説明

相乗的発芽前および発芽後雑草防除組成物およびその使用方法

相乗的発芽前および発芽後雑草制御のための方法および組成物を開示する。特に、本開示は、少なくとも1つの発芽前除草剤および少なくとも1つの発芽後除草剤を含み、ここに、該発芽前除草剤および該発芽除草剤が雑草の発芽前および発芽後発生を相乗的に阻害する除草剤組成物に関する。該開示は、さらに、イソキサベン、2,4-D、メコプロップ-P、およびジカンバを含む除草剤組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相乗的発芽前および発芽後雑草防除のための方法および組成物を開示する。
【背景技術】
【0002】
除草剤は、一般に、それが適用される時点に基づいて2つの広いカテゴリー:発芽前除草剤および発芽後除草剤に分類することができる。発芽前除草剤は、実生の発芽を妨げることによって作用し、従って、新しい雑草の成長が発生することを妨げるのに有用である。他方、発芽後除草剤は、十分に発生した雑草を根絶するのに有効である。異なる作用メカニズム、およびそれらが作用する雑草の発生段階を考えると、発芽前および発芽後除草剤は相互に対して何らかの効果を有するとは予測されないであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、発芽前および発芽後除草剤のある種の混合物が相互の発芽前および発芽後除草効果を相乗的に増強させ、すなわち、混合物の活性が個々の活性の総和よりも大きいことを見出したのは驚くべきことであった。かくして、予測できない相乗効果が存在し、これは活性の単なる相加ではない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、少なくとも1つの発芽前除草剤および少なくとも1つの発芽後除草剤を含む除草剤組成物に関し、ここに、該発芽前除草剤および該発芽後除草剤は、雑草の発芽前および発芽後の発生を相乗的に阻害する。例示的な組成物は、イソキサベンおよびインダジフラムからなる群から選択される少なくとも1つの有効成分を含む少なくとも1つの発芽前除草剤を含み;ここに、該少なくとも1つの発芽後除草剤は:2,4-D;メコプロップ-P;ジカンバ;2,4-DB;2,4-DB;アミノピラリド;アトラジン;カルフェントラゾン;クロルスルフロン;クロピラリド;ジフルフェニカン;エトキシスルフロン;フロラスルラム;フルロキシピル;イマザキン;ヨードスルフロン;MCPA;メトリブジン;メツルフロンメチル;ペノクススラム;キンクロラック;テンボトリオン;チエンカルバゾンメチル;およびトリクロピルからなる群から選択される少なくとも1つの有効成分を含む。そのような組成物は、さらに:ヘラオオバコを含めたオオバコ;ホワイトクローバー、レッドクローバー、およびシャグマハギを含めたクローバー;コメツブウマゴヤシ;タンポポ;ホトケノザ;アカザ;スベリヒユ;トウダイグサ;タンポポモドキ;カキドウシ;野ニラ;および野生タマネギからなる群から選択される広葉雑草を防除することにおける有効性に従って選択することができる。
【0005】
さらに、イソキサベン;2,4-D;およびメコプロップ-Pを含む除草剤組成物を開示する。これらの組成物は、好ましくは、約0.2〜約25W/W%のイソキサベン;約0.05〜約35W/W%の2,4-D;および約0.05〜約20W/W%のメコプロップ-Pを含む。より好ましくは、これらの組成物は約2〜約3W/W%のイソキサベン;約3〜約5W/W%の2,4-D;および約0.1〜約1W/W%のメコプロップ-Pを含む。最も好ましくは、これらの組成物は約2.4〜約2.9W/W%のイソキサベン;約3.50〜約4.32W/W%の2,4-D;および約0.7〜約1.1W/W%のメコプロップ-Pを含む。これらの組成物は、さらに、ジカンバを含むことができ、好ましくは、約0.01〜約25W/W%、より好ましくは約0.1〜約0.8W/W%、最も好ましくは約0.4〜約0.5W/W%のジカンバを含むことができる。
【0006】
