETの場合には、電子的開閉スイッチ15の抵抗値は小さく、電子的開閉スイッチ15の両端に生じる電圧は小さい。よって、所定時間τ2以内の時間において、並列機械的開閉スイッチ16の接点にチャタリングが生じたとしても、並列機械的開閉スイッチ16の接点間におけるアークの発生はない。
【0104】
また、電子的開閉スイッチ15が、例えば、バイポーラトランジスタの場合には、接点の両端には、電子的開閉スイッチ15のオン電圧以上の電圧が生じることはない。よって、並列機械的開閉スイッチ16の接点間におけるアークの発生はない。
【0105】
また、所定時間τ2は、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度(例えば、安全規格で定める温度、半導体の定格で定める温度)に上昇する時間よりも短い時間に設定されるので、電子的開閉スイッチ15は、安全な低い温度を維持し、また、熱破壊することがない。そして、電子的開閉スイッチ15を開とする時点で直流電流路は切断(開)の状態とされる。
【0106】
つまり、所定時間τ2の最大許容時間は、電子的開閉スイッチ15の許容温度によって定まり、所定時間τ2の最小許容時間は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリング持続時間であり、所定時間τ2はチャタリング持続時間以上の時間とされる。さらに、所定時間τ2が長くなればなるほど、直流電流路中の電子的開閉スイッチ15に生じる電力損失は大きくなる。以上を勘案して、所定時間τ2は定められる。
【0107】
要するに第1実施例の直流スイッチでは、並列機械的開閉スイッチ16の導通する時間を前後方向(より前の時刻から(前方向)より後の時刻まで(後方向))に覆うように、電子的開閉スイッチ15の導通する時間を定めるものである。そして、前方向に覆う時間である所定時間τ1と後方向に覆う時間である所定時間τ2とは、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内に設定するとともに、電子的開閉スイッチ15に生じる電力損失が無視できる時間とする。また、所定時間τ2は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上に設定するものである。このようにして、電子的開閉スイッチ15が導通している間は、この直流スイッチは導通とされる。
【0108】
図4は、図2に示す直流スイッチ20aの回路例を示す図である。図4を参照して、直流スイッチ20aのより具体的な構成の一例を説明する。並列機械的開閉スイッチ16の一実施例である並列機械的開閉スイッチ16aは、電気接点を機械的に開閉する継電器(リレー)50と、継電器50を駆動するバイポーラトランジスタ51を有して、バイポーラトランジスタ51を介して、継電器50のコイル巻線に流す電流を制御することができるようになされている。例えば、コイル巻線に電流を流す場合に接点が閉とされ、コイル巻線に電流を流さない場合に接点が開とされる。
【0109】
電子的開閉スイッチ15の一実施例である電子的開閉スイッチ15aは、MOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transisitor:モスエフイーテー)53と、バイポーラトランジスタ54とを主要な構成部品とし形成される。抵抗R1および抵抗R2の接続点とバイポーラトランジスタ54のコレクタとをMOS−FET53のゲートに接続して、MOS−FET53は、直流電流路を開閉するようになされている。ここで、電子的開閉スイッチ15aを開路とする場合には、ゲート電圧を下げて、ドレインとソースとの間を高抵抗とし、電子的開閉スイッチ15aを閉路とする場合には、ゲート電圧を上げて、ドレインとソースとの間を低抵抗とするようになされている。
【0110】
スイッチ制御回路14の一実施例であるスイッチ制御回路14aは、デジタルロジック回路18と周辺回路で構成される。抵抗R4は、デジタルロジック回路18に対して動作電圧を供給するためのものであり、動作電圧は、ゼナーダイオードZDとコンデンサCとで定電圧化が図られている。制御スイッチ17の両端の一方には抵抗R3が接続され、他方には母線13が接続される。制御スイッチ17の切断と導通との変化をトリガー信号として発生させ、トリガー信号は、直接に直流スイッチを制御する場合には、デジタルロジック回路18の信号入力端子Iに入力される。トリガー信号が信号SA1に置き換えられる場合には、信号SA1によって直流スイッチは制御される。デジタルロジック回路18は信号出力端子O1と信号出力端子O2とを具備し、信号出力端子O1からの信号は、バイポーラトランジスタ51のベースに印加され、信号出力端子O2からの信号は、バイポーラトランジスタ54のベースに印加されるようになされている。このようなスイッチ制御回路14の一実施例であるスイッチ制御回路14aによって、図3のタイミングチャートに示す動作を実現できる。なお、信号出力端子O1からの信号のレベルがハイレベルのときに継電器50の接点が閉とされ、信号出力端子O2からの信号のレベルがローレベルのときには、MOS−FET53のドレインとソースとの間を低抵抗とするように、すなわち、電子的開閉スイッチ15aを閉路とするようになされている。
【0111】
上述した回路例において、電子的開閉スイッチとして、MOS−FETを用い、このMOS−FETを駆動する回路部としてバイポーラトランジスタを用いたが、この両者の組み合わせにおいて、MOS−FET、バイポーラトランジスタ、IGBT等の半導体デバイスをいかなるように組み合わせても同様な効果を得ることができる。例えば、電子的開閉スイッチとして、バイポーラトランジスタを用い、このバイポーラトランジスタを駆動する回路部としてMOS−FETを用いることもできるものである。
【0112】
(第2実施例の直流スイッチ)
図5は第2実施例の直流スイッチを示す図である。図5には第2実施例の直流スイッチとしての直流スイッチ20bを示す。第2実施例の直流スイッチ20bは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される並列機械的開閉スイッチ16および直列機械的開閉スイッチ161と、電子的開閉スイッチ15と、スイッチ制御回路141と、を備えている。ここで、直列機械的開閉スイッチ161は、電子的開閉スイッチ15と直列に接続されるので、上述したように直列機械的開閉スイッチと称される。
【0113】
第2実施例の直流スイッチの特徴は、第1実施例における直流電流路の閉路状態における電力損失が小さいという特徴を維持しながら、さらに、直流電流路の電子的開閉スイッチ15に対して直列に直列機械的開閉スイッチ161を挿入して、直流電流路の切断をより確実なものとして、より安全性を向上するものである。
【0114】
第2実施例の直流スイッチ20bにおける並列機械的開閉スイッチ16および直列機械的開閉スイッチ161は、第1実施例の直流スイッチ20aにおける並列機械的開閉スイッチ16と同様の構成を有しており、第2実施例の直流スイッチ20bにおける電子的開閉スイッチ15は、第1実施例の直流スイッチ20aにおける電子的開閉スイッチ15と同様の構成を有している。
【0115】
そして、この並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15とは並列に接続され、この並列接続回路と直列機械的開閉スイッチ161とは直列に接続されている。よって、並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15との並列接続回路とこの並列接続回路に対して直列接続される直列機械的開閉スイッチ161とで形成される直列接続回路が、電力系統10と負荷30との間に直列となるように配置されている。
【0116】
図6は、信号SA1の指令、並列機械的開閉スイッチ16、電子的開閉スイッチ15および直列機械的開閉スイッチ161の開閉の手順をタイミングチャートで示す図である。図6(A)は、信号SA1の指令が切断(切断状態)であるか導通(導通状態)であるかをを示し、図6(B)は、直列機械的開閉スイッチ161の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(C)は、電子的開閉スイッチ15の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(D)は、並列機械的開閉スイッチ16の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示すものである。横軸は時刻tを示すものである。このような制御はスイッチ制御回路141によって行われる。
【0117】
ここで、図6(C)と図6(D)に表された、電子的開閉スイッチ15の切断(切断状態)および導通(導通状態)と並列機械的開閉スイッチ16の切断(切断状態)と導通(導通状態)との相互の関係は、図3(B)と図3(C)に表されたものと同様である。つまり、図6と図3とに示す並列機械的開閉スイッチ16は、図6と図3とに示すに示す電子的開閉スイッチ15に対して同様の時間関係を有して動作する。
【0118】
つまり、電子的開閉スイッチ15が導通となる時刻t6から所定時間τ4の後である時刻t7に並列機械的開閉スイッチ16は導通するが、所定時間τ4(図6を参照)と所定時間τ1(図3を参照)とは同じ基準に基づき定められる。また、並列機械的開閉スイッチ16が切断となる時刻t8から所定時間τ5の後である時刻t9に電子的開閉スイッチ15は切断するが、所定時間τ5(図6を参照)と所定時間τ2(図3を参照)とは同じ基準に基づき定められる。
【0119】
図6を参照して、まず、直流スイッチ20bによって直流電流路を閉路とする場合の手順を説明する。
【0120】
直流スイッチを導通に変化させるための信号SA1が出力される(図6(A)の時刻t5を参照)。スイッチ制御回路141は、信号SA1の指令によって発生するトリガー信号に基づき直列機械的開閉スイッチ161を切断から導通に変化させる(図6(B)の時刻t5を参照)。すなわち、図6(B)に示すように、信号SA1の指令が導通(閉)となると、直列機械的開閉スイッチ161は導通(閉)となる。ここで、直列機械的開閉スイッチ161が導通しても、電子的開閉スイッチ15、並列機械的開閉スイッチ16のいずれもが開であるので、直列機械的開閉スイッチ161に電流が流れることはない。そして、スイッチ制御回路141は、時刻t5から所定時間τ3後に電子的開閉スイッチ15を導通させる。
【0121】
直列機械的開閉スイッチ161と電子的開閉スイッチ15とが導通する時刻t6において直流電流路は閉となり負荷30に電力が供給される。ここで、時刻t5と時刻t6との間の所定時間τ3の長さは、直列機械的開閉スイッチ161の接点のチャタリングが収まる(消滅する)までの時間よりも長くしている。このようにして、直列機械的開閉スイッチ161の接点にアークが生じることを防止している。
【0122】
このような手順で、切断から導通とする場合においては、直列機械的開閉スイッチ161を閉とする時点では、未だ電子的開閉スイッチ15は開となっており、直列機械的開閉スイッチ161の接点に電圧が加わることはないのでチャタリングが生じたとしても、直列機械的開閉スイッチ161の接点にアークが生じることはない。
【0123】
上述したように、電子的開閉スイッチ15と並列機械的開閉スイッチ16との相互の動作の時間関係は、第1実施例におけると同様であるが、以下に説明をする。電子的開閉スイッチ15が導通となる時刻t6から予め定めた所定時間τ4の後の時刻t7に並列機械的開閉スイッチ16は導通(閉)となる。ここで、所定時間τ4は、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度以上に上昇しないような短い時間であることが望ましい。