また、少なくとも1つの発芽前除草剤および少なくとも1つの発芽後除草剤を含む組成物を投与することを含む雑草の成長を制御する方法であって、該発芽前除草剤および該発芽後除草剤は雑草の発芽前および発芽後発生を相乗的に阻害する、雑草の成長を制御する方法も開示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、十分なラベル用量における、イソキサベン;2,4-D;メコプロップ-P、およびジカンバを含む組成物の発芽前相乗効果についてのテストのコンパイルから編集されたデータを示す。
【図2】図2は、十分なラベル用量の1/2および1/5における、イソキサベン;2,4-D;メコプロップ-P、およびジカンバを含む組成物の発芽前相乗効果についてのテストのコンパイルから編集されたデータを示す。
【図3】図3は、十分なラベル用量における、イソキサベン;2,4-D;メコプロップ-P、およびジカンバを含む組成物の発芽後相乗効果についてのテストのコンパイルから編集されたデータを示す。
【図4】図4は、十分なラベル用量の1/2および1/5における、イソキサベン;2,4-D;メコプロップ-P、およびジカンバを含む組成物の発芽後相乗効果についてのテストのコンパイルから編集されたデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
伝統的には、発芽前および発芽後除草剤は、異なる時点において別々の製剤にて適用されてきた。発芽前除草剤は、典型的には、既に発芽した雑草に対していずれの効果も有しないので、雑草が出芽および発芽を開始する前に早春または晩夏に適用しなければならない。すなわち、発芽前除草剤は雑草の成長を妨げることにおいて有効である一方で、典型的には、樹立された雑草を殺すことにおいて有効でない。同様に、発芽後除草剤は、典型的には、雑草が現実に発芽するまではいずれの実行にも適用できない。すなわち、発芽後除草剤は樹立された雑草を殺すことにおいて有効である一方で、典型的には、雑草の成長を妨げることにおいて有効でない。
【0009】
これらの発芽前および発芽後除草剤の多くは前から知られていたという事実にも拘わらず、発芽前および発芽後除草剤の双方を含む除草剤組成物はかなり稀である。2009年より前では、唯一の商業的に入手可能な製品は、広葉雑草の発芽を妨げる制限された能力を有する、Scotts Turf Builder Max Plus 2 Weed & FeedおよびCrabgrass Preventerであった。
【0010】
従って、発芽前除草剤および発芽後除草剤を組み合わせる有効な除草剤製剤、ならびにそのような除草剤組成物を用いる方法に対する必要性が存在する。そのような組成物および方法を本明細書中で開示する。
【0011】
さらに、発芽前および発芽後除草剤は、異なるメカニズムを介して、かつ雑草のライフサイクルにおいて異なる時点において作用することを考えると、当業者であれば、発芽前除草剤が発芽後除草剤に対して何らかの効果を有するとは予測せず、その逆も成立する。それにも拘わらず、本明細書中に開示する組成物においては、発芽前除草剤は発芽後除草剤の活性を相乗的に増加させ、その逆も成立することが見出された。従って、雑草の成長を制御するための組成物を開示し、該組成物は少なくとも1つの発芽前除草剤および少なくとも1つの発芽後除草剤を含み、ここに、該発芽前除草剤および該発芽後除草剤は、雑草の発芽前および発芽後発生を相乗的に阻害し、また、その使用方法を開示する。
【0012】
本明細書中で用いるように、「発芽前除草剤」とは、それらが発芽する前に、新しく出芽している実生に作用する除草剤をいう。本明細書中に開示する組成物および方法において有用な発芽前除草剤の例はイソキサベンおよびインダジフラムを含む。
【0013】
イソキサベンは、HRAC Group Lの除草剤のベンズアミド化合物である。イソキサベンは、セルロース合成を阻害し、それにより、細胞壁の形成を阻害し、実生の発芽をブロックすることによって作用する。イソキサベンは、通常に使用される発芽前除草剤の広葉雑草の最も広い範囲を制御し;気温の低い季節(C3)の芝タイプ、例えば、ケンタッキーブルーグラス、フェスクおよびライグラスを含めた、全ての主な芝タイプに対して用いることができ;適用後6カ月まで継続し;外部の景観を害しない。
【0014】
インダジフラムは、アルキルアジンの化学的クラスに属する。インダジフラムは細胞壁生合成を阻害し、成長点細胞成長に作用し、それにより、アニュアルブルーグラス、オヒシバ、ライグラスおよびアカザなどの、排除するのが困難な種を含めた雑草の広い範囲を有効に制御する。インダジフラムは優れた混合パートナーであって、発芽後除草剤と組み合わせて発芽前または後いずれかで用いることができる。インダジフラムの別の利点は、低い適用率である。長く継続する作用および広い活性範囲のため、適用の数を低下させることができる。インダジフラムは、バミューダグラス、シバ、セントオーガスチングラス、およびセンチピードグラスなどの、暖かい季節(C4)の芝タイプで特に有用である。
【0015】
これらの化合物は、限定されるものではないが、以下の広葉雑草:ヘラオオバコを含めたオオバコ;ホワイトクローバー、レッドクローバー、およびシャグマハギを含めたクローバー;コメツブウマゴヤシ;タンポポ;ホトケノザ;アカザ;スベリヒユ;トウダイグサ;タンポポモドキ;カキドウシ;野ニラ;および野生タマネギを含めた、多数の雑草の発芽を妨げるのに有効である。
【0016】
本明細書中で用いるように、「発芽後除草剤」とは、発芽した植物に対してのみ活性な除草剤をいう。本明細書に開示する組成物および方法で有用な発芽前除草剤の例は2,4-D;メコプロップ-P;ジカンバ;2,4-DB;2,4-DP;アミノピラリド;アトラジン;カルフェントラゾン;クロルスルフロン;クロピラリド;ジフルフェニカン;エトキシスルフロン;フロラスラム;フルロキシピル;イマザキン;ヨードスルフロン;MCPA;メトリブジン;メトスルフロンメチル;ペノクススラム;キンクロラック;テンボトリオン;チエンカルバゾンメチル;およびトリクロピルを含む。
【0017】
2,4-Dは、植物成長調節剤のクラスである合成オーキシンである。2,4-Dは、葉を通じて吸収され、植物の成長点に移動する。制御されていない持続できない成長が生じ、茎のカール、葉の萎れ、および最終的には植物の死滅を引き起こす。
【0018】
メコプロップ-Pは、選択的ホルモン-タイプのフェノキシ除草剤である。メコプロップ-Pは、森林地域調製のために観賞植物およびスポーツ芝において、ならびにクローバー、ハコベ、シロザ、ツタ、オオバコその他などの表面匍匐広葉雑草の選択的制御のために排水溝の土手において用いられる。メコプロップ-Pは、小麦、大麦、およびオート麦に対しても用いられる。メコプロップは植物の葉によって吸収され、根に移動する。メコプロップは酵素活性および植物の成長に影響する。メコプロップは比較的ゆっくりと作用し、制御に3〜4週間必要とする。
【0019】
ジカンバはオーキシンアナログであり、制御されない成長を引き起こし、最終的には、植物の死滅に至る。
【0020】
2,4-D、メコプロップ-P、およびジカンバは、二元および三元発芽後除草剤の双方において、相互に組み合わせてしばしば用いられる。例えば、1つの商業的に入手可能な二元除草剤はScotts Turfbuilder Plus 2 Weed Controlであり、これは、2,4-Dおよびメコプロップ-Pを含む。三元発芽後除草剤の例は、Bayer Advanced Southern Weed Killer For Lawns、およびPBI/Gordon’s Trimec Groth Regulator Herbicideを含み、その双方は、2,4-D、メコプロップ-P、およびジカンバを含む。
【0021】
これらの発芽後化合物、ならびに前記した二元および三元発芽後製剤は、限定されるものではないが、以下の広葉雑草:ヘラオオバコを含めたオオバコ;ホワイトクローバー、レッドクローバー、およびシャグマハギを含めたクローバー;コメツブウマゴヤシ;タンポポ;ホトケノザ;アカザ;スベリヒユ;トウダイグサ;タンポポモドキ;カキドウシ;野ニラ;および野生タマネギを含めた、多数の樹立された雑草を殺すことにおいて有効である。
【0022】