【0124】
電子的開閉スイッチ15の動作遅れが全く無く、スイッチ制御回路141からの制御信号によって直に導通状態となる場合には、所定時間τ4は、0であっても良いが、所定時間τ4の長さを長くすることによって、電子的開閉スイッチ15が十分に導通した後(電子的開閉スイッチ15のオン電圧が十分に低くなった後)に並列機械的開閉スイッチ16を導通させることを確保できる。仮に、並列機械的開閉スイッチ16が電子的開閉スイッチ15よりも先に導通する場合には、並列機械的開閉スイッチ16の接点のチャタリングによってアークが発生する可能性があり、このような制御は採用できない。
【0125】
次に、直流スイッチ20bによって直流電流路を開路とする場合の手順を説明する。導通から切断に変化させるような信号SA1が出力される(図6(A)の時刻t8を参照)。スイッチ制御回路141は、信号SA1の指令によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16を導通から切断に変化させる(図6(C)の時刻t8を参照)。また、スイッチ制御回路141は、信号SA1の指令によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16を導通から切断に変化させてから所定時間τ5後の時刻t9に電子的開閉スイッチ15を導通から切断に変化させる。ここで、所定時間τ5は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上に設定されるとともに、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内に設定される。さらに、所定時間τ5が長くなればなるほど、直流電流路中の電子的開閉スイッチ15に生じる電力損失は大きくなる。以上を勘案して、所定時間τ5は定められる。
【0126】
そして、電子的開閉スイッチ15を開路とした後である所定時間τ6の後に、直列機械的開閉スイッチ161を開路とする。ここで、所定時間τ6は0であっても良いが、所定時間τ6の長さを長くすることによって、電子的開閉スイッチ15が十分に切断した後に直列機械的開閉スイッチ161を切断させることを確保できる。
【0127】
このような手順で、導通から切断とする場合においては、並列機械的開閉スイッチ16を開とする時点では、未だ電子的開閉スイッチ15は閉となっており、並列機械的開閉スイッチ16の接点にチャタリングが生じたとしても、並列機械的開閉スイッチ16の接点の両端には、電子的開閉スイッチ15のオン電圧以上の電圧が生じることはなく、この接点間におけるアークの発生はない。そして、電子的開閉スイッチ15を開とする時点で直流電流路は切断(開)の状態とされる。
【0128】
そして、最後に、直列機械的開閉スイッチ161を切断(開)とすることによって直流電流路の切断をより確実なものとする。直列機械的開閉スイッチ161の切断は、時刻t9よりも所定時間τ6遅れた時刻t10に行われるようにスイッチ制御回路141が制御をする。電子的開閉スイッチ15の切断(開)が十分の行われた後(電子的開閉スイッチ15が完全にオフ状態となった後)に行うように、所定時間τ6の長さを選択するのが望ましい。つまり、電子的開閉スイッチ15の動作遅れが大きい場合には、所定時間τ6を長くして、直列機械的開閉スイッチ161の接点がダメージを受けないようにする。
【0129】
要するに第2実施例の直流スイッチでは、並列機械的開閉スイッチの導通する時間を前後方向に覆うように、電子的開閉スイッチの導通する時間を定める。また、電子的開閉スイッチの導通する時間を前後方向に覆うように、直列機械的開閉スイッチの導通する時間を定める。ここで、直列機械的開閉スイッチの接点のチャタリングが収まる時間、電子的開閉スイッチの導通する時間を前方向に覆うにしている。このようにして、電子的開閉スイッチ15が導通している間は、この直流スイッチは導通とされる。
【0130】
(第3実施例の直流スイッチ)
図7は、第3実施例の直流スイッチを示す図である。図7に第3実施例の直流スイッチとしての直流スイッチ20cを示す。第2実施例の直流スイッチ20cは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される並列機械的開閉スイッチ16および直列機械的開閉スイッチ161と、電子的開閉スイッチ15と、スイッチ制御回路141と、を備えている。第3実施例の直流スイッチの特徴は、第1実施例における直流電流路の導通状態における電力損失が小さいという特徴を維持しながら、さらに、直流電流路に直列に直列機械的開閉スイッチ161を挿入して、直流電流路の切断をより確実なものとして、より安全性を向上するものである。
【0131】
第3実施例の直流スイッチ20cにおける並列機械的開閉スイッチ16および直列機械的開閉スイッチ161は、第1実施例の直流スイッチ20aにおける並列機械的開閉スイッチ16と同様の構成を有しており、第3実施例の直流スイッチ20cにおける電子的開閉スイッチ15は、第1実施例の直流スイッチ20aにおける電子的開閉スイッチ15と同様の構成を有している。
【0132】
そして、この直列機械的開閉スイッチ161と電子的開閉スイッチ15とは直列に接続され、この直列接続回路と並列機械的開閉スイッチ16とは並列に接続されている。よって、直列機械的開閉スイッチ161と電子的開閉スイッチ15との直列接続回路とこの直列接続回路に対して並列接続される並列機械的開閉スイッチ16とで形成される並列接続回路が、電力系統10と負荷30との間に直列となるように配置されている。
【0133】
母線13に挿入されている機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチの接続態様に着目して、図5に示す第2実施例の直流スイッチと図7に示す第3実施例の直流スイッチとを対比する。図5に示す第2実施例の直流スイッチと図7に示す第3実施例の直流スイッチのいずれにおいても直列機械的開閉スイッチ161と電子的開閉スイッチ15とは直列に接続されている。また、図5に示す第2実施例の直流スイッチでは、並列機械的開閉スイッチ16は、電子的開閉スイッチ15と並列に接続されており、図7に示す第3実施例の直流スイッチでは、並列機械的開閉スイッチ16は、直列機械的開閉スイッチ161を介して、電子的開閉スイッチ15と並列に接続されている。
【0134】
第2実施例の直流スイッチ20bと第3実施例の直流スイッチ20cのこのような接続態様の共通性から、第3実施例における、信号SA1の指令、並列機械的開閉スイッチ16、電子的開閉スイッチ15および直列機械的開閉スイッチ161の開閉の手順を示すタイミングチャートは図6と同様なものとなるので、再び図6を参照して説明をする。
【0135】
図6(A)は、信号SA1の指令が切断(切断状態)であるか導通(導通状態)であるかを示し、図6(B)は、直列機械的開閉スイッチ161の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(C)は、電子的開閉スイッチ15の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(D)は、並列機械的開閉スイッチ16の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示すものである。横軸は時刻tを示すものである。このような制御はスイッチ制御回路141によって行われる。
【0136】
つまり、電子的開閉スイッチ15が導通となる時刻t6から所定時間τ4の後である時刻t7に並列機械的開閉スイッチ16は導通するが、所定時間τ4(図6を参照)と所定時間τ1(図3を参照)とは同じ基準に基づき定められる。また、第1機械的開閉スイッチが切断となる時刻t8から所定時間τ5の後である時刻t9に電子的開閉スイッチ15は切断するが、所定時間τ5(図6を参照)と所定時間τ2(図3を参照)とは同じ基準に基づき定められる。また、所定時間τ3(図6を参照)と所定時間τ6(図6を参照)とは、第2実施例におけると同様の意味内容を有する時間である。
【0137】
第3実施例の直流スイッチ20cの開閉の手順は、第2実施例に示したものと同様であるので説明を省略する。
【0138】
要するに第3実施例の直流スイッチでは、並列機械的開閉スイッチ16の導通する時間を前後方向に覆うように、電子的開閉スイッチ15の導通する時間を定める。また、電子的開閉スイッチ15の導通する時間を前後方向に覆うように、直列機械的開閉スイッチ161の導通する時間を定める。ここで、機械的開閉スイッチ(直列機械的開閉スイッチ)の接点のチャタリングが収まる時間、電子的開閉スイッチの導通する時間を前方向に覆うにしている。
【0139】
上述した、第1実施例の直流スイッチないし第3実施例の直流スイッチのいずれにおいても、直流スイッチは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために、直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を備えており、スイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチを閉路とした所定時間後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするものである。
【0140】
このようにすることによって、並列機械的開閉スイッチを閉路とするに際して、チャタリングによって、並列機械的開閉スイッチの接点にアークを生じさせることがない。また、電子的開閉スイッチを閉路とした所定時間後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするので、この所定時間の間のみ電子的開閉スイッチには電流が流れ、電子的開閉スイッチの温度上昇が防止できる。そして、並列機械的開閉スイッチおよび電子的開閉スイッチの小型化、さらには、電子的開閉スイッチに設けられるヒートシンクの小型化が図られる。
【0141】
また、スイッチ制御回路は、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際しては、並列機械的開閉スイッチを開路とし、並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、電子的開閉スイッチを開路とするものである。
【0142】
また、上述した、第2実施例の直流スイッチおよび第3実施例の直流スイッチのいずれにおいても、直流スイッチは、電子的開閉スイッチと並列機械的開閉スイッチとに加えて、電子的開閉スイッチに直列に接続される直列機械的開閉スイッチを備えており、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際しては、直列機械的開閉スイッチが閉路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い所定時間後に、電子的開閉スイッチを閉路とするものである。
【0143】
また、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際しては、電子的開閉スイッチを開路とした後に、直列機械的開閉スイッチを開路とするものである。
【0144】