好ましい組成物はイソキサベン;2,4-D;およびメコプロップ-Pを含む。これらの組成物は、好ましくは、約0.2〜25W/W%のイソキサベン;約0.05〜約35W/W%の2,4-D;および約0.05〜約20W/W%のメコプロップ-Pを含む。より好ましくは、これらの組成物は約2〜約3W/W%のイソキサベン;約3〜約5W/W%の2,4-D;および約0.1〜約1W/W%のメコプロップ-Pを含む。最も好ましくは、これらの組成物は約2.4〜約2.9W/W%のイソキサベン;約3.50〜約4.32W/W%の2,4-D;および約0.7〜約1.1W/W%のメコプロップ-Pを含む。
【0023】
より好ましくは、組成物はイソキサベン;2,4-D;メコプロップ-P、およびジカンバを含む。これらの組成物は、好ましくは、約0.2〜約25W/W%のイソキサベン;約0.05〜約35W/W%の2,4-D;約0.05〜約20W/W%のメコプロップ-P、および約0.01〜約25W/W%のジカンバを含む。より好ましくは、これらの組成物は約2〜約3W/W%のイソキサベン;約3〜約5W/W%の2,4-D;約0.1〜約1W/W%のメコプロップ-P;および約0.1〜約0.8W/W%のジカンバを含む。最も好ましくは、これらの組成物は、約2.4〜約2.9W/W%のイソキサベン;約3.50〜約4.32W/W%の2,4-D;約0.7〜約1.1W/W%のメコプロップ-P;および約0.4〜約0.5W/W%のジカンバを含む。
【0024】
本開示の組成物は、適切な場合、他の活性化合物、添加剤および/または慣用的な製剤補助剤の成分との混合製剤として存在することができ、これは、次いで、慣用的な方法にて水で希釈され、あるいは別々に処方された、または部分的に別々に処方された成分の水での共希釈によっていわゆるタンクミックスとして調製することができる。
【0025】
本明細書に開示する組成物は、支配的な生物学的および/または化学-物理的パラメータに依存して、種々の方法で処方することができる。適当な処方オプションの例は:水和剤(WP)、乳剤(EC)、液剤(SL)、水中油型および油中水型エマルジョンなどのエマルジョン(EW)、噴霧可能溶液またはエマルジョン、油-または水-系分散液、サスポエマルジョン、粉剤(DP)、種子-粉衣組成物、全面散布および土壌適用のための粒剤、または水和性顆粒剤(WG) 1 ULV製剤、マイクロカプセルまたはワックスである。
【0026】
これらの処方に基づき、例えば、直ぐに使用できるミックスまたはタンクミックスの形態である、他の除草剤、殺真菌剤または殺虫剤などの他の農薬的に活性な物質ならびに毒性緩和剤、肥料および/または成長調節剤との組合せを製造することも可能である。
【0027】
水和剤は、水に均一に分散可能であって、活性化合物に加えて、同様に、希釈剤または不活性な物質、イオン性または非イオン性タイプの界面活性剤(湿潤剤、分散剤)、例えば、ポリエトキシル化アルキルフェノール、ポリエトキシル化脂肪アルコール、ポリエトキシル化脂肪アミン、アルカンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、リグニンスルホン酸ナトリウム、2,2’-ジナフチルメタン-6,6l-ジスルホン酸ナトリウム、ジブチルナフタレン-スルホン酸ナトリウム、または他にはオレオイルメチルタウリン酸ナトリウムを含有する製剤である。
【0028】
乳剤は、活性化合物を、1以上のイオン性または非イオン性タイプの界面活性剤(乳化剤)を加えた、有機溶媒、例えば、ブタノール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、キシレンまたは他には比較的高い沸点の芳香族化合物もしくは炭化水素に溶解させることによって調製される。用いることができる乳化剤の例は、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムなどのアルキルアリールスルホン酸カルシウム、脂肪酸ポリグリコールエステル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、プロピレンオキサイド-エチレンオキサイド縮合生成物、アルキルポリエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレンソルビタンエステルなどの非イオン性乳化剤である。
【0029】
粉剤は、活性化合物を微粉化された固体物質、例えば、タルク、カオリン、ベントナイトおよびパイロフィライトなどの天然クレイ、または珪藻土とともに粉砕することによって得られる。
【0030】
粒剤は、活性化合物を吸着性の顆粒化された不活性な物質上に噴霧することによって、または接着性バインダー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムまたは他には鉱油により、砂、カオリナイトまたは顆粒化された不活性な物質などの担体の表面に活性-化合物濃縮物を適用することによって調製することができる。適当な活性化合物を、所望により、肥料との混合物として、肥料顆粒の調製で慣用的な方法で顆粒化することもできる。水和性顆粒剤は、一般に、噴霧乾燥、流動床顆粒化、ディスク顆粒化、高速ミキサーを用いる混合、および固体の不活性な物質を含まない押し出しなどのプロセスによって調製される。
【0031】
農薬製剤は、一般に、0.1〜99重量%、特に、2〜95重量%の活性化合物を含有し、製剤のタイプに応じて、以下の濃度が慣用的である:水和剤においては、活性化合物の濃度は、例えば、10〜95重量%であり、残りは、慣用的な製剤構成要素からなる100重量%とする。乳剤においては、活性化合物の濃度は、例えば、5〜80重量%とすることができる。粉剤の形態では、製剤は、通常、5〜20重量%の活性化合物を含有し、他方、噴霧可能な溶液は約0.2〜25重量%の活性化合物を含有する。分散性粒剤などの粒剤の場合には、活性化合物の含有量は、活性化合物が液体または固体形態であるか、ならびにいずれの顆粒化補助剤および充填剤が用いられるかに部分的には依存する。水-分散性粒剤においては、含有量は、一般に、10および90重量%の間である。
【0032】
加えて、活性化合物の該製剤は、各場合において慣用的である、粘着付与剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、保存剤、凍結防止剤および溶媒、充填剤、着色剤および担体、消泡剤、蒸発阻害剤、pHおよび粘度調節剤、増粘剤ならびに/または肥料を含むことができる。
【0033】
使用では、商業的に入手可能な形態である製剤は、適切な場合、例えば、水和剤、乳剤、分散液および水-分散性粒剤の場合には水を用いて慣用的な方法で希釈される。粉剤、土壌粒剤、展着用の粒剤および噴霧可能溶液の形態である製剤は、慣用的には、使用の前に他の不活性な物質でさらには希釈されない。
【実施例1】
【0034】
四元イソキサベン-2,4-D-メコプロップ-P-ジカンバ除草剤の製剤
イソキサベンは水不溶性化合物であり、他方、2,4-D、メコプロップ-P、およびジカンバは、全て、水溶性である。水-不溶性有効成分に水溶性不活性成分を一体化させるのは問題となりかねない。これに取り組むために、イソキサベンの微細な粒状懸濁液を、ポリマー懸濁助剤を用いることによって水溶液中で生じさせた。簡単に述べれば、メコプロップ-Pおよびジカンバをカリウム塩に変換し、次いで、2,4-D DMA塩と共に水溶液に加えた。イソキサベンを湿潤粉砕して、微粉砕された不溶性イソキサベン粒子状物を得たが、他の粉砕方法を、例えば、乾式粉砕および空気粉砕を互換可能に用いることができる。イソキサベン粒子状物を、次いで、ポリマー懸濁助剤を加え、溶液のpHを調製することによって物理的に安定化させた。ポリマー懸濁助剤および使用方法は当該分野でよく知られている。さらに、他の増粘剤は当該分野でよく知られており、同一の効果でもって用いることができる。
【実施例2】
【0035】
十分なラベル率における発芽前相乗作用の計算
最初のテストとして、イソキサベン;2,4-D;メコプロップ-P、およびジカンバを含む四元水性懸濁液を、表1に記載された濃度にて実施例1に従って作製し、発芽前相乗作用についてテストした。
【0036】
【表1】

【0037】