このようにすることによって、第2実施例の直流スイッチおよび第3実施例の直流スイッチのいずれにおいても、第1実施例の直流スイッチと同様に、電子的開閉スイッチを閉路とした所定時間後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするので、並列機械的開閉スイッチを閉路とするに際して、チャタリングによって、並列機械的開閉スイッチの接点にアークを生じさせることがない。また、この所定時間の間のみ電子的開閉スイッチには電流が流れ、電子的開閉スイッチの温度上昇が防止できる。そして、並列機械的開閉スイッチおよび電子的開閉スイッチの小型化、さらには、電子的開閉スイッチに設けられるヒートシンクの小型化が図られる。加えて、直列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとが直流電流路に直列に配置されるので、直列機械的開閉スイッチを開とすることによって、直列機械的開閉スイッチの2つの接点は離間され、物理的に直流電流路が切断され直流スイッチとしての安全性がより高まる。さらに、直列機械的開閉スイッチは最後に開とされるので、直列機械的開閉スイッチの接点にアークを生じさせることがない。
【0145】
「実施例の直流スイッチの変形例」
(電力回生回路付直流スイッチ)
第1実施例の直流スイッチないし第3実施例の直流スイッチにおいて、直流スイッチ20aの出力端子Cと出力端子Dから負荷30までの配線が長く配線がインダクタンスを有する場合、直流スイッチ20bの出力端子Cと出力端子Dから負荷30までの配線が長く配線がインダクタンスを有する場合、または、直流スイッチ20cの出力端子Cと出力端子Dから負荷30までの配線が長く配線がインダクタンスを有する場合においては、負荷30の側、母線の側、または、各直流スイッチ(直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c)の側、のいずれかに逆起電圧の発生に対する特別の配慮を払うことが直流スイッチに対して高電圧の印加を防止する観点より解決すべき課題となる。また、負荷30がモータ等のインダクタンス成分を有する負荷である場合には、配線が短くとも同様の配慮をすることが望ましい。さらに、負荷がモータである場合には、生じる起電力をどのようにして有効活用するかが解決すべき課題となる。
【0146】
つまり、各直流スイッチの出力側にインダクタンス負荷(インダクタンス成分を有する負荷)が接続される場合には、上述した各直流スイッチの切断直後において、大きな逆起電圧が、出力端子Cと出力端子Dとの間に印加されることとなる。この逆起電圧によって、各直流スイッチおよび線路上の他の機器が影響を受け、各直流スイッチおよび他の機器が破壊に至る場合もあり得る。
【0147】
このような逆起電圧が発生することを防止するためには、負荷30の内部に転流ダイオードを設けておくことが望ましい。転流ダイオードの作用により大きな逆起電圧の発生を防止することができる。なお、負荷30の内部に転流ダイオードを設けるか否かは、負荷である電気機器の製造者の意思によるので、電気機器の内部に転流ダイオードが設けられない場合もあり得る。この場合には、直流スイッチから負荷に至るまでの線路中、または、直流スイッチの内部に逆起電圧に対する対策を施すこととなる。
【0148】
さらに、負荷がモータ(電動機)である場合には、起電力を電力系統の側に戻す回生ダイオードを設けることが、より望ましい。転流ダイオード自体、回生ダイオード(電力回生ダイオード)自体は、公知技術である。しかしながら、電子的開閉スイッチ、または、機械的開閉スイッチによって電力系統と負荷との間の直流電流路が切断されてしまう直流スイッチにおいて、どのようにして、転流ダイオード、回生ダイオードの技術を利用するかについては、まだ、知られていない。
【0149】
以下における実施例は、上述した直流スイッチに、さらに、転流ダイオード、回生ダイオードを付加する直流スイッチを提供するものである。そして、逆起電圧の発生を防止し、起電力を電力系統の側に戻すという課題を解決するものである。
【0150】
各直流スイッチにおける逆起電圧に対する対策としては、各直流スイッチの内部であって、出力端子Cと出力端子Dとの間に転流ダイオードを予め設けるようにすることができる。
【0151】
図8は、直流スイッチの第1変形例を示す図である。図8示す直流スイッチ20dでは、直流スイッチの内部に転流ダイオードとして機能するダイオードDfを設けた図である。図8に示す直流スイッチ20dの各部については、ダイオードDf以外は図2に示す直流スイッチ20aと同様であるので、説明を省略する。ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように設ければよく、その位置は厳密に特定されるものではない。このように、直流スイッチ20aの内部にダイオードDfを逆バイアスとなるように設けることによって、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後にダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20aが破壊することを防止できる。
【0152】
回生ダイオードについては、直流スイッチ20dでは、電子的開閉スイッチとしてMOS−FET35を用いる場合には、MOS−FET35の逆バイアスとされるボディダイオード(図4を参照)が回生ダイオードの作用を果すことになる。よって、必ずしも、回生ダイオードを付加する必要はない。電子的開閉スイッチとしてバイポーラトランジスタを用いる場合には、ボディダイオードと同位置に回生ダイオードを設けることになる。このようにして、直流スイッチ20dが開となった直後には、通常動作時には逆バイアスとされるボディダイオードに、回生電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0153】
図8では、直流スイッチ20dの出力端子Cと出力端子Dとの両端に、逆バイアスとなるようにダイオードDfを並列に接続したが、この趣旨は、直流スイッチ20dの内部の部品のすべてを保護するためである。図示はしないが、特に、電子的開閉スイッチ15a(図4を参照)を保護することを目的とする場合には、母線13に挿入される電子的開閉スイッチ15aの近傍と他の母線である母線12との間にダイオードDfを逆バイアスとなるように設けることがより効果的である。
【0154】
図9は、直流スイッチの第2変形例を示す図である。図9に示す直流スイッチ20eは、図5に示す直流スイッチ20bに対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、入力端子Bと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
【0155】
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20eが破壊することを防止することができる。また、ダイオードDrに順方向電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0156】
図10は、直流スイッチの第3変形例を示す図である。図10に示す直流スイッチ20fは、図7に示す直流スイッチ20cに対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、入力端子Bと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
【0157】
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20fが破壊することを防止することができる。また、ダイオードDrに順方向電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0158】
図11は、直流スイッチの第4変形例を示す図である。図11に示す直流スイッチ20gは、電子的開閉スイッチ15と直列機械的開閉スイッチ161に対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、入力端子Bと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
【0159】
直流スイッチ20gでは、スイッチ制御回路114は、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際しては、直列機械的開閉スイッチ161が閉路とされた後に、電子的開閉スイッチ15を閉路とし、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際しては、電子的開閉スイッチ15が開路とされた後に、直列機械的開閉スイッチ161を開路とするものである。このようにして直列機械的開閉スイッチ161にアーク放電が生じるのを防止できる。このようにして、電子的開閉スイッチ15が導通している間は、この直流スイッチは導通とされる。
【0160】
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20gが破壊することを防止する。また、ダイオードDrに順方向電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0161】
図12は、直流スイッチの第5変形例を示す図である。図12に示す直流スイッチ20hは、図5に示す直流スイッチ20bに対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、直列機械的開閉スイッチ161に並列に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
【0162】
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20hが破壊することを防止できる。また、ダイオードDrと電子的開閉スイッチ15のボディダイオードとに順方向電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0163】
図13は、直流スイッチの第6変形例を示す図である。図13に示す直流スイッチ20iは、図7に示す直流スイッチ20cに対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、直列機械的開閉スイッチ161に並列に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
【0164】
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20iが破壊することを防止できる。また、ダイオードDrと電子的開閉スイッチ15のボディダイオードとに順方向電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0165】
図14は、直流スイッチの第7変形例を示す図である。図14に示す直流スイッチ20jは、電子的開閉スイッチ15と直列機械的開閉スイッチ161に対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrを接続している。ダイオードDrは、機械的開閉スイッチ(直列機械的開閉スイッチ)116に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
【0166】
直流スイッチ20jでは、スイッチ制御回路114は、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際しては、直列機械的開閉スイッチ161が閉路とされた後に、電子的開閉スイッチ15を閉路とし、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際しては、電子的開閉スイッチ15が開路とされた後に、直列機械的開閉スイッチ161を開路とするものである。このようにして直列機械的開閉スイッチ161にアーク放電が生じるのを防止できる。このようにして、電子的開閉スイッチ15が導通している間は、この直流スイッチは導通とされる。
【0167】