相乗作用についてテストするために、広葉雑草種子を、4つの条件:(1)未処理;(2)イソキサベンのみを含有;(3)発芽後除草剤のみを含有;および(4)四元前/後組成物を含有の各々について10m2プロットの三連にて植えた。次いで、植えて直ちに、表1に記載された率にて各溶液でプロットを処理し、その後、さらに3回処理した。次いで、プロットを、対照と比較したパーセント抑制について比をとった。Gowingの計算を用いることによって予測された制御を近似した:
E=X+Y-XY/100、ここで、
E=除草剤A+Bの予測された%制御
X=除草剤Aの観察された%制御、および
Y=除草剤Bの観察された%制御である。
次いで、データを以下のように分析した:
相乗作用:観察された制御>予測された制御
中性:観察された制御=予測された制御
拮抗作用:観察された制御<予測された制御
【0038】
図1で分かるように、相乗作用が、コメツブウマゴヤシ単独;ヘラオオバコ単独;ホワイトクローバー単独;コメツブウマゴヤシ、クローバー、タンポポ、ホトケノザ、アカザ、スベリヒユ、レッドクローバー、およびトウダイグサのミックスについての四元前/後製剤で観察された。
【実施例3】
【0039】
十分なラベル率の1/2および1/5における発芽前相乗作用の計算
表1に記載された変換された用量の1/2および1/5の用量のみにて、同一の組成物を用いて実施例2を反復した。図2で分かるように、相乗作用は、テストされた雑草ミックス全てについて変換された用量の1/2において観察された。また、ヘラオオバコおよびホワイトクローバーについて変換された用量の1/5において相乗作用がやはり観察された。
【実施例4】
【0040】
十分なラベル率における発芽後相乗作用の計算
表1に記載された濃度にて、実施例1に従い、イソキサベン;2,4-D;メコプロップ-Pおよびジカンバを含む四元水性懸濁液を作成した。次いで、テスト場を、4つの条件:(1)未処理;(2)イソキサベンのみを含有;(3)発芽後除草剤のみを含有;および(4)四元前/後組成物を含有の各々につき、10m2プロットの三連に分割した。各プロットにおいて、広葉雑草を同定し、計算した。次いで、プロットを、表1に記載された率にて各溶液で処理した。その後、3つのさらなる処理を行った。最初の適用から1、3および7日、ならびに2、3、4および8週間後にデータを取り、実施例2におけるように分析した。図3で分かるように、コメツブウマゴヤシ;ホワイトクローバー;およびタンポポモドキ、オオバコ、シャグマハギ、およびホワイトクローバーのミックスについて相乗作用が観察された。
【実施例5】
【0041】
十分なラベル率の1/2および1/5における発芽後相乗作用の計算
表1に記載された変換された用量の1/2および1/5の用量においてのみ、同一組成物を用いて実施例4を反復した。図4で分かるように、ホワイトクローバーについて1/5率で相乗作用が観察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発芽前除草剤および少なくとも1つの発芽後除草剤を含む除草剤組成物であって、該発芽前除草剤および該発芽後除草剤は、雑草の発芽前および発芽後発生を相乗的に阻害する除草剤組成物。
【請求項2】
該少なくとも1つの発芽前除草剤がイソキサベンおよびインダジフラムからなる群から選択される少なくとも1つの有効成分を含む、請求項1記載の除草剤組成物。
【請求項3】
該少なくとも1つの発芽後除草剤が:2,4-D;メコプロップ-P;ジカンバ;2,4-DB;2,4-DP;アミノピラリド;アトラジン;カルフェントラゾン;クロルスルフロン;クロピラリド;ジフルフェニカン;エトキシスルフロン;フロラスルラム;フルロキシプル;イマザキン;ヨードスルフロン;MCPA;メトリブジン;メトスルフロンメチル;ペノクススラム;キンクロラック;テンボトリオン;チエンカルバゾンメチル;およびトリクロピルからなる群から選択される少なくとも1つの有効成分を含む、請求項1記載の除草剤組成物。
【請求項4】
該発芽後除草剤が有効成分の2,4-D;メコプロップ-P;およびジカンバを含む、請求項3記載の除草剤組成物。
【請求項5】
該少なくとも1つの発芽前除草剤が有効成分のイソキサベンを含む、請求項4記載の除草剤組成物。
【請求項6】