また、上述の構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流スイッチ20jが破壊することを防止できる。また、ダイオードDrと電子的開閉スイッチ15のボディダイオードとに順方向電流を流して負荷30に生じる電力を電力系統に回生することができる。
【0168】
上述した、実施例の変形例では、直流スイッチの出力端の両端に、逆バイアスとなるように接続されるダイオードDf(転流ダイオード)を備える。さらに、電子的開閉スイッチに対して逆バイアスとなるように並列に接続されるダイオードDr(回生ダイオード)、または、電子的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチの直列接続回路に対して逆バイアスとなるように並列に接続されるダイオードDr(回生ダイオード)、もしくは、機械的開閉スイッチに対して逆バイアスとなるように並列に接続されるダイオードDr(回生ダイオード)を備えるようにしている。
【0169】
上述した、実施例の変形例では、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと、回生ダイオードとして機能するダイオードDrとの両方を設けるとして説明をした。しかしながら、負荷がインダクタンス成分(例えば、転流ダイオードの両端から負荷までの配線インダクタンス成分、負荷自体のインダクタンス成分)を有する場合においては、転流ダイオードのみを設ける場合でも、直流スイッチの出力端子間に生じる逆起電圧の発生を防止することができる。また、負荷がモータ(電動機)で起電力を生じる場合においては、回生ダイオードのみを設ける場合でも、回生電力を電力系統に戻すことができる。
【0170】
転流ダイオードと回生ダイオードとの両方を設ける場合には、上述したように、負荷がインダクタンス成分を有する場合、負荷がモータである場合を含み、さらに、広範囲な種類の負荷に対して、直流スイッチの出力端子間に生じる逆起電圧の発生を防止し、または/および、回生電力を電力系統に戻すことができる。
【0171】
例えば、負荷がモータである場合には以下のように転流ダイオードと回生ダイオードの各々が時間差を有して動作をする。直流スイッチを切断した直後に、配線インダクタンス成分およびモータの巻線のインダクタンス成分に起因する逆起電圧が発生しようとするが、転流ダイオードによってこの逆起電圧の発生を防止することができるとともに、転流ダイオードに流れる順方向電流によってモータは回転させられる。その後、転流ダイオードの順方向電流が無くなれば、モータは発電機となり、回生ダイオードに順方向電流が流れて回生電力を電力系統に戻すことができる。
【0172】
(直流スイッチの挿入箇所の変形例)
第1実施例の直流スイッチないし第3実施例の直流スイッチ、および、転流ダイオード、回生ダイオードを有する実施例の直流スイッチの変形例においては、機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチは、いずれも、入力端子Bと出力端子Dとの間に挿入されるものとして説明をした。しかしながら、機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチと回生ダイオードとは、入力端子Aと出力端子Cとの間に挿入するようにしても、所望の効果を生じさせることができる。つまり、母線12と母線13のいずれの側に、直列機械的開閉スイッチまたは/および並列機械的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチと、回生ダイオードと、を挿入しても、同一の効果を得ることができる。
【0173】
「直流電力供給システムの制御方法」
上述した実施例の直流スイッチを用いて、図1に示す直流電力供給システム1をどのように制御するかについて説明をする。なお、直流電力供給システム1においては、上述した直流スイッチの入力端子である入力端子A、入力端子Bは各コンバータに接続される。また、直流スイッチの出力端子である、出力端子C、出力端子Dは負荷に接続される。
【0174】
(第1実施形態の直流電力供給システムの制御方法)
実施形態の直流電力供給システム1において採用される、第1実施形態の直流電力供給システムの制御方法について説明をする。
【0175】
第1実施形態の直流電力供給システムの制御方法では、コンバータで分離された複数の負荷で消費される電力の平準化をする。つまり、同時刻に多くの負荷において過大電力が消費されることを防止するように制御される。
【0176】
図15は第1実施形態の直流電力供給システムの制御方法を示す図である。図1と図15を参照して以下説明をする。
【0177】
図15は、負荷L1(図1を参照)と負荷L2(図1を参照)とに注目して2個の負荷に供給される電力の平準化を図る電力供給の方法を示すものである。ここで、負荷L1は冷蔵庫であり、負荷L2はエアーコンディショナーであるとして説明をする。負荷L1への電力の供給をするかしないかを制御する直流スイッチである直流スイッチS1(図1を参照)の開閉(切断)によって冷蔵庫の電力供給の制御がなされる。また、負荷L2への電力の供給をするかしないかを制御する直流スイッチである直流スイッチS2(図1を参照)の開閉(切断)によってエアーコンディショナーの電力供給の制御がなされる。ここで、直流スイッチS1は冷蔵庫の本体に設けられ、直流スイッチS2はエアーコンディショナーの本体に設けられているとして説明をする。
【0178】
直流スイッチS1の構成としては、図2に示す直流スイッチ20a、図5に示す直流スイッチ20b、図7に示す直流スイッチ20c、図8に示す直流スイッチ20d、図9に示す直流スイッチ20e、図10に示す直流スイッチ20f、図11に示す直流スイッチ20g、図12に示す直流スイッチ20h、図13に示す直流スイッチ20i、図14に示す直流スイッチ20jのいずれをも採用することができる。また、直流スイッチS2の構成としては、図2に示す直流スイッチ20a、図5に示す直流スイッチ20b、図7に示す直流スイッチ20c、図8に示す直流スイッチ20d、図9に示す直流スイッチ20e、図10に示す直流スイッチ20f、図11に示す直流スイッチ20g、図12に示す直流スイッチ20h、図13に示す直流スイッチ20i、図14に示す直流スイッチ20jのいずれをも採用することができる。
【0179】
図15(A)〜図15(E)の横軸は、時間である。以下、時刻t21から時刻t32までの時系列に沿って直流電力供給システム1の動作を説明する。図15(A)に示すように、時刻t21において、冷蔵庫の本体の直流スイッチS1に設けられた制御スイッチ17を操作者が操作して冷蔵庫をオンとする意思表示をした状態を示す。制御スイッチ17から得られるのと同じ信号SD1がシステム制御部Cyに送出される。信号SD1がシステム制御部Cyで受け取られた段階では、システム制御部Cyが、冷蔵庫を動作させたいという操作者の意志を受信しただけであって、直流スイッチS1は、システム制御部Cyの判断を経ることなく直ちに導通して電力の供給を開始することはない。
【0180】
図15(C)に示すように、時刻t22において、システム制御部Cyが、信号SA1を直流スイッチS1に送出して直流スイッチを接続する動作に入る。信号SA1によって直流スイッチS1を切断から導通とするための、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、システム制御部Cyは、直流電力供給システムにおける他の負荷への電力供給状態(この場合には、エアーコンディショナーへの電力供給状態)を判断して、電力平準化を制御基準として、信号SA1を送出する。つまり、エアーコンディショナーへ電力供給がされていないことを確認して、冷蔵庫へ電力を供給するように信号SA1を送出する。
【0181】
図15(E)に示すように、時刻t23において、システム制御部Cyが、信号SA1を直流スイッチS1に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS1の電子的開閉スイッチの導通が図られる。これによって、時刻t23から冷蔵庫への電力供給が開始される。
【0182】
図15(B)に示すように、時刻t24において、エアーコンディショナーの本体の直流スイッチS2に設けられた制御スイッチ17を操作者が操作してエアーコンディショナーをオンとする意思表示をした状態を示す。制御スイッチ17から得られるのと同じ信号SD2がシステム制御部Cyに送出される。信号SD2がシステム制御部Cyで受け取られた段階では、システム制御部Cyが、エアーコンディショナーを動作させたいという操作者の意志を受信しただけであって、直流スイッチS2は直ちに導通して電力の供給を開始することはない。
【0183】
図15(C)に示すように、時刻t25において、システム制御部Cyが、信号SA1を直流スイッチS1に送出して直流スイッチを切断とする動作に入る。信号SA1によって直流スイッチS1を導通から切断とする、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。すなわち、システム制御部Cyは、時刻t22から時間T1後に冷蔵庫への電力の供給を停止するように信号SA1を送出する。ここで、時間T1の長さは、予め、システム制御部Cyの内部のロムに記憶しておきこれを用いるようにしても良い。時間T1を所定長確保する理由は、冷蔵庫への電力供給の切断を頻繁におこなうのは装置の信頼性維持、装置寿命の長期化の面からも好ましくないからである。
【0184】
図15(E)に示すように、時刻t26において、システム制御部Cyが、信号SA1を直流スイッチS1に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS1の電子的開閉スイッチの切断が図られる。これによって、時刻t26から冷蔵庫への電力供給が停止される。ここで、時刻t25と時刻t26の間の時間τ21は、時間τ2および時間τ5(直流スイッチ内部で設定される時間である。図3、図6を参照)よりも長い時間に設定している。負荷L1への電力供給と負荷L2への電力供給とが重ならないようにするためである。また、回生電力を負荷L1と負荷L2との相互間で利用するためには、時間τ2および時間τ5よりも長い時間であって、かつ、なるべく短い時間が望ましい。後述する時間τ23から時間τ21を引いた時間の間、負荷L1から負荷L2に回生電力が送られる。また、後述する時間τ24から後述する時間τ22を引いた時間の間、負荷L2から負荷L1に回生電力が送られる。
【0185】
図15(D)に示すように、時刻t27において、システム制御部Cyが、信号SA2を直流スイッチS2に送出して直流スイッチを導通とする動作に入る。信号SA2によって直流スイッチS2を切断から導通とする、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、システム制御部Cyは、自ら、信号SA1を送出しているので直流電力供給システムにおける他の負荷への電力供給(この場合には、エアーコンディショナーへの電力供給)が、時刻t25(実際に電力供給が断たれるのは時刻t26であるが、システム制御部Cyは時刻t26を知ることができない。なお、上述したようにして、時刻t25と時刻t26との時間(時間τ2、または、時間τ5)は直流スイッチ内部で設定される)から断たれていることを認識している。そして、時刻t25から所定時間τ21後の時刻t27に信号SA2を直流スイッチS2へ送出するようにしている。所定時間τ21は、上述したように、冷蔵庫への電力供給とエアーコンディショナーへの電力供給とが重なることがなく、かつ回生電力を利用できるように設けられた時間であり、システム制御部Cyの内部のロムに記憶しておきこれを用いるようにしても良い。
【0186】
図15(F)に示すように、時刻t28において、システム制御部Cyが、信号SA2を直流スイッチS2に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS2の電子的開閉スイッチの導通が図られる。これによって、時刻t28からエアーコンディショナーへの電力供給が開始される。
【0187】
図15(D)に示すように、時刻t27から時間T2経った時刻t29において、システム制御部Cyが、信号SA2を直流スイッチS2に送出して直流スイッチを切断する動作に入る。信号SA2によって直流スイッチS2を導通から切断とするための、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。
【0188】
図15(F)に示すように、時刻t30において、システム制御部Cyが、信号SA2を直流スイッチS2に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS2の電子的開閉スイッチの切断が図られる。これによって、時刻t30からエアーコンディショナーへの電力供給が停止される。
【0189】
図15(C)に示すように、時刻t29から所定時間τ22後の時刻t31において、システム制御部Cyが、信号SA1を直流スイッチS1に送出して直流スイッチを接続する動作に入る。信号SA1によって直流スイッチS1を切断から導通とするための、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、所定時間である時間τ22は、上述した所定時間τ21と同様に時間τ2および時間τ5よりも長い時間に設定して、かつ、負荷L2から負荷L1に送られる回生電力を有効に利用できるようになるべく短く設定されている。
【0190】
以下同様にして、上述した2つの負荷への電力供給のサイクルを繰り返す。ここで、システム制御部Cyは、直流電力供給システムにおける複数の負荷への電力供給状態(この場合には、エアーコンディショナーへの電力供給状態と冷蔵庫への電力供給状態)を判断して、電力平準化を制御基準として、信号SA1と信号SA2を送出する。つまり、エアーコンディショナーの動作と冷蔵庫の動作が問題をおこすことなく、両者が協調して電力平準化がおこなわれるように、時間T1と時間T2とを適切に定める。
【0191】
第1実施形態の制御方法における直流スイッチである、直流スイッチS1と直流スイッチS2とについて説明をする。直流スイッチS1は、上述した、直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c、直流スイッチ20d、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jのいずれを採用しても良い。直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jを採用する場合には、これらの直流スイッチはダイオードDrを有して形成されるので、負荷L1(冷蔵庫)で生じた回生電力を2次側の他のコンバータに伝送することが可能となる。
【0192】
同様に、直流スイッチS2は、上述した、直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c、直流スイッチ20d、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jのいずれを採用しても良い。直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jを採用する場合には、これらの直流スイッチはダイオードDrを有して形成されるので、負荷L2(エアーコンディショナー)で生じた回生電力を2次側の他のコンバータに伝送することが可能となる。
【0193】
図15(G)には、負荷L1からの回生電力を他のコンバータに伝送するために、コンバータeを動作させるためのスイッチ信号e1〜スイッチ信号e4の制御のタイミングを示す。スイッチ信号e1〜スイッチ信号e4は、時刻t26に直流スイッチS1の電子的開閉スイッチが開(切断)となった直後から所定時間τ23の間発生される。ダイオードDrを介してコンデンサCeの両端に発生する回生電圧である負荷電圧VL1の大きさに応じてスイッチ信号e1〜スイッチ信号e4のデユーティファクターが制御されて、他のコンバータに回生電力が伝送される。この双方向コンバータを用いた電力回生技術は周知である。所定時間τ23は、負荷電圧VL1が所定電圧となるまでの時間である。
【0194】
図15(G)には、負荷L2からの回生電力を他のコンバータに伝送するために、コンバータfを動作させるためのスイッチ信号f1とスイッチ信号f2との制御のタイミングを示す。スイッチ信号f1とスイッチ信号f2とは、時刻t30に直流スイッチS2の電子的開閉スイッチが開(切断)となった直後から所定時間τ24の間発生される。ダイオードDrを介してコンデンサCfの両端に発生する回生電圧である負荷電圧VL2の大きさに応じてスイッチ信号f1とスイッチ信号f2とのデユーティファクターが制御されて、他のコンバータに回生電力が伝送される。この双方向コンバータを用いた電力回生技術は周知である。所定時間τ24は、負荷電圧VL1が所定電圧となるまでの時間である。
【0195】
なお、回生電力を他のコンバータに伝送して回生電力を回収しない場合、例えば、回生電力の大きさが小さい場合、あるいは、回生電力を積極的に利用しない場合には、図15(G)に示す、コンバータeを動作させるためのスイッチ信号e1〜スイッチ信号e4の制御、コンバータfを動作させるためのスイッチ信号f1とスイッチ信号f2との制御は必要とはされない。また、上述した実施形態では、負荷が接続されるコンバータの数が2個の場合について説明をしたが、負荷が接続されるコンバータの数が3個以上の場合についても同様にして動作させることができる。
【0196】
信号SD1、信号SD2、信号SA1、信号SA2は、システム制御部Cyと直流スイッチS1および直流スイッチS2との間でやり取りされるが、配線をするのではなく、無線で信号をやり取りするものとしても良い。この場合には、システム制御部Cyと直流スイッチS1および直流スイッチS2との各々に無線インターフェイスが設けられる。また、周知の有線LANを用いて信号のやり取りをするようにしても良い。
【0197】
(第2実施形態の直流電力供給システムの制御方法)
第2実施形態の直流電力供給システムの制御方法では、同一の直流配電系統に接続される複数の負荷で消費される電力の平準化をする。つまり、同一の直流配電系統において同時刻に多くの負荷において過大電力が消費されることを防止するように制御される。
【0198】
第2実施形態の直流電力供給システムにおいては、各負荷が、負荷L31、負荷L31、負荷L31として示すように同一の直流配電系統に、直流スイッチS31、直流スイッチS32、直流スイッチS33を介して相互に接続されている。このような場合には、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jを採用すれば、これらの直流スイッチはダイオードDrを有して形成されるので、負荷L31、負荷L32、負荷L32の各負荷で生じた回生電力を他の負荷に伝送することが可能となる。つまり、図15(G)に示すようにコンバータを制御することなく、回生動作が可能とされる。
【0199】
図16は第2実施形態の直流電力供給システムの制御方法を示す図である。図1と図16を参照して以下説明をする。
【0200】
図16は、負荷L31と負荷L32と負荷L33と(例えば、冷蔵庫、エアーコンディショナー、乾燥機)に注目して3個の負荷に供給される電力の平準化を図る電力供給の方法を示す図である。負荷L31への電力の供給をするかしないかを、制御する直流スイッチである直流スイッチS31の開閉(切断)によって負荷L31の電力供給の制御がなされる。また、負荷L32への電力の供給をするかしないかを、制御する直流スイッチである直流スイッチS32の開閉(切断)によって負荷L32の電力供給の制御がなされる。ここで、直流スイッチS31は負荷L31の本体に設けられ、直流スイッチS32は負荷L32の本体に設けられ、直流スイッチS33は負荷L33の本体に設けられているとして説明をする。ここで、システム制御部Cyは、コンバータgのスイッチg1、スイッチg2、スイッチg3、スイッチg4のすべてを開とするように制御して全波整流回路によって直流電力を出力可能な状態とし、電力を供給する他の1または複数のコンバータを制御して負荷電圧VL3を所定の電圧とする。
【0201】
直流スイッチS31の構成としては、直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c、直流スイッチ20d、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jのいずれをも採用することができる。また、直流スイッチS32の構成としては、直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c、直流スイッチ20d、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jのいずれをも採用することができる。また、直流スイッチS33の構成としては、直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c、直流スイッチ20d、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jのいずれをも採用することができる。
【0202】
図16(A)〜図16(I)の横軸は、時間である。以下、時刻t41から時刻t54までの時系列に沿って直流電力供給システム1の動作を説明する。図16(A)に示すように、時刻t41において、負荷L31の本体の直流スイッチS31に設けられた制御スイッチ17を操作者が操作して負荷L31をオンとする意思表示をした状態を示す。制御スイッチ17から得られるのと同じ信号SD1がシステム制御部Cyに送出される。信号SD1がシステム制御部Cyで受け取られた段階では、システム制御部Cyが、冷蔵庫を動作させたいという操作者の意志を受信しただけであって、直流スイッチS31は直ちに導通して電力の供給を開始することはない。
【0203】
図16(D)に示すように、時刻t42において、システム制御部Cyが、信号SA31を直流スイッチS31に送出して直流スイッチを接続する動作に入る。信号SA31によって直流スイッチS31を切断から導通とするための、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、システム制御部Cyは、直流電力供給システムにおける他の負荷への電力供給状態(この場合には、負荷L32と負荷L33とへの電力供給状態)を判断して、電力平準化を制御基準として、信号SA31を送出する。つまり、負荷L32と負荷L33とへの電力供給がされていないことを確認して、負荷L31へ電力を供給するように信号SA31を送出する。
【0204】
図16(G)に示すように、時刻t43において、システム制御部Cyが、信号SA31を直流スイッチS31に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの導通が図られる。これによって、時刻t43から負荷L31への電力供給が開始される。
【0205】
図16(B)に示すように、時刻t44において、負荷L32の本体の直流スイッチS32に設けられた制御スイッチ17を操作者が操作して負荷L32をオンとする意思表示をした状態を示す。制御スイッチ17から得られるのと同じ信号SD32がシステム制御部Cyに送出される。信号SD32がシステム制御部Cyで受け取られた段階では、システム制御部Cyが、負荷L32を動作させたいという操作者の意志を受信しただけであって、直流スイッチS32は直ちに導通して電力の供給を開始することはない。