該雑草が:ヘラオオバコを含めたオオバコ;ホワイトクローバー、レッドクローバーおよびシャグマハギを含めたクローバー;コメツブウマゴヤシ;タンポポ;ホトケノザ;アカザ;スベリヒユ;ドウダイグサ;タンポポモドキ;カキドウシ;野ニラ;野生タマネギ;野生のスミレからなる群から選択される、請求項1記載の除草剤組成物。
【請求項7】
イソキサベン、2,4-D;およびメコプロップ-Pを含む除草剤組成物。
【請求項8】
約0.2〜約25W/W%のイソキサベン;
約0.05〜約35W/W%の2,4-D;および
約0.05〜約20W/W%のメコプロップ-P
を含む、請求項7記載の除草剤組成物。
【請求項9】
約2〜約3W/W%のイソキサベン;
約3〜約5W/W%の2.4-D;および
約0.1〜約1W/W%のメコプロップ-P
を含む、請求項7記載の除草剤組成物。
【請求項10】
約2.4〜約2.9W/W%のイソキサベン;
約3.5〜約4.32W/W%の2,4-D;および
約0.7〜約1.1W/W%のメコプロップ-P
を含む、請求項7記載の除草剤組成物。
【請求項11】
ジカンバをさらに含む、請求項7記載の除草剤組成物。
【請求項12】
約0.01〜約25W/W%のジカンバをさらに含む、請求項8記載の除草剤組成物。
【請求項13】
約0.1〜約0.8W/W%のジカンバをさらに含む、請求項9記載の除草剤組成物。
【請求項14】
約0.4〜約0.5W/W%のジカンバをさらに含む、請求項10記載の除草剤組成物。
【請求項15】
少なくとも1つの発芽前除草剤および少なくとも1つの発芽後除草剤を含む組成物を投与することを含み、ここに、該発芽前除草剤および該発芽後除草剤は、雑草の発芽前および発芽後発生を相乗的に阻害する、雑草の成長を制御する方法。
【請求項16】
該少なくとも1つの発芽前除草剤が、イソキサベンおよびインダジフラムからなる群から選択される少なくとも1つの有効成分を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
該少なくとも1つの発芽後除草剤が:2,4-D;メコプロップ-P;ジカンバ;2,4-DB;2,4-DP;アミノピラリド;アトラジン;カルフェントラゾン;クロルスルフロン;クロピラリド;ジフルフェニカン;エトキシスルフロン;フロラスルラム;フルロキシプル;イマザキン;ヨードスルフロン;MCPA;メトリブジン;メトスルフロンメチル;ペノクススラム;キンクロラック;テンボトリオン;チエンカルバゾンメチル;およびトリクロピルからなる群から選択される少なくとも1つの有効成分を含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
該発芽後除草剤が、有効成分の2,4-D;メコプロップ-P;およびジカンバを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
該少なくとも1つの発芽前除草剤が有効成分のイソキサベンを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
該雑草が:ヘラオオバコを含めたオオバコ;ホワイトクローバー、レッドクローバーおよびシャグマハギを含めたクローバー;コメツブウマゴヤシ;タンポポ;ホトケノザ;アカザ;スベリヒユ;ドウダイグサ;タンポポモドキ;カキドウシ;野ニラ;野生タマネギ;野生のスミレからなる群から選択される、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−511523(P2013−511523A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539929(P2012−539929)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/055234
【国際公開番号】WO2011/062763
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(507124988)バイエル クロップサイエンス エルピー (5)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE LP
【Fターム(参考)】