【0206】
図16(C)に示すように、時刻t45において、負荷L33の本体の直流スイッチS33に設けられた制御スイッチ17を操作者が操作して負荷L33をオンとする意思表示をした状態を示す。制御スイッチ17から得られるのと同じ信号SD33がシステム制御部Cyに送出される。信号SD33がシステム制御部Cyで受け取られた段階では、システム制御部Cyが、負荷L33を動作させたいという操作者の意志を受信しただけであって、直流スイッチS33は直ちに導通して電力の供給を開始することはない。
【0207】
図16(D)に示すように、時刻t46において、システム制御部Cyが、信号SA31を直流スイッチS31に送出して直流スイッチを切断とする動作に入る。信号SA31によって直流スイッチS31を導通から切断とする、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、システム制御部Cyは、時刻t42から時間T41後に負荷L31への電力の供給を停止するように信号SA31を送出する。ここで、時間T41の長さは、予め、システム制御部Cyの内部のロムに記憶しておきこれを用いるようにしても良い。時間T41を所定長確保する理由は、負荷L31への電力供給の切断を頻繁におこなうのは装置の信頼性維持、装置寿命の長期化の面からも好ましくないからである。
【0208】
図16(G)に示すように、時刻t47において、システム制御部Cyが、信号SA31を直流スイッチS31に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの切断が図られる。これによって、時刻t47から負荷L31への電力供給が停止される。
【0209】
図16(E)に示すように、時刻t46において、システム制御部Cyが、信号SA32を直流スイッチS32に送出して直流スイッチを導通とする動作に入る。信号SA32によって直流スイッチS32を切断から導通とする、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、システム制御部Cyは、自ら、信号SA31を送出しているので直流電力供給システムにおける他の負荷への電力供給(この場合には、負荷L31への電力供給)が、時刻t46(実際には時刻t47であるが、システム制御部Cyは時刻t46を知ることができない。なお、上述したようにして、時刻t46と時刻t47との時間は直流スイッチ内部で設定される)から断たれていることを認識している。そして、時刻t46において直流スイッチS32を導通するための信号SA32を送出する。
【0210】
図16(H)に示すように、時刻t48において、システム制御部Cyが、信号SA32を直流スイッチS32に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS32の電子的開閉スイッチの導通が図られる。これによって、時刻t48から負荷L32への電力供給が開始される。ここで、直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの切断が図られる時刻t47と、直流スイッチS32の電子的開閉スイッチの導通が図られる時刻t48とは同時刻であっても良く、ステップバイステップ処理がされるシステム制御部Cyの処理のステップ遅れの結果として、時刻t48は時刻t47の直後となるものであっても良い。時刻t48が時刻t47と同時または直後である場合には回生ダイオードによって負荷L31で発生する回生電力の有効活用が図られ、時刻t48が時刻t46から時刻t47の範囲でない限り(例えば、同時、直後、時刻t48が時刻t47より所定時間後)電力の平準化が図られる。
【0211】
図16(E)に示すように、時刻t46から時間T42経った時刻t49において、システム制御部Cyが、信号SA32を直流スイッチS32に送出して直流スイッチを切断する動作に入る。信号SA32によって直流スイッチS32を導通から切断とするための、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。
【0212】
図16(H)に示すように、時刻t50において、システム制御部Cyが、信号SA32を直流スイッチS32に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS32の電子的開閉スイッチの切断が図られる。これによって、時刻t50から負荷L32への電力供給が停止される。
【0213】
図16(F)に示すように、時刻t49において、システム制御部Cyが、信号SA33を直流スイッチS33に送出して直流スイッチを導通とする動作に入る。信号SA33によって直流スイッチS33を切断から導通とする、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。ここで、システム制御部Cyは、自ら、信号SA32を送出しているので直流電力供給システムにおける他の負荷への電力供給(この場合には、負荷L32への電力供給)が、時刻t49(実際には時刻t50であるが、システム制御部Cyは時刻t49を知ることができない。なお、上述したようにして、時刻t49と時刻t50との時間は直流スイッチ内部で設定される)から断たれていることを認識している。そして、時刻t49において直流スイッチS33を導通するための信号SA33を送出する。
【0214】
図16(I)に示すように、時刻t51において、システム制御部Cyが、信号SA33を直流スイッチS33に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS33の電子的開閉スイッチの導通が図られる。これによって、時刻t51から負荷L33への電力供給が開始される。ここで、直流スイッチS32の電子的開閉スイッチの切断が図られる時刻t50と、直流スイッチS33の電子的開閉スイッチの導通が図られる時刻t51とは同時刻であっても良く、ステップバイステップ処理がされるシステム制御部Cyの処理のステップ遅れの結果として、時刻t51は時刻t50の直後となるものであっても良い。時刻t51が時刻t50と同時または時刻t50の直後である場合には回生ダイオードによって負荷L32で発生する回生電力の有効活用が図られ、時刻t51が時刻t48から時刻t50の範囲でない限り(例えば、同時、直後、時刻t51が時刻t50より所定時間後)電力の平準化が図られる。
【0215】
図16(F)に示すように、時刻t49から時間T43経った時刻t52において、システム制御部Cyが、信号SA33を直流スイッチS33に送出して直流スイッチを切断する動作に入る。信号SA33によって直流スイッチS33を導通から切断とするための、上述した直流スイッチの一連の操作がおこなわれる。
【0216】
図16(I)に示すように、時刻t53において、システム制御部Cyが、信号SA33を直流スイッチS33に送出した後の上述した一連の手順の結果として直流スイッチS33の電子的開閉スイッチの切断が図られる。これによって、時刻t50から負荷L33への電力供給が停止される。ここで、直流スイッチS33の電子的開閉スイッチの切断が図られる時刻t53と、直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの導通が図られる時刻(図示せず)とは同時刻であっても良く、ステップバイステップ処理がされるシステム制御部Cyの処理のステップ遅れの結果として、直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの導通が図られる時刻は時刻t53の直後となるものであっても良い。直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの導通が図られる時刻が時刻t53と同時または時刻t53の直後である場合には回生ダイオードによって回生電力の有効活用が図られ、直流スイッチS31の電子的開閉スイッチの導通が図られる時刻が直流スイッチS33の電子的開閉スイッチの導通が図られている時間の範囲でない限り(例えば、同時、直後、所定時間後)電力の平準化が図られる。
【0217】
以下同様にして、上述した3つの負荷への電力供給のサイクルを繰り返す。ここで、システム制御部Cyは、直流電力供給システムにおける複数の負荷への電力供給状態(この場合には、負荷L1、負荷L2、負荷L3への電力供給状態)を判断して、電力平準化を制御基準として、信号SA31と信号SA32と信号SA33とを送出する。つまり、三者が協調して電力平準化がおこなわれるように、時間T41と時間T42と時間T43とを適切に定める。
【0218】
第2実施形態の制御方法における直流スイッチである、直流スイッチS31と直流スイッチS32と直流スイッチS33とについて説明をする。これらの直流スイッチは、上述した、直流スイッチ20a、直流スイッチ20b、直流スイッチ20c、直流スイッチ20d、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jのいずれを採用しても良い。
【0219】
ここで、直流スイッチとして、直流スイッチ20e、直流スイッチ20f、直流スイッチ20g、直流スイッチ20h、直流スイッチ20i、直流スイッチ20jを採用する場合には、これらの直流スイッチはダイオードDrを有して形成される。そして、負荷L1、負荷L2、負荷L3は、略、切れ目なく電力供給の順番が切替えられるので、負荷L1、負荷L2、負荷L3で生じた回生電力を電力供給が断たれた負荷から次に電力が供給される負荷に引き渡すことが可能となる。
【0220】
(第3実施形態の直流電力供給システムの制御方法)
第3実施形態の直流電力供給システムの制御方法では、常時、電力を供給することが必要な負荷には常時電力を供給するようにするものである。例えば、負荷L4には電力が供給され続けるようにコンバータとしては、コンバータhで示すような整流回路が採用されている。
【0221】
(その他の直流電力供給システムの制御方法)
直流電力供給システム1は、バッテリーBt(または、電気二重層コンデンサ)を備え、風力発電機Fを備え、太陽光パネルTtを備え、商用電源である電源ACを備えるので、これらの分散電源からの電力を、システム制御部Cyによる制御によって有機的に組み合わせることができる。例えば、風力発電機Fと太陽光パネルTtとから供給される電力供給量が負荷で消費する電力を下回る場合には、バッテリーBt(または、電気二重層コンデンサ)からの電力で不足分をまかない、バッテリーBt(または、電気二重層コンデンサ)の充電量が規定値を下回る場合には、電源ACからの電力で不足分をまかなうことができる。
【0222】
上述した種々の実施形態に開示された個々の技術を組み合わせた、新たな実施形態も実施可能である。また、本発明は上述した実施形態およびこれらを組み合わせた実施形態の範囲に限られるものではない。
【符号の説明】
【0223】
10 電力系統、 12、13 母線、 14、14a、141 スイッチ制御回路、 15、15a、115 電子的開閉スイッチ、 16、16a 機械的開閉スイッチ(並列機械的開閉スイッチ)、 17、117 制御スイッチ、 18 デジタルロジック回路、 20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20j 直流スイッチ、 30 負荷、 50 継電器、 51、54 バイポーラトランジスタ、 53 MOS−FET(モスエフイーテー)、116、161 機械的開閉スイッチ(直列機械的開閉スイッチ)、 A、B 入力端子、 C、D 出力端子、 Cy システム制御部、 Bt バッテリー、 Dfオ ダイード(転流ダイオード)、 Dr ダイオード(回生ダイオード)、 I 信号入力端子、O1、O2 信号出力端子、 R1、R2、R3、R4 抵抗、a、b、c、d、e、f、g、h コンバータ、 a1、a2、a3、a4、a11、a12、a13、a14、b1、b2、b3、b4、c1、c2、c3、c4、d1、d2、d3、d4、e1、e2、e3、e4、f1、f2、g1、g2、g3、g4 スイッチ(スイッチ信号)、 Ca、Cc、Cd、Ce、Cf、Cg、Ch コンデンサ、 Cy システム制御部、 Iac、If、It、Iv 電流、 Jb 充電量、 L1、L2、L3、L31、L32、L33、L4 負荷、 La、Lb、Le、Lg、Lh インダクタ、 Na、Nb、Nc、Nd、Ne、Nf1、Nf2、Ng、Nh、 巻線、 S1、S2、S31、S32、S33、S4、 直流スイッチ、 SA1、SA2、SA31、SA32、SA33、SA4、SD1、SD2、SD31、SD32、SD33、SD4 信号、 t、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8、t9、t10、t21、t22、t23、t24、t25、t26、t27、t28、t29、t30、t31、t32、t41、t42、t43、t44、t45、t46、t47、t48、t49、t50、t51、t52、t53、t54 時刻、T21、T22、T41、T42、T43 時間、 Tr トランス、 Tt 太陽光パネル、 τ1、τ2、τ3、τ4、τ5、τ6、τ21、τ22、τ23、τ24 所定時間、 VL1、VL2、VL3、VL4、 負荷電圧、 Vac、Vf 電圧、 VL1、VL2、VL3、VL4、Vt 負荷電圧、 ZD ゼナーダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、
前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、
前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、
前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータおよび前記直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、
前記直流スイッチは、
直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために前記直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、
前記電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、
前記並列機械的開閉スイッチと前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を具備し、
前記直流スイッチを閉とするに際して、
前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、
前記電子的開閉スイッチを閉路とした後に、前記並列機械的開閉スイッチを閉路とする、
直流電力供給システム。
【請求項2】
前記直流スイッチを開とするに際して、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、
前記並列機械的開閉スイッチを開路とし、
前記並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、前記電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、前記電子的開閉スイッチを開路とする、
請求項1に記載の直流電力供給システム。
【請求項3】
前記直流スイッチは、前記電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチを備え、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、
前記直列機械的開閉スイッチが閉路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い所定時間後に、前記電子的開閉スイッチを閉路とする、
請求項1に記載の直流電力供給システム。
【請求項4】
前記直流スイッチは、前記電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチを備え、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、
前記電子的開閉スイッチを開路とした後に、前記直列機械的開閉スイッチを開路とする、
請求項2に記載の直流電力供給システム。
【請求項5】
前記直流スイッチは、出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードを備える、
請求項2または請求項4に記載の直流電力供給システム。
【請求項6】
前記直流スイッチは、前記電子的開閉スイッチと前記直列機械的開閉スイッチとの直列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードを備え、
前記直流スイッチを開とするに際して、
前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して前記第1のコンバータに電力を供給可能する、
請求項4に記載の直流電力供給システム。
【請求項7】
電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、
前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、
前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、
前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータおよび前記直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、
前記直流スイッチは、
直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするための電子的開閉スイッチと、
前記電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、
前記直列機械的開閉スイッチと前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、
前記電子的開閉スイッチと前記直列機械的開閉スイッチとの直列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードと、を具備し、
前記直流スイッチを閉とするに際して、
前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、前記電子的開閉スイッチを閉路とし、
前記直流スイッチを開とするに際して、
前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して前記第1のコンバータに電力を供給可能とし、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記電子的開閉スイッチを開路とした後に、前記直列機械的開閉スイッチを開路とする、
直流電力供給システム。
【請求項8】
電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、
前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータを少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、
前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、
前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータおよび前記直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、
前記直流スイッチは、
直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするための電子的開閉スイッチと、
前記電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、
前記直列機械的開閉スイッチと前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、
該直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードと、を具備し、
前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、
前記直流スイッチを閉とするに際しては、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、前記電子的開閉スイッチを閉路とし、
前記直流スイッチを開とするに際しては、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記電子的開閉スイッチを開路とした後に、前記直列機械的開閉スイッチを開路とする、
直流電力供給システム。
【請求項9】
電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、
前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、
前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される第1の直流負荷との間に配される第1の直流スイッチと、
前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される第1の直流負荷との間に配される第2の直流スイッチと、
前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータ、前記第1の直流スイッチおよび前記第2の直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、
前記第1の直流スイッチおよび前記第2の直流スイッチの各々は、
直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために前記直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、
前記電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、
前記並列機械的開閉スイッチを前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、
前記電子的開閉スイッチと前記並列機械的開閉スイッチとの並列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードと、
該直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードと、を具備し、
前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、
前記システム制御部によって制御される前記第1の直流スイッチの前記スイッチ制御回路は、前記並列機械的開閉スイッチを開路とし、前記並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、前記電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、前記電子的開閉スイッチを開路とし、
前記第1の直流スイッチの前記電子的開閉スイッチが開路とされた後に、前記システム制御部によって制御される前記第2の直流スイッチの前記スイッチ制御回路は、前記第2の直流スイッチの前記電子的開閉スイッチを閉路とした後に、前記第2の直流スイッチの前記並列機械的開閉スイッチを閉路とする、
直流電力供給システム。
【請求項1】
電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、
前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、
前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、
前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータおよび前記直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、
前記直流スイッチは、
直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために前記直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、
前記電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、
前記並列機械的開閉スイッチと前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を具備し、
前記直流スイッチを閉とするに際して、
前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、
前記電子的開閉スイッチを閉路とした後に、前記並列機械的開閉スイッチを閉路とする、
直流電力供給システム。
【請求項2】
前記直流スイッチを開とするに際して、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、
前記並列機械的開閉スイッチを開路とし、
前記並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、前記電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、前記電子的開閉スイッチを開路とする、
請求項1に記載の直流電力供給システム。
【請求項3】
前記直流スイッチは、前記電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチを備え、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、
前記直列機械的開閉スイッチが閉路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い所定時間後に、前記電子的開閉スイッチを閉路とする、
請求項1に記載の直流電力供給システム。
【請求項4】
前記直流スイッチは、前記電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチを備え、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、
前記電子的開閉スイッチを開路とした後に、前記直列機械的開閉スイッチを開路とする、
請求項2に記載の直流電力供給システム。
【請求項5】
前記直流スイッチは、出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードを備える、
請求項2または請求項4に記載の直流電力供給システム。
【請求項6】
前記直流スイッチは、前記電子的開閉スイッチと前記直列機械的開閉スイッチとの直列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードを備え、
前記直流スイッチを開とするに際して、
前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して前記第1のコンバータに電力を供給可能する、
請求項4に記載の直流電力供給システム。
【請求項7】
電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、
前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、
前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、
前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータおよび前記直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、
前記直流スイッチは、
直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするための電子的開閉スイッチと、
前記電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、
前記直列機械的開閉スイッチと前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、
前記電子的開閉スイッチと前記直列機械的開閉スイッチとの直列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードと、を具備し、
前記直流スイッチを閉とするに際して、
前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、前記電子的開閉スイッチを閉路とし、
前記直流スイッチを開とするに際して、
前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して前記第1のコンバータに電力を供給可能とし、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記電子的開閉スイッチを開路とした後に、前記直列機械的開閉スイッチを開路とする、
直流電力供給システム。
【請求項8】
電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、
前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータを少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、
前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される直流負荷との間に配される直流スイッチと、
前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータおよび前記直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、
前記直流スイッチは、
直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするための電子的開閉スイッチと、
前記電子的開閉スイッチに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、
前記直列機械的開閉スイッチと前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、
該直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードと、を具備し、
前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、
前記直流スイッチを閉とするに際しては、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記直列機械的開閉スイッチを閉路とした後に、前記電子的開閉スイッチを閉路とし、
前記直流スイッチを開とするに際しては、
前記システム制御部によって制御される前記スイッチ制御回路は、前記電子的開閉スイッチを開路とした後に、前記直列機械的開閉スイッチを開路とする、
直流電力供給システム。
【請求項9】
電源からの電力をスイッチングしてトランスの1次巻線に供給する第1のコンバータと、
前記トランスの2次巻線に接続され、該2次巻線に発生する電力をスイッチングして直流に変換する第2のコンバータと、を少なくとも備えてなる直流電力供給システムにおいて、
前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される第1の直流負荷との間に配される第1の直流スイッチと、
前記第2のコンバータと該第2のコンバータからの直流電力が供給される第1の直流負荷との間に配される第2の直流スイッチと、
前記第1のコンバータ、前記第2のコンバータ、前記第1の直流スイッチおよび前記第2の直流スイッチを制御するシステム制御部と、を備え、
前記第1の直流スイッチおよび前記第2の直流スイッチの各々は、
直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために前記直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、
前記電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、
前記並列機械的開閉スイッチを前記電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、
前記電子的開閉スイッチと前記並列機械的開閉スイッチとの並列接続回路に対して、逆バイアスとなるように並列に接続される回生ダイオードと、
該直流スイッチの出力端子の両端に、逆バイアスとなるように接続される転流ダイオードと、を具備し、
前記システム制御部は、前記第2のコンバータを制御して直流電力を出力可能な状態とし、
前記システム制御部によって制御される前記第1の直流スイッチの前記スイッチ制御回路は、前記並列機械的開閉スイッチを開路とし、前記並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、前記電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、前記電子的開閉スイッチを開路とし、
前記第1の直流スイッチの前記電子的開閉スイッチが開路とされた後に、前記システム制御部によって制御される前記第2の直流スイッチの前記スイッチ制御回路は、前記第2の直流スイッチの前記電子的開閉スイッチを閉路とした後に、前記第2の直流スイッチの前記並列機械的開閉スイッチを閉路とする、
直流電力供給システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−120275(P2012−120275A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265911(P2010−265911)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(510086855)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(510086855)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
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